新薬剤師養成問題懇談会(第22回)議事録

1.日時

令和5年3月15日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 薬学教育6年制及び薬剤師に関する状況について
  2. 協議事項
  3. その他

4.議事録

第22回新薬剤師養成問題懇談会
令和5年3月15日

【堀岡企画官】 事務局です。何人か出席が確認できていない方おりますけれども,並行して御連絡をした上で始めさせていただきたいと思います。
本日は御多用の折,本懇談会に御出席いただきありがとうございます。ただいまから第22回新薬剤師養成問題懇談会を開催させていただきます。
本日,進行を務めます文部科学省医学教育課の企画官になります堀岡でございます。よろしくお願いいたします。
初めに,事務局から連絡事項を申し上げます。本日の会議は完全オンライン形式で開催いたします。なお,本懇談会に対しましては,事前の申合せのとおり,会議の内容は公開することとされており,傍聴者へはYouTubeでのライブ配信を行っております。
審議中に御意見,御質問をされる構成員の方々にお知らせいたします。御発言される際は,なるべくZoomの挙手ボタンを押していただきますようお願い申し上げます。その後,事務局から御指名させていただきますので,マイクをオンにして御発言をお願いできればと思っております。御発言時以外はマイクをミュートにしていただければと思っております。音声の調整等ある場合は,チャットや電話などで事務局に御連絡いただければと思っております。
まずは事務局から,本日の出席状況と配付資料の確認をいたします。
【境課長補佐】  それでは,事務局から御説明いたします。
本日参加いただいております各団体の皆様につきましては,資料の中の参考資料1を御覧いただきますようお願いいたします。オブザーバーの佐々木会頭から御欠席の連絡をいただいておりますが,代わりに高倉先生に今回御出席をいただいております。
また,大変申し訳ございませんが,所用により医学教育課長が本日欠席の予定となっております。
なお,お一人お一人の御紹介は時間の関係上省略させていただきますので,どうぞ御了承いただければと存じます。
続きまして,配布資料の確認をさせていただきます。議事次第にございますとおり,資料の1から6,参考資料1から3となってございます。事前に送付しておりますが,何か御不明な点等ございましたら事務局に御連絡ください。
【堀岡企画官】  それでは,議事に入らせていただきます。今回は,まず事務局から,薬学教育6年制及び薬剤師に関する状況,資料1について説明した後,各団体の方々から御意見いただきたいというふうに考えております。
それでは,まず,文科省より説明をお願いいたします。
【相原課長補佐】  医学教育課課長補佐の相原でございます。文部科学省の説明資料に基づきまして御説明させていただきます。
まず,6年制課程における薬学部教育の質保証に関する取りまとめということで,3ページを御覧いただければと思います。薬学部教育の質保証につきましては,令和3年6月に薬学系人材養成の在り方に関する検討会の下に質保証専門小委員会が設置されまして,大学関係者等に対するヒアリングを実施し,合計10回の審議を重ねてまいりました。昨年8月にその取りまとめとしてまとめられたものの概要が3ページでございます。
具体的には,3ポツの(1)にございますとおり,入学者選抜において,明確なアドミッション・ポリシーの下,志願者の将来の医療人としての資質・能力,意欲,適性等を重視した評価を行う必要があることをはじめ,(2)入学定員に関する取組につきましては,この後御説明させていただきますけれども,定員抑制の提言をいただいたところでございます。
また,(3)教学マネジメントの確立でございますけれども,教育課程や教育方法において,薬学教育モデル・コア・カリキュラムを踏まえた教育課程の編成や,薬剤師の偏在に関する教育プログラムの策定,実施などについても御提言いただいております。
イ)の進路指導におきましても,自治体における奨学金制度や卒業後のキャリア形成支援等の取組の一層の充実を図ること,また,ウ)といたしまして,ファカルティ・ディベロップメントやスタッフ・ディベロップメント,教学インスティテューショナルリサーチということで,客観的なデータ及び分析に基づくカリキュラムの見直しについても触れられております。
また,エ)として情報の公表,(4)として内部質保証,薬学教育評価(第三者評価)への対応についても触れていただいておりまして,大学関係者はもとより,関係団体や薬剤師会,病院薬剤師会等,関係者の取組の充実が重要という形で御提言いただいたところでございます。
本提言に基づきまして,文部科学省におきましても各種の施策を推進しているところでございますけれども,その内容につきまして,2点御説明させていただきたいと思います。
4ページをお願いいたします。1点目といたしまして,入学定員に関する取組です。先ほどの取りまとめの抜粋をこちらの4ページのところに記載しておりますけれども,6年制課程の薬学に係る学部・学科の新設,それから,既存の大学を含む収容定員の増加につきましては抑制方針を取ること。加えて,地域ごとに薬剤師の偏在が指摘されていることを踏まえまして,各都道府県の医療計画等において,薬剤師不足など人材養成の必要性が示され,かつ,ほかの都道府県との比較において薬剤師の確保を図るべきと。そういった場合にはその例外として取り扱う,こういう内容がまとめられたところでございます。
また,(2)の2つ目の白丸においては,既存の大学の中で定員未充足等,質の保証に課題を抱える大学に対する,めり張りある財政支援についても触れられてございます。
これら定員抑制の内容につきまして,少し飛びますけれども,6ページをお願いいたします。この提言を受けまして,文部科学省のほうにおきまして,大学の認可の基準を改正する告示ということで告示案を作成し,パブリックコメント等に付させていただいたところでございます。
具体的な内容としまして,概要を御覧いただければと思います。まず,1ポツの認可基準の改正ということで,1つ目の白丸でございますけれども,薬剤師の養成に係る大学等の設置や収容定員の増加を抑制分野として追加いたしまして,また新たに設置することができなくなりますとともに,偏在対策のために,その後ろですけれども,地域における薬剤師の数その他の事情を勘案して,薬剤師の確保を特に図るべき区域として文科大臣が別に定める基準に該当する区域においては,その例外とするということでございます。
また,2つ目の白丸では,その例外の場合の審査に当たっては,大学における薬剤師確保のための教育内容や,また,都道府県が実施する,将来,その地域に就職する学生に対する奨学金の貸与のひもづけ,こういったところに照らして行うこととするとしてございます。
これらの内容につきまして,施行期日等と一番下のところでありますけれども,令和7年4月開設の大学から適用することとし,その申請が行われる令和5年10月1日以降になされる申請について適用するという内容としております。現在,今月中の本告示の交付に向けまして,最終の準備を進めているところでございます。
7ページを次,お願いいたします。具体の取組の2点目でございます。取りまとめにおきましても,薬学部教育における情報公表の取組について御提言があったところでございます。また,中央教育審議会の大学分科会におきましても,教学マネジメント指針等を策定されておりまして,こういった内容を踏まえまして,大学関係者,また,高等学校の受験生等も含め,広く情報を公表していく必要性について触れられてございます。
これを踏まえ,大学や文部科学省におきまして,それぞれここに記載の内容が公表されておるところでありますけれども,特に文部科学省におきましては,右側の箱囲みの一番下ですけれども,これまでの情報の公表に加えまして,さらに今年度からは,グラフを可視化して分かりやすくすることによる情報伝達ということを心がけております。引き続きこういった内容を進めてまいりたいと考えております。
【大久保薬学教育専門官】  引き続き,薬学教育モデル・コア・カリキュラムについて御説明申し上げます。文部科学省の大久保でございます。8ページ目をお願いします。
このモデル・コア・カリキュラムは,薬剤師として社会で活躍できる能力の習得を目的に作成されておりまして,薬剤師は,医薬品の製造,調剤,供給における任務を遂行し,適切に品質管理された医薬品を過不足なく効率的に国民に提供するとともに,広く薬事衛生,患者・生活者の健康増進等に寄与する社会的責務を担うことが求められています。
令和4年度には,医療人としての共通の価値観を共有すべく,医学,歯学,薬学で同時に改訂を行いました。この改訂を行うに当たりまして,共通のキャッチフレーズとしまして,「未来の社会や地域を見据え,多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」を掲げました。日本の人口の高齢化率の上昇,人口減の地域が増加すること,こういったことから医療の質確保のために連携が重要であるということ,それから,新興感染症,災害リスクの増大,また,ICTやAIなどによる新規の科学技術の台頭といった未来の社会を想定したものということでございます。
このコア・カリキュラムの改訂の基本方針としまして,大きく変貌する社会で活躍できる薬剤師を想定した教育内容ほか,6つが打ち立てられてございました。
次のページをお願いします。薬学教育モデル・コア・カリキュラムは,大項目AからGまで7部で構成されてございますが,大項目Aには薬剤師として求められる基本的な資質・能力が掲げられております。これは生涯にわたる目標として,医師,歯科医師,薬剤師に求められる基本的な資質・能力と原則共通化を図ったものでございます。
そのほか,BからGの学修目標においては,個別の知識や技能を習得するだけでなく,概念的に把握する目標,判断し行動する目標ということで整理されました。また,領域間のつながりを意識した改訂となっております。
10ページをお願いします。令和4年度版の概要について,平成25年度版との比較したものです。基本的な資質・能力については,従来の「薬剤師としての心構え」等は,「プロフェッショナリズム」として発展させるとともに,「総合的に患者・生活者をみる姿勢」,「情報・科学技術を活かす能力」を加えております。
大きく変貌する社会で活躍できる薬剤師を想定した教育という点で,薬物治療を個別最適化する能力の向上,患者の社会的背景等を把握し全人的に捉えるもの,また,感染症の予防・まん延防止に係る内容の充実,情報・科学技術を活用する能力などの充実が図られてございます。
平成25年度版では,到達目標が1,073項目に記載されており,細部にわたって記載されていることから,大学独自の内容をカリキュラムに取り入れる余裕がないとの指摘がございました。令和4年度改訂版では,具体的な知識や技術を覚えるだけでなく,新たに直面する課題や問題の解決に生かす学力を身につける観点から,学修目標を350項目に整理されました。
次のスライドをお願いします。こちらは文部科学省の予算案でございます,地域の医療ニーズに対応した先進的な薬学教育に係る取組支援ということで,6年制課程における薬学部教育の質保証に関する取りまとめを踏まえ,大学と自治体等が連携し,地域に貢献する意欲のある学生を選抜し,卒後のキャリアパスにつなげていくことのほか,地域医療等に関する教育プログラムの策定・実施等が必要とされました。
こういったことから,地域の医療ニーズに対応するため,地域の特性を踏まえた薬学教育を行うとともに,地域医療への関心を涵養するための薬学教育プログラムや薬学教育コンテンツの開発を行うものです。
次のページをお願いします。大学における医療人養成の在り方に関する調査研究の予算案では,モデル・コア・カリキュラムが改訂されたことに伴い,教育従事者を対象としたファカルティ・ディベロップメント及びe-ラーニング用コンテンツの開発・普及に向けた検討を行うもの,また,薬学教育の質保証について検討するものがございます。
文部科学省からの御説明は以上でございます。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。
それでは,厚生労働省様,御説明のほうよろしくお願いします。
【川上薬剤業務指導官】  厚生労働省の川上でございます。厚生労働省より御説明させていただきます。
資料を共有いただけますか。では,14ページ目からです。まずは薬剤師の偏在と確保対策についてでございます。
15ページ目を御覧ください。ちょっと資料の表示に不備があるかもしれませんが,薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会の取りまとめにおきまして,薬剤師の従事先には,業態の偏在,そして地域偏在がありまして,特に病院薬剤師の確保は喫緊の課題であること,また,偏在を解消するための薬剤師確保の取組が必要であることが提言されております。
続いて16ページ目を御覧ください。16ページ目は都道府県内における薬剤師の不足状況,不足の認識というものをお示ししてございます。病院,薬局共に薬剤師の不足が生じていると回答している一方で,薬剤師不足を認識していない都道府県もございまして,薬剤師不足の把握状況や認識にギャップが見られております。
17ページ目を御覧ください。薬剤師の充足状況に対する認識,充足感についてですけれども,病院のほうが薬局よりも全く足りないとの回答割合が高い結果となってございます。
18ページ目,こちらは第8次医療計画におきまして,薬剤師確保の記載について,地域医療介護総合確保基金を積極的に活用すること,そして都道府県,薬剤師会,病院薬剤師会が連携して取り組むことといったものが明確化されてございます。
19ページ目が地域医療介護総合確保基金の概要でございます。
20ページ目を御覧ください。確保基金を活用できる標準事業例として,薬剤師修学資金貸与事業を行うために必要な経費,そしてもう一つは,都道府県が指定する病院へ期間を定めて薬剤師派遣を行うための経費,この2つを令和3年の通知でお示ししたところでございます。
21ページ目ですけれども,こちらが薬剤師修学資金貸与事業の取扱いについての事務連絡の概要をお示ししてございます。
22ページ目についてですけれども,こちら赤枠でお示ししておりますように,現在,令和4年度の予算事業におきまして,各種統計情報等を用いまして薬剤師の偏在指標を算出するとともに,効果的な薬剤師確保に資する方策について検討しているところでございます。
続いて23ページ目ですけれども,令和5年度の予算事業におきましては,都道府県が,薬剤師が不足する医療機関,薬局を支援する体制の整備に係る取組というものを実施するモデル事業を行うこととしておりまして,現在,自治体の選定を行っているところでございます。
24ページ,続いて卒後臨床研修についてでございます。
25ページをお願いします。薬剤師検討会の取りまとめにおきまして,薬剤師の養成における資質向上策として,実習・研修の質の確保を前提とした上で,卒前・卒後で一貫した検討が必要であるといった提言がなされております。
26ページ目をお願いします。令和4年度の予算事業におきましては,令和3年度に引き続き,全国で卒後研修をモデル事業として実施するとともに,卒後臨床研修プログラムを含む卒後臨床研修の実施のためのガイドライン案を策定することとしております。
27ページ目をお願いします。モデル事業における研修プログラムとして,医療機関では病棟業務研修を重点的に,薬局では在宅業務を含めることとしてプログラムを設定しております。
28ページ目をお願いします。研修期間は卒後1年間というのが共通認識ではありますが,モデル事業ということで6か月以上,このうち病棟業務を3か月として実施しております。
29ページ目をお願いします。卒後臨床研修のガイドラインというものを今年度作成しておりまして,様々な施設の先生方に現在検討していただいているところでございます。
30ページ目をお願いします。ガイドラインは,この本体部分と別添の評価シートから構成されておりまして,研修項目ごとに評価シートが用意されているというものでございます。
31ページ目をお願いします。こちらでスケジュールをお示ししております。令和5年度以降,策定したガイドラインに基づき,卒後研修を広く実施いたしまして,運用上の課題について検討を行うこととしております。また,併せて研究班を立ち上げまして,キャリア形成における卒後研修の位置づけを整理するとともに,実現可能な制度設計に向けた検討を行うということとしております。
続いて,32ページ,こちらが令和5年度の予算事業の概要をお示ししております。
続く33ページ,こちらは先ほどの研究班の概要をお示ししたものでございます。
説明は以上となります。
【堀岡企画官】  それでは,質疑に移ります。御質問などありましたら,挙手をお願いいたします。
それでは,日本薬剤師会様,よろしくお願いします。
【山本会長】  文科省さんの説明の中の3ページのところで質保証の話が出ていて,問題点が4つ挙げられていることについては了解をしましたが,6ページのところに概要が載っているんですけれども,今後,臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするというところですが,定員の増加を抑制するということになっているんですけれども,この質保証に関する施行日が令和7年の4月1日になっていて,それまでの間については,特に制限がないのですか。
【相原課長補佐】  文部科学省でございます。お答えいたします。施行日が令和7年4月1日とありますのは,令和7年4月1日に新たに開設される大学や収容定員の増加でございまして,そのためには,これは大学の設置認可の仕組みにおいて,大学の設置でありますと,令和5年10月に申請をする必要があるという手続になってございます。
よって,令和7年に開設する大学の設置や収容定員の増加から抑制をするために,令和5年10月以降の申請において適用するというものでございまして,できる限り早く適用するスケジュールとした内容がこの案となってございます。
【山本会長】  分かりました。そうすると,あまりいい言葉ではないんですけれども,令和7年の開設に向けて,既に幾つかの学校が申請をしていることについては,この施行期日には関わらないという理解でよろしいですか。
【相原課長補佐】  お答えいたします。つまり,令和7年4月からは抑制の対象となりますので,令和6年4月開設分につきましては,まさに,今の大学の設置の申請はもう済んでおりますけれども,学部・学科の新設や収容定員を増やす場合の申請は,この3月末あるいは6月末が申請期日となりますので,そちらについては,既に大学において準備行為が進められているものであり,今回の抑制の対象は7年度以降ということになるということでございます。
【山本会長】  分かりました。ということは,今年の6月までの間に既設の薬科大学の薬学部において,全体の定員枠は増やさないけれども,臨床に係る授業を行う,薬剤師養成のほうに人数を振りたいというところについては,制限がないという理解でよろしいですか。
【相原課長補佐】  お答えいたします。4年制から6年制に定員を変更するという御質問でよろしいでしょうか。
【山本会長】  いえ。既に定員は100なら100の定員で,60人と40人という区分けをしているところがそれを逆にしようとか,あるいは減らそうとか様々な方法があるんで,既に大学としては設置をしていて全体の定員は決まっていて,その中での配分の問題なんですけれども,今の御説明だと,新たに学校をつくる場合には既に準備もしているだろうから,それも踏まえてスタートは令和7年にした。この4月あるいは6月までの間に当然準備をしているので,それについては埒外だというふうに理解したんですが,それでよろしいですか。
【相原課長補佐】  補足してお答えさせていただきます。既に設置された大学において,その定員の配分を変えるという場合におきましては,届出の手続が必要になってくるということでございまして,それは手続の規則に基づいて,文部科学省のほうに届出手続をいただきたいと思います。
【山本会長】  ならば,今,現に開いているところについては,さっきのお話では3月もしくは6月に準備が進んでいるというお話だったので認めるんだというように取れるんですけれども,現行の,既存の薬科大学なり薬学部などで,あるいは6月までにきちんと届出をすれば,その定員の中での範囲であれば4年制と6年制の定員の変更,つまり,増やすのは問題だと思うんですけれども,既に決められた定員の中での移行については柔軟に対応するという理解でよろしいですか。
【相原課長補佐】  今のは6ページの資料の2ポツの白丸でございますけれども,現状の制度におきまして,大学の学部の収容定員の学則変更を行う場合で,収容定員総数の増加が伴わないものにつきましては届出でできることとされております。仮に4年制から6年制に定員を振る場合には,収容定員が増加する6年間ということで,4年と6年で学年が違いますので,定員を増加するということになれば認可事項でございますけれども,全体として定員の増加を伴わないものについては届出でできると。それは令和6年度分についてはできるということでございます。
【山本会長】  その増加っていう考え方というのは,片方は6年制,片方は4年制なので,4年で終わる人が50人いて,6年かかる人が20人いたとすると,6年制の定員が増えちゃうので,それは入学時の総定員が変わらないという条件でいいんですね。
【相原課長補佐】  いえ。収容定員総数の増加を伴わないものと文部科学省の法令において定めてございまして,総数の増加を伴わない場合には届出事項ですけれども。
【山本会長】  それは漢字が読めるから分かりますが,それは普通の日本語で言うとどういうことになるんですか。
【相原課長補佐】  例えば4年制の定員を10人減らして6年制の定員を10人増やすということですと,収容定員総数では20人増えるということになりますので,その場合は認可事項となるということでございます。
【山本会長】  認可事項ということは,黙って増やせないので,認可されればいいということですか。それは認可しないの令和7年のこの法律の前は。
【相原課長補佐】  その2ポツの施行日が令和6年3月1日でございますので,それまでの間ということであれば,この新しい規制の導入前ということになりますので,例えば令和6年度の入学定員において対応するということであれば,一部増えてくる大学はあろうかと存じます。
【山本会長】  令和6年だと来年ということですね,令和6年度ということは。来年の入学生に対しては,特にこの今決められている抑制策は引かずに,仮に4,6の数字の変更も可能ということになるんですか。
【相原課長補佐】  はい。令和6年度につきましては可能ということになります。
【山本会長】  それ,来年の3月31日までに入学する人という理解でいいんですか?
【相原課長補佐】  令和6年の4月1日に入学する人です。
【山本会長】  それまでは数の変更は,全体の大きな総数としての定員さえ変わらなければ,届出をすれば一応,今回の法律の埒外ということで,そういう理解でいいですね。
【相原課長補佐】  はい。御理解のとおりです。
【山本会長】  分かりました。それと併せて,モデル・コア・カリキュラムなんですけれども,8ページの一番最初の改訂版について,青ポツの2つ目で,「薬剤師は」という私どもが出したパブコメに近いことを書き加えていただいてありがとうございました。
さはさりながら,9ページ目に書いてある大項目A,BからG,DPの関係というのと,それからその前の今回の基本方針の中で考えたときに,青ポツの2番目って今までなかったような気がするんですが,チーム医療や臨床の研修って極めて重要だと思っていますし,これからも大事だと思うんですが,わざわざここに「薬剤師が」と書いて,医薬品の提供体制についてということを書かれているんですが,少なくとも今回の基本方針,あるいは9ページのディプロマポリシーが出る前の状態になるのかな,ここで議論すべきなのか,あるいはカリキュラムポリシーで議論すべきなのか分かりませんが,少なくともここに書かれている薬剤師の基本的な役割はどこで学ぶんですか。
【大久保薬学教育専門官】  文部科学省でございます。薬剤師の使命,任務等については,この大項目BからGに書かれておりますうちのB,社会と薬学において学修目標が設定されております。
【山本会長】  社会と薬学を拝見したんですけれども,極めて概念的な話というか漠然とした話で,10ページのところで言えばいろいろ書かれているんですけれども,どこを読んだらいいか分からないんですが,ぜひモデル・コア・カリキュラムの中でどこなのか,後ほどで結構ですからお示しください。
【大久保薬学教育専門官】  はい。承知いたしました。
【山本会長】  文科省さんはここまでで,後ほどお答え願いたいと思います。
 次は,15ページからの厚生労働省さんですけれども,15ページのところに資質向上検討会の概要が書いてありますが,確かにここでは病院薬剤師の数が少ない,「特に」というのはまさに喫緊の課題,これは我々も十分認識していました。様々な理由があって病院薬剤師の収入が少ないということについては私どもも賛成であります。その一方で,御案内のように,やっぱり地域によっては薬局がない地域もありますので,その辺りについてのお考えをお教え願いたい。それから,自治体との連携の上で取り組んでいく必要があるという観点で偏在問題が記載されていますが,これは多分,地域医療計画を意識したことだと思うんですけれども,18ページのところに薬剤師の確保というところで概要というのがあって,ポツが3つ,下のポツですけれども,都道府県(薬務主管課,医務主管課),都道府県薬剤師会,病院薬剤師会等の関係団体が連携して取り組むというふうにありますが,極めて重要なことだと思いますし,こういう記載は私どもとしてもありがたいと思っています。
と言いつつ,都道府県の今までの薬務主管課では薬剤師の不足などに意識がないような気がしているんです。厚生労働省さんとしては,新たな地域医療計画を含めた薬剤師確保対策について,都道府県の薬務主管課と医務主管課の間の調整をどのようになさるおつもりですか。
もう一方で,薬務の主管課の方々に伺った判断ではなく,外から見ているとこのように見えるというお話でお聞き願いたいんですけれども,薬事監視や環境監視,あるいは許認可行政が主たる薬務で,薬剤師の数が充足しているか,などの点についてあまり思いが至っていないのではないかと思われます。お忙しいのは十分承知していますが,そういった意味でどのようにして,この実質的な,いわゆる薬剤師の偏在を直そうという画期的な医療計画での書きぶりについて,地域の総合確保基金を使ってどのように実施するお考えなのか。都道府県の各主管課に対して,既に次の医療計画はこの4月から各都道府県で検討が始まります。その中で名前が書いてあっても,彼らが意識しなければ地域の薬剤師会は全く無視されたままです。その辺りについてどのようにお考えかお伺いしたいんですが。
【太田薬事企画官】  厚生労働省でございます。御指摘ありがとうございます。御指摘の点について,まず1点目の資料の15ページ,地域の偏在に対しては,今ちょうど厚労省のほうでも偏在指標の検討をしているところでございまして,それにより薬剤師が非常に少ない地域が明らかになってくることも想定されておりますので,そのような地域に対してはどのような対策が必要かについて当該自治体と連携して取り組んでいくことを考えております。
来年度の予算事業では確保策を支援する事業を予定しておりますので,特に偏在が生じているような自治体には,こちらからも働きかけを行っていきたいと考えているところでございます。
 続きまして,資料の18ページの薬務主管課と医務主管課の連携についてでございます。今般,この記載が第8次医療計画に入れ込んでいただけたというのは非常に大きな周知になり得るかと思っています。厚労省サイドからも,この医療計画の説明会,来年度,この計画を各自治体で策定するに当たっての説明会等で主管課同士の連携であったりとか,薬剤師会のみならず病院薬剤師会の参加連携であったりの必要性というのは,働きかけを積極的に行っていきたいと思いますし,そういった中で具体的な問題点というか課題があれば,そこを解決すべく何らかの働きかけができればと考えているところです。
 以上でございます。よろしいでしょうか。
【山本会長】  お話された,その問題の解決に向けては,我々も協力するつもりですけれども,問題は都道府県の薬務主管課,医務主管課に対して厚生労働省さんとしてはどういう指示を出されるのか,ということです。今まで少なくとも医務と薬務というのは,私の住んでいるところではとても仲よくやっておられますけれども,そうでない地域もあると伺っておりますし,医療の分野は厚生労働省医政局がコントロールされているように,多分都道府県でも同様であるとすると,薬務主管課が薬剤師の偏在にどういう意識を持っているかというのをしっかりと見てもらわないと困りますし,一方で医療計画ですから,当然,都道府県の医務主管課が対応する,あるいは医療計画課が係ると思うんですけれども,その辺りについて厚生労働省としてはどんな御指導というか何かされるつもりなんでしょうか。でないと,絵に描いた餅で何もしてくれないというのがまた起きてしまうような気がするんですけれども,その辺りは大丈夫ですか。
【太田薬事企画官】  まず,国のほうでも同様ですが,当事者の認識というのか,意識づけというのが非常に大きいと考えておりまして,今回,医療計画でも出しますし,こちらからも偏在指標という形で,特に確保策が必要な自治体も見えてくるかと思われます。今まであまり自分の自治体が薬剤師が足りているのか足りていないのか,他の地域と比較してどのような状況になっているのかというところに対して意識が薄いような自治体に対しても,偏在指標を打ち出すことで意識づけが図られればと思っておりますので,こちらは総務課なので,まずは薬務課のほうから働きかけというか,認識とともにそういった連携の働きかけを行ってもらうということを,説明だったり周知だったりをさせていただいて,その上で具体的な支障となるようなところが出てくれば,そこは対策を講じていくと思っています。
この辺りは会長がおっしゃるとおり,自治体によってかなりの差があるところでございますので,そういった差も含めて検討していければと思っています。すみません,今のところ具体的に何かこれをというようなところではないのですが,そのように考えております。
以上です。
【山本会長】  ありがとうございます。既に都道府県に対してこの医療計画の説明があったやに聞いていますけれども,今のお話とちょっと平仄が合わないんですが。
【太田薬事企画官】  それはどのような部分についてか教えていただけますか。
【山本会長】  全体に対して,当然新しい医療計画をつくる,都道府県に落とすわけだから,国としてはどういう方針でこの医療計画に関わってほしいかということについては,当然のことながら都道府県に対して関係する主管課のほうに,薬務主管課長会議なり医務主管課長会議などで説明をされるんだろうと思うんですが,既にそれは終わってしまったというふうに聞いているんですが,それは何かの間違いでしょうか。
【太田薬事企画官】  少なくとも薬務主管課長会議では,そのような点を非常に強調して各自治体に周知を図っているところではございます。
【山本会長】  それは個別に行ったということではないのですか。つまり問題は,薬務主管課と医務主管課がきちんと連携することが大事なんであって,それぞれがばらばらに走る話ではないにもかかわらず,薬務からは行くけれども,医務は知らんぷりという状況では,また現場に行って何も動かないことが起きてしまうような気がするんですが,本当に厚生労働省なり文科省さんなりは薬剤師の偏在を是正するおつもりはおありなんですか。
【太田薬事企画官】  少なくとも薬剤師の確保について,その課題意識とか,そういったところがないといったことはございませんので,そこはしっかりと対策を進めてまいりたいと考えておりますし,都道府県に対する周知の仕方というのも,今,挙がったような点はお伝えしていきたいと思っています。
こちらは,薬務も医務もですが,それぞれ伝える機会が出てくるかと思いますので,今までにそういったところが一部図れないところであったのであれば,改めて医政局とも連携させていただいて,対応を強化していければと思いますが。
【山本会長】  よろしくお願いします。それで先ほど,その資質向上のために様々な3つの検討会を走らせる,研究事業を走らせるということになったんですけれども,それが具体的に言えば25ページ以降になるというふうに理解しているんですが,少なくともこの25ページに書いてあるように,一貫した検討が必要だという意味では,ぜひ実効性のあるプログラムを組んでいただきたいのと,実効性はどのように担保されるのか,それも併せて,別に今ではなくても結構ですので教えていただきたいのと,併せて28ページの具体的な研修項目を見ると,新たに卒業した学生が1年間程度という実務研修については,私どもとしてもなるほどなというふうに納得するところでありますが,実態として,先ほど実効性あるプログラムをお願いしている点からしますと,卒業後1年研修するとなると,就職活動が終わった学生が1年間休職をするという状況が想定されます。今は半年間なんですが,実効性って本当にあるんでしょうか。現場の感覚からすると,なかなか容易じゃないなと思うんですが。いや,これこれこうで実効性があるんだというお話であれば,それはそれで結構です。そこをちょっと教えてください。
【川上薬剤業務指導官】  御指摘ありがとうございます。先生おっしゃるように,まさに薬局の薬剤師に関しては,そこが課題だというふうに認識してございます。
ですので,我々としても新たにスケジュールを31ページにお示ししておりますように,薬剤師のキャリア形成促進に関する研究ということでこういった研究班を立ち上げまして,実現可能な制度設計の検討ということで,2年間かけてしっかりと検討を進めてまいりたいと思いますので,今後とも御助言,そして,日本薬剤師会さんからもここは研究の分担者として入っていただきますので,そういったところで御指導いただければというふうに考えてございます。
【山本会長】  ありがとうございます。今のお話だと,どうしたら本当に実効性があるものになるのか研究する,ということでいいですか。
【川上薬剤業務指導官】  はい。実効性の観点から,卒後研修という言い方がいいかどうかというところはありますけれども,このプログラムをしっかり走らせていくために,どういった制度,形に持っていくのがいいかということを含めて検討を進めてまいりたいと思います。
【山本会長】  分かりました。既にこれは御案内を頂戴しているんですけれども,日程的にもかなりタイトな状態でリクエストが来ていますので,まさにキャリア形成の卒後の実習は,今までにない実習,研修になります。それについては,具体的に研究結果が,この先の卒後研修のやりやすさというか,知識を受けながら十分な研修ができる体制の構築に資するように検討をお願いしたいと思います。
【川上薬剤業務指導官】  御指摘ありがとうございました。承知いたしました。
【山本会長】  ありがとうございました。
【堀岡企画官】  そのほかいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは,続いて議事2の協議事項に移ります。事前に薬剤師会及び病院薬剤師会より議題提案いただいておりますので,各団体から提案趣旨を御説明いただければと存じます。
それでは,まず協議事項1,日本薬剤師会からの提案趣旨の御説明をよろしくお願いいたします。
【山本会長】  34ページの1の1ポツですけれども,私どもとしても質の保証というのは極めて重要な問題だと認識しています。これまで6年制の薬学部ができた後,あるいはできる以前から,一定程度,十分な教育ができる規模の範囲でとどめていただきたいというお願いは,厚生労働省並びに文科省にお願いしてまいりました。今回,双方から抑制策というのが出てきたことについては大変ありがたいと思っていますが,その一方で,質の保証の中で一定期間,例外というか,むしろどうやったら質の保証ができるのか,これは多分,薬学教育評価機構がなさっているんだと思うんですけれども,その辺りについては,機構としてはどのようにお考えでいらっしゃるのか,あるいは文科省,厚生労働省はどんなふうにお考えでいらっしゃるのか,ぜひお伺いしたいんです。
【堀岡企画官】  それでは,文部科学省のほうからまずお答えします。
【相原課長補佐】  御意見どうもありがとうございます。全体としての質の保証に関してございますけれども,定員抑制のみならず,教学マネジメント,教育内容をどのようによりよくしていくのかというところで,昨年8月の薬学系人材養成の在り方に関する検討会でもおまとめいただいたというふうに認識してございます。
具体的には,その教育成果を各大学において把握して,それを見える化していく,可視化していくということによる,各大学における改善充実を文部科学省としても求めていくとともに,先ほども情報の公表ということで,例えば標準修業年限での国家試験合格率ですとか,各大学における退学等の割合等の数値についても社会的にお示ししているところでございます。
また,基盤的経費等の財政措置につきましても,一定程度そういった内容も踏まえてめり張り配分ができないかということも含めて,今後しっかりと検討してまいりたいと考えてございます。
【山本会長】  ありがとうございました。私どもの質問の,一定期間例外も認められている件というところは先ほどお答えいただいて,令和6年までならこういうことで確認は取れているんですが,この質保証で考えると,文科省さんの3ページの資料ですけれども,大きな課題として,入学者選抜の在り方というのと定員に関する取組というのと,まさにこれ,アドミッション・ポリシーだと思うので,それとさらには質の保証という,その4つの点を指摘されているんですけれども,先ほど来お話のように定員を増やすなというのは,質が下がるという点から十分に理解できますが,今年のお正月に発表された2016年入学の方々がどうであったかということを見ると,むしろ数が増えたことも大きな問題ですが,その一方で,標準修業年限で薬剤師になれないという問題について言うと,そこが大きな課題であって,いい学校を増やすことについては別に否定するべき問題でもないというふうに思っているんですけれども,そうなると,この3ページで言うところの教学マネジメントと質の保証,併せて入学時のアドミッション・ポリシーとディプロマポリシーとの関係はどのように今後,文科省としては指導されるおつもりですか。
【相原課長補佐】  お答えいたします。こちらの取りまとめの内容を昨年の8月に提言いただきました後に,文部科学省より各大学のほうに周知をさせていただいて,改善,充実をお願いしておるところです。
いずれにしましても,各大学においてアドミッション・ポリシーやディプロマポリシー,また,カリキュラムポリシーを明確にして,それに基づく改善,充実がなされるということがまず一義的には大事であるというふうに考えてございますとともに,繰り返しになりますけれども,その取組の情報を薬学教育評価機構などとも連携しながら明らかにして,改善を求めていくということで,実効性を担保し,フォローアップをしてまいりたいと考えてございます。
【山本会長】  ありがとうございます。補助金のことに触れられていましたけれども,補助金の枠から出ないかという問題ではなしに,そもそも,その大学はきちんと薬学生を教育できる力を持っているかどうかというところに課題があるので,補助金でつるようなまねではなしに,しっかりとアドミッション・ポリシー,カリキュラムポリシーとディプロマポリシーのバランスが取れたものになるように御指導願いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。
もし,薬学教育評価機構,西島先生などもコメントをいただければと思いますけれども。
【西島理事長】  西島です。今の点ですけれども,文科省からの御説明にありましたように,一つ大事なところとしては,大学の評価を今まで以上にもっと一般の人に分かりやすく,受験する受験生,その親の方たち等に分かりやすく公表するということが大事だということは,厚労省の検討会でも言われてきたところです。
先ほど文科省の御説明で,その具体例として7ページをちょっと開けてもらえますか。情報公表の取組ということについて,今,機構のほうでも考えておりまして,今回,文科省のほうで,下の黒丸のところにありますように,人材の在り方に関する検討会を踏まえ,大学の状況をグラフ等にして非常に分かりやすく情報提供をしていくという取組が提案されておりまして,これについてこれから文科省と評価機構とでいろいろ検討して,分かりやすい情報公開をして,それをもって質の向上を図りたいという,それは一つの方法ですけれども,そういったことを今取り組んでいるところです。
あと,質の保証としては,一番やっぱり大事なのは3つのP,3つのポリシーがありますけれども,その取組についてしっかりと機構のほうとしても評価の中に取り組んで,それをもって質の向上を図りたいという,そういうような状況であります。
これについて私からの情報は以上ですけれども,実際に評価をされている太田先生からも何か追加の御意見があったら,ここでお話しいただければ私としてはありがたいと思っております。太田先生,何かございますでしょうか。
【太田座長】  太田でございます。私,総合評価評議会の議長をしているという関係で,それぞれの大学の評価についてのお話をさせていただこうと思います。
総合評価評議会としては,どういうことに力点を置いて評価をしているかということですけれども,内部質保証がそれぞれの大学でどのような形で行われているか,そして,学修成果に関する評価が,それぞれ3P,ディプロマポリシー,それからアドミッション・ポリシー,カリキュラムポリシー,これに即してきちっと評価されるような状況になっているかどうかということを,主に質的な観点からそれを評価させていただいているというのが現状です。
それで,図にするということに関して,なかなか質的な評価をグラフ化するというのは難しいところはあるんですけれども,これは今後,評価機構の中できちっと議論をして考えていきたいというふうに思っております。
私からは以上です。
【山本会長】  ありがとうございました。太田先生,それから西島先生,ありがとうございました。今まさにおっしゃったように,薬学教育の質の保証をされているわけであって,それを踏まえた新しい薬学教育モデル・コア・カリキュラムができましたので,ぜひここに書かれてあることが,薬剤師側もそうですけれども,実際に教える現場で実効性があるような,そうした教育を進めるように御指導のほどよろしくお願いします。ありがとうございました。
【堀岡企画官】  ありがとうございました。
それでは,少し時間も押しておりますので,協議事項,議事の2に入らせていただきたいと思います。モデル・コア・カリキュラムについて,日本薬剤師会より提案趣旨の御説明をよろしくお願いいたします。
【田尻副会長】  日薬のほうからですが,お手元にありますように,今回それぞれの大学がそれぞれの特色を出せるように,少し余裕を持ったカリキュラムになっているんでしょうけれども,以前のように国家試験予備校的なものに時間を割かれたりするようなことが決してないようお願いしたいことと,そのような事が大学自体に伝わっているのか,そして今,それぞれの大学がどういう状況にあるのかというのを分かる範囲で構いませんのでお知らせ願えればと思います。
【大久保薬学教育専門官】  文部科学省でございます。モデル・コア・カリキュラムの趣旨については,周知をすることが非常に大事だと考えておりまして,文部科学省においても,令和5年度予算案において,コア・カリ改訂の周知等に係る経費が含まれております。資料には書いてございませんけれども含まれてございます。例えばシンポジウムの開催等を検討しておりまして,薬学教育協議会とも相談してまいりたいと思っております。
また,実際の各大学のカリキュラムに反映させていくには,新規の学修内容について,あるいは趣旨についてFDの教材作成やe-ラーニングなどの構築も有用と考えております。令和5年度予算において,医学,歯学とも連携をしながら,薬学としてどのように取り組んでいくのか,関係者等の意見もよく伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
【田尻副会長】  ありがとうございます。その件に関しても,先ほど出ました評価機構が下した評価をどういう格好で周りに周知できるのかということも踏まえて検討していただきたいのと,3つのポリシーがそれぞれきっちり平仄が合わないと,どこかで破綻したその結果として,修業年限のうちに卒業ができない,もしくは国家試験に合格できないという事態を招くこともあるかと思いますので,責任を持って,それぞれ私たちも含めてですけれども,取り組みたいと思いますので,何とぞよろしくお願いいたします。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。
それでは,次の議題に行かせていただきます。議事2のマル3,実務実習についての最初の協議事項について,薬学実務実習に関する連絡会議で座長をしていただいた太田先生のほうから御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【太田座長】  それでは御説明させていただきます。資料の5,56ページを見ていただけますでしょうか。薬学実務実習に関するガイドラインの見直しについてということで,昨年の1月に連絡会議を開いて,その改訂についての話合いの中で,ここに書いてありますように,実務実習の評価や薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に係る検討状況を踏まえて,評価方法などについて関係者の意見を聞きながら整理する必要があるということを考えておりました。また,昨年8月ですけれども,薬学系人材養成の在り方に関する検討会において,今後の薬学実務実習に関して,臨床に係る実践的な能力を培うための実習の内容及び質の充実に向けて検討すべきであるということが議論されております。
それを受けまして,委託事業として薬学教育協議会において,ガイドラインの改訂ワーキングを立ち上げさせていただきました。それで,そこの中で,ここに書いてありますように,10月には改訂モデル・コア・カリキュラムの現状,それから関係団体へのヒアリングを行いまして,翌日にもそれも行いまして,それを受けて薬学実務実習に関するガイドラインの改訂案について,11月に1次案を出していただいております。その後に実務実習に関する連絡会議にて検討させていただき,修正を書面審議していただいて,それで今日に至っております。
そこで59ページからのガイドライン改訂版を作らせていただきました。この中で60ページを見ていただきたいんですけれども,モデル・コア・カリキュラムにおいて,先ほどの話にも出てまいりましたが,BからG領域の学修内容とのつながりを深く意識をした上で,臨床薬学の大学での学びを実務実施を通して医療現場で実践して,学生の成長を促すことを目指す指針を示したものであるという整理をさせていただいております。
そして,その下ですけれども,臨床薬学の学修というのは,実務実習前に大学で行う患者個別の薬物治療を中心とした学修を経て,医療現場で患者・生活者から学ぶ実務実習,そして,実習終了後に各大学が行う卒業に向けた総合的・体系的な臨床薬学教育の3つのフェーズから成り立っていることを確認させていただき,特に2の実務実習は唯一,医療現場で学修し評価できる場であるので,大学として実習施設と協働してその学修環境を構築しなければならないという基本条項を確認させていただいて,ガイドラインを作成しております。ガイドラインの後半には標準的な実習内容の例示をつけさせていただいて,それで現実のガイドラインとして実用に足るものということを目指して作ってまいったわけでございます。
今後の予定ですけれども,本日ここで検討状況を報告させていただいて,4月以降には薬学教育協議会において実習内容であるとか,実習による学修の評価方法について検討を加えていただいて,秋頃に薬学実務実習に関するガイドラインの決定をさせていただき,令和6年度入学生から適用予定ということにしたいと考えております。
ここでの留意点といたしまして,現行のガイドラインについては,これは令和9年度,令和5年度の入学生まで使用されることが想定されております。ですので,現行のガイドラインの中で速やかに取り組む必要がある幾つかの項目がございますので,それに関して取り組むことが重要であるという指摘,あるいは,新しいガイドラインにおいても円滑に引き継がれるような実務実習の充実に向けて取り組んでいく必要があるということを議論させていただきました。
この中で速やかに取り組むことが重要であるというところで,別添4を開けていただけますでしょうか。この別添4ですけれども,この中で特にハラスメント等の対応についてということは喫緊の課題として必要であるという,これを何とかしたいということで,ここに書いてある対応策を検討すべきであるということを指摘させていただいているところでございます。
それから,もう一つですけれども,今後のことに関わることですが,薬学教育協議会において実務実習を検討していただくに対して,ここに書いてある課題,実習の枠組みの原則,大学は個別に期間等を検討して実習できるとされているけれども,今後もこれを記載するのであれば,その情報収集が必要だろう,検討が必要だろうということ,それから,ガイドラインを定期的に見直すスキームを明示すべきではないかという課題に対して検討していただければということで,議論をさせていただいたということでございます。
私からの報告は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【堀岡企画官】  太田座長,ありがとうございました。
続いて,実務実習について,日本薬剤師会及び日本病院薬剤師会から御提案いただいておりますので,まずは提案趣旨の御説明をよろしくお願いいたします。
それでは,まず,日本薬剤師会さんからよろしくお願いいたします。
【田尻副会長】  日本薬剤師会です。そちらにお示ししているとおりですが,今までも実習の枠組みについて11週プラス11週ですが,一部の大学ではそうではない実習が進められていたケースがございます。今回新しいコア・カリに向けて,そういう環境がそろうように,ぜひともお願いしたいと考えております。文科省のお考えはいかがかお尋ねしたいのと,これに付随したことですけれども,先ほど当然,実習に送り出す前に大学の責務として,大学は実習施設と協働してその学修環境を構築しなければならないとありましたが,今回コロナの影響もあったのかもしれませんが,学生を実習施設に送り出すときに教育担当の教員が全く実習施設を訪問することもなしに11週間終わってしまったというケースもあったと聞いておりますので,そういう事実を文科省として知っておられたかどうだったかも含めてお答え願えればありがたいと思います。
【大久保薬学教育専門官】  文部科学省でございます。この件につきましては,薬学実務実習に関する連絡会議においても,ガイドライン改訂の検討過程でいろいろと議論がございました。また,従来からガイドラインには,「病院,薬局の実習期間は連続のある22週間とし,各施設11週間を原則とする(各実習施設での実習期間と次の実習期間の間に2週間から4週間程度の準備とふりかえり期間を設定する)が,大学が主導し病院-薬局が連携して更に学修効果の高い方略や期間等を検討し実習を進めることも可能である(ただし,22週間を下回らないこと)」と従来からしています。
64ページの一番下,「これらの枠組みは,地区調整機構が各地区の状況に合わせて随時協議を行い,ガイドラインを遵守した上で,より効果的な実習方法,枠組みについて提案があれば,検討し,地区内で合意を得られた場合は,薬学教育協議会の中央調整機構委員会での協議を経て対応することとする。さらに,これらの全国的な枠組みについては,薬学教育協議会において新しい課題や社会のニーズの変化に対応して見直しを行う」としてございます。
そういったことから,まずは地区内でしっかりと協議し合意いただくということが重要であると考えております。といったところでございます。
【境課長補佐】  すいません,田尻先生がおっしゃられました2点目の件につきましては,学生を実習に送り出す場合に大学と現場の実習施設との連携に関する話かと存じます。これにつきましては,次の4の課題とも関係することでして,教員の実習施設への訪問についてということで,ここは様々議論があるところですので,また後ほど御議論いただければと思いますけれども,連携体制をしっかり構築することは今後とも重要だと思いますし,その一方で実務家教員の負担になり過ぎても問題ではないかという御意見もあります。ただ,ここは信頼関係をしっかり築いていくことが重要だと思いますので,その点につきましては,大学の先生方,それから,病院薬剤師会の先生方でまた御議論いただければと存じます。
以上です。
【山本会長】  すいません,前段の御説明ですが,田尻がお伺いしたことについては,原則とされる実習の枠組みと違うところがあっても合意が得られればいいという理解でよろしいですか。
【大久保薬学教育専門官】  まずは地区で協議を行っていただき,さらに中央調整機構委員会での協議を経て対応するというスキームで検討を行っていくと理解しております。
【山本会長】  それは聞けば分かることですけれども,今のお話は,場合によっては22週を下回らないこと,それぞれおおむね11週とすることという,違うことをやっても中で合意が得られればいいという理解でよろしいですか。
【大久保薬学教育専門官】  22週は下回ってはいけないということでございます。その他については,関係団体で現場での混乱がないよう運用面で配慮をしていただいた上で,関係者間で十分検討を行っていただきたいと考えております。
【山本会長】  それは質保証という意味でいえば,どこかだけが週がばらつくのではなしに,きちんと全国統一されていないと質の保証ってどうやってするんですか。
【境課長補佐】  事務局から申し上げます。原則については,当然原則どおり対応することが望ましいと思っておりまして,ここの記載にもありますけれども,ガイドラインを遵守した上でより効果的な実習方法,それから枠組みの提案があれば,それを地区内でまずきちんと御検討いただき,合意が得られた場合には中央調整機構で最終的に協議を行うというスキームがここに示されている状況です。まず,地区内でより効果的な実習となっているかということについてしっかりと検討をいただきたいと思っております。
また,この新六者懇でも,二,三年ほど前に議論が行われていたとも承知しておりますけれども,この辺りは関係団体,大学の先生方で協力いただき,また,地区内でしっかり合意を得ていただくことが大事かと考えております。
【堀岡企画官】  竹本先生,手が挙がっておりますので,御発言いただければと思います。
【竹本京都大学薬学部長】  発言してよろしいでしょうか。間に入って申し訳ないですけれども,ここのところですよね。今お示しいただいたところで,私,前回質問をさせていただいたんですけれども,京都大学の研究科長をやっています竹本です。国公立薬学部長会議の当番校でありますので,ここの会議に出席させていただいています。
発言させていただく機会をいただきましたので御意見を,これは全国薬学部長会議ではなくて京大として発言したいんですけれども,日本薬剤師会の先生方,病院薬剤師会の先生方には実務実習で大変お世話になっておりますことは重々認識しておりますし,感謝もしております。ただ,京大薬学部は6年生の薬学科の人数をかなり減らしましたので,我々としては,少ない15名の薬学科の学生さんを,彼らの要望に近い形で実務実習を,どっちが長い短いとかの議論はしたくないですけれども,それぞれ薬局の方,病院の薬剤部の方と議論しながら,一番いい形に持っていきたいということで,11プラス11ありきで話を固定化していくことだけは避けていただきたいと。
具体的なものは何か協議の場をつくっていただいて,まず,協議を始める土台はつくっていただきたいと思っております。それ以上はなかなか言いにくいですけれども,そこも駄目と言われると話が前に進みませんので,ここにこういう文章が書いています限りにおいては,ある程度はお認めいただきたいと個人的には思っております。
以上です。
【山本会長】  ありがとうございます。竹本先生のお言葉を返すようで申し訳ないですが,11週にこだわっているわけではなしに,今,先生がおっしゃったように,よりよい方向があるなら,それは質保証なりという中でまさに議論をした上で全ての薬科大学なり薬学部はそうすべきだろうと思っています。
したがって,数の問題ではなしに,私も双方11週がいいかどうかというのはかなり検討の余地はあるだろうと思っていますが,ただ,ここにあるように,あたかも何をやってもいいぞというのではなしに,本当にそれがいい教育につながるのであれば,全国の薬科大学,薬学部がやるべきで,先生がおっしゃるように,きちんとした議論の場をつくることが必要だろうと考えます。
【竹本京都大学薬学部長】  そこから始めていただきたいと思っております。
【山本会長】  そういう意味では,文科省さんがそういう言い方をされていないので,好きにやってもいいのかという話になるので,別に私,11週,11週にこだわっているわけではありません。ただ,先生がおっしゃるように,本当に質のいい教育をするためには,全ての薬科大学がそうならなければ,よい質の薬剤師ができないと思っていますので,その点は誤解がないようにお願いいたします。
【竹本京都大学薬学部長】  もう一点付け加えさせていただきますと,御存じだとは思うんですけど,先ほど来言われている3P,ポリシーが大学によって違いますので,当然,金太郎あめのように均一というのがベストかと言われると私は個人的には疑問を持っておりますので,その点も含めて我々がいいものを,これはいいねと言っていただけるようなものを提案させていただきたいと思っておりますので,議論する場をつくっていただけますと非常に助かりますので,御検討のほどよろしくお願いいたします。
【田尻副会長】  日薬ですけれども,議論の場がなしにそういう事態が起きていたということの事実がありますからそこら辺のところをしっかり,必要であれば11週プラス11週なのか,日数を変えるのかも含めて,きちっとした平場で議論をしてから,それぞれ最良の実習ができるように事を運びたいと思いますので,ひとつそのような御理解をいただければと思います。
【竹本京都大学薬学部長】  はい。
【堀岡企画官】  すいません,奥田先生が手を挙げていますので,奥田先生も一言御発言いただければと思います。
【奥田副会長】  ありがとうございます。今の議論に関連する意見を申し上げます。病院と薬局がそれぞれ11週を原則とする形ですでに12年間も実習が行われてきており,コア・カリは途中で改訂され,実施の内容については年々ブラッシュアップされてきていると承知しているところです。一方で,竹本先生の御発言の中にもあったように,病院と薬局がそれぞれ11週ずつではないところもある実態を私自身は把握,認識できていないところではありますが,そのような実態についても主務官庁で把握をしていただく必要があるかと思いますし,実習期間の違いがどのような成果に繋がっているのかということも振り返って評価する必要もあるのではないかと思います。
あと,22週間の実務実習を始めるに当たって,当初はエビデンスがない中で,病院と薬局をそれぞれ11週ずつ割り当て,まずは始めてみるというコンセプトは理解できます。しかしながら,それがどういう形がベストなのかということは,受益者である学生さん主体で,学生目線での評価であるとか,先ほどの意見にもつながるかもしれませんけれども,学生さん単位での成果の大小を評価し,その上でどういう期間の設定の在り方がベストなのかということを検討するべきではないかと思います。
とは言っても,病院と薬局を組み合わせて実習を行うことは前提と思いますので,病院と薬局との間で,マッチングが成り立たないようなことは当然避けなければいけないと思います。そういったことも確保しながら実習期間のあるべき形に向けて検討していく必要があるのではないかと思います。
以上です。
【堀岡企画官】  よろしいでしょうか。
それでは,次,3番,卒前・卒後のシームレスな教育の実現について,日本病院薬剤師会から御説明をお願いいたします。
【石井理事】  日本病院薬剤師会の石井でございます。今,画面に出ている3ポツのところでございます。
今日のお話前般は,文部科学省よりコア・カリ改訂の話がございました。また,厚生労働省からは卒後研修のモデル事業についてお話がございました。それぞれ並行して進んでいますが,教育を受ける側は一体化しているということでございます。医学部,歯学部は既にシームレスなということをかなり意識したコア・カリの改訂になっておりますし,また,卒後研修もしっかりしたものがございます。
今後,薬剤師卒後研修を意識するのであれば,実務実習も効果的であり,なおかつ卒後研修も効果的であるということ,実際にはそういったことをコア・カリ並びに,今,作成中の卒後研修のガイドラインにも両方反映させたいと考えております。こちらについて御意見をいただきたいと思います。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。大変申し訳ありません。時間の都合もありますし,実はさっきも出ましたので,4番の教員の実習施設の訪問についてもまとめて御説明いただけますか。すいません。
【石井理事】  分かりました。それでは,4ポツに移っていただきたいと思います。
こちらにつきましては,現在,大学の実務家教員の方が本当に忙しく働いていらっしゃいます。大学によっては薬局,病院訪問をいろいろな教員の方がされているケースもあれば,実務家教員がされているケースもあります。実務家教員はさらに臨床での業務を実際に実践していかなければ現場の新しい情報が遅れてしまいます。
6年制になって10年以上になりますので,病院や薬局の指導者側もかなりこなれてきたように思いますので,実際,訪問というのをもう少し緩くしてもいいのではないかと。コロナでウェブを使うなどいろいろな方法が出てきましたし,先ほどの日薬さんの御意見と反するかと思いますが,既にコミュニケーションが取れているような施設では制限して,教員自体にも研究の時間,あるいは臨床の実践の時間というのをつくらなければ実務家教員が気の毒に思います。一方でインシデント,あるいはハラスメントがあった場合は即時対応していただく,ここは絶対約束事として進めていってはいいのではないかと感じています。
以上です。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。各先生方,御意見,御議論をよろしくお願いいたします。
それでは,事務局から振って恐縮ですけど,厚生労働省さんのほうで卒後のもの,もちろん卒前は我々,今回,大分モデル・コア・カリで議論しているわけですけれども,卒後のほうも少し進めている取組があると思いますので,石井先生も関わっていただいていると思いますけれども,厚生労働省さん,コメントをいただければと思います。
【川上薬剤業務指導官】  厚生労働省でございます。3番目のシームレスな教育の実現というところに関しましては,今まさにモデル事業を実施してございますけれども,その中でガイドライン,そして評価表といったものも位置づけております。石井先生が先ほど御説明いただきましたように,その評価表といったものを卒前とつなげていくと,同じラインで見ていくことが1つ考えられるかと思いますので,今後そういった観点でもシームレスを意識して検討を進めていきたいと考えてございます。
【石井理事】  私,発言してよろしいでしょうか。
【堀岡企画官】  はい。
【石井理事】  御提案ですが,1ポツで太田先生が発言されました学部のほうの実習のガイドラインの会議と卒後研修の会議とで情報共有しながらやらせていただくような形が一番いいように思いますが,その点についてはいかがでございましょう。
【堀岡企画官】  まず,文科省からお願いします。
【境課長補佐】  文科省です。今,御指摘のあった部分について,先ほど太田先生から御指摘ありました別添2の部分で,薬学実務実習における標準的な実習内容というのをまさに今,具体的な検討を行っているところです。今回,実習内容を報告させていただいておりますし,今後これをまたさらに発展させて,評価などについても検討していかなければいけないと考えております。
ですので,そういったところの検討に,病院薬剤師会の先生もいらっしゃると思いますので,適宜,厚生労働省と連携してといいますか,つなげていくようなといった形も考えられるのではないかと考えております。
以上です。
【堀岡企画官】  私どももこのように学修内容の例示とか学修事項とか,卒前教育の実務でも定めておりますので,厚労省さんと連携するのはもちろん当然のことだと思っておりますので,そういうふうにきちんとやっていきたいと思います。石井先生,以上でよろしいでしょうか。
【石井理事】  ありがとうございます。
【堀岡企画官】  ほかによろしいでしょうか。
訪問の件はいかがでしょうか。恐縮ですけれども,日本薬剤師会様,何かコメントをいただければ。
【田尻副会長】  ごめんなさい。聞き取れなかったんですけど,再度よろしいですか。申し訳ないです。
【堀岡企画官】  教員訪問をどうするのかという御議論についてコメントをいただければと思います。
【田尻副会長】  石井先生が言われたようにウェブも利用してということですが,そういうこともなしにほったらかしの状態が実はあったことを下に,私,発言させていただきましたので,そこの連携の部分は,対面であろうとウェブであろうと補える部分であればウェブを上手に使うべきと考えます。当然のことと思いますけれども,教員に負担があまりにもかかるからというのは成り立たない話ではないかと。こちらとしても学生さんを本当に真剣に,真面目に教育しようと思ったときに,その学生さんの背景等の情報も無しに受け入れるのは難しい部分もありますから,そういう意味で最低限の情報共有も含めて行っていただきたい。ただ,それがなされていなかった例が見当たりましたということの御報告も含んだ話でございますので。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。きちんと情報共有してやっていくと。実質が問題だと思いますので,また今後とも議論していければと思っております。
【田尻副会長】  ありがとうございます。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。
それでは,議事2のマル4,実務実習についてで,臨床系教員のキャリアパス構築の明確化,病院薬剤師不足及びその偏在解消についての対策について,病院薬剤師会より提案趣旨の御説明をよろしくお願いします。
【石井理事】  その前に1個,1ポツは臨床系教員のキャリアパスは,偏在の前にキャリアパス,先に後ろをやればいいですか。
【堀岡企画官】  すいません,今,キャリアパスも申し上げましたので。
【石井理事】  ごめんなさい。分かりました。
【堀岡企画官】  申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
【石井理事】  では,キャリアパスの明確化ということでございます。現在,医療系の教員人材が圧倒的に少ないこと,また6年制の上の大学院に行く人が少ないということで,これは大学院に行く人自体は薬学だけの問題ではございませんが,キャリアイメージというのがないような状況でございます。こういったものをみんなで構築していかなければいけないのではないかというお話でございます。
2番目につきましては,それこそ厚労省,文科省のほうで冒頭お話しいただきました病院薬剤師が圧倒的に不足しておりますので,本当に病院が立ち行かない状況の地域もございます。そういったところの原因といたしましては,ここに書いてございますように,学生さんは病院を希望している人も一部いるんです。ですけれども,そもそも奨学金をたくさんもらってしまって,なかなか病院に行く現状にないようなこと,それから病院の仕事ですが,薬物治療が非常に難しくなっている,業務が多い,そして病院は初任給が非常に薄給でございますので,そういったことも含めていろいろな要因がございます。課題を言ったらば切りがないところでございますが,それをぜひ大学の皆さん,あと,日薬さんも含めた薬剤師全体の課題として議論できたらと思い取り上げました。
以上でございます。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。
 関係の方々,御発言などをいただければと思います。
【山本会長】  石井先生の御発言に口をさしはさむわけではありませんけれども,決して町の薬局は簡単な仕事で高い給料をもらっているわけではありませんので,大変質の高い,厳しい仕事を安い給料でやるから来ないという言い方は,いささか私どもとしては承服しかねます。どういうご主旨か御説明願えますか。
【石井理事】  多くの学生さんが,今,6年制になってしまって奨学金をもらっていることが非常に多いです。一部の薬局の人は奨学金を一部返すので,返済するのに少し肩代わりをしていただくということで就職を決めるケースも結構ございます。確かにいろいろな対応があると思いますけれども,結果として非常に多く薬局の薬剤師になられます。
あと,病院実習を経験して非常にやりがいを持つ学生さん,あるいはあまりにも荷が重いということで萎えてしまう学生さんがいろいろいるんですが,一部そういったやりがいを持って,病院に興味を持ってくれる人も経済的な理由でなかなかこちらに来ていただけないこともございます。
決して山本信夫先生が御発言したような視点で申し上げているのではなく,学生さんの言っていること自体を申し上げました。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。
その他,どなたか御発言等ありますでしょうか。長津先生,御発言をお願いいたします。
【長津常務理事】  よろしいでしょうか。先ほどの教員が実習の現場を訪問するところに少し並んだ話になるんですけれども,現場でトラブルが生じる事例がここ数年多いような気がしています。
そのトラブルの原因は様々だと思うんですけれども,学生の個性というか,背景が薬局のほうにうまく伝わっていないから起こった。逆を言えば,伝わって,我々現場が理解していれば防げたトラブルというのも少なくないような気がします。ですから,さっきの石井先生の話も一緒ですけれども,実習が始まるに当たっていかに大学側と現場受入れ施設との,学生個人の情報といったものをしっかり共有していかないと今後もそういうトラブルが多くなると思います。
トラブルと最近ハラスメントも多いですけれども,そういった実態に関しては,例えば都道府県薬剤師会であるとか,どうも調整機構までは伝わっているようですけれども,現場ではどういうトラブルが実際あるのかというのもなかなか見えないところもあります。そういう情報の共有に関しては,今後,様々整理していかないとよりよい実習が行われにくいということで,無駄なトラブルは絶対避けるべきだと思いますので,その辺のことも今後検討をしていっていただきたいと思います。
以上です。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。ハラスメントについては,私どももいろいろ御指摘いただきまして対応した面がありますので,御説明させていただきます。
【境課長補佐】  先ほど太田先生のところで少し御説明させていただきましたけど,資料5別添4のところでございます。薬学教育協議会の中でしっかりこの辺りについて,再度検討していこうということで対応を今,考えているところでございます。報告があった場合に,対応についてもきちんと報告を求めることをもう一度周知をしっかりしていこうとかいったことを今考えておりますので,また,協議会の場でもこの辺りの詳細について関係団体,大学関係者の先生方とも意見交換,情報交換させていただきたいと思っております。
以上です。
【堀岡企画官】  よろしくお願いいたします。奥田先生,御発言をお願いいたします。
【奥田副会長】  ありがとうございます。今の議題ではなく,もう一つ前の議題である薬剤師の偏在対策に関する意見です。石井先生に書いていただいた内容について,地域医療介護総合確保基金が使えるようになって大変ありがたいことです。しかし,医療体制の確保は都道府県で考えることになっており,今回の設置基準の改正によって,薬系大学がない県ではよほどの理由がなければ薬科大学の新設は認められないことになりました。そうすると,薬科大学がない県で薬剤師不足の実態を把握した際に,現実には近隣の薬学部に対して地域枠を設けたり,推薦枠の活用を働きかけることも選択肢になると思います。しかし,県内に薬科大学がない場合は県外の薬科大学と交渉する必要が生じ,県境を跨いだ相手と交渉することになるためハードルが高いのではないかと,私はこの辺りの議論はよく知りませんけれども,そのように認識しております。
なので,都道府県境をまたいで,そういった薬剤師不足の解消がちゃんと図れるような情報共有の促進とか,地域枠の設定に関しての配慮だとかいうことを御考慮いただけないでしょうかといったことを補足としてお願いしたいと思います。
以上です。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。いかがでしょうか。病院との偏在問題はなかなか難しいところもあると思いますけれども,先ほど,最初に少し説明した資料の中でも一部ありましたけれども,また振って申し訳ありませんけれども,厚生労働省さん,何かコメントありますでしょうか。
【川上薬剤業務指導官】  厚生労働省でございます。ありがとうございます。
今年度の事業で偏在指標の検討はまさに今,検討してございますので,現在の状況,そして,将来どうなるかという観点も重要かと思います。確保基金,出向等,短期的な施策に加えて,奥田先生がおっしゃるような地域枠の設定であったりとか,薬学部の新設とかいったところは長期的な施策と考えられると思いますけれども,そういった長期目線も考慮して施策をしっかり考えていきたいと考えております。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。
それでは,時間も大分迫ってまいりましたので,最後の議事に移りたいと思います。議事(3)その他でございます。今までのことも全て含めて何かございましたら,追加の御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
【田尻副会長】  日薬,田尻ですけど,1つよろしいでしょうか。
【堀岡企画官】  はい。よろしくお願いします。
【田尻副会長】  先ほど薬学教育の第三者評価ですけれども,それについては非常に労力をそれぞれ先生方は使って,それを基に何年かに一度評価をするでしょうけれども,この評価自体が大学に対しての拘束力なりがないと,それぞれ多くの時間を費やして評価に当たられておる先生方が出した結果に対して,大学がそれにレスポンスしないようなことがあっては非常に意味がないと思うのですけど,何らかの方策というのは考えられないものでしょうか。
【堀岡企画官】  今,先生が申し上げたのは,第三者評価を政策的に何か組み込めないのかという意味でしょうか。
【田尻副会長】  評価機構が出した評価の結果に関して公表するということにはなっているんですけれども,それに対して当該大学がきちっとそれに対して真正面から取り組んでいないようなケースも見られるようなところがある。そのようなところをどうにかやりようがないかと思いがあるものですから,発言させていただきました。
【堀岡企画官】  文科省からも後ほど発言させていただきますけれども,いかがでしょうか。竹本先生は前に御発言いただきましたので,例えば私立薬科大協会の井上先生など,何か御発言いただければ。恐縮です。
【井上会長】  井上です。私はかつて評価機構でもっていろいろと悩んだことがありますので,本当に評価というのは労力も要るし,現役の先生方がやっていただくのは本当に申し訳ないというほどのエネルギーを割いてやっていただいているんです。その結果をどういう形で示すかというのは本当のところすごく難しくて,うっかりすると国家試験の成績と同じようにランキングづけとかいうような形で,非常に簡単に,安直にそういうふうに利用される危険性もあるということで,今の評価機構が出している資料というのはかなり読みにくいといえば読みにくい。割かし簡単に評価の内容を判断することも不可能ではないですけれども,ちょっと見た感じではなかなか難しいようになってしまっているんです。なので,その辺をどうするかという問題。
結局,今,その評価の結果を文科省が非常に真剣に取り上げて,問題のある大学に何らかのコメントなりすることは,多分,文科省はすぐには考えておられないのではないかと思いますけれども,踏み込むとしたらその辺をもうちょっと考えなければいけないかと思っております。
以上です。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。文科省からも非常に難しい問題の御指摘だと思っておりますけれども,まずは第三者機構と協力して分かりやすくすると。今回,我々もかなりいろいろな客観的な評価,もちろん本来であれば別に国家試験合格率が質を図っているわけではないですけれども,一つの参考にはなる情報でございますので,そういうのを今まで以上に,これはYouTubeで聞いてくださっている方もいるので,文科省のホームページは今までにないぐらい非常に分かりやすく公表しておりまして,マスコミの方々にも報道していただいたりということもございます。第三者評価機構もそれを分かりやすく公表していただくことを連携して進めておりますので,まずはそういった学生に分かりやすくそういうのを示していくことが,今,御指摘いただいた点へのお答えですけれども,以上になります。何か追加で御発言があればいただければと思います。
【井上会長】  すいません,結局,国家試験の成績というのはすぐに新聞とかジャーナリズムとかいろいろなところでそれなりに取り上げるんですよね。だけど,評価の結果というのは必ずしも大々的な取り上げ方はされていないと思うんです。だから,その辺も含めてなかなか難しい問題とは思いますけれども,その辺をどう考えるかということが悩みの種ですけれども,ぜひ考えていかなければいけないと思いました。
【堀岡企画官】  西島先生,恐縮ですけれども,コメントをいただければと思います。
【西島理事長】  西島ですが,今の御指摘は本当に大事なところで,今の点についてですけれども,評価が行われた後,大学のほうでその評価についてきちんと対応してもらえていない大学があるのではないかということですが,それは確かにそういうことがあるかと思うんですが,その対策の根本的なところは,評価機構が行う中での大学の内部質保証をどういうふうにしていただくかがとても大事だということです。これは評価委員長の平田先生なんかがもう非常に口酸っぱくおっしゃっていることでありまして,内部質保証ということがどういうことかということをまず大学の先生方に理解してもらうことがとても大事だということがあります。
そういうことの取組につきましては,昨年12月に評価機構が内部質保証に関するシンポジウムを行いました。このときには対象者は大学のトップ,理事長でありますとか,学長でありますとか,学部長,そういった先生方に,まず,大学の内部質保証というものはどういうことかということ,その重要性についてシンポジウムを行いました。
そういうことで,まず,大学のトップの方に御理解をしていただいたということを行ったんですけれども,それに引き続きまして,今年の4月15日には,今度は大学で実際に教育に携わる人に大学の内部質保証,特に先ほど来出ております3つのポリシーに基づいた教育をしっかり行うことがとても大事だということを大学の教育現場で働いている方たちに対してワークショップを行うという取組を考えております。
そういうことを通して評価機構の評価の在り方と我々が果たしている仕事をよく理解していただいて,きちんと大学の運営に当たっていただきたいということを推し進める方向で,今,評価機構としては取り組んでいるところでございます。
以上です。
【田尻副会長】  日薬,田尻です。時間がないところ時間を割いていただき,ありがとうございました。願わくば,評価機構の評価を基に受験生がその大学を選べるようなことになれば最良だと思いますので,それに向けて評価の内容にしても第1サイクル,それから第2サイクルと内容がかなり変わってきたのを見ていておりますので,そういう使い方ができるような方策も1つ考えていただければと思います。
すいません,お時間ありがとうございました。
【西島理事長】  今の点ですけれども,先ほど来出ております評価の内容を分かりやすくするということが,今,先生のおっしゃったことに対する一つの重要な対象かと思っております。
以上です。
【堀岡企画官】  御発言ありがとうございました。文部科学省としても第三者機構と本当に密接に連携していますので,できる限り大学にきちんと実効的な対応をしてもらうように我々も一緒にやっていきたいと思っております。
それでは,最後にその他,何かございますでしょうか。ありがとうございます。
すいません,ぎりぎりに,最後のほうは急いで議事を回してしまって大変恐縮でございましたけれども,本日の議事は以上となります。予定時刻となりましたので,本日はこれで閉会とさせていただきます。
皆様,お忙しい中,お時間いただき,議論に参加いただき,本当にありがとうございました。

―― 了 ――

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