令和7年2月27日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省(東京都千代田区霞が関3-2-2) ※対面・Web会議の併用(傍聴はWeb上のみ)
第24回新薬剤師養成問題懇談会
令和7年2月27日
【堀岡企画官】 それでは,定刻となりましたので,会議を始めさせていただきたいと思います。
本日は,お忙しいところを本懇談会に御出席いただき,ありがとうございます。ただいまから,第24回新薬剤師養成問題懇談会を開催いたします。
本日,進行を務めさせていただきます,文科省高等教育局医学教育課の堀岡でございます。
初めに,連絡事項を申し上げます。本日の会議は,ハイブリッド形式で開催いたします。本懇談会については,事前の申合せのとおり,傍聴者にYouTubeでのライブ配信を行っております。
Zoomにて参加される構成員の方々にお知らせいたします。御発言される際にはZoomの挙手ボタンを押していただきますよう,お願い申し上げます。その後,事務局から御指名させていただきますので,マイクがミュートになっていないことを誤確認の上,御発言をお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますよう,お願いいたします。音声の調整等が悪い場合は,チャットなどにより,メッセージをお送りください。その他,動作不良などございましたら,事前にお伝えしている事務局の電話番号に御連絡ください。
本日御参加いただいております委員の皆様については,資料の中の参考資料1,出席者名簿にございますので,御確認をお願いいたします。なお,お一人お一人の御紹介は時間の関係上省略させていただきますので,どうぞ御了承いただければと存じます。
それでは,配付資料の確認をさせていただきます。議事次第にございますとおり,資料1から4,参考資料1から2となっております。何か不明な点等ございましたら,事務局に御連絡ください。
よろしいでしょうか。
それでは,議事に入ります。
まず,議事(1)薬学教育及び薬剤師に関する状況について,文科省及び厚労省より資料1に基づいて説明した後,各団体より,これらの内容について御意見いただきたいと思います。
それでは,まず,文科省医学教育課,俵課長,説明をよろしくお願いします。
【俵課長】 よろしくお願いします。今日は,お集まりをいただき,ありがとうございます。また,YouTubeで参加いただいている方も,よろしくお願いします。
最初に文部科学省のほうから,文部科学省として,あるいは政府として,薬学教育における課題,こんなことが課題かなと思っていることについて,紹介をしたいと思います。今回,この後に協議事項が先生方からの提案であると思いますけども,おおむねかぶっているというか,提案いただいた内容と重なっているところが多いかなというふうに思っていますが,最初にまとめ的なことをお話しして,その後に背景となるデータを併せて紹介するような形でお話をしたいというふうに思います。
最初は,2ページ目ですかね。三つ,薬学教育の質保証,薬剤師の地域・業態の偏在,創薬研究というところが課題としてあるかなというふうに思っています。最初の,志願倍率,入学志願者数の減少傾向と,国家試験の合格率にばらつきがあるかなというところが,課題の一つ目かなあと思います。議題の二つ目としての偏在に関しては,これからの需給を見ると供給が多くなるということもあって,薬学部を新たにつくること,あるいは定員を増やすことについては抑制するという方針を取ることになりましたけども,薬剤師がまだ不足している地域,あるいは病院の薬剤師の方が足りない地域,こういったことがあるので,そこへの対応が大事になるんじゃないか。課題の三つ目としては,創薬研究ということで,これは薬学だけの問題ではないとは思いますけども,創薬分野の論文数の低下,これは国際的シェアを比べるとということにはなりますが,低下しているということがあるので,薬学教育においても創薬研究につながる取組,これが課題かなというふうに思っています。
対応として,その下に赤字で書いていますけども,薬学部の定員に関しては抑制措置を取りながら,一部にはなりますけども,予算も活用いただいて,各大学の方々には偏在を解消する取組を進めてもらっています。また,実務実習の強化ということも課題かなというふうに思っていまして,これ,次のこともそうですけど,今,国会で審議されている内容にはなりますが,小さな予算にはなりますけども,僕らとしては非常に大事だと思っている,調査研究に取り組みたいなというふうに思っています。一番最後に書いてありますけど,これも少ない予算ではありますが,創薬に貢献できる人材の養成ということで,調査研究の取組を行いたいというふうに思っています。
次からは,ちょっとデータを示しながら,共有できればと思います。これ,皆さんのほうがもしかしたら詳しいかなと思いますけども,改めての共有ということで,4ページ目,右の下の箱になりますが,平成18年度から,定員は,6年制については大体1万1,000人から2,000人ぐらい,4年制については1,500人ぐらいということで,今,構成されているというふうに思います。大学院に関しては,6年制卒業者を主に対象にした,293人の定員。4年制のほうについては,修士が1,000人ぐらい,博士については300人という形で取り組まれていただいていると思います。
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近年の動きということで,上段は定員抑制に関すること,下段はモデル・コア・カリキュラムに関することについて,整理をしてみました。定員抑制については,令和5年度から抑制の方針を明確にし,7年度から適用になると。それに向けて,大学の皆さんのほうでは,6年度に国際医療福祉大学成田薬学部と順天堂大学が新たな薬学部の創設をしたところです。逆に募集停止ということで考えられているところもありまして,これは,これから学生さんの教育について大学としてどう考えていくかということも併せての課題かなというふうに思っています。
モデル・コア・カリキュラムに関しては,令和4年度に改訂をして,ガイドライン自体は2023年度(令和5年度)に作っていただきました。2024年度(令和6年度)から新しいカリキュラムが適用されて,実際の実習に関して言うと令和9年度からになりますので,ガイドラインを踏まえた形での実習については令和9年度からということ。先ほど触れた実務実習に関しては,この令和9年度に向けての検討課題というふうに思っています。
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これは,薬学部の数と定員についての推移を示したものになっています。
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これは入学定員の充足率について書いていますけども,入学定員の充足率80%以下の大学,一番右端の赤枠で囲んでいますが,約3割がそういった状況になっているということだと思います。
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これは国家試験の合格率について示したデータになっていますけども,左側が標準修業年限内での合格率,右側が退学の割合ということで,それぞれ,国家試験の合格率については,一部の大学では6年間で終える方々は少なく,退学の割合も高い傾向にあると思いますので,そういう意味で,質保証,今回の提案にもいただいていますけども,質をどういうふうに保証していくかというのは大事なことなのかなというふうに思います。
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ここからは定員抑制に関しての話になります。11ページを見ていただいていいでしょうか。2の制度化の概要のところに書いていますけども,先ほど紹介したように,基本的には,学部・学科の設置,あるいは定員を増やすということに関しては抑制方針を取るということで,制度として改正をしています。ただ,薬剤師さんが足りないところがまだありますので,そこについては例外ということで,12の都道府県については例外ということで進んでいるというふうに思います。
14ページに飛んでいただいていいでしょうか。先ほどからの抑制ということで,全体としては基本的には供給が増えるということだと思いますけども,これは2036年時点での需給の状況です。一番左が病院薬剤師,真ん中が薬局の薬剤師さん,一番右が地域別ということで,ちょっと細かいですけど,一番左の病院の薬剤師さんの偏在指標を見ていただくと,1以下のところがほぼ全ての都道府県というのが,病院薬剤師の将来の見込みかなと思います。薬局の薬剤師さんは,これで見るとほぼ1を超えているので,需要と供給は満たせているかと読み取れます。こういったことがこれからの課題の一つでもあるかなというふうに思います。
16ページを見ていただいていいでしょうか。これは,各大学のほうで地域枠をつくりながら偏在対策を取っているところを分かっている限りで整理したものです。富山大学,長崎大学,明治薬科大学,神戸薬科大学の方々に,こういった形で地域枠をつくりながら,地域への定着ということの取組を進めていただいています。
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次は,創薬の人材に関して,研究に関して,ちょっとだけ紹介したいというふうに思います。6年制,4年制,それぞれさっきありましたけども,大学院の進学率を見ていただくと,まず,上の段のほう見ていただいて,4年制の博士課程に入る方々は,これは平成25年に入学した方々のデータになりますが,2%の177人という状況です。4年制のほう見ていただくと,これは平成26年に入った方々のデータになっているようですけども,修士に関して言うと75%の約1,000人,さらに,博士課程になると,そこから21%の約200人と,そんな状況になっているかと思います。赤字のところを見ていただくと,これは,教育・研究職であったり,あるいは製薬会社に就職されている方がどれぐらいいるかというのを整理しているものになります。
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修士課程の人数,これは6年制ができたので当然ではありますけども,2,600人ぐらいだったものが,今は1,000人弱になっているという状況があります。
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博士課程を見ていただくと,青い折れ線グラフが旧4年制をベースにした博士課程の入学者で,大体,300人から350人で推移していたんだと思います。右側の薄いオレンジは4年制と6年制を合わせた博士課程の人数になりますが,大体300人ぐらいで,若干減っていますけども,ある程度は維持されているのかなあと,そんなデータになっています。
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これは,創薬力の変化について,薬学部の先生方にアンケート調査をしたものになっています。創薬力,過去と比べてどうか。一番上の表に書いていますけども,86%の方々は,低下しているんじゃないかと,そんな意見がありました。その下に「低下」と考える理由について聞いたものを整理しています。黒字のところちょっと見ていただくと,まずは,6年制課程が導入されたことが一つ。薬剤師さんの養成に関して言うと6年制のことがよかったということはありますけど,研究という観点で見ると,これが少しマイナスになったんじゃないかと,そんな意見がありました。それと,大学院進学者の減少,バイオ医薬品への参入の遅れ,基礎的な思考力の低下,資金・設備の整備の遅れ,それから,製薬企業の方々は開発リスクを取らなくなってきていると,そんな意見もありました。
22ページを見ていただいていいでしょうか。これは,創薬力の変化ということで,国際シェアの順位を,1995年,2005年,2015年で比較したものになっています。日本の科学力全体が低下している中ではありますけども,創薬力に関してもこういった状況になっているかなというふうに思います。
こういった状況もありますので,少し小さな予算でありますけど,調査研究ということで,26ページを見ていただいていいでしょうか。これは,今,国会で審議していただいているものになりますので,審議の状況によることにはなりますが,事業内容のところを見ていただくと,2番目の丸のところは,博士課程のプログラムについて,学部のプログラム,大学院のプログラムとうまく連動した形で,試行的なプログラムの構築に取り組んでいただきたいと考えていることが一つです。あとは,学部生に広く薄く,どういった形で創薬の教育に取り組んだらいいか。既にモデル・コア・カリキュラムに薬学研究は入っていますので,どれぐらいプラスアルファ,あるいは,より工夫した取組が必要かということについても,分析をしていただきたいなというふうに思っています。国会審議が通れば3年間取り組んでいただきたいということで,国会審議が通るという前提ではありますけども,1週間,2週間ぐらい前から,公募を開始させていただいています。
最後に,31ページを見ていただいていいでしょうか。ここからは質保証に関することになりますが,認証評価について,文部科学省での議論について再度紹介したいというふうに思います。
次のページを見ていただいていいでしょうか。今,認証評価ということで,大学ごとに認証評価を受けて,適合・不適合という観点で評価をしていただいているというふうに思います。右の緑のところに,主な改善事項ということで,「~R2.4施行~」とありますけども,そこに,「認証評価機関に「適合しているか否か」の認定を義務化」ということで,これがベースになっているというふうに思います。
次のページを見ていただいていいでしょうか。これは中央教育審議会での議論の内容を抜粋したものになりますけども,赤い字のところをちょっと読むと,「認証評価制度については,評価疲れという声もある中で,「評価のための評価」から脱却し,評価の在り方や内容,活用方法等を含め,質確保と負担軽減のバランスを踏まえた制度の抜本的見直しが必要」という指摘があります。「新たな評価制度は,単に評価基準に対する適合・不適合を判定するのではなく,在学中にどれくらい力を伸ばすことができたのかといった大学等の教育の質を数段階で示すなど,多様で高度な研究活動にも裏打ちされた高等教育による付加価値を明確化する仕組みとすべき」という指摘があります。
その下に,具体的方策ということで書かれています。こういった形でどれぐらい力を伸ばすことができたのか,これはなかなか難しい評価にはなると思いますけども,こういった観点での評価がどういった形できるのか,これから具体的な検討をしていくということになると思いますので,先生方からも御意見をいただけるとありがたいかなというふうに思います。
ちょっと駆け足になりましたが,僕からは以上になります。よろしくお願いします。
【堀岡企画官】 ありがとうございました。
続いて,厚生労働省から,御説明,よろしくお願いいたします。
【大原企画官】 厚生労働省の大原です。よろしくお願いいたします。
厚生労働省からは,41ページ目に目次をつけておりますが,こちらにありますように,薬剤師の業務・資質向上,薬剤師の養成等,その他を含めまして,最近の動きにつきまして,情報を共有させていただければと思っております。
43ページ目を御覧ください。まず最初に,薬剤師の臨床研修についてでございます。薬剤師の臨床研修につきましては,令和3年6月に薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会の中で取りまとめが行われております。こちらの赤字で書いてある部分を御覧いただければと思うんですが,卒後研修というところにつきまして,「薬剤師の養成における資質向上策として,実習・研修の質の確保を前提とした上で,卒前・卒後で一貫した検討が必要である」ということ。それから,「研修制度の実現に向けて,卒前の実務実習との関係性を含め,研修プログラムや実施体制等の具体的な方法を今後検討すべきである」といった提言をいただいているところでございます。
44ページ目でございますけれども,こちらは,令和3年度から令和5年度にかけまして,薬剤師の臨床研修のガイドラインについて,検討を行っております。医療機関におきまして免許取得後の薬剤師を対象に卒後臨床研修をモデル事業として実施した上で,令和6年3月に薬剤師の臨床研修ガイドラインのほうを策定しております。中身につきましては次のページにあるんですけれども,44ページ目の一番下にありますように,今後の検討内容等というところで,研修施設,研修プログラムの質保証ですとか,指導体制の確立,指導薬剤師の育成,こういったところの課題がまだ残っておりますので,引き続き検討を予定しているという状況でございます。
45ページ目は,先ほど申し上げたガイドラインの構成でございます。
46ページ目は,先ほど申し上げた今後の検討課題というところを引き続き検討するに当たりまして,令和6年度でございますけれども,厚労省の予算の中で,効果的な実施体制の構築というところで検討を行っております。検討内容としましては,2番のところに書いてありますように,研修施設の受入れ体制の整備に向けた検討等を,様々な観点からの検討を引き続き行っているところでございます。今後とも,こういった点につきまして,関係者と情報を密に連携して,行っていきたいと思っております。
次に,47ページ目以降でございます。47ページ目からは,薬剤師の偏在と確保対策についてでございます。
48ページ目ですけれども,同じく令和3年度の検討会の取りまとめにおきまして,偏在・確保につきましては,上に四角で囲ってありますように,「将来的に薬剤師が過剰になると予想される一方で,薬剤師の従事先には業態の偏在や地域偏在があり,特に病院薬剤師の確保は喫緊の課題」というところと,それから,「偏在を解消するための薬剤師確保の取組が必要であり,医療計画における医療従事者の確保の取組等も含め,地域の実情に応じた効果的な取組を検討すべき」とされております。
49ページ目でございます。皆様,御存じのとおり,第8次の医療計画におきまして,薬剤師の確保のほうは非常に詳細な議論がなされたところでございます。課題としまして,左下にありますように,先ほども申し上げましたが,業態の偏在や地域偏在が存在していて,特に病院薬剤師の確保は喫緊の課題というところが挙げられております。また,右下にありますような,地域医療介護総合確保基金,こういった基金の活用というのはこれまでもできたところでございますが,医療計画に薬剤師の確保が書き込まれたことで,より一層,この基金の活用を期待しているところでございます。
50ページ目でございますけれども,第8次の医療計画に記載がなされて,第8次の医療計画の下で運用がなされ始めているところでございますが,各都道府県においての薬剤師の確保対策の実施状況も,順調に増加しているといった状況でございます。
51ページ目でございます。各県で行います薬剤師の確保のための対応につきまして,厚生労働省の当課のほうでも,予算のほうで補助をしております。こちらにつきましては,偏在指標を基に,薬剤師が不足している地域で,自治体や地域の病院薬剤師会・薬剤師会が医療機関や薬局と連携して,不足している医療機関や薬局に対する支援を行うための体制を整備する,モデル事業というのを実施しております。こちらにつきましては,令和5年度,令和6年度,右下にありますように,こうした地域に補助を行っているところでございます。
次に,52ページ目からは,薬剤師国家試験についてでございます。
53ページ目のところの提言にもございますけれども,国家試験につきましては,「第101回国家試験から導入された合格基準の検証を含め,定期的に合格基準・出題基準の見直し要否の検討を医道審議会で行うべきである。また,薬学教育モデル・コアカリキュラムが改訂された場合には,それに基づき出題基準の対応も検討すべきである」といった提言をいただいているところでございます。
54ページ目でございますけれども,こちらにつきましては,薬剤師国家試験の制度改善に向けた動きのスケジュールを示したものでございます。令和4年度に,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂がなされて,公表されたところでございます。それに伴いまして,令和6年度入学生より,この改訂コアカリが適用されているといった状況でございます。この卒業生が出るまでに薬剤師国家試験の制度というところも検討が必要となっておりまして,令和5年度から令和6年度にかけまして,厚生労働科学研究の中で,「薬剤師国家試験のあり方に関する研究」ということで,モデル・コア・カリキュラムの改訂に伴う分析ですとか,出題基準案の策定といったところを,下調べといいますか,検討いただいているところでございます。今後の動きでございますけれども,医療審議会の薬剤師関係の制度改善の部会のほうで,「薬剤師国家試験のあり方に係る基本方針」ですとか,出題基準のほうを検討する予定としているところでございますので,スケジュール感の共有をさせていただければと思っております。
最後,55ページ目以降は,薬局・薬剤師関係の法改正の動きについてでございます。「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」,いわゆる薬機法でございますけれども,令和元年に大改正が行われて,その附則のところで施行後5年での見直し規定というところがございます。昨年,厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会の中で薬機法改正に係る議論というのが行われたところでございまして,この改正法案は2月12日に国会に提出させていただいているところでございます。中身としましては,薬学教育,薬剤師の関係以外の部分も多いところでございますので,ざっくりとした紹介をさせていただきますと,この改正の概要は4本柱となっております。一つ目は,医薬品等の品質確保及び安全対策の強化ということで,ガバナンス強化も含めた,こういった体制の整備というところになろうかと思います。二つ目は,医療用医薬品の安定供給体制の強化ということで,昨今問題となっております,安定供給への対応といったところの法改正となっております。三つ目は,より活発な創薬が行われる環境の整備というところでございますが,ドラッグラグ・ドラッグロス問題に対応するような形で,制度面での対応というところが入っているものでございます。それから,四つ目のところは,国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等ということでございます。例示に挙げてあるのは販売等が多いところではございますけれども,昨年,薬局・薬剤師の役割機能等につきましても議論をさせていただいたところでございます。この改正の中では,現行では届出制度となっております健康サポート薬局という制度がございますけれども,そちらを,認定制度ということで,健康増進支援薬局という形で位置づけるといった改正も含まれているところでございます。
厚生労働省からの説明は,以上でございます。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
それでは,質疑に移りますが,少し,文科省から追加発言がございます。
【俵課長】 すみません,さっき言い忘れました。最後の認証評価の改善のところですけど,一つは,今までは大学ごとにやっていたものを学部・研究科に応じた評価というふうになっていますので,学部ごとにやったらいいんじゃないかと,そんな意見があります。
もう一つは,薬学もそうですけども,医学であったり,歯学であったり,やっているところについては,既にやっていることも踏まえて対応するということで,別に新しくやらなきゃいけないということではないということもあります。ただ,統一的にある程度,こういった評価の内容にしていこうということは多分検討がされていくと思うので,それに合わせた改善というか,改正というのが必要になってくるかもしれないというのがあります。そのときの評価機関に関しては,ここじゃなきゃいけないということではないので,今ある仕組みを上手に活用しながらやっていくのがいいんじゃないかと,そんな議論になっています。
すみません。ちょっと言い忘れました。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
それでは,質疑に移ります。文部科学省,厚労省の説明について,どちらのものでも構いませんので,御意見,御質問等ございましたら,挙手もしくはZoomの挙手ボタンをよろしくお願いします。
中村会長,お願いいたします。
【中村会長】 御説明,ありがとうございました。全国薬科大学長・薬学部長会議の会長を務めている,中村です。
今,俵課長から追加で御説明あった点で,全国の大学にとって確認したい点は,現在は機関別認証評価と薬学の分野別評価が別のタイミングで行われていますが,追加で御説明いただいた内容ですと,今後は機関別認証評価の中で薬学の評価も一緒に行う,大学にとっては数年に一度で両方の質保証の評価を行う可能性が検討されるという理解でよろしいでしょうか。
【俵課長】 ありがとうございます。そういう方向ですし,僕らとしては,先ほどの評価疲れといった指摘もあるということもありますし,その方向にしていきたいというふうに考えています。
【中村会長】 従来から医・歯・薬では機関別と分野別という二つの評価が,負担や評価疲れという声につながっていましたので,ぜひ一本化の方向で検討を進めていただければと思います。ありがとうございました。
【小比賀大阪大学薬学部長】 大阪大学の小比賀です。今の評価のところについては,私たちも同じように考えており,評価自体は質保証にとって大事な観点かと思いますが,先ほど俵課長も言われましたように,やっぱり,評価疲れ,評価するほうも大変だし,評価される側も今はかなり大変ですので,そこをうまく,今後,新たな制度ではスムーズに行けるようにしていただけるといいかなと思います。
もう1点は,後ほどの創薬研究に関する議論にも多分出てくると思うのですけれども,俵課長から御説明のありました,資料の18ページのところで,薬学が6年制になったことが創薬研究の力をそいだんじゃないかというような指摘があるというところ。確かにそういう側面があると言われていることは間違いないと思うのですけれども,一方で,国公立でいいますと,大阪大学,徳島大学,岐阜薬科大学,ここは全て,今,6年制に切り替えております。平成18年の,6年制と4年制が並立した,6年制ができた当時は,6年制は薬剤師養成,4年制は医薬品の研究だというふうになっていたかと思うのですけれども,その後,各大学で工夫をしながら,私たち大阪大学の例を申し上げますと,6年制で,薬剤師の養成はもちろんやりながら,しっかり研究ができる人材をつくろうということで,カリキュラムの工夫等をやっています。18ページの資料に書かれているように,確かに学部から大学院に上がる率としては少ないのですが,実数としては,こちらは母数が多いですので,6年制学部の人材も,しっかり研究に向かえる人をここから輩出していくということは,創薬力強化にもつながるだろうと。その際に,資料の黄色の吹き出しで書かれている「薬剤師養成」と「研究者等養成」の部分は少し気になります。文部科学省がこういう感じで言われると,大学側も,あるいは学生側も,俺らはそうなのかなと,私たちはこっちなのかなというふうに自分たちでレッテルを貼ってしまいます。各大学のカリキュラムの中でどういう人材を出していくかというところは,6年制,4年制によらず,各大学でもしっかり考えているところだと思います。
今の点はコメントです。
【堀岡企画官】 なるほど。ありがとうございます。
【俵課長】 ありがとうございます。今の点は,文部科学省としても,薬剤師さんの将来を考えると,薬局で働く方,病院で働く方,研究に携わっていく方,このデータで見ても分かるように幅がすごく広くて,研究者養成と考えたときには,4年制の方だけではなくて,6年制の薬剤師の資格を持っている方も含めて考えていくことが大事なのかなあというふうに思っています。国立,公立,私立,全ての大学病院の病院長の先生方との意見交換の中でも,薬剤師さんについては,病院での役割だけではなくて,研究における役割の重要性も指摘をした御意見をいただいていますので,そういう視点で取り組んでいきたいなというふうに思っています。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
ほかに御意見あれば。
西島理事長,お願いします。
【西島理事長】 薬学教育評価機構の理事長の西島でございます。
今回,この6者懇を迎える前に,2月13日に文科省さんから説明を伺ったんですけども,それまで理事長としてこのような動きをほとんど何も察知しておりませんで,これは,我々の勉強不足もあるし,また,文科省さんからの連絡も十分ではなかったかなということで,不満と,自分たちの責任も感じながらおります。
今回,説明を伺った中では,評価についてかなり大きな変更が考えられているということで,私たちも非常に重く受け止めて,かつまた,早急にいろいろ対応しなくてはいけないということで,この1週間ほど,いろいろと関係者と話し合ってきたところです。
今の我々評価機構のスタンスというのは,適・不適,非常に曖昧というふうに文科省様のほうから言われるかも分からないんですけども,そういう立場で,私たちのスタンスは,評価をすることによって,各大学にそのような我々の指示することを受けていただいて,そのために大学の教育をよくするという支援が中心なんです。評価というよりも,私は支援機構だというふうに勝手に思っているんですけれども,そういう観点が随分違うということ。今回は,大学を数値に基づいて評価しなくてはいけないということで,それはそれとして我々も考えなくてはいけないと思っているんですけれども,その点はこれからどういうふうにするかということで,一緒に検討していきたいというふうに思っています。
あと,評価疲れということがありますので,評価機構は,今,2期がほとんど進んでいて,3期に入ろうとしていて,私は個人的には,評価機構の仕事をこの十数年行ってきて,大学の6年制の薬学教育をかなりいい方向で進めてきているというふうに,ある程度は自負しているところもあるんですね。そういう中にあって,今後どうするかということであります。具体的に言うと,もうちょっと評価をはっきりさせるというようなことも言われておりますけれども,その辺も大変議論があるところで,また,学生が入ったときから教育の過程でどれだけ成果が上がったかというのは,さっきの御説明にありましたように,非常に難しいところもあるので,その辺も,我々としてもどうしたらいいか。評価機構のいろんな理事の人の意見も聞いたんですが,なかなか難しいねと,具体的にはそういうことを言われています。
そのほか,まだもろもろあるんですけれども,今日,俵課長が最後におっしゃったこと,今あるシステムを全てガラガラポンで変えるんじゃなくて,我々のところでは,そうではなくて,意見が出されている方向で対応できるところは対応していくというような,もうちょっと柔軟性のある御意見だったので,ちょっと安心したところで,率直な感じです。
取りあえず,そんなところで発言させていただきます。
【俵課長】 ありがとうございます。情報共有が遅れて,本当に申し訳ありませんでした。僕自身もそこはちょっと鈍かったところがあって,反省しています。ただ,ある意味,これからみんなで考えていく内容になりますので,既に御検討いただいているということだと思いますけども,ぜひ,一緒に考えながら,よりいい仕組みになるようにしていきたいというふうに思っています。さっき,評価じゃなくて支援だというふうに言っていただいても,僕も本当にそういうことだと思います。評価って,順位をつけたり,駄目なところをどうするかではなくて,どういうふうによくしていくかということだと思いますので,同じ考え方で取り組みたいと思いますし,多分,審議会の中でも,そういう意味での評価にしていくということだと思いますので,ぜひ同じ考え方でできればなというふうに思いました。
医学関係は他の分野に比べて先を行っているので,むしろ,他の人たちが参考にできるような取組をやっていただいているというふうに僕としては思っているので,そういう意味で言うと,逆に,薬学,医学,そういったところは他から参考にしてもらいつつ,どういうふうにするのがいいのかということにしていくのかなというふうに思います。
さっきおっしゃっていただいた,評価の内容をよりはっきりさせるというのは,33ページの具体的方策の中に「大学等の教育の質を数段階で示した上で公表するなど」と書いてあって,よりいい内容をピックアップして,そこを他がまねたり,あるいは盛り上げていくという視点なんですけど,でも,そうするとどうしても差がつくような形での評価になってしまうかもしれないので,その辺りは,どういうふうなやり方がいいのか,これからの検討で工夫していくところかなというふうに思っています。よろしくお願いします。
【西島理事長】 ちょっと今のことで付け加えますと,評価の中で,私たちのところでも既に,大学のほうでいいところはアピールしてくださいということで,それは明確に大学に求めていて,報告書の中にいい点も強調するようにしておりますので,今の御意見でありますので,その辺をもっと充実させるのがいいかというふうに思います。
【俵課長】 ぜひ,御意見をいろいろいただきながら,僕らも,文部科学省としてどういう仕組みがいいのか,考えていきたいと思いますので,連携を密にしながら進められればというふうに思います。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
渡邊先生,よろしくお願いします。
【渡邊副会長】 薬剤師会の渡邊です。御意見をお伺いして,2点ほどお願いしたい部分があります。1点目は今の評価の部分なのですが,西島先生からもありましたが,現場からの思いもあります。現場の人間も入って,大変な労力をかけて,今,第三者評価が行われています。ただ,現場のほうから,今,各大学がどのような状況にあるのかということを今の評価表で見せていただこうとしても,すごいボリュームがあって,その差がすごく見えにくいのです。例えば,評価の委員会等々に入らせていただいて一緒に協議をさせていただいているときに関しては,横並びの評価の中で,どういう表現でどういうことを指摘していくのかというようなことを横並びで表記を合わせてやっている部分がありますが,現場の者があれを読もうとしたときに,横並びで全部読むわけではないので,1個の,単体の大学の評価を読んだ場合,その比較論というのは,全然見えないというか,大変分かりにくい。今回,評価の体系をこういうふうに分かりやすく変えていただけるのであれば,現場から見ても,分かりやすい評価の結果というか,評価することにより支援された部分での,どこが優れている点であったのかとかということが分かりやすい,評価報告書の建付けにしていただけたらなというふうに思います。
もう1点なのですが,最後に大原企画官からありました,現国会に上がっている薬機法の改正法案において,それに至る制度部会等の中でも,現在,製薬の部分で,製造責任者は薬剤師がしなければならないとなっている部分が,一定の条件下,著しく困難な場合に薬剤師以外の者が担うという案が上がっています。これに関しては,制度部会の中で,もちろんメーカー自体が各大学のほうに,そういうポジションがあること,そういう管理者という職務があるんだということのアプローチをされているんですかという指摘は確かにあったかと思います。ただ,これが大学に実際に行ったとしても,今の大学に,そういう製造管理者とか,総責とか,そういうものに目を向ける教育土壌というのがあるのかなというのも思います。今回,この後の協議のところに創薬研究に関する部分というのが上がっていますけれども,管理者という部分での薬剤師も専門職域ですので,それが減らないように,しっかりその辺りも教育課程の中で見ていただきたいというのが2点目です。よろしくお願いします。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
【西島理事長】 今,評価の結果を分かりやすくということで,薬剤師の専門家の方にとっても難しい,よもや一般の人にはもっともっと分からないということで,もうちょっと分かりやすいような報告をどうしたらいいかということについて議論しているんですが,なかなか難しくて,具体的にはまだ動いてないんですけれども,おっしゃるとおり,これからの課題だというふうに,私は思っています。
以上です。
【俵課長】 僕も,広島大学にいたときに,大学の評価結果をどう公表するか。どうしても詳しく書き過ぎて,外から見るとなかなか分かりにくかったりしたなというのをちょっと思い出したんですけど,ただ,言われるように,今回も,改善という方向に関して,そういう視点ももしかしたらあるかもしれないです。なので,分かりやすく示せるような形というのは大事かなというふうに思います。
あと,さっきの製造管理ですかね。これって,今,GMPとか言われていることも含まれているんですか。
【渡邊副会長】 そうです。企画官もおられますが,薬剤師でなければならないという部分に関して,やむを得ず手配がつかない場合というのは,メーカーから挙げられた要望だったんですね。薬剤師の手配がつかないから,やむを得ない場合において,5年間は薬剤師以外の者がその任を担うことを許してくれないかということなのですが,これは今まで薬剤師でなければならないとあった部分に対して,そういうふうな,薬剤師の手配がつかないなら薬剤師以外の者も当たることができるというのは違うのではないかという話はしていたのですが,手配がつかなければ,その任を誰かが担わなければならないということの中で,大学側としても,そういう薬剤師職能に目が向いているんですかということもあったので,今後は大学の中でも,確かに創薬もそうですし,製造責任,製造管理者という部分に関しても,学生に勧められるだけの土壌があればなというふうに思います。
【俵課長】 僕も個々に製薬企業の方とお話ししたときに,そういう製造管理の部分について,より広い学生たちが学ぶようなことが大事という意見もありました。多分,モデル・コア・カリキュラムの中には入っているので,最低限,少しのことは勉強する,あるいは学ぶことになっていると思うんですけども,そういう視点も,創薬だけじゃなくて,大事な点だというふうには思います。
【楠会長】 私立薬科大学協会の楠ですけれども,お世話になります。
今,製造責任者とか,その辺りが薬剤師であるようにというふうなことは,今回,モデル・コア・カリキュラムで,各大学で,3割は各大学に特徴的なということをやっております。薬剤師でありながら,実際に作られて患者さんに行くまでの中身に関するいろいろな仕事がありますから,そういうものを各大学が特徴を持った形でやろうとしている動きはありますので,創薬って,ものを新しく創るだけではなくて,連携とか,国際的な規則とか,その辺りも踏まえて対応していこうという動きはあるので,その辺りは私立大学のほうでも頑張ろうとしておりますので,よろしく御指導,お願いいたします。
【俵課長】 ありがとうございます。
【堀岡企画官】 ほか,いかがでしょうか。ウェブの先生方も,何かあれば。
よろしくお願いします。
【武田会長】 日本病院薬剤師会の武田でございます。この場でこういうことを言うのはどうかとも思うんですけれども,今,大学の教育の質の評価と支援という話があって,もっともなことだということで,それは私も大賛成でして,新たな基準をつくるとか,要は,学生さんがしっかりと,薬剤師なり,あるいは,薬学を卒業して,将来,そのライセンスを生かしていく,そういう質を担保するための教育を目指していく,それをきちんと評価していくということは極めて大事だというふうに思うんですが,全員の方が思っていらっしゃると思うんですけれども,大学が増えて,学部が増えて,定数が非常に多くなって,それに対して学生さんの数は減っていっている。さらに,現状調査で薬剤師過剰になるということが世間に知られているとなると,大学の先生がよくおっしゃるんですが,高校の先生が薬学部は薬剤師過剰になるから勧めないという話も聞いて,ますます薬学部を受けようと思う学生の数も下がってきているという話もありますし,質も下がってきているという話もある。先ほどの調査の結果,8割に充ちていない,80%以下の充足率の大学が3分の1であるとか,国家試験の合格率がこれだけ低い大学があるとかってなってきている状況の中で,定員抑制はかかっているんですけれども,ただ,我々として,大学が,募集が難しいということで,自主的に募集停止になったり,あるいは定員を減らしていったりするのを待つのか。むしろ,今,創薬モダリティーはどんどん上がっていますし,薬物治療にしても高度化・複雑化している中で,薬剤師がしっかりと管理をして,医師の負担軽減であったり,医療の質の向上に貢献していこうとしなければいけないとなると,質はもっともっと高くしていかなきゃいけないと思うんですが,臨床の現場でももちろん頑張って指導し,卒後臨床研修の話もあるんですけれども,そもそも,薬剤師を目指す学生の質というのを,入り口の段階で,アドミッション・ポリシーの段階でしっかり考えていかないと,本当にずるずるとこのまま,偏差値が低い大学さんがどんどん増えていってということになりかねないんじゃないか,薬剤師の職能は一体何なのかという話にならないかと,本当に私は現場で危機感を持っているんですが,そういうのを,大学,あるいは,文科省さん,厚労省さん,そして我々臨床現場の団体が一つになって真剣に考える機会というか,それをもっともっと進めていかないといけないんじゃないか。医学部は一枚岩になってやっているというのは,我々として,今感じるところはあるんですね。薬剤師,薬学は,なかなかそれができてないんじゃないか。ましてや,6年制,4プラス2年制というふうに分かれてしまったというのもあるんですけれども,そういう教育の質の中に学生の質というのをしっかり入れていっていただきたいなあというふうに思うところです。その辺,どうお考えになっていらっしゃるか,お伺いさせていただければと思います。
【俵課長】 ありがとうございます。根本的な,多分,皆さん同じようなことを課題として思っていることを言っていただいたのかなというふうに思いました。どういうふうに学生さんの質を高め,また,いかに薬学部の魅力を高めて,いい学生さんに入ってきてもらうか。両方の側面があると思います。これは,学生さんにとって,あるいは保護者の方も含めてかもしれませんが,薬剤師になるという,仕事の魅力というのは,それはまだ,僕が思うところは,高いかなというふうに思います。その中でこれだけの薬学部がつくられて,ただ,その中に結構格差があったりするという現状もあるので,それを踏まえながら,具体的にどういったことを考えられるか。確かに,一緒に議論する場があまりないというのは,一つあるかなというふうに思います。この辺り,大学の先生方はどういうふうに思いますか。
【増野理事長】 薬学共用試験センターの増野です。今,学生の質というお話が出たんですけれども,どちらかというとCBTの結果から見たお話をさせていただくんですが,まず第一に,共用試験を受ける学生が減っています。薬学部が増えていって,定員はほぼ横ばいということですけれども,共用試験は,2017年度前後が一番多くて,1万1,000人を超えたぐらいだったんですね。それ以降,順次,共用試験を受けている学生が減っています。今年は9,700ちょいです。だから,10%以上,入学定員は変わらないのに共用試験まで来る学生は減っているということがあります。
もう一つはCBTの点数なんですけれども,CBTというのは,過去に使った問題はそのときの平均点,新作問題は体験受験のときの平均点から本試験の平均点を予想して,そういった点数がついていて,みんなに同じレベルの問題が出るように作られています。これは年度ごとでも同じになるように,一応しています。にもかかわらず,CBTの平均点は徐々に下がっているというのが現状になるんですが,ただ,今年度は,昨年度のところと同じで,下げ止まりなのかもしれないんですけれども,CBTの平均点が下がる原因は,全体的にシフトするというよりは,基準点60よりもかなり低い,ここら辺の学生が増えているんですね。ここ数年はそういう傾向ですから,そういう学生は当然,共用試験は通らないわけですね。ですから,共用試験を通った学生については,ここのところはそんな大きな変化はないのかなと。確かに,入った段階での学生のレベルというのは下がっているのかなというのは,先ほど言ったように共用試験まで来ないですから,そう思いますけれども,そこら辺である程度ふるいにかかっているのかなというのは,センターとしては思っています。ただ,その先も2年間あって,そこでの教育というのは大事なので,そこら辺までは,共用試験では分からない点。これが一応,共用試験の現状ということになります。
【俵課長】 ありがとうございます。
【堀岡企画官】 それでは,時間も大分あれですので,一旦,厚労省,文科省の資料については,議論,質問等を終わらせいただきたいと思います。
続いて,議事(2)の協議・報告事項に移ります。資料2を御覧ください。事前に各団体から御提案いただいた事項について,議論をしていただこうというふうに思っております。1点目,日本薬剤師会から薬学教育の制度(質保証)について,2点目,日本病院薬剤師協会から創薬研究について,3点目,薬学教育協議会から報告事項として,薬学実務実習についての3点であります。それぞれ,各団体から趣旨を御説明いただいた後に議論する形で進めてまいりたいと思います。
まず,一つ目,今,評価について議論が大分進みましたけれども,日本薬剤師会様から,提案趣旨の御説明について,お願いいたします。
【渡邊副会長】 ありがとうございます。これに関しましては,先ほど来,評価の話が随分出ましたので,今後ぜひ,6年制になって20年を迎えようという部分の中で,先ほどのスライド32にもありましたように,機関別評価が7年ごと,分野別も5年ごとという表記もありましたけれども,現在のサイクルとも違う部分でもありますし,評価自体の在り方,制度的な建付けという部分をしっかりと確立していっていただきたいというのが,この内容です。先ほどの共用試験の部分もしっかり,実施していただきたい。これからどんどん大学が増えていくことはないと思いますけれども,学部の中でしっかり,制度上,OSCE,CBTを受けて,臨床現場での実習がしっかりなされて,実習に出てくる子どもたちの大学の評価自体も正確になされてということが制度づけされることをお願いしたいという部分の中で,これを書かせていただきました。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。大分,議論は行われましたけれども,何か追加で議論することあれば,御発言いただければと思います。
お願いします。
【岩月会長】 日本薬剤師会の会長を昨年の6月30日から仰せつかっております,岩月と申します。今日,初めての会議でありますので,事前に協議をされている内容を重ねてお話しすることになるかもしれませんけれども,ご容赦ください。
今,本会の渡邊副会長から申し上げたことと,もう1点は,今の病院薬剤師の偏在ですとか,製造業における薬剤師の不足ということを考えると,専門的な高度な教育を社会に提供するという意味では,今の大学教育は,学内の評価,大学の評価に偏っていて,社会からどう見られているのかという観点が少しないような気もしています。私どもは薬剤師会でありまして,決して開局だけの薬剤師の集まりではありませんけれども,社会がどういう人材を要求しているのか,そこにどう応えたのかという評価も当然あってしかるべきだと思いますので,そういう意味では,今,不足している分野があるということは,大変失礼な言い方を許していただければ,大学教育の中で偏りがあるのではないかということは,私どもも含めて,学生がどこにディストリビューションされるかということや,社会の,世の中の要望といいますか,動向を,下世話な言葉で大変失礼ですが,マーケットリサーチをして,どこにこういう資格を持った,あるいは専門教育を受けた人間が要求されているのかということをもう少しみんなで考えないとこの偏在対策がなかなか収まらないということであります。先ほどの話にありました,製造業における総括責任者というのが薬剤師でなくてもいいなんていう状況は,私も40年以上前に大学を出ましたけども,そんなことは思いもつかない事態でありますので,早急に解決をするためにこういったところできちっと議論をして,そういったところに就職したいという学生さんが1人でも増えるようにしていくということは,喫緊の課題だろうと思っています。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
ほかに何か,今の話でございますでしょうか。
【俵課長】 先生方,ありますか。
【堀岡企画官】 小比賀先生。振ってしまって申し訳ないですけど,何かコメントをいただければ。
【小比賀大阪大学薬学部長】 今の点,国公立大学としても非常に大事な点かと受け止めております。それから,製造責任者のところは,創薬の途中のプロセスとしてもCMCの部分というのは非常に大事ですので,これは大学教育の中でももちろん行っているところではありますが,一方で,まだまだ十分足りていないという面もあるかと思いますので,その辺はしっかり今後も続けていきたいと思います。社会からどういうニーズがあるのかというところに関しても,国公立大学として,今いただいた御意見はしっかり受け止めたいなと思います。ありがとうございます。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
文科省からもコメントを少しさせていただくとすると,先ほどちょっと御説明した薬学教育における創薬研究人材の養成のための調査研究というものも,社会に求められているもの,ニーズを踏まえた大学院とか,そういったものの養成プログラムをつくるということに資するのかなというふうに思っています。文科省も努力してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
それでは,一つ目は大分議論しましたので,二つ目に行ってもよろしいでしょうか。
二つ目,日本病院薬剤師会様から,創薬研究についての提案の趣旨の御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。
【石井理事】 これも大分,議論が進みました。日病薬の石井でございます。
実際は,令和4年にコアカリが改訂されました。そこは臨床中心ということで,先ほどのスライドの表記も,6年制は薬剤師養成コースみたいな表記になってしまっています。実際に,今,創薬力の低下ということで,令和6年7月に公表された「「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」中間とりまとめを踏まえた政策目標と工程表」において,創薬人材をつくっていきましょうと。これは薬学全体に向けられた課題だというふうには思っています。そこで,次期コアカリは令和8年から検討予定であるというふうに聞きましたので,その次期コアカリにこういったことを入れていくのかどうかと思いまして,ちょっと入れさせていただきました。
また,先ほど文科省の資料のときに小比賀先生がおっしゃっていたように,6年制の中からも,実は,臨床を経験したものが創薬に結びつく,経験が結びつくということがありますので,縦割りでも行けず,いろんな経験をさせた人が創薬につながるんじゃないかなというふうに私個人としては思っていますので,このようなことを提案させていただきました。
以上でございます。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
少し総括的な提案等をいただいたところだと思いますけど,趣旨も踏まえまして,ぜひ,皆様,ぜひコメントをいただければと思います。いかがでしょうか。
木原先生,コメントをお願いします。
【木原北海道大学薬学部長】 北大の木原です。小比賀先生の発言と重複しますけれども,国立大学としては,まさに薬剤師教育と創薬の両立というのが非常に大事だと思っていて,6年制に移行した後も創薬につながる研究,主には卒業研究が大事だと思っており,多様な人材を養成するということを主眼に置いています。研究を通じた,考える力,問題解決力,発想力というものは薬剤師になっても重要であると思っていますし,実際,国公立大学からは,6年制に移行した当初は製薬会社の研究職であまり採ってもらえませんでしたけれども,最近は4プラス2の学生と同様に採ってもらっており,研究に進む学生が増えてきました。ただし,6年制の学生にまとまった研究をさせるというのは,時間的には本当にぎりぎりです。なので,例えば北大を例にあげると,卒論発表は12月の頭にあって,そこから国試の勉強がスタートですので,国試の勉強が3か月ないような状態です。また,時間を確保するために,3年の後期から研究室に配属させています。これまで6年制は薬剤師教育ということの議論が中心できていました。22週の実務実習に追加で8週の実務実習を努めるという話は選択制ということになったので,それはよいのですが,将来,これが必須ということになってくると,卒業研究というのは本当に形だけになってしまって,多様な人材の育成というのが難しくなってきます。そういうことにならないようにということで,いろいろな会議で意見を申し上げているところです。今,まさに創薬という言葉が出てきたのは非常に喜ばしいことで,ぜひ6年制でも,研究は大事というか,そういう制度とか,考えを残していってもらいたいと思っています。
以上です。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
先生,よろしいですか。
【長津常務理事】 日本薬剤師会の長津です。去年のこの会議でもこういった話が結構出ていたかなと記憶していて,そのときも申し上げたんですけども,今日の御案内の中でも,おやっと思うのは,大学の教員の研究する時間が減ったというのが書いてございますが,これはすごく大きな問題だと思うのです。私が大学4年生のときについた教員が非常に研究熱心な方で,熱意を持ってそれを我々学生に教えてくれていたので,感銘を受けて私は進学しました。そういった,学問が面白いから大学院に進学したのが昔の我々の時代でしたが,そもそも,今,教員の研究時間が足りないという中であるとすると,そういった熱意を持って学生に基礎科学を教える方が少なくなるというか,そういう時間が少なくなっているとすると,創薬力の強化を今議論しているだけでいいのか。1年生から4年生までの間の問題もかなり出てくるのではないか。あとは,教員の研究力そのものが低下するのであれば,日本の創薬力の向上なんていうのは全く実現し得ないのかなと思っています。創薬とはサイエンスですので,サイエンスが低下したところで創薬力の向上なんてあり得ないと思いますので,そもそも,大学の教員の働き方にも少し検討の余地があるのではないかなとは思っています。ちょっと乱暴な話でしたら聞き流していただきたいのですが,雑感としてはそういう印象があります。
以上です。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
先生,よろしくお願いします。
【鈴木業務執行理事】 薬学教育協議会の鈴木でございます。先ほど来,創薬の話が基礎研究に寄っておりますけれども,石井先生からもお話がありましたように,改訂コア・カリキュラムでは,基本的に研究能力は非常に重視しております。実際に研究能力というのをどこで身につけるかということは,もちろん,先ほど言われましたとおり,基礎研究,ラボで行うウエットの研究ですとか,いろんなものがあると思うんですけども,既に先ほど来出ておりますように,今,薬剤師,日本に求められている研究そのものが,創薬,もちろん製造,それから,新しい薬だけではなく,公衆衛生も含めて,すごく幅広く,治験も含めて幅広くなっていると思うんです。そういうものに対応できるということは,当然,臨床の知識がなければ駄目ですし,臨床の中でも研究能力というのはきちっと確保できると思うんですね。そのために,後で御説明いたしますけども,追加の実習というところでも研究というところに焦点を当てております。薬学の研究そのものも新しくなっているし,教えなければいけない研究も新しくなっているということは,ぜひ御理解いただきたいと思います。
以上です。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
【楠会長】 私学ですけれども,これまで,薬剤師になるために,臨床は非常に力を入れてきたわけですね。それで,創薬の研究するところでどういうふうに変わったかというと,同じものをつくるについても,患者のイメージとか,お医者さんのイメージとか,それから,実際にその薬が流れている経過とか,ほかに併用するものとか,そういうことをすごく学ぶ機会を,多少なりとも,企業に行った人とか,そういう人はいますから,そういう人たちにとって,臨床の薬剤師という勉強が先にはすごく生きていると思うんです。ただ,実際の在学期間の研究時間は物すごくコンパクトになっていて,先生たちも苦労していますし,学生たちも苦労していますけど,でも,患者さんの前に行くと涙を流す,すごく心情が移りやすい,そういう人はバックサイドで薬を作るほうが自分たちにいいんだって思って,方向転換する学生もいるんですね。だから,それぞれの立場で,同じ臨床をやったときに,本当に臨床をやるために薬剤師になるのかというんじゃなくて,やはり,国民の医療とか,皆さんの生活とか,それを医薬品のサイドからよくするための臨床的な勉強をしている薬剤師というふうに思っておりますので,時間的な工夫がすごく必要です。
一方,社会人大学院というのは,すごく希望者が増えているんですね。実際に学生さんたちとそういう話をするに当たっては,ちゃんとドクターを持って,その部分について話ができるようにとかいうふうなことを現場の薬剤師さんからも聞くので,従来の,要するに,創薬,創薬って言っていた時代と今とでは,私の感覚としては,私学の中で,そういうふうに現場でいろいろ教えていただいたことが生きている学生もいるということで,そこのところを大きくして,薬というのは,患者さんがいて,市民がいて,作る人がいて,それをデザインする人がいて,インターナショナルに発信する人がいて,どのサイトもいるので,それぞれを,臨床で薬がどういうふうに動いていくかということを知って,やらせるための教育にしていかなくちゃいけない。
だから,そのときに,つまり,何年か先に創薬がどういう形での創薬になるのかは分かりませんけれども,今,情報でも,本当にインチキ情報が世の中にすごく回り回っているので,それをきちんと,これは駄目だというのは,最初に創薬的なことをきちんと押さえている人は,基の文献にも情報にもたどれますから,そこでノーって言えると思うんですね。だから,創薬といっても,ちゃんと作るまでその人ができるかどうかはともかく,臨床に強い薬剤師を育てるということ自身を通して,創薬の部分も,現場の部分も,進められるようになるんじゃないか。だから,全部はできませんので,それぞれの学校が非常に力を入れるところと,将来に何が生きるかということを考えながら,私学もやっていかなくちゃいけないというふうに思っております。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
先生,どうぞ。
【渡邊副会長】 薬剤師会の渡邊です。このような話においては,今,長津常務からもありましたけれども,あまり,臨床だ,研究だって,分けるべきじゃないと思っています。医学部の教育等の中でも,卒論に求めているわけじゃなくて,ドクターになってから研究されていて,その成果がたくさん積み重ねられているんだと思うんですね。ですので,決して薬学生の研究に最先端の成果を求めているわけではなくて,研究のマインドを先生方が教えていただいているんだと思うので,いかに臨床現場に出てから,薬剤師になってからの研究で何ができるのかというところにぜひつながればと思うので,あまりセパレートしてしまう話ではないのかなというふうに思うので,よろしくお願いしたいと思います。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
石井先生が社会人大学院の仕組みをつくられようとしている話なども,よければコメントいただければ。
【石井理事】 今まで,6年制が導入されるまで,ドクターに行くっていうのは,マスターに行って,ドクターに行ってという,社会に出ない前の人がやるようなイメージだったと思うんですけど,もっと社会人ドクターというものをやっていかないと,今後,薬学の研究の発展は望めないと考えています。特に,今,ドクターの話が出ましたが,医師の場合は,卒後,研修医になることで保険医になることができますので,ほぼ99%,100%ではないですが,研修医をやります。その後,専門の課程に行くようなときに,今,大学院も併願できるようになりましたので,大学院に行きながら,専門の初期課程を研修しながら研究も進めていくと。
一方,がっちり研究をする人もいらっしゃいます。それは,臨床は本当にアルバイト,生活費を稼ぐ程度のものでやっていくことがあります。薬剤師の場合,医師みたいに夜勤をやってアルバイトを稼ぐというのは,なかなか難しい。そこは,年が上がっていって自分自身の生活環境も変わってくるので一定のサラリーが必要だということで,ある程度,制度改革が必要だったり,医師の場合は研究医みたいのも実はあったりとかするので,そんなことも含めて,少し社会が鷹揚に優しく環境を整える必要あるかと思いますが,社会人大学院をもっとリコメンデーションしていきながら全体の底上げをしていくというのは必要かなあというふうに,私は考えております。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
【小比賀大阪大学薬学部長】 いろんな論点が出てきたので,ちょっと自分の頭の中での整理ができていない状態ですが,先ほど御指摘のあった教員の研究時間が非常に少ないというところは,まさにそういう状況にはなっていっているので,各大学は恐らく,それぞれ工夫をしながら,何とか時間を確保しようとしていると思います。教員の時間と同時に,大学院生も含めてですけれども,学生さんたちの時間というのも,我々が学生だった頃と比べると,随分密になってきているといいますか,カリキュラムがしっかりしている分,ゆとりのある時間という状況ではなくなってきています。ですので,これも社会全体の問題というところかもしれませんけれども,何とか,新しい芽を育てていけるような,そういう時間を確保していくことが求められているのかなと思っています。
それから,今,石井先生が言われた社会人のところに関しては,我々も非常に大事だと思っていまして,特に創薬に関して言いますと,新しい創薬のモダリティーができてきて,大学で,新しい研究,創薬モダリティーに関する研究なんかをやっているところには,製薬企業等から大学院生を受け入れるというところでいい循環が一つできつつある,そういう事例も多いのだろうと思っています。ですので,創薬においても,社会人を受け入れて,大学としてはしっかりやっていくというところは非常に大事だろうと思います。
創薬の研究と臨床というのが薬学においてはどちらも大事だということは,今,ここでの議論でよく分かってきたと思うのですが,一方で,コアカリに全部盛り込めるのかというと,先ほど申し上げたように,コアカリが非常に肥大化してしまっていて,各大学,ここを何とかクリアするためのカリキュラムというので,かなりいっぱいいっぱいじゃないかなとも思うんですね。だから,次期のコアカリ改訂のときには,創薬もできれば盛り込んでいただきたいし,臨床の面もそうなのですけど,そうなると,コアじゃなくて,最小公倍数のような大きなカリキュラムになってしまうので,そこは一旦,何らかの形で整理していく必要があるのではないかという気はしております。
以上です。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
【俵課長】 文部科学省も,モデル・コア・カリキュラムの中に盛り込んで,薄く広くみんなに学んでもらう創薬につながる教育と,研究に関心が高い人に向けたプログラムと,ある程度分けた形でのプログラムが大事かなというふうに思っていて,モデル・コア・カリキュラムにどれぐらい新たに設けるか,設けられるかということについては,またこれから議論をいただきながら,検討をしていきたいなというふうに思っています。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
今,1点追加すると,実は医学も同じ問題を抱えておりまして,教員の,特に助教ぐらいですと5時間以下しか教育・研究に時間を割けてない者が65%だったりして,薬学よりさらに深刻な状況になっていて,文科省としてもいろいろ対応しているところでございますけど,モデル・コアカリの肥大化は医学でも同じになっていまして,パトロールチームというのをつくって,できるだけ減らすということも取り組んでいただきましたので,ひょっとしたら,次回,そういうふうに本当にそぎ落としていく作業もしないといけないかもしれないとは思っております。よろしくお願いいたします。
【奥田副会長】 副会長の奥田と申します。ちょっと違う視点になるのかもしれませんけれども,6年制課程が薬剤師の養成という,そういうレッテルを貼ってほしくないというのは,私もそのとおりだと思っていて,6年制の課程も,多様な人材を養成する,その中に臨床の教育が入っているというふうに考えています。だから,研究を担う教育も,当然,6年制課程の中でしっかり担うべきだというふうに思っています。ただ,ちょっと視点の違う話かなと思ったのは,それを教える教員が今後どうなっていくのかというところが心配で,具体的には4年制課程の上の博士後期課程の総定員は293人であり,6年制課程の上の博士課程の総定員も293人で同じぐらいの数ですが,薬剤師免許を持つ6年制課程全体から見ればごく一部の学生しか博士へ進学しない。令和4年度改訂版のコアカリで臨床薬学の体系化がうたわれる流れの中で、今後,臨床薬学の教育研究もしっかり教えていこうとなったときに,それを担える教員が薬剤師の免許を持ってない状況がかなり増えることが懸念されると思っていますけども,それって薬学部の教育としてあるべき形なのかどうかということはしっかり考えていかないといけないと思います。ちゃんと6年制課程の上の博士課程への進学者を増やして,将来の教育,臨床と研究とのバランスをちゃんと教えられる人を育てていかないといけないというふうに思いました。
以上です。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。そのためにも社会人大学院生をある程度推進していく方向というのは間違いないと思っていいんでしょうね。
【奥田副会長】 おっしゃるとおりです。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
【小比賀大阪大学薬学部長】 今,奥田先生が言われたところですけれども,大阪大学では全6年制になってから,6年制の上の4年制の大学院への進学率はかなりよくなりました。人数は非常に増えてはきているのですが,一方で,大学教員に対する魅力,ここは非常に大きな課題になっています。いろいろな職種がある中で大学教員を選んで将来の薬学生を育てる道に進もうという学生たちを,我々は育てていく責任がありますので,その辺もしっかり取り組んでいきたいと思っています。ちょっと魅力がなく感じられているのかなというところは,残念なところです。
【堀岡企画官】 ありがとうございました。
先生,よろしくお願いします。
【長津常務理事】 大変失礼なことを伺うのですが,今の大学の教員は,その職業が楽しいのかどうか。というのは,私が学生だった何十年も前のことを考えると,授業をしていて,物を教えることが非常に上手な教員なんて,いなかった気がするんです。ただ,自分の学問を楽しそうに話をしていて,でも,言っていることが分からないから,こっちは分かろうと思って一生懸命勉強してきたというのが,昔の大学,薬学部しか知らないのですが,そうだった気がするんです。だって,彼らはすごく楽しそうに自分の学問の話をしていたんですよ。それが魅力だったんじゃないでしょうか。だから,研究したいなと思う学生が多かったような気はします。先だって,私の恩師が退官したときに聞いたら,全く面白くないって,彼は僕に言ったんです。あのときはすごく楽しかったけど,今は面白くないんだよと。公開の会議の中で大変申し訳ないのですが,そういうことを感じている教員が少なからずおられます。もしかしたら多いのかもしれません。とすれば,今,先生がおっしゃった,大学教員になろうという魅力はないということになってしまうんです。ですから,先程も申し上げたとおり,教員の役割,研究の土俵をしっかりと大学側と国がそろえてあげなければなりません。もし教員の魅力がないとすると,研究者の魅力もないということになるのではないでしょうか。根本的に,そこが解決していかなくてはならない大きな課題なのかなと,今日,お話を聞いていて思いました。申し訳ございません。大変失礼ですが,そういう印象はあります。
【小比賀大阪大学薬学部長】 一言だけ。国公立の教員に関して言うと,恐らく多くの先生方は楽しんで研究・教育に当たっておられると思います。ただ,昔に比べると自分の使える時間が少なくなってきているというところは,苦労されているところかなと思いますけれども。
【俵課長】 多分,薬学部だけじゃなくて,大学の先生方の雑務が本当に増えてしまっていて,国としても,どういうふうに大学の先生方の研究時間を確保していくかというのは常に言われている課題ではありますので,僕らも考えていかなきゃいけない話かなというふうに思います。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。ウェブの先生方も……。
【楠会長】 先ほど,大学の教員は面白くないっておっしゃいましたけど,大変忙しくなっていることは,物すごく現実的なところだと思います。率直なところを言うと,学生さんを呼び込まなければいけないので,結構,高校生への講義に出かけたり,入試ガイダンスでいろいろデモンストレーションをやったり,つまり,研究以外のことですごく時間を取られるということはあると思いますけど,学校の運営者側から見ると,学生の顔を見て教えられる機会にはなっているのかな。つまり,研究室に行って実験ばかりやっていたんじゃなくて,今の人たちがどういう思考を持っているかとか,そういう勉強の機会にはなっているんじゃないか。だから,できるだけ事務的な仕事は少なくして学生と接する時間を増やしたいというのがありますので,学生さんを集めるためのいろいろな講義に行ったり,そういうことをしたりするのはやっていただきたいと思いますが,ただ,研究時間ということからすると,すごく楽しいと言っていた時間が相当圧縮されていると思いますけど,でも,これからの大学のことを考えると,そういう活動もしながらやっているという状況にあります。
だけど,今,ドライの研究もいろいろあるので,必ずしも全部面白くないかというと,人によるとか,分野によるとか,そういうのがあるので,こんなところで言っていいか分かりませんけど,昔の飲み会とか,そういうのは,今,学校はみんな,世の中のルールで禁になっているんですね。だから,そういうふうな接触の時間は物すごく少なくなっているし,研究時間も少なくなっている。そのことはあると思うけれども,先生たちはやっぱり学生がかわいいし,それから,この分野は,薬剤師の職務のみならず,結構,自分の一生涯に役に立つ。特に,女性が多いですから,一生涯にとって役に立つということは感じていると思うんですね。はっきり言えば,薬剤師にならない学生も,私学にはおります。だけれども,学校で一生懸命教えたことは血や肉の一部分になっているというふうに,私自身も感じております。皆様の御指導をたくさん仰ぎながら頑張っていきたいというのが,私学の教員の率直なところです。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
私どもの理解では,私も大学教員を少し見ていて,以前は結構,自分の研究のことを自由に話すだけでも許されていたんですが,例えば,生理学の先生だったら,生理学のすごい細かいことを楽しそうに話していくのが授業だったんでしょうけど,今は多分,生理学をちゃんと体系的に教えることを求められたりするので,それも大事なことだと文科省としては思いますが……。
【楠会長】 コアカリで,ここからここまではあなたの分担よっていうのがありますので,自分のすごく得意のところは舌が滑らかなんですけれども,どうしてもやらなくちゃいけないところもありますので,率直なところ,そういう感じはあると思います。
【堀岡企画官】 どちらも重要なことではあるのかなと思いますけれども,大学教員の魅力としては,やっぱりそういうところがあるんですね,きっといろいろな。ありがとうございます。
どうでしょう。ちょっと時間はありますので。
先生,お願いします。
【増野理事長】 共用試験とは全く関係なく,個人的な話になるんですけど,私も最初のコアカリと2個目のコアカリをつくるときに携わっていました。今回はちょっと携わってないんですけれども,なぜ薬学にコアカリをつくるのかというところから1回目は始まっていたと思いますし,1回目のときは,4年制をつくるというのはまだ決まってもいなかったので,コアカリに入れないと薬学で教えられなくなるという形で,研究関係も結構入れていたんですね。平成26年度版は,6年制に特化する,薬剤師教育に特化するといって,創薬の部分はアドバンストに移しているわけですね。そういう形で来ていて,今回はよく分かっていませんけれども,なぜ薬学がコアカリをやるのか。やっているのは,医学部とか,国家資格と関連しているところですよね。国家資格と関連してなければ必要ないんだろうと私も思って,コアカリをつくっていたんですけれども,要するに,薬剤師国家試験を受けるためは薬学を卒業していないといけないわけで,それはなぜかというと,コアカリで勉強してきた人だからというふうな感覚だったと思うので,コアカリはどういうものなのかをちゃんと考えてつくらないと,研究は研究で必要,薬学の教育で必要だというのと,コアカリに入れるというのは,また別の問題だと思うんですね。何のためのコアカリかはちゃんと考えないといけないのかなというふうに思います。
以上です。
【堀岡企画官】 おっしゃるとおり,モデル・コア・カリキュラムがあるのは,医学部,歯学部,薬学部と,あと,看護と獣医でして,基本的に社会的に影響が大きい資格職とほぼイコールと言うと語弊がありますけれども,そこのところはプロセスと結果と両方で教育を担保しなければいけないという考え方なんだと思うんです。なので,ダイレクトにお答えすると,一体,薬剤師というものの守備範囲はどこまでなのか。つまり,ある程度,研究能力もあって,それを薬剤師としての患者さんへの仕事にフィードバックできることまでがその範囲なのか,それとも臨床の調剤などができればいいものなのかというような考え方があって,今,私が申し上げた前者の考え方が,多分,ここにいらっしゃる方も皆様そうだと思うので,モデル・コアカリの中に研究という側面をどこまで入れるのかという議論があるのかなと。最初の議論を,私,一番最初のときは存じ上げてないので,追加のコメントあれば,ぜひいただきたいんですけれども,そういうことなのかなというふうに思っております。
【増野理事長】 ですから,そこのボーダーラインは難しいだろうとは思いますけれども。
【堀岡企画官】 よろしいでしょうか。
それでは,二つ目の創薬研究について,大分活発な御議論をいただきまして,ありがとうございます。
三つ目の議題に移らせていただきます。薬学実務実習について,薬学教育協議会より,御報告をお願いいたします。
【鈴木業務執行理事】 薬学教育協議会の鈴木から,実務実習についての協議の結果を報告させていただきます。
資料の3番になりますけれども,薬学実務実習に対する基本的な考え方ということで,基本的に,先ほどから議論されておりますが,改訂コアカリに対応しましてガイドラインというのが出され,実務実習について,これからさらに,学習効果が高くて,学生たちには魅力的で,先生も楽しいというような実習を目指そうということで,議論をしております。その議論の委員会からの報告ということで,お聞きいただければと思います。
まず,ガイドラインの中に出されています施設要件,ガイドラインの中では薬学教育協議会で検討することになっておりましたので,新しい実習を始めるに当たり,病院と薬局の施設要件について検討をいたしました。現在の実習の要件からは,大きく変わってはおりません。
まず,病院のほうも,それまでは前文で実務実施の考え方が書かれていましたけども,ガイドラインにまとめましたので前文は外させていただきまして,受入病院についての要件,グループ施設で行う場合,次のページに参りまして,受入学生数とかについても,特に変更なく,現在行われている実習を踏襲するという形でまとめております。学生の評価につきましても,実習施設のほうで,大分,評価のほうもレベルが上がってきましたし,コンセンサスが取れるようになってきました。そういうこともありまして,実際の臨床現場で行う学生の評価を大学の評価のほうにきちっと反映してほしいという御意見もありまして,そのことについても大学が留意するようにというようなことを入れております。病院のほうは,特に大きな変更はなく,このような形で現状に即した形で文言等を変更しております。
薬局のほうをお願いいたします。
薬局のほうなんですけれども,薬局実習についてということで,これも大きく変更はありません。現行を踏襲する形になっておりますが,現在の薬事行政等の文言に合わせまして,幾つか文言の変更をさせていただきました。受入学生も,先ほど出ておりましたとおり,病院のほうもそうなんですが,大学のほうの教育の体制がきちっとできているのかということをまず確保するということが求められるということ,これは当たり前のことだと思うんですけども,それを文言としてきちっと加えたということであります。
次の4番目の受入学生数についてというところなんですけども,現在,病院もそうなんですが,実務実習の実習施設というのが非常に不足している,充足していないという状態が,幾つか報告されております。そのために学修効果が落ちているというようなことも報告されておりましたので,現在の受入学生数の原則,1薬局2名までを基本とするということはもちろん厳守するということの中で,受入学生数についても,今後,協議をしながら,なるべく学修効果が高くて,かつ,円滑に実習ができるような方向を設定するというような文言を加えさせていただきました。
また,5番目の受入薬局の連携体制につきましても,1薬局で完結して行うということにつきましては現行どおりのルールなんですけども,現在の幅広い薬局の業務に合わせまして,連携薬局という形で,なるべく学生たちが幅広く,薬局業務,薬局の薬剤師の魅力を学べるような形の連携を考える,模索するというような文言も加えた形で,今回まとめさせていただきました。
それから,学生の評価も同じでございます。
このように薬局・病院の施設要件,受け入れる施設側の要件につきまして,委員会で話し合って報告書としてまとめさせていただいたものをここに提示させていただきますけども,この要件は新たなガイドラインの中で適用されるということでつくったものでございますが,ガイドラインそのものも,実際により円滑で学修効果が高いという内容につきましては現在の実習にも順次取り入れていくということになっておりますので,ここに出されております施設要件につきましても,各地区,各薬局・病院の現状に応じて地区調整機構等で協議をしていただいて,当要件で実習を始めていただくということは問題ない,現時点で新たな要件を取り入れた実習を始めていただいてもよいというふうに,協議会の委員会のほうでは考えております。
それと,その次の資料を見ていただきますと健康診断の資料がございますけども,これも,現在の健康診断の資料から変更はございません。ただ,感染症につきましては,実習施設によりましていろいろなルールがございますので,各施設のルールに従うということが原則になっております。ただ,これが最低限の,いわゆる健康について実習を行う学生についての健康情報の確認の条件ということで,これは変更をしておりません。
まずは,ここまででございます。
【堀岡企画官】 御説明,ありがとうございました。
続きまして,追加の実習についてご説明をお願いします。
【鈴木業務執行理事】 ガイドラインに示されました追加の実習についてです。薬剤師に求められている役割や業務は,先ほど来,お話聞いていますとは果てしなく広がるような感じの中で,それに伴いまして,一番大事なことは,現在行われている薬学の実務実習という実習は本当に現在の実務実習で十分かという議論がガイドラインの中にも書かれております。その中で追加の実習を考えなさいということがガイドラインで書かれておりますので,現在,薬学教育協議会の委員会のほうで検討を始めております。ここに出しました資料は,現在までの検討の結果というふうに御覧いただければよろしいかと思います。
今回の追加の実習というものにつきまして,まず,薬学教育の現状というところがありますけども,先ほど来,何度も出ておりますが,薬学部を卒業して薬剤師という資格を持って活躍する人材はこれから,病院・薬局という医療施設で活躍するということはもちろんですけれども,医薬品や化学関連の企業,あるいは先ほど出ました製造管理ですか,それから,非常に大きな問題だと思うのは,公衆衛生を含めました衛生行政への参加,大学で教えるというような教育,いろんなところに多様な選択を持って,現在も学生たちはそういうところに広く行っていますが,それらを支える形の実習ということでなければ,11週間の実習が終わった後の実習ということには魅力がないだろうということで,話合いの中で,もちろん医療施設での追加の実習というのを主にするけれども,幅広くいろいろな,学生たちがこれからのキャリアの中に生かせるような実習を行ってはどうかと,そういう位置づけで検討をするということになりました。先ほど出ておりましたけど,既に行っておられます各大学のアドバンストな実習というのもアンケートで確認をしまして,それらを参考に,以下の指針をつくらせていただきました。
まず,名称についてなんですけども,追加の実習,追加の実習というのも何か寂しいので,「薬学実務実習」というのに対しまして,「薬学実践実習」という形の名称で,仮称ですけども,呼ばせていただいたらというふうに考えております。
目的は,先ほど申しましたとおり,薬剤師の臨床に係る実践的な能力を培うのが薬学実務実習で,その延長だけではなく,将来,学生が進む進路のために必要だと考える能力の修得を目指す実践実習ということで,ガイドラインにも既に「選択」ということが書かれていますので,当面,まずは選択制の実習ということで始めるということで協議をしております。
実習内容について,幾つか協議をいたしました。マル1にあります病院や薬局の医療現場での実習,これが第一で,一番重要なことは間違いありません。次のページのところに事例というのが出ておりますけれども,ただ,医療現場で行う薬学の実践実習におきましても,現在の11週の足りない部分を補う形であるということも大事だと思いますが,例えば,多職種連携を介して地域医療をきちんと体験したり,経験したりするような実習。それから,専門性を生かした患者ケア,専門薬剤師,あるいは薬局の在宅,そういうことも含めました薬局・病院の実習。それから,特に医療人材が不足している地域の魅力を見せて,そこで活躍できることの魅力を感じてもらうような実習。それから,これからの新しいパイオニアになるような薬剤師を目指すような実習というような,医療現場でもそれなりに学生たちに魅力的で学修効果があるような実習をこれからつくっていくということが必要だろうということで,話合いをいたしました。それから,先ほどちょっとお話をしましたけども,臨床研究というのも非常に重要であろうということで,臨床現場と協働して,臨床現場を舞台にして行う研究も,この実習の中で行うということでよいのではないかということにまとまっております。それ以外に,今既に各大学で行われていますアドバンス実習の中では,例えば,漢方相談薬局での実習ですとか,海外に行くとかというような実習を行われている大学もありますので,それらにつきましても,引き続き,大学のほうで模索していただくということになるかと思います。
さらに,マル2,医療現場以外での実践実習ということで,公衆衛生などに関わるような行政,PMDAなどの,あるいは,厚労省もあるかもしれません,文科省もあるのかもしれませんが,公的な試験機関ですとか,そういうところで,将来,研究者を目指したり,あるいは行政で,実際に医薬品に関する重要な社会的な貢献をするというような立場での実習。それから,企業やNPOですとか,あるいは薬剤師会とかを含めた,薬剤師の資格を持って活躍できるところを開拓してもらうような,そういうイメージの実習も考えてよいのではないかというふうに,報告では出されております。
もちろん,これから先,いろいろ課題がございます。実習費の問題,それから,単位をどうするのか,授業の中にどうやって取り入れていくのか,実際に実習の施設が確保できるのか,それらについてはまだまだ,これからは加速度をかけて委員会で検討していきたいと思いますけども,当面,米印に書かれておりますとおり,国内での医療現場,例えばマル1-1のところの病院や薬局で行う実習につきましては,基本的には,混乱のないように,薬学教育協議会,その下にあります調整機構というところで調整を行いながら,学生たちが公平かつ学修効果が高く実習ができるように,薬学教育協議会もきちっと介在してまいりたいというふうに考えておりますし,地区調整機構の役割は非常に大きいと考えております。もちろん,先ほど言ったとおり,大学のほうで幾つか工夫してつくっていただくということも想定して,これから,いろいろなルールづくり,あるいはプラットフォームづくりをしていくということで,話合いをいたしました。
時期・期間につきましては,まだまだ十分に議論が進んでおりませんけども,ガイドラインに示されておりますとおり,8週間程度実施できることを目指すということで,これからの検討課題かと思います。追加の実習,薬学実践実習は,11週間の実務実習,正規で必須の実務実習が終わった後の選択の実習で行うことが望ましいだろうということが,検討として出されております。
実習の指導体制等につきましては,これからさらに検討を重ねてまいりたいと思いますけども,委員会のほうで,現在までに議論され,確定いたしました指針等につきまして,説明をさせていただきました。
私からは,以上です。
【堀岡企画官】 ありがとうございました。
文科省においても,来年度,実務実習についての調査研究なども,今,企画して,検討をしております。
コメント等をいただければと思います。
よろしくお願いします。
【西島理事長】 西島です。あまり関係してないことなんですけれども,全く個人的な意見となりますが,薬学,6年間の教育の中で,時間的な制限がある中で,さらにこのような臨床の研究の場での教育の機会を増やすということ,これは意味あることかと思うんですけれども,時間の制限のある中でどこまでやるかというのが非常に重要だというふうに思います。今日,病院薬剤師会の方,あるいは薬剤師会の先生方がいらっしゃるんですけれども,大学はそもそも,どこまで教育するかということがあるわけですが,一つ,大学の一番基本的なところは,真理探求ということがあるかと思うんですけれども,そういうようなことも含めて,今,もうちょっと実習を増やすということについて,この辺のことは社会に出てから教育してもらうということも重要かと思うんですが,今までも,病院によっては,薬剤師さんを採ってから,病院とか薬局の中できちんとトレーニングしているところもあったわけですけれども,いわゆるオン・ザ・ジョブトレーニングですか,そういうような取組を積極的にして薬剤師さんの臨床での能力を増やしてもらえないかなということを個人的には思っています。
繰り返しますけれども,大学の6年間の教育期間の中には,時間の制限がありますので,やることはいろいろあるわけで,何を選択するかということになるかと思うんですが,その辺,病院薬剤師会,薬剤師会の先生方から,何か御意見をいただければと思っているところです。
以上です。
【石井理事】 日病薬ですけれども,今日の42ページ以降に書いてございますが,薬剤師臨床研修ガイドラインと言いまして,卒後に研修するということを既に始めております。いろんな病院につきましても,レジデント制の導入とか,そういったことを積極的にやってございます。
また,ガイドラインが出たことによりまして,病院の場合はこのガイドラインを使って新人教育を始めたりしておりますので,手は打ってないわけではございません。このガイドラインが出ることによって,その数がかなり増えていることは確かでございます。
【西島理事長】 それでもまだ,6年の教育の中でも,さらに実習時間を増やすということが必要だと思われますか。
【石井理事】 日病薬の意見じゃなくて,私の意見は,要らないと思っています。いろんな立場があると思います。これは,例えば地域偏在で,どうしても病院に来てほしいといったところは,もっと学生と密になりたいと言ったらば,例えば,そういった意味でもアドバンスがあるでしょうし,それでは不十分だ,今までの実習だけでは不十分だったからアドバンスが必要だとか,もっとここを見せたいという意味ではあるかもしれませんが,それは三者三様の意見を持っていると思います。
【武田会長】 私も日病薬なんですけど,石井先生とは若干,意見は違うんですが,基本的に,6年制教育が必要になった,その背景というのは,臨床経験をとにかくしっかりやらなければいけない。いわゆる薬物治療管理を進めていく上で,これから先,医師と協働でそういうふうな薬剤師の職能をしっかりと発揮し,患者さんのメリットにつながるような薬物治療管理をやっていく。これまでも,あまり決まってない,2週間だったり,1か月だったりというような実習はされていましたけれども,当然,医師も必要に応じてどんどん延ばしてきて,卒後臨床研修も,1年半から,今,2年間が義務化されてきていますので,さらにまたこれが延びていく可能性が高い。それに対して薬剤師が,創薬ももちろん必要だと思いますけれど,臨床上でしっかりとした経験を踏むということを薬学教育の中に入れるということが重要ではないか。ですので,とにかく1年,臨床に触れていく。臨床上,圧倒的に少ないのは病棟業務だと思います。病棟経験がない。病棟経験が少ないと,チーム医療が理解できない。チームを理解できない,病棟経験がないまま,薬局のほうに行かれてしまう。将来,その方たちが,求められていると思いますけれども,例えば在宅に入って,在宅の医療チームの一員として薬物治療管理の責任を持つような立場で医療に関わっていくというのはなかなか難しいだろうと思いますし,そういったところも含めて,私としては,病院実習を長くして,その分,病棟での経験をしっかりと積んでいっていただきたいなと。そういうふうな思いで,できる限り延ばしていきたいというふうには思っているところです。
【堀岡企画官】 薬剤師会さん、どうぞ。
【渡邊副会長】 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。
私も,先ほどの実習の部分に関しては,モデル・コアの話のときもそうなんですけど,医科,歯科,薬科と並ぶ中で,臨床の実習をする時間をもっとしっかりと確保するべきだという話の中で,プラスのアドバンスの話が出ているんだというふうに認識しています。ただ,先ほども少し言ったように,臨床の場に薬学生が実習するということと,研究マインドが下がることというのは,僕は違うと思うんですね。ですので,実習の時間をしっかり取ったとしても,研究マインド自体はしっかりと育てられる,臨床の中で考えられる研究マインドというのもあるというふうに思っています。ただ,先ほど施設要件の御説明にありましたけれども,その中の受入学生のところに第三者評価のことは書かれているんですが,今のようなアドバンスの実習をすることが大学の評価とかで長所に書かれるような,しっかりとしたアドバンスにつながればいいんじゃないかというふうに思います。
それと,もう1点は,先ほど石井先生からもあった件ですが,薬学生の実習と薬剤師の研修は全くレベルが違うものだと思っているので,薬剤師は,薬剤師になってから責任を取る立場で研修をする。薬剤師ということでの責任を負う中で研修をすることと薬学生の実習は違いますので,そこをしっかりとつなげられるような,この実践実習と卒業してからの臨床研修というようなものに関しては,しっかりとした,両方の体系づけが要るんじゃないかなというふうに思っています。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
【岩月会長】 薬剤師会でありますけれども,今,渡邊副会長が申し上げた最後の部分で,学生自身を,見て言いますと,いわゆる大学で学んだことと,現場は違うということを体験することが恐らく一番大きなことだろうと,今の実習では思っています。要するに,アカデミアで学んだこととビジネスの世界では違うことがあるのだということを認識してもらうというのが,私は学生実習の本質だと思っています。そういった経験を積んで,もう一度大学で国家試験の勉強をしたり,あるいはほかの分野に進むという経験をして社会に出てくると,今度は,雇い入れた企業なり,薬局なり,病院なりが,自分のところの社員として責任を持って一人前で働けるようにするというのは雇った側の責任だと,思います。そこは明確に分けて考えていくことが大事だろうと思っていますし,そもそも,そういったことも含めて,例えば技術料もついているはずであります。というか,そうでなければ困りますので,多分,現場は分けて考えているのだろうと思います。学生さんが実際にどう思っているかは,私はちょっと別だと思いますけれども,受け入れる我々と,実際に働いて給料を払っていくためには,社内的に,どんな企業でもそうだと思いますが,就職してからの研修というのは必ずありますから,そういったものとは別に考えるべきだというふうに思っています。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
【渡邊副会長】 1点だけいいですか。
【堀岡企画官】 はい。
【渡邊副会長】 これは現場の意見としてのお願いなのですが,例えば,今,薬学生の実習生が来ていますが,僕らが薬局の中で,今の実務実習の子たちと,実践実習の子たちと,今後,もし臨床研修の薬剤師が出てきたとなってくると,3種類の立場の者が薬局の中で実習・研修をしているという状況になります。先ほど鈴木先生が2ページ目のところの米印で調整とおっしゃられましたけれども,どこかでしっかりとコントロールをしながら,実習というものを,また,研修というものをしっかりやっていかないと,多分,現場は,混在して,とてもややこしい受入れ状態になると思うので,ここはしっかりと,調整機構等々も働かせながら,コントロールしてほしいというふうに思います。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
【本間代表理事】 協議会の本間でございます。実務実習に関しては,各調整機構が6年制の導入のときから調整・マッチングを始めて,今まで混乱のないようにやってきたと思っております。実践実習,この追加の実習に当たっても,混乱がないように全国レベルで調整をするということが,今の実務実習のマッチングシステムを維持するためにも重要であると思っております。ですので,先生がおっしゃったとおり,非常に難しい課題だと思ってはおりますけれども,協議会なり調整機構が出ていかざるを得ないし,出ていくべきだと思って,今回の通知文にそのように書き込んだつもりでおります。薬剤師会はじめ関係団体の方々には引き続き御協力いただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【鈴木業務執行理事】 本間先生とほんまにやらせていただきます。
【堀岡企画官】 ありがとうございます。
いずれにしましても,円滑に実務実習をやろうと,できるだけ推進するということは,文科省も同じ立場でございまして,率直に言って,武田先生から先ほどいただきましたけども,6年制になる中で実務実習の期間が他の医療関係職種と比べて極端に少ないのではないかという指摘は,文科省としては度々受けるところではあります。
一方で,薬剤師は他の医療職種と違って,研究も非常に重要ですし,製薬企業とか,PMDAとか,そういったところにも活躍の場は非常に広いので,そういったところで協議会の中で選択制というような議論にもなったところだと思っていまして,いずれにせよ,選択制になったということは,実務上,ますます難しい問題が生じることでもございますので,来年度など,文科省も実態調査などを踏まえて,混乱がないようにしていきたいというふうに思っております。
それでは,そろそろ時間も参りましたので,本日の議事は以上となります。
最後に,厚労省,文科省から,何かコメントをいただけますか。
【大原企画官】 その他はどうしますか。
【堀岡企画官】 すみません。議事(3)その他がございます。これは重要でした。
参考資料2に薬剤師問題懇談会に関する申合せというものがございます。厚生労働省の組織再編がありましたので,組織名を修正し,最終改正を本日の日付というふうにしておりますので,御報告いたします。
ほかに何かございましたら,御発言のほうをお願いいたします。
厚労省さん,よろしいでしょうか。
【大原企画官】 はい。
【堀岡企画官】 どうもありがとうございました。
それでは,多くの方々にお時間を割いていただきまして,本当にありがとうございました。今後とも,薬剤師の教育について努力してまいりますので,よろしくお願いできればと思っております。どうもありがとうございました。
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