大学の資産運用の在り方に関する研究会(第4回)議事要旨
1.日時
令和8年4月14日(火曜日)13時00分~15時00分
2.場所
経済産業省会議室(対面・オンライン併用開催)
3.議事要旨
■以下のとおり議論があった。
<ガイドブックの記載・位置づけ>
- 理事会が責任をもって運用目的・運用目標だけでなく、運用方法もしっかり定義することが重要であるとガイドブック全体で強調することが必要ではないか。
- ガイドブック全体が運用担当部署向けのマニュアルのように見えるが、理事会が読まなくてはいけない文書だということをもっと全面に出すことが必要ではないか。
- 平成21年通知(「学校法人における資産運用について(通知)」)について、否定するまではいかずとも、もう少し通知の書き方を調整いただきたい。
- 学内での運用人材の育成や登用方法に関しても、ガイドブック又は報告書に好事例又は失敗事例として記載してはどうか。
<共同運用について>
- 日本の大学業界は横並び意識が強く、「他大学がやっている」と聞くことで理事会の理解が得られるケースも多いと聞く。また、相場が悪くなり、損失が出たときに個人責任を負うことを非常に恐れている。共同運用でファンドに投資すれば、責任が分散されることでその心理的ハードルは下がると考えられることから、運用経験のない運用担当者の多い中堅大学にとってはメリットがある。
- 共同運用により、スケールメリットだけでなく、運用成果を多数の人にきちんと報告する義務が生じることによって、ファンドの質も向上するメリットもある。
- 各大学の運用目的、運用目標、投資可能資産が異なるため、これまでの共同運用のやり方では難しい。運用者側の工夫・改善が必要な部分がある。
<寄付について>
- 寄付金について、日米では税金の控除率に差があり、大学基金の集まり方に影響している。寄付制度の違いに加えて控除率の違いも(ガイドブック又は報告書において)書いてもらいたい。
- 大学への支援の在り方を考えるのであれば、単なるアカデミックな教育だけではなく、寮やスポーツ施設、学生イベントなど、学生生活への投資が最終的に寄付として戻ってくるという実態もある。
- 運用原資の確保のところで、一般の方が大学に寄付したいと思う制度ができるかという観点が重要であり、将来的にそのような制度を作っていただくことが重要。
<運用方法について>
- 多くの私立大学で積極的な資産運用に二の足を踏む最大の理由は減損リスク。株式単独では減損リスクが高いが、国内外の債券・株式のバランス型(マルチアセット)なら減損リスクはほぼない。大学ごとのリスク許容度は異なると思うが、投資比率の調整で対応可能のはずであり、マーケティングの仕方によっては十分普及可能ではないか。
- インデックスファンドやETFを『比較的リスクが低い』と書いているが、何と対比してリスクが低いのかわかりにくい。最低投資金額が低くて投資しやすい等、別の観点での説明が良いのではないか。
- 大学が資産運用をする際に、簿価及び資金損益にこだわる理由として、3号基本金引当特定資産が3号基本金と一致していなければいけない、3号基本金を下回ってはいけないという意識が強すぎて、含み損のある資産を売れない大学が多い。
- 資産運用体制を整備してアセットオーナー・プリンシプルの受入表明をすることが将来的な引当資産の回復の見通しを高めるとの理解で、一時的に引当資産が基本金を下回っても引当資産への繰入等の特別な措置を講じる必要が無いというような条件付けができれば、多くの大学にとってアセットオーナー・プリンシプルを受け入れるメリットになり得るのではないか。
- 資産運用の基本は株式であり、長期的にみれば、インフレ考慮後の株式はむしろ債券よりリスクが低い。その観点で、ガイドブックにおける株式の位置づけが弱いと感じるため、記載ぶりをもう少し検討できないか。
- 株式は長期で持てば債券より高いリターンが出るという理解があって初めて、長期運用が成立する。ガイドブックにもそのような考え方を入れたほうが良い。
- ガイドブックに「善意の浄財の目減りを防ぐ」との記載があるが、なぜ防ぐ必要があるのかをどこかに書いてもらいたい。将来の学生に向けた運用であるということを強調するべき。
- ステークホルダーというと現在の大学の構成員と受け取られがちだが、資産運用に関しては将来の大学の構成員を含む形にすると、資産運用がやりやすい。
<その他>
- アセットオーナー・プリンシプルに関連して、大学も資本主義社会の一員であるということを考えた場合には、大学がアセットオーナーに含まれるという点をもう少し強調しても良いのではないか。
- JSTは、運用目標をみるとかなりリスクを取る運用をすることになっているが、現状はかなり保守的な運用になっている。短期リスク抑制をしながら長期でリターンを獲得する方針とされているが、株式は長期の資金運用においてインフレに対応し得る投資すべき資産であり、現行の債券中心の保守的な運用では無理があるのではないか。
- JSTの寄託金制度が始まれば、多くの国立大学、特に小規模大学にとって選択肢が広がりメリットが大きいと思っている。具体的な開始時期や検討状況はまだ見えてこないが、開始に向けたスケジュールを早期に示してもらえれば、各国立大学の検討準備も進むのではないかと期待している。
(以上)