第20回 新薬剤師養成問題懇談会

1.日時

令和3年2月12日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.配付資料

4.議事録

  第20回新薬剤師養成問題懇談会
  令和3年2月12日


【福島薬学教育専門官】 皆様,大変お待たせいたしました。それでは会議を始めさせていただきたいと存じます。どうぞよろし  くお願いいたします。本日は御多忙の中,本懇談会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。時間になりましたので,ただいまより第20回新薬剤師養成問題懇談会を開催いたします。また,本日は新型コロナウイルス感染症対策のために全てウェブ参加とさせていただいております。なお,事前の申合せのとおり,本懇談会については公開とさせていただいております。
続いて,本日の御出席者について御紹介をさせていただきたいと思います。お手元に参考資料1として出席者名簿を配付させていただいておりますので,御確認いただければと存じます。なお,お一人お一人の御紹介は時間の関係上省略させていただきますので,どうぞ御了承いただければと存じます。よろしいでしょうか。
それでは議事を続けさせていただきます。続いて資料の確認をさせていただきます。お手元の資料でございますが,まず議事次第です。それから資料1,資料2,資料3,そして参考資料1,参考資料2と用意させていただいております。皆様方,よろしいでしょうか。では,この資料に基づいて議事を進めさせていただきたいと思います。
それでは議事に移りたいと思います。まず議事1でございます。薬学教育6年制及び薬剤師に関する状況についてです。資料1に基づいて,文部科学省そして厚生労働省からそれぞれ説明させていただきます。その後,本資料及び説明に関連して,御参加の皆様方から御意見等を伺いたいと存じます。
それでは資料1を御覧ください。初めに,薬学教育の点につきまして文部科学省から説明させていただきます。1枚目にございますこの一覧表が現在行われている主な施策の項目となっております。カリキュラム,実務実習,情報公開,また大学院進学,薬学部教員の養成,こういった課題について,今現在,取り組んでいるところでございます。
まず1番目のカリキュラムでございますけれども,現在コアカリの今後の見直しに向けまして,2019年度から文部科学省委託事業を実施しております。2021年度まで実施の予定でございます。また,今年度2020年度は,現場の声をコアカリに反映させるため,薬剤師,医師,看護師等にアンケートを行い,現状と課題の整理を行っているところでございます。今後に向けては,医・歯のコアカリ改訂の検討とも連携いたしまして,共通して学ぶべき事項を共有するなど,多職種連携への一層の対応及び医療現場等の最新の状況に応じた人材育成のための改訂を目指してまいりたいと存じます。
その次の実務実習でございますが,これまでの実績につきましては省略させていただきまして,実務実習の欄の下から2番目のポツを御覧ください。2020年度におきましてはコロナ禍での実務実習の状況等に関する調査を実施いたしました。そして本年1月に「令和2年度薬学実務実習中間調査に基づく課題への対応について」ということで整理いたしまして,各大学・団体に通知させていただいたところでございます。
また,今後,2022年度末まで本会議の実施期間を延長すること等を提案いたしまして,ガイドラインに基づいた実務実習の実績の検証や,本連絡会議の実施期間終了後の検討組織の在り方について今後検討を行う予定としております。また,後ほど協議事項の中で,この連絡会議については御報告と審議をさせていただきますので,改めて御説明させていただきます。
その下の,情報の公開でございます。こちらにつきましては,2014年11月の薬学系人材養成の在り方に関する検討会において,入学者に対する標準修業年限内の卒業者でありますとか国家試験合格者の割合,また6年次の卒業留年の割合について,各大学の公表状況について整理し,ホームページで公表することを提言いたしております。これを受け,こういった情報を各大学において公表するとともに,文部科学省において各大学の公表状況について整理し,ホームページで公表を開始しておるところでございます。
そして今年度2020年度からは,情報がより分かりやすい形で受験生などに伝わるように,各大学が公表するフォーマットの統一を行いました。今後,より一層受験生等の便宜が図られるように,各大学の公表のページからも文部科学省のホームページの情報が閲覧可能となるように対策を講じる予定としております。
また,大学院進学,薬学部教員の養成につきましては,先ほど申しました2019年度からの文部科学省の委託事業の中において,4年制博士課程の在り方についても調査研究を実施しているところでございます。
また,共用試験については薬学共用試験センターにおいて実施いただいており,専門分野別第三者評価については薬学教育評価機構において実施いただいているところでございます。
この次のページからは,ただいまの御説明について少し補足させていただきたいと考えております。
2ページ目を御覧ください。薬学教育モデル・コアカリキュラム,現行版でございます。こちらについては既に御案内のことかと思いますので,今日の御説明は省略させていただきます。
次の3ページ目に移っていただきます。先ほど御紹介させていただきました薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に向けた調査研究を現在行っているところでございまして,調査研究内容としては2点です。まず,コアカリ改訂に向けた課題と今後盛り込むべき事項の整理。そして,6年制課程の上にある4年制の博士課程の課題について検証していきたいと考えております。
また,委託先については日本私立薬科大学協会様にお願いしておりまして,来年度の予算額案として600万円を計上させていただいている状況でございます。
次の4ページ目を御覧ください。薬学部入学実施状況の調査結果の大学公表用フォーマットの統一についてでございます。先ほど御説明した情報の公開をより適切に行うための措置でございます。中ほどの括弧のところを御覧いただきたいのですけれども,これは平成26年度にございました薬学系人材養成の在り方に関する検討会の中のワーキンググループのフォローアップにおける提言に基づいて行われていることでございます。
その提言の中に,情報の公表といたしまして,学生の状況の公表については,受験生がその状況を理解した上で入学することができるようにするなど,社会一般の理解が得られる適切な方法により行う必要があると提言いただいておりまして,その中で,公表する内容として各年次の進級者数,入学者に対する標準修業年限内の卒業者及び国家試験合格者の割合,6年次の卒業留年の割合,こういったことについて文部科学省においては上記に関する各大学の公表状況について整理し,ホームページで公表する必要があると提言をいただき,これに沿って,今,対応が行われているところでございます。
ですが,その下の矢印の上に書かれているとおり,令和2年の現時点におきまして,やはり各大学での表示方法・内容に差があり,依然としていまだ受験生などが容易に比較・検討できる環境とは言えないことが現状として課題となっております。そのために,その矢印の下のところでございますが,こういった公表情報について,各大学において今後共通のフォーマットを用いて公表することとさせていただいたということでございます。
次のページを御覧ください。これが統一のフォーマットでございます。それぞれ3つの項目を先ほど御説明いたしましたが,この3つの項目についてそれぞれ書く欄がございまして,こういった形で各薬学部が同じ様式で公表して,受験生の皆様,関係者の皆様に対してしっかりと提示して,見やすい形で公表していくことを進めております。
右下の四角にありますとおり,各大学は公表フォーマットに必要事項を記入し,各大学のホームページに公開。また,文部科学省ホームページに各大学の公開ページのリンクを張り,文部科学省ホームページからもアクセスできるようにするということで整理しております。
次のページを御覧ください。これが文部科学省ホームページにおいて公表しているページでございます。各大学の一覧がある総表と,それから各大学のホームページのリンクがここでできるようになっております。
次のページを見ていただくと,各大学の一覧があるページになっています。
また,今後の対応についてでございます。これは文部科学省のページから見られるようなものですので,やはり各大学のページからもこういった総合的な情報が見られるようにしていただきたいと考えております。ですので,今後は各大学の入試情報,受験情報に関するページにおいて,こういった文部科学省のページをリンクしていただくようにして,各大学のページからもこういった情報を見られるようにしていただきたいと考えておりますので,このことについて今後対応していきたいと考えております。
次のページでございます。現在,厚生労働省様の方で薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会が行われておりまして,そういった検討会の中でも薬学教育の課題についていろいろ御議論いただいているところでございますが,その中で薬学教育の質の保証についても取り上げられているところでございます。そういったことも踏まえまして,改めて現在の大学の質保証について,制度的にどのような形で今,進められているのかということを御説明させていただきたいと思います。
上の方に大きく2つあります。一つは,左上の設置認可審査においての入り口における質保証です。右には,大学が設置された後に認証評価であるとか情報公開等によって恒常的な質保証を行っていくと。こういった仕組みになっているわけでございます。
左の方からいきますと,一番左の部分で,まず大学ですとか学部を設置するときには設置申請をして,設置審における審査があります。その中では,教育課程や教員数・教員資格,校地・校舎といった基準に基づいて,その基準をしっかりクリアしているかどうかを審査するわけでございます。そしてその審査を経て設置が認められますと,次は完成年度までの間,設置計画履行状況等調査で設置認可後のフォローを行っているということでございます。設置計画が計画どおりにしっかり履行されているかについて調査しているわけでございます。
そして完成年度を終えた後は右のステージになりまして,特に右のステージの真ん中の四角のところ,各大学における学内での取組が一番重要な観点でございます。丸1,内部質保証とありますけれども,まず各大学において自己点検評価をしていただいて,実際に活動し,そしてまた改善し,そのサイクルを繰り返していただく,これがまず基本となっております。
さらに丸2といたしまして下の方に認証評価(第三者評価)がございまして,これは国の法律で定められて行うものでありますけれども,7年に1回,文部科学大臣が認証した認証評価機関において各大学についての評価を行っていくということでございます。また,薬学部につきましてはこの評価とは別に薬学部独自の評価を行っておりまして,薬学教育評価機構において6年に1回の評価を行っているということでございます。
また,その上に丸3ということで,社会への情報公表があります。こういった大学情報につきましては,しっかりと適正な形で公開して,社会一般そして受験生といった方々にしっかり見ていただいて大学を選んでいただく,そして社会に対してしっかり約束するというようなことの中で,質の保証を行っている状況でございます。
次のページを御覧ください。入学定員のことにつきましても御議論いただいているところでございますが,現在,定員の取扱いについてどのような形で制度上なっているのかということで,改めて紹介させていただきたいと思います。上の長い四角の欄の3番目の丸で,大幅な定員の超過や不足に対しては,学部・学科等の設置や基盤的経費の配分等においてペナルティーがあるということであります。
そして特に課題となっているのはやはり定員の未充足でございます。こちらについては左側の表の一番下に,四角で「私立大学について」という欄の2個目の丸になりますが,学部等ごとの収容定員に対する在籍学生数の割合(収容定員充足率)に応じた私学助成の増減調整を実施しているということでございます。この定員充足率のパーセンテージによって配分額が減額されていくということでございまして,例えば定員充足率が89%であれば11%減の支給であったり,51%であれば50%までの支給,そして米印にありますとおり定員充足率が50%以下の場合は不交付といった形で,私学助成金の配分を制限している対応も行っているわけでございます。
こういった質の保証の制度面,それから補助金等に対しての対応を組み合わせながら,大学における,特に薬学部における質の保証,質の確保に努めている状況でございます。
文部科学省からの説明は以上になります。この後のページからは厚生労働省様にお願いしたいと思います。安川企画官,どうぞよろしくお願いいたします。
【安川薬事企画官】 安川です。よろしくお願いいたします。では,引き続き厚労省の関係の資料を説明したいと思います。
まず10ページ目のスライドでございます。薬剤師国家試験,免許取得後の全体の関係の動きでございます。まず,薬剤師全般につきましては,昨年の6者懇でも紹介しましたけれども,薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会を昨年7月から設置して,薬剤師の需給,資質向上,今後の薬剤師の在り方等について,今,検討していただいているところでございます。後でも触れたいと思います。
薬剤師国家試験につきましては,来週末ですかね,106回の試験,これは改訂モデル・コアカリキュラムに対応した試験が実施される予定です。
需給調査については,今年度予算で薬剤師の業務実態や地域の医療提供体制等を踏まえた詳細な需給調査を現在行っているところでございます。
薬剤師の確保に関して,これは来年度の予算になりますけれども,都道府県においても薬剤師の確保といった課題がございますので,取組事例等を収集して,地域偏在等に対応するための効果的な方策の調査・検討を行っていきたいと考えております。
薬剤師の免許取得後の卒後研修につきましては,現在,厚生科学研究の中で実施している状況でございまして,3年間実施の中で,今年度2年目になっていますけれども,来年度も引き続き実施する予定でございます。また,予算の方で,これは来年度予算になりますけれども,実際,医療機関等で卒後研修を行うモデル事業の実施等も行って,カリキュラム作成のための調査・検討といったところも進めていきたいと考えております。
薬剤師の専門性の観点は,今年度の厚生科学研究で薬剤師の専門性に関する研修・認定制度の実態把握や今後求められる専門性を調査するのを,3年間の実施で進めているところでございます。
薬剤師,薬局を取り巻く状況につきましては薬機法改正が今,順次施行されている状況でございます。というのが,全体像でございます。
次のページ,11枚目を御覧ください。薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会ということで議論を進めております。これまで個別のテーマを議論しながら検討を進めていまして,薬局・医療機関の薬剤師の業務,製薬企業の業務,あるいは薬学教育,様々な観点のテーマについて議論を行っているところでございます。また,週明けの月曜日に検討会を開催する予定でございます。
次のページを御覧ください。12枚目です。検討会の検討事項ということで細かい資料になっていますけれども,赤字のところが幾つか挙げられています。まず薬剤師の需給調査に関する内容,あるいは薬剤師の養成,薬剤師の資質向上に関する事項,そして今後の薬剤師の在り方ということです。先ほど御説明したとおり,薬剤師の需給調査は本年度の予算事業で進めていますので,具体的には年度末までは需給調査を行った上で,その結果を踏まえ,また来年度の検討会で全体の話を引き続き進めていく予定にしております。
13枚目以降は検討会の資料でつけておりますので,参考として御紹介したいと思います。
次,14枚目をお願いいたします。この検討会自身ですけれども,右側に色をつけているところが検討会の位置づけになっております。検討会自体は厚労省で設置しているものでございますけれども,文部科学省でもオブザーバーとして参加していただいて,全体として卒前の教育も含めて議論しているところでございます。検討会はいずれ取りまとめを行うことになりますけれども,必要に応じて,文部科学省の各種会議等ございますので,そういったところの検討にも生かせるようにしていきたいと考えております。
次のページをお願いいたします。15枚目は需給調査ということで,これは検討会で御紹介したものでございます。どういったことを調査しているかということで,具体的には赤字で書いているところが内容になりますけれども,例えば丸1のような,基本的な統計データとかを含めて医療・介護関係情報を収集すること。丸2にありますような,実際の業務実態を知るためのタイムスタディー調査,あるいは先進的な事例を調査しながら,今後の在り方の参考にしていきたいと思っています。また丸3のような,働き方に関する調査も行いながら,需給推計といったことを進めていきたいと考えております。
次のページをお願いします。16枚目でございます。具体的な調査は今,そういった形で進めているところでございますけれども,今後の需給推計そのものは,今後の人口減少社会の中で医療のニーズ,薬剤師の業務としてのニーズがどうなっていくかということと,学生数も一定程度減ってしまうことも踏まえて考える必要があるのではないかと考えております。
次のページをお願いします。17枚目です。関係する課題を改めて示していきたいと思っています。先ほど,文部科学省さんからも御紹介がありましたけれども,入学定員につきましては,私立大学では定員割れになっている,充足率が低い大学が一定程度存在しています。
次の18枚目を御覧ください。ここの資料では90%以下の充足率の大学を水色で示しておりますけれども,こういった形で毎年同じ状況で定員を満たさない大学が存在するということでございます。こういったことが仮に単年度続く分にはいいのですけれども,継続してこういう充足率が低い状況はちょっと疑問なのかなと思っております。
次,20枚目をお願いします。19まではほかの大学の一覧ですので,その次のページです。薬剤師国家試験につきましては,先ほど御紹介したとおり来週また実施されますけれども,昨年の結果をいろいろ分析して検討会で提示していますので,御紹介したいと思います。
次のページをお願いいたします。21枚目です。こちらは新卒ですけれども,国家試験の出願者数と受験者数の関係です。国家試験は1月に出願することになりますけれども,2月の国家試験で受験できなかった学生が存在します。これがこのグラフでいうとグレーのものでございますけれども,全体の1割,出願者数の1割が受験できないということで,これは大学によって差があるということでございます。
次の22枚目をお願いいたします。先ほどの21枚目は実数だったので,こちら割合にするとこういった形で大学ごとの差が出てくるものでございます。
次のページをお願いします。23枚目は新卒の合格率ということで,新卒の合格者数が国家試験の結果を示す一つの指標にはなっていますし,大学側も新卒合格率を重視していると思っています。新卒自体の合格率は私立大学では水色のような84.1%でございますけれども,この中で標準修業年限の6年間で合格した人以外も当然存在しますので,純粋にこの6年間で合格したいわゆるストレート合格率ですと黄色のグラフになりますが,57.8%でかなり低くなっている状況です。
次のページをお願いします。24枚目です。薬学部については平成15年以降大学が多く新設されていますので,先ほどのものを設置時期別に分けると,新設大学のストレート合格率が5割を切ってしまっている状況になっています。
次,25枚目をお願いいたします。そもそも新卒受験者といっても,6年間で卒業している人ではない受験生もかなりいます。新卒受験生の中には7年8年かけて卒業見込みの学生がいることがこのデータで分かるということで,この赤とか黄色がそういう学生でございます。
次,26ページ目をお願いします。こちらは新卒ではない,既卒者としての分析です。これは既卒者の中で直近1年間に卒業した人の割合ですけれども,本来3月で卒業予定だったのですが,卒業延期になって,翌年の3月に新卒として受験するのではなくて,年度の途中,このグラフですと特に9月が多いですけれども,その時期に卒業している学生も結構存在することになっています。既卒受験者の中で直近1年間で卒業した受験生の中で,半分は3月に新卒受験をして不合格になった人,残りの半分ぐらいが卒業延期になって年度途中に卒業した人という形で受験者が分かれている状況でございます。
こういった形で薬学部に関しては幾つか課題があると認識しております。先ほどの入学定員の話であれば,充足率を満たさない大学が結構あって,そこの表にもありましたけれども,入試の倍率も非常に低いというので,選抜したかどうかがちょっと言い難い状況なのかなと思っています。あと,学生の学力のせいかどうかは分かりませんが,6年間で卒業できない学生が結構いる状況。あるいは,卒業間近で国家試験直前なのですけれどもその時点で卒業が延期になってしまう学生がいて,その学生が翌年の国家試験では新卒ではなく,今度は途中で卒業するので既卒になってしまうということがございます。
こういったことがあると,薬剤師の養成の観点では,大学の定員数を基に供給を考えるのは数字がいろいろ変化もあって非常に難しいところもあります。大学側は定員を維持というところも分かるのですけれども,実態に即した定員数にぜひしてもらいたいと思っています。
また,国家試験もその年に卒業する新卒というのは,大学側が一定のレベルの学生を選抜した結果になっているのではないかなと思っています。新卒としての数字自体が果たして本当の大学の実態を表しているかは疑問と感じています。
これは参考ですけれども,例えばとある大学のホームページのトップに新卒合格率九十何点何%と非常に成績よく書いているのですが,文科省さんが今公表しているデータの中ではその大学のストレート合格率は3割に満たないと,非常に低いものなのですが,その事実はそこには明記されていません。これが新卒の数字であることもちょっと小さく書いているだけということなので,これだと先ほど文科省さんの説明もありましたように,高校の先生方とか受験生が十分事実を認識しない,誤解するのではないかと思いますし,科学に基づく教育を行っている薬学部なのに,そういったデータの提示の仕方が妥当なのかはぜひ再考していただきたいと思います。
文科省さんで今後,より見やすく大学の実態を示すデータを示す予定と先ほど説明がありましたけれども,ぜひそういう,本当の大学の実態が分かる情報開示をお願いしたいと思っております。
いずれにしても,こちらの国家試験,免許取得後の関係の説明は以上になります。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございました。以上で文部科学省,厚生労働省からの説明を終わりました。
それでは次は,ただいまの説明と提示させていたたいだ資料に基づいて,御参加の皆様方から御意見等をお伺いしたいと思います。御意見のある方はどうぞ挙手をお願いいたします。
【山本会長】 日薬の山本です。
【福島薬学教育専門官】 お願いいたします。
【山本会長】 よろしいですか。資料1の文科省のお作りになった資料の3ページです。前段でこれまでの経過について,カリキュラム,実務実習,情報の公開等については十分に理解しました。いくつかお伺いしたい点があります。
資料の1ページ目の欄外に「専門分野別第三者評価については,薬学教育評価機構において実施」と記載されていますが,その薬学教育評価機構で実施している評価基準。平成15年以降につくられた学校と15年以前の学校との間で先ほど数字が分かれていましたけれども,平成15年ですと7年目が22年ですか。ですから平成でいえば既に第三者評価が終わっているはずなのですが,それにもかかわらず十分な効果が出ていないとなると,学校側が聞く耳を持たないのか,それとも評価の仕方が悪いのか,実効性があるのかないのかというのが一点。それをどう文科省が見ておられるのか。文科省の御意見を伺いたいのですが。
併せて3ページ目です。テーマの趣旨に太字で書かれたところがあって,「6年制薬学教育について,学部及びその上の4年制博士課程に関する課題をトータルで検証し」となっているのですが,これはいわゆる薬学6年制の教育課程を担う人材をどのような形でつくれるかということを調べようとするものと考えますが,一体文部科学省としてはどんな教育を受けた者に薬学教育あるいは6年制の薬剤師養成教育を担わせようとしているのですか,ということをお伺いしたい。
次に,4ページです。今ここに書いてあるのは大学の教育の質の評価と理解していいと思うのですが,十分な結果でないときの対応はどのようにお考えなのか。当然私どもとしては十分な教育効果が出ているという前提で理解していますので,出ないことを想定するのは教育者としてあるまじき立場であろうかと思いますので,想定はしていないと思いますけれども,どうなのか。
と同時に,令和2年5月の時点で比較できないとありますが,なぜ比較ができないのか。既にこれまで何度となくそのことは要望があったことですし,単純に言えば入学者と卒業者と合格者を年度で整理すればよい話ではないかと単純に思っていましたところ,5ページにはそのような新しいフォーマットで整理するという提案がなされている。つまり,これまで要望してきたことには全く無反応であったが,今になって「そうした提案にお応えします」といった対応をされるという姿勢と文科省さんを理解してよろしいですか。
それから,7ページに様々な記載がされていますが,2015年,今から6年前ですか,その時の入学者を想定して2015年に入った人,その卒業生を比較して見ると,とてもよろしくない数字だと私は思います。そういった意味で言えば,今までこうした数字を作れれば作れたのに作らなかった理由はどんな理由からでしょうか。
それから,8ページですけれども,設置基準に関する申請があると,認可するための審査をなさる。細かなところは結構ですけれども,どんなことが認可する基準になっているのか,大まかな基準でいいですけれども,肝になることだけでもお示し願いたい。
無事に審査が終わって大学がつくられた。完成年度というのが記載されていますが,文科省さんの意識の中では4年制の薬学部が主体であって,6年制のことに意識がないという理解でいいですか。
さらに,右側にあります四角の中で,内部の自己点検が私は必要だと思っていますし,それを社会に公表することは極めて重要だと思います。丸2に書いてあります評価をする第三者評価がいわゆる評価機構,今ある評価機構という認識でよいのか。となると,そこで出された評価については強制力があるのかないのか。まさに2が十分に機能する,つまり機能するように動いている第三者評価の評価機構の評価結果をきっちりと大学が受け入れる,あるいは改善する意思がなければ,このポンチ絵は絵に描いた餅なのですが,それはどのようにお考えでしょうか。
それから9ページの定員の扱いですけれども,これは学部ごとに定めると記載されていますが,それは国が定めるのでしょうか。おおむねこれを読んでいると数字がいろいろあってなかなか理解できないのですが,例えば4年制の大学であれば1学年1,000人,6年制になると6,000人。ですから今で言えば1学年何人いるかという計算をすれば9ページの資料は分かるのですけれども,お金の問題だけではなくて,定員そのものも問題があるという認識をお持ちのようですので,具体的にその辺のところもお聞かせ願いたい。以上文科省さんにお答えを頂きたい。
次いで,2番の厚生労働省さんにお伺いしたいのは,資料2につきましては卒後,ですから国家試験を合格した者に対する施策は10ページ以降記載されているという理解でいいと思いますけれども,12ページの赤字で書かれた2番と3番。薬剤師の養成と資質の向上は,単に厚生労働省だけの問題ではなしに,不可分に文科省と連携が必要だと思いますが,その辺りの連携体制はどうなっているのか。
と同時に,参考資料でつけられました16ページの今後の推計ですけれども,たしか2020年度の出生率が90万人程度だったと理解していますが,そうしますと,ここにある人口推計よりもっと速いスピードで大学進学者の数が減ってくることになると思うのですが,そうした面のアジャストはどのようになさっているのか。
さらに,17ページ以降に定員の充足率あるいは国家試験の合格率,それぞれいろいろ記載がございますけれども,その点について文科省さんはどのようにお考えで,どう改善していくのか。
20ページの6年制と4年制との差が出ていた年を考えてみると,少なくとも4年制の学部の方々よりも,より質の高い薬剤師を養成しようということがこの6年制の目的であったと私は理解しておりますが,その理解がそうでないというのであればまた別でありますが,そうだとすると,どう考えてみても移行期を終わった後の6年制に移行した後が,4年制の頃に比べて質が下がっていると。微妙ではありますけれども,上がっているとは言えない。
一方で,次の21ページでありますけれども,出願者10,276人に対して受験者9,194人ということですけれども,その減ってしまった1,082人はどういう理由で受けられなかったのか。
というのを整理した上で,私立と国立との差が極めて大きいことと,24ページの資料で言えば,平成15年以前の設置大学と平成15年以降の設置大学を比べてみると,明らかにその差が出ています。文科省さんは薬学教育と言っておられますが,少なくとも薬学教育を受けた者が薬剤師になりますので,その中ではきちんとした薬剤師養成教育を考えていただかなくてはならない。にもかかわらず,こうした形で合格率で学校を評価するのであれば,より踏み込んだ薬剤師養成教育に対する問題点をどのように認識されているのか,両者に以上をお伺いしたいと思います。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございます。それではまず文部科学省からお答えをさせていただきます。
まず1番目の問いですけれども,資料1の1枚目の一番下にある,薬学教育評価機構における第三者評価についての質問だったと思います。この実効性についてどうお考えになるかという御質問だったと思いますけれども,まずこういった評価を大学として受けるに際して,これは大学もしっかりと準備して,その中でまずこの評価については大学が自己点検評価をして,その自己点検評価をした結果を基に,第三者機関である薬学教育評価機構が大学の実績の達成度などについて評価をするわけでございます。
このことについては,多くの大学は総合的には評価基準に達しているということでございますが,一部の大学では達していない状況にはなっています。ただ,今回こういった過去6年間で一通り全ての大学を評価したわけですけれども,その中で出てきた課題については各大学が認識したと思います。そしてその課題に基づいて対応しているということでございますので,中にはまだすぐには対応できないこともあるかもしれませんが,ただ課題がやはり浮かび上がってきたわけですから,それについて大学がしっかり対応している。そしてそのことについては一定の評価がなされるべきだと思います。
また,今後しっかり対応するべきことがもう明らかになっているわけですから,それについてはしっかりと大学で対応していただきたいと考えているわけでございます。
その次に資料の3ページ目で,6年制の薬学部を卒業した方にどんな薬剤師になっていただきたいか,どういうふうに社会の中で役割を担っていただきたいのかというような御質問だったと思います。これは薬学部,特に6年制薬学部を卒業した方……。どうぞ。
【山本会長】 違います。どんな教育を受けた者が6年制の薬学部の薬学教育なり薬剤師養成教育を担うべきだと文科省は考えていらっしゃるのかということです。
【福島薬学教育専門官】 分かりました。大変失礼いたしました。
資料2枚目を御覧いただきたいと思います。ここにモデル・コアカリキュラムの全体像があるわけですけれども,ここにはAの基本事項からGの薬学研究まで,それぞれ各項目があります。まず,このモデル・コアカリキュラムに書かれていることを前提にお話をさせていただきたいと思います。
やはりまずAの基本事項の(1)薬剤師の使命,(2)薬剤師に求められる倫理観,こういった基本的に医療従事者として求められる基本的な資質から,薬学と社会という法制度も含めた社会をしっかりと学んでいく,そして社会につながっていくこと。そしてその下のCとDとEにあるような専門としての知識,薬学としての専門知識をしっかり得ていただいた上で,Fの薬学臨床で実務実習を通して現場の薬剤師の皆様方の御指導もいただきながら,学んだことをどう現場で生かすのかということを学ぶ。そして最後にGの薬学研究で,自分で課題などを見つけてその課題をどう解決していくかという,そうした課題を解決するための思考力を学んでいただいて,卒業していただきたい,そして社会で活躍していただきたいと考えております。
こういった形で,学んだことをいかにして最後は自分の中に身につけて,それを社会で生かすか。やはりこれからの社会はどうしても予測できないことが多々起きていきます。また,薬学部生が卒業したときに自分が直面することは,当然様々前例がないこともあるわけでございます。そういった中で,事例がないことについてもしっかり自分の頭で考えて,そしてどうやったら解決に導くかということを実践していく。また,自分で分からないことがあれば,周りの方々の協力もいただきながら一緒になって物事を解決していくこと,それを薬学,薬剤師,こういった薬の分野を通じて社会に貢献していただきたいということで,そういった役割を担っていただく人を育てていただきたいと考えております。
【山本会長】 国会答弁ではないので問題をすり替えないでほしいのですが,2ページにありますコアカリは6年制の薬学教育課程のカリキュラムですよね。それでよろしいですか。
【福島薬学教育専門官】 そうでございます。6年制です。
【山本会長】 今のお話は,6年制の薬学教育としてはAからGまでのようなことをしっかり学んで,Gが終わった後に薬学臨床も含めて,不測の事態に対応できる人材,薬剤師をつくっていくということで,そこは十分理解したつもりです。
ただ私が聞きたいのは,それを4年制で終われるのですか,終われないのですか。終われない方々がなぜ6年制のその後の4年制の博士課程に行って薬学教育に携われる人材になるのですか。そこを教えてください。
【福島薬学教育専門官】 すいません,4年制というのは大学院のことですか。
【山本会長】 それが3ページに書いてある最初のテーマの趣旨ではないのですか。そういう趣旨でしょう。 テーマのところは。
【福島薬学教育専門官】 4年制については4年制の博士課程,4年制の大学院のことを言っておりまして,ここの3ページで言っている趣旨は,当然6年制を出た方が4年制の博士課程で学んで,そしてその方々が社会に出ていって活躍していただきたいということです。そういった中で,4年制の博士課程のことを考えるときには,やはり土台となる6年間の学部の学びが非常に重要で,その6年間の学びの上に4年制の大学院の課程がありますから,そこはやはり学部と大学院で教えることは一体化して考えていく必要があるので,4年制の博士課程についてもやはり課題を検証していきたい。そういう趣旨でのこの事業でございます。
【山本会長】 つまり,4年制の博士課程を出た方々が6年制薬剤師養成教育には携われないという理解でいいですか。
【福島薬学教育専門官】 よりよい形で携わっていただきたいということです。
【山本会長】 この辺,テーマの書き方で誤解を招かないように。少なくとも薬学教育と薬剤師養成教育を,ある部分,薬学教育という形でくるんで今までやってきましたから,そういった意味では薬学教育でいいのかもしれませんが,薬剤師については薬学がバックボーンとしてあることでありますので,十分な充実した薬学教育も必要ですけれども,それに加えて,2ページにあったような薬学臨床であったり,もちろん薬学研究マインドを持った薬剤師が必要なので,そういった意味では大学院に進むことも必要だと思います。その辺り,ここの書き方についてぜひお願いしたいのは,予算を取って新たなカリキュラムの検討に入られるわけですので,そこはきちんとした,2ページの上にある薬学教育モデル・コアカリキュラムの中で十分な指導ができる教員の養成を国立大学も含めてお考えいただかないと,多分これでは,理屈としては分かりますけれども,実態としては何も変わらないのではないかという気がいたしますので,よろしくお願いします。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございます。今,いただいたお話も踏まえまして,この委託事業は進めさせていただきたいと思います。
続いて4ページ目でございます。中段から下の矢印の上の文字,「受験生などが容易に比較・検討できる環境とは言えない」をどのように考えているのかという御質問だったと思います。こちらにつきましては,文部科学省に置かれた在り方検討会の報告の中では,しっかりとまずは各大学において各年次の進級者数であるとか卒業留年の割合とか,そういった情報をまずしっかり社会に公表していくことが大事だということで書かれているわけでございます。そしてその公表方法については各大学に委ねると。
そして,その項目はしっかりと押さえていただきたいという趣旨で大学には周知したわけでございますけれども,その中で大学が行う情報公開の仕方,数字の出し方が一部誤解を招くような表現があったりしたわけです。そういったことはまずは大学自身が改善していくことだとは思うのですけれども,ただそれがどうしても自主性だけでは改善し切れないところがありましたので,そこは改めて文部科学省でそのフォーマットを示して,統一のフォーマットで各大学しっかりと公表していただいて,先ほど申しましたように受験生等の皆様方がしっかり比較・検討した上で大学を選んでいただくために,こういったことを行っているわけでございます。
ですので,まずはもともと大学の自主性を重んじてやっていたところですけれども,それがなかなかうまくいかない部分については,行政の方で案を示していきたいということでございます。
それから,7ページです。この表をこれまでできていなかったのかどうかという御質問だったのですけれども,こちらについては平成26年度に先ほど申しました情報公開をしましょうという提言が出たときに,この7ページにあるような表は併せて公表していたということでございます。ただ,この表の中のいろいろな表示項目については,年度を重ねて,毎年毎年,よりよく見やすいようにということでマイナーチェンジを重ねていって今に至っているということでございます。
8ページ目の大学設置に関して,特に最初に大学の設置認可をするときにどのようなことを見ているのか,メインでどのようなことを見ているのかということです。そこは一番下の1行で書いていますここの部分が非常に大きいということです。
まず,どういう人材を養成したいのかというものがあって,そのためにどういうカリキュラムを組んでいるのか。そしてそのカリキュラムの内容が本当に目指すべき人材養成につながるものであるのかということを見ています。
それから,ではそのカリキュラムを構成するための教員の数とか教員の資格,教員の実績,そこがしっかり足りているのか,それなりの実績があって教員の数がいて,ちゃんとそれを教えられる体制が整っているかを見ます。
最後に校地・校舎など,こういった学生が学ぶ施設面や環境面がしっかりと担保できているのかという,そこを見ていくわけです。
主にこういった3点,教育課程,教員の質の確保,それから校地・校舎等の施設,こういった観点を主に見ているということでございます。
その後の御質問。同じページで右の欄の丸2の認証評価と,併せて薬学独自で行っている第三者評価についての強制力がどのぐらいあるのかという趣旨の御質問でした。まず,青字で書いてある認証評価,国が定めている7年に1回の評価につきましては,これは強制力という意味では,直ちにここで例えば不可の判定が出たことだけをもって大学がお取り潰しになるとかそういうことではないです。ですから,もしそれで指摘されて設置基準に適合していないとかそういう問題があれば,それは直ちに改善していただくということで,そういった意味では国としてそれに対して強制的に何かをするというよりは,文部科学省が認証した評価機関による評価内容によって,それを受けて各大学が評価内容に沿って直ちに改善していくという趣旨のものであります。
また,同じような趣旨で,今度は薬学だけの薬学教育評価機構が行っている評価がありますけれども,こちらについては特にやはり薬学という部分,特に薬学教育関係者が細かいところでしっかり薬学という観点から評価して,その中で改善すべき事項があればそこは指摘して,特に判定が保留になったりしたところについては,どう改善したかとか,そういったことの報告を求めておりますので,そういったことと併せて,大学が評価結果を踏まえてまずは自主的に中身を改善していくことになるという仕組みでございます。
次の9ページで,左下の,学部ごとの収容定員未充足といったことについての私学助成金の減額調整をどこが決めているのかということでございます。これは基本的には日本私立学校振興・共済事業団,いわゆる私学事業団,そこが私学助成の配分を行っているところでございまして,その私学事業団が定めている配分基準がありますので,そこで定めているところでございます。国というよりは私学事業団の方で定めているということでございます。
一旦,まず文科省にいただいた御質問は終わらせていただきますけれども,厚労省の安川企画官,次,よろしいでしょうか。
【安川薬事企画官】 分かりました。
まず,検討会の位置づけとかに関して文科省との連携がどうかというところですけれども,先ほども説明はさせていただきましたが,検討会自体に文科省さんはオブザーバー参加をいただいています。また,まとめる際に,先ほど御指摘があった薬剤師の養成とか教育に係る内容も,最後どういうふうにまとめるかによりますけれども,関係するところはございます。そういったところは,そういったまとめを受けて関係する会議が,ここの資料でいうと14枚目で,結局のところ検討会だけで全てを網羅する意思決定ができるわけではありませんので,その検討会の方向性を踏まえて様々な審議会なり会議なりにも報告しながら,そういったところを検討していければと思っています。いずれにしても全体の方向づけを検討会の中でいろいろ示せるものを示していきたいと考えております。
需給調査の関係でこういった出生率が減っていくところも踏まえてというところがありますけれども,どういう形でそこを考慮するかは,往々にしてここは供給なので,大学の定員そして卒業数とかにも大きく依存するところがありますけれども,この辺りも含めて需給推計の際にはどういうふうに考えるかというところは,事業の中,あるいは検討会の中で整理していきたいと思っております。
よろしいでしょうか。以上です。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございました。
【山本会長】 薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会に文科省の方もオブザーバーで参加されていると安川企画官からお話がありました。オブザーバーの役割はただオブザーブしていればいいだけなのですか。それとも,何か聞いたことを,多少は問題点を認識しながら,文科省にお持ち帰りになって薬学教育なり薬剤師養成教育に反映するというようなことはなさっていらっしゃるのですか。
【福島薬学教育専門官】 文科省からお答えいたします。
当然,オブザーバーとしての参加ではございますが,ここの会議での議論をしっかり文科省に持ち帰って,今後例えばコアカリの改訂でありますとか,そういったところに適宜反映させていくと。御意見をしっかり踏まえた形でコアカリの改訂とかそういったことを議論していくことにしておりますので,ただ話を聞いているだけというのではなくて,しっかりその議論について,議論があったことを今後の施策に反映していくというようなことで臨ませていただいているということでございます。
【山本会長】 そうすると,徐々に質が下がってきているというのは厚労省の方の資料からも明らかなわけですけれども,そういった点を御覧になっていて,教育側でそれについて様々に意見が言えるのは文科省の立場しかないのですけれども,そういった部分についてはどのようにお考えなのでしょうか。
【福島薬学教育専門官】 例えば,資料の18~19ページに先ほど御指摘をいただいていたところでございますが,こういった定員充足といった問題とかがありますけれども,これは当然改善していかなければいけない点だと思いますし,こういった定員充足ですとか卒業留年といったことをしっかりと各大学が適正に考えて行っているのか,また大学の教員であったり学生であったり,そういった方々がどういう認識でこういったことについて考えておられるのか。そういったことについては私どもとしても今後しっかりと検証していきたいと考えていますし,それに基づいて今後の対応を考えていくということをしていきたいと考えております。
【山本会長】 例えば定員の充足率が3割とか4割とかという状況の中で,国家試験の合格率が悪いのは教育が悪いのか,それとも前回も伺いましたけれども教育の仕方が悪いのか,生徒が悪いのか,国家試験が難し過ぎるのか,幾つかの要因が考えられますが,少なくとも今の状況は,最近の話を聞くと6年生はほぼ国家試験対策で費やされるというと,6年制の意義が,冒頭文科省さんがおっしゃった2ページにありますような壮大な薬学教育モデル・コアカリキュラムに書かれている理念が十分に生かされていないのではないかと思います。
そういった意味では単なる受験テクニックを教育することが最終年度の薬学教育あるいは薬剤師養成教育なのかという点については,現場で薬剤師を引き受ける者としては極めてゆゆしき事態だと思っています。ですので,この検討会にお出になって実態をつぶさに御覧になっているのであれば,そういった点での改善もぜひ文科省の方から学校側に働きかけをお願いしたいと思います。評価機構の中で,大変大きな仕掛けですので今日出されたものを明日直せというのは無理がありましょうけれども,保留が続くようなところについてはもう少し強制力のある指導をかけることもお考えいただかないと,これから先卒業してくる6年制の薬剤師は,本来のまさに薬学教育モデル・コアカリキュラムにうたった薬剤師が養成できないことになりますので,これは国民にとって極めて不幸な事態ですから,ぜひその辺につきましては文科省としても十分にお考えいただいて,数の問題等,何か資料がなければできないというのではなしに,きちんとしていただきたいと思います。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございます。やはりこういったことにつきましては,今日も御参加いただいております各大学の関係者の皆様ともしっかり話をしていって,今後改善していくように様々なことをしていきたいと考えております。
そのほか何か,御参加の皆様から御意見等ございますでしょうか。
【田尻副会長】 日薬の田尻でございます。
この資料を見せていただいたのですが,文科省それから厚労省さん含めての話になるか分かりませんけれども。この中で実務実習前の共用試験の中でOSCEというもの,これが当然あるわけですけれども,実はこのOSCEの内容に関して,今回薬機法の改正もありました。薬剤師のなすべきことも増えた部分もあります。それに対してOSCEのメニューの中で,例えば患者のフォローをきちっと継続的にするその意味では,記録簿,薬歴と私たちは申しますけれども,そこら辺が不可欠なのですが,このOSCEに以前から実はこちらはお願いしていたと聞いております。そこら辺のOSCEの課題についての追加なりということ,ほとんどが調剤のことに関して監査することに関して,ですからそういうところに偏ったイメージをどうしても持ってしまうのですけれども,そこら辺はいかがお考えでしょうか。
【福島薬学教育専門官】 共用試験センターからも御出席いただいておりますが,何か今の御指摘についてございますでしょうか。
【木津顧問】 共用試験センターの木津でございます。今の点について答えさせていただきます。
実際に日本薬剤師会の委員の先生方にも入っていただきまして,課題についてずっと検討して,薬歴に関しても幾つかの課題で入れ込むことに,新課題として作っておりますし,継続的に取り組んでいる課題になりますので,今後も日本薬剤師会さんからの委員とともにそういう実際の医療に即した部分も入れ込みながら,現場の実習に役立つような力をしっかりと身につける方向で進んでいるところになります。
以上になります。
【田尻副会長】 ありがとうございます。それが現場に生かされるのにやはり当然時間がかかりますので,それに対しての御対応をよろしくお願いしたいと思います。
それからもう一点よろしいでしょうか。続けて申し訳ないですが。
【福島薬学教育専門官】 どうぞ。
【田尻副会長】 先ほどの評価機構の部分がありましたけれども,その中で先ほど山本会長も申しましたように国家試験対策に2年間のうちの1年間ぐらいを使っている大学があった。その中に,それを教えるのは予備校の講師が行っているという指摘があって,それは改善されつつあるとは聞いているのですけれども,実際予備校から来ていた講師については大学の中ではどういう立場・御身分で講義なさっておったのかとか,私としては分からないのですけれども。文科それから厚生労働省含めて,今日は関係の団体の方がお見えになっていますので,そこら辺のところをお教え願えればと思います。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございます。本日,薬学教育評価機構から西島先生が御出席いただいているかと存じますが,今の御発言について何かございますでしょうか。
【西島理事長】 西島です。
今の国試対策に向けて6年次にかなり多くの大学で予備校の先生に応援していただいているということですけれども,これは特に私学でそういう傾向が多いということで,これについては評価機構ではそれを改めるように指導しております。それで,実際私自身が勤めておりました大学でもそのような指摘を受けまして,それについては改善しているところです。多分多くの大学でも,そのような指摘を受けた大学においては改善方向としてそのように取り組んでいると,私は今,思っております。
以上ですが,よろしいでしょうか。
【田尻副会長】 いや,予備校から招聘している講師の身分はどういう身分で入っていたのでしょうか。その当時。今改善されつつという話は私も聞いておりますけれども。大学の教員としてのきちっとした身分を与えての講義だったのかどうなのかということも含めてお教え願えればと思います。
【西島理事長】 はい。その講師によって行われた内容について,それを単位取得にしていたこともありまして,それはしてはいけないということで,それは単位としてはしておりません。
講師については,大学によっていろいろ違うと思うのですけれども,すいません,私は具体的に覚えていないのですけれども,事務局長の戸田先生からその辺のお話を追加していただきたいと思いますが,戸田先生,よろしくお願いいたします。
【戸田事務局長】 評価機構事務局の戸田でございます。私から今のことについて補足で説明させていただいてよろしいでしょうか。
【西島理事長】 お願いします。
【戸田事務局長】 実は今,西島先生がおっしゃったように,予備校の教師が入った授業が正課,単位がつく科目であれば,それは今お話がありましたように指摘して,改善をしていただいております。正規の科目ですから当然辞令とかが出ているような例があります。ただ,そのほか課外授業として予備校を,例えば土曜日だとか夏休みだとか,単位のつかない科目として大学の中で場所を提供して行うといった場合については,正規の授業を圧迫しないということであれば,特に指摘は強く求めておりません。今の場合は正規の科目ではございませんので,任務として大学の講師というわけではないということでございます。
田尻先生,以上の説明でよろしいでしょうか。
【田尻副会長】 ありがとうございます。私も聞き及んでいる内容でございましたけれども,もう一つ申し上げれば,大学の講師ということであれば単位取得に関係できるわけですから,当然実務実習の受入れ施設の薬剤師,指導薬剤師も臨時的な講師というような立場はなかなか数が多いので難しいでしょうけれども,御検討を一度していただきたい。そうすれば,実習費云々ということの以前から日薬もお願いしていた消費税の対象にならないようにということも含めて,解消できる部分が幾つかあるのかと思いますので,ぜひそれについては煩雑な作業が伴うと思いますけれども,可能であれば検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【戸田事務局長】 先生,今のは評価機構に対してでしょうか。
【西島理事長】 今のは評価機構に対する御希望というか御意見ということではないかと思うのですが。
【田尻副会長】 ではありません。
【戸田事務局長】 分かりました。
【田尻副会長】 それについて例えば文科省辺りからは何かコメントをいただけませんでしょうか。今のことに関して。
【福島薬学教育専門官】 文科省です。
大学の中でどのような方を講師にしたり,またそういった正規の教育課程外のいわゆる課外活動の中でどういった方を招いて教えてもらって,それをどう単位に反映させていくかというところは各大学の裁量に委ねられているところがありますので,特に講師としてそういった方を採用するかどうか,こういったことについては教員の身分にも関わることですので,基本的には各大学において教育課程とか全体的なことを考えた上で,どういう身分で採用するなり,どういう身分でその方に物事をお願いするかということは,基本的には大学の対応方針の下によっていくものであると考えております。
文科省からは以上です。
【山本会長】 すいません。今の御答弁からすると,前の戸田先生のお答え,あるいは西島先生のお答えと併せて今の文科省のお答えを聞くと,実務実習は課外課程だという理解でよろしいのですか。
【福島薬学教育専門官】 いや,課外課程というのは,例えば国家試験……。
【山本会長】 いや,今,課外課程と同じ扱いになるようなお話だったので,実務実習の考え方は正規の課程でしょう。
【福島薬学教育専門官】 実務実習は正規の課程です。
【山本会長】 文科省のお立場としては,実務実習は課外課程ではなくて,当然このモデル・コアカリキュラムに入った正規の課程のはずなのです。正規のものであれば一定の身分もあるよということは,たしか評価機構の中でおっしゃっていた話です。ちょっと話が矛盾するのですけれども,どちらが正しい主張なのですか。
【福島薬学教育専門官】 すいません。私の説明が足りなかった部分がありまして。そういった正規の課程もそうですし,課外課程もそうですけれども,そういった両方ですね。正規の課程も課外課程も含めて,そういった教員の採用とか人事に関することは,やはり各大学においてきちんと各大学の定めの中でしっかり行っていただくということが原則だということを申し上げたところでございます。
【山本会長】 大学の主体性を尊重するというのはまさに教育としてあるべき姿だと思います。先ほど設置基準について伺ったときに,どんな方針でこの学校で教育をするのか,言ってみれば建学の精神があって,その建学の精神に見合う教員と施設と設備が要るのだと思いますが,そうしたことを評価して,この学校は薬科大学としてどうかという認可をしているというお話がありましたが,先ほどのお話でいくと,評価機構のお二方のお話を伺って,文科省もそうですけれども,要は薬剤師を養成するという意味での建学の精神はどの学校も持っていらっしゃらないと思わざるをえません。でなければ,改めて外から人を持ってきて,こんなに学生がどんどん質が悪くなっていることなんてあり得ないと思うんです。つまり薬学教育者だけをつくればいい,薬学者だけをつくればいいということで文科省が薬学部を認めていると,そういう理解をせざるを得ませんが如何でしょうか。
【福島薬学教育専門官】 私はそのようなことは申し上げておりません。
【山本会長】 しかし,建学の精神の話をされていましたね。学校がどんな方針で教育をするか,それに見合った教員がそろっているか,設備もあるか,そういうことを含めて大学を許可する。そして一定程度の評価についてお答えがなかったですけれども,4年間たったときに,言ってみれば4年制の大学の場合に4年間だけれどもと書いてありますから,その時に改めてもう一度履行状況を確認するということは,当初この学校はこういう方針で教育を進めるのだ,その中には当然薬学部であれば薬学部を出なければ薬剤師になれないわけですから,薬剤師を養成するという項目も入っていてしかるべきだと思うのですが,そういった意味で言えば,今のお話,西島先生と戸田先生のお話については,課外ということになるとそれは正規の課程でないということですから。そこは矛盾しませんか。
【福島薬学教育専門官】 少なくとも資料1の8ページ目のこの図につきましては全ての大学に対応するといった資料になっておりまして,例えば例示として4年制大学の場合は4年間ということでの例示となっておりますので,こちらについては当然6年制の学部については6年間ということでございます。この資料は中教審の公表資料から抜粋したものでございますので,そこは申し訳ありません,そういったことで御理解いただきたいと思います。
【山本会長】 繰り返しますが,資料1の表紙は薬学教育6年制及び薬剤師養成に関する状況ですよ。
再三お願いしているように,きちんと薬学教育なり薬剤師養成教育について議論するならば,それに見合った資料を出していただかないと,文科省はいつも同じことの繰り返しになっているのですけれども。どういうふうに我々は理解したらいいのですか。
【西島理事長】 西島ですけれども,ちょっと発言させてください。
今の御質問,最初は予備校の先生の教育についてということで,それについては先ほど戸田事務局長からお答えしたとおりで,予備校の先生に関する授業については単位としないということです。したがって,恐らくそういう先生については非常勤講師等にはしていないということであります。
それで,その後の質問は実務実習についての御質問に移ったわけですけれども,これについて,実務実習をしていただく方の立場をどうするかということかと思うのですけれども,これは多分今までいろいろ議論があったところでありまして,具体的に言いますと,例えば病院実習の場合には指導していただく先生の数も限られているので,大学によってはその先生を非常勤講師にしてということがあると思います。しかし,薬局につきましては数が大変多いということで,これらの先生方を非常勤講師とすれば,私自身はそれが理想だと思いますけれども,実態としては非常に数の多い方について,それを的確に把握して全部非常勤講師にすることは非常に難しいように思っております。
そういうことで私の考えなのですけれども,それでいかがでしょうか。
【田尻副会長】 そのようなお話は以前からもお聞きしているのですけれども,やはりそういう意味では私たち現場の薬剤師も教育に携わる責任を持って教育しているわけですから,それから実習費の件もありますので,先ほど申し上げたように非常に煩雑なのは分かります。煩雑な作業が発生するからできないということではなしに,もし可能であればそれは前向きに捉えて検討していただけないかというお願いをしたところでございますので。もし誤解があるようでしたらおわびいたしますけれども,そういう意図での発言それから質問でしたので,そのように御理解いただければよろしいかと思います。
【西島理事長】 分かりました。今の点は評価機構とは離れた,2番目は離れたところですけれども,私もきちんと取組から申し上げました。
【田尻副会長】 はい,それも十分認識しております。評価機構ではなしに,違った意味での,途中で話が変わってしまったのは私もそう思っております。そういうような意味で誤解を与えてしまったところはおわびいたします。こちらが申し上げたい趣旨はお耳に入ったかと思いますので,ぜひとも前向きに,お役所含めて検討いただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
【西島理事長】 分かりました。
【福島薬学教育専門官】 どうもありがとうございました。今,最後,田尻先生から御指摘いただいたことについては,今回御出席いただいている大学関係者の皆様も当然この会議の話としてお聞きになっているかと思いますので,またそれぞれの立場の中で御検討いただければと思います。
予定をちょっと過ぎておりますが,何かあと,この資料1に関して御説明されたい方はおられますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは以上で議題1,薬学教育6年制及び薬剤師に関する状況についての報告と意見交換を終了させていただきます。
それでは議題2に移ります。協議事項ということで御用意させていただいております。薬学実務実習に関する連絡会議についてでございます。このことにつきましては資料2及び資料3に基づいて,昨年12月に行われました薬学実務実習に関する連絡会議の報告,並びにその結果に基づいて規定の改定なども提案させていただいておりますので,その協議をさせていただきたいと思います。なおここからは,薬学実務実習に関する連絡会議の太田座長から御説明いただきたいと存じます。太田座長,どうぞよろしくお願いいたします。
【太田座長】 それではまず資料2を御覧ください。実は私ども薬学実務実習に関する連絡会議は,先般,実務実習の中間調査を行わせていただきました。その際は多くの施設の薬剤師の先生方あるいは各大学の先生方に御協力いただきました。ありがとうございました。
特に今年度,コロナの影響でかなり実務実習に影響を与えている現状がございました。それで,それに対する対応を各大学あるいは各施設がどのように行っていたかということも含めまして検討させていただいたところでございます。
資料2の1に,まず,実務実習の日数についてという項目がございます。ここを御覧いただきますと,浮き彫りになった課題といたしましては,多くの大学は施設や学生ごとに対応していただいて実習の日数を確保していただいたのですけれども,大学あるいは学生によって薬局または病院において11週に満たなかった例があった。これは言ってみればコロナの影響でどうしてもそれが実施できなかったという,致し方ない面もあろうかと思います。それから実習施設において短縮のスケジュールでの実施しかできなかった例があった。これもある意味において仕方なかった例もあるのかと思います。それから臨地実習,具体的にそれぞれの施設で行う実習のことですけれども,そのスケジュールが極端に短い施設があった。こういう課題が浮き彫りになりました。
それの対応策としてですけれども,例えば大学においては実習開始日の変更,それから1日当たりの実習時間の延長,施設の変更,実習日の追加,実習期の変更等を検討することで,薬局及び病院における十分な臨地実習の確保に努めること等,要するにできる限り11週の量を確保していただきたい。ただ,そうでない場合はいろいろ努力をしていただきたいというところで,それを私どもの対応策ということで挙げさせていただきました。
2番目です。実施できない項目,参加型・体験型ができない項目への対応についてです。課題として浮き彫りになったことは,臨地実習及び遠隔実習のいずれにおいても実施できなかった項目がありました。実際の項目として挙げられているのは,上位3項目としては,薬局の実習に関して地域におけるチーム医療,災害時医療と薬剤師,在宅(訪問)医療・介護への参画。病院においては災害時医療と薬剤師,地域におけるチーム医療,医療機関におけるチーム医療。これに関しては,かなり今年度なかなかこれを実施するのは難しいところがあったように思います。
それから参加型あるいは体験型ができなかった項目としては災害時活動,これはある意味当然のことかもしれません。公衆衛生・啓発活動,学校薬剤師。病院においては病棟回診への参加,栄養サポートチームへの参加,院内感染対策への参加,こういうところが参加型・体験型ができない項目として挙げられております。
対応策といたしまして,大学として実習前においては実習内容の調整を行うこと,実習実施中においては実施状況を把握し,代替方法の提案等について指導薬剤師の支援を行うことで対応してはどうだろうかということを提案させていただいているということでございます。
これが,中間調査に基づく課題を挙げて,それの対応について私どもが検討したということでございます。
よろしいでしょうか。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございます。
では一旦ここで切らせていただきまして,こういった課題で資料2のペーパーを令和3年1月26日付で,薬学実務実習に関する連絡会議名で各大学それから各関係団体に周知させていただいたところでございます。また併せて,今日の資料にはございませんが,アンケート結果も周知させていただいたところでございます。
この連絡会議としては今回このような形で整理させていただいて,令和3年度の実務実習に役立てていただいて,また適切な実習を行っていただきたいということで整理させていただいたものでございます。こちらについては報告事項にさせていただきたいと思います。何かこの点につきましてコメントのある方はいらっしゃいますでしょうか。
【山本会長】 ただいまの太田さんからの御報告については,コロナの状況を考えれば致し方ないというか,こういった対応が極めて合理的な対応だと理解いたしますが,結果として学生さんの立場からすると,一部十分な実習なりが受けられていない状況になりますので,この年度,つまり令和2年に実務実習に入った方々が国家試験を受けるときに,国家試験の問題との関連についてはどのようにお考えなのでしょうか。
これまでのように全てきっちりと実習ができたという前提で,それを実習済み,実際に体験済みという形での国家試験のつくり方ですと,少し学生にとって不利な状況になるような気がするのですが,その辺りはいかがお考えですか。
【安川薬事企画官】 厚生労働省です。
国家試験ですけれども,要は107回,来年の試験をどうするかについて,まだこの時点で具体的な方針はまだ着手していない状況でございますけれども,今回このような状況であるので,もちろんそういった面も考慮して,実際に体験した・していないところの差にならないような形を検討する予定です。ただ一方で,6年間の教育の中で,今回こういった時期で実習そのものはできませんでしたけれども,それを補完するようなサポートは当然大学おのおのでやっているはずでございます。これからもやると思います。6年生になった時に最後の1年間ですから,そういった中でのことも含めて考えていただくことも必要だと思いますし,国家試験の中でどうするかは作問の中で検討していきたいと思っております。
以上です。
【福島薬学教育専門官】 ありがとうございました。そのほかございますでしょうか。
それでは一旦,報告事項はこちらで終わらせていただきまして,次に資料3を御覧いただきたいと思います。この実習連絡会議につきましては今年度末で実施期間が終了となっておりますが,このことについて規定の改定を行いたいということで,連絡会議の中では意見調整させていただいたところでございます。この連絡会議につきましては資料3の一番上の右側にございますとおり,新薬剤師養成問題懇談会,いわゆる新6者懇がこの連絡会議を設置していることになっておりますので,本懇談会の了承をもってこの規定の改定をさせていただきたいと存じます。
このことにつきまして,連絡会議座長の太田先生から御説明をいただきたいと存じますが,よろしいでしょうか。
【太田座長】 分かりました。それでは皆さん,資料3を御覧ください。
先ほどのお話にありましたように,この実務実習に関する連絡会議は,この資料3の4番,実施期間がここに記載されているとおり平成33年3月31日となっておりました。つまり本年の3月31日をもって終了するということでございます。このことに関しまして,昨年12月に開催いたしました連絡会議において,次年度以降のことについて連絡会議の構成員から意見を聴取いたしました。次年度以降も本連絡会議を延長してほしいという意見が多数でございました。理由といたしましては,特にこれまで改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した形での実務実習を2年行ってきたわけですけれども,これまでの取組,それからこれに伴ってのガイドラインの改正等を含めて,もうしばらく検証を行うべきとの意見が多かったということでございます。
つきましては,今後2年間,令和5年3月31日まで本会議の実施期間を延長すること,それからガイドラインに基づいた実習実績の検証等を行っていきたいと考えております。併せてですけれども,その期間が終了した後の,新たな協議の場についても検討を行いたいと考えております。そのために,2番の検討事項の終わりに,「本会議実施終了後の新たな協議の場の検討」という項目を追加させていただきました。
もう一点ございます。2枚目を御覧いただければと思います。会議の構成という箇所がございます。下から2行目ですが,薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会(若干名)についてでございますが,この会議は25年度を最後に開催していないために削除させていただいて,大学関係者枠に一本化することを御検討,御承認いただければと思います。
私からは以上でございます。御検討をよろしくお願いいたします。
【福島薬学教育専門官】 御説明いただきましてありがとうございました。
このような形で実務実習連絡会議につきましては実施期間を延長するということ。また,検討事項の中に,本会議実施期間終了後の新たな協議の場の検討といった項目を追加するということ。そして,別紙にある会議の構成について現状に即したものに変えていくということ。これをこの連絡会議としては提案させていただき,この会議で御了承いただければと存じております。6者懇の構成員の先生方,どうでしょうか。こういった御提案につきまして御了承いただけますでしょうか。コメントのある方はお願いいたします。
【奥理事長】 1点いいですか。2枚目のオブザーバー機関のところにぜひ共用試験センターを入れていただきたいのですけれども。
【福島薬学教育専門官】 このような提案がありましたけれども,構成員の皆様方,御意見等ございますでしょうか。
【奥理事長】 今までも出させていただいていたので。今日も質問がありましたけれども,共用試験センターに関わることも結構ありますので,よろしくお願いします。
【福島薬学教育専門官】 この実務実習連絡会議の構成員の一つとして共用試験センターを入れるということですね。
【奥理事長】 いや,オブザーバー機関でもいいのですけれども,オブザーバー機関で入れていただきたいと思います。今,ここで書かれているのは教育協議会と薬学会だけなので。この紙,合っているんですよね。
【福島薬学教育専門官】 そうですね。オブザーバー機関というのはこの6者懇のオブザーバー機関という意味で書いていますので,連絡会議そのもののオブザーバーではなくて,連絡会議そのものは正規の構成員という扱いになるということでよろしいですね。
【奥理事長】 分かりました。
【福島薬学教育専門官】 では本日御出席の先生方,ただいま共用試験センターの奥先生からこのような御提案がありましたけれども,実務実習連絡会議の構成について薬学共用試験センターについても会議の構成メンバーとして入っていただくということでよろしいでしょうか。特に反対の意見がなければそのようにさせていただきたいと思います。
【奥理事長】 同時に薬学教育評価機構も入れていただいた方がいいと思います。今までどおり。
【福島薬学教育専門官】 この点について司会だけでは判断できませんので,皆様方,もし御意見等があればおっしゃっていただければと思います。賛成の意見も含めて何かございますればお願いいたします。
では,今の御提案どおりに構成員を追加する……。
【山本会長】 いいですか。すいません。特に意見があるわけではないのでよろしいと思いますけれども。資料3の裏側の2ページ目になりますけれども,先ほど,薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会(若干名)を削って,大学関係者というのは残っているのですが,これは具体的に並びからすると新薬剤師養成問題懇談会の構成機関とオブザーバーと並ぶ形になるのですが,これは先ほどどんな説明をされましたか。ちょっと聞き取りにくかったのですけれども。
【福島薬学教育専門官】 私から説明させていただきます。
現在,赤字で削除の線が引いてありますコアカリの専門研究委員会につきましては平成25年度までにできていたもので,平成25年度にこの薬学実務実習に関する連絡会議ができましたので,それで構成員として連絡会議に入ったのですけれども,実際それ以降,現時点ではこの専門研究委員会は行われておりません。委員の方も平成25年度のままずっと特に更新なくきておりまして,当時委員でおられた方が例えば大学の専任教員をお辞めになったりとか,状況がどんどん変わってきております。ですので,取りあえず現在設置されていない専門研究委員会は削除して,専門研究委員会の枠から現在ではお二人の大学教員の先生が関わっておりましたので,大学関係者ということでその中に組み入れさせていただいて,それで現実に合わせるような形で修正をしたいという御提案でございます。
【山本会長】 ということは,オブザーバーという意味ですか。
【福島薬学教育専門官】 いや,これは正規の構成員ということです。
【山本会長】 はい。では上に行くのですね。
【福島薬学教育専門官】 そうですね。同じ並びになります。
【山本会長】 厚生労働省などと同じ並びになるという理解でいいのですか。
【福島薬学教育専門官】 そういうことです。
【山本会長】 分かりました。
【西島理事長】 西島ですけれども,いいですか。
【福島薬学教育専門官】 どうぞ。
【西島理事長】 オブザーバー機関,ここには薬学教育協議会と日本薬学会しか書いていないのですけれども,実際今回の会議のオブザーバーとしては評価機構も入っているんですよね。これは評価機構も入っているし,薬剤師研修センターも入っているし,ということで,そこにそごがあるのですけれども。オブザーバー機関についてちょっとはっきりさせてください。
【福島薬学教育専門官】 これは平成25年度にできた規定ですので,当時の詳細な考え方は存じていないのですけれども,ただ言えることは,現在, 6者懇のメンバーの方がそのまま連絡会議にスライドしていくという考え方ではなくて,あくまでも実務実習の連絡会議はこの連絡会議としての考え方でその構成員を整理したと理解しております。
その中で,まず6者懇の構成メンバー,まさにこの6者がまず入って,あと,6者懇のオブザーバー機関である,少なくとも薬学教育協議会と日本薬学会からはこの連絡会議の構成員として入れてはどうかという趣旨で,この2機関だけが入っている状況でございます。
ですので,全く6者懇の構成メンバーが全てそっくりそのまま連絡会議の構成メンバーにしなければいけないということではございませんので,そこは関わり度合いに応じて実務実習連絡会議のメンバーとして入れるかどうかを御検討いただきたいと考えております。
【井上会長】 すいません,よろしいでしょうか。
【福島薬学教育専門官】 井上先生,どうぞ。
【井上会長】 ここに構成機関とかオブザーバーとかという言葉を入れる必要はないのではないですか。要するに,全部並べて,薬学教育協議会,日本薬学会,さらに今言った共用試験センター,それから評価機構ですか,それを全部一律に並べれば。構成機関であるとかオブザーバーであるとかという表現はこの際必要ないのではないかと思うのですけれども,いかがでしょう。こんな変な表現をするから,今みたいな誤解を招いてしまうのではないかという気がします。
【奥理事長】 ありがとうございます。賛成です。
【福島薬学教育専門官】 では,何かございますか。
【西島理事長】 具体的には,では評価機構はコアメンバーに入れてもらうということでよろしいですかね。
【井上会長】 それでいいのではないですかね。
【西島理事長】 分かりました。
【井上会長】 いや,皆さんがそれで賛成なら,それでよろしいのではないかと。要するにオブザーバーとか構成機関であるとか,そういう表現はこの際必要ないのではないかと思うんです。こういうメンバーでこの連絡会議を持ちますということにしておけばよろしいのではないかと思いますけれども。
【福島薬学教育専門官】 分かりました。ありがとうございます。
では一旦整理させていただくと,単純に構成員のメンバーをそのまま一列に書く形で,そのメンバーの属性,例えば6者懇の構成機関だとか,6者懇のオブザーバー機関だとか,そういう表記は取ることにさせていただきたいと思います。
そして,新たな構成員として共用試験センターと薬学教育評価機構から各1名以内ということにさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
【奥理事長】 ありがとうございます。
【西島理事長】 はい,評価機構もそれでよろしいと思います。
【奥理事長】 共用試験センターもそれでいいです。ありがとうございます。
【福島薬学教育専門官】 それでは共用試験センターと薬学教育評価機構をこの実務実習連絡会議の構成員として加えるということで,規定を改正したいと思います。
資料3の1枚目のことも含めて,その他御意見等はございますでしょうか。
では,よろしければこの改正案で本日確定とさせていただきたいと存じます。ありがとうございます。
【太田座長】 ありがとうございました。
【福島薬学教育専門官】 それでは,協議事項2の薬学実務実習連絡会議につきましての報告と協議は終了させていただきます。
それでは議事3に移ります。報告事項ということで用意させていただいておりまして,本日御参加の皆様方に事前に照会いたしましたが,特段の登録はありませんでした。御参加の皆様で何か御発言はございますでしょうか。特段ないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは議事4は,最後にその他として何かあれば,御出席の皆様,御発言をお願いしたいと存じます。何か最後,その他ということで御発言がございましたらお願いいたします。
それでは本日御用意させていただいた議題は以上でございまして,これで本日の新薬剤師養成問題懇談会を終了させていただきたいと存じます。次回は厚生労働省において庶務を担当されることとなりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様方,どうもありがとうございました。

―― 了 ―
 

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