HPCI計画推進委員会(第49回) 議事要旨

1.日時

令和3年12月1日(水曜日)15時30分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

伊藤宏幸委員,上田委員,梅谷委員,岡田委員,小野委員,喜連川委員,小林主査代理,佐藤委員,田浦委員,高木委員,高橋委員,常行委員,藤堂委員,富澤委員,富田委員,中川委員,平田委員,藤井主査,朴委員,吉田委員

文部科学省

池田局長,川口参事官,宅間室長,西川参事官補佐,太田専門職

オブザーバー

理化学研究所計算科学研究センター 松岡センター長
理化学研究所計算科学研究センター 松尾副センター長

4.議事要旨

冒頭、9月より研究振興局 局長に着任した、池田局長の紹介と挨拶を行った。その後、各議題の報告、審議を行った。
 
議題1:「富岳」開発の事後評価について
資料1について事務局より説明があった。
 
【藤井主査】  どうもありがとうございました。
 皆様から御意見、修正意見とか質問でも構いませんが、あるようでしたらどうぞ。
【田浦委員】  田浦ですけれども、よろしいでしょうか。
 これは書類を準備されたタイミングもあるかもしれませんけれども、ゴードン・ベルのCOVID-19の特別賞についても言及されるほうがいいのではないかと思ったのですが。
【宅間室長】  ありがとうございます。ランキングのところだけ申し上げましたが、おっしゃるとおり、ゴードン・ベルに関しましても、現在の状況で更新するべきところがあると思います。
【田浦委員】  ファイナリストのほうではなくて、それももちろん書いてありますけれども、COVID-19のほうで最終的な賞を受賞されたと思いますので。
【宅間室長】  ありがとうございます。その点も踏まえて、修正、検討させていただきます。
【藤井主査】  飛沫シミュレーションが書かれたところに括弧づけか何かで2021年11月のSCでゴードン・ベルの特別賞を受賞みたいに書き加えておくのがいいのではないかというふうに感じましたけれども、田浦先生いかがでしょうか。ちょっと今は文章が出ていないので。
【田浦委員】  はい。それでよろしいかと思います。
【藤井主査】  あとは事務局でまず御検討ください。
【宅間室長】  はい。承知いたしました。
【藤井主査】  ほかいかがでしょうか。
 どうぞ。
【朴委員】  田浦先生と同じことをまず言おうと思ったので、2021に関しては、メイントラックがファイナリストで、COVID-19スペシャルがWinnerだということで、今の藤井先生の話にもありましたけれども、その飛沫のシミュレーションのところに付記するのはいいのですが、ゴードン・ベルのことはゴードン・ベルとしてまとめて2020と2021でこれだけのことがあったというふうに、また別途書いたほうがいいかなと思います。
 取りあえずそれでいいです。
【藤井主査】  では、まずほかの方に行ってから、また朴先生、意見があればお聞きします。いかがでしょうか。
 ちょっと全員のものが見えないので、手が挙がっているのが分かりにくいので、発言していただいて構いません。
 私から2点ほどあるので、考えていただく間にちょっとコメントさせていただきます。
 1つは、17ページの一番最後に、「どのような技術に重点を置いて開発を進めるのかという観点も含めて」というところがありますけれども、例えばそこに今やっぱり経済安全保障という話が非常に強くなっているので、その際、経済安全保障の視点も含めみたいなことをちょっと文章なので後ろとの整合性がありますが、そんなこと補ってもいいのかなというふうに感じました。
 いかがでしょうか。
 事務局、どうでしょうか。
【宅間室長】  ありがとうございます。御指摘の点につきましては、例えば、次世代計算基盤検討部会のまとめなどでも指摘されているところでございます。
 原案においても、例えば、人材育成等のところで間接的に書き込んでいるつもりではあったのですが、御指摘のような形でもう少し直接的に、経済安全保障という用語も使いながら修正できるかと思います。
【藤井主査】  よろしくお願いします。特に委員の皆さんから反対がなければ、考えていただけるといいかなと思います。
 ほかいかがでしょうか。朴委員、どうぞ。
【朴委員】  朴ですけれども、16ページの(3)総合評価の最後のほうで、成果創出に関しては大きな役割を果たすことが期待される、で終わってしまっているのですが、これはタイミング的に何か1つか2つでも特に成果創出のほうで、それこそ成果創出加速なので、2年間で何とか結果が出そうなものというのは具体的には挙げられないでしょうか。
【宅間室長】  ありがとうございます。事務局でございます。
 この評価はシステム開発についての評価ですので、研究成果の評価は今回の評価の対象外と整理してまとめています。ですので、成果についてはあまり書き込んでおりません。一方コロナや太陽の自転等の成果にも少し触れたところですので、そこでもう少し今の時点で書けるものを追加するというのはできるかと思います。ただ、今回の評価の直接の対象ではないというところは、若干留意点としてはございます。
【朴委員】  分かりました。今まさにその点で、だからそのコロナに関することとか、ゴードン・ベルとかというのは、期間のついたところを書いているので、成果創出だけはそういう期間に入っていないのでというのもちょっと不整合かなと思ったものですから。でも無理に書かなくてもいいんですけれども、何か特筆すべきものがあれば書いてもいいかなということです。
【藤井主査】  では、そこは主査と事務局に任せていただいていいですか。主査と事務局で書けるようなら入れるということで、よろしいですか、朴委員。
【朴委員】  はい、お願いします。
【藤井主査】  ほかいかがでしょうか。
 細かい点でもう1点思ったことがあって、11ページを出していただけますか。ターゲットアプリの性能が十分目標を達成したという2つ目の横棒のところ、②事後評価の2つ目、これは全くそのとおりなんですけれども、ワーキンググループのほうの議論の中で追加の資料が出てきて、その中でターゲットアプリによっては1ノードだけの評価、別のものはあるノード数の評価、別のものはもっとたくさんのノード数の評価と、割とノードの評価の仕方が少しばらばらだったので、でもそれは意図的ではないと私は理解していて、例えば1ノードのものは1ノードで評価すれば実効性能としてちゃんと出るんだという背景があるので、そういうノード数にしているんだと思うんですよね。
 そういう背景があるので、そこにちゃんとそれぞれが想定される利用に適した評価方法で評価したんだということをちょっとだけ修飾語で入れておくのがいいかなと、恣意的に何か考えたわけではないよということを付記しておいてもいいかなというふうに若干感じました。これも無理に入れなくてもいいところですが、この辺は事務局とあと場合によってはR-CCSのどなたかから発言いただけるといいかもしれません。
【西川補佐】  ありがとうございます。事務局としては、先生おっしゃっていただいたとおり、例えば今投影しております8ページの3番、事後評価のところに1つのポツでいろいろ記載はさせていただいておりますが、この中に今、先生がおっしゃっていただいたような要素を入れていきたいというふうに考えてございます。
【富田主査代理】  R-CCSからということで富田がお答えしますけれども、おっしゃるとおりで、恣意的に何かこうやったわけではなくて、このターゲットアプリケーション自身がそのサイエンティフィックに意味のあるものとして、どういう使い方をするかというのはまちまちです。
 ですので、大まかに言うとキャパシティ・コンピューティングとケイパビリティ・コンピューティングに分かれるんですけれども、様々なので、一括して何倍と書かれると多少ちょっと語弊があるような気もするので、何か一言そういう多様性があるというところを入れていただくと、より分かりやすくなるのではないかなというふうに思います。
【藤井主査】  では、適宜追記させていただいてよいということでいいですか。
 それでは、もし今の点に関してほかの委員の反対がなければ、次に移りますけれども、よろしいですか。
 では、朴委員、どうぞ。
【朴委員】  あともう1点だけ、消費電力のところで、6ページあたりは、100倍の性能をターゲットアプリで出して30メガワット以下に抑えていると書いてあって、13ページぐらいには30メガワットから40メガワットに抑えてって書いてあるんです。それが矛盾しないように見えないといけないなと思いまして、30メガから40メガというものがあるんですけれども、14ページだと思います。
 それで、ターゲットアプリ100倍を達成しているときには30メガワット以下というのは恐らく間違いなくて、LINPACKは結局35メガワットとか34メガワットぐらいに行ってしまったわけですよね。だから、二枚舌的に見えないようにちゃんと説明をしたほうがいいのではないかなと、矛盾しないようにという、ちょっと気になりました。
【藤井主査】  読んで一見すると矛盾しているように思われる危惧があると。そう言われないような修正を加えるのがいいという、そういう御意見でいいですかね。
【朴委員】  そのとおりです。
【藤井主査】  ここも事務局と相談して修正させていただいてよろしいですか。ちょっと今すぐここをこうしてという言い方にならないので。
【朴委員】  お任せします。
【藤井主査】  ほかいかがでしょうか。
 中川委員、どうぞ。
【中川委員】  1点だけ簡単なところなんですけれども、11ページ、有効性の事後評価の一番下のほうなんですが、戦略的利用に関しては、整備したクラウド機能を活用して、クラウド的利用を試行的に移行しつつ、プロバイダー事業者というものがいきなり出てくるんですけれども、ここはすいません、クラウド事業者ではないのでしょうか。プロバイダーというとインターネットプロバイダーというふうに普通思ってしまうんですが、実際、今はどうですか。Rescaleさんとかとも共同研究とかもされているので、クラウド事業者との共研なのかなとちょっと思ったんですが。
【藤井主査】  ちょっと正確にはここはいかがでしょうか。
【松岡センター長】  すいません。理研の松岡です。
 おっしゃるとおり、これはクラウドサービスプロバイダーだと思います。それで例えば、Rescaleだとか、富岳のクラウド機能というものはベースラインの誰でも使う普通のクラウドAPIがあって、その上に、例えば、Rescaleみたいなクラウドサービスプロバイダーが機能を構築するので、プロバイダーと書くと確かに混乱が大きくて、明確にクラウドサービスプロバイダーと書くのが多分、業界用語的に正しいのではないかと思います。
【中川委員】  業界的にはそのほうが理解しやすくて、RescaleもRescaleというよりScaleXの試行をされていると理解していますので、やはりクラウドサービス事業者とかいうほうが分かりやすいかな。プロバイダーというと通常はインターネット。
【松岡センター長】  そうですね、クラウドサービス事業者というのは確かに。プロバイダー事業者という、何か馬から落馬したことになってしまうので。
【藤井主査】  そこはクラウドサービス事業者でよろしいですか、中川委員。
【中川委員】  クラウドサービス事業者でいいと思います。
【藤井主査】  もしほかに反対がなければ、これは修正ということで入れたいと思います。
 松岡センター長がやっと参加されたので、4期連続について何かここで一言どうぞ。
【松岡センター長】  本当に4期連続ナンバー1、さらに実は今回、CosmoFlowも1位になり、かつ、先ほど田浦先生、朴先生から指摘があったようにゴードン・ベル賞ファイナリストと、あと特別賞では受賞できたというところで、大変ありがたく、また、これも先生方及びそれこそ国民の皆様の力だと思っています。
 特に今回、CosmoFlowで取れたというのが非常に大きくて、HPL-AIもあったんですけど、あれはあくまでもCNNのプロキシなので、そうでなくて、実際にCosmoFlowというのはダークマターを検出する本物のアプリケーションですので、「富岳」8万ノードで実際にトレーニングができたと、これはどんなほかのマシンでもまねができない成果ですので、これで1位を取れたのは大きかったことと、コロナに関しては、成果については申し上げるまでもないかもしれませんが、ただこれが、まだ世界の誰もまねができていないことでありまして、実際にキャパシティーとしても、論文にも書いたのですが、例えばOakforest-PACSを1年分使ったぐらいの計算容量を使ったわけです。そのような技術的な点と新規性やScience of Societyに対するインパクトが高く評価されて今回受賞になったということは、この「富岳」のプロジェクトにおけるアプリケーションを重視するという姿勢が実ったと。
 また、それに向けて、ベースラインのアプリケーションのCo-designを行ってきた姿勢が非常に実ったんじゃないかと思いまして、ぜひこれはポジティブな経験として、ほかの分野や将来のマシンに対しても生かしていけば、非常にポジティブなのではないかと思っております。
 ありがとうございます。
【藤井主査】  ありがとうございました。
 話を元に戻して議題の1ですが、これについていかがでしょうか。事後評価票について、修正は以上でよろしいですか。
 それでは、全体として本質的な修正がなく文章的な修正ですので、もし委員の皆さんの強い反対がなければ、一応、微修正はあと事務局と主査に任せていただくということで本委員会にて承認いただきたいのですが、それでよろしいでしょうか。
それでは、今申し上げたように修正の上で了承と。修正の中身については、主査と事務局に一任いただくということにさせていただきます。
 
 
議題2:次世代計算基盤に係る検討状況について
資料2について事務局より説明があった。
 
【藤井主査】  ありがとうございました。
 今言われたように、一番大事な点は大きな抜けとかそういうのがないかということでしょうし、検討の方向性という面で御意見をまずお聞きしたいと思います。質問でも構いませんので御発言をよろしくお願いします。いかがでしょうか。
 特にワーキンググループの議論に参加されてない委員の方々にぜひ御発言いただきたいと思います。十分網羅されていますか。よろしいですか。ワーキンググループのほうで何回かにわたり議論いただいた結果ですので、ある程度記載すべきことは記載できているのかなという気は確かにします。特に御意見もありませんか。よろしいですかね。
 伊藤委員、よろしくお願いします。ありがとうございます。
【伊藤(宏)委員】  意見ということではありませんが、先ほどの事後評価も今御説明いただいた話もそうなんですが、やはりフラッグシップと第2階層という構造そのものは我が国にとって最適なのかという議論は繰り返ししなきゃいけないと思っていて、次世代もそれがいいのであれば、そのことの理由を都度きちっとしたほうがいいんじゃないかなというのが感想です。
【藤井主査】  もうちょっと具体的に何か言えませんか。あまり言いにくいところもあるかもしれませんが。
【伊藤(宏)委員】  いやいや、1つSociety 5.0だとか何か言うと、先ほどの経済安全保障の話じゃないですけれども、非常にロバストなものを求められたときに、それでもやっぱりこのスタイルはいいんだということをきちっと再確認しておく必要があるんじゃないかという気がするんです。
【藤井主査】  このスタイルというのは、トップにハイエンドがあって。
【伊藤(宏)委員】  はい。
【藤井主査】  ただこれは、時がたつと割と八ヶ岳的になって、また繰り返してきたわけですよね。
【伊藤(宏)委員】  そうです。それと持続性の話とか絡んでくるので、都度それを確認しておく必要があるんじゃないかなと思うんです。10年に一遍なのか数年に一遍のことなので。感想です。
【藤井主査】  分かりました。今の点、事務局よろしいですか。何かコメントがあればお聞きしますけど。よろしいですかね。
 ほかはいかがでしょうか。中川委員どうぞ。
【中川委員】  すいません、私、日立にいるものですから、COP26のプリンシパル・スポンサーだったんですけど、ポスト「京」の時代とポスト「富岳」の時代で大きく関わることとして、単なる省エネだけではなくて再生可能エネルギーですとか、ゼロ・エミッション化とかいうところがすごくワールドワイドに気にされていて、地球環境という人類が存続していくために必須な要件というのが壊されつつあると。2030年1.5℃みたいな本当にできるんだろうか的な目標が採択されましたけれども、ぱっと見た感じ、環境ってあまりなかったなと思っておりまして、やはりここ数か月でかなり大きく、この辺りの意識はワールドワイドでも変わってきたので、どこに入れるのがいいのか分からないんですけれども、制約条件ですよね、入れるとしたら。2番のところに技術課題とか制約条件というのがありましたが、そこに入れるのが一番妥当ではないかなと思うんですけれども、日本としても2050年カーボンニュートラルという目標を掲げていて、次のポスト「富岳」世代というのは、やはり「京」のときのように「富岳」も結構長く運用されるとすると、ポスト「富岳」は2030年から40年ぐらいのタイムレンジで稼働すると考えられますので、制約条件は2番のところに入れられないのかなと。半導体技術のことだけが書いてありますけれども、やっぱり地球環境保全というのはどこかに制約要因として入れたほうがいいのかなと思いました。これは今まであまり気にされてなかったと思うんですけれど、やっぱり世の中の変化ということで入れたほうがいいのかなと思いました。
 以上です。
【藤井主査】  おっしゃるとおりだと思います。事務局、コメントありますか。よろしいですか。
【西川補佐】  事務局でございます。ありがとうございます。
 御指摘のとおりでございまして、御指摘の技術的課題や制約要因、論点の2番のところにも当然省電力の要素というのは重要になってきますので、後半のシステムワーキングの中の御議論かもしれませんけれども、当然そういう要素をここにも入れていくということと、あとは1番の圧倒的性能・機能の中でも演算性能のほかに評価指標として考慮すべき事項があるかというところもございまして、例えば評価指標としても電力性能比ですとか、省電力の要素というのは当然入ってくる可能性があると思いますし、あとは論点の3番、日本が独自に保有すべき技術というところにおいても、やはり省電力技術というのは日本としても保有すべきじゃないかという議論もあったりするかと思いますので、まさに幅広い論点に関わる重要な事項だと考えております。
 ありがとうございます。
【藤井主査】  恐らく省エネ以上のものを中川委員は言わんとしていたような気がしますけど。
【中川委員】  そうですね。Green500はPreferred NetworksのMNがずっと1位を維持していると思うんです。だから省エネとか電力計算効率は既にお家芸的に持っていると思うんですが、さらにゼロ・エミッション化というところに対して、ポスト「富岳」の時代のHPCIがどう貢献するかという、アプリケーションとかサイエンスロードマップに近いところの議論になるのかもしれないなと今のお話を聞いて確かに思いましたが、サイエンスロードマップだとこれは1番になりますよね。1、2辺りには入ったほうがいいのかなと思います。
【藤井主査】  世界的な制約という枠もあるし、それから、我々自身も努力しなきゃいけないという意味で、省エネという観点以上のもので何が考えられるのかということも含めて議論いただくのがいいかなと私は思いましたけど、いかがでしょうか中川委員。
【中川委員】  そうですね、省エネプラスゼロ・エミッション化、再生可能エネルギー、水素とかいったクリーンエネルギーの利用という。要は、Green by DigitalとGreen of Digitalと両方の考え方がありますので、この要素で環境への言及を入れていただければと思います。
【富田主査代理】  すいません、富田ですけれども。
【藤井主査】  どうぞ、富田さん。
【富田主査代理】  いずれにしてもそこそこの電力は使うわけで、もちろん省電力化ということは突き詰めていかなきゃいけないんですが、何かどこかの形で電力をつくるわけですよね。その電力が自然エネルギーだとか化石燃料を燃やさないとか、そういうところで作られればいいけれども、それってこの次世代計算機を作る上での制約条件となるんですか。要するにそれはエネルギー政策の問題な気がするんですけれども、いかがでしょうか。
【藤井主査】  中川委員の指摘は、そこではないような気がしましたけどね。どうでしょう。中川委員どうぞ。
【中川委員】  エネルギー政策をここに入れようとしているのではなくて、地球環境保全というのが大きな制約条件になるので。ポスト「富岳」時代のHPCIもそれに貢献するような検討をすべきであるという要素を1番ないし2番に入れていただきたいということです。
【富田主査代理】  おっしゃっていることというのは、エネルギー問題への取組とか、そういうのが計算科学によって課題の一つとして大きく取り上げると、そういうイメージでしょうか。
【中川委員】  それですと1番になると思いますね。
【富田主査代理】  それは何となく分かるんですけれども、計算機の場合はいずれにしても大きなものを作ろうとすると省電力化はしますけれども、ある程度大きなものになるわけで、その電力はどこから取ってくるかというのが、要するに……。
【松岡センター長】  すいません、富田さん。松岡ですけれども、あまりこの時間を費やすのはよくないのですが、手短に申しますと、データセンターにおけるカーボンニュートラル化というのは世界中の取組なんです。データセンターを発電の場にコ・ロケーションするだとか、ないしはカーボンニュートラルに近いけれども、完全ではないけど、例えば我々が検討しなきゃいけないのは、我々は自家タービン発電を持っていますけど、それをアンモニアタービンに転換すれば大幅なカーボンニュートラリティに貢献することができるわけです。もちろん民間データセンターもそうしたことを出来なくはないですけども、そういうデータを彼らは公開できないんです。一方、「富岳」みたいなファシリティーというのは税金を使っているファシリティーですから、それらの大規模なデータセンター、しかもスパコン化してくるデータセンターに関して、我々自身がカーボンニュートラリティを達成するだけじゃなくて、さらにそれを普及させて、Society全体でデータセンターのカーボンニュートラリティを目指すようなムーブメントを起こせるんです。
 その辺り、計算機自身は電気を使いますけど、ファシリティーという観点で様々な工夫が可能ですので、それらを次世代のマシンの設計に取り入れていくと。その場合、再生エネルギーは場合によって不安定になるので、不安定な再生エネルギーにどのように対処していくかとか、そういうのは計算機自身のアーキテクチャにも当然ながら影響するわけです。
 ですので、そういうことを総合的に取り入れていくというのは、中川委員が御指摘のように、計算機自身のカーボンニュートラリティという点でも大変重要な設計項目になると思っています。
【富田主査代理】  なるほど。承知しました。要するにこれまで主にはプロセッサーで、ワット当たり何ギガフロップスとかいう議論をしてきたわけですけど、そうじゃなくて、もっとシステムとして省エネルギー化できるところ、あるいは再生エネルギーの不安定な要素をどう取り入れるかということも考えていきましょうという趣旨だと理解しました。
【松岡センター長】  そうですね。例えば太陽光発電ができれば、昼間はすごく速く動くけど夜は遅いとか、そういうのでも構わないようなマシンができれば、再生エネルギーを活用できるわけです。
【富田主査代理】  そういう意味では、制約条件というか挑戦的な課題ではあると思いますので、そういうのも盛り込めればと思いますけど。承知しました。
【藤井主査】  ありがとうございました。中川委員よろしいですか。今の松岡センター長の補足で少し相互理解が深まった気がしますけど。
【中川委員】  明確に語っていただきありがとうございます。
【藤井主査】  ほか、いかがですか。伊藤委員どうぞ。
【伊藤(宏)委員】  今の話題に関連して、松岡センター長がおっしゃったとおりのことを私も感じまして、「京」のときは少なくとも省電力、コジェネの話を随分されていたと思うんですが、「富岳」になった時は、コジェネのシステム自体は多分バージョンアップされているんですが、そのことへの言及はだんだん少なくなって、エネルギー全体の消費というか、システムとしての省エネというか、あるいは転換というところに対して付言されにくくなっているので、やはりもう1回ここで復活してほしいなという希望はあります。
 以上です。
【藤井主査】  ほかいかがでしょうか。手は挙がっていませんか。大丈夫ですか。
 喜連川委員どうぞ。
【喜連川委員】  私もどこの段階でカーボンニュートラルの話をすべきなのかよく分からなかったんですけど、最初のほうの評価の中でも、日本はノーベル賞まで日本人としては取っていたりしているわけで、その分野の重要性は今世界で一番大きいといいますか、骨太政策でもトップに来ているので、何らかの意味で影響評価も含めて付言があればいいのかなというのが1点目です。
 2点目は、先日ちょっと環境省からお話を伺う機会があったんですけど、先ほど中川委員からありました、いわゆるby ITの話は今全然議論されていないということで、しかしながら常識的に考えると、今年、COVID枠みたいな話をちょうどタイミングを合わせて御評価いただいたと、これは来年以降どうなるかというともう明らかに環境枠ですね。ですから、そういうところをかなり意識して論点整理をなされるというのは極めて、このタイミングを考えますと、グローバルにもう意識はそこに全部シフトしちゃっていますから、やっぱり何らかの意味でbyの部分を発信するところまで含めたCN(カーボンニュートラル)の話を進めていくという戦略は一定程度必要なんじゃないのかなというのが印象です。
 私も中川委員と同様に、この中にちょっと希薄感があるというのは少し心配になったので発言をいたしました。
 以上です。
【藤井主査】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 ワーキンググループ主査の小林委員、何か発言ありますか。よろしいですか。今の議論にも関係して構いませんが。
【小林主査代理】  いただいた御意見は再度検討を進めたいと思っておりまして、ある意味、運用のところとか、いろいろなところに携わってくるのかなと思っています。
【藤井主査】  そうですね、そういうところも関わりますね。
【小林主査代理】  全体でもう一度見直していきたいと思います。ありがとうございます。
【藤井主査】  ありがとうございます。
 特に御意見がないようでしたら、ここは意見交換の部分なので、これで閉じさせていただきます。よろしいでしょうか。
 それでは、引き続き今のコメントも受けて、ワーキンググループのほうで議論を継続していただきたいと思います。
 それでは、これで2つの議題が終わりですが、全体を通じて何か御質問とかコメントとか、言い忘れたことがあれば御発言ください。よろしいですか。
【朴委員】  藤井先生、さっきの事後評価のことでちょっと補足が。
【藤井主査】  いいですよ、どうぞ。
【朴委員】  すいません。もう片づけちゃったほうがいいと思うので。今、裏で情報をやり取りしていて、要するに30から40メガワットというのは設計のときのスペックであって、最終的に一番電力を食うHPLとかHPCGであっても30メガワット程度に収まったというのが実情のようです。
 ですので、そういう形の表現で、むしろ30、40メガワットが当初目標だったけれども、30メガワットに収まったよみたいな、いい方向のシナリオにしたほうがいいんじゃないかという気がいたしますが。
【藤井主査】  この11ページのところを、例えば今言われたような、30から40が目標で、結果として30でみたいな書き方がいいということですか。
【朴委員】  そのほうがいいと思いますが、これは多分理研に最終的に確認を取っていただいて。
【藤井主査】  そうですね、事実関係の問題が。
【朴委員】  それで問題なければ、それがいいかなと思います。どうも失礼しました。
【藤井主査】  松岡センター長、いかがでしょうか。もしくはどなたか。
【佐藤委員】  そうしていただければいいと思います。大体、30、40というのは設計目標値ですけれども、実際は最大でも30前後なので。あとは、もしも書ければ、通常運転では20ぐらいでやっているということも書いていただければいいかなと。
【藤井主査】  なるほど。書いてあることは間違っていないけど、そういう表現に変えたほうがいいということでよろしいですかね。
【佐藤委員】  そうです。
【藤井主査】  では、最終的な修正はR-CCSの方とも相談させていただいて、事務局も含めて、ここは修正することにさせていただきます。朴委員、それでよろしいですか。
【朴委員】  どうも失礼しました。よろしくお願いします。
【藤井主査】  ありがとうございました。
 ほかに全体として何か言い忘れたことか、御質問とかあればお聞きします。よろしいですか。
 ないようでしたら事務局のほうにお返しして、事務的な連絡をお願いいたします。
 
 
事務局より、次回について、2月から3月にかけて2回ほど開催を計画しており、このうち1回は次世代計算基盤に係るシステム検討ワーキンググループと合同開催を予定していることの連絡を行い、藤井主査により閉会。

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室

電話番号:03-6734-4275
メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

(研究振興局参事官(情報担当)付計算科学技術推進室)