大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(第14回) 議事録

1.日時

平成22年12月10日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 大学院(修士課程・専門職学位課程)における看護系人材養成について
  2. 最終報告書(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

中山座長、菱沼副座長、秋山委員、倉田委員、小山委員、坂本委員、佐藤委員、高田委員、西澤委員、平澤委員、藤川委員、前野委員、宮崎委員、村嶋委員、横尾委員

文部科学省

新木医学教育課長、小山田看護教育専門官

オブザーバー

野村看護課長(厚生労働省医政局)

5.議事録

【小山田看護教育専門官】  定刻となりましたので、ただいまより第14回大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開会いたします。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところお集まりいただき、まことにありがとうございます。

 では早速、座長に議事進行をお願いいたします。

【中山座長】  皆さんこんにちは。12月に入りまして、この検討会もまとめをしなければならない時期に来ましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局のほうから、今日の委員の出席状況の報告と配付資料のことについて確認をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  委員の出欠状況ですが、本日は松尾委員と富野委員がご欠席です。また、高田委員が15時ごろに退席をなされる予定です。厚生労働省の野村看護課長は今、席を外していますが、出席されていらっしゃいます。事務局では、加藤審議官が他用のため欠席をさせていただきます。

 続いて、配付資料の確認をさせていただきます。一番上に座席表がございまして、2番目に会議次第、裏面に委員の一覧がございます。資料1として、大学院における看護系人材養成について論点整理(案)が1枚物であります。資料2が、検討会の最終報告(案)というものでページ10までのもの、添付資料1として、学士課程においてコアとなる看護実践能力と到達目標について(案)というもの、添付資料2が、横長の同じものの実践能力と到達目標の(案)になっております。それから、事前の送付の中に入れられなかったのですけれども、今回、「実践能力と到達目標」で文言修正案をつくりましたので、その一覧を1枚物で、後ろにつけております。最後に、前回の議事録をつけております。

 不備等ありましたらお知らせください。

【中山座長】  資料は大丈夫でしょうか。

 それでは、今日の議題に入りたいと思います。最初に、大学院、これは修士課程と専門職学位課程ですが、における看護系人材養成についてです。いつも大学院の問題は最後のほうになるものですから、落ちついて議論していなかったので、今回は最初に持ってきました。

 それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  資料1をごらんください。資料は、前回お出しした論点整理というところと、柱立てや大きな意見等は変わっていないのですが、論点整理らしく、意見を融合させたりして整理した面がございます。

 それから、前回の検討会の中でいただいた意見を追加した部分がありますので、そこだけ申し添えますが、1の1)教育・研究者養成の3番目の「・」のところで、高度専門職業人養成と研究能力の育成は同時に追求できるというご意見を追加しております。

 それから、裏側、2枚目に行きまして、上から3番目と4番目の「・」ですけれども、修士課程で高度専門職業人を養成するとなると高度な実践力と高度な研究能力を有する人材が必要となって、そういう人材の確保は困難であるというご意見ですとか、高度専門職業人養成のためには専門職大学院が増える方策が必要ではないかといったご意見が出たことを追加しておりますが、その他について変更はございません。

 高度な、新たな職種が必要かどうか、という論点については、両論併記で前回載せておりましたが、ここでは学位課程と職業人養成の教育の質を検討するのであり、新たな資格の可否についての議論をする場ではないのではないかということで、論点を削除しております。

 以上が変更を加えている点です。

【中山座長】  ありがとうございました。

 前回、修士課程教育の質の保証の在り方ということについては議論が十分出尽くしていないように思いますので、今日はそのことも含めて、この論点整理と、それから、新たにつけ加えたほうがいいことについて、皆さんのほうからご意見をお願いいたしたいと思っております。

 それでは、ご発言があればお願いいたします。

 どうぞ、佐藤委員。

【佐藤委員】  事前に読ませていただきました。冒頭の1.の1)教育・研究者養成というところの2つ目の「・」です。このとおりなんですけれども、意見もあったところからも、私としては、これは非常に焦眉の急だという気がしております。先生方もいろいろ現場で、いかに看護学の教員の、しかも上質な教員の数が足りないか、払底しているかということを実感としてお感じだと思います。文科省の中教審や設置審の担当の事務部局には大学の分野別の学部等の学位保持者の統計があると思います。事前に見てくればよかったんですけれども、おそらく質という意味でも、看護学領域については、他の分野と比べて若干見劣りするんじゃないかなと思ったりしております。

 そんな意味でも、これからの大学院における看護系人材という意味の中に、臨床に必要な高度専門職業人の養成は大事でしょうけれども、あわせて、大学における看護学教育を担っていく教員の養成というのは非常に急ぐのではなかろうかと思っておりますので、もう少し強調した表現が必要かなと、まず思いました。

【中山座長】  佐藤委員のおっしゃっているのは、大学院だけ、特に大学院教員という形。

【佐藤委員】  そういう意味じゃなくて、大学院で養成すべき人材としてですね。

【中山座長】  わかりました。大学院で養成すべき人材として、大学を担えるような教員養成ということが必要ではないかということですね。

【佐藤委員】  そのとおりです。非常に焦眉の急だと思います。

 もう1点、よろしいでしょうか。2ページですけれども、今度は保健師・助産師養成にかかわるところで、4つ目の「・」です。これは前回も最後のほうでちょっと申し上げて、舌足らずだったかもしれませんけれども、最後の行で、要するに、ライセンス取得のための教育を修士課程の中に組み込むということは問題があるという意見もあったと。私、これは問題があるどころか、認められない話だろうと思っております。

 つまり、「学士課程等でも養成可能な」という中身をそのまま、少なくとも修士課程の修了要件の中に含めるという意味合いだとしたら、これは問題どころか、認められない話で、もしこれが新規の設置で設置審にかけられたとすれば、必ず是正意見として突きつけられる話でもあります。記述的にはいろいろややこしい、微妙なところがあるかもしれませんが、その辺のところをご留意いただければと思うところです。要するに質保証でしょうかね。

【中山座長】  ここはきっと議論になるところで、皆さんの意見を聞いてから、集約したいと思います。

 村嶋委員、どうぞ。

【村嶋委員】  今の佐藤委員のご意見に対して、例えば、保健師修士課程で行うことを考える場合に、東京大学の場合には、実際、具体的に考えていきたいと思っているんですが、医学共通科目の中に、医科学修士等のために疫学や保健統計、それから、いろいろな研究技術の教育がございます。それを、保健師の科目として入れた場合には、それは修士課程として質が担保されている科目を保健師の科目として入れるということでございます。逆に、これから地域看護学、公衆衛生看護学を私どもが持ちます場合に、それを医学共通科目として出していく。それが東大の医学系研究科の中で認められた場合には、それは修士課程レベルの単位でございます。

 そういうことは東大だけで考えているのではなく、ほかの北海道大学なども、担当者は具体的に考えているようでございまして、何が修士課程の科目かといったときに、保健師の疫学だから、それは修士課程じゃないというような言い方をしていいのでしょうか。

【中山座長】  どうぞ、佐藤委員。

【佐藤委員】  言葉足らずだったと思います。言葉足らずであるとともに、このことは、言葉のやりとりの中でいろいろな誤解があるのではなかろうかと思っております。村嶋先生が今、言われたようなことは、まさに修士、大学院の授業にふさわしい内容であると私は信じるところです、中身はわかりませんけれども。

 と同時に、いつぞや先生のところの例を出されましたね。そのときに私が申し上げましたように、先生のところの大学院は、保健師の有資格者、または、少なくとも受験資格を有する者を前提としてということがあったので、それならば、これはほんとうに大学院にふさわしい内容と質を持った授業科目に違いないと思いました。それは全く問題ない話であり、そういう意味で、広義の保健師教育であるとか助産師教育、あるいは看護師教育が大学院で行われることについて、全く妨げられるものどころか、奨励されるべきだと思います。

 私が申し上げているのは、資格を取るための、すなわち専門学校でも、あるいは短期大学の専攻科でも、あるいは大学の学士課程でも扱える内容と同等なものを、もし大学院で資格取得のために行うとすれば、それは大学院の単位としては認めがたいという意味であります。ですから、高度なという意味、資格以上の高度なものということについては、大いにこれは頑張っていただきたいものだと思っています。

【村嶋委員】  逆に言えば、保健師を修士課程で教育するときには、医学共通科目としての疫学、修士課程の疫学を学ぶんですね。それは保健師の免許の教育にも使うし、修士課程の教育にも本来的にはなる水準のものだと思います。ですから、医学系研究科ないし、その研究科の中で、これは修士課程レベルの科目だと認定されているものであれば、それを使うのは何ら問題がないのではないかと考えます。

【佐藤委員】  おっしゃるとおりだと思いますよ。大学院に最初からふさわしい内容の科目があって、それが結果的に受験資格につながるのであるということだったら全く問題ない話だと思っています。くどいようですけれども、資格取得のための最低基準の内容を具備したと。それでもって大学院の修了要件の中に含めるのは、これは認めないという意味のお話です。多少言葉がすれ違っちゃうんですけれども、おわかりいただけますでしょうか。

【村嶋委員】  はい。

【佐藤委員】  そして多分、指定規則も、質について、あまり細かく、間違いなく理解できるほど明文化されていないんじゃないかと思います。問題は、どの程度かという質について、だれかがどこかできちっとウオッチしていて、保証していかなくてはならないということだと思います。

 先生がおっしゃるように、しっかりとした大学院が、内容を精査しながらきちっと認定していくという方法も一つでしょうし、しかし、時代はおそらく、自分のところの大学だけで認定するのじゃなくて、第三者機関等が質の保証についてかかわるという流れですので、その辺のことも含めて検討する必要があると思います。

【村嶋委員】  そうですね。もっと具体的に言えば、例えば私が開く科目、特論について、医学系研究科の共通の科目として認定されていれば、それは修士レベルということです。特論ですからもちろん修士レベルなのですが、それは組み込んでも構わないと思います。そして第三者の評価をきちっとすることは私も賛成でございます。

【中山座長】  どうぞ、高田委員。

【高田委員】  今の論議、わからないところが若干あるんですが、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。佐藤先生がおっしゃっているのは、修士課程のカリキュラムが、保健師ないしは助産師の資格を取るだけのものが中心のような形になってしまって、それをやることが資格に即つながってくるというようなものになってしまっては、修士にはならないですよと。というのは、それぞれの資格というのは、別に修士じゃなくて、学部でも取れる。同じ資格を取るのに、学部で取れる。同じカリキュラムを修士でやれば、出口は同じなのに、これは修士なんだというのは何かおかしいんじゃないですかという理解でよろしいでしょうか。

 村嶋先生がおっしゃっているのは、それだけじゃなくて、その上に、さらに修士にふさわしいようなものを含めた形での保健師なり何なりの養成コースをやるのは構わないですねという論議なんでしょうか。

【村嶋委員】  いえ。上乗せしてというだけではなくて、その上乗せの中の一部に、例えば疫学のように医学共通科目として、即ち修士課程として認定されているものが当然含まれることも考えられますねということです。要するに、科目の質が大事だということですから、この学生はこの科目をきちんとクリアし、単位を取得したということが、大学院担当の教員の責任のもとに認定されていくということだと思います。

【高田委員】  これは制度設計みたいなところにかかわってくると思います。一たん制度ができてしまうと、例えば、大学院として、「私たちのところは、修士を卒業した、修士課程で保健師を養成するんですよ」という形を大きく掲げると、保健師を取るということだけに集中したカリキュラムですよね。そこだけ資格を取ることを目的化したカリキュラムができてしまって、それをもって修士でございますというのは、ちょっとおかしいんじゃないか、というのが佐藤先生のご意見かなと私は思ったのですが、そういうことでよろしいのでしょうか。

【佐藤委員】  おっしゃるとおりです。ただ、そこにはいつも質の問題がありますので、繰り返しますけれども、今は制度上、学校種としては、専門学校でも保健師の受験資格が取れる。短期大学においても取れる。大学の学士課程でも取れる。ただ、もともと学校種には、学校種ごとに学びの水準、レベルというものがおのずからあるわけでして、例えば専門学校や短期大学で学習すると同等の程度のものを、仮に大学院で行って、それで受験資格は取れるでしょうが、それを大学院の単位でございますと、いわんや修士の修了要件に含むことは、これは認められませんという話でございます。

 くどいようですが、それを超える質の高さというものを、村嶋先生がおっしゃるように、担当教員の見識においてというだけでは若干物足りないような気がします。例えば職能団体であるとか、あるいは第三者評価機関だとか、何がしかの第三者が、その水準において大学院にふさわしいものとして認定されるならば、これは全く問題ないという考え方でございます。

 ですから、今お話の疫学とかそういう医学一般の中に既に認められているものについては、当然これは修士の単位として認められるべきであって、そこを今度、逆に、指定規則がその科目をもって受験資格の一部だと認めてくれるかどうかと、そっちのほうの議論をしていただいたほうがよろしいと思います。

【中山座長】  平澤委員、どうぞ。

【平澤委員】  私は助産師教育のほうに携わっていますので、助産師の視点から申し上げますと、今、先生がおっしゃった、質の保証というのは非常に大事なことだと思います。私どもも助産師団体として、2008年、特定非営利活動法人日本助産評価機構を立ち上げました。本機構で分野別評価を行っております。助産評価機構の最初の評価は、天使大学が専門職大学院を立ち上げましたので、開設5年目の2009年に天使大学院の認証評価を行いました。「助産専門職大学院認証評価」の評価及び評価基準は厳密に丁寧に作成致しまして、その基準に則り、多方面からご指導いただきながら評価を行い、天使大学院は「適」に該当しました。

 助産師教育は先生もおっしゃるように、1年コース、学士課程、大学専攻科や別科、大学院修士課程でも教育を行っております。従って各教育機関とも徐々に認証評価を行っていく必要性がございます。現時点では、来年度大学専攻科/別科に認証評価を受けて頂く準備をしております。次に、大学院修士課程の順で、評価基準と認証評価のガイドラインを作成している最中でございます。また、助産師教育の各教育機関にも認証評価を受ける働きかけを行っております。大学院修士課程の場合にも準備が少し遅れておりますが、大学院評価と評価基準を作成し、ガイドラインに則して5年毎位に評価を行う準備をしております。

 それから、今、先生がおっしゃいました資格の取得は、1年コースでも学士課程の中でも取得できます。大学院の教育も、養成所指定規則に則り職業人として資格を取得しますので、高度な専門をどのように位置づけるかという問題が出てくると思います。大学院修士課程での修了要件30単位は、各大学がその教育機関の理念に則って30単位の教育を進めているのが現実でございます。現実は、時間的に相当厳しく過密になっております。

 例えば本学の場合は、国際保健助産学専攻ですので、修士課程で助産学に関連し発展させる科目として、多文化理解、開発と環境、人口問題、ジェンダーと倫理、国際保健活動論やコンサルテーション論、看護政策論等を教科目においております。他に看護学専攻の教科目も選択することが出来ます。助産に積み重ねて高度専門職業人として活動する基盤形成には、それなりの教科内容を試行錯誤ではありますが、検討して進めている段階でございます。

 大学院修士課程での助産師教育は、単位数が多くなることが一番難点であり、学生も余裕がなく大変です。しかし、実践コースは課題研究として現象の見方、データの取り方、分析・解釈・統合していく視点を教育の中に取り込み、論理的思考を養いながら課題研究として論文をまとめております。現状はこのような状況でございます。

【佐藤委員】  すみません、座長、いきなり地雷を踏んじゃったみたいですけれども、質のことにつきましては、どうぞ専門家の先生方で、ほんとうにこれは議論を尽くして、それぞれの学位課程にふさわしい質を維持するような、建設的なご議論をぜひお願いしたいと思います。

【中山座長】  私も地雷を踏むことになるのかもしれませんが、今ここで議論になっているような形で、きちんとやりたいという大学院はいいんですが、今、大学院の入学生は必ずしも大卒ではありません。看護師学校を卒業し、看護師の臨床経験を積んだ方たちを、大学独自で認定して入れるという形をとっています。そういった方たちが保健師の免許を取りたい、助産師の免許を取りたいといった場合に、きちんと質保証できるような大学院としての機能を果たすことができるのか。一方で質保証し、一方で免許が取れるようなカリキュラムが組めるかということの議論は、非常に重要なことになるのではないかと。

 そこを踏み誤ってしまうと、佐藤委員が言ったように、ほんとうに今、免許を持っていないから保健師の免許を取りたい、助産師の免許を取りたい。それで大学院に行けるんだったら、そこで修士号が取れるんだったら、1年間行くよりは大学院のほうがいいというようなことで、また大学院のほうも、そのほうが人がたくさん来てくれるからということになったときに、大学院としての質保証をどうするのかということは非常に重要な問題です。どのような評価基準をつくるのかというのは、大きな課題として残ると認識してもいいのではないかと私も思います。

【佐藤委員】  ありがとうございます。十分です。

【中山座長】  坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】  資料1、論点の整理の2ページの一番最後のところですけれども、今、佐藤委員が言われたところも含まれると思うのですが、修士課程、大学院における保健師・助産師養成について、これからどうなっていくのかということを評価していくべきだと思います。継続的な評価をしていくために、継続的に評価をしていくシステムをつくっていくということを盛り込んでいただきたい。それから、佐藤委員が言われたように、第三者で評価していくというのも、これから大学や大学院においては大変重要なことだと思いますので、それに対しても、検討のまとめの中に、ぜひ書き込んでいただきたいと思っております。

【中山座長】  ありがとうございました。

 どうぞ、宮﨑委員。

【宮﨑委員】  前回も、最後のほうの議論で、大学院の機能別というお話が出たかと思っています。大学院としての質の評価をしていくときに、大学院としての最低基準で共通性の高い基準というのはもちろんあるでしょうけれども、これからの質の評価というと、やはり個々の大学院がどういう人材を育成したいのかという、それは学部もそうなんですけれども、そういうところがきっちりと冠のほうにあって、そして教育、研究者養成なのか、それとも高度実践者なのかというところから、それぞれのカリキュラムがどうなのか、そして、そこに免許が附帯するのであれば、大学院としての免許として見たときにどうなのかというふうに、どういう人材を育てたいのかという議論があっての評価じゃないかなと思います。そこはむしろ、しっかりと今回、強調していただきたいなと思います。

【中山座長】  宮﨑委員の発言からすると、これまで幾つか論点で出ているんですが、大学院が何もかもやるのではなくて、それぞれの大学院がもっと特色を出すということを強調したほうがいいということですね。

【宮﨑委員】  はい。大学院といっても博士の前期課程、そして後期課程、いわゆる博士課程の中の前期課程といわれるマスターコースなのか、それとも独立的な大学院なのかというコース設定も関係してくると思いますし、そこら辺が今、大学院というと一緒くたに扱われがちなところを、これだけ看護系も大学、学部が増え、大学院も増えてきていますので、しっかりとそこら辺の機能別という議論は、むしろ慎重にしながら、評価というところにつなげていくべきじゃないかなと思います。

【中山座長】  ありがとうございました。

 ほかにご意見ございますか、このことにつきまして。

 よろしいですか。大学院の質の保証の問題については、ここですべて解決するわけではありませんから、課題として残されたものについてはきちんと明記するという方向で考える。坂本委員も、ずっと主張されているんですが、継続的な評価とか、第三者の評価とか、そういう評価をきちんとすることで大学院の一定の質を保っていくというシステムはつくったほうがいいということはずっと出ていましたので、きちんと盛り込んでおくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山座長】  それでは、また、気がついたことがありましたら、後で出していただくことにしまして、次の課題に移りたいと思います。

 次は資料2になりますので、事務局のほうから、説明をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  資料2及び添付資料1、添付資料2、それから文言修正案一覧、これが次の議題2の資料です。資料2として、検討会の最終報告(案)というタイトルのものをおつけしておりますが、今まさにご議論いただいた大学院の部分については、まだこの中に盛り込まれておりませんで、それまでの前半の部分でまとまったところを文章化したという形になっております。ですので、今日のご議論いただいたものを入れた形で、全体にまた変わってくるという可能性もあるかと思いますけれども、これまでのところを論点整理等々も踏まえてまとめましたので、一度お目通しいただきたいという趣旨でお出ししております。

 まず、1枚めくっていただいて、目次のところで、大きな章立てをご確認いただきたいのですが、構成としては、まず、1として、第一次報告でどのような提言をしたのかということと、その後にあった保健師助産師看護師法の改正にかかる動きというものをまとめております。2番で、この報告において取り上げる課題というものを提示して、3番目で、前回までご議論いただいていた看護実践能力と卒業時到達目標のまとまりぐあいをお示しし、4として、「大学における看護学教育の質保証について」という題の中に、学士課程における質保証と大学院における質保証というふうに、2つに章を分けてつくっておりまして、2番の大学院における質保証というところと今後の課題がブランクになっています。

 内容については、昨日お送りしているんですが、ごらんいただける時間がなかったかと思いますので、大まかに説明をさせていただきます。

 「はじめに」は、この検討会の趣旨と、後記の報告書のことについては、こんなことを提言するんだということを言っておりまして、1.第一次報告における提言と保健師助産師看護師法の改正についてというのは、2ページ目のところで、一次報告の中で、学士課程段階で養成する人材像として、長い職業生活においてあらゆる場、あらゆる利用者のニーズに対応できる応用力のある国際性豊かな看護系人材の養成を目指すといった基本方針を示しましたということを書きまして、保健師・助産師教育については、教育課程の役割や理念を踏まえて、社会のニーズに応じた教育の充実を図ることが必要であると言いました。

 (2)で、保健師助産師看護師法及び指定規則の改正の内容について、事実を触れております。ここについては省略します。

 2.本報告において取り上げる課題というのが3ページ目にございますが、ここについては、今、学士力をいかに保証するかということと、また反面、学士課程でのキャリア教育の充実といったことも、近年のトピックとしてもありましたので、ちょっと触れておりまして、助産師・保健師の教育については多様化が進行しますし、大学における看護教育の在り方そのものの多様化も進むと考えられる中で、学位課程教育の質保証と質の高い看護系人材養成教育の充実というものをいかに両立させるかということが大きなテーマであるといったことを書いております。

 3.学士課程教育においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標についてですが、4ページ目で、開発に至る経緯であるとか、看護実践能力と到達目標という名称に至った経緯などに触れております。まずは、そもそも学士課程卒業者の看護実践能力の向上というのは大学教育の課題であるということで、平成16年に一度取りまとめがありましたが、大学教育を取り巻く環境は変わったというところで、ここでもう一度取りまとめるんだということを書きまして、平成16年とは異なって、今回は、取得が前提となる国家試験受験資格は看護師のみであり、保健師・助産師の資格取得については必須とならない。その上で、保助看の3つの職種に共通する看護学の基礎とは何か、そして、学士課程で養成される看護系人材が修得すべき看護実践能力とその到達目標はいかなるものかを検討した。

 また、今回は大学関係者だけでなく、社会が大学における教育内容について理解を深めることができるよう、到達目標を達成するために必要な教育内容や期待される学習成果についても明示をしたということで、4ページの一番下には、この「実践能力と到達目標」は、教育の必要最小限の内容を示すものであり、なおかつ「教育内容」や「学習成果」は、到達目標を共通理解するために例示したものであって、必修事項として教育内容を制約するために提示してはいないということ。

 大学は、「実践能力と到達目標」を参照しつつ、独自の教育課程を編成することが求められている。

 また、内容としては、看護師の国家試験受験資格に必要な教育内容は上回っていますが、法制上、国家試験受験資格を直接担保する基準ではないということを明示しております。

 続けて、5つの能力の群と20の看護実践能力というものを一覧という形で示しまして、具体的なそれぞれの能力の定義でありますとか、教育内容、到達目標のあたりについては別添という形でまとめております。そちらについては、また後ほどご説明します。

 引き続き、今後の発展ということで、コア・カリキュラムという形を見据えて改訂を続けるということを、6ページから7ページ目にかけて書いております。

 続いて、大学における看護学教育の質保証についてというところでは、1)学士課程における質保証ということで、この中で、まず、職業教育の在り方にふれました。中教審のほうで、キャリア教育・職業教育特別部会というものの取りまとめがもう間もなくありまして、まさしく私どももそれを参照しながら、この検討会の報告書をまとめるべきではないかという趣旨で、まだ会議資料ではあるのですが、学校教育における職業教育の在り方という一まとまりの論述がありましたので、引用しております。

 それが8ページの5行目まで続いておりまして、こうした一般論に加えて、当検討会では、看護学教育において、医療人としての職業倫理であるとか国家資格を得るに足る職業アイデンティティの醸成が不可欠であるといったことも指摘されていると書いております。

 学生の資質が変化する中で、指定規則の教育内容を充足しながら専門職業人としてのアイデンティティと職業倫理を獲得させ、専門職業人のスタートラインに立てる人材を育てるためには何が必要なのかということを各大学が主体的に検討することが重要であるといった提言をしております。

 また、ここは場所が適切かどうかわからないんですが、実践と教育を兼務する教員を配置することが今後の教育には有効ではないかという意見があるということ、ここはまだ、「意見があった」という書き方なんですが、触れております。

 続いて、学士力の育成についてということで、1節設けておりまして、学士という称号を授与するに足る教育課程であることと社会が期待する看護師等の人材を養成できる教育課程であること、この2つの要請を満たす必要があるということで、9ページ目に行きますけれども、学士力と看護実践能力の育成というのは本来、相補うものであるので、明確な学位授与方針・教育課程編成の方針に基づいて、充分に精錬された教育課程を編成することや、職業教育関連科目を通じて学士力を育成するための教育方法の工夫等の取り組みが不可欠であると述べております。

 (3)看護実践能力の育成についてですけれども、学士課程卒業者の看護実践能力の向上は、大学が社会の期待に応えるために対応すべき重要な課題であり、その対応策の一つが「実践能力と到達目標」の策定であったということで、学生が「実践能力と到達目標」に定める看護実践能力を修得できるよう、大学においては、学生の学修準備状況に合わせた効果的な教授方法の開発・実施や主体的な学習時間の確保をしていくことが必要であって、またさらに、保健師助産師看護師法の改正を受けて、保健師・助産師の実践能力の向上については、さらなる課題が存在するということで、指定規則改正の折に厚労省の検討会のほうで触れられた、今後の課題という面を触れております。

 最後の10ページになりますが、そうした課題に対応するためには、各大学の教育理念に基づきながら、今回の法改正の趣旨を踏まえて、国家試験受験資格を得るにふさわしい卒業時到達目標を明確に定め、それを実現する教育課程を構築し、実践することが必要であり、さらに、シラバス等の公表を通して、また、教育課程を自己点検評価、相互評価等により確認することなどを通して、教育課程の改善に取り組むことが求められている。また、学生、とりわけ卒業生の評価を教育課程の改善に活かすことも期待されているということと、文部科学省においては、シラバス等の確認を通して指定規則に定める教育内容が網羅されていることを確認するなどして、これまで以上に教育の質保証を行う必要があるということと、将来的には、分野別評価による教育課程の質評価体制を構築することが望まれるというふうにまとめております。

 ざっと説明してしまったんですが、引き続き、別添の添付資料1と添付資料2について、説明します。内容としては、前回、合意を得ているものと私ども思っておりますが、文言について、横文字が多いのではないかというご指摘を受けました。そこで、あくまで事務局案で、専門的に検討され尽くしたものではありませんが、対案を作りました。ぜひ今回、ご議論いただきたく、本文中にも修正箇所がわかるように提示しておりますが、一覧を作成しましたのでごらんください。

 まず、「看護の対象」という言葉について、意味が不明確ではないかということについては、固有名詞としての使い方を避けて、そこが意図できるように、「看護の対象となる人々」ですとか、「人々」「対象者」という文脈に合わせて、表記ぶりをかえております。

 その次の、「看護の対象である人間について」というのは、文脈的には、「看護の視点から」という置きかえでもいいのかなと思ったので、ここはイレギュラーなかえ方をしています。

 「看護を計画的に展開する実践能力」の「展開する」というワーディングがわかりにくいということで、ここは、「看護を計画的に実践する能力」とかえております。

 また、「エビデンス」は「科学的根拠」ということで、それ以降、片仮名文字については基本的に、藤川委員にご提案いただいたように、日本語を入れて、括弧して英語で表記するという体裁をとっておりまして、「エビデンス」は「科学的根拠(Evidence)」。

 「アセスメント」は「看護の視点からの評価」と、これはほんとうに事務局案ですので、ご議論いただきたいんですが、(Assessment)。1カ所だけ、アセスメントをして、実践をして、評価するといった、看護過程の展開という文面の中で使われていた「アセスメント」については、「評価」が重なるということで、「査定」と、そこだけ使っているということがあります。

 「ヘルスプロモーション」は「健康増進(Health promotion)」。

 「コンプライアンス」と「アドヒアランス」については、事務局で適切な訳語が見つけられませんでしたので、ぜひ今日、ご意見をいただけたらなと思うところです。

 「ストレスコーピング」については「ストレスへの対処」、「サバイバー」は「疾病からの回復者」、「ソーシャルサポート」は「社会的支援」。

 「グリーフワーク」は「悲嘆過程」、これは、学習の成果のところで「悲嘆過程、グリーフワーク」という使い方をされていたので、「悲嘆過程」というものを使っています。

 「サポートシステム」は「支援システム」、「スタンダードプリコーション」は「標準予防策」、「アサーション」が「適切な自己表現」、「リフレクション」が「看護の振り返り」と、できるだけ原文の中に使われている文言を生かしながら修正案をつくってみたというところです。

 ご説明は以上です。

【中山座長】  ありがとうございます。大変な作業を事務局のほうにしていただきました。

 それでは、今、報告していただいたことについての問題を検討していきたいと思います。皆さんのほうに送付したのはきのうぐらいでしたので、全部は目を通せていないかと思います。気がついたところから出していただければと思います。

 どうぞ、菱沼委員。

【菱沼副座長】  文言なんですが、「ヘルスプロモーション」は、かぎ括弧つきのヘルスプロモーションをWHOが使っていて、それがそのまま日本でもヘルスプロモーションとして使われていますが、一般論としての健康増進と、かぎ括弧ヘルスプロモーション、WHOが言っているヘルスプロモーションは違う気がするので、こういう形にしていくのかどうかということと、それから、医療の中で最近よく使われている「サバイバー」は、回復者というよりは、病気を持っていても、それを乗り越えて生活をしている人々というニュアンスなので、ちょっとこれだと違うかなというような気がいたしますが、いかがでしょうか。

【中山座長】  ありがとうございます。

 事務局のほうからは、修正案として出されているんですが、もし出すとしても、このような日本語に置きかえて、括弧で英語を併記するという形を提案としては考えているということでいいのでしょうか。

【小山田看護教育専門官】  はい。

【中山座長】  提案としては、そういう形に今はしてあるということですね。

【小山田看護教育専門官】  はい。

【中山座長】  今、菱沼委員のほうから、国際的に使われているような用語についてはどうなのかということと、訳すと意味合いが違ってきてしまう場合はどうするかという問題が出されたと思うんですが、小山委員、どうぞ。

【小山委員】  できるだけ日本語にということで、日本語にされた努力はよくわかるのですが、括弧英語は、いつもつくのでしょうか。片仮名は日本語ですが、括弧英語は英語です。ですから、英語がずっと今後、資料としてつくのかということについてお伺いしたいと思います。

【小山田看護教育専門官】  少なくとも、「実践能力と到達目標」という資料として出していくときには、そこで使われる文言として現在、提案をしておりますので、そういうふうに使われるかと思いますが、これも見直しを続けるという前提での取りまとめですので、おそらく今後、使っていく中での修正もかかるのではないかということを考えています。

【小山委員】  ちょっとよくわからなかったのですが、とすると、私はこれを拝見しましたときに、日本語にしようという努力のときに、片仮名だとまだ日本語だったのが、(日本語の後に)括弧英語がそのままついてくるのはちょっと違うかともっと違和感を覚えました。多分、括弧に入れざるを得なかったのは、語源を明確にしたいがゆえであることはよくわかるんです。今まで片仮名語になっていたのは、適切な日本語がなかった、例えば「ヘルスプロモーション」だと、健康増進だけではない、WHOが言っている意味の内容が含まれるという意味で、ひとつの日本語にできないから、「ヘルスプロモーション」と使ってきた経緯があるのかと思うのです。

 そういう意味で、ここに日本語にされたもので、ちょっとこれはどうかと思ったのは、「ヘルスプロモーション」は菱沼委員に賛成なのですが、「アセスメント」も、「看護の視点からの評価(Assessment)」のときに、それはむしろ、ただの評価ではなくて、「必要なデータをとってきて、それを分析して、判断して、そして評価するというプロセス」を含めるのが、「アセスメント」という言葉に含まれておりますので、「アセスメント」という言葉を、ただの評価ではなくて、「アセスメント」というふうに使い、そして教えるときには、「アセスメント」の概念をそのように教えているのかと思いますので、「アセスメント」についてもちょっと疑問を覚えました。

 それから、「ストレスコーピング」ですが、「ストレスへの対処」というのは、ただの対処ではなくて、コーピングですから、前向きに対処していく。それを乗り越えようという、「前向きな対処」とするのか、あるいは「肯定的な対処」とするのか、日本語にするのであればそうではないかと思いました。

 それから、「グリーフワーク」も、日本語にするとグリーフプロセス、過程だとプロセスかと思いまして、そうすると「グリーフワーク」は適切であるかどうかと。もしかしたら本文のほうを直さなければいけないかとも思うのですけれども。

 それから、「スタンダードプリコーション」は、いろいろなところで使われているので、「標準予防策」でいいのかどうか、むしろこれはこのまま、「スタンダードプリコーション」のほうがいいのではないかと思います。

 「アサーション」につきましても、「適切な自己表現」以上のものが「アサーション」の概念には含まれているかと思われますので、日本語にするのであればこの言葉ではないというのと、括弧で英語がついてくるということは、日本語にしようという努力のときに、いつも英語づけというのはどうなのかと、そこのところをここでどのように判断するのかと思いました。

【中山座長】  どうぞ、藤川委員。

【藤川委員】  外来語をできるだけ日本語に直すのは、一般的に、多くの人たちに理解してもらうために必要なことです。マスコミもそうですけれども、一般の国民にも、それから、ほかの看護職以外の人たちにも理解をしてもらうという努力が大切です。

 それから、横に英語のスペルをきちんと書くのは、片仮名だけでは、正確なスペルを書けない人が圧倒的に多いんですね。やはり、国際的な看護教育という高い次元の話をしているときに、片仮名で英文は書けませんから、スペルはきちんと教えることが肝要です。

 そして、教員もスペルを間違わない、片仮名で教育しているうちは、世界的な、国際的な看護教育というのは絵に描いた餅になると思います。教える側も、学ぶ側も、これはきちんと勉強することが大切である。日本人の一番悪いのは、明治時代から外来語を片仮名で書いていることで、例えば、私が高校に入学したときの最初の試験、全部、片仮名の文字を英語のスペルに直す問題でした。進学校でしたけれども、ほとんどの学生が20点か30点でした。正確に無声音とか、「r」とか、「l」とか、「s」が2つあるとか、「h」が入っているとか、例えばブルドーザーとかヘリコプターと言われても、ぱっとスペルを書けないんですね。

 だから、英単語のスペルをきちんと正確に認識した上で、日本語に直したらどういう意味だろうかと、きちんと認識して使わないといけません。そうしなければ、非常にレベルの低い看護教育をしているんじゃないかと、英語をわかっている人たちからすると、評価されないのではないかという危険性があります。そういう意味できちんと襟を正すべきじゃないかと思います。

【中山座長】  どうぞ、西澤委員。

【西澤委員】  今、藤川先生が言った、基本的にできるだけ、できるものは日本語にというのは大事ですが、ただ、なかなかそうはいっても難しいなという面もあると思います。「アセスメント」も、直して、「看護の視点からの評価」としましたが、「アセスメント」はほかにそのままでも使いますよね。「アセスメント」イコール、常に「看護の視点からの評価」じゃないわけですね。そうすると非常に誤解を生むのではないかと。

 例えば介護のほうでも、ケアプランを立てるときに、「アセスメント」を使っていますね。訳したときに、介護のほうでの「アセスメント」を「看護の視点からの評価」と訳すかといえば、そうならない。そうするとなかなか難しくて、「アセスメント」の意味をきちっと日本語で伝えるためにはどうしたらいいか。だから、ほかのところで使った場合でもこの日本語でいいというものがあるのであれば、そうすべきだと。そうでないのであれば、やっぱり大変かなと。

 それと、今回、「アセスメント」は「看護の視点からの評価」となっていますが、添付資料2の2ページの5)の教育の内容の「アセスメント」が、ここだけは「査定」になっているんですね。同じ「アセスメント」が、日本語にしたときに別な日本語になるというのも非常に違和感があります。

 このあたりはどうしたらいいか、もう少し検討が必要だと思っております。

【中山座長】  英文を日本語に置きかえるときに、状況によって意味が多少かわるところを、こういう形で、「評価」としたり、「査定」としたりというような形になっています。評価も、ただ「評価」と書かれると、今度、「エバリュエーション」との区別をどうするのかとか、いろいろな問題が出てきます。その結果として、今、出ているように、片仮名にするにしろ日本語にするにしろ、どちらにしても、もともとになっている言葉を併記するほうがいいのではないかという案も今、出ています。その辺のところで、もう少しご意見をいただけますでしょうか。

 前野先生、何かありますか。

【前野委員】  この文言修正案をきのう見まして、とても身近な言葉になったなと思いました。1つは、やはり一般の人たちがまずわからない部分、それを一般に知らしめるということがあるでしょうし、もう一つは、同じ医療者の中でも、この言葉は看護だけで使われている部分がある。ほかの医療者が知らないという部分もあるわけですね。それを、今の項目を一般的にというか、それはそちらの先生方の世界のものであって、必ずしもほかのところではそうではないということで、ある意味では、失礼な言い方をすれば、それは専門用語といいながらも、業界用語ではないのかと。それをなるたけ一般化させる必要がある。

 そのためには、まず日本語にして、その後にスペルでつける。これはとてもいい案だと思うんですが、それをまた原点を見て、こういう概念なんだということで、ひもとくこともできるし、基本的にはこういう形をやるべきでしょうし、あと、看護学の中で、その概念というのをまた教えればいいのであって、ここの中での表記というのは、まあ、よろしいんじゃないか。

 ただ、すべてを、「アセスメント」であるならば、「看護の視点からの評価」というだけじゃなくて、この場合にはこういうふうにするというのは、それぞれの知恵であって、それをここで検討すればよろしいのではないかと私は思います。

【中山座長】  ありがとうございました。

 倉田委員もどうぞ。

【倉田委員】  言葉についてなんですけれども、英語ではなくて、日本語で、一番最初に書いてある、「看護の対象」というのから、「人々」というふうにかえていただいたんですが、とても温かみを感じるようになりました。血の通ったような。人と人との間の出来事。行為、知恵や知識ですから、「人々」とかえていただいたのはとてもよかったと思います。

 それから、「アドヒアランス」ですが、これは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受ける。それをサポートするというような内容ではないかと私は理解しているんですが、学習成果のところにそうやって書いていただくといいんじゃないかと思うんですが、文言としてはちょっといいアイデアがないんですが、内容としてはそういうことなのではないかなと思って理解しました。

【中山座長】  坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】  私も、英語を表記するというのは賛成です。

 それからもう1点、絶えず自分の中にひっかかるのですが、コアとなる看護実践能力と卒業時到達目標の添付資料1の2ページですけれども、私も今までずっと使っていたのですが、「対象」という言葉があります。よく私も使うし、学生も使うのですが、ここにちょっと違和感があるんですね。それを「人々」という言葉を使っていただいてすごくわかりやすくなったと思います。ですので、看護実践能力の1)も「看護を受ける人々の尊厳と権利を擁護する能力」だったらわかると思います。「対象」という言葉を消していただいているのもあるけれども、残してあるところがあるので、「対象」という言葉は、少し考えていただければと思います。ちょっと気持ち的にはひっかかるという気がします。

【中山座長】  どうぞ。

【藤川委員】  我々の場合も、「患者さん」といいます。「治療の対象」という表現はしません。一般的な表現に戻したほうがいいのではないですか。物じゃないですからね。「対象」というのは物をいう場合が多いですので、やはり、「患者さん」でもいいですけれども、「看護を受けられる方」とか、そういうやわらかい人間味のある表現にかえられたらいかがですか。

【中山座長】  というようなご意見が出ていますが、これは看護の考え方の問題も含めて、それぞれの先生方は、大学の中では教えているのではないかと思います。対象化するかどうかということの問題は、1つ議論としてあると思います。

 どうぞ、宮﨑委員。

【宮﨑委員】  英語表記というのは、私も必要だろうなと思うんですが、片仮名を漢字に置きかえて、そこに英語表記というところにちょっと違和感を感じました。片仮名の後ろに英語表記がつくのはわかるんですけれども、その並び方がちょっと違和感があったのと、つまり、できるだけ一般の方が見てもという努力は、先ほどの「看護の対象」に関しても、「人々」という言葉がついた。それで血の通った言葉に、ほんとうの意味でわかっていただける言葉になった。まさにそうなので、そこら辺は多分、幾つかの片仮名の言葉はそういう転換ができるのかなと思いつつも、例えば代表的なのが、「アセスメント」に関しては適切な語句が、反対にないことによって、誤解されるということもあり得るのかなと依然として思います。

 ですので、どれが一つずつどうということではないんですけれども、できるだけ日本語にしていくというのはあるんですが、そこばかりに形だけとらわれると本末転倒になるし、英語は片仮名の後につけたほうが、最後どうしても片仮名が残った、その用語の後につけたほうがいいんじゃないかなと思いました。

【中山座長】  宮﨑委員としては、例えば「アセスメント」という言葉は片仮名で使うけれども、そのときには括弧で英語の単語も入れておくというような形のほうがいいんじゃないかと。これを、「看護の視点からの評価」とすると余計にこう、それで英語の(Assessment)がつくというのは何か違和感があると。それだったら、片仮名で「アセスメント」とやったほうがまだいいのではないかというご発言と考えていいんですか。

【宮﨑委員】  はい。最後まで残った片仮名に関してはということです。

【中山座長】  逆に言いますと、例えば「ソーシャルサポート」を「社会的支援」と、むしろこれは片仮名でなくてもいいと考えますか。

【宮﨑委員】  「ソーシャルサポート」に関しても、私は、これは既に、どれだけ専門性が高いかといったときに、いろいろな領域で使われつつある言葉なんじゃないかなと思っています。だから、「ソーシャルサポート」も片仮名でいけるんじゃなかろうかと。「社会的支援」というと、反対に、片仮名にしたレベルのわからなさと「社会的支援」にしたときのわからなさは、そう違いがないんじゃないかなと思ったりします。

【中山座長】  坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】  なぜ外国の言葉に振り回されなくてはいけないのかなと思います。私たちは看護をしているときに、患者さんを見て、情報をいただいて、そしていろいろなことを考えて、このようなケアをしていこうと考えているわけです。ですから、何で外国から来た言葉を解釈しなくてはいけないのでしょうか。いろいろな理由で、どうしても使いたいのであれば、外国から入ってきて、日本には本当はないのだというような言葉として、英語をきちんと書いていただいて使うことは結構だと思います。しかし、アセスメントをするということを、なぜ日本語で表現できないのか。では看護しているということは何をやっているのか。そのような視点からすると、できるだけ患者さんにもわかる言葉で、日本人で使える言葉で、看護が行なっていることを正確に書いていくということが重要だと思います。

【中山座長】  ということで、これはどう結論を出していいものやら、座長としては今、頭を抱えておりますが、基本的には、日本語に置きかえても十分意味が通じるものについては日本語に置きかえる。ただ、逆に日本語に置きかえることで混乱を招きそうなものについては片仮名にする。

 どちらにしても、これは外から入ってきた概念ですので、それにつきましては、もともとの言語というか、言葉を付したほうがいいものについては付けざるを得ないのではないかとおもいます。事務局と、皆さんの今日のご発言を得て、精査してよろしいでしょうか。ここで聞きますと、延々と1つ1つをどうするかと、多数決で決めましょうかということになってしまいそうなので。

 今、出ましたように、看護の中には、特に戦後はアメリカの影響を受けていますので、アメリカでつくられた概念がかなり入ってきているということがうかがえると思います。教育上はどうしても必要で教えているものと、それから国民の目線、人々の目線からすれば、やはりそれは特殊であり過ぎるのではないかということと、この辺の兼ね合い、どの辺で折り合っていくのかという問題だと思います。

 ただ、意味合いが違ってくるものについては、むしろ片仮名でそのまま、要するに英語を併記したほうがいいのかなという感じもいたします。逆に、訳しすとややこしくなるというものも幾つかはある。さっきの「サバイバー」もそうですが、「回復者」とすると、意味合いが違ってくるのかなと思ったりします。もう少し違う表現ができれば、考えたいと思います。それでよろしいでしょうか。

【坂本委員】  資料2について、ほかの部分でもいいのですよね。

【中山座長】  用語のことは、これでいいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【中山座長】  では、次へ行きます。坂本委員、次のことで、どうぞ。

【坂本委員】  資料2、10ページの今後の課題にぜひ入れていただきたいのが、コア・カリキュラムの継続検討ということと、分野別評価に関して、評価を行なうことはいいのですが、やはり第三者評価まで考えていくというところです。この2点は、ぜひ今後の課題に入れていただきたいと思います。

【中山座長】  ずっと議論になりまして、最終的には、委託事業としてはコア・カリということで始まったものが、学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時の到達目標となったけれども、これは最終ゴールは、コア・カリキュラムをつくれる方向に向かっていくということを明記しろということになりますか。それが1つと、評価は第三者評価という、この2つは課題の中に盛り込むということの発言かと思いますが、これはよろしいでしょうか。

 ほかに何かございますか。

 私は、小さいことで、これは事務局と直せばいいことなのかもしれませんが、「5つの群と20の看護実践能力の一覧」のところです。6ページになるんですが、ずっと気になっていたんです。17番がどうも、「保健医療福祉における協働と連携する能力」、この日本語がおかしいので、「協働と連携」「を」を入れればいいのかなと思いました。協働する能力と連携する能力と、両方のことを言っているんだと思いますので、「協働と連携をする能力」と、「を」を入れたほうがいいと思っています。もう一つ、いい案がないのですが、19と20は、「生涯にわたり専門性を発展させる能力」と「看護専門職としての価値と専門性を発展させる能力」は、一緒にして、「生涯にわたり看護専門職としての価値と専門性を発展させる能力」と言ってもよいくらい区別がつかなくて、再検討したほうがいいと思います。この辺のところをご了解いただければ、かえたいと思っていますが、いかがでしょうか。

 どうぞ、小山委員。

【小山委員】  大きいカテゴリーで見ますと、そのように見えてしまいますが、実際の添付資料2をごらんになっていただいて、19と20の中身を見ていただきますと、自分自身というのと専門職としてのというところで、内容的にはちょっと違えてつくったはずなんです。

【中山座長】  ええ。内容的に違うのは私も重々知っています。だから、内容的に違うんですけれども、こう出るとほとんど同じになってしまうので、内容をもう少しあらわす表現にかえないとまずいのではないかなと思った次第です。

【小山委員】  わかりました。

【中山座長】  坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】  看護実践能力の5(ローマ数字)について、ちょっと良いかわからないのですが、「専門職者として研鑽し続ける基本能力」の中に、やはり患者さんのニーズに貢献していく、新しい価値を生み出ししていく能力というような具体的なものを追加するのはいかがでしょうか。自分(看護職)の専門性ばかりのことが見えてくるので、1(ローマ数字)には患者さんなど医療を受ける人たちの尊厳と権利を擁護する能力というのはきちんと入っていますが、あとの項目は自分(看護職)のことばかり言っているような気がするので、1つはそういうのを入れておいてもいいのかなと思います。

【中山座長】  坂本委員、今、19と20のことに関してでいいですね、そこで。

【坂本委員】  そうです。

【中山座長】  私も、これをつくっているときにはあまり思わなかったんですが、表題だけを抜き出してみたら、どうも十分な表現ではないと思ったものですから。

 ほかに何かございますか。違うところからでも結構です。

 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】  これも、事務局にそっと申し上げておけばそれで済む話かもしれませんが、せっかくの機会ですので、申し上げておきます。

 言葉なんですが、例えば8ページ。

【中山座長】  先生、資料2ですか。どの8ページでしょうか。

【佐藤委員】  本文です。

【中山座長】  本文というのはこれですか。資料2と出されている本文の最終報告(案)の8ページです。

【佐藤委員】  その最終報告(案)の8ページです。(2)学士力の育成についての1行目後半に、「学士という称号を授与する」、これは学位でなくてはいけませんね。

【中山座長】  はい。「称号」じゃないです。「学位」です。

【佐藤委員】  それから、少し戻って3ページ、2.本報告において取り上げる課題の4行目に、至るところに中教審の引用をして、4行目の最後に、「キャリア教育の充実にすべての大学が取り組むことが大学設置基準に定められた」とあります。ややこしいことに、中教審では、例えば8ページに引用された、キャリア教育・職業教育特別部会における議論では、「キャリア教育」という言葉を使い、「職業教育」という言葉を使ってきたわけですね。

 一方、3ページにある、大学設置基準の改正に結びついたときの大学分科会の議論では、さんざんどの言葉を使おうかと議論したあげくに、「キャリア教育」という言葉を使わないで、設置基準の中には、「学生の社会的・職業的自立を促すための教育」云々ということで、「キャリア教育」じゃないんですね。設置基準のことに言及するとすれば、「学生の卒業後の社会的・職業的自立を促す教育が義務化された」という表現のほうが適切だと思います。

【中山座長】  ありがとうございました。

 先ほどの論点の整理があるんですが、課題のほうは、もしありましたら出しておいていただいたほうが、次に反映できると思います。ご存じのように、「今後の検討課題」は真っ白になっておりますので、この辺のところもご発言いただければと思います。どうぞ。

【村嶋委員】  ちょっと前なんですが、10ページの、大学院の前ですね。「文部科学省においては、保健師・助産師・看護師学校の教育課程を承認する際に、シラバスの確認等を通じて指定規則に定める教育内容が網羅されていることを確認するなどして、これまで以上に教育の質保証を行う必要がある」と。教育の質保証が大事だということは、さっきから繰り返し言われておりまして、それは私も賛成でございます。そうしたときに、今まで一つの科目を二重に読み込むような、保健師も助産師も読み込むようなことが行われていたんですが、これを文科省のほうで、シラバス等の確認を通してきっちりチェックして、そういうことができないようにするということを含めているんですね。今後そういうふうになっていくと理解してよろしいんでしょうか。ぜひそうしていただきたいです。少なくとも指定規則が改正になるときに、文科省のほうできちんとチェックされるわけですよね。

【中山座長】  そこは、事務局のほう、チェックをするという。

【小山田看護教育専門官】  指定規則の改正に対しては、教育課程を皆様変更していただくので、チェックをするというのはそのとおりですが、前段については、こちらのご議論に任されるところと思っております。

【中山座長】  ずっと議論になってきたところかと思いますが。

【村嶋委員】  少なくとも二重読み込みは禁止するとして頂きたい。同じ保健師の免許がいろいろなところで取れるから。大学院は厳しく、大学院にふさわしいようにしようと、さっき佐藤委員がおっしゃいました。学士課程はでたらめでいいというおつもりではないということはもちろんだと思います。ですから、学士課程でも、保健師の免許は、それこそ専修学校でも、大学でも、大学院でも、質はきっちり担保するということを、少なくとも今後、文科省がチェックなさるときにも、ぜひきちっとやっていただきたいと思います。

【中山座長】  この議論のことにつきまして、前回の議事録の中にもたしかあったと思います。要するに、教育内容についてはきちんと、ただ、どのようにそれを展開していくか、教えていくかということは、大学のカリキュラムの組み方は独自性があるということで、来ていると思うんです。

 宮﨑委員のほうが先に言いたい。どうぞ。

【宮﨑委員】  教育内容を二重にも三重にも読むということは、それはあり得ないことだと思います。ですけど、大学によって、一つの科目をどのように設置するかは大学の独自性になりますから、一つの科目を、保健師の指定規則を満たす内容として教える部分と、それから看護師の指定規則を満たす内容として教える部分、その2つの内容を含む科目として、例えば健康教育論などを構成しているということは大いにあり得るので、科目としては、それぞれで読んでいますよというのはあると思うんです。だけど、それぞれの内容が二重とかじゃなく、それぞれ入っているかというチェックは必要じゃないかなと私は思っています。

【村嶋委員】  大学の独自性をどんなふうに考えていくかということにあるんだと思います。そういう意味では、先ほど大学院の質の担保ということがありましたが、今のことからすると、大学院の独自性ということも同じように考えられるのではないかと思います。ですから、学士課程で認められるものが大学院で認められないというのは、論理としてはおかしいと思います。

【坂本委員】  これは前回の議論でもありましたが、この検討会は看護教育の質を上げるために行われてきたことです。大学のそれぞれの独自性というのも大変大事なことですが、指定規則があるのも事実ですし、指定規則は法律でありますから、それはきちんと評価していただくということで、文科省のほうにお願いをしました。そして、シラバスの公開や、きちんといろいろな評価をして見ていくということを言われたわけですから、それはやっていただくということでよろしいんじゃないかと思います。

【中山座長】  わかりました。また堂々めぐりをしそうになりますので、これは今日の議論からいっても、この報告書がそうだと思いますが、各大学あるいは各大学院が自分の独自性を出しながら、教育の質を担保し、運営していかなければならないということを盛り込んでいくことになると思います。その中で、免許資格の教育が看護学の中に入っているということで、ただ、免許資格のための教育ではなくて、看護学を学士課程として、どのように質を担保するのか、あるいは、看護学の大学院の修士課程なら修士課程として、質をどのyうに担保するのか、このことを踏まえた上で、免許資格の問題を考えていくということは、共通項として皆さんと確認してきたことと考えていいと思いますが。

 菱沼委員、何か発言があったようですが、よろしいでしょうか。

【菱沼副座長】  今、議論になったところは、10ページの最初の3行と、質保証をどうするか、実際の保証の仕方をどうするかというのが、シラバス等の確認ということと、それから今後の分野別評価、第三者評価というところで、今後の課題につながっていくのではないかなと私は思っておりました。

【中山座長】  どうやっても今後の第三者の質の評価のところに行き着くようですが、ほんとうにどういうふうにこれをつくっていくのかということは、大きな課題かと思います。

 高田委員は、3時と言っていましたが、何かご発言があれば、置いていっていただきたいんですが。

【高田委員】  ほとんど論議が出尽くしているかと思うんですけれども、先ほど坂本委員がおっしゃったみたいに、指定規則は決まっているわけですから、それをこなすというのは最低限必要なことであって、さらにその上に、大学を卒業した、学士を持った、学位を持った看護師なり何なりという形で、どういう価値をつけていくかということを、それぞれの大学の理念としてきちんとやっていけばいいわけなので、その一つのモデルとして、今回やっているような作業のものがあるという理解でよろしいんだと思います。

【中山座長】  ありがとうございました。

 ほかに、何かご意見ございますでしょうか。秋山委員は、今日は静かですが、よろしいでしょうか。

【秋山委員】  ひたすら聞かせていただいていたんですけれども、先ほどからの議論で、7ページ目の、「そこで、今回は」ということと「これらの意見を踏まえて」、この2文章というのは、つまりは今後の課題のところに行き着くのかと思って、文章がダブったとしても、先ほどから出ている、坂本委員の継続検討の必要性とか第三者評価というあたりが、つまりは、この前のページの(2)今後の発展についての文章から引き続いた後ろの部分は、今後の課題というところにつながるから、文章が、ここにすればいいのか、課題に行けばいいのかと思いながら考えていました。

【中山座長】  まだ全体的な文章構成その他については、十分ではないところがたくさんあると思います。最終的には皆さんに綿密にチェックしていただきますので、今の段階では、皆さんの発言の内容が入っているかどうかということを重要視したいと思います。もし考えていることで入っていないことがありましたら、ぜひ発言しておいていただきたいんですが。

 今日、横尾委員、どうでしょうか。

【横尾委員】  特にございませんが、コアの卒業時の到達目標について、しばらく期間を置いて読み返しますと、わかりにくい文章とかもあったりしますので、そのメンバーとしましては、もう少しわかりやすい、平易な文章に直せる可能性は残っているのかなというのを、先ほどの言葉の使い方の意見交換を踏まえながら、そんなふうに思って、今、改めて読み直しておりましたけれども、そういうところの可能性は、これじゃなくて、検討委員会のほうにいただいておけばいいのかなと思いました、ここではなくて。どうなんでしょうか。もうこれは、文章的な修正は若干できますね。

【中山座長】  これは委託事業から上がってきたものですが、最終的には、この検討会の資料としてつけますので、小山田専門官、検討会の責任になるのですね。だから、私たちが直さなければいけない、委託事業先に返すというよりは。そこの関係を教えてください。

【小山田看護教育専門官】  委託班で検討していただいたものを反映して、またこちらで検討するという作業が望ましいと思っているんですが、正直、タイムスケジュール的なものもあって、おそらくその時間がないのではないかということで、今後の課題の中でそこをできたらと思っておりますが、でも、理想はそういう形だと思っております。

【中山座長】  どうぞ、藤川委員。

【藤川委員】  今後の検討課題が、具体的に、この中にいろいろ載っているんですが、8ページの2番の前のところの、「加えて、看護学教育では医学教育等と異なり、臨床実践家としての活動をしながら専任教員としての役割を担う人材は少ない。時代に即した教育を行うためには、実践と教育を兼務する教員(以後、臨床教員とする)を配置することが有効である」という意見、私も賛成です。教員側の質の担保をしておかないと、過去のことは幾らでも教えられるが、最先端医療にしてもそうですけれども、最近のことはちょっとわからないと、学生と同じレベルで悩んでいたのでは話になりません。やはり教員の質の担保をしないと、今後、専門職の看護師として大学院を出ても、専門看護師として社会に出てきても、現場で一緒に働く専門医からするとちょっと物足りない。

 もう一回、再教育をして、臨床現場に役に立つ専門職として、卒後研修、スキルアップを、もちろんするんですけれども、できれば看護レベルでの大学院とかで、少しでもスキルアップ、能力アップをしてきてもらえると医療現場としては助かるんじゃないかということです。やっぱり臨床をよく知っている教員をできるだけ採用する必要があります。医学教育は、現場を知っている人が、忙しいですけれども、教えに行くわけですね。やはり現場をわかる人たちを臨時的にでも採用していくという努力はされたほうがいいかなと思います。

【中山座長】  どうぞ、村嶋委員。

【村嶋委員】  基本的には賛成なんですが、今までの看護学の教員配置が、非常に貧しかったということがあって、何とか今、やっとここまで確保してきたのです。ですから、臨床教授たちが、現場の方がそれを兼任してくださるのはとても歓迎なんですが、大学の教員がそちらに、行ってしまうと貧しくなると危惧します。教員が、専門性を持って、臨床に行ってブラッシュアップするということだったらいいんですが、臨床教授制をとることによって、教員の配置が貧しくならないような配慮は、常に考えていただきたいと思います。

【中山座長】  座長として気になているのは、教員数の問題は報告書に入れておいたほうがいいんですか。

【新木医学教育課長】  教員数が足りないというのがここでのご意見でしたらば、今後の検討課題として入れていただいて、我々もそれを受けて、さらに検討して、すぐにできる問題か、もう少し時間が必要な問題かはありますが、いずれにしても、そういう問題意識をご提示いただければ、我々はそれを受けとめてというふうに思っております。

【中山座長】  多分、臨床の実践能力の高い方たちとの組み方の問題も含めて、教育のスタッフをどのように編成していくのかという問題かと思います。小山委員、どうぞ。

【小山委員】  そのことはできるだけ早く、検討するシステムをつくっていただきたいと思います。大学の教育内容の質を上げるには、やはり教員の質というのはありますが、複数の学問分野がある大学で調査したことがあるのですが、看護系の教員は、労働基準法にひっかかるほど重労働でございました。昼夜、学部を持ち、大学院も担当ですと、朝の10時から夜の9時まで働いているという実情もございます。

 それはやはり教員の配置基準が非常に貧しいがゆえにこのような状況になっておりますので、質を高くするには、教員に研究も、教育も、実践能力もと期待されるときには、それができるような環境づくりもしていかないといけないと思います。

【中山座長】  わかりました。菱沼委員、どうぞ。

【菱沼副座長】  それに追加で、指定規則という国のほうからの指定の中で、20何単位というような実習を伴うカリキュラムを運用するためには、それに伴う費用、教員の確保、実習の質の担保というところに関しては、教員の数と質、それから看護教育にかけるお金ですね。どのように補助をしていくのかということに関しても、それは今後の課題にぜひ入れておいていただきたいと思うことが1点です。

 それからもう一つ、これまであまり議論がされておりませんでしたけれども、一般的に、日本で大学に入ってくる学生の質が変わっているということがございます。看護に関しましても、おそらく同じようなことがあるとすると、目標だけはここを変えないといいましても、入ってくる学生の最初のレベルといいますか、最初の状態がどうなのかということの調査とか、それに積み上げていく場合に、4年間でほんとうにどこまで到達できるかということの検討はあまりされていないで、看護職としてどうかということばかりがこの検討の進行だったかなと思いますので、学ぶ側のほうの条件、状態がどうなっているかということの見直しも、今後の課題として、ぜひ挙げておいていただきたいと思います。

 私が考えなければいけないかなと思っていますことは、看護学科等々に入学してくる学生が、100%看護職を望んでいるとは限らないという状況が起こってきているわけですね、看護系の大学の増加に伴いまして。そうなってきますと、看護職の需給という、もう一つの課題のほうとどのような整合性を保っていくかということも、おそらく今後、起こってくるのではないかなと思いますので、その点も、ぜひご検討いただければと思います。

【中山座長】  今のは、少子化の状況の中で、どういう層が、看護系大学の中に入ってくるかということの分析も必要になってくるということでしょうか。とりわけ、免許資格の取得が看護師だけのところも増えてくるということは、今までよりも、ゆったりとした教育をやれるところもあるということになり、逆に、「まあ、行っておこうか」というような学生たちも増えてくる可能性があるということを、考えたほうがいいという問題提起と思います。ここにどう書けるかは別にしましても、その辺の将来展望は考えたほうがいいという感じはいたします。

 どうぞ、横尾委員。

【横尾委員】  先ほどの教員の質のことなんですが、教員といった場合には、看護系の教員というふうにイメージされているのではないかなと思うんですが、専門領域の科目を担当する者は、看護師ないしは看護実践とかそういう経験を有する者という位置づけを明快にここで書いておいていただきたいなと思いますのが、それは、人数的にはいたとしても、そこを構成する職種がどのような人たちであるかということが、看護教育を発展させる上では重要ではないかなと思っております。ぜひそれを書いていただきたいというふうに、今後の課題として。いまだに私どもの大学では、そういうところで戦々恐々としている状況ではあります。

 以上でございます。

【中山座長】  小山委員、どうぞ。

【小山委員】  今おっしゃった内容は、今後の課題ではなく、教育内容の質の向上に向けてというところではないでしょうかと思いますが。解決していくのは、今後の時間をかけた課題になるかもしれませんが。

【横尾委員】  そうですね。私たちのところが課題であって、全国的には当然しなければいけないことだと思いますので、ぜひそこで書いておいていただきたいと思います。

【前野委員】  教員の質、とても大切なことですが、一方で、看護系大学が非常に増えている。量が増えてきて質も同時に満たすというのは、現実的にそぐわない部分もあろうかと思います。具体的にどういう風に整えていくか、しっかりバランスを取って見据えるべきではないかという気がいたします。

 医療現場で、医師、看護師ら医療従事者から話を伺う機会があります。それを集約すると、圧倒的に看護師が不足しているというのが第1点で、第2点が、新しくせっかく入ってきた看護師のレベルが高くない。むしろ以前よりレベルが低いだけではなくて、意識まで低い。そのために、医療現場では、新入看護師の教育が大変で、非常に負担になっているという3重苦のような声が聞かれます。

 そのようか現場の実情に対して、今回の検討会の報告内容が、果たしてこたえられているかなと、ずっと思っている次第です。それぞれの先生方の分野の専門的なことを論議、主張される点は、それはそれで正しいでしょうが、ただ、看護職の職域が広がり、また新たな職務が課されていく医療全体としての役割を見据えた上での論議がまだまだなされていないような気がいたします。机上の話に終わってしまって、現場の声、さらには患者さんたちのニーズにどれほどこたえられていくのかなという思いがしているところです。

 話のついでに、もう一つ言わせていただければ、根本的な問題として、看護職に就くための入り口が、さまざまあります。ある意味で、いびつと言っていいのか、構造的な部分を問わないまま、出口の部分での論議は、すっきりしないところがあります。今後の課題としては、そこの部分も含め、今後の医療、介護の現場でのニーズにどういう形で、こたえていくべきなのか。全体像の中で、進めていかないといけないと思います。

【中山座長】  ありがとうございました。

 野村看護課長、どうぞ。

【野村厚生労働省看護課長】  厚生労働省のほうで取り組んでいる動きを少しご紹介させていただきます。

 今、先生のほうからご指摘のありました看護師の不足ですけれども、看護師の不足対策、確保対策につきましては、需給見通しという中期的な見通しを立て、そこの中で供給をいかに増やしていくかという対策を行っているところでございます。実は昨日も第7次の需給見通しを検討し、今後、平成27年までの需給見通しをつくりつつあります。

 また、新人看護職員研修についても、ほんとうに数年前から問題視されておりまして、これについては、保助看法の改正に伴って、新人看護職員の研修を医療機関等で行っていただくべく、補助金をつけて支援をしているところでございます。これは今年度から補助金を確保したところですので、まだまだ浸透していないところも多いかと思いますけれども、そういった問題意識を持って取り組んでいるところでございます。

【中山座長】  前野委員、どうぞ。

【前野委員】  もう一つ言わせていただくと、やはり看護師が不足していることは間違いありません。昨日の厚労省の発表でも来年、看護職員が5万6000人不足するそうです。ただ、一方で、看護師らの離職率がやたら高い。さらに、潜在看護師も55万人いるとかいますよね。このような実態に対する解決策といいますか、この検討会で、論議する場かどうかはわかりませんが、ただただ数を増やして、教員の質を上げてどうだという論議だけでは、現実に合わないという気がいたします。

【中山座長】  どうぞ、西澤委員。

【西澤委員】  今、前野委員が言ったことは全くそのとおりで、ほんとうにいかに潜在看護師を掘り起こしするか。50万人いれば、その方々に働いていただくことが大事だと思います。これについてはいろいろ皆さん苦労している。おそらく厚労省も苦労している。看護協会も苦労している。私たち現場も、近くに看護師の資格を持って働いていない人はいないかとか、しております。なかなかうまくいっていないということで、これは総合的に考えなければならないと思っています。

 なかなかいい方法がないということで、私ども悩んでいることですが、以前、看護師も、登録制みたいなのをしたら所在がわかるのではないかという話もあったような気がします。登録制をするということのほかにも何らかの方法はあると思いますので、こういう検討はきちっとしていただきたいし、私たちも絡んでいきたいと思います。

 それから、離職率という場合、ちょっと誤解があるんですが、離職というと看護職をやめたように思われているんですが、実は職場を移った場合も含まれている。職場を移るのを離職といいますと、医者の場合なんかほとんど100%離職ということもありますね、研修の間は。ですから、離職という意味をまず正確に把握していただきたい。職場がかわっている人たち、看護師をやめた人たち、ほんとうの意味での離職をした人がどれぐらいいるかというデータがないと、私たちも対策を立てられないかなと。そのあたりも、ともに考えていきたいと思っています。以上です。

【中山座長】  ありがとうございました。

 坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】  全く西澤先生と同じ考えで、本当の実態はつかめていないところが大変課題であると思っています。あとは、いろいろな調査を見ると、看護師がやめていく状況は、やはり女性で、妊娠などの理由があることと、もう一つの理由は、労働条件です。医師と同じで、大変不明確なところがあり、苦労していて、やめていく状況が多く見られてきています。ですので、何らかの形で、働きがいといいますか、この仕事をしていてよかった、人生でこの仕事を選んでよかったというようなものを持てるような状況を労働環境をあらためて、文科省ではないかもしれませんけれども、考えていかなくてはいけないと思っております。

【中山座長】  どうぞ、藤川委員。

【藤川委員】  きのう、需給の検討会でもいろいろ意見が出たんですが、看護師さんたちの夜勤の問題ですね。体調を壊すとかいう健康問題でやめられているのが多いんですね。生理現象として、夜間仕事をするというのがどれだけストレスになっているかということがあるわけですね。ほかの業種で考えると、コンビニなども夜間やっていますけれども、ああいうところは大学生のバイトで、短期間的に、半年間とか1年間だけ頑張ろうとか、そういうことで夜勤はできるんですけれども、それを10年、20年続けろと言われたときにほんとうにできるかというと、非常に厳しい問題が、民間はもちろん福利厚生のよい環境にいる公務員の看護師さんたちでも大変じゃないかなと考えます。

 どういうふうに勤務体系を、健康を害さないようにシステムを作るか、みんなで知恵を出し合って考えねばならないと思います。アメリカでは2交代、12時間勤務をしているという情報もありますけれども、日本の場合、原則8時間の3交代、16時間をしたりして、工夫はされているんですけれども、我々が募集しても、なかなか夜勤をする看護師さんが集まらない。しかし、基準看護をとるためには夜勤をきちんとしなくてはいけない夜勤できる看護師が集まらないことが有床診療所や中小病院の閉鎖につながってきている。そして、地域医療の崩壊につながって、1次の急患までが3次病院に押し寄せて、そして、そこの勤務医や看護師が過労になるという悪循環になっていますので、その辺を何とか解決しなくてはいけないという大きな問題が存在しています。

 また、55万人いる潜在看護師といわれる離職者の再就職に関しては、医師会でも、各地区で10人、20人単位ですけれども、研修をして、大体5割ぐらいは再就職できていますね。一番最近の各県の取り組みでも、例えば10人再研修したら5人ぐらいが戻ってきているというデータがあります。基準を緩和して、研修の期間を短くしたりして、研修をしやすくしたのが良かったようです。やはり一番は動機づけですね。しばらく休んだけれども、戻ってみようという動機づけ、モチベーションが高まらないとなかなか再就職できません。それと自分の生活環境で、ご主人が協力するとか、ご両親が協力するとか、子供の教育の問題も含めて、環境整備をしてやらないとなかなか戻れないんですが、一番は、やはり本人のモチベーションを高めてやるということです。再就職支援に関しては、国と我々医療現場と、みんな協力してやれば相当効果が出てくるのではないかと期待しております。

【中山座長】  ありがとうございました。

 秋山委員、どうぞ。

【秋山委員】  先ほど菱沼副座長から、入学時の状況が変わってきているというお話が出ましたけれども、今のさまざまな論点、皆さんの議論から、大学を卒業した後で、その人たちがどういう動向で、どういうふうに仕事をかわり、かわったときはどういう要件で、おおよそは把握されていると思いますけれども、これだけ増えた大学のその後の卒業生の動向とその要因というのは、ある意味、大学化になったところの評価にもつながるので、そういう非常に基礎的な研究については、文科省としては何かする手だてはないのかと思います。

 先ほどの需給見通し等々は、厚労省としての取り組みだと思いますけれども、文科省としては、卒業生がどういうふうな資質を伸ばしているのかとか、例えば大学院にチャレンジする人がどのぐらいいるのかとか、高度専門職業人としてはどういう道を歩んでいったのかとか、それは各大学の同窓会とかそういうところを通じてフォローアップというか、そういう基礎調査が出てきてもいいのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

【中山座長】  事務局のほう、何かありますか。いろいろな意見はあるんだと思いますが。

【新木医学教育課長】  今ご指摘のデータは、現時点で文科省が持っているわけではございません。どういう手段、どういう方法で集めるのか、どういう目的で集めるのか、もう少しそこのところはご意見を伺いながら、また、関係機関、関係省庁と連携して、どういうふうにできるのか議論をしてみたいと思いますので、今後の検討課題として、そのようなことを検討すべきというご意見で、ちょうだいできればいいのではないかなと。

【中山座長】  実際問題として、個人情報の問題がありまして、同窓会のフォローアップする力が非常に弱まっているというのは、各大学では言われていることだと思います。この検討会の課題として残るとすれば、これは大学における看護系人材養成の在り方ですが、私はいろいろなところで個人的に発言しているのですが、大学を出たら教育が終わりという形でないことを考えざるを得ない。看護は専門職である以上、専門職というのはそんなに簡単にやめないというのが普通の考え方ですが、専門職である看護職が簡単にやめて、あるいは違うところに移っていく。

 移ることがキャリアをつなげていくという形ではなく、キャリアを切っていくという形で移るということに問題があるのだと思います。この辺で、大学の4年間を一つの出発点として、どうすれが長く専門職としてのキャリアを伸ばしていくような方策がとれるか、まだ十分なアイデアが出ていないのですが、とにかく40年、大卒の看護師がみんな働いてくれたら、需給見通しは立つはずです、余って困るぐらいだと言っているのです。女性問題がありますので、全員がそうはいかないにしても、今の少子化の時代に、専門職としてこれだけ丁寧に育てながら、その人たちがキャリアを積んでいかないということの問題は、一つの今後の大学の課題としては残していると思っております。

 どうぞ。

【倉田委員】  看護系の大学を目指す学生のことについても、ちょっと考えてみたらいいんじゃないかなと思うんですけれども、医学、歯学、薬学、看護学という医療系の予備校に多分、彼らは通っているんだと思うんですけれども、予備校の教師にも、今の子たちはどんなふうだというのを聞いてみることもいいのではないかと思います。逆に、看護系の大学としてはこういう子を欲しいと思っていて、将来こういうことになってという、これから文科省にやっていただくような、将来こういうふうに歩んでいくだろう、歩んでいきましたというのも含めて、アピールする機会というのがあってもいいのではないかなと思いました。

【中山座長】  ありがとうございます。入学してくる層も少し変わってきているという問題はあると思います。

 ほかに。藤川委員、どうぞ。

【藤川委員】  進路指導をする高校の先生方がいらっしゃいますけれども、もちろん学生の希望が最優先ですが、学生の適性が大事ですね。非常に優しいとか、気配りができて、人の世話をするとか、看護師にふさわしいような適性を持っている学生を看護系のほうに導いてもらうことも大切です。奨学金を提供している学校の進路指導の先生ともよく話しますけれども、全然ふさわしくないようなタイプの子もいるんですね。結局、途中でドロップアウトするんですよ。

 医師会立の看護学校に行っても、教務に聞いてみると、教務の感性で無理かなというのが何となくわかるそうです。途中で挫折すると、早目に職業の転換を考えてやらないとフリーターになっていきます。教員の責任としては、高校のレベルであっても、大学のレベルでも、あなたは慢性期のほうが向いているよ、急性期のほうに行くとちょっとストレスになるかなとか、看護職が継続して仕事を続けられるようなアドバイスも要るのかなと感じています。

【中山座長】  ありがとうございました。

 そろそろ時間のほうも迫ってまいりましたので、最終報告の(案)に向けて、ご発言いただければと思います。

【宮﨑委員】  今後の検討課題のところで、看護系人材の、特に基礎教育ということになってきますと、実習というのが、実践力をつけていくというところでは、大きい意味をもつものと思います。これまで、教育内容ということで随分議論をしてきましたが、実習をさせていただく現場側の整備というか、環境の充実というところは、もう一方で欠かせないんじゃないかと。現場側も、いい後輩を育てたいという思いはほんとうに同じです。ですけれども、非常に複雑で困難な問題を日々抱えている中で、実習指導にどれだけ人手が割けるか、エネルギーが割けるかというと厳しい状況があります。それに対しては、個々の大学と個々の現場が、ほんとうにこれまで個別に努力はしてきたと思いますが、やはり限界といいますか、個々の努力では、それ以上の成果を生み出せない状況に来ているように思います。

 ですから、それ相応の実習を受けていただいている施設には、何かしらのオプションの人材を雇えるような、資金面だとか何かしらのサポートが国家レベルで必要なんじゃないかなと思っています。そこまで具体的に言うと、またいろいろ議論があるかと思いますが、何らかのサポートが今後の課題ということで、必要なんじゃないかなと。

【中山座長】  それは多分、これまで病院で働いている看護職ですと、かなりの数がいましたので、何とか生み出せたのが、実際問題として、皆さん感じていると思いますが、訪問看護ステーションなどに行きますと、時間はお金なのです。時間を実習につぎ込むということは、それだけ収入が減ることにつながったりするという現実的な問題も確かにあるので、実習を長い時間かけてやるということの問題と同時に、そういうものを補償するにはどのような手だてがあるのかということを考えないと、苦しいのではないかと思います。

 とりわけ、看護の仕事は地域のほうに移っていくわけですが、地域のほうが、教育の人材育成にエネルギーを注げるマンパワーが少ないというのが、現実にあると思いますので、その辺の対策は立てていく必要があると思います。

【藤川委員】  文科省として、どういうふうにデータを把握されているかわかりませんけれども、医学部も併設しているところは附属病院がありますので、スタッフも十分いますけれども、医学部を併設していない、附属病院を持たない看護大学の場合は、実習に相当困ると思うんですね。我々医師会立もそうなんですね。医師会立も附属病院を持ちませんから。

 だから、大学病院とか、県立病院は、自分のところに附属病院がありますから、教員も教えに行くし、実習もするから、医師会立の養成所から実習の願いをだしても、なかなか受けてくれません。学生1人当たり幾らずつとか、謝礼を払うんですが、もう少し国家レベルで対策を考えていただいて、看護大学の許認可を与えた以上は、きちっとした実習ができる環境整備をするというのは、国の責任ではないでしょうか。非常に現場が困っているんじゃないかと思います。

 医師会立も困っていますけれども、看護大学もほんとうに実習する場所を確実に確保できているのかなという心配があります。文科省や厚労省では、そういうところはデータとして押さえられていますか。

【小山田看護教育専門官】  実習施設については、単位を与えるような実習をされる場所は、必ず文科省の承認を得た施設でないとできないということで、必ず、承認を受けているということと、毎年、どこの施設で、何施設ぐらいで実習しているかということは把握していますので、すべての大学が十分な実習施設を確保しているというところまでは把握しているんですけれども、そこから先の支援体制。

【藤川委員】  実態はわからないですね。

【小山田看護教育専門官】  実態というところは、そうですね。

【藤川委員】  最初の許認可するときだけですよね。

【小山田看護教育専門官】  いえ、その後も毎年、実習施設の名称と数については届け出をいただいております。

【中山座長】  やっています。

【藤川委員】  大変ですよね。実習病院を確保するということは。

【中山座長】  各大学すごい数だと思います。私の学部も、かわるたびに毎年出させていただいていますから、そこは大丈夫です。その先、それがどういう実習展開になっているかは、各大学に任されているところだと思います。

 それでは、いよいよ最後の最後で、ご発言、まだ足りない方。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】  先ほど来、教員の話が何回か出てまいりました。今回の報告書の取りまとめるに際し、個々の教員の資質、能力だとか看護実践能力を高めるための教員の云々ということだけでなくて、やっぱり大学としての看護学科だとか看護学研究科を構成する教員組織についても、どこかで言及すべきだと思うんですね。

 言うまでもなく、狭義の看護学教育だけではなくて医学等周辺諸科学のこと、あるいは心理学とか、統計学だとか、倫理、哲学といったようなものが結局、人間性豊かな看護職を養成するということになるわけで、先ほど来、話が出ているように、ただでさえも忙しいからといって、学科や研究科を構成する人員について、看護学のプロパーの方ばかりで構成して、少しでもきつさを解消したいという気持ちはわかるんですけれども、あまりにもホモジニアスな教員集団になってしまうと、大学教育の幅の広さとか深みに欠けることになるので、そういったところもどこかで配慮すべきだと。単に教養科目が大事だよというだけじゃなくて、それを実際に行うための専任教員の配置についても十分な配慮が必要だということを、どこかで言及していただければと思います。

【中山座長】  教員組織の全体のバランス、それは看護系の大学の場合は、総合大学にある場合と、それからまた、複合的な大学、単科の大学と、さまざまな形で置かれていますので、それによる違いの問題も出てくるのではないかと思います。

 ほかに何か発言ある方、いますか。西澤先生、大丈夫ですか。

【西澤委員】  結構です。

【中山座長】  ほかによろしいですか。

 それでは、今日、3時半までの予定でしたので、今日の論点、議論を踏まえまして、また事務局と副座長と座長とで報告案をつくりたいと思います。委員の先生方にもいろいろなフィードバックをしていただきながらつくり上げていきたいと思っております。この12月中ぐらいで大体のめどが立てばと思っておりますが、やってみないとわからないということもありますので、引き続いて皆様のご協力を得たいと思います。

 事務局のほうから連絡事項等ありましたら、どうぞお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  次回の会議は12月22日、水曜日の10時から12時に、こちらの同じ会議室で行いますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【中山座長】  この22日で大体骨子が出ればいいと思っていますので、先生方、帰られまして、もし気がついたことがありましたら、事務局のほうに連絡してください。今日、帰って、この辺の課題は残していたのではないかというものがございましたら、事務局のほうに寄せていただきまして、22日はできるだけまとめの方向でいきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日はどうもありがとうございました。

 

── 了 ──

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