次世代スーパーコンピュータ戦略委員会(第16回) 議事録

1.日時

平成21年9月29日(火曜日)17時00分~18時09分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

土居主査、伊東委員、宇川委員、小柳委員、寺倉委員、中村委員、平尾委員、矢川委員、米澤委員

文部科学省

倉持大臣官房審議官(研究振興局担当)、舟橋情報課長、飯澤学術基盤整備室長、井上計算科学技術推進室長、中井計算科学技術推進室長補佐

4.議事録

【土居主査】  ただいまから第16回次世代スーパーピュータ戦略委員会を始めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず事務局から、本日の配布資料について確認をお願いいたします。

【事務局】  お手元の議事次第と照らし合わせて、資料のご確認をお願いいたします。今回、資料は1部になっております。資料の名前は、「次世代スパコンを中核とした拠点のあり方と計算科学研究機構の役割について」になります。
 また、前回までの配布資料につきましては机上のファイルにとじております。配布資料に欠落等がございましたら、事務局までお知らせください。
 以上です。

【土居主査】  ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 また何かございましたら、その都度、おっしゃっていただくということにして、先へ進めさせていただきたいと思います。
 議題に入ります前に、科学技術学術審議会の下に情報科学技術委員会がございます。4期、私が委員長を仰せつかった委員会がございますが、そこで、先般、戦略プログラムの事前評価を行っていただいたのですが、そのときに委員から戦略分野についてコメントがありましたので、事務局から説明をお願いいたしたいと思います。
 よろしくお願いします。

【井上計算科学技術推進室長】  特段、配布資料にしてございませんが、8月21日に情報科学技術委員会が開催されまして、その場で戦略分野について議論がございました。そのときの意見は、この戦略委員会でご議論いただきまして、5つの分野をお決めいただいたわけですけれども、情報委員会ではその5つに加えて情報学も対象にすることを検討してはどうかというコメントが出ました。具体的には、次々世代のスパコンのアーキテクチャ設計には、今回、開発するスパコンのアーキテクチャの詳細な評価が不可欠であって、そういうことを行ったり、アプリケーションの走行特性、その深い解析などもきちっとやっていくことがあるだろうと。
 加えて、そのようなアーキテクチャに関するパフォーマンス・デバッガーとか、並列化コンパイラ、アーキテクチャのライブラリーの開発などにおいて、実機でのシステム評価をやる。そういったことをやることによって、初めて明らかとなるようなコンピュータサイエンス固有の挑戦的な課題も出てくるのではないか。そういうことに取り組むために、日本に散在する情報学の研究者が次世代スパコンを実業していく。そういうことは重要ではないかというご議論がございました。
 当方から、そのようなことは、まさに理化学研究所で平尾先生を中心にご検討いただいているようなところで、当然、視野に入れているというお話もしたところではあるんですけれども、情報科学技術委員会の場では、そのような意見があったことを戦略委員会にもつないでいただいて、ご意見も聞いてくださいという有川主査からのお話もありましたので、ここにご紹介をさせていただきます。

【土居主査】  ありがとうございました。
 そのようなご意見が出たということですけれども、戦略分野につきましては、この戦略委員会で回を重ねてご議論いただいたわけでございますが、情報科学技術委員会で、今、ご紹介がありましたような情報分野の課題につきましては、今、井上室長からもお話がございましたけれども、本日もご紹介がございますが、理化学研究所が中心になって検討していただいております、計算科学研究機構で取り組んでいただくものが一番よかろうということで、また時間的にも、前回の作業部会でも、そのための時間を特別に割り当てることになっているわけですので、その線で進めていただくのがよろしいと考えておりますけれども、特段何か……。どうぞ。

【小柳委員】  今のお話にもありましたけれども、ご指摘があったという話は、例の「戦略分野の設定について」の資料の第1ページの下半分に縷々書いてあって、我々もそのことを決して忘れているわけではないと思います。どういう形でそれを実現するかについてはいろいろな意見があると思いますが、我々としても、当然、考えてきたことであると思っております。

【土居主査】  ありがとうございます。特段何かございませんか。

【平尾委員】  当然、そういう分野が必要であるということは、作業部会でも十分に指摘がありまして、一つの新しい分野として、戦略分野として立てるかという議論もありましたけれども、理化学研究所で、今、計算科学研究機構というのをつくろうとしておりますので、その中にそういうことは取り込んでやりたいと思っておりますので、ご指摘いただいた趣旨の分野は十分にカバーできると私どもは思っております。

【土居主査】  ほかには、何かご意見はございますか。

【宇川委員】  私も情報科学技術委員会に出席しておりまして、皆様がおっしゃったような意見をその場で申し述べましたが、一定の理解は得られたのではないかと。
 ただ、あの文章を見ますと、情報科学、あるいは情報学が表面的に、すぐには出てこない印象があって、そこを気にされたのではないか、趣旨を納得していただければ、ご理解いただけるのではないかと思います。

【土居主査】  ありがとうございました。
 ほかには何かございますか。
 では、この場はそういうことでよろしいでしょうか。決して、軽んじているわけでもなく、先ほどの小柳先生のご指摘もあったとおり、我々としては十分に考えておりますし、私自身は計算機科学屋でございますので、それを踏まえた形で、きっちり、これから後、進めていただくことになっているわけですので、これはこれでご意見は尊重してということでおさめさせていただければと思います。
 どうもありがとうございました。
 それでは、議題(1)に移らせていただきたいと思います。研究教育拠点形成についてということで、前回の委員会におきまして、平尾先生から研究教育拠点の中核として理化学研究所で現在、ご検討しておられます計算科学研究機構の内容につきましてお話をいただいたわけですけれども、今回、その続きといたしまして、またその先のことを含んで、平尾先生からその後の検討状況をお伺いし、もう少し突っ込んだ議論をこの場でさせていただければと思っております。
 平尾先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【平尾委員】  平尾でございます。
 前回、8月7日だったでしょうか、随分時間がたちましたので、少し復習しつつ、その場でいろいろとご意見をいただいたり、あるいは宿題をいただいた点に関しまして、その後、私どもで検討した結果について報告させていただきたいと思っております。
 私たち、一番大きなことは、世界に誇れるような計算科学、計算機科学の拠点をつくりたいということ。理化学研究所がいろいろな経緯でつくりますけれども、できた暁には、コミュニティー全体でそれを盛り上げるというんでしょうか、そうした支援のもとで、こうした機構を運営していきたいと思っております。それが基本でございます。
 このスライドは変わっておりませんが、次世代スパコンを中核とした利用研究と体制とあって、3つの機関がございます。
 今、公募しております戦略分野における戦略機関が出てまいります。それから、登録機関、そして、計算科学研究機構の3つが連携、共同することによって、拠点全体でグランドチャンジに臨む、あるいはペタコンを利用した挑戦的課題を行うことを目指しているということでございます。
 これが機構の使命でございます。実は、若干、使命のところで文章を変えたところがございます。次世代スパコンプロジェクトの果たすべき役割を最大限に引き出し、それを通じて我が国の計算科学技術、これは計算科学、あるいは計算機科学、両方を含めたものでございますが、これを強力に推進することを目的とする、という機構の使命でございます、それを3つ書いてございます。
 最初は、当然のことながら、スパコンを効果的かつ効率的に運用し、利用者の利用に供することということがございます。
 もう一つは、成果を上げる、COE形成をするということ。
 3つ目でございますが、計算科学技術の戦略の策定に貢献するとともに、その実施においては主導的な担い手となる。これは将来の我が国における、こうした分野のあり方について、この機構が十分、リーダーシップをとって議論し、その実行においては主導的な立場を担うということだったんですが、前の文章は、ここだけがやってしまうという印象を与えるような文章でございましたので、そのあたりを少しやわらかくさせていただきました。もともと私たち機構がリーダーシップをとってやりたいとは思っておりますが、もちろん機構だけでできるものではございませんので、いろいろな方々のご協力をいただいて、これを進めることになると思いますので、そういう形に少し文章を変えさせていただきました。
 これが3つの関係機関です。戦略機関、登録機関、機構、3つの間の関係を図示したものです。前回からの図としては、前のときにもご指摘がありましたように、前回は矢印が上方向しかございませんでしたが、双方向にさせていただきました。戦略委員会との間で、機構からもいろいろな意見を出し、戦略委員会からも機構にいろいろなご指示があるということで、これを双方向にさせていただいたということがございます。
 もう一度振り返っていただきますと、実は、戦略機関は明らかに戦略分野における世界最高水準の研究成果を上げることが目的、ミッションでございます。片方で、計算科学研究機構といいますものは、まずはきちんと実際にスパコンを管理・運営し、利用者に供するというのが一番大きな目的になるかもしれません。
 同時に、共通基盤的な研究開発、分野融合研究を行うことによって、新しい領域の開拓を行う、あるいは、計算科学、計算機科学を推進することがございます。ですので、機構は共通基盤を支えるとともに、計算科学、計算機科学の先導的役割を担う、果たすということになります。それから、戦略機関はそれぞれの分野での世界最高水準の成果を出す。そういう意味ではお互いに補完的な役割がございます。
 もし、登録機関が決まりますと、設置者である理研の一部の業務を代行することになっております。基本的には利用者の選定、利用者の支援でございます。ここに関しましては登録機関が行う。この3つ、三者がここに連携推進会議という、お互いに連携をとって、神戸拠点に求められているミッションを果たすことになるかと思います。
 これは計算科学研究機構のイメージ図でございます。特に変わっているわけではございません。以前のままでございます。ここに計算実験科学というのがあったんですが、この図の中で実験科学はちょっとおかしいからということで、それだけとらせていただいたわけでございますが、基本的には同じでございます。
 これも同じでございます。これから先には計算科学と計算機科学がある意味でほんとうに連携してやらないと、これからのシミュレーションの算出はなかなかうまくいきません。特に、コンピュータそのものが高度化しておりますし、両方が力を合わせてやらないと、ほんとうにいい仕事ができないということをあらわしたものでございます。
 これが新しいスライドでございます。機構の組織体制のイメージでございます。前回もこれに近い形で出させていただいたのですが、より詳細な検討を加えた結果でございます。
 1つは共用施設です。ペタコンといいましょうか、次世代スーパーコンピュータを核としまて、オールジャパン体制での拠点の構築、あるいはそれを公正な形で運用する。そして、主導的な役割を果たすということでございます。いわゆる通常の事務部門とは独立した形で、企画戦略部門を設置しております。ここにございます。これはこの機構そのものをコミュニティー全体でつくりたい、あるいはコミュニティーの意見の集約をしたい、ここでのいろいろな成果をコミュニティーに還元したいということもございまして、そうした戦略部門を新たに、事務部門とは別に設けております。当然のことながら、ここでは海外との連携、共同研究、あるいはその成果を社会に還元するようなアウトリーチ活動とかいろいろな活動がここにありますが、通常の事務では行えない、戦略的な形でここを位置づけてやりたいということでございます。
 当然のことながら、4つ部門がございます。企画戦略部門、計算科学部門、これは研究部門でございます。それから、計算機科学部門、そして、運用技術部門でございます。
 趣旨からいって、計算科学と計算機科学は、いろいろな形で連携をとりましょうというのがもともとの趣旨でございますので、この間の連携は大いにとりたいと思っております。それから、部門間、部門の中でも、例えば、計算科学の中でもいろいろな分野がございますので、部門の中でも連携を図る、あるいは、計算機科学もそうでございますが、それは当然のことでございます。
 それから、計算科学と計算機科学、もう一つ重要なのは数理科学といいましょうか、応用数学はこうしたシミュレーション科学の分野にとっては非常に重要でございます。当然、こういう数理科学の方々、あるいは応用数学の方々もいろいろなチームの中に入ってまいります。特に計算機科学の中にはそういう方々も入ってまいりますので、こういう方々との連携も重要でございますので、そのことも私たちとしては大事なことだと考えて、そうした連携が図れるような仕組みをつくっていきたいと思っております。
 実は、こうした連携を図るというのは口で言うのは簡単でございますが、なかなか難しゅうございます。私、いつも言っているのですが、分野連携というのは、正直言って、ほっておいたらなかなかできないものでございます。私たちは、ある種、幾つかのプロジェクトを立てて、プロジェクトを遂行するために計算科学の人たち、計算機科学の人たち、あるいは数理科学の人たちが集まって、そのプロジェクトを成功させる中で融合を果たしていくことを考えております。そうしたプロジェクトをこの中で幾つか立てたいと思っております。
 当然のことながら、神戸の地点には戦略分野から成る戦略機関から人が派遣されてまいります。5名から10名という形で、今、公募書類の中には出ております。こういう方々との連携が重要でございますので、実は、計算機科学部門にはそうしたチームがここに入れるようにという形で考えております。
 一応、計算科学部門を12チーム、計算機科学部門を8チーム、全体20チームとしております。1チームは戦略機関が5から10名という規模の大きさでございます。こちらのin-houseのものも共同研究型も、グループによって大きい、小さいはございますでしょうけれども、大体同じような感じでつくれるのではないかという気がしております。
 個々に関しましては、前回もお話しさせていただいたのでよろしいかと思いますが、これが少し詳細なことを書いたものでございます。4つの部門があり、企画戦略部門、計算科学部門、計算機科学部門、運用技術部門でございます。
 先ほど言いましたように、これ以外に事務部門がございますが、ここには書いてございませんが、企画戦略部門は機構そのものをオールジャパン体制、あるいはコミュニティーの支援で行うためにいろいろな施策をやる、そのための部門でございます。
 それから、前に戻ります。部門はございますが、研究グループに部門長は置かないで、組織としてはフラットな形にして、計算科学の人たち、計算機科学の人たちが神戸の一つの場所で一緒になってやれるような形にしたいと思っています。組織上、一応、こうした2つの部門には分かれておりますが、ここに部門長のような形でつきますと、どうしても縦割り的な印象になってしまいますし、年月がたっていくと縦割りがきつくなったりということもございますので、なるべくそういう形はとらない形に、フラットな組織にしたいと考えております。
 運用でございます。運用技術部門を1つ置くということでございます。これは理研が次世代スパコンの設置者としてその能力を最大限に活用し、利用者が必要とする計算資源を提供することが一つのミッションでございます。そのためのスパコンの施設の運用、維持、管理、保守、あるいは高度化も入っていると思いますが、そういうことをやらないといけません。
 しかしながら、ご存じのように次世代スパコンはこれまでに例のないような大規模なシステムでございます。おそらく、これまでいろいろなところでスパコンは運用されてまいりましたが、それとは全く異なる新しい問題が起こってくるのではないかという気がしております。そういう意味では、運用しながら、模索しながら、そして何か問題が出てきたらそれを解決しながらという形で運用をしていくのではないかと思います。単なるマシンだけではなくて、冷却・電源系においても複雑なものになっておりますので、ほんとうに安定した運転を行うことはかなり大きな努力が必要ですし、そのための人員も必要だということだろうと思います。ですから、通常言われているように、単なる運転ですよということではなくて、これ自体、安定に利用者の方々にスパコンを活用していただくことを行うには、新しいチャレンジですし、そのための研究的要素も随分たくさん入ってくるということをぜひ、ご理解いただきたいと思っております。
 また、利用者のニーズに十分配慮して、次世代スパコンの施設の性能向上を含めて、利用者のほんとうにニーズにこたえるためには、利用者の支援を行うのが登録機関となっておりますので、登録機関との連携も重要になってくると思います。ですから、この運用技術部門と登録機関との連携は、ある意味で重要で、両者がほんとうに力を合わせてやらないと利用者のニーズにこたえることができないのではないかと思っております。そういう形で、登録機関とも十分に連携をとってやりたいと思っております。
 一応、運用技術部門の中には、オペレーショングループとかシステム高度化グループ、利用高度化グループという3つのグループを置きます。最初の部門に関してはほんとうの運用でございますが、システムの高度化、あるいは利用高度化グループは、どちらかというと登録機関と一緒になってやるというイメージが強うございます。あるいはここには研究的な要素が入ってきているということでございます。こういうところに人を確保し、その中で人も育てながらこうした業務をやっていくことになろうかと思います。そう簡単なことではないということを、ぜひ、ご理解いただければと思っています。
 それから、これが共用に必要な業務全体の図でございます。こちらに機構の業務が書いてございます。ここに登録機関の業務が書いてございます。理研は施設設置者として、共用法第5条に規定する業務を実施する。これは計算機の施設の建物、施設そのものの維持管理、そしてこれを利用者の共用に供するということでございます。
 登録機関は、そうした設置者が実施する業務のうちの共用法第8条に規定されております2つの業務、一つは、利用者選定業務、もう一つは利用支援業務です。この2つを登録機関が行うことに法律の上ではなっております。実際には、いろいろな形でお互いに協力し合ってやらないとうまくいかないだろうと思います。ただ、こういう形で法律上はきちんと区別がされているということでございます。
 ですから、利用支援に当たっては、登録機関が一元的な窓口となります。つまり、利用者から見たときには、まず最初に見えるのが登録機関であろうと思います。ですが、登録機関だけですべてができるわけではございませんので、登録機関と機構がいろいろな形で連携を図って、利用者のいろいろなニーズにこたえていきたいと思っております。
 ここにございますように、これは部門を書いてございますが、部門での役割、登録機関は利用者選定にかかわること、利用者支援にかかわること、この2つをやらないといけません。
 この支援に関することは、ここにございますように、利用者に対する情報提供、マニュアルをどういうふうにつくるとか、施設に対する最新の情報をどうやって利用者に提供するかというさまざまな問題がございます。
 それから、プログラミングに関しては、今度のマシンそのものが超並列マシンでございますので、そうしたマシンに合うように、利用者からいろいろな形で要求が出てくるでしょうから、それにどうこたえるかが登録機関にとっては大きな課題になろうかと思います。
 共用に必要な業務でございます。一つは、利用者に対しては窓口機能の一元化を図りたい。利用者にとっていろいろなところに窓口があるというのはよろしゅうございませんので、利用者にとって窓口の一元化は重要なことだろうと思っています。そういう意味では、まずはこうした一元化をする。これは登録機関が行うことになろうかと思いますが、ここで窓口機能の一元化を図りたいと思います。
 もう一つ、利用者のアプリケーションの高性能化といいましょうか、高並列化・単体性能向上ということが、どうしても利用者から要望が出てくるだろうと思います。これに対して登録機関がそれにこたえることになっておりますが、実際問題としてどこまでそれができるかということでございます。これが一連の、例えば、計算科学をやるときの一つの流れでございます。こちらが計算科学でこちらが計算機科学ですが、よく言われているSMASH、Scienceの問題、Modeling、Algorithm、Software、Hardwareとございます。ソフトウエアの一部とハードウエアが計算機科学に属しているのかもしれません。
 研究者は、まず、あるサイエンスのもとにモデルを組んで、アルゴリズムでプログラムをつくるという流れをやるわけですが、この計算機のコーディングというのは、ほんとうに人間が考えるわけですから、人間のわかりやすいコーディングになっているわけです。これをそのままかけても、次世代のスパコンでは威力が発揮できません。超並列マシンでございますので、そうしたアルゴリズムに合うような形に変えないといけません。もちろん、単体での性能を向上させることがまず第一でございますが、同時に、並列化をやる必要がございます。それをやって、やっと次世代のスパコンが使える、その能力が発揮できることになろうかと思います。そうした単体性能の向上、あるいは高並列化に関しましては、こうした計算機科学の研究者のいろいろな助けも必要でございますし、ここでのいろいろな研究課題にもなろうかと思います。
 実際に、登録機関で利用者支援をするというのはどこをやるかということでございますが、これがさっき書いたSMASHでございます。Scienceからスタートして、ずっとあります。ここは一般ユーザー、ここは機関の戦略分野の方々のユーザーです。これは機構の人たち、ここは登録機関の方です。
 Scienceに基づき、Modelingを組み、Algorithmを組んで、もちろんプログラムを組むわけでございますが、いずれの場合も、最初はある種の並列でないシリアルコードを組むんだろうと思いますが、すぐ並列に行く場合ももちろんあるわけでございます。あと、問題は並列度でございます。実は、シリアルから並列度は数百から数千に行くでしょうか、数千まで行ってくれると一番ありがたいんですが、このあたりは利用者がやっていただかないと、なかなかできないのではないかと思っています。シリアルからすぐ、ほんとうに次世代のペタコンで威力を発揮できるのは、ここの超並列というところです。シリアルから、すぐにこちらをやってくださいと登録機関にお願いに行っても、なかなか難しいと思います。ですので、ある程度の並列、数百から数千、ここには数百と書いてありますが、まず、利用者がやるということだろうと思います。もちろん、利用者は一般の利用者、戦略機関の方々、こうした方も全部含んでおりますが、ほんとうの意味で登録機関が手助けをしてくれるというのは、超並列のところだろうと思います。登録機関もそんなに人数がたくさんいるわけではございません。専門家の方もいらっしゃいますけれども、その方々ができる能力は限られております。能力というのは、時間と人とのことを考えますと、そんなにたくさんのプログラムを1人の方が抱えることはできませんので、ここに関しましては、一通り、基本的にでき上がっているソフト、この並列度を上げることが一番大きな仕事になろうかと思います。
 これがそれを図示したもの、流れでございます。言ってみれば、仕事の流れでございます。
 1から6とあります。1が並列特性分析、これは一応、プログラムができているということです。分析をやり、カーネル評価をやる。カーネル評価をやることによって、単体機能をどうしたら上げられるかという方針が出る。そして、実際に単体の高性能化をやる。あるいは数百の並列度があるんですけれども、それをさらに高並列化するにはどうしたらいいかという方針を出して実際に並列化をする。そして、単体性能も上げ、並列化も上げて、よりよいプログラミングをして、実際の実機でチューニングをする。これが一連の流れでございます。
 グリーンと黄色で書きましたが、グリーンのほうは、基本的には開発者が責任主体だということで、責任主体で色分けをしております。こちらに関しましては、多分、登録機関がある程度責任を持ってやる。責任の主体でございます。この部分に関しましては利用者が実際にやる。もちろん、このあたりはグレーなところがございます。色分けどおり責任主体がはっきりしているのではなくて、登録機関も要請があれば相談に乗り、例えば、この分析した結果で単体性能がどうしたら上がるかということについて、実際にプログラムの中に手を入れる、あるいは高性能化に関しても、お手伝いはできるかもしれませんが、実際には、そうしたことの責任の主体は利用者にあるというふうにしないとなかなか難しいのではないかという気がしております。
 現在、戦略機関が公募されておりますが、公募文書の中には、神戸の地に計算科学の技術推進体制を構築するにはどうしたらいいかということで、それぞれの戦略機関が必要な専門知識を持った方々、スタッフを5人程度――5人程度という人数が出ていますが、それぞれの戦略機関が雇用し、配置し、こうしたことにも当たらないといけませんということがあります。おそらく、こうした部分においては、登録機関の方々と、もし、戦略分野のプログラムの改善ということであれば、そうした戦略分野から派遣されてくる方々と一緒になって作業をすることになろうかと思います。
 現実問題として、今、地球シミュレータの例を見ますと、地球シミュレータは年間で、プログラムの課題として40本ぐらい走っていると聞いております。おそらく次世代スパコンでも同じような課題。1つの課題の中にたくさんのプログラムがあるということもあろうかと思いますが、課題としては30から40くらい。登録機関がいろいろな形で援助できるというか、支援ができるのは半数ぐらいではないかという気がしております。
 もともと登録機関の規模が二十数名という人数の最低要件が出ておりますので、そうしたことを考えますと、できる限り、いろいろな形で要請があったら登録機関もお手伝いをするでしょうけれども、ほんとうの責任主体に関しましては、この部分に関しては利用者、こちらに関しては登録機関がきちんと責任を持ってやる。このあたりに関してはお互いに連携をする中で問題を解決していこうということになるんではないかなと考えております。
 次は、マシンタイムの配分でございます。マシンタイムは大きく分けて3つございます。一つは戦略的利用。これは戦略分野が使うもの。一般的利用。設置者利用でございます。どこで決めるかというのは、基本的には両者の選定は登録機関となっておりますが、その上に戦略委員会がございますので、これが国の機関だとすれば、戦略的利用、一般的利用、設置者利用の大まかな配分に関しましては、まずは戦略委員会で決めるんだろうという気がしております。そして、一般利用に関しましては、比較的わかりやすくて、ある枠の中で登録機関の中にそうした選定を行う委員会ができて、そこで決めることになろうかと思います。
 設置者利用に関しましては、ある枠が戦略委員会のもとで決まれば、それを使う。この中には、当然、メンテナンスの時間も入っています。
 問題は戦略的利用でございます。戦略分野ごとの枠は、戦略委員会で決めるのがいいのではないかと思っています。どこで決めるかは難しいところがありますけれども、四角で囲ってありますのは、ここは戦略委員会で決めましょうということです。ここの枠は登録機関でということになっておりますが、戦略分野に関しましての戦略分野ごとの枠は、多分、戦略委員会で決めるんだろうと思います。そして、一たん、各戦略分野ごとにマシンタイムが決まりましたら、各分野ごとにその枠に従って、どういう形で、どの課題を優先してやるかを決めていただき、形式上、登録機関が認めるというか、最終的には決めるという形です。ここでのそれぞれの戦略分野での意見を尊重して、法律的には登録機関が決めることになっていますので、それでよろしいのではないかと思います。
 ただ、前回もお話ししましたように、戦略的、重点的なマシンタイムの配分があったほうがいいと思っています。この案をいろいろ考えていく中で、いろいろな方々のご意見を伺っておりますけれども、皆さん、こうした戦略的、重点的なマシンタイムをやるべきではないか、そうした方式を採用したほうがいいのではないかとおっしゃっています。ですから、基礎的な部分をまず配分しますけれども、アディショナルな部分は追加配分として戦略的、重点的に配分しましょうということです。もちろん、このときには追加配分の基準をはっきりとしておかないといろいろと混乱を生じると思います。まずは緊急性が高いことが一番重要なことだろうと思います。
 それから、1年目は難しゅうございますけれども、2年目以降は、1年やりますと、どういう形の成果が出るかというか、実績も出てまいりますので、そうしたことも加味してやることもできるだろうと思います。このプロジェクトはもう少し時間があったらここまで完成して、非常にいい結果が出るとか、いろいろなことがあろうかと思いますが、最初に全部を配ってしまうのではなくて、進捗状況を見ながら、重点的に配分する方式を採用したほうがいいのではないかという気がしております。このほうがより戦略的な利用に合致するのではないかと思います。
 人材育成でございます。
 この機構が計算科学と計算機科学の両者の連携を非常に強くうたうということもあって、両方の非常に高いポテンシャルを持った方々が神戸の地に集まってまいりますので、そういう中で、ぜひ、次世代のこういう分野を担う方を育てたいと思っております。当然、計算科学と計算機科学の両方がわかる人材、そして、これからのこうした研究は、超並列マシンを使いこなさないと成果が出ないものですので、そうしたことがちゃんとできる、使いこなせる人材を育てないといけません。これは大学院生、若手研究者、両方でございます。スクーリングを通して、共同研究を通して、こうした人材を育てて、そうした人たちをアカデミアとか産業界に送っていくことが求められているのではないかという気がしております。

 そして、神戸の地でやるのは、やはり一つの大学ではできない教育をやりたいと思っています。それぞれの大学でできるような教育といいましょうかスクーリングはそれぞれの大学でやっていただければいいわけで、神戸でないとできないと言ったらおかしいのですが、一つの大学ではなくて、いろいろな大学が力を合わせる、あるいはオールジャパン体制をとることによって、やっと実現可能なものをやりたいと思っています。
 一つのやり方としては、ここにありますように、1つの大学では実施不可能な教育を目指すということでございます。ご存じのように、いろいろな大学にすばらしい先生方がいらっしゃるんですけれども、いろいろなところに散在していると言ったらおかしいのですが、そういう形になっているのが日本の現状でございます。それぞれの大学で1つのカリキュラムがございますけれども、ある分野に関しては、非常にすぐれた先生がいらっしゃるけれども、ある分野は少し薄いということもございます。そうしたことを神戸の地では関係なしに、日本全国から優秀な人に来ていただき、ほんとうの教育をすることができるのではないかと思います。
 だから、いろいろな大学と機構とで一種教育コンソーシアムをつくりまして、スクーリングに関しては、例えば集中講義、特別講義、サマースクール、ウインタースクールのような形を神戸の地で開講する。もちろん、神戸の地で開講するには、神戸の近くの大学院生などは来ることはできますけれども、北海道にいる人はなかなかそうはいきません。そういう人たちには、ディスタンスラーニングといいますか、今、遠隔教育がかなり実際的にできるようになっておりますので、そういうことを大いに利用する。ほんとうの意味の手を動かしたりするとき、神戸の地でペタコンを使って少し実習をするということに関しては、ある期間来ていただいてやる。そういう形でこうしたことができるのではないかと思います。
 このコンソーシアムが実施の責任主体となってカリキュラムをつくったり、講師の手配をする。もちろん、単位はそれぞれの大学が認定していただかないといけません。そういう制度をつくっていただければと思います。それから、社会人の方に関しましては、何らかの形でコースを終了したら、修了証、サーティフィケートをちゃんと出してはどうかと思っております。
 そのときには、各大学、特に共同利用の情報基盤センターに力を発揮していただいて、こうした教育コンソーシアムなどに参加していただくとありがたいと思っております。これがスクーリングを通しての人材育成です。
 もう一つは、当然のことながら、共同研究を通して若手や学生を育成するということがございます。これは、神戸の地にいろいろな分野の方が集まってまいりますので、1つの分野だけではなくて、いろいろな方々と議論したりすることもできます。あるいは計算科学、計算機科学の方々もいらっしゃいます。あるいは応用数学とか数理科学の方々もいらっしゃいますので、そういう人たちが、垣根を非常に低い形にして、一種ぐちゃぐちゃな状態で、そういう若い学生たちが育ってくれたらいいなと思っています。
 こういうことを通して、計算科学研究機構が一つのハブと言ったらおかしいですが、人材のキャリアパスができればいいなと思っています。つまり、大学から若い人たちが神戸の地で勉強することによって、ここで育って、その人たちがまた産業界に行ったり別の大学に行く、そういうキャリアパスがうまい形でできると、この分野はもっと層が厚くなり、もっと若い人たちがこの分野に入ってくるのではないかと、そういうことを意識的に追求したいと思っています。
 情報基盤センターとの連携でございますが、これは基本的には計算機利用の重層構造を構築することが一番大きなことだろうと思います。そのために大学の情報基盤センターのスパコン、あるいは分野別の共同利用機関にスパコンがあるところがございますので、そういうところとうまく連携をとってやりたいと思っています。もちろん、独法にもそういうところがございますので、そういうところとも連携をとる。当然、ペタコンにかける前に、そういうところでまずはやっていただくという、実際にスパコンへのシームレスな利用を考える。それから、利用者のすそ野をどうやって広げるか、あるいは次世代のスパコンの開発とか利用高度化に関しても大学の情報基盤センターとは大いに連携をとらないといけないと考えております。
 これはポンチ絵的に、前のページの1に関して、特にそういうことをこういう形でやったらどうでしょうかという図にしたものです。最初は、利用者の方々はこうした既存のスパコンを使ってシミュレーションをやってみる。それで大丈夫だということであれば、神戸の地のペタコンを使うことになろうかと思います。あるいは、そういうことがだんだんできてくると、直接、そういう方々がこういうところを経ずに、神戸の地の次世代スパコンを使うことになろうかと思います。
 ただ、まだいろいろな問題が残っておりまして、戦略機関との連携の構築をどうやってやるか。もう少したつと戦略機関ができますので、それぞれの戦略機関と十分話し合いをさせていただいて、連携体制をどうやって組むかを詰めていきたいと思います。あるいは戦略機関から人が神戸の地に派遣され、サテライトができますので、そのあり方についても十分議論をしないといけません。
 マシンタイムに関しましても、一応の基本的な形は、今日、お話しいたしましたが、ほんとうにこういう形でいいのかどうか、あるいはもっと効率的なやり方があるのかということに関しても、詰める必要がございます。
 課金制度のあり方です。基本的には課金しないということで、成果を占有する場合に限って課金しようというのが基本的な考えだろうと思いますけれども、そうしたことでいいのかどうかということです。
 それから、ソフトウエアの維持管理をどうするか。
 すそ野を広げるという意味では、我々としてはもっと産業界の方々に使っていただきたいと思いますので、そのためにいろいろな仕掛け、仕組みをつくらないといけないのではないかと思っています。遠隔利用とかグリッドの利用も残された問題でございます。
 さっき言いました人材育成の仕組みの中では、もちろん人材育成と同時にキャリアパスといいましょうか、うまい仕組みをぜひつくりたいと思います。
 これは前回と同じスケジュールでございます。一応、建屋は来年5月中にはでき上がるということでございます。来年10月には機構をつくりたいと思っております。実は、建屋ができますと、ずぐ、ケーブルが引かれ、順次、計算機が搬入されてきますので、ほんとうはこのあたりから機構ができていないといけないのですが、なかなかそうもいきませんで、運用技術部門の方々には早目に神戸の地で活躍していただいて、機構そのものは少しおくれてスタートすることになろうかと思います。今のところ、平成24年には本格稼働して、利用者の方々に使っていただく形になっております。
 一応、そういうことでございます。時間が長くなって申しわけございません。

【土居主査】  どうもありがとうございました。ただいまの平尾先生のご説明に対する質問、あるいは部門を中心に動かすというご説明等もいただいたわけですけれども、体制だとか業務といったところで抜けがないかを含めてご意見を賜れればと思いますが、いかがでしょうか。

【矢川委員】  2つお聞きしたいんですけれども、1つは、日本の中に、今、大学に対してはいろいろなところから出てきたんですが、学会、ソサエティーが一つも言葉として出てこなかったのではないかと思います。学会の中でというのが日本にはあって、計算科学、計算科学技術などいろいろやっていて、それをかなりエンカレッジしよう、それで生きていこうというのもたくさんありますし、それをどうサポートしていくのかというのが一つあります。
 もう一つは、外国です。外国のユーザーはこれにかなり興味を持っていると思いますが、外国の方はどういうチャンネルで入り込めるのか。バリアがかなり高いと、いろいろな意味でよくないのではないかと個人的に思います。外国の人に、ちょっと使いたいけどという方がよくおられますが、手続等がややこしいと、結構大きなブーイングになるのではないかと思いますので、その2つ、どういうふうに積極的にお考えかをお聞きしたいのですが。

【平尾委員】  最初の学会という言葉は、私、学会という言葉をあえて使わなかったんですけれども、コミュニティーという言葉で書かせていただいたのですが、今、いろいろな戦略分野がございますが、戦略分野は基本的にはコミュニティーから成っていて、そこにはいろいろな学会が寄り集まっているわけでございます。私どもは学会もコミュニティーという言葉の中に入っているという形でやっているわけでございます。

【矢川委員】  それはインプリシットには入っていると思いますけれども、私が申し上げたいのは、もっとイクスプリシットにですね、学会というのがないとインプリシットになると思います。今のようなお答えだとちょっとどうかなと思います。

【平尾委員】  わかりました。それでは、そのあたり、少し気をつけてやりたいと思います。
 もう一つは国際化でございます。これは国際的な共同研究、あるいは外の人にペタコンを活用していくにはどうしたらいいかということに関しては、今、そういう方向でやりたいと思っているのですが、いろいろな問題を考えているというところで、これで大丈夫ですというところまではいっていない。片方で、少し慎重にならざるを得ないところもあったりして、基本的には私はオープンにしたいと思っておりますし、外国の方にも使っていただけるような形、仕組みをつくりたいと思っていますが、その前に幾つか問題を解決しないといけないところもあるのではないかと思っています。
 それから、人に関しましては、できるだけ多くの方々に外国から来ていただきたいと思っています。神戸に来ていただいて使う分に関してはそんなに問題はございませんので、差別された、世界のこの分野を牽引している方々にはシニアリサーチフェローという制度で、そういう方に年に何カ月か神戸に来ていただいて、一緒に共同研究をしたり、あるいはディスカッションをしたり。
 それから、若い人に関しては当然のことですが、それぞれの研究グループで若い人をどんどんという形でできると思います。問題は、外にいてネットワークを通して利用するということなんですが、これに関して、私は基本的に、特にアジアに関しては解放したいなと思っていますが、どういう形でできるかはまだいろいろと問題があることも事実でございますので、もう少し検討させてください。
 以上でございます。

【土居主査】  ありがとうございます。

 ほかには。

【寺倉委員】  今の問題と関係するんですけれども、客員制度が、もうちょっとイクスプリシットに書かれていてもいいのではないかというのが一つです。
 もう一つは、名称についてです。2ページに「計算科学技術を強力に推進する」という文言がありますが、平尾先生の説明を伺っていると、計算科学と計算機科学を合わせるのにつくったような用語のように聞こえたんですけれども、これだけ読むと、えらいテクニカルなイメージを持つんです。
 似たような言葉で、後で学際計算科学と出てきます。学際計算科学というほうが。

【平尾委員】  まだいいですか。

【寺倉委員】  もうちょっといいよう気がするんですけれども、どうでしょうか。
 ご説明を伺えばいいんですけれども、そうでないと非常にテクニカルなところをやるような、文章だけ読むとそういう印象を受けます。

【平尾委員】  最初の客員制度に関しては、ほんとうに私どもは導入したいと思っていますので、もう少しきちんとした形でこの中に……。こうした機構の体制の中のイメージとしては、これ以外にもまだ幾つかございますので、全部書いているわけではございませんが、客員制度に関しては、十分、私どもも考えておりますので、ぜひ入れたいと思っております。
 「計算科学技術」という言葉は、いろいろな国の審議会の中にこの言葉が出てくるんです。計算科学と計算機科学を一緒にしたような言葉としてあるんですが、確かに私自身もあまり好きではないですが、ちょっといい言葉をつくらないといけないと思っています。学際計算科学は、もともと筑波大学の計算センターの佐藤先生とか宇川先生をはじめとして提唱されている、2つの領域をもっと融合した領域、学問体系をつくらないといけませんねということで提案されている言葉なんですが、場合によってはこちらをもっと推進するということもあろうかと思います。

【寺倉委員】  実は、最初に話があった情報関係の方からの要望も考えると、研究機構の名称そのものを学際研究機構か何かにしてしまって、もう少し学際的なイメージをイクスプリストに入れてしまうのも一つの可能性ではないかと思って聞いていたんです。
 ついでにもう一点あるんですが、教育人材育成のことは後ろで随分詳しくご説明されたので、一応、納得したんですけれども、最初のほうの、機構の組織体制のイメージ(1)、(2)の中に教育人材育成というのがどこにも出てこないんです。どこもかも全部が一緒にやるんでしょうけれども、例えば、企画戦略部門の中かどうかは知りませんが、どこかに、もうちょっとイクスプリシットに入っていたほうが、後ろのほうで結構ウエートが置かれて書かれているので、最初のサマリーのところにあったほうがいいのではないかと思います。

【平尾委員】  ありがとうございます。そうさせていただきます。

【中村委員】  私も、今の教育のことはそういうふうに思ったんですけれども、今日の研究教育拠点形成ということですが、お話を聞くと、どちらかというと研究拠点がメーンになっていて、コンソーシアムを大学と一緒に形成するのはいいと思うんですが、では一体、先生のところの拠点がどういう役割でそれをやっていくのかがいま一つ見えなくて、組織的には企画戦略部門というところでしょうか、そこがコンソーシアムをつくるのかなと思います。
 以前、第13回ぐらいのときに教育利用についてのあり方とか、いろいろヒアリングがあって、大学の先生などから具体的な案があったと思うんです。そういうのを取りまとめる教育の拠点についても平尾先生のところにお任せしてしまうのか、そこら辺が戦略委員会で、私はわかっていないので、そこをお願いしたいんですが。

【平尾委員】  実は、理研は研究機関でございまして教育機関ではないんです。ですので、学位を出したり、単位を認定することができない機関でございます。ただ、せっかく神戸の地にこういう計算機科学、あるいは計算科学の方が集まってまいりますので、一つの大学ではできないような、それを超えたようなことができるのではないかと思って考えたのです。
 例えば、今、関西だと4大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、奈良先端科学技術大学院大学がコンソーシアムを組もうとして、今、話をされていて、いろいろなディスカッションをしています。その中に、一緒に機構も加わらせていただいて、コンソーシアムがということですが、実際には機構がこういうカリキュラムをつくったらどうだとか、こういう先生をお呼びしたらどうだろうかという、いろいろな形で参加することによって、教育体系をつくり上げる。そして、学生は大学から来られる。単位に関しましては機構で認定することはできませんので、それぞれの大学でやっていただくというのを少しずつ広げていって、もう少しオールジャパン的にやれるといいなと考えているわけでございます。

【土居主査】  いかがでしょうか。これも詰めていかないといけない話で……。

【平尾委員】  前のときにも、神戸大学の賀谷先生などは随分ご熱心に、いろいろな提案をしていただいたので、そういうことも積極的に私どもとしては受けとめて、やりたいと思っています。

【土居主査】  ぜひ、お願いいたします。
 ほかにはいかがですか。

【小柳委員】  今の件ですけれども、いろいろな書類の中で人材育成や教育の問題は大変に重要な問題で、見てみますと、もちろん、機構もある取り組みをなされますし、戦略拠点もそういう機能が要求されている。よく見ると、登録機関にもそういう機能が予定されまして、その辺の調整がこれから重要になるのではないかと思いますので、それぞれ特徴のある能力を生かして、そういう協力体制ができればいいのではないかと思っております。

【土居主査】  ありがとうございます。
 おそらく、かなりのオーバーラップをしながら、それぞれがそれぞれ分担していくことになろうかと思うので、当初から詰めるのは難しいところがあろうかと思いますが、ちょっとお考えいただければと思います。お願いいたします。

【平尾委員】  特に戦略機関が決まりますと、戦略分野の教育ということには、それぞれの戦略機関がある種の責任を持つわけです。だけれども、ほかの分野の方々もそういうものを聞きたいという声があるわけです、講義を。ですから、うまく戦略機関とも連携をとりながら、ほんとうにいいものをつくれるといいなと思っています。

【土居主査】  ぜひ、お願いします。その他はいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、予定しておりました時間はもう過ぎておりますので、ほかにご質問等がなければ、今、お出しいただきましたご意見、あるいはここでのご議論を踏まえて、また、理化学研究所の平尾先生のほうでお考えいただいて、その後どうするのがよいかということがあるんですが、今、最後に平尾先生がおっしゃられましたように、ある意味で戦略機関をはじめとします機関とも打ち合わせというのがありますので、戦略機関が、今、公募中のものがフィックスして、それと打ち合わせをやっていただいた後で、またこの場でというのがいいのかなとも思いますし、特段、途中で先生のほうのお考えで、先生方からご意見を聞きたいということがありましたら、これに関しましては、その都度、開かせていただくということがいいかなと思っております。
 そうすると、戦略機関等々が決まって、それ等をやってということになりますと、ちょっと先になりますよね。ですから、ちょっと先になって、この場でまたご報告をいただくということで、また日時は決めさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上でございますが、何かほかにございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、事務局から何かほかに連絡事項等はございますか。

【事務局】  次回の戦略委員会は戦略プログラムの戦略機関の決定としまして、審査検討会を10月下旬に開催いたします。それ以降の戦略委員会の日程については、また追ってご連絡させていただきます。
 以上です。

【土居主査】  どうもありがとうございました。
 戦略委員会はこれで終了させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

 

 

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