大学における教育情報の活用支援と公表の促進に関する協力者会議(第5回) 議事録

1.日時

平成23年8月5日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

学術総合センター11階 1112会議室

3.出席者

委員

(委員)
井上洋,岡本和夫,鈴木典比古,関根秀和,髙倉翔,早田幸政,福原美三,水上高央,宗像敏夫
(特別委員)
浅田尚紀,圓月勝博,小田一幸,佐久間勝彦,村上哲也,山田信博

大学評価・学位授与機構評価企画課長小笠原千寿
大学基準協会大学評価研究部主幹土居希久
日本高等教育評価機構評価事業部長伊藤敏弘
短期大学基準協会事務局長竹田貴文

文部科学省

磯田高等教育局長,小松高等教育局審議官,義本高等教育企画課長,榎本高等教育政策室長,西川高等教育政策室室長補佐

4.議事録

【鈴木座長】  この会議では、本年4月から学校教育法施行規則の改正によりまして、各大学で公表すべき教育情報の項目が明確化されまして、各大学や大学団体による取り組みが進んでいることを踏まえて、教育情報の活用支援と公表の促進について審議を行ってまいりました。
 前回の会議では、協力者会議の議論に基づく「中間まとめ」素案について、意見交換を行いましてさまざまな意見をいただいたところであります。本日は前回の議論や、その後、各委員からいただいた個別意見を踏まえまして「中間まとめ」案を用意してございます。これをもとに議論をしていただきたいと思います。また、全国公立大学短期大学協会から中間まとめの素案に関する意見を提出していただいております。

(文部科学省から資料の説明)

【鈴木座長】  中間まとめ(案)につきましては、これまで皆さんからのご議論を踏まえまして、お考えもできるだけ反映したものとして準備をいただいていると思っております。したがいまして、基本的には、この内容でおおむねのところはよろしいのではないかと思います。もしどうしても修正を要するという点があるかどうか。また、この中間まとめの内容から派生しまして、今後の大学や大学団体における取り組みの方向性等について、委員の皆様からお考えもお伺いできればと思います。

【水上委員】  基本的にこれまでの議論を踏まえてまとめていただいたと思うのですが、2点だけ、もし可能であれば加えさせていただければという点がありまして、ここの場でお諮りしたいと思います。1点は9ページですけれども、9ページの(ア)の最初の段落ですが、「教育情報の公表・活用は、各大学が自主的・自律的に取り組むことを基本的な考え方とするべきである」。このこと自体に反対するわけではないのですが、その目的を少し明確にする必要があると思いまして、「各大学が」と「自主的」の間に「情報を受け取る者が必要とする十分かつ比較可能な教育情報を提供すべく」という文言を入れていただけないかと思います。というのは、どういうふうに情報を提供するかとか、公表するかというのは、ある程度各大学の自主性に任されるのだと思いますが、その目的論、達成の目標として情報の受け手に対して十分な情報を提供するということは、各大学が自主的に判断するのではなくて、受け手の側が十分な情報はすべての大学が提供しなければならなくて、その手段は各大学の自主性・自律性に任されているということだと思いますので、今の文言、「情報を受け取る者が必要とする十分かつ比較可能な教育情報を提供すべく」は、やはり入っていたほうがいいのではないかと思うのが1点です。
 もう1点ですが、14ページですけれども、14ページの(ウ)の4行目、「一定の範囲で比較可能なものとすること」というのが最後の文章にあると思うのですが、その後、「また、高校生などに」とつながるところですが、この「一定の範囲で比較可能なものとすること」の後に、「一定の範囲で比較可能なものとすることで、情報を受け取る者に十分な選択材料を与えるものであること」。つまり、これはどういう趣旨かというと、一定の範囲って何だというところですけれども、この「一定の範囲」とは情報を受け取る者に十分な選択材料を与えるものというのが一定の範囲の比較可能性が担保しなければならない意味であるという趣旨で、この文言をぜひ入れていただきたいと思います。私が要望するのは、その2点です。

【鈴木座長】  これに関しましては、今議論をしてこれを加えるかどうかということも、きょうはまとめの段階ですので、ご議論いただきたいとは思いますが、いかがでしょうか。そのほかに、今、水上委員がおっしゃったような意味で、ここを加えていただきたいということがございましたら、それもお伺いいたしますけれども、1つ1つ検討していって、それをまとめるという形でよろしゅうございますか。

【早田委員】  大筋というか、ほぼこれでよろしいと思います。私も全面的に賛成いたします。その上で水上委員のように代案があるわけではないのですけれども、確認したい事項があります。同じく14ページですけれども、まず第1に、このような理解でいいかと思うのですけれども、(ア)(イ)(ウ)にあることは共通的な仕組みの構築に当たって、基本的にこうしたことに留意して構築しましょうということで、基本的、共通的な事項が書かれていると思うのですけれども、ただし、(ウ)の最後のところ、「国際的な教育研究活動や国際交流に特色を発揮する大学の情報について、海外への情報発信に活用できるものとすること」という部分について見ますと、国際展開を図る大学については情報の表示の方法について、また別の考慮がなされるということで、こういう理解でいいのかどうかということが1点です。
 それから、もう少し細かくなりますけれども、やはり(ウ)ですけれども、学部・研究科などの分野、これは私、十分理解できるのですけれども、その後にある「地域、規模」というのは、地域別に比較するとか、それから、規模別に一定の範囲で比較するという意味なのか、それとも地域の実情、特質性に配慮する、規模の大小に配慮して、むしろ比較をするに当たっても、そこのところを十分留意しないといけないという意味で書かれているのかがよくわからないのですけれども、この文言どおりに見ると、分野と地域、規模に応じてそれぞれ比較するというように読めるので、その理解が間違っているのかどうかということが1つです。
 それから、14ページの(ア)のところに「また」というところがあって、これは、それぞれの大学が教育情報を積極的に情報発信することで、その次なのですけれども、学生がカリキュラムをみずから構成する。「複数の大学で学修するなど学生の流動性の向上を通じて、教育の質の向上も期待される」というのは、学生が複数、教育情報を見て比較して複数の大学に在籍をして、そしてその中で、在籍する中で自分に合った大学を修了するとか、そういう意味なのか。あるいは科目等履修生とか、そういうことも視野に入れているのかというところが、よく理解しづらかったのですけれども、いずれもこれは代案があるわけではないのですけれども、一応、気にかかったのは以上の点でございます。

【榎本高等教育政策室長】  事前に準備をした際の考え方も少しご紹介できればと思うのですけれども、まず、水上委員のご発言に関連して、9ページと14ページでご提案いただいております。準備した際、7ページで検討に際しての留意点、ここにも(ア)(イ)(ウ)(エ)とございまして、ここの(イ)というところで大学に関心を有する者には極めていろいろな、学生もいれば、高校生もいれば、卒業者、保護者、高校、企業、海外の人、幅広い。そうした者のことを踏まえて公表のあり方を検討すべきというところで、高校生に限らず多様な関心を持っている者のことを配慮して検討すべきというふうに、ここで全体に関してカバーするように書いてみたところであります。ここで基本的にはある程度カバーできているのではないかと思っておりまして、もしこれでももう少し必要があれば、修正をということであれば、その辺をもう少しご意見をいただければと思っております。
 それから、早田委員のご質問に関しまして、14ページの(ウ)の最後のところ、国際的な発信というところに関しましては、国内向けの情報ということと海外へということで、端的には言葉、使用言語をどうするということもあろうかと思っておりますので、言語と言っても英語だけなのか、いろいろなことが出てこようかと思います。ともすると、こういうデータベース的なことは日本語でというのが議論の無意識の前提になりがちなのではないかと思いましたので、そういった他言語を使った観点ということも考慮が要るのだろうということ。その場合に参加している全大学について複数言語を用意するという方法ももちろんあると思いますし、場合によっては少し集中的な外国語による発信の仕方もあるのではないか、そういったところも含めて表示の方法について検討する必要があるのではないかという思いで入れております。
 同じくこの(ウ)のところの中ほどの分野、地域、規模というところがございます。ここの地域、規模というふうに入れましたのも、例えば高校生の立場という点に着目しますと、自分の住んでいる地域の中でどういった分野から進路を考えようかなどを考えていった際に、その絞り込みの条件設定といった観点でこういったものもあるのではないか。ここも明確にそういうふうにするというよりも、こういった観点をどういうふうに考えながら設計するかという例示として入れてところでございます。
 最後の14ページのこの(ア)のところの「また」というところでございますが、ここは実はデータベースそのものというよりも、ここから派生した観点として入れております。こちらは私立大学の議論の中で、よく渡り鳥構想といった観点で学生が幅広い経験をいろいろな大学で積んでいくというイニシアチブがございまして、そのことを念頭に置きながら文章を入れております。少し文章が抽象的で、どういったカリキュラムをつくるのだろうという感じになってしまったように改めて思いましたので、そこは文章を整えるようにしてみたいと思っております。基本的には学生が在学中にいろいろな大学で経験をしていきながら、ただ、それがばらばらな経験の寄せ集めにならないように、多様な経験をしながらも、そこに一定の教育課程が編成できるような観点で、どういうふうに学生の経験を豊かにしていこうかといったことが今課題の1つとして私立大学の間でも議論されていると伺っております。そういったことも、こういった大学をオープンにしていくという観点から派生してあるのではないかと思いまして、こちらに入れております。

【水上委員】  7ページの(イ)に確かに「公的な教育機関である大学に関する関心を有する者には」ということで、さまざま書かれています。それらに対して配慮しなければいけないということは当然だと思います。ここでの中間取りまとめで必要なのは、いろいろ配慮しますよということを言うだけではなくて、その配慮の達成のメルクマールというのはどこにあるのかということについて、完全に具体的なことは書けないにしても、一定の指針を得るということがないと、いろいろ検討しましたけれども、各大学、勝手にやりますよということになってしまっては、結局、あまり意味がないということだと思います。
 ですので、その観点から言うと、やはり達成のメルクマールとしてはあくまで、これは高校生に限らないと思いますけれども、情報を受け取る側が必要とする十分かつ比較可能な教育情報を提供すべくというところがないと、どこまでの教育情報を提供するのというところについて、さまざまな人のことを考えましたが、結局、カタログに載っていること程度でしたということであっては、あまり意味がないということになりますので、ここはぜひ入れていただきたいと思っております。

【鈴木座長】  水上委員がおっしゃったこの9ページの(ア)のところ、各大学が自主的にという、その「が」と「自主的」の間に入れるという文言が、例えばその下の(イ)のところに公表に当たっては、受け取る者を想定して、その受け手が必要とする情報がわかりやすく公表されているかどうかも重要であるということで言及しているのですが、それにもう一歩踏み込んでというようなことでございますよね。

【水上委員】  そうです。

【鈴木座長】  そうしますと、この(ア)にそういう文言を入れるとすると、この(イ)のほう、これをどうするか。逆にこれを(ア)に入れることによって(イ)のほうが重複するような、二重に説明しているような感じがないとも言えないのですけれども、例えば今おっしゃったこの受け取る者が必要とする十分かつ比較可能な、というものを例えばこの(イ)のほうに入れるということではいかがでしょうか。

【水上委員】  文言としては(イ)のほうに入るということであれば、「比較可能な」という文言はどうしても入れていただきたいと思いますが、それさえ入っていれば、とりあえずいいかなと思います。

【鈴木座長】  それからもう一つ、水上委員の14ページのところで、5行の「することで」、情報を受け取る者が十分な選択材料を――「ものに」ですね。十分な選択材料を与えるという文言になっておりますけれども、それと今、9ページの情報を受け取る者が必要かつ十分な、比較可能なという2つございますけれども、これはどういたしましょうか。あるいはこの14ページで委員がおっしゃった文言を、9ページの(イ)のほうに入れるか、あるいはこの(ア)のほうの文言を(イ)のほうに入れるか、どちらかがあるのかなと思うのですが。

【水上委員】  その点、この文章の構成から言うと、9ページの話というのは、この中間取りまとめ自体のメッセージとしての話ですよね。一方、13ページ、14ページの話は今後の検討についての話なので、2回書かれていても問題ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【小松審議官】  この今回のご議論、基本的にご議論をまとめているので、若干説明が足りないかもしれませんけれども、この9ページ以降は、教育情報の公表・活用の促進方策ということなので、方策について後ろにずらっと書いてある。その際にご議論のプロセスの中で、各大学団体としていろいろコミュニティとしてオープンに運営しながらそういうものをつくっていくべきだというご議論がかなり出ましたけれども、ベースは各大学、個別の大学がどう判断するかということがないと、じゃあ、そっちへ預ければいいやとなったり、非常に一律のランキングのようなものになるので、ベースは各大学が自主的にきちっとやらなければいけないということがあるという議論が途中で出ましたので、そこでこの構成は4番のところなのですけれども、9ページの(1)、11ページの(2)、やや手法的な面で12ページの(3)、つまり、大学の負担軽減の方策でやらなければいけないという手法的な側面、その場の整備という具体的なお話で(4)というふうに議論が整理されています。
 それで、そういう文脈からいたしますと、今の(1)のところは、それぞれの大学がどうするかということについての方向性、(2)はコミュニティとしてどうするかという方向性になっております。そこで、いいか悪いかは別といたしまして、構造上、(1)につきましては各大学がどうするかということなので、比較可能といった場合に、水上先生のお話なんですけれども、各大学がほかの大学と比較を可能にするというのはなかなか論旨としては難しい。ただし、(2)のほうについて言うと、これはコミュニティとしてオープンに合意をとりながらやるということに後につながっていくところなので、その際の目標として水上先生がおっしゃっておられるように、みんなである達成目標として十分な選択肢を与える、これは具体的に方策が立てられるであろうと。
 そうしますと、(1)につきましては、今の水上先生のご意見がもし、それをそういう形で反映しようということになりますと、構成上は、各大学はそういう選択肢を増やしていく、あるいはそういうものを得られるのに資するように各大学としては、まず自主的にやるということがあって、(2)の大学団体による支援というのは、コミュニティで合意をとりながらやる分については十分な選択肢が得られるように持っていくというような形で整理をすると、今の水上先生のご意見に対して、ほかのご意見があるのかもしれませんけれども、構造がそういうふうになっているので、2カ所に全く同じように入ると少々説明しにくいということがございますので、ご留意くださればと思います。

【鈴木座長】  この報告書の章立てといいますか、構成といいますか、その観点からすると、9ページの4の促進方策というのは4つある。最初の(1)が各大学の自主的・自律的な取り組みということになっておりまして、この辺を第一に考えるならば、今、水上委員がおっしゃったところは、もう少し(2)、あるいは(4)あたりに置くということが構造上、あるいはこの考え方からしてふさわしいのではないかというふうな意見でございますけれども、どうでしょうか。

【水上委員】  今のご指摘は、構造上、おっしゃるとおりかと思います。その上で申し上げると、逆に言うと各大学の自主的・自律的な取り組みというのが(4)で書かれているようなコミュニティによる達成、比較可能性というものともし相反してしまうとやはり問題があるので、今のご意見を踏まえて言うと、今の私が足してほしいと言った文言を、各大学が情報を受け取る者が必要とする十分かつ比較可能な教育情報を得るのに資するよう、自主的・自律的に取り組むことを基本的な考え方にするべきであるというふうにするのであれば、1つ考えられるかと思います。いずれにしても、各大学の努力としても、その後のコミュニティ等々の活動に対して十分にそれをバックアップするという姿勢で行かないと、一方で自主的・自律的というところと、もう一方でコミュニティが比較可能にしようというところが対立をしてしまうと、この先、面倒くさいことになるでしょうから、ここはやはり資するように変えた上で入れていただいたほうがよろしいのではないかなと考えています。

【髙倉委員】  1回目か2回目のこの会議のときにフロアのほうから、教育情報と言うけれども、教育情報のコンセプトをはっきりさせていないのではないか。つまり、大学の役割、機能として教育研究、社会貢献等が挙げられるのに教育情報ということだけでいいのかということで、教育情報のコンセプトについての問題提起があったのを記憶しております。それで、この赤い見え隠れで、あるいはこの前配っていただいたので拝見いたしますと、大学の教育内容や教育環境に関する情報(教育情報)、だから、教育情報に関してコンセプトを示しているわけですね。きょうお配りいただいたのを見ますと、もっと制度論的に学校教育法施行規則第172条の2第1項に規定する9項目というようなことで非常に制度論的に限定的に書かれているわけですね。
 しかし、後ろのほうの9ページになりますと、着実に行うとともに修得すべき云々というのが、同第2項の、努力義務まで書いてある。そうなってきますと、教育情報というもののコンセプトといいますか、あるいは私どもが取り扱っている教育情報というキーワードの範囲、それをこれで明確になっているのだとも考えられますし、何かもう一つ、はっきりしない。もっと言えば、制度論的に限定的に規定されていないかというような気もしないではないので、そのあたりはどういうふうにお考えの上、おまとめいただいたのでしょうか。

【榎本高等教育政策室長】  今回の各大学で公表が課されている項目に関しましては、制度論的にアプローチをいたしましたが、そこに書いている内容、資料ではつけておりましたでしょうか。21ページ、22ページのところでございますけれども、21ページに、極めて広い観点で規定をされております。教育研究上の目的、この21ページの左側のほうの(1)から(9)でありますけれども、教育研究上の目的、組織、教員組織、入学者受け入れ、それから、学生の人数等、授業科目、学修成果、それからそのほかにキャンパスの概要ですとか、さらに学生に関するさまざまな情報、学生支援等含めまして、この9項目の内容も広い、大学の教育の活動ですとか環境にも着目したものというふうになっています。この項目に関して各大学で公表が求められるというふうにしております。
 一方、先生がおっしゃるとおり、少し整理が必要なのかもしれないと思いましたが、そのうちの21ページの一番下、公表に努めるべき事項というところに関しましては、義務ではなくて各大学でいろいろと工夫しながら取り組んでいただきたいとしておりますので、この(1)から(9)までの項目、それと各大学でと分けて書いてみているところであります。教育情報の公表という場合に、その辺、義務のところだけを言っているのか、全体も含めて言っているのかが少しずれている点を今思いましたが、基本的には公表しましょうという場合には、この前半のほうの9項目のことを想定しております。

【髙倉委員】  9項目のことね。努力義務のほうは特に中に含めない。

【榎本高等教育政策室長】  それは公表すべきであるというふうになっておりませんので、各大学で工夫しながら進展を期待したいという構造にしております。

【髙倉委員】  工夫が求められるという書き方ですね。それでよくわかりました。ただ、1ページの目的のところで非常に歯切れよく9項目だけについて制度論的な書き振りで書かれているということと、後のほうとの整合性がこれでいいのかなというような気がしましたので。わかりました。

【井上委員】  私も事前にいただいて読んでみて、この参考資料の先ほどご説明いただいた21ページとか22ページあたりで、構成がそうなっていることは理解できました。こういう比較をしていいのかどうかというのは私も迷ったのですけれども、例えば私どもの会員企業がつくっている工業製品などは、それぞれの法体系に基づいてスペックが出されます。多分、大学で公表すべき項目というのは、恐らく工業製品で言えばスペックに当たる部分ではないかと思うのです。測定の仕方まで全て決まっているわけです。例えば自動車であれば、外と内装とサイズの測り方が決まっている。ですから、こういうものはやはり比較可能なかたちで出さなければいけない。ただ、問題はここに書いてあるような項目でほぼ同じような情報が書かれているものであっても、全く性格が違う大学があるということですね。
 したがって、情報の公表の仕方というのは、まさにここに書かれているように大学自体が工夫をしていくということで自分たちの特徴を表に出していくということが必要だという感じがします。多分、少なくともこれから大学に入って勉強して、何らかの能力や資格を取っていきたいと思っている学生にとっては、この1番目のところよりも2番目のところのほうが重要な要素になってくるのではないかという感じを持っています。そういうものは文章のみならず、チャートや画像、動画で見せ、それでもわからない部分は、オープンキャンパスなどの方法で見せていくという考え方が必要なのではないでしょうか。
 それは報告書に書かれているように、大学自身が自分たちの大学をどうしていくのか、どういう経営をするかということも含めたことで決まってくるのではないかと思います。しっかりと地域の人材を育てるという大学もあれば、グローバルに展開をしていく大学もありますので、その辺はそれぞれの大学が判断してやっていけばいいのではないでしょうか。よく読んでいくと、そういうことがわかるような形になっていると私は思いました。

【鈴木座長】  皆さんいろいろご意見がおありで、あるいはご自分の出身母体というのはおかしいですけれども、いろいろお考えでこの状況、あるいは文言をご理解、解釈なさっているかと思いますが、これは議論を続ければまだいろいろ出てくると思いますけれども、座長として理解させていただくところ、水上委員の文言を足すというところで、キーワード的なものがあるのではないかと思うんですね。その中でも「比較」及び「選択」、そして「わかりやすく」、必要十分という言葉も出てきますけれども、突き詰めると比較、選択ということとわかりやすくということがあるのではないかと私は解釈いたしました。
 それで座長としては、この比較、あるいは選択という言葉を9ページの(イ)に入れるということでどうだろうかとも思います。この場合に、これは各大学の自主的・自律的な取り組みですので、比較というのと選択というのは、学生の主体性からすると選択というほうに私は実質的な意味があるのだろうと思うんですけれども、そういたしますと、(イ)のところに「高校生の視点からは」という文言がありまして、このパラグラフのところに、「選択の材料として」という趣旨の文言、「選択」そのものでもよろしいと思うのですが、それをここに入れるということで水上委員のご趣旨がここに入るのではないかと解釈するのですが、いかがでしょうかい。
 それから、井上委員がおっしゃったスペックが違うということは、十分考慮しなければいけないわけで、そういう観点からしましても、今、私が申し上げた文言、あるいはキーワード的なものを(1)の「高校生の視点からは」というところに入れていただくということでスペックの違いということも含まれた意味にとれるのではないかと思った次第であります。

【水上委員】  結論から申し上げますと、今の座長の方針で構わないのですが、ただ、議事録に残しておいていただきたいので発言しますが、個人的な認識としては、やはり(ア)に入れたほうがいいと私は思っています。なぜなら、最初に書かれていて、基本的な考え方とすべきであると書かれているんですね、(ア)の内容は。なので、基本的な考え方自体が情報を受け取る者が必要とする必要十分かつ比較可能な教育情報を得るのに資するような情報公開でなければならないと私は思っておりますので、本来、(ア)に入れるべきだと思っておりますが、そのような議論を十分に斟酌していただいた上で、(イ)に文言上は入れるということであれば、文言自体に拘泥しても仕方がありませんので、その点については了承させていただきたいと思います。

【鈴木座長】  これはある意味、座長の考え、皆さんのご意見を総合して考えを述べさせていただいたのですが、これは皆さんのご意見をいただきたいのと同時に、事務局のほうで私が申し上げたようなことを座長一任というふうなことで取り扱わせていただければ、そういうふうにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。皆さん、よろしゅうございますか。それでは、そのようにさせていただきます。

【佐久間委員】  先ほど早田先生が14ページの(ウ)の地域、規模などに着目してというところで話されたわけです。それで、13ページの検討の方向性から(ア)(イ)(ウ)と並んでおりまして、(ア)のところに規模の小さな大学や地方の大学などが地域に根差した特色のある教育を行い、それを地域の人材に対するニーズにこたえて云々というふうにして、ここに規模の小さな大学とか地域というのが出てきておりまして、ここで対比されているのは、都会の大学とは違って地方の大学でもその地域でニーズにこたえる、ほんとうに強みのある教育をやっているんですよ、あるいは大大学ではなくて小さな大学もそれぞれやっているんですよと、そういう比較を超えるような情報をどう発信していくかということというふうに、こういうふうに書いてあるわけです。
 14ページの(ウ)のところで、地域、規模などに着目して一定の範囲でというと、せっかくそういう、それぞれが一生懸命やっているのを、じゃあ、今度また地域の中で比較できるようにしませんかというふうな感じになっているので、ここの(ウ)のところだけに着目すると、地域、規模というのが先ほどおっしゃったような形の規模別に何かこういうふうにまた比較できるようにすると見えてきて、そうではないことを(ア)のほうは言っていると思いますので、その辺、地域、規模というのをもう少し、(ウ)のほうの地域、規模を何か違う形で言っていただいて、(ア)の精神を生かしていただきたい。
 (ア)(イ)(ウ)として(ア)も(イ)も、それから、(ウ)の3行目までもやっぱり強みとか特色とかといって、ほんとうに比較できないところを大事にしようというふうな形の主張になっておりまして、「その上で」以下が並べて比較できるようにしましょうとなってしまっているわけですけれども、先ほどの議論からすれば、1と2の2のほうをかなり重視してこれからの検討の方向性と言っていると思いますので、その精神でお願いできればと思っています。

【榎本高等教育政策室長】  (ア)に書きましたような小規模大、地方大の強みという趣旨について、(ウ)のところでもう1回、過剰にならない範囲で少し言葉を補うようにしてみたいと思います。結局、(ア)のところで情報を集めて、(ウ)のところでその情報を発信するということで、これはつながっておりますので、集めるけれども発信しないということではありませんから、そこはつながるように整えたほうがいいというふうに考えました。

【鈴木座長】  佐久間先生、よろしゅうございますか。

【佐久間委員】  はい。結構です。

【浅田委員】  私もこのまとめは今までの議論を集約してまとめていただいたと思って感謝しております。それで、先ほど水上委員がかなり発言された部分というのは、せっかくこういうものを議論して今後つくっていくのだから、多分、より実効性のあるものにしようというご発言で、それは皆さん賛成なのだと思います。そのときの1つの参考情報なのですけれども、今の大学がどういう意識なのか、要するに前向きなのか、後ろ向きなのか、そういうところが1つあると思うのですけれども、約1カ月前ですけれども、読売新聞が大学の実力調査というのを全国の大学にアンケート調査して、それを集計したものを公表しております。そこのデータというのが、いわゆる定員充足、それから、退学率、卒業率という、ある意味でデリケートな情報を調査されているんですね。
 その内容がかなり、国公立はほぼすべてですし、私立もかなりの大学がこれに協力されています。これは別に義務ではないから、いわゆる自主的に出されたのだと思いますが、そういう意味で言うと、今の日本の大学というのは、こういうものに関しても基本的に情報を出すということがベースにあるということは理解できるのではないかなと思っています。いわゆるこの場でもいろいろ、さまざまな大学の特色というものを考慮して、こういうものを見なくてはいけないということに関して、これは出す、出さないは大学の判断だったわけですが、そういう意味では、わりとそういう情報を出すというベースがもう醸成されてきているのだろうという認識を私は持っています。それと、これに関して私が少し気づいたのは、今後、この方向性に基づいてデータベースが整理されて、それが公表されていくというときに非常に大事なことは、データの信頼性だと思っています。
 実は、読売新聞の方、きょう、おられないので残念なのですけれども、私自身はこれはかなり毎年、丁寧に調査されているなと思っているのですけれども、今回の表現のところでやや問題を感じているところがあります。それは何かといいますと、大学側に来た調査の調査内容の説明と、新聞で公表されたときの説明に食い違いがあるんです。これは非常に大きな問題を、ある種の誤解を生むところがあると思っています。それは卒業率に関するところなのですけれども、その辺のところって、結構、大学側がこのデータをどう信頼して見るか、それから、外部のいわゆるいろいろな立場の方が見るときの解釈、そこにずれが起こると、これそのもののデータの信頼性が失われる。だから、そういう意味で言うと、今後、データベースをつくられて分析、公表されていく中で、そこのところはぜひ押さえていただきたいと思います。

【鈴木座長】  そのほか、いかがでしょうか。これでよろしいということでございましたら、この協力者会議の結論として、この中間まとめの案というものをこの資料1のまま、今、水上委員からコメントがございまして修正、それから、佐久間委員からもございましたけれども、その修正を加えて資料1を「中間まとめ」の最終版とするとして取り扱わせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。本日のご意見を踏まえて必要な修正を行いたいと思います。詳細につきましては、私が責任を持って進めたいと思いますので、ご一任いただければと思います。

【浅田委員】  今後の話で1点だけお願いしたいことがございます。この取りまとめそのものはこれで私はオーケーだと思うのですけれども、今後、恐らくデータベースを構築したり、それを運用したりという段階に入っていくのだろうと思います。そのときに、ここにも少し触れてあるのですけれども、もう少し今後のそういう組織づくりのところで検討いただきたいのが、情報システムをつくるという発想できちんとした人も入れた実効性のあるものにしていただきたいということなんです。
 というのは、特に学校基本調査などがもう既にあり、大学が持っているので、それをまた出せばいいでしょうというようなことが書かれている。そうではなくて、そこの大学とそういうデータベースとインターフェースをぜひきちんと設計いただきたいと思っています。そこがまた二重の負荷、三重の負荷になってくると、これまた大学側としては大変なことになりますので、今、インターネットもこれだけ進歩しておりますので、かなり情報の収集方法も便利になっていますし、セキュリティーもきちんと確保した上でそういうことが設計できます。だから、ぜひ情報システムの専門家の方も含めた形できちんと運用できるものをつくっていただければとお願いいたします。

【鈴木座長】  それは今後の予定の中で十分考えていかなければいけないと私も了解いたします。
 中間まとめについて審議が終わりましたので、1つの区切りとなりました。文科省からあいさつがあるということですので、よろしくお願いします。

【小松審議官】  ご協力をお願いいたした側として、一言ごあいさつ申し上げたいと思います。6月に始めていただきまして、実質2カ月で、6回やっていただきましたので、ほんとうにお忙しい中、2週間に一遍ぐらいの割合でお集まりいただき、心から感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
 大学改革の関係、もう山のようにいろいろな課題があるのでございますけれども、根本的には大学教育の質の向上ということが、特に現代のいろいろな変化の中でどういうふうにやっていくかということが関心事項として非常に大きゅうございまして、現在、中教審もそのことを軸にしてさまざまな議論をしております。その中で、日本の大学制度として、制度全体としてその状況をしっかり外にも可視化をし、制度全体としての信頼感や支持を高めていく必要があるという部分と、それから、大学ごとに特色が異なりますので、それに基づいて多様に特色のある教育活動をしていただいて、それが日本の高等教育機会の多様な展開につながっていくという部分と両者深く関係しているのですけれども、あえて言えば、そういう二側面があるということで、この2つについて全体をどのように効率的・効果的に実現していくかということも含めて議論をするということが、特にこの春ぐらいから始まっております今の期の中教審などの骨子になっているところでございます。
 それは前の中教審、この春までに終わりました中教審から引き継がれてきているのですけれども、それをやっていくことの必要性として教育情報、一応、かぎ括弧付きになりますけれども、そういったものの公表・公開というのを進めていこうということが提言もされ、制度改正にもなっているわけですけれども、具体的にやるにはいろいろと詰めていかなければいけないということがあり、制度改正に伴って進めていくための深めというのをここの皆様方にお願いしたということでございます。そういう趣旨に沿って十分議論していただいたと考えておりまして、しかも、本日のご議論を伺っておりますと、根本になりますが、各大学の自主的・自律的な取り組みということもあれば、大学団体によるさまざまな支援ということもあれば、それを貫く基本的な考え方というのは、しっかり書いていくべきではないかというようなご議論をいただいたものと理解しております。
 それを踏まえまして今後の、この会議のスケジュールというのはまたご相談したいと思いますが、全体として必要なこととしては、もちろん各大学でさまざまにそういった取り組みをしていただくということはありますけれども、とりわけ最後に出てきましたデータベースの話につきましては、適切な形で具体化できるように確かに早急に取り組んでいくことが求められていると認識をいたしました。そのためには、今後、私どものほうでも、そういう専門性のことも含めて種々努力していかなければいけないと思いますけれども、他方で大学関係者の大学団体、大学のコミュニティといったところでも、皆様、集まって具体的に検討を進めていただけると非常にありがたく、行政としてはそういうものをバックアップしていくという形が一番望ましいのかなと考えておりますので、そういった点で必要な支援に一生懸命、対応してまいりたいと思いますし、皆様方にもよろしくお願いをしたいと思います。
 取りまとめいただきました鈴木座長、岡本副座長をはじめ、各委員の先生方には改めてほんとうに感謝申し上げます。それと、この教育情報のお話は、ここはこういう次第に一応まとめておりますけれども、今申し上げましたように大学改革とか、日本の大学の教育の質の向上の屋台骨を支えることになりますので、そういった引き続き教育情報に限らず、いろいろと大学の充実の支援に皆様方のお知恵、お力をお貸しいただきますようにお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

【鈴木座長】  それでは、本日の協力者会議は終了いたします。ありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課

電話番号:03-5253-4111(内線3681)