資料1 大学における教育情報の公表促進と活用支援について

1.教育情報の公表について

(1) 前回の議論の概要

【現状説明】

○ 本年4月から,すべての大学が,学校教育法施行規則に掲げられた教育情報を公表することとなり,各大学による取組がはじまっている。
 この改正は,大学の教育の質の向上と,公的な教育機関としての説明責任を果たすことの二つを目的としている。

○ 教育情報の公表は,各大学によって行われている。
 その際,学校教育法施行規則で定められた内容が概括的であることも踏まえ,大学団体によっては,大学のために参考指針を作成し,公表にあたっての留意点などを示している。
(例えば,公立大学協会や日本私立大学連盟)

○ 米国では、包括的なデータベースに加え、州立大学でカレッジ・ポートレートの整備が進められている。

<米国の大学情報の公表について>

  • 全米の高等教育機関を対象とするIPEDSが包括的かつ詳細なデータベースとして整備。
  • 2007年には,州立大学を中心に,カレッジ・ポートレートが開始。1.基本的な情報,2.学生の在学中の経験や意識,3.学生の学習成果を中心に,分かりやすい形式で掲載。
  • 各大学のIR担当者を対象とする研修を,大学団体が実施。

 

【主な論点】

○ 教育情報を,国内だけでなく,世界に向けて発信すること。

○ 大学での学習内容を,産業界等からも分かりやすく示すこと。

○ 学内の教学改善のための情報の活用と,説明責任を果たすための公表の2つを分けて検討すること。

○ 大学関係団体がガイドライン等を作成し,公表にあたっての留意点を示すこと。

○ 大学に関し多様な情報が見受けられる中で,信頼性のある情報の発信について,大学関係団体が支援すること。

○ 我が国において,アメリカのように,まず,基礎的なデータベースの構築から取り組むか,一般の者に分かりやすいものを検討すべきか。

○ 各大学の情報公表とあわせて,大学を超えた共通的な情報発信の仕組みを整備する意義や効果。

(2)更に検討いただきたい内容(例)

○ 各大学が,それぞれの使命(ミッション)を明確化し,どのような教育に取り組んでいるかを公表することについて。

○ その際,大学のどのような活動を強み・特色として発信するか,また,それらを分かりやすく発信していく仕組みについて。

○ こうした取組を大学関係団体が支援することについて。
 例えば,認証評価団体は,大学の教育情報の公表について確認することとしており,これを通じて,より分かりやすい公表の取組を支援することについて。

○ これらに関し,留意すべき事項について。

2.教育情報の活用について

(1) 前回の議論の概要

【現状説明】

○ 大学の教育情報について,活用という観点も重視されつつある。

  • 例えば,大学によっては,自己点検・評価や,自らの大学に関する情報を基に,教学改善に生かす取組が見られる。
  • その際,他大学と連携し,互いの活動に関する情報を共有しながら,教学改善に生かす取組も想定される。

○ また,我が国の大学情報の国際的な発信という観点も考えられる。
 これについては,大学分科会が,国際競争力の向上の観点からの情報発信の考え方の参考指針を示している。

○ 教育内容を発信する取組として,オープンコースウェア(OCW)が提唱され,ウェブによる授業内容の公表が行われている。

<OCWについて>

  • 2001年にMITにより提唱され,ウェブ上に大学の正規の授業映像が多く公表(現在1.8万コース)。公表することにより,教員が自らの授業を見直すきっかけにもなっている。
  • 大学として世界中から優秀な高校生を集める観点も重視。
  • 講義内容を公開している大学に対する利用ニーズは7割に達する。また,居住地近くの大学の公開講座を受講したいと考える者は8割。

 

【主な論点】

○ 教育情報の公表を教育の質の向上につなげること。

○ 認証評価の際に,データベースを活用することについて。

○ データを分析、作成するための体制の整備、そのための人材育成の重要性について。

(2) 更に検討いただきたい内容(例)

○ 各大学が,それぞれの活動状況を把握し,教育の質の向上に生かすことについて。

○ そうした取組を,大学関係団体が支援することについて。
 例えば,認証評価で,大学ごとの評価結果の公表に加えて,各大学の特色などを分かりやすく発信することについて。(例えば,テーマ別の分析を行いレポート形式で公表するなど)

○ これらに関し,留意すべき事項について。

3.大学の負担軽減について

(1) 更に検討いただきたい内容(例)

○ 大学における調査や統計に関する情報の収集などへの対応状況について。

○ 大学の負担軽減について,どのような観点が考えられるか。
 例えば,評価機関は,評価の実施にあたり大学の基礎的な情報を収集しているが,統計など各種の調査と共通する項目もある。

  • 収集すべきデータ項目
  • 複数の調査で重複するデータの取扱い
  • 評価などにおいて,評価団体を通じた連携を進めること

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課

電話番号:03-5253-4111(内線3681)