資料1 大学院(修士課程・専門職学位課程)における看護系人材養成について論点整理(案)

大学院(修士課程・専門職学位課程)における看護系人材養成について論点整理(案)

 

1.これからの大学院(修士・専門職学位課程)で養成が期待される看護系人材について

1)教育・研究者養成

  • 米国等では、教育・研究者養成は博士課程に主眼が置かれ、修士課程では高度専門職業人養成が主体となっており、我が国の修士課程も、高度専門職業人養成にシフトする時期ではないかという意見があった。
  • その一方で、看護系大学が急激に増え、教員が質・量とも充足されていない現在、修士課程における教育者養成は重要な課題であるとの意見もあった。
  • また、高度専門職業人養成を通じて、研究能力の育成は可能であり、教育・研究者養成と高度専門職業人養成は同時に追求できるという意見もあった。
  • 教育者養成においては、
     ○ 多様な大学院それぞれに必要とされる教員の能力が偏らずに育成できるよう、現場のニーズと養成目的がマッチしていることが大切
     ○ 教員の質・量を確保するためには、大学間連携により異なる専門性を有する教員を共有することなども考えるべき
     ○ 臨床と大学院を教員が兼務できるような体制が必要
    などの意見が出された。
  • 研究者養成においては、研究費をきちんと確保し、博士課程修了者がポスドク期間に研究に集中できる環境整備が必要、という意見があった。

 

2)高度専門職業人養成

  • 高度専門職業人とは、深い知的学識、国際的に通用する専門知識・能力、職能団体等により職業的専門領域の基礎が確立している職業に就く者であり、学士課程等では養成困難な人材とされている。
  • 医療系大学院全体で、高度実践家志向の学生が増えていることが、中央教育審議会大学分科会の調査で報告され、看護系の大学院においても同様の傾向が報告された。
  • 看護系人材においては、ケアの質を改善するための研究能力とリーダーシップ能力、チーム医療におけるマネジメント能力、分析力や統合力が期待されている。
  • 教育内容としては、将来の看護師等の役割拡大に対応できるよう、臨床医学、薬理学等の医学教育の強化やサブ・スペシャリティの強化が必要という意見があった。
  • また、専門教育のほかに、幅広い素養を養うことが必要、教育と管理に関する科目はコア科目とするべき、等の意見もあった。
  • 学生の特徴としては、社会人入学が多く、問題意識を持ち、現場を改革していこうという動機づけの強い学生が多い一方で、レディネスの多様性から教育上の困難もある、などの報告があった。
  • 教員については、臨床家としてのプライドを持って指導できる人材が必要、との意見があった。
  • 修士課程で高度専門職業人を養成する場合、教員には高度な実践力と同時に高度の研究能力を有することも必要なため、適切な人材の確保が困難との指摘があった。
  • 高度専門職業人養成のために、専門職大学院が増える方策を期待する意見があった。

 

2.保健師・助産師養成を行う教育課程の質保証の在り方について

  • 大学、大学院全体の問題として、学士、修士、博士という学位ごとの水準に加え、分野ごとの学習成果を明確にしていくことが課題である。
  • 多様な課程で取得可能な資格を大学院で取得する場合、職業に固有のコンピテンスに加えて、修士課程を終えた人材として共通に求められるコンピテンスも育成することが求められるとの意見があった。
  • 既存の助産師養成を行う修士課程では、前述の要件を満たすために、平均54単位という過密なカリキュラムで教育が行われている。
  • 修了要件単位については、何らかの形で修士課程の単位を指定規則の単位としても認定していくことで、総単位数を減じるような仕組みが必要であるという意見があった。一方で、学位の質保証という観点から、学士課程等でも養成可能な資格取得のための教育を修士課程の中に組み込むということは問題があるという意見もあった。
  • 保健師、助産師を大学院で養成する場合、カリキュラムを指定規則相当部分と大学院相当部分に分けるべきではなく、両方の教育内容が含まれたカリキュラムが用いられるべきである。
  • したがって、そうしたカリキュラムは修士課程にふさわしい、高度な事柄を教授するものでなければならず、養成する人材像も、高度専門職業人にふさわしいものであるべきである。そうした教育の質は、ピアレビューや分野別評価等で保証する必要がある。
  • 助産師養成を行う大学院では、学習量が多いため、社会人入学は認めていない、という事例が報告された。教育の質を保証するためには、入学者選抜の方針を慎重に定めるとともに、学習時間の確保の観点から、3年課程での養成を考慮するなど、所要年限についても検討が必要という意見も出された。
  • 大学院における高度専門職業人養成を目指した保健師・助産師教育課程については、指定規則改正や分野別評価の進展等の変化も踏まえながら評価を行い、望ましい在り方に向けて議論を続けることが必要である。

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高等教育局医学教育課看護教育係

(高等教育局医学教育課看護教育係)