大学の資産運用の在り方に関する研究会(第1回)議事要旨

1.日時

令和7年10月21日(火曜日)16時30分~18時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・オンライン併用開催)

3.議事要旨

■以下のとおり議論があった。

<資産運用を行うモチベーションの必要性>

  • 資産規模の小さい大学法人は資産運用するモチベーションが弱いのではないか。
  • 企業年金の例を参考にすると、企業年金は年金負債上の予定利率を持っているので、安 定的な制度運営を図る上で、それを上回ることが一つの目標となり得るが、大学基金については、そのような目標設定が難しい場合がある。その意味で、大学基金についても、例えば、米国のHEPI(高等教育価格指数)のような指数を提示することで、仮想上の負債利率を設定し、それを示すことで、資産運用に対するモチベーションを上げることができるのではないか。また、自らの力でポートフォリオ組成が困難な大学に対しては、金融機関による定型ポートフォリオの商品提供などの後押しが必要なのではないか。
  • 米国の大学もかつては債券100%の運用であったが、1970年代のインフレをきっかけに株式やオルタナティブ資産への移行があった。
  • 行動変容を促すには、例えば、認証評価においてインフレを考慮した購買力の維持を提示することなども考えられるか。

<運用に当たっての考え方>

  • 運用については短期的な上下に一喜一憂せず長期的に行う必要があり、データでも長期的な時間軸をもってみたときには右肩上がりの形になることを示唆したい。
  • 個別の成功事例を示すかどうかは検討が必要であるが、インフレの環境下では運用をしないこともリスクになると伝えたい。
  • 大学における資産運用は短期的ではなく永続的・長期的視点を持つべきという長期運用の考え方を反映させるには、成功事例の紹介のみでは足りず、別のアプローチが必要ではないか。
  • 資産運用開始時のトップダウンでの意思決定に対し現場の反発があったり、逆に理事会が障壁になったりする場合があることから、それらの課題を解消できるようなメッセージが必要。
  • ガイドブックを作るなら、日本経済の低成長は続くものの上場企業の利益は高水準であるというデータを加えた上で出さないと、(80年代バブルの崩壊を経験して株式保有に抵抗感を持つ)理事会メンバーの理解を得るのは難しいのではないか。
  • 適切なガバナンス体制に基づく意思決定をすれば単に損失が生じたという結果のみで善管注意義務違反として責任を追及され、事後的に非難されるものではないという理解を浸透させることができるのではないか。
  • 私立大学における投資目的の運用資産に対しては簿価会計を適用しているが、簿価会計を適用している先進国はほとんどいないと思われるので、資産運用の高度化に向けて改善が求められる。

(以上)

(研究振興局大学研究基盤整備課、高等教育局国立大学法人支援課、大学振興課、私学部参事官付)