大学の資産運用の在り方に関する研究会(第3回)議事要旨

1.日時

令和8年2月27日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・オンライン併用開催)

3.議事要旨

■以下のとおり議論があった。

<運用にあたっての考え方について>

  • 資産運用の外部委託については、委託先の選択の考え方を示す必要がある一方で、大学自身にも一定の知識が必要であることから、ガイドブックにおいても学内の担当者に対する金融教育の重要性を示してはどうか。
  • 資産運用に十分な知見がない大学執行部は単年度の実現利益を求める傾向にあると聞くが、本来、資産運用の成果は長期的な視点に基づくトータル・リターンで評価すべきであるという論点も示すべきではないか。
  • 有価証券の時価情報の開示は、ずさんな運用を早期発見できるなど、大学の資産運用の高度化に繋がる非常に効果的な取組みになるのではないか。
  • 運用の評価に当たって、PDCAのうちP、D、Cまでを実施するものの、次のActionに繋がらない例もあることから、運用の評価を学内のガバナンス体制含めて整備していくことが重要ではないか。
  • 投資先企業の持続的成長という観点では、エンゲージメントは重要であり、実現には時間がかかると思うが、集団的エンゲージメントについても選択肢の一つとしてあり得るのではないか。
  • 大学の資産運用における受益者として将来入学する学生も含めて捉えることで、長期視点での資産運用につながるのではないか。

<運用に当たっての課題について>

  • 国立大学において為替オーバーレイを活用したポートフォリオ全体の為替リスク管理を検討した際、頻繁に実現損益が発生し寄付金債務での調整が必要となることから断念したという話を聞いたことがある。また、大学債の償還原資に係る積立金についても、運用するかどうか方針が大学ごとに分かれているという課題も聞かれる。こうした点についても何らか言及が必要ではないか。

<資産運用を行う人材について>

  • 大学基金の運用人材は金融機関より報酬水準は低いが、近年は事業法人の年金運用経験者を中心に国立大学・一部私立大学へ流入しており、一定の人材流動性が生じている。
  • 年金基金では、それなりの資産規模を有していても必ずしも高度な専門人材が運用担当者になっているわけではないため、大学においても必ずしもスーパープロの確保を前提とする必要はないのではないか。

<寄付について>

  • 米国の大学では、寄付総額の8~9割を上位10%の方が占めている例もある。米国では、大口の寄付は、税控除を翌年へ繰延べできるという制度があり、こうした制度により、いかに大口の寄付を確保するかが論点。
  • 寄付の拡大には篤志家の関心を活かせる取組みが必要であり、プランド・ギビングのような仕組みや、遺贈など、寄付の実例をガイドブックにおいて示すのも良いのではないか。

<共同運用について>

  • 小規模の大学には、スケールメリットを享受できる共同運用に対する期待がある。
  • 大学の資産運用の機運が高まれば、米国のコモンファンドのような業者も現れて、共同運用の選択肢が広がるのではないか。

<ガイドブックのコラム等について>

  • 企業年金の運用の歴史として、1990年代以降のトータル・リターン追求だけでなく、近年の低金利・マイナス金利環境下における予定利率引き下げや株式等の資産比率の低下のほか、足元のインフレーション環境下で給付利率・予定利率の引上げが検討する基金が一部に出てきている状況についても掲載してはどうか。
  • 大学の資産運用の好事例や失敗例を、ガイドブックにコラムとして掲載してはどうか。
  • 大学の運営基盤の強化等を目的とした資産運用が、結果的にEMP(Emerging Managers Program)に資する効果を期待できる場合があるが、その留意点等を示してはどうか。

<ガイドブックの対象について>

  • ガイドブックが、学内ルール等により高度な運用ができない大学の運用担当者の背中を押せるものになれば、資産運用の高度化が進むのではないか。
  • 資産運用に関心はあるが具体的な進め方がわからない大学にとっても、ガイドブックを示すことは効果的ではないか。

<その他>

  • 大学が非営利組織ではあるものの、資本主義社会の一員であることから、資本市場を活用して必要な資金を運用する観点をガイドブックの背景に記載してはどうか。


(以上)

(研究振興局大学研究基盤整備課、高等教育局国立大学法人支援課、大学振興課、私学部参事官付)