令和7年8月26日(火曜日)14時30分~16時30分
ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴はWebのみ
国立大学法人等の機能強化に向けた検討会(第12回)
令和7年8月26日
【相澤座長】 それでは,定刻となりましたので,ただいまより第12回国立大学法人等の機能強化に向けた検討会を開催いたします。
本日の検討会も,対面・オンラインの併用によりまして公開しております。
初めに,事務局に人事異動がありましたので,御紹介をお願いいたします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 失礼いたします。事務局に異動がございましたので,御紹介をさせていただきます。
まず初めに,文部科学事務次官の増子でございます。
【増子事務次官】 増子です。よろしくお願いいたします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 続きまして,高等教育局長の合田でございます。
【合田高等教育局長】 合田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 続きまして,研究振興局長の淵上でございます。
【淵上研究振興局長】 淵上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 続きまして,大臣官房審議官高等教育局担当の先﨑でございます。
【先﨑大臣官房審議官】 先﨑です。よろしくお願いいたします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 続きまして,大臣官房審議官高等教育局及び科学技術政策連携担当の松浦でございます。
【松浦大臣官房審議官】 松浦です。よろしくお願いします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 続きまして,高等教育局高等教育企画課長の安井でございます。
【安井高等教育企画課長】 安井でございます。お願いいたします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 続きまして,高等教育局国立大学法人支援課長の村尾でございます。
【村尾国立大学法人支援課長】 村尾です。よろしくお願いいたします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 以上になります。
【相澤座長】 ありがとうございました。
増子事務次官が御着席でございますので,ぜひここで一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【増子事務次官】 改めまして,文部科学事務次官の増子でございます。先生方におかれては,昨年の7月から今日で12回目ということで,これまで精力的に御意見を賜りまして,誠にありがとうございます。私も対面でこの会に出席するのは初めてですが,実はオンラインで11回全て参加させていだいておりまして,先生方の真摯な御議論を聞かせていただいておりました。
国立大学は言うまでもなく,法人化して20年ということで,いろいろな課題の整理をしていただいた上で,改革の方針を今回示していただいたということで,感謝申し上げたいと思っております。
これまで国立大学法人20年といっても,様々な大きな社会的変化の中でできるだけ改革するということで,文科省も国立大学法人法を改正したりして,できる限りのことはしてきたつもりですが,やはり今後,15年さらには20年先を見たときに,当然のことながら少子化も一層深刻化いたしますし,またAIをはじめ最先端の技術によって人間がやる仕事というのは大きく変化すると思いますので,当然大学側もそれに対応する,つまり社会に応えられるような,変化に対応できるような人材,産業界から真に求められる人材を適切に輩出していくことが非常に重要になってくると思います。そういう意味で,これまで御議論いただいたこの改革の方針というのは,大きな道しるべ,羅針盤みたいなものになるのではないかと考えております。
令和10年度から新しい第5期中期目標期間に入りますので,おまとめいただいた今回の改革の方針,そういうものをしっかりと踏まえながら考えていくのと同時に,来年度は第7期科学技術・イノベーション基本計画の初年度ということになります。
当然のことながら科学技術の課題はいっぱいありますけれども,国立大学法人,大学をどうしていくのかというのは研究力向上の上で非常に重要になってきますので,そういう意味で,今,国立大学だけ見ても物価高騰,人件費の高騰,そういう中で運営費交付金がほとんど変わってないという状況で,閣議決定事項である第7期の基本計画など,そういうものに国立大学法人の運営費交付金もしっかりと位置づけて,さらには病院も,国立大学病院は非常に大赤字になっているところがどんどん出ておりますので,そういうものを踏まえながらしっかりと対応していきたいと思います。本日,骨子がまとめられる方向だと聞いておりますが,まとめた以降も,先生方におかれては幅広い視点から御意見を賜ればと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
【相澤座長】 ありがとうございました。
それでは,本日の議事次第について,事務局から説明をお願いします。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 本日の議事及び配付資料につきましては,お手元にございます次第のとおりでございます。過不足等ございましたら,事務局までお申しつけください。
【相澤座長】 それでは,早速議事に入ります。
本検討会では,これまで11回,会を重ねてまいりまして,精力的に議論を展開してまいりました。課題を整理した後,今回の改革の方針という内容を構築してきたのが,ここしばらくの間続いておりました。
そこで本日,御提示してある改革の方針(案),これは事務局と座長である私とがかなり緻密な議論を重ねて作成してまいりました。この内容には,委員から寄せられました御意見はほぼ全てと言っていいほど取り込まれております。これから事務局から説明いたしますが,本日でき得れば案を取らせていただきたいと思っております。それで,事務局からの説明の後,各委員から事実誤認等何かお気づきの点がありましたらば御指摘いただくとともに,改革の方針(案)について総括的な御意見を出していただくようお願いいたします。
それで,これから説明させていただきますけれども,その後で,今回はぜひ全ての委員から御意見をいただきたいと思いますので,どうぞ説明時間の間に発言内容を御準備いただければと思います。
それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【北野国立大学法人支援課企画官】 座長,ありがとうございます。国立大学法人支援課の北野でございます。私のほうから,資料1に基づきまして説明をさせていただければと思います。
今ほど座長からありましたとおり,本改革の方針(案)につきましては,前回,改革の方(素案)を示させていただいたところでございますけれども,その際にいただいた委員からの御意見と,その後,座長との打合せを踏まえまして幾つか修正を行っているもの等ございますので,前回の会から少し時間も空いておりますが,主に修正した部分と全体の流れ等,少し説明をさせていただければと思います。1ページを御覧いただければと思います。
1ページは趣旨の部分になっておりますけれども,趣旨の真ん中の段,「法人化後の20年間」というところから始まる文章でございますけれども,こちらは先ほど次期科学技術・イノベーション基本計画第7期の話があったところでございますけれども,既に科学技術・イノベーション基本計画第6期におきましても,大学に対する期待というものが書かれているところでございます。ここに書いておりますとおり,「知・人への投資」の好循環を生み出していくためには,大学におきましてSTEAMに代表されるサイエンス,そういった知的資産への投資と,そこからイノベーションによる新たな価値の創出につきまして,追記をさせていただいているところでございます。
続きまして,3ページを御覧いただければと思います。3ページ,2ポツの今後の国立大学法人等の機能強化に向けた改革の方向性でございます。こちらは前回同様の内容になっておりますけれども,まずは2040年を見据えた機能強化の視点の明確化,そしてマル1社会の大きな転換点における大学。大学におきましては,今まさに社会の大きな転換点にあるという意識を強く持っていただくということで,今後,この段落におきましては,20年の間に大学を取り巻く環境は絶えず変化をしてきたということ,特にデジタル社会の到来,グローバル化を経た複雑な国際環境,脱炭素といった地球規模の課題の顕在化,また我が国における少子高齢化の想定以上の急速な進展が見られるということを言及しております。
4ページでございますけれども,先ほど次官の挨拶からもございましたけれども,これまでの20年も国立大学法人にとりましては非常に厳しい環境であったと思いますけれども,4ページの上から4段落目でございますけれども,これからの20年がこれまでの20年と同じような環境には全くないということをまず念頭に持つ必要があるということを,ここで言及させていただいております。
その上で,国立大学法人等の全体としてのミッションにつきまして,こちらも前回の素案と同様でございますけれども,マル1として不確実な社会を切り開く世界最高水準の研究の展開とイノベーションの牽引,マル2として変化する社会ニーズに応じた高度専門人材の育成,マル3として地域社会を先導する人材の育成と地域産業の振興を国立大学法人等全体のミッションとして果たしていくべきであるということを整理しております。
なお,マル3以降の段落に1段落追加をしておりますけれども,このマル1,マル2,マル3の詳しい内容をここで追記させていただいております。
その上で5ページでございますけれども,各国立大学法人等につきましては,国大法人等の全体のミッションをもとに,従来型の教育や研究のアプローチや考え方から脱却した上で,これまでにないリソースや考え方を貪欲に取り入れて,大学のパフォーマンスの最大化に向けた変革を断行していくことが必要であるということを言及しております。
また,マル2で機能強化を進めるに当たっての留意点といたしまして,こちらも素案で言及してきたところでございますけれども,まずは様々なステークホルダーとの対話をしていく,その上で客観的に自らがどのようなミッションを果たしていくかということを客観的に検証していくべきであるということを言及しております。その上でこういったミッションを達成しているかということが,後ほど適切に評価が検証できますよう,適切な指標(KPI)の設定もこのプロセスに組み込むことを,5ページの下の段落で言及をさせていただいております。
6ページでございますけれども,各大学それぞれがミッション等を決めた上で,それぞれのリソースでは不十分であるという場合には,後述するような再編統合,連携等も視野に入れる視点を持つべきであるということを上のほうで言及しております。
(2)ガバナンスの抜本的強化といたしまして,マル1の基本的な考え方でございますけれども,最初の段落では,まずは国大法人等が経営体となることの認識を国大法人内で共有されていることが必要であるとしております。
その上で,2つ目の段落でございますが,各大学法人におきましては,経営資源の棚卸しを行った上で,機能強化の方向性についてどのように資源を活用していくか。また,ここは前回,委員の先生からも御指摘がございましたが,まずは国大法人等において自らの知恵を総動員して,多様なネットワークからの新たな知も得て,戦略を適切に構築していくことが必要であるとしております。その上で,そういった戦略を実現するためのマネジメント体制を適切に構築していくべきであるということを言及しております。
具体の経営戦略につきましては,7ページ以降でございますけれども,まずは財務戦略の構築といたしまして,法人税の資金の流れを一元的に把握する体制を構築するということに言及しておりますし,またその上で,保有する資産や資産のアロケーションの最適化を図ることが求められるということを,3段落目のところで言及しております。
なお,この資産のアロケーションの最適化を図ることが求められるという次の文章のところに施設の関係に言及をさせていただいておりますが,こちらも前回の会議で施設整備の関係の説明をさせていただいたところでございますけれども,委員の先生方から施設整備の重要性も含めるべきだというところで御意見をいただいておりますので,こちらにも施設の関係の内容を追記させていただいております。
その下の段落でございますけれども,財務状況の分析,財務戦略の構築,これはいずれにつきましても構成員への適切な情報共有の仕組みを進めるということで言及をしております。
続きまして,8ページでございますが,経営戦略のもう一つの柱といたしまして,人事戦略の構築でございます。こちらもミッションの大きな機能強化の方向性に応じまして,必要な知識,経験,スキル,人数など,人員と組織の体制を具体化することが必要であるということ,また人事給与制度の見直しなど,人事給与マネジメントの高度化を図っていく必要性に言及をさせていただいております。また,文部科学省に対しましても,人事給与マネジメントガイドライン等の見直しを行うことが必要であるというところを言及させていただいております。
下から2段落目のところでございますけれども,こちらもこの検討会で多く指摘がございましたが,教職員の人事評価につきまして,様々なミッションに応じた必要な観点を入れた評価の仕組みを入れることなど,様々な評価の仕組みを考えていくべきであるというところも入れております。
続きまして,9ページでございますけれども,こちら人事戦略の中でも,特に専門人材につきまして,法人化後の多様化する環境に適応するために,財務,経営企画,法務,テクノロジー,またIRや研究開発マネジメント人材など,こういった人材をいかに採用,育成して配置をしていくか,またキャリアパスをどうしていくか。また,こういった人材を1法人だけで育成することが困難な場合には,他法人との連携によるリソースの共有や一部機能の統合も検討すべきではないかということを言及しております。
9ページのマル3規制緩和の関係でございますけれども,法人の活動を継続的に維持発展させていくための新たな財源を確保する視点を持つべきであるということを言及させていただいております。こちらは論点整理でも言及されましたが,規制緩和の活用状況,法人間に差異がある状況となっているというところも示させていただいた上で,一方で,世界最高水準の教育研究活動の展開を目的に設定しました指定国立大学法人制度,こちらにつきましては他の法人に先行した規制緩和を行い,様々な改革が進んでおりますので,この点を9ページから10ページにわたって追記させていただいております。
その上で,外部資金を確保していくに当たりまして,産学官連携ガイドラインでございますとか,大学知財ガバナンスガイドラインでございますとか,そういった関係を言及させていただいているところでございます。
また,文部科学省に対しましても,様々知の高付加価値化を進めるに当たっての制度的隘路について,引き続き規制緩和も検討していくべきであるということを言及させていただいております。
マル4がマネジメント体制の見直しでございますが,こちらの戦略に基づきまして経営体制をどうしていくかというところで,経営と教学の活用でございますとか,運営方針会議の活用ということが考えられるところに言及をさせていただいているところでございます。
また,11ページの上のほうでございますけれども,既存のマネジメント体制の効果的な経営のモニタリングを行うべきだというところでございますとか,学長・理事長,役員の担務に応じて必要な知識や経験,また資質を明確化することの必要性についても言及をさせていただいております。
(3)組織の見直しでございますけれども,こちら先ほど申し上げましたとおり,令和4年の出生数70万人を下回るなど少子化は進んでおりますけれども,国立大学につきましても日本人学部学生の規模の縮小は避けられないということに言及した上で,現在の学部の規模や組織の在り方についても,自らのミッションや機能強化の方向性について見直しを行っていくことが必要であることを言及しております。
その上で,一方で地域という視点も重要でございますので,そういった観点も含めた検討が必要であることを言及しております。
その上で,学部から大学院への資源のシフトでございますとか,大学院修了の標準化,また日本人学生と外国人留学生が一体感を持って学ぶことができるよう,優秀な人材を引きつけるという視点も持つべきであるというところを,11ページの下で言及させていただいております。
その上で12ページでございます。様々な教育・研究組織の見直しによって,一定の規模を確保する必要性がある場合には,機能の統合など規模の確保をしていくことも必要であるということを言及させていただいております。
また,12ページの下から2段目のところでございますけれども,事務組織につきましても,学内での複数部局との連携でございますとか,デジタル化を活用した効率化などについても言及をさせていただいております。
12ページの一番下,附属施設の見直しでございますが,こちら前回,委員の先生から御指摘を受けまして,附属組織としていた附属施設,大学設置基準に基づく附属施設の関係でございますので,附属施設と修正をさせていただいております。
こちらにつきましては,13ページ,附属病院と附属学校について特に言及をさせていただいておりますけれども,附属病院につきましては,附属的な病院経営を実現するために,例えば大学病院に対して貸借対照表の作成など資産状況の在り方の検討でございますとか,また病院にかかるコスト負担につきましても,こちらも前回,先生方から御意見いただきましたけれども,地域の医療提供体制について,自治体を含めたステークホルダーの対話とコスト負担を含めた必要なリソースの分担を積極的に進めていくことが求められるというふうにしているところでございます。
附属学校につきましては,こちらにつきましても附属学校の数,種類,規模等について,自らのミッションに基づきまして整理を行い,必要な見直しを実行することが求められるというふうにしております。
13ページの一番下から,再編統合・連携の関係でございます。
14ページを御覧いただければと思いますけれども,こちらも再編統合はあくまでも手段でございますので,各国立大学法人がいかに機能強化を図るかという検討の結果として,有効な選択肢になるということを冒頭に記載しております。その上で,一定の規模を確保すること,もしくは効率的な法人,大学運営を行うということ,もしくは自らが有する強みや特色をさらに強化するという観点から,統合・連携というのが選択肢になるということを言及しております。
14ページの真ん中のところでございますけれども,法人統合,大学統合に至らずとも,例えば一定の規模,機能強化に有効と考える産学連携でございますとか,そういった機能に応じて連携,統合,再編を行うことも考えられる。また,施設の関係でも,施設の共有による共創拠点化など,こういった連携も考えられるというところを言及させていただいております。
こちらの再編統合等につきましては,各法人に任せるだけでは駄目だという意見もこの検討会で出たところだと認識しておりますので,14ページの一番下でございますけれども,第5期中期目標期間に向けた組織業務の見直しの議論のスキームにおいて,文科省と法人で対話を開始すべきであるというところも言及をさせていただいております。
15ページ以降,(4)教育の質の向上に向けた取組でございますけれども,こちら教育のグローバル化,またマル2として博士の高度人材の育成,16ページに移りまして社会に開かれたリカレント,ここは前回の素案と同様の内容となっております。
また,17ページのマル4教育の質向上に向けた大学間の連携でございますけれども,こちらも前回と同様になっております。
その下のマル5でございますけれども,教育の適切な価値付けと便益を受ける主体間での負担・投資の考え方・留意点でございますが,こちらにつきましても検討会での御意見を踏まえ,教育コストをどういった主体がどういう考え方で負担していくかについて,まずは教育コストがどの程度のものとなっているかを可視化すること,また卒業生の便益がどの程度であるかということを可視化して,具体的に分かりやすく学内外に積極的に発信していくことがまず必要であるというところを言及しております。
18ページ以降が(5)研究力の強化に向けた取組でございまして,こちらは研究の幅の確保,またマル2若手研究者・研究開発マネジマネジメント人材等の育成・確保と国際的流動性の確保,19ページ,研究ネットワークの強化,20ページの研究インテグリティ・研究セキュリティの確保と,素案とほぼ同様の内容とさせていただいております。
マル5でございますが,こちら教育と裏腹の関係で,研究の適切な価値付けと便益を受ける主体間での負担・投資の考え方・留意点でございますけれども,21ページにございますとおり,便益について社会や直接のステークホルダーに積極的に発信すること,特に個々の共同研究については,負担と投資の考え方を共同研究先の企業等と認識の共有を図ることが必須であるということを言及させていただいております。
続きまして,22ページ以降,こちらは3ポツ,国立大学法人等への支援の考え方でございまして,前回の素案のところでは論点等を示させていただいたところでございますが,こちらも前回の御意見を踏まえまして,今回,案として示させていただいております。
まず,(1)社会情勢の変化を踏まえた運営費交付金等による支援でございまして,各国立大学法人がミッションの実現を担う意欲と能力を備えた人材が集まり,その力を十分に発揮できる環境の構築に向けて,安定的・継続的な活動を支える運営費交付金の基盤的経費は極めて重要な役割を果たしているというところを2段落目で示しております。
4段落目でございますけれども,今後の国大法人が掲げるミッションや機能強化の方向性,こちらは2ポツで記載したとおりでございますけれども,これに沿って各法人が思い切った改革を実行していく,そのためには基盤的軽費につきましても,適切なインセンティブ設計の下,各法人の改革を促進しつつ,ミッションや機能強化の方向性に沿った活動を安定的に支援していくことができるよう,在り方を見直していくことが求められるというふうにしております。具体的な見直しの方向としては,この下に3つ記載させていただいておりますけれども,まずは基盤的経費の配分額について,中期目標期間中の見通しを立てやすい明快な配分ルールとすること。
2つ目といたしまして,ミッションや機能強化の方向性に応じた取組の成果について,指標等をもとに何らかのインセンティブを持たせる仕組みを入れるということ。この際,ここは委員の先生方からも御指摘をいただきましたけれども,その成果を測るに当たりましては,大きな改革を進める観点とシンプルな評価の仕組みとする観点を持つべきであるということを言及しております。
3つ目といたしまして,最低限必要と考えられる教育・研究をベースとした経費につきましては,物価等の変動に対応させる観点も含めて,安定性をより向上させた仕組みとするべきであるということに言及しております。
具体的な制度設計につきましては,これは各中期目標期間終了時に,次期の運営費交付金の制度の設計につきましては,これまでも有識者会議を文科省において設定しているところでございますけれども,こちらの会議体において議論を深めることを期待するという形にさせていただいております。
その下でございますけれども,先ほど次官の御挨拶からもありましたように,第4期中期目標期間中につきましても,運営費交付金や施設整備補助金等の基盤的軽費を着実に確保していくことが強く求められていること,また特に附属病院につきましては,285億の赤字が令和6年度の決算で生じている状況でございますが,2ポツのところで言及した附属病院の見直しを進めて,経営改善に取り組んでいくことは当然のことでございますが,それを行うに当たりましても,緊急的に附属病院の支援を検討していくことが求められるのではないかというところを言及させていただいております。
(2)は,地域社会を先導する人材の育成と地域産業の振興を行う国立大学への支援でございます。こちらにつきましては,単純に18歳人口の減少に合わせて各法人の規模を縮小するということではなく,都市から地方へと人の流れを変えていくという視点を持って,学部定員の設定を行うことが求められるということを記載しております。
24ページでございますけれども,教育面と研究面とそれぞれ分けさせていただいておりますが,教育面からは,知の総和答申でも言及されましたような地域構想推進プラットフォームにおいて,国立大学法人が中心的な役割を果たすべきであること,またそれに対する支援を充実していくことが望まれることを言及しております。
研究面におきましては,新しい産業を育成していく核としての役割も期待されるところでございまして,そのような地方国立大学の役割に配慮した支援を検討するべきであるということを言及しております。
また,最後に病院の関係でございますが,地域医療の最後のとりでとしての附属病院の重要性についても言及をさせていただいております。
24ページの(3)大学の機能強化を促進するための施策でございますが,こちらもこの検討会で委員の先生方から多く御意見をいただきましたけれども,機関向けの競争的研究費につきましても,2ポツで記載したような各法人の改革を支援していくような採択の条件や配分の仕組みなどを検討すべきであることを言及しております。
また,こちらも先生方から御指摘をいただいたところでございますけれども,競争的研究費が終了したときに,引き続き改革が進むように,大学の財務基盤を支える仕組みについて,検討,工夫していくことが求められるというところにも言及をさせていただいております。
最後の(4)政府を挙げた大学支援策の検討でございますけれども,こちらにつきましては,5つ目の段落に記載しておりますが,文科省だけではなく,多くの省庁がそれぞれの政策の目的に照らし,政府全体で国立大学法人を支えていく視点を持つことが必要であるということを記載しております。
また,各省庁につきましては,国大法人との知を最大限に政策に生かしていくというスタンスに立つべきであるということ,また文科省におきましても,各国立大学法人等の有用な情報の共有などを積極的に行っていくべきであるということを記載しております。
最後,26ページでございますけれども,こちらも省庁に限らず,地方自治体,産業界から国大法人等への投資を促進する際にも同じような考え方が共通するということに言及させていただいた上で,最後のところでございますが,各府省や自治体,産業界といった多様なステークホルダーがそれぞれの目的に応じて適切に投資がなされ,大学の活動と経営のダイナミクスを生むことを期待するという形で,改革の方針の締めくくりをさせていただいているところでございます。
また,資料2といたしまして,今御説明をさせていただきました改革の方針の概要も作成をさせていただいているところでございますけれども,概要につきましては,今説明をさせていただいた内容と重複するものでございますので,説明は割愛をさせていただければと思います。
私のほうからの説明以上でございます。
【相澤座長】 ありがとうございました。
それでは,ただいまの説明を踏まえまして,議論に移りたいと思います。準備が整った方から,いつものように名札を立てていただければ,私のほうから指名させていただきます。いかがでしょうか。どうぞ,樫谷委員。
【樫谷委員】 すみません。準備が十分に整っていませんが,思いついたことを言いたいと思います。非常に網羅をした観点で将来にわたって書き込まれておりますので,すばらしいなと思いました。
ここの検討会のテーマは機能強化ということなので,機能強化をするための改革をするんだということだと思いました。その機能強化というのは全てを見直すという,恐らく多面的に書いてあるということは,全てを見直さなきゃいけないということを言っているのではないかと思います。つまり,今までの延長ではいけないということを言われているのかなと思いながらこれをずっと読んでおりました。
ただし,改革というときに,統合という言葉がありますね。統合するというのは,縮小経済の中ではどうしても統合という話が入ってくるんですが,統合は否定するわけじゃなくて,やるべきはやるべきだと思うんですが,統合するときに大事なのは,マネジメントというか,統合のマネジメントというか,単に足し算の場合もあるし,掛け算の場合もあるし,下手したら引き算の統合もあるんです。独法なんかもいろいろ統合,私,独法の評価の部会長をやっておりまして,やりましたけど,これ本当に統合していいのかなみたいな統合もあるんですね。また,統合してよくなったなというところもあります。
だから,統合といったときに機能強化をするための統合,そのためには,ここに書いていただいているので改めて言うことはないんですけども,できれば掛け算になるような統合をどうするかということは,結局マネジメント次第なんです。よくある銀行なんかでも,A銀行とB銀行が統合して,結果的に足し算だけで,下手したら引き算だというところもないわけではないので,そこはしっかり言っていると思うんですけども,知っておいていただきたいなと思っております。
それから改革するために,運営費交付金などで補塡するとか支援するとか書いてあるんですけども,改革のためには必ずコストかかるんですよ。改革コストがかかるんです。それについてもちゃんと明示していただいて,改革コストに対する支援もちゃんとすると。そのためには当然申請があって,審査があって,やると思うんですけど,改革コストということもイメージした上で,例えばITにしても何するにしても相当投資しなきゃいけない。システム投資ってめちゃくちゃ金かかるんです。これは企業でも同じで,大学だって同じだと思うんです。そのためには運営費交付金だけでは足らないと思いますので,改革のため,あるいはシステム化,IT化のための投資についても十分配慮していただきたいと思っております。
それから,いろんな支援をするということで書いてあるんですが,支援に期待をしてもらいたいんだけど,期待だけするなと。努力をして初めて支援ができるので,支援を口開けて待っているというんじゃなくて,積極的に改革していただいて,そこに支援をするというふうにしてないと,何となく既存の流れの中でちょこっとプラスすればいいんだなみたいな,従来そうなっていたかどうか分かりませんが,そういう発想になりますので,ぜひ改革ということ,つまり機能強化ということが本当にできているのかということをしっかり文科省として審査をしていただいて,出すべきお金はしっかり出していくというふうにしていただきたいと思っております。
以上です。
【相澤座長】 ありがとうございました。
それでは,次の方はいかがでしょうか。それでは川合委員,どうぞ。
【川合委員】 約1年間にわたる議論を非常にうまくまとめていただいていると思います。私自身,もう1回読み直して,国立大学等のミッションを定義できたとは非常に重要なことだと思います。何のための国立大学かというのが書かれることによって,やるべきことの方向性が分かりやすくなっている,ここが今回の改革の一番のポイントになっていると思います。
しかもそのミッションの書き方が振るっていて,全体として,要するに国立大学法人等総体としてこういうことを目指すんだという書き方をしていただいているので,これから改革をするときに,1法人1法人の話ではなく,全体としてどこへ向けられるかという総体論をちゃんと踏むことができるというのは,非常に大きなメリットだと思います。
それによって,この20年間,大学間の,無意味なとは言いませんが,お互いの競争だけを意識していた教育・研究の業界が,共同して一緒にこの大きなミッションを果たすために何をどう最適かするかという考え方にシフトできること,その結果として「知と人への投資」の好循環を生むことができると思えます。
その中で個々の大学や大学人がどれだけこれを理解して,改革に臨むかというところが大事です。非常に大きなメッセージとしては経済的なサポート,特に大学という機関に対する基盤経費をきちっと整えるぞという宣言があることは,大学経営にとって大きな改革につながると思います。
その上で,少子化に対して大学の規模をどうするかという短絡的な議論がされがちだった中,このミッションを考えると,ただ人を減らして大学を減らすというのでは総体としてのミッションを果たすことはこんなんで,外国からの人材や,今まで大学に入ってこなかった類いの人たちがいるとすれば,そこに対する取り扱いも総体としてのミッションに照らしてできる。とてもいい改革案になっていると思います。
その上での心配は,どれだけ財源が確保できるかです。これまでの20年間でかなり傷んでしまった土台の何処を基準点と考えるかを明確にしていかないと,本当の改革にまで結びつけられるかどうかの不安が残っています。その辺は次の5期に向けての検討委員会で協議して,定量的な理由付けを出していただくことでかなり現実的な改革になると思います。
褒める一方でございます。ありがとうございます。
【相澤座長】 ありがとうございました。
それでは,いかがでしょうか。上山委員,どうぞ。
【上山委員】 ありがとうございます。この会議が始まって1年ぐらい,最終的な答申案がどうなるのかなと少し途中で心配するところもあったんですが,我々委員がこんなにきれいに議論したかなというのが最初の印象でした。発言者の一言一言をエスクパンドするように最終的な報告案をつくる文科行政官の能力の高さということに改めて敬意を表したいと思います。ここに書かれていることは,まさしくこれから概算要求等も含めた基盤になっていくものが書かれていて,ターニングポイントに来ている国立大学の在り方に関して大きな一石を投じてくださっているものと思っております。
そのことを申し上げた上で,私にとってはこの答申案の一番最後の政府を挙げた大学支援の検討というセクションが入ったということに関して,とても強い関心を持っております。文科省の最終的な答申案の中に,政府を挙げて各省と連携しつつ,大学の支援の在り方を考えるというところまで踏み込んでいるというのは本当に新しい,また非常に強い覚悟を感じるものであります。ここの中から,大学の基盤的な財源をどのような形で担保していくのかという,よりクリエイティブな政策というのが出てきてほしいなというのが私の最大の関心でございます。
同時に,この答申を変えろと言っているわけじゃないんですが,私自身はそろそろこの運営費交付金という概念そのものについて文科省は考えるべきだなと思います。運営費のためのお金を取ってくる。これが高等教育局の最大のミッションだと思いますが,この運営費交付金なるものは一体どのような形で,どのようなミッション性を持って取ってきているのか。
今まで運営費交付金の中で,様々ミッションオリエンテッドな形での配分の仕方をやってきたことがありますけども,運営費交付金というのはほとんどは人件費に使われている。大学にとっては競争的資金が幾ら入っても,実は大学という組織はどんどん傷んでいく。だから運営費交付金は重要なんだと言いますが,人件費になるものに使われるよりもさらに重要なことは,それぞれの大学の裁量的な資金がどのように増えるかということであります。裁量的というのは,すなわち使途が明確に規定されていない。したがって,それぞれの大学が自らの自律的な経営感覚によって資金を配分することができるお金,この中には教育への資金も研究力に使われるお金も当然ながらあるわけですが,そういう使途の裁量権のある資金を運営費交付金なるもののカテゴリーの中で取っておくということが一番重要で,そうすると運営費交付金という表現そのものが少し間尺に合わないなというふうに思っております。
この中でずっと書かれているのは,各大学が自らの判断で経営能力を高めて戦略をつくってくださいということは,再三強調されているわけです。じゃあ,それは一体どのような資金でやっていくのかに関して,第4のところの政府を挙げた大学支援の在り方ということと関わってくるだろうと思っております。
裁量権のある資金を文科省の運営費交付金だけで行うということの限界性が非常に明確にあると思います。例えば大学病院の問題を考えたときに,そこに関わっている人件費がほとんど運営費交付金ぐらいしか出ない。あとは競争的資金の中からの,ある種間接経費的なものしか担保されない。
だったらどうして厚労省はこれに対して裁量権のある,使途の制限のないような資金を出さないのだという議論は当然あっていいし,あるいは昨今のAIやIT人材の不足ということを考えたときに,人件費に関わるような運営費交付金に当たる戦略的資金をどうして総務省は出さないんだと。こういう議論は当然ながらあっていいし,産業の問題,サプライチェーンの問題,あるいは地域の問題を考えるときの経済的な戦略性のある資金について,運営費交付金由来の人件費だけでやろうとすることにそもそもの問題がある。これは経産省がもっと裁量権のある資金を出すべきである。全体の大学の在り方に関するブループリントは文科省が持っていて当然だとは思いますけども,裁量権のある資金を運営費交付金という単純な名前だけで議論することにほぼ限界が来ていると私は強く思います。
その意味で,大学にとっては自らの経営判断を行うようなミッションオリエンテッドな裁量権のある資金を今後,競争的資金だけに頼らない形でどのように担保していくのか。ここには文科省と各省庁が連携すると書かれていますが,各省庁に対して依頼をするなり,あるいはコミュニケーションを図ることによってその資金をきちんと取ってくる。今後,高等教育局長は運営費交付金で一生懸命闘われるんでしょうが,闘っていくとして,それだけで全部やれるんですかと。これ一体幾ら取ってくださるか分かりませんけども,それだけでいいんですかということを文科省は強く各省庁に言うべきだと私は思います。
そのことが第4の政府を挙げた大学支援策の検討の中にそういうある種の含意があると思っておりますので,このことは自分自身の関心と合致するところで一言申し上げたいと思いました。
私からは以上でございます。
【相澤座長】 大変重要なポイントを指摘いただきました。ありがとうございます。
それでは,いかがでしょうか。永井委員,どうぞ。
【永井委員】 永井でございます。私は大学病院の立場から意見を申し上げます。
大学病院の問題は,今,別途医学教育の在り方検討会でも議論していますが,大学病院の在り方と大学の在り方は違うところがございます。また医学教育の在り方検討会のほうでも,これまでのような教育・研究だけではなくて,診療や医療人の育成、地域病院との人事交流などの面も新たに議論されております。そうなると当然,予算化が必要になります。
そういう意味からも,この報告書の13ページに大学病院のことが書かれていて非常にありがたいと思うのですが,できれば新しい局面である医療人育成などを通じて地域医療の根幹を支えているなどのキーワードを入れていただけるとありがたいと思います。ただ,地域医療の根幹を支えているだけではなくて,実際は人も交流していますし,リカレント教育も行っています。さらに地域の雇用も創出し,医療産業も振興しています。そういう役割を一くくりではなくて書いていただきたいと思います。
16ページのリカレント教育のところでは,一般的な大学の社会人教育のことが書いてありますけど,大学病院の場合には人が出ていって地域の医療を支え,そこで技術移転をする,さらに地域の医療人を再教育する,そういうところまで歴史的に貢献してきたわけです。それが今回,医療の在り方検討会では大学病院の役割としてかなり明確に打ち出されました。であれば,こちらの報告書にもその辺を少し反映していただきたいと思います。
これ24ページの真ん中辺の「なお,地方国立大学の附属病院は」というところに,「地域への医師輩出」とありますが,これ一方通行ではなく行ったり来たりしているわけです。人事交流の方が適切です。大学病院は地域医療へマンパワーをこれからますます割かざるを得ないわけですから,それに対する支援が必要です,そういう新たに広がる活動への支援という意味で,きちっと大学病院の役割として書いていただけるとありがたいということです。
以上です。
【相澤座長】 ありがとうございました。そういたしますと,ご指摘のありました3ページについて,そういう動きを示す言葉を挿入することでよろしいでしょうか。
【永井委員】 新しい局面が出ていることを書いていただきたい。
【相澤座長】 ありがとうございました。
それでは服部委員,どうぞ。
【服部委員】 全体として非常によくまとまっているという印象を持ちました。特に4ページでまとめられた国立大学法人等の全体としての3つのミッション,これが明確に決められたことにより改革案一つの大きな筋ができて,各大学法人等におけるそれぞれのミッションに応じた改革の方向性というのが,具体的に書かれているという印象を持ちました。具体的というのはどういうことかといいますと,この改革案を読みながら,何をするのかが具体的にイメージがしやすい,そういうまとめになっているということです。
一方で,各大学にとっては厳しい選択を迫っていることをひしひしと感じました。この改革案で3つのミッションを定めましたが,その中から,それぞれの大学がどのミッションをメインに取り組むかということをまず決める。そして,それを深掘りしながら具体的な計画に落とし込んでいくということは,相当の覚悟が要ることだと思います。というのは,今まで,ほとんどの国立大学では,世界一線の研究を目指し,教育についても全国,それから世界で活躍する人材も育てながらも,地方にある大学では地域経済,地域産業の振興を支える人材を育成したいと考えていると思います。
あれもやりたいこれもやりたいというのは,本音なんですよね。本気で思っているけれども,そこまで全ての大学が今のリソースでできるかというと,それは難しい状況になっています。各大学にとっては非常に厳しい選択をしなければいけない状況ですけれども,それをしっかりと取り組んでいただきたいと,ある意味エールを送っている案と思っています。
あと少し気になるのは,各大学がそれぞれの判断で行うべきこと,行えることと,国立大学全体として取り組まないとできないこととが併記されているように思われる事項があることです。例えば23ページの一番下に,「都市から地方へと人の流れを変えていくという視点を持ち,学部定員の設定等を行うことが求められる。」との記載があります。これについては単独の大学でできることではないように思います。国立大学全体トータルとしてどのような定員配置をすればいいかということをある程度方向性を示していかないとできないことかと思います。そういう方向性をしっかりと文科省と各国立大学法人が対話をしながら,また,各大学はさらに地元,ステークホルダーと話をしながら決めていくことが必要と思います。
最後に,大学改革支援・学位授与機構では国立大学法人評価において,各国立大学法人の教育研究の状況についての評価を行っています。その観点から言いますと,22ページに「指標等を基に何らかのインセンティブを持たせる仕組みを入れる」という記載もありますが,その点について評価機関としては注視していきたいと考えています。さらにシンプルな評価の仕組みとする観点を持つことについては,法人評価委員会等での議論ともあわせながら,明確な指標を策定することによってよりシンプルに評価できる仕組みを構築することが必要と思っています。一方で,今,中教審の作業部会において認証評価の見直しが検討されています。この作業部会に陪席させていただいていますけれども,そこでも評価に対する反映の仕組みを導入することも議論されています。このことから,法人評価の際に新たな評価制度における評価の結果を組み入れることができれば,評価に対する反映と共にシンプルな評価の仕組みということにもつながるのではないかと思っています。
私からは以上です。
【相澤座長】 評価の点については,比較的淡泊なといいましょうか,そういう表現になっておりますが,今御指摘いただいたようなことが裏にあるということで,これは十分留意をしていく必要があることだと思います。御指摘ありがとうございました。
次に何かありませんか。平子委員,どうぞ。
【平子委員】 ありがとうございます。今回の方向性,改革の方針(案)は,大学の総体としても,あるいは各法人としても今後どうすべきなのかということがよく分かる中身になっていると第一印象で感じました。
これまでの20年とこれからの20年は明らかに違うんだということを前半で述べているわけですが,そういう観点からですと,まずはミッションを明確にした上で,各大学がどうやって改革を進めていくのかということを示すことに対し,これを補完するものとして公助や共助とがあると思います。
自らが自助努力をしないと,公助,共助は受けられないと言うことです。公助とは国からの支援、つまり運営費交付金を中心としたもので,共助は大学との連携や社会とのつながりが該当しますが,自助努力をしないと共助,公助というのは受けられないことがはっきりと示されていることが非常に重要になります。その意味での方向性は出されていると感じます。
そこに文部科学省の覚悟が見て取れます。文科省はこれから各法人との対話の中でミッションの方向性を決めたり、国を挙げての支援では,文科省が他省庁との関わり合いの中で中心となって動いていく,この覚悟が見えることはすばらしいことだと考えています。
全体の文章の立てつけですが,一言申し上げさせていただくと,中心の章というのは第2章だと思いますが,改革の方向性として(1)(2)(3)(4)(5)が設けられています。(1)は機能強化の視点の明確化で,これに続くものとしては教育と研究になると思います。それが(4)(5)で述べられていますので,(1)(4)(5)が改革の目的と言う意味で非常に大事なパートを占めることになります。逆に(2)(3)のガバナンスとか組織の見直しは目的達成のための手段だと思いますので,できれば目的の次に手段を置く方が文章的なつながりとか,ロジックが一貫するのではないかと感じました。
以上でございます。
【相澤座長】 ありがとうございます。
それでは福原委員,どうぞ。
【福原委員】 ありがとうございます。どの委員からも御指摘のように,今回の改革の方針(案)をおまとめいただいたことに対しましては,議論に携わった者として大変ありがたく思っております。ありがとうございます。
その上で,今回のこの案を拝読いたしまして心強く思った点,そしてさらに今後の議論でそれをより深めていただきたい点を二,三申し上げたいと思います。
一つは,個々の国立大学法人の機能強化に当たって,随所で連携ということの大切さを強調していただいた点はありがたく存じております。教育の質の向上に向けては大学間との連携を,また研究力強化に向けては,研究ネットワークの強化という言葉で表現されておりますし,また機能強化全体に向けて組織の見直しをするに当たっても,再編統合,連携というものを視野に入れて取り組む方向性が示されております。そして,支援につきましても,政府内の各省庁,また社会の各セクターとの連携が示されておりますので,これぜひ今後の取組としては,その視点は大事にしていただきたい。
それと同時に,その連携が国内だけに終わらず,様々な国際的な機関との連携,またさらにはコロナ禍その他で内向きになったと言われている学生層やなんかをもっともっと海外に飛躍させるための海外拠点を経営するなど,我が国の大学というものが、他の国の大学と違って国内における活躍の場を求めるだけじゃなくて,もっと海外に目を向けるような連携がもう一つあってもいいかなということ,それが一つであります。
あとは手段というふうに御指摘がございましたけども,財務戦略と人事の戦略という形で明確にしていただいたことも大変心強く思いました。
一つは財務に関してですけれども,国立大学法人におきましても基金を設定する,そして金利が生じた世界において資産運用について力を入れるといったように,運営費交付金ですとか,施設整備費補助金といったようなものの在り方を論ずるだけじゃなくして,そういった財務戦略をそれぞれの国立大学法人,または総体としての国立大学法人において取っていくべきだということがありました。
これは国立大学法人のみならず,公立も私立もまさに言えることでありまして,今この時代は、もっともっと社会のリソースを高等教育機関(大学)という組織の中に取り込むということが必要なことで,それを文科省が先導していただくのですけれども,閉じた議論や取組にならないで,むしろ開かれた取組になっていくように,社会のリソースをもっと大学という組織の中に取り入れてくる努力や工夫というふうに,財務戦略についても読み取りたいなと思いました。
最後に,3つ目として人事戦略が述べられておりました。国立大学法人組織の運営を,また改革を担う人材につきまして,これをどのように確保し,また今後,育成していくかということであります。先ほど財務についても申し上げましたけれども,社会のリソースとかニーズを取り入れる,法人という組織には、市場や社会のニーズを取り入れるという機能があるものですから,法人化したということの意味は,そういう社会のニーズをそれぞれ組織の中に取り込む,そして組織の中で改革をしていくという仕組みでありますから,言わば社会における資源の配分の機能が国立大学法人の中でもきちっと資源が配分されていくようなマネジメントが必要だと思います。これを先導する人材というものがこれまでの人材育成だけで足りるかどうかという意味では,人事戦略で述べられたところをもっともっと深掘りしていただいて,今後,議論が発展していけばいいなと思いました。
今日は総論ということですので,連携ということ,また財務戦略ということ,人事戦略というこの3つにつきまして大変心強く拝読をいたしましたので,これらの深掘りを今後お願いしたいということが私の意見です。
以上です。
【相澤座長】 ありがとうございました。
それでは森田座長代理,よろしくお願いいたします。
【森田座長代理】 ありがとうございます。すでに何回か申し上げておりますけれども,私の役割は,国立大学の法人化のときの制度づくりに関わったものですので,そのときの視点から,国立大学法人はどうあるべきか,どのように現状がなっていて,機能強化をどう考えたらいいのかということについて発言をすることと認識しております。
今日もそういう立場でお話をさせていただきたいと思いますけれども,これまで11回にわたって議論してまいりまして,法人化をしたときの思い,明確に文章化されていたかどうかは知りませんが,基本的な考え方として存在していたようなもの,それがどれくらい反映されているかということを,私も何回か申し上げてまいりました。そして,それはかなりの部分につきまして,特に1,2の部分にはドラフトの段階から考え方が相当取り入れられていると思います。
さらに3の支援の部分が具体的な文章として書かれたわけですけれども,最終的に申し上げますと,かなりいろいろな皆さんの御意見を反映した形で,どなたかおっしゃいましたけれども,大変練られた文章になっていると思いますので,あとは今日の御意見を踏まえて,座長と事務局の間で調整をしていただいて,文書を調えていただくということで,特にこの方針そのものについては,ここをこう変えるべきだ等の意見を申し上げるつもりはございません。ただ,意見というか,思いはありますので,議事録に残すということで述べさせていただきたいと思います。
私自身が非常に重要だと思いましたのは,国立大学を法人化するときもそうですけれども,大学がどのような価値を社会に対して生み出すかということ,これをメッセージとしてはっきり出す。価値を創出するためにはそれなりのコストがかかるわけであって,それは次に,誰が負担をするかということだと思いますが,十分に社会にとってプラスになるような価値を生み出すならば,必ずお金を出してくれる人はいるはずですし,社会としてそうすべきであるという考え方,これがベースにあるべきと思っております。
その意味でいいますと,2か所,17ページと20ページだったと思いますが,教育と研究の部分について,適切な価値付けと便益を受ける主体間での負担・投資の考え方が明確に示されたということは,大変重要なことではないかと思います。とかくこれまではミッションが何であって,何のためにお金を出すか,大学の維持のためにしても,それによってどういう価値を生み出すかということについての詰めた議論というのは,それほどなかったと思っております。
そういう意味でいいますと,ここで明確にするということで,政府全体として,あるいは民間も含めてですけれども,資金を投資するといった動きが出てくるという,そのきっかけになることを期待しているところです。
ただ,3の部分についてあえて申し上げますと,どういう価値を生み出すかという意味で,投資に対するリターンという考え方がもう少しクリアに取り入れられてもいいのではなかったかと,読んでいて感じたところです。
実際の経費の問題といたしましては,運営費交付金という制度の在り方もそうですけれども,基本的に自律した形での現在の大学でやっている研究・教育のために,学生からの負担だけでは成り立たないことは言うまでもないわけです。そのときに大学という組織体,経営体をどういう形で維持していくかというときに,一つは,法人化のとき考えたのは基盤的な機能をどうするかということで,それに対して運営費交付金というものを支給する。それ以外の活動に関しては,競争的資金ないし寄附ないし自らの努力によって,これは先ほど申し上げた言い方をしますと,どういう価値を作り出すかということに対して投資を呼び込むという発想で捉えればいいのではないかと思います。それに大学は努力してください。そして,それは大学において,ある意味で競争してください,それが全体としての教育・研究,高等教育機関としての価値を高めることになるという考え方があったと思っております。
固定的な部分,先ほど人件費が,という話がありましたし,最初の運営費交付金の配分を決めるときの議論の在り方というのは,いろいろと問題はなかったとは申し上げませんが,明確な基準で,予測可能な形で基盤的な経費がどうなるか、そしてベースの部分では,施設分の減価償却も含めてですけれども,長期的にどういう形で大学の基幹的な部分を維持できるか。そういう意味で,長期的な財政計画のようなものをベースに置いて,それプラス,さらにいろいろな意味での収益があった場合にはそれをどう展開していくか。さらにそれを増やしていくためには,どういう形で大学の中でより高い価値の創出を図っていくか。そのような形での経営姿勢というものをきちんと持っていただくことが重要ではないかと思います。
最終的な文章について何も言わないとは申しましたけれども,少しそういう点を反映していただけると,私としては大変うれしく思います。
そしてまた,大学のミッションをはっきりさせたという点について,私も途中まで気がつかなかったのですが,これがこれまで必ずしも明確でなかったということです。これがはっきりすることによって,そこからどういう価値をつくり出したらいいかということについて,大学という組織について皆さんが共有できる,今流に言いますとMVV,ミッション・ビジョン・バリューというのがはやっておりますけれども,そういう意味での価値観の共有といいましょうか,ミッションの共有が可能になるというのは大変すばらしいことではないかと思っております。それをベースにして,大学全体として,先生方も含めて,研究・教育もそうですけれども,どういう付加価値をつけていくかということを考えていただくという仕組みになっていくのが望ましいと思っております。
ただ,ちょっとここで余計なことというか,質問なのですが,この会議を傍聴されている方か,議事録を読まれた方から,国立大学の検討の場ですから,国立大学のミッションは分かったのだが,私立大学のミッションはどうなのだ,どう違うのかよく分からないと言われました。言われてみればそうかなと思います。
長くなりましたが,最後に一つだけ申し上げておきたいのは,ここでも触れられておりますけれども,大学の附属病院の在り方については,組織形態も含めてですけれども,もう一歩踏み込んだ形での改革が必要ではないかと思います。これは財政面,財務面を考えた場合には,独立した法人で一つの経営体にするのが一番分かりやすくて,明確であると思います。
今の形というのは,いずれにしましても,永井先生が大変努力されているところですけれども,やや中途半端といいましょうか,うまく落ち着かないところがあると思います。正確に確認はしておりませんけれども,先日聞いたところでは,地域医療の中核的な役割を果たしている地域医療連携推進法人のメンバーになるには病院自体が法人格を持ってなければ駄目だとか。そうなんでしょうか。にもかかわらず現在のままでは,法人格は大学が持っているものですから,なかなかうまくいかない。
そのために地域医療に,先ほどの人材の行き来も含めてですけれども,いろいろな意味で貢献し,中核的な役割を果たさなければならない,果たすべき国立大学の附属病院なのですが,制度上それが制約になっているということです。そういう問題があまり表に出てきちんと議論されたというのを,私は耳にしたことがないものですから,そういう意味での制度の在り方も検討していく必要があるのではないかと思います。
最後の点は余計なことかもしれませんが,この機会にお話しさせていただきました。ありがとうございました。
【相澤座長】 ありがとうございました。
2度目の発言でも結構でございますから。樫谷委員。
【樫谷委員】 訂正というか,追加の発言をさせていただきたいと思います。
一番最初に機能強化,つまりミッションを達成するための機能強化をすると。そのために全てを見直すということを言いました。そのとおりなんですが,これ全てを見直して全てを同時にやると,非常にたくさん多角的に書いてありますので,企業もそうですけど,うまくいかないんですよね。それで順序立てが必要です。順序立てをちゃんとつくって,中期計画に落としてもらいたい。それを本当に実行しているかどうか,これを評価していただく。この仕組みがないと,結果的に本当に機能強化に向かって着実に進んでいただいているかどうか分からないので,機能強化と評価を結びつけるような,今そうなっているんですかね,項目をつくっていただくと非常にいいかなと思っております。
以上です。
【相澤座長】 ただいまの点はこの前も御指摘をいただいた点ですけれども,評価というところについては今回の最終まとめの中にも入れてございます。それから,服部委員が理事長をされている評価機構で国立大学法人の評価を担当しておられまして,システムとしてはきちっと,その評価の在り方について,先ほど服部委員から御発言のように,その在り方自体も見直しをされているということでございます。ただ,これについても常に改善をしていくという状況にあるということで御理解願えればと思います。
それでは,皆様から御発言いただきました。最後に私,座長として,最終案をまとめるに当たってコメントをさせていただきます。私が申し上げるのは,最終案をつくり上げてまいりましたので,基本的にはこのフレームワークを説明することになるので,私の特段の思いを込めた部分についても触れさせていただきます。
まず,国立大学等の法人化というのは,明治期の大学の創設,それから昭和期の学制改革に次ぐ第3の改革でありました。しかし,この20年間,我が国は低成長の期間とも重なっておりまして,国立大学法人等においても,コストカットの経営にならざるを得なかった。その結果,諸外国との研究力の格差,あるいは財務基盤の格差,こういったことを招いてしまった。
国立大学法人等は我が国の高等教育,学術及び科学技術・イノベーションを牽引するとともに,世界の知に貢献してきた機関であるわけであります。ところが,国内外の社会の大きな転換期に直面しまして,大学の在り方そのものが根底から揺さぶられております。このことに対する危機感を我々は共有しなければならないという状況にあります。
そこで,国立大学法人化が第3の改革であったならば,今この改革の方針に盛り込まれた改革というのは,第4の改革と呼ばれるべきものであります。その第4の改革はこうした危機感を共有しつつ,今こそ「知・人への投資」の好循環を生み出すべく,国を挙げて国立大学法人等の機能強化に立ち向かうべきものであります。
そこで,まずに重要なのは,改革の方針における国の立ち位置であるますが,先ほど来いろいろと御意見出てまいりましたけれども,国立大学法人等の全体としてのミッションを明示いたしました。1つは不確実な社会を切り開く世界最高水準の研究の展開とイノベーションの牽引,2つ目が変化する社会ニーズに応じた高度専門人材の育成,3つ目が地域社会を先導する人材の育成と地域産業の振興であります。これが国立大学法人等全体のミッションです。
そこで,各法人等はこのミッションを踏まえた上で,教育・研究の機能強化に向けたそれぞれ独自の取組を進めることを求めているわけであります。ここで非常に重要なのは,各法人の自主的な改革推進です。それを国は支援する。こういう位置づけであります。
大学を取り巻く環境は,20年前と全く異なっています。今後さらに激しく変貌するものと想定されます。こうした劇的な変化に対応するためには,自らの組織を見直すとともに,統合再編,それから極めて多様な連携,こういったものを視野に入れて大胆な機能強化に取り組むことが,経営体としてのガバナンスを抜本的に強化するとともに,極めて重要になります。
こういった各法人等で進む改革は,知・人への好循環を生み出していくものであり,人材育成,研究力,イノベーション力の強化といった国力の根幹の抜本的な強化につながります。今こそ,国を挙げて,各法人の進める改革を支援することが強く求められています。
ここでこの改革の方針では,国を挙げての支援について,2つの重要なことを指摘しております。
一つは,国立大学運営費交付金及び施設整備補助金等に代表される基盤的な資金であります。これにつきましてはこれが伸び悩みというところもありまして,そのために極めて危機的な状況が来ております。そこに加えて,物価高とか人件費の高騰とか,こういった緊急的な対応が迫られることがありますので,運営費交付金を確保していただくときに,その部分に関しては,緊急的な対応だということでの特別的配慮をしていただくことが極めて重要で,かつ緊急に求められることではないか。ただし,それは緊急時の対応であって,今日,上山委員からもありましたように,運営費交付金そのものの見直し,これも重要な課題であろうということでありますので,各大学法人が改革を進めることをきちっと見据えつつ,運営費交付金の見直しをぜひ検討していただければと思います。
それから,先ほど申しましたように,第4の改革は各大学法人,それから大学法人全体,こういったところが全体的に進めることでありまして,しかも国力の根幹を握っているところに大きな改革をしていくものであり,これは文部科学省だけではなく,できるだけ多くの省庁,それから関連するステークホルダーをでき得る限り巻き込んだ非常に多面的な,これは方針の中には政府を挙げてというふうにしていますが,これはむしろ国を挙げて支援をしていく策をつくり出していくということが極めて重要なことと思います。そのためには,今回この方針の中に文部科学省自らが他の省庁とも連携していくんだということを明言していることは,極めて重要なメッセージであろうかと思います。
こういうことが最終案にまとまりましたので,これを実行できるような形で,文部科学省におかれては今後の推進を責任を持って進めていただくようにお願いしまして,私の全体のコメントとさせていただきます。
それでは,まだ何か御発言がおありのことがありましたらば。よろしいでしょうか。
【樫谷委員】 例えば実行を着実にやっていただくための自主性ということをおっしゃいましたけど,本当に自主性だけでできるのかと。自主的にやっていただくのが一番ベストだと思いますし,民間でも自主的にやっているところが結構あるんですけど,本当に自主的にできるのかと。民間で私は企業再生をずっとやっておりまして,なかなか自主的にできないので,いろんな圧力の中で,嫌々と言ったらおかしいですけれども,納得をしてということでしょうかね,変わっていく。つまり,変わらざるを得ないというのが実態なので,全ての国立大学がそういうふうに本当にこれを読んで進んでいただけるのかどうなのか。それはやるためには,その件についてもシビアな評価をしていただかないといけないかなと。
シビアというのはコストカットという意味じゃなくて,方向性についてしっかり考えて着実に実行している,成果をちゃんと上げているという評価がないと,また状況によれば学長の交代とか,そこまで勧告できるぐらいな制度になっていないと,すみません,私ずっと企業再生なんかやっていて,どうしても懐疑的に見るんですけど,何となく安全圏にいたとしたら,そこまでやらなくても,あと10年間,俺はここにいればいいんだみたいな発想をされても困りますので,そういう意識改革もしっかりしていただくということができているかどうかの,今は評価という仕組みしかないので,そこをしっかりさらに,今,服部先生にいろいろ検討いただいているのは承知をしているんですけど,さらに文科省も強い決意で見守っていただくことが大事かなと思いました。
以上です。
【相澤座長】 ありがとうございます。ただいまの点は,国立大学法人制度の中にPDCAという形できちっと制度化されております。
それで,本日おまとめいただきました改革の方針は,次期の中期目標期間における各大学へのガイドラインというか,基本方針を示すものに反映されることになっております。したがって,それに基づいて各大学法人は,文部科学省とのやり取りで中期目標を設定したり,年度計画を設定したりということが進みます。そしてその結果,ある年度を経たところで評価が行われるということで,制度的にきちっとしておりますので,その中でただいま御心配いただいた点は対応していかれるという状況であります。むしろ文科省から御説明いただいたほうがいいのかと思います。
【村尾国立大学法人支援課長】 恐縮でございます。本日の資料の参考資料1ですけれども,今後の検討スケジュールについて配付をさせていただいております。今回,検討会でおまとめいただきました後,これを踏まえて文部科学省の名前において基本方針というものを策定いたしまして,2つありますけれども,運営費交付金のルール,あるいは組織業務の見直し,それから中期目標・中期計画,そういった辺りについてそれぞれの会議体を設けまして,さらに深掘りをしていきたいと思っております。そして,文部科学省としての方向性についてしっかりと各大学と対話をしながら,こちらの新しくつくる会議体ともキャッチボールをしていき,次の期間の中期目標・中期計画につなげていきたいと考えております。
ありがとうございます。
【相澤座長】 そのほかの御発言いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
各委員から改革の方針(案)について貴重な御意見をいただきました。それで,文言の修正等が指摘されたところについては,これは座長である私に御一任いただければと思います。そして,それを含めて,本日の改革の方針(案)を御承認いただけるかどうかをお伺いいたします。いかがでしょうか。御承認いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【相澤座長】 ありがとうございました。それでは,本日の改革の方針(案)の(案)を取らせていただきます。そして,先ほど申し上げましたように,文言の修正については直ちに修正を施して,その完成形を皆様にも開示させていただきます。
それでは,ただいま御承認をいただきましたので,本日の検討会の重要な任務であります最終案の策定をこれで終了ということにさせていただきます。
それでは,まず今後の進め方について,事務局から説明いただいた後に終了ということにさせていただきましょうか。どうでしょうか。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 失礼いたします。座長と御相談をさせていただき,修文したものを各委員に共有させていただいた上で,文部科学省のホームページに改革の方針を公表させていただきたいと考えてございます。
事務局からは以上です。
【相澤座長】 それはそんなに時間かかりませんよね。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】 速やかにさせていただきたいと思っております。
【相澤座長】 それでは,本日はこれにて閉会とさせていただきます。
昨年来,12回の検討会を開催し,長期間にわたる議論を積み重ね,改革の方針をまとめてまいりました。委員の皆様のご尽力に心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
―― 了 ――
高等教育局国立大学法人支援課