参考資料1 看護学基礎カリキュラムに対する委員からの修正意見

「看護学基礎カリキュラム」に対する修正意見

 

村嶋幸代(東京大学大学院医学系研究科)

 

 9月9日に開催された「大学における看護系人材の在り方に関する検討会」で提示された『看護学士課程におけるコアとなる看護実践能力を基盤とした教育』の内容について、委員としての意見を申し上げます。

 

 「看護系大学におけるモデル・コア・カリキュラム導入に関する調査研究班」が、精力的に活動され、短期間に<看護実践能力><卒業時の到達目標><教育の内容><学習成果>について纏められたことについて、深く敬意を表します。また、検討会の意見を踏まえ、<学習成果>を加えられた努力は、特筆に価すると思います。

 しかし、検討会でも述べましたように、この教育内容については、種々の懸念や疑問点がございます。以下、下記に述べます。なお、具体的に修正すべき項目に関しては、別途エクセルの表に纏めました。

 

1.どのように活用されるのかの用途、カリキュラムの方向性が見えません。

 調査研究班の名称に示されるように、元々の意図は、モデル・コア・カリキュラムの作成だったと思います。

 それが、どうして、「基礎カリキュラム」になってしまうのか? この「基礎カリキュラム」がどのように使われるのか、どういう規制力や効力を持っていくのか、、、今一つ不明確です。

 一番の懸念は、この「基礎カリキュラム」を実施することによって、保健師教育課程がカバーされたとなってしまうことです。もしくは、若干の科目を足せば、保健師教育課程として認められる、というお墨付きが出されてしまうことです。

 その理由として、この基礎カリキュラムは、「保助看に共通する看護学の基礎と、学士課程で要請される看護師に必要な教育内容をカバーしている」とされているにも拘らず、看護師に求められる卒業時の到達度が総じて低く、「説明できる」に止まっている項目が多いこと、逆に、保健師に該当する部分で求められている能力も「説明できる」となっている項目が多いこと、が挙げられます。後者については、特に、能力8)10)に多く見られます。また、15)にも、集中的に現れています。

 少なくとも、これらの項目については、廃止もしくは到達レベルを学生のレディネスに合わせ、到達度のレベルを下げる、もしくは、項目そのものを削除、することが必要です。また、鍵となる用語の用い方にも慎重を期してください。

 具体的には、添付のエクセルファイルの通りです。

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高等教育局医学教育課看護教育係

(高等教育局医学教育課看護教育係)