資料2 独立行政法人大学評価・学位授与機構が行う認証評価事業(専門職大学院の教育研究活動等の状況に関する評価)の民間評価機関による事業実施に関する検討会議とりまとめ(案)

 

平成23年4月26日

独立行政法人大学評価・学位授与機構が行う認証評価事業(専門職大学院の教育研究活動等の状況に関する評価)の民間評価機関による事業実施に関する検討会議とりまとめ(案)

 独立行政法人については、これまでの事業仕分けの結果等を踏まえ、すべての独立行政法人の全事務・事業と全資産をあらためて精査し、見直しが必要な事項に対し、講ずべき措置を「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)(以下「基本方針」という。)として、とりまとめられたところ。
 本検討会議においては、基本方針において、独立行政法人大学評価・学位授与機構の行う認証評価事業(専門職大学院の教育研究活動等の状況に関する評価)について、「民間評価機関による事業実施の検討について、民間評価機関を含む関係者による公開の検討の場を設け、対応を検討し、結論を得る。」とされたことを受け、今後の適切な対応について検討を行った。

1.法科大学院の認証評価の意義について

  内閣の下に設置された司法制度改革審議会が平成13年6月に取りまとめた意見書(以下「審議会意見」という。)において提言された、質・量ともに豊かな法曹を養成するという司法制度改革の目的を実現するためには、法学教育・司法試験・司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度の中核的機関である法科大学院がそれぞれの教育理念に基づき、自主的・自律的に質の高い教育研究活動を行うことが重要である。
 審議会意見においては、法科大学院における入学者選抜の公平性・開放性・多様性や法曹養成機関としての教育水準、成績評価・修了認定の厳格性を確保するため、適切な機構を設けて、第三者評価を継続的に実施することが必要とされ、法科大学院制度において認証評価は極めて重要な制度として位置づけられている。
 審議会意見を踏まえ、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成14年法律第139号)には、法科大学院の認証評価において、法科大学院の教育研究活動が、文部科学大臣が認証した評価機関(以下「認証評価機関」という。)が策定する評価基準に適合しているか否かの認定を実施すること等が義務付けられている。

2.法科大学院の認証評価の適切な実施について

 1.で述べた司法制度改革における認証評価制度の重要性を踏まえ、法科大学院の認証評価の適切な実施を確保しつつ、民間評価機関のみで事業を実施するためには、以下のような課題がある。

(1)認証評価機関の多様性の確保
 認証評価制度においては、大学の多種多様な特色を伸ばすことができるよう、それぞれの評価理念に基づく評価基準・評価手法を備えた多様な認証評価機関の存在を前提とし、各大学が自らの教育理念や目標とする特色に応じて認証評価機関を選択できるようにすることが必要である。また、認証評価機関の質の維持・向上の観点からも、特色を異にする多様な認証評価機関が相互に連携や切磋琢磨することにより、評価方法・内容の向上など評価水準の底上げを目指している。
 特に法科大学院の認証評価については、様々な分野で多様な法曹が活躍する社会を作るという司法制度改革の理念に基づき、審議会意見においても法科大学院の多様性の確保が求められていることを踏まえれば、認証評価機関の多様性に対しても一層配慮することが必要である。
 以上のことから、多様な認証評価機関による認証評価体制を確保することが望まれる。

(2)財政的・人的・物理的課題
 法科大学院の認証評価については、司法制度改革の理念を踏まえ、機関別の認証評価と比較して、評価項目や評価方法が専門的かつ詳細であり、認証評価実施後のフォローアップも加わって、認証評価機関の財政的な負担が重くなっている。
 また、評価人材(評価委員及び評価事務を担当する職員)の育成・確保が難しいことに加え、74校ある法科大学院のうち、1巡目の認証評価においては、44校が平成20年度に評価を受けるといった評価実施時期の集中が見られるなど、認証評価機関にとって人的・物理的な負担も非常に大きなものとなっている。
 一方、認証評価機関の選択や評価を受ける時期については、各法科大学院が学内での教育研究活動の進捗状況や評価手数料に係る予算計画などを踏まえ、自主的判断に基づき決定するものである。認証評価制度の運用にあたっては、これらの諸状況を適切に勘案する必要がある。

(3)2巡目の評価実施への準備状況
 現在、各法科大学院において、2巡目の評価に向けて認証評価機関の選択を含めて準備が進められているが、既に現時点で大学評価・学位授与機構への申請を予定している法科大学院も多数存在している。

3.民間評価機関による事業実施について

 民間評価機関のみで適切に評価事業を実施するためには、2.に示した評価機関の多様性の確保、財政的・人的・物理的課題などの諸課題の解決が必要であるが、現時点では、1このような諸課題が直ちに解決できる状況にはなく、2現在活動している2つの民間評価機関からも2機関のみでの実施が困難である旨が表明され、新たな民間評価機関の新規参入の予定がないことなどを踏まえれば、法科大学院関係者や法曹関係者の理解を得て、民間評価機関のみで適切に実施できる環境にはない。したがって、司法制度改革の理念も踏まえ認証評価の役割を適切に果たしていくためには、当分の間は、大学評価・学位授与機構を含めた現在の3機関で、法科大学院認証評価事業を継続して実施していくことが適当である。
   一方、法科大学院認証評価3機関を含む全ての認証評価機関で組織された「認証評価機関連絡協議会」が平成23年1月に発足するなど、認証評価の一層の充実に向けた認証評価機関間の連携を促進する取組が行われていることから、今後、当該協議会等を活用しつつ、法科大学院関係者とも連携を図りながら、司法制度改革の理念の実現を目指していく中で、2.に示した諸課題の解決に向けた検討を行っていくことが必要である。
 合わせて、大学評価・学位授与機構についても、基本方針の趣旨を踏まえ、法科大学院の認証評価を行う他の機関とのイコールフッティングを図るため、関係者間で必要な議論を行うことが適当である。

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