令和7年4月21日(月曜日)11時00分~15時00分
ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴はWebのみ
(座長)大森昭生座長
(委員)縣修、田中マキ子、中村和彦、廣瀬克哉、藤岡健、山内清行 各委員
(特別委員)小林浩、 松村暢彦、高橋壱、藤田美沙子、 齋藤舞奈、 堀越丈稀、雨宮綾南、小林寛明、熊谷智、近藤美咲 各特別委員
伊藤高等教育局長、森友審議官、石橋大学振興課長、石川地域大学振興室長
内閣官房新しい地方経済・生活環境創成本部事務局参事官、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局参事官、総務省自治行政局市町村課、総務省自治行政局地域政策課、総務省財政局財務調査課、厚生労働省人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当)、経済産業省経済産業政策局産業人材課、経済産業省イノベーション・環境局大学連携推進室、国土交通省国土政策局地方政策課、金融庁監督局総務課地域金融支援室
【大森座長】 それでは、これから会議を進めてまいります。配信を御覧の皆様、地域大学振興に関する有識者会議の座長を拝命いたしました、共愛学園前橋国際大学の大森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
この会議体は、文部科学省の地域大学振興室の中で設置されて、これから地方、地域の大学についていろいろな課題がありますけれども、そのことに向き合っていくための会議体というふうに承知をしております。
先般、知の総和答申がまとめられたところですけれども、一応、私、そこの特別部会でも副部会長を務めさせていただきました。
今回の答申の、様々な項目が挙げられたわけですけれども、大きく評価しているところは、これほどまでに地方の大学ということに焦点を当てた答申というのは今までなかったんじゃないかなと。地方の大学の者としてはとてもうれしく思っているところですけれども、でも、それは逆に言うと、それゆえにそれだけ課題を抱えているということにもなるかもしれません。
これから日本がますます世界の中でということを考えていったときに、やっぱり地方創生ということは切っても切れない課題ですし、その中心にいるのが地方の大学だというふうに認識しています。
日々、いろいろなニュースが入ってきますけれども、個々の大学さんのいろいろな困難もあるということを承知の上で、それも踏まえた上で、その地域で学んでいる、それから、これから学ぼうとしている子供たちにとって、そこで学べる環境というのをどういうふうに維持していくのか。一極集中にならない学びのアクセスというものをどうしていったらいいのか。真剣にこの会議も含めて、国民の皆さんとも議論を重ねていきたいなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議ですけれども、第1部を11時から12時までとして、地域大学振興に関する今後の取組等について議題とする予定です。
第2部は、一旦ちょっと休憩をいただきまして、13時から15時までとさせていただく予定で、特別委員の方々からのヒアリング、これを行ってまいりたいと思います。
本日は伊藤高等教育局長にも御出席をいただいております。お忙しい中、ありがとうございます。御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いします。
【伊藤高等教育局長】 高等教育局長の伊藤でございます。
委員の皆様には、大変お忙しいところ、この地域大学振興に関する有識者会議の委員御就任をお願いしましたところ、快く御快諾いただきましたこと、まずもって感謝申し上げます。
また、今日は関係省庁の皆様にも御参画をいただいてございます。文部科学省として、地域大学振興をしっかり取り組んでまいりたいと思ってございますけれども、これはひとえに大学のことだから文部科学省だけがやればいいということではなくて、我が国全体、政府全体で地域をどうしていくのかと。これと大変密接に関連してくるものでございますので、皆様のお力をお借りしながら、また政府も一丸として取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。
先ほど大森座長からお話もございましたけれども、知の総和答申、まさに御指摘いただきましたように、これまでの中教審答申の中で、これほど地域というものに焦点を当てながら、今までの高等教育行政というのは全国一律ということを基本に置いていたわけですけれども、地域大学、地方大学の振興というものは何としても取り組まなければいけないと。こういうような御答申を頂戴したところでございますが、これは本当に逆に言えば、それだけ大変な局面を迎えているということでもあると思ってございます。
答申で大きな方向性をお出しいただきましたけれども、これからまさに実行に移していかなければいけない、そういうフェーズだというふうに思ってございますので、この会議のほうで、地方の声、また、実際に取り組まれているような大学、また、学生さんの声などもしっかり受け止めながら、それぞれの地域の大学にとって、そして地域にとって、どのような具体的な方策がより実りあるものになるのかということで、御忌憚のない御意見をお聞かせいただきながら、政策にもつなげてまいりたいというふうに思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大森座長】 よろしくお願いします。ありがとうございます。
続きまして、事務局から、委員、それから関係省庁のオブザーバーの御紹介をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【石川地域大学振興室長】 それでは、本会議の委員を順次御紹介させていただきます。委員の皆様におかれましては、後ほど詳細な発言等をお願いさせていただければと思います。
それでは、名簿順に、静岡県、縣委員でございます。
【縣委員】 よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
共愛学園前橋国際大学・短期大学部学長、大森委員でございます。
【大森座長】 よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 山口県立大学学長、田中委員でございます。後ほど出席されます。
山梨大学長、中村委員でございます。
【中村委員】 よろしくお願いします。
【石川地域大学振興室長】 法政大学教授、前総長、廣瀬委員でございます。
【廣瀬委員】 廣瀬でございます。よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 神戸市、藤岡委員でございます。
【藤岡委員】 よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 日本商工会議所、山内委員でございます。
【山内委員】 よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
続いて関係省庁のオブザーバーを紹介させていただきます。関係省庁のオブザーバーの皆様には、必要に応じて本有識者会議と所管との関係でございますとか、有識者会議への期待も併せてこの場でコメントいただきます。
それでは、まず、経済産業省経済産業政策局産業人材課、今里課長でございます。
【今里オブザーバー】 ありがとうございます。経済産業省の今里でございます。このたびはオブザーバーとして参加させていただきまして、ありがとうございます。
我々は、まさに産業人材をこれからどういうふうに将来つくっていくかということを所管してございます。その点に関しましては、先般、新しい資本主義の実現会議で、石破総理から、今後の人材の需要の在り方、供給、それを一体となった産業人材の育成の在り方について、文部科学省と一緒に検討するようにという御指示を頂戴してございます。
その中でもやはり地域というのは極めて大事なパーツだと思ってございまして、この中で一緒に御議論させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
続いて、名簿順に、総務省自治行政局市町村課、大田課長でございます。
【大田オブザーバー】 総務省市町村課の大田と申します。よろしくお願いいたします。
私ども、連携中枢都市圏という構想がございまして、これは3大都市圏以外の政令市や中核市が中枢となりまして、地域経済の牽引ですとか、あるいは快適な生活サービスの提供を進めておるところですけれども、その中での大学の役割というのも、実際に今、幾つかの都市圏におきまして行われているところでございます。そういった事例なども御紹介できればと思います。よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
続いて、総務省自治行政局地域政策課長、橋本課長でございます。
【橋本オブザーバー】 地域政策課長の橋本でございます。よろしくお願いいたします。
我々、自治行政局の中でも、地域力創造グループというチームでございまして、地域の活性化に取り組んでいるところでございます。その観点から、地域の知の拠点である地方大学との連携というものの可能性について、皆様の御意見を勉強してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 続いて、経済産業省大学連携推進室、川上室長でございます。
【川上オブザーバー】 経済産業省大学推進室の川上です。お世話になります。
経済産業省内で人材政策全般は、産業人材課が全体を取りまとめているのですが、大学連携推進室は高等教育を専門にやらせていただいています。特に最近では、博士人材の民間企業への就職支援ということで、文部科学省と一緒に「博士人材の民間企業における活躍促進に向けたガイドブック」を取りまとめさせていただきました。
あと、産学連携と大学発ベンチャーを担当させていただいているのですけれども、誤解を恐れず言うと、5年、10年前は、どちらかというと、東大、京大などの旧帝国大学が中心だったのが、直近では、かなり地方の大学、特に中堅・中小企業との産学連携が非常に進んでいます。それと、大学発ベンチャーについても、旧帝国大学中心から、今、地方もそうですし、私学も含めて、かなり数を伸ばしてきています。そういった中で本有識者会議が開催されるのは、非常に時宜を得たものだと認識しております。我々としても、できるだけ協力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
続いて、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局、塩田参事官でございます。
【塩田オブザーバー】 塩田と申します。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
私ども、地方創生2.0ということで、本年6月に基本構想を取りまとめるということで調整しておりますけれども、釈迦に説法でございますけれども、地域の大学が地方創生に果たす役割は大変大きいんだというふうに私ども認識してございます。
また、私ども事務局では、地域の産官学連携を促進し得る2つの交付金事業を行ってございます。1つは、今年度より当初予算が倍増されました新しい地方創生交付金でございます。もう一つは、これは大学に特化した、地方大学の魅力化と大学の研究力を生かした産業創生を支援する、地方大学・地域産業創生交付金事業という2つの事業をやってございます。大学と自治体との連携を深化させていく上で、こうした交付金事業の活用についても御検討いただければというふうに思っております。こういった観点から、私ども、ぜひ参加させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
続いて、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局、宮下参事官でございます。
【宮下オブザーバー】 新しい資本主義実現本部事務局の宮下と申します。
先ほど今里課長からもお話がありましたが、産業人材教育のためのプランにつきましては石破総理からも指示が出ていまして、今、文部科学省と経済産業省で検討が進んでいると思います。この会議で取り上げられる論点の中でも盛り込んでいくものがあるかと思います。今年の6月、新しい資本主義実行計画を改訂していくわけですけれども、そういったところで取り上げるべきものは取り上げていきたいと考えております。専門的な観点から皆様の意見交換に期待したいと思います。よろしくお願いします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。 そうしましたら、総務省自治財政局財務調査課、藤原課長、いかがでございましょうか。
【藤原オブザーバー】 総務省財務調査課でございますけれども、当課におきましては、地方独立行政法人法の公立大学部分を文部科学省とともに所管、共管をしているという状況でございまして、公立大学法人を所管する立場から参加をさせていただくところでございます。
また、公立大学が地域連携や産学官連携を推進するための地域連携センターの運営や、施設整備に対する財政支援等も行っているところでございます。
今会議での議論をしっかり聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございました。
続いて、金融庁監督局総務課地域金融支援室でございます。
【土肥オブザーバー】 金融庁人材マッチング推進室、地域金融支援室の土肥と申します。本日は参加させていただき、ありがとうございます。
今後、地域大学様との地方創生の関わりにおいて、地域の金融機関の方々の参画というのも非常に期待されていると聞いておりますので、我々、金融機関を所管する立場でございますけれども、そこら辺の、大学と地域金融機関との連携というものを、我々もどういう在り方ができるかとか、あと、好事例の収集ですとか、そういったほうで協力させていただきながら、皆様のお話を聞いて勉強させていただきたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございました。
続いて、厚生労働省人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当)、松瀬参事官でございます。
【松瀬オブザーバー】 厚生労働省でございます。当局では、人材開発を担当しておりまして、具体的には職業訓練や教育訓練の振興を担当しているところでございます。
令和4年10月から、地域ごとに職業訓練とか人づくりの在り方を議論する組織といたしまして、地域職業能力開発促進協議会というものを都道府県ごとに設置しております。その中には、地域の教育機関のプレーヤーといたしまして、地域の大学にも御参画いただいているところでございます。
これからリスキリング、学びということが非常にクローズアップされている中で、各地域における学びの場をリッチにしていくというのを課題の一つとして捉えておりますので、こういった場でいろいろ議論の参考にさせていただければと思っております。
以上でございます。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
続いて、国土交通省国土政策局地方政策課、日下課長でございます。
【酒井オブザーバー】 国土交通省でございます。日下がちょっと外しましたので、代理で、二地域居住政策推進官の酒井でございます。
当局では、二地域居住、多拠点居住の促進でありますとか、あるいは地域で持続的なサービス圏域を形成する地域生活圏の形成に取り組んでおります。やはり国土政策といたしましても、三大都市圏への人口流出が非常に多くなっていることが課題でございまして、釈迦に説法でございますけれども、大学入学時、あるいは就職時といった若い世代のターニングポイントで特に流出が起きやすいと。こういった中においては、大学の役割というのは非常に重要だというふうに考え、まさに地方において人材を維持し、産業に人材を供給する。また、新しい産業をつくっていく。やりがいのある仕事、付加価値のある仕事という意味でも、まさに産学官金といった形で大学との連携というのは非常に不可欠だと思っておりますので、引き続き連携を図って進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 ありがとうございます。
本日出席いただいているオブザーバーの方は以上でございます。
最後に、文部科学省からは、伊藤局長、森友審議官、石橋大学振興課長など高等教育局関係部局から出席しております。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
本当にオブザーバーの皆さんにたくさん御出席いただいているのは心強い限りで、やっぱり地方大学のことを考えていくときに、地方創生であるとか地域人材育成、さらに言うと、少子化対策とか、本当にいろいろなことに絡んでくるテーマだと思っているので、ぜひ御知見と、それから、一緒に御議論いただけたらありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、続いて事務局から配付資料の確認をしてください。
【石川地域大学振興室長】 配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。資料につきましては、文部科学省ホームページにも掲載しているところでございます。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
それでは、議事に入ってまいりたいと思います。本日の議事は、「地域大学振興に関する今後の取組等について」としています。
事務局からまず説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【石橋大学振興課長】 資料3の説明をさせていただきます。大学振興課長の石橋でございます。
資料3をおめくりいただきまして、まず、1ページ目というところでございますけれども、今、大森座長からも局長からも言及がございました、「我が国の「知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~(答申)」の要旨でございます。
具体的に申し上げますと、やはり今後の高等教育の目指すべき姿ということで、大学進学者数の推計が、2021年62.7万人が、2035年に59万人になり、2040年に46万人になるという、4分の3の規模になっていくということがデータとしては明らかになっているという中で、我が国の知の総和の向上ということをやっていく必要があり、そのポイントが、質、規模、アクセスの確保というところになっております。
具体的に地域のところの議論をしていただいているのが3ページ目のところでございまして、赤枠の中でございますけれども、高等教育へのアクセス確保という観点から、地理的観点からのアクセス確保ということで、ここには具体的には地域構想推進プラットフォームであったりとか、地域研究教育連携推進機構であったりとか、こういうところでいかに高等教育が地域において、学生さんにとってアクセス可能なものとしていくのか。それから加えて、地方創生という動きにどう対応していくのか。また、地方創生を進めるための高等教育機関の支援ということで、例えば、国内留学、学生寮整備、サテライトキャンパス、キャンパス移転等、こういうことも言及していただいているところでございます。
具体的に何をしていくかというと、これは4ページ目でございますけれども、地域における協議体の実質化、それから、地域における大学間等の連携枠組みの強化ということで、これはそれぞれこれまでも各大学、地域において取組が進んできているところでございますが、さらに深化させていくためにどういう形が必要かということを御議論いただければありがたいというふうに思っております。
また、政府全体の動きについては、6ページ目を御覧いただければと思いますけれども、地方創生2.0ということで、内閣官房のほうからも触れていただきましたが、基本的な考え方として、例えば、基本姿勢の丸の2つ目でございますけども、人を大事にする地域、楽しく働き楽しく暮らせる地域をつくるということ、その中には、教育・人づくりにより一人一人の人生の可能性を最大限引き出すと。このようなことも明示されているところでございます。
また、その下の社会というところですけれども、やはり児童・生徒、学生が我が町の魅力を再発見し、将来を考え、行動できる能力を重視する教育・人づくりを行うということで、教育も大きな柱として位置づけられているところでございます。
次のページ、7ページ目を御覧いただければと思いますが、そのうちの5本柱というところでございますけれども、丸の1番目のところでございますが、人づくりを起点にした社会の変革ということで、特に若者・女性に選ばれる地方、楽しい地方をつくるということが書かれております。この中核となるのは、やはり高等教育機関である大学等が一つのポイントになると思っておりまして、大学の魅力化ということも書かれているということでございます。
また、丸3のところでございますが、付加価値創出型の新しい地方経済の創生ということで、地方大学と企業等が連携した地域の特徴ある産業の高付加価値化ということも明示されているところでございます。
8ページ目が、先ほどの答申を踏まえまして、今後10年間で取り組んでいくべき政策パッケージを文部科学省において策定するということになっておりますけれども、この委員会におきましては、ぜひ以下の5点について御議論いただければありがたいというふうに思っております。
まず、1つ目でございますが、この政策パッケージの策定に向けてということになりますけれども、今後10年程度の地方大学振興の取組に関する基本的な考え方を共有させていただければと思っております。先ほど申し上げました18歳人口減は、2040年が大きな崖となりますけれども、それまでの2035年までに何ができているかということが非常に大きなポイントだと思っておりますので、この10年というのが勝負というふうに考えております。
丸2でございますが、知の総和答申で提言された地域構想推進プラットフォーム、この役割、また、整備方針について御議論いただければというふうに思っております。
それから、丸3でございますけども、同じく提言されました地域研究教育連携推進機構について、大学等連携推進法人制度はこれまで8つの取組が進んでおりますけども、さらに深化させるために何をしたらいいかというところが丸3でございます。
それから、丸4でございますが、東京一極集中が大きな課題であることは変わらない状況でございますけれども、都市から地方への動きというものをどうつくっていくのか、どういうことが実際現実的に可能なのかというところの議論もいただければありがたいと思っております。
最後に、5番目でございますけれども、地域の高等教育のアクセス確保という観点に関しましては、当然、産業というところにおいての高付加価値化という議論もありますけれども、併せて地域の生活・産業基盤を支える人材養成に関する支援方策も必要だと思っております。最近、短大がなかなか経営困難に陥るというところで募集停止が増えてきておりますけれども、そこで育成されている保育士の方々等の確保をどう考えていくのかというのも一つの事例かというふうに考えております。
以上、説明になりますけれども、このような方向性で御議論を進めていただければ大変ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございます。
ただいま説明のあった内容や議論すべき内容などについて、今後、議論を深めていきたいなと。いずれも本当に大事なことですし、今最後にお話のあった、自県で必要な人材を育てられないなんていう状況も見え隠れしている段階ですので、スピード感も持ちながら議論をしていけたらいいのかなと思っております。
では、本日は、この後12時までが第1部で、初回ということもありますので、僣越ながら、自己紹介を含めて御意見をお一人ずつまず御披露いただいて、議論のベースにしていきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、縣委員から、お一人5分程度ぐらいでいろいろなお話をいただければと思います。よろしくお願いします。
【縣委員】 静岡県企画部参事という肩書になっています。括弧書きで総合教育担当とついております。縣と申します。よろしくお願いします。
総合教育担当、何をやっているかということですけれども、いわゆる首長と教育委員会の総合教育会議を所管しております。それから、本県は、静岡県立大学、静岡文化芸術大学をはじめ、県立の大学は4つありますけれど、そのうちの県立大学と文化芸術大学を所管しております。そういったことで、今回、この会議にも出席をさせていただいているところでございます。
本県は、国立大学、県立大学はじめ、静岡に本部のある私立大学、東京に本部があり静岡にキャンパスのある私立大学等々を含めまして、21の高等教育機関があります。今日は、お手元に、資料4-1、ふじのくに地域・大学コンソーシアムのパンフレットをお配りしておりますけれども、大学連携をするための組織として、平成26年3月に設立をしております。
この中で単位互換授業ですとか、いろいろやっておりますけれども、県で主導した組織ということもございまして、県の補助金なり委託料が財源のかなりを占めております。各大学に会費の値上げをお願いしたりだとかというのも厳しい状況でありますし、産業界からの参加というのも一つ課題になっております。県の財政状況もなかなか厳しいということもありまして、この運営自体がなかなかうまくいっていないというのが正直なところでございます。
各大学の学長さんにも出席いただいて、いろいろ意見交換する場面はあるんですけれども、プラットフォームとしての役割がなかなか果たせていないというような状況になっております。
こういう中で、我々静岡県も、18歳人口を見てみますと、2023年に,3万3,000人でしたけれども、これが2040年には2万人ぐらいまでに落ち込むということで、こういった数字を見る限り、県内の高等教育機関、なかなか厳しいということは皆さん共通の認識は持っております。
ただ、なかなか議論が深まっていないということもございまして、昨年の12月に、大学サミットというものを開催いたしました。この中で、静岡県のこういった人口減少に関わる課題なども共有しながら、将来に向けて県内の高等教育をどうしていくんだということをこれからしっかり議論していこうということで、その出発点としたわけでございます。
県がこの環境づくりを進めることで、県がいろいろ将来像を自ら示すというのはなかなか難しい面もありますので、大学なり産業界の方から議論が巻き起こっていくような形にしていければなというふうに思っております。大学サミットでは、共同宣言というものを取りまとめさせていただいて、本日、資料の4-2としてお配りをしてありますけれども、こういったものに今後取り組んでいこうということで、特に3番のところで、今後恒常的な議論を進めていきましょうということで、今年度、これに基づいて連携して議論を進めていく会議なども立ち上げながら、今年度以降、精力的に取り組んでいきたいという考えでおります。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
また時間を見て、お互いの質問等をしていきたいと思いますけれども、ひとまずは皆さんに御発言をいただきたいと思います。
名簿だと、次は私なんですけど、一応座長なので最後にさせていただいて、先ほどの御紹介のときにはいらっしゃらなかったんですけど、田中先生から御意見をお願いできればと思います。
【田中委員】 田中でございます。遠隔参加で申し訳ございません。また、最初から参加できずに大変失礼いたしました。
本学は、御案内のように、SPARC、地域活性化人材育成事業に採択され、国立大学の山口大学、公立大学の本学、そして私立大学の山口学芸大学と、大学等連携推進法人をつくりまして、連携教育科目を共有しながら、学習成果の高まりというか、引上げを行っております。
また、SPARCを組みました理由は、山口県から人材が流出するという人口減、人口的な理由の人口減と、他出減ということの課題がございました。また、その中で、山口はものづくり県でございますので、女性が活躍する場が少なく、若い女性の多出が課題であり、文系人材で、女性で、なおかつDX推進ということから、文系DX人材を育成し山口県にとどめようと、3大学が協力して教育を進めているところでございます。連携開設科目も年々増やしておりまして、実績を上げており、よい成果につながっているのではないかなと思います。
その中で、私ども山口県立大学としては、文系DX人材ということはもちろん考えているんですけれども、地域の大学が面白い、すてきだ、だから地域に学べる大学があるから中央に行かなくてもいいという発想で、よい教育をしていきたい、よい教育をすることが、やはり入学生というか、志願者も増やし、山口県に人をとどめることなんじゃないかと考え、質の高い教育を行うことを意識しています。その中でも、初年次教育が重要と考えておりますので、初年次教育にフォーカスをして、教育方法、内容等々を考えております。
その教育方法は、やまぐち未来デザインプロジェクトというものなんですが、OECDが出しておりますEducation2030のプロジェクトのコンセプトを用いて、質の高いしっかりした教育をすることで、OECDが狙っております新たな価値を創造する力、対立やジレンマを克服する力、責任ある行動力を取る力、こういった力を伸ばせればいいのではないかということでやってきています。その成果は、外部テスト等々、あるいは学生さんの授業評価等々から、かなり高い力、能力を上げられることが分かってまいりましたので、この教育方法をもっともっと広げていきたいというふうに考えているところでございます。
ただ、この教育方法は、すごく手間暇がかかる、先生方にも負担がかかる教育方法なので、学生さんの規模というところがすごく重要になると考えます。1学年1,000人規模、500人以上を超えると非常に難しい教育方法になると思っておりますので、こういったところがもう少し改善され、波及できるというか、普遍的なものとして教育方法が確立できないかと今後検討したいと考えているところでございます。
質の高いしっかりした教育をすることで、学習者自らが成長を実感できるような初年次教育、あるいは地域の魅力ある大学づくりということに今頑張っておりますので、地域大学振興というところに関与できるのではないかなと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、中村先生、お願いします。
【中村委員】 山梨大学の中村でございます。よろしくお願いいたします。
私は、大森先生と御一緒に、知の総和答申の特別委員会の委員を務めてまいりました。山梨という小さい地域、地方なので、先ほど石橋課長のほうから御説明がありましたが、特に進学する者が県内に残らないという特殊性がございます。ある意味、首都圏へのアクセスが良過ぎるという部分がありまして、現在のところ、高卒の4分の1しか山梨県内の短大、大学、いわゆる高等教育機関に残らないという実態がございます。
そういったところも踏まえて、令和3年3月に、日本で初めて、山梨県立大学と大学等連携推進法人をつくらせていただきました。アライアンスやまなしと申します。ここでは、基本的に、今お話しになったように、授業のやり取り、特に共通教養、一般教養をお互いの大学の学生が、違った大学の授業が取れるというふうなところを中心にやっています。運営面、及びいろいろな施設の面でも共有する部分もありますが、主にそこが中心になります。
その延長上で、やはりSPARCという事業を取らせていただきまして、産学官金連携でやっておりますが、先ほど石橋課長のお話にありましたように、資料3の4ページですかね。プラットフォームというのは、既にこの連携推進法人の中でつくっております。ただ、これ、実際には、年に1回しか集まらない。1回集まって、皆さんでお互いに褒め合って終わると。全然意味がないと感じております。当然、商工会議所の会頭、それから他大学の学長、県の観光推進協議会の理事長、総合研究所の所長とか、中小企業の方々も多く出られているのですが、皆さん一堂に言ってきたのは、常置の組織にしなきゃ駄目だということです。地方創生を推進する機構をつくりたいというところがありました。私自身もそう思っています。常置できちんと機構をつくって、それを今回の答申で言えば、私どもの大学でよければ牽引させていただいて、つくりたいと思っています。
ですから、この4ページの図で言いますと、右側のちょっと長い名前なんですが、地域研究教育連携推進機構、もうちょっと軽めな名前にしたほうがいいと思うんですが、大学が推進してつくっていきたい。その中でも特に右側の図、産官学、ここに金が入って、産官学金連携の推進の常置の機構をつくりたいと思っております。
文部科学省が今度新しく、地域大学振興室をつくられましたので、本学としてもいち早く地域振興企画室を企画課の中につくりました。これをもとに連携を取らせていただきながら、できるだけ早い時期に、社会連携、人材育成を行う機構をつくってやっていきたいと思っております。
ありがたいことに、本学経営協議会の中の委員は、産官金のそれぞれの方に来ていただいていますので、その方たちの御意見もいただきながらつくっていきたいなと思っています。
たまたまですけれども、私、山梨の経済同友会の代表幹事をやっております。毎月1回常任幹事会がございまして、いろいろなお話を聞くんですけれども、多分、お話の中の3分の2は大学との連携の話なんですね。また、先週の17日、18日には、広島で全国の同友会のセミナーがございました。出席してまいりましたが、その中のメインテーマもやっぱり地域づくり。地域づくりのときに必要なのは、産官学金だということをどの地域の方も言われていたので、そういったことも学びながら、皆さんからも御意見をいただきながら、一つのモデルケースとしてつくっていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございます。
それでは、廣瀬委員、お願いいたします。
【廣瀬委員】 法政大学の廣瀬でございます。この3月まで総長を務めておりました。もともとの専攻は行政学で、特に地方自治体の行政、あるいは地方議会と地方の行政機関との関係がピンポイントでいうと専門でありまして、いろいろな地方に訪問させていただいてきました。
大学としても地域連携というのは力を入れてきたのですが、できるだけ大学の所在しない自治体との連携をメインで我々はやっていこうということで、創立者の出身地である大分県の杵築市ですとか、あるいは、北海道でSDGsに力を入れておられてSDGsを主な研究テーマとしている本学教員が関わらせていただいている下川町さんですとか、あるいは、東日本大震災後の復興支援への関わりを機にご縁のあった陸前高田市等々、いろいろな形で学生の学びのフィールドとしても協力をいただきながら、他方で、その地域の活性化の何らかのお手伝いになればというようなことをやっているというところでございます。
その送り出されている学生の実態なんですが、7割強が自宅から通学をしている学生です。東京都にある大学ですが、自宅というのは東京都に限定されるわけではなく、埼玉、千葉、神奈川、それから、常磐線沿線やTXのおかげもありまして、4番目が茨城県でございます。ほとんど水戸には行ったことがないけれども、毎日東京に来ているというタイプの茨城県民が相当数通学しています。この人たちが、例えば、市ヶ谷にキャンパスがございますが、東京都千代田区というローカルに対して、何らかの一定の愛着感とかアイデンティティーとかを持つかというと、これは正直言って、全く持っていない。ならば、自分の住んでいる地域に深く愛着があるかというと、「埼玉都民」といった言葉が示すような感覚も強く、地方におけるような地元意識は希薄といって良いと思います。首都圏でも少数の、地元への愛着を持った学生は地元の市役所に就職をしたりするわけですが、多くの場合、漠然と首都圏が自分の生活圏であって、どこかに帰属している、所属しているという感覚がさほど強いわけではなく、一般的な大学卒の就活をして、それで就職をしていく。一定数のグローバル指向の強いタイプの学生は、「世界のどこでも生きていく」意識で外資系企業を目指しているのですが、所謂「国際系の学部」以外では、そこまでの意識をもっている学生はあまり多くありません。首都圏で育ち、首都圏の大学に通い、大卒の就活市場はこういうところだから、その中の採用されたところに行くという、何か自分の所属や地域への帰属ということについてはあまり意識をする機会がないまま、漠然と自分の生まれ育ってきた生活環境の延長に自分のキャリアを思い描いているという傾向がどうも年々強まっているように思います。
30年前は、そもそも自宅通学率は半数弱でありましたし、1都3県からの入学者が現在ほど多かったわけではない。これがだんだんローカルな大学になってきている傾向があります。逆説的に聞こえるかも知れませんが、キャンパスが東京都の都心であればあるほどローカルになります。といいますのは、千葉に住んでいる学生が、東京都の多摩地区や神奈川にある大学に通えるかというと、かなり難しいわけでありまして、そのように、首都圏の真ん中にあればあるほど、首都圏一円全域から通いやすい。公共交通が完全に都心をハブとして放射状に展開するという形になっておりますので、その環境にありまして、都心型であればあるだけ、東京の大手大学は首都圏全体という規模のローカルな大学になっているというのが現実です。
そのローカルな学生たちに、グローバルももちろん様々な環境があり、活躍の場はあるけれども、日本の中にも様々な環境があり、それぞれの地域性、それぞれの特性や魅力があり、そこで人が必要とされているという現実に気づいてもらいたいということで、できるだけ多くの学生に様々な地域、これは国内国外を含めての様々な地域での活躍の場を求めていき、そんな気づきの機会を提供したいというふうに考えて様々に取り組んでいるところです。
後任の総長が、英国籍を持っている、香港出身で、北米で博士の学位を取った女性でございます。つまり、いろいろな人生の選択の中で、国籍や性別に関わりなく、自分がここでやりたいことができると思ったところで活動してきた、そういう人物が、言わばシンボルとして、今、総長の役割を担っておりますので、こういうキャリアの歩み方というものも一つの手本にしてもらいながら、自分の選択というのを、国内の地方ももちろん含めて、それを主体的に選び取って、自分のアイデンティティーの一部に形成をしていくような歩みをしていく学生を一人でも増やしたいというふうに考えているところでございます。
そういう観点から、この会議でもいろいろと提案やコメントをさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございます。
続きまして、藤岡委員、お願いいたします。
【藤岡委員】 御紹介賜りました、大学都市神戸産官学プラットフォーム、神戸市企画調整局の藤岡でございます。この会議に参加させていただきまして、本当にありがとうございます。
私ども大学都市神戸産官学プラットフォームでございますが、設立されたのは令和5年11月になります。その前に、3年ほど議論を重ねてきました。御存じかと思いますが、神戸というのは大学が非常に多い都市でございます。今現在、立地しているのは23大学ございまして、様々な特色ある高等教育を展開されていらっしゃいます。
神戸市では、企画調整局というところが大学連携の仕事をしており部局を横断し、様々な部局と連携しながら大学との連携を考えていくというところでございまして、市内立地の大学をどう神戸のまちの活力に生かしていくかということを基点に、様々な施策を展開してきました。
その中で、2018年に高等教育のグランドデザインというものが示されましたので、そういうのも踏まえまして、ちょうどコロナの時期だったんですが、この地域連携プラットフォームというものに賛同いただける大学と一緒に産官学連携の組織をつくっていこうということで、経済界も入って議論をしてきました。議論には約3年かかりました。
現在、プラットフォームには、12の市内の大学と1高専が加盟し、企業も約80社ほど入っておりまして、いろいろな産官学、大学連携の取組みをやっています。大学連携というのは、口で言うのは簡単ですけど、いろいろ難しくて、12大学でもそれぞれ考え方が異なります。ただし、やっぱり神戸にとって、本当、活力ある大学というか、神戸の活性化に貢献できる大学ということで、我々、大学の意義や魅力を改めて経済界とともに見直していこう、そして、大学を活用していこうという観点から、リカレント教育であるとか、地元企業への就業体験、インターンシップ事業であるとか、あとは、大学研究者の方々などのリソースをどう活用するかとかいろいろな取組みをしています。
そういうもっと地元の企業の方々に地元の大学を具体的に活用していただくといったところからいろいろな事業をやって、試行錯誤しながら、何か大きな大学連携、産官学連携の玉を見いだしていこうと考えています。
今日、資料の4-3にこの資料を入れておりますが、都心三宮の非常に利便性のいいところにこの拠点もつくりました。それほど広くはないですが、ここの拠点で、セミナー機能であるとか、ミーティング機能であるとか、学生の方が自由に集まれるようなスペースを用意しました。これが今、参画大学の共通サテライト的な形で使われていまして、月平均の稼働率もおかげさまで70%を超えております。学生さんも本当にたくさん日々来ていただきまして、いろいろな使い方、部活のミーティングだったり、あるいは研究、ゼミの発表会であったりということで使っていただいていまして、こういったところからも、何がしか大学連携の取組みを生み出していけないかなと今考えておるところです。
今日はこの会議に参加させていただきましたので、様々な皆さんの知見をお借りしながら、このプラットフォームをどう今後展開していくかに関して参考にもさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、山内委員、お願いいたします。
【山内委員】 日本商工会議所の山内です。4月から企画調査部長を務めております。3月までは中小企業振興部長で、その前は産業政策部長を務めており様々な産業政策を担当しておりました。
3月までは、まさに今おっしゃられた産学連携と金融も担当しておりましたので、官と金、特に金融を絡めるというのは非常に重要だと思っております。また、新分野、新事業、イノベーション創出、ビジネスベースで産業の高度化、こういったところを支援してまいりました。
その中で、本当にとても熱意がある学生さん、もちろん先生方、そして、企業、教授、専門家にも触れてまいりまして、実感として、本当に地域の大学との連携というのは極めて大事だと思っております。産業界が参画することがなかなか難しいとか、形骸化してしまっているという耳の痛い言葉をいただきましたけれども、やはりここは商工会議所としてもしっかり連携をしていくことが、地域に様々な人材、産業を残していくことになるんだろうと思います。
ただ、大学を活用している企業は、確かに成長しています。今、非常にコストアップインフレで厳しい中ですけれども、新しいものを見つけるときには、大学の知はとても大事でありまして、やっているところはうまくいくんですけれども、アクセスの仕方がなかなか分からないというのが事実だと思います。なので、ここを解きほぐすためにも、今回、知の総和向上の未来像ということで、特に高等教育機関が一番大事だとは思いますが、地方創生であるとか、地域の企業とか、こういったところにも力強く関わっていくということが示されたのは非常に心強いと思っています。
先ほど廣瀬委員からもありましたように、地域に人をつなぎ止めていくということを考えると、私も企業支援をする中で、若者は関心のあることに関して学部を決めて大学に入学してくると思うんですけれども、例えば、文学部の人が学んで、それを地域でどういうふうに生活に生かしていくのかというのが、この辺の将来の生活とか稼ぎにどうつなげていけばいいのかというカリキュラムはそんなに多くないと思います。
ですから、学ぶことと働くことというものが有機的につながるような、例えば、高等教育機関でアントレプレナーシップもそうですが、そういうところが出てくると、あえて東京とか都市部に出なくても、地域で自分の好きな仕事をしながら稼げるということが分かって、つなぎ止めになると思います。そのためにはどうすればいいかということを、いただいているこのプラットフォームとか、こういったところにも積極的に私ども経済界が参画をしてやっていく必要があるんだろうというふうに思っております。
こういったアクセスをしっかりするということもありますし、私どもも何件か担当し、包括的な大学、産業界、連携協定、包括協定を結んでいますけれども、形式的なものにしないということはとても大事だと思います。これも勉強させていただきたいと思いますが、お互いのニーズとリソースがしっかり分かるような形で常に連携していくことが大事だと思いますから、相互理解の推進の場づくりと、橋渡しをする人材も大事になってくると思うので、この辺もしっかり具体的にやっていくといいのかなと思っております。
あと、新しい地域研究教育構想推進プラットフォームのところにつきましても、しっかり実効性の高い形で議論する場にということを期待したいと思います。
1点だけ、方向性としては正しいと思いますが、人口も少なくなってきており、規模の適正化の観点が示されておりまして、方向性は避けられないものだと思いますが、やはり地域のいろいろな企業を見ていて、本当に人手不足が厳しい中で、地域から高等教育機関がなくなっていく影響というのは大変大きいものがあると思っています。縮小、撤退するに当たっては、それぞれの高等教育機関が各地域で果たしている役割の実態も踏まえて、できるだけ早いタイミングで、地方公共団体や産業界とかと密接に情報共有しながら、地域の経済成長を阻害しないような方向はどうすればいいのかということをぜひ議論していくことが大事なのかと思いますので、地域の大学の振興というのは、私、地方創生も担当しておりますけれども、まさに密接なところで、本当に肝だと思いますので、産業界もしっかり関与していくように努力したいと思いますけれども、そういったところを本当に議論して、どういうものが必要かというところについては、ぜひ皆さんのお知恵を借りながら、いい意見が出せればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございました。
本当に大学が地域からなくなってから気づくみたいなところがあるので、その前にみんなでどうにかしようよということ、今、心強い御意見をいただいたなというふうに思っております。
皆さん本当にすばらしいプレゼン能力で、時間ぴったりなので、時間がなかったら私、飛ばそうと思ったんですけれども、あと5分ありますので、私からも一言自己紹介をさせていただきます。
共愛学園前橋国際大学の大森でございます。群馬県前橋市にございまして、学園自体は、明治21年に新島襄も発起人の一人となりまして、できた学園です。学園には、小、中、高、短大、大学、それから学童クラブがある、一応、総合学園ということになっております。もうすぐで140周年を迎えます。
本学、まさに地方小規模大学ですけれども、地学一体の学びということを評価をいただきながら、学生数が徐々に徐々に増えているというところでございます。
また、学生の7割から8割が地元県内の企業さんとか自治体、あるいは学校、そういったところで、7割8割が地元就職をしていくということで、地方創生拠点大学と勝手に言っているんですけれども、自負しているところです。
プラットフォームを前橋市とやっていまして、本学の場合だと、前橋市、それから前橋商工会議所、そして、市内の5大学ということで、ちょっとスキームが面白くて、プラットフォームの運営の協議会の会長は市長がやっています。市の事業としてこのプラットフォームを立ち上げていて、副会長に会議所の会頭、それから私ということで、産学官がそれぞれ役割を担うというスキームでやっていますけれども、なかなか先立つものも含めて、小さな市でやっていますので、やっていることはいろいろあるんですけれども、課題もたくさんあるので、そういったことを踏まえて、実効性のあるプラットフォームや、あるいは先ほどのコンソーシアムや、そういったものをどうしていくかというのはこれからここでも議論できたらと思っています。
また、経済界では、経済同友会で私も中村先生と同じように幹事で、次世代育成委員会の副委員長ということで、ほぼ産学連携のことがメイン事業ですよね、経済同友会の。そのこともやったりしています。
あと、連携推進法人としては、地域というよりも、中村先生のところの次にできた法人なんですけれども、全国の各地方の大学と組んだ連携推進法人という珍しいパターンを持っています。宮崎の大学さん、それこそ兵庫の大学さん、北陸の大学さん等々とやって、オンラインを中心にということなんですけど、うまくいっている部分と、まだまだこれからという部分とありますけれども、実験も含めてそんなこともやっているところです。
今、大学の世界では、それこそ定員割れの私学が6割近くになるというショックを受けたわけですけれども、以前は頑張っているから何とか学生がうちの場合だと来てくれているから、皆さんも頑張りましょうみたいな体で私もいろいろお話ししていたんですけれども、こうなると、6割の大学が頑張っていないわけがないんですね。頑張っても頑張ってもという外部環境の問題があって、それでは追いつかないほどの少子化のフェーズに入っているというふうにも思って、それが地方で本当に顕著になってきているというふうに思います。
大学が多過ぎるのがいけないという意見も時々、いろいろなところで目にしたりするんですけれども、地方の各県単位で見たときに、そんなに大学の数が多いって言えるんだろうかということも考えていかなきゃいけないなと。地理的なアクセスということと絡んでくる話です。
それから、大学進学率は6割となっていますけれども、これ、日本全体で6割ですけど、まだまだ進学率がそこに達していない地域もたくさんあるんですよね。だから、全体で見ちゃうと見えないものというものが地方の視点では見えてくるかもしれないなと思っています。
これからより、さっき博士人材のお話もありましたけど、大学院重視の在り方を模索していこうとして、世界に伍する知の総和を高めようとするということを考えると、日本全体の各地方における進学率の向上ということも、つまり、その母数を増やしていくということもすごく大事になってくるんじゃないかと思っていまして、一極集中ということの状態が、数にしても進学率にしても課題になっているということかなというふうにも思っています。
この後、このままいくと地方から大学がなくなっていくというフェーズになってしまうので、そうすると、大学進学率は落ちるんだろうなというふうに思っています。うちの学生たちも半分が奨学金を借りて通っていますし、15%が修学支援新制度で通っています。その子たちが東京の大学に行けるのかなというと、見ているとちょっと厳しいと。今日も2人、うちの学生も来ますけど、交通費出るんですかって最初に聞かれましたけれども、そういう――2人、ごめんね。聞いていると思う。そういうことです。
地域の人材育成、よく言われるのは、地域生活の基盤を支えるエッセンシャルなということで言われたりする。人材の育成も大事だし、それにとどまらず、本当に地域産業界の人材育成、これを含めて育成しているのが地方大学です。だからこそ、地方において定員が割れていても、何とか踏ん張って、地域のためと思って頑張って運営している大学さんはたくさんあるんですね。言ってみれば、やめたっていいのに、ぎりぎりで頑張っている。それが批判されるというのが、むしろ褒められるべきなんじゃないかって。ありがとうございますって社会に言ってもらっていいはずだというふうに思っています。
今回、委員に地方公共団体からもお入りいただきましたし、まさに地方の中小企業を支援していただいている商工会議所さんにも入っていただいているということは、そういったことでも意義があるというふうに思っています。
大学は今や地方創生の要であるし、人材育成のインフラですので、地方大学問題というのはまさに地域課題であるというふうな位置づけで、みんなで議論をしていけたらなと思っているところです。
ありがとうございました。
それぞれのお立場から貴重な御意見やお取組について御披露いただいたところでございます。まず、第1部、ここまでとさせていただいて、一旦、一時休会し、1時間ほど休憩をいただいて、午後の部は13時より再開したいと思います。
それでは、ひとまず休会といたします。ありがとうございました。
( 休憩 )
【大森座長】 それでは、定刻になりましたので、午後の部の会議を再開したいと思います。
午後は、各地域における学生の学びの場の在り方とか、大学、地方公共団体、産業界等に期待することについて、各特別委員のいろいろな経験等を基に議論を深められればというふうに思います。
初めに、特別委員の皆さんから、大体5分以内ぐらいで、自己紹介を含めて御発表いただいて、その後、意見交換に移ってまいりたいと思います。
この午後の部は、マスコミの皆さんも会場で参加をしていただいています。取材をいただけるということで、ありがとうございます。カメラ等オーケーですけれども、進行の妨げにならないような形で御撮影をいただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
それでは、まず、洲本市からお二人お越しをいただいておりますけれども、自己紹介を含めてプレゼンのほうをよろしくお願いいたします。
【高橋特別委員】 洲本市役所、高橋です。今日はよろしくお願いいたします。
資料がたくさんあるので、かいつまんで洲本市の取組の紹介をしたいと思います。紙の資料もあるので、また後で御興味がありましたら、見てください。
今日は、淡路島から来ております。淡路島の真ん中にあるのが洲本市ですね。おいしいものがたくさんあるところですので、また皆さんよかったら、淡路島、洲本市へお越しいただければと思います。
洲本市は、人口減少、過疎地域ということで、毎年五、六百人ずつぐらい人口が減っておって、特に若い人がどんどん減っていっているという状況の中で、域学連携という取組を行っております。地域と大学が連携してまちづくりをするということで、2013年から13年目になる取組になっております。私は実はこの13年、ずっと担当している者です。
大学生、京阪神が多いんですけども、割とどんな形でも受け入れるというのをまず大事にしています。学生ソロでも、ゼミでも、学校単位でもオーケーという形で、いろいろな方が来ていただいています。ただ、卒業生と関係性を継続するのが難しいなというところが少し課題があったりしております。
受入れ地域は、やっぱりリーダーがいるかどうか、ここが一番大事だというふうに思っております。懐の広い方がいるかどうかというところが大事で、ただ、この取組を広く薄くというような地域展開というのは難しいのかなというふうにも思っております。
役所のほうは、私を含めて2人で回しているんですが、学生さんの負担をなるべく減らそうということで、学生の交通費は、全部市が負担をしております。また、無料で滞在できる施設が洲本市内で5か所ほどありまして、最低六、七十人ぐらいは学生がただで泊まれるようになっているというような状態になっています。あと、地域と大学のマッチング、それが一番大事だというふうに考えております。また、お金とかマンパワー、どうしてももうちょっと欲しいなというような課題があるというところです。
あとは、役所だけじゃなくて、中間支援者、今日の隣にいる藤田もそうなんですが、協力隊であったり、民間企業といった方々も、この域学連携の取組に参加をしていただいているわけなんですが、マネタイズの部分がなかなか難しいなというふうに考えております。
12年間で56大学1,400人の大学生がたくさんまちづくりをやってくれておって、もし御興味ありましたら、バンカランカというホームページがあるので、また見ていただければと思います。
特徴的な実績が幾つかあるんですが、まず1つは、やっぱり域学連携のインフラ整備ができたというところです。建築系の学生が中心となって、古民家をリノベーションして、そこが学生の滞在拠点になっているというところですね。藤田隊員の拠点も実は学生の滞在拠点になっているわけなんですが、こういった仕組みというのは、非常に域学連携を推進する上で大事だなというふうには思っております。
それから、あとは卒業生の活躍、これも大事にしております。多分全体で見ると1%ぐらいしかいないかなと思うんですが、卒業後も引き続き関わってくれる大学生はとても大事にしようとしております。中でも京都大学の学生OBなんかが、NPOを去年の春に洲本市内でつくってくれて、域学連携を推進しようというふうなことを取り組んでいただいているような事例もあります。
域学連携を推進するうえで我々が大事にしていることなんですが、やっぱりポジティブにやっていこうということで、課題解決ってよく言うんですが、もっとおもろいことやったらええやんと。よいところを伸ばすという、そういう感覚は大事にしております。また、うまくいかなかったらやめちゃえというような部分も必要かなと思っております。また、ウィン・ウィンの取組というふうに言われているんですが、あんまり相手に求め過ぎると、重たくなって、取組というのは続かないなというふうに感じております。また、同じようなことを毎年繰り返しているようで実は全然違っているというか、少しずつ変化を加えているというようなところも大事にしております。
あとは、龍谷大学が非常にユニークな取組をしておって、再生可能エネルギーで洲本市を活性化させるということで、洲本市で12年間ずっと取り組んでいただいているんですが、その中で、地域貢献型太陽光発電施設というものを造ってくれました。メガソーラーも含めて、龍谷大学の先生が現地法人を設立して2施設造ってくれて、電気を売っているんですが、電気の売上げから借金を返していって、残った利益部分を洲本市の活性化のために全て寄附するという、非常にありがたい仕組みが洲本市では成立しているというところでして、その売電利益を活用して、洲本市内の若手の方々のチャレンジを応援している、そのような体制もできているというところです。
役所主導だけじゃなくて、お金の面でも、役所以外でちゃんと回るような仕組みをつくりつつあるといったこともありますし、体制面といたしましては、協力隊、地域活性化起業人にサポートしてもらっています。また、淡路島ゼロイチコンソーシアム、民間企業と連携して様々なプロジェクトを立ち上げ、ゼロ、1を生み出していこうという、そういうようなコンソーシアムを官民連携でつくりました。そのコンソーシアムの成果の一つとして、淡路島クエストカレッジというものを開校しました。民間主導の域学連携のようなイメージですね。ここはマネタイズを意識しながら、大学生の学びの場づくりを頑張ってやっていただいているということで、後で藤田のほうからまたこの辺の説明はございます。
そういったところで、まず、洲本市の取組の紹介とさせていただきまして、引き続き藤田隊員のほうからお願いします。
【藤田特別委員】 では、続きまして、洲本市地域おこし協力隊の藤田美沙子と申します。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、私が関わっている域学連携の取組についてお話ししようと思っておりまして、大きくは淡路島クエストカレッジについてと、地域と地域をつなぐ取組として、洲本木匠塾というのを去年から始めております。主にそちらについて御紹介したいと思います。
先ほど高橋さんのほうからもお話がありましたけれども、淡路島クエストカレッジの立ち上げの背景には、ゼロイチコンソーシアムがあります。こちらは、2021年の9月に設立した産官民学金連携のプロジェクトでして、洲本市役所と地元金融機関と、洲本市の企画会社のシマトワークスの3者が立ち上げたプロジェクトになります。主に都市部の企業さんに洲本市で事業の立ち上げをする支援を行っているようなプロジェクトになるんですけれども、この中の一つに、これまで行政主導で行ってきた域学連携を民間企業の力でより発展させていこうという目的でクエストカレッジが立ち上がりました。
クエストカレッジは、「冒険する「地域」と冒険する「人」を育てる」というのをテーマにしているんですけれども、主に大学生ですとか若手社会人の方々に洲本市に来ていただいて、研修プログラムをするような取組になっております。
体制図はこのような形で行っております。真ん中にクエストカレッジの事務局がありまして、事務局が主体になって、洲本市の各地域にある事業者さんですとか、あとは、取組をされている活動者の方にテーマをお聞きして、それをテーマにプログラムをつくって、参加者を呼びかけて、プログラムをつくるという、そんな体制で行っております。
洲本市役所は、先ほどもお話がありましたけれども、大学生の交通費ですとか宿泊先の支援というような、そういったサポートを主にしていただくような体制を取っております。
今はこちらのメンバーで行っております。コンソーシアムと私と洲本市の地域活性化起業人で重乃という、このメンバーで行っております。
大体年5回程度なんですけれども、長いものだったら2か月ぐらいとか、短いものだったら日帰りとか、様々なんですけれども、今は主に大学に呼びかけて依頼をさせていただいたりとか、あとは、SNSを使って、直接参加したいという意思のある個人の方をお声がけして募集をして行うような、そんな形で行っております。年間大体120人の方々に洲本市に来ていただいております。
こちらからはちょっと事例の御紹介になるので、こちらは割愛させていただきます。
もう一つが洲本木匠塾なんですけれども、こちらは地域と地域をつなぐような取組でして、木匠塾そのものは岐阜県の加子母で行っている学生団体の取組なんですけれども、それ自体が30年続くという中で、さらに木匠塾の取組を発展させていきたいという中で、ほかの地域と連携して活動する、その1つ目の地域が洲本で今行っております。
こちらの特徴としては、学生団体内で代々取組を継承していくような仕組みになっているので、地域に根づいた活動がしやすいというところと、あとは、建築学部の学生さんでつくっている学生団体なので、建築とか、その専門分野に強い学生さんに地域に入っていただくことで、地域にノウハウが残りやすい、そんなメリットもあるようなところがポイントになります。
洲本木匠塾は去年からスタートして、稼働したばかりなので、まだまだ今形をつくっている段階なんですけれども、それでも今30人の方が関わっていただいているような、そんな取組になります。
最後に、私が2年間の取組の中で感じている課題感なんですけれども、やっぱり収益性をどう取るかというところがポイントでして、どこの地域も人が来てほしい、若者に来てほしいという中で、大学ががっつり予算を出してくれるような体制がなかなか取りづらいような状況もあります。民間企業ががっつりとこの取組に入るには、収益性をどう取っていくかという、その三方よしの取組になるにはどうしたらいいのかなというのを日々考えながら取り組んでおります。
以上になります。
【大森座長】 ありがとうございました。
皆さんにプレゼンをしていただいた後で、まとめてまた、さっきちょっと始まる前に言いましたけど、1人ずつどなたかを御指名していただいて、委員の皆さんから質問していただくという形にしてまいります。
それでは、次に、学生さんたちのプレゼンに入ってまいります。
初めに、共愛学園前橋国際大学の齋藤さん、お願いいたします。
【齋藤特別委員】 「地方大学でまなぶことの意義」というタイトルでお話しさせていただきます。
私は、共愛学園前橋国際大学国際社会学部4年の齋藤舞奈と申します。群馬県伊勢崎市の出身です。所属としては、児浦ゼミで地域コミュニティ論について学んでいる一方で、子ども食堂るりあるくの代表であったり、前橋の地域若者会議、広報まえばしワカモノ記者など、様々な役職に就かせていただいています。本日はどうぞよろしくお願いします。
まず、私が地元・共愛学園を選んだ理由になります。2つあり、1つ目は、中学、高校時代で地域でのボランティア活動によく参加していました。そこで地域と関わることの楽しさであったり、面白さを知ることができ、共愛学園であれば、地域に根づいた授業が多く、地域でのコミュニティーを広げていけると考えることができたからです。
そして、2つ目は、経済的な面も考慮し、私はもともと県内の地域と関わりの強い国公立大学を受験していました。しかし、そこに合格することができず、群馬県内の私立大学で地域系の取組をしていて、興味のある学びがあるのが共愛学園だったからです。
私は、もともと経済的な面で県外に出ることは考えていなかったため、共愛学園がなければ、大学進学すら諦めていた可能性もあったと今考えています。そこから、地方で大学進学を希望する子供たちの進路を閉ざしてしまわないために、地方大学はあるべきだと私はここで強く言わせていただきます。
そして、地域の中での学びの実践例を少し紹介させていただきます。まず、1つ目は、長期インターンシップという授業です。後期の授業の約4か月間、市内の企業や前橋市役所にインターン生として勤務します。実務だけではなく、学内での事前指導や中間発表、事後指導を通して、ビジネススキルやマナーなどを身につけていきます。私自身は、前橋市役所の生涯学習課にてお世話になり、はたちのつどいの企画運営を行う業務に携わらせていただきました。
そして、2つ目が、群馬で学ぶという授業です。多文化共生、脱炭素、まちづくりの3か所の現場体験を通して、地域ごとに課題を見つけ、その課題解決に向けた策を講じていく授業になります。
ほかにもこのようにたくさんの授業があるのですが、その中でも私が一番印象に残っている授業について紹介させていただきます。私が大学の中での授業で一番印象に残っているのは、ゼミでの活動になります。私のゼミでは、ゼミ生がそれぞれ自分のフィールドを持ち、地域における課題を見つけ、解決策を講じていきます。自身は、卒業研究の一環として、本学のある前橋市内に子ども食堂るりあるくを立ち上げさせていただきました。
そして、このように私が地域で学ぶことで得られたことが大きく3つあるので、紹介させていただきます。まず、1つ目は、地域コミュニティーが拡大したことです。下に書いてあるように、前橋市役所の方、地域おこし協力隊の方など、様々な方と出会い、多くの挑戦の機会をいただけるようになりました。そのことによって、自分のやりたいという思いを自信を持って発信できるようになりました。そうすることで、私は今、前橋市内の子供たちに、家でも学校でもないサードプレイスを提供したいという思いの実現へとつながっています。
現在、月に2回、前橋市で子ども食堂るりあるくを開催しています。子供たちのサードプレイスとなるような場所の提供をしており、地域住民の方だったり、地域の職員の方などに協力をいただきながら運営ができています。今後は、るりあるくを多拠点化していくことを目標としており、今月から拠点を2つ増やし、開催していく予定です。
そして、2つ目は、新たなキャリア形成へとつながったことです。私はもともと公務員志望だったんですが、地域での活動を行うことで出会うことのできた地域の民間企業へと就職することが決定いたしました。
そして、最後、3つ目は、地域に対しての愛着が向上したことです。地域の方々の温かさであったり、まちの人の優しさ、そして、まちの人同士のつながりの強さを大きく感じることができ、小規模だからこそのコミュニティーのよさを強く知ることができました。そのことで、私は活動する地域、今の前橋市をよりもっと好きになることができたと感じています。
以上です。
【大森座長】 ありがとうございました。
では、続きまして、同じく共愛学園前橋国際大学、堀越さん、お願いいたします。
【堀越特別委員】 地方大学で学ぶことの意義ということでお話しさせていただきます。堀越丈稀です。よろしくお願いします。
私は、共愛学園前橋国際大学国際社会学部の情報・経営コース4年です。私は、学生ボランティア団体、共愛COCOのリーダーチームとして、3年間所属してきました。そして、村山ゼミといって、ビジネスモデル論を専攻しているゼミに所属しております。
まず、私がなぜ共愛学園前橋国際大学を選択したのかを説明させていただきます。まず、1つ目が、国公立大学の滑り止めということで、私も齋藤さんと同じように、群馬県内の大学を選ぼうと考えていました。そのときに、資格特待生の制度だったりとか、また、奨学金の制度の充実さ、あとは、興味がある経営学の分野があったということで、プラスな気持ちで共愛学園に進学いたしました。
そして、「ちょっと大変だけど、実力がつく大学」というフレーズに私はとても引かれました。私は、中・高、と部活動とかでも結構ハードな環境にいて、そこにいて生活するのが自分のライフスタイルでも合っていたので、こういったちょっと大変というところに引かれて、今も積極的に仲間たちと一緒に学びを深めております。
そして、今回、私が注目してお話ししていくのが、共愛COCOという活動です。私は、この共愛COCOという活動に3年間所属しており、こちらの活動では、群馬県にあるみなかみ町藤原地区という地域で、「地域の孫になる」というスローガンの下にボランティア活動を行っております。この共愛COCOは、本学からも認められていて、教育的な要素をとても多く含む活動となっております。
このみなかみ町藤原地区というところなんですけど、12世帯しかない限界集落ということもあり、とても多くの助けが求められています。
この共愛COCOの主な活動がみまもり隊です。みまもり隊では、春夏は野菜であったり畑の農作業のボランティア、そして、冬が、みなかみ町はとても雪が多く降る地域となっているので、若者の私たちがお手伝いをしていく。そんな活動になっております。
そして、共愛COCOを通しての学びは大きく3つあります。1つ目は、ボランティア精神が育つというところです。全ての活動が終わった後に、住民の方に「ありがとう」と一言いただくだけで、私たちはとてもやりがいを感じています。
そして、2つ目は、大自然というフィールドで非日常的な体験ができるということです。私たちは群馬県にいても、こういった自然が豊富な地域というのはそこまで多くはなくて、みなかみ町に行くことによって、例えば、本当に作業中に猿とか鹿が横たわって、歩いているような環境ですので、そういった非日常の体験というのは、こういう地方大学ならではの魅力なのかなと思います。
そして、私が今回一番伝えたいメッセージが、この3つ目です。現実的な地域課題を目の当たりにすることができるということです。私たちの活動拠点である平出集落というのも、あと10年以内に消滅してしまう可能性を含んでいるという地域であり、私たちはそんな少子高齢化問題であったり、地方の人口減少問題というのを本当に毎週リアルに向き合っている、そんな団体になっています。私たちは、そのリアルを実際にニュースや社会問題として捉えるのではなく、実際に向き合うことで、課題の大きさだったり、重大さというのを深く意識し、問題意識を高めることができていると思います。
そのほかにも、共愛COCOでの発信活動というのを、群馬県内含め、多く行っております。
そして、最後に、地域で学ぶ経験で私が受けた学びとしては、1つ目が、ゼミ活動でのビジネスプランの構想のヒントということで、私の専攻であるビジネスプランを練る際にも、この地域で活動したという経験がとても役に立ちました。
そのほかにも、みなかみ町以外での地域の授業などを取ったり、あとは、卒業後のビジョンの確立にもつながってまいりました。
以上となりますが、今回、地方大学で学ぶことによって、地域と関わる中でしか得られない学びというのをとても多く含んでいると思います。私は、これからも、群馬から全国、そして世界へと発信できるような人材を目指して頑張っていきたいと思います。
以上で発表を終わります。
【大森座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、山梨大学の雨宮さん、お願いいたします。
【雨宮特別委員】 山梨大学の生命環境学部地域社会システム学科観光政策科学特別コース3年の雨宮綾南です。長野県出身です。
まず、大学について、私が山梨大学を選んだ理由が二つあります。一つ目は、経済的な理由から自分の家から通える大学がよかったこと、二つ目は、様々な分野が学べる学部・学科があるからです。私の所属している地域社会システム学科は、経済や経営、法律など様々な文系の学科が学べるという強みがあり、また、その中で観光政策科学特別コースという、観光について学ぶコースがあり、私の地元の諏訪地域は多くの観光資源があるので、観光について興味があり、進学を決めました。
山梨県のよさとして、自然が多いことや、個人経営のお店が多いことや、人とのつながりが強いことなどがありました。
こちらは、私がこれからお話しするMiraiプロジェクトについての説明です。ホームページからの抜粋になります。企業や団体のニーズや課題に基づいて学生と協働で行うプロジェクトということで、このプロジェクトは、社会との新たなつながりを築くことができる、社会で役に立つ実践力を身につけることができるというものです。
まず、2つ御紹介します。1つは、私が学部1年生のときに参加させていただいたプロジェクトになります。こちらは、甲府の商工会議所と協力して、産業観光ツアーを行いました。こちらにあるビラなども学生で協力して作り、申込みフォームから企業様への参加協力なども全て学生で行いました。
主にお話ししたいのが、去年行ったプロジェクトになります。こちらは、山梨県にある小淵沢のこぶちさわすずらん祭りのプロジェクトになります。学生5人で分担して、こちらの写真にあるのは、ステージの発表や準備の写真になります。
次が広報です。インスタグラムなどを活用して、若者の集客を強めることができました。
次は本部です。今年から離乳室、キッズルーム、救護室の準備などを行いました。
また、出店では、高校生と協力して、SDGsを考えた出店や募金活動を行いました。
これらの活動から、一昨年の比較として、出演団体数、来場者数、出店数、ボランティア数など、大きく数を増やすことができ、大成功と言えるお祭りになりました。
このプロジェクトを通して、よかった点として、地域の方の温かさを感じることができた、学生スタッフが関わることで学生の来客者数が増えた、幅広い世代に楽しんでもらえたということがあります。
反省点としては、地域のお祭りにありがちですが、この人はこの分担というように、一人一人の個人の仕事が重く偏りがあり、情報共有がなかなかできていなかった点などがあったことから、お祭りが終わった後、全体でいつ何をやっていたかというマニュアルを作り、仕事の把握をするようにしました。
これらの活動から、地域で学ぶことの意義として、地域の課題を身をもって知ることができた、様々な世代の方々や住民・企業の方と関わることができた、地域で行われるイベントの重要性が分かったということがあります。
私の諏訪地域ではお祭りがとても多く開催されますが、このこぶちさわすずらん祭りに参加したことで、自分の地域のお祭りについても改めて考えることができました。
こぶちさわすずらん祭りでは、幅広い親子の層から高齢者、すごく小さな子供までいたので、そういった性別、世代の垣根を越えた関わりの大切さを学ぶことができました。また、住民同士のつながりの大切さを学ぶことができました。
こういった活動は、地域でのプロジェクトならではだと思うので、とても良い学びができました。
以上です。ありがとうございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
続きまして、同じく山梨大学の小林さん、お願いします。
【小林(寛)特別委員】 これから、「地域における学習体験について」という題で、私の大学生活を踏まえて御説明させていただきたいと思います。
まず初めに、自己紹介をさせていただきます。私は、山梨大学工学部メカトロニクス工学科所属の小林寛明と申します。所属するメカトロニクス工学科では、工学分野の電気や情報、機械について横断的に学習を行っております。出身は、山梨県の峡南地域という場所で、花火や判こ、すずりといった特産品がございます。また、夏に開催される花火大会では、毎年、県内外から多くのお客さんがいらっしゃっています。
次に、山梨大学で学ぶことを決めた理由についてお話しさせていただきます。まず、一番大きな理由として、工学分野の探求を行うことです。幼い頃から自分の興味のある工学分野に関する知見を深め、自分に合った進路を決定することを目標としました。私の所属する学科では、先ほど説明させていただいたとおり、複数の分野について横断的に学習することができます。したがって、自分のやりたいこと、学びたいことを見つけるにはとてもよい環境だと感じました。
次に、キャリア形成の基礎となる体験を積むことです。私は、将来的に工学分野に携わる仕事に就きたいと考えていました。その際に、知識のみならず、社会での経験というものはとても大切になると考えています。したがって、地域社会での活動をサポートされていらっしゃる山梨大学への進学を決定しました。
最後に、故郷への貢献です。私は故郷である山梨県がとても好きです。ふとした瞬間に感じる自然や地域の温かさ、この日常を守って、そして、存続させていく少しでも助けになればという思いから、山梨大学での進学、就職を考えていました。
私が実際に参加した地域学習の事例として、Miraiプロジェクトを挙げたいと思います。このプロジェクトでは、学生、企業、団体が共同で商品開発などを行います。様々な企業と学生がマッチングして、1年を通して活動します。
私は、山梨の地場産業である宝飾関係の企業とマッチングさせていただき、商品開発などを行いました。商品開発では、自分の考えたデッサンのようなものを企業側に提出させていただいて、企業の方とミーティングを重ねて、オリジナルのジュエリーを作り上げることができました。
そして、実際に東京のビッグサイトで開かれるイベントにて店頭に立ち、販売させていただきました。企業の方と綿密に話し合って、相手企業の方とも商談を重ねることによって、貴重な、ふだんではあまり得られないビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力を高めることができたと思います。
また、年度末に行われるプロジェクトの交流会では、プレゼンや意見交換を行うため、自分の意見を伝え、互いに高め合う経験を得ることができました。
また、プロジェクトには含まれていないのですが、宝飾関係企業に参加した学生と甲府市長との対談というイベントがございました。この対談では、行政、学生、企業がそれぞれ甲府で働くということをテーマに、活発な意見交換を行いました。
このイベントから、私は、教育機関や自治体、地元企業が協力して、人材育成のための取組やイベントの開催を考えていくことがとても大切だと思っています。
私は、先ほどのMiraiプロジェクトなどに参加して、地域を支える職業、根づいた文化を学びました。地域という自分に最も近い社会を学習することで、より客観的な視点を得ることができました。そして、この経験は、将来の適した職業選択や、より理想に近い具体的なキャリアの設定につながると考えています。
最後になりますが、私は、大学での地域学習は、学生のためのみならず、地方創生や地場産業の継承、発展といった面でも重要な役割を果たすと思います。
御清聴ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございました。
では、続きまして、愛媛大学の近藤さん、お願いします。
【近藤特別委員】 では、愛媛大学生として地域の関与とこれからについてお話ししていきたいと思います。
早速ですが、自己紹介をさせていただきます。愛媛大学社会共創学部環境デザイン学科に所属している4年生の近藤美咲と申します。出身地は、生まれも育ちも、自然豊かでお水がおいしい愛媛県西条市です。
この写真を見ていただきたいのですが、私が鶏を持っていて、鶏が大好きな人に見えると思いますが、実は鶏とか虫がもともと苦手でした。ですが、この大学に入学して、様々な地域に実際に訪れることで、徐々に徐々に苦手なものを克服することができました。
そういった私ですが、この大学に入学したきっかけとして、高校生のときに参加した地域貢献活動が深く関わっています。そこで地域に関わって、地域がより大好きになって、まちって面白いじゃんというふうに思うようになってから、もっと実践的なまちづくりを学びたい、そして、愛媛県内の西条市以外のほかの地域の状況も知って、知識や経験を得たいと思い、今の大学に入学することを決意いたしました。
実践的に大学に入学してたくさん学んだのですが、そのうちの一つの事例として御紹介いたします。それが愛媛県上島町での散走マップの作成です。散走とは、自転車で散歩をするという意味があります。そして、この企画自体は、大学の実地演習にて約1年半ほど、大学教員の指導の下、取り組みました。
この上島町とは、しまなみ海道に浮かぶ人口が約6、000人の離島群でして、しまなみ海道地域の一つでもあります。そういった上島町をゆっくり見てもらい、移住したくなるようなマップを作ってほしいという住民の思いから、この企画を始めました。賞歴としては、株式会社シマノ主催の企画コンテストで大賞を受賞したことや、本校愛媛大学の学長賞も受賞いたしました。
そして、実際、上島町に関わってみると、人口減少やサイクリストが少ないなどといった課題があった一方で、移住者が年々増加傾向にあり、その移住者が平均で40歳以下であること、さらに、住民の穏やかで自由な暮らしぶりが非常に魅力的であるという特徴があることを知って、手描きイラストやサイコロを用いた、地域住民、いわゆる人にフォーカスを当てたマップを作成することにしました。美しいスポットはもちろんですが、施設や宿を中心にピックアップして、住民へ取材を行い、マップに掲載することにしました。この右上のイラストは、マップのイメージ図になっています。手描きイラストを扱うということで、他大学の学生に依頼をして絵を描いていただきました。
また、下の2枚の写真を御覧ください。左側は、地域住民に実際に取材を行っている様子で、右側は、島にある宿に実際に学生、私たちが泊まりに行って、ちょうどそこに居合わせた住民の方とお話をしながら、晩御飯を作って食べている様子になります。
こういった活動ですが、今後もこのマップの実装イベントや、上島町の別の地域のマップを作る予定もあるので、これからも卒業しても関わっていく予定であります。
次に、地域で学んだことから得られた経験や思いについてお話しします。私は、この大学4年間で、学内外問わず、本当に様々な地域の活性化、活動などに参加してまいりました。同じ愛媛県ですが、地域によって、また、携わった産業によって、状況やそこに関わる方々の思いが異なり、自身の考えや価値観が日々広がっていくことを実感しています。その広がっていくのを実感しているのはすごく面白くて、私的に魅力に感じております。
様々な経験を体験した中で、自身が感じたことを3つほど挙げさせていただきます。1つ目は、地域を思い、興味を持って活動している人々がたくさんいるということです。実際、その活動の中で、各地域のステークホルダーの方のお話を直接聞く場面があったのですが、そこで地域の方の思いこそがその地域をつくっているものだと実感し、その思いを直接聞けたことに非常に感銘を受けました。また、実際に行動には移していないけど、まちづくりに興味を持っている方が愛媛県にはたくさんいることも知りました。
2点目には、主体的に地域貢献に関わることで、自身の成長を実感したことです。主体的に地域に関わることで、またいつもと違った視点でまちを見ることができて、より地域が大好きになりました。こういった経験を重ねていくことで知見が広がり、自身が成長していく実感を日々感じております。
そこから最終的に将来を考えたときに、魅力的な人々がいる地元愛媛で、社会的な役割を担って、引き続き地域貢献に携わり、多様な形で地域に関わっていきたいと考えております。
以上です。御清聴ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございました。
続きまして、同じく愛媛大学大学院の熊谷さん、よろしくお願いします。
【熊谷特別委員】 本日はこのようなお話の機会をいただきまして、ありがとうございます。四国中央市における愛媛大学での学びについて、愛媛大学紙産業イノベーションセンター、バイオマス資源学コース修士2年の熊谷智が発表します。よろしくお願いします。
本発表は、自己紹介、愛媛大学への進学理由、紙産業イノベーションセンターでの研究課題と学びの流れで進めていきます。
では、早速、自己紹介ですが、先ほど申しましたように、私は愛媛大学のバイオマス資源学コース修士課程2年です。ニッポン高度紙工業株式会社より出向している社会人学生です。
次に、愛媛大学への進学理由についてです。私が所属しますニッポン高度紙工業株式会社は、電子部品である紙セパレータが主力製品です。ですが、さらなる企業の成長のためには、新たな紙製品の創出が必要でした。愛媛大学紙産業イノベーションセンターは、紙の専門的教育と現場密着型実践教育を掛け合わせることにより、紙産業のスペシャリストを育成しております。
そこで、愛媛大学紙産業イノベーションセンターにて紙の知識習得から紙産業の現状把握までを学ぶことで、弊社の経験や知識だけでは創出困難な紙産業の発展につながる製品開発ができる人材へ成長できると思い、志望、進学いたしました。
次に、紙産業イノベーションセンターでの研究課題と学びについて発表します。研究課題と学びについては大きく分けて3つございまして、専門教育プログラム、現場密着型実践教育プログラム、あとは修士論文研究になります。
では、まず、専門教育プログラムでの学びについてです。専門教育プログラムでは、紙の基礎知識から最新の紙の研究まで幅広い知識を習得しております。また、講義中には、製紙会社で業務経験のある教員より、紙製品の開発秘話や経験談などについても御教授いただき、紙の研究の面白さややりがいについても学べております。
加えて、地元企業様や県外からも講師をお招きし、紙製造の現場経験や技術経営等についても学んでいます。会社の業務内ではまず知ることのない内容が多く、大変勉強になっております。
次は、現場密着型実践教育プログラムでの学びになります。こちらは、大きく分けて紙産業現場見学と製品製造実習の2つの授業を行っております。
紙産業現場見学では、地元企業様の現場に実際に入りまして、技術的な内容や設備から、企業経営や市場開拓まで、座学では得ることができない様々な内容を学習しております。会社におりますと、他社様の機械、マシンなどを見学するなんてことはまずありません。最先端の紙の製造工程や自社の設備との比較ができ、様々な刺激をいただいております。
製品製造実習では、実際に量産スケールのマシンを使用した紙製品の製造を行い、紙製品の製品設計や製造の難しさを実感しております。
次に、動画を流させていただきます。製品製造実習では、県の紙産業センター様の機器をお借りして、実習を行っております。
こちらは、原料のパルプをばらばらにする工程です。原料の変化を、数値だけでなく、音の変化や触感の変化などを体験することで学んでいます。
原料の濃度などを調整した後に、紙をすく、抄紙工程に入ります。抄紙工程では、ワイヤーの上に乗った原料を実際にすきまして、プレス、乾燥工程を経た後に、紙の巻取りになります。紙の巻取りは、回転体での作業ですので、県のセンターの職員様にしていただき、できた紙の品質評価などは学生が行っております。
以上が製品製造実習の流れになります。
最後に、修士論文研究について御説明させていただきます。修士論文研究では、学術的な研究課題と企業の課題の双方に対して課題解決となるテーマを選定し、取り組んでおります。学術的な研究課題に対しては、修士研究発表会での成果発表をはじめ、研究ゼミでの全体報告や、教員・学生とのディスカッションを行うことで進めています。
企業の課題に関しては、秘密管理に注意しながら、担当教員との個別報告会や、会社-愛媛大学での会社課題の共有や解決策に関する打合せを行うことで進めています。
学術的な研究課題はオープンに、企業の課題は非公開で進めており、双方の課題解決に向けて、めり張りをつけて取り組んでおります。このことから、紙産業のスペシャリストとして、学術的な研究課題、企業の課題の双方に対して、迅速な研究・製品開発を目指して取り組むことができております。
発表は以上になります。御清聴いただき、ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございました。
それでは、最後になりますけど、愛媛大学の松村社会共創学部長先生にもお越しをいただいております。よろしくお願いいたします。
【松村特別委員】 社会共創学部長の松村と申します。
社会共創学部は、設立して10年ということで、180人規模の学部になります。先ほど近藤が発表しましたが、ああいうプロジェクトを毎年、50プロジェクトぐらい創出している学部になります。
学部の考え方として、実践教育のやりっ放しというのはよくないんではないかと考えております。それは、教育の質的保証というところから考えたときに、電子ポートフォリオというのを作成しておりまして、それを半年に一度、学生自身が見直すような取組を行っております。こういうような内省化と概念化というものを行わせることによって、初めて学生の学びということが深まるのではないかということで、設立以来、ずっと継続的に行っているところです。
当初、卒業生の半分ぐらいが県内就職ということだったんですが、コロナの影響もあってか、昨年、特に令和5年3月の時点の県内の就職率というのは33.7%まで落ちました。彼ら彼女らは、入ってから遠隔でずっと学習してきたような学生でして、ほとんど卒業するまで地域に出ることができなかったような彼らです。つまり、そういうような実践がなければ、地域に残る人材がここまで減ってしまうということを実感しました。
それで、令和6年3月、まだ速報値なんですけれども、約40%という形で、若干持ち直してきているということですので、地域に人材を残すという意味で、こういう実践教育というのは極めて重要なポイントだと認識をしております。
それと、もう一つについて、技術者の育成、リカレントというところにつきましても、先ほど熊谷君が発表してくれたように、紙産業イノベーションセンターの学部生は、社会共創学部に所属しているということもありますけれども、地域の産業と密接に結びついているというようなことがあってこそ、こういうようなすばらしい人材が大学のほうに戻ってきてくれるということもあります。こういうようなネットワーク型の組織をいかにつくっていくのかというのが、いい意味でいい事例かなと考えているところです。
それとともに、近藤が実践してきたような、地域の行政の方々と交わるようなところについても、交わったような行政職員の方々のリテラシーというのがかなり上がっているということが、定量的な評価でも明らかになっております。つまり、社会人リカレントだけがリテラシーを上げるというだけではなくて、学生をはじめ、様々な学生と交わることによって、リカレント的な要素というのも十分あるんじゃないかなと。そういうふうなことを通じて、知の総和というふうなものに貢献できるのではないかと考えております。
最後に、こういうような共創型の教育プロジェクトや共創型の研究プロジェクトがトリガーとなって、地域の創生が始まるということを痛感しております。実際に、社会共創学部でも、約8割が、一旦始まったようなプロジェクトが、大学が関わらなくても、その場で継続しているというようなことも調査しておりますので、そういう意味でも、大学が地域創生に関わる意味というのは非常に大きいものがあると考えているところです。
以上です。
【大森座長】 ありがとうございます。特別委員の皆様、本当にすばらしい御発表をそれぞれしていただきました。
洲本市さんのお取組は本当にすごいなと思って、多分これから視察がさらに増えるんじゃないかというふうに思いますけれども。
それから、3つの大学の学生さんから御発表いただきまして、それぞれの学びが本当にすばらしいなと。取組もすばらしいなと思いました。
多分、今日ユーチューブでも御覧いただいている全国の大学の教職員の皆さんが見て、うちの大学でもこういうことをやっている、ああいうことをやっているよって、地方の大学、大抵、何がしかのこういうことをやっていて、みんな地方の学生たちがそこにチャレンジをして、そのことを通して、今、学部長先生がおっしゃったように、地域にという流れができている。今日はその全国の代表として3つの大学に来てもらいましたけれども、本当にいい御発表だったなと思います。
ここからは時間を十分取ってあります。委員の皆さんから、それぞれの発表に対して聞いてみたいこと、御質問等、それから、もちろん意見交換にそこがつながっていけたらなというふうに思います。
先ほども申しましたけど、質問の仕方として、1つの質問を皆さんどうですかというと、全員が答えていくと、あっという間に時間がなくなるので、誰々さんというふうに指名していただいて、その質問に私も答えたいと思う人もいるかもしれないけれども、指名があった方を中心に答えていただくという形式を取っていきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
それでは、委員の皆さんから御質問を受けたいと思います。どなたからでも結構です。口火を切っていただけたらと。お願いします。
【中村委員】 どうもありがとうございました。山梨大学の中村と申します。
洲本市の高橋さんにお聞きしたいんですけれども、すばらしい連携事業で、初めて知りました。勉強になりました。
聞きたいことは、多くの大学と過去12年間にわたって連携していらっしゃるんですけど、そういうのってどうやってきっかけをつくるんですか。例えば、近くの大学もあれば、京都とか東京の大学もありますよね。その辺のノウハウというか、連携のつくり方を教えていただければありがたい。
【高橋特別委員】 ありがとうございます。まず、もともと13年前からスタートしたんですが、当時、総務省が域学連携を推進していた時期がありまして、域学連携に取り組む自治体及び大学に補助金を出すというのがちょうどありまして、それに龍谷大学さんと一緒に応募しようよということでお声がけいただいて、応募して通ったというのがもともとのきっかけでした。
その龍谷大学さんと知り合ったきっかけというのが、龍谷大学で再生可能エネルギー塾というのがあって、私、再生可能エネルギーも担当しているんですけど、それに通っているうちに先生と仲よくなって今に至るという感じだったので、一番最初のきっかけは、やっぱり大学といかに仲よくなるのか、先生なりスタッフと仲よくなるのか、飛び込めるかどうかというところが一つ大きかったのかなというふうには思っています。
それ以降に関しては、こちらからぜひお願いしますというのは、たまにあるんですけど、割と向こうからお声がけいただくことが多くて、最近でしたら、社会連携推進室とか、大学で置いているところもあるので、そういったところから例えば問合せがあれば、それに対応したりだとか、あとは、ホームページでの発信とか、どこかしら情報を仕入れてお声がけいただくということが結構多いのかなというふうに思っています。
あとは、やっぱり学生さんの負担を軽くするという、その点は結構大学にとっては受けがいいといいますか、そこは評価いただいているのかなというふうに思います。交通費、宿の問題というようなところに対応できていることはプラスになっているかなというふうに思っております。
【中村委員】 ありがとうございました。
さっき藤田さんが一番最後に言われた、今後の課題ですかね。その部分で、「継続的な連携がなかなか難しい」だったんですけど、難しいんですけど、もし継続できるとしたら、どんな工夫が必要なのか、もしお考えがあったら教えていただければと思います。
【藤田特別委員】 そうですね。現状、クエストカレッジも、大学にお声がけをして、プログラムをつくるというのに取り組んできたんですけれども、先ほどお話しした課題で、実現につながりにくいというのが実情です。とはいえ、学生さんで地域に関わりたいとか、まちづくりに関わりたいという学生さんはたくさんいらっしゃるので、そういった方々に直接アプローチをして、参加いただくようなきっかけをつくる、枠組みをつくったりとか。あとは、今年から始めたんですけど、プログラムで参加するのではなくて、長期インターンという形で事務局のサポーターとして入ってもらいつつ、プログラムではない、もう一歩深い部分で淡路島と関わってもらうような取組を、クエストカレッジとしても行ってはきているんですけれども。
やっぱりこのような取り組みに大学側が予算を投入するという考え方がなかなか根づきにくいのかなというのを実感として考えているので、地域として、あとは国としてというのがいいか分からないですけど、中間事業者もきちんと回していけるような予算をつけられるような形を取っていただけたらいいなと思っています。
【中村委員】 ありがとうございました。参考になりました。
【大森座長】 ありがとうございます。小林委員、お願いします。
【小林(浩)特別委員】 発表ありがとうございました。特別委員をしていますリクルートの小林と申します。
色々と質問したいのですが、その中で共愛学園の堀越さんと齋藤さんにお話を伺いたいと思います。お二人はやはり御家庭の事情で、経済的な事情があって、まず、地元で大学を選びたいと。その中で国公立を受けて、その後に地元の私立大学、齋藤さんは公務員になりたくてというのがあって、結果的に民間企業に行かれましたけど、公務員で、堀越さんのほうは経営なので、そもそも卒業後は民間企業を考えていたとのだと思います。
そうした中で、もし地域に私立大学がなかったら、どのような選択をしていたと思いますか。
【堀越特別委員】 まず、私から話させていただきます。私は、私立大学がもしなかったら、自分が商業高校出身ということもあって、就職の道を選んでいたかなというふうに思います。もともと高校を選んだ理由も商業を学びたいというところで、本当に商業高校はとても厳しくて、商業高校を卒業したら、社会人としてやっていけるような礼儀とかというのも学んできたので、私立大学がなかったら、就職の道を選んでいたかなというふうに私は思います。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。
齋藤さんはどうですか。
【齋藤特別委員】 私は、普通科の高校だったので、みんなが基本的に就職じゃない進学というところを結構主に置いていたので、大学で私立大学がなければ、4年制大学に通うことはなく、もう少し自分でも進んでいけるような、学費が2年間で済むような専門学校であったりとか、短期大学とかに進んでいたのではないかなとは思うんですけど、でも、今、大学に入って、こうやって学べているので、ほかの選択肢というのが今全然頭の中に浮かばなくて、ただ、実際はちゃんと考えてみると、専門学校だったり、短期大学に通っていたのかなというふうに思います。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。お二人は大学に進学して非常に貴重な経験をされていて、多分、御自身も成長されている実感があると思います。そのときにやはり順番として国公立をまず選んで、その後私立という順番にするのは、やはり学費、経済的な事情が大きいんでしょうか。それとも何か違う理由が、先生の勧めとか、家族の勧めとか、何かそういうのがあるんでしょうか。
【齋藤特別委員】 先に私から話させていただきますと、私はやはり家庭の事情的に、学費が安いところで、国公立大学を選んでほしいというのを親から言われていたので、そこをもともと視野に考えてはいたのですが、高校時代にもともと学長が自分の高校に講演という形で来てくださったときに、ちょうどお話を直接させていただく機会があって、私はもともと共愛学園に入りたいなというのは頭の隅では思っていて、ただ、やっぱり親の話とかというところから、私立大学ではなく国公立大学に入るということで考えていました。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。
堀越さんはいかがですか。
【堀越特別委員】 そうですね、自分も学費の面で、親から、なるべく安いところがいいかなみたいに言われていて、でも、自分も、国公立を受けるために、結構資格の取得というのを今まで頑張ってきていて、それで、日商簿記検定の2級を高校のうちに取得することができて、そこで共愛学園が資格特待生制度があって、私立大学なんですけれども、国公立ぐらい安く学費が済むというところをとても魅力的に感じて、あとは、自分がやりたかった経営学とか経済というのを学べる大学だったので、専攻いたしました。
【小林(浩)特別委員】 お二人、ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございます。
オンラインで山口県立大学、田中先生、お手を挙げていただいています。お願いします。
【田中委員】 ありがとうございます。皆さんのプレゼンがとてもすばらしかったので、各大学、いろいろ工夫されているんだなというふうに思ったのが第1印象でございます。
ちょっと聞き逃したのかもしれませんが、山梨大学の雨宮さんか小林さんかにお聞きしたいんですけれども、大学としてこういう地域で学ぶものが科目の中に設定されているのか否か。つまりは、単位が取れるのか否かということと、もしそれが単位化されているんだったら、何年生のときにどんな科目があって、それが経年的につながっていくのかいかないのかという、そのコースワークというか、そこを教えていただけますか。
【大森座長】 どちらもMiraiプロジェクトのお話をされていたけど、それは授業なのか、学生プロジェクトなのかみたいな。
【雨宮特別委員】 雨宮です。このMiraiプロジェクトは、フューチャーサーチという授業になっていて、どの学年でも取ることができます。最初の1年目のときに、全ての活動を終えて成果を出したら単位がもらえるという仕組みになっていて、単位をもらった後でも継続して参加することができるので、私は2年連続で参加させていただきました。
【田中委員】 ありがとうございます。そうすると、1年生のところに地域を知って地域で活動するというのがもともと敷かれていて、その活動が2年3年と継続できる仕組みになっているということですか。
【小林(寛)特別委員】 山梨大学の小林です。1年生から4年生までがばらばらに履修登録できるので、特に年度のつながりというのは、授業の面ではないと思います。参加する人が2年連続で参加していただいたりなどすると、同じプロジェクトがあると、そこで連続での参加という形になります。
【大森座長】 ちょっと隣に学長がいるので。
【中村委員】 すみません。今、お二人が言われたように、何年でも取れます。もともとは、山梨県立大学との連携推進法人の中でつくられたフューチャーサーチという授業で、実はこれは県内のどの大学の学生が入っても構わないというふうな仕組みになっていますので、いろいろな大学の学生と一緒に実践的なプログラムは受けられるというふうになっております。
以上です。
【大森座長】 ありがとうございます。
【田中委員】 そのときに、規模の問題で、何人ぐらいまでをさばけるというか、対応できるような仕組みになっているんでしょうか。
【雨宮特別委員】 雨宮です。去年ですと、38とか、40弱ぐらいのプロジェクトがあり、各プロジェクトに3から5人ほどの大学生が入る形です。最初にマッチングイベントがあり、企業の説明で学生が気になるところのブースを回って、そこで第1希望から第5ぐらいまで希望を出して、大学の方がマッチングをしてくださって、そのマッチングした企業や団体の方と1年間活動をするという形になります。
【田中委員】 では、マッチングする側のほうは結構大変な感じですか。うまくスムーズにマッチングされますか。
【小林(寛)特別委員】 先ほど説明してくださったように、私たちは1から5ぐらいだったんですけれども、そこの希望を上から順に書いて、担当されていらっしゃる部署のほうに提出するという形なので、私たちが特にマッチングにおいてすごく大変だったなということは感じておりません。
【中村委員】 すみません。よろしいでしょうか。企業の側とか団体の側があんまり多いとなかなか難しいんですね。ですから、今おっしゃったように、大体3から5というグループをつくってやっていくというふうなことになっていますし、だんだんだんだん、参加したいという企業が増えているという実態があります。
以上です。
【田中委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中村委員】 どうもありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございます。
お願いします。
【廣瀬委員】 廣瀬です。共愛学園前橋国際大学の齋藤さんにお伺いしたいんですが、子ども食堂るりあるくの現在代表をされているということで、今年、これから1拠点だけではなくて、もう少し展開していきたいというような、この活動についての展望も述べていただいて、すごいなと思ったんですが、今年は4年生だから、あと1年弱大学に在籍されたあとは地元の企業さんに就職されると。そのときのこの活動自体、特に成果を上げれば上げるほど、活動そのものの、地域にとって大事なものだし、継続性というのが問われてくる。他方で、恐らく中心になっている齋藤さん自身の力だったり、あるいは、齋藤さん自身の周りの人からの信頼だったり、そういうようなことによって成り立っている部分もたくさんありそうだなという感じがしました。
こういういい活動であればあるほど属人的になってしまうことがあって、他方で、学生の取組というのは、最長でも4年間で卒業すると、世代が替わっていってしまう。それについて何か、いや、もう後継者を育てていますよということかもしれないし、そういうことについてはどんなふうに考えて取り組んでいらっしゃるか、教えてください。
【齋藤特別委員】 ありがとうございます。先ほどスライドの中でも軽く説明させていただいて、しゃべるのは省かせていただいたんですけど、私が今、子ども食堂るりあるくというのをやれているのが、地域の地元で地域創生だったりとか、SDGsであったりとかというふうに取り組んでいる企業さんに就職が決まっていて、そこでのインターン生として今子ども食堂をやらせていただいている状態で、そのまま就職後もそこに就職が決まったので、子ども食堂るりあるくの運営はこのまま続けていけるということが今決定している状態です。
そこで今、学生の自分の後輩に当たる2年生だったり3年生だったりという方々がたくさん手伝いに来てくれていて、そのままその子たちも来年は手伝いに来ますよという話をしてくれているので、自分が就職する先の企業さんと、あとは共愛学園のほうで産学連携をうまくやっていけないかなというのを今話し合いは途中なんですけど、ただ、そんな感じで今後も学生は必ず手伝いに来るし、ただ、運営の主体は私という形で進めていくような話にはなっています。
【廣瀬委員】 なるほど。言わば就職先との御縁も含めて、持続可能な地域活動のネットワークがだんだん定着してきたというか、確立されてきたことを背景にして、活動もあるし、齋藤さんの就職もそれが結構決め手になったと。そんな感じですかね。
【齋藤特別委員】 はい。そうですね。
【廣瀬委員】 どうもありがとうございます。
【大森座長】 でも、やっぱり大学生プロジェクトって、その課題があるんですよね。持続、卒業しちゃった後どうするかという。大学のプロジェクトとして位置づけておければ、あるいは授業として位置づけておければ、大学の側でもということがあるので、その辺のさじ加減というのはあるんですけれども、例えば、今、Miraiプロジェクトとかはずっと続いていくだろうしということだし、共愛COCOも続いていくだろうしという感じですけど、今のはちょっと特殊事例かもしれないね。それを仕事にしちゃったというケースでございます。ありがとうございます。
いかがでしょうか。お願いします。
【縣委員】 静岡県企画部、縣と申します。よろしくお願いします。
皆さん、プレゼン、本当にありがとうございました。いろいろ聞きたいこともありますし、もう皆さんも大分聞かれてしまっているわけなんですけれど、私、洲本市の高橋さんにちょっとお伺いと思います。今回のこのテーマの論点とはちょっと離れるのかもしれないんですけれども、静岡県は移住希望地ランキングで毎年1位を取るというような自治体なんですけれども、一方で、大学進学時は県外へ出ていってしまう学生さんが多くて、全国でワースト2位なんですね。県内の大学を卒業した学生さんの県内への就職率も5割強ということで、なかなか静岡県への貢献、定住につながっていないようなところがあって、そういう意味で、外から呼び込むというのは非常に大事だと思います。洲本市さんの取組、非常にすばらしい取組だと思うんですけれども、これの成果として、洲本市への定住につながっているのかどうかとか、その辺りは何か具体的なデータとかはありますでしょうか。
【高橋特別委員】 ありがとうございます。私のほうで把握しているのは、今日の資料で挙げていた卒業生の例が3つあったんですけれども、近大の先生になったりだとか、地元でNPOをつくったりとか、協力隊になって洲本市に移住しただとか、あと、今年の話で、地元のホテルに域学連携の卒業生が就職したという事例があります。あとは、地元の金融機関に就職した子も2人というようなところで、私が知っている限りではその事例しかないですね。やはりこの取組というのは、なかなか定着させるというのが非常に難しいところがありまして、ここを何とかしていこうというのが、これからの我々の頑張りどころかなというふうには思っております。
【縣委員】 やはりなかなか成果として具体的な数字で示すのが難しくなってしまうということはあると思います。自治体としては、我々もそうなんですけれど、どんな成果があるんだというのをすぐ求められたりするものですから、昨今の財政的な厳しさを含めて、何か今直面している課題など、具体的にあれば教えてください。
【高橋特別委員】 まずはやっぱり人の面とお金の面という部分があるのかなと思います。例えば、役場の職員も、この取組に3人も4人もおれば、要は予算をかけずとも市が直営で頑張るということをすれば、予算はそんなにかけなくてもいいのかもしれないですけど、人もそもそも足りていないという状況があります。
人が足りないんで、やっぱり外にお願いしていくというようなところで、協力隊とか、起業人とか、もしくは藤田隊員のような立場の中間支援を行う方にお願いをするんですが、ただ、市のお金もあんまりないので、委託費なんかも用意できていない状況です。要は、自分で稼いでねと言ったらすごく投げやりなんですが、そういうような形でマネタイズも含めて頑張ってくれというようなことをお願いしたりもしています。
そういう面でいくと、やっぱり人もそうですし、予算はとにかく市の予算査定も御懸念のとおり結構厳しいところがあります。この取組は多分、こんなことを言うとあれなんですけど、種をまき続ける取組なんだろうなというふうに思っていて、それをいつ芽が出て回収できるかというのは、相当時間を要することなのかなと。私がさっき言った定着事例も、10年近くやって、ようやくこれぐらいというようなところがあるんですけれども、ただ、それでもやっぱり定着事例というのはものすごく大事ですし、地域の人がどんどん減っていく中で、人材をいかに確保するのかというところにちゃんと目的を持って、そのための種をまき続けるということで、何とか予算もつけているという状況です。
それと、もう一つは、龍谷大学が発電所を造ってくれたというようなことがあって、お金の面では随分楽になっています。要は、市だけが予算化せずとも、民間のほうで外でお金をちゃんと生み出して、それで域学連携が回るという、そういう仕組みまで持っていくことができたので、役所がもし駄目になっても、この取組というのはうまく続くんだろうなというところまで一応持ってきてくれているかなというふうに思っております。
【縣委員】 ありがとうございました。外の大学に通う子たちを呼んでくるというのは、一つ非常に重要なことだと思うんですけれども、やはり私ども静岡県からすると、複数の大学がありますので、それぞれの大学にどう来てもらうかというのが非常に重要になってきて、先ほど学生さんのプレゼンでもありましたけれども、自然環境も非常に豊かな地域なものですから、そういったものをどう発信して、どう静岡県で学んでもらうのか、どういうことが学べるのかということをどういうふうに発信していくのかというのが、これからは非常に重要になってくるかなというふうに思いますので、皆さんからそういうサジェスチョンもいただければというふうに思います。ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございます。大学のほうの立場からすると、さっきの学生の交通費とか宿泊施設があるというのはすごく大きなことで、やっぱり皆さん、地域プロジェクトをやるとき、何々公民館まで行くのに幾らかかるなみたいな話だよね、日々ね。これがなかなか大変なので、そこはかなり大きなポイントになっているのかなってちょっと感じました。もちろんそれだけじゃない魅力があってのことがデフォルトですけれども。ありがとうございます。
藤岡委員、お願いします。
【藤岡委員】 ありがとうございます。非常に参考になるお話ばかりで、ありがたかったんですけど、愛媛大学の近藤さんにちょっとお伺いします。これはもともと社会共創学部のほうは、松村先生もいらっしゃるんですけど、地元定着に向けて、こういう地域課題を解決するのが、1年生から必修化されているようなプログラムがビルトインされているという理解でいいですかね。
【近藤特別委員】 はい。1年生のときから本当に実践的なカリキュラムがあって、スライドの中にちらっと1枚、写真がいっぱい並んでいるスライドがあると思うんですけど、これの例えば左上と左下、これは私が1年生のときに携わったものなんですけど、上はカリキュラムというよりかは、これも松村先生が関わっているワークショップなんですけど、先生が、こういうワークショップをするから、学生のファシリテーターとして自由に来ないかみたいなお声がけを、全体メールで声をかけてくれたりとか、そういったことで、地域の方とお話しするきっかけを1年生のときからつくっていただいたりとか、下に関しては、大学の私の学科では必修の授業で、地域の道の駅で地元のミカンやタマネギを使って何か作って売ってみようみたいな、そういった本当に地域に根づいた授業を1年生のときから行っております。
【藤岡委員】 ありがとうございます。そこで聞きたいんですけど、こういう学生の教育にもなるような地域のネタは、松村先生のところでリサーチをして、発掘しているんですか。
【松村特別委員】 各教員が自分のフィールドを持っているというのは非常に大きいかなと思います。通常、こういう地域系の大学というのは、必ずしも全員の教員がフィールドを持っていないのが前提なんですけれども、社会共創学部においてはそれを持っているというところが非常に大きなところなので、地域と結びつきのある教員というのは、僕は宝物だと思っています。
ただ、そういうような実践活動をやっていくと、なかなか手間もかかって、時間もかかるので、ジャーナルに投稿していくというのが非常に難しくなって、私もずっと言っているんですけれども、社会共創学部を墓場にしたらあかんということを思っております。今の助教であったり准教授の先生が、その中できっちり業績を積んで、外に出たりとか、自分のところで上がったりとかということができるようなものが必要だということで、社会共創学部が他大学の地域系の学部と連携しながら、査読つきのジャーナルをつくりました。いろいろな地域の参考になる実践はそこのジャーナルに出していただいて、全国的な参考にもなるようなことにできればなと、ささやかな試みというのを行っております。
【藤岡委員】 まさにそれって全国の大学での課題だと思うんですけど、地域共創を頑張っている先生が、その大学の中でどう光が当てられて、研究活動ということで評価されるかというところなんですけど、結構、モデルになり得る可能性があるのかなと思ったんですけれども、如何ですか
【松村特別委員】 ありがとうございます。そうならないと、この地域系の未来はないなと。しっかりこれだけ様々な実績、業績評価というのがシビアにされていくような流れの中で言うと、地域系の先生方がこれだけエフォートをかけてやっておられるようなことを我々が評価しないというのは考えられないんですね。だとしたときには、それをきっちり評価するような枠組みを用意しないと、こういう活動だけ頑張ってやってくださいというのは、非常にこういう活動を活性化させるときのエンジンにはならないなと考えています。
【藤岡委員】 その際、地域の自治体が支援できる一番大きなところってどこでしょうか。
【松村特別委員】 そこは本当にみなさんがおっしゃるように、費用の面だと思います。具体的な例で愛媛県の西予市さんなんかでいうと、宿泊費に対して学生に1泊3、000円まで補助を出していただいておりますので、そういう意味では、かなり西予市での実践事例というのは増えております。そういう自治体間競争でも、恐らく交通費であったり宿泊費であったりとか、ふるさとミライカレッジであったりとか、ああいうようなものを採択していただくことによって、初めて進んでいくんじゃないかなと思っています。
【藤岡委員】 もう1点いいですか。熊谷さんにちょっとお伺いしたいのですが、熊谷さんは修士ですけど、博士まで進学される可能性はあるんですか。
【熊谷特別委員】 御質問ありがとうございます。今のところは修士終了後は、会社のほうに戻ることになっております。今後、現在の研究等が進んだ際は共同研究や、博士課程への進学といったこともあり得るのかなと思っております。
【藤岡委員】 もともと御社のほうと大学と何か共同研究みたいなことはやられていたんですか。
【熊谷特別委員】 定期的といいますか、何年かに1回、弊社のほうから愛媛大学さんのほうに紙の知識の習得や研究のために、数名、社会人学生として学ばせて頂いているというので、つながりはずっと昔からありました。
【藤岡委員】 ということは、継続してやられているわけですか。
【熊谷特別委員】 そうですね。継続して、つながりを保って行っております。
【藤岡委員】 ありがとうございます。
【大森座長】 ちなみに、簡単に、ほかの紙の企業さんからも来られているところはあるんですか。
【熊谷特別委員】 そうですね。ほかの紙の企業様もいらっしゃいますし、紙以外の企業様も、紙のことを学びにといったことで、様々な分野から、社会人学生としていらっしゃったり、共同研究とか、技術相談とか、そういうところでつながりがあります。
【大森座長】 ありがとうございます。
ちょっと私も質問させていただいて、山梨大学の小林さんにお尋ねなんですけど、専攻されたのが、私には分からない世界だけれども、メカトロニクス工学科、でも、今日、それ本当にすごいなと思って、今日のお話はMiraiプロジェクトのお話とかをしていただいていて、すごく大事なことをおっしゃっていたんですね。分野横断であるとか、それから、知識のみならず、体験がこれから必要なんだという。この後、メカトロニクスを地域に生かせていけるのかという話とか、それから、知識のみならず体験がとか、分野横断とかって、大学の先生たちはみんな言っていて、我々の言葉なんだけど、学生さんから聞けたんだけど、そういうことが必要だというのは何で知ったんですかというか。
【小林(寛)特別委員】 自分自身が昔から人との関わりを持つことが好きというのもあって、やはり将来的に就職するに当たり、必ず人とは関わらなければならないという思いが自分に昔からありまして、やっぱり基礎的な知識や専門的な学習を深めていくというのもとても大事なんですけれども、そこに付随して、絶対に関わらなければならない人と円滑に関係を進めることのできるコミュニケーション能力というのはやはり大切だなという思いから、今のような考えになっております。
【大森座長】 すばらしい。
【小林(寛)特別委員】 ありがとうございます。
【大森座長】 まだ時間はあります。2ターン目。小林委員。
【小林(浩)特別委員】 2回目の質問で恐縮です。熊谷さんにお伺いしたいんですけれども、先ほどの藤岡委員と大森委員と似たような質問なんですが、この紙産業イノベーションセンターについて、愛媛大学はもう10年継続していると、先ほどホームページを見たら書いてあったんですけれども、愛媛県の紙産業というのは、何か基幹産業とか、そのように位置づけられているものなんでしょうか。
【熊谷特別委員】 御質問ありがとうございます。私のいる紙産業イノベーションセンターが拠点を置いている愛媛県四国中央市というところは、紙の生産量のほうで十何年か連続で日本1位を取っておりまして、市全体が紙のまちとなっております。そこに大学の研究センターがあるということで、様々な県内企業様はじめ、県外からも技術相談もあり紙の研究の中心とのような位置づけとなっております。
【小林(浩)特別委員】 なるほど。じゃ、ある程度、この市内、大学が産業クラスターの中心になって、県内と県外から人が集まってきているという形になるんですかね。
【熊谷特別委員】 そうですね。紙の相談といいますか、課題とかがあったら、まずは愛媛大学のほうに御相談いただくということは多くあります。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。
あと、松村先生にお伺いしたほうがいいのかもしれないんですけど、愛媛大学の中でこういったセンターをつくるときに、そういった地域の基幹産業や産業クラスターと連携して、こういう大学院なり、あるいはセンターをつくっていこうみたいな、こういった何か意思決定の流れみたいのはあるものなんでしょうか。
【松村特別委員】 そうですね。愛媛大学の一つの特徴として、地域連携と産業連携というのがありまして、産業連携の中で四国中央だと紙産業、例えば、南予のほうだと、南予水産研究センターの養殖であったりとか、植物工場だったりとか、産業クラスターがあるところに対して大学の拠点組織を置いています。これは大学まで来いというんじゃなくて、地元に置いて、そこでいろいろな相談を受けながら研究結果をフィードバックをやっていくというのが、私ではなくて、歴代の学長の非常に大きな方針がずっと引き継がれているというのが非常に大きいかなと思います。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。多分、これから大学と地域が別々にということではなくて、地域の中に大学を位置づけるとか、大学から地域に派生していくとか、こういった関係性がすごく重要になってくると思いますし、大学院でどんどん産業構造が高度化していく中で、大学卒だけだと、熊谷さんのように、足りなくて、もっと学び直しみたいなことが出てくると思うんですが、そういった学生の受入れというのは結構積極的に愛媛大学さんはやられている感じなんでしょうか。
【松村特別委員】 そうですね。そこは非常に重視をしているところです。そういうような人材がやはり地域の中にいろいろいるというところを、いかに我々のほうでキャッチできるのかだと思います。そういう意味では、コンソーシアムであったりとか、様々な組織のところにネットワークをつくっていって、うちの企業のところにはこういうような人材が欲しいんだとか、こういういいやつがいるぞとかというようなところのインフォーマル、フォーマルな情報のやり取りというのが、僕は極めて重要なんじゃないかなと思っています。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。
熊谷さんは、出向って書いてあったということは、学費は企業側が負担してくれているということですか。
【熊谷特別委員】 ありがとうございます。ありがたいことに会社から負担いただいて、学ばせていただいているといったところです。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。多分、会社側もそういった、企業側もそういった人材を高度化していくところに投資をしているということですよね。
【熊谷特別委員】 そうですね。まずは個人の人材育成というのが企業の成長につながると弊社のほうでも考えておりますので、人材育成のために会社がお金を出していただいているといったところです。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございます。
松村先生、もう一点なんですけど、これを継続的に進めていくためには、マネタイズの一つの新たな方策だと思うんですけど、これをさらに発展させていくためには何が必要だとお考えでしょうか。
【松村特別委員】 非常に難しいと思いますけど、本当に知財であったりとか、紙産業イノベーションセンターなんかでいうと、本当にたくさん知財を生み出しておりまして、それをいかに皆さんに使っていただくような形で、いわゆるエコシステムというような形じゃないと、なかなか継続的には難しいかなというふうには思っているところです。
それだけの潜在的な力というのがそれぞれの地域の産業にはありますので、そこをいかに連携しながら引き出していくのかというのが、これから地方の大学において非常に求められているようなポイントなんじゃないかなと思っています。
【小林(浩)特別委員】 ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございます。地域の学び直しの拠点としての地方大学というのも、すごく重要になってくるかなというふうに思っています。
廣瀬先生、お願いします。
【廣瀬委員】 先ほどの地域系教員がちゃんと評価をされ、処遇されていくというか、ちゃんとキャリアを築いていけるようにということが、コーディネーターや地域との橋渡し役でもある大学の地域系の分野を担っている人たちの重要性であり、また、それを育成する課題があるというご指摘がありました。私自身も、地域との関わりのある学会のメンバーであったり、理事であったりもするんですが、そういう学会にはいろいろな分野ごとにそれぞれ存在する。イメージとしては、建築、まちづくり系の学会はあると。農業経済とか、あるいは農村地域系の研究の学会もある。私自身が参加しているのは政策や行政系の学会ですが、自治体の中で言うと、企画調整系みたいな人たちが参加してくれています。また、コミュニティービジネスのことをやっている学会もある等々、分野ごとに地域と大学、地域と研究の関わりについて、結構縦割りでたくさん学会があるのです。そして今、国公立大学に地域系と呼ばれる学部が多数誕生しています。地域振興というのは縦割りでできるものじゃなくて、企画系の職員が頑張れば自治体や地域が元気になるかって、それだけでは足りないわけですよね。そうすると、地域経営学部の先生方全体の拠点になるような学会づくりみたいなものとか、あるいは、そこでのノウハウを横断的に共有しながら、その中で優れた業績を上げていく人の業績が発表できたり評価されたりするような、例えば何か学会をつくって、学会賞を出すとか、そんな展開というのは今生まれてきたりしているんでしょうか。
【松村特別委員】 ありがとうございます。まだというところです。今でも、地域系の国公立大学の集まりというのが幾つかのグループがありまして、本当はそこが一つの形になって、先生おっしゃるように、学会をつくって、そこで優れた論文に対して賞なり、ジャーナルに出していくというのが、本当に重要だなというふうに思っています。
それと、今のジャーナルの評価基準というのが、必ずしもこういう実践課題にはそぐわないなという気がします。どうしても再現性であったりとか、そういうところを求められてしまいます。通常の学会だと、やっぱりリジェクトになってしまうことが多いんですけれども、今度我々がつくったような地域実践研究だと、そういうものとは一線を画して、躍動性というのを入れておりまして、誰でもこのジャーナルを読んだとき、何か面白そうとか、やってみようぜみたいな、そういうものが生まれるようなもの、非常に主観的ではあるんですけども、そういうような評価基準というものでジャーナルを評価するというのもあり得るんじゃないかなと。
そういうような、これまでの縦割り、横割りされたようなジャーナルではないようなものをつくっていかないと、我々のような地域系で実践をやっているような教員というのは、いずれ消耗戦に巻き込まれていくなというのが今の実感です。
【廣瀬委員】 ありがとうございます。今、査読論文の数というのも、どの領域でもやっぱりどうしてもキーになる、インデックスになっているので、むしろレフェリーも併せて育成していく、あるいは、横のつながりの中でこういうことを強化しなきゃいけないよねというのを、特定の地域の特定の学部ではない形で醸成していくという活動も求められているかなということを、伺っていて痛感いたしました。どうもありがとうございます。
【大森座長】 ありがとうございます。例えば、大学教育の中でも、大学教育学会みたいなのもあるし、もうちょっと細かく言うと、リメディアル教育学会とか、初年次教育学会とかあるので、そういった流れの中でいうと、例えば、地域実践教育学会みたいなのができて、地域系教員と言わなくても、いろいろな別の専門を持ちながらも、地域実践教育をやっている先生が発表して、それが評価されるというような機会がもっとできていくと、各大学がもっともっとそれをやりやすくなるという感じはするなと思って、一つ、今、この議論、よかったなというふうに思っています。
田中委員、どうぞお願いします。
【田中委員】 ありがとうございます。洲本市の高橋様に聞いてみたいんですが、大変失礼なことを聞くかもしれませんけれども、13年間ずっと市役所のスタッフは2人でつないでおられて、そのお一人がずっと高橋様ということでやっておられるというふうに聞いたと思うんですけれども、予算の面でも、市のほうも、民間企業さんからで予算的な見通しが立って、あるいは、事業継承というんでしょうか、その内容についても、中間支援者等々を育成し、この事業を回すことからうまく運営することに、少しずつ少しずつ年々進化されているところがすごくすばらしいなと思います。これは高橋様がずっと継続されているから、こうやって大きくなっているものなのか、高橋様じゃない方に替わったとしても、うまく回せるような仕組みなり、方法なりが見いだされているのか。大変失礼な質問になるかと思うんですが、教えていただけたらと思います。
【大森座長】 お願いします。
【高橋特別委員】 ありがとうございます。もしもの話はなかなかちょっとしにくいなというところもあるんですが、5年前ぐらいのタイミングだと、例えば、僕がいなくなったりすると、ちょっとしんどかったかもなと思うことはあります。
ただ、今だと、別に僕がいなくても回るかなというふうには思っていて、要は、そういう中間支援がしっかりと育っていますし、市役所の外にもちゃんとお金もある、というようなことがありますので、今なら大丈夫かなと思っています。
【田中委員】 やっぱり担当する人もリンクさせながらというか、指導しながらつないでいくということも、市のほうで準備されて進めておられるということですね。
【高橋特別委員】 そうですね。ただ、いわゆる人事異動リスクというのは、いろいろな大学の先生からよく指摘をされます。やっぱり一生懸命やっていても、担当が替わった途端、急に風向きが変わったというようなことがほかの地区でよくあるんだみたいな、それに対して、ずっと居てねじゃないですけど、そういうことを言われることはあるんで、やっぱり異動のリスクというのは当然あるのかなと。
ただ、この取組というのは、割と人によるというか、市役所的に見ると、業務としてこれがどこまで優先順位が高いのかとなってくると、多分、ほかにもいろいろとしなきゃいけないことはたくさんあるのかなと。さっきの質問とも重なるんですが、その成果がなかなか示しにくいというようなことになってくると、要は、次、もし担当した人が、これよりももっと優先順位の高いことがあるんじゃないかというふうに判断すれば、多分、そこまで注力する事業にはならないという可能性はあるのかなというふうに思っています。そういう意味でいくと、やっぱり市役所だけで回すんじゃなくて、市役所以外の人たち、もしくは、例えば地域の人、大学の人が一緒になって、この仕組みは大事なことなんだからこれからずっと続けていこうよというような雰囲気づくりをすることが大切になってくるのかなというふうには思っております。
【田中委員】 ありがとうございます。どうしても打ち上げ花火で終わってもいけませんし、今おっしゃったような、担当者がということがあってもいけないので、パワーバランスをどこかの段階でいろいろ変えていく、スイッチの入り口を変えていくとかということを考えながら運営していくということが、すごく大事なんだなということを思いました。ありがとうございます。
【高橋特別委員】 ありがとうございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
ほかに御質問いかがでしょうか。お願いします。
【中村委員】 共愛学園の齋藤さんにお聞きしたい。聞きたいことは、4年間学ばれて、こういった地域のことを知って、すごくよかったということは分かるんですけど、もっとよくするためには、もっと自分が関わるためには、例えば、大学側あるいは産業界が、どんなふうなことがやりやすくなる方法かなと思うこと、何でも結構です。
【齋藤特別委員】 本学では、ボランティアに参加するときに、ボランティアのメールというのが届くんですけど、ただ、それだと、実際にどういう感じでやっているとかというのが伝わってこないので、実際に何かもっと学生がボランティアに参加しやすいような環境づくりというのがあったら。今、私たちの代より1個下の代からは新カリキュラムのほうでボランティアに参加しましょうという流れが結構あるんですけど、今の4年生だとまだボランティアに参加したことがないという子が結構いたりするので、そういった子が何か大学生活の中で1つでも2つでもボランティアに参加できるような体制がもっと整っていったら、すごく地域との関わりにもつながるし、それが県外進出で考えている子たちにとっても、県内の企業でもいい発見があったりとかというふうにつながっていくのではないかなというふうに思います。
【中村委員】 ありがとうございます。
もう一度いいですか。同じ質問を山梨大学の2人にまた後で聞きますので。愛媛大学の熊谷さん、いかがでしょうか。
【熊谷特別委員】 ありがとうございます。愛媛大学にて、
一度、紙産業イノベーションセンターが建ってから10年経った後に、地域の企業様のほうにアンケートを取ったことがございまして、その中で一番多かったのが、技術相談ができる場と共同研究、研究開発でした。その次に人材育成といったところがございまして、やはり気軽に技術相談ができる場というのを、大学はもっとつくっていくのが良いかと思います。
私自身も、愛媛大学に入る前は、会社の打合せ等で、課題が出たときに、どう考えるべきか、どこに相談していいか分からないというのが多々ありました。そのため、大学はやはり相談できる場というのをもっとオープンにしていくのが一番いいのかなと思います。
【大森座長】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。お願いします。
【縣委員】 山梨大学のお二人にお伺いしたいと思うんですけれども、雨宮さんは、大学を選んだ理由として、皆さんと同じ経済的な理由とか、実家から通える範囲ということもありますけれども、様々な分野を学べる観光コースがあるからということを言われています。小林さんも、関心のある工学分野の探求ということでした。お二人はそれぞれ関心のある分野を選択したということだと思うんですけれども、これは高校時代にそういう思いに至ったのかどうか。どういうきっかけでそういう思いになったかというのをちょっとお聞かせください。
【雨宮特別委員】 ありがとうございます。雨宮です。私の場合は、高校が諏訪地域の高校であり、ボランティアなどで諏訪地域で清掃活動をすることや、イベントの運営などで地域と関わること自体が多かったということと、あとは、将来の志望として、市役所の公務員になりたいという思いがあって、諏訪地域が観光資源がたくさんあったので、観光に関することとか、あとは、住民と行政と企業との関わりの大切さをボランティア活動などですごく感じて、そういう地域の方と関わることができる点や、観光や地域資源について学ぶことができる大学が良く、そのときに、実家から通える範囲で探したときに、山梨大学の観光政策科学特別コースがあることが、私のやりたいことに一番近いなと思って進学しました。
【小林(寛)特別委員】 私が山梨大学での進学の理由の一番大きなこととして、工学分野の探求ということを挙げさせていただいたんですが、やはり幼いときから、手先を動かしたり、パソコンをつくったり、組み立てたりとかということが好きで、好きを自分の将来につなげていくための進路設計というところで、山梨大学が一番に挙がりました。
ほかに、山梨大学の僕の所属しているメカトロニクス工学科というところが、先ほど質問してくださったように、電子、機械や情報、あと電気分野について、3分野横断型の学習ができて、まだ完璧に高校の段階では、この分野のどこがいいとかというところはあまり分かっていなくて、大学でこの3つから選んで学びができるというところにとても引かれて、山梨大学を選びました。
【縣委員】 ありがとうございます。やはり大学に入る前からいろいろ具体的にイメージをされて、将来の就職のこともイメージされてこの大学を選んだということだと思います。今日プレゼンしていただいた皆さんは、本当に地域に対する思いだとか、いろいろお持ちなんですけれども、みんながみんなそういう感じではないものですから、やはりどうしたら地域に残ってもらえるのか、あるいは地域の大学に進学してもらえるのかというのは、若いうちから地域のことを、地元のことをいろいろ知ってもらうということが非常に重要だということは、皆さん口々に言うんですけれども、実際、それを具体的にしていくのはなかなか大変だなというふうに思います。先ほど静岡県も県外に流出する人がすごく多いという話をしましたけれども、具体的な仕事に、将来の就職につなげていくための学びである必要もあると思いますので、やはりこれから大学でも、大学だけではなくて、小学校、中学校、高校から地域のことをしっかり学んでもらう、地域の企業のことを知ってもらうということは非常に重要かなと思います。そういう中で地元の大学を選んでもらえるようなことが大事なのかなというふうに思いました。
以上です。
【大森座長】 ありがとうございます。今、愛媛大学の近藤さんのプレゼンもそうでしたけど、うちの学生たちもそうなんですけれども、やっぱり高校時代のチャレンジが大学選びに結構なっていて、今ちょっと期待しているのは、やっぱり探究ですよね。総合的な探究の時間が各高校で必修になって久しくて、すごく頑張っていて、大体、地域課題に向き合っていると思うんですよね。そこがそのまま地域、大学、地方大学につながっていくというか、地域のことをやっていく人にというきっかけになり得る母数は広がっているなという感じはしています。
ちなみに、その流れで愛媛大学の近藤さん、愛媛大学に社会共創学部があって、こういう取組をしているというのは、もちろん高校時代に活動されたから、そういう学びをしたいとは思われたと思うんだけど、学部長先生がいる前であれですが、愛媛大学の広報活動が上手かったんですか。つまり、地元に残るといっても、知らなかったらもしかしたら違う県の大学に行っていたかもしれないとなったときに、どこでマッチングしたんですか。
【近藤特別委員】 どこでマッチングしたかというと、一言で言うと、本当に高校の愛媛大学の社会共創学部を勧めてくれた先生が、母校が愛媛大学だったということもあったとは思うんですけど、その流れで、せっかくまちづくりの活動をしているし、まちづくりに興味があるんだったら、愛媛大学にこういう学部があるよというのは真っ先に声をかけていただいたので、そういったことが、私は今の愛媛大学の社会共創学部を知るきっかけでした。
【大森座長】 仮に愛媛大学が駄目だったらという、逆の質問だけど、併願はしていたんでしょう、ほかと。言える範囲でいいです。
【近藤特別委員】 はい。私はもちろん第1希望が愛媛大学の社会共創学部で、大学受験って2通りあると思うのですが、勉強じゃなくて、面接であったり、人柄重視のアピール型と、勉強重視の一般試験があると思うのですが、私は一番志望が愛媛大学だったので、アピール型で受けるつもりでした。もしそれが落ちた場合は、地元の私立大学を1個受けていたのもあったんですけど、あんまり落ちるつもりで受けたわけじゃなく、それぐらいの気持ちで行かないと愛が伝わらないかなと思っていたので、あまり近くに、言ってしまえば高知大学の地域系の学部もあったので、そこで一般で受けようかなと、ぼやっとは思っていたのですが、本当に第1希望は愛媛大学だったので、あまり正直、考えていませんでした。
【大森座長】 ありがとうございます。
先生、どうぞ。
【廣瀬委員】 この流れで近藤さんに伺いたいんですけれど、高校時代から実践的なまちづくりを学びたいというところで、大学の進学先を選ぼうということだったんですが、高校でもいろいろ地域の探究であったりとか、ボランティア的に活動に参加したりという機会があると思うんですけど、在学されていた高校で、近藤さんのような関心で、大学でもこういうことをやりたいという人って、探せば結構いましたか。それとも、自分はとても珍しいタイプだったという感じですか。
【近藤特別委員】 私の高校が、実は生徒数がすごく少なくて、何ならもう廃校になってしまって、一緒に学校が合体してしまうような高校だったので、校内で見たときに、まちづくりの活動をしようという声をかけたのが私というのもあったので、もしかしたら少数派ではあったかもしれないんですけど、この声を上げたことで、先生がすごくやる気になってくれて、お祭りとかまちづくりの企画に発展してから、後輩であったりとか、周りの同級生がすごく楽しく一緒に取り組んでくださったというのもあったので、もしかしたら、潜在的にはまちづくりやまちに興味があった人たちが実はたくさんいたのかなとは、個人的に思います。
【廣瀬委員】 ありがとうございます。周りの人も一緒に活性化して元気を引き出していくようなタイプの生徒や学生だったんだろうなというのは、聞いていてもよく分かりますが、逆に言うと、先輩方の中で、例えば、愛媛大学の同じ学部に進んだとか、あるいは高知大の地域系学部への進学を選んだ人というのは、小さい学校だと、割と先輩の進路も知っていたりするかもしれないのですが、どうでしたか。
【近藤特別委員】 そうですね、愛媛大学の社会共創学部の先輩は、創立が私の代はできて間もない頃に、私が6年目ぐらいで受けたので、先輩がいなかったんですけど、そういった地域貢献ができるような、地域系ではないにしろ、例えば経済学部で観光が学べるような学部に進まれた先輩方は何人かいらっしゃいました。
【大森座長】 ありがとうございます。
藤岡委員、お願いします。
【藤岡委員】 山梨大学の雨宮さんに、ちょっと近藤さんに聞いたことと同じようなことをお聞きしたいんですけど、志望は、高校のときにそういうことをやりたいというふうに思っていて、山梨大学が一番適していたということなんですが、きっかけは自分で探されたということですか。進路指導の影響とか。
【雨宮特別委員】 もともとは、山梨大学じゃないところを志望していて、長野県民なので、長野の大学に行こうとしていたんですけど、私が高校2年まで理系で過ごしていて、将来公務員になりたいとなったときに、文系に3年で文転して、志望していたところが、経済とか法律というのが主なところで、私があんまりそこに興味がなかったわけではないんですけど、これで4年間学べるかなという思いがあって、ほかの大学を近くで調べたときに、山梨大学が経済も経営も法律も文系を広く学べるというのと、観光コースに実習があるんですね。いろいろな観光地に実習で行けて、楽しそうだなというのもあって、山梨大学にしました。
【藤岡委員】 それは、法学とか経済とかという特定の領域ではなくて、先ほどおっしゃった、横断的にということと実践があるということが決め手になった感じですか。
【雨宮特別委員】 そうですね、第1志望の大学は、実家から通える距離で、知名度が高いという点で選んでしまっていた部分があり、ただ、第1志望の大学は面接で受けようとしたので、授業内容を調べていくうちに、4年間できるかなという思いがあって、ほかの大学を調べて、授業内容を見ていたときに、実習があったり、山梨大学は、自発的発展教養科目という、やりたい人だけやっていいよと選べる授業があり、そういう実習系の授業が多いことがいいなというふうに思って、山梨大学を選びました。
【藤岡委員】 ちょっと学長がおられる前であれなんですけど、大学の実践学習における一番大きな役割というか、多分、座学ではないと思うんですけど、そこって山梨大学はどういう特徴があるのでしょうか。マッチングとか、いろいろやってもらっているんですか。一番大学ではこれが大きいよねと思うものってどこですかね。
【雨宮特別委員】 集中講義が実習だと多いのですが、実習の前に座学の時間もあります。山梨大学が私の学科以外ほぼ全部理系学科です。なので、私がやっていたワインツーリズムという授業があるのですが、その授業は、ワインの知識がないと、実習に参加しづらいという点もあったのですが、その授業を取ったことで、最初に座学の授業で山梨のワインの歴史や山梨についての勉強の時間もあり、実習もできてというふうに、集中講義を取るだけで、ほかの分野のことを学べるのがいいなと思いました。
【藤岡委員】 それは、実践に入るための前提となるリテラシーみたいなことを学べたというところが大きかったということですね。
【雨宮特別委員】 そうですね。その学科に進学しなきゃ分からないこともあると思うのですが、でも、そういう集中講義という1つの授業だけでも、ほかの知識を得ることができるというのがいいと思います。
【藤岡委員】 ありがとうございます。
【松村特別委員】 すみません。いつもオープンキャンパスで話しているんですけれども、18歳で自分の将来を決めるというのはあまりにも重い。そうではなくて、私は、大学においていろいろな大人と知り合って、その中で自分の将来を決めても遅くないのではないか。18歳ぐらいまでだと、せいぜい高校の先生と自分の友達、その中で自分の将来を決めるというのは、あまりにも情報が不足しているので、そういう意味で言うと、大学がしなきゃいけないことというのは、いい大人たちとたくさん出会うことだろうと思います。
そのためには、こういうような実践教育というのは僕は必要不可欠と思って、いつもオープンキャンパスで話しているんですけども、それに大きくうなずいてくれるのは保護者の方ですね。高校生はなかなかそこまで伝わっていないという感じがします。
【大森座長】 ありがとうございます。
中村先生、お願いします。
【中村委員】 藤岡委員のさっきの御質問の中で、うちだけじゃないんですけどれも、探究の時間の話が出ました。その前は総合的な学習の時間。積み重ねだと思うんですね。やっぱり初等中等教育から積み重ねないと、大学に入って急に課題解決型学習といっても無理だと思います。
大事なのは、PBLを、これから促進していくので、どの大学も多分そうだと思うんですけど、課題を自分で見つけて、解決方法を自分で考えていくというふうな授業がこれから大事になっていく。そのときにやはり今日の討議のような、産官学連携みたいなものが大事になっていくかなと思います。
最後、感想なんですけど、今日お聞きしたいと思ったのは、縣委員とか藤岡委員とか高橋委員は、まさにコーディネーターですよね。官と産業界と、それから自治体と大学を結んでいく。このコーディネーターの役割は今後非常に大きくなってくると思っています。なので、コーディネーターを養成するというのも今後大事な課題なのかなというふうに思いました。
もう1点は、先ほど地域実践教育学会、大賛成なんですけど、そのときに、我々教員は論文を書かなきゃいけないというのはあるんですけど、私は大学の中で、職員とか、URAとか、UEAとか、大事だと思います。その方々が本当に理解しないと先に進まないところがあるので、そういった方々も巻き込んでいく。できれば、大学単独ではなくて、そういった方々の集まりもつくっていくことも今後大事なのかなと感じました。
【大森座長】 ありがとうございました。ほかの、さっきちらっと言ったような教育系学会でも、職員の人が発表していたりとか、すごく重要だと思います。
ありがとうございました。大変活発な質疑応答ができて、また、特別委員の皆さん、本当に遠いところ御参加をいただいて、文部科学省まで来ていただいて、本当にありがとうございました。充実した2時間になったなというふうに思います。
特別委員の皆さんには、次回は秋ぐらいか冬、ちょっと寒くなってからかぐらいにまた会議にお越しをいただきたいと思っています。大変でしょうけれども、またお越しいただけたらありがたいなと思っています。
特に6名の学生の委員の皆さんには、今回は御自身の経験とか自分の学びということを発表していただいて、本当に勉強になったんですけど、一応、国全体の、特に地方大学全体のことを議論していく会議なので、今度はなるべく早めにお題なんかも共有したいと思いますけど、周りの先生とか、友達とか、あるいは関わった地域の人とかに少しいろいろ聞いてきてみてというか、少し全体的なお話、地方大学ってというお話に、御意見をいただけたらありがたいなと思っていますので、そのときまたよろしくお願いしたいと思います。
それでは、本日の議題は以上になります。次回の日程等について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【石川地域大学振興室長】 本日は、委員の皆様、また、特別委員の皆様、ありがとうございました。
次回は、6月10日10時から開催を予定しております。また、第3回目は、7月31日に開催予定としております。
本日、御都合で発言できなかった内容がございましたら、事務局宛てに何なりとお申し付けいただければと思います。
以上でございます。
【大森座長】 それでは、本日の議事は終了いたします。皆様、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
―― 了 ――
高等教育局大学振興課地域大学振興室