令和7年7月31日(木曜日)10時00分~14時00分
ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴はWebのみ
(座長)大森昭生座長
(委員)縣修、田中マキ子、中村和彦、廣瀬克哉、藤岡健、山内清行 各委員
(特別委員)冨田珠代特別委員
長尾洋吉早稲田大学Office of the Global Citizenship Center課長、清水遥人氏(早稲田大学卒業生)、高橋若木大正大学地域創生学部地域創生学科准教授、小山琴帆氏(大正大学卒業生)、椋一輝氏(大正大学学生)、豊田ちな氏(大正大学学生)
先﨑審議官、石橋大学振興課長、石川地域大学振興室長、廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課長、三木私学部私学行政課長
高木経済産業政策局産業人材課室長
【大森座長】 皆さん、おはようございます。座長の大森でございます。定刻となりましたので、第3回地域大学振興に関する有識者会議を開催したいと思います。本日も大変お忙しい中、また暑い中、お集りいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日の会議ですけれども、第1部と第2部が用意されていまして、第1部は10時から、少し前後するかもしれませんけれども、11時半ぐらいまでとして、特別委員との意見交換ということにしたいと思います。それから、都市部の大学と地方との交流などについても議題にしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
第2部については、12時半ぐらいから14時までとして、地域大学振興に関する今後の取組等について御議論をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず事務局から、委員の出席状況と配布資料について確認、説明をお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 本日は、7名の委員の皆様に御出席いただく予定でございます。
また、本日は、特別委員といたしまして、冨田委員に御出席いただいております。ありがとうございます。また、オブザーバーといたしまして、総務省、経済産業省の方に陪席、オンラインでも見ていただいているというところでございます。
加えて、議題(2)でございますけれども、都市部と地方との交流ということで、早稲田大学、大正大学の関係の皆様にもオンラインで御参加いただいております。
また、事務局でございますけれども、令和7年7月15日付で幹部の人事異動がございまして、合田高等教育局長、先﨑大臣官房審議官が着任しております。よろしくお願いいたします。
本日、先﨑審議官に御出席いただいておりますので、一言御挨拶させていただければと思います。お願いします。
【先﨑大臣官房審議官】 座って失礼いたします。審議官を拝命いたしました先﨑でございます。
2週間前まで、科学技術・学術政策局というところで、産学官連携スタートアップ、あと、J-PEAKSと呼ばれる地域の研究大学がいかに地域と一緒になって地域を元気にしていくかみたいな仕事をしておりました。今回、より広いエリアで、もっとより広い視点で地域大学振興ということに携わらせていただくことは大変ありがたく存じ上げます。やはり地方が元気にならないと、今は東京に人口の一極集中が進んでいるようですけれども、やはりそれでは駄目で、地域をいかに元気にしていくか、地域の人口をどう戻していくか、定着させていくかということについても、ここでしっかり勉強させていただいて、政策に生かしていきたいというように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 では、配布資料でございますけれども、次第に記載のとおりでございます。また、文部科学省のホームページにも掲載しております。
6月10日に実施しました第2回の会議の議事録につきましても、運営要領に基づきまして、ホームページに公開しております。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
それでは、早速、本日の議題に入ってまいりたいと思います。本日は、労働界から、冨田特別委員に、地域大学振興に関する取組、御提案等について、5分程度、御発表を行っていただき、その後、20分程度を意見交換とさせていただきたいと思います。
それでは、冨田委員、お願いいたします。
【冨田特別委員】 改めまして、皆様、おはようございます。ただいま御紹介いただきました日本労働組合総連合会、連合の冨田でございます。
本日は、このような場で私たち連合の意見を表明する機会をいただき、感謝申し上げます。
連合は、組合員700万人の労働組合のナショナルセンターで、働くことを軸とする安心社会を目指して政策制度要求を取りまとめており、本日は、働く者、生活者の立場から意見を申し述べたいと思います。
それでは、お配りしている資料の2ページ目を御覧いただきたいと思います。
連合は、目指すべき社会像として働くことを軸とする安心社会を掲げ、働くことに最も重要な価値を置き、自立と支え合いを基礎に、誰もが公正な労働条件の下で多様な働き方を通じて社会に参画できる社会をつくっていきたいと思ってございます。具体的には、こちらの絵の中にありますとおり、働く者の視点に立った5つの安心の橋を架ける政策パッケージを策定しておりますが、その1つが、学ぶことと働くことをつなぐ橋となります。この橋では、全ての子どもが学びたいことを学べる社会、学ぶ力を身につける教育、主権者教育の充実と学ぶ場と働く場を円滑に移動できる多様な支援体制の確立、を目指してございます。
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こちらは、この有識者会議の中でお示しされている資料でございますが、この資料の一番下、この会議の中で重視すべき観点として示されている論点のうち、本日は、教育研究の観点、それから学生への支援の観点、そして社会の中における機関の観点、この3つに絞って意見を申し上げたいと存じます。
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課題の1点目は、学生への経済的支援の充実でございます。
修学後の職業能力や稼得力に大きな影響を及ぼす高等学校や高等教育への進学を、家計の状況によって諦めざるを得ないケースが一定数ございます。こうした家庭の貧困は、教育機会の不均衡を通じて、子へと引き継がれる貧困の連鎖の要因となっていることが指摘されてございます。特に、日本の国公立の高等教育にかかる費用は、先進国でも上位に位置しておりますが、高等教育資金の約半分が家計から拠出されており、これはOECD平均の19%をはるかに上回っております。一方で、公費負担はOECD平均の半分程度にとどまってございます。
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労働者福祉中央協議会が昨年6月に実施しました高等教育費や奨学金負担に関するアンケート調査結果によりますと、どの世帯からも高等教育の公費負担の拡充を求める声が上がってございますし、家計で負担できる学費の中央値は、現在の国立大学の授業料を下回った状況となってございます。
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今申し上げました状況から、学生が奨学金を利用して大学などに進学する際の割合が45.2%に上っており、卒業後の奨学金返済の負担が、結婚、出産、子育てだけではなく、日常的な食事や医療機関の受診控えにもつながってございます。日本の将来を支える子供たちが学ぶことを諦めたり、負債を抱えたまま社会に出ていくのではなく、全ての子供たちが学びたいことを安心して学べる社会を実現するためにも、未来への投資として、高等教育の無償化を進めていく必要があると考えてございます。
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課題の2点目が、社会との接続・連携強化です。
働く場と学ぶ場を行き来しながら学び続けるには、環境整備が不可欠でございます。内閣府が実施した令和4年度の生涯学習に関する世論調査によりますと、社会人が大学などで学習しやすくするために必要な取組は、学費など経済的支援、仕事、家事、育児、介護などと両立しやすい短期プログラムの充実、土日祝日や夜間など開校時間の配慮が上位を占めてございます。こうしたことに応えるためにも、編入制度の弾力化や夜間大学院の拡充など、社会人受入体制の拡充をいただくとともに、リカレントや学び直しなど生涯学習プログラムの推進、政治参画意識や地域の課題の解決に自ら参加する意識の醸成など、主権者教育の充実にも取り組んでいただきたいと考えてございます。
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課題の3点目は、教育研究の充実と人材育成を核とした地方創生でございます。
右下に経済産業省の資料を入れさせていただいてございますが、経済産業省の2040年の就業構造推計によりますと、職種間・学歴間によりミスマッチが発生するリスクが指摘されてございます。このミスマッチを解消していくためには、我が国にとって重要な分野や技術を国が明確に示した上で、産官学が連携して戦略的に高等教育段階から人材育成を行っていく必要があると考えてございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。
こちらも経済産業省の資料から抜き出させていただいておりますが、あわせて、各地域で、今、DXやGXなどの技術革新に向けた産業投資が行われてございます。この産業投資と連携した研究科目を充実させることで、産業の付加価値向上や人材育成を促すことができれば、地方からの人材流出防止や産業構造転換に対応する中小企業などを支援する体制構築にもつながると思っておりますので、こうした観点での拡充をぜひ御検討いただけると幸いでございます。
以上、3点申し上げましたが、御検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございます。大変貴重な御意見を頂戴したと思っております。
それでは、ここから、今の御意見を基に意見交換をしていきたいと思います。御質問でも結構ですし、それぞれ、今、お聞きして感じた意見でも結構です。何なりと、どなたからでも結構です。挙手をいただければと思います。いかがでしょうか。
【山内委員】 日本商工会議所の山内です。御説明ありがとうございました。
いただいた資料の中で、社会との接続・連携強化のところで最初に書いてありましたが、今私どもも、経営者に対して、学び直しやリカレントの取り組みに関する実態調査を実施しているところです。大学にとっては、社会人の学び直しが参入しやすいというのであれば、我々も応援していく必要がありますし、企業側も、就職しても大学に行きやすいような環境をつくっていくことも大事です。社会人も大学生もですが、どういった勉強をするとどういう職に就けるのかといったキャリアパスをきちんと地域で企業が大学や大学生に見せていかないといけないと思っています。今、大学などの教育機関と我々産業界とで、コミュニケーションがなかなか取れていないと感じています。連合さんからも、例えば、今、足りないと言われている技術職のキャリアパスを積極的に提示していただきたいと思います。特に女性にとっては、時間のコントロールも効いて、子育てなどとの両立を実現できる非常にいいキャリアパスではないかと思います。そのような様々な選択肢を提示できると、学生側も、社会人で学び直した人も、こういう力をつけて、こういう職種について、しっかりした賃金も取っていこうという、将来像が見えてくると思います。今、地域でそれらのキャリアパスの提示が足りないのではないのかと考えているところですが、この辺のところは、連合さんから御覧になって、どうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
【冨田特別委員】 私どもも全く同じ課題意識を持っております、連合には、47の地方連合会がありますが、教育から就職につなぐところの就職先がないなど、いろいろな事由があります。学生の皆さんの目指す先が、どちらかというと、首都圏の東京にある学科になることが多いんですけれど、本当は、地域にも学びたい学科がたくさんあって、その学ぶところから地域の雇用につながることができれば、もっともっと地域に人材が残りますし、そのためのキャリアパスを学びの中から受け取れるような環境が必要だと思っています。
今日は、高等教育と企業をつなぐ橋をきちんとつくりましょうという資料をお持ちしているんですが、我々、実は、もう1つ前、高等学校のときに、地域にどんな学びの場があるのかを知れる機会がたくさんあると、恐らく学びたいものを選び取る力もそうですけれど、学ぶ先を自分で描いて、東京一択ではなくて、自分の身の回りで、地域のために、もう一度地域に貢献もするような、そうしたものができるのではないかと思っています。高等教育も大事ですが、高等学校と高等教育をつなぐ連関とかコミュニケーションみたいなものも増やしていく必要があるのではないかなと思っています。
【山内委員】 最近、小・中・高からのキャリア教育に関する商工会議所への依頼は非常に多い一方で、大学からの依頼は、少し停滞ぎみの状況です。ですが、今おっしゃられた小・中・高と大学、社会との接続は、単にキャリアセンターで支援するよりも、我々地域の商工会議所が参加することで、もう少し厚みがあるような感じになると、勉強する人も非常に学びのところもやる気になるかもしれないので、今後、支援していきたいと考えています。
【冨田特別委員】 おっしゃるとおりだと思います。
キャリアパスを学科の選択だけではなく、その先にある就職も見据え、労働教育でワークルールについてもきちんと学んでいただいて、社会に出たら、どんな環境で働くのかということも想像しながら、学校を選べるようにしたいと考えておりまして、ワークルール教育を、ワークルール推進法みたいなものをつくっていただいて、働くために必要な知識と、実際に就職したときに、どんな働き方ができるのかを、小・中・高・大、様々な教育の過程で学んでいただく機会をつくりたいと思い様々働きかけを行っているところです。
【山内委員】 プラットフォームをつくられるという話ですが、就職しても3年とか4年、5年で辞めてしまわれるので、しっかりと腰を据えて働いてもらえるような対応策をプラットフォーム内で議論できればいいと思っています。
【冨田特別委員】 一緒に協力してやらせていただけたらありがたいと思います。
【大森座長】 ありがとうございます。
すみません。座長で申し訳ないんですけれども、今、高校教育が大事だと、だから、実は地域大学振興を考えるときに、地元高校との接続というのはすごく大事なところで、どうしても産学官金の話が中心になってしまうんだけれども、実は私もそう思っています。
でも、今、高校で探究活動が始まっていて、地域研究がかなり、いわゆる進学校でも地域を研究するということ、例えば、群馬なら前橋高校も前橋研究が始まっているんですけれども、そういったことがすごくチャンスで、そこに大学の力はすごく活用されているんです。なので、ちょっと手前みそですけれども、うちの大学で十数年前に地元就職率4割ぐらいだったんですけれども、そこからしっかり地域との教育プログラムをつくってきたら、今、7割、8割なんです。だから、知らないということを学びの中で解消していくと、かなり定着していくというふうに思っているし、たとえ東京へ出ても、帰ってくる率が高まるはずだと思う。
その辺り、山梨では、山梨ファンなので突然話を振ってしまっているんですけれども、全体の取組の中に全高校を組み入れていますよね。
【中村委員】 まあ、そうです。
【大森座長】 ですよね。もう高校から垂直人材育成ということをうたわれていて、それが1つポイントかなとは思っています。
あと、キャリアパスのことについて言うと、地方のいろいろな業種の企業さんがあって、でも、人材需要の1個1個は小さいんですよね。この技術を学べばという学科をつくるところまでいけないみたいなもどかしさが実はあるなと思っていて、これは地方大学だけではというか、なかなかそこは難しいところは、正直感じているところはありますね。
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
【田中委員】 貴重な御発言、ありがとうございました。
今のキャリアパスとちょっと似た、その延長線上ですけれども、学ぶ意欲とか学び直しということはとても重要ですが、その後の受皿での評価というか、処遇の改善とか、あるいは、それこそ職位が上がるとかというようなところがセット、つまりは、学び直したことがどのように評価されて、また個人にフィードバックされるかという、その受皿側の整備というか、体制も考えていかないと、好循環していかないと思うんです。大学等々は、ニーズがあれば、夜間の大学に特化するとか、土日も開校するというのは、そんなに難しいことではなくて、ニーズさえあれば、そこは門戸が開けていけるんですけれども、雇用者側へのアンケートとか、雇用者側の実態とかというのは、連合さんのほうで、何かデータとしてお持ちなのか。あるいは、そういうプッシュというところは何か御検討されているのか、そこを教えていただきたいんですが。
【冨田特別委員】 ありがとうございます。
厚生労働省のほうに職業開発能力を研究する審議会があって、まさにその審議会の中で、連合からは、今おっしゃっていただいたような、リカレントをして学び直した内容が、次の就職につながり、学び直したことがきちんと処遇につながるような、そうした連関をしていかないといけないと申し上げています。学び直しても、よりよい働く環境に異動していけないのであれば、何のために学び直すのかという根拠がなくなってしまいます。かつてジョブカード制度を普及させたいという話もしていたんですが、学び直しの機会がジョブの積み上げにつながれば、当然のことながら、積み上げたジョブをどう評価するのかという制度も同時につくっていく必要があると思っています。
今、DXとかGXとかで、どうしても地域の産業が転換せざるを得ないような状況になっていて、大企業であれば、企業の中で学び直しの機会やリスキリングの機会があるんですけれど、地域を支えていただいているのは多くの中小の企業の皆様方で、中小の企業の皆様方が、自社だけで学び直しやリスキリングを実施するのは難しいので、そこは地域の大学と連携し、リスキルしたジョブが、よりよい次の新しい評価につながって、身に着けた付加価値で処遇も上がるし、中小の皆さん方も新しい戦力を入れて、さらに付加価値を上げていける、こういう好循環を回していくことが非常に大事だと思っています。
【大森座長】 ありがとうございます。
【山内委員】 規模の大きい企業は、学び直しのために大学へ進学してその後戻ってきたとしても組織内である程度融通が利くかと思います。しかし中小企業は、人員が限られておりますので、なかなか難しいです。
地域の人事部、地域の人事評価、中堅企業でも4割の企業が人事専門の人材を持っていない状況ですから、地域でそのようなところをプラットフォームで補完して、中小企業においても、例えば、博士や修士を持っている人が入ってきたら、プラスアルファの手当をつけるなど博士や修士の取得を後押しできる体制が構築できればいいと考えています。まだそういうところが醸成されてきていないと思いますが、これから地域の稼ぐ力を伸ばしていくということであれば、大学の力を借りながら、中堅、中小は、ある程度、固まってやっていくということが必要になってくるかと思います。ただし、中小企業は受け入れる側で、体系が整っていないのがまだ現状だと思います。
【大森座長】 前橋で、今まさに商工会議所と市と大学で一緒に、プラットフォームの中で、リスキリングというよりも、次世代経営人材ということでミニチュアビジネススクールを土曜日開校でやっているんですけれども、3年目になるんですけれども、やっぱり企業さんに出してもらうのが大変。企業さんのためにやっているんだけれども、生徒募集が大変みたいなことがやっぱりまだまだあるんですよね、企業さんのほうでなかなか出し切れないという。今、ソリューションがあるわけではないんですけれども、ありがとうございます。
お願いします。
【藤岡委員】
当方のプラットフォームでも、大学の教育リソースを活用して、地元の企業、特に中堅や中小企業の従業員あるいは経営者の方々にとって必要なリスキル、リカレント事業に取り組んでおりまして、これは文部科学省の助成も頂きながらやっており、今年で3年目になりますが、企業サイドのニーズや本音をつかむのが非常に難しいという課題があります。総論では、リカレント、リスキリングが必要だという話なのですが、実際のところ「何を学んだらよいのか」「従業員に何を学ばせたらいいのかとか」といった各論になると、企業側も明確な答えを持っていないことが多く、そこは個別に、丁寧に、企業側とコミュニケーションを図り、探っていくしかないと感じています。
例えば、「多文化共生」という一般論ではなく、「ラインで働く外国人の従業員と日本人の従業員とのコミュニケーションがどうしたらうまくいくのか」といった具体的な課題があり、異文化コミュニケーション等の専門の先生による実践的な話を聞きたいというニーズが上がってきます。つまり、総論よりも各論が重要で、かつ、企業ごとに異なるニーズをいかに的確にすくい取っていくかが課題であり、そのために必要となるのがコーディネート機能だと感じています。
また、もう一つの課題は、リカレント教育に適した教員であるとか、適切なプログラム、大学が提供するプログラムをそのまま当てはめるわけにいかないので、「既存のプログラムの中に応用可能なものはないか」「新たに設計すべきか」といった調整が大学側と必要になってきます。企業と大学の双方と密接に、うまくコミュニケーションを取りながら、両者の要望を丁寧にすり合わせていくことをやっています。
この3年間の取組みを通じて、強く感じたのは、適切なコーディネート機能が成果を左右するということです。例えば、兵庫県中小企業家同友会が、会員向けに実施している研修事業として経営者大学という取組みがあるのですが、従来は外部の有識者の方を講師に招いてやっておられたのですけれど、我々が、同友会の意見などを丁寧に確認しながら、大学とコミュニケーションを取り、適切な大学教員を紹介し、プログラムを実施したところ、大変好評を頂きました。この例でも明らかなように、大学と企業との間に立って調整できるコーディネート機能が、産学連携の実効性を高めるうえで一番重要だと感じています。
【大森座長】 まさに、この会議にふさわしい御意見だと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
お願いします。
【縣委員】 今の関連で。私のところで、以前、高等学校の関係で事業所にアンケート調査をしたことがありまして、そういう中で、どういう人材を求めているかと。特に中小の小に近い方の企業だと思うんですけれども、そういうことを尋ねたところ、具体的にどんなスキルということではなくて、要は、やる気があるとか、コミュニケーション能力のある人が欲しいと、そういう意見もかなり多かったのは事実ですので、リカレントということであっても、今お話があったように、企業でどういう人材を求めているかということをよく酌み取ってやらないと、本当に掛け声だけになってしまうなという印象は持っています。
それから、連合さんの方で、学ぶことと働くことをつなぐということで取り組んでおられるということでした。資料の中でも、ミスマッチの話がございましたけれども、この会議の中でも、前回もエッセンシャルワーカーの議論がありました。求人は非常に多いんだけれども、大学の定員は、5割、6割というような状況があるということで、大学の方でも学ぶ受け皿は用意しているんだけれども、なかなか学生が集まらないというところが、現実、介護とか、保育とか、あと、これから必要になるであろう建設のところとかあると思うんですけれども、その辺り、ミスマッチ解消のために、労働団体側からはどういう具体的な、こういう改善をしていくべきではないかというような、企業に対して、あるいは大学に対してでもいいんですけれども、何かお考えがあれば教えていただきたいなと思います。
【冨田特別委員】 ありがとうございます。エッセンシャルワーカーの方が、人手が不足しているのになかなか集まらない一番の要因は、我々労働側のサイドから見ていくと、全産業平均で見たときに、エッセンシャルワーカーの皆さん方の処遇が平均よりも低いという実態がありますので、まずはその産業自体の処遇を上げて産業を魅力ある職にしていくことが、大事だと思っています。
当然、春の時期には、団体交渉を通じて賃上げ交渉を行いますが、エッセンシャルワーカーの、例えば保育、医療、看護は、公的価格で処遇が決まってしまうということもありますので、国のほうで公的価格も見直していただき、産業全体の底上げを図っていくことが大事だと思っています。
あともう1つ考えられるのが、地域で社会対話の場をつくって、我が地域、我が県とか、我が市町でも、どういう単位でもいいんですけれども、産官学金労言の皆様方が集まって、我が町、我が市、我が県は、この先どういうような地域にしていくんだという、その社会対話の場をつくっていただいて、その社会対話の場で様々な政策の方向感を複数のシナリオをつくりながら持っていただけたら良い方向にむかうのではないかと思っています。
そうすると、何を学ばなければいけない、我が町、我が市で、この先、生きていくのであれば、どういうような教育を用意すればよいのかどんなキャリアパスをひけるのかを地域の中で、共有できる仕組みも要るのではないかと思っています。
先ほども申し上げたんですが、様々なミスマッチ解消のためにも、今後必要となる技術や知識はどんなものが大事なんだということを、国が一定程度目星をつけてきちんと明らかにし、それをどこが支えていくのかを社会対話の場を通じて政策議論をしながら取捨選択をしていく、そんな形で進めていきたいと思っています。なかなか実態が伴っていないので、理想だねと言われてしまうとそうなんですけれど、そんなことができたらいいなと考えています。
【大森座長】 ありがとうございます。
まさに、この文部科学省でも考えているプラットフォームがそういう役割を果たしていけばいいなと思っていますけれども、予測困難な時代と言われている時代なので、どこまで予測できるかというのも難しいんですが、できない、できないと言っていてもしようがないのでというところはあるかなと思います。ありがとうございます。
次の議題もありますので、お話の中で、すっといきましたけれども、大事だなと思っていたのは、これから議論になるのかならないのかはあれですけれども、高等教育の無償化の話もあって、これは大学を救うという話よりも、少子化対策として非常に重要だと思っていて、自分は大学を出ているのに子供に通わせられないという社会に今なりかけているわけで、そうすると、やっぱり産み控えるということは当然あるので、ただ一方で、地方大学の観点からすると、私は、どちらかというと無償化は賛成なんですけれども、しかし、より東京に行きやすくなるという観点も出てくるというところとかもあるので、いろいろなことをもうちょっと組み合わせた政策でやっていかなければいけないかなと思いますけれども、それもありかなと。
それから、リカレント、短期間のニーズがすごく強いというのも、これ、私も前から言っていて、ところが、短期間リカレント履修者を大学が受け入れても、あまりメリットはないんですよね。それは、受講料ぐらいは頂けるけれども、それが定員確保にはつながらないので、結局、私学助成とか申請ができないとなるので、知の総和答申の中にもすっと入っていて、まだどこでも議論できていないと思うんですけれども、そういうパートタイム学生もどういうふうに学生とカウントしていけるのかみたいなことの、各大学にインセンティブをつけないと、短期プログラムをつくる大学側のメリットも実はないというところもあって、今日、大事なポイントを言っていただいたと思って、ありがとうございます。
すみません。言いっ放しで次に移りますけれども、ありがとうございました。
冨田委員におかれましては、本当にありがとうございます。ぴったりに収めていただいたこともありがとうございます。この後の会議でも大所高所から御意見をいただけたらありがたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、議事を進めてまいります。続いて、都市部の大学と地方との交流について、早稲田大学、それから大正大学の取組を例に挙げて議論をさせていただきたいと思います。今日は、わざわざ御準備をいただいています。本当にありがとうございます。
まず、早稲田大学から、職員、卒業生の方からお話をお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【長尾課長】 お時間をいただきまして、ありがとうございます。早稲田大学のGCCオフィスの職員の長尾と申します。
本日は、都市部の大学と地方の交流ということで、本学の取組を、一例ではございますが、御紹介させていただきたいというふうに思います。
まず、本学の創立者で初代総長の大隈重信の言葉を紹介させていただきたいんですが、「一身一家一国の為のみならず進んで世界に貢献する抱負が無ければならぬ」という理念を唱えておりました。これは本学がもともと社会や地域で貢献する人材を育てるということを大学の使命の一つとして考えていたことの表れかなというふうに思います。
先ほどの理念の一端といたしまして、本学の地域連携の人材育成の概要について御説明をいたします。
左側の高等学校から始まって、入試、また大学の在学中の学び、そして最後、社会に出ていくという、高校から社会に出ていく一連の大きな流れを示したスライドになります。
一番左の高等学校のところなんですが、先ほどもありましたが、高等学校で探究学習がいろいろ広がりを見せております。そういったところで、生徒さんたちも地域に関心を持つという機会が増えているかなというふうに思います。
そういった生徒さんも1つのターゲットといたしまして、後ほどまた御説明するんですが、地域探究・貢献入試という入試制度を本学では展開しております。その入試を経て入学した学生は、在学中に、所属学部での学びに加えて、地域に関する学びを、成果も課外活動も、共に豊富に用意しております。とりわけ地域に関する学びの部分、2024年度からこれらの学びを1つの副専攻という形で立ち上げているということも1つの特徴かなというふうに思います。こうした学びを経た学生たちが、社会に出た後も、たとえ首都圏に就職したとしても、問題意識や課題の解決意欲などをもって地域社会の発展に貢献できる人材として活躍していくということを期待しております。
では、先ほどの一連の流れの入試の部分を御説明したいと思います。いわゆる大学の入り口の部分です。ここでは、特徴的な入試として2つ御紹介したいと思います。
左側が地域探究・貢献入試、旧名称では新思考入試(地域連携型)というものでございます。こちらは、地域課題の解決に意欲のある学生、受験生を対象に、全国から募集をしておりまして、御覧の幾つかの学部で導入されている入試制度になります。
特徴としては、左下の赤字の部分ですが、入学時に、その入試形態で入学した学生を集めて個別にオリエンテーションなどを行いまして、入学者同士のコミュニティ形成を支援したり、在学中も定期的に面談をいたしまして、入学当初の志を維持できるように、個別面談などを行いながらサポートを行っております。
また、初年時に必修科目を個別に指定したり、所定の課外活動への参加なども強く推奨しております。
他方、右側の地域探究・貢献入試(北九州地域連携型推薦入試)というほうなんですが、こちらは本学の基幹理工学部という学部が行っている北九州地域の高校を対象とした指定校推薦入試の1つでございます。
特徴は、入学当初は東京のキャンパスで学ぶのですが、4年時になってから本学の北九州キャンパスで学ぶというカリキュラムになっておりまして、そのまま北九州キャンパスにある情報生産システム研究科という大学院に進学することを前提としたカリキュラムというふうになっております。
先ほどの左側の入試のほうで入学した学生と定期的に面談をしておりまして、その中で拾った声になります。時間の都合上、全ては読み上げることができないんですが、就職先が、たとえ首都圏であったとしても、地域に対する課題意識をしっかり持って就職していく、ゆくゆくはやはり地域に貢献していきたいという、そういった思いを持って卒業されている学生が多いかなというのが印象でございます。
こちらが入学後の、在学中の学びのことになります。こちらは2024年度から新設した副専攻の御紹介なんですが、地域と連携するということを通じて地域貢献を果たすという副専攻、そういう趣旨になっております。
中身としては、理論的なアプローチと実践的なアプローチ、これを往還しながら、行ったり来たりしながら学んでいくということが軸になっておりまして、具体的な科目名を見ていただくと何となくイメージが沸くかなと思うんですけれども、もう1つ特徴的なのは、グレーの「a:基礎領域」というところです。単に地域連携の側面を学ぶだけではなくて、「人間的力量」というものも学ぶ構成になっている。この「人間的力量」という用語は、本学独自の用語なんですけれども、どのような場所であっても、どのような地域であっても、多様な価値観の中で人々をリードして幸福の実現を目指していく、そういった強い意志を持っていくような概念でございます。
下のほうにあるシンポジウムなんですが、昨年10月に、この副専攻の新設を記念したシンポジウムを開催しまして、首長や産業界の専門家のみならず、実際に地域活動を展開されている学生にも御登壇いただきまして、多くの方々にお集まりいただきました。
先ほどの副専攻の1つの単位にもなるんですが、本学で展開している課外活動として、地域連携ワークショップというものを御紹介したいと思います。
このプログラムは、夏休みや春休みの期間を使いまして、学部や学年関係なく集まった学生たちに5人1チームを組んでもらいまして、自治体からいただいた課題に対して、2か月間、学生が提案を考えていくというワークショップでございます。
具体的には、自治体からいただいたテーマに、各チームが自主的に調査や研究を重ねながら、途中3泊4日の現地のフィールドワークを必ず組み込み、そこで直接地域の景色ですとか、文化や産業、空気に触れながら、また、地域住民や関係者の方々、さらに首長にもお出ましいただいてヒアリングをさせていただいています。最終的には、2か月間、学生たちが考えた提案を首長に対して直接提案をさせていただいて、直接フィードバックを頂戴するというものになっています。学生提案が実際に自治体の新規事業に取り入れていただいたようなケースもあるなど、非常に評価もいただいておりますし、学生たちにとっても非常に貴重な経験になっております。
なお、現地のフィールドワークが大きな山場というか見せ場なんですけれども、そこの滞在費は学生の自己負担が原則になっています。ただし、一部自治体によっては、補助を頂戴したり、あるいは、自治体からすると、現地フィールドワーク中のヒアリング先の調整ですとか、宿泊先の確保などでいろいろ動いていただいておりまして、そういった自治体の方々の御負担も高いものかなというふうに思います。この辺、大学にとっても、自治体にとっても、継続可能な運営方法は1つの課題なのかなというふうに思います。
こちらは、去年、2024年度に行った地域連携ワークショップの自治体と、いただいたテーマの一覧になります。後ほど御覧いただければと思います。
先ほどの地域連携ワークショップなんですが、学生の能力変化について追跡調査を行っています。御覧のとおり、事前と事後で、ワークショップの参加前と参加後では大きく力が伸びているということが分かるかと思います。
このグラフには表せていないんですが、実は、この参加後の赤い実線のほうの数値は、本学の2年生の平均値を上回っていることになっておりまして、ワークショップが教育的な効果としても大変高いものであるというふうに考えております。
こちらは、地域連携ワークショップに参加いただいた学生たちの声になります。少し赤字のところだけ御紹介したいと思うんですが、「地方創生とは何かを考えるきっかけになった」ですとか、「自分たちが何ができるか強烈に考えさせられた」、「現場の声に触れることで、研究や将来の方向性にも新たなヒントが得られた」、「地域の実情を知り、自分たちで解決策を考えるという活動は、とても楽しかった。と同時に、生半可なものではいけないというプレッシャーもあった」。「地域の課題解決には住民との対話や多様な視点が欠かせないことを実感した」等々の声をいただいております。地域に対する思いはもちろん、地方創生という切り口をはじめとして、ネットやテレビで知る地域課題を非常に自分事として捉えるようになったと、そういった学生の意識の変化が見られるかなというふうに思います。
こちらは、連携させていただいた自治体の方々のお声になります。赤字のところだけですが、「関わろうとしてくれる学生を創出できた」ですとか、中には「ワークショップの延長として継続して取り組みたいとの意欲的な声も聞かれた」、「地域にとっても大学生が来ることによる影響はとても大きい。住民が大学生と交流するという非常に価値のある機会をいただいて、関係人口の創出にもつながった」、「導入しやすい提案で、費用の面でも自治体の実情に即していてよかった」などのお声をいただいております。学生たちの提案に対する評価ですとか、関係人口の創出につながったという御実感をいただけたのかなと思うんですが、多くの自治体は、単年度で終わるものではなくて、複数年連携いただくケースがほとんどでございます。そのことからも、高い評価を頂戴できているのかなというふうに思います。
ちなみに、こういったワークショップに参加した学生が、ワークショップが終わった後も引き続きその地域と関わりたいということで、大学の中で自主的にサークルを立ち上げたりとか、中には、卒業後に、キャリアの途中で、その地域に惹かれて移住したというような学生もいるやに聞いております。
最後に、ボランティア活動を通じた地域連携の御紹介でございます。
本学では、多様なボランティア活動を展開しております。様々な地域に足を運んで、地域の校友、これは卒業生という意味なんですが、卒業生の方々とのネットワークなども通じながら、学生の成長の機会を頂戴しております。学生の活動費は、原則自己負担ではあるんですが、一部大学から活動費用の補助を行っているという場合もございます。
時間の都合上、すみません、本日、少しダイジェスト的になったんですが、詳細につきましては、本学のサイトにも掲載しておりますので、御参考までに御紹介いたします。
本学といたしましては、引き続き地域の皆様から学ばせていただきながら、その学びを様々な形で還元したり発信したりできるように、地域の皆様と連携しながら今後も取り組んでまいりたいというふうに思います。
御清聴ありがとうございました。以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
それでは、清水さん、よろしくお願いします。
【清水氏】 御紹介ありがとうございます。それでは、私のほうから、大学時代の活動だったり、それがキャリアみたいなところにどう影響したかというお話を、このような流れでお話しします。時間の都合上、かいつまみながら御説明させていただきます。
改めまして、清水と申します。私は、東京生まれ東京育ちだったんですけれども、今年3月に早稲田大学の社会科学部を卒業して、ここで先ほど長尾さんから御説明があった副専攻「地域連携・地域貢献」を修了しました。同年4月に大日本印刷株式会社に入社しまして、現在、福岡で勤務しております。
まず、大学時代の活動なんですけれども、これが全体的な一覧になっていまして、次のスライドでポイントなどを書いてみました。正課だったり、正課外、学外、いろいろな形で関わっていることがお分かりいただければ幸いです。例えば、産官学プロジェクトなどは、文部科学省の事業が社会科学部で採択された中で、産官学連携による地域活動を行っていたりしました。
ポイントとして、次のスライドに2つ書いているんですけれども、1つ目が、先ほどお話ししたとおり、正課だけではなくて、課外活動だったり、あるいは学外にもいろいろな地域と関わる場があって、学生それぞれにニーズというか、思いの違いみたいなものがあるので、それぞれに合った入り口があるというのが非常に重要なことの1つかなというふうに思いました。
もう1つのポイントが、卒業後に継続できるかどうかというところで、やはり先ほどお話で大学と社会の接続みたいなところもありましたけれども、どうしても大学という限られた枠の中で終わってしまう活動も多かったりする中で、ここをどのようにデザインしていけるかということもポイントかなというふうに思います。
では、そういった学びが私のキャリアにどういう影響をしたかというところで、1つ目が、これも先ほどお話があったんですけれども、やっぱり地域というのはすごく実践、現場の宝庫で、どうしても大学の座学の講義とかだと理論が偏重になりがちな中で、いろいろなことをアウトプットしてPDCAができるというのは、すごく社会でも生きてくることであり、同時に、机上の空論ではなく実態、現場というところに寄り添うというような学びも、私の中ですごく大きなものでした。
もう1つが、ここに書いてあるとおりなんですけれども、やはり今までにない価値観、歴史、背景、生活に触れる中で、自分と違う他者との協働や他者視点、あるいは多角的な思考みたいなところも、地域で活動する中で養われたかなというふうに思っております。
社会では、まさに現在求められているダイバーシティ・インクルージョン、あるいは共創みたいなところにつながるという意味で、地域での活動は意義が深かったなというふうに思います。
そういった学びの中で、ここに書いてあるような軸が私の中で出来上がっていった上で、今の会社を選んで、現在、働いているというふうになっています。
個人的には、ただ地域で活動していればこれが得られたかというと、そこから意味づける力というのは別に必要になってくるかなと思っています。先ほどの議論でもあった通り、要するに、地域で活動すると何が学べるのかとか、何が得られるのかというのは、結構、学生個人個人の裁量によってしまっている部分は、もう少しガイドじゃないですけれども、それこそコーディネーターみたいな存在があると、より学びのクオリティは高まっていくようには感じていました。
今後の活動については、先ほどお話ししたとおり、卒業後も幾つか継続して活動できている部分があって、それが上段3つなんですけれども、これは引き続き続けていきたいと思う一方で、やはり社会人になった以上、東京以外で勤務ということも、地域で活動していなかったら志望することはなかったなというふうに思いつつ、会社のリソースを活用して地域課題解決に取り組むといったことも今後していけたらなというふうに思っております。
ただ、その中で、社会人になってできるようになること、できなくなることみたいなところもあるのかなと思っていて、それが今現在は、繰り返しになりますけれども、個人個人の裁量によるというか、個人個人が何とかひねり出しながら考えているという状態ではあると思っています。例えば、地域連携・地域貢献という副専攻にしたことが直接的に仕事にそのままなるかというと、なかなか現在は難しい部分もあるというのが現状だと思って、それを修了し終わった人たち個人個人に任せるのではなく、社会全体として、どうそれをうまく生かせるように仕組みをつくっていくか、みたいなところは、自分の中でも整理しながら、今後、活動していきたいなと思っております。
発表としては以上になるんですけれども、以降に参考資料なども載せておりますので、よろしければ御覧いただければと思います。
御清聴ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございます。長尾課長、それから清水様、本当にありがとうございます。今度は大正大学からのプレゼンをいただいて意見交換なので、しばらくお付き合いいただければと思います。よろしくお願いします。
それでは、続いて、大正大学から、先生、それから卒業生の方からお話をお聞きしたいと思います。
高橋先生からでしょうか。よろしくお願いいたします。
【高橋准教授】 大正大学の教員の高橋です。よろしくお願いいたします。
画面共有をしてスライドを表示してお話をさせていただきたいと思います。大正大学地域創生学科の地域実習と地域回帰についてお話をさせていただきます。
大正大学地域創生学科は、「行動する経済学科」、「地域の価値創造」を掲げて、地域実習を広範に展開しております。2016年、地域創生と地域回帰を目指して設置しまして、卒業生が6期出ていて、今は2学科制になっております。
東京都豊島区西巣鴨の大学です。地方、120以上の自治体と連携して実習を展開しています。
クォーター制度を採用しておりますので、第3クォーターは地域実習のみを行っています。他科目は全てオフになります。
長期滞在型実習で、全ての学生が2週間から4週間、地方に実際に滞在する、そして首都圏実習も行うということの組合せを行っております。
近年、卒業生の地方移住者が増加してきておりまして、地域から入学生を迎えて、卒業生がその地域に回帰するサイクルを確立したいということを目指して展開しています。本日、この後、実際に地域から入学した学生の皆さん、それから、地域に戻ったというか、地域回帰した卒業生の方にもお話をいただきます。
本学のやり方として、大学法人と研究所が自治体と連携協定をまず結び、その後、学科が実習カリキュラムを策定しまして、そして各地域と連携して教育活動を行っているというシステムがあります。
カリキュラムの中で、まず、理論学習があります。経済学、その他の科目を学びながらフィールドワーク方法論や地域実習を3年間展開していく。そして、4年時に卒業研究をするという地域実習のカリキュラムとなっております。
大学法人、研究所による地域連携システムがあることが特徴です。学科のウェブサイトとは別に、地域構想研究所というウェブサイトがございますので、御覧いただきたいと思います。その中に連携団体自治体がございます。120以上ありまして、このリストがあって、その中から教員たちが学生と一緒に実習自治体を選び、そして活動を展開していくという2段階になっています。
では、3つの地域実習についてです。
4年間のステップアップで、まず1年目は首都圏実習に全員が取り組みます。巣鴨のキャンパスですので、日帰りできる範囲です。
2年目、3年目、地方実習になります。2年生が地方団体実習、3年生が個人テーマ実習です。
第3クォーターには、したがって、1年生の首都圏実習、2年生の地方団体、3年生の個人テーマ実習・地方、そして4年生が卒業研究をしているというような第3クォーターになります。他科目がありませんので、毎日、地域で活動をしています。
首都圏実習、前半、後半に分けて様々なプログラムを行っております。後ほど資料で詳しく御覧ください。
2年生実習が、いわゆる地方実習になります。現在、主要9地域です。各地に現地講師を配置しております。現地講師の先生は現地に住まれています。生活指導員も配置して、学生の安心を確保しています。
これらの地域で、地域資源の視察、広報や起業のレクチャーを受けたり、課題解決の提案を作成して、自治体の方にプレゼンテーションする等のことを行っていきます。
現在展開している2年生の団体で行く地域がこちらになります。今、非常に学生たちもウキウキ楽しみに第3クォーターを待っているところです。
運営体制としまして、学長、学部長、事務局長と自治体が、まず研究所と一緒に連携協定を結び、学科長・教務主任、学年担当教員が準備科目を行った上で学生を現地派遣し、現地には講師がいる、事務局がこれを支えるというような体制です。
3年生になりますと、ゼミごとに個人テーマを掲げて実習に行きます。経済的なイシューもありますし、コミュニティ面のイシューもあって、これは学生の多様な関心に応じて、現地の住民の方々と話しながら学生が課題解決、あるいは、こういったプロジェクトに取り組んでいます。
運営体制は、2年生と違って、3年生に関しては、現地講師を全地域に配人するのではなく、ゼミ教員が全て対応しています。ですから、ゼミ教員が真ん中にいるというところが先ほどの図との違いです。
したがって、1年生の首都圏実習、巣鴨教員が科目運営をしていて、科目運営費のほうも巣鴨教員が、学生の人数に応じて大学に申請して運営をしているということになります。2年生のグループ実習では、現地講師がおりますので、現地講師の先生が科目運営費を大学に申請して管理しているというような形です。3年生はゼミ教員が管理しています。
交通費、現地宿泊費、それから学生の活動費も含めて大学のほうで確保して拠出しています。現地の食費とか、あるいは余暇の時間の活動とか、そういったことはもちろん学生の私費ですけれども、交通費、滞在費等は大学のほうで拠出しています。
こういった活動を地方でかなり重点的に、毎年200名が行っておりますので、地方も充実しているのですが、通年で豊島区巣鴨地域でのキャンパスのエリア活動を行っています。巣鴨の商店街に店舗を持っておりまして、学生がそこで地方の物産品を仕入れて、学生が地域の方々に商品開発をして商品を提供したりというカフェとかも行っています。それから、豊島区と連携しまして、中小規模公園の活性化といったことも行っております。
卒業生のキャリアデータについてなんですけれども、こういった取組の結果、少し割愛して重要なところだけでいきますと、これまでの卒業生の中で、結局どのぐらいの人が戻ったのかということなんですけれども、地方出身者できちんとUターンした人、地方出身ではないけれどもIターンした人、あるいはJターンした人が、全て合わせるとこのぐらいの割合になっています。これは他大学と比較していないので、どういった成果か評価がなかなか難しい部分ですけれども、リアルに言うと、このようなデータになります。これが最新の2025年度です。今後のことです。地方回帰が微増してきているということが言えます。
このような形で、地域創生学科、教育活動を展開し、学生を地方から受入れ、そして地方に送り出すということを行っております。
では、実際にこの教育プログラムを経験してくれた卒業生の方、小山さん、島根県益田市、実習地に移住されています。社会教育コーディネーターをされています。それから、その後、本学の在学生で、島根県益田市から本学に入学をしてくれた豊田さんと椋君に、率直なところをお話しいただければと思います。
では、画面共有を切りまして、私の発言は以上にしまして、小山さんからお話しいただければと思います。
小山さん、お願いします。
【小山氏】 よろしくお願いします。島根県益田市、益田市立豊川小学校で社会教育コーディネーターをしています小山琴帆です。
2024年3月に大正大学地域創生学科を卒業と同時に、地元神奈川県横浜市から島根県益田市に移住し、同年4月より、現在の小学校で地域学校連携協働を目的としたコーディネートの仕事をしています。
大学3年時に行った地域実習3で、私は、益田市に初めて訪れ、現在働いている益田市豊川地区を主なフィールドとしてフィールドワークを行いました。小学校と中学校で行われているふるさと教育や、休日に行われる地域活動等に主に参加し、過疎という言葉発祥の地とも言われる益田市で、それまでの日常生活の中では考えられない数の人に出会い、対話を通して他者の内側に触れることができました。当時の衝撃は今でも忘れることができません。地域の子供と大人が互いを覚え名前で呼び合う様子や、家族でも親戚でもない同じ地域に住む子供を地域の大人たちが成長を見守る様子、この町では当たり前のように展開されている日々が、私にとっては夢を見ているかのような光景でした。そして、突然訪れた大学生を警戒するどころか、興味を持って話しかけてきてくれる、「来てくれてありがとう」と言ってくれることが温かく居心地のよさを感じました。この町で暮らしてみたいなと、初めて来た町なのに、実習を通して、そんな気持ちが芽生えていました。
そんな私が大学を卒業し、益田市に移住した理由は、初めて見たときに受けた衝撃と、益田市の教育に携わってみたいという気持ち、益田に来たことで、自分と本気で向き合い、自分はどう生きていきたいのかを考えることができたからだと思っています。世界には数え切れない仕事があるのに、就職を考えるときの私自身の選択肢は、果てしなく少なかったなと今では思っています。
それは知らなかったからだと思っています。知っていることでないと選択することができません。物事一つの考え方も、生き方も、どう行動していくかは自分で決めていかなければいけないと思います。だけど、一人では気づけない学びがどうしても多過ぎるなと思っています。そのときに必要なのが他者の存在なのだと気がつくことができました。だからこそ、幼い頃から多様な人と出会ったり、学校や地域で多くの経験の機会があるこの町で、私自身も学んでみたいと思いました。それは、この町で私と関わってくれた人たちと同じように、私も丁寧に人に関わりたいと思ったからです。そして、一人一人の個性を大切に伸ばせる大人になりたいと思っています。何より自分の気持ちを大切に生活していきたいし、この町ならできると思い、移住を決めました。
あくまで仕事は生活の一部でしかないと思います。大事なのは自分自身がどんな人でありたいかであると私は考えています。きっとそれは人と関わったり、いろいろな経験を通して見えてくるものです。私は、大学生活の中で、そのような貴重な機会を与えてもらいましたが、次は自分がそんな機会をつくれる人になりたいなと思っています。
以上です。御清聴ありがとうございます。
【高橋准教授】 ありがとうございます。
それでは,在学生の話ということで,豊田さん,いますか。
【豊田氏】 島根県益田市出身の大正大学1年、豊田ちなです。よろしくお願いします。
私は、中学校のときに、大正大学や島根大学といった益田市以外の大学生の方に地元を案内する機会があり、その中で地元の何もないと思っていた部分を「すてきだね」とか「面白いね」と言って褒めてくださったことをきっかけに、地元の魅力に気づき、もっと自分の知らない地域について知りたいなと思うようになりました。その後に、中間支援組織を通じて、地元のケーブルテレビ局の活動をして、これは益田市のお店やイベントを私たち高校生が取材をするというコンセプトのものだったので、取材を通して私の知らない益田も知れるし、みんなに伝えることができると思い参加しました。
この活動を通じて、私は地域の人のイベントやお店、地域で頑張っている方々の声を知ることができました。そして、地域づくりフォーラムの司会や、実際に自分が活動を発表するなどの活動も行わせていただきました。
こうした中で、私は、地域に関わる人を支える役割に興味を持ちました。私は、18年間、島根県益田市で暮らしてきて、人口流出などにより担い手不足などで地域の衰退を身にしみて感じていて、何年後も当たり前に今の暮らしがあるためにはどうしたらいいんだろうということを考えるようになりました。そうした中で、島根県益田市は、先ほど高橋先生がおっしゃったように、実習地だったこともあって、大正大学の教員の方や実習生の大学生と話していて、私もこういった環境で学びたいと思うようになりました。都市部や地方の両方で1か月間実習があり、比較を通じていろいろな地域のことを知って、益田市に将来還元していきたいと思うようになりました。
以上です。ありがとうございました。
【高橋准教授】 豊田さん、ありがとうございます。
それでは、同じ島根県益田市から本学に入学された椋君、お願いします。
【椋氏】 お願いします。私は、高校時代、さっき言った豊田さんと同じ活動をしていて、地域のイベントとかボランティア活動をよくやっていたんです。その地域でいろいろ関わっていく中で、やっぱり地域の方だったりと、いろいろな絆だったり、友情だったりを深めていきまして、その経験から、島根県益田市の持つ独自の魅力だったり、益田市だからこその課題というものに強い関心を持つようになって、この大学に入学しました。大学では、益田市の地域特性だったり、地域イベントから成る経済効果だったり、そういったものを勉強していきたいと思っています。
これらの学びを通じて、自分たちがやってきた地域活動の重要性だったり、必要性を再確認した上で、特に、地域イベントが地域活性化に与えていく影響というものを、もう少し深めていけたらなというふうに思っています。
今後は、大学で得た知識とか、経験とか、あと実習で得た経験とか、つながりというものを生かして、島根県益田市に戻って、積極的に地域活動だったり、イベントの主催だったり、そういったものをリードできるような職に就きたいと考えています。地域の特性に合わせたイベントの企画や地域課題の解決に向けた活動を通じて、地元の人々だったり、地元外から島根県益田市に訪れた人が、もっと活気に満ちて、島根県益田市だけではなく、島根県全体が活気に満ちたような地域になれるようにしていきたいと思っています。
以上で終わります。
【高橋准教授】 椋君もありがとうございます。
今、話してくださった3人の方々は、大正大学が益田市から中学校の修学旅行を毎年受け入れておりまして、中学校のうちから、将来、益田でしっかりと生きていく地域回帰の思考、将来のビジョンを持てるようなワークショップも主催、企画している学生、卒業生の方です。
大正大学からは以上です。ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございます。
高橋先生、小山さん、椋さん、豊田さん、本当にありがとうございます。
今、早稲田大学の皆さん、それから大正大学の皆さんから、本当に貴重なお話をいただけたなというふうに思っています。そしてまた、今日よかったなと思うのは、早稲田大学の取組は全学として副専攻としてやっていらっしゃって、大正大学は、まさにそのことをテーマにした学科、地域創生学科の取組としてされているというところで、そういう比較もできるお話だったなというふうに思います。
それでは、意見交換をしていきたいと思います。皆さん、いろいろお聞きしたいこともあるのではないかと思いますが、何なりと、どなたにというようなことも言っていただいて、質問だけではなくてもちろん結構ですけれども、お願いいたします。いかがでしょうか。
【中村委員】 山梨大学の中村です。よろしくお願いします。
ありがとうございました。非常に参考になるお話をいただきました。
両大学、早稲田大学と大正大学の方に同じ質問をしたいんですけれども、1つ目は、主に関わられているのは自治体なんですね。自治体と関わられているときに、どのようにしてその自治体を選定したか。それが1問目です。
2問目は、自治体と関わるんですけれども、実際には、その地域にある、例えば産業界とか金融界とか、そういったところとも連携を取りながら進めているのでしょうか。それらはどのぐらいの規模で、自治体だけではない地域全体を含めて取り組んでいるのでしょうか。
3問目ですけれども、多分どの地域にも、いわゆる高等教育機関、大学があると思うんです。早稲田大学も大正大学も、本当に首都圏の大きな大学ですから、その地域の大学と連携を取られているかどうか。
以上、3つの質問を両大学にお願いしたいと思います。
【大森座長】 ありがとうございます。
これは、長尾課長、高橋先生にお伺いするのがいいんでしょうか。いかがでしょうか。
【長尾課長】 早稲田大学の長尾でございます。御質問ありがとうございます。
自治体との関わり方は、本日御紹介した地域連携ワークショップ以外もいろいろございまして、本学の教員が各自フィールドを持っているケースもたくさんございます。今回の地域連携ワークショップを1つ例に取りますと、そういう大学と何かしらの関わりがあるところと連携協定を結ぶことをきっかけにワークショップを検討するということがあったり、あるいは、自治体のほうからお声がけをいただくことも多くございます。
多いのは、地域おこし協力隊の皆さんが、こういった大学との連携を企画いただいて、本学にお声がけいただくというケースがあろうかなと思います。なので、アプローチとしては大学からも、自治体側からも、両方ケースとしてはあると思っています。
2点目の御質問で、自治体の地域の中で、ほかの産業界等との連携なんですけれども、地域連携ワークショップで申しますと、結構オーダーメイドなところがございまして、いただいたテーマに応じて、その地域のいろいろな方々にヒアリングをさせていただいています。そこは学生がどういったヒアリングをすれば効果的になるかということをしっかり考えていきながら、自治体の皆さんに大変お手数をおかけしているんですけれども、ヒアリング先の調整、アポを入れていただいたり、あるいは、自治体のほうでも、つながりがないようなヒアリング先ある場合には、こちらの学生が、それも学びの1つとして、直接アポ取りをしながらヒアリングをさせていただいたり、訪問させていただく、そういった機会を頂戴しております。これ自体が非常に学生の学びにもなっているかなというふうに思います。
その地域にある大学との連携なんですけれども、現状、地域連携ワークショップでは、直接自治体と本学の間で行っておりますので、まれにその地域の教育機関がヒアリング先になったりですとか、あるいは、その地域の大学教員の方が、間に入っていただく、キーパーソンになっていただくというケースもあるんですけれども、対地域の大学との直接というところでは、なかなかまだ連携し切れていないというのが実情かなというふうに思ってございます。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
【高橋准教授】 では、私からもお答えさせていただきたいと思います。
1点目の自治体の選び方というところですけれども、連携協定、包括連携協定を結んでいく上で、まず、町長さん、市長さんが積極的であること。ただし、政治というのは変化しますので、市役所内に、安定した学生の教育、地域創生に一貫して取り組むことのできる持続的な部署、担当者がいることというところも結構重視しています。具体例として、愛媛県の今治市の場合には、i.i.imabari!という部署が役所内にあります。こういう部署がしっかり安定していると、私どもとしても、学生の皆さんを安心して送り込めるかなというところがあります。
2点目の産業界との連携というところですけれども、現地講師の方がもともと観光協会の会長さんであったりというケースもまれにありますし、観光協会、それから現地の商工会さんであったりとか、そういうところは必ず御挨拶して面通ししていますので、そういう意味では、産業界との連携なしにはなかなかできないかなと、経済面のこと、学生がプロジェクトに取り組むとき、特に必須項目になってくるかなと思います。
3つ目については、今、早稲田大学の先生にお話しいただいたものと本学も似ているところがあるなと思いました。地域の大学と連携してやっているというよりも、本学が学生を送り込ませていただいているという側面が今のところは強いです。例外的に、島根県では、地元の公立大学と連携するということは過去には重点的にありましたが、全国的にそれを必ずするようなシステムにはなっていないです。
以上です。
【大森座長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
はい、田中先生。
【田中委員】 いずれの大学も、とてもすばらしいコンセプトで実績を上げておられてすばらしいなと思ったんですが、早稲田大学には、副専攻として単位を与えておられるんですが、単位認定という、その評価の仕方はどのようにされているのかが少し分かりづらかったので、教えていただきたいということと、あと、大正大学は、ホップ・ステップ・ジャンプではないんですが、本当にうまく教育カリキュラムを組んでおられるなと思ったんですが、3年生のときに、ゼミ単位で教員が現場に4週間行かないといけないということがあるんですが、その現場のゼミの教員は喜んで行っておられるのかという、そこのところを教えていただけたらというふうに思います。
【大森座長】 では、早稲田大学から、単位の認定の仕方、ちょっと今、田中先生に私も乗っかりますけれども、一方で、ワークショップは単位にしていないというふうにおっしゃって、あれだけの学びのあるものをなぜ単位化しないのかということも含めて御説明いただけたらありがたいです。お願いします。
【長尾課長】 承知いたしました。
副専攻は、正規科目と、こういった課外活動から成るものでして、基本的には16単位以上修了することを求めています。正規科目は、当然、大学の教員がつきますので、通常の科目と同じような成績評価のつけ方になっています。
このワークショップは、単位相当ということで、卒業単位には使えないんですが、副専攻の修了としては認めているという位置づけになっています。このワークショップは2か月間あるんですが、単に発表して終わりではなくて、しっかり最後まで走り抜けて、最後の振り返りレポートまで含めて、そこから何を得たか、自分がどういう能力を身につけたか、そして、今後、どう生かしていきたいかということを少し分厚めのアンケートを取っておりまして、1つのレポートに近いかもしれないんですが、そういったことの提出まで含めて、最終的にワークショップを修了したということで、副専攻の単位に使えるように認定をしております。
ただ、卒業単位に使えないという大森座長からの御質問ですけれども、一時、正規科目として運営していた時代もあったものなんですが、現段階では、課外活動として位置付けて、今に至っております。なかなか学生たちもすごく関心を持ちやすいワークショップであるがゆえに、卒業単位と結びつけてしまうと、ちょっとモチベーションにギャップがある学生が集まったりですとか、しっかり課外活動だからこそ熱意のある学生に来ていただきやすい、そういったいろいろな面もあったりしまして現在の形に落ち着いているというように考えております。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
高橋先生、お願いします。
【高橋准教授】 教員の現地活動、教育指導についてなんですけれども、基本的に、2年生の現地教員というのは、それに特化した人で現地に住んでいますので、教員が現地に行っているというよりも、現地にいる状態になっているというのが2年生の指導体制。主要全国9地域に学生を団体で送り込む場合です。
3年生について、学科設置当初は、教員が実際に40日間、完全に現地に張りついて学生と過ごしていました。が、これ、学生の関心の多様性をより広く受け入れて育てていかないと、実際に学生が、卒業後、地域回帰志向を持つというところになかなか結びつかないところがありまして、多様な地域に送り込むために、ゼミごとにいろいろな地域に行くことになったため、教員が全ての地域に行くことはできないんです。なので、基本的にはMicrosoftTeamsを使った遠隔指導を毎日している状態になります。
中には、先ほど話してくれた卒業生の小山さんの出身、小山さんは金子ゼミだったと思うんですけれども、金子洋二先生とNPO論の先生は、もともと新潟県が拠点の先生で活動しておられますので、2拠点生活をしているような状態になっているので、2拠点生活教員が非常に積極的に、新潟県のほうに行った場合は、学生のそういうところを指導したりということもあります。
やはり多様な地域の自主活動に広く対応していく、しかも首都圏も同時に見ていかないといけないというところでは教員の負荷があることは間違いないと思いますので、やっぱり学生と一緒にやることが楽しいという先生でないと、なかなかちょっと難しいところがあるかなと思っていて、そういった面でも本学は恵まれた教授陣になっているかなと思いました。
以上です。
【大森座長】 ありがとうございます。
高橋先生、だから、地域創生学科をつくったときに、あるいはその後も含めて、教員採用はそういう観点で採用しているということですよね。こういうことをできる先生でないと務まらないですものね、この学科は。
【高橋准教授】 それがもう最大の重要な……。
【大森座長】 そうですよね。
【高橋准教授】 やっぱり巣鴨だけで研究したいと言われてしまうと、ちょっと厳しいかなというところはあります。
【大森座長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
山内委員。
【山内委員】 1点お願いと、切り口の提示でございます。
非常にすばらしいプレゼンテーションをありがとうございました。大学の動きというのは、本当に国策として支援していくべきだと思いながら聞いておりました。今ありましたように、Iターン、Uターンされた方々が活躍できる環境をいかに整えていけるかという点が地域活性化で非常に活きているところですので、こういった取組は非常に大事だと思います。私どもも、地域や地元に愛着を持ってもらい、2拠点居住や交流人口を上げる支援のため、地域イベントなどを多くやっています。地域活性化に関心を持ってもらって地域に来ていただくことは極めて重要なのでありがたいです。
一方で、企業側としますと、地域が好きで来ていただくこととともに、新しい切り口で勉強されてこられる方が、地域おこしをはじめ、地域に新しい風を与えてほしいと願っていると思います。中小企業は、実際に見てもらうと、いろいろな設備が整っており、自分がやりたい地域貢献ができる、自分のやりやすい仕事ができる可能性は大いにあります。ですので、企業に入って新しい切り口で、自分で何かをやっていくというところに、非常に可能性を感じる学科だと思います。非常に効果的だというところがあれば、そういったところを外部に見せられると、大きな支援が得られるのかなと思っておりますので、この辺のところを実際に働かれた清水さんにお聞きしたいです。
【大森座長】 ありがとうございます。
全国の商工会議所がありますから、心強いと思います。
今、清水さんにお聞きするのがよろしいですか。
【山内委員】 そうですね。こういった学びをすることで、地域に対するシビックプライドとか、地域のことが大事だという思いが醸成されると思います。そういった勉強をした人が、新しく会社の中に入って、地域に必要なものを開発するなど、企業にとってのシナジー効果があると、二軸で応援していける取組だと思いました。
【大森座長】 清水さん、いかがでしょうか。今、お仕事をしながら、地域との関わりも持ちながら、結構難しい質問かもしれませんけれども。
【清水氏】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、ちょっと難しい質問というか、簡単にはお答えできないなということがあって、個人的に、先ほどお話ししたこともあるんですけれども、結構、地域での学びは定性的に評価されるような内容が多い気がしていて、要するに、いわゆる会社内とか、仕事の中で数値的にこういう影響がとか、こういう意義がというものを自分の中でも言語化して伝えづらい学びみたいなところが多いのかなというふうに思っています。
さっきのプレゼンでもちょっとお話ししましたけれども、いわゆる共創みたいな点だったりとか、他者視点だったりとか、あるいは実践を通じたPDCAみたいなところは、多分、現地で実習する中で学んだことで、それが社会でも生きるみたいな、実際、会社の中でもそういう視点は活用できるということがあるとは思いつつ、それを今、山内委員がおっしゃっていただいたように、形にして見せて、こういう影響もあるから二軸で応援していきましょうというふうにするためには、もうちょっと見た目のいい資料なのか、数値化してアンケートを取ってなのか分からないですけれども、見せやすい形に加工する必要はあるかなと思っていて、それが現時点では自分でまだできていないという現状があるというふうに思いながら仕事をしています。
【大森座長】 ありがとうございます。
【山内委員】 おっしゃるとおりで、企業側がきちんと、こういうことをやりたいんだということを受けてやらせてあげることが大事になってくると思います。今、こういったところを出られた方に、いかに仕事をしやすい環境を整えてあげられるかというところが、これから重要になるのかなと思います。我々も、しっかりそういったところも応援できるような環境整備に努めていきたいと思います。
【大森座長】 清水さんが発表の中でもおっしゃっていただいていた自分が学んだことの言語化というか、見える化をしていくということの、もうこれも、どちらかというと、大学がまさに教学マネジメントで学修成果をどう可視化していくかということと、目当てをつけてこの活動をしていくかということにもつながるかなと思って、ありがとうございます。
ちょっと関連して、小山さん、益田市に就職されたわけですけれども、さっき本当に感動するプレゼンをしていただいたんですけれども、益田市に行くということのきっかけになったというのはすごくよく分かったことなんですが、大正大学で学んだことが今のお仕事にやっぱり相当に生きているのかということと、ほかにも大正大の人が、みんな益田市に行きたいといったときに、どんな仕事がほかにありそうなのかということ。いかがでしょうか。
【小山氏】 大正大学での学びが今の仕事に生かされているかというと、ゼミでの活動であったりだとか、先ほど少し高橋先生のほうからお話があったんですけれども、益田市の中学校が修学旅行で東京を訪れた際には、大学生と中学生が交流できるワークショップの企画運営などを学生と一緒にさせてもらったりなどもして、そこでワークショップの経験を積ませていただいたことは、私の中では今の仕事にとてもつながっているなと思っていて、地域で、現在、小学生や地域の方を対象としたワークショップを開いたりなどしているので、そういう点でも大学での学びは今の仕事にとてもつながっているなと感じています。
あともう1点は、規模的に言うと、なかなか人口も少ないですし、仕事がないことはないとは思うんですけれども、やっぱりある程度こっちに来て地域のことを知った上で、自分のやりたいこととマッチするのかということをしっかり考えた上ででないと、なかなか厳しいのかなということはあります。
【大森座長】 椋さん、豊田さんは、4年後には帰ろうと思って頑張っているので。
【小山氏】 そうですね。
【大森座長】 耕しておいてください。
【小山氏】 頑張ります。
【大森座長】 ありがとうございます。
ほかの委員さんもあると思うんですけれども、せっかく今日、学生に発表していただいたので、椋さんと豊田さんにお聞きしたいんですけれども、大正大学に進学をされたきっかけとしてのことはすごく分かったんですけれども、これは仮定の話なので、あまりいい質問ではないんですけれども、大正大学が益田市に来ていなかった場合には、自分はどんな進路を描いていたのでしょうか。大学に進学しようとしていたのか、それとも違う道を考えていたのかとか、地元の大学だったかとか。豊田さん、どうですか。あまり考えていなかったかな。
【豊田氏】 益田市には大学がないので、大学進学と就職するという割合が半々で、ちょっと就職のほうが多いかなという感じなので、周りも、私も大正大学と出会っていなければ大学進学していたかも分からないし、進学していたとしても、島根県にある島根大学か島根県立大学に進学していたかなというふうに思っております。
【大森座長】 ありがとうございます。
椋さん、いかがですか。
【椋氏】 自分は、もともと経済系に興味があったので、そういったところを学べる大学に行こうと思っていたんですけれども、そこで大正大学と知り合って、じゃあ、ここで地域経済、学べるじゃんみたいな感じに思ってこっちに進路を取ったので、もともと大学に行く気ではあったんですけれども、やっぱり知らなかったら別の大学に行っていた可能性が高いです。
【大森座長】 ありがとうございます。
地方には大学がない町というのはすごくたくさんある中で、大学と中学校時代、高校時代に触れ合えたというのは、進学に対してはすごくプラスに働いたという理解でいいでしょうか。
豊田さん、いかがですか。
【豊田氏】 その認識で。
【大森座長】 ありがとうございます。
椋さんは、最初から進学を考えていたんですものね。
【椋氏】 はい、そうですね。
【大森座長】 ありがとうございます。
藤岡委員。
【藤岡委員】 私は自治体の職員の立場で拝聴しましたが、両大学の取組みとも非常に有意義なお話で、我々も参考になる点が多いと感じました。一方で、少し課題もあるのでないかとも感じました。実は私自身も、かつて大学のゼミと連携し、市が抱える課題を学生の皆さんと一緒に探求、解決していく取組みを行ってきましたが、まず自治体の課題が何かというところからスタートすると、自治体の場合、部署ごとに抱える課題が異なるため、どうしても役所の縦割り構造の影響を受けてしまうのではないかと少し危惧します。つまり、今回、大正大学と早稲田大学は、非常に体系的に取り組んでおられるのですけれども、自治体が抱える課題解決から入るやり方は、その地域全体の課題を体系的に把握することが難しいのではないかと感じております。
こういった地域をフィールドにした大学の地域連携活動で大切なのは、実際に取り組まれている教員のモチベーションを高める「評価の仕組み」なのではないか、こういったことに取り組まれる教員の皆さんの努力や実績をどう評価するかが、こういった活動を持続させ、発展させる鍵になるのではないかと最近強く感じています。ただし、この評価を自治体だけで担うのが適切なのかという課題もあります。例えば、当方の産官学連携のプラットフォームであれば、参画している企業や経済団体からも評価をいただく仕組みにすることも考えられます。
2つの大学に質問ですが、早稲田大学は副専攻のワークショップ形式で、また大正大学は制度としてしっかりと枠組みを整えて取り組まれていると伺いました。自治体との連携にあたって、両大学が直面している課題は何か、またそれをどのように克服しようとされているのかをお聞かせいただきたいと思います。
【大森座長】 ありがとうございます。
自治体との連携上の課題ということがもしあればということですけれども、いかがでしょうか。
長尾課長、いかがでしょうか。
【長尾課長】 御質問ありがとうございます。
自治体との連携の課題と申しますと、双方の負担というのは正直あろうかと思っています。先ほど、大正大学は現地教員がいらっしゃるということがあって、その方が集中的になされるということはすごく羨ましいなと思ったんですが、東京にいる大学事務局と自治体で連絡を取りながら、学生のヒアリング先とかもオーダーメイドで調整したり、あるいは、学生の移動費用も一部補助を頂いたりとか、現地フィールドワーク中は、かなり付きっきりで面倒を見ていただいたりとか、正直、かなり御負担をおかけしているところがあろうかと思います。それでもなお、複数年連携いただく自治体が多いので、大変ありがたいと思っているんですが、自治体側にとっても大学にとっても継続可能な運営の形を探っていくことが重要であろうなというふうに思っておりまして、なるべく継続可能な形を常に模索していきたいなというふうに思っています。
同様に、たくさんの学びの機会を頂戴しておりまして、いろいろやりたいことはたくさんあるんですが、大学側も割ける人員に限りがございますので、ワークショップ数が、東京大学などはすごく数多くあったなと思うんですけれども、本学においては、現状、この規模でやっているというところになっているので、何かいい方法がないかというのは、すみません、解決方法にはまだ至っていないんですけれども、こういった学びの機会というのはしっかり生かせるように、学生たちに非常に意味のあるものだと思いますので、数多く今後は展開していきたいなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
高橋先生、いかがでしょうか。
【高橋准教授】 今お話しくださったような持続的な自治体連携というところは、やはりポイントになってきて、本学の場合には、2年生は、主要9地域に固定で毎年送っていますので、これらの主要9地域については、もう長年、10年ぐらいの歴史があるということで、非常に持続的なお付き合いにはなっています。
ただ、3年生の場合には、学生の個別の関心を生かすために、連携自治体の中で様々なところに行きます。そうしますと、連携協定があっても、形式的な連携協定にならないように意識しつつも、結果的に持続性がない、去年は行ったけれども今年はいかないとか、そういったことになってきた場合に、自治体の方、お世話になった商工会の方、地元のNPOの方、様々な方とのお付き合い、そういったところを持続させていくところが1つポイントになってくるかなと。
そんな中で、本学の場合には、実はもともと仏教の大学ですので、仏教学科があって、全国に非常に多くの卒業生のお寺がございまして、地域に仏教ネットワークがあって、同窓会からお付き合いが続いていくというところが本学の、そこはかなり重要になっていて、例えば延岡などでも強い同窓会がありますので、台風とか、そういったことがあったときの学生の安全確保とか、そういったときにも同窓会にすごく動いていただけたりとかということもあって、やっぱり日本の地域における仏教の力というのは、自治体連携の持続・安定にとってはすごく重要ということになっております。
【大森座長】 ありがとうございます。
お願いします。
【廣瀬委員】 手短に。両大学にお聞きしたいんですけれども、早稲田大学は、普通の学部という言い方は変ですけれども、多くの学部の、だけど、副専攻をこういう領域で学びたい学生向けの入試として、それから大正大学の場合には、もう地域創生ということが学科名についている形なんですが、実際の受験生や入学者が、両大学は東京の大学ですから、例えば、どれぐらい首都圏から入っているのか。それから、地域の場合、今回、大正大学の場合、益田市とのつながりが非常に印象的だったわけですけれども、その拠点にされている地域がやはり多いのかとか、どのように入学者が分布しているのかということについて教えていただけますでしょうか。もう1つは、早稲田さんの場合には、ほかの入試経路で入ってくる学生も同じ学部にいらっしゃるわけですが、この副専攻を履修できるのは、この入試経路の方だけなのか、一般の入試経路で入った方も、希望すればこの副専攻に登録できるのか。この点を教えていただければと思います。
【大森座長】 お願いいたします。いかがでしょうか。
【長尾課長】 1点目の地域探究・貢献入試の学生の数なんですけれども、2つ入試制度を御紹介いたしました。1点目の全国から募集しているほうは、細かい出身者数は非公開なんですけれども、本学の大学生の割合が、大体七、八割ぐらいが関東の出身の学生なんです。それに比べると、断然、地域探究・貢献入試の学生は、関東圏以外、いわゆる1都3県以外です。地方の学生が非常に多いというイメージを持っていただいてよろしいかなと思います。
2点目の副専攻なんですけれども、副専攻は特に何かエントリーが必要なものではなくて、また、入試形態も縛りはあるものではなくて、どの学部の学生でも、どの入試形態で入った学生でも履修することが可能になっております。
以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
高橋先生、いかがでしょうか。
【高橋准教授】 大正大学のほうは、本学科については、1回きちんと調べてから詳しいデータをこちらのほうに提出させていただくこともできるんですけれども、はっきりしたデータが今、私のすぐ手元にないものの、入学者に占める地方出身者ということでいうと、大体今、4割ないかなと思います。そのぐらいになってきていると思います。
私たちが重視しているのは、単純に言うと、首都圏から進学してきた学生が、本人の決定ですけれども、やっぱり地方に関心を持って、Iターンに関心を持ってほしいということ。それからもう1つは、地方から入学した学生が、都内にそのまま就職して、定着してしまうと言うとあれなんですけれども、そういうケース、つまり、首都圏の大学として、地方から人を、若者を取ってしまうというケースにならないようなキャリアパスの指導というか、そういったところを心がけようというふうに思っているところです。
以上です。
【大森座長】 ありがとうございます。
【廣瀬委員】 ありがとうございます。
【中村委員】 すみません。これは要望なんですけれども、先ほど少しお話ししたんですが、できれば地域にある大学とか高等教育機関と連携を取っていただくことで、それらの課題が明確化したり、また、地域の活性化につながったりするのではないかなと思っています。1点目です。
2点目は、大変すばらしい事業、取組ですので、これをぜひネットワーク化して、どういう課題があるか等まとめっていただけたらと思います。
そこで1つ気になったのは、例えば、意欲のある自治体とか、あるいは理解のある方がいる一方で、意欲のないところ、あるいは全く意識がない、理解されていないというところにも投げかけるということを行っていただくと、やはり地方創生につながっていくというように思っています。要望ですけれども、もし何か参考になれば幸いです。ありがとうございました。
【大森座長】 ありがとうございます。
本学でも、時々、首都圏の大学さんのワークショップが来るときに、受入側として、うちの大学がとか、うちの学生がということはやっていて、地域住民の中には、地元の学生もいるんだろうなというふうにも思ったりしています。
ありがとうございました。
それでは、若干時間が過ぎてしまいましたけれども、早稲田大学の皆さん、それから大正大学の皆さんには、本当にすばらしい御発表をいただきました。ちょっと感動も覚えるようなお話をお聞きできたなというふうに思っています。今日のために御準備をいただいて、お時間も割いていただいたこと、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げたいと思います。
それでは、第1部は以上とさせていただきたいと思います。一時休会としまして、第2部を12時半より再開したいと思いますので、またお集まりいただければと思います。
それでは、一旦休会ですか、お休みを取りたいと思います。ありがとうございました。
( 休憩 )
【大森座長】 それでは、定刻となりましたので、会議を再開させていただきたいと思います。
第2部は、各会議の主管課から、地域大学振興に関する今後の取組等について説明をしていただきたいと思います。
まず、大学振興課から、地方大学の振興について説明をお願いいたします。
【石橋大学振興課長】 資料3-1を御覧いただければと思います。
地方大学の振興に向けてというのは、実は、武部文部科学副大臣の下、会議を立ち上げまして、ヒアリングなどもさせていただきつつ、基本的には、省内で今後の方向性について議論したところになります。
基本的な考え方をかいつまんで申し上げますけれども、レ点の下、2つ目ですか、大学の有するミッションを踏まえつつ、強みや特色を生かし、人材育成・産業創出などの観点で地方創生に貢献するというような大学をしっかりと応援したい。その際には、学生・学修者ファーストの視点を重視するということと、やはり地域社会の在りたい未来からのバックキャストということを重要に考えております。
2枚目を御覧いただければと思います。2枚目は全体像を整理させていただいておりまして、4つの象限に分けております。1つ目が、新産業創出とエッセンシャルワーカーの育成を目指した地方大学の振興ということ。2つ目が、今日の議論にもございましたけれども、地域をフィールドとする学びによる定着人口・関係人口の増加。3つ目は、やはり国際化ということも重要になってまいりますので、高等教育機関をゲートウェイとした地域の国際化と外国人材の定着と、これを地方大学の機能強化に向けたプラットフォームの構築で支えていく。こういう形で、文部科学省としては、制度設計や予算要求をやっていくべきではないかということでまとめております。
私のほうから、この点については以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
続いて、文教施設企画・防災部計画課から、第6次国立大学法人等施設整備5か年計画策定に向けた中間まとめについて、説明をお願いいたします。
【廣田計画課長】 失礼いたします。計画課長の廣田と申します。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、資料3に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
地域大学振興に関して、ハードの面からの動向を共有させていただきたいと思っています。
大学の機能あるいは魅力というものを最大化していこうとしたときには、教職員あるいは学生などが創造性を発揮できる空間あるいは場を整えていくということが重要となっております。このような視点から、文部科学省では、施設整備の5か年計画を策定し、計画的整備を支援しております。
現在、令和7年度ですけれども、来年度以降、令和8年度からの第6次の5か年計画の在り方を、今、議論しているところでして、この有識者会議の委員といたしまして、7月以降、山内委員にも御参画いただいている状況でございます。
お示ししているのは中間まとめの概要ですけれども、施設の老朽化の状況、あるいは避難所としての貢献、こうした課題がある一方で、人口減少期における大学の在り方を踏まえて、中ほど2つのコンセプトを示させていただいています。
左側ですけれども、地域とともに発展するキャンパス全体のイノベーション・コモンズ(共創拠点)の実装化というものになります。
知や人材が集積する大学におきまして、その特性を最大限発揮していこうとしたときには、大学を大学の中に閉じていくということではなくて、しっかりと外に開いていく必要があると思っております。産業界の方々、あるいは自治体の方々、社会の様々なステークホルダーの方々が大学キャンパスに集い、そこで新たな価値を生み出していく、こんな共創拠点というものを広げていこうというふうに考えておりまして、これを文部科学省では、イノベーション・コモンズと呼んで、今、広げていこうとしているところです。この取組を、老朽対策をしっかりとしながらも、地域課題の解決、あるいは新産業の創出、そうしたものにつなげていけるような共創拠点を目指していきたいというふうに思っています。
もう1つのコンセプトは、右側、地域の防災拠点の実現という視点ですけれども、この両輪でしっかりと整備を進めていきたいと思っておりますが、下に整備目標とありますけれども、まだ中間まとめの段階のものになります。今後、年内には最終報告をまとめますけれども、今後、具体的にどのような整備を進めていくのかということをしっかりと議論を成熟化させていきたいというふうに思っています。
参考で、2枚目になりますけれども、左側の先ほどの共創拠点というものの1つのイメージを2事例ほど御紹介させていただいております。
まず1つ目が、千葉大学の墨田キャンパスの事例になりますが、墨田区というところは、大小様々な製造業の工場が集積するものづくりの町になっております。旧すみだ中小企業センターを改修して、千葉大学の墨田キャンパスとして再生したものになります。この施設を活用しながら、地元企業との共同研究とか開発、新産業創出のための活性化の拠点として活用されているという状況があります。
また、右側、九州工業大学ですけれども、これは既存の体育館をリノベーションしまして、産学官のコワーキングスペース「GYMLABO」というものに整備をしたものになります。体育館中央には、異業種間とか、あるいは異分野間の交流や共創活動が可能になるような空間を設けるなど、ここでアントレプレナーシップの教育の会場として利用するなど、スタートアップの創出の拠点としても活用されているという状況があります。
こうした施設を改修したり、施設を整備していくに当たっては、単に今までのものをそのまま再生していくということではなくて、先ほど申し上げたような、どのように共創活動が展開されていくのか、どんな魅力的な空間を整備していくのかという視点に立って、この共創拠点化を進めていきたいというふうに考えております。ソフト・ハード一体的に取り組むことによって、地域大学振興に貢献していきたいというふうに考えております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【大森座長】 ありがとうございます。
続いて、私学部私学行政課から、社会とともに歩む私立大学の変革への支援強化パッケージ(案)について、説明をお願いいたします。
【三木私学行政課長】 私学行政課長の三木と申します。
私学部におきましては、中央教育審議会のさきの答申を踏まえまして、私学の施策の具体化に向けまして、検討会議を3月から立ち上げて議論をいただいております。この有識者会議でも、座長の大森先生でありますとか中村学長にもこの検討会議にも入っていただいて、小路アサヒグループホールディングス株式会社の会長に座長をしていただきながら、中教審の答申の私学部分についての具体化に向けて御議論をいただいており、7月28日に第4回で中間まとめを座長一任ということで一定取りまとまりましたので、この場をお借りして説明をさせていただきたいと思います。
資料3-3でございますけれども、1ページ目は、私立大学を取り巻く現状と役割の変遷ということですので、恐らく皆さんとほぼ同じようなものを共有させていただいているのではないかなと思いますので、ほとんど割愛させていただきますけれども、就業構造の変化でありますとか、地域の担い手の育成や確保が、人口急減期において非常に重要な課題となっていること、そういった中で、相当数の私立大学の法人が縮小や撤退を余儀なくされるようなことでありますとか、地方は小規模大学が多うございますので、そういった大学から撤退する可能性が多いということでありますとか、理工系入学者の割合が諸外国に比しても日本は少ないという課題があるというようなことでございます。
2ページを御覧いただきまして、このような状況を踏まえて、一方、私立大学が、教師、保育士、看護師等地域のエッセンシャルワーカーをはじめ、地域の経済の担い手となる人材輩出の役割を果たしているでありますとか、研究面でも重要な役割を果たしているというような現状分析をした上で、今後の私学振興の基本的な考え方といたしましては、基盤的経費をはじめとする支援の拡充はしつつも、一律の支援ではなく、ここに点線囲みで書いてあるような、この会議の関係で言いますと、丸1、丸2あたりの地域の私立大学をしっかりとめり張りをつけて応援していこうというふうに、御提言の中間まとめをしていただいております。
この会議の関係部分に特化して説明しますと、3ページ目でございますが、地域から必要とされる人材育成を担う地方大学の重点支援へ転換していくということで、目指すべき姿としては、地域ごとに大学や地方公共団体、産業界が人材需要を踏まえた高等教育の将来像を構築・共有し、それに基づいて、それぞれの私立大学が将来像を踏まえた構造転換や大学間連携をしつつ、それぞれの大学の資源の集中等を推進していただくような姿や、産業界や自治体と大学との連携でありますとか、大学間、都市や地域それぞれの連携が進んでいくということが目指すべき姿として描いております。
具体的な施策の方向性としましては、こちらでも議論になっておりますようなプラットフォームに関する支援もそうですし、特に私学助成に関して申し上げますと、施策の具体的な方向性、(1)の3つ目の丸ですけれども、地域経済の担い手等の育成等を行う地方中小規模大学への私学助成のメリハリ・重点化、これを速やかに行い、将来的には、プラットフォーム等による高等教育の将来像に基づいて、個々の私立大学が人材輩出を行う、そういった大学に対して重点化を行うというようなことを御提言いただいております。
このほか、4ページ、5ページと、研究力の強化でありますとか、理工系人材の育成でありますとか、6ページは縮小、撤退に向けての支援というようなことも併せて提言をいただいておりまして、私学について特化した議論をしておりますけれども、こちらの有識者会議はまさに全体を見て地域の振興を議論される場だと思いますので、しっかりシンクロといいますか、合わせながら議論を今後も進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
最後に、地域大学振興室から、令和8年度地域大学振興プランの策定に向けた議論の整理(案)について、説明をお願いいたします。
【石橋大学振興課長】 まず、この地域大学振興プランでございますが、今回の有識者会議で、毎年度こういうプランをおまとめいただいて、それを基に次の年度しっかりと動いていくというようなものにしたいと思っております。そのまずのたたき台がこれでございまして、実際まとめていただくのは、予算が決まった後に、その予算の具体的なものも盛り込んだものとしてお決めいただいて、それで各大学、各地域が動いていっていただけるようにしたいという構想のものでございますので、細かい文言も含めて、むしろ御意見をこの年末にかけていただきながらブラッシュアップするというものとして御覧いただければというふうに思います。
めくっていただいて、1つ目がこれまでの経緯と今後の進め方というところで、まさにこれまでの、例えば、COC、「地(知)の拠点整備事業」の創設以来というようなことで、プラットフォーム、大学等連携推進法人の取組が全国で広がっているというようなこと、それから「知の総和答申」のところ、そしてその下の丸は、この6月にいろいろな政府の会議でも地方創生、地方大学のことは取り上げられましたので、そこをまとめさせていただいております。
その中で、次の2ページ目になりますけれども、やはり「学」の代表格である大学等が積極的に関わるということで、まさにこの地域の地方創生、それから産業人材育成の取組をリードするということを書かせていただいております。
次の丸で、後半になりますけれども、地域の高等教育へのアクセス確保策に関して、関係者等の認識の共有、緊密な連携を図るということで、地域構想推進プラットフォームを整備するなどということ。
それから、今、私が申し上げましたけれども、最後の丸では、毎年度、このような地域大学振興プランを策定し、改善を図っていくということを書かせていただいております。
これが前提ということになります。
めくっていただきまして、第2回会議までの意見・議論からの示唆というところでございます。これは一度見ていただいている部分もあるかと思うんですけれども、一応かぎ括弧の中で入れさせていただいていますように、地方創生のための地域の産学官金等の連携促進というところで、これが重要であるという観点、次のページにいかせていただきまして、地域アクセス確保を図るための大学間・地域関係者等の連携促進ということ、それから、継続的な地域大学振興の取組のための人材、財源というようなことを書かせていただいております。
次のページもそのまま続きでございますけれども、学生のお声が一番ありましたし、今日の議論にもありましたけれども、やはり地域での学生の充実した学びの機会の確保やそれを支える大学・教員への評価というところを入れさせていただいております。
6ページ目が「知の総和答申」のそのままを引いてきておりまして、次のページからが今後の方向性、7ページを御覧いただければと思います。
今後10年程度を見通した取組の方向性が答申を踏まえたものになりますけれども、やはり大学等高等教育機関と地域の団体、それから産業界・金融機関等の実質的なコミュニケーションが増加していくというところで、実効性が担保された地域アクセス確保・人材育成の在り方・取組の議論・推進の場としてのプラットフォームであったりとか、その後ですけれども、推進機構の促進が重要であるということと、そのときは高校教育改革やリカレント教育、今日の議論でもございましたけれども、この連携も重要ということを書かせていただいております。
2つ目の丸は、学生の教育機会の確保・充実に資するよう、複数の大学が教育支援を共有すると、先ほどの三木課長の説明にもありましたけれども、連携が重要ということ。
3つ目の丸が、学生の学びのために広い経験というようなことで、都市部と地方間の多様な交流の促進ということも書かせていただいております。
最後が、やはりコーディネーター、今日も重要というお話がありましたけれども、そのこと。それから、多様な財源確保ということも書かせていただいております。
今回、その下、次の8ページ目からが、具体的に我々が今考えさせていただいている予算、制度のところでございますので、ここを今日も重点的に御意見いただければというふうに思っておりますけれども、まず、地域構想推進プラットフォームの構築ということで、この地域連携プラットフォーム等、それぞれ今、連携基盤を生かしていただくということではございますけれども、実効性のある地域アクセス確保策や地方創生の取組が創出させるプラットフォームの構築が全国的に展開されるよう、モデル的な取組の実施、取組事例やノウハウ等の共有ができるように、一定の予算支援ができないかということがこのことになっております。特に、全国を可能な限りカバーする形で構築されることを目指すというところなので、我々としては、少し地域のバランスなども見ながら御支援することがいいかなというふうには思っております。
丸の2つ目でございますが、産官学金労言という多様な関係者の関わりや、定期的な情報提供などを求めつつですけれども、このプラットフォームにおいては、一般社団法人という形も取れますので、直接多様な支援を集められるようなマネジメントできる組織として整備をする必要があるのではないか。国費のみならず、いろいろな財源が入ってくることで、さらに活動が充実できればなというふうに思っております。
その中では、例えば、コーディネーターの配置・育成の取組であったりとか、そのための研修機会の確保、ノウハウの共有などができればいいのではないかということ。それから、ほかの省庁さんにもこのプラットフォームと連携したような取組を進めていただけるよう、我々としても働きかけをしていければなというふうに思っております。
このような、具体的にこんなこともやれるのではないかというようなアイデアも今日、もう少しいただければありがたいと思っておりますが、そのようなことを予算の編成過程で我々もしっかりと詰めていって、いい予算にして、各プラットフォームが使っていただけるようにしたいというのが8ページ目でございます。
9ページ目にいっていただきまして、これは制度改正を考えております。どういうことかと申し上げますと、今回、特に保育士さんのお話を伺っておりましたけれども、やはりエッセンシャルの方々も含めて、地域に育てる場がなくなってしまうと、もうそれだけでその地域における人材の輩出ができなくなりますので、今の大学設置基準等において、何か困っている、ここが引っかかっているというようなことがあれば、それを大学側から出していただいて、特例として認めていくような仕組みをつくりたいということでございます。
今も、一番下を見ていただきますと、教育課程等特例制度運営委員会が中教審の大学分科会の下にございます。まさにここで、今は先導的な取組について設置基準の特例を認めるということをやっておりますけれども、今後は、これとはまた違う2つ目のメニューとして、地域アクセスを確保するための、そういう特例を認めていきたいというふうに思っております。具体的には、その下の点線囲みを見ていただければと思いますが、例えば、3行目ですけれども、授業科目の自ら開設要件の緩和であったりとか、オンライン等の授業科目等の上限単位数の緩和、また、それは制度趣旨の範囲内でということにはなりますけれども、外部の基幹教員の要件の柔軟化など、こういうことをやってみるということで、基本的には提案型で、こういうことがやりたいんですと大学から言っていただいて、中教審の下で審査をいただいて、特例として認定する。そういう制度改正を、これはこの後、当然のことながら中央教育審議会の議論を経なければなりませんが、年度内を目指して、我々としてはしていきたいというふうに考えております。
それから、10ページを御覧いただければと思います。
これはまさに先ほどの早稲田大学や大正大学のお取組を後押しできるような仕組みの1つになるかと思っておりますけれども、まさに都市部の大学が地方部と連携をされるときに、プログラムの構築であったりとか、その取組事例のノウハウを共有するというようなことも含めて、こういうことを予算的にも支援していけないかというふうに思っております。プログラムの構築がメインにはなるかなと思いますが、先ほど、送り出しで予算も、要は旅費とかも含めてかかるというようなお話もありましたので、どこまでどういう支援ができるかというのは今後、詰めていく必要があるかなというふうに思っておりますけれども、こういうことをもう1つの予算事業として考えられればと思っております。
最後ですけれども、11ページを見ていただければと思いますが、今までのものは、制度であったり、それから予算であったり、今後になりますけれども、やはり大学等連携推進法人制度の普及であったりとか、発展的な取組の促進ということで、モデル的な取組を連携するとか、ほかにもこういうことを使えますよというようなことは、我々としては、しっかりとその促進策についても議論を進めていきたいというふうに思っております。
ちょっと長くなりましたけれども、中身は以上でございます。あとは参考資料になっておりますので、適宜、御参照いただければと思います。
説明は以上でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
今それぞれの担当の方から、地域大学振興に関することについて、どんな政策が今動いているかとか、これからどうしていくかという御説明がありました。
ここからの時間は、これをベースに、それぞれ自由に御意見を交わせていただくという時間になります。1時間ぐらいありますので、存分にお話をいただけるのではないかと思いますので、御遠慮なく質問や御意見を言っていただければと思います。いかがでしょうか。
では、中村先生、お願いします。
【中村委員】 今、三木課長がお話しになった28日の私立大学の在り方検討会議でもお話をしたんですけれども、山梨という一地域なんですけれども、やはり知の総和答申、それから、この地域大学振興に関する有識者会議、あと、私立の在り方検討会議というものが、だんだん浸透してきているなということは実感として感じています。
今まで、山梨は短大も入れて12大学、国立は山梨大学だけですけれども、公立が短大を入れて3つ、あとは私立なんです。今までは、アライアンスとか、コンソーシアムで話をしても、なかなか乗ってこなかったというか、なかなか認識がない印象でしたが、ここに来て急展開しています。簡単に言うと、今、山梨大学や山梨県立大学でやっているアライアンスやまなし、大学と連携する一社法人に興味を示す大学が数校出てきました。逆に、学長さんたちが、お越しくださり、どういうことをやっているのかを聞かれたり、あるいは、公立の首長さんたちが来て話を聞かれたりという状況になっています。これは非常に明るい話題かなと、いい傾向かなと思っています。
最初にお話ししたいのは、大学の連携とかをつくっていくときに、国立大学では、よく国立大学システムと言っているんです。やはり地域大学システムが必要だと思っています。つまり、前からお話が出ているように、エッセンシャルワーカーの予測値を具体的に立てる必要があるとおもいます。なくなってからつくるということは難しいので、それが今後の人口規模に応じて、どのぐらいの影響があるかということを実算していく。もう、その段階に来ているなと感じています。それによって、やはり国立、私立、公立も含めての大学の価値を認めていただくということは非常に大事だと思っています。
それから、先ほども前半でもお話が出ましたけれども、地域の人材養成をしていくときに、どうしても大学側は持っているものを見せるんです。もうその時代は終わったと私は思っていまして、逆に、地域の人たちが欲しいものを大学が変えていく。もうちょっと厳しく言うと、要らないものは捨てるぐらいの意気を要しないと駄目だと思います。何でもかんでもあればいいという話ではない。そのぐらい、今、厳しい状況に来ているのかなと思っています。
それから、それによって大学の中でも、大学間で取り組む時に連携科目をつくっていくんですけれども、ここでやはり人材、要するに人材にかかるお金を少なくとも削っていく。例えば、簡単な哲学という、どこでも持たなければいけない一般教養があるとしたら、どこの大学も哲学は持っているんです。これを、極端な言い方をすると、例えば山梨は1人いればいいんです。オンラインも含めて、そのようにしてだんだん人材にかかるお金を削っていくということは、もうこれから必須なのかなと思っています。
大学間の話だと、そういうところです。
もう1個だけいいですか。
【大森座長】 はい。
【中村委員】 すみません。地域連携プラットフォームとか、地域創生のための機構とかを今後つくっていく地域もあると思うんですけれども、そのときに、何を課題にするのかということが、要するに、産学官金連携をして、連携をやりましょう、何をやるんですかというところが明確化しないとなかなか先に進めないなということを、この頃、実感しています。
地方でいうと、絶対どこの地方もあるのが、やはり観光資源です。観光の価値を、観光資源というか、観光の価値をつくっていくというようなことは、どの地域でも必要なのかなと思っています。それから、先ほどのお話にも出ましたけれども、高大連携です。高校の探究学習科、大学のPBL、ただ、その前に小・中学校で総合的な学習を行っているわけだから、そこをつないで、やはり小・中・高・大。高校ではもうちょっと遅いのかなという気もしているんです。山梨というか、ある地域を本当にみんなでもって頑張っていこうという、その雰囲気をつくるには、もう小・中の段階から、例えば、さっき出ていたように、地域計画だったら、もう本当に小学校、中学校の段階から、そういったプログラム、カリキュラムを総合的な学習の中でもつくって、その延長上で探求化をして、さらにやりたいという人が残っていけばいい。そういうシステムが大事なのかなと思っています。だから、先ほど言った観光とか、今の小・中・高・大連携とか、これは絶対必須で、あとは、各地域特有の産業があると思うんです。
ちなみに、山梨で言うと、間違いなく水素燃料電池は県を挙げて取り組んでいる。あるいは、果実、それから、ワインとか、あるいはジュエリーとかというところの強みの産業は地域によって異なるので、その産業をどのように生かしていくかというところをみんなで考えていく必要があります。
ちょっと雑駁なんですけれども、そういうふうに、何を課題としていくのか、高等教育機関が、これから先、地域のために本当に一生懸命取り組んでいくためには、もう高等教育機関だけでは駄目で、小・中・高の段階からやっていく。そこに幾つかの課題を踏まえた総合的な学習とか探求とか、あるいはPBLとかということをやっていくということが今後必要なのかなと思っています。
【大森座長】 ありがとうございます。
中村先生が今おっしゃった小・中・高・大が続けてというシステムをつくる主体は、スキームはプラットフォームか何かだと思うんです。やっぱり大学が、それは牽引していくというイメージですか。
【中村委員】 多分、大学がそのことを引っ張っていくのが一番いいのかなと僕は思っているんです。もちろん大学だけというわけではなくて、さっき先生がおっしゃったように、プラットフォーム、機構も含めて議論していくんですけれども、それをまとめて人材育成なり、地域のためにある連携なりをしていくのは、大学が主体となったほうが私はいいと思うんです。
【大森座長】 やりやすいですよね。市町村教育委員会も県の教育委員会も巻き込まなければいけないということになると……。
【中村委員】 もちろんそうです。
【大森座長】 そうですね。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
田中先生、お願いします。
【田中委員】 2点あります。
まず1点が、今日の早稲田大学や大正大学の例を見せていただいて、大学がいろいろな地域と連携して、すごいいい実績を上げておられるんですけれども、あれが各地域のある大学と大学間連携で科目連携をしていくと、多分、負担はもっと軽減されるし、質は担保できると思ったんです。
なので、大学連携の組み方として、科目で連携を組んでいくことによって、ああいった仕組みとして、地方の大学も頑張る、都市部の大学も頑張る、でも、地方の学生が地方に残るような、あるいは都市の学生が地方に目を向いてくれるようなという、やっぱり外的環境も整えていかないと、地域の大学が頑張っても、いずれ文化やいろいろな要件で都市部に行ってしまうと思うので、あの仕組みは、そのサブ機能として、あるいは補完する機能として、あるいはカリキュラムの保障として、すばらしい内容だと思ったので、そういった意味では、やっぱり科目間連携とかということがすごく大事になってくるように思うので、そういった仕組みと、それには、やっぱりコーディネーターが大事で、コーディネーターを各大学に置くと同時に、自治体にも置かないと、1つの市役所でも、縦割りがあるとか、横割りがあるとかとおっしゃっていて、1人の人があちこち課を駆けずり回って地域課題を集めて、学生とマッチングするというところにおいても人とお金は要るわけだから、そういうコーディネーターの置き方もやっぱり必要で、あと、そこに予算が要ると思ったんです。なので、そこを強化すると、都市部の大学、地方の大学の役割分担というか、役割強化が仕組みとして確立していけるのかなと思ったので、そこを1つ考えていかなくてはいけないのではないかと思いました。
もう1点は、エッセンシャルワーカー、特に保育の世界なんですけれども、いろいろ聞いてみると、幼稚園が文部科学省ですか、保育園が厚生労働省ですか、その省庁の壁みたいなものがあって、短大で、大学でとかということになるんですが、多くの保育士、学生は、やっぱり公立の保育園、幼稚園とかに就職したがるとか何とかみたいなことで、やっぱり厚生労働省系、文部科学省系のあの辺のいろいろな補助金のこともあるみたいで縛りがあって、なかなかそこがすっきりしないとしっかりした人材養成にならないのではないかという話を現場から聞きます。そこがちょっと不勉強で、しっかり言えないところなんですが、そこの連携が、もう少し教育の質とか教育の過程の中で整理されていくと、現場が困らないのかなという気がしますので、そこを少し調整してもらえたらいいのかなというふうに思っております。
以上、2点でございます。
【大森座長】 ありがとうございます。
コメントありますか。
【石川地域大学振興室長】 財政スキームなどは、一般論としては、かなり共通化、一般化されてきているというところだと思います。
一方で、今おっしゃられた部分は、予算というよりかは、多分その幼稚園でどうか、保育所でどうかというようなところでありますとか、むしろ公定価格で幼稚園のほうも含めて対応というような形になってきてしまっていますので、そういったところの財政スキームだとかへの考え方だとか、そういったところもあろうかと思います。
いずれにしても、それぞれ制度がある中で、どうしていくかというところは課題として認識していますので、また引き続き御教示いただければと思います。
【大森座長】 そういう意味でいうと、今、幼稚園があり、保育園があり、こども園がありで、文部科学省、厚生労働省、内閣府みたいなことになっているわけなんですけれども、現場の課題はもちろんあるのと同時に、実は養成機関課題もあって、文部科学省では幼稚園教諭養成のために教職課程としてこうですよと。厚生労働省としては、保育士養成としてこのカリキュラムをやらなければいけませんよねと。短大などでやっていると、60何単位で卒業できるはずが、2つの免許を取ろうと思うと八十何単位になるんですよ。
【田中委員】 なるほど。
【大森座長】 例えば、中には子供のことが大好きでなりたいと思ったのに、そのハードな2年間がということもあったりするので、でも、非常に近しい内容のことを保育内容何々とかということでやっているので、そこはもう今、教職課程の小・中・高も含めて少し見直しが行われていますけれども、そこの養成機関のところも、もう少し考えてあげると、もっと、いわゆる資質能力を持った保育士養成というものもできてくる。今、本当に余裕がないカリキュラムなんです。だから、現場もそうだし、養成機関としてもという問題がありますね。
ありがとうございます。
【藤岡委員】 いいですか。
【大森座長】 はい、お願いします。
【藤岡委員】 いろいろまとめていただいて、本当にありがたいと思います。
当方のプラットフォームが立ち上がり、2年目になります。現在、市内の国立大学も含めて12大学と高専も参画いただいておりますが、正直申し上げて、国立、公立、私立それぞれの大学で置かれている立場や重点の置き方にはややベクトルの違いも見受けられるところです。そこでプラットフォームの取組みの機軸としては、まず地域の大学として地域社会に徹底的に貢献していただくこと、そして、地域社会の中で大学というもののステータスを高めていくことが重要だと考えています。
そのために具体的に何ができるのかという点ですが、中村学長がおっしゃったように、企業が大学に対して何を期待しているのか、また大学連携をどのように捉えているのかを、まずしっかり把握することが大事で、行政もそこに加わり、建前論ではなく、本音で率直に語りあえる場づくりに取り組んでいます。
また、大学側には教育・研究という本来的な使命があり、それらをどのように地域活性化や地域貢献につなげていくかということが、まさにプラットフォームの腕の見せどころだと思っています。
ここで大切になるのは、何度も申し上げているコーディネート機能であり、加えて、プラットフォームが「地域のバンク」のような役割を果たすことだと感じています。要は、各大学の持っているシーズを地域でどう生かせるか。例えば、キャリア教育や地域学といった分野では大学ごとに異なるノウハウを持っていますので、それらを連携して、プラットフォームとして取り組む。さらに、各大学の先生のお力も借りながら、統一的な対応として、共通認定の仕組みをつくるようなやり方も有効かなと思いました。
研究面に関しても、多様な専門分野の先生方がいらっしゃいますから、もっと先生方に地域社会に目を向けていただき、積極的に地域を活用していただきたいと思っています。例えば、地域の企業と地域課題に即した共同研究をやったり、リカレント教育に協力いただいたりということです。これも「地域バンク」という発想に基づく取組みになろうかと思います。
ただ、ここで問題なのは、そうした地域社会の活性化につながるような先生方の活動が、現状では、大学の評価指標に十分には反映されていないのではないかという点です。「この先生は地域にとって非常に重要な役割を果たしている」ということを可視化し、正当に評価される仕組みをプラットフォームとして提示できるかも課題の一つだと考えています。
さらに、大学の施設を地域社会でより有効に活用していくことも重要だと思います。大学の図書館や体育館などは、地域の初等中等教育との連携にもつながってきます。現在進められている中学校の部活の地域移行とも結びつけ、地域の小・中学生が大学の施設を気軽に利用できる仕組みが出来ないかと。これもまたプラットフォームが調整役を果たしながら進めていけるテーマだと考えています。
いずれにせよ、地域ごとにプラットフォームに期待される役割は、少しづつ異なりますので、その支援のあり方も一様ではなく、それぞれの地域の状況に応じた仕組みにしていく必要があるのではないかと感じています。
【大森座長】 ありがとうございます。
【山内委員】 よろしいですか。
【大森座長】 はい、お願いします。
【山内委員】 今、10件ほどプラットフォームの拠点整備を行っていくと聞いております。もちろん大いに期待していますが、今ありましたように、本当に必要な人材を産業界側からもしっかり訴えていく、育てたい人間像というのは地域によって異なりますが、どういう人材が必要かということは、伝えていく必要もあると思っています。
このプラットフォームが、地域で最終的には自走していけばいいですが、地域の人事部のようなものがなかなかうまくいかず続かなくなってしまうというケースも多く見ています。しっかり頑張っているところについては、数年もたせるような形で、基金化するなどして、担保してあげる必要があると思います。単なるモデル事業とか短期的なもので終わらないような形にするのは、ぜひ国にお願いしたいと思いますし、我々も要望していきたいです。その中で、今まさにお話がありましたように、大学の評価、先生の評価などが、こうした活動に協力される先生方に納得感があるような形のものがうまく設計できると、持続的になるのかと思います。
また、コーディネーターはとても大事だと思っています。どういう役割、どういう権限を与えるのかというところもこの中で議論していく必要がありますが、求める資質は地域によっても違うところがあるので、一般的にはこういうものがあって、あとは地域の中でということなのかもしれません。コーディネーターについて、人なのか、何か研究体で機能的なものを持たせるのか分かりませんが、効果的にやらないといけないですし、地域で検討できるようにしていく必要があると思います。ここは予算のつけどころなので、しっかりとした人材、コーディネーターがつくような予算を、私どものほうからも国には求めていきたいと思っています。
あと、共創拠点としての大学施設は、私どもも非常に可能性があると思っているところです。町ナカにキャンパスを建てるでも、今あるところでも、シナジー効果のある市民の活用というのは行政の視点でもあります。例えば福祉で使わせていただきたいというような企業もあります。学生だけでなく地域の方々が利用できる形になると非常にいいので、うまく対応できればいいと思います。
エッセンシャルワーカーの話について、この間の会議で福井の保育の話もありましたが、専門人材を育成していくことは大学への期待として非常にあると思います。きちんと重要な役割を担っているということを打ち出してもらって、我々産業界もしっかりそれを認識した上で連携していくことが重要だと思っています。
私はこども家庭庁の委員をやっており、子供を育てる方向から言ったら何か変わる可能性がありますので意見していきたいと思いました。
あと、エッセンシャルワーカーは、賃金面に不安があるかと思います。全体の効率化をする中で、すべての費用を上げてしまうと給付費が増えていってしまうので、効率化を図りながら、エッセンシャルワーカーのところにうまく乗せる形にして、賃金面でも魅力ある職にしていくということも大事だと思います。
また、地方の大学と都市部の大学との連携も重要です。地方に残りながらもニーズに応じて質の高い教育を受けられる環境を整備し、うまく連携強化をしていくといいと思います。今日も少しありましたが、地方には優れた中小企業がある一方で、学生や専門人材はそのことをよく分かっていないこともありますし、逆に企業も分かっていないことが多いと思います。今後はきちんと都市部の学生が地方にインターンシップに行ったり、PBLの教育を地方で行うなど、いろいろなことができるといいと思います。
最後に、先ほど中村学長からもありましたように、連携や効率化を今後さらに進めていくということですが、やはり人材がとても大事だと思いますので、我々がこのプラットフォームで望むような方向に前向きに取り組んでいただけているような大学などには、国からの予算の拡充をしてもらいたいなと思っています。今回、私どもは、国に対して、運営費交付金をはじめとして、頑張っている大学には、国から手厚く支援するよう要望したところでございます。 地方創生の核が人材だと思いますので、自治体の皆様と連携しながら、そして大学の皆さんにアプローチしていければと思いますので、ぜひ期待したいと思います。
【大森座長】 ありがとうございます。
やっぱりコーディネーターというのは、かなり議論をしていかないといけなくて、重要だというのは全員が共有している話で、ただ、そのコーディネーターにやってもらいたいことが、今かなり多岐にわたっているから、それ、一人では無理じゃないみたいな、幾つかのパターンで置くとかも必要かもしれないし、そういう議論は、まずは予算はつけてもらうにしても、その中身については議論していかないと、ぜひ必要だと思うので、ありがとうございます。
あと、お二人からお話があった評価の部分ですけれども、一般的に、我々、大学にいると、大学教員の評価は大学がするという感覚できていて、大学の先生も大学の中で評価されて、例えば、講師から准教授になったり、准教授から教授になったりとか、あるいは、年俸制を取っているようなところであれば、それが変わったりとかという認識なんですけれども、だから、プラットフォームの中で、この先生は地域にとって必要な地域マイスターの先生ですみたいな評価をしたときに、それを大学が評価に加えるように、大学側も変わらないと駄目だということですよね。ありがとうございます。
【中村委員】 ごめんなさい。前に愛媛大学の社会共創学部長、松村先生がおっしゃっていましたけれども、多分この分野は既存の学問にはないので、新しくそういう研究を認めるようなことを、大学がやるのか、もうちょっと別の機関がやるのか……。
【大森座長】 学会。
【中村委員】 そこに、評価するとしても、大学の評価だけでは駄目で、本当に産業界とか、自治体とか、あるいは金融機関とか、そういうところが、この人だったら何かすごくいいまとめ役として、地方創生になっているよ、と評価していく。これは全く今ある既存の評価ではできないです。簡単に言うと、教育も研究に関しては、論文を書くよりも、いかに地域に足を運んで連携するような仕組みをつくるか、といったことだと思います。そこから、教育のほうにだんだん流れていけばいいんですけれども。
できれば、私は、教員だけでは駄目で、大学の職員の方とか、URAとか、技術職員とかという方も含めて、大学の中で言えば、研究会みたいなものをつくって、そこには自治体とか企業の方とか、金融の方たちにも入ってもらい、それをみんなで大事だよねと認めていくようなものをつくらなければ駄目だと思います。
もう1点は、コーディネーターの話ですけれども、私も、ずっと考えているんですが、最近は、コーディネーターは、何かカリキュラムをつくって養成するようなものではないんですよと思っています。むしろ師匠と弟子の関係みたいな。師匠になる人がいて、その人のところに、その人と一緒に行動しながら、その人のところで熟成をしながら養成をしていくようなものではないかなと思っています。後々、要するに、将来的には、若者はそういったことをやってみたいという人も出てくればいい。ただ、コーディネーター学科とか、コーディネーター専攻みたいなものではないと思いますね。これから先、この点についてはかなり議論して試行錯誤したいと思います。
【大森座長】 養成の方法ですよね。ありがとうございます。
お願いします。
【廣瀬委員】 今の話題に関連すると同時に、今日の第1部の話題とも関わるかなと思うんですけれども、コーディネーターは、まず、2種類必要だと思います。特に大学地域連携のためのコーディネーターというのは、それはその地域において、その地域に通じていることが必須です。地場産業であったり、地域のエッセンシャルワークの世界、福祉の領域などの課題が見えていて、大学の中の適切な専攻や研究室と、地域のニーズとを引き合わせるということができる人が求められている。もう一方で、大学の側にいて学内の資源をよく分かっていて、どの先生、どの研究室が、どういう傾向の関心を持っていて、その研究室はどういう現場に生きるか、どういう現場ではちょっとミスマッチになるか、そんな目利きができる人が大学側に求められる。この地域に通じた人と大学に通じた人が出会ったときに、いいマッチングができる。両方できる人は、恐らく一人の人物としては存在し難いと思うんです。
まず大学の側にそういう学内のコーディネーター足り得る人をどう育てるかという政策課題があり、もうひとつは地域の側にコーディネーター人材を育てるという課題がある。
地域の中では、例えば、特にエッセンシャルワーカーの現場でキャリアをスタートし、まずは自分で責任を持って現場でしっかり仕事ができるようになった上で、その職種そのものの地域における持続可能性とか、新しい人材の確保とか、あるいは、これまで連携しなかった領域の人たちをそこの領域に持ってくることとか、それを取り回せるコーディネーター的に育っていく人を、育てていく仕組みが必要だと思います。その中から大学との連携コーディネーションをする人が出てくる。そういうキャリアを歩んだときの処遇がちゃんとそれに見合ったものになっていて、若い人、これから進路を選ぼうという世代の人にとってもロールモデルになったり、キャリアパスが思い描けたりするようにしなければいけない。例えば、まず大学で資格を取って福祉の領域に専門職として入る。現場を担っているだけの役割では、制度が定めた公定価格にもとづいた処遇となる。そこから先のキャリアパターン、キャリアパスが思い描けないから、その職種、その領域が進路として選ばれなくなってしまっている。その中で頑張っていって、言わば現場だけではなくて、その職域そのものをコーディネートできていくようなポストへ成長していくことによって、個人としてのキャリアパスが開けて、それなりに処遇される展望が描けることが大事なのではないでしょうか。そういう人たちが一定割合で育つ土壌を、その地域のエッセンシャルワークのそれぞれの領域が持つことによって、そこで魅力を感じて入ってきてくれる有望な新人のリクルートができるとか、そういうシステムづくりと一体でやっていかないといけないのかなというようなことを感じます。そうすると、午前中に紹介されたような学びの機会を得た人たちが、進路をよりイメージしやすくなるのではないかと思います。
【大森座長】 ありがとうございます。
【田中委員】 大学の中のコーディネーションはやっぱり大事だと思うんですけれども、大正大学のカリキュラムとかを見ると、カリキュラムの運営と機能のさせ方で、ある程度そこはカバーできるようになるような気がしたんです。なので、カリキュラム開発というか、そういう外に出してやる、PBLと同じなんですけれども、それはカリキュラムの立て方とか、窓口をどう置くとか、事業設計をどうするかというところである程度近いところまでいける気がするので、そういう地域を対象にした科目の精練というんですか、中身を極めていくということも一緒にしていくと、一緒にコーディネーターも育っていくような気はするんですけれども。
【大森座長】 ありがとうございます。
大学の規模にもよってくるところがあって、多分、うちなどだと、私が学内と地域と両方を兼ねている。でも、それは見渡せるからなんです。でも、やっぱり大きい大学だと、学内にいて、各学部に走っていって取材をしながら、シーズを探しながらという人ももしかすると必要になってくるかもしれないというところは、特に都市部の大学で地域とつながるということになると、かもしれない。
【廣瀬委員】 教員数が500人とか700人とかになってくると、少なくとも数名は必要ですね。領域ごとに、理系の人とか、社会科学系の人とか、それ以外、教職系の人とか、そういうような数名はいないと、ちょっともう教員の顔と名前も一致するのは難しいですよね。
【大森座長】 それが今までURAという形で、研究領域で、特に理系では企業とマッチングしてきたんだけれども、それの地域連携URAみたいなポジションも重要になってくるなという感じはしますね。
【藤岡委員】 例えば、企業との共同研究やキャリア教育での連携では、大学としては、地元企業を優先するというインセンティブが必ずしも働かず、申し出があるような意欲的に取り組んでくれる企業を優先せざる得ない傾向があります。大学や研究者と地元企業との協働の取組みを活発化していくためには、大学とは少し異なる視点で調整できるコーディネート機能が必要だと感じています。その際、大学もこのコーディネート活動に協力する仕組みにしていくことが望ましいと思います。
【大森座長】 お願いします。
【縣委員】 いろいろ御意見を伺って、なるほどなと思いながら聞いていましたけれども、実は今月、全部は回れなかったんですけれども、県内の幾つかの大学に回りまして、直接学長と、大学の将来のビジョンですとか、今回のテーマになっているプラットフォームだとか、大学連携、地方創生について、いろいろ意見交換してまいりました。
先ほど藤岡委員からも話がありましたけれども、大学運営がこれから厳しくなるよというのは多分、皆さん共通認識だと思うんですけれども、その危機感ですとか、改革の取組について温度差があるなというのは感じました。
プラットフォームに関しては、協議体の必要性については皆さん多分、御理解されていると思うんですけれども、実質的な連携をしていく上で、これは政策の方にもつながると思うんですけれども、まず形から入ってしまう、形にこだわり過ぎてしまうのは避けるべきだという意見は多かったです。とかくこれ、悪口になってしまうかもしれないんですけれども、県もそうですけれども、補助制度をつくる場合、かなり決められた枠組みが出来上がってしまって、それに乗っかるために、どうしてもやらなくてもいいことまで、やりたくないことまでやってしまう、やらなければいけないということになってしまうので、やっぱりそこは地域によって実情は異なるものですから、スモールスタートアップですとか、自由な取組ができるような支援制度、制度の弾力的な運用というのは絶対必要ではないかという意見は多かったです。それは我々もそのように感じています。
そういう中で、我々も、1回目のときにも御紹介しましたけれども、ふじのくに地域・大学コンソーシアムという組織を持っていますけれども、これ、あるんですけれども、結局いろいろな財源が厳しくて、やりたいと思ったこともなかなかできないということがあるものですから、全く新しい枠組みをつくるのではなくて、こういった既存の枠組みを拡充するだとか、もう少し活性化できるような、そういう支援制度も必要ではないかなと思っています。どうしても人とお金がかかるものですから、補助制度だと3年とか5年で終わってしまうと、そうなると、その先どうするんだという話が当然ありますので、やっぱり継続的な支援が必要になってくるのではないかなというふうに思っています。それは国の補助制度に頼るだけではなくて、我々も県もそうですし、大学自身もそうですし、企業側も含めた、あと自治体、他の市町村も含めて、そういった協力し合えるような枠組みを併せてつくっていく必要があるのではないかというふうに思っています。
意見を聞く中で、現実なところでいくと、他の大学と協力して一枚岩でやっていかなければいけないという思いは皆さん持っているんですけれども、反面、特に私立の大学でいくと、お互い競争するライバル関係にあるものですから、なかなか難しいなという意見もございました。
そういう中で、先ほどどなたが言ったのかな、やっぱりお互いWin-Winになるような、全体を取り組むのではなくて、共通のテーマ、少し絞ったテーマを設けて、そこで取り組んでいくことがまずいいのではないかなと思います。県内の大学でいくと、例えば、本県は、防災先進県と言われていますけれども、防災の面でいろいろ協力してやっているという大学もありましたので、観光なら観光ということで、共通した課題で少しやれる大学同士が取り組んでいくということはあるのかなというふうに思っています。
それから、コーディネーターの話がありましたけれども、私どもの方で、以前、高等学校の地域との連携というものについて議論する中でも、やはりコーディネーターというのは非常に重要だと。高等学校で地域に出向いていって探究学習に取り組んでいますけれども、やはりそこをコーディネートするのは教員がやっていたりするということが多いものですから、教員の負担もかなり多いということで、そういう場面では、やはりコーディネーターが必要だよという議論がありました。
大学でいくと、今、議論になっていますけれども、大学内をコーディネートするコーディネーターと、外とつなぐ外部のコーディネーターという両方が必要なのではないかなというふうに思います。御紹介しましたように、本県で、今年度、産学官の連携推進会議を設けて、今、準備をしているところなんですけれども、その場にもやはりコーディネーターをお願いしようと思っていまして、やはり自治体のことも分かっていますし、大学との絡みもある、地域に顔が利くような人を、今、配置しようということでお願いしていますけれども、そういった人材を探してくるしかないかなと。これは先ほど言ったように、どこかで勉強して養成するという話ではなくて、やはり地域での長い経験が物を言う世界だなというふうに思っています。
それから、大学間連携については、やはり大学等連携推進法人について、少し懐疑的な意見を持っている学長もおりました。どこまでこれにメリットを見いだせるのかというお話はありましたけれども、一方で、これにすごい期待する学長もおりました。
その中で、それぞれの大学が存続していくためには、やはり弱いところはもうやめて、強いところを伸ばしていかないといけないということで、例えば、自分の大学の強みを持ち寄って連携推進法人を構築して、全体で、要するに、例えばうちの県では、静岡県全体を1つの大学にするぐらいの勢いでやれば、地域に強い大学群ができるのではないか、それぞれの運営はそれぞれの法人がやっていくということなんですけれども、そういうやり方もあるのではないかというような意見はありました。先ほど言ったように、競争関係にもあるものですから、なかなか一枚岩で進まないとは思うんですけれども、そういったやり方も一方であるのかなというふうに思いました。こういう連携の仕組みがあれば、先ほど、哲学は1つあればいいということで、教員の流動性も高まってくるものですから、そういう面において、何か基準上の制約があるのであれば、そういうところを改善していけばいいのではないかなというふうに思いました。
それと、連携して単位互換とかをやっていった場合に、大学が隣同士であれば全然問題ないんですけれども、大学の距離の問題があるので、そこを遠隔授業という形で埋めるということはあると思うんですけれども、一方で、やはり遠隔授業も対面の臨場感がなくなるものですから、先ほども言いましたけれども、産業界が求める対人スキルみたいなところがなかなか養えないというところもありますので、リアルと遠隔をうまく組み合わせていかなければいけない、遠隔一辺倒ではいけないというふうに思っています。
大学で重複するリソースがあると思いますので、そういうところをうまく役割分担していく必要があるんですけれども、競争関係と連携というところの両立が難しいかなというふうには思っています。将来的には大学間の役割分担につながっていくのかなというふうに思いますので、そんなところを感じながら、今、いろいろ難しい課題が多いなというふうに思っています。少し長くなりました。
【大森座長】 ありがとうございます。
こういう県の方がいてくれると大変ありがたいなということではあるのですけれども、今お話にあった強みを生かして弱みは思い切ってというところもあるときに、では、答申の中でもあったけれども、経済原理によってということで、大学にとっては弱みだけれども、地域にとっては必要みたいなことが起こったときに、地域の皆さん、どうするんですかという話にもなってくるんだと思うんです。大学としては、自分ではもう持ち切れませんと。だけれども、地域の皆さんが必要というんだったら、じゃあ、どうしますかという話もプラットフォームの中ではしていくことになるんだろうなというふうには、特にエッセンシャルの話はまさにそういう話になってくるのかなというふうにも思って聞きました。ありがとうございます。
私からも、ちょっと細かい話というかあれなんですけれども、さっき三木課長から私学のまとめをお話しいただいて、プラットフォームを含めてそういう議論があって、そういうところに重点的に支援していきましょうみたいなところの話なんですけれども、私学の会議でもちょっと言った、例えば、中村先生に聞くべきなのか、石橋課長に聞くべきなのかはあれなんだけれども、国立大学のほうのメリット、つまり、私学の立場からすれば、ぜひお願いしますなんだけれども、ただ一方で、補助事業が地域を分断しないようにしなければいけないとは思っていて、私学のための取組だよねみたいになってしまうとしんどい話にもなるという辺りで、やっぱり地域には国・公・私がみんないて、みんなで一枚岩になるためにという辺りがどういうふうに並行して進んでいるのかなという。
【石橋大学振興課長】 今おっしゃってくださったのは、多分、お金の補助の仕方が、私学は今、もちろん民間需要のところで私学助成のという話になると思うんです。国立は当然、運営費交付金という世界があると思うんですが、当方が考えているものは、国・公・私を通じて入っていただくプラットフォームに御支援したいという考え方を取りますので、そのプラットフォームの中で御活動いただくときの分断はないかなと思います。
【大森座長】 なるほど。
【石橋大学振興課長】 一方で、これは自分の所掌を若干超えますが、やっぱり国立大学が果たすべき役割というものも間違いなくあると思いますので、それはもう中村先生はよく分かって動いてくださっている部分かと思うんですけれども、やっぱり各47都道府県にある国立大学がどういう立ち位置で地域のことを支えるのかというのは、これから担当課のほうも、それぞれの大学と話をしていくというフェーズに入ってくるかなというふうに思うんです。
加えて、私は公立大学を担当しておりますけれども、今度は公立大学はどうするんだという話も絶対出てきまして、公立大学ももちろん大きな大学もありますし、本当に小さな大学もある中で、じゃあ、国・公・私が、さっき縣委員も言ってくださったように、やっぱりそれぞれの強みを持ち寄って、どうプラットフォームの中で、そこのバーチャルに1つの高等教育機関として地域をどう見ていくのかという議論になっていけばなというのが我々の期待ではございます。
【大森座長】 そういう感じだと思います。いや、私学のほうで、私学助成のメリハリ・重点化の中で、プラットフォームによる将来像に基づいて取り組む私大への一層の重点化という中で、プラットフォームが私学のためみたいに映らないようにしなければいけないなというのは、前にも言った話なんですけれど。
【三木私学行政課長】 あそこに書いてあるのは、つまり、社会とともに歩む私立大学を国としては応援したいということなので、そうやって地域のニーズに合う、先ほど冒頭の中村学長のお話と全く同じだと認識しているんですけれども、地域のニーズに合わせて自分たちは人材輩出をするために、自分たちは構造改革するんですとか、自分たちの強みを残して弱みはお任せするんですといったようなアクションを取られるところを、私学の助成では応援をしていくということなので、まさに今、座長おっしゃったような受け止められ方はされないようなことが必要だと思うんですけれども。
あと、ちょっと今の話で、私が私学部としてやっていることなので所掌を超える部分はあるんですけれども、中教審の答申でも、後ろのほうに、設置者別で考えるのではなくて機能別で考えていくんだということはうたっているんです。それはすぐさまできることではないと思うんですけれども、今回のこのテーマでいうと、つまり、地域振興というときに、プラットフォームが1つの場であって、そういった場で国・公・私立が同じようにそれぞれ役割を果たしていくというときに、今はどうしてもそれぞれ設置者別の助成制度があってということですけれども、そこはだんだんやはり文部科学省の制度も将来的には変えていって、同じ機能を果たすのであれば、そこに着目をしていく。
さらに、石橋さんを横にして私が言うのも若干気が引けるんですけれども、石橋さんのところでは教育の質の評価をされているわけで、そこの中では、例えば、地域振興という部分で評価をもしされるのであれば、それをその地域で国・公・私立がどういう教育をされているんだということが評価できるのであれば、それに基づいて、機能や成果に着目して、その部分は設置者に関係なく資源配分を考えていく、全部は無理だと思いますけれども、そういったことも将来的にはやはり試行していかないといけないのではないかなというふうに思っています。
【大森座長】 なるほど。
【石橋大学振興課長】 加えて、今日、実は国立大学も今、会議をやっているんですけれども、ちょっとまとめが1か月ほど後ろ倒しになっておりましたので、次回の会議で国立大学のまとめも御紹介させていただこうというふうに思っております。
ただ、繰り返しですけれども、プラットフォームに関しては国・公・私共通のものとして、これは支援がどうのという前に、やっぱり地方、地域を支えるために必要なものだというふうに、我々としては、そういうふうな認識を大学側とも共有させていただいてやっていきたいというふうに思っているところです。
【大森座長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
【藤岡委員】 大学の視点ではなくて、地域の視点から地域を支える大学であってほしいということを文部科学省の石橋課長が仰ったのは、ありがたく思いました。
大学はどうしても「どれだけの補助金が入るのか」とか「大学にとっての直接的なメリットが何か」ということを中心に考えがちですが、大学が立地している地域社会に対して、それぞれの大学が何が貢献できるのかということを考え、実行いただくことが大学のメリットにつながるような仕組みを整えていく必要があると思いました。また、中村学長が仰った「連携の明確化」という視点も本当に重要だと思います。具体的に何を連携していくのか、地域のためにどのようなことに協力して取り組んでいくのかをはっきりさせていく必要があると思います。当方の産官学プラットフォームでも、それぞれの大学が、各自の強みを出し合い、連携できるものは積極的に連携していきましょうという議論を重ねています。加盟している12大学すべてが同じテーマで連携することは難しくても、まずは2つ、3つくらいの大学からでも、連携できることを当事者意識を持って連携していくことが重要だと思っています。
【大森座長】 これ、大学は、当然、やっぱり組織は、なかなかビジョンだけではなくてメリットがないと動けないところはあるんですけれども、その地域と関わるとか、地域を活性化するということ自体が大学のメリットなんですよねという認識を大学も持たなければいけないと思っていて、だって、地域が消滅したら大学など存在し得ないわけだし、学生が巣立っていくところでもあるし、やっぱりその地域に必要だと思ってもらえる大学でなかったら、もう残れないわけだから。
だから、それは大学側も、具体的なお金のメリットというだけではなくて、自分のうちが存在するということそのものに立ち返ったときに、地域活性化というのはメリット以外の何物でもない。だから、うちの大学もいろいろやっているのは、正直に言えば、メリットがあるからなんですよ。別に収入もなければ何もないんだけれども、でも、相当に大きなメリットだし、そのことによって学生もやっぱり来るようになるしという。そこは、なかなか大学の意識は、それぞれ成り立ちも違うのでねというところはあるのは承知なんですけれども、これは大学人が、やっぱり自分たちで意識を変えていかなければいけないところだなと思っています。ありがとうございます。
もうお一人ぐらいいけそうですけれども、言い残したことはないですか。
【山内委員】 よろしいですか。
【大森座長】 はい。
【山内委員】 先日、大学の認証評価にかかる文科省の会議に参加させていただいたところですが、大学の地域貢献は、なかなか評価しづらいので難しいところではあると思います。おっしゃられたように、プラットフォームの中で、それぞれの地域で異なることも多いですが、ある程度の方向性を示すことで、基軸となると思います。静岡と神戸では、すでにプラットフォームが動いているということですので、そういったところの課題点を含めた様々な声を聞いて、取り組めることから着実にやっていくということが大切だと思います。そういったところに我々としてどう関与していけるのかということを考えていきたいです。
気になったのは、エッセンシャルワーカーのところです。コーディネーターのところで、廣瀬先生からもいただきましたけれども、同じ職域の中で上がっていくところはあっても、なかなかステップアップと言えない現状があるかと思います。コーディネーターがいいのか分かりませんが、キャリアパスとして、いろいろな省庁の協力を求めていくのであれば、そういったところも絡めていくと、すごく面白いアイデアだなというふうに思いました。活躍の場がある、しっかりとした処遇があるということが見えると、ひとつ突破口になりそうな気がしておりますので、この辺も連携していっていただけるとありがたいです。
【大森座長】 大体、主任保育士になって園長になるぐらいしかないわけなんだけれども、みんながなれるわけでもないですしね。ありがとうございます。
オブザーバーからも、もし御発言をいただければ。大丈夫ですか。
【高木オブザーバー】 大丈夫です。
【大森座長】 それでは、ありがとうございました。およそ時間になってまいりましたので、意見交換はここまでというふうにさせていただきたいと思います。
議論の整理の案は、本日の議論を踏まえて、事務局のほうで整理していただくということでよろしくお願いしたいと思います。
それでは、次回以降の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】 本日も大変ありがとうございました。活発な御議論をいただきました。
次回は第4回、10月22日10時からを予定しております。
委員、特別委員の皆様におかれましては、本日、時間の都合上、御発言できなかった内容がありましたり、また、質問等ございましたら、おっしゃっていただければと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【大森座長】 それでは、本日の議事は終了したいと思います。ありがとうございました。
―― 了 ――
高等教育局大学振興課地域大学振興室