平成24年3月15日(木曜日)10時~12時
文部科学省3F1特別会議室
相川委員、及川委員、岡本委員、佐藤委員、佐野委員、長澤委員、藤原委員、森副大臣
板東高等教育局長、常盤審議官、尾崎審議官、池田大学振興課長、平野入試室長
柴田試験・研究統括官(大学入試センター)
(○:委員、□:ヒアリング団体代表者、●:大学入試センター)
1)事務局より配布資料について説明の後、各団体から平成24年度大学入試センター試験において発生したトラブル等について意見表明があった。
(日本私立大学団体連合会(以下「私大団連」という))
□ 今回のトラブルの原因は、直接的には大学側の理解不足だが、入試センターからの試験運営に関する具体的内容の提示が遅く、追加指示が試験直前まであったこと。また、受験生の試験室の配置の提示が12月中旬であったため、担当試験室ごとに異なる説明事項を監督者個々に周知する時間が不足していたこと。
□ 試験方法の複雑化に伴い試験実施マニュアルも肥大化してきており、試験実施マニュアルの簡素化などが必要。
□ 試験監督に向かう直前に、前年度からの変更点や留意事項を具体的に提示した資料を渡すなどの工夫をしている大学もある。
□ 試験開始時間の遅延については、確認に時間がかかる配付方法に変更したことに加え、インフルエンザやインターネットを利用した不正受験等の対応策が必要になるなど試験実施方法が複雑化する中で、試験開始前に必要な説明の時間が必ずしも増やされていなかったこと。
□ 昨年6月末に、地理歴史及び公民や理科から1科目を利用する大学を志望する2科目受験者と1科目受験者との間で解答時間に不公平が生じないよう第1解答科目の得点を採用するよう入試センターから依頼があったが、対応は各大学の判断によるとされた。早急に平成25年度センター試験の扱いを示し、その趣旨を徹底する必要がある。
□ 試験主催者としての入試センターが、参加大学に対し試験実施上の留意点を適切かつ明確に指示・依頼をすること。
(全国予備学校協議会(以下「全予協」という))
□ 第一に考えるべきは受験生の微妙な心理状態に悪影響を与えるようなミスが起こらないこと。今回の対応も、たとえ、60分の試験時間を確保できたとしても、トラブルの影響により、その後の受験教科で、実力を発揮できなかった受験生がいることを、試験実施大学及び入試センターは真摯に受けとめてほしい。
□ トラブルの発生原因は、今回の大きな制度変更に見合うだけの準備期間、あるいは監督者の数、いろいろな部分で足りていなかったのではないか。
□ 大きな変革がある場合は、例えば、入試センターから核となる職員を配置することや、準備の打ち合わせの回数を増やすこと、などが考えられるのではないか。
□ 配布ミスが多発した地理歴史及び公民は、全受験者に両科目の冊子を配布すべき。
□ 監督者のスキルアップをしっかり図ることが必要。
□ 試験実施に関しては、誰よりも予備校が熟知している。予備校団体と意見交換や模擬試験の段階で発見された問題点を聞く機会を設けることが必要。
□ 本来、多様な学力を見るために個別学力試験がしっかり行われるべきであり、各大学においてアドミッションポリシーを一層明確にして、過度にセンター試験に頼らないことが重要。
□ 受験教科等の事前登録制は、出願時の些細なミスも取り消せないため、見直しが必要。
(一般社団法人公立大学協会(以下「公大協」という))
□ 入試が多様化する中でセンター試験があり、大学教員はやらされ感はないが、疲労感はある。
□ 毎年、夏から大学の入試委員会で何回も議論を重ねて試験監督等を担当する教職員を集め、十分な研修を行った上で試験実施に臨んでいる。
□ 入試センターから提案のあった、第1解答科目の得点採用の方式については、学内の対応を統一したが、もう少し早くからこの問題の議論が始まっていれば、スムーズに対応できたのではないか。
□ 地理歴史及び公民に関しては説明時間を40分程度に延長すれば、説明時点での遅れは防げるのではないか。
□ 試験実施方法の変更により、1つの試験室に多様な受験パターンの受験生が在室したことも、試験問題の配付が滞った要因ではないか。試験問題を1冊にまとめることや試験室を受験パターンごとに分けることが改善策として考えられる。できるだけシンプルな形にするのが望ましい。
□ 試験実施マニュアルが相当細かくできているが、毎年実施する試験でもあり、受験生への事前周知の方法を工夫して、試験開始前の注意事項はできるだけ簡素化することも必要。
□ 今後は、実施方法について早期に方針を決定し、一層の周知徹底を願う。
2)各団体からの意見表明後、主に次のような意見があった。
(トラブルの原因)
□(私大団連) 地理歴史及び公民の2科目を受験する者(以下「2科目受験者」という。)の第1解答科目の答案回収と第2解答科目の解答用紙配付のために設けられた10分間におけるトイレ退室に対する人員配置等に関する指示がなかった。
● 受験生の受験パターンごとに試験室を配置した場合、試験室数は増大することになるが、参加大学から試験室が増えるのは困るという要望もあり、複数の受験パターンの受験生が混在する結果となった。
(大学の準備状況)
□(公大協) 大学では、十分な実施体制を構築するようにはしているが、どうしても一部に習熟できない監督者がいる。
□(全予協) 今回の変更点について、入試センターの事前説明や受験案内などで受験生は理解していたが、大学の監督者の方が理解していなかった。
(今後の改善策)
○ 試験実施方法が変更されても問題なく試験が実施できている会場もあり、問題があった会場との違いは何なのか。トラブルが発生した試験室では何が起こり、その原因は何だったのか。また、トラブルがなかった大学では懸念されたトラブルを回避するためどのような工夫をしたのか。今後の検証には、それぞれの個別具体の事例を大学から聴取することが必要。
○ 地理歴史及び公民の2科目受験の時間帯だけで問題が起きたのであれば、試験実施マニュアルの部分で原因を追及していくことが筋ではないか。
○ 受験生にとって、試験前に40分の説明を聞いて、それから試験を受けることは精神的な負担が非常に大きい。
□(公大協) 人間がやることは、ある程度のミスが生じることを想定し、可能な限り実施方法をシンプルなものにしていく努力が必要。
□(全予協) センター試験の遵守事項を予めルール化し、文書で配付するなどができれば、試験当日は重要事項だけを説明するという体制は可能。
□(全予協) 過去5年間で試験監督中に3回ミスをした教員は監督者から外すなど、具体的な対応が必要。
(センター試験のあり方、リスニング)
□(私大団連) 実施する試験科目については、基礎的な学習の達成度を図るという趣旨を踏まえると、簡素化できないかという意見がある。
○ 再発防止という観点から試験の単純化が必要という意見に首肯できるが、大学はアドミッションポリシーに基づいてセンター試験を活用していることから試験方法が複雑化していくのは当然ではないか。
○ 大学はアドミッションポリシーに基づいてセンター試験を利用し、個別試験を実施しているからこそ、逆にセンター試験はシンプルさを求めていかなければならない、という考え方もある。
□(私大団連) 問題文を読み解答する試験方法と異なるリスニングを同じセンター試験という枠の中で行うことについて検討の余地があるのではないか。
○ リスニングの50点に対する大学のニーズと、毎年トラブルが発生することを考えると、リスニングの必要性をもう一度議論することも必要ではないか。
○ 高校で学んだ英語力を確認するため、各大学の個別試験で同等の試験等を導入することはできないのか。
・事務局から今後の日程について説明後、閉会
電話番号:03-5253-4111(内線2469)