HPCI計画推進委員会(第45回) 議事要旨

1.日時

令和2年12月9日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

伊藤(公)委員,伊藤(宏)委員,上田委員,梅谷委員,大石委員,小柳委員,喜連川委員,小林委員,田浦委員,土井委員,中川委員,藤井主査代理,安浦主査

文部科学省

杉野局長,塩崎審議官,橋爪参事官,宅間室長,西川補佐,太田専門職

オブザーバー

(理化学研究所計算科学研究センター) 松岡センター長,松尾副センター長
(高度情報科学技術研究機構) 高津常務理事,森センター長
(日本学術振興会世界トップレベル拠点形成推進センター) 宇川センター長
 

4.議事要旨

冒頭、事業評価の審議にあたっての利害関係者の範囲について確認し、議題3については小柳委員、喜連川委員、田浦委員、議題4については小柳委員、議題5については藤井委員が利害関係者に当たることを確認し、当該議題での発言を控えていただくよう主査から指示があった。その後、松岡センター長よりスーパーコンピュータ「富岳」がスパコンランキングにおいて2期連続の4冠を達成したことについてコメントがあった。

議題1:「富岳」課題推進ワーキンググループの設置について
資料1に基づいて事務局より説明を行った。質疑は特になく、「富岳」課題推進ワーキンググループの設置が承認された。

議題2:「富岳」政策対応枠とSociety5.0推進枠の運用について
資料2に基づいて事務局より説明を行った。「富岳」政策対応枠の運用については特に質疑はなかった。Society5.0推進枠についての質疑は以下のとおり。
【安浦主査】 Society5.0は、今の第5期の科学技術基本計画の中心的な柱になっているわけですが、第6期も同じような名前で進められる、あるいは、そこで名前を変えられたら、また、そのときに対応を変えるという認識でよろしいでしょうか。
【宅間室長】 事務局でございます。6期の内容については、具体的にはまだ検討中の状況ですので、どういう形で入るかというのは今の時点では分からないですけれども、引き続き、こうした概念は重要な位置づけになっていくのではないかと思っております。
【安浦主査】 ありがとうございます。小柳先生、どうぞ。
【小柳委員】 小柳です。このSociety5.0枠の選考については、既に何かアイデアがございますでしょうか。従来の、例えばコンソーシアムの枠などですと、普通の課題申請の中の産業利用で審査しておりましたけれども、それについては、どのようにするお考えでしょうか。
【宅間室長】 先ほどの議題で御審議いただきましたように「富岳」課題推進ワーキンググループを、この委員会の下部組織として設置をさせていただきますけれども、そちらにおきまして、このSociety5.0推進枠についても、その内容のレビューなどをお願いするということを考えております。
【小柳委員】 ありがとうございます。
【安浦主査】 藤井先生、お願いします。
【藤井主査代理】 今、小柳先生が言われたことも関係しますが、Society5.0推進枠です。基本的な考え方はいいと思うのですが、ちょっと気になるのが、どういう要件で、認める認めないを決めるかということだと思います。
例えば、SIPというのが1つ例に出ていましたが、参画されている大学の先生方は、一般課題と同じような方だったりしますよね。そうすると、気をつけないとこの枠を抜け道だというふうに外からも捉えられますし、実際にもそういうふうになってはいけないと思うのです。まず、先ほどのワーキンググループでやるのかもしれませんが、どういう要件でこれを審査するか、例えばこの条件を満たしたらというあたりを明確にしていただきたいというのが1つです。その意味で、個人的にはハードルは多少高くてもいいかなとは感じております。
以上です。
【安浦主査】 藤井先生、ありがとうございます。どうぞ。
【宅間室長】 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。審査の基準みたいなものは、これから具体化をして、まさに課題推進ワーキンググループのほうで御了解をいただき、それにのっとってやるかと思っております。基本的な考え方は、今、御審議いただいているこの中で、そこをさらに具体化するという作業を今後することになるかと考えておりました。
【安浦主査】 藤井先生の御指摘のところは十分に気をつけて、ワーキングのほうで御検討いただいて、必要であれば、この委員会で報告していただくということでよろしいでしょうか。藤井先生、そういう扱いでよろしいですか。
【藤井主査代理】 もちろん、結構でございます。よろしくお願いします。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。そのほか何かございますでしょうか。
【伊藤(宏)委員】 このSociety5.0推進枠の運用の考え方(案)、マル2のページというのは、これはアンドのつもりで3つ書いておられるのですね。
【宅間室長】 はい、そのつもりです。
【伊藤(宏)委員】 ですよね。まず、産業界というのが、最初のページには、例えば産業界のコンソーシアム、産学連携などの利用を想定というふうになって出てきたはずですが、これは1社で成立するのかということも委員会で決めろということ、ワーキンググループで決めろということでしょうか。
【宅間室長】 1社かコンソーシアムかということでしょうか。
【伊藤(宏)委員】 はい、そういうことですね。
【宅間室長】 そこは事務局としてはどちらでもいいかなとは思っておりますけれども、恐らくコンソーシアムのようなものの提案が多いのかなというふうには想定していました。
【伊藤(宏)委員】 もう一つは、最後の質問ですが、3番目のところに、「富岳」の新しい利用形態として、「富岳」クラウド等の活用などというふうに書いてありますが、この利用形態で、今、試行中のはずなので、例えばこういうものも、もしくはアンドだとしたら、必然性と、もう一つは実現性のチェックが必要だと思うのですね。この辺りに、専門家というのがどのぐらい参画していただけるのだろうかということをちょっと疑問に思いました。
【宅間室長】 事務局でございます。ありがとうございます。そういったところも審査していただけるような体制を、これから検討をしたいと思います。
【伊藤(宏)委員】 分かりました。ありがとうございます。
【安浦主査】 次、土井委員のほうから手が挙がっていますが、よろしくお願いします。
【土井委員】 どうも御説明ありがとうございます。今までの質問の続きになるのですが、マル2とマル3で産官学連携と書かれているのですが、これはいつでも応募できるのかということと、あと、社会実装のコミットメントを求められているというと、やっぱり何年分という形、何年後ということを想定してやるのか、その辺りのスケール感が分からないので、これから審議するという話であれば、全て曖昧なまま、全部、今度の分科会に投げるみたいな感じもするので、一応教えていただければと思います。
【宅間室長】 事務局でございます。よろしいでしょうか。
【安浦主査】 どうぞ。
【宅間室長】 こちらのSociety5.0推進枠につきましては、早期の社会実装を見据えるという前提にしていますので、何年後というところ、今、この時点で何年というふうにお答えできる準備が整っていませんけれども、短期で社会実装ということを想定した枠になるのかなと思っております。
先ほど、藤井委員の御指摘にもありましたけれども、少しハードルの高いような要件で、この枠は運用していくのかなと思っております。あまりたくさんの一般公募を受けるようなイメージではなくて、これという取組を幾つか厳選して実施をするようなイメージを持っております。それに即した運用というのをこれから詰めていきたいと思います。
【土井委員】 分かりました。ありがとうございます。
【安浦主査】 それでは、梅谷委員、お願いします。
【梅谷委員】 梅谷です。結局、コンソーシアム枠というのはなくなってしまうのでしょうか。
【宅間室長】 事務局でございます。今、御指摘いただいたものは、RISTのほうで産業利用の枠の中で公募しているところにあるコンソーシアム枠だと思います。それはそのまま存続をいたします。こちらは、それだけでなくて、Society5.0に資するということをさらに強調したような課題を別途採択することを想定しております。
【梅谷委員】 その意味では、産業界というか、企業としては個社でやるほうがやりやすいわけですけれども、いわゆる社会に貢献するとか、実際に成果を公開するとかということであれば、やっぱりコンソーシアムでやるというほうがやりやすいので、実施はしにくいですけれども成果が得られやすいので、そういう集団でやるコンソーシアム枠みたいなのを促進するような施策があってもいいのではないかと思いますが、そこら辺はいかがでしょうか。
【宅間室長】 事務局のほうで、コンソーシアムでなければいけないとか、個社ではいけないとかというところを決めなくてもいいのかなと、今の時点では思っておりましたが、今日の御意見を踏まえて、そこを少し検討させていただければと思います。
実際提案が上がってくるものはコンソーシアム型のようなものが多いかなとは想定しておりましたが、そこの限定をかけるというのは、今の時点では考えておりませんでした。今日の御意見を踏まえて、少し再考したいと思います。
【梅谷委員】 よろしくお願いします。
【安浦主査】 よろしくお願いします。あと、中川委員、産業界側から、いろいろ意見があるみたいで、どうぞ。
【中川委員】 日立の中川でございます。この産業枠とは別に、Society5.0推進のために枠が設けられるというのは、新たな機会が与えられるということで、産業系にとってはありがたいとは思いますが、常に産業系の利用で問題になるのが成果の公表でありますとか、あるいは、必ず、例えば新しい計算機の利用というのが3つ目の条件に書いてございますが、そういったところの知財に関するようなところも公表しなくてはいけないのかとか、あるいは、事後評価、実際にSociety5.0に本当に貢献したかどうかというのは、どういうふうに把握されるのかとか、そういったところが参加する手前で、やはり非常に気になるところでございます。これについてはどうでしょうか。
【宅間室長】 今の時点で、具体的な運用まで考えが十分整っているわけではないですが、いただいたような御意見を踏まえて、次回もう一度、この委員会で御審議をいただくので、そのときまでにもう少し詰められたらと思っております。
【中川委員】 今後、詳細を決定していくということでございますね。よろしくお願いします。
【安浦主査】 産業界側から、いろいろな御意見をいただきました。本件につきましては、次回もう一度、今日いただいた御意見なども反映して、何もかもワーキングに投げるのではなくて、ある程度、この委員会で大枠を決めておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本件はこれにて終わりたいと思います。また、議論の後で思いつかれたこととか、こういう点も注意すべきという御意見がございましたら、事務局にメールで御意見をお寄せいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

「富岳」政策対応枠の運用については承認、Society5.0推進枠の運用については次回に継続審議となった。

議題3:「HPCIの運営」に係る中間評価票について
資料3-1、資料3-2に基づいて事務局より説明を行った。質疑は以下のとおり。
【土井委員】 どうも御説明ありがとうございます。今、修正をいただいたところで若干気になるところがあるので教えていただきたいのですけれども、7ページのところで、具体的な例を挙げていただいて、これはいいと思うのですが、ちょっと日本語としてよく分からないのが、物理分野の自転車レースにおける最適な位置取りをシミュレーションにより明らかにとなっておりますが、明らかにしたら何がよくなったのかというのがこれだと分からないですけれども、その次の自動車の隊列走行というのは、この自転車レースとは別の話ですよね。だから、これが明らかになって自転車レースで実際に使われるようになったのかどうかということが書いていないと、ちょっとこの重要性が分からないというのが1点目です。
2点目は、工学・ものづくりのところで、このフィラー充填ゴムと書いていただいていて、これはこれでいいのですが、でも、これが実際に何に使われているかというのが、自動車のタイヤですけれども、それによって、例えば省エネになったとか、何に貢献したかというのも書いていただかないと、先ほどのSociety5.0へのという話にもつながるのですが、社会へのインパクトが分からないので、その辺りをもう少し追加していただけるといいかなと思います。よろしくお願いします。
【安浦主査】 事務局、いかがですか。
【宅間室長】 ありがとうございます。自転車レースのところは、参考資料の委員限りでお配りしたもののほうに少し内容がありますが、空気抵抗を効率的に計算できる新しい計算手法を開発したというのがこの研究自体の成果でございまして、この内容が、例えば、自動車の隊列走行における輸送の省エネ化などにもつながると期待されるというもので、別のものというか、こういうところに応用が期待されるという、もともとの意味はそういうものでした。ちょっと分かりづらかったところは文章を修正することで対応できればと思います。
あと、2点目のタイヤのほうですけれども、御指摘の点を踏まえて、少し直せるところがあるかどうか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
【土井委員】 よろしくお願いいたします。
【安浦主査】 土井委員、どうもありがとうございます。この辺ちょっと学術的に本質なことをちゃんと書いて、それが応用としてどういうふうに使われるという書きぶりに統一したいと思います。
【土井委員】 よろしくお願いいたします。
【安浦主査】 そのほか、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今、土井委員からいただきました御意見等も踏まえまして修正した上で、了承されたものとしたいと思います。修正案につきましては、主査一任にしていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。藤井先生、何かございますか。
【藤井主査代理】 主査一任に賛成ですから、それで結構です。
ちょっと1つだけ改めて確認させていただいていいですか。
【安浦主査】 どうぞ。
【藤井主査代理】 最初の3の1に関係するところですけれども、HPCIの運用という施策の中で、利用者支援とか成果公開については、「京」の利用者成果なども含むと私は理解していたのですが、そうではないのですね。システムの利用とか、システムを利用した成果のところは、第二階層に限定しちゃうと思いますが、利用者のサポートとか認証システムとか、そういうところは、フラッグシップであるとか、フラッグシップでないとかいうのは実際には関係なく全体でやられていたような気がします。私が勘違いしていたらいけないので確認させていただきたいと思います。
【宅間室長】 事務局でございます。確かに、申請システムまた認証システムは、フラッグシップも含めてHPCIの運営のほうで実施をしているものでございます。一方で、利用者支援とかというところでは、非常に不可分なので実態上からすると説明は難しいのですが、予算的には、「京」の運用のほうで登録機関としてのRISTの業務として実施をしている部分がございますので、そういう意味では、そこは切り分けられています
【藤井主査代理】 分かりました。文章上は特に問題なく、うまく書かれているのでいいと思いましたが、自分の認識が間違っているといけないので確認させていただいた次第です。よろしくお願いします。
【安浦主査】 藤井先生、どうもありがとうございました。御注意いただいたところは、十分に誤解のないように、もう一度、事務局と詰めたいと思います。ありがとうございます。ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは、この案件はこれでお認めいただいたことにしたいと思います。

議題4:「京の運営」に係る事後評価票について
資料4に基づいて事務局より説明を行った。質疑は以下のとおり。
【土井委員】 どうも御説明ありがとうございます。質問は2点ありまして、今のところの5ページに「京」の利用者が11,000人でしたっけ?
【宅間室長】 はい。
【土井委員】 と書いていただいているのですが、先ほどのHPCIのところでは、「京」を含めて、たしか約7,000人となっていて、「京」が11,000人だったら、さっきのほうはもっと多くないといけないのではないかと思ったのですが。というのが1点目です。
あともう一点は、10ページにROIと書いてあるのですが、ROIに物すごく大きな金額が書いてありますが、そもそもROIは率なので金額ではないですよね。投資に対してのリターンなので。あと、この1兆2,384億円って、これがリターンだとすると、どういう根拠でこんな大きな金額が出ているのでしょうか。普通ROIってなかなか1以上になるところは少ないのですけれども、2点教えてください。
【宅間室長】 事務局でございます。利用者人数のところ、すいません、11,000というのが延べ人数でございまして、7,000というのが延べでない人数でございました。どちらかに統一するべきだったと思います。そういう意味で数字がずれております。失礼いたしました。
それから、すいません、2つ目のROIの書き方のところですけれども、こちらは理研からHyperion社に委託されて実施された調査で、参考資料のほうにも少し入れさせていただいております。
【西川補佐】 事務局、西川でございます。参考資料5-6、5-7として、「京」の波及効果調査ということで、Hyperion社のまとめた報告書を添付させていただいております。こちらを基にこの評価票も記載させていただきましたが、用語の使い方等が適切かどうかは再度確認させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【土井委員】 波及額がこの額というのは理解できますけれども、ROIというのはちょっと間違いですので、ありがとうございます。
【安浦主査】 土井委員、ありがとうございました。
ほかに何か御意見ございますでしょうか。
伊藤宏幸委員、どうぞ。
【伊藤(宏)委員】 伊藤でございます。7ページの有償利用の最初のポツのところですが、これがもう一つ分かりにくくなっていて、最終的には、最後の行の利用促進につなげるとともに、知的公共財として社会や国民に還元するとなっているわけで、その間に挟んである有償利用の意義は、これは公開をするのでややこしいことを言う人には有償利用にしたというふうに伝わっているのではないかということと、それはちょっと言い過ぎかもしれませんが、そうだとすると、運営費回収方式というのが、この書きぶりであるのでしたら、むしろ成果公開の課題に対して、これは、それもある意味では部分的にリソースを費やしていることになるので、むしろ排他的に成果公開型のものを排除している可能性があるので、このやり方だとおかしいという言い方を言いたいのか、ちょっとこの辺のニュアンスが分かりにくいです。
ちょっと説明していただけませんでしょうか。
【宅間室長】 事務局でございます。最初のポツのところでは、どういった場合に有償で使っていただくかという考え方を述べたものでございました。自己収入の努力というものが全般的に言われるところでございますので、適切な考え方を設定した上で、必要な部分からは利用料収入をきちんと得ながらやってきましたというつもりで書いておりまして、委員御指摘の、何か深い意味があってこういう順番で書いているわけではなく、事務局の考えとしては、基本的な考え方と、それに沿った中で適切な利用料収入もいただいてきましたということに尽きるところです。
【伊藤(宏)委員】 意図は分かるのですが、中ほどに「この施策は」と書いてあると、有償利用という施策がむしろ成果公開を導き出していると読み取られるのではないかと思うわけです。
【西川補佐】 承知いたしました。個別の文章の意図がそれぞれある中で並べてしまったことで、恐らく「この施策は」というつながりで誤解を生むのではないかという御指摘だと認識いたしましたので、文章を精査させていただきたいと思います。
【伊藤(宏)委員】 よろしくお願いいたします。
【安浦主査】 ほかに何かございますか。
喜連川先生、どうぞ。
【喜連川委員】 喜連川ですけれども、先ほど土井先生から御指摘があったところにも関連するのですが、自転車のやつとか、タイヤのやつとかいうのは、結局、それでどれだけ社会的インパクトがあったのかというような書き方にしたほうが国民にとって分かりやすいのではないのかという気が個人的にはするのですが、我々、文部科学省でいろんなプロジェクトをするときに、結局何なのだというようなことははっきりしなさいというのを過去、そういう経験も少なくなってきたのですけれども、そこはHPCIならではのという、これなくしてはできない、「京」なくしてはできないという記載があったほうが迫力が出るのではないかと思います。
確かに長くなるという懸念があるのかもしれないのですが、今後こういうプロジェクトを進めていくという意味では、そこの部分がある意味で一番のドライバーになるのは事実ですので、多くの有用な成果が出たとか何とかというのではなくて、定量的に何が分かって、何をどれぐらい社会を変えられるのかという、インパクト感がある文章を出していただけるとありがたいのと、「京」の成果で一番すごいのは何ですかと、科学で見たら何ですか、社会に向けては何ですかという2つぐらいは特出しで、メッセージ感をいろんなところで、我々はもう情報分野なのでそれを言いたいわけですので、そういうのをまとめていただけるとありがたいと思います。
以上です。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。特に「京」の場合は、有名な仕分のところで俎上に上がって、なぜ2番じゃいけないのですかというのに答えられなかったというのは人々の記憶に残っていますから、やっぱり1番だったからこんなことができたのだという事実を、今、喜連川先生がおっしゃったように、学術的に1つ、あるいは社会的な応用で1つ、これは「京」じゃないとやっぱりできなかったよねというのをぜひここで書けたら迫力のある評価になると感じます。
その辺、事務局、いかがですかね。
【宅間室長】 事務局でございます。すいません、今のこの時点でできる範囲で書き込んだつもりではあったのですが、今日の御指摘をいただきまして、少し修正案を考えてみたいと思います。また、ちょっと御相談をさせていただければと思います。
【安浦主査】 また、理研とも相談させていただいて、どういうことが書けるかということで、委員の皆様に御提案させていただきたいと思いますけど、喜連川先生、そういう方向でよろしいですか。
【喜連川委員】 すいません、もう一回言っていただけますか。
【安浦主査】 今、先生がおっしゃった、学術的及び社会的に、これは世界一じゃないとできなかったというものを一つずつ挙げられるものを理研とも相談して書き込んでいくという方向で調整して、最終的にまた委員の御意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【喜連川委員】 ありがとうございます。この報告書の書き方によるのかもしれないですけれども、何となくエビデンシャルにもっと書けるといいのではないかと。定量的に何がどうなのですかというようなのは、例えば内閣府のプロジェクトの場合は、さんざんそれを言われるわけですよね。ですから、ここのプロジェクトはとても大きくて、立派なプロジェクトなので、何というか、これをうまく利用して、スパコンのファンをもっと増やすという意味でいうと、今、安浦先生がおっしゃられたような形が一番効果的なのではないかと思います。
申し上げましたのは、情報分野の人がいろんなところに行って、スパコンは何なのですか、どういう役目をしているのですかと聞かれることが多いわけです。そのとき、その2つが言えるような、科学と社会というのがあると。それ以外に、先ほど10個ぐらいいろいろ並べて御説明いただいたわけですけど、そこももっと定量的に、できなかったものが何ができたのかというインパクトケースがよく分からないなというのが、これは前回、前々回も伊藤公平先生とかからも御指摘があったような気がしますので、これだけ苦労して2番じゃいけないのと言ってきたので、今こそもっとアピールするのがいいのではないかと思って発言いたしました。
以上です。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。
ほかに、上田先生、どうぞ。
【上田委員】 今の喜連川先生のコメントに関連しまして、これからスパコンがより若い研究者に普及するということにおいては、やはりAIといいますか、機械学習といいますか、それらでの使用がどれだけ上がってくるかということで、結構、その普及度も変わると思うのですね。そういう意味では、これまでの成果においても、シミュレーションという使い方だけでなくて、AI,機械学習による新たな利用が出ているというところも強調し、今までスパコンを使ってこなかったAIとか機械学習の研究者に刺さるような、そういうコメントということもちょっと記載してはいかがでしょうか。コメントです。
【安浦主査】 ありがとうございます。その辺もう少し穏やかな表現になっている面もありますので、クリアカットすべきところだけは表現を考えていきたいと思います。ありがとうございます。

本議題については、議論が足りない点については事務局にメール等で意見を寄せていただくこと、いただいた意見を踏まえて事務局で修正案を作成し、メールベースで審議を行うこととなった。

議題5:ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発に係る事後評価票について
資料5-1、資料5-2に基づいて事務局から説明を行った。質疑は以下のとおり。
【安浦主査】 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、「富岳」の成果創出加速プログラム課題レビュー委員会の主査をお務めいただきました宇川先生に今日は御出席いただいております。宇川先生のほうから補足がございましたらお願いいたします。
【宇川センター長】 特にはございません。
【安浦主査】 ありがとうございます。また、この中でポスト「京」重点課題推進ワーキンググループ、それから、萌芽的課題サブワーキンググループが設置されておりまして、それぞれ主査として小柳委員、それから、大石委員がお務めになっておられました。小柳委員、大石委員のほうから何かコメントございますでしょうか。
【小柳委員】 小柳でございます。
【安浦主査】 どうぞ。
【小柳委員】 大変よくまとめられておりまして、特に付け加えることはございません。それ自身が研究開発であると同時に、「富岳」に向けてのCo-designに貢献したという2つの方向性を持ったプロジェクトで、その取りまとめで大変よくまとまっていると思います。
以上です。
【安浦主査】 ありがとうございます。大石先生、いかがでしょうか。
【大石委員】 重点課題9課題に対して萌芽的課題は、基礎科学とか、分野を横断するものとか、新しい尺度に関しての研究を推進したもので、ここにまとめられたような成果があり、それも含めて非常にうまく「富岳」のスタートと連携できたと思っております。
以上でございます。
【安浦主査】 ありがとうございます。
それでは、質疑に入りたいと思います。伊藤公平先生、手が挙がっておりますけれども、お願いします。
【伊藤(公)委員】 よろしくお願いいたします。今日は議題が多いので、1回だけ発言しようと思って、ここに絞りました。
非常によくまとめていただきまして、特にCo-designという形で、「富岳」のスタートに対して、ポスト「京」のスタートに対して、大変な貢献をされたと私の認識ではなります。
1つ気になるのが、事後評価票の案の1ページ目、いわゆる飛ばされた研究開発計画との関係のところですけれども、概要のところに次世代アーキテクチャと革新的なハードウェアの研究開発というのが出ています。今回あまり次世代アーキテクチャの記述がなかったというのが1つ、それからあと、その下に本課題が関係するアウトプット指標として、情報科学技術分野における研究開発の論文数、学会発表数とありますが、私、これ、成功と捉えているのは、まず基礎研究に対して、このポスト「京」――今は「富岳」ですけれど――がどういうふうに貢献できるかということ、それから、それに合わせて、Co-designという形で、ポスト「京」、「富岳」のマシンとしての性能が、デザインもされていき、性能も高まり、その結果として、次世代アーキテクチャというのもどんどん進んでいくということだと思っています。ですので、喜連川先生が前回おっしゃったみたいに、これは情報科学技術分野と言っていいのかどうかというのが、今言われても困るのかもしれないですが、今後の課題なのではないかなと私が思ったところが1点。
というのは、この後、重点領域と書いてあるところは、ほとんど科学的に重要なテーマ、または社会的に重要なテーマ、機械学習とかが関連するところでも、神経・脳科学とか、様々なことに書かれていることなので、こういうCo-designが大切なだけに、どうですかね、これ、まとめられた方々に質問というのが正しいのかもしれないですけど、次世代アーキテクチャという部分と、情報科学というところはどういうふうに捉えていらっしゃるのですかというのが私の質問です。
【安浦主査】 どうもありがとうございます。事務局、何かございますか。
【西川補佐】 事務局、西川でございます。伊藤先生、ありがとうございます。
事務的な背景でございますが、当該ページの研究開発計画、文科省の科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会のほうで定められた研究開発計画というものがございます。こちらの中の記載から関連が深いところを抜き出して設定しているというのがまず前提としてございますので、ちょっとストレートに、この事業と一つ一つの語句が対応していないというのが、場合によってはあるかもしれないというのがまず背景でございます。ただ、そんな中で、一応アーキテクチャとか論文数とかいうような形で、研究開発計画の中から関係するものを上げさせていただいていますので、この4ページ目以降、関連する記載として、アーキテクチャとしてはCo-designの関係の記載を少し厚めに記載させていただいたということ、あとは、特にこの分野という言い方はしておりませんが、最後のほう、評価票ですと、途中9ページ目に、論文数とか、学会の発表数の件数をまとめて記載をさせていただいたというところで、少し事務的な整理ではございますが、そのような形で今回案として書かせていただいた次第です。
【伊藤(公)委員】 そういうふうに理解しているだけに、この論文数2,580は情報科学分野の論文かと言われたら、恐らく情報科学分野は関与しているわけですけれども、ポスト「京」に向けたCo-designなので。そこら辺のところは、情報科学分野という定義で皆さんどうお考えなのかということが、ちょっとこの間の、特に喜連川先生の御発表があったので、そういうふうに感じたということです。
実は情報科学分野が関係している物理分野だったり、その上にあるような太陽系惑星の分野だったりとかしているのだろうなと思っていたので、その前との整合性はどういうふうに説明されるのかなということでありました。その前というのは、情報科学技術分野の論文と書かれている、論文数が評価軸と書かれているのかな、それはもうポスト「京」という考えで、Co-designということで情報科学技術分野としていて構わないということですね。
【西川補佐】 本事業の成果として挙げられる論文に関しては、HPCIの、例えば、ポータルのところで集約されている成果公開の情報の一端でございまして、少なくともこの場合はフラッグシップも含めHPCIですけれども、そこの枠組の中には入ってくるものであると。という意味では、情報科学技術分野の中ではあるのではないかと今この瞬間は考えております。
【伊藤(公)委員】 そうですね。情報科学技術分野と異分野、要は学際領域がどんどん発展していったというのが私の理解ですけども、そういう意味では結構かと思いました。
【安浦主査】 伊藤先生、どうもありがとうございました。
宇川先生、宇川先生の委員会での評価は、それぞれの専門分野として成果が上がっているという視点で評価されたと考えてよろしいでしょうか。
【宇川センター長】 今の情報科学技術分野云々の議論ですけれども、そもそも重点課題、萌芽的課題そのものの実施するものが、言わば、いわゆる計算科学におけるソフトウェア開発、サイエンスの研究ですので、したがって、レビュー委員会での議論も、科学としての各分野における専門家の立場から各課題がどれだけの成果を上げたかと、そういう評価の仕方をしております。
このアウトプット指標との関係ですけども、私の理解は、ここに上がっている文言は、言わば、科学技術計画の中の文言の中で、重点課題、萌芽的課題に対応するようなものを拾い出してきたために、そこに計算科学というものが出てこなくて、情報科学技術分野というのが最もフィットする言葉であったので、それを文科省のほうで入れられたという理解です。
ですから、中を読むとすれば、その計算科学における研究開発の論文数というものと、あるいは学会発表数というものを、この評価票(案)の中に書いてあるということが、そういうふうに理解するのがいいのではないかと思います。ですから、いわゆる情報科学技術というと、必ずしも個々の科学の分野と1対1に対応していないわけですので、そこに多少誤解が生じる懸念はあるかもしれません。
この文言をどう読むかということが心配にはなるというのは、伊藤委員の御意見、当たっていると思います。
【安浦主査】 宇川先生、どうもありがとうございます。その辺はちょっと文章を工夫して、誤解のないように最終評価票をまた検討させていただきたいと思います。
今、伊藤先生から非常に本質的なポイントをお示しいただいたと思いますが、具体的にCo-designという視点で、純粋にコンピュータサイエンスの立場から見たときに、どういうふうにアプリケーション側からのアクションでアーキテクチャが変わったのか、あるいはアーキテクチャ側がこういうふうになったのでアプリケーションのソフトのほうが変わったのか、そういう点ももう少し明確にしたほうが、伊藤先生の言われることに対してストレートに応えるようになるのではないかという気もしますけど、伊藤先生、そういうポイントでよろしいですか。
【伊藤(公)委員】 私は宇川先生の今回の評価方針ですね、計算科学というのは、まさにそれが正しいと思っていまして、それだけに、ここに情報科学技術分野と書いてあるのは何か誤解を招くなと思っていたのですが、宇川先生の考えが、方針が確認できてまずよかったことと、その上でさらに安浦先生がおっしゃるみたいに、コンピュータサイエンスのほうでの発展も書かれたいのであれば、それに対してはそれも意義があるのかなと思いますが、そもそも方針としてどういうふうにこれを評価されるかということに関わってくるような気がします。
以上です。
【安浦主査】 分かりました。ありがとうございます。
小柳先生、どうぞ。
【小柳委員】 皆さんの意見に全く賛成でございます。私もこの部分、変えられるものなら変えたいと思ったところでございます。HPCという場合には、いわゆる情報科学技術と、それから計算科学諸分野の密接な連携全体を指しますが、この言い方は、皆さんの御指摘にあるように、大変誤解を招くと。だけど、この部分は変えられないと思うので、中でいかにうまく説明するかが問題ではないかと思います。
【安浦主査】 分かりました。どうもありがとうございます。

本議題については、いただいた意見をもとに事務局で修正案を作成し、メールベースで審議を行うこととなった。

最後に、以下の点を事務局から連絡した後、安浦主査により閉会となった。
・本日の議事について議論が足りない点やご意見がある場合にはメールにて事務局まで寄せていただきたいこと。
・議題4、議題5については修正案をメールベースで審議いただくこと。
・次回開催は日程調整中だが、2月頃の開催の予定で、確定次第別途連絡すること。
 

お問合せ先

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メールアドレス:hpci-con@mext.go.jp

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