資料4-1 令和元年度EBPM推進に向けた取組について(報告)

1.行政事業レビューにおけるEBPMの活用

 令和元年度春の行政事業レビューにおける公開プロセス対象事業について、事業の経緯整理や進捗確認等を目的としてロジックモデルを作成した。なお、科政局担当分の「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)」については、第4回EBPM推進委員会において、ロジックモデルの作成に際して得られた知見等の公表を行った。
 ロジックモデルを作成することで、エビデンスを用いた成果・課題の分析や事業の進捗状況などの現状把握が行え、目的達成に向けた取組の明確化や適切な目標値の設定などを再検討する良い機会となった。一方、以下の点で追加データの収集・分析等の限界やコストパフォーマンスに課題がある。

  1. 事業実施直後に効果が発現しない場合の定量的・定性的なエビデンスの収集
  2. 事業開始後におけるEBPM的手法の導入

2.EBPMの試行的実践

  平成31年度新規事業または令和2年度概算要求事業を対象として、文科省内からEBPMの試行的実践を希望する事業を公募し、1事業についてロジックモデルの作成を行った。  

3.EBPM実例創出

  内閣官房行政改革推進事務局の要請に基づき、EBPMの知見蓄積を図るため、各局庁より1事業を選定し、ロジックモデルの作成を行った。
 実施後のアンケートを踏まえると、全体的には、ロジックモデルの作成を通じて施策の現状認識、課題の分析、事業全体の狙い、アウトカムなどの関係性を体系的に整理することが可能となった、新規事業については、事業内容を分かりやすく、対外的に説明しやすい資料を作成することに役立ったとの意見が寄せられた。他方、データ取得や担当者の作業負担、EBPM的手法の省内への波及方法に関する課題が見られた。また、予算要求過程と連動させることで、成果物を活用させるべきという意見も寄せられた。
 なお、8事業のうち研究開発局による「幅広いアプローチ(BA)活動の推進に必要な経費」について、EBPM実例創出として行革事務局へ報告を行う予定。これまで、研究開発事業はEBPMになじまないのではないか、という仮説があったが、ロジックモデルを通じた課題の把握や関連事業との棲み分け整理を一定程度行うことができ、更に、要素技術のマッピングの作成に取り組んだことで、戦略的な事業実施の方向性を見出すことができたため、研究開発系事業に対するEBPM的手法のテンプレートの一つを示すことができた。  

4.文部科学省におけるEBPM研修

 文部科学省職員に対して、EBPMを活用するために必要な知見の向上等のため、外部有識者を講師としたEBPM研修を2回実施し、のべ約110名が受講した。アンケートにより、受講者の85%が研修に満足したと回答した一方、実例を交えたより手触り感のある研修を求める声も寄せられた。また、統計データの見方や分析手法について、基礎的素養の学習機会を求める意見とより実践的な解析手法の習得を希望する意見に二分され、職員のニーズに合った幅広い研修の実施が必要である。

 

5.統計等のデータ活用の推進を目的とした窓口の開設

 国立教育政策研究所(以下、国研という。)の協力のもと、文部科学省におけるEBPMデータに関する総合的な相談窓口を開設した。国研において既に蓄積された研究成果・研究情報を文科省における政策の企画・立案に活用するとともに、ニーズに合わせた新たなデータの蓄積促進を目的とする。
 調査の実施に際して統計学の観点から研究者の見解を求めたり、政府の基幹統計について相関関係の分析などの解析手法を伺ったり、といった利用がなされた。  

6.教育分野等におけるEBPMの推進

省内職員を対象とした研修会の開催
地方自治体におけるPDCAサイクルの促進
 都道府県、政令指定都市、市区町村教育委員会に対し、エビデンスを重視したPDCAサイクルに関する取組状況を調査。各教育委員会における教育政策のEBPM推進担当を登録し、地方自治体を中心とした教育政策のEBPM推進に向けたコンソーシアム立ち上げ
総合教育政策局における取組
 政策プロセスの改善として以下を実施。

  1. 予算事業の立案プロセスの改善
    (政策課題の整理、ロジックモデル作成のためのワークショップ開催、国研研究者や 現場との意見交換の場の設定等により、EBPMの観点を踏まえた予算検討の推進)
  2. モデル事業の改善
    (委託で実施する新規モデル事業について、事業終了後に成果の把握と横展開が可能となるよう、検証する仮説の内容や検証方法等の事業設計について国研研究者を交えた勉強会等を実施)
 

7.概算要求の在り方の見直し

  令和2年度概算要求において、会計課長ヒアリングの実施をはじめとした検討体制の強化や、特に文教予算において真に推進すべきと選定された重点事業について、EBPM等の観点から合理的根拠に基づいて政策の必要性・重要性等を説明できるよう精査を行った。
 結果として、ヒアリングや重点事業の対象となったいくつかの事業については一定程度アウトプット・アウトカムを意識した事業内容となるなど、一定の効果を上げることができた。しかしながら、一部の事業については、骨太等の政策文書に関連した記載があるにも関わらず、ヒアリングを行った6月下旬段階で事業の詳細が詰められていない局課もあり、成果を出すことができなかった事業もあった。そのため、令和3年度概算要求においては要求スケジュールの見直しなどに取り組む必要がある。

お問合せ先

大臣官房政策課政策推進室