独立行政法人大学評価・学位授与機構が行う認証評価事業(専門職大学院の教育研究活動等の状況に関する評価)の民間評価機関による事業実施に関する検討会議(第2回) 議事録

1.日時

平成23年4月26日(火曜日)10時30分~11時40分

2.場所

金融庁9F共用第一会議室

3.議事録

出席者 

(委員)
石田眞、磯村保、岡本和夫、柏木昇、河田悌一、潮見佳男、鈴木典比古、永田眞三郞、前田雅英の各委員

(公益財団法人日弁連法務研究財団)
柏木昇常務理事(再掲)

(財団法人大学基準協会)
鈴木典比古副会長(再掲)
永田眞三郞法科大学院認証評価委員会幹事(再掲)

(独立行政法人大学評価・学位授与機構)
岡本和夫理事(再掲)

(事務局)
義本高等教育企画課長、中野専門教育課専門職大学院室長
三木高等教育企画課課長補佐

議事

(1)事務局より、配付資料の説明があった後、資料2に基づき、本検討会議のとりまとめ(案)について説明があり、意見交換が行われた。

【河田座長】

 いま説明いただいた「とりまとめ(案)」は、前回それぞれの委員の先生方から頂戴した意見をまとめて、それに「序」に当たる「まくら」がついております。第1番目にその意義、これも大体3つの意義があるということです。それから、第2番目の適切な実施ということで、これについても3つ、多様性の確保が重要であるということと、現在の状況のもとでは財政的・人的な評価をする人材の養成という人的、あるいは実際には手数料云々ということで物理的な問題があって、負担が非常に重くなっている。第3番目が、現在、大学評価・学位授与機構で既に23の大学が申請しているという状況があって、これをなくすることは難しいだろうということ、またその事業実施についても大体3つでございますが、マル1に3機関でやっていくことが当分必要だろうし、マル2に協議会が開かれているので、そこで司法制度をはじめ、いろいろなことを考えるべきだろうし、マル3に大学評価・学位授与機構についても、その中でどうしていくかということを考える必要があろう――となっています。「とりまとめ(案)」は3つの問題について各3箇条に分けて3、3、3と明快に書いてございます。

 以上でございますが、それぞれの委員の先生方のご意見をいただいて、つけ加えるべきはつけ加え、あるいはこれは表現を変えたほうが良いというところがございましたら、ご意見をいただくということにしたいと思います。

 まず、前回ご意見をいただきました日弁連法務研究財団の柏木先生、いかがですか。

【柏木委員】

 非常によくまとめていただいていると思います。過不足なくまとめられていると思います。

 最後の点はちょっとニュアンスの問題かなと思いますけれども、どうも一般的に民間がやっていると、もうかる仕事じゃないか、もうからなくても収支トントンぐらいじゃないかという推測が働く傾向があって、それが誤解を生んでいるんじゃないかと思いますけれども、これは前回ご説明しましたように、絶対にペイしない事業でありまして、そういうところに普通は民間が入ってくるわけがないわけでありまして、その辺をもう少し強調していただいてもいいかなと感じました。

 ただ、2.の(2)で財政的な問題が非常に大きいということを強調していただいておりますので、これでもいいかなと思いますけれども、できれば3.最後のまとめのところでもう少し赤字体質であるということを強調していただいてもいいかなと思いました。

【河田座長】

 ありがとうございます。赤字体質である、大変だという、お金がかかる、民間がなかなか参入できないということを、もうすこし強調してはということでございます。

 続いて、前回ご意見をいただきました大学基準協会から永田先生、いかがですか。

【永田委員】

 基本的によくまとめていただいていると思います。別にどこをどうということじゃありませんけれども、少し付言しますと、多様性の確保という点からすると、これは維持すべきだということになるわけです。その後、2つの機関に限るとする場合は現実には難しいんだということは少し方向が違うと思うんですが、多様性の確保という点も重要であって、その点は今後も継続して議論していただきたいと思います。

 特に、ここは出ませんでしたけれども、多様性、多様性と言っていますけれども、我々、現実にそれにかかわってまいりますと非常に特色がございまして、大学評価・学位授与機構は法令基準、それに準ずる基準をきっちりと整理され、明確に提示されて、それに対応されているという感じがします。それから、日弁連法務研究財団のほうは実務法曹を育てるための機関という認識で、そういう点でそういう視点からの固有の項目もありますし、重点項目も違うところがございます。

 それから、私ども大学基準協会はピアレビューの伝統がございまして、大学の中でそれを理解している者が十分にそれを厳正に審査して、改善を図っていくという姿勢がございます。そういう意味で、単に3つあるから多様だということじゃなくて、先ほど義本課長から話がありましたように、考え方と手法が違うということで、これは非常に重要な点で、1つ教育機関が1つの方向性で認証評価されるということじゃなくて、今あります3つの機関で評価される対応になっている点は非常に重要だということで、これを十分に確認いただきたいという感じがいたします。

 最後の、もしその問題を抜きにしましても、2機関でできるかという問題は物理的にかなり難しくて、現時点ではということで、ここに書かれている点では2機関では現時点では困難であるということで、物理的にその調整がうまくいけばということでありますが、その体制と調整、この2点が残っておりますので、不可能ではないということでありますけれども、現時点では相当の調整と準備が要るということはそのとおりであります。

 最後にイコールフッティングの問題ですが、これは法科大学院が立ち上がるときに国公立と私学とのイコールフッティングの話があったんですが、私どもは決して国立大学の授業料を上げてくれという意味で競争環境を整えてくれということじゃなくて、私学の授業料がこのままではとても高額になるから、その点を少し配慮した対応をしてほしいということでイコールフッティングというのを出してきたわけでありますが、そうなってきますと、今度は機構がかかる費用を値上げして、行革的といいますか、税金の投入を少しでも少なくするという方向、これは当然ある方向なんですけれども、もしそれが値上げにつながりますと、結局それは学生に還元するということになるかもしれません。

 そういうことになると、それが難しい。従来の国公立のあり方という点は、学費が少し低減されていることが一つの特徴であるとしたら、あるいは大学がそれをカバーするとすれば、結局、今度は国立大学法人に国費を投入するということにもなりかねないわけですので、そのあたりも十分考えられて、そういう点で直ちにイコールフッティングというのも、循環すると結局、税金投入につながるということもあり得るという点を考慮して、検討いただきたいという感じがいたします。

【河田座長】

 ありがとうございました。3つ言っていただきました。最初の評価機関の違い、それぞれどういう特色があるかというのを加筆して、こういう違いがあるということが必要だという考え方、手法の違い。それから、最後のところで、現時点では困難だけれども将来的には、ということがもうすこし書ければということであります。それから、イコールフッティングということで、評価手数料の問題も触れればという貴重なご意見でございました。

【永田委員】

 まとめ自体はこのままでいいかと思います。

【河田座長】

 でも、まだ空白行がありますから、増やすことは可能だと思います。

 それでは、大学評価・学位授与機構の岡本委員のほうからもいかがでございましょう。

【岡本委員】

 よくまとめていただきましてありがとうございます。特に私のほうからつけ加える点はございません。柏木先生、永田先生のご意見は非常に至極もっともであろうと思っております。

 ただ、これは実際的なことなんですけれども、最後のところで、しかるべきこの法科大学院の認証評価に当たっている機関の中での、例えば専門家の話し合い等は続けていかなければいけないだろうと思っております。ここに書いてありますとおり、これはどこが呼びかけるのかというと、私どもが呼びかけるというのもちょっと変な気がするので、ここにも引用されておりますが、認証評価の連絡協議会というのがございまして、ここに該当するメンバーの先生方はすべて出席しております。そういうところで話し合って、こういう協議会をつくり上げていくのが一番現実的で、有効ではないかなと思っております。

 最後のイコールフッティングの話ですが、これはご指摘のとおりでございまして、こういうことが大事だということはまず1つあるんですけれども、イコールフッティング論だけを取り上げて議論するというのはなかなか難しいので、そういう全体像の中であわせて議論するという方向でやっていくものではないでしょうかということだけでございます。

【河田座長】

 ありがとうございます。

 それでは、委員の先生方からご自由に。鈴木先生は初めてのご参加です。どうぞ。

【鈴木委員】

 前回はこういう重要な会議に欠席いたしまして、申しわけございませんでした。

 永田先生も大学基準協会のお立場、この制度自体の将来について非常に深いご発言をいただいております。また、今日も先生のご発言を拝聴させていただいて、基準協会としてもこれが基本だというふうに私も思います。

 それで、一番最初に義本課長がご説明された認証評価機関の多様性の確保はどうしても必要で、その観点からしますと、こういう認証評価を民間評価機関による事業実施にするんだ云々ということもあるかもしれませんが、とにかく複数、多様性を維持するということは、それよりも以前の原則的な問題として非常に重要だと私は思います。その意味で永田先生がおっしゃった多様性を確保するために今の体制で当面いくべきではないかということは、私も十分理解できることだと考えております。

 そういう基本的な考えのもとでこれを読ませていただいて、基準協会でもこういう民間評価機関による事業実施に関する状況にどう対応していったらよろしいかということで、内部では非常にあたふたとしながらも、ずうっと検討を続けてきたところでありまして、確かにここで2つの民間評価機関のみでは実施が困難だということも内部的には議論になったことがあります。さはさりながら、もし機構が撤退なさるといった場合に、どういう対応をしてこの制度自体を維持、あるいは拡充していくべきなのかという観点に立ちますと、どうしても基準協会としては非力ながらも一定の役割を果たしていかなければいけないということで、そういう状況になった場合にどうしたらよろしいんだという議論をしてきたわけです。

 その観点からしますと、とにかく予算も増やさなければなるまい、人も増やさなければなるまい、あるいはスペースも確保しなければなるまいという非常に現実的、切実な議論も一部しているわけですけれども、そういう観点からしますと、これは文言的なことですが、3.のところで、先ほども永田先生からコメントがありましたけれども、現在活動している2つの民間評価機関からも2機関のみでは実施が困難であるというのがあるんですが、基準協会としては何とかこれをやらなきゃならないのではないかという気分が非常に強かった面がありまして、簡単に実施が困難であるということではない面があるんです。

 ですから、表現的にここはちょっとお考えいただきたい面があります。基本は、やっぱり多様な機関が存在するということはどうしても必要だということで、さはさりながら基準協会も簡単にこれは2つではできませんということじゃなくて、一生懸命悩んでいるということをここにある意味加えていただければと思います。

 それから、私もこれでよろしいと思うんですが、3.の一番最初の民間評価機関のみでするのは困難だという文脈になるんですが、これも現実的にはまことにそのとおりなんですけれども、ここももう少し文言的に、確かに大学評価・学位授与機構と大学基準協会と日弁連法務研究財団の三者でやっていくということは必要なんですけれども、後者2つが民間だということからしますと、こちらも一生懸命努力してやっていかなきゃいけないという面もありますので、この辺の表現も多少手を加えていただければ意が伝わるかなと思います。無理があるかもしれませんが、ご高配いただければと思います。

【河田座長】

 具体的にここはこうだろうかというご提言もいただきましたので、メールのやり取りなどをしながら、最も適切な表現にしたいと存じます。

【永田委員】

 3.の3行目からですが、文章の文意としては、現時点では全体をかぶっていまして、そうだと思うんですけれども、このまま読み続けますと、困難であるということが表明されたということが強調されますので、当面は難しい問題があるという趣旨で繰り返されて、「現時点では」という副詞が全体にかかるので、このままでいいのかもしれませんが、そこで繰り返してもう少し「当面は難しい」ということを、少し重なりますけれども、入れれば誤解がないんじゃないかという感じがいたします。そのあたりは修文をお願いしておきたい。

【河田座長】

 了解いたしました。

 それでは、前田先生、いかがでございましょうか。

【前田委員】

 基本的にはこういうまとめしか今の段階ではないし、これに異議を唱えるつもりは全くございませんで、こういう検討会議も最終回で、一部の修文的な直しはあり得ても、骨組みをいじっていただきたいというのであれば、事前に申し出るような種類の話だと思います。

 ただ、こういう公開でやって、国民の関心もある意味では非常にある。要するに独立行政法人のスリム化の話に関しての感想だけはちょっと申し上げさせていただきたいと思います。ですから、基本的にこの諮問も民間評価機関によって事業実施ができるかどうかを検討せよという下命ですので、それに対する答えとして、今の現状を踏まえれば民間だけでは無理で、1つを残さざるを得ない。その答えはこれで立派だと思うんですが、そのプロセスの中で3つぐらい多様性が必要だというのもそのとおり。3つにそれぞれ個性があって、それぞれ機能があるというのも非常によくわかるんですが、その1つだけが独立行政法人で税金を投入するという理由づけは、国民から見るとちょっと弱いだろうなと。我々、第三者的に見ますと、あとの2つも経済的には非常に厳しい、財政的に厳しいんだとすれば、単価のイコールフッティングということではなくて、何らかの補助といいますか。

 ただ、これは非常にうまくできていて、最後の3.のところで、2.に示した諸課題の解決に向けて議論を進めていくと。だから、ここのところが実質的なこと、今申し上げたようなことも含めて検討を進めていただけるという趣旨で読んで、これで納得する。今、大学基準協会からご指摘がありましたように、基準協会も、我々も新司法試験の関係で適正試験というのは非常に重要な存在で、それに関しての一連の動きなんかを見ていますと、何が起こるかわからないし、その中で民間だけでやっていく可能性もあるので、その努力もされておられるということもあるので、そういうことも含めた諸課題の解決を読み込んで、私はこの案で。だから、そういうニュアンスが国民に対しても伝わる必要があると申し上げたいと思います。

【河田座長】

 難しいところで、独法であるということ、そしてそれには税金が入っている。だから、そのことを考慮しながら、ほか2つの民間と対等に並んでいいのかという問題も潜在しているんじゃないかというご指摘だと思いますが。

【前田委員】

 文言的には意見としてはこのままで結構です。ただ、ここで外に記録が出ますので、発言をしたいというだけです。

【義本高等教育企画課長】

 この点は、1回目のときも公的な支援の可能性も含めてご議論をいただきましたし、正直申し上げて、現時点においてそれに踏み込んでということはなかなかできませんので、そういうことも課題の一つとして挙げながら、今、前田先生からお話しいただきましたように議論して、その解決を模索していくということ。

【前田委員】

 含まれているということで。

【河田座長】

 この問題は大きな問題で、私立大学は税金、私学助成は入っているけれども、国立大学の法人とは違うんだという問題にもつながる大事な問題だと思いますので、国立大学の先生は、私立にいた者としてはお考えいただければということだと思います。

 それでは、石田先生は早稲田ですから、私学の立場からもうちょっと言っていただければ。

【石田委員】

 私学の立場というよりは、この検討会議に参加させていただいた立場から、これを読ませていただいて、先ほど前田先生も修文以上のことは難しいというふうにおっしゃられたんですが、読んだ感想からご意見を言わせていただきたいと思います。

 基本的にこの結論については私は全く異存がございません。つまり、当分の間は3機関で認証評価をやっていくということについては全く異存がございませんので、それを前提にして私の意見を言わせていただきますが、特に2ページの2.のところで、認証評価の実施に当たっての課題というところに、「民間評価機関のみで事業」という一文が入っていまして、これはマンデートでありますから、そういう一文が入ったのかなと思うんですが、ただ、多様性の確保とか、財政的・人的・物的な課題というのは、民間機関だけであろうと、あるいは民間と例えば独立行政法人であろうと、どういう機関がこれに参入してやろうと、これはどういう形でも課題なのではないか。

 それで、(3)のところはまさに現状の問題点でありますから、おそらく私が読んだ感じでは、2.のところはむしろ認証評価を適切に今の事態で実施していく場合の課題が(1)(2)であって、その上で、なお現状では3機関があって、その中には民間機関と大学評価・学位授与機構があって、それが実質的な役割を担っているわけですから、したがってこの2つの課題は民間だろうと、何が入ろうと、やる課題を現状では3機関で果たすことは非常に難しいというつながりなのかなと。そうすると、2.の(3)のところは、むしろ現状がそうなっていると。それから、3.の最初の部分もまさに現時点ではこういう状態であるので、したがって当分の間は大学評価・学位授与機構を含めて現在の3機関で法科大学院認証評価事業を継続して実施していくことが適当である。ここでいくと。

 「一方」のところは今後の問題ですから、当分の間の問題というよりは、今後、認証評価のあり方がどうなるかという話として、ここは独立した問題なのかなという気がちょっとしていて、多分、先ほど鈴木委員等々が言われたようなことも、やや似たようなことを大学基準協会の立場からおっしゃったのかなという気が若干していたものですから。ただ、これは私は全然こだわりませんので、説明をする、つまり結論を導いて、今後の課題を出すときの全体のストラクチャーとしては、むしろ続きとしてはそうなのかなという気がして、ただ、この時点ではもうそんなことはという前田先生のご意見があったので、私はちょっと言いにくくなったんですけれども、私がこれを読ませていただいた意見としてはそういうところでございます。

【義本高等教育企画課長】

 今の石田先生のご指摘は、我々もまとめる際においてちょっと悩むところでございまして、つまり制度的な面と実態面とオペレーションの面、それぞれの課題がございますから、それを構造化し、いろいろな形で整理すると、また逆にそれはそれでまとめ方としては非常に難しく、構成としては簡明性にならないということもありましたものですから、たしか論理的には2.の(1)と(2)というのは独法であろうが、民間だろうが適用されることでしょうし、(3)は今の実態面として既に先行しているからという問題ですから、それは逆に言うと、もうちょっと時間をかけないことにはできないという話なものですから、ちょっと理由が違うのでございますが、整理としましては先ほど座長からの3つの整理ということでやらせていただいたということもありますが、そういう形でのみ込まさせていただいているところでございます。

 ですから、おっしゃるように、特に2.の示した財政的・人的・物的な課題などという形にして、(3)についてはその中に含めるという形で処理をしているということもありまして、ただ、ポイントとしましては、先ほど前田先生からもお話がありましたように、独法としてのそういう制度的な問題とはちょっと切り離した形でいえば、理論的には、例えば民間機関がさらに参入し、4つ、5つということで多様性を確保し、しかもそれを関係者が望んでいるのであれば、それは1つの形でありますけれども、逆に今の現状としてはそういうことはなかなかできないものですから、逆に言うと、制度的な整理と実態面の両面から取り上げないといけないものですから、そういう形で恐縮でございますけれども、こういう表現にさせていただいたということでございます。非常に苦しい胸の内でございます。こういう形でございます。

【石田委員】

 ああ、そうですか。わかりました。ありがとうございました。

【河田座長】

 3.のところで結論を書いてしまって、今後の課題などを、3.を(1)と(2)に分けてもいいかもしれないです。その辺はご相談しながら、できるだけいただいたいろいろなご意見を参考にさせていただいて、最低限の加筆によってまとめるということでいかがでしょうか。

 それでは、潮見先生、いかがでございますか。

【潮見委員】

 私自身も先ほど何人も先生がおっしゃられていましたように、1点を除いて、基本的にこの案に賛成でございます。

 これは繰り返しになって恐縮でございますが、おそらく今回の案は当面は大学評価・学位授与機構の認証評価事業を民営化しない、民間事業化しないという結論を導くために、1つは法科大学院の認証評価の多様性の確保ということが理由になっている。これは2.の(1)に対応するかと思います。もう一つは、現在における財政的な、あるいは人的・物的な状況、さらには新規参入が見込めないから、当面はそういう結論でいくんだという根拠等になっていて、それが(2)に対応するのではないかと拝察いたしました。

 前田先生がおっしゃられたように、(1)の多様性の確保というところから、民営化あるいは民間事業化がだめだということは直結しないと。ただ、新規参入が見込めないという状況を考慮した場合には、多様性確保のためには現在の評価機構、認証評価事業を置いておくというのは大きな意味があるのではないかと感じたところでもあります。

 ただ、その上でのご発言をお許しいただきたいのですが、これも公表するということですので、3.の一番最後のイコールフッティングの部分が一般の方々に公表された場合に、どういうメッセージとして伝わるのかということが若干わからないところがございました。もちろんこれから必要な議論をするということで、今回、抽象的な文脈でとどめているという趣旨で受け取ったわけですけれども、先ほど義本課長から冒頭の発言にもございましたように、一体これはどうするんだと。国民の税金等々の負担のことで、これは問題として何らかの議論をこれからしていくのかという意味のみで受け取られてしまうと、こちらで議論したのとは若干違った意味合いもここに盛り込まれてしまうのではないかとちょっと思ったところです。

 そもそも法科大学院の認証評価ということ自体に意味があって、しかもそこで多様な観点から評価をすべきだということについては、おそらくどなたも異論はないと思います。ただ、認証評価というもの自体のそうした作業が市場競争原理に本来のるべき性質のものではないわけでして、そうなってきますと、基本的にそのようなものを積極的に、かつ有意義に実践しようと思えば、結局それは政府による資金面、あるいは人的面での支援がむしろ積極的に望まれる方向に進むのではないか。場合によったら、それは国民負担を結果的に増やすのではないかというジレンマはありますけれども、これは前回、柏木委員がおっしゃられたところにもかかわることで、結局はそうなってきて、これを円滑に、かつ効果的に実施しようと思えば、国、政府が一定面での支援を与えるという形でスキームを立てていかなければいけないんじゃないかと思っておりまして、そうなってくると、他方で合わせてのイコールフッティングの部分の文脈の読み方次第では、まさにそうした方向すら好ましくないのではないかという意味にも読み取られかねない。

 ここからが1点だけ修正をお願いできればということでの発言でございますが、「合わせて」の部分でどうしてそういうふうに私が理解したのか、あるいはそう読んでしまうのかというのをつらつら考えてみますと、大学評価・学位授与機構についても、その後、基本方針の趣旨を踏まえてのイコールフッティングなんです。しかし、これは先ほどの岡本委員のご発言でしたでしょうか、むしろイコールフッティングというのは全体像を踏まえてと。しかも、この全体像というのは基本方針だけではなくて、むしろ1.のところでもあらわれている平成13年取りまとめの審議会意見も踏まえて、そうした全体像のもとでのイコールフッティングを考えていく方向がむしろ望ましいというか、多くの方々のご意見ではないかと思ったところです。その意味では、たった1カ所なんですけれども、「基本方針の趣旨を踏まえ」のところに先ほど申し上げた、せっかく1.のところでもまとめていただいているわけですから、審議会意見、あるいは法科大学院制度が立ち上がった状況ですよね。そこでの認証評価がどのように考えられているのかという趣旨も踏まえてというのをあわせて、しかもそれを全体像として取り込むという形でおまとめいただけないかなと思ったところです。

 あと1点細かいことですが、私ども京都大学の中でもいろいろやっておりますと、あまりわかりにくい言葉はこのごろ使わないということでやっております関係で、イコールフッティングというのがほんとうにわかりやすい言葉なのかなと。マジックワードで、何とでもとれるからいい言葉だとは思うんですけれども、もし置きかえが可能であれば、適切な言葉に置きかえていただくこともありかなと思ったところです。これはこだわりませんので。

【河田座長】

 重要な意見をいただきました。この「合わせて」というのが僕もよくわからない。ちょっと官僚的な感じがする。普通「合わせて」ってあまり使わないと思うんですけれども、大学評価・学位授与機構についてもそういう審議会の意見、あるいは本来の法科大学院設立の趣旨を踏まえると、基本方針を踏まえてと、という表現で先生がおっしゃったようなことを入れさせていただければと思います。

【義本高等教育企画課長】

 イコールフッティングについては、政府自身の言葉の使い方の問題もありますけれども、これは閣議決定でそのまま言葉を使っておりまして、それを引用させていただいております。机上資料の中で前回の資料としてお配りした束がありまして、1枚めくっていただきますと、01番というところにこれがございます。

【河田座長】

 イコールフッティングはかぎ括弧2に書いてありますが。

【義本高等教育企画課長】

 ここにも書いてございますように、他の事業と区分して収支を明らかにし、あるいは評価手数料を引上げ、などの話の具体論の中での文脈でございますから、そこは先ほど岡本委員からお話がありましたように、全体の中でどう考えるかという問題、例えば単純に国費を投入、あるいは評価手数料の問題だけじゃなくて、事務・事業のあり方をもう少しスリム化し、これは大学評価・学位授与機構のほかの事業でも行っていただいておりますけれども、経費の合理化・節減を図るとかいうこともその一つの方向ではありますし、その辺も全部含めた上での話という形で、できれば事務局としてはこの言葉を使わせていただきたいと思っております。

【河田座長】

 磯村委員、いかがでございましょうか。

【磯村座長代理】

 若干の点について、文言の表現と内容的なことについて、順番にちょっと発言をさせていただきたいと思いますが、まず経緯説明のところの第1段落で、「取りまとめたところ」と終わっていますが、これはおそらく「ところである」という表現にするべきかと思います。

 それから、これはちょっと私は自信がないんですけれども、1.のところの第2段落で、「適切な機構を設けて第三者評価を」という文章がありますけれども、これは機関ではなくて、機構という言葉でしたでしょうか。そこは確認だけ、あとお願いできればと思います。

 2.について、先ほど永田委員、石田委員からご指摘のあった点にかかわるんですけれども、(1)は確かに民間の評価機関だけであろうと、そうでなくてもとにかく同じ問題であると。一般論はそのとおりだと思いますが、今回の検討会議のタスクというのが何かということを考えたときには、抽象的に評価機関の多様性というよりは、現在の体制を前提としたときに大学評価・学位授与機構の評価機関と他の関係を踏まえて、どういう多様性があるかということをおそらく議論する中で、ここの部分が書かれているのではないかと思います。そうであるとすると、永田先生がご指摘になられたように、(1)の部分でやや抽象度の高い多様な評価機関というよりも、現在行われている実際の3つの法科大学院における評価機関が多様な役割を果たしているということを踏まえてという趣旨を書き込むことによって、より具体的な中身になっていくのではないかなと感じました。したがって、例えば第2段落の「一層配慮することが必要である」という、その次のところで、実際、現在の法科大学院の認証評価においては、これこれの機関がそれぞれ特徴を発揮しながらというニュアンスを入れていただくと、現在の認証評価体制を確保する必要性が一方においては強調できるのではないかと思います。

 次は言葉の問題ですが、(2)の第2段落で、「また」から始まるパッセージで、「育成・確保が難しい」と。日本語で難しいというのはディフィカルトというよりも、インポシブルであるというニュアンスがより強くなりますので、例えば「育成・確保が容易ではない」とか、ちょっとトーンダウンするほうがいいのではないかなと感じました。

 3.の民間評価機関による事業実施についてのところで、これは柏木委員からも既にご指摘のあったところですけれども、財政負担の大きさの問題というのは既に2.(2)のところでも出ているので、もう一度書くというのはややくどいのかもしれませんけれども、同時に、5行目あたりにありますが、「新規参入の予定がない」ことということはややニュートラルにすぎて、「新規参入が見込まれないこと」とか、ちょっとそういうことを期待できないというニュアンスを入れるほうがいいのではないかなと感じました。

 それから、同じ段落の最後の文章ですが、「継続して実施していくことが適当である」。これはおそらく従来の議論では、「適当」ということよりももう少し積極的に「必要性がある」というニュアンスを示すほうがいいのではないかと思いますので、例えば「適切かつ必要である」という表現に改めるということで、現時点においては現在の体制を変えるということは、それこそ難しいということを強調してはどうかなと感じました。

 あと、いろいろなニュアンスの問題として各委員から出していただきました意見と基本的には同じようなところが多いわけですけれども、とりまとめ(案)は本来おそらく、前田委員がおっしゃったように、そんなに大きく変更しないということがベースだと思いますが、1回目が終わって、今回が2回目ということで、少し幅があり得る変更で、とりわけ座長の河田先生を中心にして、またとりまとめのところでご調整をいただくといいのではないかなと感じました。

【河田座長】

 ありがとうございました。

【前田委員】

 今のに関連して、この会が2回ですので、今、磯村先生がおっしゃったように、座長のご判断にお任せして、きょうのを踏まえたある程度の修正というのは必要だと思いますが、先ほど失礼な申し上げ方をして申しわけございません。

【河田座長】

 わかりました。短い修士論文に対して、論文を審査する諸先生方からご意見をいただいたように存じております。各視点からいろいろ適切なご意見があったと思いますので、それらのご意見をうまく入れながら、もう一度先生方に見ていただいて、ここのところはこうだという手をちょっと入れていただいて、先ほどの見込みがないとか、適切かつ必要であるとか、確かにこういうことは僕でもわかりますので、ぜひそういう形でご意見を適切に反映しながら、よりよい「とりまとめ(案)」にしたいと思います。

 先ほど一番最初のまくらのところの5行目で、「何々とりまとめられたところ。」は、よくお役所の文章はこういう形で出てくるんですけれども、「ところ」というのはどういうことですか。

【義本高等教育企画課長】

 ご指摘のように、これは正確には「である」と書くのが正しい表現でございますし、そう修正させていただきます。こういう文章は非公式には使っていますけれども、公に出るものとしては「である」という形で統一させていただきたいと思います。また、先ほどご指摘があった1.第2段落のところの「適切な機構」はそのとおりの記述でした。

【河田座長】

 では、先生方からいろいろご意見をいただきましたので、それをうまく取り入れながら、まとめさせていただいて、委員の先生方に見ていただくということにさせていただきたいと思います。概ね方向性も見えてきたと思いますので、座長にご一任いただいて、先生方のご意見をいただき、もう一度きちっと修正をいたしたく存じます。委員の先生方には、ほんとうにいろいろ多大なご意見をいただきましたことを感謝いたしております。

 少し時間は早いですが、何かあと先生方のほうからご意見ございますれば。

 

(他の委員から意見はなく、事務局説明、座長の挨拶後、会議終了)

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