資料3 大学院(修士課程・専門職学位課程)における看護系高度専門職業人養成の在り方に関する論点及びこれまでの意見等

 大学院(修士課程・専門職学位課程)における看護系高度専門職業人養成の在り方に関する論点及びこれまでの意見等

※下線部分は、第10回検討会における意見

1.社会が求める看護系高度専門職業人について

  • 専門領域の深い知識を持った人材
  • 従来、一般的には「診療の補助」に含まれないものと理解されてきた一定の医行為を、医師の指示を受けて実施できる人材(特定看護師(仮称))
  • 大学院卒の看護師には研究能力が期待される
  • 慢性疾患の専門家(専門看護師)のニーズは高いが数が少ない
  • 高度専門職業人の量的充実、現在臨床で勤務する看護師等に機会を与える、出産等によるキャリアの中断に対応できるためにも、さまざまなプロセスを通じて資格が取れる仕組みも検討すべき
  • チーム医療の中で、さまざまな専門家や患者・家族の動きを俯瞰的に見られる立場であってほしい
  • 組織によい変革、よい影響を及ぼせる人
  • 従来の看護師の業務とは違った自立したNurse Practitioner的な制度が検討されるべき
  • 顕彰制度に近いような認定制度があるのではないかと不安

2.大学院で養成される看護系高度専門職業人の特質について

1)人材像

  • 高度専門職業人とは;深い知的学識、国際的に通用する専門知識・能力、職能団体等により職業的専門領域の基礎が確立している職業に就く者
  • 特定看護師(仮称)とは;一定の医学的教育・実務経験を前提に、専門的な臨床実践能力を有する看護師
  • 専門看護師:資格取得には修士課程入学前3年以上、修士課程修了後半年以上、全体で5年以上の専門領域での臨床経験が必要
  • さまざまな問題解決のため、スタッフ、患者、家族、医療チーム全体に関して働きかけて組織横断的に動く(専門看護師)
  • 上級実践コースは、看護・助産ケアや管理のスペシャリストとして機能することができるよう、より専門性を深めた実践能力の開発をめざす。 (聖路加看護大学)
  • 分析力と統合力を備えた保健師を育成(東京大学)
  • 現象をきちんと記述し、ある程度統一的に説明できるような臨床家。

 2)学生の状況

  • 意欲が高く、問題意識を持ち、現場を改革していこうという動機づけの強い学生が多い
  • 学生のレディネスが多様(特に臨床経験)
  • 4年制大学卒以外の入学者も多い(東京女子医科大学)
  • 学習内容が多いので、社会人入学は認めていない(聖路加看護大学)
  • 学部からストレートに進学する学生が大半(東京大学、聖路加看護大学)
  • 社会人入学は多く、夏期休暇中の集中開講、夜間開講等、仕事との両立が可能な仕組みはある(東京女子医科大学)

3)必要な教育

  • チームで共通の判断ができるための教育
  • チーム医療の中で医師等、他職種と判断や実践の役割分担などでどのように関わるのかを教育。
  • 基礎医学、臨床医学、薬理学等の履修や特定の医行為に関する十分な実習・研修(特定看護師(仮称))
  • 諸外国の大学院修士課程の単位数を見ると50から60単位(助産師)
  • 助産師有資格者でも、ステップをもう一度見直させてから本格的に勉強してもらいたいため、実習は免除していない(天使大学)。
  • 分析と統合の螺旋的発展で地域社会の健康度を高め、社会への脅威に立ち向かう方法論を教育するのが修士課程(保健師)
  • 実践力、サブスペシャリティの強化、医師による専門教育の充実が必要 (専門看護師)
  • 修士課程は、知の基盤を与える、思考能力を養う、行動力を養う、あるいは幅広い視点を養う、そして専門分野の知識、能力を習得する教育である
  • EBMを基盤にした実践変革力、職業人としての品位と強靱性、自立して実践開業する基礎力は、アドバンス教育に必要
  • 専門看護教育のほかに、幅広い素養を養うことが必要
  • 学生のニーズが考慮されるべき
  • 何らかの形で修士課程の単位を保健師教育の単位としても認定していくような仕組みが必要
  • 教育と管理に関する科目はコア科目とするべき
  • 大学院を出ていない看護師たちの質を上げていくためのスキルが必要

4)教育の質保証について

  • 一定水準以上の学習成果(学生の学び、成長、変化)を保証することが課題
  • 学士、修士、博士という学位ごとの水準に加え、分野ごとの学習成果を明確にしていく必要がある
  • アウトカムを考えるための3つの観点;1つは知識や理解の領域、2つ目はスキルの領域、3つ目は価値や態度、どんな学生であるべきか
  • 多様な課程で取得可能な資格を大学院で取得する場合、職業に固有のコンピテンスに加えて、修士課程を終えた人材として共通に求められるコンピテンスも育成することが求められる。
  • 第三者機関による質保証が重要
  • 単位の実質化の観点から、学生数に対する教員数などの基準を考慮すべき

5)資格取得教育と大学院教育との関係

  • 保健師、助産師を大学院で養成される高度専門職業人に位置づけるべき
  • 養成所や学士課程で養成できる資格を高度専門職業人と位置づけるのは反対
  • 学士課程と修士課程で養成される資格は、学位のレベルの水準の違いなのか、内容の違いなのか、あるいは両者を関係づけて考えていかなければいけないのかということを検討していく必要がある
  • 学位の質保証という観点から、資格取得のための教育を修士課程の中に組み込むということは問題。
  • 専門看護師ではなくAdvanced Practice Nurse(APN)という形で、専門性の高い看護師たちをくくる枠組みも議論の一つとしてある
  • 修士課程教育に論点を絞って、資格取得等は考えずに議論を進めていくことが必要

3.教育・研究者養成の推進について

  • 実践コース、修士論文コースでは実践コースの人気が高い(東京女子医科大学)
  • 米国の研究者養成は博士課程。Advanced Practiceや特殊な技能、能力に関する教育が修士課程の2年(日本の専門職大学院のイメージ)
  • 英国、米国では学士、修士、博士の課程ごとに研究能力の水準・差異が明確化されている
  • 大学院の博士課程が54課程出てきた中では、修士課程は高度専門職業人養成に焦点を当ててもいいのではないか。
  • 良い大学院教育のためには、良い教員が不可欠
  • 看護学の研究を発展させるためには、ポスドクを確保できるだけの研究費をきちんと確保し、博士課程修了者が研究に集中できる環境が必要
  • 大学院教員の数と資質の確保が課題
  • 大学間連携による教員の共有などの対策が必要
  • 高度実践家養成には、臨床実践家としてのプライドがあって、修士の学生に対してトレーニングできるような教員が必要
  • 必要とされる教員の能力と養成課程がマッチすることが必要
  • 臨床教員が必要
  • 大学病院の看護職は技官であって、教育職ではない。そこに教育職の助教でも配置基準としてあれば、学部とローテーションできる。
  • 上記対応は、附属病院を持たない看護系大学では困難

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高等教育局医学教育課看護教育係

(高等教育局医学教育課看護教育係)