政策評価に関する有識者会議(第60回) 議事要旨

1.日時

令和5年9月12日(火曜日)13時30分~14時45分

2.場所

Web開催(Webex)

3.議題

  1. 「政策体系等」の試行的作成の現状と成果、今後の課題等について
  2. その他

4.有識者委員からの主な御意見

1. 「政策体系等」の試行的作成の現状と成果、今後の課題等について

○文部科学省より資料1-1に基づき、「政策体系等」の試行的作成の現状と成果、今後の課題等について説明があった。その後、質疑応答がなされた。委員からの主な意見は以下のとおり。
 
(林委員)
・ 達成目標はアウトカム表現を標準にするべきではないか。達成手段を行うことで何かをするとか、文科省が何かを促進するというのではなく、政策介入した結果として、ターゲットがどう変わるのか・どういう状態になるのかというアウトカム表現にすべき。
・ 1つの測定指標で表現するのは非常に難しい。例えば、高等教育分野であれば、既に実施している大学に対しての改善・改革に係る調査において、総合的に改革が進んでいるかを問う項目もあるため、そうした項目を使うことで、全体像が分かるのではないか。
・ 科学技術分野は、事務事業レベルの目標や指標をそのまま施策レベルに置いているものが多い。施策があり、施策目標があり、それを実現するために達成手段としての事務事業を考え、それを実施するというのが本来の形。科学技術の場合、しばしば競争的資金のような形で少数の研究者や大学にファンドする方策をとるが、その対象には変化が起きたかもしれないが、国全体としてどうなのかという点が全く抜け落ちてしまっているのではないかという課題が考えられる。例えば、研究環境の整備など、国全体の変化を目指す事業内容であれば、少数の採択された大学等を支援することにとどまらず、優良事例をどう普及していくのか、それによって国全体がどう変わっていくのか、といったことも事業の中で検討する必要がある。また、こうしたロジックモデルをつくることで、事業の立て方の改善につなげてもらいたいが、現状、施策レベルの指標、目標を設定しづらいという印象。
 
(杉谷委員)
・ ロジックが比較的シンプルである印象。例えば高等教育分野で、一部の取組に財源を投下し、その効果を検証して好事例のモデルとして周知していくことによって取組が共有・拡大していく、という前提の下で指標が立てられている部分が比較的多い印象。しかしながら、周知すれば共有・拡大されていくかという点は、十分に明らかになっていない。各大学でのインプットや、それぞれの文化や文脈の影響を受けた上で実践されるかどうかが重要であり、むしろどの程度広がっているのか、広がらない場合はなぜ広がらないのかといった要因を検証することも、今後重要となるのではないか。
・ 測定尺度(割合、比率)を書くべきところに「~の増加」などの変化を示す動名詞は不要ではないか。達成目標とほぼ同じような記載になっている。
・ 改善に向けての新たな政策評価かとは思うが、作業負担の軽減をもう少し図れるとよい。
 
(金藤委員)
・ 今回の改革で、「目標-指標-達成手段-貢献」といった一連の流れがより明確化され、発現経路の明確化が実現していると感じた。同時に、こうした毎年度のモニタリングとともに、政策評価が次なる基本計画に生かされていく経路も以前よりも一層明確になっていると思う。一方、このように一連の流れが見えることによって、整合性のよしあしもはっきり見えてくるので、更なる検討を進めていただきたい。
・ この取組の趣旨に照らせば、評価書作成のスケジュールについては、基本的には次なる計画に反映できる時期に合わせて行っていくのがよい。そのためには、単年度評価ばかりを留意するのではなく、長期的なスパン、複数年度の評価ということもあり得る。
・ 優先施策とその他の施策の違いというものが、表だけだと逆に見えにくくなってしまうこともある。どのように見える化していくのか。
 
(川上委員)
・ アウトカムの粒度を統一すればいいというものではないことに留意すべき。教育分野の場合、文科省が直接事業をする場合とそうでない場合があり、直接事業するときに適切な粒度と、間接的に行われた取組の結果として目指す状況の粒度とでは、ばらつきがあって当然。
 
(横山委員)
・ 目標に対する手段が無数にある中で、そのエビデンスとなる数字を全て抽出するのはとても無理である一方で、選んだ指標が、ある観点から見ると少し偏りが生じやすいということに懸念を持った。例えば、研究であれば、量的エビデンスのほかにも質的な分析が非常に重要になってくるが、こういった政策評価のときにはエビデンスが数値に偏りがち。それが基本となる一方、全ての評価を数値で並べるわけにもいかない場合に、質的なエビデンスをもう少し含められるような補強の仕方が必要ではないか。量で判断できない部分をどのように評価するのかが一つの観点。
 
(大日方委員)
・ 基本計画の策定にも携わっているが、基本計画においては当然のことと考えていたことが、政策評価においてこういった形で評価をすると、こことここが実はつながっていなかったということや、特にアカウンタビリティの観点からもっとしっかり基本計画の中で議論をしていったほうがよいのではないかといった気付きを持てるのではないかと感じた。今後審議会で行う基本計画のフォローアップにおいて、今回の有識者会議からの助言を踏まえ、課題や指摘をしっかり議論していくこと、共有をしていくことで、次の基本計画に向けた論点の整理にも繋がると感じた。
・ 優先的に考えていくべきとする施策の数がかなり多い。今後もう少し絞っていった中で、ここは特に重点的に取り組む視点だという部分がわかってくると、評価についてもより議論しやすいのではないか。
 
(川口委員)
・ あらかじめ政策目標をどのように測るのかという点を一覧にしておくことは、事前にどういうことを測定するのかということをコミットしておくという意味でも重要。うまくいかなかった政策も当然出てくると思うが、そういったものについても公表することが重要。
・ 事前に、測定指標のソースを明らかにしたほうがよいというコメントをした。時間のかかる作業だと思うが、できるだけ早い段階であらかじめ、どのように測定するのかを考えることにより、既存の統計で十分にそのアウトカム(あるいはアウトプット)を捉えられるのか、実際に測定されるものが本当に意味のあるものなのかを検討することもできると思う。

2. その他

○文部科学省より、今後の政策評価等に係る主なスケジュールについて説明があった。

以上

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大臣官房政策課政策推進室