大学の資産運用の在り方に関する研究会(第2回)議事要旨

1.日時

令和7年12月4日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

経済産業省会議室(対面・オンライン併用開催)

3.議事要旨

■以下のとおり議論があった。

<大学における運用方針について>

  • 債券中心の運用でかつ実現損を出さない方針のある大学は、現在の金利上昇局面で債券価格が値下がりして含み損が発生する中で、実現損を回避するために償還を待つなど、リスクは取りたいものの元本が戻ってくるまで身動きが取れなくなってしまっている場合があるのではないか。
  • 平成21年の通知(「学校法人における資産運用について(通知)」)について、大学がその趣旨を誤解しているという表現は適切ではないのではないか。当時はあくまでデフレの時代だったので元本棄損を回避することは間違いではなかったが、現状のインフレ環境下では元本を守るだけでは実質目減りしてしまうという点を伝えていくべきではないか。
  • これまでは債券が安全資産だと思われていたが、含み損もある中、決して債券が安泰な資産ではないという意識が芽生えていると感じる。現状大学においては、債券のラダー運用をしているケースが多いので、償還ごとに別の商品に買い替えていくといったことを後押しするタイミングになっているのではないか。
  • 大学の経営を単年度で評価する仕組みがある限り、債券の償還を待つという選択肢を取らざるを得ないのではないか。
  • 債券中心の運用を脱却するためには、評価益の変化も含めた時価ベースのトータルリターンを把握する必要がある。また、その必要性を文書で明確化するなどして理事会全員が認識することが重要ではないか。

<大学のフィデューシャリー・デューティについて>

  • 自分たちにフィデューシャリー・デューティはないと考えている大学も多い。なぜ大学の資産運用にフィデューシャリー・デューティの考え方が必要なのか発信していく必要があるのではないか。
  • フィデューシャリー・デューティの観点で、委託者・受託者・受益者の関係を整理すると、大学における本質的な受益者は学生や教職員であると思うが、運用をすることで受託者である大学自身も受益者として還元を受けている。その考えを整理すべきではないか。
  • なぜ大学のみがアセットオーナー・プリンシプルに関してやり玉にあがっているのかわからない。自分たちが受託者でもありかつ受益者でもあるにもかかわらずその枠組みから外れている組織もあるので、そういった考え方についても整理が必要ではないか。

<寄付について>

  • 日本の国民性として寄付はなじみが無い。寄付に対する国民のマインドセットを変える、もしくは、寄附税制も一緒に検討する必要があるのではないか。
  • CEOやCIOを置いて体制づくりと情報発信をしっかり行うことにより、明らかに寄付額のペースが伸びている大学もある。資産運用をした上で何に活用していくのかというメッセージをきちんと出していくことで、寄付金の獲得につながるのではないか。
  • 運用の財源を増やしていくという意味では寄付金の募集を強化していくことと両輪だと思うが、例えば都市部にある大学などでは土地活用によって生まれた資金を運用財源として活用するといった具体的な事例を示すのも良いのではないか。
  • 米国における寄付の一形態として、例えば、プランド・ギビングのように、寄付金を大学が運用し、それを寄付者が年金として大学から受け取れるという事例もある。

<大学の資産運用状況の開示・会計基準について>

  • 大学の資産運用状況をトータルリターンで把握するためには、貸借対照表の注記として有価証券の時価情報を開示し、外部からも運用成果の検証ができるようにすることも一案ではないか。
  • 学校法人会計基準では、時価ブレが良くも悪くも反映されないため、場合によっては安心して運用できるという側面もあるかもしれない。

<ガイドブックの構成について>

  • 資産運用の実務経験のない大学関係者が使いやすいガイドブックにするには、運用にあたり意思決定が必要な事項をPDCAに沿った形で階層的に整理すると分かりやすくなるのではないか。


(以上)

(研究振興局大学研究基盤整備課、高等教育局国立大学法人支援課、大学振興課、私学部参事官付)