令和7年11月20日(木曜日)15時00分~17時00分
ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴はWebのみ
(座長)小路明善座長
(座長代理)平子裕志座長代理
(委員)石川正俊、伊藤公平、大野博之、大森昭生、尾花 正啓、角田雄彦、田村秀、鶴衛、中村和彦、福原紀彦、村瀬幸雄、両角亜希子の各委員
先﨑大臣官房審議官、小林私学部長、安井高等教育企画課長、石橋大学振興課長、三木私学行政課長、田畑私学助成課長、柿澤参事官(学校法人担当)、菅谷私学行政課課長補佐
(発表者)島一則東北大学大学院教育学研究科教授
(関係省庁)林経済産業省産業人材課課長補佐
【小路座長】 皆さん,こんにちは。それでは,定刻となりましたので,ただいまより第6回「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」を開催させていただきます。
改めまして,座長の小路と申します。引き続きよろしくお願いいたします。
本日が第6回目で,第7回目の12月が,最終ということになりますので,最終の前の検討会議ということで,たくさん意見が,場合によっては出していただけるという会議になろうかと思います。手際よく進めさせていただきたいと思います。本日も,対面,オンライン併用によって公開で開催をさせていただきます。
それでは,本日の議事等について,事務局より説明をお願いいたします。
【菅谷私学行政課課長補佐】 本日の議事及び配付資料は,次第のとおりでございます。過不足等あれば,事務局までお申しつけください。
なお,本日は議題1のヒアリングの関係でオンラインから島一則東北大学大学院教育学研究科教授にも御参加いただいております。
以上でございます。
【小路座長】 それでは,議事に入ります。本日は,これまでの議論を踏まえた最終取りまとめに向けて俯瞰的な議論を行わせていただきたいと思います。また,委員であります石川委員,それから,大森委員,平子委員に,お手元に資料3の資料が行っていると思いますけれども,本日の議論のための検討課題の資料ということで,お三名に作成をいただいております。
この大まかな内容としましては,これまでの検討会議での議論を踏まえ,2040年の私立大学の在り方について,全体最適が図られるよう高等教育,大学,大学院,これの全体構造を俯瞰した上で私立大学の担う方向性を,時間軸を持ちつつ,示していくべき,こういったものになっております。こちらの検討課題の資料も踏まえつつ,本日は,1つ目は教育の質の向上ということについて,それから,2つ目は地域アクセスの確保について,3点目は規模の適正化,この3点について議論をいただければというように思っております。
それでは,まずこの3つの観点に関するデータについて,事務局よりまとめて説明をお願いいたします。
【三木私学行政課長】 資料1を御覧いただきたいと思います。3ページでございますが,学部・研究科の連続性に配慮しました教育課程の編成の促進につきまして,文科省の取組を御説明させていただきます。冒頭書いてありますように,近年の国際的な競争環境が年々高まる一方で,少子化が加速する中,専門知そのものを深堀し,広げることに加え,数理・データサイエンス・AIを適切に利活用し,総合知をもって社会課題を解決できる人材の輩出が求められており,そのためには学士課程から博士課程までを見通した体系的な教育課程の編成により各課程を有機的につなぎ,その質と密度を高めることが必要と考えております。
こういうことを踏まえまして,学部・研究科の連続性の向上を図る制度改正としまして2点,1つは大学設置基準において,教育課程の編成方針として学部及び研究科における教育の連続性に配慮した教育課程の編成をすることを基準上求めるというのが1点目。2つ目は,3つの方針につきまして,学部,修士等の学位プログラムごとの策定に加え,大学の実情に応じて連続課程単位でも策定可能とし,策定単位の選択肢を広げるということを考えてございます。
5ページを御覧いただきたいと思いますけれども,今後の更なる制度改善につなげるために,右下のイメージの図にありますように,学士課程5年,修士課程1年の期間が必要かつ十分なものであることを国として確認できた場合には,例外的に文部科学大臣の認定により修士課程の修業年限の短縮の特例を認める制度を創設することを考えてございます。その後の6ページから8ページは,大学院修了を前提とした連続的な教育課程編成のイメージとなってございます。このような制度につきましては,先日,中教審の大学分科会や大学分科会の下に設置された各部会において御議論をいただいておりまして,今後,年度内の交付を目指し,パブリックコメントを実施する予定でございます。
続きまして10ページからのアクセス確保に関する資料について御説明をいたします。11ページは,2040年の県別の進学者数の推計です。2040年においては,緑の点で示されているように,ほとんどの都道府県におきまして定員充足率が80%を切ることが見込まれております。
12ページ以降は,各県別に現在と2040年の進学者数の変化を数字にまとめてございます。一番下の行,オレンジ色でハイライトしてございますけれども,例えば北海道では31%,青森はマイナス43%と進学者数の減の割合が見込まれてございます。
これが各県別にこの後,データを載せておりますけれども,飛ばさせていただきまして,22ページは文部科学省で作成いたしました地域構想推進プラットフォームのイメージ図でございます。コーディネーターを配置しながら産官学金等が連携をしまして,地域の高等教育を取り巻く課題や将来の人材や国公私立大学が果たす役割を地域全体で認識を共有しながら,産学連携をした地域の新産業創出や大学間連携,この一層の促進を目指すものでございます。
23ページは,このプラットフォームの構築をするために令和8年度の予算の概算要求でモデル事業の予算を要求しているものでございます。
続きまして,24ページ以降は規模の適正化についての資料でございます。25ページと26ページは,規模の適正化につきまして中教審の答申やこの検討会議で御提言いただいた内容を踏まえて文部科学省として取組を整理したものでございます。1ポツの早期の経営判断促進のところを御覧いただければと思いますけれども,経営状況が悪くなる初期状況から,今以上に幅広く文部科学省が経営指導を行うということでございます。令和7年の実績から倍以上の100法人を対象とし,指導をする予定でございます。この点につきましては,後ほどフロー図で整理をしておりますので,後ほど御説明します。
26ページでございますけれども,経営指導の拡充以外も,現在も実施しておりますが,私学助成の減額・不交付を定員充足状況に応じて行うことでありますとか,学校法人間の連携・合併,円滑な撤退に向けて文科省のボトルネックとなる制度を改善いたしましたり,撤退に向けた専門家チームの伴走支援とか,解散時における学籍簿管理の仕組みなどの創設などを行います。このほか,学部等新設の厳格化を行いまして,既存の大学がスクラップ・アンド・ビルドに取り組みやすいようにいたします。
27ページを御覧いただきたいと思います。経営の厳しい大学の早期の経営判断促進に向けた取組のフロー図を今回作ってございます。当面の資金ショートリスクのある法人を経営指導対象法人として文科省が指定をしまして,経営改善計画の策定を求めます。5年間,進捗を確認しまして,不十分な場合,私学助成の減額等や改善が見込まれない場合は文部科学省が定員削減,学部等の廃止,閉鎖等を勧告し,各法人の対応を公表しつつ,大学における経営判断を促してまいります。その後,解散するとの御判断に至った場合には,撤退に向けた伴走支援や今年度中に作成をいたします学校法人の清算手続に係るガイドラインも参考に,各法人に清算手続を進めていただくことを想定してございます。
続いて28ページでございますけれども,収容定員の適正化を図るための学則変更の手続の弾力化をする制度改正についてまとめたものでございます。収容定員総数の減少を行ってから7年以内に行う,この減少分を超えない範囲での収容定員の総数の増加を計画的に行う場合には,その増加につきまして現行認可になっておりますけれども,届出に制度変更をすることを考えてございます。これにより,私立大学の適正な収容定員への見直しを計画的に行っていただけることを期待してございます。
続きまして29ページ以降,学校法人の資産運用に関するものでございます。資産運用は中間まとめでも言及いただいておりまして,関係のデータについての現状を報告させていただきます。31ページは,学校法人における資産運用の概要でございます。10億円以上,50億円未満の法人が一番多い,約3割を占めております。同程度占めておりますのが運用資産規模100億円から500億円未満で,これが180法人,27.5%を占めてございます。
続きまして32ページは,運用資産の規模別の資産の構成をデータとして御用意しているものでございます。
それから,33ページでございますけれども,学校法人における運用資産の概要ですが,左の折れ線グラフが全体の利回りで,令和5年度は2.78%となっております。資産運用規模の大きい法人のほうが運用の利回りが大きい傾向にあるということであります。
34ページですけれども,資産運用をめぐる近年の文科省の対応について簡単に説明,整理してございますけれども,平成20年のリーマンショック時に学校法人の資産運用について通知を出してございます。一方,現在はインフレ圧力の高まりや金利上昇の局面により,預金債券中心の運用では十分なリターンを確保しづらくなっているという状況でございます。この平成21年の通知でもって,安全資産しか持ってはいけないという現場の思い込みにつながっているという指摘もございまして,2024年8月作成のアセットオーナー・プリンシプルを機に,社会情勢が変化し,現預金で保有し続けると資産が目減りしていくおそれがあることなど,文部科学省は様々な機会を通じて周知をしているところでございます。
少し飛びますけれども,アセットオーナー・プリンシプルの概要を36ページに書かせていただき,それを表明されている受入れ状況を37ページでまとめております。このアセットオーナー・プリンシプルを契機に,学校法人においてそれぞれ資産運用の在り方について考えていただきたいと考えてございます。
38ページは経産省と文科省が一緒になって大学の資産運用の在り方に関する検討会を現在進めているということを御紹介するものでございます。両省で一緒になりまして,各学校法人に参考となる情報を整理し,今後,ガイドブックとして提供することを目指してございます。
また,39ページ,資産運用の実態について文科省のほうで今調査をしておりまして,12月以降に公表をする予定でございます。
長くなって恐縮ですけれども,最後,41ページ以降は,最近財政審議会の議論がございましたので,それについての文部科学省の考え方を整理させていただいております。関係部分を抜粋したものでございますけれども,42ページを御覧いただきたいと思いますが,財政審のほうでは,大学の統合・縮小・撤退を促進することが重要で,私大について教育の質の評価に基づき,私学助成のめり張りを強化すべきとされております。文部科学省の見解といたしましては,この会議でも御議論いただいておりますけれども,急激な少子化の進行を踏まえて,高等教育全体の適正な規模の見直しを着実に進めることが必要で,その際には理工・デジタル系人材の育成強化や高等教育へのアクセスと地域社会を支える人材の確保を併せて実現することが重要と考えてございます。また,今日もお話しいただけるかと思いますが,認証評価の見直しにつきましては,その結果を私学助成を含む資源配分等の国の政策に活用することも検討してまいります。
最後のページでございますけれども,財政審から,44ページでございます。私学助成について,定員割れの私立大学に対して学生1人当たりの補助率が高いとの御指摘がございます。これにつきましては,文部科学省としましては,そもそも定員未充足の程度に応じて私学助成を減額する制度が現行もございます。その上で定員充足をしていない小規模大学は,定員1人当たりの生徒数が手厚い。いわば教員体制が充実していて,それに応じて,その教育条件に応じた配分を行っているというような見解を持っております。
少し長くなりましたけれども,説明は以上でございます。よろしくお願いします。
【小路座長】 ありがとうございました。
大変膨大かつ詳細な資料をお作りいただきまして,ありがとうございました。本来は,この資料に関して御質問を受けたいところなのですけれども,多分,御質問を受けていくと三,四十分すぐたってしまうと思うので,すみません,座長判断として意見交換に移らせていただきたいと思います。意見交換の中で,どうしてもというような御質問がございましたら,お出しいただければと思います。
冒頭,まず,先ほど御紹介した3人の委員による検討課題の資料,これは資料3が手元に行っていると思いますけれども,これを見つつ,この中で1点目にこの検討課題で,社会の構造変化,高度化・複雑化への対応,そして成長力強化に向けた教育の質の向上と,こういったことを出していただいております。この内容も踏まえつつ,冒頭申し上げました1点目の教育の質の向上についてということで意見交換を進めていきたいと思います。冒頭,御発言は,初め,一応,教育審議会の大学分科会質向上または質保証システム部会の部会長を務めておられます伊藤委員から検討課題について,できれば御発言をお願いできればと思いますので,よろしかったらお願いいたします。
【伊藤委員】 ありがとうございます。伊藤公平です。あと2回ということで,少しお時間をいただき,まず知の総和答申,つまり,昨年の知の総和答申によって日本の今抱えている課題が何だったのかということを簡単におさらいをして,その上で,全体として何に取り組むべきか,その中での私学の役割という3つについてお話をさせていただきます。
まず,知の総和答申では,皆様,御存じのとおり,2040年になると18歳人口が70万人を割っていくということであって,今の110万人から70万人に減る。このような形でいくと,日本のいわゆる知の総和,能力の合計というのが落ちていくということで,そうであれば一人一人の能力を上げる学びの環境を作っていかなければいけない。そのために高等教育が心して,その変革に取り組まなければいけないということが知の総和答申の骨子でありました。
そのポイントは,全体として上げるということで,必ずしも上の人だけが伸びればいいわけではありません。全体として上げるということが,何が必要かということが中心,大切なことになってきます。そうなってくると,私もこれについていろいろ考えた結果,まず,日本の得意というのは,何かみんな勝手に突っ走って早いウサギを作るのではなく,皆で固まって,平均で世界一を目指して,その中で日本からもどんどんウサギを出していこうという2段の進め方があるのではないかということであります。よく大学ランキングで,日本は100位以内に入っている学校は少ないと非難されるところでありますけれども,実は文科省の知の総和答申の委員会の資料を見ると,ランキング中のトップ1,904校,これ,ランキングのうちのトップ6.1%の学校なのですけれども,そこに119もの,1,900のうちの119もの日本の大学が入っていて,それは私立が49校も入っています。
大学ランキングというと,皆さん,大学のランキングだなと思うのですが,実はあれ,大学院ランキングです。研究力ランキングでありますから,そう考えると,あまり大学院に力を入れていないように見える日本の私立でさえ,実は世界の大学ランキングトップ6.1%に49校も入っているというのが,今のところであり,平均的に見ると日本は相当なレベルの大学力を持っているという見方もできます。その中において,じゃあ,どうやって全体をさらに押し上げていくかといったときに,大切になるのが,全体を押し上げるためには,まず一番下のところを間違いなく確保するということですね。最低限を確保する。これは誰もが易きに流れますから,ですから,大学のいわゆる認証評価と言ってもいいのですけれども,大学が大学としての最低基準を明らかにしていき,それをできればちょっとずつ上げていくということであります。
これは経営能力ではなくて,あくまでも学びの水準ということであります。ということになると,もちろん認証評価という言葉が皆いろいろな形で使われるわけでありますけれども,我々が自分たちで,大学である以上,これだけのことは絶対にやっていきますという水準を誓って,それをお互いに確認し合って,それを徐々に持ち上げていくということが全体としてまず上げていく力になるということであります。その上でもう一つ大切なのが,ボリュームゾーン,中間層を上に上げていくということであります。今,文部科学省,また,その他,内閣府等で国際卓越研究大学のプログラムがあります。あれは一番上のところの研究力を伸ばすところであります。ウサギを育てるところであります。それに対して,今,地域中核・特色ある研究大学創成事業というのがあります。多分,間違っていないですね,名前。創成なのか何だか,ちょっと違ったような気がしますが。
地域中核・特色ある研究大学というものがありますけれども,これ,今,25校選ばれて,それで終わっています。これ以上,今のところ選ばれる予定はありません。この後にボリュームゾーンとしての大学群がどのような工夫をするかということが大切であって,そのボリュームゾーン大学の工夫に対してベストプラクティスを手挙げ式で,こういうことをやっていますということであれば,それにもちろん奨励金をつけましょうという形で,やはり私学としても,そこに国として予算をつけていくということが大切なのではないかと思います。国際卓越J-PEAKSに続くボリュームゾーンを対象としたグッドプラクティスをやはり奨励することがないと,本当の意味での一番人数の多いところが上に上がっていかないと知の総和は上がっていきません。ですので,たまたまなのかは,この部会そのものなのですけれども,ボリュームゾーンを支えているのは私立の大学たちでありますから,その私立の大学たちに対する,そういったような事業が必要でしょうということになるわけです。
その上で,さらに全体を上げるために大切になってくるのが,大学院ということになります。今,日本の何歳でしたっけ,日本の大学院進学率というのは,大体,どれぐらいでしたっけね。日本の30歳未満の修士課程への進学率は,ちょっと前の統計ですけれども,7.4%。7.4%なのですが,OECD平均は,そのときは20.4%ですから,大学院への進学率というのはOECD平均の3分の1なんですね,日本は。博士課程も同じような感じで,OECD平均の30歳未満,半分ぐらいになっています。ですから,全体を上げようとすると,学部卒業で終わるのではなく,さらに学びを深めるということで大学院に進学するということが大切だと思います。大学院に進むということになると,2種類の道があります。もちろん,今までどおりの学部を卒業して修士に進むやり方,これは今後ますます大切になるのは,一度社会に出た方々が,もう一度,大学院で学び直すという意味で,学部と大学院が独立しているプログラムはとても大切であります。でも,その上で学部と大学院を一環教育として新たな,大学院生を育てるといった新たなパス,これも私たちは必要だと思っています。
要は,多様性をつくって,様々なチョイスを今からの,例えば大学生たちに与えるということであり,この1つの例が今度,東京大学が始めるカレッジオブデザインであるのですけれども,その場合は4年制の大学と1年制の大学院という形になって,大学院を1年で卒業,修士号を1年で卒業できるのかということが大きな疑問になっているところであったのですが,これは今まで大学院というのは2年間,卒業,かかって修士を取るのが決まりであって,特に優秀な人が1年間または社会人を経験している人が1年間という特例があったのですけれども,ここのところをやはり新しい教育を作る道をつくるということで,学部,大学院の一貫制度というのも1つの道としてつくるべきだろうといって,あらゆる手段を使って下の確保,中間層のボリュームゾーンを上げる。また,上のところも,教育という意味で様々な大学院に進む道をつくるということで,日本全体として知の総和を上げていくということが,私が,少なくとも考えている理想だと思っています。
今,私が質向上・質保証システム部会で部会長を務めていますけれども,そこでは特に認証評価に関しては,いろいろなコメントをお寄せいただきます。ますます,例えば認証評価が複雑になると,作業が多くなり徒労感が,実際に評価しに行くほうも大変になるので,徒労感ばかりで実際の質向上につながらないじゃないか。そういうことに関しては,私の考えでは最低限を確認する作業というのは,最低限の確認ですから,その最低限を確認される対象のところに主に大きな問題があって,そうでない最低限の確認ができている大学に関しては,それに対して時間を使うことは無駄でしょう。それだったら質向上に時間を使ってもらいたい。質向上に時間を使うボリュームゾーンでも,どこでもいいんですけれども,そういうところはまた別の評価制度の下で,また手挙げ式の応募によって様々な形で質が向上するグッドプラクティスが開発されていき,それらが,いろいろな大学が採用するようになるとよいのではないかということでございます。
ほかにももちろん,地域に関する課題とか,様々な課題,私も意見はあるんですけれども,とりあえず,長くなりましたので質保証というところだけに関してまとめさせていただきました。以上でございます。
【小路座長】 ありがとうございました。
伊藤委員は慶應大学のトップとして大学の運営と,それから,教育の質の向上ということで,実態を担っているので,我々にとっては,学校の現場の意見を踏まえたお話ということで大変参考になりました。ありがとうございました。
それでは,ほかの委員の方から御発言をいただければと思いますが,いかがでしょうか。挙手がないようでしたら,指名をということで,では,とりあえず対面でお越しいただいている平子さん,いかがでしょうか。
【平子座長代理】 はい。分かりました。今,伊藤先生がこれまでの経緯をコンパクトに御説明していただきましたので,その辺りは,私は触れませんが,「知の総和」答申が出て,片や,これと反対側には国立大学の答申も中間まとめも出た中で,これをどうやって具現化していくのかといったときに,国立大学と私立大学を分けて論じるのはナンセンスだと思っています。大学が総体としてどこまで知の総和を上げていくのか先ほども伊藤先生からのボリュームゾーンをどうやって上げていくのかという話と同じだと思います。
ここで私がやはり注目していきたいのは,そのために産業界がどういう役割をしていくのかということ,これが重要なポイントだと思っています。これまでは,どちらかというと,大学と産業界の接点は,そんなに多くなかったわけですが,接続性を考えると大学で学んだことがそのまま企業で生かされる時代を想定しなければならないと思います。日本型企業の特異性は,年功序列,終身雇用,企業内組合を前提としたメンバーシップ型の雇用がベースになっています。
ところが,昨今ではそれが見直される風潮になり,ジョブ型に切り替えていく企業も少しずつ出始めています。ただ,日本の企業が全部ジョブ型に変わるのかと言えば,そう簡単ではないというのが現状だと思います。そこに登場したのが,AIです。日ごとにAIは進化している中で,AIはある意味では万能とも言えますが,扱い方を一歩間違えると大変なことになります。ですので,AI時代にどういう教育をしていくのか,あるいはどういう人材が必要なのかを考えると,高等教育とAIは切っても切れない時代になったということです。AIの進歩と共に,人間がどういう役割を果たしていくのかという議論はもっとやっていくべきだと思っています。
先ほどメンバーシップ型とジョブ型の話をしました。日本の企業では一気にジョブ型には変わっていかないと思うわけですが,ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の混在が将来にわたり想定されたときに,Ai時代の中で高等教育がどういう役割を果たすのかということが大きなポイントになるのではないかと思っています。
ですので,先ほど伊藤先生がおっしゃったように,これまでの大学教育が,学部と修士,大学院と分かれていたのを一貫型にすることによって,個人としてトータルで体得する教育の質というのを高めていくということが必要ですし,それは取りも直さず,国立大学だけではなくて,私立大学の人たちも,今日の説明資料の中にもありますように,大学をまたいで大学院に行くような仕組みが今後必要になってくるのではないかと思います。そのような質の向上をボリュームゾーンで行うために,大学改革があると思っています。
ちなみに,資料3の中でイリノイ大学の話が出てきますが,今年の9月の「日米中西部会」の中のパネルディスカッションにおいて,イリノイ州立大学の教授から聞いたことを,この資料の中に盛り込んでもらったものです。この4ページの下のほうにございますように,イリノイ州は大学同士が大きな連携をする中で,この地域と産業界と大学中心となって1つのハブを形成している。それがイリノイ州全体の経済発展と労働力開発を推進し,最終目的は,そのイリノイ州における州民の教育とウェルビーイングの向上だということです。そのためには,そのイリノイ州に多くの企業が来てもらえるような環境づくりが必要で,そのための取組だということでした。
そのような意味から,地域における産官学はもはや密接かつ不可分だということが言えると思いますので,そのために大学がハブになり得るかどうかを議論していくというのが大事なことではないかと考えます。少し長くなりましたが,私の発言は以上です。
【小路座長】 ありがとうございました。
それでは,もしよろしかったら,まとめていただいた大森委員,いかがでしょうか。
【大森委員】 ありがとうございます。大森でございます。よろしくお願いします。今,私,地域大学振興に関する有識者会議のほうで座長をさせていただいているということもあって,4ページの2番以降,地域における大学の在り方というところに強く関心を持ちながら重要性を感じているところです。もう既に議論は尽くされていて,地方,地域において,その地域の経済,産業界の発展や,あるいは新しい産業の創出,それからもう一つは,エッセンシャルな生活基盤を充実していくための人材育成,こういったものが地域に必要なのであって,地域から大学がなくなっていいということではないというのは,もう共通理解になっているかなと思います。
その上でというところですけれども,その1つの解決策としてのプラットフォームということが構想されてきたということになるし,その先には連携推進法人ということが考えられています。つまり,この議論は,これは私が言っていることなのですけれども,規模の適正化ということとも関わってくる話だと思っていまして,これ,よく規模の適正化といったときに,規模とは何を――何というか,結構,大学の数が多いという議論があるのですけれども,でも,その地域に行ってみると,2つしか大学がないような県とかがあったときに,それで大学が多いと言えるのかという,そういう話で,その2つがなくなって,日本全体では2つ大学がなくなったけれども,その地域にはゼロになったということで,適正規模になったねと言えるのかというと,これはまた違うだろうというふうにも思っているところです。
だから,適正規模といったときに,語る人によって,大学の数のことを言っている場合と進学者に対する全体の入学定員の話とごっちゃになっているので,そこは注意して議論しなければいけないなとは思っているところです。特に地域においては,我々が1個1個の大学の生き残りという観点から一歩俯瞰して,そこの地域の子供たちにとって,どこの大学が残るかというよりも,そこの地域で学べるのかということが非常に重要な観点になってきますので,そのためにはなるべく多くのバラエティーのある学びのルートをその地域でと考えると,大学の数を縮小させるというよりは,全体の学生数を含めた適正規模ということをみんなで話し合っていくということが必要だろうと。
ただ,その際に本当に必要とされている人材育成がなされているのかということは,プラットフォームの中で県の人や地元の産業界の人を含めて議論をしながら,この地域で,それこそ保育士さん,あと10年後には何人ぐらい必要なんだろうとか,うちの県では,こういう産業をこれから起こしていくからとか,そういった議論を踏まえた上で,その適正ということを考えていかなければいけないよねという意味で,やっぱりプラットフォームは必要だなと考えているところです。その場合に,今日は私学のところで議論をしていますし,私学陣もしっかりとそこの地域のために,そこに参画をしながら考えていく必要があるので,ここで議論するのは大事なのですが,プラットフォームはやっぱり国公私含めてみんなで話し合っていかなければいけないので,私学の施策として行われるというよりも,地域大学全体で行われなければいけない。そのときに私学も一緒になっていくことのメリットみたいなものは,我々ここでしっかりと議論をしていくということかなと思っています。
また少し長くなって恐縮ですが,プラットフォームを地域のほうの会議体でも議論しているときに,いろいろ見えてきたのは,プラットフォームを作るためにはコーディネーターが必要だよねというのも従前からの議論なのですが,コーディネーターってどういう人たちというのが意外といろいろなイメージが持たれていまして,一般的には産学官をつないでいくコーディネーター,これは重要ですけれども,ここの今,地域構想推進プラットフォームで考えているのは,地域の産業の将来像を議論した上で適正規模ってどうなんだっけというのも議論していくというと,単につなぐ人だけではなくて,議論のコーディネートをしていく,ファシリテートしていくような役割も期待されているところで,どうやら1人の人が全てをやるというよりも,複数の役割を持った人の集団としてのコーディネーターみたいなことが必要になってくるのかななんていうことも見えてきたところです。
いずれにしましても,このプラットフォームを組みながら,大学のためだけではなくて,地域のためにという旗印を持つことによって,地域の皆さんも自分のところの大学を自分事化していけるような,そういう基盤になるプラットフォームを作っていくということが重要になるだろうなと思いながら,議論をしていければと思っています。
以上です。
【小路座長】 ありがとうございました。
では,あとお一方ぐらいかと思いますけれども,いらっしゃいますでしょうか。
【鶴委員】 よろしいでしょうか。
【小路座長】 はい。鶴さん,どうぞ。
【鶴委員】 鶴ですが,地方の実態ということから少しお話しさせていただきます。今,人手不足倒産ということが言われております。仕事はあるが人がいないために仕事を受けることができない,それにより会社が倒産をしてしまうということが起きています。特に地方の建設業が,その深刻な影響を受けています。地方にある私どもの大学に対しても建設業の大手ゼネコンから多数の求人がまいります。そうすると,学生の目がどうしてもそちらに向いてしまい,地元の建設業に就職する学生が少なくなります。それにより地元の建設業者は非常に厳しい状況になります。
学部 3 年生の頃には企業から良い条件で就職の話がきますので,学生は大学院進学より就職への意識が高くなります。その結果,大学でしっかり専門知識を学ぶということが疎かになる学生も見受けられます。先ほどご意見がありましたように,学部4年間はまずしっかり勉強し大学院1年間で研究力を高めてから社会へ出ていくという制度は非常に意義があります。しかし地方の現場からすると,とにかく人がいないので,学部卒で現場監督ができる資格を持っている学生を欲しいという声が強くあります。学部4年プラス大学院1年という制度と現場ではなかなか埋められない溝のようなものを感じます。4年プラス1年の制度を実現するためには,大学関係者だけでなく企業を含め社会からも理解を深めてもらわなければならないと思います。
以上でございます。
【小路座長】 ありがとうございます。
時間ギリギリになりましたけれども,私も一言,二言申し述べさせていただければと思いますけれども,産業界の視点から教育の質ということを見て,1点目は教育の普遍的な質とか価値,いわゆる時代だとか経済,社会,生活が変化しても変わらずに学ばなければいけない普遍的な教育の価値とか質というのが1つあるのではないのかなと。もう一つは,普遍的に対応して,可変的な,変わる,変化ですね。可変的な教育の質,価値というのがあるのではないかなと。
特に産業界からすると,その可変的な部分というのを大学,アカデミアのほうで,もちろん初等教育からということもあるのですけれども,どうやって教育の質として提供していくのかということが重要なのかなと。例えば今の産業界,これは学校でもそうですけれども,AI,IT,どんどん進んできているんですね。2030年には,あるいは40年には200万人ぐらい,そういう人材が少ない。そういう専門人材のみならず,AIを使いこなせる人材をどうつくっていくのか。これ,とても企業だけでは無理なので,そういったAIに関連する教育とか学部というのをどうやってつくっていくのか。
それからもう一つは,今,高市総理もおっしゃっているんですけれども,経済界でも,私,経団連にいるんですけれども,日本の将来像として高付加価値創出型経済構造というものをつくっていこうと。付加価値の高い商品,サービスによって,それに合う値付けをして収益を上げて,それを人的投資に回していく。研究開発投資に回していく。そのためには付加価値労働生産性をどう上げていくか。物的ではなくて,付加価値労働生産性の式はもう単純に分子に付加価値が来る。分母に労働投入量。今までは,この分母の労働の投入量を効率化してきたんですけれども,それはAIとかITで効率化する,引き続きしていくんですけれども,もう一つは労働,働き手の労働の高度化というものをどうしていこうかというふうに,今,この分母のテーマが労働の効率化と高度化。
実は,その労働の高度化というのが,産業界では非常に難しくて,リカレント,リスキリングで大学に行って学んでもらったりしないと,労働の高度化って,仕事に必要なスキルは会社でできるんですけれども,いわゆるリカレント的なところというのは会社ではできないので,こういった部分をどうしていくのかということ。それで,それによって付加価値労働生産性をどう上げていくのか。そういった付加価値労働生産性の分母の労働の高度化について,アカデミアでどういった教育の価値とか質を提供できるのか。これは可変的なところ,そんなようなところが大事かなと。
それからもう一つは,院に行く,修士に行く人で,学部卒から行く人と社会人博士が今増えているんですけれども,社会人から院に行って修士,博士を取っていく。これは学部卒とひょっとしたら社会人と,もしかしたら教育の内容が若干違ってくるのではないかなと思っていまして,ここら辺をどう区分けして質を高めていくのか。
それから,3点目はやっぱりグローバル化というのが,日本,避けて通れないので,海外校との連携ですね。海外校で認定したものを単位として認める。多分,伊藤先生のところもやっておられると思いますけれども,そういった海外校との連携,また,海外の留学生を自大学に引き入れて,そして単位認定をしてあげるというようなことですね。こういったことによって,教育の質を,グローバル化を促進しつつ,どう上げていくかということは,日本の経済社会にとって,これはもう喫緊の課題で,その辺を例えば留学の派遣,受入れでどう教育の質を上げていくかということが必要になるかなと思っております。
あとは,もう一つは今,経済界では日本があるべき姿として,日本はやっぱり資源がない国なので,最先端科学技術立国として日本の経済社会のあるべき姿を,実は経団連では発表しております。これは政府へも提言して,政府にも賛同いただいています。そうすると,常に最先端の科学技術立国であるためには,これは伊藤先生が言った上層部とか,中間層ってあんまり言ってはいけないのかもしれませんけれども,多少,この院,それから,博士を中心に少し高額な教育になろうかと思いますけれども,最先端技術というものを常にどう磨き上げていくか。これも企業だけではとてもできないので,これはまさしく院を中心に,博士,院,この課程でどうやってつくっていっていただくのかということもしていかなければいけない。そのための教育の価値とか質って,どうあるべきなのか。そんなところを産業界では感じるところがあるものですから,少し申し述べておきたいと思います。
では,すみません,最後に少ししゃべってしまいましたけれども,時間も来ましたので,次に移らせていただきたいと思います。それでは,次に2つ目の地域アクセスの確保ということについてお話を移らせていただきたいと思います。ここでは島東北大学大学院教育学研究科教授から,18歳人口の減少と地方大学の未来ということについて御発表いただきます。島教授,よろしいでしょうか。
【島教授】 はい。よろしくお願いいたします。それでは,早速,始めさせていただきます。時間が限られていますので,なるべくコンパクトに発表したいと思っています。東北大学の島と申します。18歳人口の減少と地方大学の近未来という形で御報告させていただきます。
次のスライド,お願いします。本報告の構成は,各自,目を通していただければと思います。
次に行ってください。本報告の目的は2つあります。1つ目は18歳人口の減少を踏まえて地方大学における状況,近未来について紹介する。2つ目は,以上のことがもたらすであろう地方大学に関する将来的な課題について考察することです。
次のスライド,お願いします。早速なのですけれども,青森県,香川県,宮崎県の近未来についてという形でお話しさせていただきます。文部科学省I・IIのシミュレーションに基づいて話をしていきます。2040年に大学進学者数に何が起きるのかについての2つのシミュレーションがなされております。これらに基づいて私が行った3県を対象とする事例分析の結果を紹介します。また,それぞれの推計に関して2パターンの推計を行います。具体的には推計パターンAとしては,偏差値の低い順に減少が予想されている分の進学者が全て失われると仮定した場合,推計パターンBは偏差値の低い順に50%の進学者が失われ,その場合だと経営継続困難となると仮定とする形です。以下の表は,青森から宮崎に関して推計I・II×A・Bの記載で,計4つの結果を表しています。
まず,青森なのですけれども,まず左が文部科学省の推計Iに基づくものです。右が推計IIに基づくものになります。オレンジがパターンA,進学者が全て選抜の低い大学から失われた場合,パターンBが黄色なのですけれども,低選抜の大学から50%ずつ進学者が失われて,その場合,経営が成り立たないというふうになった場合ということになります。
次のスライド,お願いします。次が香川県です。香川県の場合は,こういう結果になり,次のスライドをお願いします。宮崎県の場合だと,こういう結果になっています。これらの,次のスライドで,3県を総合しますと,どういうことが言えるかといいますと,推計IのパターンBの場合においてすら,まず推計Iのほうが,言ってしまえば危機度が低いというか,楽観的な推計となっています。推計IIのほうが厳しい推計になっていることは,先ほどの表を見ていただければ分かるとおりですけれども,その推計I×推計パターンB,50%ずつ進学者が失われている場合です。その場合,3県でほぼ全ての私立大学が経営継続困難となるという結果になっています。
さらに推計II,厳しめの推計のほうになりますと,推計II,かつ推計パターンBになりますと,国立,公立大学でも一部学部で経営継続困難化が生じるという結果になっています。一番厳しい推計II×パターンBの場合で,何と青森県では弘前大学医学部以外全ての学部で経営継続困難化が生じる。そういう推計になるんですね。文部科学省の推計に基づくこの結果,皆さんどう思われますでしょうか。実を言うと,私自身が本当なのかな,とんでもないなと思って,正直,本当にこの結果について驚いているわけですけれども,そこで何をしたかというと,もう一つ隣接県の岩手県で文部科学省の推計I・IIをもう一度試してみて,さらに自分独自の分析もやってみました。
岩手県の推計結果,文科省の推計I・IIに基づいた結果,今,見えておりますが,これをまとめれば,次のスライド,お願いします。推計I&パターンBに基づくと,岩手医科大学医学部を除く全ての私立大学が経営継続困難化する。推計II&推計パターンBに基づくと,岩手医科大学医学部と岩手大学人文社会学部以外全て経営継続困難化する。岩手大学が人文社会学部のみでは経営継続困難であるとすると,そうではないかと思うのですけれども,岩手大学自体が経営継続困難化する,そういう結果になっており,これはやはり他の3県の傾向とほぼ同じ結果になっています。中でも東北のほうが厳しい結果になっているということです。
ただし,もうここにおられる方は御存じの方も多いのだと思うのですけれども,上記の文科省の推計には様々な仮定が置かれておりまして,その仮定だとか,結局,推計だからよく分からないというところの部分が,疑念が,問題の直視を阻んでいるのではないか。これ,実を言うと,私自身もそうです。いろいろな仮定が置かれているからなと思うと,こんなことにはならないだろうという気持ちになるのですけれども,そこでよりシンプルな,自分自身で推計をしてみて,文科省の推計の補完を急遽なのですけれども,自分でやってみました。
次のスライド,お願いします。岩手県の近未来:島推計の実施ということで,令和5年の岩手県の人口ピラミッドに基づく予想をしました。2040年の大学進学人口って,もう生まれていますので,もはやシミュレーションとかそういう話ではないわけですよね。そうしたときに,令和5年の2歳が2040年に19歳,大学進学者となるとシンプルに仮定しました。次のスライドを見せてください。ピラミッドのほう,ここの,ちょっと見にくいんですけれども,18歳,19歳のところから2歳になると,どういうことが起きるのかというと,18歳人口が2023年では9,875人なのに対し,2040年には大学進学該当年齢人口が6,456人になっています。もうこれだけ減っているんですね。すなわち,3,419人減ります。
そうした形で岩手県にいる人が減っているわけですけれども,これに従来の大学進学率で,大学進学者の中には県内にとどまる人と県外に移る人がいますので,県内進学率の比率,さらには他県から入ってくる人の比率が等しいと仮定すると,ここのところ,実を言うと細かく推計の説明をすることは難しいので,極めて単純化して話をしますと,私の推計では,741人,岩手県内に大学入学する人が減少するという結果になりました。この結果は,文科省推計Ⅰのマイナス474人と文科省推計IIの1,079のほぼ中間に当たるわけで,まあ,いずれにせよ,こうしたことが起きるとやはり考えられるのではないかというのが私の分析に基づく実感です。
次のスライド,お願いします。よりシンプルな島推計でも,文科省推計I・IIを支持する結果となった。このことからは,改めて以下のことを意味する。3つの推計から言えることは,地方私立大学の経営継続困難化は,まず間違いないだろうと。地方公立,国立大学でも一部学部の継続困難化が生じ得る。地方県において大学進学の量的・質的機会が劣化する。地方県における大卒労働供給が量的・質的に劣化する。地方国立,公立大学のボーダーフリー化の危険性みたいなものも出てくるのではないかと考えています。
次のスライド,お願いします。以上の4事例に関して全国の動向を見てみたものがこちらの表になります。表中の数値は,当該県に発生する進学者数減が全て当該県の私立大学において発生したと仮定した場合の私立大学進学者減少率ということになりまして,私立大学進学者数が現在から50%以上減になるのが黄色,100%以上減が赤の都道府県をそれぞれ黄色と赤で示しています。さらに地方ブロック,これは私が暫定的に分けているんですけれども,その中で50%以上,半数以上の県がそういった黄色,赤になっているブロックを灰色で,75%以上の県が先ほどの問題に該当する地方ブロックを紫色で表しています。そうした表になります。
次のスライドをお願いします。以上の結果から事例4県に起きることは,全国の過半数の県で生じることが予想されます。いわゆる地方県でこうした事態がより深刻に生じることが予測されており,関東,近畿でも入学者数減は確実に生じているし,進学者の地方との奪い合いによっては,事態は深刻化の可能性があります。
次のスライド,お願いします。こうした議論をするときに私がよく触れている内容なのですけれども,地方私立大学と呼ばれる低選抜度の大学の経済的効果,私的収益率と呼ばれるものですけれども,これは複数の研究でやはり一定の効果があるという結果が出ています。
なのですが,一瞬,次のスライドを見せてください。令和2年から大学と大学院の賃金データが区別されるようになって,大学収益率は,それよりやや下がり,減少トレンドにあるというふうな,右の上にあるのが大学院の収益率で,そこから少し下がっているところが大学収益率なのですけれども,少し下がっているという意味で,僕がお話しした内容が少し控えめに考えなければいけないということにはなるのですけれども,もう1回前のスライドに戻ってください。それ以上に増加要因というものも考えられているので,やはり地方私立大学に一定の経済的効果はあると言っていいのだろうと思っています。
それ以外に,今まで話したのは個人に帰属する大学教育に伴う費用と便益の関係に関してなのですけれども,政府の公的な費用と便益に基づく公的収益率という概念がありますけれども,これは政府の大学教育投資では,国立より私立のほうが投資効率が高いということが明らかになっております。
2つスライドを進めてください。最後,検討されなければならない課題として,まず地方私立大学の見過ごされている効率性というものが確認されなければいけないと思います。次に,そうしたことを踏まえて大学進学機会の地域間格差(更には県内格差)の更なる拡大への留意が必要だと考えています。特に置き去りにされる地方在住者という言い方をしていますけれども,地元に大学があるのであれば,進学を希望した学生の行先が消滅する。先ほどの50%の話で言えば,その大学が50%の学生が失われたら,もう経営が成り立たないということで,仮にクローズした場合に,その大学に行きたい人は,裏を返せば50%,残っているわけですよね。そういうふうな人たちが行けなくなるという問題が生じやしないかというふうなお話です。
あと,この大学進学機会,進学者の問題は,そのまま大卒人材供給問題につながります。従来の地方県における大卒人材供給機能に問題が生じることが危惧されるわけですし,量的な供給の低下に加えて質的な,多様な人材の供給という意味でも問題が大きいと思います。先ほど見たように,一番極端な推計ではあるものの,文科省の推計II,パターンBでは,青森県では医学部しか残らない。お医者さんしか育成されない。教員も看護師さんも社会福祉関係の人も一切育成されないという形になるわけですね。
次のスライド,お願いします。さらに,以上に関連して国公立大学のボーダーフリー化という問題も考えなければならないのではないかと思っています。国公立大学の入学学生の学習準備状況が,要するに誰でも入れる国公立大学になれば,当然,そんなに勉強しないということが起きて,そうすると全国的な学力水準担保の危機が生じる。さらに国公立大学で教育負担の増加が生じ,さらには国公立大学での研究活動や社会貢献活動への悪影響が想像,考えられる。
以上のことを踏まえると,大学進学機会の地域間の平等,これは効率の問題にもつながっているというのが僕の論なのですけれども,大学進学機会の地域間の平等に関わる私学助成金の交付スキームの導入がやはり必要ではないか。定員充足率に関わる助成金減額スキームの撤廃だとか,地方県,私立大学への量的・質的進学機会の確保のための助成金の配分だとか,そういう積極的な私学助成金の配分みたいなものも考えなければ,先ほど見ていただいたような状況になりかねないということです。一方,国立,公立大学に関しても,基盤的資金,運営費交付金などのやっぱり再基盤化,安定化が必要。なお「島,2024」というのは,昨年の大学分科会の発表資料に基づくものです。
加えて先地域構想推進プラットフォームは,とても大事な議論なのですけれども,地方県における国公立大学などがそういうふうなことを例えばホストする大学が必要になってくるのであれば,そういった大学に対する支援みたいなものも必要になるのではないかと思います。
以上の様々な対応がない場合には,地域間の大学教育格差に基づく日本の分断,少々大げさな表現に聞こえるかもしれませんが,私自身としては危惧するところですし,本課題は大学もしくは教育問題ではなくて,国家的課題で,地方問題・労働問題・産業問題と考える必要があり,省庁横断的な対応が必要になるのではないでしょうか。
最後になりますが,私の研究者としてのこの報告を行うにあたっての立場は,全ての人が大学進学すべきだと考えるものではありませんし,全ての大学を維持すべきと考えているわけでもありません。私がこの発表をさせていただける機会をいただいたうえでの願いとしては,発表するに当たっての願いとしては,こうしたシミュレーションで予想された事態が起きないことです。むしろ,結果としてシミュレーションが外れたということを願っています。この理由,原因となり得るのは,進学率が大幅に上昇することだとか,留学生増加というふうなことも期待できるとは思います。また,文部科学省を中心に,中でも大学振興室や,さらには想定されている地域構想推進プラットフォームを中心とする対応がこうした危機を救うこと,そうしたことを願っております。
すみません,時間をオーバーして誠に申し訳ありませんでした。私の報告は以上です。
【小路座長】 ありがとうございました。島教授。地域大学の現状の実態と問題,課題というのが,よく把握することができました。ありがとうございました。
それでは,意見交換に移りたいと思います。先ほど3名の委員に作成いただいた検討課題も含めまして,検討課題,4ページの2というところで,地域の生産性向上,生活基盤の充実に向けた私立大学の在り方,この内容についても御参考いただいて意見交換というか,意見を出していただいて,御発言いただければと思います。また,今御説明いただいた島教授の御発表について,もし御質問があれば,この時間でやっていきたいと思います。大体25分ぐらいお時間を取りたいと思いますので,3名ぐらいの方に御発言いただければと思いますけれども,いかがでしょうか。
田村さん,どうぞ。
【田村委員】 まず,島先生に1点確認したいことがございます。その質問をしてから意見を述べさせていただきたいと思います。島先生への質問は,全国の動向のところなのですが,ここで私,長野県におりまして,マイナス117%ですとか,山陰とか582%,これ,私の理解では,要は私立大学が比較的少ない県などは100を超える。ということは,要は国公立も当然相当厳しい,そういう解釈なのかなと。その辺,どういうふうに解釈すればよろしいのでしょうか。
【島教授】 私もそういうふうに理解しております。
【田村委員】 はい。ありがとうございます。それを踏まえて地方にいる人間として少し意見といいますか,基本的には私も島先生の考えといいますか,お示しのとおりだと思っていますし,地方の大学が厳しいと。実は最近,私,青森と福島の,まあ,名前は出しませんけれども,私立大学の先生と意見交換する機会がありまして,いわゆる世間ではF何とかとか言われるところであっても,確かに入り口のところでは必ずしも学力は高くないけれども,結構,入って,いろいろなトレーニングとか,学びとか,社会体験とか,地域との関わり,そういう中でかなり伸びていく,成長していく。そこで地域にかなり定着する人材をつくっている。
そういうところで,こういう青森とか,ほとんど医学部だけというのは,これは地域社会にとっても非常に危機的な状況であるわけでして,やはりそういう際には,先ほどのプラットフォームの関係もそうですけれども,地域でどういうふうに維持していくのか。当然のことながら,単に維持というよりも,これからの地域の産業とか,地域社会の在り方ということを踏まえつつ,やはり議論していかなければいけないのかなと思いましたし,また,こちらのほうの資料でもいろいろと出ていましたけれども,まさに私も地方自治をやっていますが,地方の問題として単に文教,教育の問題だけではないなと。そういう意味では,今回のここで議論していることというのは,まさに国で言えば各省庁,全てに働きかけるというか,省庁横断的な取組もいろいろ必要になってくるのかなと思いました。
以上でございます。
【小路座長】 ありがとうございます。
それでは,ほかにいかがでしょうか。日色さん,どうぞ。
【日色委員】 前回,欠席してしまった関係で,ひょっとしたら周回遅れのコメントになっているかもしれませんけれども,いろいろと資料を拝見いたしまして,今日の今の島先生のお話も含めて,非常に深刻な状況かなという理解でおります。その上で,この地域構想推進プラットフォームというのは本当に大事だなと思っております。産業界もやっぱり東京にある会社だけではなくて,やはり地方にある会社も含めて,こういった体制ができてくるということがやっぱりすごく大事だと思っておりますし,平子委員がおっしゃったようなイリノイ州の例,こういったことが本当に全国,地方の隅々でしっかり検討されることが大事だと思っております。
その上で一言申し上げたいのですけれども,この内容を聞いていて,私,ヘルスケアに30年ぐらいいたので,地域医療構想というのと非常に既視感を覚えまして,御承知のとおり病院が多過ぎる,ベッドが多過ぎる。そして急性期の病院が多過ぎるので,転換を図るべきだ。だから,地方で,地域でみんなステークホルダーでディスカッションして,病院の転換をしよう,統廃合をしよう,そういうことなのですけれども,結果的にはもう20年ぐらい全く進んでいない。これはやっぱりそれぞれの病院の事情とか,職員の配置だとか,いろいろなことで結局,大枠は,総論は分かるのだけれども,じゃあ,自分のところの病院を廃止してどこかとくっつくかというと,そんな簡単にはできませんよということで,全然進まないんですね。だから,ここをぜひそれを1つの例として,同じようなことにならないようにしっかりと行政がリーダーシップを取っていただきたいなというのが1つコメントでございます。
もう1点は,ここにはなかったのですけれども,やっぱり今後,専門的な人材を育てるという観点から見ると,専門学校の位置づけというのはすごく大事かなと思っていて,私は経済同友会で,その高等教育機関との連携ということをいろいろやっているんですけれども,その中で高専などの持っているポテンシャルってすばらしいですし,しかも,これから増えていくという構想にありますので,そことどう連携していくか。大学だけではなくて,実際には高専を卒業した後,大学に移行する人がすごく多いので,そこの接続を考える必要があるのではないかなということと,結果的にかなり私立大学を含めて,大学というのは減っていくので,そうすると,そこのインフラをどう活用するかという観点を考えたときに,やっぱり専門学校との連携というのは非常に大事になってくるのではないかと思いますので,既に検討されていることかもしれませんけれども,気づいたことを申し上げました。
以上です。
【小路座長】 ありがとうございます。
それでは,ほかにいかがでしょうか。では,検討課題をお作りいただいた石川委員は参加いただいていますか。
【菅谷私学行政課課長補佐】 本日,御欠席です。
【小路座長】 今日,欠席ですか。では,ほかの方,いかがでしょうか。
【大森委員】 では。
【小路座長】 どうぞ。大森さん。
【大森委員】 大森でございます。島先生,御発表,ありがとうございました。正直言うと,ちょっとショックを受け過ぎていて,今,発言をどうしていいかというところは悩んでいるところではあるんです。先生におっしゃっていただいたように,その地域の中で,だからアクセスということを重視して議論を進めてきたと。
先般,私の座長をやっている会議でも学生が来て,地元の国立大学が駄目だったのだけれども,うちの大学に入って,なのだけれども,うちの大学がなかったら大学進学は諦めていましたという発表をしていて,多分,そういう未来がこのまま行くと来てしまうよというところで,プラットフォームの議論をしてきたのですけれども,今日のお話を聞くとプラットフォームはデフォルトとしては絶対やらなきゃいけないというのはあれなんだけれども,それだけでも,何かお互いにコストを按分していきましょうということが,要はプラットフォームや連携推進法人で考えていたことなのだけれども,その按分していく相手がどんどん倒れていくというようなことというか,つまり,それだけではなので,一旦はそれでまとめるけれども,すぐまた次の会議を立ち上げて,その先を議論するということは必要なのではないかなというぐらいに感じたところではあります。
今まで議論を積み重ねてきたプラットフォームや連携推進法人の議論というのを否定するものでは決してなくて,それは絶対やるべきと思っているんですけれども,それでも追いつかないというフェーズも覚悟をしながら,どうするかということを本当に考えないといけない。そうなってくると,相当に今,地方,地方で頑張ってねというスタンスなのだけれども,それで本当にいいのかということも考えていかなければいけなくなってきているなとは少し感じたという感想ですけれども,ただ,そんなふうに思ったところです。ありがとうございます。
【小路座長】 ありがとうございました。
それでは,オンラインで中村委員,挙手されていますので,どうぞ。
【中村委員】 中村です。日色委員と大森委員の意見とほぼ同等ですが,島先生の分析は非常に厳しく,現実に,そうなる危機感を強く感じました。これは,大学だけ,あるいは自治体だけでは対応できない問題なので,この先,細かな都道府県別の,職業別人口動態など出てくるとはっきりすると思うんですけれども,それを見据えて本当に産官学金でしっかり地域でまとまっていくということの,もっと強い意思を示す必要があると思っています。
現状では考え方はまだ甘いなというのが私の実感でして,文部科学省だけではなくて,経産省,総務省,厚労省とも,一体化して進めていくべきです。この問題に真剣に取り組まないと,おそらく,あと5年たったら,その間に撤退する大学も多くあります。みんなで支え合うというところを真剣に考える必要があると思っています。今日は非常にシビアなデータをいただき,現実を改めて認識しましたので,皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思っております。
以上でございます。
【小路座長】 ありがとうございました。
それでは,オンラインで挙手をされています村瀬委員,お願いいたします。
【村瀬委員】 村瀬でございます。地方のほうから一言だけ感想を申し上げたいと思います。ありがとうございます。私も今までの先生方の御意見と御一緒なのですが,やはり地方は地方のことで考えていただくようなプラットフォームを作っていただくと大変ありがたいと思います。
そういう中で島先生の今のお話の中で,私自身も実際,地方とか教育の問題だけでなく,日本の社会が変わっていく中で,やはり大学がどうしても18歳とか,いわゆる若い人のものだけで考えていくと,こうなっていくと思うのですが,これから地方でも,いわゆる業を興す仕事をしていくという場合にはリスキリングとか,そういうことが必要な場合,地方でまた学び直すということで言えば,私は分かりませんが,欧州のほうですと,オーストリアですとVHSというような公の専門学校のようなものがあって,もう一度マイスターになったりするというようなことで,日本自身の社会が変わっていくためにも,大学がもう少し社会人でも入って学び直すようなことが地方でもできるといいなと思いました。
日本が国連で幸福度が低いという中の1つの要素が,やはり職業の選択の自由が少ないということですので,これからの社会は大学で学び直して,もう一度いろいろな職業が選択できるという社会になっていくという意味での,私自身も大変参考になりました。
以上でございます。
【小路座長】 ありがとうございました。
それでは,あとお一方ぐらいかと思いますけれども,いかがでしょうか。
【島教授】 島ですけれども,よろしいでしょうか。
【小路座長】 島先生,どうぞ。
【島教授】 大変貴重なフィードバック,ありがとうございました。今回の推計をしながら感じたこととしては,私の推計に基づけば,岩手県では3割,大学進学者が減るということに単純に言えばなります。ということは,裏を返せば,全大学が3割ずつ学部定員を仮に減らせるとするならば,極端に言えばどこも潰れないという形になります。それがどのぐらい現実的な数値なのか私は経営者ではないので分からないのですけれども,いずれにせよ,18年後の大学進学該当年令人口数,各県,その数はもうおおよそ分かっているので,それに基づいてどのぐらい減るのかということをやっぱり各県の事情に応じたシミュレーションをすることによって,地域構想推進プラットフォームの議論をより精緻化していく。大森先生がおっしゃってくださったようなことが本当に重要なのではないかと思っている次第です。
あともう一つなのですけれども,実を言うと,口頭で述べなかったのですけれども,スライドの最後にあるように,今回,こうした報告につながったのも文部科学省様のほうでの推計あってこそなんですね。これは本当に大事な推計だったと考えています。なのですけれども,やはり推計してから時間がたっているし,仮定もどんどん変わってきているはずなので,ここを更新されるということもとても大事なことなのではないかなと。各県だけでやるのも大変なのでということでお話しさせていただければと思います。長々と失礼いたしました。
【小路座長】 ありがとうございました。
【伊藤委員】 1つ。
【小路座長】 伊藤先生,どうぞ。
【伊藤委員】 島先生,ありがとうございました。私もこのデータ,文科省のデータというのは,実は我々,高等教育のときにも随分見ていたデータですので,そういう意味では本当に,過去に……。
【柿澤参事官】 大学分科会でこうした推計をお示しいたしました。
【伊藤委員】 大学分科会で出ていましたね。さらに今,高校生の11人に1人が通信制に通っているということで,これから実際に大学を,通信制を選ぶ人も増えていくような状況の中において,これをどうしていくのかといったときに,今日の最初のところで三木課長からの話で,当然のことながら各大学が受入れる学生を減らしていけば,その教員と学生の比率は非常によくなって,手厚い教育ができるという,まあ,見方によってはということで,それもできるんですけれども,そうなってきたときにやはりどうしても私立大学としてやっていくためには,学費も含めた,経営的にどういうような形で自立していくのかということであります。
ですので,今,慶應義塾大学,例えば私たちの場合は,特に学納金が高い大学ではあるのですけれども,そうは言ってもアメリカの私立大学の5分の1未満ですね。もっと少ないかもしれません。それで非常に手厚い教育をやるというのは非常に難しい。さらに3割ずつ学生を減らすということを考える,もし実現するとなると,ますます学納金を上げないとやっていけないということは,もう間違いありません。学納金を上げたときにどういう奨学金が必要かということになってくるのだと思うのですけれども,全ての学生に対して一律に私学助成を出すというのは難しいとすると,やはり必要な人たちに届き,また,卒業後に返せる人たちが返せるというようなことを考えると,これもマイナンバーカードの活用しかないんですね。
つまり,みんなにばらまくのではなく,まず必要な人に,どんな人でも合格した大学に行けるようにするということと,それから,その後の卒業後も追跡して,ある程度の蓄えが出てくるような立場であれば,そのときの学納金の返済をしてくださいという,そういったようなデジタル化というのを進めていかないと,国としてはもう財政的にはやっていけないのではないのかなというのが,私が感じているところであります。ですから,ただ単に工夫をしていろいろなところにお金をつけるということだけではなく,日色委員もおっしゃっていましたけれども,社会全体としての変革を推し進めていかないと,もう難しい状況になっていて,だからこそ,地域の大学がしっかりと残って,そこにも行きたい人は,私は地域の大学に行く人にはクーポンを渡して,さらに圧倒的に安い学納金にするということは大切だと思っています。
その一方で,地域の大学だからといって,最低基準はもちろん,大学としては保たなければいけないと思っている人ですけれども,例えばそのクーポンといったような形で,何とか地域のほうにしっかりとみんなが行くような形を作っていきながら,でも,個人,個人でそれぞれが,必要にところにだけ届き,後で返せる人は返せるみたいな形にしていくのがいいのではないかなとは思っているところです。
【小路座長】 ありがとうございました。
では,お一方ぐらい,いかがでしょうか。
【鶴委員】 すみません,鶴ですけれども。
【小路座長】 はい。鶴さん,どうぞ。
【鶴委員】 私も島先生の予測が外れることを願っています。島先生の解説の中で,国公立大学のボーダーフリー化が起きるのではないかというところが非常に印象的でした。また,今日の検討課題の資料3ページの学部から大学院教育へのというところで,国は学部定員を減じ,大学院シフトを進める大学を重点的に支援すべきとあります。少子化時代なので,私はまず国立大学が学部の入学定員を減じて大学院教育を充実させ,世界で戦う人材を育てていくということが必要だと思います。学部定員を減じて大学院シフト,これを国立大学から取り組んでもらいたいということを改めて感じました。
以上です。
【小路座長】 ありがとうございました。
それでは,少しまとめさせていただきたいと思いますけれども,皆さんの御意見を伺っていて,一言で言うと地域格差が教育格差に直結していると。島先生のデータから,改めてこの格差が非常にスピード感を持って拡大をしていくのではないのかなということを実感いたしました。高市総理も地方創生,力を入れているので,伊藤委員もおっしゃったように,本当に産学官,協力してこの地域のアクセスへの確保という問題については取り組んでいかなければいけないのではないのかなと。
それから,2040年に向けて消滅可能性都市が40%ぐらいになっていくという発表もされているんですね。これは今,1,730ぐらい自治体があって,今の人口動態と産業構造の都市部への集中ということを鑑みると,大体その1,730のうちの40%が2040年までに確実に消滅すると言われているので,そうなると地域大学,あるいはアカデミアの全国が協力するだけで問題は解決できないのではないか。都市が消滅してしまったら,大学の存在はもうなくなりますので,そういうことを含めて産官学の連携と。
それから,高専の話も出て,高専,この前,德島の神山まるごと高専に行ってきたんですけれども,県外からの入学者が非常に多くて,ここでは30%が大学進学ということで非常に高い進学率を誇って,それが伸びていると言うんですね。要は地域の大学に入る人たちが圧倒的に多いということで,こういった高専,もちろん個人の選択の問題はあるのですけれども,高専の大学進学率を工夫によってはどう高めていくかということも検討の課題に入るのではないのかなと。
それから,地域の大学と都市部の大学とのいろいろな連携,それから,海外大学との連携,それからやっぱり留学生,受入れ留学生ですね。これ,たしか文科省では40万人でしたっけ,2030年に向けて40万人かな。今が三十数万人で,人数的には非常に順調に来ているので,端的に言ったら,この40万人の内訳を都市部だけではなくて,どうやって地域の大学に持っていくかというようなことも検討しなければいけないのではないかなと思いました。そのようなことを今後検討して,いわゆる地域アクセスへの確保ということを考えていく必要があろうかなということで,皆さんの御意見をいただいて,少し感じたところを申し述べさせていただきました。
それでは,ちょうど時間が参りましたので,2については以上にさせていただきまして,最後に規模の適正化のパートというところで,最後のパートに移りたいと思います。このパートにつきましては,30分ということで,これまで事務局の説明,あるいは島教授の御発表,それから,3名の委員に作成いただいた検討課題,これらを踏まえまして皆さんから御発言をいただければと思います。規模の適正化以外のこれまでの本日の議論についても,もし御意見がありましたら,出していただければと思います。ここにつきましては,前回の会議の議論などを踏まえて,資料を見ていただいて,規模の適正化ということはフリーで御意見を,特に事前説明もございませんので,出していただければと思いますけれども,皆さんのほうからいかがでしょうか。
平子さん,どうぞ。
【平子座長代理】 先ほど鶴委員がおっしゃったことに関連してなのですが,国立大学と公立大学と私立大学は設置形態が違うということでこれまでは分けた議論をしていましたが,機能を重視するという観点からですと,大学の中でダイナミックな学部の入れ替えとか,あるいは教える知の中身を入れ替えることは,自明の理であるわけですから,各々の大学が自律的に大学の中で変革をしていくことが必要だと思います。島先生の分析にもございましたが,学生が激減することは分かっていることなので,それに応じてキャパシティを減らしていくことをどのように自律的に行うのかが焦点になってきます。
そうした中で知の総和の向上に挑戦するということになると,個々の大学がどこに重点を置いた教育をしていくのかということになるわけで,先ほど鶴先生が,国立大学が率先して学部定員を減じるべきというのは,一理あると思います。国立大学もリソースが限られていますから,学部定員のリソースをもっと大学院に振り向けるのも一方です。その大学院の充実を通じて,個々の知の向上を図っていくということ,そして,地方の国立大学の大学院が,地方の私立の学部生を受入れていくような仕組みがこれから必要になってくるのではないでしょうか。そうすることにより地方全体の知の総和が向上するのではないかと思いますので,冒頭に発表された5年一貫制という枠組にいきなり入れるのは難しいとは思いますが,私立大学が地方の国立大学の大学院に入れるような仕組みづくりは,大学の連携の中で検討してみてはいかがかなと思います。
【小路座長】 ありがとうございます。
それでは,続きまして福原委員がオンラインで挙手されていますので,御発言,どうぞ。
【福原委員】 ありがとうございます。今,平子委員もおっしゃったんですけれども,私,やはり市町村につきましても合併というのは必要であったかと思いますし,都道府県レベルで全てのものを考えてしまうということは,いかがなものかということは思っておりました。これは国立大学それぞれにつきましても,その連携というものをもう少し広い幅で考えるべきで,やはり,今,規模が国立においても,私立においても小さいところが余りにも多いわけですので,そういたしますと,どうしても経営困難というものに直面してしまいます。
したがいまして,やはり規模の適正といったような場合には,1つの学校法人なり大学なりの規模が今の時代では経営その他によってどれくらいが適正なのかということをそれぞれ考えた上で,連合や連携を推進していくということが大事かと思います。そのために,そういった地域連携のプラットフォームを,これも早く,知の総和答申で書かれたわけですから,もう準備されていることだと思いますけれども,一刻も早く各地域の実情に合わせて立ち上げて,そういったものを進めていく。そして今日,御報告がありましたように,大学と大学院の接続というものを図っていく上におきましても,大学院のあるところとないところがあるわけですから,こういった連携をすることによって先ほどの制度がもっと各地方でも活用できるようにされればいいのではないかと思いました。
もう一つ,これ,実は週が明けましたら,今月と来月,もう今月はわずかですけれども,東京と大阪で私が所属しております私学事業団では,リーダーズセミナー,私立大学の指導者を集めての,いわば研修の機会を設けさせていただいております。その今年のテーマが,東京や大阪におきましても資産運用ということでございます。これによって学納金と,それから,助成金というものだけに頼った私学の経営ではなくして,あらゆるリソースを活用するという経営の在り方に,やはり体質を改善していただかないといけない。時折しも金利が発生する時代になってまいりましたので,先ほども御説明がありましたように,石橋を叩いても渡らないという資産運用ではなくして,資産運用に関しても的確な理解を得て,専門家の力を得て各学校法人がこの有しておられるリソースを有効活用してもらうという方向がやはり望ましいのではないかと思います。
それに関連して,実はもう学生募集でやっていけないところも,実は先祖代々,すごいリソースがそこに投下されたわけですので,私はこの私立の大学や学校法人がなくなるということは,代々伝統的に引き継いできた人材育成のために社会のいろいろなリソースが結集してきた,その仕組みが壊れてしまうということですので,ぜひそれらを再活用する。せっかくリソースがあるわけですから,それを再活用する。そのときに1つの単体だけの規模で再活用を考慮するのではなくして,やはり連合や連携という形,プラットフォームが指導をして,そこにはやはり国立大学や公立大学との連合,連携も必要かと思いますので,そういったことをやっていく必要があるのではないかと思いました。
本日は,大変少子化で次々と私立大学が倒れております韓国の地方都市に参りまして,今,その厳しい地方都市の中で日本のことを思いながら発言させていただきました。私からは以上です。
【小路座長】 韓国からありがとうございました。韓国の実情も踏まえてということかと思います。では,御意見を伺って,福原さん,どうもありがとうございました。
ほかに皆さん,いかがでしょうか。どうぞ,田村さん。
【田村委員】 昔,国立にいて,今,公立にいる人間があんまり言うべきかなとは思うのですが,確かに国立は大学院にシフトしたほうがいいというのは,私もそれは非常に頷けるところであります。それと,今,連携とか連合ということが出ましたけれども,私は地方自治の世界にいるわけで,当然,広域連合とか,一部事務組合とか,一般の都道府県や市町村とは違う形の組織とか形態とかあるわけですよね。そういう制度を作るかどうかは別にして,文科省さんとしても新たなそういう大学の枠組みのもの,今,自治体の例であれば,広域連合とか,一部事務組合とかいろいろあるわけですけれども,それ以外も考えられるんですけれども,何かそういうところも検討が必要なのかなと。もちろんプラットフォームというのは大事なのですけれども,では,どういうふうな着地点というか,組織としてどういうふうにするとか,そこら辺は考えるべきだと思っています。
他方で,多分,こういうこと,私は大学の一番抵抗勢力になるのは教員組織が結構,抵抗するのかなと何となく現状維持が,教員というのは,まあ,こんなことをここで言ってまた長野に帰れなくなるかもしれませんけれども,以前,学部長をやった経験でも非常にそこら辺,まあ,いいところももちろんあるんですが,そこら辺をどういうふうに納得してもらうのか,その辺の着地点は難しいと思っています。
それとあと1点,これ,ぜひ言いたかったのは,最初の話なのですけれども,理系シフト,当然,そうだと思うのですが,その際に高校も大事なんですけれども,やっぱり小学校の段階の,自分の息子なんかでもそう。小学校の先生で理科嫌いになっちゃったかなという,そういうエピソードがあるんですけれども,10分ぐらいあれば言うんですけれども,言いませんが,そこはいわゆる学科担任制というのが進められているようですけれども,そこをもっと相当のスピードでやっていかないと,結局,幾ら入り口というか,大学のほうを広げても来なくなる。
やはり小学生のときに自然科学とか,もちろん社会科学とか芸術も大事なのですけれども,そういうものが好きになれるような教育,それは場合によっては外部の人をもっともっと学校に入れていく。そういう工場の技術をやっている人とか,もっとそういう人たちが授業に加われるような仕組みというのも大事ではないかなと思っております。これはよその局ですけれども,やはり単に大学のことは大学だけでは完結しない。地方自治とか,まさに経済のこととか,いろいろなところが関係しますし,ぜひそういう議論にしていただきたいと思います。
以上です。
【小路座長】 ありがとうございました。
それでは,ほかにいかがでしょうか。大森さん,どうぞ。
【大森委員】 まさに地方の小さな大学の実感というか,あれで,さっきの島先生のお話を踏まえて,例えば3割定員を減らせるのかみたいな議論ですけれども,うちもかつて20年前ですけれども,2割定員を減らして,そこから回復してきたという経験は持っています。だから,減らしてもやっていける。多分,小さくなることの恐怖感ってすごくあるんですけれども,実はやっていけるという,いろいろな経験値を持っているところはいっぱいあると思うのでというのが1つあるのですが,例えば300人の大学,入学定員300人の大学が3分の1減って,200人になりましょうといったとき,100人分の収入ということは,4年間で400人分ですから,年間で4億が入ってこないということになる。この4億を誰かが出してくれたら,かなり質向上につながるわけですよね。ファシリティーも先生もそのまま置きながら,300人が200人になって,それで教育をやっていければ。
ということなのですけれども,プラットフォームや連携推進法人を組みながら,お互い一緒にできるところを探しながら,今度の地域アクセス特例も出てきますから,でもやっていくということで,そのコストを按分しながら何とか定員を下げてもやっていけるようにって,頭の中では経験していたんですけれども,1大学4億ぐらいのイメージだと,これは300人だから4億には限らないんだけれども,やっぱりそれでも追いつかないのかなと。どこからお金を持ってくるのかなというのはすごく,さっき伊藤先生がおっしゃったところにかなりアグリーなんですけれども,上げても通えるという体制をとらないと,あとは地域でその足らない分を稼いでねといっても,市町村がなくなっていくような状況の中で稼げるのか問題もあるので,一旦はそのスキームを作るというところで今期はまず議論をしているけれども,その先どこからそこにお金を入れるかというのは,何か各地域で,あとはよろしくでは追いつかないのではないかという感じは正直していますということをとりあえずは言っておきたいと思います。
以上です。
【小路座長】 ありがとうございます。
それでは,ほかにいかがでしょうか。三木さん,どうぞ。
【三木私学行政課長】 皆さんの御意見の間を埋めたいと思いまして,幾つかのお話で,やはり初等中等教育と高等教育の連携というお話がありました。これは高市政権下で日本のこの成長戦略,またしっかり描いていくという中で,人材育成というのは,1つ大きな柱になっておりまして,つい最近,文科大臣のほうからも発表させていただいたのですけれども,大臣の下でタスクフォースをつくって,高校から大学まで一気通貫でという言葉を使っておりますけれども,しっかり高校も改革をしていく,それは高専も入っていますし,普通科をこのままでいいのかというのもありますし,職業高校も含め,しっかりと改革し,その連続の中で高等教育も産業構造を見据えた形で変えていくのだということを命題にしておりまして,今日,先生,お話があったようなことは,そういうことを文科省で今動きをスタートさせたというのを1点御紹介をさせていただきたいと思います。
もう1点,田村先生から大学間連携の話がありましたけれども,もしよろしければ石橋さんから地域の教育研究の連携の推進の話を御紹介させていただきます。
【石橋大学振興課長】 大学振興課長の石橋でございます。今,まさにどういう仕組みが国公私の連携ができるかということで,これは6年,7年前から大学等連携推進法人の仕組みは作らせていただいて,一般社団の形で法人化していただいて,まずは単位互換などから進めていただくということで今やってきておりますけれども,今後,それをこの知の総和答申を受けまして,さらに発展させて,例えば事務の共同化とか,そういうこともやっていっていただくのもあるかと思いますし,自治体も含めたような法人というのも今後あり得るのかなというような議論をさせていただいているところでございます。
なかなか大学が一緒に何かするのは大変なところもありますし,今,10法人できておりまして,皆様,御苦労いただいているところではあるのですけれども,これがそれぞれの地域で増えていくことで,国公私が手を携えて,その地域の高等教育を守っていただくというような仕組みにしていければなと思っているところでございます。
以上でございます。
【小路座長】 ありがとうございました。
ほか,ございますでしょうか。福原先生,どうぞ。
【福原委員】 ちょうど三木課長が今おっしゃったこととほぼ重なっているのですが,私からも一言。高専の成果が大変この科学立国,理系人材を必要としている昨今において注目されるという話でございました。これはやはり今おっしゃったように高等学校と大学,短大や大学との連携が制度的に設計されている,その成果だと思いました。そういうことからいたしますと,私立大学はどうしても文系学部が多くて,今,それの理系人材を作るように文科省がいろいろ工夫をしていただいているので,徐々にそれが増えてきたのですが,これはやはり高等学校の教育から始めないと,大学における理系人材,文理融合というものにつながっていかないので,ぜひこの高大連携,あるいは中高大連携の中で理系人材を輩出していき,また,多くを受け入れている私立大学でこそ,私立は附属高校も多く持っておりますので,そういったところをもっと活用するというようなこともあるのではないかと思った次第でございます。
そんなような意味で,特に地方においては理系の人材,これがやはり必要ですし,エッセンシャルワーカーも必要であります。その必要性が高等学校の普通科だけでは,その教科学習だけでは十分に,彼ら彼女らに伝わらないところがあって,優れた取組では高校の中で,普通科であっても何か,そういう特別な試みをする。また,普通科ではないけれども,そういった将来を見た,この後の進学でどういう,例えば介護とか看護を学ぶのであれば,そのための物理や化学はこういうものが必要であるといったように,やはり高校教育のところに,私学へ進学する,あるいは必要のある人材についても教育しているという実例を見まして,こういった試みが広がっていくことが私学の理系人材を迎え入れるということにもつながるのではないかと思いました。ほぼ三木課長と重なった意見ですけれども,私からも申し上げました。ありがとうございました。
【小路座長】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうぞ,小林さん。
【小林私学部長】 財務省ですとか,あるいは永田町でいろいろやりとりしておりますと,少子化が前提で,私学助成にしましても,当然,これは減らせるというような話がございます。いわゆる「Fラン」の大学を全部残す必要はないとか,そういった指摘はよく受けます。
今回,資料3でいただいているような,将来のアクセスや規模,それから,今日御議論いただきました将来必要な分野ですとか,あるいは大学院,そういったことが必要だということを発信し,その上で私学助成をはじめ,全体のファンディングが今後どういうふうに必要かということを早く示していかないといけないと感じているところでございます。今日は貴重な御意見をいただき,ありがとうございます。
【小路座長】 ありがとうございました。
それでは,両角委員が挙手をされていますので,両角さん,どうぞ。
【両角委員】 どうもありがとうございます。今日,途中から入ったので,最初のほうの議論を把握していないので,的外れなことを言ったら申し訳ありません。規模の議論になると,さきほどの島先生の議論にありますように,子供がこれだけ減っていくから,どのように減らしていくかといった議論をせざるを得ないのですが,学部の規模だけを議論している印象を受けます。大学院は,例えば国立はもっと定員を大学院に振り替えてくださいねというような議論が中心で,もう少し大学院も含めて高等教育の規模をどれぐらいに増やしていきたいのかといった規模の議論はあり得ないのだろうかというようなことが気になりました。
規模の問題は,やはりアクセスと質とかなり密接に関係しており,特に手を打たずにいると地方から潰れていってしまうというのが,先ほどの島先生のところのお話だと思います。どちらかというと,今は,機関側からの議論が中心なのですけれども,学生側からしたら,質の高いところは残ってほしいのではないかと思うのですが,進学側から見た観点の議論は必要なのではないかなと思います。つまり,質と規模とをどう結びつけるのかといった観点が,気になっています。大学院のところも,先ほどの記述も何というか,大規模なところが大学院に重点化すればいいと書いてあったのですけれども,それだけでよいのかなというか,地方の小さい私立大学でも研究機能が強いところもあります。そういう大学で小さくても大学院機能を強化する可能性もあると思います。さらに言うと,今,誰が負担するのかという議論が出ていて,本人と国の話が出ているかと思うのですが,企業とかも例えばいろいろな形で負担していくということが,現実としても出てきていると思うんですね。
例えば奨学金を返すところを自分の会社就職した学生さんを企業が肩代わりしてあげるとか,いろいろな形で広がっているんですけれども,そういう行動の基盤にあるのは基本的には教育の質なのではないかと思います。いい人材だから,うちに来てほしいような人材だから,そこは企業が負担しますよという,そういう流れが現実にも出てきていると思うのですけれども,何となくこの規模の議論をするときに,その辺がうまく入り込めていないような気がして気になっております。どうもまだうまく言語化できていないのですけれども,そんなようなことを今日,感じながら参加しておりました。
以上です。
【小路座長】 ありがとうございました。
ほかには,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。少し私も皆さんの御意見を聞いて感想とまとめをさせていただきたいと思いますけれども,この規模の適正化ということを考えるときに,皆さんの御意見のこの本質的なところというのは,1つやっぱり現実を踏まえていかないと,空論になってはいかんのではないのかなと。例えば人口減少,これはもう要件として捉えていかなければいけないのではないかなと。それから,先ほど申しました消滅可能性都市,これも仮に2040年に向けて1割,今,4割と言われているんですけれども,1割としても100を超える都市が非常に厳しい状況になっていく。実際に東京への転入超過というのが,もう明確に出てきて,それは今年,来年で止まるものではなくて,長らくそうなっていくでしょうと言われて,こういった都市部への集中とか全国の人口減少,それから,高校から大学への進学率も大体6割ぐらいですか,今,予測しても。それを7割,8割というのは,現実的には非常に難しい。では,1つは,その6割ということを前提にして規模をどう考えていくかと考えなければいけないのではないかなと。
それと,何かおっしゃったところで,やっぱり総合大学と単科大学,あるいは専門大学,この辺を特に地方の私立大学,明確にしていくということも必要なのかなと。たしか全大学の7割ぐらいですか,650ぐらいですかね,私立大学が。600ちょっとぐらいですよね。
【菅谷私学行政課課長補佐】 620ぐらいです。
【小路座長】 そうですね。全大学の7割を占めているので,学生さんからしたら,その7割の大学に行っているところがなくなってしまうということになると,非常に学生さんの立場からすると非常に厳しい状況に落ちる。さっき,地域格差が教育格差になると,じゃあ,いきなり都市部の大学に出てこれるかというと,そう簡単には出てこれないということになると,いわゆる単科とか総合大学を私大としてもどう考えていくのか。特に地方の大学,いわゆる大学としての魅力だとか,教育提供価値をどう明確にし,磨き上げていくかということも考えていかなければいけないのではないかなと。
それとやっぱり,系列化,あるいは大学連携ということも考えていかなければいけないし,それから,おっしゃった文理融合,これは実は産業界でも非常に力を入れているところであって,STEAM教育をもう,今,最近はSTEAMのAも入って,アートも入ってきているんですけれども,初等教育段階からやってほしいと。文理融合と。もちろん,理系人材が日本は少ないということもあるんですけれども,まずは文理融合,STEAM教育を初等教育,これは経済界が文科省を含めて教育界に求めているところなんですね。こういったところをどうやって私大のほうにやっていくのかということも考えていかなければいけないのではないかなと思います。
それとやっぱり,地方は我々産業界から見ると非常に産業自体が疲弊しつつあるんですね。もちろん公正を保っている産業もあるんですけれども,幾つかの県で知の拠点として地域産業の頭脳を地域の大学に担ってもらっていると。決してクロスアポイントメントだけではなくて,共同開発研究だとか共同研究をやっていただいているので,その地域の産業は,その地域以外,外にはなかなか今出ていかれないので,そうすると,その産業の頭脳というのは,地域大学になるんですね。それを国立だけではなくて,私学も担えるようにということをやっぱり考えていかなければいけないのではないか。地域産業の知の拠点としての存在価値をどう示していくのか,そんなことを,それらを踏まえると,やっぱり改革すべきものと維持すべきもの,これをどうしていくのかということをまず明確にして,規模の適正化というところに今度は入っていくということが必要なのかなというのを皆さんのお話を聞いて,私の個人的な私見も申し述べて伝えたところであります。
では,発言も尽きたという感じですから,時間にもなりましたので,勝手に締めてすみません。伊藤先生,最後に何かありますか。ないですか。皆さん,何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。すみません,座長が勝手なことを申し述べてしまいまして,実質的には,今日,最後で,次回,最終まとめの御確認をいただいて,そのまとめに対して様々な御意見を頂戴して,その御意見をまた加筆して最終まとめというところに入っていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
次回につきましては,これが第7回ということで,検討会議としては一応,最終ということでよろしいですよね。12月15日,月曜日,10時から12時ということを予定させていただきますので,ぜひ多くの委員の皆さんにというか,なるべく全員御参加いただけるように時間調整,日程調整をお願いしたいと思います。
それでは,第6回の会議,本日はこれで終了したいと思います。活発な御意見をいただきまして,どうもありがとうございました。
―― 了 ――
高等教育局私学部私学行政課