資料4 大学院(修士課程・専門職学位課程)における看護系人材養成について論点整理(案)

大学院(修士課程・専門職学位課程)における看護系人材養成について論点整理(案)

 

1.これからの大学院(修士・専門職学位課程)で養成が期待される看護系人材について

1)教育・研究者養成

  • 医療系大学院全体で、高度実践家志向の学生が増えている。
  • 米国等では、教育・研究者養成は博士課程に主眼が置かれ、修士課程では高度専門職業人養成が主体となっている。
  • 我が国の修士課程も、高度専門職業人養成にシフトする時期ではないかという意見があった。
  • その一方で、看護系大学が急激に増え、教員が質・量とも充足されていない現在、修士課程における教育者養成は重要な課題であるとの意見もあった。
  • 教育者養成においては、
    ○ 多様な大学院それぞれに必要とされる教員の能力が偏らずに育成できるよう、現場のニーズと養成目的がマッチしていることが大切
    ○教員の質・量を確保するためには、大学間連携により教員を共有することなども考えるべき
    ○臨床と大学院を教員が兼務できるような体制が必要
    などの意見が出された。
  • 研究者養成においては、研究費をきちんと確保し、博士課程修了者がポスドク期間に研究に集中できる環境整備が必要、という意見があった。

 

2)高度専門職業人養成

  • 高度専門職業人とは、深い知的学識、国際的に通用する専門知識・能力、職能団体等により職業的専門領域の基礎が確立している職業に就く者であり、学士課程等では養成困難な人材とされている。
  • 看護系人材においては、ケアの質を改善するための研究能力とリーダーシップ能力、チーム医療におけるマネジメント能力、分析力や統合力が期待されている。
  • より自立した看護実践を可能とする制度や人材養成が検討されるべき、との意見があった一方で、制度や名称が増えることにより社会的な混乱を招く等の観点から、新たな資格制度に対する反対意見もあった。
  • 教育内容としては、将来の看護師等の役割拡大に対応できるよう、臨床医学、薬理学等の医学教育の強化やサブ・スペシャリティの強化が必要という意見があった。
  • また、専門教育のほかに、幅広い素養を養うことが必要、教育と管理に関する科目はコア科目とするべき、等の意見もあった。
  • 学生の特徴としては、
    ○ 社会人入学が多い。
    ○ 学生は意欲が高く、問題意識を持ち、現場を改革していこうという動機づけの強い学生が多い。
    ○ 大卒以外の入学生も多く、レディネスの多様性から教育上の困難もある。
     などの報告があった。
  • 教員については、臨床家としてのプライドを持って指導できる人材が必要、との意見があった。

 

2.保健師・助産師養成を行う教育課程の質保証の在り方について

  • 大学、大学院全体の問題として、学士、修士、博士という学位ごとの水準に加え、分野ごとの学習成果を明確にしていくことが課題である。
  • 多様な課程で取得可能な資格を大学院で取得する場合、職業に固有のコンピテンスに加えて、修士課程を終えた人材として共通に求められるコンピテンスも育成することが求められるとの意見があった。
  • 既存の助産師養成を行う修士課程では、前述の要件を満たすために、平均54単位という過密なカリキュラムで教育が行われている。
  • 質保証の一環として、助産師養成を行う大学院では、学習量が多いため、社会人入学は認めていない、という事例も報告された。
  • 今後の質保証については、
    ○ 何らかの形で修士課程の単位を指定規則の単位としても認定していくような仕組みが必要
    ○ 学位の質保証という観点から、資格取得のための教育を修士課程の中に組み込むということは問題がある。組み込む際は、当該科目が修士課程にふさわしい、高度な事柄を教授するものでなければならず、その科目の質を保証する方策について検討する必要がある
    ○ 学習時間の確保の観点から、所要単位数、所要年限について慎重な検討が必要
    という意見が出された。
  • また、学位の質を保証するためには、第三者機関による評価が重要であるとの意見があった。

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高等教育局医学教育課看護教育係

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