HPCI計画推進委員会(第46回) 議事要旨

1.日時

令和3年3月3日(水曜日)15時30分~17時30分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

伊藤(公)委員,伊藤(宏)委員,上田委員,梅谷委員,大石委員,小柳委員,喜連川委員,小林委員,田浦委員,土井委員,中川委員,藤井主査代理,安浦主査

文部科学省

杉野局長,塩崎審議官,橋爪参事官,宅間室長,西川補佐,太田専門職

オブザーバー

(理化学研究所計算科学研究センター) 松岡センター長,松尾副センター長,新田室長

 

4.議事要旨

議題1:令和3年度予算案と「富岳」共用開始について
資料1-1、参考資料2について事務局から、資料1-2について理化学研究所新田室長より説明があった。質疑は以下のとおり。

【安浦主査】 それでは、ただいま文科省のほうから令和3年度HPCI関係予算案、2年度の補正予算分も含めて、それから、来週行われますHPCIフォーラムの案内、そして、今、理研の新田室長のから御説明ありました「富岳」の利用料金について、各説明につきまして御質問等ございますでしょうか。
予算のほうは令和2年度の予算を非常にたくさんつけていただいて、前倒しで運用開始と、もちろん技術的にもしっかり動く状態にしていただく御努力を理研のほうでしていただいておりますので、こういうことができるわけですけども、順調にできそうだということでございます。何か御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それから、料金については、まだ暫定的ではあるけど、基本的には、今、新田室長から御説明があったような考え方で進めて、走りながらある程度修正を加えていくという方針で考えておりますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
【小林委員】 東北大の小林ですが、1つ教えていただきたいのですが、例えば料金を決めるときに、基盤センターとのバランスというか、役割を考えた上の課金とか、そういうことは考慮されているのでしょうか。例えば名古屋大学で導入している「富岳」の商用版との料金体系との違いとか、何かそういうことは考慮されたのでしょうか。
【新田室長】 すいません、先ほど説明をはしょってしまいましたけれども、基本的には、運営費回収方式とは言いながら、おっしゃったように、国内外の同等の計算資源等の提供機関等の料金表も参考にしつつ、あまり極端に安かったり、高かったりというような、相場感が崩れた形にならないような形で料金表を検討させていただきました。
【小林委員】 それぞれ基盤センターがターゲットとしているユーザと、「富岳」がターゲットというユーザで、料金競争とならず、適材適所でうまくバランスするようなことを考慮して設定されているということでよろしいですか。
【新田室長】 そうですね。皆さんがどう判断するかというところはありますけれども、先ほど申し上げましたように、ボリュームディスカウントという考え方を取っておりまして、計算配分量が多い場合は単価が安くなりますので、「富岳」のような巨大な計算をする部分については少しアプローチしやすい形で、そういうようなボリュームディスカウントという考え方を入れていますけれども、全体的に見たときには、そんなに大きな競合がないように、料金表は作ったつもりでおります。
【小林委員】 ぜひ、それぞれのターゲットは違うと思いますので、それらが競合しないような料金体系にされることを期待しております。よろしくお願いいたします。
【新田室長】 承知いたしました。ありがとうございます。
【安浦主査】 小林先生、どうもありがとうございました。
それでは、梅谷委員から手が挙がっております。梅谷委員、中川委員、喜連川委員の順でお願いします。梅谷委員、どうぞ。
【梅谷委員】 すいません、梅谷です。「富岳」は公共財だと思っているのでが、公共財を使って成果を公開しないということを許すということでもう決まったと思っていいのですか。というのが1つ目の質問です。
2つ目の質問が、民業圧迫の問題がいろいろとあったと思いますが、民間のクラウドに比べて料金はどれぐらいの設定になっているのでしょうか。
この2点を教えていただければと思います。
【宅間室長】 文科省、宅間でございます。まず、文科省からお答えいたしますと、御指摘いただいたとおり、基本的に「富岳」は公共財ですので、成果を公開していただくという前提で、無償で使っていただくという使い方が基本になります。
一方で、例えば産業界などから成果を非公開にするような形の利用の御希望もあるところ、「富岳」の目的として産業振興という目的もございますので、そうした利用も拡大するべく、成果を秘匿して使いたいという方に対しては、成果を秘匿する代わりに、実費に相当する、運用費に相当するような料金を基本として算出した利用料金を徴収するということを、それは「京」のときからもやってきたことですけれども、「富岳」においても導入する予定で考えております。
【梅谷委員】 運用費だけであれば実費とは言わないと思いますが。
【宅間室長】 ありがとうございます。運用費を基本としつつ、そこに対して、さらに今御説明がありましたような、いろいろな付加価値ですとか、逆に減免などの制度をつくりまして、付加価値がつく場合には運用費にプラスその部分の料金を追加するような形で、理研で整理をしていただいた表がございましたけれども、議論を進めているところでございます。
【梅谷委員】 そういう意味では、一企業の利益になっても、一企業の製品として社会に還元されるのであれば、それは公共財の成果として認めましょうという考え方でよろしいでしょうか。
【宅間室長】 そうですね。応分の負担をいただいた上で、成果を秘匿して使っていただくということで考えていますので、そこは整理をしているつもりでございます。最終的には、例えば企業が利用されて、実際製品の開発につながるとか、そういったような利用であっても、それは社会に還元されるということで、利用料を適切にいただいた上であればあり得るのかなと考えております。
【梅谷委員】 これで最後にしますけど、その応分の費用というのが、民間クラウド並みの料金というふうに理解していたのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
【宅間室長】 民間の料金とか、あと、大学で設定されている料金なども鑑みながら料金設定を考えてまいりますけれども、今、議論をしている金額というのと、直接民間でクラウドサービスとして提供されている料金だと、やはり民間のほうが恐らくサービスが充実しているがゆえに非常に高い料金が設定されているのだと思いますけれども、単純に比較すると、例えばNH当たりの金額というのは少し低い方向で議論をしているかなと思っております。我々の考え方としては、運用費を基本に付加サービスに当たるようなものを追加していって、料金を決めていますので、民間のその他のサービスというのを横に見ながら議論はしておりますけれども、そこにぴったり相当するところまでは上がっていないかなと考えております。
【梅谷委員】 分かりました。では、民間クラウドとの比較は数字で出していただければと思いますので、よろしくお願いします。
【宅間室長】 検討させていただきます。
【安浦主査】 宅間さん、これはまだ申請が上がっているわけじゃないですよね。
【宅間室長】 実際の申請ですか。
【安浦主査】 有償利用の申請。
【宅間室長】 はい。まだ有償利用は、今、制度の議論中でございまして、まだ申請はオープンにはしていません。
【安浦主査】 そうですね。だから、その辺がもう少し、今、梅谷委員がおっしゃったような御意見を参考にしていただいて、しっかり決めて今後進めていただくようにお願いいたします。
【宅間室長】 はい、承知いたしました。
【安浦主査】 それでは、中川委員、どうぞ。
【中川委員】 中川です。今のお話で、料金の細かいところは議論中ということで、民間のクラウドに比べてどうかというと、この「富岳」のノードと全く同じものがないのでなかなか難しいのではないかとちょっと思うのですが、私の質問というか、提案は、そもそも料金の設定の考え方です。資料を見ますと、ボリュームディスカウント、要はヘビーユーザに対して優しいという考え方で料金が設定されているように思います。
ただ、やっぱり最初の年、2021年度とかに関してはお試し、金額でいうと、例えば、5万円とか数万円クラスだけれども、本当に使えるかというのを試すという、要は初心者向けみたいなところの入り口を設けていただくほうがいいのではないかなと思います。理由はさっきも言いましたように、名古屋大とかは別ですけれども、商用のクラウドで、「富岳」と全く同じようなノードというのはない、ネットワークも特性も違いますので、ちょっと試してみるという、例えば閑散期でもいいと思うのですが、無償とは言わないですが、従量課金で1.5倍っていわれると、初心者にちょっと優しくないというふうな考え方のように見えますので、小規模の初心者向けみたいな、お試しユーザに向けたキャンペーンでもいいと思うのですが、短期間でもいいと思うのですけれども、使えるようなディスカウント、そういう設定というのができないのかなとちょっと思いました。
産業系のユーザの場合には、予算をもって使うとか、先ほどの効果を公表しない場合、成果を公表しないような場合というと、予算取りとかにも結構時間がかかりますので、お試しというのができると非常にありがたいなという、そういう視点からの提案になります。よろしくお願いします。
【安浦主査】 ありがとうございます。文科省と理研のほうで、今の御意見を参考にして進めていただくということでよろしいですか。今ここで御発言ありますか、新田さんのほうから。宅間さんでもいいですけど。
【宅間室長】 お試し利用という点では、例えば、成果公開であれば、無償で小規模のお試し利用に近いことを産業利用でもやっていただける枠は用意してございます。ただ、委員御指摘は、有償で、かつ今の小規模利用を促すという点なのかなというふうに思いますので、また、理研、RISTの議論でその点も踏まえて詰めてまいりたいと思います。
【安浦主査】 よろしくお願いします。
【中川委員】 よろしくお願いします。
【安浦主査】 それでは、喜連川先生、どうぞ。
【喜連川委員】 未公開にして有償にするというのは非常に大人の判断で、こういう施策というのはやっぱり国益上重要ではないかと個人的には思いますが、そもそも「京」でもやったわけですよね。その評判といいますか、フィードバックというのがどうなのかというか、経験を踏まえてこうしますというレポートをしていただいたほうが聞いているほうはとても分かりやすいのではないかなと思います。予定したクオーターに全然達しないのか、ニーズのほうが圧倒的に多いのか、その辺の情報をいただければと思います。
以上です。
【安浦主査】 ありがとうございました。宅間室長、「京」での運用報告、最終報告には、この辺はあまり出てこなかったですよね。
【宅間室長】 はい。有償の実績といたしましては、これまで「京」の7年間の有償利用の運用の中で、累計4億程度の実績があったというのは「京」の事後評価の中でも一部取り上げているところではございました。考え方として、今、理研で御説明された資料の2ページ目のところに、7月にこの委員会でも御審議いただいた「富岳」利活用促進の基本方針が抜粋されてございますけれども、そこの産業利用のところに、「京」でもこういうことをやってきたのですけれども、一方で、産業界からは、「京」の利用に係るハードルとして、こういう御意見をいただいているというようなことを挙げておりまして、例えば、手続が困難だとか、利用報告書の提出もないようなものにしたいというお声を頂戴いたしました。今、御指摘いただいたフィードバックというのは、大きくまとめるとこんなような御意見を産業界からいただいたというところでございます。こうしたところを少し改善しつつ、「富岳」の利用料金制度というものを今検討させていただいているところでございます。
【安浦主査】 喜連川委員、よろしいですか。最終的に料金体系を決めるときには、透明性を持って、「京」のことも、その裏づけに使った形で説明できるようにはしたいと思いますけれども、そういう方針でやってもらうということでよろしいでしょうか。
【喜連川委員】 要するに、どれぐらい産業界にとって魅力的なのかどうかという、その印象感を教えていただきたいというのがポイントなのですけれども。
使いにくいコメントに対しては使いやすくするのは当たり前で、枠よりもたくさんのニーズがあったのか、たった数億ですからね、これ、1,200億かけているわけですから。あんまり予算感覚で、これでもうけるって話は全くないと思うのですが、その辺はいかがですか。
【宅間室長】 そうですね。よかった人からのよかったという意見を、今、私のほうで説明できる用意がないのですが、数字的なことも申すと、先ほど申したように、7年間の運用において、4.9億の利用があったと。ただ、それが応募に対してどれくらいの競争があったのかとか、そういったところについては、今答えられる状況にないというところでございます。ちょっと確認したいと思います。
【喜連川委員】 それが一番重要なので。
【安浦主査】 そうですね。
【喜連川委員】 ニーズもないようなところに対して丁寧な議論をしていてもしようがないわけですから、すごいニーズがあるのだったら、それを共用法の制限の中で、どういうプライバタイゼーションするかとかという話になるわけですが、環境状況が一番重要ですので、それなしに議論しているのはえらいむなしい気がしますので。もうこれ以上言っていてもしようがないので、以上です。
【安浦主査】 その辺の資料、またこれを正式に決める、これは次期になると思いますけれども、次期の委員会で説明をしていただくようにお願いいたします。
【宅間室長】 はい。
【安浦主査】 RIST側でもどれくらい受け付けて、集めるのに苦労したのか、いっぱい来過ぎて選ぶのに苦労したのかというのは、RISTさんのほうであったのではないかと思いますので、そういうことも含めて整理していただきたいと思います。
【橋爪参事官】 文科省でございます。御指摘いろいろありがとうございます。潜在ニーズまで捉えられるかどうかというのがなかなか難しい課題ではありますけれども、まずはファクトの整理をして、どういったことになるかということを考えてみたいと思います。
【安浦主査】 よろしくお願いいたします。喜連川先生、ありがとうございます。

議題2:「富岳」Society 5.0推進枠の運用について
資料2について事務局から説明があった。質疑は以下のとおり。

【安浦主査】 伊藤宏幸委員、お願いします。
【伊藤(宏)委員】 少し質問させていただきたいのですが、やはり気になるのは、先ほどマル5の次の要件ということで、3年後の社会実装であるとか、モデル的な実証を含むと書いてありますが、サイバー空間の中で何かをやろうとして、それは恐らく企業なり、当該の自治体が考えることだと思うのですが、それをフィジカル空間と結びつけた途端に、特区でもない限り、法令とか規制によって、結局実現できませんとか、実証できませんということになりかねないと思うんですね。そうすると少し、実は私は審査とか、プレ審査、本審査、この考え方は分かるのですが、こういうことをやるならここですよとか、何かこういったことをサジェスチョンする、例えば他省庁の方々のコメントが入らないと、到底できないのではないかなと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
【宅間室長】 文科省でございます。御指摘ありがとうございます。プレ審査のところでは、まず推進ワーキングの委員の先生からの御助言というのを第一に考えておりましたが、例えば文科省のほうからの気づきの点というのも課題にフィードバックするというようなことも想定しておりました。他省庁の審査の過程への参画というのは、現時点で何か決まっていることはないのですが、御指摘はごもっともだと思いますので、どういう形で協力いただけるか、ちょっとこれから相談するという形になりますけれども、そういったことができるように少し考えていければと思います。
【伊藤(宏)委員】 よろしくお願いいたします。
【安浦主査】 ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。
3年ですので、急にゼロからスタートするなんていうのはまず無理ですので、結構走っているプロジェクトがあって、今、伊藤委員からもお話がありましたように、そういう規制の問題とか何かも大体めどがつき始めていて、それを一気に思い切って大きなモデルでやってみようとか、そういった類いのものが一番効果的に「富岳」の力を早く世界に知らしめることにもつながりますし、Society 5.0の国家目標に対して貢献することにもなるのではないかと考えてはおります。
ほかに何かございますでしょうか。
それでは、今、伊藤委員からいただきました御意見等も踏まえまして、具体的には、他省庁といっても内閣府の御協力をいただかないと動かない話になるのではないかと思いますので、そういうことも含めて文科省のほうからアプローチしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【宅間室長】 承知いたしました。

議題3:「富岳」高度化・利用拡大枠の取り組み内容について
資料3について理化学研究所松岡センター長より説明があった。質疑は以下のとおり。

【安浦主査】 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見をお受けしたいと思います。よろしくお願いします。
まず私のほうから二、三お伺いしたいのですが、この枠としての高度化・利用拡大枠という、この枠をどう使うかというのは、かなりこれは国の戦略的な問題になってくると思うのですが、クラウド利用の話とか、統合化の話とか、この辺りは明らかに高度化・利用拡大のために、ある意味で「富岳」の利用サービスを広げるための努力として理研さんがやられるという意味合いからは非常に自然だと思うんです。例えば次世代のネクストジェネレーション、これは一般利用でほかの研究チームがやってもいいことかもしれないし、あるいは最初のほうに言われた、Society 5.0は、先ほどSociety 5.0枠という時間制限の厳しいものがありましたけれども、もうちょっと一般利用枠の中でそういうことをやられてもいいわけですよね、ほかの組織が。そういったものと理研がこの枠を使ってやるというところの切り分けというのをどういう発想でお考えなのかというのをちょっと教えていただきたいんですけれども。
【松岡センター長】 我々が比較できる研究所というのは、世界的にもトップのスーパーコンピュータを擁するトップの研究機関だと思うんです。例えばDOEの各研究所だとか、ヨーロッパだとユーリッヒ、スパコンセンターがあります。大体我々と同じぐらいの規模か、少し向こうのほうが大きかったりしますけれども、同じような規模のマシンを保有し、同じような研究レベルになっております。
その中では、我々は先ほどの図で申し上げたように高度化研究というのを行って、ほかの分野代表として、まさにそれぞれの分野を推進していくための橋頭堡としての役割を果たす。例えば今、量子コンピュータといえば、我々はその量子シミュレーターをいろいろ開発しておりまして、それは別に我々だけが使うのではなくて、いろんな量子コンピュータの研究者の方々に「富岳」上で使えるように提供していく。そのようなことが一種の高度化につながるということで当然行っていたのですが、しかしながら、じゃ、我々はただ単に作り手だけで、我々自身がそういう研究はやらないかというと、それをやっていると二流になってしまうわけです。やはりそういうところはそれらのセンターでも、自分たちもやっているけれども、ほかの人たちと連携できて、プラットフォームとして提供できるように両方のミッションを果たしていくというのが一番大事だということになっていて、そのような観点からは、我々の中の研究チーム、例えば我々の中でも柚木チームだとか伊藤チームだとか、そういうそれぞれの分野でエキスパティーズを持っているチームが研究を行いながら、高度化研究という枠組みと自分たちの研究というのをうまく利用しながら、我が国のいろんな研究チーム、それぞれの分野を代表して、それぞれの分野がそれらの成果も活用して、全体の「富岳」の機能を高めていくということを基本的には目指しております。
その辺り、英語で、自分で自分のドッグフードを食べるという言い方がありますけれども、自分で研究して自分でいいと思ったものじゃないと、やっぱりほかの人に使わせても使い物にならないわけです。ですので、最先端の研究をすることでほかの方々に最先端の機能を提供するというのが我々のミッションというふうに思っております。
【安浦主査】 ありがとうございます。ですから、ある意味で利用のノウハウも含めて橋頭堡的な使い方をして、よりその分野の一般ユーザの利用を広げていくという、そういう理解でよろしいわけですかね。
【松岡センター長】 はい。実際様々なアプリケーション分野の研究者は、ただ単に自分たちで研究して論文を書くだけではなくて、やはり、例えば量子計算、量子化学の計算のNTChem、これは世界で一番スケールする、大規模に量子化学計算ができるソフトウェアの1つですけれども、それをちゃんと外部に提供するとか、それらをさらに工夫したり、トレーニングをしたり、チュートリアルをつくったりとか、そういう努力ももちろんしております。ですので、研究を通じて出てきたサービスをさらに「富岳」だけじゃなくてほかのスパコンでも使えるようにしておりますが、そのような非常に混合したミッションを行うというのが大事で、それは実はどの世界のトップセンターも行っているというふうに自覚しております。
【安浦主査】 それでは、まさに量子コンピューティングの御専門の伊藤公平先生が手を挙げていらっしゃいますので、伊藤先生、お願いします。
【伊藤(公)委員】 よろしくお願いします。伊藤公平です。すばらしい発表をありがとうございました。
私はもともと物性の人ですので、そういう意味ではHPCIにおけるコンバージェンスの科学的探求といった第一原理計算、また、もともと物理の天体研究とかにも実験で関わっていたので、そういうことに対して科学的探求をする、そこにAIも上手に組み合わせていくというのは、これで何か出てくるのではないかということを本当に予感させる分野なので、まずそういう意味で、基礎科学のそちらのほうを一生懸命最先端で進めていただけるということを非常にうれしく思います。ですので、これは「富岳」を使った基礎研究の推進という意味で、今、化学のこともおっしゃっていましたけれども、非常に楽しみにしています。
同時に、「富岳」を使った次のポスト「富岳」の開発、研究というのが恐らく、それはイコール量子では全くなくて、「富岳」の次をつくるという意味で量子がどうやって入ってくるかとか、ニューロモーフィックがどうやって入ってくる可能性があるかとか、また、FPGAのクラスターをどうやって活用していくかということがいろいろと入ってくると思うのですが、そこに計算機科学の中堅、若手の方々が積極的に関わっているというのが非常に私は重要だと思っていて、これに「富岳」を使うというのは重要だと思っています。
というのは、結局量子コンピュータにしても、使えるものになるかどうかというのは、今のスパコンをつくっていらっしゃる中堅や若手の方たちが量子コンピュータ、ニューロモーフィックのことを理解して、それによって初めて次のポスト「富岳」、またはポストポスト「富岳」で、今ここで量子を入れるんだということが世界に先駆けて判断できるようになると思うんです。ですから、そういう意味で量子が使えるようになるか、使えないのかということも含めて親和性を知るという意味で、このような計算機のための計算を進める、これを中堅、若手の方々が進めてくださるというのは非常に重要だと思います。
そういう意味で、今、安浦先生がおっしゃったみたいに、ただ理研で行うのではなくて、そこのネクスト「富岳」、またはネクストネクスト「富岳」をつくる方々がこれに参加するような1つの夢を持ったプロジェクトができていって、それによって、ポスト、またはポストポスト「富岳」が全く新しい形で、世界が驚くような形でできていくとうれしいなと思っているのが私の感想でございます。
以上でございます。
【安浦主査】 松岡先生、いかがでしょうか。
【松岡センター長】 次のマシンはどうなるかというのは、ここで発言するというのはあまりよくないので控えさせていただきますけれども、ただ、全く伊藤先生のおっしゃるように、先ほどの図で示したように、やはりそれぞれのチームというのは分野の橋頭堡なわけです。ですので、それぞれのチーム、常に私の立場として心がけているのは、要するにただ単にアイソレートしたものじゃなくて、さらに世界とコラボレーションして、まさにその分野代表として、しかしほかの人たちと一緒にやっていくというところを強調しています。
その点で、先ほど量子と言いましたが、例えば量子コンピュータ、非常に物理的なことを言えば、今の「富岳」が、量子コンピュータが入るかどうかは別として、量子コンピュータを少なくともシミュレーションしていくということが一番大事なんですけれども、量子コンピュータをシミュレーションしていくのに本当に適したアーキテクチャーなのかどうかというのはまだ分からないんです。
特にこれは柚木さんとかとよく議論しているのですが、ちょっと専門的になって申し訳ないですが、例えばテンソルオペレーションを主体としたシミュレーションが今後主流となったという場合に、その場合はディープラーニングという意味でもテンソルオペレーションというのを構造化していかなきゃいけないのですが、それらのアーキテクチャー的な探求というのはまだ、NVIDIAとかは多少やっているんですが、まだまだ分からないことがいっぱいあるんです。そういうところを今の若手のすごく優秀な研究者ですけれども、そういうところとやっていって、それも含めて今の「富岳」を用いて進化させて、将来量子コンピュータに至る前段階としての非常に大規模な量子シミュレーションができるような、それがないと、やっぱりどういう量子コンピュータをつくっていいか分からないので、そういうところをカバーできるようなアーキテクチャーはどうであるか、そのような研究というのをさらに前段階として行っていくという辺りが高度化研究の1つの鍵になる。これは1つの例でございますけれども、そういうところに、まさに今、若手の人たちが全国から参画できるような体制というのをつくっていきたいというか、つくっているんですけれども、さらにそれを発展させていきたいと思っております。
【伊藤(公)委員】 ありがとうございます。そういう意味で、本当にこれも特に大切な人材育成だと思いますのでよろしくお願いいたします。
【松岡センター長】 承知しました。
【安浦主査】 松岡先生、次世代については、ちょっとコメントはしゃべりにくいので、大人の話し方をしていただきましてありがとうございます。
そういう意味で、いろいろな分野に対して、やはりノーベル賞級の仕事も生み出すマシンとして、この「富岳」が積極的に使われるように、まずはセンターとしては進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【松岡センター長】 当然ながら、何のためにこんなマシンをつくるのか、やっぱりそれはインパクトのある研究、ノーベル賞がいいのか、ないしは今回のコロナのように非常に社会的な影響をもたらすもの、それはいろいろ議論はあると思いますけれども、いろんな意味での社会へのインパクト、それを目指すことが我々のミッションでありまして、それはなかなかこれをやればということにはいかないですけれども、その辺りは、これは若手にもよく言っているのですが、やはりそういう場を醸成することによってサイエンスがサイエンスを呼ぶ、先ほどの例でありましたように、1つのことをやると、実はいろんな人たちが集まって、他の分野たちも集まってきて、「富岳」をプラットフォームとして使って、さらに画期的な成果、今までは想像しなかったような、例えば感染症の根本原理をもしかすると発見できるような研究を呼び込んでいく、そのようなプラットフォームに「富岳」がなるように心がけていきたいと思っています。
【安浦主査】 ありがとうございます。
喜連川先生から手が上がっていますので、喜連川先生、お願いします。
【喜連川委員】 どうもありがとうございました。ほかの領域を何となくHPCでブーストするというところはかなり丁寧に書かれていたと思うのですが、我々はやっぱり今の人材育成の話もいろいろ例示される中で、CSそのもののグランドチャレンジをここでこう規定して若い人に頑張っていただくというのも重要じゃないかなと思うのですが、それはこの資料だと何ページを見ればいいのでしょうか。
【松岡センター長】 そうですね。1つは、CSの大きなグランドチャレンジとしては、やっぱり項目の3番目とか4番目、2番目もある。例えば今、データと計算とAI、それの下支えとしては何らかの計算ですけれども、これがどのように基礎理論としてつながっていくかというのは非常に大きなグランドチャレンジだと見ています。
例えば今、AIも非常に、当然CSでやっていたのですが、AIがどのように世の中の現象というのをうまくモデル化できているのかというのは分からないことがいっぱいあるわけです。その辺り、AIPがそういう電子統計だとか、そちらに詳しい人は大分やってはいるのですが、さらにその先にそれがモデル化する何らかの物理現象というのがあるというのが最近彼らと議論しているところで分かってきているところで、それとの実測データというのはどういうふうにマージできるのか、どういうふうにうまく誘導できるのかというところがまず基礎理論として、新しい世の中の現象をCSから、計算という側面から捉えた基礎理論になると思います。
今度、じゃ、新しいマシンを、別に我々がつくるというのではなくて、一般論として新しいマシンをどうやってつくっていかなきゃいけないか、組み込みも含めてですけれども、そうなったときに、やはりまさにそのような計算というのをうまくサポートしていくというのが必要なことであります。決して何FLOPSがいいかとかいう話ではなくて、やっぱりそういう新しい計算パラダイムというのをサポートしていくためには例えばどういう計算機アーキテクチャーがいいのかというところが重要で、そういうのが若者に夢を与えると思うんです。同じようなことが、例えば量子なんかにも言えると。新しい計算パラダイムに関してどういうふうなマシンを用意すればいいのかというところも非常に大きなグランドチャレンジだと思っています。
ですので、私どもが喜連川先生と非常に同意するところの第1点は、やはりフラッグシップマシンというのがCSのグランドチャレンジ、まさに次世代の計算、情報、さらに計算を生んでいく、そのための大きなミッションを担っているんだというところが、やっぱり今まで認識が非常に低かったのを引き上げて、ほかの領域と同じぐらいである、ないしはそれ以上に大事なんだというところを本センターとしてはやっていきたいと思います。
【喜連川委員】 一歩一歩だと思いますけれども、その辺を少しずつブレークダウンできればと思っていて、今日なんかは例えば大石先生がこのメンバーとして御参加いただいているわけですけれども、今、やっぱりmachine learning enhanced simulationというんですか、結局もうこれ以上バーニングはできないので、どれだけ計算をサボるかというところにマシンラーニングの適用がかなり真剣に模索されているわけですけれども、そこで、じゃ、精度保証はどうするのかという話が一方であって、旧来の大石先生の数値計算としての精度云々とはまた全然次元の違う精度保証になってきますよね。何かそういうかちっとしたゴールみたいなのを共有しながら、先ほどの松岡先生が悪いと言っているわけではないのですが、その話はAIと物理現象のある種エンドレスな戦いみたいな話になるわけですけれども、殊計算精度だけでもいろいろ深いCSとしてのチャレンジは規定できるので、そういうところもやっぱり我々、自分たちの分野を発展させるというところ、ぜひもうちょっとハイライトしていくべきじゃないかなと個人的には思います。
【松岡センター長】 ハイライトしているつもりですけれども、本当はもっとCS的に深い話がいっぱいあるんですけれども、そういうのはおいおい整理していきたいと思うんですが、おっしゃるように、例えば精度を取ってもどのような、精度というか、どのぐらい誤差が許容できるかという、それに関してどのぐらい計算量が減る、ないしは精度要求に対する計算、要求が減って、それによって一番下のレイヤーがどのぐらいの、何ビットぐらいの精度があればいいのかとか、そういう話になって、それによってアーキテクチャーはどういう影響を受けるのか、そういうところまでいかなきゃいけないわけです。
なので、基礎理論からそういうところの実装まで持っていくというのがやっぱり非常に大事だとはもちろん思っておりまして、そういうところをただ単にアドホックにやっていると、この場合、このアプリケーションはこうだ、このアプリケーションはこうだとやるべきじゃなくて、やはりコンピュータというのは汎用なものですから、計算というのは汎用的なプラットフォームですから、そういうところをシミュレーションみたいな物理世界から学習、統計、そこからだんだん落ちてきて、アルゴリズムできるようになって、それが実際にシステムにつながっていくというところをちゃんと押さえていくというのは、全くそれはおっしゃるとおりだと思っております。その辺り、ちょっと今回の資料ではまだまだ深掘りはできていないのですが、個人的には喜連川先生のお考えと全然齟齬はないと。
【喜連川委員】 ぜひ応援しますから、頑張ってください。
【安浦主査】 あと、藤井先生と伊藤宏幸委員から手が上がっていますので、お願いします。
藤井先生、まずお願いします。
【藤井主査代理】 藤井です。今の話はとても面白くて、幾らでも議論ができそうですが、精度保証の話はデータサイエンス系のシミュレーションとか、それからマルチエージェントなんかもそうですけれども、結果を見て判断するしかない部分というのは精度保証が大変難しいですよね。ぜひそこはいろんな形で検討していただければいいなと今の議論を聞いていて思いました。
話をしたいのはそれではなくて、最初の安浦先生の質問にも関係するのですが、センターでやられている中で、計算の科学とか計算のための科学というのは割と皆さんに提供する部分だと思うのですが、計算による科学のところというのは、例えば利活用の課題がかぶるわけですよね。
【松岡センター長】 はい。そうです。
【藤井主査代理】 それから、一般の課題なども。先ほどSociety 5.0の話もありましたけど、そういうのともかぶる。そこで、例えば高度利用枠でしたっけ。
【松岡センター長】 はい。
【藤井主査代理】 例えばそこが使われちゃうと、公平性が心配だなという気がするのですが、そこは皆さん、しっかり切り分けるというか、うまくやられているのでしょうか。この議論は、実は宇川先生が副機構長だったときに結構議論したところなのですが。
【松岡センター長】 藤井先生の問題意識は非常に大事でして、ある側面では、これはどうしてもオーバーラップがあって仕方がない面があるのですが、ただし、ある面ではやっぱりきちんとした切り分けが必要なところはあります。特にその辺りは、私がセンター長になってから、非常にその辺りを理事、いろんな制度面、いろんな研究面側に様々な動きが出てくることについても、その辺りの切り分けというのをやっぱりはっきりしていく、させていくということを心がけておりまして。例えば一つのチームの研究においても、例えば先ほどの中嶋さんのやっているNTChemですけど、NTChemの研究開発につながるような話というのは、これは高度化枠でやっていいだろうと。その研究のパートナーシップなども共同研究をやる場合もちゃんとこれは大型研究に、これこれ、こういう形で寄与しますということを明示的に書いてもらうようにしています。
一方、では、それで新しい物質を探究すると。さらに、そのNTChemというものを使って、新しい物質を探究していくと。これは一般課題とか、その他の制度に応募して、やはりほかの人たちと同じような公平な審査を受けて、それによってアロケーションされる別枠の計算資源を使うべきなのですね。この辺りはかなりきちんと切り分けるようにしておりまして、その辺りはセンター内のレビューとか、センターの共同研究、MOUなどによって、様々な側面でそれを担保するような努力をしております。
【藤井主査代理】 はい。お願いしたいのは、一般の利用者から見て、何かこう、変に思われないために注意してぜひやっていただきたいということですね。国際評価のときにも申し上げましたけど、センターは非常によくやっていると私は思いますので。
【松岡センター長】 ありがとうございます。でも、本当に御指摘のようにやっぱり10%の枠というのは、これは高度化研究に行っている10%の枠というのは、あるいは金銭に換算すると物すごいものがある。我々はそのような責務を持っていると。ですので、そういうところはちゃんとしないと、一般課題のほかの研究者の方々で、「富岳」を純粋に利用する研究者の方々に対するきちんとした申し開きができるような体制が非常に大事だというのは常日頃行っております。
【藤井主査代理】 よろしくお願いします。あと、チームも弾力的にある程度時間がたって成熟したら大学のほうに移って新たなチームが立ち上がると、そういう姿があると本当はいい気がしますよね。これはここの議論ではないかもしれませんけど。
【松岡センター長】 はい。実際、チームとしては、新しくできているチーム、なくなってきているチームなどは実際ございます。なるべく、理研という組織はもともとそういうようなこと、やっぱりstate of the artの研究ができるような研究チームを各センターで組んでいる。センター自身も助っ人の役割ができるように反映していくというのが柔軟性の高い組織でありまして、それを活用して新たな領域に今後もチャレンジしていくということは行っております。
例えば、今回、創薬のチームを理研内から合流していきますけれども、創薬チームというのは、やっぱりただ単に創薬というテーマだけではなくて、「富岳」におけるAI等を含めた新領域で。
【藤井主査代理】 はい。そこは先ほどの説明でよく分かりました。
【松岡センター長】 ええ。それを心がけています。
【安浦主査】 ありがとうございます。伊藤宏幸委員から手が挙がっておりますので、伊藤委員、お願いします。
【伊藤(宏)委員】 少し違った観点から、質問というか、お願いなのですが、藤井先生がおっしゃることに少し関係しているのですが、IoTからフラッグシップに至るまで非常に階層的なプラズマを用いながら、そういうある種大きなシステムを考えておられると思うのですが、Society 5.0に不可欠だとはいえ、これがあるがゆえに、脆弱性を持つ可能性がありますよね。
そのときに、例えば平時から、いわゆる想定外と言われるような緊急時になったときに、限界的なシステム運用といいますか、こういったことについてもやはりどなたか検討するべきではないかと思うのですが、社会科学的かもしれませんが、こういったことについてはいかがでしょうか。
【松岡センター長】 例えば何かカタストロフィーが起きたと。
【伊藤(宏)委員】 そうですね。はい。
【松岡センター長】 これは単にクラウド、要するに、スパコンとして本当にダウン、非常にインフラとして非常に不可欠になっているところに、何らかのカタストロフィーが起きるということは、もちろん日常、それは起きないように検討、特に運用部分で検討しておりまして、いろんな、特に今回、一番大きかったのはコロナに関してそうですが、コロナ研究で「富岳」は有名になったのですが、でも、逆に、コロナがあったゆえに、物すごくオペレーションというのがチャレンジングだったんですね。いろんな会社などもシフトをいろいろ変えたりして、感染者が出たりしても、ちゃんとマネジメントができるようにやっているというのが最近常態化したのですが、本センターも「富岳」のオペレーションに関して、仮にオペレーターに感染者が出てもちゃんと「富岳」が回るように、そのような体制を組みました。
ですので、実際、発熱者が出たりとかそういう非常に、幸い感染者は出なかったのですが、発熱者が出て、一時的に隔離されたとかそういうことはあったのですが、その辺りはうまく切り抜けました。
でも、御指摘のように、じゃあ、我々は完璧かというと、もちろんそうではなくて、いろいろ経験値によって、ここはダウンしたらこうだというのは大分、例えば「京」の頃と比べれば大分ロバストなシステムにはなっていると思うのですが、セキュリティも含めて、イントゥルジョンを防ぐだとかそういうことを含めまして、常にその辺りは改善を尽力はしております。
先ほど申し上げたように、我々の研究チーム、30弱あると申しますが、その辺り、運用技術部門も5チーム。実際は4チームだったのですが、それを5つに増やしました。増やした一つの理由というのは、やはりそのような、おっしゃるような新しい使い方、新しいタイプの、より社会のITインフラとして普及していくというふうにどういうことをやっていかなきゃいけないということを、ただ単に「富岳」を運転するのではなくて、それをきちんと研究も兼ねて、最先端の研究を行っていくということで、チームを増やしたいということでございます。なかなか御指摘のことを100%やるというのは、ほかのどのクラウドオペレーターと一緒で、非常に困難な面もありますが、なるべくそれは尽力していきたいと思います。
【伊藤(宏)委員】 よろしくお願いいたします。
【松岡センター長】 さらに重要なことは、それを公示していくということを行っています。
【伊藤(宏)委員】 そうですね。Society 5.0の推進枠の中でも、交通インフラの物流だとか、国土強靱化だとか、スマートシティの話、先ほども述べられました。そういう話が入っていて、この核にそういったスーパーコンピュータなるものがあるということを、本当はロバストな方向に行かなきゃいけないのですが、これがゆえに脆弱性があるというようなことを懸念しているものですから。
【松岡センター長】 そうですね。
【伊藤(宏)委員】 オペレーション側のほうは十分やっていただいていると思うのですが。
【松岡センター長】 はい。先ほどシミュレーションでSociety 5.0をやっていくことに関しても、一つの自覚がございまして、やはりどういうふうなワーストケースが起きるのかというのは、実際の社会インフラで試したらとんでもないことになる。
【伊藤(宏)委員】 そうですよね。
【松岡センター長】 ですので、やはりSociety 5.0の実装、だから、私は3年というのはちょっと早過ぎるのではないかなということを思うわけですけれども、むしろそういうところをエクストリームなケースというのを実際にシミュレーションで実績として、それに対する波及というものをいろいろ検証した上で実装していく。そういう慎重なものがありまして、それをまさに、シミュレーション・ファーストで行っていくのが今後大事だというふうには思っております。全くおっしゃるとおりだと思います。
【伊藤(宏)委員】 ありがとうございました。
【安浦主査】 どうもありがとうございました。
まだ、議論あるかもしれませんけども、時間の関係もございますので、さらに、御質問や御意見等がございましたら、事務局のほうにメールでお寄せいただきましたら、いただいた御意見をまとめまして、事務局から理研のほうにお伝えいただくようにお願いしたいと思います。
松岡センター長、いろいろ、非常に大きなビッグピクチャーを書いていただいて、いろいろ細かい御配慮までしていただいておりますけども、委員からのそれぞれの御意見も踏まえながら、さらに検討を進めていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
【松岡センター長】 承知いたしました。どうもありがとうございました。
【安浦主査】 どうもありがとうございました。

議題4:その他
前回のHPCI計画推進委員会で審議を行った「京」の運営の事後評価、HPCIの運営の中間評価、ポスト「京」で取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発の事後評価について2月3日の情報委員会において審議が行われ、いただいた修正意見の反映を進めているところであること、今後研究計画評価分科会で審議が行われ、最終的に確定した評価票は来期のHPCI計画推進委員会で報告することを事務局から説明した。続いて、資料4について事務局から説明があった。質疑は以下のとおり。

【安浦主査】 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明につきまして、何か御質問ございますでしょうか。
何かこのスケジュール等について、皆さんからございますか。
これは開発の時期、開発の中でどういう開発結果というのが、このスケジュール感では出てくるのですかね。
松岡先生の目から見て、もう結構動いて、いろんな使い方がなされたようなレベルのものが、こんなスケジュールで出てくると思われますか?
【松岡センター長】 事実関係を申し上げますと、今、プリプロダクションの段階で、「富岳」では大体、約七、八十課題ぐらいがプリプロダクションの中で動いておりました。コロナとか、あと、成果創出、さらにRISTがやっている試行的利用で第1フェーズ。HPCIのアロケーションの第1フェーズでは、一般課題で70、80課題くらいの応募があって、七十数課題がたしか通ったというふうに記憶しております。さらに、これから産業利用や、若手の利用枠で、この課題数というのは増えていくというふうには予定しております。
今のところ、数字としてはそういう感じになっておりまして。共用開始といっても、もう実はかなりいろんなものは動いているんですよね。ゴードン・ベルも受賞は逃しましたけど、ファイナリストに2つなって、今は新しいゴードン・ベル賞のエントリーは、今のところかなりの数の課題が、応募数等がプログラムを組んでいます。
【安浦主査】 とにかく5月に理研さんからの自己評価が出てこないと進められませんので、よろしくお願いいたします。
【松岡センター長】 はい。5月段階で、いろんなアプリケーションが、ターゲットアプリケーションを含めて、どのくらいの性能が出て、どのくらい電力を使っているか、そういうところも全て計測しておりますので、その辺の開発に関しての様々なメトリックというのは5月段階では既に出てきて、さらに運用の、今まで事前運用を含んでどういうふうに枠、運用に移行したかという辺りの知見も5月には出せるものというふうに思っております。
【安浦主査】 よろしくお願いいたします。
【松岡センター長】 はい。承知しました。

安浦主査より今期の議事についてのまとめがあった後、杉野研究振興局長より御礼の挨拶があった。

安浦主査より閉会を宣言。


 

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