地域大学振興に関する有識者会議(第2回)議事録

1.日時

令和7年6月10日(火曜日)10時00分~12時15分

2.場所

ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴はWebのみ

3.議題

  1. 特別委員との意見交換
  2. 幼児教育・保育分野の地域アクセス確保に関する課題
  3. 地域大学振興に関する今後の取組等について
  4. その他

4.出席者

委員

(座長)大森昭生座長
(委員)縣修、田中マキ子、中村和彦、廣瀬克哉、藤岡健、山内清行 各委員
(特別委員)小林浩、 髙市邦仁、長谷川知子 各特別委員

事例紹介

仁愛女子短期大学 石川昭義副学長、増田翼幼児教育学科教授、後久真嗣入学・地域支援課長、谷口莉央付属幼稚園教諭、森川愛莉氏(学生)

文部科学省

伊藤高等教育局長、森友審議官、石橋大学振興課長、石川地域大学振興室長、大類初等中等教育局幼児教育課企画官

オブザーバー

横田こども家庭庁成育基盤課長

5.議事録

【大森座長】  皆様、おはようございます。座長の大森でございます。定刻となりましたので、第2回の地域大学振興に関する有識者会議を開催したいと思います。本日オンラインで御出席の委員の皆様、またお話を聞かせてくださる皆様はじめ、本当にお忙しい中、御出席をいただきましてありがとうございます。
 それでは、まず事務局から委員の出席状況と配付資料についての確認、説明をお願いいたします。
【石川地域大学振興室長】  おはようございます。本日は、お忙しい中、御参加いただきまして誠にありがとうございます。本日、この後、7名の委員全員がそろう予定でございます。よろしくお願いいたします。
 また、本日は特別委員といたしまして、長谷川特別委員、髙市特別委員、小林特別委員に御出席いただいております。また、オブザーバーでも経済産業省、厚生労働省、こども家庭庁に陪席いただくことになっております。
 加えまして、議題2でございますけれども、幼児教育・保育の関係で、仁愛女子短期大学の関係者の皆様にも御参加いただいております。
 配付資料につきましては、次第のとおりでございます。こちら不足等ございましたら、おっしゃっていただければと思います。
 また、第1回の議事録でございますけれども、運営要領に基づきまして、各委員の皆様に御確認いただいた上で、文部科学省のホームページに公開しております。
 以上でございます。
【大森座長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入ってまいります。前回の会議では、地方自治体・地域おこし協力隊の方ですとか、あるいは学生の特別委員の皆さんに来てもらって、いろんなヒアリングをさせていただいたところで、当事者の視点から地域大学振興、あるいは進学とか進路選択ということについても貴重なお話を聞くことができたなというふうに思っています。
 本日、議事に入ってまいりますけれども、今日は産業界の皆さん、それから金融機関、またメディア関係の特別委員に、地域大学振興に関する取組あるいは御提案等について、それぞれ5分程度発表をいただきまして、その後、意見交換をしていきたいというふうに思っております。
 ほかの議題もございますので、今から大体45分程度で、最初の議題を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速ですけれども、長谷川特別委員からお話をいただければと思います。よろしくお願いします。
【長谷川特別委員】  日本経済団体連合会常務理事の長谷川でございます。本日はお招きいただきましてありがとうございます。
 地域大学振興に関する経団連の考えについて、経団連が今年の2月18日に公表いたしました「2040年を見据えた教育改革」の内容に基づき御説明させていただきます。
 まず1ページ目です。御存じのとおりでございますが、2035年以降18歳人口が急減し、労働力人口が減少することが見込まれております。2028年には生産年齢人口が7,000万人を切るといったような推計もございます。
 また、AI技術の進展に伴い社会が必要とする職種や能力が変化している中で、高いスキルを持つ雇用者の増加率が、残念ながら日本は欧米に劣っているということがございます。
 社会の変化を踏まえて、国民全体の能力強化が急がれます。
 2ページ目を御覧ください。全体の能力強化に向けて、新たな労働需要に対応した不断の能力開発やスキルアップが必要です。
 経団連は、昨年の12月に公表いたしました「FUTURE DESIGN 2040」の中で、2040年に目指す姿として「最先端技術立国」「無形資産立国」「貿易・投資立国」を掲げました。その実現に向けては、高等教育機関の競争力強化と規模の適正化及び基盤の強化が不可欠であると考えております。
 加えて、ここにお示ししております4つの柱を一気通貫で改革していくことが必要と考えております。
 3ページ目を御覧ください。具体的には、急激な少子化を受けて、大学間の連携・統廃合と「出口の質保証」の強化が急務です。また、研究力の再生と強化に向けた大学の経営改革及び予算拡充も重要です。
 人口減少が著しい地方の広域圏、FUTURE DESIGN 2040では道州圏域構想と呼んでおりますが、こういった地方の広域圏では、行政単位にとらわれず、複数の首長と大学などで将来を見据えた人材育成ビジョンを検討するスキームを構築することが必要です。また、大学は地域の産業を支える知の拠点として、地域の産業政策と教育政策を連動させつつ、地域振興の担い手を育成し輩出することが期待されます。
 4ページ目を御覧ください。特に人口減少が顕著な地方部では社会や産業基盤の維持が難しくなるなど、厳しい状況に置かれる可能性があることが昨今指摘されております。また経済産業省の調査では、現在の人材供給のトレンドが続く場合、職種間もしくは学歴間で労働需要と人材育成にミスマッチが生じることも報告されております。
 今後、地域経済社会が、全国一律ということではなく、多極分散型で、自律的・持続的に発展する姿を目指して、地域の資源や個性を生かして、多様な取組を進めることが重要と考えています。
 人材育成の観点では、地域産業に必要な人材育成について、大学と知事部局が十分に意思疎通を図ることが期待されます。
 今後、複数の地方公共団体の首長、大学、地元の産業界で、人材育成ビジョンを検討するスキームをつくり、人材育成計画を立てて、大学の連携、機能強化、規模の適正化や教育の質の高度化を進めることが必要です。
 文部科学省が構想する地域構想推進プラットフォームと地域研究教育連携推進機構では、人材需要を踏まえた戦略的な人材育成に資する連携を実現することが鍵であると考えておりまして、この2つの組織の機能の違い、プラットフォームと機構の連携の在り方、運用に当たっての現実的なフローを分かりやすく整理して、乱立するということではなく有機的な連携を実現することが必要ではないかと考えております。
 私からの説明は以上でございます。
【大森座長】  ありがとうございます。
 続きまして、髙市特別委員、お願いいたします。
【髙市特別委員】  おはようございます。三井住友フィナンシャルグループ及び三井住友銀行の髙市と申します。今日はお時間いただきましてありがとうございます。
 弊社で取り組んでおります大学との最近の新しい産学連携の事例を御紹介しながら、言わば、産官学金の連携の新しい在り方について私見を申し述べたいと思っております。
 1ページは自己紹介ですので、後ほど御覧いただくとしまして、2ページをお願いいたします。
 ここから産官学金等の連携について、広く産学連携という言葉で表記させていただいています。我々は金融グループですけれども、我々にとっての新しい大学との連携の在り方を示していきたいと思います。
 左側ですが、従来の特定領域、1on1、それから閉ざされたもの、そういったところから、右側にありますけれども、社会課題起点、オープン、共同、社会・地域のためのもの、というふうに変わってきております。それだけ所与の社会課題や地域の課題の根深さ、深刻さというものが分かりますし、大学だけ、あるいは金融だけで何かを成し遂げるというのは到底なし得ないという状況の一つの裏返しかと思っております。
 3ページをお願いします。早々にまとめを書いていますけれども、我々金融の大学に対する役割、どういう貢献が出来るかといったところは、今後、非常に大きく広がっていくと捉えています。
 右側に書いていますけれども、大学の変革を支え、学外とつないで、それから次世代を応援するということが重要だと思います。
 ただ、例えば、従来型の企業のニーズと研究のシーズをマッチングするという動き、これは今後もやり続けますが、いずれAIを使って研究がリスト化されて、実際のそのマッチングされるプラットフォームが出来上がる、そういう世界が来たときに、金融の果たす大学への貢献、価値って何なんだろうと。ここにもつなぐという言葉を出していますけれども、やっぱりもっとアグレッシブで効果的でなければならないと思っています。
 いずれにせよ前提となりますのは、大学とともに地域、社会に一緒になって貢献し続けるんだと、そういうことが産学連携の前提と捉えてございます。この動きをリードしたいというのが、我々SMBCグループとしての思いです。
 ただ、やっておりますと悩みもいろいろ出てきます。次のページ以降で、幾つか事例を御紹介したいと思います。
 4ページです。まず、筑波大学との包括的連携です。去年の8月にプレスをしております。
 包括ですので、何でもありです。大学の変革をお手伝いしながら、学外にも発信している状況です。
 ただ、最初の8か月ぐらいやって感じたことを3点申し上げますと、1点目としては、互いの言語の共通化と理解、これに概ね1年費やしたということです。分からないことが互いに非常に多いです。
 2点目、その裏返しとも言えますが、大学と民間、両方のことを分かっている人はほぼいないという状況です。筑波大学へは、我々SMBCグループからCFOが行っておりますが、こういう人の交流がやはり重要だというのは肌感覚として感じています。
 3点目、1on1の大学との包括的連携ではありますが、学内にも業者さん等がいらっしゃいます。大学とも我々とも違う経済合理性で動かれている方がいらっしゃるわけです。それでも、ここにお示ししている様々な取組を続けることが、最終的には必ず大学が地域と共にあり続けるんだ、という出口に結び付くと思って取り組んでおります。
 あと、もう1点あるとすれば、トップダウンです。この4月に、弊社の社長と筑波大学の永田学長との面談をさせていただいたのですが、そこでも5、6個アイデアが加わっておりまして、連携のスコープがさらに広がっているという状況にございます。
 5ページをお願いします。2点目は京都大学との連携です。京大の先生と我々金融グループの社員が共通のテーマの研究、発信に取り組むケースです。
 これは先生方の持っておられる知を外に打ち出して、社会に同じ考えと行動を伴う人々の輪をつくっていこうという取組です。
 本年度、京大学内の公募を既に行っておりまして、今、資料上研究テーマは3つだけ掲げておりますけれども、採り上げるテーマを略3倍に増やしていく方針です。
 それから、6ページをお願いします。一番新しいのが4月に打ち出しました東京大学との連携です。必ずしも地方というわけではございませんが、参考として2点共有します。
 左側ですが、東大の学生さんたちの地方自治体での課題解決活動、この拡大を我々としても御支援をしております。
 それから右側ですが、東京大学を通じて、社会課題解決に世の中のお金が向かうことのできる新しいフィランソロピーアドバイザリーというサービスを開始しております。
 7ページをお願いします。今の3つの例は個別大学との連携ということですが、それ以外にも弊社では、7ページと8ページですが、学生さんとか研究者の皆さん方の活動を直接的に御支援する、言わば大学横断的な企画というものも始めておりまして、幸いにも大きな反響を頂戴しております。
 こうした取組の輪をしっかりと認知度を高めながら広げていくということですが、最後9ページ、10ページには、大学と一部離れますけれども、他の我々の幾つかの取組を参考で御紹介しています。
 9ページは子どもたちへの挑戦機会の提供です。我々だけでは本当に何一つできませんで、同じ考えを持った人を増やして巻き込んで活動する事例です。
 最後10ページは弊社の金融経済教育になります。大学とのプログラムという形でも昨年度は大きく増えまして、全体としては、昨年度1年間で、あらゆる世代の方々、弊社では約57万人の皆さんに対して何らかの貌で金融経済教育を御提供申し上げています。
 以上が御説明ですが、いずれにしましても、大学側の御理解と共感を得ながら社会、地域、それから大学の課題に外の人を巻き込むということと、あとは人を交流、育成させながら粘り強く取り組んでいくということを、SMBCグループとして主導している状況です。
 以上でございます。
【大森座長】  ありがとうございます。
 続きまして、小林特別委員、お願いいたします。
【小林特別委員】  おはようございます。リクルート進学総研の所長で高等教育の専門誌、リクルート「カレッジマネジメント」編集長の小林でございます。今日はよろしくお願いいたします。
 最初の2ページ目ですが、大きく大学を取り巻く環境として、人口動態と産業構造の変化があると思います。
 ここに人口動態で2023年の出生数は73万人と書きましたが、24年が先週発表になりました。何と68.6万人ということで、想定よりも大きく人口減少が進んでいるという状況です。
 日本は人口減少が進んでいますが、まだアジアは人口が増えていますし、高等教育も成長マーケットにあるということです。
 産業構造・就業構造の変化でいくと、高齢者が増える一方で、支える生産年齢人口が大きく減っていると。
 一方で日本型雇用も、高度成長期を支えた終身雇用、年功序列、企業内労働組合という三種の神器というものがもう崩れ始めていると。生涯学び続ける力が必要になってきているというのが現状だというふうに思います。
 次が、これはもう皆さん何度も見た人口減少のグラフだと思いますが、大学に入る18歳が大きく減っていまして、そこが今、2024年は110万人いますが、この後、大きな崖が来ます。
 ただ、2030年ぐらいまでは横ばいになっていますので、この5年間に何とかしなければいけない、改革を進めないと、崖が来る2035年までに改革が終わらないと。ここまでに何とかしなきゃいけないということでございます。
 次お願いします。これが、私どもでまとめている学校基本調査を再集計したものですが、右に行けば行くほど18歳人口が減少する地域、上に行けば行くほど地元に残る地域になります。
 1、2、3、4とありますが、1番は、減少しないし、残留も多いという地域になります。
 3番は、人口は減らないけれども、残留しないという地域になります。これは沖縄と、あとは東京とか大阪、京都、福岡の周辺地域になります。なので、首都圏だから安泰ということではないということです。
 2番は、人口は減少するけれども、地元に残留する。これは北海道、宮城、京都、石川
というところで、札幌、仙台、京都、金沢という、中核都市がある地域になります。
 そのほか、右下に数多く集まっているところが、人口も減るし、地元に残らない。一言で言うと、将来、大学の空白地域となるおそれがある地域ということです。これは大学だけの問題ではなくて、社会、経済の危機に陥るおそれがあるエリアだと考えたほうがいいと思います。
 なので、首都圏だけの論理で考えずに、地域ごとに対応を考えていく必要があるということでございます。
 次お願いします。これは高校生に、地元以外に進学する理由は何ですかと。地元というのは家から通える地域のことを言っています。そうすると、大都市圏以外の高校生が家から通えないエリアに進学する理由の1番は、行きたい学校が地元にないから、2番目が、学びたい分野を学べる学校が地元になかったから、いわゆる学校あるいは分野というところが上位に来ています。
 意外と、地元以外で就職したいからという就職を先に考える子はそれほど多くなくて、まずは大学進学というところで、18歳で出ていってしまうということが大きな理由になります。
 次お願いします。リクルートにワークス研究所というのがございまして、ここで2040年の人材需要の、労働需要のシミュレーションしているのですが、何と1,100万人、2040年には労働人口が減るというふうに、不足が起こると予測しています。
 そうすると何が起こるかというと、これまでの人手不足、今、景況感がいいときは人手が足りない。不景気のときは人余りといった言い方がしますが、景気に関係なく、労働供給自体がボトルネックになる。労働供給制約社会がやってくると言われています。
 特に、全ての職種、供給が不足するのですが、介護、商品販売、輸送・機械運転・運搬といった生活維持サービス、エッセンシャルワーカーというところが不足するというふうに言われています。
 特に地方において深刻な状況になっていまして、昨年ですね、今年も同じぐらいなんですが、大卒人材を10人採用しますとして採用計画が充足できた企業は全体の4割になっています。地方は2割台の地域もありまして、もう大学以外の人材にも期待が高まっていて、高卒の有効求人倍率4倍です。大卒は1.77倍ぐらいですね。高専・工業高校は20倍ということで、すでにかなりの人手不足というのが出てきています。
 産業構造の高度化により、単なる労働力ではなく基礎力を高めていくこと、そして高度人材、この2点の育成が課題になってくると。
 地域でどのような人材が必要なのかを産官学金で真剣に話し合う時期に来ていると思います。
 次お願いします。これが、じゃあロボティクスで対応したらいいじゃないかというと、右上が労働量不足するものの、ロボティクス、AIで対応できる職域、これについては大学等で学部・学科、カリキュラムを全面的に変えていかないといけない。
 そうすると、すぐにデータサイエンスだと理系分野となりがちですが、それだけではなくて、文系や実学的なエッセンシャルワークの部分でも、かなりカリキュラムを変えていかなきゃいけないということだというふうに思います。
 IT・ロボティクスで対応できない職種については、留学生あるいは社会人を学び直しというところで、サービスレベルをきちんと維持していくということが重要になります。
 これを考える視点としては2つあると思います。地域社会に不可欠なエッセンシャルワーカーを育成する視点、もう一つは、その地域の基幹産業を支える人材の育成という2点です。
 次お願いします。これを考えたときに、やはり大きく社会課題が変わっておりまして、第4次産業革命、グローバル化、少子高齢化、こういった社会課題に対応した、私たちはメガトレンドと呼んでいますが、これに対した学問分野、複合分野をきちんと取り組んでいかなきゃいけない。地域ごとに産業構造や取り組む課題が違っているので、これを考えていく必要があるというふうに思います。
 次お願いします。これが、海外を見てみると、ドイツ、アメリカなんかは、産業クラスターを地域でつくって、地域の産業自体をつくり変えているということがあります。これは大学、地域、企業が一緒になってやっていますが、そういった事例はなかなか日本では見られていないということがあると思います。地域を起点に生かした産業クラスター創造に期待がかかるというふうに思います。
 次お願いします。先ほどお話があった地域連携プラットフォームをつくっていけばいいじゃないかというお話もあると思いますが、実はもう既に273もプラットフォームがありまして、それが実質的にどれくらい機能していくか、しているのかというのが課題だというふうに思います。
 一つの課題は、その構成員が単なる充て職になっていて、当事者意識があまりないのではないかなというのが、取材等を通じて考えるところでございます。
 次お願いします。これはアメリカの公立・州立大学の将来像を考える際に作られた図と言われていますが、日本では、大学があって、教育、研究、社会貢献というふうに大学の機能を定義していますが、これからは、地域においては、地域社会を中核に置いて、大学をその中に位置づけ、つながり、発見、学びというものをきちんとエンゲージしていくということが重要になるのではないかというふうに思います。
 最後のスライドお願いします。もう誰も経験したことのない人口減少社会に向けて、これからは、これまでの延長線上ではなくて、非連続的な仕組み、システムを考えていく必要があるというふうに思います。
 中央だけでなく、各地域に、その地域の産業構造に合致した人材育成をということで、答申でも「基幹産業の構想と人材育成を検討するプラットフォーム」、そしてそれに合致した「人材育成する連携高等教育機関」の2段階で取り組む必要があるということです。
 番号をつけていますが、1つ目が、地域ごとに産・官・学・金合同で、中長期視点での産業を検討するプラットフォームを構築すると。
 なぜこの金を入れたかというと、やはりお金の切れ目が縁の切れ目になっていることが多くて、地域で考えろと言っても、みんな東京からお金が出てくるので国のほうを見てしまうということで、本当に地域のためになっているのだろうかということで、地域の中核となる基幹産業を考える構想、あるいはエッセンシャルワーカーのボリュームをシミュレーションして地域人材の育成を考えていく必要があると。
 それを、先ほどもありましたが、社会と大学で言語が違うことが多いので、つないでいくコーディネーターを育成していく必要があるのではないかと考えています。
 そして、上記と連携した大学等連携推進法人の枠組みをさらに進化していくということです。
 市場原理だけに委ねると、大学が存在しない空白地帯が出てきてしまうということで、その地域に生まれただけということで、学びたい分野が学べない、大学に行くという選択肢がないということは避けたいと考えています。
 その地域で国公私を超えた大学等連携推進法人によるホールディングス化をして、そこに予算もつけていくということです。各大学というよりは、その上の機構に予算をつけて、人材育成をしていくと。そこに大学を設置しながら、大学をつくっていくと、連携、統合していくということが重要かと思います。
 そしてもう1点は、どうもCOC+Rなどの取組を見ても、地域に生まれた子は地域にどうしても囲い込もうという意識が強いような気がしています。なので、1回出ていっても、また戻ってくるといった地域間留学、国内留学も今、高校等ではかなり盛んになっていますので、滞在人口・関係人口を増やすことで、その地域の魅力を共有していく、産業の構造を複層化していく、こういったことが重要なのではないかと思います。
 いずれにしても、これまでとは違ったシステムを考えながら、産官学金の壁をいかに越えていくか、越境ということを考えていく必要があるのではないかと考えております。
 以上でございます。
【大森座長】  ありがとうございました。それぞれ本当にすばらしい御発表をいただきまして本当にありがとうございます。
 この後、時間に少し余裕があります。委員の皆さんから御質問とか、御意見とか、それから特別委員の皆さん同士でも御質問し合っていただいてももちろん結構ですし、オブザーバーの皆さんもぜひ、何かありましたら御発言をいただければというふうに思います。
 それでは、どなたからでも結構です。何か御質問等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 じゃあ、私からちょっと呼び水的に。呼び水的と言いながら、結構中心的な感じの話になっちゃうかもしれないですけれども。長谷川委員、小林委員とお話あった、その地域の産業という表現は我々もよく使うことなんですけど、小林委員の発表だと、もう少し突っ込んだ、産業クラスターまでいけるのかという話だと思うんですけども、地域で産業が違うのだから、地域で話し合ってとよく言われるんだけど、あまり違わないという感覚が実はあるというか。
 本当に特別な地域で、ここは、この間の愛媛のように紙だよねみたいな、そういうところがあるのは承知しているんですけど、群馬でそれやったことはあるんですけど、結局、社会人基礎力に落ち着くという、そういうところがあって、それぞれ特徴的なのはあるけど、その人材需要も一個一個は少ないみたいなところで、何か本当にその地域で求められている人材というのをあぶり出していけるものなのかどうかというのが我々いつも課題感を持っているんですけど、何か御感想ありましたら、いかがでしょう。
【長谷川特別委員】  経団連では、細かく分析したことはないのですが、FUTURE DESIGN 2040では、これまでの地方創生で、国が一律の支援パッケージや補助金のようなものをつくってもうまくいかなかったことを考えると、それ程、地域の人材需要は違わないという大森先生の御意見でしたけれども、やはりその地域が置かれている状況や、資源、人口、地域に大都市があるかなどの観点で、各地域の状況はそれぞれ異なると指摘しています。その上で、少し広域の経済圏、現在の行政単位にとらわれずに、中核都市を中心とした、それなりの規模が必要という考え方ですが、そこで複数の首長や大学の代表が集まって、本当にその広域経済圏を発展させていくためには、どの産業が成長産業になり得るかというところを、まず話し合って合意し、そこから、それぞれの成長戦略を考えて、その地域の成長を牽引できる人材を育成していくことを始めてくださいということを言っています。我々がFUTURE DESIGN 2040で示した考え方では、各地の広域経済圏が持つ成長産業や、潜在的にその地域の産業を支える人材は、地域ごとに違うのではないかという考え方に基づいています。
【大森座長】  そこで、少し先の将来像を議論しながら、うちの地域では、きっとそっちに行くんだよねということ。
【長谷川特別委員】  そうです。きっと、うちは農業だよねとか、漁業だよねとか、工業だよねとか、やはり地域によって違うと思いますし、大都市経済圏に近いかどうかという、立地の違いもあると思います。
 全国の成長戦略が一緒であるはずがないということに加えて、もう一つの考え方である、競争原理による切磋琢磨ということも強調しています。そういう形で、各広域経済圏でいろんなアイデアを出し合って考えていくうちに、お互いに競争する面もどうしてもありますし、お互いのアイデアから触発されるというのもあるので、そういう形で好循環を生んでいくというアイデアです。
【大森座長】  ありがとうございます。
【小林特別委員】  今の長谷川委員とほぼ同じですけど、やはりエッセンシャルワーカーという地元に必要な人材と、その基幹産業みたいなところを支える人材、ちょっと分けて考えなければいけないなと考えております。
 地元に必要な人材というと、やはりどうしてもエッセンシャルワーカーを中心に考えがちですが、私も全国何周もしているんですが、北海道と九州では全く気候条件が違いますし、土地、水、日照時間、文化、産業構造、こういったものも全然違っています。
 そうしたときに、やはりその地域で、ここ二、三年ではなくて10年後を考えたときに、どういったところに注力していくのかというのを考えることで、先ほどピッツバーグが鉄鋼の都市から、鉄鋼業が下火になったのでイノベーションハブに変わっていったと思いますが、日本でも、第2の日本版シリコンバレーをつくるんだと言ったまま、なかなかそういったものが出てこない。
 やはりそれは地域の産業、短期間の視点じゃなくて、もうちょっと中長期的にビジョンを掲げて進めていくことが、全体の都市、全体の地域でできるかどうか分かりませんが、その特徴のある地域を増やしていくというのが成功事例につながっていくのではないかと思います。
【大森座長】  ありがとうございます。そうすると、そこで議論されたその方向性に向けて、各大学も、例えば学部であるとか学科であるとかをシフトしていかなきゃいけないといったときに、これは結構トレードオフの話になるけれども、今、様々なところが厳格化ということで、いろんな新しいチャレンジを厳しく見ていこうという話をしている一方で、もうちょっと柔軟に、その学びの中身が変えていけるようなことをしないと、その動きに大学が追いついていかないというか、例えば4年後だったりするので、その準備に2年だと、本当に人材育って学部出るのが6年後ですみたいなときに、いや、追いつかないよといったことは出てくるかもしれないですね。
【小林特別委員】  そうですね。もう1点言うと、先ほど厳格化というのは、人口が全体に日本で減ってくるので、これは増やせなくなる、厳格化しなきゃいけないという気持ちも分かります。
 一方で、柔軟な対応も必要になるので、今、制度的にも地域順が改正されて、特例制度みたいなものを入れて、そういった新たな特区みたいなものでチャレンジをしていこうという制度自体はできているんですね。
 そういったものの運用をもっと柔軟にして、さらに強化していくということで、厳格化と先導性を引っ張っていくという柔軟な制度は二律背反ではないのではないかなというふうに思います。
【大森座長】  なるほど。ありがとうございます。
 ほかの委員さん、いかがでしょう。田中先生。
【田中委員】  大変勉強になるお話をありがとうございました。経団連のほうから出ています、機構をうまくもっと有機的に連携させて使ったらいいんじゃないかという話や、リクルートの小林委員がおっしゃった大学のホールディング化ということに私、非常に興味があるというか、私も考えていたことなんです。大学当局とすると、連携という言葉はまだ受入れがいいんですが、統合となると、何か吸収合併されるみたいなことで、自分たちの文化がなくなるみたいなイメージがあるんですね。そうすると、機構という大きなものをつくって、その機構の中に入って、自分たちの大学の特徴を生かす。ただ、バランスを考えていかないといけないので、学部単位ごとに変えていかないと、人数減すだけでは教員や事務職員の数等を調整できなかったりします。機構として大学が集まった中で、「じゃあ、うちの大学はこうしようね、どこどこの大学はこうして・・」と、あるいは地域の産業構造を考えると、「新たにまたつくっていかないといけないよね」という話ができると思うんです。
 そのときに大事になってくるのが、やっぱり地方をまとめるとすると、首長になってくるわけで、知事との交渉ということになると思います。その知事との交渉をするときに、公立大学は日頃からお付き合いがあるので、意外にルートがあるというか、うまくそこを使っていけば意思疎通を図れるんですが、大学が連携をしながら、機構の中に入りながら、機構として交渉するときに、国は国で近い関係にありながらもやっぱり遠慮があって、私立は私立としてやっぱり遠慮があってということで、知事部局との交渉を始めるときのファーストステップがなかなか実はうまくいかないという現状があります。その知事部局の中に、それぞれの大学をつなぐ人が入り込んでくれて、いろいろ回してくれると、うまくいくんじゃないかというのを、自分の県の例で思うんですが、他県の例としていかがかについて、聞かせていただきたいなと思ったんですが。
【大森座長】  山梨はどうでしょうか。
【中村委員】  自治体全体の窓口がはっきりしないと思います。今年の1月、2月ぐらいに、石川室長のところで調査をされていますよね。要するに、その窓口をどこにするかというところだと思います。
 多分、多くの都道府県の窓口は、実際に動いていないような気がします。多分山梨もそうだと思います。
 先ほど言われた話だと、山梨は、おそらく、私学・科学振興課がなっていると思います。そこは、私学といっても、主にターゲットになっているのは幼、小、中、高ですね。大学まで入っていかない。公立は、山梨県立大学がありますので、そこは一つ。
 国立大学は、全く門外漢。しかし、実際には、一番、実施しているのです。一番、リカレントもリスキリング等いろんな連携研究を行っているのは、国立大学であると思います。
 先ほどのお話で思ったのですが、やはり都道府県のレベルより、むしろ市町村レベルのほうが早いなと思いました。
 ちょっと話が長くなりますが、先週の金曜日に、山梨県の山梨市とマッチングファンドを行いました。そこでは、まず、地域の、山梨市の課題を出してもらいました。農業とか、教育のAIとかが中心でしたが、今度は大学の研究者に、「こういうものが、課題として出てきたのだけど、研究できますか?」と話をして、何人かの研究者が手を挙げて、それを山梨市側で審査をしていただきました。山梨市と山梨大学でお金を出し合って、地域課題を解決するという研究を進めていくやり方なんですよね。
 先ほどの小林委員の図だとすごく分かりやすいのですが、私はこれ広めていきたいと思っていまして、もちろんそこに金融界とか産業界が入って、今までとは違う、その地域社会との連携を、研究、教育、社会貢献としてやっていくことが大切だと思っています。
 実際に地域とつながるということは、みんなそうだということになって、その延長上でいうと、山梨市と始めましたら、他の複数の市町村もやりたいって言い出しています。
 実は、どんなことやりたいって聞くと、そんなに課題はばらばらじゃないですね。例えば山梨だと農業とか、あるいはAIとかいうところです。
 そういうやり方で課題を見つけていくということは必要だと思います。
【大森座長】  では次に、神戸市の藤岡委員、いかがでしょうか。
【藤岡委員】  どうもありがとうございます。先ほど経団連さんのお話の中で、そのエリアの人材育成に係る特徴的な産業実態を把握するということ、これはなかなか私も、大森さんのおっしゃるように、難しいところではあると思います。
 どういう人材育成が必要なのかに関して、同じ自治体でも都心部とそれ以外のエリアでは異なりますし、産業界も一枚岩とは言えず、例えば大手と中小企業では違うなど、それぞれのエリアでも求められる人材のあぶり出しというのは難しいのではないかと感じます。
 その中でも大事なことは、先ほどもお話があった地域の中での課題ですよね。具体的な課題は一体何なのかというところを地域の中でコンセンサスを図っていくというところでいうと、基礎自治体は日々、具体的な地域課題に携わっていますから、課題を明確化にしやすいというところがあるとは思います。
 私ちょっと質問が何点かあって、SMBCの髙市様のお話が面白いなと思ったんですけど、3点、御質問がありまして、一つが、お話の中で、大学との言語が違うというような話があったんですけど、非常に興味深いと思いました。
 大学との言語が違うというところで、大学と産業界それぞれの両方の言語が分かっている人が少ないという点ですが、どういうところが一番その言語の違いを感じられていたのかというのが1点目の質問です。
 2つ目が、これも髙市さんの話の中で、違う経済合理性で動いている人が大学にはいるという話があったのですけど、具体的に、その違う経済合理性で動いているというのは、これ教員の方なのか、大学の職員の方なのか、そこをちょっと聞きたいのが2点目。
 あと3つ目ですね。これはちょっとお答えいただけるかどうか分からないですけど、今回SMBCさんは筑波大学、それに京都大学、東京大学を連携先に選ばれているんですが、とりわけ、筑波大学を選ばれているという点、何かこれ理由があるんですかね。私立大学とか、そういったところの連携は考えておられなかったのか。その辺り、ちょっとお聞きしたいです。
 すみません。お答えいただける範囲で結構です。よろしくお願いします。
【大森座長】  ありがとうございます。髙市委員、お願いします。
【髙市特別委員】  髙市でございます。御質問ありがとうございます。
 1点目、2点目はリンクする部分もあるかと思います。まず1点目の言語の話では、例えば、我々と筑波大学が学内でキャッシュレス化を進めようとします。そういったときに、まずキャッシュレスって何、と当然、大学の多くの方は思われるわけです。言語が違うという以前に、専門言語を知らない、なじみがないということがあります。
 また、国立大学ですので、当たり前ですが、施策の一つひとつを進めるのにも入札があります。もちろん我々としても分かってはいるつもりですが、そこで例えばどういうことを記載しなければならないか、といった一つひとつの理解に、互いに丁寧に努めてきたというのがイメージされるところです。
 両方が分かっていないと申し上げましたのは、まさにその大学と、これは筑波大学に限らないと思いますが、大学に中にいらっしゃる方で民間の経済、金融、産業というものも熟知なさっている方、例えば産学連携でいえば、企業のニーズを分かっていらっしゃる方、金融の側も、例えば大学の研究のシーズを分かっている人間は多くなく、これらの重なり合うところは略ないと認識しています。そこを重ねてつき動かしていくのがマッチングという作業ですが、そこに時間がかかっている印象もございました。
 2点目の経済合理性、学内にてビジネスをなさっている方は色々いらっしゃいます。例えば、身近な話でいうと、学食や購買であったり、最近ですとコンビニでしたり、カフェもあると思います。そういった方々は当然、その大学に居を構えてビジネスをなさっているものの、その会社としての経済合理性で動かれるわけです。もちろん大学にその店舗を構えることの意義が別途あることを御理解された上でのこととは思いますが、そういった方々に、我々が筑波大学と何かをやろうといったことを御説明するときに、理屈や違った切り口を従来以上に考えなければならない。ここは、大学と金融の1on1では必ずしもないという印象がございます。
 それから3点目、筑波大学を選んだ理由という御質問で、まさに永田学長がトップダウンで、大学自身の変革を真剣になされようとしていることと、加えて、つくばは東京近郊ではありますが地方の側面もお持ちの地域でして、大学の外、即ちつくば市を巻き込んだ動きによって、学内だけではなく学外への波及も考えておられますし、あるいは筑波大学との連携そのものを今度は他の地域の大学に横展開するという発想もお持ちでした。我々も変革、トランスフォーメーションにお役立ちしたいというマインドを持っておりますので、非常にフィロソフィーが合ったというところも、選ばせていただいた理由の一つです。
 以上です。
【藤岡委員】  ありがとうございます。大学としての合理性じゃなくて、大学で展開されている個々のビジネスの合理性のことだと理解できました。また、1点目の話は深刻な話で、社会に人材を送り出すための高等教育機関が社会のことを知らないという、ちょっとパラドックスというか、逆説的なお話だったので、これはご批判にもなるかなとは思いましたが、議論の原点だとも思いました。ありがとうございました。
【髙市特別委員】  ありがとうございます。1点だけ、すみません。批判とかではなくて、大学と社会の垣根といいますか、同じところにいるものだということを我々としてもお手伝いをさせていただきたいと思っていますので、大学の外に出たら何かが使えないとか、大学の外にあるものが大学の中では使えないとか、そういったことがあってはいけないなというのが、例えば大学の魅力ですとか、新しい学生さんに大学に来ていただくとか、そういう発想でいくと、そういうことって大事なんじゃないかなと思いまして、その辺をお手伝いさせていただいています。
 すみません。以上です。
【大森座長】  ありがとうございます。小林委員。
【小林特別委員】  経団連の長谷川さんにお伺いしたいんですけど、地域はどこだという話が結構出てきていると思うんですけども、この中で地域の広域圏という言い方をしていて、自治体とか、そういった行政区域じゃないお話をされていて、以前、20年前ぐらいに道州制というのが出てきて、ちょっと消えてしまったような気がするんですが、これを広域圏というのは、お話があったんですが、どういうふうに定義して進めていくとか、何か進めていくための方策みたいのは経団連の中で何か出てきているものでしょうか。
【長谷川特別委員】  一応イメージとして、道州圏域の規模としては、500万人以上の規模を想定しており、一つの道州圏域にはハブとなる中核都市があり、その周辺に10万人程度の市域、生活圏があるといったイメージで、そこに知の拠点となる中核大学があるというのはあるのですけれども、それ以上は、特に細かく定義はしていません。もともと道州制は経団連が以前から主張していたものです。現在は、道州圏域という言葉を使って、より幅広いイメージで、地域の中核都市を中心とした単位で、今の行政単位ではないのですが、複数の都道府県の中で成長産業をイメージして、そこからバックキャストして、必要な人材育成を複数の大学もしくはその地域、複数の自治体が一緒にやっていくというイメージで考えております。
【大森座長】  ありがとうございます。
【小林特別委員】  ありがとうございます。大学だけとか自治体だけじゃなくて、ちょっと省庁の壁を越えて考えていかなきゃいけないテーマのような気がしますね。
【大森座長】  中村委員。
【中村委員】  小林委員の最後から3枚目の日本の地域連携プラットフォームの現状という、これ実際に、これだけのものがあるということで、多分、中教審のデータですけど、例えば、どのぐらいの頻度で開催しているとかということは出していましたか。
【石川地域大学振興室長】  どういう構成員かというのは調べておりますけれども、どういう頻度で開催されているのかについては、それぞれ個別に確認しないといけないということでございます。
【中村委員】  ちょっと繰り返しになってしまうかもしれない。多分、このプラットフォームって、下手すると年に1回実施して終わりと。これ全く意味がないんですね。このことは、プラットフォームの構成員の中からも批判が出ているんです。本学もそうなのですが。
 その先ほど長谷川委員が最後に出した、このプラットフォームと機構はばらばらじゃなくて、私は多分、そのプラットフォームがないところはつくればいいし、それを土台にしながら、でき得れば常置の機構とそういったものをつくっていくと。
 どこが中心になるか、地域によって違いますが、例えば私どもの大学だと、もう地銀である山梨中銀から、3人大学に出向してもらっています。そして、社会連携や知財の部署と一緒にやっていただいておいます。
 大学とか地域によって違うので、どういう仕組みをつくるか違いはありますが、最終的にはやはり常置の、例えば、観光推進機構のようなものを置いて、地域課題を把握してシーズをつくるような大学連携をしていくとか、それは都道府県を越えて行うというふうな形のものも私はイメージしています。
【長谷川特別委員】  ありがとうございます。
【大森座長】  ありがとうございます。
【山内委員】  私ども商工会議所は、515の商工会議所が基礎自治体である市に立脚しています。人口10万以下のところは、 360ぐらいの商工会議所がありますが、このプラットフォームの在り方や、エリアと役割分担をどうしていくかはこれから我々もアプローチの仕方を考えていかないといけないと思います。
 各地商工会議所も、個々に大学と連携協定結びながらやっているわけですが、それが、おっしゃるように年1回ぐらいの会議しかなくて機能していないという話です。先ほど地域の産業力という話があって、そこは我々も非常に重要だと思っていて、産業がなかなか見いだしづらいところというのが多く、課題は同じだと感じております。商工会議所内で地域経済循環、RESASを使って、生産と分配と消費でどこが弱いのかというのを正確に出して、どの産業を伸ばしていくかという議論をしております。我々は市単位なので、ボトムアップでそれぞれの地域で考えてやっていきましょうという話で今まで行ってきておりましたが、大学をこれから地域の拠点として、研究開発にしても、支援を拡充するにしても、アプローチしようとしたときに、広域的な観点で、我々もどうアプローチしていくか模索しているところです。地域の拠点として大学がありますから、その位置を踏まえて我々なりに、経済圏とか、生活圏とか、県境を越えて大学と連携して考えていきたいと思っています。
 我々は基礎自治体に立脚しているので、県境を越えること自体に関しては、あまり抵抗感はありませんが、国の支援や交付税の議論になりますと検討が必要になると思います。この辺のところをどうしていくべきかを課題に思っております。また、事業者にとってみると、大学に行って、いろんな人と話をすると学びがあるものだと思います。
 昨日お会いしたある経営者が大学生は宇宙人のようで大学生と交流することで新しい感覚を学び、吸収し、非常にいい製品ができたりするという話をしておられて、事業者にとっても学生と話すことはメリットがあるんです。ですから、大学とも連携したいといって、プラットフォームをつくろうかといったときに、大学の中につくってしまうと、いろいろと難しいこともあるので、大学の外にNPOのようなものをつくって、准教授や、若い熱意のある人たちを集めてやっていこうという動きが前橋をはじめとしていろいろなところで出てきております。
 ですから、エリアをどのくらいにするのかという話、NPO的なところをつくっていくのも、どのくらいの範囲でつくるかは考えていかないといけないところでして、我々も、どうアプローチしていくかというのを悩みながらやっているところなので、何かアドバイスがあれば、いただければありがたいと思います。
【大森座長】  ありがとうございます。本当に前橋市商工会議所とうちもやっているという感じなのであれなんですけど。
 一方で、その単位でいくと、今お話あったように、例えば群馬でいうと、前橋とか高崎の商工会議所は結構大学といろいろできるんだけど、基礎自治体単位で見ていくと、大学がないところのほうが圧倒的に多いんですよね。そう考えると、やっぱり最低限。経団連さんはもっと広い域を考えているけども、少なくとも県の商工会議所連合会ぐらいレベルで組まないと、全域の課題はマッチしていけないだろうなということはありますね。
 ただ、実際はその単位で動かれているので、組むほうとしても、その1つの基礎自治体単位の商工会議所とやるほうがすごく動きがしやすいというのも正直なところなので、本当にその広域圏、最低限県単位、それを超えた広域圏でといったときに、誰がそのイニシアチブ。大学にちょっとそのパワーがあるかというと、なかなかどうなのかなとか、じゃあ商工会議所さん同士でやってくれるのといったら、それもなかなかって。どこかもうちょっと上から視点のところが必要になってくるんだろうなという感じはしますけどね。
【廣瀬委員】  ちょっとよろしいですか。
【大森座長】  はい。
【廣瀬委員】  市町村単位で見ると大学がないところのほうが多いので、広域自治体である都道府県単位や広域圏でということになるわけですが、広域になればなるほど大学との距離は一挙に大きくなります。知事さんにアポを取るというのはもう大変難しいことで、我々東京都に所在していますが、東京都知事と単独でお会いすることはまずないわけです。
 他方で、地元に大学のない市町村の首長が、地域内の高校生たちをどう育てていくか考えたときに、何らかのつてのある大学と、ピンポイントで連携関係をつくって、それでフィールドワークの受入れをやったり、逆に市の職員の研修に送り込んだりとか、そういうことをなさる。
 そのときに、これはある意味、当然とも言えるし、他方で広域圏と考えると難しい面でもあるんだけども、近隣にある中核的な都市というのは、下手をすると人材を吸い上げられてしまう相手という感覚があるので、いや、自分たちはその市よりももっと最先端の大都市の大学とつながっている状況をつくることによって、その広域圏の中のある地域の求心力を高めようとされたり、あるいは市長としての業績をつくろうとされる。
 実際にみると、連携関係が形骸化せずに活発に動いて、それこそ市長さんも大学にも何度も来られるし、教員も何人かが、年間を通すと五、六回、その市を訪問して、学生も連れていくというふうに展開しているところは、やはり市長のリーダーシップが非常に強い。
 広域圏内にそういう首長がぽつりぽつりと散在しているときに、その広域圏の全体というものをどう動かしたらいいのかというのは、すごく難しいなと思いながら伺っておりました。
【長谷川特別委員】  やはりそこは知事のリーダーシップになるのだと思いますが、おっしゃっていることは非常によく分かります。
 ただ、やはりミクロレベルで最適になってしまうのは本当の意味での最適ではないので、2040年のビジョンに基づくと、ある程度の広域経済圏の中で、それぞれの地域の成長や、2040年に日本が成長して持続可能な経済社会を維持するために必要な成長産業と人材育成は何かというところからバックキャストして考えていくということをまとめた見解になっています。
【大森座長】  ありがとうございます。議論尽きないところなんですけれども、今日この次の議題で仁愛女子短大の皆さんもオンラインの向こうでお待ちをいただいているので、ちょっと先に進めさせていただき、また最後、もし時間があればというところでしたいと思います。
 特別委員の皆さん、本当にありがとうございました。素晴らしい御発表頂戴しました。
 では、続いて喫緊の課題ですけれども、地域の生活基盤を支える人材養成機能というところについて、幼児教育・保育分野を例に挙げて議論をさせていただきたいと思います。
 事務局から、まず御説明をお願いします。
【石川地域大学振興室長】  それでは、資料2-1で説明させていただきます。
 最初の課題等概要のところでございますけれども、このように、短大等の学生募集停止も増加傾向にございます。
 丸の2つ目でございますけれども、例えばということで、短大での養成割合が依然として高い幼稚園教諭・保育士養成課程におきまして、短大等の養成機関が非常に限られた地域が生じてきているところでございます。
 今後、地域の生活基盤の維持の観点から、全国的に人材養成が必要な幼稚園教諭・保育士養成に関し、特に養成機関が減少している地方部における対応につきまして、分野所管省庁や各地域の関係者等と連携した対応が必要ではないかという問題意識でございます。
 続きまして、本日、幼児教育課、またこども家庭庁にもお越しいただいておりますけれども、分野所管省庁のほうから、最初にございますように、地方部の自治体から、短大から地域への人材供給の割合が高く、また地域の幼稚園・保育所・認定こども園への就職率が高いということで、仮に閉校となった場合には影響が大きいというようなことでありますとか、また丸の2つ目にございますように、地方部の自治体では、短大の教員が研修講師やアドバイザー、また審議会の委員の役割を担うなど、地域の保育政策に貢献しているというような状況もございます。
 最後にもございますように、特に地域から養成課程が完全になくなることにつきまして大きな危機感を持っているというところで、特に地方部の地域の実情等を踏まえました、高等教育政策と連携した対応について必要というところでございます。
 本日、仁愛大学、仁愛女子短大から御説明いただきますけれども、福井県のほうにも聞いたところ、県内の指定保育士養成施設が、この仁愛大学、仁愛女子短大のみとなる見込みということでございます。
 この後、説明がありますけれども、仁愛大学、仁愛女子短大のほうから、地域の保育につきまして、大学だけではなくて、地域全体の保育がどうあるべきかということで、福井県と相談されまして、知事のほうからも、下記のように、県内において保育人材を安定的に確保し、保育者不足を解消するということ、また質の向上を図るためということで、知事主宰の協議会を設置したり、また仁愛女子短大等と連携した学生への支援制度の創設ということで、こういった取組も進められているということでございます。
 それでは、私からは以上でございます。
【大森座長】  ありがとうございます。
 それでは、続いて、今の説明にありましたように、福井県の仁愛女子短大の皆さんから、県や地域との連携状況とか、あるいは地域における幼児教育・保育の養成課程維持の重要性といったことについてお伺いをしたいと思います。また今日、卒業生・在学生の方からもお話をお聞きできるということで、楽しみにしております。
 では、仁愛女子短大の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
【石川副学長】  福井県福井市にございます仁愛女子短期大学でございます。副学長の石川昭義でございます。よろしくお願いいたします。
 このたびは、このような発表の機会をいただき誠にありがとうございます。
 本学は1965年、昭和40年の開学で、今年でちょうど60周年を迎えました。保育者の養成は開学の翌年から始まり、これまで福井県の保育者養成の中核として、その役割を担ってまいりました。
 2009年、平成21年からは、同じ法人の越前市にあります仁愛大学子ども教育学科において、4年課程の保育者と小学校教諭の養成を行っています。
 ただ、近年、うちの短大や大学では、保育職を目指す志願者が激減し、定員割れが続いておりまして、どちらも定員の充足率が約7割であります。
 しかし、県内の保育の現場は、保育者をもっと必要としており、こうした需給関係に大きなギャップが生じているのが現状でございます。
 こうした問題は、我々のような養成校の取組や努力だけで解決できるものではございませんで、保育現場での働き方、処遇改善も必要ですし、行政の関わりも不可欠ということで、保育者の安定的な確保のためには、行政、保育現場、養成校が課題を共有して、全体で取り組まなければならないし、協働して保育職の魅力発信をやっていかないと、保育者は戻ってこないということで、ここは構造的な課題だという関係者の認識がまとまりました。
 そこで、昨年8月に、杉本知事の出席の下、養成校、保育現場、行政の3者から構成される「福井県保育連携協議会」が発足して、様々な協議が始まりました。
 その一つが、今ほど御紹介をいただきました、「保育者を目指す学生応援!PROJECT」で、県からの大きな財政的支援をいただきまして、入学者の確保を図るというものであります。
 ほかにも、県と一緒に調査研究を行ったり、県の助成を受けた魅力発信事業を行っています。
 こうした地域の実情とか、様々な事情から短大を希望する学生のニーズを的確に把握しながら、行政、保育現場と連携して、地域アクセスを確保していかなければならないと考えていますし、地域にとって真に必要とされる短大であり続けなければならないと、このように考えております。
 本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
【後久氏】  それでは、ここからは私、入学・地域支援課の後久が、福井県と連携して実施しております保育人材確保のための取組について御紹介をさせていただきます。
 先ほどスライド3ページ目、4ページ目におきまして、これまで我々が取り組んできました活動の一つ、こちらは特に文部科学省の私立大学研究ブランディング事業の助成をいただきまして、本日出席しております増田教授が中心になりまして、保育者育成のためのキャリア・ルーブリックの開発ということで、高校、養成校、保育現場をシームレスにつなぐという研究、活動を実践してまいりました。
 詳しくは、資料中のQRコードから本学のブランディング事業紹介ページで御覧いただけますので、もしお時間あれば、ぜひ御覧いただければと思っております。
 5ページ目のスライドに行っていただきまして、こちら構造的な保育者不足を生んでいる循環ということで、負のスパイラルに陥っているのではないかということで、学内においてもいろいろと協議をいたしました。
 近年、保育者不足、保育学生の減少ですとか、そういったことにつきましては全国的な課題になっておりますけれども、福井県においても同様ということで、本学も仁愛大学も、数年前と比較しますと保育学生が減少しているという状況があります。
 この中の原因としまして、保育現場での問題が起きるですとか、またそれをマスコミが大きく報道するというところで、低賃金・重労働のイメージの増幅、そして処遇改善については確実に進行しているんですけれども、それを実感として保育者がまだ受け取っていないですとか、また園によっては処遇改善の格差がある、こういったところに課題があるということで考えますと、我々養成校だけでは解決できない問題だということで、行政、保育現場、養成校が連携して取り組むべき地域全体の課題だということで、次のスライドのような、このような循環が生まれれば、また保育者が増えていくのではないかということで、福井県にも御相談をさせていただいたところ、すぐにご対応いただきました。
 真ん中に、この循環を回す軸としては、「福井県保育連携協議会」、これが軸になるということで、次のスライドをお願いいたします。
 昨年の8月に福井県保育連携協議会が設立されました。こちらは、県知事の杉本知事のリーダーシップにより、すぐに活動が開始され、行政、保育現場、養成校、この3者が県内の保育に関する諸問題を協議し互いに協力・連携を行うということで、昨年既に3回会議を行っております。
 この会議の中でいろいろ議論をする中で、やはりお互いの協力・連携関係が深まっているなというところも実感をしております。
 そして、仁愛女子短大は、県内最大の保育者養成機関であり、県内で働く保育者の約6割が仁短の卒業生ということで、毎年多くの卒業生が保育現場で活躍しております。
 それに伴いまして、仁愛女子短大には、保育現場に関する多くの情報が集まっておりまして、まず、それを学生に的確にお伝えすることで、学生と園とのマッチングが深まっていくという形になっています。
 言い換えますと、人気のある園には学生が多く集まるということにもなりますので、また県内の保育現場においても、そういった情報が伝わっていくということを感じております。
 では、次のスライドお願いいたします。保育の質向上プロジェクトとしましては、本学教員が保育現場への研修を行いまして、保育現場に対して最新の保育事情や専門的知識の提供を行っています。
 卒業生のサポートも行っておりまして、ここに書いておりますように、業務上の悩みの相談を聞いたりですとか、また保育現場への再就職の支援、そういったことも行っております。
 本学が立地する福井市とは包括的連携協定を結んでおり、これを生かしまして、本学学生の卒業研究と組み合わせた福井市との保育研究合同発表会、を行いまして、学生の学習成果と現場保育者の研究成果を互いに発表し合い、お互いが学びを深める場ともしております。
 次をお願いします。こちらからしばらく、この事例紹介としまして、これまでの福井市との保育研究合同研修会等を掲載しておりますので、こちらも御覧いただければと思います。
 12ページ目、保育者養成支援プロジェクトということで、未来の保育者をサポートする取組にも養成校として取り組んでおります。
 また、その対象者につきましても、高校生はもちろん、中学生にも保育を体験していただける機会を設けるということで、つい先日も中学校に本学教員と学生が出向きまして、中学生の保育体験の事前講習を行うということもやっております。
 また、2番目に書いておりますけれども、高校の家庭科の先生方に対する研修会にも協力をしておりまして、本日出席しております石川副学長が、今度、福井県内の高校の家庭科の先生に対して、保育の単元の部分につきましてアドバイスをさせていただく、そういった機会も設けております。
 福井県からは経済的な支援をいただきまして、仁愛大学、仁愛短大で学ぶ学生に対する経済的な支援というのも昨年度からスタートしております。
 次、お願いいたします。この辺りが事例紹介になりますので、また御覧いただければと思います。
 それでは、19ページ目になります。保育の現場の魅力発信ということで、これは実際に将来の保育士を目指す学生さんの成り手に対する支援ですとか、高校生に対しても様々な取組で体験していただいておりますけれども、それを広く魅力発信をしていくというプロジェクトにも携わっております。
 特設Webサイトの制作ということで、福井県が制作しました保育の魅力を発信するポータルサイト「ふく保育」の制作協力や、養成校としても独自でYouTubeを活用した情報発信ですとか、地元テレビ番組を使った情報発信など、いろんなことをやっております。
 こちらも事例紹介につきましては、この後のスライドに紹介しておりますので、ぜひ御覧いただければと思います。
 養成校としまして保育の持続可能性ということを考えましたときに、保育現場と養成校の連携・接続、そして保育者として成長していくためのキャリアパス、保育の魅力の発信を推進していくこと、このことが保育の持続可能性を高めることにつながっていると思っています。
 最後のスライドお願いいたします。養成校の役割と今後の課題ということでいきますと、小、中、高から保育現場まで、保育者育成の全体を俯瞰できるというのが地域の養成校であると捉えています。
 これまでも短期大学は地域の保育を支える拠点としての役割を担ってまいりました。これからも、これまでの実績をしっかりと生かしながら、行政や保育現場との連携をさらに強化していくことが必要であると認識をしております。
 この後は、本学の卒業生と学生の声をお聞きいただければと思います。
【増田教授】  それでは、ここからは仁愛女子短期大学、増田が進行を務めます。
 本日は卒業生、在学生、お二人参加してくださっていますので、まずは自己紹介をお願いいたします。
【谷口氏】  昨年の3月に仁愛女子短期大学を卒業しまして、今は仁愛女子短期大学の隣にあります仁愛女子短期大学附属幼稚園で勤務させていただいております谷口莉央です。本日はよろしくお願いします。
【森川氏】  今年度4月に入学しました仁愛女子短期大学幼児教育学科1年の森川愛莉と申します。よろしくお願いいたします。
【増田教授】  よろしくお願いいたします。
 では、スライドに従いながら質問していこうと思います。
 まず初めに、こういった保育者という仕事を目指した理由、谷口さんから教えてください。
【谷口氏】  スライドにもありますように、3つ目の幼稚園のときの先生に憧れたからというのが主な理由になっています。
 私は今勤務させていただいている仁愛幼稚園を卒園しました。そこで在園しているときにも、卒園した後でも、先生方の温かみをずっと感じていたので、すごくそのような先生たちになりたいなと思えるようになったのと、もともと子供が好きだったからというのがあって、保育者になりたいというよりは、仁愛附属幼稚園の先生になりたいってずっと思って、保育者を目指すようになりました。
【増田教授】  ありがとうございます。
 では、森川さん、お願いします。
【森川氏】  スライドにもありますとおり、小学校の高学年頃から、母の働く保育園で子供たちと関わったり、夏祭りなどを行事のお手伝いをさせていただいたりしていました。そのときに、子供たちとたくさん触れ合ったりして、子供たちと一緒にいると楽しかったり、みんなが「お姉ちゃん」と来てくれるのがとてもうれしくて、そこから保育の仕事に興味を持ちまして、保育者を目指すようになりました。
【増田教授】  ありがとうございます。
 森川さんから、今スライドにあるように、お写真も頂いているんですが、一番右側に写っているのが小さいときの森川さんかな。
【森川氏】  はい。そうです。
【増田教授】  お二人の話を聞いていて、やっぱり小さい頃からの夢をかなえるという意味で、こういう養成校に入学される学生さん多いなというのと、やっぱり地域の中で、このなりたい気持ちがさらに高まっていくというか、醸成されていくという、保育職って多分そういう職業なのかなというふうに感じました。
 では、次の質問に移りたいと思います。養成校と呼ばれるものはたくさんあるとは思うんですが、なぜこの仁愛女子短期大学に進学したのですかということに対して、森川さん、お願いをいたします。
【森川氏】  オープンキャンパスにおいて、キャンパス内に幼稚園と保育園がありまして、子供と触れ合う機会が普段から多いことを知ったことと、2年間という短い時間で保育者として現場に出れることが大きかった理由になります。
 また、心に寄り添える保育者を目指そうとしていたので、保育心理士の資格が取れるということについてとても私は引かれたので、仁愛女子短期大学に進学を決めました。
【増田教授】  ありがとうございます。今、森川さんが言ってくれたんですけども、仁愛短大はキャンパスの中に附属幼稚園がありまして、また隣接する形で仁愛保育園というのもありまして、すごく子供たちと一緒に生活できる環境が整っているということで選んでいただいたのかなというふうに思います。
 1つだけ、谷口さん、一番下に、短期大学が自分に合っているというのがあるんですけども、ちょっとだけ詳しく教えてください。
【谷口氏】  私は、とにかく早く社会に出て働きたいという気持ちがあったので、短期大学は2年間で幅広く学べるのと、実習とか、授業内での先生方の手厚さがすごくいいなって思ったので、短期大学に進学を決めました。
【増田教授】  ありがとうございます。大学、短大、専門学校、いろいろ校種は選べると思うんですけども、谷口さんは、そのような理由で短大を選ばれたということでした。
 では、3つ目の質問に行ってもよろしいですかね。スライドお願いします。
 次、実際に、仁愛女子短大に進学してよかったことということで、谷口さんにお聞きします。お願いします。
【谷口氏】  まず1つ目の同じ夢を持つ友達がたくさんできたというのは、やっぱり同じ夢を持って学科に進学してきていることもあるので、みんなが保育者を目指して日々頑張っているので、何か共通の話題が多かったりとか、悩みとか話もしやすい友達がたくさん、2年間の短い間でできたのが、すごく短大のよさだなって感じました。
 仁愛短大は、地元福井からの求人が多くて、自分の進路、自分の就職先の選択肢がたくさんあったので、すごく選びやすかったというか、自分に合った場所を選べたなって感じました。
 2年間という短い間の中で実習が5回あるんですけども、その短い分、自分の中で学生のときは、悩みとか相談したいことというのがすごく多かったんですけど、私はもともとピアノが弾けないので、そういう詳しい先生方のサポート、何かただのお話し相手の相談相手じゃなくて、教えてもらえたりだとか、進路の悩みというのを先生方がすごく手厚くサポートしてくださったので、いい就職先を見つけることができたかなと感じています。
 以上です。
【増田教授】  あと森川さんから、またお写真頂いているので、ちょっとスライドを映してもらってもいいですか。実際の短大の授業の様子かなと思うんですけど、簡単に説明お願いします。
【森川氏】  一番左の写真が、子どもと環境という授業で作った、お節句に関して3歳向けにポスターを作るという意味で作った、こどもの日のポスターになります。
 一番右が、造形表現の基礎という授業で、新聞と竹ひごで作ったたこになっています。
【増田教授】  ありがとうございます。もちろん座学の講義室の講義の授業も多いと思うんですが、こういうふうな実践的な学びもあるという、そんな御紹介をしていただきました。
 それでは、最後の質問になりますけれども、今のお仕事される中で、仁愛短大でのこの学びはどう生かされていますかということで、これはもう谷口さんにしか聞けないので、谷口さん、お願いします。
【谷口氏】  先ほど森川さんのスライドにもあったように、実践的な授業が多かったので、絵本の読み方や手遊び、それから今、森川さんのスライドにあったような造形の発想とかがやっぱりすっと出てくるのが、実践があったからだなって思ったのと、実習とかで先生方がサポートしてくれた分、子供たちとの関わり方や話し方を詳しく学べていたので、先生たちにまだなじめてはいないかもしれないですけど、先生っぽくなってきたんじゃないかなと感じています。
 スライドに緑色の文字で書いてあるんですけど、授業の中でもキャンパス内の附属幼稚園や保育園で、授業の中で実際に関わりながら90分学べるという、附属幼稚園等が、キャンパス内にあるからこそできる授業が多くて、その分、学ぶことが実習以外でもあったので、引き出しが多くなったんじゃないかなと感じています。
 私は、ピアノを短大に入ってから始めました。短大内には、電子ピアノが授業内で1人1台使えるお部屋がありまして、そこで授業を受けました。空いた時間には、防音の部屋に1台ピアノがある個室が何個もあって、ちょっとした時間に少し練習しようという気になったときにすぐ弾けて、すぐ練習できるという環境があったので、短大の2年間という短い間だったんですけども、少しずつピアノが上達しました。今の職場でも少しずつ、子供が一緒に合わせて歌えるような、子供に合わせてスピードを変えたりできるぐらいまで上達できたので、このようなキャンパス内の設備のよさというのが、すごく今の職場にも役立っているんじゃないかなと感じています。
【増田教授】  ありがとうございます。今ずっとしゃべってくださった谷口先生は、まだ1年目の先生ですし、森川さん、学生さんのほうも、まだ入学して間もない1年生なんですけども、緊張しながら、今日はありがとうございました。
【谷口氏】  ありがとうございました。
【森川氏】  ありがとうございました。
【増田教授】  それでは、これで一度、仁愛短大からの発表、終わりたいと思います。
【大森座長】  ありがとうございます。仁愛短大の先生方、それから谷口さん、森川さん、本当に素敵な発表していただいてありがとうございました。
 続いて、本日御参加いただいている分野所管省庁である文部科学省幼児教育課と、それからこども家庭庁から、一言補足をいただければと思います。よろしくお願いします。
【大類オブザーバー】 幼児教育課から、幼稚園教諭等の人材確保に関する取組について御説明させていただきます。資料2-3-1、御覧いただけますでしょうか。
 幼稚園教諭等の人材確保への対応について、この資料に基づいて御説明いたします。
 保育者の不足、人材離れについては、課題が多角的にわたっておりまして、対応も多角的に進めていかなきゃいけないと思っております。
 国としてできること、文部科学省としてできることを中心に御紹介いたしますが、まず1番目、処遇改善。こちらにつきましては、公定価格の見直しや私学助成の充実などで対応してきたところです。
 また、2番にありますが、大学等を通じたキャリア形成支援による魅力向上・発信事業は、
 大きく分けまして、業務効率化の実証事業として業務改善に資する参考資料の作成などをしてきたところです。
 また、福井県に、先進的にお取り組みいただいておりましたけれども、養成校が中心となって、自治体の域内の幼稚園、また団体、行政も含めまして、ネットワークの下に魅力発信、キャリア形成のイメージを発信するなど、ネットワーク型の調査研究を実施していただいているところでございます。
 3番でございますが、全国39の道府県に幼児教育センターというものを設置していただいております。市区町村に置かれていることもあるんですけれども、こういった道府県の幼児教育センターが中心となって、幼児教育施設に対する指導・助言、研修といったことをしていただいており、また、センターが関係者の離職防止・復職支援、こういったところも手がけていただいている実態でございます。
 4番、になりますが、幼稚園教諭・保育士等の理解・魅力向上を促進する取組としましては、小、中、高といった学校段階からの要請に応じて、職業体験・出前授業をどんどん積極的にやっていただくよう通知を出させていただいているところでございます。
 また5番ですが、職業紹介事業者が高額な手数料を取るという実態がございます。年収の3割から4割を取っているという実態もあるようでして、手数料の実績をウェブサイトに公表するように厚生労働省のほうから義務づけを図っていただいているところでございます。私ども文部科学省としては、幼稚園教諭についても、厚生労働省、こども家庭庁と連名で紹介事業者への注意喚起といったこともしているところでございます。
 以上が取組になりますが、地域で養成に関する取組の差が出てきてしまいますと、幼児教育の質の格差にもつながっているところになる点は危惧しているところでございます。
【大森座長】  続けてお願いします。
【横田オブザーバー】  続きまして、こども家庭庁から御説明させていただきます。資料2-3-2を御覧いただければと思います。
 まず保育士の有効求人倍率ですけれども、令和6年10月で3.05倍、全職種平均1.27倍ですので、いまだ非常に高い水準で推移しておりますので、保育人材の確保に向けた総合的な対策というものを今進めているところでございます。
 1ページ目を御覧いただければと思います。処遇改善のほか、新規の資格取得、就業継続、離職者の再就職の支援、さらには保育の現場・職業の魅力発信に取り組んでおります。
 まず、ピンクの部分から御覧いただければと思います。新規資格の取得支援としては、以下4つを主に取り組んでおります。
 まずは保育士修学資金の貸付けの実施ということで、養成施設に通う学生を対象に、学費や就職準備金などを貸付けいたしまして、卒業後5年間の実務従事によって返還を免除しております。
 また、養成施設に通う学費の貸付けを受けていない学生を対象に、令和6年度の補正予算から、就職準備金のみの貸付けも行うことを可能としております。
 次に、2つ目の保育士の資格等取得の支援ですが、保育所で働きながら養成校を卒業して資格取得を目指す方へは授業料を、また保育士試験の合格で資格取得を目指す方には教材費等の支援も行っております。
 保育士試験につきましては、平成27年度では年1回のところが4府県でございました。平成29年度からは年2回実施しておりますので、こういった試験実施の機会の拡充も、新規で資格取得支援につながっていると考えております。
 そのほか、就職促進やキャリア教育等に取り組む指定保育士養成施設に対しても、その取組に要した費用の一部を支援しているところです。
 次に、黄緑色の部分を御覧いただければと思います。就業継続の支援でございます。
 1つ目は、保育所等におけるICT化の推進ということで、例えば保育に関する計画・記録ですとか、保護者との連絡、また登降園管理等の業務などについてICT化を進めておりまして、その費用を一部支援しているところです。
 また、保育補助者の雇い上げの促進ということで、保育士として就業していない保育士資格を有する方、潜在保育士と呼んでおりますけれども、そういった方がいきなり保育士に復帰するのは心理的にもちょっと負担が大きいということで、段階的に保育士として職場復帰ができる足がかりとなるように、1年を限度に保育補助者として従事するということを可能にしており、そういった方への補助をしております。
 また、清掃とか、保育に係る周辺業務を行う方、保育支援者の配置ですとか、また登園時、繁忙な時間帯とか、プール活動とか、一部の時間帯で人が必要になる場合がありますので、そういったスポット的な支援者の配置への補助をしているところです。
 さらには保育士宿舎の借り上げの支援や、また一番下の丸に記載の、保育士のスキルアップのための保育士支援アドバイザーの巡回支援、また保育所の事業者向けの勤務環境の改善などにアドバイスを行う保育事業者支援コンサルタントの巡回支援、そして赤字の部分の、保護者などへの対外的な対応を援助する方の巡回支援や現場への支援も行っているところでございます。
 続きまして、青色の部分の離職者の再就職支援についてです。
 一旦離れた方も、また現場に復帰できるように、保育士・保育所支援センターの機能強化を図っているところでございます。
 こちらにつきましては、本年の4月に、児童福祉法の一部改正の法律案も通しまして、予算事業から法的な措置もさせていただいたところです。今、全ての都道府県で、こういった体制を構築することが義務づけられているところです。
 例えば、現場とのマッチング、そして保育士キャリアアドバイザーによる保育所等への見学同行などによる伴走支援、こういったものをしているところです。
 また、就職準備金貸付け事業なども行っております。
 最後に黄色の部分で、やはり現場とか職業の魅力発信は欠かせないものと考えております。
 そちらにつきましては、自治体が行うサイト、様々な魅力を発信するサイトへの支援、またこども家庭庁内でも、プラットフォームを作成いたしまして、保育現場や保育士という業務の魅力発信をしているところでございます。
 こども家庭庁からの説明も以上となります。
【大森座長】  ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間限られていますけれども、仁愛短大の皆さんからの御発表、それから今お二人から御説明があったところを踏まえて、何か御質問とか御意見等ありましたら御発言いただければと思います。お願いします。
【縣委員】  仁愛短大の皆さん、ありがとうございました。私は、静岡県企画部の縣と申します。よろしくお願いいたします。
 私ども静岡県の状況も少し紹介しながら、一つ二つ質問をさせていただければと思っております。
 静岡県の幼児教育ですとか保育について学べる、いわゆる高等教育機関は、大学、短大、専門学校を含めまして17ございます。ただ、定員充足率を見ますと、全体で0.68ということで、やはり非常に厳しい状況がございます。
 これは保育に係る分野だけではなくて、より介護の方が厳しいかなと思っています。
 年々志願者数も減少傾向にあるということで、今後更に厳しくなってくると考えています。
 一方で、少子化が進む中で、幼稚園ですとか保育所の廃止であるとか統合というのも進んできていまして、将来更に、そういう状況を踏まえますと、厳しくなってくるなと思っております。
 一方で、県内の有効求人倍率を見ますと、先ほど御紹介あったのと同じように、慢性的な保育士不足になっております。
 人材養成ということはもちろん重要なんですけれども、県内の保育施設を見ますと、やはり勤続年数5年未満の職員の方が約5割、10年以上勤務を継続している方が3割弱ということで、非常に離職率も高くなっているという状況がございます。
 ですので、この幼児教育・保育の分野については、近年、本県の牧之原市でも事件がありましたけども、幼稚園教諭あるいは保育士にかかる負担というのもかなり大きくなってきている一方で、給与とか労働条件、いわゆる職業としての魅力がどうなのかという問題がかなり大きなウエイトを占めるのではないかなということで、国の方でも処遇改善等々、介護の方もそうだと思うんですけど、取り組んでいただいているとは思いますけれども、まだまだ、これは十分ではないなというのは率直な感想です。
 この出口である職業がきちんと魅力あるものになっていかないと、やはり高等教育機関で幾ら人材育成を頑張ろうと思っても、そこに来る若者は増えていかないというのが実態だと思います。
 そこで、ちょっと質問なんですけれども、やはり人材育成においては、大学あるいは大学院、短期大学、それから専門学校がございます。先ほどのエッセンシャルワーカーの話にも通ずることなんですけれども、この現場が求める人材、現場がまず必要とする人材を育成していくに当たって、この大学、短大、専門学校の役割分担というのは当然必要になってくると思いますので、その辺、短大の立場でどのようにお考えなのかということと、保育士に求められる能力というのも多岐にわたって高度化してきていると思いますので、カリキュラムへの対応についても、短大として限界に感じるようなことはないのかといったあたりを聞きたいと思います。
 それからもう一つ、これは谷口さんにお伺いした方がいいのかなと思うんですけれども、先ほど離職率の話もしましたけれども、やはり自分が小さい頃から描いていた保育士像と、実際に入って働き始めてみて思った保育士の姿と何かギャップはあるのかないのか、あと周りの先輩方を見て、この保育士というものを将来どう考えているのか。公の場で答えられる範囲で結構ですので、その辺をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
【大森座長】  ありがとうございます。じゃあ保育士養成、幼児教育の分野における大学、短大、専門学校という、いろんなところで頑張っていらっしゃるけど、短大としてということで、その位置づけとか、あるいはその役割分担みたいなことについて、いかがでしょうか。これは副学長先生にお伺いするのがよろしいんでしょうかね。
【石川副学長】  石川です。どうでしょうかね。役割分担、難しい御質問かと思いますが、ありがとうございます。
 現場から求められる人材ということで、短大生には非常に実践的なことが求められるのは一つ確かだというふうに思っております。
 ただ、保育だけではありませんで、子育て支援にも必要な能力、技能が求められておりますので、それを2年間で十分に身につけられるかどうかと言われると、そこはなかなか難しいことでありますので、これは養成期間、養成年限の問題と、それから就職した後で現場研修を重ねながら自分のスキルや専門的知識をさらに磨いていくという、この両者の組合せが必要ではないかなと思いますので、そのことが結果として離職防止につながっていけば、なおいいのかなというふうに思っております。
 ただ、2年課程の卒業生も4年課程の卒業生も、現場1年目から同じように担任を任されるケースも少なからずありますので、基本的には求められる力は同じなのかなというふうに思っております。
 私からは以上ですが、増田先生いかがでしょうかね。
【増田教授】  増田です。私のほうから御質問の2つ目、短大でのカリキュラムみたいな御質問もあったかなと思うんですが、これって共有とかしても大丈夫ですか。これ先ほどの発表の中にもあったと思うんですが、文部科学省のブランディングの事業に採択されてから、いろいろ取り組みまして、いろんな報告書を出しています。さらに、そのブランディングに採用される前から、福井県内337の園全てにアンケート用紙を配って、その中で、現場としてどういう力が求められますかというようなアンケートしたこともあります。そういうのがあってブランディング事業につながったというのもあるんですが、短大としては、とにかく福井県内の保育者としてどういう力が必要なのかというのを常に伺いながらカリキュラムを考えている、そういう流れはあります。
 あともう一つだけ。キャリア・ルーブリックという話がさっきあったと思うんですが、実際こういうような図も作り、養成校だけではなくて、この現場の先生、新人、中堅、熟練の方々にどういう力が必要かという、これもよくキャリアラダーとか、看護の世界だとクリニカルラダーとか言うと思うんですが、こういうのも私たち教員で研究会を開いて作り、さらに学生たちには、このラダーに従って、実際じゃあ自己評価してみようと、半年に1回ぐらい自己評価させるんですけど、こういうふうな能力チェックをして、随時、今どんな状況にあるかというのを調べたりって、こんなこともしたりはしています。
 ちょっと時間長くなったので、これで終わりたいと思います。
【大森座長】  ありがとうございます。本当に丁寧に進められて。こういうことをお聞きすると、定員が埋まっているか埋まっていないかと、教育力があるのかないのかというのは全然違う話なんだということは、よく分かります。こんなすばらしい教育していても、なかなか定員が埋まらないという状況があるというので、そこだけ見てどうだというのは、もう本当にナンセンスだというのが今分かりました。ありがとうございます。
 谷口さん、ちょっと短めでお願いできるとありがたいんですけど、どうですか、お勤めになってみて、ちっちゃい頃から思っていたことと、実はちょっと違ったなみたいなことあるのか。
【谷口氏】  そうですね。まだ2か月しか働けていないということもあって、まだ詳しく、深く感じていることはまだ分からないんですけども、行事に対する先生方の準備の丁寧さというのが、もっと私が子供の頃とかは、ちょっとした準備なんだろうなとか思っていたんですけど、保護者の方との連携とかというのがすごくあって、1つの行事に対して1か月前とか2か月前から先生方は準備しているんだなというふうに、すごく大変さというのを感じました。
 あともう一つは、先輩方を見て学んだことというのが、やっぱり毎日子供と関わっているからこそ分かる子供との会話の仕方とか、昨日はこうだったから今日の子供を見て、あっ今日はこうなんだなというふうな先生の1日1日の子供を見る対応の仕方というのをすごく学んでいます。
 やっぱり子供を見ているイコール保護者の方にも聞かなければいけないこととかもあったりする中で、先生方、保護者の方とのコミュニケーションとかもやっぱりすごく上手で、保護者の方に子供の様子を、家での様子とか幼稚園での様子をうまく伝えて、保護者の方にも安心してもらえるようなコミュニケーションの仕方をしていて、そういったところがすごく学びになっています。
【大森座長】  ありがとうございます。お勤めになってからも、さらに視点を持って学んで、ぜひお二人とも、いい保育者になってもらえたらなというふうに思います。今日は本当にありがとうございます。
【谷口氏】  ありがとうございます。
【森川氏】  ありがとうございます。
【大森座長】  いろいろもっとお聞きしたいこともあるかと思いますけれども、次の議題もありますので、ということで進めていきたいと思います。
 仁愛短大の皆さん、本当にありがとうございました。ありがとうございます。
【谷口氏】  ありがとうございました。
【森川氏】  ありがとうございました。
【大森座長】  それでは、最後の議題に進んでまいりたいと思います。これまで1回、2回と特別委員あるいはオブザーバーなど様々な地域大学振興に関わる方のお話を伺ってまいりました。次回第3回も含めて、一旦論点であるとか方向性を整理して、文部科学省の、これから予算のこととか始まっていきますので、そういうところにつなげられるような議論をできればと思っています。
 ということで、まず事務局から御説明をいただきたいと思います。その後、委員の皆さんから、今度はちょっとフリートーク的になると思いますけれども、それぞれ御意見いただければと思います。
 じゃ、事務局からお願いします。
【石橋大学振興課長】  ありがとうございます。大学振興課長でございます。
 第1回有識者会議での主な議論と今後の検討への示唆というところで、これは委員の先生方、また学生さん、そして特別委員の先生方からいただいたことを少しまとめさせていただいております。
 まず1つ目ですけれども、やはり地域での学びの経験が進路・就職先選択に一定の影響を与えているということは学生さんの声からも明らかであったかなというふうに思っておりまして、これは高等教育の段階の前の高校、もしくは小、中学校もあると思うんですけども、その中でどういうものに接してきたかということ、それから大学での実際の学びの中でインターンシップ、また実践的な授業等を通じてということで就職先を決めていったような事例もございました。
 一方で、やはりコロナ禍で地域に出れないと、こういう経験が不足して、地域での就職率の落ち込みがあったというようなものありましたので、これも一つの証明になったのかなというふうに思っております。
 2つ目でございますが、大学と地域産業界の強い結びつきがあるかどうかというところは大変重要でございまして、これは共同研究や技術相談、そしてリカレント学生が入ってきていただくというようなところに広がりながら、地域との産業界との結びつきが進んでいるということかなというふうに思っております。
 また、地域の企業から産業センターや大学に対して、技術相談の場や共同研究、人材育成に関するニーズが高いということがございますので、大学がオープンな場になる、そこにいろんな方が集まれるということも大きいのかなというふうに思っております。
 また、これも大学・教員に対する評価のところは、委員の先生方からも、また特別委員の方からも出ましたけれども、どういうふうに評価いただけるかというのが、大学の中でのこういう先生方の立ち位置、そしてその後の活躍につながるというところでございます。
 それから4点目が、マッチングということで、これは洲本市のほうからも聞きましたけれども、やはり役所の外に外部人材がいらっしゃるかどうかということも非常に大きい、それから大学の学生の方々がどう関わっていくかも大きいということでございました。
 こういうところを、2枚目でございますけれども、今日御議論いただく観点ということで4つに整理させていただいております。
 1つ目は、地域構想推進プラットフォームということでございますけれども、このプラットフォームはどういう方々で成立していくのがいいのか、また内容や取組というものをどうしていくべきか、それから運用に必要な人材、また財源というのをどう考えるべきかというふうに整理させていただいております。
 2つ目が、地域研究教育連携推進機構のほうでございますけども、これまではやはり大学等連携推進法人ということで大学間連携ということが主でございましたけれども、これをさらに進めていくこと、また産学官金と金労言等の連携ということをどう組み込んでいくかと。また、これも円滑な推進機構運営のためにどうするべきかというところでございます。
 それから3点目が、この地方創生の流れで、政府のほう、また議会、国会のほうでもこういうお話が出ているんですけども、都市部大学と地方との連携ということで、都市部の大学と地方、特に地方、地域志向学生をどう支援するか、また地方の受入れ体制をどうするかということも議論いただければありがたいと思っております。
 最後に、その他地域アクセスの確保ということで、今日まさに保育人材のお話いただきましたけれども、地域の生活基盤を支えるエッセンシャルの方々をどう支えていくのか。さっき、やはり高等教育機関だけでは難しいよねというお話も縣委員からいただきましたけれども、どうやって関係省庁とも含めて議論していくかというところについてもアドバイスをいただければと思っております。
 以上、論点でございます。よろしくお願いいたします。
【大森座長】  ありがとうございます。
 それではここから、今、石橋課長から御説明あったことを踏まえて、委員の皆さんから様々な観点から御意見をいただければというふうに思います。12時十二、三分ぐらいまでという感じでいきたいと思いますので、それぞれ御発言いただければと思いますが、どなたからでも、いかがでしょうか。先生、お願いします。
【中村委員】  さっきちょっとお話が出たんですけど、大学が地方創生を牽引していくって、今までは分かりにくかったかもしれませんが、多分、一つの策として、それをやっていくべきであると私は思っています。
 そのためには、地域の方々に大学のことを知ってもらうこと、大学人が地域のこと、産業界のこと、自治体のこと、および金融のことを知ることが必要です。
 大森先生もおっしゃっていますが、そこに行って何か挨拶してどうのこうのって話じゃなくて、もうどっぷり中に入っていかなきゃ駄目だと思うんですよね。そういうことをみんなで考えてやっていかないといけない。
 さきほど石橋課長がおっしゃった1番の地域構想推進プラットフォームも、できていないところはやっぱりこういうところから始めなきゃいけないし、先ほどお話ししたように、これはある程度できていて、もうちょっときちんとした常置のものを置こうといったら機構のほうに移っていくようなものだと思っています。
 それにしても、お互いのことをお互いに知り合うということと、私の持論なんですが、真の連携とは、相手の弱みを知ると。相手が何が必要なのか、何が欠けているのか、そこをフォローしていくというのが私は真の連携だと思っていて、自分たちが得することが連携じゃないと思います。
 最終的にはやはり地域の人たちが元気になるとか、地域が元気になるとか、ということに結びつく、そういった形でつくっていけばいいなと思っています。
 手前味噌ですけど、山梨大学は、例えば、さっきお話に出た幼児教育センターを、大学の中に設置しています。山梨大学の中に山梨県幼児教育センターがあります。そこに指導主事が2人、附属幼稚園の園長だった人が1人いらっしゃいます。そこをもう大学の教員と一緒になって動かしているということですかね。
 その機構なるものが常置でできる場合に、私は、よければ大学の施設を提供していきたいなと。そこに集まってくるようにしたいなと思っていいます。
 最後もう一つ、地域大学振興室ができて、大学が地方創生を引っ張っていくんだということを分かっている地域が増えております。山梨県では、ぜひそういうことを進めていきたいと思います。
 以上です。
【大森座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。田中先生。
【田中委員】  まず2つ目の機構については、先ほど少しお話をしたんですけれども、やっぱり首長さんとのつながりというところにおいて、うまく進めていくために、まだまだ大きな課題があると思うので、そんなに時間にゆとりがないと思います。早く何か動きが起こるような仕組みなり刺激なりを与えていかないと、プラットフォームもうまく機能しないし、機構ということも進んでいかないような気がしますので、首長さんたちをどう本気にし、志ある大学とどう組んでいくかというところを、かなり押していかないといけないのではないかなという印象があります。そういったところに、お金なのか政策なのかというところを議論していかないといけないのではないかなと思っています。
 もう一つは、4つ目のエッセンシャルワーカーに対する考え方なんですけれども、IT業界というのは十数年前は3K、5K、孤独であるし帰れないしというようなことで、ネガティブな評価が高かった業種でした。しかしここ最近、世界との競争ということにおいて、情報・ITやDXへの関心が高まり、様変わりをしてきました。逆に汎用性が高い職種であるので、様々に変化するし、希望があって、給料もよくてとなり、イメージが逆転、真逆になったんですね。
 それと同じで、子供たちに対する関わりであったり、人の命を守るという職は、私たちが生きていく上で、なくなっては困る職であるし、業界でございます。そういったところに、やっぱり手をこまねいていたのでは、社会全体が疲弊しますし、うまくやっていけないので、社会的な、あるいは環境的なトレンドというよりも、人々のマインドチェンジが図られるような政策を打っていきながら、労働環境も変える、雇用条件を変えるということを同時並行で進めていかないと、やっぱりまだまだ、関わっていないから分からない、あるいは「きつい汚い仕事なんだ」みたいなマイナスなイメージというのが、子供たちにあるんじゃないかと考えます。そこをイメージを変えていくことも一緒にやっていかないと、そういったことを志そうとする人材は吸収できないと思いますので、そういった政策も一緒にやっていくべきではないかなと考えております。
【大森座長】  ありがとうございます。
 神戸市の藤岡委員、よろしくお願いします。
【藤岡委員】  ありがとうございます。今、当方ではプラットフォームという出島組織をつくって、複数の大学や企業と連携してやっているのですが、大学というものを、経済界の方はよく分からない、知らない、関心がないというところもあり、そこをどうつないでいくかというところで、企業側に大学の具体的な価値を知っていただくというところが課題だと感じています。概念ではなくて、具体的な価値を知ってもらえるように取り組んでいます。
 その中で、やはり企業は、エッセンシャルワーカーの話もそうですが、人材不足で学生と関わりたいというニーズがありますので、大学側に頑張っていただいて、つないでいくというところが一つあるのと、あとはリカレント、リスキリングですよね。ここも企業それぞれニーズは違います。先ほど産業人材の話が出ていましたが、それぞれの企業や業種によって人材育成の中身も違ってきますので、中身に応じて、それぞれの大学の持ち味とかリソースをつないでいくというところがポイントだと思っています。
 地方創生というのは結果論だと我々は思っています。要は、経済界には大学の価値をきちんと知ってもらって、大学を活用いただくということと、それが地方創生につながり、どんどん進化していくというか、そういう流れをつくっていくということが重要だと思っています。
 加えて、先般の会議でも申し上げたのですけど、大学は、個々の大学によって、それぞれでやろうとされるというところが違う部分があります。連携という言葉よりも具体的に何を連携するのかというところがいつも課題となっており、例えば、複数の大学といっても、2、3の大学くらいの単位で、連携してできることをやっていくというところが必要なのかなと思っています。
 つまり、10とか20の大学で一緒にやれることというのはなかなかなくて、その中の2、3の大学が、じゃあ、これを一緒にやりましょうとなっていくことが必要なのではないかなというふうに、取組みをやりながら、感じています。
 いずれにしましても、地域の人材育成機関である大学がなくなると、地域の衰退は間違いありませんので、それを乗り越えるために、本気で経済界、我々地方行政も関わり、機能するプラットフォームを構築していくこと、永遠の課題ですけど、それぞれの地域社会で取り組んでいくべきだと思っています。
 すみません。ちょっと意見になりましたけど、以上でございます。
【大森座長】  ありがとうございます。お願いします。
【山内委員】  商工会議所の山内です。今いただきましたけど、我々産業界、経済界として、大学への関心は非常にあります。しかしながら、私も中小企業支援をずっとしてきたので、異業種の掛け合わせ。ですから、本当にいろんな声が入るというのがとても大事だと思っています。
 大学と商工会議所の連携も幾つか携わってきましたけれども、学長とうちの会頭とうまくやろうってなっても、事務方同士がやはりうまくコミュニケーションが取りづらくて、うまくいかないというケースもあります。
 今回のこの議論で、そういったところのアプローチがうまく進むといいなという期待が非常に高くなっています。
 プラットフォームのところにつきましては、いわゆる未来の産業人材とか地域のイノベーションを支える知の拠点だということはまさにそのとおりでありますので、このプラットフォームの実効性がいかに担保されるかは、私どもとしては関心があります。
 そのためにも、地域で実施体制を構築していくわけで、先ほどありました、外から来られる方の声というのがとても大事ですし、地域にとっても非常にメリットもあります。これはこれとして適切に使いながらも、やはり地域のNPOとか、そういったコーディネーター的な動きをできるメンバーをしっかり入れて、主体性と継続性を確保していくことが大事ですので、実際取り組んでいく際には、なるべくメンバーの入れ替わりがないような形で進んでいくのが望ましいのかなと思っています。
 あと、地域の事業者もぜひこの中に絡めていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、大学に参画したり学生とつながりを持つことによって、相互にポジティブなフィードバックが受けられるわけでして、私どもとしてもチャンスだと思っていますので、一緒にできればと思っています。
 特に期待としては、大学には施設があるわけでして、結構老朽化もしていて大変だという話も聞いております一方で、オープンな場という話が今ありましたけれども、産業界としてみれば公設試験研究機関のような地域のいろんな技術があったりする方々が、どこかで集まる場というのも大事になってくるでしょうし、私、社会保障を担当しています関係で高齢者のサービスとかで民間の事業者も、ぜひそういった場を借りられるのであれば使いたいという声を非常に多く聞くわけでありまして、そのような声が、プラットフォームの中でも議論されて、地域の需要が核となって使っていける可能性は非常に高くあるのかなと思っております。
 地域研究教育連携推進機構につきましては、この地域構想推進プラットフォームがどういう役割分担になるのかはこれからの議論かとは思いますが、あくまでもこの推進機構は、前の構想推進プラットフォームの決まったものを実行するような主体というよりは、むしろ、そういう単なる執行機関ではなくて、やはりお互いプラットフォーム自体でも競争して何かが生まれるような形がいいんだろうと思います。屋上屋を架すようなことになってはいけないと思いますので、うまく設計していただけるとありがたいなと思います。
 あと最後に、国、自治体、そういった行政のリーダーシップの部分も期待したいところです。産学連携の課題はどうしても資金のところがありまして、民間でももちろん努力していきますが、諸外国では無形資産などに対しては、国が大学にもいろいろと支援し、成長投資に対しては予算も組んでおります。もちろん国だけに頼るというわけではなく民間もやるわけで、官民共同でやることだと考えますが、自治体、行政も何か方針を見せてもらえるといいなと思っています。
 経済産業省の方とも話をしていて、大学のイノベーションハブという動きもあるということですから、イノベーションを誘発するための投資を行い、企業も儲かるし大学も儲かるような形がうまく取り得るのであれば、一つのモデルとしてはあり得るのかなと思います。大学を基軸に研究開発、社会実装、スタートアップ、様々な支援強化があると思いますし、海外との産学連携が必要であるということであればJETROを使うということもあると思います。ぜひそういった意味で、民間は民間としてやっていきますが、国とうまく連携し、国も方向性を示してもらって、今動いているものを喚起するような動きをしていただけるとありがたいと思います。
【大森座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【廣瀬委員】  私は都市部の大学としていろいろ地域連携をやっているという観点からは、3のところについて、ちょっとコメントさせていただきたいなと思います。
 地元、都市部の中でのローカルもそうですし、あるいはかなり遠方にある、大学を持っていない地域との連携も様々やっていますけれども、うまくいくところの条件というのは、大学側のコーディネーターと連携先のコーディネーター両方にそれぞれの言語が分かるコーディネーターが居ることだと感じています。
 先ほどの冒頭のお話聞いていて、なるほどと思ったんですが、大学の言語と地域のニーズをよく分かっている方々の言語を一人で通訳できる人がそれほどはいない。大学側から少し外とのつなぎをある程度経験を積んでいる、外の言語をある程度理解する大学側の中をよく知っている人と、それから地域のニーズを直に知っているんだけど、生のニーズをそのまま大学に伝えても、そう簡単には、どう対応していいかというのは見えないので、そこのニーズを大学に伝わるように言語化する翻訳能力のあるコーディネーターがうまくマッチングすると非常に有効に連携が動き出す。こんな課題が現場にあるのだったらこの研究室からこういう活動しているゼミの学生を送り込むのがいいんじゃないかとか、それだったらば地域で活動した経験のあるボランティアセンターの学生チームを送って何かプロジェクトを動かそうとか、その判断がうまくいくと円滑に回るし、うまくいかないと、お互いに何となく期待したのと違ったなというので、単発で何となくその後フェードアウトするということに終わります。
 このコーディネーターが、これまでのところ、属人的、偶発的に、たまたまいい組合せがそこで出会ったからうまくいきましたというところで停まっていることが多い。別なタイプの、例えば地域系のことについては強いコーディネーターはうちの学内には育ってきたけれど、福祉系や教育系では組織的、体系的にはなかなか育成できていない。大学の側もそれを努力する必要があるんだけれども、じゃあニーズを伝えることが的確にできるタイプの地域側や連携先候補との間のコーディネーターがいるかというと、それも、たまたますばらしい能力のある人に遭遇できれば、そこからどんどん進むし、そこが食い違ったままだと、さっき言ったように、もうすぐフェードアウトして終わっていきます。
 そのコーディネーターの養成というのはかなり勘どころだろうと思っていますし、例えば地域のプラットフォームの中などで、各地域の中にも大学の言語をある程度理解をしながら、自分たちの生のニーズをどう翻訳したら伝わるかということを経験を積んだ方が少しずつ蓄積、層が厚くなっていくと、その地域内の大学ともそうだし、遠隔地の大学との連携ということでも力を持っていくことになるかなと。
 初回の洲本市さんのお話を伺っていて、近畿圏中心に、いろんな大学と連携されているけど、その担当の方が異動した後、大丈夫ですかという話が出ました。いや、大丈夫ですとおっしゃいましたが、恐らく最近ある程度自分の後、継げるような後輩が育っているなという実感がおありになるのかなと思って伺っておりましたけれど、これをもう少し、属人的に後継者を育成していくということよりは、もう少し広げていく仕組みにならないと、なかなか、これからそういう活動をどんどん広げていこうということになると、その必要な人材の層の厚さが足りないんじゃないかなというふうに思った次第です。
【大森座長】  ありがとうございます。コーディネーターの配置というのはずっと言われてきたけど、まだ何か見えないというか、誰がいいのかというのもあるし、そこにどういう予算つけるかもあるし、じゃ養成どうしていくかというのもあるし、例えば民間の人なら、本当に1年ぐらい大学でインターンをやってもらいながら大学の言語みたいなところもとか、そういう養成プログラムをつくらないと駄目かもしれないかなと思ったりしています。ありがとうございます。
【小林特別委員】  先ほど申し上げたとおり、人材の供給がボトルネックになってくるというのは、もうこれ見えているので、これは単に都市と地方だけではなくて業種間、今、初任給40万の企業も出てきて人材確保に力を入れていたりとか、あとは職種の違いですね。先ほどの保育とか、最近、船舶なんかもちょっと不足しているとか、そういった、教員とか、いろんなところで不足が出てきて、いたるところで人材の獲得競争になってきます。あとは国家間ですね。これ地域の問題ですけども、地域だけではなくて、地域を反映することで、海外との連携も多分進んでくると思いますので、そういったことも含めて考えていかなきゃいけないんだと思います。
 そうしたときに、今お話に出てきた短期的な課題、それと中長期的な課題がちょっとごっちゃになっているような気がしまして、短期的なところは、現場でやっていくにしても、我々はシステムを考えなければいけないので、2040年である程度のタームを決めて、そこを、先ほど経団連の長谷川さんもおっしゃっていますけど、バックキャストで山の登り方を、システムの構築として工程表を考えていくというのが重要かなというふうに思います。
 そのときに重要なのは、やはり目指す山が違うといけないので、その地域ごとにきちんとビジョンを決めて、どういった人材をというのは、先ほどの基幹産業のつくり方であったりとか、山が違ったらすぐ変えればいいんですけども、そういった山をビジョンとして決めて、一緒にその山を目指してチームを組んでいくのが多分プラットフォームになっていくだろうし、それを支援していく人材を育成していったり研究を進めていくのが、地域研究教育連携推進機構になると思うんですが、そこのビジョンをやっぱり共有していくというのが非常に重要になってくるんだろうと思います。
 そうなってくると、やはり全国一律にはできないので、その特区みたいなのを例えばつくって、グッド・プラクティスをつくって、それを広げていくというのも一つの在り方なんじゃないかなというふうに思います。
 そのときに、ここには、まとめの中に教員というのはあったんですが、職員というのがなかったので、先生方も、教員の方々も非常に忙しい中で、職員の方をぜひ戦力化して、そういった接続の窓口にもなっていただければというふうに思っています。
 一番重要なのは、やはり全国回っていて、今日もいろいろ出ていましたけど、大学と地域、産業界で、まだ圧倒的なコミュニケーション不足があると思いますので、こういったものを解決するための仕組みというのをつくっていくのが重要かなと思っております。
【大森座長】  ありがとうございます。
【縣委員】  今、ビジョンの話がありましたけども、静岡県で、前回もお話ししましたけれども、昨年、大学サミットというものを開催しました。これは、やはりそういうビジョンの話ですとか、今出ています推進プラットフォームの話も問題意識としては持っております。
 県として、いつもビジョンを作れみたいなことは言われるんですけれど、県としてビジョンを指し示すというのはなかなか難しいなと。それぞれの大学の理念、教育方針などもございますし、お考えもございますので、県がこうあるべきだというのはなかなか示しにくいという中で、じゃあ、どうするかというのを、この大学サミットを契機に、いろいろ考えていかなきゃいけないなと思っています。
 このプラットフォームは、やはり県内の高等教育機関全部が参加するのは望ましいと思っているんですけれども、本県の場合、21ありますので、それだけ集まると、なかなか議論が深まらないですし、意思決定、あるいは実行していくのも非常に時間がかかるということで、進め方の一つとしては、テーマを決めて、それぞれ少しのグループで議論をしながら全体の意思決定を図っていくというのも必要なんじゃないかなと思っています。
 そういう中で、このグループではこういうことを具体的にやって、このグループではこういうことを具体的にやっていくというようなことを積み重ねていく必要があるんじゃないかとも思っています。
 あとは、地域にどういう課題があるかというのはきちんと共有しなければいけないものですから、大学サミットを開催するに当たって、我々も県内の大学、短大、高専の卒業生、9,566人分の就職状況の個別データを提供いただきました。表面的な統計数字では拾えない部分です。
 こういうものを見ますと、分かったのは、工学系の学部の技術者あるいは情報通信系の技術者の方は、やっぱり東京に出ていってしまう方が圧倒的に多いなということがありまして、やはりそういう部分もよく見ながら議論していかなきゃいけないかなと思っています。
 あとは、このプラットフォームを誰が主導していくかというのは非常に重要になってくると思います。
 先ほどのコーディネーターもそうですけども、これに行政が前面に出ていくべきものなのか、はたまた大学なのか、産業界なのかというのは、そこはよくよく考えなければいけないなと、これまでの我々のコンソーシアムの取組を見て、常日頃思っているところでございます。
 以上です。
【大森座長】  ありがとうございます。
 そろそろ時間になってまいりましたが、今日、3人の特別委員の皆さんにお話をいただいて、すごく前向きな方向、つまり地域連携とか地域の産業、つまり課題を明示しながらバックキャストとして、大学の将来像を考えていこうねというプラットフォームの姿みたいなものが見えてきたんですけれども、一方で、実はこのプラットフォームに課せられる役割って、前を向くことはしていきたいんだけども、一方で、その地域の適正規模はどうなんだみたいな議論、これ結構シビアな議論になっていくんですよね。その県なり、その広域圏なりの18歳人口が2040年にどうなっているかといったときに、今のままの大学規模でいけるのかどうかみたいな議論もしなきゃいけない役割になっていて、これをコーディネートするコーディネーターは相当なタフネゴシエーターじゃないといけないだろうというふうにも思っていたり。
【長谷川特別委員】  ただ、そこはコーディネーターの役割ではなくて、もう少し上の方ではないかと。誰かということは申し上げませんが。経団連の場合、同じくコンパクトシティということも提唱しております。全ての自治体がフルセットで行政サービスを津々浦々に設けるよりは、防災・減災の視点からも、行政機能を1か所に集中させることも考えるべきだということで、適正規模ということにも関連していると思います。
【大森座長】  そうすると、地域ごとにその議論をするのはちょっと無理がある。つまり当事者が議論していくのではなくてという……。
【長谷川特別委員】  ある程度、広域の単位で考えないとなかなか難しいのかなという気がいたします。
【大森座長】  上というと、国。
【長谷川特別委員】  国ではなくて、都道府県とか。
【大森座長】  でも、プラットフォーム自体は、例えば群馬県なら群馬県の大学と産業界とみんなが入ってという感じになっていくので、多分そこで議論をしていかざるを得ないですよね。
【長谷川特別委員】  まずは県でよいのだと思います。
【大森座長】  はい。そうしたときに、群馬の18歳がこうなるよねといったときに、今の定員でこうなんだけど、無理だよねという話が出てくるわけですよね。大学の側の話です。
【長谷川特別委員】  そうですね。
【大森座長】  そうすると、適正規模ってどのぐらいなんだろうという議論をせざるを得なくなってきて。
【長谷川特別委員】  せざるを得ないと思います。
【大森座長】  そのときに、やっぱり大学の人たち自身が当事者で、身を切る議論をしていかなきゃいけないとなったときに、ちょっと厳しいだろうというので、コーディネーターが必要じゃないかという話になってまいります。
【小林特別委員】  でも、コーディネーターはコーディネートする人であって、意思決定をする人ではないのではないでしょうか。
【長谷川特別委員】  何か決定する人ではないと私も思います。
【大森座長】  意思決定をじゃなくて、その意思決定をするための話合いをコーディネートする人です。それ知事にやってもらうのも変でしょう。
【小林特別委員】  多分ほとんどの方は、地域と産業界と大学のコーディネートをするイメージだと思っているのではないでしょうか。もしかしたら今のお話は、その地域のリーダーをサポートする事務局長クラスの役割なのではないかと思います。
【石橋大学振興課長】  恐らく今、すごく難しいことを、難しい話にしていただいているんだと思うんですけど、答えがなかなか出ないという。ただ、コーディネーターは今までの議論は、今、小林委員がおっしゃった、まさに地域と大学と産業界をどうコーディネートするかというところから始まっていましたけども、中教審の中では、当然その地域における、どういう人材が必要かということからバックキャストして、どれだけの定員規模で各大学が持っていくのかということも、やっぱり地域ごとに少し議論をしないと、国全体で、ここにはこの大学はもういいですよねみたいな話ができるわけではないということだったと思うんですね。
 だから、コーディネーターという言葉にするかはあれですけど、役割が幾つかある人材がプラットフォームの中に必要で、そういう方々をどう、どの方にお願いしながらやっていくかということが必要というふうに認識しております。
【大森座長】  何か特別部会で議論したときにも、もちろん地域と大学とを結ぶコーディネーターも絶対必要なんだけど、大学同士がその適正規模ってどうなんだろうって話し合うためには、当事者が「おたく何人減らします?」みたいな話が無理だよねって。だから、そこに、その話合いをコーディネートする人がどんと来ないと無理じゃないかという話はしていた延長線で私はちょっとイメージした……。
【小林特別委員】  名前変えたほうがいいかもしれないですね。何かちょっと混乱しそうな。
【中村委員】  大学連携コーディネーターみたいな。
【髙市特別委員】  場合によっては英語の表現はやめたほうがいいかもしれません。日本語できちんと言語化されたほうがよい気がしますし、各地域によって実情はそれぞれ異なるわけなので、同じことを画一的に、というのも多分無理だと思います。ただ、中にはやっぱり自治体が強力なリーダーシップを発揮されるケースもあれば、地域に根差した民間企業の中でも、リーダーとしてやっていこうという気概のある企業が居られるケースもありますので、そういった幾つかの代表的な事例をきちんと肌理細かく御覧になるというのは、一つ必要かなと思います。中々きれいにはいかない気がします。
【大森座長】  いかない。ただ、ここに書かれているプラットフォームも、機構も、一つのあれなんだけど、さっき静岡のお話もあったように、例えば大学がたくさんあって、1つの枠に入ろうねというのは多分無理だなという県もあると思っているし、大学が2つしかないよねみたいな県もあって、そこも、これ意味あるのかなみたいなのもあるので、それはもう本当に、これが全部に当てはまるということで描いている絵ではもちろんないという。全部これをやらないとお金が出ませんよみたいなのもちょっと違うのかなとか、いろいろ考えなきゃないことがあるなという感じですね。
 すみません。ありがとうございます。お時間をちょっと超過してしまいました。
 取組の方向性について中間的なまとめ、今後、次回の会議なんかでもしていきたいのかなというふうに思っています。
 今日の議題はここまでということで、次回以降の日程について事務局から、よろしくお願いします。
【石川地域大学振興室長】  本日も活発な御議論いただきまして誠にありがとうございました。
 次回第3回は7月31日10時から開催を予定しております。
 委員、特別委員の皆様におかれましては、本日、時間の都合上、御発言できなかった内容等ございましたら、事務局宛てに御連絡ください。
【大森座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事はこれで終了したいと思います。活発な御議論、本当にありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局大学振興課地域大学振興室