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資料1

第1回 量子ビーム研究開発・利用推進検討会 議事概要(案)


1. 日時: 平成17年6月7日(火曜日)15時30分〜17時40分

2. 場所: 文科省ビル10階 10F3会議室

3. 出席者
 
(委員) 河内委員、阪部委員、桜井委員、田川委員、田中委員、中村委員、西原委員、福嶋委員、福山委員(主査)
 
(発表者)
  高輝度光科学研究センター広報室長
森井   理化学研究所フロンティア研究システム重イオン加速器科学研究プログラムディレクター
永宮   高エネルギー加速器研究機構教授・大強度陽子加速器計画プロジェクトディレクター
 
(事務局) 清水研究振興局長、小田研究振興局審議官、斎藤量子放射線研究推進室長、小島大型放射光施設利用推進室長 他

4. 議題
 
(1)   量子ビーム研究開発・利用推進に関する検討について
(2)   量子ビームテクノロジーの現状・展望について
(3)   今後検討すべき主要課題について
(4)   その他

5. 議事概要
 
「◇:主査」、「◆:委員」、「○:説明者」、「●:事務局」]
1)   福山委員を主査に選出
2)   量子ビーム研究開発・利用推進に関する検討について<資料1−1及び1−2に基づき事務局から説明>
3)   量子ビームテクノロジーの現状・展望について<資料2−1に基づき原室長、資料2−2に基づき森井次長から説明>

  主査 中性子による残留応力解析について、自動車の例が知られているが、どのようなものがあるのか。

  説明者 自動車の溶接箇所や燃料部分の圧力のかかる箇所については、従来は解体して確認するしかなかったが、中性子線では解体しないでも見ることが可能となる。現在の装置では一辺30センチメートル程度の大きさまでなら可能である。

  委員 残留応力の測定に用いるのは冷中性子か。また強度は。

  説明者 熱中性子である。2ミリメートルかけるミリメートルかけるミリメートル程度の領域を見ることが出来る。フラックスは2かける10の5乗毎平方センチメートル毎秒、見る能力はビームの強さに比例するので、J−PARCでもう少し強くなれば、さらに詳しい領域を観測することができる。

  委員 タンパク測定における解析時間短縮の話があるが、従来のX線源と比べてSPring-8の利点は何か。

  説明者 光強度が強いことによる測定の迅速化及び波長の任意選択性にある。その特性を利用して、試料の吸収端を挟み3つの波長を用いて一つの結晶で測定が短時間にできることである。

  委員 現在タンパクの構造測定で問題なのは結晶の生成であろう。必要な結晶の大きさ、純度などについてはどうか。

  説明者 SPring-8は光源として世界でトップクラスの能力を誇っている。タンパク質の研究では、最近、多くのプロセスをオートメーション化してタンパク結晶の生成を行っているが、SPring-8では非常に小さな結晶で構造解析が行えるので研究の促進に寄与できている。

  委員 課題選定にあたっての評価委員会での優先順位付け如何。例えば、産業利用の優位性はあるのか。

  説明者 基準に従って評価し、独創的で開拓的な研究が採り上げられるよう留意している。緊急性のあるものについては緊急課題として申請可能。産業利用については産業利用の観点から評価して利用する。

  委員 産業界などの外部利用の際、加速器専門の職員によるバックアップ体制についてはどうなっているのか。

  説明者 SPring-8では、延べ人数で概ね年間9千人が利用していることから、大学の共同利用のようなボランティア的なものなどではなく、きっちりとしたバックアップを考慮した施設の運営体制を組んでいる。

  説明者 JRR-3では、逆にボランティアで行っているのが現状である。これは、原研がこれまで無償利用を原則として利用者増を図ってきた経緯のためである。残留応力測定装置に限れば、現在の外部利用は運転時間の30パーセント程である。近年有償利用としてきているが、支援体制が必要と考えている。利用者数についてはもっと増やしていきたいし、いかねばならない。

  委員 利用料は如何ほどか。

  説明者 利用場所にもよるが、炉室内であれば1日当たり12万円というところか。

  委員 SPring-8は、JRR-3に比べて利用料が高いのでは。

  説明者 パフォーマンスとの絡みもあり、単純に金額だけでは比較はできない。利用料に関しては次回に説明するようにと事務局に依頼されている。SPring-8ではトライアルユースに対し、コーディネーター制度を設けて利用者を増やす工夫等を行っている。

  委員 原研の中性子利用(のバックアップ)はボランタリーと言うことだが、民間が専用のラインを別途自力で整備したいといった申し出は無いのか。

  説明者 以前、そういった申し出があったが、J-PARCの計画が立ち上がったのに伴い、現在はJ-PARC建設を睨んで様子を伺っている、という状態と思われる。

  委員 我が国では一般的に欧米と比べて、バックアップの人数が少ない。少ない体制で効率が上がればよいが、実際にパフォーマンスは上がるのか。また、ビームラインを整備するとどのようなメリットや課題があるのか。

  主査 まさに、そのあたりが本検討会の論点の一つであり、次回以降に議論すべき。

  <資料2−3に基づき矢野ディレクター、資料2−4に基づき永宮ディレクターから説明>

 
  委員 ポストゲノム研究では、放射光実験データがこれまで創薬にまで結びつき難いという指摘があった。中性子により、タンパク質の構造の時間的揺らぎを見ることができるのはうれしいことであるが、これにより、より有効に創薬に結びつくという実際の具体的な実証データがあるのか。

  説明者 すべてのタンパク質に対して有効、というだけの資料は今手元にないが、いくつかのタンパク質に関する資料は後日提出できると思う。

  主査 SPring-8では揺らぎを見ることができない、ということか。

  委員 揺らぎ、リガンドの問題などがあり放射光では難しい。

  主査 この話題は、今後の検討事項として扱うこととする。

  委員 重イオンビームについて、例えばイネゲノムは配列が全部わかっているので、それと併せて、品種改良を行うことは可能か。現状のイチかバチかから水平展開できればよい。こういうことができるという基盤を整備し、情報発信してほしい。産業界は難しい話は苦手で、どう使えるのかが最大の関心事である。今ある事例を示してもらえれば、産業界も利用に踏み切れる。

  説明者 理研においては、研究部門と産業応用部門を切り離して対応を検討している。

  委員 日本は、イネゲノムとcDNAでの強みがあり、産業界はここに乗るべき。イネの全ゲノムシーケンスとcDNAと併せて、重イオンビームでの品種改良ができるとよい。イネゲノム解析スタッフとの連携を深めることも検討してほしい。

  説明者 純国産の画期的取組みである。少なくとも重イオン加速器を持つ他の国々でも同様の取組みが始まりつつあるが、日本が今後もこの分野でリードする状況を保持していきたい。植物分野の研究者もようやくイオンビーム育種について有用性を認識し始めてきたところである。今後、産業界が入りやすいように考えていきたい。

  <資料2−5に基づき事務局から説明>

 
  説明者 1点補足するが、欧州グルノーブルなどでは放射光と中性子ビームが相補的に利用されているという状況にある。

  委員 国際協力・貢献、特にアジアという視点で見るとどうなるかが重要である。

  委員 グルノーブルのPSB(構造生物パートナーシップ)、MINATECの例などを参考にすると、産業応用についてもっと考慮すべき。また、日本はRIBFやJ-PARCなどサイエンスとしては良くやっているのだろうが、米欧亜3極に位置づけられる日本において、アジアにおける人材育成として見た場合の貢献度はどうか。

  説明者 J-PARCでは、海外、特にアジアのユーザーは視野に入れているが、インドは難しいところがある。日本側からのサポート体制が必要な国もあり、今後の課題である。

  説明者 RIBFでは、中国・台湾・韓国などとはアジアのリージョナルセンターとしてかなり連携を進めているつもりだが、国際協力には金がかかる。施設・設備予算に比べて人材育成の予算はつきにくい。気持ちの上では推進していきたいが、なかなか難しいのが現状。

  委員 J-PARCのリニアックの400メブ化について、中性子ビームの性能への影響はどうか。

  説明者 元々は400メブでの計画で始まった。中性子ビームの品質上も400メブが望ましい。ただし、超伝導リニアックでの600メブ化は(2期計画である)核変換実験施設に関係してくるもので、中性子ビームの性能上は無関係である。

  委員 資料2−5のレーザー施設の表について、利用分野のほとんどが核融合利用目的となっているが、現状はもっと広い科学分野に利用されており、産業利用にも資するものである。

  事務局 今後いろいろな意見を踏まえ、改訂していきたい。

 
  4)   今後検討すべき主要課題について
      <資料3に基づき事務局から説明>
  5)   その他
事務局から、次回は6月21日(火曜日)13時30分〜16時30分、第3回は7月4日(月曜日)10時〜12時の開催予定であることを周知した。

  閉会


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