平成21年3月9日(月曜日)10時~12時
文部科学省研究振興局会議室
後藤主査、相原委員、安達委員、尾家委員、小林委員、佐々木委員、下條委員、長谷川委員、松岡委員、村山委員
舟橋情報課長、飯澤学術基盤整備室長 その他関係官
坂内国立情報学研究所長
(1)事務局より資料1「次期学術情報ネットワークに関する検討会委員名簿」に基づき、委員の紹介が行われた。また、後藤委員が同検討会主査に選任された。
(2)事務局より資料2「次期学術情報ネットワークに関する検討会の設置について」及び資料3「学術情報基盤整備に関する対応方策等について(審議のまとめ)」に基づき本検討会の概要、議事運営等について説明が行われた。
(3)坂内国立情報学研究所長より最先端学術情報基盤の在り方、次期学術情報ネットワークの整備の方向性等について説明が行われ、その後、質疑及び今後の審議において検討すべき課題等について意見交換が行われた。
科学技術・学術審議会の下に置かれた学術情報基盤作業部会の審議を通じ、情報基盤が教育研究にとって非常に重要なインフラであるとの認識が深まったところですが、来年度の国立情報学研究所の学術情報ネットワークに関する予算については減少しており、大学等が利用する情報基盤を預からせていただいている研究所の所長としては、非常に大きな責任と危機感を持っています。
最初に、学術情報基盤を取り巻く近年の背景を説明させていただきます。一つにはグローバル化と大競争、そしてコントリビュートすべきものを明確にした上での協調の時代になってきている。我が国は、言うなれば資源がないわけですから、知恵と人で生きていかなければならない。その意味では研究開発、科学創造立国、あるいは人材、教育立国が死命を制する。そういう位置付けの中で、大学・研究機関の活動があるわけです。
次に、サイエンスのパラダイムが、従来の固定価値の解明というものから、変化過程の解明になってきている。今ある環境、エネルギー、経済問題等々、あらゆるものがこういうパラダイムである。言ってみれば、ネットワークでつながって活動していくことが必然という大きなパラダイムのシフトにあります。
また、研究方法論のパラダイムシフトが起きており、実験をし、それを理論化するサイエンスと、大規模なものに対してシミュレーションを行うという計算サイエンス、さらに出てきた成果をデータベースとして活用するといったものを総合化するe-サイエンスの段階に入っている。具体的にはネットワーク上で連携をしながら研究、教育をしていくということに尽きるわけです。
さらに情報分野は、財政的にも非常に厳しい中で、質の高い活動をしなければならないという意味では、ソリューションはたった一つであり、共有、連携によって、費用対効果のよいシステムを実現していくこと。それがクラウド・コンピューティングやグリッドであるという認識です。
こういった背景の中、最先端学術情報基盤として、ネットワークレイヤ上に認証レイヤ、スーパーコンピュータ等の計算リソース、グリッド等の連携ソフトでつなぐ学術リソースレイヤをつくっていく。実験装置やスーパーコンピュータをつなぐグリッド、あるいは学術コンテンツ、ストレージ基盤をどうやって共有していくか。その上に、個々の大学等の教育研究活動があるが、地域連携、国際連携などいろいろな活動がこの上で行われていく。さらに学内でも、e-メールなどのセキュリティ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)をどうしていくか。これまで、国立情報学研究所は大学間をネットワークでつなぐというミッションの下に活動しており、各大学は、学内LAN等情報基盤を提供し、連携によってこれを実現するというスキームであったわけが、全体像をより明確にして、学術クラウド型サービスを提供していくということを明確にする時代に入ってきているという認識です。
これを踏まえ、課題はたくさんあるのですが、その中で最も喫緊の課題は、急激なネットワーク需要の拡大に対して緊急にどう対応していくかということです。
それから、先ほど申し上げました学術クラウド・サービスというような上位レイヤ機能を、どのように具現化していくのかを明確にしなければなりませんし、また、先端学術基盤格差の解消という課題の解決策を責任を持って提示させていただきたいと思います。
学術情報ネットワーク(SINET)は、現在、接続機関は700以上、利用者は二百万人以上であり、なくてはならない情報ライフラインになっています。また、先端研究でも、研究連携やリソースを共有し合うという、新たな先端研究の中で不可欠な基盤になってきています。5、6年前のSINETは、評判の悪い点も多々あり、数年前から学術情報ネットワーク運営・連携本部を国立情報学研究所に設置し改善の努力をしています。
連携本部においては、約100名の先生を客員教授等で招へいし、ネットワークの改善等を推進しています。またSINETの運用的なサポートをするための利用推進室を設置し、全国の大学等を回って、連携協力の強化に向けた活動を始めています。
SINETの回線整備状況については、平成16年4月の時点の頃は、ノードに関しては、100Mbps前後であり、この時点では地方の国立大学も100Mbpsの回線が提供されていましたが、SINET3においては最低でも1Gbpsにすることとし、努力してきたところです。
SINET3になってからは回線のスピードだけではなく、これからの教育研究を支えていくための、セキュリティへの対応や、マルチキャスト、IPv6への対応、オンデマンドサービスといった高位機能を提供することが重要なミッションとなりました。
ここ1年半あまりの状況ですが、このような新たな高位機能の利用が急速に伸びてきており、国際共同研究や、全国の大学の遠隔講義システムなどに活用され、様々な活動に対するなくてはならない基盤として利用されています。例えばノーベル賞を受賞された小林先生、益川先生の小林・益川理論の検証を目的としたBelle実験では、実験装置から得られた大量の情報を全国の研究者がリアルタイムで共同で解析することを可能にし、学術情報ネットワークが大きな貢献を果たしました。このような縁の下の力持ちの大事さを理解いただく方策を考えていかなければならないと思っています。
このような現状でありますが、今後の課題として、急激なネットワーク需要に緊急対応しなければならないと考えています。
総トラフィック量は毎年1.3倍程度増加しています。次期中期目標・中期計画期間の需要を推定しますと、全ノードの最大使用率が50%を超え、86%のノードが100%を超えるという破局的な状況となります。
これに対応するためには高速化・高機能化が必要です。まずコア回線を強化しなければなりません。また、アクセス系回線、特に非ノード校における部分を改善する必要があります。
次に上位レイヤ機能の実現ですが、各大学との連携による学術クラウド型のサービスの実現や、VPN、リソース・オンデマンド、マルチキャストなどの高機能化も今後の学術教育研究活動にとって不可欠な要素になると思います。
また、大学間電子認証基盤(UPKI)についても情報基盤センター等々と連携をして進めています。さらに、スーパーコンピュータや、重要なデータベースを連携して使う際に不可欠な連携ソフトとして、我が国初のNAREGI(ナレギ)というグリッドミドルウェアが動き出し、7大学情報基盤センターや東京工業大学、筑波大学、高エネルギー加速器研究機構、国立天文台等との連携によりその利活用について引き続き推進している状況であり、これを何とか育てることが我が国における上位レイヤリソース連携のベースになると思います。
コンテンツについては、大学等における教育研究活動において電子ジャーナルや様々なデータベースが不可欠であり、これらを連携して確保していく必要があります。また、学術関連のコンテンツは大学から発信されるというサイクルをうまく形成していく必要があると思います。
次にネットワーク整備における大学間格差の問題ですが、SINET3は各ノードまで最低1Gbpsでつないでいますが、ノードが設置されていない13の県においては100Mbps以下です。これらの県においては、国公私立大学、自治体の活動を含めて良いネットワークをつくっておられますが、格差解消のためにもこのような状況を何とかしなければならないと考えています。厳しい財政状況の下ですが、持続性のあるスキームの中でこれを実現していくということも考えていきたいと思っており、以下に次期学術情報ネットワーク(SINET4)構想において課題を解決するビジョンを示します。
まず、アクセス系回線として最低1Gbps以上の回線を経済的に実現するダークファイバーによるアクセス系回線の形成、また、エッジ回線は先程説明したとおり空白県を解消した上で、全県に少なくともこういったエッジ回線2.4Gbps以上のものを実現し、その中で、クラウド的な学術データセンター機能も地域に分散、また、上位レイヤの基幹回線のところはそれをまとめたようなストレージや、100Gbpsを超える回線を提供し、学術クラウド型のサービスを展開するというのが大きな設計図です。
そして、先進的なネットワーク設計を大胆に導入することで、一層の効率化と費用対効果の向上を図り、持続的な整備基盤として共生型の基盤を強化するとともに、大きなプロジェクト研究等に関しては参加機関からネットワーク経費の一部を負担いただくことも検討する必要があると考えています。
情報基盤は、持続的な整備方策の確立が大事であり、国からの投資の拡大をぜひお願いしたいと思います。特に、プロジェクト研究等を行う場合にあっても情報基盤に依存をしていると思いますが、情報基盤に経費が措置されないとアンバランスな投資形態になってしまうということで、移行経費、さらに地方の格差解消に対して、ぜひ国からの投資拡大をお願いしたいと思います。
大学等との連携強化については、オープンフォーラムというものをつくらせていただこうと思っています。これは、共同調達や情報交換の場、地域連携の場として、地域の事情等を生かしつつ、連携のための仕掛けとして全体で力を持ったプランを推進していきたいと考えています。
次にロードマップについてですが、SINET4の構築は平成23年度運用開始を目指しており、2年ほど先ですが、移行は来年が勝負になります。また、全体の設計等に関しては来年が勝負となりますが、やはり大学の教育研究の基盤としての情報基盤の重要さをどうやって認識いただくか、それをどういう形で具体化をしていくか、さらに必要な経費を確保し、連携協力もより確固たるものにできるか早急に検討していかなければならないと思っています。以上です。
ありがとうございました。ご意見、ご質問がありましたら承りたいと思います。
課題として、上位レイヤ機能の実現を挙げておりましたが、米国のインターネット2の場合、聞いた話では50名ほどのスタッフを抱えていて、そのうち半分程度がソフトウェア開発に携わっている状況にあるようです。今後、上位レイヤ機能の実現に向けたサービス開発が必要ですが、国立情報学研究所のそのあたりの体制はどうなっておりますでしょうか。
今後の体制ということになりますが、やはり連携型で開発を進めることになると思います。ソフトウェア開発の部分でポスドク等の人材を育てていけるような体制の構築が考えられます。課題としては十分に認識しつつ、検討を進めていくという状況です。
国立情報学研究所でネットワークの研究開発に関わっている方は何名ぐらいいらっしゃいますか。
おおまかに言うと、先生方で関わっている方が7、8名、特任の先生方が5、6名、プロジェクト研究員が10名ほど、あとは企業との連携の形で携わっている方がいます。
ネットワークは需要増加により危機的状況にあると説明されましたが、例えばスパコンについては、データ共有が重要で、かつ、データというのはネットワーク上で流れる。さらに神戸に設置される10ペタマシンの次世代スーパーコンピュータがあり、ほかの情報基盤センターにもペタフロップス級のマシンが導入されると、現状のトラフィックでは十分ではないわけですね。データというのはある程度共有するコミュニティが管理する必要がある。各機関がストレージリポジトリと大規模な計算資源を合わせて持ち、それらを共有していって、その際に十分な帯域があり、かつ上位レイヤのサービスとしても共有できるようなサービスをつくらなければならない。そのような今後の動向を踏まえると、果たして今のSINETの増強計画が十分であるか不安があります。
今、一挙に多額の予算を投入するということに関しては、やはり理解を得ることは難しいので一歩一歩であるかとは思います。費用対効果を考えてぎりぎりのところで勝負でしていく感じであると思っています。
民間企業とカップリングしたプログラムが今増えていて、そうすると、大学も民間企業と一緒にやりたがるわけですね。その場合、SINETが民間に対してどの程度開放していくかということが、すごく重要になってくると思います。
それについては既にはっきりと表明しています。情報基盤センター等が大学としての立場で民間開放の制度を設けたあかつきには、SINET利用規則をそれに合わせて修正するという方針です。現時点では、大学も共同研究という枠組みの中で実施しているケースがほとんどですが、国立情報学研究所におけるSINETも同様のフレームワークでやれるような規則になっています。今後、企業が営利目的のために大学のスパコンを利用するという状況になっていった時に、大学がどのようなポリシーでそれを許容するかを見極めつつ、国立情報学研究所においても検討していきたいと思っています。
今後のネットワークの構築・投資に対して民間への開放や空白県解消による地方自治体との連携なども視野に入れつつ検討いただければと思います。
説明において、厳しい予算状況の話やソフトウェア開発などの話が出ましたが、ソフトウェア開発ができる優秀な人材がどれだけいるのかという疑問があって、結局、不景気な時ほど国が推進するような事業に投資をしなければ、次の世代で中国、韓国などに追い抜かれてしまう。投資は何のためかというと、こういう分野の人材を増やす投資であるということに気づいていただくといいのかなと思いました。
先生のおっしゃることは私も全く同じ気持ちですが、達成すべき目標をある程度設定しながら、着実な投資をお願いするというのが我々の基本的なスタンスです。着実な達成目標をにらみながら、それに向けて一歩一歩進んでいく。最近はネットワークが教育研究活動にとって不可欠のインフラになっており、情報システム自身を振興させていくには、人材育成から始まるような投資が必要だということを、先生方からもぜひ主張していただくことが大事であると思っています。
大規模ネットワークの運用を実際に行う技術者を育てる場は、今は大きなプロバイダーぐらいしか有していないと思います。ちょっとした複雑なことを、大きな海外系の会社の技術者に設計してくださいと言うと、技術者がいませんと言うわけです。そこのエンジニアではできないというわけです。SINETは世界的に見ても非常に大きなバックボーンネットワークだと思います。そういうバックボーンネットワークの構築等に学生や若い技術者の教育用途を結び付けられないかと感じました。
また、オープンフォーラムの話がありましたが、中小規模の私立大学ではICT予算が削減される状況であり、費用対効果を含めSINETにつないだらこういうメリットがあるというような話があると非常によいのかなと思いました。
例えば学術情報ネットワーク運営・連携本部の作業部会では、狭い意味のネットワークに限っても6、70人の若い先生方にかかわっていただいて、その他UPKI等についてもそういう先生方が中心になって活動いただければと思います。
また、オープンフォーラムの話については、費用対効果のみならず国際競争力をつけ、世界に貢献できるような枠組みにするためにも、こうした先生方にご参加いただきたいと考えています。
急激なネットワーク需要拡大への緊急対応という点では、通常の研究教育活動を支える部分と、先端研究を支える部分の二つに分けて、両方の需要が増えていることを示す説得力のある情報が必要かと思います。
ネットワーク利用については、ビデオストリーミング系でいいますと、地方大学は分散キャンパスやサテライトキャンパスの設置などにより、遠隔教育がさらに広がっていくと思いますし、ハイビジョンの利用が高まっていると思います。ネットワークの需要拡大については、確実にそういう状況ですので、持続的に対応していくことが重要だと私も思います。
また、先端学術基盤格差の解消についてですが、私は九州におりますが、先ほどの空白県に佐賀と宮崎がありまして、両方とも自治体のネットワークが非常に整備されているところで、非常に関心の高いところだと思います。そういったところが、うまくつながるというのもよいと思いますし、SINETと各自治体のネットワークがつながって、そこでストレージをつくれば共同の作業ができるのかもしれません。
さらに、大学が教育においても研究においてもテストベッドとなり、キャンパス内でいろいろな取り組みを実験的に行い、それら各大学をSINETのバックボーンでつなげて大きなテストベッドを構築して行くというのも重要であると思います。これに関しては、この学術情報ネットワークに関する検討会の枠を超えるかもしれませんが、キャンパスの中での新たなネットワークを考えるという取り組みに対して国から支援をしていただくと面白いかなと思いますし、村山先生がおっしゃいましたように、そこで学生がソフトを開発して試してみるなど、並行して検討できればありがたいと思います。
先ほど坂内先生からBelle実験を紹介していただきましたが、国内機関だけではなくて、アジア、アメリカ、ヨーロッパからたくさんの機関が参加しています。これらの機関の間とデータのやりとりがありまして、こちらから実験のデータを差し上げると、先方ではシミュレーションを行い、シミュレーションのデータを送っていただくということを行います。坂内先生のお話の中で国際接続のお話がなかったと思いますが、具体的に我々が問題を感じている点としましては、装置がデータを要求してから実際にデータが来るまでの時間の問題で、バンド幅は十分確保されていますが、使い切れてないという問題があります。それをどのように改善し、SINET4へ移行するのかをお聞きしたい。
もう一つの点は、これは高エネルギー分野ではなくて、どの分野もそうだと思いますが、IT関係に従事している技術者の数が欧米に比べて非常に少ない。特に大学に行きますとエンジニア、テクニシャンが欧米の大学のようにいませんので、大学院生や教員がそのかわりをしているということがあります。我々の分野では、グリッド技術を使って情報の共有とか、計算資源の共有が始まっていますが、人が足りないという理由で、末端の組織までグリッド技術のような高度な上位レイヤが普及しないということがあります。国立情報学研究所で開発いただいているNAREGIには非常に期待しており、上位レイヤで非常に需要がありますし、特に人が少なければ少ないほど、上位レイヤの提供をいただかないとネットワークを有効に使えないという面もありますので、ぜひ開発を持続いただく方向で考えていただけないかという点をお尋ねします。
私どもも高エネルギー加速器研究機構が国際回線をヘビーに利用するときに困るという点は、超先端的なニーズとして認識しておりますし、限られた予算の中でいかに遅延を少なくするかが現在の研究課題だと考えています。
また、グリッドに関しては、この舞台を若い先生方を中心に持続的に発展させていきたいと考えていますし、一方で、e-サイエンスのプロジェクトにおいてNAREGIを下方展開する研究開発も進めています。
地方のことが気になっています。ノード空白県が強調されている一方で、予算は全体的に削減方向であるとのことで、空白県の方からすると、需要が少ないだろうということでノードが置かれていないのでしょうが、実際に多いか少ないかは置かれていないためわからない。そいうところでは自助努力をせざるを得ない。例えば東北地方は、これまで自助努力をしたがために、結局、SINETがあまり必要とされていないと思われたという悪循環に陥っているのではないでしょうか。
ネットワーク構成を見直すというのであれば、そういうことを踏まえて、全体を見直してもいいのではないか。自治体のネットワーク、情報ハイウエーなど、あるいは各地域で独自に運用しているネットワークとの連携がかかせないので、それらも視野にいれるなど必要があるのではないでしょうか。
自治体との連携については、初等中等教育機関との接続も検討して欲しいですし、また、自治体自身との共同事業や地域貢献を求められている大学としては、自治体自身との強力なネットワークも欲しい。制度的な問題もあるとは思いますが、これからぜひ改善していただきたいと思います。
国立大学が地域にも大きな貢献をしていただくという前提の下に、空白県を解消することを考えています。
また、初等中等教育機関を含めた地方自治体等との連携、JGN2plus等との連携をもちろん考えていかななければなりません。私どもは大学間の教育研究活動をつなぐという中心的役割があり、そのような役割の中のネットワークをディープ、ワイド、オープンにうまくつなげていくという段階に早急に取組まなければいけない課題になってきています。
私どもはTOPIC(東北学術研究インターネットコミュニティ)の幹事校をさせていただいておりますが、いろいろな会合でTOPIC参加機関の多くがサービスの高度化以前に、まず基盤を整備してほしいということを強く求めています。したがって、予算が限られた中で、何を優先するかは難しいと思いますが、新しいことだけではなくて、ベースを強化していただくことをお願いしたいということと、やはりそのような中でも、いろいろな工夫をされてネットワークの整備に取り組んでいる先生方はいらっしゃいますので、一括調達という話が出ていましたが、果たして画一的な一括調達が効率いいのか、検討いただきたいと思います。
どのくらいの組織が最適かということがあると思うので、国立情報学研究所が一括調達するということではなく、例えば、地域単位などユーザーが多く集まった方が、価格決定権の比重が上がるのではないかということでの提案です。
そういう意味では地域レベルの一括調達ということについていろいろご検討いただいて、適切に実施に移していただければと思います。
TOPICは地域ネットワークとして良くできたシステムと認識しており、東北大学が中心となって行ってきた地域活動に対して、フォーラムを形成した際に何ができるのかというようなことも考えなければいけないと思っています。
費用負担の件ですが、昨今定められた共用法の精神が非常に重要だと思っています。SINETは多くの設備、特にスパコンに対して、アクセスを確保する非常に大きなルートなので、やはり利便性という意味での民間からの資金流入及び、逆にこちらから民間の高度設備、例えばグーグルのクラウドセンターに対してもアクセスして、かつ彼らが我々の技術を吸収できるので、そういうところからも何らかの収入及び技術共有があればよいと思います。
地域に対する利便性も非常に重要だと思いますが、それだけでは、すぐ民間プロバイダーとの競合の議論になってしまうので、国の基幹インフラとしては、むしろ共用法の精神の下にいかに高度先端技術を民間に提供していくかというところで不可欠なインフラであるという観点から応分負担を求めていくという考え方があると思います。
まず共用法の精神、これは国が大きな投資をした設備は産業界も含めて利用できるというものですが、その前に共同利用という精神が大学コミュニティでは歴史を持っています。共用法は産業界へのオープン性を強く言っておられるのですが、アカデミアの立場でいうと、共同利用に関しては従来、産学連携も行われていたので、共用法の理念というのはちょっと違うかなと思います。とにかく、ディープ、ワイド、オープンで展開するときに、産業界との一層の連携が重要であるというのは、まさにこれから進めるべきことであると思います。
産業界にとってはSINETの先進性、つまり普通の民間プロバイダーでは得られない、共同設備の利便性が何であるのかということをもう少し明確にしていただけると、非常に魅力があって、使いやすいと思います。
まずは各大学においても魅力的な研究活動に取組んでいただき、ネットワークにより外部にその大学のリソースや活動をオープンにしていく。そのために、より明確な、費用負担も含めた共通制度のあり方、さらに実運用を含め、大学が活性化していくような結果をにらんで検討していく必要があります。
(4)次に、事務局より、次回の開催は平成21年4月中を予定している旨説明があり、本日の検討会を終了した。
―― 了 ――
高橋、布川
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