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科学技術分野の顕彰制度のあり方についての懇談会

2003年5月6日

第1回「科学技術分野の顕彰制度のあり方についての懇談会」議事概要


第1回「科学技術分野の顕彰制度のあり方についての懇談会」議事概要

 

1. 開催日時      平成15年5月6日(火)   10:00〜12:45
2. 開催場所      研究振興局局議室
3. 出席者
(メンバー) 日本学術振興会理事   伊賀健一
独立行政法人防災科学技術研究所研究主監   石田瑞穂
理化学研究所副理事長   小川智也
科学技術振興事業団理事長   沖村憲樹
東洋大学教授   工藤和美
科学技術政策研究所科学技術動向研究センター長   桑原輝隆
国立情報学研究所長   末松安晴
(社)発明協会常務理事   高羽宗孝
名古屋市科学館館長   樋口敬二

(事務局)
研究振興局長     石川   明
大臣官房審議官(研究振興局担当)   丸山剛司
研究振興局振興企画課長   川原田信市
研究振興局振興企画課奨励室長   奥津   光
4. 議題
(1)    現行の科学技術分野の文部科学大臣表彰制度について
(2)    現行制度の問題点と検討について
5. 配布資料
資料1     第1回「科学技術分野の顕彰制度のあり方についての懇談会」次第
資料2   「科学技術分野の顕彰制度のあり方についての懇談会」について
資料3   表彰制度の検討
資料4   科学技術分野の文部科学大臣賞について
資料5   文部科学大臣賞(科学技術功労者等)実績推移
資料6   文部科学大臣賞日程
資料7   科学技術基本計画   抜粋
資料8   顕彰制度等の手引
資料9   平成15年度   文部科学大臣賞
資料10   受賞校及び受賞者一覧

6. 議事要旨
(1) 石川局長より開会の挨拶があり、末松国立情報学研究所長を座長に依頼。
(2) 出席メンバーの自己紹介。
(3) 事務局より配布資料の確認。
(4) 事務局より表彰制度を改正する趣旨及び現行の各表彰制度の概要、表彰要件、評価方法、審査方法について説明、さらに、各大臣表彰受賞者の内、特に優れた者は褒章、叙勲の候補者となっていることを説明。

その際の意見概要   (○   −−−メンバー   △−−−事務局の発言)

我が国の画期的な技術開発成果であるH−2、新幹線の開発については、これまでに大臣賞の授与の実績がある。地球シミュレータには受賞実績が無い。現行の大臣表彰の対象は個人に限定しているため、チームによるものや、企業をまたがって開発されるものは、受賞対象にしていない。ノーベル賞をはじめとして複数受賞を行っている。表彰の対象者の範囲は、個人に限定せずに、複数の受賞が必要。

(5) 若手研究者の顕彰について
若手研究者の顕彰については、学会が論文について若手の評価を行っている。現行の研究功績者表彰と科学技術功労者表彰で優秀な者をカバーしているのであれば、若手の表彰制度の創設は必ずしも必要ない。

科学技術基本計画に沿って考えると、競争的資金である研究費によって、成果をあげて評価を受けた研究を行った若手研究者を顕彰することにし、若手研究者の顕彰は、研究費を出すところと同じところで行って、表彰し、その結果、研究体制を作れるようにしたらどうか。それによって、若手研究者の表彰制度を有していない学会も、制度を整備して推薦してくることが期待できる。

顕彰制度は、研究費を出すところから切り離すべき。

大学からの推薦だけでは、推薦母体として狭すぎるので、オールジャパンで最も研究活動を捕捉している学会が推薦母体として相応しい。

若手研究者について、萌芽的に見ると、学術と科学技術を区別すべきではない。現行の表彰制度の候補者は、推薦主義によっているが、若手については新たな方式を含めて検討する必要がある。すべての研究者を対象にして検討すると、内局だけで行うことは無理ではないか。

若手研究者の顕彰を行う対象となる年齢は、40歳では育成にならない。研究分野によって若手の年齢範囲は異なってくるが、ポストドクターの年齢が30歳前半、科研費の若手研究員の年齢は37歳を限度としていることを考慮すべき。

若手の顕彰人数は、分野別に制限するか推薦母体別に制限する考え方がある。分野については、大くくりで設けないと評価ができない。

顕彰を受ける若手研究者は、リーズナブルな相応しい者でなくてはならないので、学会から、一定レベル以上の適格者の推薦を得られるようにし、選考委員会の下に、各分野のプレレビュー集団を置いて有識者が検討し、ロジカルな推薦理由を付すことが必要。本件は、選考委員会のあり方と、受賞分野に係る重要な課題である。

顕彰を受ける候補は、いくつかの集団の中から、評価の実績を有する者を1名ないし2名選び出すことが想定されるが、その際、学会をどのようにくくるかが重要である。また、学会だけではなく企業もあり、推薦のみでなくピックアップ方式も採ることが必要である。

(6) 創意工夫功労者表彰について
創意工夫功労者については、従来の表彰のやり方を継続し、賞の目的が受賞者へのエンカレッジであることと、賞の趣旨の周知徹底により広い範囲で多くの推薦を得ることが重要である。

(7) 審査のあり方等について
今の体制では、新たな候補者の発掘を行うには限界がある。現在、国の機関が審査を行っているのが、国以外の機関が審査を行うとなると詳細な事項のヒアリングに応じなくなることが危惧されるが、一般に言える範囲で説明してもらえば良い。産学官の連携における技術移転においては、国と企業との関係が見直されている背景もある。

新規の技術開発テーマについて、初めての選考の際には、「目利き」の判断が重要になる。選考にあたって、候補に欠落があることの指摘を行い、あわせてピックアップを行えるような機能をもつ選考委員会の存在が必要である。

(8) 第1回の懇談会のしめくくりにあたり次のような意見があった。
推薦を行う組織は、大学、企業、学協会が想定される。
表彰対象は、現行の各賞に対応するものについては、従前と変らない。若手研究員の顕彰の対象については、学術分野を区別しない。
表彰の分類の変更は、多少は必要。
審査体制については、仕組みを含め、かなり変えていく必要があるのではないか。
若手研究者の顕彰を行う対象分野については、次回とりまとめることとする。
複数表彰については、タイトに考えないが、実質に中核になっている者の推薦を受けることとするが、一度範囲を緩くすると以後、広がっていくことに注意しなくてはならない。
文部科学大臣賞を受賞した研究者が、地元の小中学生に自らの機関を紹介し説明して、科学技術の普及啓発を行わせると良いのではないか。




(研究振興局振興企画課奨励室)

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