学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議(第1回) 議事録

1.日時

平成25年10月4日(金曜日) 14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 学事暦の多様化とギャップタームの推進の理念について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)浅原利正委員、市村泰男副座長、御手洗尚樹委員、齊藤斗志二委員、島村元紹委員、鈴木典比古座長、砂田薫委員、長谷山彰委員、萩原なつ子委員、秦由美子委員、濱田純一委員、藤沢久美委員、船橋力委員、宮城治男委員、山内進委員
(講演者)濱田純一委員

文部科学省

下村文部科学大臣、板東文部科学審議官、戸谷官房長、大槻総括審議官、布村高等教育局長、中岡高等教育局審議官、常盤高等教育局審議官、里見大学振興課長、渡辺学生・留学生課長、白井大学振興課課長補佐、西青少年課課長補佐

5.議事録

【里見大学振興課長】  それでは、所定の時刻になりましたので、第1回学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議を開催いたします。本日は、御多忙の中御出席いただき、誠にありがとうございます。
 初回でございますので、当分の間、大学振興課長の私、里見が進行をさせていただきます。
 まず、資料2でございます。会議の公開についてでございます。会議の公開につきましては、資料2を御確認いただきますと、この検討会議につきましては原則として公開ということを定めていただきたいというふうに考えてございます。特に御異議なければ、このまま公開とさせていただきたいと存じますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【里見大学振興課長】  ありがとうございます。それでは、御了解させていただきましたということで、これから、取材、傍聴の方に入室をしていただきますので、しばらくお待ちください。
(報道関係者、傍聴者入室)
【里見大学振興課長】  それでは、学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議(第1回)を開催させていただきます。
 初めに、下村博文文部科学大臣から御挨拶申し上げます。
【下村大臣】  文部科学大臣の下村博文でございます。委員各位におかれましては、本検討会議の委員に御就任をいただきました、お許しをいただきましたことを本当に感謝申し上げたいと思います。本日は御多忙のところ、文部科学省までお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
 情報化の進展に伴うグローバル化、ボーダーレス化の急速な進展に伴い、社会経済の構造は大きく変化しております。アジアの成熟社会である我が国が今後も国際社会において確固たる地位を占め、発展し続けるためには、次代を担う人材を育成すること、そして、新しい価値を世界に先んじて創出することが強く求められているのではないかと考えます。
 私は、大学教育の最重要課題は、これは量的な拡大と質的な向上をともに進めていくことではないかと考えております。世界を見れば、この20年間で成長を遂げた国々は、いずれも大学教育に力を入れてきました。我が国も負けずに大学教育に更に力を入れるということがこれまで以上に求められているのではないかと思います。
 教育再生実行会議におきましても、こうした観点から有識者の方々に様々な角度から御議論いただき、1つに、グローバル化への対応やイノベーション創出のための環境づくり、2つ目に、学生を鍛え上げ、社会に送り出す教育機能の強化、3つ目に、社会人の学び直し、4つ目に、大学のガバナンス改革等を通じた経営基盤の強化を盛り込んだ第三次提言を今年5月に取りまとめていただいたところでもございます。
 本検討会で御審議いただく学事暦の多様化とギャップタームの推進は、教育再生実行会議の提言にも深く関わるものであり、大学改革の大きな柱の1つとなるものであります。日本人学生の派遣や留学生の受け入れの促進にとどまらず、ギャップタームの中の活動を通じた学生の学びの意欲の向上、異なる社会や文化に触れることによる学生の内面の成長など多様な効果が期待されるものであり、また、各大学にこうした活動を実施するための迅速かつ強力な意思決定が求められることとなります。
 既に東京大学をはじめ、意欲ある大学では先行した取組がもう進められているところでもございますが、私どもとしても、個々の大学の取組だけにお任せするということではなく、こういった各大学の意欲に対し、国を挙げて、文科省を挙げてしっかりと支援をすることによって加速度を高めたい、このことを改めて申し上げたいと思います。
 来年度の概算要求においても、スーパーグローバル大学あるいはスーパーグローバルハイスクールなど、我が国の大学や、あるいは高校レベルから、またその更に下から、国際化とグローバル化に向けた人材育成のための制度と予算を総動員して事業を既に計上している、予算を組んでいるところでもございます。
 また、意欲と能力のある若者全員に留学機会を与え、世界に勝てる真のグローバル人材を育てるため、奨学金の拡充等によりまして、留学経験の負担軽減を図るとともに、大学、企業等との連携による研修の実施等、日本人学生の海外留学をきめ細かく支援する、官民が協力した新たな制度も創設したいと考えております。
 一方、学事暦の多様性やギャップタームを推進するに当たっては、予算措置だけではなくて、学生が行うギャップターム活動の場の提供、経済的支援の充実、安全の確保、社会としての活動の評価の確立など様々な社会的課題が含まれており、その課題の解決のためには産学官民の連携が不可欠であります。
 本検討会議においては、我が国の次代を担う若者たちがギャップタームにおける様々な経験を通じて大きく飛躍することができるよう、各界を代表する皆様方による精力的な御審議を改めてお願い申し上げ、冒頭、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  続きまして、鈴木典比古座長から御挨拶をいただきます。
【鈴木座長】  国際教養大学の理事長・学長を務めております、本日、本検討会議の座長の御指名をいただきました、鈴木でございます。
 ただいま大臣の御挨拶にもありましたとおり、グローバル化あるいはボーダーレス化の急速な進展に伴いまして、社会経済の構造は大きく変化しております。21世紀のグローバル化した社会で活躍していくためには、異なる文化の中に身を置き、多様な経験を通じて自分の殻を幾度も脱皮して、今の自分から次の自分へと変容して成長していかなければなりません。このプロセスは簡単ではなく、時には苦渋を伴うものでありますけれども、これは避けて通れないものであります。
 一方で、我が国の高等教育の現状は、一旦大学に入ってしまいますと転学あるいは留学などの機会が少なく、また、OECD諸国の中でも社会人の学生比率が極めて低いということなど、ある意味、同質あるいは均質的な学生の環境となっているということが言えるかと思います。
 このような我が国の均質的な大学制度といいますのは、高度成長期には高等教育を効果的に提供する大きな貢献を果たしたと言うこともできるでありましょうが、ヨーロッパを中心としたグローバルな規模で起こっております大学生の流動化に対応できておらず、グローバル化に必須な、学生が自らの殻を脱皮する機会も諸外国と比べて十分とは言えないという状況であります。
 この検討会議で議論する学事暦の多様化とギャップタームについては、単に大学のグローバル化への対応にとどまらず、大学教育の在り方に大きな可能性をもたらすものと考えております。学生が主体的に今の自分から次の自分へと変容していった先には、現在と大きく異なる高等教育の姿があるはずであります。
 本検討会議におきましては、今後の大学改革、グローバル化の大きな柱となる学事暦の多様化とギャップタームについて、各界を代表される皆様方によって精力的な御審議と応援をいただきまして、少しでも多くの学生に今の自分から次の自分へと変わる機会を提供できるようになりますよう、委員各位の精力的な御参加を期待しております。よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  ありがとうございました。
 では、ここでカメラの退室をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
【里見大学振興課長】  それでは、これ以降の議事の進行につきましては、鈴木座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【鈴木座長】  それでは、本日は初回でもございますので、学事暦の多様化とギャップタームの推進につきまして自由に議論を進めていきたいと思います。各委員から御意見を頂戴したいと思いますけれども、その前に事務局から関係資料の説明をお願いしたいと思います。
【里見大学振興課長】  それでは、資料の説明をさせていただきます。まず本日の配付資料の確認でございます。配付資料は、議事次第にございますとおり、資料1から6、それから、参考資料でございます。またこれに加えまして、本日は、齋藤委員から御提供いただきました資料が1枚、それから、委員の方には東京大学の学内広報を配付させていただいてございます。過不足がありましたら、事務局までお申し出ください。
 続きまして、本会議の設置の趣旨について説明をさせていただきます。資料1をごらんください。
 本会議は、平成25年9月4日に文部科学大臣の下に設置をさせていただいた会議でございます。その趣旨は、教育再生実行会議の第三次提言におきましてこれからの大学教育の在り方について御提言を頂いておりますが、この中で、特に学事暦の多様化とギャップタームの推進に向けた環境整備の在り方について推進すべきという方向を頂いていることを踏まえまして、その点につきまして御議論いただく会議でございます。
 検討事項といたしましては、(1)学事暦の多様化とギャップターム推進の理念、(2)ギャップターム期間中の活動、(3)学事暦の多様化とギャップタームの推進のための制度設計と支援内容、(4)その他必要な事項となっているところでございます。
 引き続きまして、委員の紹介をさせていただきます。資料1の2枚目の別紙をごらんください。
 本日の御出席の委員の中から、まず座長でございます。改めまして、国際教養大学理事長・学長の鈴木典比古様でございます。
【鈴木座長】  よろしくお願いします。
【里見大学振興課長】  次に、座長代理をお願いいたしております、一般社団法人日本貿易会常務理事の市村泰男様です。
【市村座長代理】  市村でございます。よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  以後、上から順に御紹介をさせていただきます。
 広島大学長の浅原利正様です。
【浅原委員】  よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  株式会社日立製作所取締役会長、一般社団法人日本経済団体連合会副会長・教育問題委員長の川村隆様に委員に御就任いただいておりますが、本日は所用で御欠席のため、代理で御出席の株式会社日立製作所執行役常務(CHRO)兼人財統括本部長の御手洗尚樹様です。
【川村委員代理(御手洗)】  御手洗でございます。よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  公益社団法人全国スポーツ推進委員連合会長、元臨時教育審議会委員の齋藤斗志二様です。
【齋藤委員】  よろしくお願いします。
【里見大学振興課長】  株式会社島村楽器代表取締役会長、日本商工会議所教育委員会共同委員長の島村元紹様です。
【島村委員】  島村です。よろしくお願いします。
【里見大学振興課長】  引き続きまして、一般社団法人日本ギャップイヤー推進機構協会代表理事、お茶の水女子大学特任講師の砂田薫様です。
【砂田委員】  砂田でございます。どうかよろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  慶應義塾長の清家篤様にも委員に御就任いただいておりますが、本日は所用で御欠席のため、代理で御出席の慶應義塾大学常任理事の長谷山彰様です。
【清家委員代理(長谷山)】  長谷山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授の萩原なつ子様です。
【萩原委員】  萩原でございます。よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  広島大学高等教育研究開発センター教授の秦由美子様です。
【秦委員】  秦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  東京大学総長の濱田純一様です。
【濱田委員】  濱田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  シンクタンク・ソフィアバンク代表の藤沢久美様です。
【藤沢委員】  藤沢でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  株式会社ウィル・シード取締役会長、学校法人河合塾顧問の船橋力様です。
【船橋委員】  船橋です。よろしくお願いします。
【里見大学振興課長】  NPO法人ETIC.代表理事の宮城治男様です。
【宮城委員】  宮城です。よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  一橋大学長の山内進様です。
【山内委員】  山内です。よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  以上をもちまして、委員の皆様の御紹介を終わらせていただきます。
 続きまして、事務局でございます。
 布村高等教育局長でございます。
【布村高等教育局長】  布村です。よろしくお願いいたします。
【里見大学振興課長】  そのほか、名札がございますとおり、関係官が出席させていただきますので御紹介をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料3と参考資料について説明をさせていただきます。
 資料3でございます、学事暦の多様化とギャップタームについて、でございます。まず、学事暦、ギャップタームにつきまして、一番最近に頂いております国全体としての方針でございます。教育振興基本計画、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針、日本再興戦略―Japan is BACK―、この3点につきましては閣議決定でございますが、いずれにおきましても、秋季入学の推進、また、その環境整備、それに対する支援、あるいはグローバル化に対応する人材力の強化という点について御方針を頂いているところでございます。
 その前提となります御議論をいただきましたのが教育再生実行会議でございます。この会議はこの提言に基づいているということで、一番下の項目でございますが、御説明をさせていただきます。意欲と能力のある全ての学生の留学実現に向け、日本人留学生を12万人に倍増し、外国人留学生を30万人に増やすという項目でございます。
 大学は、海外の大学との交換留学や単位互換を進めるとともに、秋入学やクォーター制など国際化に対応した学事暦の柔軟化を図る。秋入学など学事暦の柔軟化に伴うギャップターム等を活用した留学や海外での体験活動を含め、日本人学生・生徒の短期、長期の海外留学に対する支援を抜本的に強化する。産業界及び国は、企業や国家公務員の採用において留学経験を有する学生を積極的に採用するとともに、秋入学等に伴う採用試験、資格試験の実施時期等の見直しを行うとされております。
 引き続きまして、入学時期等に関するこれまでの経緯を簡単に振り返らせていただきます。まず学事暦についてでございますが、学校教育法が制定されました昭和22年でございますが、施行規則におきまして、大学の始期は4月1日とされ、終期は3月31日ということが決まっておりました。
 これにつきましては様々な形で見直しがその後行われるわけでございますけれども、昭和51年には、学年の途中に学生を入学・卒業させることができるということが規定されたところでございます。
 また、本日御出席の齋藤委員が御参加をされました昭和62年の臨時教育審議会の第四次答申におきましては、特に秋季入学生について集中的な御討議をいただいております。この秋季入学につきましては、夏休みを学年の終わりとすることで、効率的な学習活動が可能であるということ、あるいは国際社会との整合性、あるいは家庭、地域、自然との触れ合いなど夏休みの活用の機会ということで積極的な意義をお認めになる一方、そのまますぐに秋季入学に移行することについては慎重なお立場を頂きました。
 その際には、小学校段階から全ての学校段階で秋季入学ということが検討されていたことがございますので、ただし書きで大学の部分についてだけ記述がございました。ただし、「大学においては、学期ごとに授業を集中し完結させる2学期制を積極的に推進し、春でも秋でも入学できる道を拡大するとともに、高等学校でも外国との交流、帰国子女の受入れを円滑にする視点から」「秋季入学の制度を許容するなどの方策を進め、その成果を見守りながら全般的な秋季入学制への移行の条件を整えていくことも十分検討する必要がある。このためには、企業等の採用に当たっても弾力的な対応を行うことが求められる」としたものがございます。
 引き続きまして、次のこれまでの経緯2でございます。このことを踏まえまして、平成10年の大学審議会の答申におきましても、秋季入学について御提言をいただいております。また、その後、教育改革国民会議の報告におきましても、秋季入学を御議論いただいたところでございます。
 引き続きまして、経緯3でございます。この後、大きな方向性を頂きましたのが、平成19年の教育再生会議でございます。その第一次報告、第二次報告におきまして、ギャップイヤーという考え方が出されております。このギャップイヤーにつきましては、日本版ギャップイヤーということで解説がございます。3月末までに入学を決定した学生に、9月からの入学を認め、その間、ボランティア活動など多様な体験活動を行う猶予期間を与えるもの。また、4月に入学した学生に、9月までの間、多様な体験活動を認め、このような活動を評価して一定の単位を認める仕組みという定義をなされた上で、このギャップイヤーなどの導入を促進するという方針を頂いているところでございます。また、その際、セメスター制(半年間の学期ごとに授業が完結し、単位の修得認定を行う仕組み)の導入も促進するよう御提言をいただきました。
 このことも踏まえまして、学校教育法の平成19年の改正、そして、平成25年、直近でございますが、大学設置基準の改正がなされておりまして、基本的に現在では、学年の始期、つまり、いつから学年を始めるかは大学の学長が定めることができるということ、それから、学事暦につきましても様々な形が可能となっているところでございます。
 この様々な形につきましての御説明が次の6ページ目でございます。4月以外の入学者の状況についてということでございます。現在、先ほど申し上げましたような学校教育法施行規則に基づきまして、学部段階におきましては、全国752の調査対象の大学のうち115大学、これは約15%に当たる大学でございますが、この大学で、学部段階での4月以外の時期に実際に入学者を受け入れているという状況がございます。また、研究科、大学院のレベルにおきましては、それよりも多い209大学、約28%の大学が受け入れているというのが現在の実績でございます。
 引き続きまして、7ページでございます。学事暦の柔軟化でございます。先ほど申し上げましたように様々な経緯がございまして、現在では、学事暦につきまして、真ん中にございますように大学設置基準で、各授業科目の授業は、10週又は15週――これは2学期制あるいは3学期制をイメージしておりますが、にわたる期間を単位として行うものとする。ただし、教育上必要があり、かつ十分な教育効果をあげることができると認められる場合はこの限りではないと致しまして、例えば一番下にございますように、8週間で1時間の講義を週2回実施するというやり方、あるいは13週間あるいは11週間というような形で、それぞれ集中的に体験学習やフィールドワークといったものを入れまして、その初めと最後に講義や演習を行うというような、このような形もできるということになったことでございます。
 引き続きまして、8ページでございます。これは初等中等教育段階のデータでございますが、諸外国におきまして学事暦がどの段階で始まっているかでございます。おおむね過半数と言ってよろしいかと思いますが、のところでは9月から始まっているということではございますが、一部、あるいは南半球といったようないろいろな事情もございまして、違うところもあるというのが現状でございます。
 引き続きまして、9ページでございます。イギリスにおきましてギャップイヤーが積極的に活用されてきたということでございまして、その御紹介でございます。イギリスにおきましては貴族社会から始まった慣習ということでございますが、大学入学資格を得た18から25歳の若者に、大学に入学する時期を遅らせ、そして、社会的な見聞を広めるために猶予期間を与えるということでギャップイヤーが行われているということでございます。これが全体の約1割弱程度が取得しているということでございます。
 真ん中に具体的な様々な例が書いてございますが、ギャップイヤーを取得した若者につきましては、中退する割合が非常に低いということがデータとして出ているということがございますのと、それから、学習の目的が明確になるということがありますので、企業においても高く評価されているということがあるということを聞いているところでございます。
 引き続きまして、10ページでございます。現在日本において行われておりますギャップイヤーあるいはギャップタームという形での様々な例を御紹介させていただいております。本日座長をお務めいただいております鈴木先生の国際教養大学の例と致しまして、入学の前にギャップイヤー入試をされている例が一番上でございます。
 また、入学後に長期休学をされる例と致しまして、同じく本日御出席の濱田総長の東京大学において行われていますFLYプログラムがございます。これにつきましては、後ほど御発表の中で触れていただけると存じます。
 最後に、入学後に短期に実施するという形で、名古屋商科大学ではギャップイヤープログラムを行っておりまして、2か月間フランスに行っていただきまして、それについてレポートを提出し、単位を付与するという仕組みになってございます。
 最後でございます。11ページでございます。参考でございますが、グローバル人材育成コミュニティの形成についてでございます。この真ん中でございますが、先ほど大臣から御紹介がございました、こういった形で留学ができるという仕組みを官民合同で備えていただくということにつきまして、今回、大臣のリーダーシップで様々な制度設計をしていただいてございます。この中で、真ん中でございますが、留学時の奨学金の支給につきまして、国による支援、本年度概算要求では153億円につきまして計上をさせていただいているという状況でございます。
 なお、この考え方の背景と致しまして留学についての認識がございますので、併せて参考資料を御紹介させていただきます。参考資料は、「我が国の大学の国際化の状況について」でございます。この資料を繰っていただきまして、2ページ目の裏側でございます。日本人学生の海外留学の現状でございます。一番上の青いところがグラフでございますが、こちらに御注目いただきたいのですが、日本人の海外留学者数をユネスコの統計でとったものでございます。ピークは8万人程度の外国への留学生がおりましたけれども、現在では6万人弱というような状況まで下がっているというところが課題として認識されているところでございます。
 引き続きまして、そこからページを繰りまして2ページございまして、日本人学生の留学に関する主な障害でございます。これにつきましては、株式会社リクルート社の大学進学者の留学意向という調査を基にしたものでございます。日本人学生の留学に関しまして、特に留学したいという方がどのような意向でということでいいますと、自分の視野や考え方を広げたい、あるいは英語で会話ができるようになりたいということがございます。留学したいと思わない理由としまして、費用が高いから、あるいは英語が苦手だから、あるいは治安に不安があるからというようなことが出ているところでございます。それから、就職の部分について役に立たないのではないかというような御議論も出ているところでございまして、就職、経済的な事情、そして、そのバックアップ体制というところが課題になっているということがデータで出ているところでございます。
 以上、資料を駆け足で御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
【鈴木座長】  ありがとうございました。
 続きまして、本日は東京大学の濱田総長から、東京大学における秋入学、学事暦に関する検討、あるいはFLYプログラムなどの取組につきまして、御発表をいただきたいと思います。それでは、濱田総長、よろしくお願いいたします。
【濱田委員】  ありがとうございます。濱田でございます。今日は発表の機会を頂き、お礼を申し上げたいと思います。お手元の資料4を使って、私どものグローバル化に対応した教育改革の取組を御紹介させていただければと存じます。少し大部でございますので、ちょっと早口で失礼させていただければと思います。
 私が総長に就任して以来、もう4年半になりますが、掲げてきたのが、学生をよりグローバルに、よりタフにという理念でございました。スライドの2枚目でございますが、ただグローバルといっても、これは単に語学ができたりとかそういうことではなくて、やはり異なったもの、異質な価値観、異質な生活、判断の仕方、そういう異なったものとぶつかることこそが大事だという思い、そして、それを通じてこそタフにもなるという思いで取組を進めてまいりました。
 この理念を教育システムに具体化していくという取組の中で、秋入学の構想にも着手をいたしました。スライドの4枚目、5枚目、6枚目といったところを御参照いただければと思います。要するに、端的には、入学時期を9月にしようと。先ほど御説明ありましたような、欧米のような形と合わせよう、それによって学生の国際的な流動性を高めようということでございます。
 それから、もう一つは、学事暦というカレンダーの大枠を揺さぶることで、教育の内容や方法、それの国際標準化を図ろうということです。この点については後ほど申し上げたいと思います。
 それから、3つ目が、4月から9月入学までの期間、ギャップタームの間に、社会経験、国際経験を若い人たちにさせる。そこで受験勉強の姿勢をリセットして、主体的に課題意識を持って大学での学問を行ってもらう。それと同時に、社会的あるいは国際的なコミュニケーション力、その基礎になるもの、それを培ってもらうという辺りが狙いでございました。
 それと、これは間接的な効果ということにもなりますが、こうした大学の取組を通じて、今の日本社会の変化、グローバル化に否応なく向き合っていかなければなりませんので、そういうものの変化を促すきっかけになればなというふうなことも考えました。
 秋入学と申しましても、入学時期を4月から9月に変えればそれで完成だという単純なものとは考えておりません。私は、秋入学には3つのポイントがあるということを言ってまいりました。これはスライドの5枚目ですが、要するに、学事暦、それから、教育内容・方法、社会環境、これらを国際水準のものにしていくのだ、これがセットになって秋入学が実現すると、そういうことを目標にして取組を進めてまいりました。
 このうちで特に最後の3番目の国際水準の社会環境の点ですが、これは就職採用時期あるいは国家資格試験等に関わるもので、正直、すぐに実現は難しいとは思いましたが、ただ、何事も取り組んでみなければ分かりませんので、この間頑張ってやろうということで取組を進めてまいりました。特に企業の皆様方からも、秋入学に対応するような就職採用システムにすることは可能だと、そういうような心強い御支援もいただいておりますので、そういう動きは更に展開していけばなと思っております。
 それから、1つの大学だけではなくて、かなりの大学がある程度動かないと、こういうものは社会の仕組みになっていきませんので、そういう呼び掛けもし、今日おいでの学長の皆様方にも随分御支援をいただきました。
 今の段階では、こうした社会状況、大学の状況を一気に変化させることができなかった、条件づくりができなかったというのは私の力が及ばず残念なところですが、今の秋入学に対する学生、高校関係者の反応、これが7ページから11ページ辺りに資料として挙げられております。これをごらんいただきますと、決して秋入学というのは荒唐無稽な話ではなくて、結構、若い学生たちもそれをサポートすると前向きの姿勢でおりますので、こうした新しい時代を作る仕組みをしっかり作っていくための取組を続けていきたいと思っております。
 こうした状況ですが、とにかく秋入学に向けて一歩でも前にということで、4ターム制といいますか、4学期制という取組を平成27年度からスタートする。再来年度になりますが、そこから全学でスタートできるようにということで、今、準備を進めております。これはスライドの12枚目以降ということになります。
 4学期制といいましても、今の2つの学期をそれぞれ2つに分ける、それで4学期制だというのでは、効果は限定されるだろうと思います。もちろん4学期制にすること自体で、週複数回授業による学習の集中度が強化できるとか、あるいは履修の自由度が高まるとか、そういうメリットはあるのですが、これはスライドの13枚目に書いてございますが、それでは直ちに秋入学の話とはつながってまいりません。
 4学期制がグローバル化にとって意味がある、よりグローバルに、よりタフにということで意味があるというのは、1つは、これは14枚目、15枚目のスライドを対照させながらごらんいただければと思います。やはり6月、7月、青い輪で囲んである部分、この部分を授業期間から外して夏季休業期間に組み込んでいく、あるいはこの時期の学期に履修の自由度を高めて、学生が海外に出ていきやすいようにする。この時期は、15枚目のスライドにございますように、海外の大学はちょうどサマースクール等を開いている時期でございますので、やはり日本人の学生が最初に海外に出ていく経験をするというには、サマースクールにとにかく出ていく期間を作ってあげたい、そういう思いが1つございます。つまり、この青い輪の部分を海外大学の学事暦と重ねたい。
 それから、もう一つ、今度の4ターム化の運用でできるのは、赤い輪の部分ですが、これは4ターム制でいきますとほぼ2ターム分、2学期分、海外の大学ですと1学期分ということになりますが、それがちょうど重なります。つまり、この1学期分を留学してくるということが、そう時間的なロスなくできるようになる。こういう辺りがスケジュール観としてはポイントになってくる。ですから、4学期制にするといっても、こういう工夫はうまくできるようにしなければいけないというところがポイントになるかと思います。
 先ほど申しましたサマースクール、これのいわゆる評価は、教員によっては、あまり質が良くないと言う教員もいますが、これはもうプログラム次第で、今、東大でも呼び掛けておりますのは、海外の大学と一緒になって海外大学でサマースクールをプログラムする、あるいは東大でプログラムを作る、そういうやり方もしながら、質の良いサマープログラムに学生を出席させたい、そういうふうに思っています。
 それから、この時期に国内でもじっくり社会体験活動、そういうこともさせたい。この意義は、ギャップタームをめぐる議論とも関わってきます。後ほど触れさせていただきたいと思います。
 それから、もう一つ、4学期制に意味があるというふうに考えておりますのは、先ほどもちょっと触れましたが、教育の内容・方法の国際標準化といいますか、教育の在り方に対する抜本的改革を同時に行っているということでございます。やはりこの改革が伴わなければ、形だけ4学期制をとっても意義が減殺されます。これは秋入学でも同じことで、9月入学にしただけで、じゃ、国際水準だというわけにはいかない。そこで、やはり教育の内容・方法というのは大変大事だというふうに考えております。
 そうした教育内容・方法の改革を考えているというところで、スライドの16枚目ですが、これは私たちの学内の会議が指摘した、今どきの学生をめぐる課題です。これは相当きついことを学生に対して言っているのですが、大変厳しい時代ですので、このぐらいの厳しいことを学生に対しても言って育てないといけないということで、こういうことを表に出して言っております。
 何のために勉強するのかという動機付けが不足している、あるいは学習態度の受動性、点数至上主義、主体的な思考・表現力の不足、国際コミュニケーション力あるいはグローバルな視点の不十分さ、こういうものを変えていくための教育改革を同時に進めていかなければいけない。ただ海外に出すだけでは、自分で鍛えてこいと言うだけではしょうがないというので、こういうところの教育改革も進めたいということです。
 それで、スライドの17枚目のところにございますが、大変小さな字で恐縮ですが、こうした改革のアクションリストを作って、主体的な学びを進める、あるいは学生の流動性を強化する、あるいは学習機会を多様化していく、そういう形の取組を進めております。これも相当慌ただしいのですが、何とか基本的なプログラム設計は27年度末までにやってしまいたいと思っております。
 こうした取組を今やっておりますが、こうした機会ですので、その際に私が気を配っていることを率直に少し申し上げておきたいと思います。それはこうした教育改革が、大学が国際的にトップ水準で競争していくことに本当につながるのかというところ、これは1つのチャレンジだと思っております。今の教育改革の本質は、やや乱暴に言いますと、明治以来追い付け追い越せでやってきた、いわば覚え込み型といいますか、あるいはマニュアル解決型といいますか、そういう教育・学習スタイルを変えようという、そういう取組になります。
 日本の高等教育というのはこれまでそのスタイルで相当成果を上げてきたわけで、それはそれなりにすごいと思うのですが、ただ、今のグローバル化の時代、そういうやり方だけでは通用しないだろうという、そういう限界も感じております。特に創造性あるいはチャレンジ力、そういったところではどうしても弱いという気がしております。そこで、こうした新しい力を加えつつ、かつ今までの知的な力を備え、知的な国際競争力を落とさないという、そのバランス、組み合わせをどうやって進めていくのかというのが、正直、一番気を使っているところです。
 今日のスライドの19枚目ですが、これはちょうど昨日、Times Higher Educationの大学ランキングの発表がございました。東大も一時じりじりと落ちていたのですが、一昨年からやや底を打ったといいますか、上昇に転じてきております。こうしたランキングが全てではないにしても、ここに表れているような力が落ちてくるようでは困る、そういう緊張感の中で教育改革も取り組んでいるということでございます。これまで日本人が得意としてきた、覚え込み型、マニュアル解決的な力、そういうものも大事にしながら、そういうものをある意味ベースにしながら、更にプラスアルファとして、考える力、創造できる力、チャレンジできる力、そういうものをどう鍛えていくかが今の総合的な教育改革のポイントだと思っています。
 それから、もう一つ、今回の教育改革の中では、クラスの中で鍛える、教え方をいろいろこれから変えていく、そこで更に鍛えていくということもありますが、クラスの外での経験、社会経験、国際経験、これはもうまさにこの検討会議のテーマでございますが、それを重視しております。
 実は東大の中で議論をしているときに、大学の中では、世界でトップ水準の学問を教えているのだ、だから、とにかくクラスで真面目に勉強していればいいじゃないかと、極端に言えばそういう議論もありました。ただ、学生時代に様々な社会経験をするということは、やはりこれはペーパーテストの点数だけでは測れないような社会の多様な力、あるいは魅力的、刺激的な人たちと出会う、そこから逆に新しい知的な刺激も受ける。そういうところに意味があると思います。
 秋入学の構想ではギャップタームの期間が生まれますけれども、実は私自身の思いでいいますと、乱暴に言いますと、9月入学、それはさておいても、とにかくギャップタームというものを使いたい。これはよく秋入学の話をしたときに、9月まで入学時期が半年空くからギャップタームを考えたのですかと言われることもあるのですが、私はギャップタームということこそ是非実現したい、その頭が強くございました。
 その趣旨については、スライドの20枚目、21枚目辺りに少し整理をしておりますが、これはまたこの検討会議で更に詰めていただくべきことだろうと思います。実際このギャップタームの問題というのは、先ほど秋入学に一気に進めなかった理由で制度的な障害というものに少し触れましたけれども、実質的に大きな影響があったというのは、やはりこのギャップタームをどう使うかということに対する社会あるいは学内の危惧でございました。一言で言いますと、18歳の若者が自由な時間を有効にあるいは安全に責任を持って使えるのかと、そういうことに対する懸念、そこが相当強くございましたので、やはりギャップタームの使い方、そして、若い人たちがちゃんと使える、意味があるのだということをしっかりさせていくということが、秋入学のシステムを入れていくためには重要な前提だと思っております。
 こうした懸念は、私自身は、今、18歳に選挙権ということも議論される時代に、そんな心配する必要があるのかと思うのですが、ただ、親御さんたちの懸念の強さというのは分かりますし、抽象的な議論をしているよりもとにかく実際のエビデンスをということで今、取組をし始めているところでございます。
 それが先ほどもちょっと御紹介がありましたし、私のこの資料ではスライドの22枚目、23枚目になりますが、FLYプログラムというもの、日本語で言うと長ったらしいのですが、初年次長期自主活動プログラム。入学して当初、すぐに1年間休学をして、様々な社会経験、国際経験をするということで、これは文科省の方からも後援をいただいて、あるいはほかの多くの団体から後援いただいて、これは大変ありがたく思っております。
 今、11人が活動しておりますが、これは何もまだ枠組みもないところで11人がスタートしたので、彼ら、彼女らは本当にチャレンジャーだと思います。次の年度、来年の4月から更に増えると思いますが、こういう取組をもうしているということです。これは1年間のプログラムですけれども、今、これらの半年版を作ろうという、そういうことでも計画をしています。そうすると、実質的にギャップタームと同じ期間、同じ機能を持つということになってまいります。そういうエビデンスを作っていこうということです。
 それから、こういう数は限られていますので、今、在籍している学生に社会体験、国際体験をさせようということで、昨年の末から体験活動を強化して始めました。これがスライドの24枚目でございます。24年度から捉えますと倍近くにいろいろプログラムが増えております。これは国内も海外も、それから、研究現場でという、大きく3つのカテゴリーになります。例えば海外では、インドでマーケティングリサーチをしようとか、いろいろな取組をやっております。
 大事なのは、こうした活動をどう評価するかということです。25枚目のスライドでございます。ただ、これは比較的限られた人数の人に対してラフな調査をしただけですが、これを見ていただきますと、学生にとっては、左の図にございますように、自己理解の深化、あるいは体験活動への更なる動機付け、将来への影響、こういったところで明らかに効果が生まれているというふうに理解しております。
 こういう形で学生たちはいろいろな知識は持っているのですけれども、そういう知的な力を更に成長させるために、こういった社会経験を組み込んでいく、あるいはそういう知的な力というのが、ただペーパーテストで良い成績を取るというのではなくて、それが、社会的に本当に意味がある、人の役に立つというのはどういうことなのかということを早い段階から経験させると、そういうことでいろいろこれから継続的に取組を続けたいと思っております。
 それで、こうした取組と併せて、秋入学というもの、これもできるところから始めていくということで、大学院の方は、先ほどもちょっと御紹介ありましたけれども、私たちでも、入学者全体の大体1割近くが秋入学になっています。実は今日の午前中に大学院の秋の入学式をやってまいりました。これは全部英語でやっているのですが、そういうものもやっております。
 それから、学部段階の秋入学、これがスライドの26枚目のところです。これは英語だけで修了できるコースということで、まだ毎年20名から30名程度の小規模なものでございますが、これを拡大していくということで今、取組を続けております。
 こうした取組を細々やっておりますが、大きな方針としましては、スライドの28にございますように、私どもはこの7月に総合的教育改革に関する基本的な決定を役員会でいたしました。1つは、平成27年度中に4学期制を導入すると。2つ目は、教育内容・方法、そういうものを抜本的に変えていくということ。それから、秋入学の拡充、そして、推進という、そういったことをやっていくということを役員会としても定めましたので、こういう形の取組を更に続けていきたいと思っております。
 スライド29、30には、そういう取組の中で政府や産業界にお願いしたいということも記させていただきました。今動かないと、とにかく日本の国力あるいは若い人たちの未来に対する影響は非常に大きい、取り返しがつかない、そういう場合もあり得ると思っております。
 スライド31の方には、これは私の気合のようなことを書かせていただいただけですが、とにかく自主的にエビデンスを作っていく。そして、しつこくやっていく。東大はまずは4学期制をとったので、秋入学はもうだめかという、そういう雰囲気もあるようですけれども、これから始まりだというのが私の思いでございます。是非この検討会での議論も頼りにさせていただきながら、これからも一層早く改革を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【鈴木座長】  ありがとうございました。
 ただいまの御発表に対しまして御質問等ございましたら、お受けいたします。よろしくお願いします。
 はい、どうぞ、砂田委員。
【砂田委員】  まず濱田総長、本当に熱い熱のこもった御発表ありがとうございました。本当に論点整理もされて示唆に富む御発表だったと思うのですが、質問を1つだけしたいと思います。
 それは御発表の20ページ、ギャップイヤーとギャップタームの比較というところがあると思うのですが、総長のお話の中でもギャップタームという言葉が使われたり、ギャップイヤーという言葉が使われていますし、本委員会の名称もギャップタームとなっておりますが、先ほど資料3のところで頂戴した5ページの真ん中、すなわち、平成19年の教育再生会議第二次報告の中に日本版ギャップイヤーというのが※印で付いていると思います。3月末までに入学を決定した学生に9月からの入学を認める云々ですが、これとギャップタームは基本的に同じというふうな理解でいいのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
【濱田委員】  ありがとうございます。こちらの20ページのスライドにもございますように、ギャップイヤーという観念は既に欧米では定着していて、取得期間も3から24か月ということでかなり一般的に定着しているものだろうと思います。これに対して、東大が提言しているギャップの期間の言葉遣いは、ギャップイヤーとそのまま言うにはちょっとまだ遠慮しておいた方がいいかなということで、まずギャップタームという、そういう言葉遣いをしております。ただ、これ、確か砂田さんから、あんまり和製英語を作らない方がいいのではないかという御指摘もあったと思いますので、これは是非、ギャップタームという用語、これを実際にその中身をどう作っていくのかという議論と併せて、うまくいい言葉が最終的に出来ればなと思っております。ありがとうございます。
【鈴木座長】  よろしゅうございますか。
 そのほかいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。
【山内委員】  どうも、山内です。大変どうもありがとうございました。いつもいろいろ勉強させていただいております。
 ターム制のことで我々もいろいろ考えているので、後からでもいいのですが、せっかくなのでちょっと聞かせていただきたいのです。クォーター制、4ターム制の導入のところで、28ページにイメージというのが、東京大学の方の実施方針で書かれておりますね。これは前の方で書かれているクォーター制のそれと同じところと同じじゃないところがあるのかもしれませんが、ちょっとお伺いしたいのは、4月から6月までのターム1がありますね。その後、ターム2、3、4と続くわけですけれども、我々も検討していて、3月の入試の時期の問題等があって、きちんとやっていくのは難しいので、それで、6月から9月あるいは7月から9月というのはなかなかうまくとれないねというので、前半の方にタームを2つ持ってきていうことは4ターム制の場合わりと多いような気がするんですが、これはこういう考え方で大丈夫だという判断でなされているんでしょうか。
【鈴木座長】  いかがでしょうか。
【濱田委員】  ありがとうございます。14枚目のスライド、それから、28枚目のスライド、これは両方を御参照いただければと思います。14枚目のスライドのところは、最初、学事暦の見直しで幾つかパターンがあり得ると。このほかにもあるのかもしれませんが、一応典型的なものとしてこういう形で出しました。
 ただ、学内では、場合によっては、部局ごとに多少異なってもいいかと。むしろとにかく6月以降の時期を空けるということが最優先だという、そういうふうにも考えていたのですが、今かなり議論がされていて、4ターム+S、4タームというふうに14枚目に書いておりますのは、これがある程度融合する形で28枚目にあるようなところにうまく持っていけるかなということで考えつつあります。
 つまり、そうなりますと、4タームのものは、7の終わりまでやらなくて、もっと早く終わると。それから、4ターム+Sはもうちょっと延びるとか、いろいろ調整が必要になりますけれども、全体として融合できるような形を考えていこうかと今やっているところです。
【山内委員】  どうもありがとうございます。
【鈴木座長】  ありがとうございます。そのほかございますか。
 もしございませんでしたならば、次の意見交換の方に移りたいと思います。まず事務局から、検討課題の例につきまして御説明をお願いします。
【里見大学振興課長】  それでは、資料5をごらんください。本日のこの検討会議の課題の例でございます。4つほど先ほど御紹介いたしましたけれども、まず1番目でございます。学事暦の多様化とギャップタームの推進の意義・理念でございますが、多様化を通じてどのような変革を期待しているのか。あるいは、その経験を通じて、学生、社会にどのような効果が期待されるか。そして、ギャップタームをどこの時期で設けるのかということでございます。
 2つ目は活動の内容でございます。ギャップターム中の活動は、学生の自主性を重視するのか、あるいは大学の方でプログラムを用意するのか、社会、企業における評価・理解をどのように促進していくのか。
 そして、大きな項目3点目、制度設計と支援内容とございます。具体的にそのようなものをどのように支援していくのか。そして、産学官民が連携していく仕組みはどのように構築するか。学生の安全確保、危機管理についてどのようにするのか。こういったものについて御議論を深めていただければと存じます。よろしくお願いいたします。
【鈴木座長】  ありがとうございます。それでは、本日は初回ですので、委員の先生方お1人ずつ、学事暦の多様化とギャップタームの推進についてお考えのところ御発言いただきたいと思います。委員全員に御発言いただきたいと思いますけれども、時間の関係上、発言時間はお1人5分を目安としてお伺いしたい、お願いしたいと思います。また、齋藤委員におかれましては、資料の御提出をいただいておりますので、その資料の御説明も併せてお願いいたします。
 それでは、いかがでしょうか。どなたからでも結構ですが。
【齋藤委員】  私からいいですか。
【鈴木座長】  ええ、齋藤委員、じゃ、お願いいたします。
【齋藤委員】  御紹介いただいた齋藤でございます。ただいま東大の総長さんの御努力、大変ありたがい努力をしていただいているのだなという感を持ってお聞きしておりました。
 まず最初に、30年近く前に臨時教育審議会がありまして、私もその最年少委員だった経緯の中で、秋季入学というのはもう提案させていただいておりました。ただ、時期がまだそこまで至っていないというそういう判断の中で、今日まで本格的な動きというのは少なかったのかなと思います。
 その中でいよいよこの時期が来たということの中で是非とも。今、ボーダーレスとかいろいろありました。私は、職場は世界、仕事はインターナショナルという書き方をしましたけれども、大学の秋季入学はマスト、いち早くまたやらなければいけないという立場でございますので、そういったことがまず1点。しかしながら、日本全体でそちらへ動いていくということが大事。
 もう一つは、ギャップタームという言葉自体はちょっとなじみが薄いので、私はチャレンジタームとかそういう言い方の方がいいのかなというふうには思っているのですが、それをスムーズに、例えば高校から大学へ進学していく、そのスムーズさが必要だと思います。現状はスムーズレスになってしまっているのではないかなと。だから、シームレスのような格好で、高校から大学へ、それも秋入学。
 そうすると、逆から見ますと、高校を6月卒業というのが1つの考え方。それは東大の総長さんも御指摘いただいたようでありますが、私はそこを単に秋入学とその接続だけでなくて、初等中等教育の学制改革。今、安倍内閣が6・3・3・4制の見直しをということで動き出したところでもございますが、今の6・3・3・4制はもう古い。ですから、子供たちが育ってこないので、それとの一体となった改革が必要かなと思っております。
 私は、小学校5年、中学校は4年。今、3年、高校も3年ですよね。3年間というのは、起承転結という1つのことわり、考え方をした場合、起承転で終わってしまうから、子供たちはみんな、起承転落するのです。伸びないと思っていますので、是非その部分については、中学校、高校については4年、又は、私は3.3という、6月卒業を考えた場合、3年と3か月。今までの高校生というのは1,000日の青春だったのですけれども、1,100日の充実ということの中で、新しい学制制度を確立していただく。その中で、次のステップとして秋季入学を是非とも完成していただいて、それを国全体でね。東大だけ努力するのではない、広大だけがやるのではない、一橋だけがやるのではなくて、国全体でやろうよという、そういう改革に今回これをやっていただければ大変ありがたいと思っているところでございます。
 そういうことで、あとは財政の問題があります。例えば3月卒業した場合、後のギャップタームが長いと、経営負担の問題とかそういうことにつきましては、経済界が定年延長してくだされば元が取れるのかなとかですね。もともと文部科学省予算というのは、諸外国から比べる少ないのです。たまたま大臣の御努力で来年度の概算要求で留学予算を大幅に増やしていただいているということだと思いますが、是非ともそういった予算面でも日本の教育界は後れているということで、それもしっかりと主張しながら、この大改革をやっていただければと思っております。
 大体5分、あんまり長くやってしまうといけないので。そういうことで、小学校から大学まで、そして、その中の秋入学をしっかりと接続させていくという、そういう御方向でやっていただきたいと思っております。以上。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 それでは、あいうえお順ということで、お隣の浅原委員、お願いいたします。
【浅原委員】  私どもも学事暦、クォーター制の導入を今、検討し、実施しようとしているわけですが、この東大のアンケートにもありますように、学生の受け止め方と保護者とやや違うというところに、やっぱり社会の受け入れという問題は実は非常に大きな問題ではないかということを考えています。つまり、学生が自主的に留学したいなら留学したいということで、それが実現できる家庭とそうでない家庭がある。もっと広く言えば、卒業がちょっと遅れると。私どもの学生も留学していますけれども、半年1年すると、やはり就職が1年は少なくとも遅れてしまうということがあります。ただ、それでも自分たちは行くという勇気のある学生もいますので、そういう学生はどんどん支援していかなくてはいけないと思います。
 それから、ちょっと細かいことばかり並べて申し訳ないのですが、1つ、ギャップタームの期間について、私はボランティアとかそういうことも大事なのですが、やはり早い時期に早く異文化体験をさせるということで、社会人基礎力と言われています、そういうタフな人材の育成につながっていくんだと思うので、少なくとも早い時期に、短くても3か月、半年ぐらいは必要ではないかと思いますし、それを可能にするための学事暦を考えていくべきだと思っています。
 それから、これはうちの教員がイリノイ州のゲイルスバーグというリベラルアーツ系の大学に勤務していたときのクォーター制の学事暦ですけれども、12月に1か月集中講義をしてワンクォーターにしているというふうなことも聞きまして、授業とか学習のやり方によってはそれが可能になれば、学生もこういう制度を導入しやすいのではないかと思うし、保護者の理解も得られるのではないかと思っています。
 一番後に、最後に書いてあります学生の安全管理や危機管理体制です。これ、海外留学させるときに一番心配なことはそうですけれども、ただ、これを余り細かく言ってしまうと切りがないわけで、何のために、じゃ、留学させるのかということになってしまいます。せんだって、サンパウロの法学部の学生が十数人、2週間ぐらい来学しまして、そのときちょっと学生と意見交換したんです。やはり日本という国は安全だ、優しい、親切ということで通っていまして、そういう国から留学するということについてのリスクというのはやっぱりあると思うんです。これはやっぱり皆が納得した上で、学生にも危機管理能力を身に付けた事前学習はしますけれども、そういうものもきちんと踏まえた上でのギャップターム学事暦の多様化を考えていかなくてはいけないというふうには思います。以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 続きまして、私の隣、市村委員、お願いします。
【市村座長代理】  日本貿易会の市村でございます。私ども、総合商社の業界団体でございますけれども、従来からグローバル人材の育成、それも産官学連携による人材育成ということで取り組んでおりまして、今年も3月にシンポジウムを開催させていただいております。
 先ほど東大の濱田総長の中で産業界への要望が30ページに書かれておりますが、これもまさしく3月のシンポジウムで議論をして、こういう方向でやっていきましょうという結論としても全く同じ内容になっています。
 これはやはり産業界としての責務であろうと捉えております。特にインターンシップをどういう形で産業界が協力していったらいいのかということ、あるいは制度設計の中で、産業界がどういう形での資金援助、あるいは人材の活用といいますか、OB等を含めた人材の支援体制あるいは組織等を我々が用意してあげることによって、全体のギャップタームのスキームが順調に導入できるというような方向で、側面からの支援にはなりますが、そういうことを考えていかなければいかんと、こういうふうに思っております。
 したがいまして、今回のこのテーマに関しての議論の中で、産業界としてどうあるべきかということも踏まえて一緒に議論させていただければと、こういうふうに思っている次第です。以上でございます。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 なお、下村大臣は御公務のためにここで退席なさいます。
 何かお一言ございましたら。
【下村大臣】  ありがとうございます。忙しい中、各界の有力な方々に委員になっていただきました。これは是非国を挙げて、ギャップタームを進める大学に対しては予算面含め全面的なバックアップと、また、今、産業界からのお話がありましたが、やはり産業界の御協力がないと、なかなかこれも続かない、絵に描いた餅になってしまうのではないかと思います。
 グローバル社会の中で、日本の子供たちが、先ほど齋藤委員のお話にもありましたが、フィールドは日本国内でなくて地球全体ですから、まさにグローバル人材として世界に羽ばたく、雄飛する、そういう環境づくりを制度としてもバックアップ体制を作っていかなければ、理屈だけ言っても子供たちが飛び立たないと思います。
 是非この検討会議におきまして有益な結論を出していただいて、それをいかに実行するかということでありますが、これも文部科学省だけでは十分でない部分については、政府を挙げていろいろなところにお願いしながら、我々も先頭に立って頑張りたいと思います。今回、絵に描いた餅にならない、実行性の伴ったことを是非やっていきたいと思いますので、そういう前提で御議論をお願い申し上げたいと思います。
 ちょっと公務が重なっておりまして、ほんとは最後まで今日は出たかったのですが、ここで失礼することをお許し願いたいと思います。ありがとうございます。
【鈴木座長】  ありがとうございました。
 続きまして、それでは、御手洗委員、お願いいたします。
【川村委員代理(御手洗)】  御手洗でございます。経団連の副会長、川村の代理でございますけれども、私は経団連全体の話というより、日立製作所の状況をお話しさせていただこうかなと思っています。
 この10月1日に日立製作所は秋の入社式をやりまして、100人にちょっと欠けるのですが、の人間でやりました。外国人だとか、経験者だとか、それから、留学生だとか、そういった人たち、4月以降に入社した人たちなのです。我々グローバルに展開していく中では、タフな人材でダイバーシティの環境でやっていかないと、やっぱり企業として立ち行かなくなるという、そういう前提で、そういう採用を積極的にやっているところでございます。
 そういう中で、今の国内の我々採用している人間を見ますと、やっぱり線が細いです。入って一番感じるのは、答えは何かと探すのですね。答えがない世の中でこれから企業活動をやるのに、いろいろな討議をすると、「模範解答は何ですか」と、そんな感じなんですね。やっぱりこれでは勝てない。やっぱりタフな人材をどれだけ作っていくかということが我々の使命だし、それから、逆に言うと、企業がグローバル化していくと、別に日本人がトップではなくてもいいのです。外国人がトップでその下に日本人でもいい。そうなると、多分、今のような線の細い人たちはやっていけなくなると思うので、やっぱりタフな人材をどれだけ作っていくかというのが大事だと思います。
 そういう意味では我々は、ギャップタームとか学事暦の多様化、今既に東大さんとか国際教養大さんでやっておられますが、そういうものが早く定着化して、一皮も二皮も向けた人材が企業に入ってくるというのを非常に期待しています。そのために1年2年卒業が遅れるということは企業にとっては全く問題ありませんし、むしろそういう人間を歓迎したいと思っています。ですから、親御さんがいろいろ心配するというのは、多分それはそういうことにはならないなと思っています。
 そういうことで大変期待しているという前提なのですが、ただ、1つの危惧は、ギャップタームの期間に何をやるかということ。これは主体的にやることに意味があるので、主体的に最初はやっているかもしれない。そのうちまた、いろいろなメニューを作って、それに乗るということになってしまうと、何のためにやっているのか分からなくなります。ですから、主体性をどうやって確保していくかとか、そういうことについても是非きめ細かく対応していただきたいと思います。以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 それでは、島村委員、お願いいたします。
【島村委員】  商工会議所の島村です。まず経営者の立場から教育行政に要望させていただきたいことは、働くということはどういうことなのかといった職業観を今以上に高校や大学でしっかりと教育していただきたいということ、また、経済がますますグローバル化していく中で、国際的な視野と素地を持った人材を教育のなるべく早い段階から育成していただきたいという2点です。
 そういった意味でも、ギャップタームを活用し、学生が国際的な感覚や社会人として感覚、明確な職業観の醸成に資する経験を積み、大学での授業をスタートさせることは大変有益であり、卒業後にそうした人材を採用する大企業、中小企業にとっても非常に大きなメリットがあると考えています。したがって、秋入学の導入若しくはギャップタームの活用については、是非多くの大学で実施していただきたいと考えております。
 東京商工会議所が昨年10月に会員企業約5,000社を対象に実施した調査でも、ギャップタームの導入に意義があると答えた企業が回答企業の過半数を超えています。回答の中には、ギャップタームを活用することで、修学目的の明確化や国際感覚の育成、語学習得あるいはコミュニケーション能力の向上やボランティア精神の醸成など幅広い効果を期待する声が多く、海外留学などの国際体験だけでなく、社会貢献活動やインターンシップなどを通じた社会的体験によって、学生がより広い視野を持って勉強をスタートできることを大変有意義だと評価する声が多くありました。
 一方、ギャップタームの導入に余り意義を感じていないと回答した企業も約3割ありました。理由としては、しっかりとしたプログラムの整備がなければ、学生が無為に過ごすおそれがある、社会の受け入れ態勢や環境が整っていない、ギャップターム期間中の親の負担が大き過ぎるのではないかといった懸念を指摘する声や、今の日本の大学生の生活自体が既にギャップタームではないのかなど、今の日本の大学教育や学生の姿から、あえて新たに導入すべき明確な理由や有効性を疑問視する声もありました。
 しかしながら、学生が自主的かつ有意義にギャップタームを活用し、それまでにない、社会人としての経験を大学就学前に持つことができれば、その後の学生生活がより充実したものとなり、その後の進路選択にとっても大きな、大変貴重な契機になり得ることは言うまでもないと考えています。
 ついでながら、日本の大学では、欧米の大学にあるような、学生の経験や学びを本人の将来のキャリア形成につなげる一貫した支援が不足しているのではないでしょうか。是非そうした大学のキャリア支援機能の強化も併せて図っていただきたいと思います。
 もちろん学生側だけではなく、そうしたギャップターム期間中に得た学生の成果を社会がどのように消化していくのかという別の課題は残されています。企業社会においては、ギャップタームを通じて得た経験や成果に対して、特に採用面においてより積極的に評価していく風土づくりが必要であるとともに、学生が社会とのより広い関わりを持つ、ギャップターム期間をより充実したものにできるよう知恵と場を提供していかなくてはならないと考えております。
 また、特に学生の就職という観点で申し上げれば、これまでも学生の未就職問題や企業とのミスマッチなどの問題が指摘されてきたが、学生の大手志向や安定志向はやむを得ないにしても、日本の企業数の約9割、就業人口の約7割が中小企業に働いている実態を鑑みれば、学生には大企業のスケールメリットだけに注目するのではなく、中小企業ならでは生かせるパイオニア精神や起業家精神を培っていただき、あるいは疲弊する地域経済の活性化に意欲を持って取り組もうとする若者がもっと育ってほしいと考えています。ギャップタームの期間もそうした意識の醸成や自ら主体的に日本経済を牽引しようと考える将来のリーダー育成にとっても大いに役立つものにしていただきたいと考えています。我々もそうした部分で、産業界、とりわけ中堅中小企業を代表する立場から協力していきたいと考えております。以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 続きまして、砂田委員、お願いします。
【砂田委員】  砂田でございます。私はこの委員会に参加させていただいたのは、多分、民の立場だというふうに考えております。私どもは、ギャップイヤーの研究・推進・啓発をミッションとする非営利法人であります。その立場からお話をしたいと思います。
 私はJGAPというふうに愛称を付けておりますが、JGAPが出来たのは、実は2011年2月です。震災からちょうど1か月前になって、それがデビューでした。そこからサイトを作ったのが2011年6月でしたが、ですから、約2年ちょっとです。
 これが今どういう数字が出ているかということですが、サイトには、ギャップイヤーを経験した人たちのエッセイ、学生のエッセイだとか、あるいは昔ギャップイヤーという言葉がなかった時代に社会体験とか就業体験をして寄り道をして社会的な指導者になっている方、このインタビューなんかを載せております。これ、今、月間に4万人がビジットします。それから、ページビューは12万ページビューです。つまり、4万人の方が来て、3ページ分を見て、滞在時間ですが、4分を超えているのです。これはもうちゃんとエビデンスとして付けてありますので、是非見ていただきたいのです。
 これが何を意味しているかということは、やはり今、学生の鬱屈というか、ずっと家にいて、つまり、危ないことしちゃだめよ、ほかの生徒と一緒の、違うことやっちゃだめよとか、リスクをとるなとか、安全にとか、そういうことを耳にタコが出来るぐらいずっと言われ続けてきて、それで大学生になって、ちょっと待てよ、社会って相当厳しいじゃないか、これで俺たちいいのかと悩んでいる子が結構多いというのがデータとして出ております。
 考えて見ますと、大学って、私、今、後期課程とポスドクに授業を持っているのですけれども、やはりなかなかリスクをとろうとしないのですね。ずっとそのまま来て。だけど、大学の悪いところというのは、結局、リーダーの本質というのはやっぱりリスクテーカーだと思います。そのことがものすごく欠けていて、リスクテークすることとギャップイヤーというのはものすごく関係していると思います。なぜかというと、親元とか教員から離れたところでの社会体験なり就業体験、これがギャップイヤーの本質だからです。
 ですから、僕らは、大学は今まで研究と教育、あるいは社会貢献、国際化ということを唱え出していますけれども、それぐらいが大学の定義だったと思います。それを、就業体験なり社会体験を織り交ぜた大学生を作っていく、これが明日の日本のリーダーに非常に直結するんじゃないかなと思います。ですから、今日さっき下村大臣がおっしゃったように、そういうギャップタームを導入する大学を支援していくということは非常にありがたいと思います。
 ギャップイヤーの効用というのは、先ほどちょっと説明があったように、中退率を防止するとか、あるいはバーンアウト防止とか、こういうこともあります。あとは、ほんとに就業力とか修学力、これが高まるというのは、結構、オーストラリアの文献だったり、学者の調査だったり、アメリカの調査でもう現実に出ています。ですから、そういうことからすると、科学的にもギャップイヤー、ギャップタームの効用を調べてみるのも非常に価値があるのではないかなと思います。
 去年、面白い大学がアメリカに出来ました。これはニューヨークにあるランドカレッジというところですが、この都心型の大学では、指定のギャップイヤープログラムを1年間やるといきなり2年生になるのです。つまり、東大のFLYプログラムというのは特別休暇制度ですから、1年間そういうふうに社会体験なり就業体験された東大生は、1年後、来年4月戻ってきたときは、これから1年です。
 ところが、ランドカレッジは2年になると。これはどういうことかというと、1年間の大学の教育イコール就業体験、社会体験、そのカムアウトゾーンを、要するに、非常に温かい、生ぬるいところから離れるというのがアメリカの定義でギャップイヤーにあるのですが、そういうことをした人は1年分単位をあげようという、30単位ですが、そういうことなんです。それが実は非常に評価されていまして、社会企業の支援で一番有名なのはアショカ財団だと思うのですが、アショカ財団が教育イノベーションを与えています。そういうことがある。
 だから、僕らはそういう世界の潮流ということをちょっと考えながら、いかに大学生を個人的に強くするか、個を強くするかということを考えないと。どうも日本の労働慣行というのは、三位一体というのは新卒一括採用、年功序列、終身雇用ですが、新卒一括採用以外は、あとの2つは相当ぼろが来ていたり、危ういところに来てきていますよね。私の身の回りでも、40歳で肩たたきに遭ったり、会社がずっと延命するかなと思ったら、急に潰れたり、吸収されたり、そんな事象があるわけです。ですから、ずっと一本道でない人生というのがこれからの若者にあるわけで、やはり予防注射じゃないですが、学びの期間に自ら時間をとって就業体験なり社会体験をして強くするということが求められているし、それを後押しするのが、今ここにおられる委員の方々や社会一般かなと。
 ただし、ギャップイヤーあるいはギャップタームはものすごく理解されにくい。これは東大が言い出してもどうにもならなかったわけですね。ですから、社会の支えというか、それが今、本当に必要かなと思います。以上です。ありがとうございました。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 続きまして、というよりも、大変、司会の不手際で、座長の不手際で、ただいまからお1人3分というふうにさせていただきます。長谷山委員どうぞ。
【清家委員代理(長谷山)】  何かウルトラマンのような時間になりました。今日のいろいろな御意見を拝見していて、まずはギャップターム、学事暦の問題を考えるには、それぞれの大学がどういう教育理念あるいはどういう人材育成をしようとしているかという、これが今、各大学、特色を持つべしという方向からいえば、まず来るべきことだと思います。
 ただ、その上で共通の課題と申しましょうか、人材育成については、知識習得型ではなくて、新しい学びの型によって、創造的な思考力とか、コミュニケーション能力、そして、異文化理解――私はこれは理解だけでは足りなくて、異文化衝突を乗り越える、克服する力を持つという意味でのコミュニケーション能力だと思っていますけれども、そういうことを身に付けさせたいということだと思います。
 その上で、ギャップタームの問題については、これは教育振興基本計画では、秋入学に向けた環境整備としてのギャップタームということだったと思いますけれども、ただ、現在の教育再生実行会議のものでは、やはり多様な体験をさせるというふうになってきている。ただ、そうしますと、日本版ギャップイヤーが、学籍のあるなしにかかわらず、4月から9月、入学後すぐを考えていますけれども、これはそこに限らないので、まさにどこにギャップタームを置くかというテーマになってくるというふうに思います。
 私としては、国際性を中心にして多様性、流動性を高めると、ここにやはり流れのポイントがあると思います。私どもの大学でいえば、短期の海外体験も重要ですけれども、休学とか留年をせずに、できるだけ半年ないし1年の海外体験をさせる、そうした学事暦を整備できないかというふうに考えております。
 もう一つ、多様な社会体験ということで濱田先生もいろいろ挙げてくださいましたけれども、これは実はギャップタームの問題というよりも、正課教育と課外教育の関係をどう考えていくかということに関連しているように思います。私どもの方では創立者が、書物を読むだけの勉学をすると、長じても友と群れを成すことあたわず、そのような者は、国のためにも、家のためにも無用の長物なりということを申しておりましたので、正課と課外の融合的な教育ということに非常に力を入れてまいりました。
 そして、その課外活動も、お遊びとしてのサークル活動というようなことではなくて、何とか正課と融合したような形でまさに様々な体験をさせる、そうしたプログラムを作れないかということで苦心、工夫をしております。したがって、そのような活動に対しては、休学ということは考えておりません。休学せずに、履修課程の中で、カリキュラムの中で、どのように社会的な体験、多様な活動を行わせるかという方向で検討しています。ですから、私としては、ギャップタームという問題と多様な社会活動を積ませるということは、もちろん一緒に議論して成果が上がるとは思いますけれども、少し頭の中で区分けした上で議論していった方がよろしいのではないかという気がしております。
 最後に、やはりこの問題というのは、高校がどう受け止めるということが非常に重要で、高校との連携が重要です。それから、少し視点を変えて、やはりこれまでの高等教育、初等中等教育との連携ということが御指摘のように足りなかった。したがって、小中高大、あるいは大学院までを含めた一貫教育という視点をどう実現していくかということが重要になると思います。私どもの大学でも、もう20年以上前から付属校という表現はやめまして、一貫教育校という表現にして、実質的にも小中高大、特に高大連携のところが学内でスムーズにいくようにという工夫をしております。そんなような幾つかのポイントが必要かなと思います。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 萩原委員、お願いします。
【萩原委員】  ありがとうございます。私は立教大学におりますけれども、そのほかに、日本NPOセンターの副代表理事として仕事をしております。また、東京大学での検討委員会のメンバーとしても参加させていただいておりましたので、今回この委員に選んでいただいたのではないかというふうに思っております。
 長谷山委員の今の意見にかなり私も近いものがございまして、やはり社会的な経験、海外での経験というのは、ギャップタームに限らず、課外授業とかそういったものの中でどういうふうに考えていくのかというのは非常に重要であろうとおります。といいますのは、先ほど砂田委員もおっしゃっていましたように、このギャップタームの仕組みを今作ろうとしておりますが、それがないときにもいろいろな形でそういうことは実現している人たちもたくさんいらっしゃいますので、これまでのヒアリングをなさっているというのは非常に重要だと思います。私自身も大学のときに、アルバイトを必死にしまして2か月間ヨーロッパを旅しました。
 やはり小中高で海外を経験することが非常に私は大きいと思っています。と申しますのは、私は高校1年生のときに、2か月間イギリスに留学をしました。そのときの体験が今の私を作っていると思っています。
 といいますのは、非常に憧れてイギリスに行きましたが、日本という国を本当にに知らなかったということを強烈にそのときに認識するわけですね。そして、そのままイギリスに行きたいなと思ったのですが、いや、待てよということで日本に戻りまして、もっと日本をしっかり知らなければいけないということで学び直しをするきっかけになりました。
 それから、高校の先生の意識というのをもっと変えていなければいけないのではないかということを思いました。やはり総長もいつもおっしゃっているのですが、これまでの固定観念、例えば18で入学して22で大学を出るというふうなことで、学生自身も留年を非常に恐れたり、1年遅れるということを恐れてしまう。そうではなくて、そういった固定観念からもっと自由になっていかないと。それは高校の先生も親も、それから、社会も変えていかないと、この仕組みが非常に絵に描いた餅になっていくのではないか、全体の意識改革が必要なのではないかというふうに思います。
 そういう中で、このギャップタームの推進がされたときに、学生や、例えば私たち大学の教員にとってどういうことが起こるかということを考えたのですが、もしかしたら課外活動としてフィールドワークがしやすくなるのかなとか。今の状況だと休講ができない状況になっているので、なかなか自分の研究のフィールドに学生を連れていくということが非常に難しくなっています。
 実は昨日、お茶の水女子大学の学生を3日間で西表島に課外活動に連れて行きましたが、そういう中で学生たちがまさに異文化体験をするわけですね。日本の中でこんなに違う文化があったのだということを経験することによって、これからちょっと進路を考えてみますとか、そういう変化が起きます。ギャップタームの重要なところは、何らかの変化を与えるきっかけになる、あるいはそれによって変わる、そして、何かを変える力にもなっていくのではないかと思っています。
 ですので、この仕組みを作ることも非常に重要ですけれども、それによってどういうことが起きていくのか。だけど、効果とか効率ばかりを考えるとまた同じことになっていくのかと思います。ですから、無駄なことは何もないと思いますので、この時間をどのように使っていくのかというのをやはりまさに自主性に任せていくのが必要だろうと思います。
 ただし、そのときに、いろいろな連携、協働の中でいろいろな支援体制を整えておく、応援体制を整えていくというのは必要なのではないかと思います。私も今、日本NPOセンターの副代表理事という顔と、大学の教員という顔と、あと3つも、4つぐらい持っているのですが、今、複数の顔を持つ時代になっておりますので、学生たちも1つの組織だけに属すのではなくて、ピーター・ドラッカーの言うパラレルキャリア的な、そういうライフデザインをしていけるような人になっていくための1つのきっかけとして、このギャップタームが有効になっていければいいのではないかなと思っています。そのためには、いろいろなところの連携、協働が必要かと思います。
 社会経験というときに、やはり基礎自治体とか地方公共団体でのインターンであるとかそういったものも、これから日本という国を知っていく、あるいは海外に出ていくためにも非常に重要なのではないかと思っています。東大でも、今、東大出身の市長さんのところで秘書をなさっている学生さんがいるというふうに聞いていますので。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 秦委員、お願いいたします。それで、2分でお願いいたします。
【秦委員】  じゃ、なるべく早口で。学事暦の多様化につきましては基本的に賛成しております。これはずっと十数年来、何十年と見てきた1つの大きな前進となることと思っております。しかしながら、一律の秋入学ということは考えておりません。これは後ほど説明いたします。
 現在、東京大学によって提起されて、主要な研究大学で協議されているギャップタームと秋入学というセットというものは、国際化のために秋入学が必要で、そのための生じたギャップ期間の過ごし方としてギャップタームを候補に挙げるといった便宜的な扱いというものはギャップイヤー本来の趣旨にはそぐわないと思っています。これは元来、御手洗委員が述べられましたように、個人の自発的な意思と決断に基づく人生のコースを選択するものとして、大学や社会が受け入れていくというふうな文脈の中で理解されるべきものだと思っています。
 本来イギリスでは、著名なパブリックスクールの卒業生の50%から60%が大学進学前にギャップイヤーを取っています。そこで目的としているものは、試験や大学入学のためではなく、人生の準備を行うための期間であるというふうに位置付けているわけです。あくまでもそれをとる人の人生を実りあるものにするために、ギャップイヤーあるいはギャップターム、名称は何であれ、推進されなければならないと思っております。
 その中でよくノブレス・オブリージュなどというふうな表現で扱われておりますが、社会の中で上に立つ人ほど、やはりモラルの高さであり、社会貢献、幅広い教養、正義を貫く精神といったものをギャップイヤーの中で学び取っていったものがイギリスの歴史の中にあるわけです。だからこそ今もまだ根付いているわけです。
 先ほども、一律の秋入学は賛成しないというふうに申しておりましたが、中国地方の中国新聞で一応調査がありました。中国地方の大学の秋季入学の検討に関しましては、検討予定なしが31大学、周りを見ながら今後検討しますというところが14大学。つまり、全51大学中に45校は余り積極的ではありませんでした。つまり、それぞれの大学が育てる学生像がそれぞれ異なっているわけです。その中で一律に秋入学に移行するということはちょっと考えにくいのではないか。つまり、中規模・小規模大学、特に私立の中小規模大学にとってみれば、全面的な移行は非常にデメリットが多いということが調査結果により出ております。
 ですので、非常に大きな前進だと思って私たちもサポートしたいと思いますけれども、秋季及び春季の併用がまだベターなんじゃないかなと思っております。また、私一個人の見解で、広島大学の学長には申し訳ないのですが、広島大学としては中国地方の小中規模大学と連携をとることがまず最初に必要なのではないかと考えております。
 それと、最後、1点申し訳ありません。
【鈴木座長】  はい、どうぞ。
【濱田委員】  先ほど経団連の方が、ウエルカムです、2年とっても、ギャップターム、ギャップイヤーをとれば採用しますよとおっしゃっていただけて、それは本当にありがたいことだと思いますが、2012年度に経団連が実施したアンケートでは、直近1年間の新卒採用の際に、66.3%の企業が、海外経験を持つ日本人学生を募集したが採用せず、又は募集せずというふうに回答したというふうに説明がありました。これは求める人材像、つまり、企業の方々が求める人材像と実際の採用の際の基準にそごがあるんじゃないかと。そこをすり合わせていただければ、これから企業を受ける者にとってもすごくありがたいことじゃないかと思っています。どうも長くなりました。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 濱田委員、お願いいたします。お待たせいたしまして。
 あ、よろしゅうございますか。
【濱田委員】  私、スキップさせていただいて、時間節約をさせていただいて。
【鈴木座長】  それでは、藤沢委員、お願いします。
【藤沢委員】  ありがとうございます。文科行政には全く今まで関わったことがないので、ピントがずれた発言かもしれません。御容赦ください。
 ギャップターム、今も先生から御指摘があったように、資料を拝見していても議論が随分変わってきているのかなという感じがしました。今のギャップタームというのは一体何かというと、私はおそらく手段なのだろうと、そんな印象を持ちました。では、そのギャップタームで何をするかというところでも、体験という言葉がたくさん出てきていましたが、この体験もおそらく手段なのだろうと。
 そして、文科省で何を目的にするのですかということになると、やはり21世紀のグローバルかつ情報化社会で知識社会と、要するに、どれだけ知識を持っていてもしょうがなくて、そういった知識をどう使うかという知恵が必要で、そういう知恵を生み出すためには体験が必要だ、そういう体験を通じて知恵をつかむ方法を知っている人間を育てましょうということだと思います。これは日本、世界全てにとって今、必要な人材づくりです。
 そうすると、この手段を使ってやりたいところだけやるというのでは、国が目指している人材ビジョンとは違うのではないかと考えると、私はこれ、全ての大学でギャップタームを取り入れていくということは考えなくてはいけない。もしかしたら政治決断かもしれませんけれども。本来だったら、別に大学や高校がカリキュラムを変えて、体験する授業をすればいいと思うのですが、それがなかなか進まないんであれば、やはりギャップタームというもので一気に縛りを掛けるということも、手段として必要なのかと。
 そして、学生においても、行きたい人だけ行ってくださいというと、先ほどデータを拝見したとおり、行く人は減っているというのが現実であります。この間イギリスのブリティッシュカウンシルでシンポジウムをやったときも、イギリスの大学でも留学する人は増えていなくて、留学する人もだんだん、英語が使えてカンファタブルな先進国ばかり行くようになったというのが問題視されていた。おそらくそういうことが日本も少なからず起きていると考えると、やはりこういった人間がこれから必要なんですというふうに掲げるのであれば、全員がそういう人間に向かってのチャンスを持つべきなので、やはりギャップタームは全ての大学でやっていく。そうすると、お尻もそろうので、就職の問題はないのかなと思います。
 この場合に鍵を握るのは、私は企業だと思います。やはり学生が、親もそうですけれども、何をゴールにしているかというと、どこに就職するかということ。そうすると、企業がやはり、先ほど経団連でこういう人材が要りますよというお話をいただいた、こういうことをどんどん発信していただきたい。発信していただくと、やはり親も、じゃ、あの会社に入る、日立に入るためにはこういう勉強しなければいけない、大学もそういう勉強ができるところはどこかと変わりますし、そういう大学に入るためには高校も変わっていくので、やはり企業からの発信が不可欠。
 その上では2つ提案したいのですけれども、1つは、そういった宣言をきちんとして、そして、ギャップタームをしている大学の学生を何割採用します、そして、しました、体験のある学生を何割採用します、そして、しましたという宣言と、実践をした企業にはある程度の税制度優遇とか何かそういったサポートができないだろうかということ。
 そして、もう一つは、企業においても、やはり今、現役の人材だってグローバル人材にしなければいけなくて、この教育が大変なわけですね。そういう意味では、今、大学人材を、ギャップタームを使って海外に送るのであれば、企業の若手人材も一緒に送れるというような。文科省はどうしても学生しかだめですという話があって、企業の人は一緒にはしませんとおっしゃるのですが、そこをもうちょっと法律の縛りを検討していただいて、若手人材全て。だって、大学の均質化が問題だと最初、座長おっしゃいましたよね。そういう意味では、その突破口という意味でも、若手の企業人材も入れるような、そういう仕組みも考えていけたらどうかと、そんなふうに思います。以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 船橋委員、お願いします。
【船橋委員】  私も、今回、ギャップタームを目的というか、ゴールは、私の中では何度もギャップタームをとる学生が当たり前にいる状態をゴールだと考えています。どういうことかというと、やっぱりこれだけ変化が速い時代において、定期的に学んでいかなければいけないと思います。ブラッシュアップすると。先ほど文科省は教育予算が少ないという話でありまして、実は企業も、スイスのIMDの調査だと、世界の主要59か国のうち、教育に投資しているお金が、日本の企業は40位。とりわけマネジメント、それ以上の教育は40位と。マネジメント層と比べると、若手社員向けの教育投資額は高いのです。
 どういうことかというと、私もこのIMDのサマーコースなどに出ましたが、最初に聞かれたのが「ミスター船橋、今回何回目だ」と。私、初めてで、大体、日本の企業の人って1回行くと終わりなのですね。大体3年に1回ぐらい来て、学び直しをちゃんとするというのが当たり前ですよね。ものすごく変化が速い時代なので。
 これもそうだと、今回の学生も同じだと思っている中で、私はギャップタームという言葉、チャレンジタームもいいなと思ったのですけれども、ただ、ギャップタームって何かというと、ギャップ体験をする場だと。日本人と韓国人、中国人を比較して、どれだけあちらの方がハングリーか、逆に日本人の良さも気付く。世界がどれだけ速く動いているか、でも、日本の良さにも気付くみたいな、ギャップ体験の中で、もう一度学ばなきゃ、あるいはもう一度学びたいというきっかけがギャップタームであって、これを4年間の間に何回でもやるという。
 主体性がすごく大事だという話もしましたが、今の学生に主体性を期待すると数が減ると思うので、僕は、藤沢さんが言ったように、まず1回目は全員必須になるといいなと。ただ、2回目、自費でも行くぞという人がどれだけ増えるかというところにどういう仕掛けをしていくのかというのがすごく大事かなと思っています。
 最後に、藤沢さんが、企業が何%かギャップタームを経験した学生を採るというところに関しても、実は多分トップ10社がそれを宣言するだけで、多くの学生はそこを目指すようになります。だから、全ての企業がそれをやるという必要はなくて、多分トップの10社ぐらいが宣言するだけでガッと増えるというのがあると思います。全ての企業がこれやらなくちゃいけないかとなるとすごくヘジテートというか、嫌がる企業もいるかもしれませんが、そうじゃなくて、貿易会の会社だったり、今日いらっしゃっている会社が何%と宣言すればいいだけだということで、実はそんな難しくない、けど、効果が出るんじゃないかなと思っています。以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 宮城委員、お願いいたします。
【宮城委員】  私は20年ほど、社会の仕事の現場で大学生を育てていくというような形の事業に取り組んでまいりました。特にインターンシップということで、民間企業や大企業、それから、NPO、さらに海外の現場で、実際半年から1年という長期のインターンシップに取り組んできました。この経験を通して、やっぱり学生たちがほんとに実践の現場を経る中で、人生の主体性にスイッチが入るというか、目が輝き出すという現場をたくさん見てきました。最近では、被災地の現場へのインターンに500人ほど今まで送り込んできましたが、彼らはほんとに見違えるようにたくましくなるといいますか、まさにタフな人間になって、その後また大学で自分から主体的に意欲を持って学びに入っていくというような姿も見てきました。
 一方で、先ほど来あるように、そういう自ら手を挙げて希望してくる学生に機会を私ども提供してきたんですけれども、やっぱり今回のテーマは、学生が自ら動き出すということを日本の文化にしていく。それはやっぱりあまねく学生たちがそういうチャンスを得られるという環境を作っていくということを考えていくというのがこの場の目的じゃないかなということを思っております。
 それで、私は先ほどの濱田総長の気迫あふれるプレゼンテーションに大変感銘を受けましたが、ほんとに待ったなしの状況でもあると思っています。目が輝いてくる学生がいる一方で、どんどん実は大学で学ぶ目的を見失って、何のために学ぶのか、働くのかということが見えづらくなっている社会の中で、若者たちが心の病になったり、ひきこもって出てこなくなる場面もたくさん見てきました。やっぱりこの状況を改革していく非常に大きなインパクトを持つのがこのテーマだと思っています。
 ここで私としては御提案したいのは、1つは、この検討会が最後にゴールとして目指すものは何かということを是非意識した、今後のこの場の議論にしていただければということを思っています。やっぱり論点が非常に多様過ぎて、一つ一つ実は突き詰めていけば、それだけでも時間が足りないということだと思いますが、私は来年の春の時点で、やはり具体的な方向性であり施策を示していくというようなことが必要かなということを思っております。
 例えば検討課題で挙げていただいた制度設計と支援内容という最後の項目で3つ挙がっていますけれども、例えばそういうテーマを具体的に議論していくワーキンググループを作っていくとかいう形で、この場で、ここで議論するだけではない、詰めていく動きも私は同時に進めていく必要があるのではないかなということも思いましたので、その辺はまた併せて御検討いただければと思います。以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございます。
 お待たせいたしました。山内委員、お願いします。
【山内委員】  はい、どうも。ずっと今のお話伺ってきたところですが、大学としての考え方ということになると思うのですが、ギャップタームの過ごし方、どういうものかという話になりますけれども、私は考え方としては、別に特定の時期である必要はないだろうと思っています。ですから、今までは、入学前とかそういうのはもちろん1つの考え方としてありますけれども、在学中でもいいし、卒業後と就職の間というのもあり得ると思いますので、その辺は広く考えていいと思います。
 もう一つは、これ、個人差があるので、ある程度ばらばらでもいいのではないかとは思います。危機管理の問題が出ていましたが、危機管理ができる人とできない人がやっぱりいますので、いきなり新入生全員を外に放り出すというのは、大学を預かっている者としてはとても恐ろしいと思います。それをやって強くなって生き残ったやつだけやればいいというのはもちろん1つの考え方ですが、それをやって何か事故が起きたらたたかれるのは我々なので、大学の危機管理がなっていないと言われるのははっきりしていますので、その辺はやっぱりどのレベルでどの程度の形でリスク管理をきちんと個人に負担させていくのかというのは考えなければいけないなと思います。
 それから、もう一つは、できるだけ多く学生を我々は留学させたいと考えていますし、それから、時期の問題もありますが、時間の問題もありますけれども、やはり今の学生にとって、海外に留学すること、それ自体が大変な体験になりますので、これはある意味ではいろいろな方法があるんですけれども、ギャップタームが求めるものについて考えてみると、それをきちんとさせるだけでもかなりものだと私は思います。ですから、そういうものをきちんとさせるという方向性をしっかり持ってやっていくということが大事だと思います。
 もう一つ、大学側からいいますと、産業界の方への要望ということになりますが、まさに先ほど濱田先生が言われたとおりだと。それで、川村会長にも何度かお話ししたときに、今、日立のやっておられることをまさに言われまして、そんな1年や2年遅れる、それが嫌だなんて言う学生なんていうのは、そもそもそれはおかしい、そんなやつはそもそも使い物にならんと言われて、それはそうだと思いましたが、ただ、一般の学生はやはり自分のそういう経験がどういう形で産業界に活かされていくのかとやっぱり考えます。マスとして考えると思うんです。
 ですから、私としては別に宣言していただかなくても結構だと思いますが、実際問題として、そういうことが不利にならないということが分かる程度で僕はいいと思っているんです。多くの学生はみんな、それをすると不利になると思っているんです。遅れるともうだめだと。2年遅れるのがぎりぎりで、3年遅れたらもう採用してくれないというふうに思うんです。1年でも結構危ないと思っている。これはみんな思い込んでいます。そうじゃないことは、産業界の偉い方と話せば絶対そんなことはないと言うんですが、しかし、人事部に行ってやるとどうかというと、結構怪しいところはやっぱりたくさんあるんですね。
 私としては、そういうことで実際に採用する中で、そういう経験を持っているやつでしっかりした人間であれば、1年や2年遅れてもしっかり採るということが分かってくれば、皆さん、自分で将来を考えたときに長い目で見ると、それが自分のキャリアにとっていいと思えば行くでしょうし、キャリアと無関係で、自分の人生にとって大事だと思って行って、それが結局、損にならないということであれば、行くという人が出てくると思いますので、その辺のところをしっかり実績で見せていただければというのは私が考えているところです。以上です。
【鈴木座長】  ありがとうございました。これで皆さんからお一言ずつ全部頂戴したかと思います。司会の不手際でイーブンに時間を配分できなかったものですから御不満お持ちかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。なお、このような機会を次回以降も作りまして、忌憚のない積極的な御意見を賜るということに心掛けていきたいと思います。
 先ほど宮城委員の方から、この検討会議のゴールといいますか、それをはっきりさせるべきだということ、それから、具体的な方向性あるいは施策についても考えるべきだということ、それから、ワーキンググループのようなことを考えてもよろしいのではないかというふうな御提案もありましたけれども、これらも事務局と検討させていただきたいと思います。
 ちょうど所定の時間となりましたので、これで一応、今日の日程は終わりにいたしまして、今後の開催日程につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【里見大学振興課長】  最後に、資料6でございます。次回につきましては、11月の中旬に第2回目を開催することを検討してございますが、大変御多忙の委員も多いことから、日程を改めまして調整しまして、追ってお知らせをさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【鈴木座長】  それでは、本日の議事は終了いたします。どうもありがとうございました。

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(高等教育局大学振興課大学改革推進室)