大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会(第12回) 議事録

1.日時

平成22年10月7日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正案について
  2. 新たな看護学基礎カリキュラムについて
  3. その他

4.出席者

委員

中山座長、菱沼副座長、秋山委員、倉田委員、小山委員、坂本委員、佐藤委員、西澤委員、平澤委員、藤川委員、前野委員、松尾委員、宮崎委員、村嶋委員、横尾委員

文部科学省

新木医学教育課長、小山田看護教育専門官

オブザーバー

野村看護課長(厚生労働省医政局)

意見発表者
松本珠美(大阪市健康福祉局健康推進部)
濱田悦子(日本赤十字看護大学)		

5.議事録

【小山田看護教育専門官】  定刻となりましたので、ただいまより、第12回大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を開会させていただきます。

 各委員の皆様方、また有識者の先生方におかれましては、ご多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 では早速、座長に議事進行をお願いいたします。

【中山座長】  おはようございます。今日は秋晴れのすばらしい天気の中、朝早くからご出席くださいましてありがとうございます。

 議題を見ますと、今日は大変な議論になるのではないかと、座長といたしましては時間を気にしながらの、議事進行になるかなと思っております。できるだけ、時間の大幅な延長にならないように進めていきたいと思いますので、どうぞ皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

 今日の議題としまして、新たな看護学基礎カリキュラムの取りまとめを行うことになっておりましたが、厚生労働省のほうで、保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正案がまとまったということで、今日は看護課長さんにも出席していただいておりますので、そのことについて、この検討会でも検討するということになっております。

 それで、そのことが今日は主になるということですので、新たな看護学基礎カリキュラムのことは、資料は出ておりますけれども、討論時間が短くなる可能性がありますので、その点はご了承ください。

 それでは、事務局のほうから、今日の委員の出席状況の報告と、配付資料のことにつきまして確認をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  まず、委員の出席状況ですが、高田委員と富野委員が本日はご欠席です。事務局は審議官が少しおくれておりますけれども、後ほど出席させていただく予定になっております。

 本日は、先ほど座長からもご説明ありましたように、保健師助産師看護師学校養成所指定規則に関するご検討をいただくということで、臨時で有識者の方に2名お入りいただいております。

 日本赤十字看護大学の学長の濱田教授でいらっしゃいます。

 大阪市健康福祉局の松本さんでいらっしゃいます。

 また、厚生労働省医政局看護課の野村課長にも出席していただいております。

 続いて、配付資料の確認をさせていただきます。

 最初に座席表がございまして、その後ろに会議次第。その裏側に委員名簿がございます。

 資料1として、「保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正案の大学・短期大学への適用課題に関する論点」というものが1枚紙であります。資料2として、「第6回看護教育の内容と方法に関する検討会における検討結果について」という資料がございます。厚生労働省からの資料です。資料3-1が看護学基礎カリキュラムの解説資料(案)、3-2が、前回ご検討いただいた看護学基礎カリキュラムの案というものがついております。

 それから参考資料1として、1枚物で、看護系大学卒業要件単位数の分布というもの。参考資料2として、平成23年度指定予定の看護系大学・専攻科等という資料。資料3が、2枚物で、学士課程における保健師・助産師教育の単位数の例というものがついております。参考資料4として、宮﨑委員からの提出資料が1部、それからもう1つ、後ろに「学士課程看護基礎教育のカリキュラム改革」という、この2セットが宮﨑委員からの提出資料となっております。そして参考資料5として、前回、11回の議事録がございます。

 それから、お手元にもう届いているかと思いますけれども、平澤委員からも本日資料提出があり、「表1 助産師教育の1年以上の教育課程」というものをお配りしてあると思いますのでご確認ください。

 それからもう1部、まだ準備中なのですけれども、秋山委員からも資料のご提出がありましたので、準備ができ次第お配りします。

 お手元に届いていない資料はありますでしょうか。

【中山座長】  済みません、座長のほうに平澤委員のが届いておりませんので、お願いします。

 ほかに先生方、届いていない資料ございますでしょうか。

 資料が皆さんのほうに届いているようでしたら、今日の議題の1で、保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正案につきましての議論に入りたいと思います。これにつきまして、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  では、資料1をごらんください。

 今回、この議題をこの検討会でご議論いただくに当たっての、少し趣旨というものをまとめましたので、こちらを読ませていただきます。

 タイトルは、「保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正案の大学・短期大学への適用課題に関する論点」としております。保健師・助産師・看護師(以下、看護師等)の養成を行う大学・短期大学(以下、看護系大学等)の指定については、保健師助産師看護師法、保助看法と呼びますが、に基づく保健師助産師看護師学校養成所指定規則、これを指定規則と呼ばせていただきますが、それに照らして行われております。この指定規則は、文部科学省及び厚生労働省が共同して定めております。

 昨年、平成21年に保助看法が改正されまして、修業年限が延長された保健師と助産師の教育内容の充実方策というものが、昨年来厚生労働省の「看護教育の内容と方法に関する検討会」で検討されてきましたが、先般この検討会で、指定規則の改正案が提案されました。共管省令ですので、大学・短大の立場から見ての意見をまとめる必要があります。この検討会では、新たな看護学教育のあり方と、その質保証のあり方ということをずっとご検討してきていただいておりましたので、その中でご議論いただきたいということで、今回の議題提案に至っております。

 改正案を看護系大学等に適用する際の課題についてご検討いただきたいのですけれども、その検討のための論点というものを、案として2点まとめておりますので、ご説明いたします。

 論点1が、看護系大学等に改正案を適用する際の課題についてということで、事務局からは4つのポイントを挙げております。前回の教育課程変更から2年で変更を行うことになるということで、どのような課題があるのかということと、総単位数が増加するということにおける課題。実習単位数の増加ということに関する課題。それから、保健師学校の教育内容が、地域看護学から公衆衛生看護学に変更されるとなりましたので、それに関する大学等の課題ということについて、ご意見をいただきたいと思っております。

 論点2としては、指定規則改正を通じた保健師助産師教育の充実方策ということで、そもそも保健師助産師教育の充実方策というのは、この検討会での課題ともなっておりましたので、これを機会にさらに議論を進めていただきということで、こちらからは、「看護学を体系的に教授する大学教育の特質を踏まえた保健師助産師教育の充実方策について」という形で、論点案を出させていただいております。

 資料のタイトルは「大学・短期大学への適用課題」というふうになっておりますけれども、この保健師・助産師については、大学においては4年制の課程の中で行われていることが多いのですけれども、短期大学の場合ですと、3年制の課程を終えた後の専攻科というところで行われておりますので、今回は、いろいろな課題が出るとすれば大学のほうであろうということで、主には大学に関する適用課題についてご議論いただきたいと思っております。

 これがこちらからの議題の提案理由と論点でございまして、実際厚生労働省でまとめられた指定規則の改正案については、野村看護課長よりご説明いただきます。

【中山座長】  では、野村課長、お願いいたします。

【野村オブザーバー】  それでは、10月4日に行われました「看護教育の内容と方法に関する検討会」で検討されました指定規則の改正案を、資料2でございますけれども、説明をさせていただきたいと思います。

 内容の説明に入る前に、このまとめに至った経緯を簡単にご説明いたします。

 今、小山田専門官のほうから資料1で説明がありましたように、昨年の7月に、国会において、良質な看護を提供する観点から保助看法の一部改正が行われ、保健師・助産師の国家試験受験資格における修業年限が1年に変更されたということでございます。そして、この法律は今年4月に施行されておりますので、指定規則の改正も早急に行いたいと考えておるところでございます。

 この法律の改正の趣旨を踏まえまして、昨年4月に設置されました厚生労働省の医政局長の検討会でございますが、看護教育の内容と方法に関する検討会、ここで検討することといたしました。保健師・助産師のカリキュラム改正につきましては、昨年10月に保健師のワーキンググループ、そして助産師のワーキンググループ、それぞれ設置いたしまして、有識者による検討をスタートさせております。このワーキンググループは、今年の夏までに、保健師は8回、助産師は7回開催をいたしまして、検討をしてまいったところでございます。そして10月4日にその報告をいただいて、指定規則の改正案をまとめたところでございます。

 なお、この検討会、またワーキンググループに参加していただいて、改正案をまとめていただいた中には、今日この文科省の検討会におられる先生方も何人か加わっておりますので、ご紹介させていただきます。保健師のワーキンググループの座長は中山委員にお願いをしておりましたし、助産師のワーキンググループの座長は菱沼委員、そして本体の検討会の座長は小山委員にお願いをしております。3人の座長の方々には、まとめに当たって大変ご苦労いただいたところでございます。また、保健師のワーキングメンバーといたしまして宮﨑委員、助産師のメンバーとしては横尾委員にも参加していただきました。そして検討会の委員として藤川委員にもご参加をいただいているといった状況の中で、検討してまいりました。

 それでは、資料2の説明をしたいと思います。

 まず、カリキュラムの改正、指定規則の改正を議論するに当たって、今回は修業年限が6カ月から1年になったということでございましたので、まず教育内容をどうするかということの前に、保健師、そして助産師に求められる役割・機能とは何かといったところから、ワーキングでは議論を開始しております。そして、その役割・機能の中で、保健師・助産師に求められる実践能力とは一体何かといったことを導き出しまして、その実践能力、これを踏まえまして、卒業時の到達目標を検討いたしました。そして、1年間で達成すべき到達度といった設定の議論もいたしました。

 教育内容の変更については、到達目標の表を使ってご説明をしたほうがよろしいかと思いますが、その前に、資料の1ページにあります保健師の改正案では、教育内容が地域看護学から公衆衛生看護学に変更しておりますので、まずこの一番大きな、地域看護学から公衆衛生看護学に変更した、ここについてご説明をさせていただきたいと思います。

 これには若干経緯がございまして、平成8年の改正に地域看護学になったというところがございます。それ以前は公衆衛生看護学だったわけです。これの改正は、在宅療養者の、介護保険ですとか訪問看護などが始まって、そちらでの看護職の活躍が出てきたわけですけれども、そういった状況が変わってきているということで、地域において、行政だけではなく、さまざまな保健師の役割が期待されました。それで平成8年のカリキュラム改正においては、市町村ですとか保健所を中心とした保健予防活動に焦点を置いた公衆衛生看護活動に加えて、在宅療養者に焦点を当てた継続看護、これも含めたものとして、この年に公衆衛生看護学から地域看護学に変えたという経緯がございます。

 その後のカリキュラム改正は、平成19年に検討会があり、それに基づいたカリキュラム改正があったわけですが、ここでは、在宅療養者に焦点を当てた継続看護は、看護教育において既に在宅看護論として十分教授されているという状況になってきたことから、地域看護学は、地域及び学校保健、産業保健を含んだ公衆衛生看護活動に焦点を当てるという整理がされたところでございます。

 そういう経緯があった中で、今回の改正では、後ほどご説明いたしますけれども、健康危機管理の強化ですとか、コミュニティー全体の健康状態の改善や向上、こういったことを目的とした保健師の役割を明確化し、強化するということが必要だという議論から、公衆衛生看護学を教育内容として用いるということにしたところでございます。この公衆衛生看護学の中には、行政分野、産業保健、学校保健、こういった領域が含まれるというところでございます。

 そして、指定規則、また資料1ページのところの、「健康危機管理を含む」と備考で書いてございますけれども、ここについては健康危機管理を強化するというところから、あえて明示的に書いたというところがございます。それから、ちょっと前後しますが、上から2段目にあります「個人・家族・集団・組織の支援」ということで、「組織」を追加したということは、これは産業保健についてもここで明示的に書くということで、「組織」という用語を追加しているところでございます。

 それから、臨地実習の前の「保健医療福祉行政論」、以前の教育内容では「医療」が入っておりませんでしたが、医療行政についてもきちんと学ぶべきだという議論があったことから、明示的に書いたということでございます。「臨地実習」については、公衆衛生看護に名称を変えたということでございます。それから備考のところで、「継続した訪問指導を含む」というふうにこれまでされていたところでございますが、産業保健というような分野のことも意識をするとなりますと、「訪問」ということの方法論に限定することはないだろうということで、「指導」という言葉にしたということがございます。

 そして単位の変更は、このようにトータルで28単位で、増やしているところは、「個人・家族・集団・組織の支援」以下かぎ括弧でくくった単位を10単位から14単位、そして臨地実習のところが2単位から3単位、トータルで4単位から5単位に1単位増加しているというところでございます。この単位を増加した教育内容について、到達目標の表で少しご説明をしたいと思います。

 到達目標は5ページのほうにございます。これを見ていただきますと、赤で書いてある部分が、追加または変更したところです。非常に細かいので、概要、ポイントだけを説明させていただきますと、大項目でいう1番「地域の健康課題を明らかにし、解決・改善策を計画・立案する」、こういったところでございますが、Aの4、5、7とか13、15、16

などについては追加をしているところでございますけれども、保健師の、やはり地域の健康課題を明確化するといった能力がまず必要だということから、項目の追加もし、そして右側にあります到達度についても上げているところでございます。

 それから大項目の2につきましては、卒業時には一連のPDCAサイクルで保健活動が実施できるレベルを目指すといった考え方から、到達度は、「個人・家族」、そして「集団・地域」と2つに分けておりますが、到達度の「集団・地域」の部分について到達度のレベルを上げているということです。ここについても強化が必要だということが言われました。

 そして3点目でございますが、6ページをおあけいただけますでしょうか。ここの3番「地域の健康危機管理を行う」といったところについては、ここについて非常に議論があって、ここは今後を考えると、保健師の能力として強化すべきだということが項目として挙げられまして、ですので大項目からこういった追加をしたところでございます。ここが今回の保健師の教育内容の変化の一番大きなところでございます。先生方ご存じのように、新型インフルエンザですとか児童虐待の予防のこと、そして自殺対策などなど、今いろいろな社会問題で保健師に求められているところがあると思っております。こういったことから、ここについて強化をしようといった議論がされたところです。

 そして大項目の4番、「K.システム化する」ということについても追加をされたところです。ここにつきましても、社会資源の開発や施策化、社会資源の管理・活用といったことだけではなく、保健師は対象を取り囲む全体の包括的なケアシステムを構築することが求められているというところから、この「システム化をする」という項目を追加し、ここの能力も高めていくということになったところでございます。

 そして、大項目の5点目ですけれども、保健師の実践能力として追加をしております専門的自立と継続的な質の向上、こういったことを踏まえまして、この項目を追加したところでございます。

 このような保健師の教育内容を充実・強化すべきだといった議論がされたところでございまして、これを踏まえて単位数の増加を行ったところですが、資料でいいますと3ページのものが、これは医政局長通知として出されます保健師の指導要領に当たる部分でございますが、この到達目標を受けまして新たに強化すべきことですとか、そういった留意点を赤で追加的に書き込んでおりますし、それから、保健師として求められる実践能力、目標的なものは、教育の基本的な考え方、上の表に赤で訂正をしているというところでございます。この到達目標から読み切れないところで、より詳しく書いたものが、こちらの別表1の改正案でございますので、後ほどお読みいただければと思います。

 1ページにお戻りいただきまして、今申し上げましたように、健康危機管理のところ、そしてシステム化すること、それから地域の健康課題を明確化し、そしてそのPDCAサイクルで実践を回していける、そういったようなことをトータルとして考えますと、教育内容のどこを単位として増やすべきかといったところでは、先ほど申した10単位から14単位、公衆衛生看護学の中の個別・家族・集団・組織、そして活動展開論、管理論、ここについて単位数を増加すべきだといった議論から、3単位を増やしたというところでございます。

 そして臨地実習のところにつきましては、先ほど到達目標で申し上げました大項目の1とか2の中では到達度の上昇が、特に集団地域において到達度のレベルが1や2に変更されておりますので、そういったことを受けて、1というのは少しの助言で自立して実施できること、2は指導のもとで実施できる、こういった到達度に上げたことから、やはり実習を強化すべきだということで、ここについては1単位を増加しているところでございます。

 教育方法に入りますが、演習についてももっと強化すべきだというようなこともありましたので、それについては、上のほうの10単位から14単位に増加した、ここの中に含まれるという整理になってございます。

 続きまして、助産師の指定規則の改正でございます。助産師のほうは、保健師よりも非常にシンプルになっております。助産師の改正案は7ページからでございます。

 助産師についても、保健師と同様の議論の進め方をしております。今後求められる役割・機能とは何か、そして実践能力とはどういうことなのか、それに基づいて到達度、到達目標を議論したところでございます。

 助産師につきましては、教育内容について、内容や構成については特に変更はしておりません。そして助産診断学と技術学、それから助産管理の単位を増やしておりますし、また臨地実習も増やしております。これにつきましては、内容といたしまして、やはり到達目標のところを見ていただいたほうがわかりやすいかと思いますので、到達目標は11ページと12ページに分かれているところでございます。

 11ページを見ていただきますと、まず「母子の命の尊重」というところでございますが、これは、ここにありますように母と子の2つの命を扱う助産師の特色、そして倫理的な対応が求められることから、こういった大項目を追加し、到達度も2としているところでございます。それから、赤の変更にはなっておりませんが、議論の中では妊娠の診断、判断、そういったところもより強化すべきだというような議論もされたところでございます。

 そして、分娩、「異常状態」のところでございますけれども、高齢出産が増加しているなどのことから、異常分娩が医療機関においては増加しているというところ。そこから帝王切開の前後のケアですとか、それから児の異常に対する支援、こういったことも項目として追加をされているところでございます。ここの異常に対して助産師が、医師が来るまでの間に対応しなければいけないことがございますので、そこについてより強化した教育が必要だろうということが出されたところでございます。

 そして12ページでございますが、産褥期のケアのところでは、1カ月健診に基づく支援とフォローアップということで、1カ月で終わるのではないと。その後のフォローアップの助産師はすべきだといった議論や、それから40番にもありますが、虐待などのハイリスクの、これまでは早期発見でしたが、支援までも視野に入れた教育をすべきだということで、追加をしているところでございます。

 こういった追加をしたところでは、到達度は少し下げています。ここまでは実践では難しいということで、「助言のもとで」「指導のもとで」などに下げているというところがございます。

 それから、7番の助産業務管理でございますけれども、ここについては、院内助産や助産師外来など、こういったことも進めなければならない状況でもございますし、それから周産期医療システムといったところでの助産師の役割も強化すべきだといったことから、この助産業務管理のところに対しては、項目として追加をし、ここも強化をすべきだという議論がされたところでございます。

 そして13ページですけれども、ライフステージ各期の性と生殖のケア、ここについてはかなり赤がございますけれども、項目を整理したというところでございます。

 そして、一番最後の「助産師としてのアイデンティティーの形成」というところについても、助産師としての能力、専門的自立能力というものが明確化されたところで、こういった助産師としてのアイデンティティーの形成という到達目標が掲げられたところでございます。

 助産師の教育については、こういった内容が強化すべきだというふうに言われましたところから、先ほど7ページで出しました単位数の増加が必要だということが求められたところでございます。

 指定規則の改正の説明は以上でございますけれども、大学において保健師・助産師教育に対する意見というものも、私どもの検討会の中で出されております。それについては、文部科学省のほうの検討会でご議論をいただきたいと思っておりまして、そのことを少しご説明いたします。保健師のワーキンググループで出てきたものといたしまして、1つの科目を保健師課程と看護師課程の単位として認定する方法、俗に「単位の読みかえ」というような言い方をしておりますけれども、こういったような教育を行っている。これが続くということでは、単位数がこのように増加をしても、教育の充実につながらないのではないか。そしてこういった単位の読みかえということを行わずに、保健師課程、看護師課程、課程ごとの指定規則どおりの教育ができるような仕組みが必要ではないかといった意見が出されたところでございます。また、教育機関の教育内容をチェックする仕組み、こういったものもつくる必要があるのではないかといった意見も、保健師教育のワーキングからは出されたところでございます。

 そして助産師教育のワーキングのほうからは、単位数を増やしただけでは、今回示された到達目標に到達することは難しいのではないか。教育をさらに充実するためには、教員の増員ですとか、それから実習施設の確保、実習施設にいる実習指導者の協力が不可欠だといった意見も出されております。

 こういった大学教育に対してのご意見もご検討いただければ幸いだというふうに思っております。

 私からの説明は以上でございます。

【中山座長】  どうもありがとうございました。

 補足が小山田専門官のほうからありますか。いいですか。

 それでは、ここまでのところで少し、整理していただいたものを説明していただきましたが、質問がございますでしょうか。特に厚生労働省のほうの検討会の内容を今説明していただきましたが、不明な点等ございましたら、どうぞご質問ください。よろしいですか。

 もしありましたら、後で出していただくことにいたしまして、それでは論点に関しまして、参考資料、あるいは今日来ていただいた先生方もございますので、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  では、参考資料という資料を使いまして、論点に関するデータ等々をお示ししたいと思います。大学において保健師養成、助産師養成がどのようになされているのかといったことのご理解を促す資料という趣旨で、参考資料をおつけしております。1から4までございまして、3までは私のほうから、4は宮﨑委員のほうからご説明をいただきます。

 参考資料1は、看護系大学卒業要件単位数の分布で、今現在、大学数としては188ございますけれども、私どもの手元で整っているデータ、183大学の卒業要件単位がどのように分布しているのかというものをお示ししております。

 大学の卒業要件単位の最低が、大学設置基準で124単位と決まっておりますので、124が左端に来ておりまして、あと136以上というものをその他でまとめております。これを平均でとりますと128単位でして、累積度数を折れ線グラフで示しておりますけれども、これを見ますと、5割までの大学が127単位以下で行っているといったことがおわかりいただけるかと思います。

 参考資料2ですけれども、これは昨年のこの検討会で保健師の選択制という提言がなされたことも踏まえまして、来年以降、どのような教育課程の変更があるのかということをまとめていますので、説明をいたします。

 まず、一番上の表が新設で、来年学科等の新設がある大学が7大学ございます。その中で保健師養成、助産師養成というものがどのように行われるのかということを示しております。1番の人間総合科学大学は、看護師も保健師も全員に必修という形で申請されておりますけれども、その他の大学については、保健師は選択でとれるようにカリキュラムが設定されております。助産師については、1大学、京都光華女子大学が選択課程ということで、10名の選択が可能なカリキュラムを組んでおられます。

 その他、大学の学部ではなく専攻科・別科等で保健師・助産師養成を行う課程数を、その下に表をまとめておりますけれども、3つの大学専攻科と1つの短期大学の専攻科が来年新設されまして、助産で3つ、保健師で1つ課程が増えます。

 それから、既存の大学の中で、これまですべての学生が保健師と看護師の両方の免許を取っていくといったカリキュラムになっていたものから、保健師課程については選択制に変えますということで、現在申請されている大学が14大学あります。こちらはまだ申請途中で、承認を得ていないので大学名等はお出しできないのですが、14大学あります。これは、10月末までには申請しますということでご相談を受けて、まだ実際は申請に至っていない大学も含めて14大学ということです。

 それから、学士課程の中での保健師養成を停止しますということを表明された大学が2大学ありまして、それから、保健師・助産師を大学院で養成する計画をされているところが5大学院あるというのが、一番下の表になっております。

 参考資料3ですけれども、学士課程の中で保健師養成、助産師養成が行われているところで、今現在どれぐらいの単位数で養成がされているのかということを示した表で、あくまでこちらで任意で抜粋した188大学中の25大学の例ということでお示ししております。

 ちょっと見にくいのですけれども、1つの大学に対して、白枠の数字と網かけの数字がございます。白枠のほうが、保健師養成のための科目が全体で何単位計上されているのかということを示しておりまして、網かけの枠は、先ほど野村課長のご説明にもありましたように、大学では保健師の教育内容と看護師の教育内容とあわせて統合的に教授するという方策がとられていますので、その中で、統合的ではなく保健師の課程のみに該当する科目として展開されているものが何単位あるかというのを示しています。

 例えばA大学ですと、保健師課程、別表1というのが真ん中の欄にありますが、座学と実習を含めまして、全体で26単位という単位を保健師課程に計上しています。そのうち網かけの部分がバーになっておりますけれども、すべてを看護師の教育内容と統合的に教えていらっしゃるということを示ししております。一方で、同じA大学でも助産師課程においては、全体で24単位を計上しているうちの16単位を助産師課程のみに該当する科目として展開しているというところです。単位の計上の仕方については、例えば11番目のK大学は、全体で保健師は47単位を計上しているうち6単位を単独で教えているというように、大学ごとにかなりばらつきがある状況になっております。

 その2枚目につけました、教育課程と指定規則との対比表というものですが、今のこのデータをどこから引っ張ってきたのかというところで、少しご理解いただきたいと思い、つけたのですが、私どもが保健師学校、助産師学校を大学の学士課程の中に指定するときにお出しいただいている資料がこの対比表でございます。まず左側に、その大学のカリキュラムの授業科目というものをずっと並べていただいて、その授業科目がそれぞれ、左側の上に別表3と別表1、別表2というふうに並んでおります、看護師学校の教育内容、保健師学校の教育内容、助産師学校の教育内容それぞれを、どの科目で、どの範囲をカバーしているのかというのを確認しながら、このカリキュラムは看護師課程の内容を網羅しています、保健師課程の内容を網羅していますというのを確認して指定をするという手続をとっております。この表を毎年お出しいただいておりますが、そこから単位数を拾ってきたのが、先ほど説明した1枚目の資料になります。

 大学の教育の展開の特徴という点で、宮﨑委員のほうから補足資料をご提出いただけましたので、説明をちょうだいしたいと思います。

【中山座長】  それでは、お願いいたします。

【宮﨑委員】  千葉大学の宮﨑です。よろしくお願いします。

 今日私がお話しさせていただく前提ですけれども、専門教育というのは、基礎教育であればあるほど、やはりその専門性に特化した領域だけではなくて、その基盤となる学問的な知識体系ですとか関連する領域ですとか、そういったものを含めて統合的にやっていくことが大事ではないかと、そういうふうに思っております。そういうふうに思っている立場から少々お話ししたいと思います。

 私の資料は、ホチキスどめで2種類ありますが、最初に、紀要のほうに報告をした「カリキュラム改革」をごらんいただきたいと思います。こちらの資料で、大学のカリキュラムをつくっていくときの大前提について、こちらにおられる委員の方はもう周知の事実とは思いますが、千葉大学の例を用いて再確認したいと思います。

 大学におけるカリキュラムというのは、当然のことながら、まずそれぞれの大学でどのような人材を育成したいのかという、育成したい人材像、教育理念というのがございます。千葉大学の場合は、看護学を学問として切り開いてきたという自覚をもとに、そして総合大学にあるという観点から、人間性の涵養というものを幅広く目指していきたいということを踏まえて、多様な人たちと連携・協働する中で看護専門職としての役割を明確にしながら、現代社会の要請に積極的にこたえて、看護実践の向上、並びに看護学の発展に主体的に貢献できる人材を育成していきたいということを理念に掲げています。それと同時に、大学院に連動する基礎的学力を育成していくということをあわせて提示しております。

 そういう理念を、今度は教育課程というプログラムにおろしていくということで、教育目標、学生にしてみれば学習到達目標というものを提示しております。それをつくっていく過程ですが、今お手元の「カリキュラム改革」という紀の52ページと53ページに図と表があるのですが、少々ごらんいただきたいと思います。

 最初に53ページのほうに、先ほど申し上げた教育理念のもとに、教育目標を6つ提示しておりまして、まず教育目標1ではゼネラリストとしての育成、それから教育目標の2では倫理的感受性を磨いていくというあたり、教育目標の3では創造力や開拓精神というところ、そして教育目標の4では、他職種や市民との協働ができる力をつけていく。それから教育目標の5では、国際的な視野で――これは国内においても、多様な文化的背景を持つ人たちと協働しながら、そして支援ができる力を養うところ、そして教育目標の6が、生涯にわたる自己教育力の育成の基礎というところにあたります。

 こういった目標をどのように教育課程におろしていくかということで、図をご覧ください。これはいろいろな検討をしていったプロセスで作った図の1つになります。垂直軸と水平軸というのが図の中ほどの左右にございますが、垂直軸というのは、学年次を経るごとに積み重ねていく教育内容、それから水平軸というのは、すべての学年次において、これらの要素を担保すべき内容ということで検討いたしました。そういう検討がもとになって、53ページのような、それぞれの科目というものを配置して、統合的に保助看の基礎教育としての成り立ちを担保していくということをやったわけです。これは、最終的に指定規則をどのように満たしているかという点検ももちろんした上でのカリキュラムの編成です。

 そこら辺を踏まえて、実際の千葉大学での保健師養成にかかわる基礎科目がどんなふうになっているかということで、さらに補足説明したいと思います。それがもう1つのホチキスどめの資料です。

 真ん中のほうに、「保健師関係科目において実施している内容(科目名)」というのが並んでございます。参考までに、指定規則にそれを当てはめたときにどういうふうな内容に当てはまるのかということで、左の列の説明をつけてございますが、保健師関係科目ということでこのたび列挙した内容が、保健師の専門職性に直結する科目群というふうにお考えいただければ結構だと思います。ですけれども、先ほど申し上げたように、基礎教育であればあるほど、専門性に直結した教育だけではなくて、それの基盤となる教育、あるいは補完する教育内容というのが重要だと考えています。

 そこら辺が、ページを繰っていただいて次の2枚目、3枚目なんですけれども、指定規則でいう看護師課程の指定科目をどのように使って、基盤あるいは補完する教育内容を実施しているかという資料になります。主に人間学に関するライフサイクルですとか家族や文化、それから倫理的な基礎的知識、それから専門職同士の連携に関する基礎的な知識、また、ライフサイクル別に特徴的な健康課題や、関連する社会情勢を、各看護の専門領域の概論で補強をしていくという構成をとっております。これらは補完的な意味合いをもつ教育内容です。

 それから次のページになりますと、さらに具体的な実践の展開論というあたりで、個別性に応じたり、管理的な側面ということで、保健師の実践を発展的に展開していくにあたって基盤となったり補完していく部分として、人間学や、各看護の方法論を用いています。また看護基本技術や、看護管理学を補強する、あるいは基盤とする位置づけで置いております。

 そういうような状況でございますが、また今見ていただいている資料の1枚目に戻っていただきまして、保健師のより専門職性に直結する科目におきましては、さらに看護師課程の科目、教育内容に統合していっている部分と、それから助産師課程の教育内容へとさらに統合している部分というのがございます。ですので、例えば地域看護学概論という科目は、保健師の専門職性に直結する教育科目ではございますが、一方で看護師の教育内容におきましては、指定規則でいう統合分野の中の1つの看護師の専門職性を補強する位置づけで置いています。さらに助産師におきましては、助産診断・技術学の中にも地域看護方法という部分は統合して行っているという構造になっているわけです。

 先ほど野村課長のほうから、これまでの議論の中で、各教育課程を別々に教授するべきだというようなご意見も一部で出たという報告がございましたけれども、やはり大学教育という、それぞれの専門職の基礎教育というところで考えてみますと、それぞれを別に教授することが果たしていいのかという疑問が純粋にわいてきます。むしろ統合的にやっていくことで、その内容を充実させていくべき部分、より専門職性の高い教育内容の部分というものをそれぞれ明確にして、教育課程としてきちんと体系的に整理していくことが必要ではないかと思います。ですので、統合的な教育がよいとか悪いとかという議論の前に、やはり統合的な教育として充実させるべき内容があるのではないか。それはどういった内容かというのをきちんと議論して、体系的な教育プログラムをつくっていくということが大事ではないかと思います。

 以上で発表を終わらせていただきます。

【中山座長】  ありがとうございました。参考資料につきましてご説明をいただきました。

 正確な数字をつかんでいませんが、今、国家試験を受ける人たちの中で、保健師が大体9割ぐらいが大卒と考えていいですか。助産師のほうは半分ぐらいが大卒の人たちが受けていると、こんな状況というのでいいですか。

【小山田看護教育専門官】  正確な数字は今出ませんが、保健師は9割を超えているという状況だと思います。

【中山座長】  という状況ですので、大学での保健師の教育は、非常に大きなウエートを占めているということになるかと思います。選択制になりまして、その割合は減っていく傾向にはあると思いますが、でも今現状、この教育がまだ、入学した人たちは続けますので、この現状が即変わるということではないんだと思います。

 それでは、参考資料につきましては、質問がある方もあるかと思いますが、一応次の論点のほうに入っていきたいと思います。論点1が「看護系大学等に改正案を適用する際の課題について」ということになっておりまして、今日は濱田先生、それから保健師の松本さんにおいでいただいていますので、この論点1のことに入るに当たりまして、濱田先生、ご発言ございますでしょうか。

【濱田氏】  経過についてよく知らない人間が先に発言することがよいことかどうか、ちょっと疑問なんですが、今のお話を伺っていながら、1つは、看護大学として、大学教育として何を基本的に押さえたらよいのだろうか、また社会のニーズがどこにあるのか、それからライセンス教育と少し切り離して考えたほうがよいのではないかと思います。

 具体的にライセンスの方々は、今、厚生省の課長からご説明がございましたが、専門家が資格を与えるということについて議論・吟味しております。それを果たして大学教育が全部受け入れなければいけないのか。運用の仕方によってはどうにでもできるのではないかと考えられるのですが、今その細かいことではなくて、むしろ看護系の大学として基本的に、最低限どこを押さえたらよいかということをもう一度、専門家の方々がいらっしゃいますので、議論をしていくとスムーズにいくのではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。

【中山座長】  ありがとうございます。きっとまた議論が進むに従いましてご発言があるかと思います。松本さんのほうは、始める前に何か一言ありますか。

【松本氏】  私のほうは現場の人間ですので、今のことを聞きまして、1点は、保健師の看護教育そのものが地域看護学でなく公衆衛生看護学というところで発揮されるということについては、非常にありがたいと思っています。まさしく公衆衛生を日々展開しておりますので、そういったことで明確になってくるということにつきましては、いいことだと思います。

 それと、やはり保健師、看護師、助産師、いずれも地域住民、住民のために何が求められているのかという議論がなされないと、求めているのはサービスを受ける受け手側の問題ですので、そこら辺をきちんと、何を求められている存在なのかというところについてもご配慮をいただいて、ご議論が深まっていただければありがたいなというように思いました。

【中山座長】  ありがとうございました。

 それでは、論点1と論点2をきちんと分けられるかどうかはわかりませんが、論点1のほうから皆さんのご意見をいただいていきたいと思います。ご発言がある方は、どうぞお願いいたします。

 村嶋委員、どうぞ

【村嶋委員】  今、濱田委員からご指摘がございました、大学教育で何を教えるのかということについては、多分中山座長のほうがご説明なさるんだと思いますが、昨年からの経緯で、大学では、保助看の共通部分プラス看護師として必要な部分ということで、この検討会はコンセンサスを得て進めているというふうに思います。そういう意味では、今宮﨑委員がおっしゃったような幅広い教育をやることは重要ではございますが、一方で、国民が求めているそれぞれのライセンスの質を担保するということは、何より大事なことだというふうに思います。

 今日の1つは、厚生労働省で決まりました保健師と助産師の28単位というのを、大学教育の中でどのように考えていくか、改正案を適用する際の課題についてであると思います。確かに前回の教育課程の変更から2年間でございます。私は前回の厚生労働省の指定規則改正のときの保健師のワーキンググループの座長でございましたが、ほんとうは、保健師の1年課程が34単位やっていることを考えまして、そのくらい、それから実習は8単位にしたいということがワーキンググループの中ではかなりございました。しかしそのときは、修業年限が半年でございましたので、1年間、52週間、大体1週間1単位でございますので、その半分の26単位が上限だと。夏休み、冬休みがあることを考えて、どうしても23単位にせざるを得なかったという経緯がございます。それから、実習もそのとき6単位で出しましたが、いろいろなことがありまして4単位になったという経緯がございます。

 今回は、保助看法が改正されて、教育年限が半年から1年に延長されたわけでございますので、この28単位は、ほんとうはもっと欲しいんですが、最低限だというふうに思います。それから実習もほんとうは最低6単位は欲しいんですが、保看統合カリキュラムで、もう専修学校は、私たちはまじめにやっていると。大学は二重三重に読み込んでけしからんけれど、私たちはまじめにやっているから、これしかだめだと言われまして、なおかつ現行でそういう学校がやはり保健師教育を頑張ってやろうとしていらっしゃることを考えて、28単位におさまったというふうに考えます。そして実習5単位におさまったと考えます。

 私も10月4日の検討会は傍聴させていただきまして、いろいろな中でこの28単位、実習5単位がぎりぎりに決まったんだなということを肌で感じました。ですから、ライセンスの最低限の質を保証するということで、現時点ではこの保健師28単位、実習5単位を大学教育においても遵守していくべきだというふうに考えます。

 以上です。

【中山座長】  ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 平澤委員、どうぞ。

【平澤委員】  私は助産師教育の立場から申し上げます。先ほど野村課長さんが非常に丁寧に検討の経緯と、単位数のご説明をいただきました。補足資料を先生方のお手元に差し上げましたので、少し説明させて頂きます。私どもの全国助産師教育協議会は(現在134教育機関が参加)保助看法が改定され1年以上の教育に変わった時点から、教育検討委員会で助産師教育の検討を行ってまいりました。検討の骨子は、1年以上の期間延長になったときに、現社会の動向から助産師に期待される役割は何かという基本の検討をいたし、現教育に付加する教育内容を一つひとつ検討しまして、それで提示した資料でございます。

 最終的には、文科省に私どもは要望書を提出しました。それで助産師の国家試験資格を得るための必要な履修単位は30単位にしていただきたいという点と、大学4年間の統合教育で、助産師教育のコア科目を看護基礎教育科目で読みかえ、単位を認定することをやめるようにご指導いただきたいという2点を要望いたしました。

 これに関し2点目の、国家試験は、看護師の国家試験受験資格がなければ助産師国家試験が受験できないシステムになっております。また、看護基礎教育の礎の上に立って助産師の教育を行っておりますので、原則的にやはり読みかえということでは、履修単位が増加しても、読みかえをすると質の向上に結びつくのかどうかという疑義がなされまして、そのような内容の要望書を差し上げました。

 それで、30単位の検討内容は、かなり、厚労省の検討内容の中に包含されていると理解いたしました。厚労省での検討は、助産師に求められている役割と機能という観点からの検討と、助産師にどのような実践能力が求められているのかの検討を行って、本案を出していただいたということでは合理的な検討であったと思います。理由は、平成21年に私ども助産師業界で助産師のコアコンピテンシーズを提示し助産師に求められている実践能力を示しました。その内容の4点を組み込んで、社会に求められる実践能力の検討を行ってくださっておりましたので、その辺は納得がいきました。

 今、助産師教育の中で強化する観点は、具体的には、経済的にも豊かになり、食材も豊富になっている中で、母子と栄養の弱いこと、妊産婦の方は今スリム化現象で、新生児の体重も少し減少しております。栄養などの強化、生活環境の変化や環境汚染の問題も挙げられます。現場の助産師の方からは、核家族、高学歴化、高齢妊産婦が増えているが、自分が妊娠したときの周産期にある自分の体づくりや、育児のイメージがないことを挙げてられております。また母子と薬剤薬理や、MEの駆使や読解能力と支援する能力も求められます。法律上、臨時応急処置を行う実践力や、ケアに生かせる代替療法等はもっと組みこんだカリキュラムの必要性と、妊娠期の実践の強化は大切です。対象のハイリスク化に伴い、独自で行える業務の強化も必要です。

【中山座長】  平澤先生、少しだけ短くしてください。中のカリキュラムの内容をずっと説明されても、今日の議論ではありませんので、そこは省略してください。

【平澤委員】  わかりました。

  今回30単位を要望いたしましたが、28単位で検討し最低限、私どもが求めている内容を組みこんでいただけたことで納得できました。

 済みません、オーバーしました。

【中山座長】  ありがとうございました。

 ほかに。秋山委員もパワーポイントを出していますが、これはよろしいですか。簡単に説明してください。

【秋山委員】  ちょっと今の論点からずれるかもしれませんけれども、前回の議論のときに、これから増えてくるだろう在宅の現場で働いている者として、基本的に、あまり教授内容が、コアカリキュラムのときに内容が狭められるのはという意見を出したので、それについて、今実際にはまちづくりというか、そういうことにも参画をして、それから高齢者とかそういうところに限定するだけではなくて、より多くの方へ向けて、小さいときからの命の教育等も在宅の中で広がっていっていますので、そういう現状もぜひ知っておいていただきたいと思って、資料という形で提出させていただきました。参考にということで結構です。

【中山座長】  わかりました。

 私は公衆衛生看護学から地域看護学への変更のことにかけてというふうに、ちょっと思ってしまいましたが、その辺何かございますか。

【秋山委員】  保健師教育の中の地域看護学から公衆衛生看護学ということに変わった点については、私は異論はございません。

【中山座長】  ありがとうございます。

 ほかに、どうぞご意見、ご自由に出してください。

 どうぞ、藤川委員。

【藤川委員】  まず保健師のほうですが、この前10月4日の議論が終わった後に、日本医師会でも少し説明をして、議論をいたしました。やはり公衆衛生看護学、いわゆる保健師の産業保健等に関する進出といいいますか、活躍する場を増やさないと、幾らつくっても看護師として仕事をしていくようであれば、もう看護師の中に含まれてしまうのではないかということで、50人以下の産業保健等に関して、もちろん我々医師会としては産業医として協力をしておりますが、やはりまだ常勤になっていないんですね。今、学校医も非常勤ですが、将来的にはやはり学校医にしても産業医にしても、常勤の時代がいずれ来ると思います。

 そういうときに、もちろん実務をする手伝いとして、やはり保健師というものの存在が必要になってくるでしょう。しっかり勉強しておいてもらわなくてはいけないだろうと思います。もちろん我々医師会としても産業医としての研修をしておりますけれども、保健師の今後の、卒業してからの就職先が非常に少ないことは、それもやはりしっかり考えないと、ちょっと問題だと思います。

 それから助産師に関しては、日本医師会に産婦人科の常任理事がおりますけれども、助産師の教育に関しては、日本医師会も産婦人科医会も参加をして、きちんとした医師・産婦人科医師との連携協力がなければ、やはり医療事故の問題が発生するだろうとの意見です。助産師のみでお産をしているというのは非常に今減っていますので、異常分娩のみならず、正常分娩であっても、やはり会陰の裂傷とか縫合とかになると、出血の問題とかに関して、たとえ教育をしていても千差万別、個人差もありますので、医療機関ないしは産婦人科医師のバックアップがなければ、母体の生命をきちんと守ることは厳しいだろうということで、そういうワーキンググループ等に関しても、やはり産婦人科医師、日本医師会の、産婦人科の常任理事がきちんとワーキングに参加をして、国民の、特に妊婦の生命をきちんと守るということに関しては、会陰裂傷の縫合1つをとっても、その問題だけではありませんけれども、やはり十分な教育とアドバイスをして、そして現場では産婦人科医師と助産師が協力をしていくという体制をしっかり担保しなくてはいけないだろうという議論をしていました。

【中山座長】  ありがとうございました。

 ほかに。

 松尾委員、どうぞ。

【松尾委員】  前回欠席しまして、ちょっと議論が飛んでおりますが、今日いろいろご説明とかご議論を聞いて、3点意見を言いたいと思いますが、1つは、先ほど厚生労働省のほうからも言われましたが、単位を増やすだけで大丈夫なのか、あるいは、教育のマンパワーって、今大学はほんとうに疲弊していますから、増やしたときにほんとうにそれをカバーできるだけの質を担保できるのかというのは、非常に大きな問題になっていると思うんですね。

 そういう意味では、今回厚労省から出された案はもう十分議論をされて、中身に必要な事項については網羅はされているかどうかは知りませんが、随分充実したとは思うんですけれども、教育の、ちょっと言い方は悪いんですけれども、効率化ですね。これをやはり図らないと、すべて完璧にして出すというのは多分無理でしょうから、そこのところをぜひ考えていただきたい。これは文部科学省のほうで教員を大幅に増やしていただけるということであれば、また別だろうと思いますが、そうすると、また現場の看護師が減ったり何かするといういろいろな問題がございますけれども、それが1つ。

 それから、先ほど藤川先生が言われましたように、やはり現場では非常に連携というのが大事なので、私、前から申し上げているんですが、オン・ザ・ジョブのトレーニング、これをやはりもっと重視していくと、同じことを勉強しても、現場から学ぶと問題意識が非常に高くなって、効率的に勉強できるようになるのではないかというふうな気がしますので、その点もぜひご考慮いただきたいということと、今回実習も多少増えていますけれどもね。

 もう1つは、教育のフレキシビリティーといいますか、やはり教育って、そのときそのときで随分変わりますし、今回の案ががちがちのものかどうかというのは私はよくわからないんですけれども、その時々で、現場でかなりフレキシビリティー、あるいはそういった柔軟性を持った教育ができるようなカリキュラムであることが望ましいのではないかなと思っています。

 以上です。

【中山座長】  ありがとうございました。

 村嶋委員からも手が挙がっているんですが、松本さんからも手が挙がっています。先に松本さんのほうに振りたいと思いますので、よろしくお願いします。

【松本氏】  済みません。そうしましたら、カリキュラムの資料の別表1の改正案のところで少し。

 ここの場でこのようなことを言うことが適切かどうかわからないのですけれども、現場からの意見としましては、1つ、公衆衛生看護学概論で「個人・家族・集団・組織の支援」というように、「組織」が増えたということで書いてございますけれども、やはり公衆衛生の場は地域だと思いますので、ここで地域がなくなったことについてはいかがなものなのかなということを少し感じました。

 それから、「訪問指導ではなく継続指導」につきましては、「継続した指導を含む」ということなんですけれども、やはり生活の場における継続指導でなければならないと思います。指導したものが自分の生活の中でどのようにそしゃく(咀嚼)されて、それが一定期間経過した後で自分の指導が正しかったのかどうかという評価する、そのスタイルがなければ、保健師としての能力というものは身につきませんので、これを単に継続した指導ということであれば、今日指導した、明日もう一遍いらっしゃいといったようなことがここの中に盛り込まれないかなということは非常に不安があります。ですので、そのあたりでしっかり生活の場における本人のそしゃく(咀嚼)というか、そういった期間を踏まえた変化、それを踏まえられるようなものということで明言をしていただけると、大変いいのではないかなと思いました。

【中山座長】  ありがとうございました。

 濱田先生、あるいは、いいですか。小山委員のほうからも手が挙がっていて、村嶋委員もまだご発言があるようですので、どうぞ小山委員から。

【小山委員】  ただいまのご発言に関しまして、厚生労働省の会議でもやはり地域、あと個人も大事にすべきではないかというご意見もありましたが、その点については全く同感です。また、この保健師教育のカリキュラムをつくられた方々も、その点を決して無視したわけではなく、重視されているということだと思います。

 そういう点からいいますと、先ほど、在宅看護論は看護師の教育というようなご発言がありました。大学の数が増え始めましてから20年以上たっておりますが、大学では看護師課程だけでも97単位、そして保健師で今までですと23単位ということで、120単位になります。また大学では教養科目も学ばなければなりません。しかしながら一時期、文部科学省のほうからのご指導で、できるだけ単位は120代に抑えるようにというご指導がかなり厳しくあった時期がございました。最近はどうなっているのかというのは、後でお伺いしたいと思うのですが、そのために、限られた時間の中でどのように社会に質を担保できる人材を育成するかということで、いろいろと工夫してまいりました。

 看護系の大学の教員たちが集まってワークショップをしたり、どのようにカリキュラムをつくればいいのかということで相当工夫しながら、統合カリキュラムを実施し、そして大学の卒業生は実際に、現場で保健師としても助産師としてもリーダーシップをとるような仕事をしてきております。

 また今度このように指定規則が変わり、より質を担保するようにというようなことで、これは私たち大学人としても守らなければならないかと思います。しかし、この単位数をどのように統合していくかということにつきましては、決して読みかえではなく、今までの20年以上にわたる看護系大学の教員たちが苦労してカリキュラムを作成してきた例として、先ほど宮﨑委員からの資料でカリキュラム改革として報告されました。これは一般的な大学のカリキュラムのつくり方の基本的な原則を押さえておりまして、大学ではこのようなことを吟味しながら、そして卒業時の到達目標ということも意識して行ってきました。大学の数が増えて、全国的に担保できているかということが、この会議の最初のころから議論になりましたので、評価するシステムは早急につくり、社会に担保できるような人たちを育てるというのは同感でございます。

 そういう点からいいますと、単位数ではなくて、むしろここに書かれている内容をどのように担保しながらカリキュラムを組んでいくかということが、大学の教員のこれからの大きな課題になると思います。

【中山座長】  わかりました。

 松尾委員のほうから先ほど、単位数が増えるわけですが、教員のマンパワーはこれでいいのか、あるいは今も出たような形で、現場との連携の教育ということが非常に重要になるんですが、これにつきましては助産師のほうの教育からも出ていましたし、保健師のほうもそういう意味ではかなり広範囲の実習をやっているわけですから、そのことの問題は残っているかと思います。まだご発言、どうぞ続けていただいて構いませんが。

【倉田委員】  地域住民の1人として思っていることなんですけれども、今の6ページのの保健師のところ「地域の健康危機管理を行う」というのが増えたところを拝見していまして、38番のところの健康管理、感染症や虐待、DV、自殺、災害という、ほんとうに今ホットな話題がたくさん出てしまっていて、皆さん心を痛めていらっしゃると思うんですけれども、やはり地域に住んでいる住民の協力だとか、あとほかの、警察もそうでしょうし心理学者の方たちもそうでしょう、臨床心理の人たちもそうでしょうし、そういうほかの職種の人たちとの協働というのをやはり考えて、環境づくりを周りでしてあげてほしいと思います。

 せっかくこのような教育を受けて現場に出ても、この人たちにこんなことが任せられるかというような環境の中では、やはり実力は発揮できないでしょうから、そういう環境づくりというのを周りの職種の方たちが考えてあげてほしいなと。それから住民も協力を言われれば、協力要請ができるように、それは日ごろからの保健師さんたちの働きかけというのも大きいと思いますので、そういうふうに考えていただければなと思いました。

【中山座長】  ありがとうございます。

 この点につきましては、この法改正のときに出た努力義務にはなっているんですが、新人の研修ということがあったと思うんです。野村課長、たしか保健師のほうも新人研修のことについて検討を始めているとお聞きしているんですが。

【野村オブザーバー】  新人看護職員研修につきましては、同じ、前回の昨年7月の法改正で努力義務にされました。看護師につきましては、昨年12月にガイドラインをつくり、多くの病院で、今そのガイドラインに基づいた新人研修をしていただいているところですが、保健師・助産師につきましては、今年度に看護師と同様のようなガイドラインを今検討しております。

 それで助産師については、ほぼガイドラインの中身自体の検討は終わっております。保健師についてはまだ議論の途中というところでございますが、何とか今年度中にはガイドラインまで行き着きたいと思っているところでございます。

【中山座長】  ありがとうございます。このカリキュラムの運用につきましては、そういった新人研修のこともあわせて考えていただければいいかなと思います。

 ほかに、どうぞ発言していない、横尾委員、どうぞ。

【横尾委員】  私は助産師のほうのワーキンググループにおりましたが、教育内容にしましては、やはりこの内容は今の時代に必要になっているのではないかというふうには思っておりますが、単位数につきましては、ワーキンググループでもさまざまな意見がありました。結果28というところにおさまりましたが、大学としましては、ほんとうに先ほど小山委員、宮﨑委員から出ましたように、どんなふうに、どういう学生を育てていきたいのか、そして社会に貢献できるようにしていくのかという、大学大学の課題とか理念があると思いますので、そこのあたりの裁量はぜひ残させていただきたいと思います。

 それとあと、仮に実習のことを考えますと、今一番痛いのが2単位増えたということでございます。今9単位に増えまして、それもやっと臨床側の協力を取りつけて、そしてこうなりますと、また、もうほんとうに何月まではA大学、次はB大学と、今まで延長が認められていたのが、それがいかなくなりました。そうしますと、おそらくさらに実習施設を増やさなければいけない。そうするとまた新しく実習施設を開拓する。

 そうしますと、私どもの経験では、全然実習を経験されていない施設にお願いしますとなると、やはりこちらが参って、1年か2年かかるんですね。そこから実習が始まるということになりますので、私どもほんとうに11週間できるんだろうかと、もう今からその体制をいろいろ、今日の中で考えておるんですが、そこが一番、ほんとうにできるんだろうかというところ、このあたりをどういうふうに対処すればいいのか。特に地域によりましては、参加施設を、先生方は随分協力してくださっていますが、それができるのかどうかというのがまだ保証がないところで、11単位ということになりましたならば、やはり厚労省からでも結構ですので、協力するようにと、強い。なかなか協力は難しい、お願いしましても、ちょっとというふうに断られることもありますので、そこら辺が一番、私どもにしましては2番手の課題かなと思います。

 それから、やはり教員は、大学は人員削減で参っておりますので、保健師と助産師と1年以上になりまして、教育内容を充実する、しようとすれば、やはり統合化というところでいかに効率よく、有効に教えるかということの一方で、やはり人的な増員ということも考えていかないと、もう長続きしないかなというふうな懸念も持っておりますので、そういうところもあわせて総合的に。単位数を上げるのは構わないとは思うんですが、ほんとうに実現可能かどうかというところも、さまざまな教育機関の背景を考慮していただきまして、検討していただければいいかなと思います。この内容につきましては、異論はございません。

 以上でございます。

【中山座長】  ありがとうございました。

 西澤委員、どうぞ。

【西澤委員】  今回の指定規則の件につきましては、それぞれ専門の方々が時間をかけてつくったもので、落としどころとしてこれでよろしいかなと思っております。ただ、今までの話を聞いていまして、これからさらに検討しなければならないこととして、今までは大学は保健師、助産師も同時に資格を取れるということでしたが、今回から選択制になったということで、どうするのかと。今までやってきた統合ということは、同時にすべての資格を取るということでのシステムだったのではないかなと、選択制になったときにはまたどうしたらいいのかというのは、今後の課題としてやはり検討する必要があると思っております。

 それから、やはり大学というところは、大学教育というものがあって、片方では国家試験の受験資格という2つの面がある。そのバランスのとり方、これはいつになっても解決できないものだと思いますが、常に議論する中でいい形に持っていっていただきたいなと思っております。

 やはり今は医師不足ですし、看護師不足でもあります。あらゆるところにおいて足りないという中で、看護師さんも現場でも足りないし、教員も足りないということになっていると思うんですね。ですが、今の数でどうしなければならないかということも、私たちは考えなければならないと思うんです。そうすると、やはり教育と臨床が、場合によっては協力以上に融合というんでしょうか、私、前にこの場で発言しましたけれども、教員は教員、現場に行ったら現場の方が教えるだけではなくて、今も医師の教育は両方やっているわけですから、早く看護師さんたちもそのような形でできないかなと。そうすると、かなり効率化が図れるのではないかなと思っております。

 それと教育というのは、やはり看護師さんだけの教育ではなくて、医師だとか薬剤師、ほかの職種がありますから、今は医療もチーム医療となっているんだったら、教育だって、チーム教育という言葉は当てはまらないかもしれないですけれども、幾つかの職種の方がまとまって臨床の教育をすることは非常に効果的だと思いますので、そういうこともできないかなと個人的に思っております。

 以上です。

【中山座長】  ありがとうございました。この検討会でも大学の独自性、自主性、そういったものを相当議論してきて、尊重する方向では第1次報告も出しているかと思います。そういったことと、また指定規則、これはミニマムエッセンシャルズですので、最低限になるわけで、これにどういう人材を育成したいかということによって、大学が独自で新たな教育の展開をしていくことになるんだ思います。その辺のところでは、ずっと議論がありましたように人の問題も含め、あるいは実習単位が増えることによって経費もかかるわけですが、そういったことの問題も踏まえてどう展開できるかという問題になるかと思いますが、濱田先生、何かコメントございますでしょうか。

【濱田氏】  皆さんそれぞれおっしゃっている立場性と、それからよりよい効率のこともお話しされております。どうぞ四角四面にきっちり決めないで、幅を持たせた決め方をしていただきたい。学生の質が変わってきているということもどうぞお考えの上、ただ科目・単位を増やすだけではなく、今までの教育内容で要らない部分・古くなって使用できない部分もあるのではないかということにも吟味しながら、各大学がしっかり主体性を持って、大学としてどういう人を育てたら一番社会的ニーズに最適かということを考えていただきたいと思います。

 3つのライセンスを同時に4年間の教育で担保しようということを前提に考えるのではなく、ほんとうに何が必要なのだろうかを考えて、ライセンスの質が確保できるような教育をしたいとも思っております。専門職業人のスタートラインに立てる人をどのように育てるのかということを考慮していただきたいと思います。

【中山座長】  ありがとうございます。

 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】  ありがとうございます。今濱田先生のご発言に力を得て、2点ほど申し上げたいと思います。濱田先生が言われて、初めて「学生」という言葉が出てきました。この検討会で学習者の立場に立つ検討というのが必要だということ、大変同感でございます。もう一方において、同じく濱田先生の、スタートラインだというキーワードも、これも非常に重く受けとめさせていただきました。

 先ほど来ずっと専門の皆様のご議論、あるいはご説明を伺っていて、養成大学を抱える側として何を思っているかということで、ちょっと専門的な議論とは少し離れて、中教審で展開されている2つの流れについて発言させていただきます。

 1つは、言うまでもなく大学教育の質保証という大きな流れがあって、これが主として大学分科会、その中に幾つもの部会が設けられて、とりわけ質保証部会で非常に煮詰まった議論をしております。先週開かれた質保証部会で、久しぶりに、総論にもう一度立ち戻って議論しようという中で、こういう空気になってきております。大学教育の質を保証するのは、例えば国だとか第三者機関とかいう、要するに社会的枠組みとして保証していく流れとして認証評価機関があり、あるいは認可・審査という、これはこれで結構でしょうと。一方、個々の大学に求められているのが、3つのポリシーだ、ラーニングアウトカムズだ、やれ学士力だと、ほんとうに矢継ぎ早の課題が突きつけられており、大方の大学は、正直言って困惑のきわみといったところだと思います。

 そういう議論も大切だけれども、改めてもう少し地道な話をしませんかという空気になっています。それはまさに学生の現状を踏まえた議論をしなければ、すべて砂上の楼閣になるのではないかという話です。現在の大学の単位制の基本は、ご案内のように1単位45時間の学習ということを前提としております。それも何十年も前の学生の学力に基づいて定められた規定であります。当時と今とを比較するデータというのはいろいろあるわけですけれども、大方の人たちが基礎学力の低下であるとか、あるいは学習スキルがまだ十分ではないとかと言われます。

 したがって、1単位45時間という基本そのものも改めて考え直さなければいけないのではないかという話がある一方で、現状の学生の学習時間は非常にプアです。東京大学の学生のデータなどが何度も出されております。1時間あるいは2時間未満というのが大半を占めている状況で、ここから先が大事なんですけれども、大学における単位数を増やすということについて、非常に現実的かどうか、学生の実態に合っているかどうか。そしてそれによってほんとうに学習到達が得られるのかというような、地道な考えを議論しなければいけないという、その1点であります。130単位、例えば、先ほど私、手計算をやっておりましたけれども、これをざっと4年間で実現するとすると、1単位45時間、人間ですから1週間に1日だけは勉強しない、休日を当てはめても、毎日、4年間、5時間半ほど勉強をし続けなければ、このノルマは果たせない。果たしてそれが可能なのかどうかということが1つです。

 もう1つ、全く別な観点ですけれども、ご案内のように教員養成のことが非常に大きな話題になっていますし、政治課題にもなっています。昨年の新政権誕生以来。そこで教員養成に関して、教員の資質能力に関する検討特別委員会というのが急遽組成されました。30人の多様な委員から成り立っております。私もその末席を汚しておりますけれども、この中で、大変養成側として心強く思ったのは、教員の資質能力の向上というのは、養成機関だけで実現できるものでも何でもないという共通理解でありました。

 たかだか4年間、あるいは延ばして6年間、これと比べると、例えば大卒で就職すると約38年間、長い教職生活の全過程を通して高みに達するというような仕組みを考えなくてはいけない。とりわけ教育委員会とか採用側、教員を使う側の責任というものが、当の教育委員会、あるいは学校法人の雇用者のほうから、ほんとうの責任は自分たちにあるというような発言が相次いで、非常に心強くしたところです。

 何を言いたいかというと、看護教育、あるいは専門職教育は、大学においてはまず基礎的なスタートラインに立つだけであって、それから先、採用、現職の研修教育、全過程を通して実現していかなければならない課題だということを、改めて認識したわけです。

 これはちょっとお願いですけれども、昨年の保助看法の改正で、養成期間が長くなった。一方において、現職研修は努力義務というところがようやく規定された。私はそれは、いろいろなご事情はあろうかと思いますけれども、ちょっと養成側としては納得し切れないところがある。確かに社会の要請が高度化している、ニーズが多様化している、そのとおりでしょう。でもその実現の大方を養成の期間に集中してこられると、ほんとうに望ましい養成ができるのかどうか。もっともっと採用、それから現職教育、全体を通しての総合的な議論の中で、では養成は何をすべきかという大きな議論をしていただきたいなと心から思っています。

【中山座長】  ありがとうございました。多分また次の議論になるかと思いますが、基礎教育でできることと、現任になってからできること、この辺の問題も含めてご発言いただいたかと思います。

 ほかに。

 坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】  今回の検討会という意味として、今後これで一応決まっていくという形ではなく、もう少し評価をしていくということを設けていただきたいです。それは質を上げるという意味からです。

 それから、看護学の基礎カリキュラムができたわけですので、それに基づきながら、今佐藤先生や濱田先生がおっしゃったような、過密化されて詰め込んでいくという教育を、考えていく力を持てるような教育にしていくということが必要であると思います。

 保健師・助産師の指定規則が28単位に改正されることにつきましては、いろいろな方たちがご議論されたことですので、賛成いたします。

 公衆衛生看護学概論におきましては、当然必要なことであると思っておりますので、組み込まれたことについては大賛成であります。

 また、学士教育とライセンスという2つを持った看護学の大学については、大変難しいものもございますけれども、やはり国家資格が担保される教育が必要だと思います。そしてこれからの医療は、いろいろな先生方がおっしゃられたように、やはりチームだと思います。そういう意味では、他の職種とどのように一緒になって1つのことを患者さんに対してやっていくかという能力も必要であり、やはり質を担保するということも大変重要であると思います。

 参考資料3の中の2ページ目に入っている、教育課程と指定規則との対比表というのを見せていただきました。いろいろな大学があると思います。大変レベルの高い大学もあり、大変困っている大学もあると思いますが、これはおそらく大学が出すものを毎年文科省がきちんと質を見ていっていただけるというふうに思っております。これはきちんとやっていただきたいと思っております。

 かつては、統合カリキュラムもいいところもあったと思います。しかし、保助看法の改定におきまして患者さんのニーズや国民のニーズに合わせて保健師・助産師の教育年限が1年となりましたので、その変化に合わせて改正されたシステムをどのように使っていけるかを、ぜひ考慮していただきたいと思っております。

【中山座長】  ありがとうございました。

 村嶋委員、待たせました。どうぞ。

【村嶋委員】  私もこの参考資料3は、よくこれをお出しになったなというふうに思っております。つまり国立のA大学は卒業要件125単位で、保健師教育は26単位やっていることにはなっているけれど、実質、全部看護師と一緒にやっていて、保健師教育として独自の科目はゼロだと、そういう表でございますよね。

 そういう意味では、昔、高校の世界史と日本史のすりかえというか、ごまかしの問題が随分国会でもたたかれましたけれども、世界史をやっている中に日本史があるから、だからそれでいいんだという論理と同じようなものでございます。保健師の教育の中に看護師も含まれているから、それを同じ単位を二重に読み込んでいいんだと、こういうごまかしはやはりやってはいけないと思います。

 私どもは、やはり国民に対して責務がございますので、それは国民に対して責任を持たなければいけない。今、佐藤委員が学生のことを考えなければいけないというふうにおっしゃいました。それは確かでございます。学生が就職したときに、大学で保看統合カリキュラムで、看護師も保健師も免許を持っていると。その学生たちが、じゃあどういうふうになるかというと、どこかの市町村立の病院に就職をしたときに、彼女が看護師として使い物にならなかった。しかし保健師として免許がある。そうすると、では保健師の部署に回せばいいというようなことが実際に起こっているわけでございます。そうすると、住民に対する保健師としての働きはできません、その方は、ライセンスは持っているけれども。

 そういう意味では、大学で、基礎教育で質を担保して教えることが何より大事だと思います。その学生自身も、きちんと教育を受けなかったとき、そしてまた保健師に対するアイデンティティーがなく、そうやって免許を持っているからということで保健師として就職をする、働くことになったときに、学生自身が大変悩みます。全国的に保健師が、求められている能力と実際に自分ができることとのギャップがあまりにあり過ぎて、メンタルな問題を起こしていくというのが、後で松本さんがおっしゃるかもしれませんが、大変多ございます。多いように聞きます。そういう意味では、保健師として免許を与えるからには、きちんとそのことを担保して、教えるべきだと思います。

 看護師との違いは、看護師の場合は病院に勤めますと、上司が大部分が看護師でございますが、保健師の場合は、上司が放射線技師だったり、いろいろな職種がございますので、1人配置も多いですし、なかなかアイデンティティーを持てない場合は伸びていかないというような現実がございまして、今の保看統合カリキュラムに関しては、全国衛生部長会も全国保健師長会も、何とかやめてくれという要望書を出していらっしゃいます。それが国民の声だというふうに思います。

 ですから、単位の読みかえは絶対やってはいけないと思います。

【中山座長】  それは1つのご意見として承りますが、参考資料3のことについて、要するにこれは各大学が丸をつけてきたものを全部載せているということだから、大学の考え方によって、たくさん重ねているところと、そこを切り分けている大学とがあるという表ですよね。何か誤解を招きそうなので、小山田専門官のほうから説明していただけますか。大学によっては、すべての科目は全部保健師と看護師と一緒ですというところと、考え方として切り分けてやっているところとでこの丸の数が違ってくると私は認識していましたが、今の村嶋委員の説明だと、これは誤解を招いてしまうのではないかと思いましたので、そこは説明していただければと思いますが。

【小山田看護教育専門官】  今、中山座長からご説明いただきましたように、後ろの表につけてあるような対比表の中で、1つの科目でどういう内容をカバーしているのかということを確認しているわけですが、その丸が看護師課程のどの教育内容について、なおかつ保健師の教育内容もカバーしている、両方をカバーしているというものがどれだけという数であります。それらの中には、先ほど宮﨑委員にも資料にもございましたけれども、保健師の専門性を育てるための科目というものを、看護師の科目の中でも活用しているという科目もあります。ですから、例えばA大学が全く保健師単独の科目がないといっても、それが保健師のための科目を設定していないということではないということです。それぞれの国家試験受験資格に必要な教育内容が大学のカリキュラムで網羅されているのかということは、そのカリキュラムが改正されるたびに申請をしていただいて、確認をしております。日本史と世界史の話とは若干違う話ではないのかなと思っておりますし、しっかり皆さんご自身の大学の理念によって、さまざまな多様な形で充実した養成をしていらっしゃることの実例として、私どもは準備したものでございます。

【中山座長】  ありがとうございます。

【村嶋委員】  でも、これは下段が保健師独自だということで、0単位、0単位、5単位、14単位、3単位、9単位ですよね。ほんとうは保健師は23単位、この時点ではやらないといけない、それが0のところが幾つかあるということですね。

 私、言うのはやめようかと思ったんですが、参考資料4の宮﨑委員の、例えば3枚目、老人看護の方法、これは看護師の課程なんですが、実質、地域看護学。個人・家族・集団の生活支援に関して、看護師関係科目において実施している内容とあります。これは、老人看護方法は保健師の科目としても認定していらっしゃるんですよね。

【小山田看護教育専門官】  そうです。

【村嶋委員】  そうすると、例えばこの老人看護方法の1から5に関しては、個人のことしかやっていないので、これは看護師の科目だと思います。これが保健師だったら、例えば似たような人たちを集めて、どういうふうにデイケアをつくっていくかだとか、個人と集団の施策との関係性がどうあって、その集団にどう響いていくのかとか、そういうことを保健師の高齢者看護部分だったら教えなければいけないと思います。これを保健師として読み込むのは、私は、間違っている、これはあくまで看護師の科目だというふうに考えます。

【中山座長】  これは考え方の問題で、次のときから始まると思いますが、学士課程における看護学のカリキュラムの中で、どのぐらいまでフレキシブルにやることを考えていくのか、あるいは大学それぞれの理念みたいなものを尊重しながらやるとどうなるのか、この辺のところを皆さんに検討していただきたいと思っています。宮﨑委員から反論があると思いますので、どうぞ。

【宮﨑委員】  誤解があるといけないんですけれども、保健師の教育の中にも個人に対する支援というのは1つの要素として入っているんですね。指定規則の中にも「個人・家族・集団」、そしてこのたび「組織」というふうに、複雑な個人をどう理解するかというのは活動の基本になります。ですから、ほかの看護師課程の教育科目の中で、個人に対する看護として教授している内容を、むしろ関連科目としてしっかりと吸収して、そして体系的な保健師の教育をしていくというのが統合的なカリキュラムの成り立ちであるというふうに理解しています。

 専門基礎であればあるほど、専門に特化した、ここでいうと保健師はポピュレーション、集団を対象にもちろん望ましい変化を最終的には及ぼしていく、そういう専門性を持っておりますけれども、そこに行き着くまでのいろいろな活動の要素があるわけです。ですから、そういったものを体系的に教授していくという意味においては、看護師課程の科目を、効率的に、これは時間の問題ではなく、むしろ中身として充実させていく上で重要だというふうな位置づけで考えているわけです。

【中山座長】  ありがとうございます。

 坂本委員。

【坂本委員】  千葉大学の個別の話をここで議論していてもしようがないと思います。 それで、私が先ほど資料3の2ページ目の表の話をして、いろいろな議論を呼んでしまって済みません。私は、今回の検討会を開いた意味も含めて、新しい看護基礎カリキュラムもでき、保健師や助産師については新しい方法で教育ができるようになったこの状況において、本当に質が落ちていかないかどうかをやはり文科省にきちんと審査いただきたい。それをここで強く希望したいと思っております。

【中山座長】  ありがとうございました。

 小山委員、どうぞ。

【小山委員】  坂本委員のご発言を受けてですが、「文科省がきちんと見ていく」とおっしゃいました。今の看護教育専門官は、大学が1桁の時代と同じ、1人しかおられません。今は大学の数は180校を超え200校になろうとしています。大学や実習指導者の数を増やすだけではなく、文部科学省のほうも看護教育の質を担保するという意味で、ぜひ看護教育専門官を増やしていただければと思います。

【中山座長】  新木課長、よろしくお願いいたします。

 それでは、時間も迫ってまいりましたが、前野委員、何か発言ありますか。

【前野委員】  いま一度強調しておくべきこととして、実習における臨床現場での教育連携を、より一層強めていくことが必須で、重要だと思います。もう1つは、改正案をざっと拝見しまして、片仮名文字が多いなという感じがいたしました。皆さんが十分理解している概念、言い換えが難しい用語は仕方ありませんが、必ずしもそうではないものもあるように思われます。その点を、もう少し配慮したほうが、よりわかりやすくなるのではないでしょうか。以上、個人的な感想です。

【中山座長】  ありがとうございました。多少の微調整は、看護課と医学教育課、文部科学省と厚生労働省のほうであると思いますので、片仮名が多いということの問題も踏まえて、ご検討いただければと思っております。

 皆様のほうから今日は前向きな意見をいただきまして、座長としては感謝申し上げます。さまざまな問題は残していますが、共通した願いは、質のいい教育をしたい、質のいい学生を育てたい、社会のニーズにこたえられるような学生を育成して、看護職としてのスタートを切らせたい、これが私たちの共通した願いではないかと思います。

 そのことに向けて、まだまだ課題はたくさんありますが、看護学基礎カリキュラムのことについて、資料を出していただいていますので、事務局のほうから説明していただきます。この看護学のカリキュラムのことは、今の新しい指定規則の改正のことも絡んでくるかと思いますのでよろしくお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  では、資料のご説明だけさせていただきます。資料3-1と2でして、こちらは前回の検討会において、委託研究班から当検討会に引き受けさせていただきました。そして、3-2の看護学基礎カリキュラムの案についてご意見があればちょうだいして、修正したものをこの場でまた検討いただきたいということをお願いしていたものです。

 その結果として、村嶋委員、それから坂本委員のほうからご意見をちょうだいしましたので、それを反映させまして、あと倉田委員からご要望等がありましたものは、事務局案として一部修正したというのが3-2になります。

 ですので、次回までにごらんいただきたいのですが、1枚目から赤字での修正がありますけれども、こちらが坂本委員の修正案でございまして、青字が村嶋委員の修正案です。それから、ページ数でいきますと8枚目、16番の「安全なケア環境を提供する能力」の学習成果のところに、緑字で追加をしておるのが倉田委員のご意見を踏まえた事務局からの修正案ということです。

 それから3-1は、看護学基礎カリキュラムの解説資料案です。1枚目には、前回も資料としておつけしましたが、そもそも大学にこのカリキュラム案をお配りするときに、これは何かということを説明する文章の骨子案です。前回ご議論いただく時間がなかったので、もう一回同じものをつけております。2枚目以降は、委託研究班でつくっていただいた、基礎カリキュラムを構成する実践能力の定義をつけております。大学にこの基礎カリキュラムというものを周知する際には、こうした情報も同時に説明することが必要と思いますので、これもあわせて次回、検討いただければと思います。

【中山座長】  ありがとうございました。

 この資料について、質問とかある方いらっしゃいますか。

 では、これはまた次回の検討資料になるのでお持ち帰りいただき、見ていただいて、気になることはメモしておいていただければと思います。

 大体予定したことは終わったのですが、せっかく濱田先生と、大阪から松本さんに来ていただいていますので、どうぞ一言ずつ、感想も含めまして、あるいは今後の希望も含めましてご発言いただければと思います。

【松本氏】  そうしましたら、お時間をいただきましたので、2点ほど大きく言いたいと思います。

 1点は、先ほど実習のことで、保健師のほうとしましては非常に実習が難しいので、学生を減らしてほしいということを言っているところなんですけれども、この実習単位が今回5単位と増えたことに関しましては、決して悪いことだというふうには思っておりません。大阪市でも8週間の実習をきちんとこなしてきたという自負もあります。ほんとうに保健師になりたい人が厳選されて来てくださるならば、8週間でも10週間でもこちらはお引き受けいたします。そのかわり、一緒になって育ち合い、学び合い、全体の地域の健康レベルを上げるといったところを、責任を持ってやり遂げられる人、そういう人であれば大歓迎です。増やしていただいて結構かと思います。

 それから、今も申されましたけれども、非常に虐待とかが増えてきておりまして、保健師はカルテ開示を求められます。臨床の現場でもそうでしょうけれども、なぜこのときに介入しなかったのか、なぜこれを指導しなかったのかというところが問われます。つまり、書かれていないことが問われてしまう時代です。それは潜在化した問題がどこにあるかとか、そういった能力、それがたけていなければできませんし、それが全体の中でどういった意味づけを持っているのかということも、抽象概念に引き上げて考える力がなければ解けない問題です。

 ですので、そういった高いレベルのものを現場は求めておりますので、そういったところを大学の先生方には踏まえていただきまして、ほんとうに質の高い保健師を養成していただきたいということで、最後に締めたいと思います。

 ありがとうございました。

【中山座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、濱田先生、どうぞ。

【濱田委員】  具体的に出てきたライセンスの単位をどうのこうのではなくて、それをしっかり教育する上で、大学に養成所指定規則の運用等に関して、自由裁量を大学に残していただきたい。そうすることによって到達目標が可能な教育をそれぞれの大学で工夫できると思います。

 先ほど来から出ていましたけれども、専門官を増やしてくだい。今、設置するのはわりと楽で、後が大変というような噂も聞こえてきますから、つくった以上、やはり大学の人間もきちんと管理しなければいけないと思います。監督機関もそれをどのように管理していくかというあたりを、またご検討いただければと思います。

 そのときに、専門職業人の代表的な立場ではなくて、ほんとうに今の18歳人口をどうやって育てていって、どこまでを大学で教育したら、次の専門職業人として伸びる素地を持たせることができるかという視点も、ぜひ大事にしていただきたいなと思います。

 勝手なことを申しました。よろしくお願いいたします。

【中山座長】  ありがとうございました。

 今日、発言していないのは菱沼副座長だけですので、やはり振りたいと思いますので、一言お願いいたします。

【菱沼副座長】  皆様方の冷静な討議を聞かせていただきまして、大学がこの新しいカリキュラム、今度検討すると言われた基礎カリキュラムを踏まえて、大学としてそれぞれがカリキュラムを考えたときに、ライセンスとしての保健師、助産師、看護師がどのように乗ってこられるのか、あるいはあきらめるという選択を各大学ができるということが、大事ではないかなと思っております。監督官庁の責任をというのが再三出ておりますが、それと同時に、大学自身の自己点検の責任と、それから大学、同じ領域間での相互評価の責任をどう構築してくかというのも、大きな課題ではないかなと思っております。

 ありがとうございました。

【中山座長】  ありがとうございました。

 どうしても発言があるという方、いらっしゃいますか。よろしいですか。

 それでは、協力いただきましてありがとうございました。中身の濃い討論であるにもかかわらず、予定の時間で終わることができました。

 この指定規則の改正案というのを、今日の討論も踏まえまして、最終的には厚生労働省、文部科学省のほうの事務局でおまとめいただくということになるかと思いますので、その点につきましては、どうぞ私たちの意見も十分反映した上でつくっていただければと思います。

 これまでずっと討論してきました新たな看護学基礎カリキュラムの内容と、今日は全然討論しておりません大学院も、人材養成をどうするのかという課題も残っておりますので、この検討会は続けさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局のほうからのご連絡をどうぞお願いいたします。

【小山田看護教育専門官】  次回の会議を11月をめどに開きたいと思っておりますが、日程調整はこれからですので、決まり次第ご連絡を申し上げます。

 本日はありがとうございました。

【中山座長】  ほんとうに今日はどうもありがとうございました。

 それでは、11月、またよろしくお願いいたします。

 

── 了 ──

お問合せ先

高等教育局医学教育課看護教育係

看護教育専門官 小山田

看護教育係 辻、坂本、小関
電話番号:電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2906)、03-6734-2508(直通)

(高等教育局医学教育課看護教育係)