令和7年7月1日(火曜日)15時00分~17時00分
ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴はWebのみ
国立大学法人等の機能強化に向けた検討会(第11回)
令和7年7月1日
【相澤座長】それでは,定刻となりましたので,ただいまより第11回国立大学法人等の機能強化に向けた検討会を開催いたします。
本日の検討会も対面とオンラインの併用によって公開しております。御了承ください。
それでは,本日の議事等について事務局からまず説明していただきます。
【髙橋国立大学法人支援課課長補佐】本日の議事及び配付資料につきましては,次第のとおりでございます。過不足等ございましたら,事務局までお申しつけください。
以上です。
【相澤座長】では,議事に入ります。前回会議では事務局で議論を整理してもらい,今後,改革の方針の形にしていくに当たって具体化すべき点について委員間で議論をいただきました。
本日は,まず,国立大学法人等に係る他の有識者会合でどんな状況になっているのかということをまず報告いただくことになっております。その1つは,今後の医学教育の在り方に関する検討会,もう一つは,今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議です。以上の2つについて文部科学省から説明いただきたいと思います。
【堀岡医学教育課企画官】それでは,医学教育課の企画官をしております堀岡と申します。今後の医学教育の在り方に関する検討会,実はそちらにいらっしゃる永井座長にまとめていただきましたので,私が御報告するのも少し恐縮ですけれども,今般,取りまとめというものを繰り返しやっておりまして,第3次中間取りまとめにも出しましたので,ここで御報告させていただきます。
まず最初に,大学病院というものの位置づけと役割について資料1-1で説明させていただければと思っております。法令上の位置づけは,大きく,文科省の大学設置基準第39条に基づく医師及び歯科医師の養成を行う大学医学部及び歯学部の教育・研究に必要な施設として設置されている病院と規定されており,一方で,厚労省の所管の医療法の中で,高度な医療の提供,高度な医療技術の開発・評価,研修の実践というものに「特定機能病院」というものがあって,実質,その特定機能病院にほぼ全ての大学が承認されているということで法令上の位置づけがなされております。
なので,通常の病院と大きく異なるところは,「大学病院の使命・役割」というところに書いてありますけれども,診療というのが通常の病院の大きな役割ですが,大学病院は教育,研究,診療,そして地域貢献というようなものを位置づけられているといったところでございます。
次のページでございますけれども,日本の医療提供体制の中で大学病院が,どういう現状にあるのかということを簡単にまとめております。
まず, 4つの丸の円グラフのところでございますけれども,左上の病院数8,000病院というのが日本全体の病院でございますが,大学病院,私立の分院まで含めても,数としては僅か177病院であります。
一方で,各1病院ごとの病床数が多いものですから,右上のとおり,6.7%ぐらいの病床数を占めておりますけれども,病床数としては僅か6.7%であります。
一方で,医師数は20.8%ということで,日本全体のかなりの多くの医師数が大学病院の直接の中で働いておりまして,地域貢献という形の医師もこの外に何万人もおるので,かなり大学病院としては存在感は医師の数としては大きいものとなります。
ナースも,右のとおり,病床数は6.7%ですが,12.6%のナースが大学病院で働いております。
実際の診療機能であります。3ページでございますけれども,主なもののみ説明しますと,例えば,左上の脳死臓器移植などは80%が大学病院でなされておりますし,一番右の下のところでございますけど,難病の治療を中心的に行う難病医療拠点病院というものも大体半分ぐらいが大学病院ということで,非常に高度な診療というものを行っているということは間違いないかと思います。
右の上は棒グラフは臓器移植の件数で,ずっと増加していて,救急救命患者なども,非常に多くの患者を受け入れるようになってきております。
一方で,ここからが厳しいところになりますけれども,4ページでございますが,これは「Nature」に載った「JAPANESE RESEARCH IS NO LONGER WORLD CLASS」ということを書かれておりますけれども,非常に研究,これは医学だけではございませんけれども,厳しい,苦戦しておりまして,特にTop10%論文というものだけ見ると,これは御覧のとおり,20年間で6%から2%ということで,「NO LONGER WORLD CLASS」というようなことを書かれてしまっております。
特にこの黄色の部分ですけれども,医学分野で若い研究者が診療に多くのエフォートを割いているという実態があって,そこが非常に苦しいというところが「Nature」からも指摘されております。
その実態でございますけれども,5ページでございますが,診療の実態として,まず,診療報酬が中心になる業務損益のことなどをここでまとめておりますが,これは全国立大学法人を束ねた計算になります。青が,いわゆる基本的には多くは診療報酬と運営費交付金ですけれども,の収入,オレンジが支出であります。平成16年に国立大学,法人化されたところですけれども,平成16年からずっと診療を拡大してきておりまして,これグラフにございませんけど,平成16年当時は大体診療報酬収入9,000億ぐらいでございました。今や1兆6,000億という収入になっている一方で,オレンジの支出も猛烈に増加しておりまして,増収減益というものが顕著になっております。
一例を申しますと,例えば令和元年のところだと,1兆4,000億の収入がある中で利益が200億しかなくて,非常に増収減益していると。その後,コロナで少し浮いたものの,昨今の物価高などの影響をものすごく受けていて,昨年,初めて全国立大学を束ねた形でも赤字になりました。今年度も,もう今3月で,もうすぐ集計終わりますけれども,これの3倍近くの赤字になることが見込まれております。
こういった形で診療増加してきた結果何が起きたかというのが次のページでございますけれども,医学は,普通の大学,学部と違って,診療をやりながら研究・教育するということも必要不可欠ではございますが,診療というものがいかにどれぐらい使われているかということであります。これ助教のところを赤くしておりますけれども,緑が診療,薄い青が研究でございまして,研究や教育がそれぞれ10%程度しか大学病院の中にいる間で時間を使えていないというのがこれで明らかになっております。
次のスライドですけれども,これが問題意識となりますけれども,さらに今,医師は働き方改革ということがかなり指摘されております。特に大学病院の医師が労働時間が普通の病院と比べて大幅に長いということは繰り返しデータでも出ておりまして,働き方改革というものが今猛烈に進められております。
この棒グラフで分かりやすいですけれども,今非常に診療時間が多い中で地域の様々な診療を担っていますので,働き方改革で労働時間全体が短くなっていくと何が起こるかというと,恐らく診療の時間はこのまま放置すればあまり減らないだろうと。そうするとますます教育・研究時間が減っていって,教育・研究にさらなるダメージが出てしまうのではないかということで,これ全く矛盾しておりますけれども,何とか労働時間を短くさせつつ,診療を効率化して,教育や研究も効率化して,たとえ同じ時間が取れなくても,きちんとした成果を出せるように,業務の効率化を行って,大学病院改革が目指す形というふうにしていかなければならないという問題意識で始まっております。
その結果,次のページでございますけれども,今後の医学教育の在り方に関する検討会というものを令和5年に永井良三先生,座長で始めさせていただきまして,ずっと議論し続けております。3次にわたる中間取りまとめを公表しておりまして,内容重複する部分もあるのですけれども,今,どのような内容になっているかというものを次から御紹介したいと思います。
まず,全ての大学病院に,9ページでございますけれども,大学病院改革プランというものを作成していただいております。これ随時,変更していただくものでありますけれども,まずは6年間にわたって取り組む内容を運営改革,教育・研究改革,診療改革,財務・運営改革という4つのフェーズで考えていただくというきっかけにしていただくということで,各大学に,作成させていただいております。
これに基づいて,文部科学省で全81大学病院全てと院長,幹部の方々と意見交換しながら大学病院改革プランを進めて,教育・研究のエフォートの確保などを進めているところであります。
その手段というか,その中身でございますけども,次のページ,第3次取りまとめでまとめております,10ページ以降でございますけれども,まず,医学部,大学病院をめぐる状況ということで,大学病院は,物価や光熱費等の高騰,人件費の賃金増加等で厳しい経営状況にあり,このままでは経営が破綻しかねない危機的な状況にあるということを文科省としても提起しております。
また,大学病院は教育・研究機関としての側面を持つとともに,高度な医療技術を身につけることができるという環境であって,働き方改革の推進だけでなく処遇の改善も行って,この環境をさらに発展させていかなければならないということを書かせていただいております。
そのために,主なものを御説明しますけれども,例えば下,「運営・財務・経営改革」ということで,所在する地域の医療需要を踏まえて,医療資源の再編とか見直しを含む事業費の適正化を推進したり,少し細かな話ですけれども,大学病院そのものの貸借対照表をつくって,大学病院の資産状況などを見える化したり,国立大学運営費交付金や私立大学経常費補助金,また診療報酬など多様な財源確保を進めるというようなことを書かせていただいております。
また,次のページでございますけれども,例えば地域医療への貢献というところでありますけれども,厚生労働省のほうでも,大学病院が地域医療構想という地域の医療構想を検討する中で重視されている議論が進んでおりますけれども,大学病院が地域医療の最後の砦として高度に専門的な診療も行ってきたところ,地域医療への貢献も含めた自主的な取組というものが大学病院の評価とするんだということを議論が行われております。
その中で,この検討会でも大学病院が有している機能を把握して,実際に行っている診療や地域医療への貢献などについて制度上どのように位置づけるべきか検討が必要ということでまとめさせていただいております。
検討会の本文のほうではもう少し細かなことも書かせていただいておりまして,地域ごとの地域医療構想の実現に向けて,今までのように病院の1つとして参画するのではなくて,やはり大学病院が積極的な参画をすることとか,病院長や学長など病院運営に責任を持つ者の下で構成員が組織的かつ主体的に地域医療に貢献するということを明示させていただいております。
研究改革でございますけれども,研究改革,先ほどから御説明していますとおり,医学は医師としての側面と研究者としての側面,両方あるものですから,例えば2つ目のポツですけれども,医学系研究者は研究時間を確保するということのために,医学部とか大学病院の組織としての取組を推進するというようなことで研究エフォートを維持したり,あとは,専門医という医師の資格があるんですけれども,専門医を取りながら同時に博士課程なども両立できるようなコースを専門医制度の中でつくったりして,できる限り研究を効率よく行えるというような改革も目指しております。
また教育改革においても,また同じでございますけれども,医師としての側面,研究者としての側面,両方をできる限り両立させるために,学部生の中でも卒前卒後のシームレスな医師養成を行って,診療参加型臨床実習の中で,今,できるだけ医学生が医師に近いことをできるようにするというようなことなどを推進して,教育改革,研究改革を進めていくというようなことを取りまとめさせていただいております。
このような取りまとめに基づいて,文科省も,また厚生労働省も制度の変更や予算の獲得などをしていきたいと取りまとめております。
以上でございます。
【相澤座長】ありがとうございました。この検討会としては,大学の改革の方針の中に既にその内容を反映して取り込んでいる部分があります。それを踏まえた上で,そして同時にこの検討会の委員でもある,永井委員が加わっておられます。ただいまの御報告のあった検討会の座長という立場を踏まえた上で,むしろこの検討会の中にどういうことを反映したらよろしいのかというような観点からコメントをいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【永井委員】検討会の座長を務めました自治医科大学の永井でございます。大学病院に係る問題というのは,いろいろな構造的な問題があり、また歴史的な課題が反映されています。例えば,大学病院は教育・研究機関であるという位置づけで,実践的な臨床や、開発研究,統計的な研究はややもすると低く見られてきたところがあります。これは,大学の学術が,いわゆるアリストテレスのいう哲学の知を尊重して,実践の知を歴史的に低く見るところがあるのではないかいう感じがいたします。そういう実践的な知を国立大学法人等の機能強化に向けた検討会としてどう位置づけるかということも非常に大事な点ではないかと思います。
実践の知は社会との関係の中で近年あらゆる分野で重要です。その意味でも,臨床医学の位置づけをもう一度考え直すことが大事だと思います。
高度医療も始まりは研究の一環でした。次第に体系化されて,90年代から厚生労働省に申請して特定機能病院として認定されてきました。しかし,大学病院における評価はやはり論文業績が中心だったということは否めないと思います。
そこへ次々と医療が高度化する,救急医療,重症医療,医療安全,最近は経営の問題,さらに地域医療への貢献という様々なミッションを担うようになってきました。中には実験よりも臨床を優先する人材も増えています。そういう人たちの個人的努力で大学病院がなんとか機能してきました。 そういうことであれば,基礎研究をする人だけでなく、実践的な研究や医療を行う人の立場を守ってあげないといけない。
それからもう一つ、多くの機能の割には大学病院のポストが少ない。そのため,外の病院で生活費を得るということが日常的に行われています。その世話をするのが医局です。これは一種の同窓会で、OBが医局費という会費を払うと参加できます。どの職場にも親睦団体みたいなのがあると思いますが,その団体がある意味,外病院との人事を差配してきました。これは江戸時代以来のシステムでして,大学病院の組織が弱いところを医局がカバーしています。
特に現在問題になっているのは,医師派遣です。医師が病院を移動するのは自由意思であれば,職業安定法には違反しない。しかし中には医局長のオファーを拒否すると手術できなくなるなどの問題も聞きます。そうした外病院への医師紹介について,今,厚生労働省のほうで大学病院から一定数の医師を派遣していることを特定機能病院の認定要件にしようという議論が始まっています。
しかしそうした医師派遣が必ずしも法的にきちんと位置づけられているわけではありませんし,何よりも大学が派遣しているわけでもない。医局という任意団体がしています。そういう仕組みを法制度に組み込むことには問題があります。これもまさに大学病院の位置づけ,ミッションということと非常に関係があります。
多くの場合,外の病院に出るときには,教員としてのキャリアを中断し,辞職して外で勤務します。しかし私どもの自治医科大学は理事長が外の病院と契約して出向の形にしており、教員としてのキャリアを中断しないようにしています。ただ,それは全国的には例外的です。外の病院と連携する場合の医師のキャリアや身分のあり方を、国立大学病院の在り方の中でもぜひ御検討いただきたいと思います。
それから大学病院経営の問題があります。これも教育・研究の延長で診療したり大学病院を経営すると、どうしても過剰投資になり、赤字が膨らみます。例えば、現在、1つの薬剤の購入が数百万円から1億円のものもあります。しかし差益はほとんどないので、こうした治療が増えれば経営は圧壊します。経営に対する責任を大学病院としてはどう位置づけるのかという問題です。
そういう経営のための教育を受けてない人たちが教育・研究の延長として大学病院を経営すれば赤字になるの当然です。何よりもまず,財務諸表を透明化し病院経営の実態を把握することが重要ですし、なによりも身の丈に応じた経営する体制,高度医療を大学病院の使命として位置づける必要があります。
このように,高度医療,地域医療への貢献,経営責任の体制などを、大学運営の中でしっかり考え、位置づける必要があります。いわんや特定機能病院の施設認定の要件になる件は,厚労省と協議して定義や制度を明確にする必要があります。そうした体制がバランスよく整備されると研究も発展します。臨床医学の研究も落ちているわけではなくて,恐らく日本の学術の中では最も伸びている領域です。伸び方が海外の国よりも少ないという問題です。
臨床医学に代表される実践的の学術的な位置づけが重くなってきている中で,まだ体制が構築できていません。その間に外国の臨床医学がどんどん伸びています。この状況をどう考えるかです。これはまた医学だけではなく、他の領域でも共通の課題があると思います。何よりも実践的な知というものを学術としてどう位置づけるかという課題をこの検討会で御議論いただければと思います。
以上です。
【相澤座長】ありがとうございました。
それでは,そのほかの委員から特段のコメント,御質問等がありましたら,よろしくお願いいたします。発言の方はいつものように名札を立てていただきたいと思います。
いかがでしょうか。
それでは,特段ございませんようですので,この件につきましてはここで一応終了とさせていただきます。そして次の議題へ移ります。もう1件,検討会の状況ですけれども,今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議であります。これについても文部科学省から10分程度の説明をお願いいたします。
【廣田文教施設企画・防災部計画課長】失礼いたします。文教施設企画・防災部の計画課長でございます。
私のほうからは資料2に基づきまして,第6次の国立大学法人等施設整備5か年計画の検討状況についての御報告をさせていただきたいと思います。
まず,資料の説明に当たりまして,現在,この検討会におきまして,国立大学法人等の機能強化の議論が行われておりますけれども,国立大学法人等が持っている機能を最大化していこうと思ったときには,教職員や学生などがより一層創造性を発揮できるような空間あるいは場を整えていくことも重要となってまいります。創造性豊かな人材養成,あるいは独創的・先端的な学術研究,あるいは社会貢献,様々な国立大学法人等のミッションを果たすための基盤として,施設,キャンパスを捉えていくことが重要であると感じております。
このような視点から,これまでも平成13年度から5次にわたりまして,科学技術・イノベーション基本計画を受けて,国立大学法人等施設整備5か年計画というものをつくり,整備充実を図ってきております。現在,第5次の5か年計画期間中でございまして,現在,第6次に向けた検討を進めているという状況でございます。有識者会議の座長は大阪大学の西尾前総長でございまして,この検討会には,国立大学法人あるいは共同利用機関法人の代表の方々,あるいは国立高等専門学校,あるいは産業界,経済界,地方自治体,様々なところの代表者が集まった会となっております。
ここで検討している内容の中で中間まとめがまとまっておりますので,そのことについて御報告申し上げたいと思います。
1枚目が中間まとめの概要,2枚目,3枚目が要旨となっております。その後事例などがありますけれども,少しちょっと行ったり来たりしながら説明を進めさせていただきたいと思います。
概要資料の上部に記載しておりますけれども,施設の現状でございますけれども,老朽化の進行が著しい状況でございます。昭和40年,50年代に整備した膨大な施設,これは更新時期を現在迎えておりまして,安全面でも,機能面でも,そして経営面でも非常に大きな課題を抱えているというのが現状でございます。
一方,右側に過去の災害発生時における効果事例とありますけれども,過去,様々な災害が発生した際には,国立大学法人等も地域の応急的な避難所として,避難者あるいは帰宅困難者を受け入れ貢献してきたという状況がございます。
こうした状況を踏まえて,次期計画において2つのコンセプトをお示しをしております。本ページの真ん中でございますけれども,1つ目が,地域とともに発展するキャンパス全体のイノベーション・コモンズ(共創拠点)の実装化という視点でございます。これ,現行の5か年計画から示している概念でありまして,知と人材の集積拠点である国立大学法人等において,その特性を最大限発揮をし,社会の様々なステークホルダーの皆さんが集い,そしてそこから新たな価値を見いだすと。これを共創の拠点と呼んでおりますけれども,共創拠点として発展をさせていくということが1つ目のコンセプトであります。
地方創生2.0などの政策の動向等を踏まえて,老朽化対策をしっかり行いながらも,地域の課題の解決,あるいは新産業の創出など,そうしたものにつなげていくような共創拠点を広げていく。これがこのコンセプトでございます。国立大学がそのミッションを果たして,特色,魅力を発揮していくためにも重要な視点であろうと感じております。
右側にございますのが,地域の防災拠点の実現というコンセプトであります。国土強靱化の文脈で,次期実施中期計画が閣議決定されておりますけれども,災害発生時においてもしっかりと学生,教職員あるいは地域住民等の安全を確保していくということが重要ですし,また,教育・研究活動を継続するための耐災害性を強化をしていくこと,そして避難所としての防災機能を強化していく,そういったことが必要でございまして,地域の防災拠点を実現していく。これを2つ目のコンセプトとして掲げている状況でございます。
資料4ページに少し飛びまして,共創拠点の事例を2つほど御紹介をさせていただきたいと思います。こちらのスライドになります。いずれも,地域の産業界,あるいは地方公共団体等と連携をして整備をしていった事例でございます。
1つ,千葉大学の墨田キャンパスの事例でございますけれども,墨田区は大小様々な製造業の工場が集積するようなものづくりの町でございます。旧すみだ中小企業センター,これを改修いたしまして,墨田サテライトキャンパスとして再生したものでございます。本施設を活用して,地元の企業と学生とが協働して研究をしていく,そして新たなものを開発をしていくといった形で,地域の産業の振興あるいは活性化の拠点として活用されているような事例でございます。
右側の九州工業大学の事例でありますけれども,これ,もともと体育館であった施設をリノベーションした事例であります。産学官のコワーキングスペース,「GYMLABO」として再整備を図ったものであります。
体育館の中央には,異業種間,あるいは異分野間の交流,共創活動に活用可能な空間を設けるなど,そこでピッチコンテストをしたりとか,アントレプレナーシップの教育の会場として利用するなど,スタートアップ創出の共創拠点としても活用されているという状況がございます。
この機能強化の検討会の柱の中にも教育の質の向上に向けた取組ということが書かれておりますけれども,グローバル化,あるいは博士人材育成,リカレント教育,様々な視点の記載がありますけれども,こうしたことを進めていくに当たっても,ソフトとハードと一体的な視点を持って取組を進めていく必要性があるんじゃないかなと思っております。
次の5ページ目になりますが,次,災害発生時における避難所受入れの事例であります。5ページ目,お願いいたします。東京大学,北海道大学,熊本大学と事例を設けておりますけれども,いずれも帰宅困難者あるいは避難者を受け入れているとか,あるいは被災地の医療支援等を行った事例などを掲載をしております。
災害対応拠点として役割を果たしていくためには,まずは安全・安心である必要があって,耐災害性を強化していくということと,また避難所としての防災機能,これを強化していくという視点も織り交ぜながら施設整備を進めていく必要があると考えております。
こうした整備を進めていく必要がある一方で,施設の維持管理,有効活用など施設マネジメントをしっかり進めていく必要がございまして,3ページにお戻りいただければと思います。3ページに中間まとめの要旨の2ページ目の部分が,こちらのページでございます。上段に戦略的マネジメントと書いてございます。国大学法人等が自らの使命に基づきまして,自律的・戦略的な経営を進めていこうと思ったとき,また質の高い教育・研究環境を構築していこうと考えたときには,戦略的な施設マネジメントというのが重要となってまいります。財務戦略の一環としても,こうした視点を持ちながら進めていく必要があるということを列挙させていただいております。
まず1つ目,外部人材等の活用も含めた全学的な施設マネジメントと書いてございますけれども,施設をどう有効活用していくか,整備をしていくかという視点でございますけれども,これには学長等のリーダーシップが必要となってまいりますし,あるいは教員組織との連携によって教職協働の実施体制を構築していくということも重要となると考えております。
2つ目の視点に急速な少子化が進行していく中での施設総量の最適化とございます。人口減少が進んでいる状況の中で,施設全体の総量をどのように考えていくのかということは極めて重要な視点になってまいります。施設のトリアージの実施によって施設総量を抑制していくとか,あるいは利用頻度の低いスペースを転用していく,集約化していくということなども含めてマネジメントをしていくことが重要であります。
また,保有施設を最大限活用した戦略的イノベーション,性能維持改修と書いてありますけれども,戦略的イノベーションというのは,大学がその特性を発揮していくために,安全・安心の確保という観点と同時に施設の機能強化を一体的に図っていく,これを戦略的イノベーションと呼んでおります。あるいは性能維持改修とありますけれども,これは施設の長寿命化のライフサイクルに転換をしていこうと思ったときに,通常の60年建築を100年に延ばしていくためにも,大規模改修をしていく前に,25年未満のタイミングで屋上防水とか,外壁改修とか,そういった手を入れることによって耐用年数を上げていくという考え方が性能維持改修という考え方でありますが,こうしたことを織り交ぜながら保有施設を最大限有効に活用していくという視点が求められると整理されております。
3点目,カーボンニュートラルの実現に向けた中長期的な視点に立った省エネ,創エネ等の取組のさらなる推進という視点。
そして,次の省エネ化により節減できた光熱費,有効活用等により得た収入をしっかりと好循環を図っていくという視点。
その次の視点が,施設整備に係る財源の多様化とありますけれども,地方創生の交付金ですとか,カーボンニュートラルの関連予算など,他府省の予算の活用,自治体,産業界,金融機関など多様な投資の呼び込みということも求められていくものと考えております。
最後の視点として,長期的な視点での施設マネジメントの計画・立案をするための施設系職員の育成・確保,そういったことも含めて戦略的なマネジメントを推進していく必要性が有識者会議において提言されているという状況でございます。
その下でございますが,次期5か年計画において,整備目標というものを検討していくということになっておりまして,現在,速効値といいますか,目安として一旦整理された数字がございます。引き続き有識者会議において精査をしていくことになりますけれども,現状の考え方としては,四角の点線囲いの中にありますけれども,限られた財源の中で,共創拠点の実装化,地域の防災拠点の実現に向けて,キャンパス全体において安全・安心で質の高いという教育研究の確保につなげていく必要があると。
そのために,先ほど申し上げた戦略的イノベーション,性能維持改修を基本として,まずは大量に発生している老朽施設,ここに重点化を置いて整備を進めていくという考え方に基づいて,今後の必要整備量を試算をしたところ,5か年計画期間中に約360万~740万平米の整備が必要であるということ。
そのほかにも,キャンパスのレジリエンス確保という視点ですとか,あるいは新増築整備,附属病院整備も含めて整備目標を示していただいている状況であります。
これらの整備を進めていくに当たっては,国費のみならず,企業や自治体等の支援などの多様な財源の確保も含めて,5年間で約1兆300~1兆4,000億の予算が必要だと試算をされております。
6ページに飛びますけれども,現状の国の施設整備補助金の推移の資料がございます。第5次5か年計画期間中,一番右の赤い矢印の部分でございますけども,当初予算,補正予算合わせて1,000億円程度の予算を確保しておりますけれども,現5か年計画の目標に掲げた整備目標の達成に向けては明らかに不足しているという状況がございます。老朽化等に十分に対応できておらず,足下の物価上昇などにおける影響を受けまして,実質的な目減りが生じているという状況があります。
国としましては,物価上昇の状況を踏まえながら,しっかりと予算を確保しつつ,他府省や民間からの投資拡大を働きかけていきたいと考えておりまして,必要となる整備を着実に進めていきたいと考えております。
この有識者会議は12月頃に最終報告を取りまとめ,今年度中に文部科学大臣決定となる第6次の5か年計画を策定する考えでございます。
共創拠点の推進という視点ですとか,あるいは戦略的な施設マネジメントという視点は,次期5期の中期計画・中期目標期間においてもしっかりと取り組んでいく必要がある視点だと考えております。本検討会の議論の参考としていただければということで御報告をさせていただきました。
以上でございます。
【相澤座長】ありがとうございました。
それでは,ただいまの御説明に御質問等ございますでしょうか。
川合委員,どうぞ。
【川合委員】御説明ありがとうございます。戦略的に整える方向性は大変結構だと思います。一方で,施設費,建築費は毎年8%ぐらいの値上がりしているので,第5次第6期の計画の数値に関しては,これで大丈夫なんでしょうかね。とても追いつかないような気がしますが。
【廣田文教施設企画・防災部計画課長】御質問ありがとうございます。現在,第5次の5か年計画期間中でございますけれども,目の前の物価高騰の状況等も踏まえて,予算要求,そして予算の措置というものをさせてはいただいております。その上がり幅をどのように埋め込むかということでございますが,一方で,そういったことをしていくことによって,全体として整備面積が減っていくという状況が,1件当たりの金額が多くなることによって件数が少なくなるという,そういう状況が発生しますので,現状においては,もともと,大学あるいは共同利用機関法人の皆様から要望いただいているものを全て措置できている状況にはありません。
また,第6次の5か年計画,この整備目標を定めるに当たっては,今御指摘いただいている物価上昇等の状況も踏まえながら目標を定めていくということが必要になるわけですけれども,その中においても,どのようにして実際の必要量を確保していくのかという視点をしっかりと持ちながらさらなる検討を進めていきたいと考えております。
【相澤座長】そのほかいかがでしょうか。
柳川委員。
【柳川委員】ありがとうございます。国立大学法人にとってはこの施設整備,とても大事なことだと思います。それで,そのことよりはもう少し全体の我々の報告書に関連する,ちょっと抽象的なお話を2点させていただきたいんですけど,1つは,やはりこれ,先ほどの病院のケースもそうなんですけど,やはり文部科学省だけではなくて,ほかの省庁とまたがる問題が大分大きいんだと思うんですね。病院のほうは厚生労働省ですし,今回の今の整備の話に関して言えば,国土交通省,あるいはもしかすると防災庁。施設の老朽化対策,長寿命化という話は,必ずしも大学法人だけではなくて,いろんな国の施設関連,みんな同じ問題を抱えていますので,ぜひそういう省庁連携のところで,共闘してというのはちょっと言い方はあまり適切ではないのかもしれませんけれども,いい形で連携をしながら,共通の課題に当たっていただきたいなという,そういう方向性が,前回お話がありましたように,お金の面でいろんな省庁のお金を使ってという話がありましたけれど,お金の面だけではなくて,やはりいろんな形で省庁の連携が必要だというのが今日2つの課題,出てきているポイントかなと思います。
もう一つは,やはりいろいろなことに要求に応えるということが国立大学法人に求められていて,お金を引き出すためにも,こういうこともやれます,ああいうこともやれますということは非常に大事なことなんですけれども,一方,受ける国立大学法人なりあるいは病院にしても,あれの要求も,これの要求も,こういうことも,ああいうこともということになってくると,結局それで勢力が分散されてしまって,あれもやらなきゃいけない,これもやらなきゃいけない,人手も足りない,労力も足りないということにどうしてもなりがちだという面もあるんだと思います。
そういう意味では,いろんなミッションに応えていく必要はあるんですけれども,それぞれのミッションに対してどこまで各法人が応えるのか,どういう目標に設定するのかというのは,もう少し焦点を絞っていかないと,結局,百貨店的に全てに応えられますということはなかなか全ての国立大学法人がやれるわけではない時代だと思いますので,少しミッションの,多方面のミッションのより明確化だったり,どこに具体的に焦点を当てるかということを少し考えていく必要があるなということを感じた次第です。
以上でございます。
【相澤座長】どうぞ。
【廣田文教施設企画・防災部計画課長】ありがとうございます。2点御指摘いただきまして,ありがとうございます。おっしゃるように,他府省の連携の中で,どのように投資を呼び込むのか,あるいは技術的なサポートをしていくのかということも重要な課題だと思っております。国土交通省あるいは環境省,内閣府等々,あるいは経産省も含めて,様々な省庁とやり取りを進めておりますけれども,しっかりと一体となって大学を応援していくという体制を整えていく必要があると思っております。
また,もう1点,大学のミッションというところの関係としましては,我々,共創拠点ということをお示ししておりますけれども,共創拠点の中でも特にグローバルというところを意識した共創拠点もあれば,あるいはリカレント教育,あるいはリスキリングというところに焦点を置いたもの,様々なありようがあると思っております。それぞれの特色,魅力を発揮していくための共創拠点としていくために,どのような支援をしていくのかという観点もしっかりと持ちながら進めていきたいと思いますし,特色,魅力を発揮していくためのアドバイスも含めて,しっかりと大学と意見交換をしていきたいと思っております。
それでは,服部委員,どうぞ。
【服部委員】どうも御説明ありがとうございました。施設整備についての意見ですけれども,この資料を見せていただいて,おっしゃるとおりだと思います。この会議で議論するときも,基盤経費というと,運営交付金に視点が行きますが,設備に対する経費も本当に基盤なんですね。施設整備がないと,研究・教育できない。そういう面からいくと,この会議の中でも施設整備についても議論が必要ではないかと改めて感じたところです。そういう面では,今まとめている方針の改革案につきましても,施設整備の在り方についてもう少し厚く書いても良いのではないかと思いました。
また,資料の3ページ目に戦略的な施設マネジメントの推進と書いてあります。まさしくこのとおりと思います。今,柳川委員からありましたように,あれもこれもというわけではなく,各大学が全体としてどういう機能強化を図っていくかという,まさしくこの会議の本筋に関わるところだと思います。各大学が,ミッション,機能強化をどのように進めていくのか,それに必要な施設整備は何なのか,逆に言うと,今後,多分大学が縮小していくのはやむを得ない状況の中で,資料の2番目に書いてありますけれども,施設総量の最適化とか,リノベーションや性能維持改修,これらを各大学が総合的にどのように考えていくかが重要なポイントだと思います。
これらを含めた施設マネジメントは,大変大切なことだと思います。
以上です。
【相澤座長】お答えいただくことありますか。
【廣田文教施設企画・防災部計画課長】服部委員,御指摘ありがとうございます。まさに機能強化の検討会におきまして,今申し上げた中で,どのようなことが機能強化と結びつけていくのかということを意識していく必要性がございます。
現状,今日お示しをされている改革の方針素案の中で,7月1日の説明と一体的な形で素案の検討を進めさせていただいている状況がございまして,その中にも施設整備マネジメントという視点を入れ込まさせていただいている状況ですので,御議論いただければと思います。
以上です。
【相澤座長】よろしいでしょうか。
それでは,私から1つ,今回,これからの将来計画という中で大きな柱を2つ立てられる。1つが,イノベーション・コモンズですね。それからもう一つが,防災の拠点になると。こういう2つを掲げておられるわけです。しかし、この計画の位置づけだと,施設がありと,それに基づいてそれをコモンズとして活用していくという,こういうような視点ではないかと思うんですね。
このところはそういう発想ではなかなかうまくいかない,充実したものができないのではないか。やはり大学全体のイノベーションの戦略,そういうようなところがしっかりとあって,その一部あるいは基盤,それを担うのがこの施設関係の整備だと。この位置づけがないと,先ほどのミッションの位置づけも逆転してしまっているのではないかなという心配がありますので,そこのところを明確にしておく必要があろうかと思います。
もう一つは施設マネジメントに係ることで,この施設整備に関わる財源を多様化するんだということが出てきているわけですけれど,これも施設ありきということを前提にして,それだけの財源の多様化というのは,これは非常に難しい。だから,全体のイノベーションの戦略の中に,こうこうこういう施設が基盤になって必要だということを軸にしないとなかなか実現に向かわないのではないかと思うんですが,議論はどういうふうに進んでいたのでしょうか。
【廣田文教施設企画・防災部計画課長】恐れ入ります。御指摘ありがとうございます。まず,1点目,イノベーション・コモンズの進むプロセスについてでございますけれども,両方の視点があるかと思います。大本はイノベーション・コモンズを進めていくに当たっての具体的なプロセスが過去,有識者会議で整理をされておりますけれども,共創拠点,施設整備ありきではなくて,まず大学の目指すビジョン,共創の考え方があり,それをどのように実現させていこうかと思ったときに,ソフトだけではなくて,ハードも一体として検討する中で,じゃあ,ハードをどうしようかという,まさにミッションやビジョンというものがあった上でのハードの在り方という,このプロセスもあると思います。
一方で,今,目の前に老朽改修をしなければならない施設があったときに,その施設を単にもとに戻すという発想ではなくて,その施設を改修する際に,しっかりと教育・研究の組織と意思の疎通をしながら,改修時に当たってはそのミッションを実現するにふさわしい施設に改修をしていくという視点も必要であろうと思っております。
なので,一番最初のスタート時点から,最初にまずソフト,教育・研究があって,そこから施設にアプローチをするという,そういうアプローチの仕方もあれば,施設をどうリニューアルしていくのかというものの中で,施設だけで考えるのではなくて,しっかりと教育・研究組織と一体となって整備をしていくという,両方の視点があろうかと思います。
いずれにしても,施設だけで捉えていくということではないということで,しっかりとその意識を持って,この有識者会議,さらなる議論を進めていきたいと思います。
2つ目の視点のコストの部分につきましても,おっしゃるとおりでございまして,ハードだけでもって何か産業界,自治体と連携をしていくということではなくて,その中身としてどのような教育・研究を行っていくのか,充実させていくのかという視点の中で,ハードも含めて議論していくということかと思いますので,その視点も含めて有識者会議での議論の充実を図っていきたいと考えております。ありがとうございます。
【相澤座長】それでは,樫谷委員,どうぞ。
【樫谷委員】少し民間の観点で見ていきますと,私も大学に行っていて,関与したこともあるんですけど,何となくホテルのビジネスを見たときに,稼働率というのが問題なんですね。病院もベッドの稼働率というのが問題になるんですけども,大学も,教室もあるし,いろんなものがあると思いますが,稼働率みたいなものをから,必要な施設の大きさというんですかね,あると思うんですけど,そういう着想というのはあまり,何となくがらがら空いているようなイメージがあって,どっちかというと,そういうのないのかも分かりませんが,稼働をどうやっているのかと,どのように稼働しているのか,それぞれがね,そういう観点からのデータというのはあると考えてよろしいですかね。
【廣田文教施設企画・防災部計画課長】ありがとうございます。大学の中にも共同利用スペースなどがありまして,それがいかに積極的に使われているか,使われていないかというところを把握するように大学に求めております。
文科省としても調査を実施しておりますけれども,やはり稼働率の低いところ,あるいは学部で占有している,そういったスペースがあって,もったいない状況があるとすれば,それをしっかりと全学的に再配分をして有効に活用せよということはお伝えさせていただいておりますので,しっかりと大学の状況を見ながら,戦略的な施設の有効活用が図られていくように,引き続き大学とコミュニケーションを取っていきたいと思っております。
【樫谷委員】いずれにしても,そういうトータルをどうするかというね。
【廣田文教施設企画・防災部計画課長】はい。そのような視点を持ち合わせながら進めてまいります。
【相澤座長】ありがとうございました。
ただいまの件は以上とさせていただきます。
それでは,その次の議題でありますけれども,改革の方針の素案についてであります。前回も非常に多様な視点から御議論を進めていただきました。その御意見も反映させていただきまして,本日,資料3という形でまとめられております。本日,ここについての議論を進めたいわけでありますけれども,議論の進め方として,最初の2つの項目,1ポツの趣旨というところと,それから2ポツの今後の国立大学法人等の機能強化に向けた改革の方向性という,ここのところが全体としては,いただいた御意見をまとめていくと,大体ここで固まってきたかなと思われます。まずこの2つのセクションについての説明と御意見を伺うというところを進めさせていただきます。続いて,3ポツのところです。ここについても非常に重要な御意見を前回伺いました。この3ポツのところは,今後どういう改革を具体的に進めていくのかというところで最も重要なパートになります。
それでは,まず,1ポツ,2ポツについての説明をよろしくお願いいたします。
【北野国立大学法人支援課企画官】国立大学法人支援課の北野でございます。私のほうから資料3につきまして御説明をさせていただければと思います。
資料3につきましては,前回,資料1といたしまして,検討会におけるこれまでの議論の整理をまとめさせていただきまして,その中で改革の方針(仮称)における骨子イメージを示させていただいたところでございますけれども,その内容を書き下すとともに,先日,先生方からいただいた意見を踏まえて修正を入れております。
まず1ページ目,1ポツの「趣旨」のところでございますけれども,こちらは特段変更を行っていないところでございます。
2ページ目以降でございますけれども,2ページ目以降,まず頭のところに,(1)「2040年を見据えた機能強化の視点の明確化」の下に点線の囲みの部分がございますけれども,こちら,前回,先生方からいただいた御意見と承知をしております。
まず最初の丸にございますように,各国大法人の構成員がしっかり意識を持って組織を挙げて行っていくということが重要であるということ。
また,3つ目の丸でございますけれども,大学間の連携を進めることで,国大法人総体としてのミッションをなし遂げて行うという方向は非常に分かりやすいという御意見もございました。
また,5つ目の丸でございますけれども,一方で,各大学に対して,多少文科省がガイドをして,最終的に国大法人全体としてどういう方向に進んでいくかというのをクリアにする必要があるのではないかということ。
また,ミッションだけではなくて,ミッションに対する目標があって,アウトカムがしっかり見られるかどうかをしていく,アウトカムがしっかり見られるようにしておくことが必要ではないかという御意見。
また,最後の丸でございますけれども,国大法人が総体として果たすミッションということで,地域産業への貢献という表現がございましたけれども,貢献という形で待つのではなくて,ここは表現を工夫すべきではないかという御指摘をいただいたと承知をしております。
これを踏まえまして,この下,1,まず,「社会の大きな転換点における大学」でございますけれども,冒頭のところで,まず,常に意識を持つということが不可欠であるというところを記載をしております。
こちらの内容につきまして,前回の骨子イメージの内容から大分内容を膨らませておりますけれども,内容自体につきましては,7月の論点整理に記載している内容を入れ込んだものになっておりますので,そこと大きく変わってはないかと考えております。
その上で,4ページでございますけれども,4ページ,上から3段落目,各国大法人も文科省をはじめとする関係機関も,これからの20年がこれまでの20年と同じような環境には全くないということを念頭に,今,大きな時代の転換点にあるとの認識を強く持つとともに,現状維持ありきという意識を捨て去り,現状を直視するとともに,未来に向かって変革の歩みを進めるときであるという意識を,意識改革を強く求める内容とさせていただいております。
その上で,この下に国立大学法人等の全体としてのミッション1,2,3と記載させていただいておりますけれども,前回,3のところ,地域社会を先導する人材の育成と地域産業への貢献となっているところを「地域産業の振興」という形に,受け身ではなく,大学自らが振興をしていくという観点から修正を行っております。
また,この一番下の段落のところ,「また」以下のところですけれども,文科省は各法人と丁寧に対話を重ねながら関係府省や産業会等のステークホルダーとも連携し,法人の取組を後押しする有効な施策を講じていくことが不可欠であると文科省の役割も記載をさせていただいております。
続きまして,2のところでございますけれども,こちら,5ページを御覧いただければと思いますが,2つ目の「また,ミッションや機能強化の方向性に沿って」の箇所でございますけれども,ここに適切な指標の設定もこのプロセスに組み込むことが求められるとしておりまして,ミッションや機能強化の方向性と併せて,それをはかるための指標の設定というものも求めるということにさせております。
続きまして,(2),「ガバナンスの抜本的強化」のところでございますけれども,この部分につきましては,前回御意見といたしましては,経営と教学の分離でございますとか,運営方針会議の活用,また,学長選考・監察会議などにおける法人の長の必要な資質や能力を明確に開示をしていくということが必要ではないかという御意見があったと承知をしております。
その下の「基本的な考え方」からのところでございますけれども,ここにつきましても前回と大きくは変わっていないと承知をしております。
その続き,6ページからでございますけれども,こちら,機能強化に向けた経営戦略の構築と,前回示させていただいた骨子イメージとおおむね内容は一致をしているかと思っておりますけれども,まず最初の段落で現状の財務状況をつまびらかに把握することが必要であるということを書いた上で,先ほど施設関係の御説明もございましたけれども,6ページの一番下の段落でございますけれども,保有する土地,建物,現物資産に加えて,知の資産の棚卸をまずしっかり行う。それをいかに価値化して,自らの教育・研究や社会貢献活動といった活動の高度化を図っていくかという点を財務戦略で明らかにしていくべきだと。
その上で,7ページの一番上でございますけれども,ミッションや機能強化の方向性に応じて,保有する資産や資産のアロケーションの最適化を図ることも求めるというところを追記をしてございます。
また,その下の段落でございますけれども,こちらも構成員の意識改革という観点で追加をさせていただいておりますけれども,このような財務状況でございますとか,そういったものを適切に法人内部に情報共有する仕組みを改めて構築することも必要だと記載をさせていただいております。
一方で,国立大学法人,これは営利法人ではございませんので,一部の部局が赤字だからといって,それは必ずしも悪というわけではないと思っております。
ですので,そういった財務状況の提供というのがそういった観点でなされるものではなくて,機能強化の方向性でございますとか,また解決策を導き出すに当たって必要な情報として共有するという視点を忘れてはいけないというところを追記をさせていただいております。
その下の段落につきましては,財務状況などに基づいて,規模の見直し,教員・研究組織,事務組織の見直しが求められるということを書いております。
その次,「人事戦略の構築」でございますけれども,こちらも大きく変更はございません。まず,最初の段落で,業務及び教職員の配置,人事給与制度の見直しなど,人事給与マネジメントの高度化を図っていく必要性に言及しております。
その下,7ページの一番下の段落でございますけれども,こちらにつきましては,文科省で人事給与マネジメントのガイドラインを策定しておりますので,こちらを参照するということ,また,我々文部科学省に対しても適宜ガイドラインの見直しを行うことが求められるとさせていただいております。
8ページでございますけれども,ここの人事評価の観点,一番上になっていますけれども,ミッションに応じた評価の仕組みを構築すること,また,分業化やエフォートの重みづけなども検討すべきであるということを追加をしております。
その下の段落でございますけれども,ここも教員と事務職員や,前回URAという表現をしておりましたけれども,より広く研究開発マネジメント人材,技術職員等の専門人材の法人内における配置の在り方や人事管理の観点を言及しております。
その下に,専門人材の確保,キャリアパス,またそれを踏まえて法人内でのリソースの共有化の促進などを記載をしているところでございます。
その下の3,「規制緩和された制度の活用と更なる規制緩和の推進」でございますけれども,この部分については大きく変わっておりませんけれども,それぞれの資産の棚卸を行った上で,それを活用した知の高付加価値化に取り組んでいくというところを9ページ以降も記載をしているところでございます。
一方で,4のちょっと前の段落でございますけれども,国に対してはというところで,制度的あい路について引き続きさらなる規制緩和も含め適切な見直しを行っていくことを求めるということを記載をしております。
その下,4,「マネジメント体制の見直し」でございますけれども,これも前回も若干触れていたところではございますけれども,経営と教学の分離でございますとか,経営と教学それぞれに責任と権限を付与したポストを設定することなど,適切なマネジメント体制を構築すると。また,それを柔軟に見直しをしていくということを1段落目に書いております。
続きまして10ページでございますけれども,法人の長等の経営のモニタリングでございますとか,あとは,運営方針会議の状況について,可能な範囲で共有をしていくということを我々に対しての求めることとして記載をしております。
続きまして,(3)が「機能強化の方向性に沿った組織の見直し」でございます。こちらにつきましては,前回御意見といたしまして,例えば大学院修了の標準化というのは理解はできるものの,地方の大学については,例えば学士を中心としていくということも考えられるのではないかと。
また,連携統合については一定の規模感というのはやはり必要であるということ。一方で,県をまたぐというようなことを考えた場合には,1法人複数大学のような統合が現実的ではないか。
また,連携統合につきましても,こちら,何らかのガイドがあったほうがいいのではないかという御意見があったと承知をしております。
それを踏まえまして,11ページからになりますけれども,まず最初に学部の規模や組織の在り方についての検討を行うということを記載をした上で,2つ目の段落につきましては,大学院修了の標準化を視野に入れた検討を行うことも期待されること。
また,その次の段落で,多様な留学生の受入れを増加させていく視点を持つということも考えられるということを入れています。
その下でございますけれども,教育・研究組織の見直しで,学部の話だけ言及しておりましたけれども,大学には附置研究所等もございますので,附置研究所につきましても,必要な見直しを行っていくべきであることを追加をしております。
その下でございますけれども,この教育・研究組織の見直しによりまして,学生1人当たりの教育コストがよりかかる場合等につきましては,一定の規模を確保する観点から,教育・研究組織の大くくり化や統廃合や他の大学との連携による規模の確保が必要であるということに言及をしております。
続きまして,12ページでございますけれども,12ページの上から2つ目の段落,事務組織の見直し,前回ちょっと違うところに入っておりましたけれども,教育・研究組織の見直しの流れの中で,事務組織等につきましても必要な見直しが求められることをここに記載をしております。
2つ目が,「附属組織の見直し」でございます。附属組織の見直しは,2つ目の段落でございますけれども,まずここに附属病院の見直しの観点を入れさせていただいております。冒頭,附属病院の関係につきましては,有識者会議の報告をさせていただいたところでございますけれども,そこの部分にも経営の効率化を図るということでございますとか,大学病院個別の貸借対照表の作成など,資産状況の把握の在り方を検討する必要があるということ。また,地域の医療提供体制について,自治体を含めたステークホルダーとの対話と必要なリソースの分担を積極的に進めていくこと。また,国におきましても,国大病院の役割,ミッション,組織の在り方をいま一度整理することが必要ではないかというところを記載をしております。
その下,12ページ,下から附属学校の部分でございますけれども,こちらにつきましても,前回同様,どのような目的で設置をされているのか,運営の実態はどのようになっているかというところを踏まえて検証を行うことが必要であるということ。
また,逆もしかりでございまして,附属学校の見直しに併せて,教員養成大学・学部の在り方についても必要な見直しを行うことが求められるということを言及しております。
その下,再編統合・連携でございますけれども,2段落目のところにございますとおり,法人統合や大学統合,大学連携を選択肢としていくことが考えられるということ。
3段落目のところでございますが,1法人複数大学,大学連携推進法人につきましては,都道府県の行政官の越境という観点から効果的なものではないかということを記載をしております。
その次の段落につきましては,一定の規模が機能強化に有効と考えられる産学連携,スタートアップ等につきましては,そういった機能の連携ということも考えられるのではないかということを記載をさせていただいております。
14ページでございますけれども,2つ目の段落にございますとおり,ここの連携・統合などにつきましては,法人と国がその目的を共有しつつ,ステークホルダーの状況も踏まえ,よく対話しながら建設的に議論を進めることが必要ということを言及した上で,第5期中期目標期間に向けた組織業務の見直しの議論のスキームにおいて,法人と文科省での対話を開始すべきであるというところを追記をさせていただいております。
その下,(4)でございますけれども,「教育の質の向上に向けた取組」のところでございます。この部分につきましては,前回御意見といたしまして,2つ目の丸にございますように,日本人と留学生が一体感を持って学べる場所にするという観点が非常にいいのではないかという御意見もございました。
また,3つ目の丸でございますけれども,国立大学はこれまで国立大学の研究人材を供給するだけではなく,私学や公立大学,研究機関に研究人材を輩出をしてきたという,この観点を忘れるべきではないという御指摘もいただいたと承知をしております。
こういった御意見を踏まえまして,教育の質の向上のところにつきまして,15ページ以下でございますけれども,まず1,教育のグローバル化のところでございますけど,前回の内容を踏襲をして記載を追記をしております。
また,2の博士等の高度人材の育成のところでございますけれども,冒頭のところに,国大法人においては,これまで我が国の知を支える博士をはじめとする研究人材の養成に大きな貢献を果たしてきたと。この役割については,引き続き期待されるというところを追記をさせていただいております。
続きまして,16ページの3の「社会に開かれたリカレント教育の実施」,あと④の「教育の質向上に向けた大学間の連携」につきましては,基本的には前回を踏襲した書きぶりとさせていただいております。
17ページでございますけれども,「教育の適切な価値付けと便益を受ける主体間での負担・投資の考え方・留意点」の箇所でございます。こちらは前回ブランクで示させていただいたところでございますけれども,前回の検討会における主な御意見といたしましては,教育も研究も投資という考え方を入れていくべきではないかという御意見があったと承知をしております。
これを踏まえまして,17ページ下のところでございますけれども,投資の側面があるということに触れた上で,真ん中の段落でございますけれども,教育コストがどの程度のものとなっているかを可視化するとともに,卒業後の学生の便益がどの程度であるかということを可視化し,学内外に積極的に発信していくことなどを通じて,個人・保護者負担と社会による負担の在り方について社会全体での理解を深めていくことが必要であるとさせていただいております。
続いて18ページでございますけれども,18ページ,「研究力の強化に向けた取組」でございます。こちら,前回の検討会におきましては,若手研究者の確保と国際流動性の確保について御意見をいただいたと承知をしております。その上で,1,「研究の幅の確保」,ここは前回とほぼ同様の内容となっております。
2のところ,「若手研究者・研究開発マネジメント人材等の育成・確保と国際的流動性の確保」でございますけれども,もともと記載をしてございましたけれども,優秀な若手研究者につきましては,18ページの一番下でございますけれども,能力による適切な評価とポストの配分を行っていくことが求められるということ,また,19ページの上から3つ目の段落でございます。「また」以下のところでございますけれども,国際研究ネットワークの強化が必要であることでございますとか,若手研究者,女性研究者,外国人研究者など多様性に富んだ研究環境を構築していくことが求められているところを言及をさせていただいております。
その下,3の「研究ネットワークの強化」,続きまして,20ページの「研究インテグリティ・研究セキュリティの確保」につきましては,前回とほぼ同様の内容となっております。
20ページの5「研究の適切な価値付けと便益を受ける主体間での負担・投資の考え方・留意点」でございますけれども,こちらも教育の箇所と同様に,教育も研究も投資という考え方を入れるべきという御指摘をいただいております。
これを踏まえまして,こちらにつきましても,教育のところと同様に,投資の側面があるということ,また,21ページでございますけれども,研究コストの可視化とその便益についての積極的な発信が必要であるというところを記載をさせていただいているところでございます。
以上,1ポツと2ポツの説明になります。
【相澤座長】ありがとうございました。
1と2については,皆様からいただいた御意見,ほぼ全体的に反映させた形で構成されていると理解しております。
ここで,これから御意見を伺いますけれども,以上を踏まえて,まず,森田座長代理から,1ポツ,2ポツの総括的御意見といいましょうか,をまず伺っておきたいと思います。
いかがでしょうか。
【森田座長代理】それでは,簡単ですが,コメントさせていただきます。1も2もここで出た様々な御意見を整理されていると思いますし,今までの類似した文書に比べますと,一歩踏み出した形で書き込まれていると思っておりまして,これについてはそれほど御異論が皆さんないのではないと思っております。
個別項目につきましては,これまでもかなり言われていたところが一段強めに書かれているという感じがいたします。私自身,非常に評価をしたいと思いますのは,私もサポートの発言をさせていただきましたけれども,投資といいましょうか,いわゆるコストに対してどれくらいの価値を生み出していくのかということを明記したことです。それを大学がきちんと自覚をして可視化をしていくという努力,それが大学に対する支援,財政的な面もそうですし,社会的な支援もそうですけれども,それを得る場合に非常に重要な指標になり得ると思っております。
私も長くおりましたけども,大学の場合,ミッションといいましても,たくさんいろんなことが書いてあって,正直申し上げて,具体的に何をどうするかということがなかなか一般の方にイメージが描きにくいということと,それを達成したのかどうかということについての評価が非常に難しいと思います。
これを簡単にKPIというような1つの数字で全部表せというのは難しいことだと思いますけれども,やはり客観的に見える形で,ほかの大学との比較においてもそうですが,ベンチマークとなるような形でそれを示していくということが必要であると思いますし,それを達成するためにそれ相当のリソースが要るというようなロジックというものをきちんと示すという,そういう方向に向かっていければと思っております。
以上でございます。
【相澤座長】ただいまの御指摘,大変重要なことであります。全体的にはこういう形で皆様の御意見を反映させて作成されているんですが,ここでさらに御発言があれば。どなたでも結構です。
樫谷委員,どうぞ。
【樫谷委員】御説明いただいて,全体的には,もうちょっと突っ込みが足らないところもあるかも分かりませんが,こういうことだなと,こういうふうに思います。問題なのは,これいただいて,各大学どうするんだと,ここがポイントだと思うんですね。ありがとうございましたって,これしまったら意味がないです。そこをどういうふうなことをしていただくのかと。企業でいうと,これに基づいて自分ができることを事業計画に落として,そしてアクションプランに落として,責任者を決めて実行していってフォローしていくと,こういうようなプロセスをたどるわけですけども,そこまでやっていかないと,恐らく,よく地方公共団体でも長期計画を出せとか言われているんですね。何たら研究所からいただいて,ありがとうございました,全部しまってあるわけですよ。これじゃいくらいいものもらったって意味がないので,これをどう活用していくんだと,あなたのところどうするんだというところが一番のポイントで,それができれば,多少あっても,それは直してきゃいいわけですからね。
そういうような思想を,どういうふうに各大学に持っていただくのかというところが一番大事かなと思っていまして,この中身そのものは,いろいろよく盛り込んでいただいているので,これについて異論はそんなにないんですけれども,もらったほうが,これを受けてどうするんだというところが一番ポイントになるのかなと,お聞きしていて思いました。中身は本当によく精査していただいて書き込んでいただいているということなので,あまり書き込み過ぎているので,逆に,どうすりゃいいんだというふうに,これやれって言われりゃ,逆にやればいいわけですけど,この中で,大学というのは自治で,自律なんだから,自分で考えてやれというところに,あまりそういうことをやったことのあるところとないところとあると思うので,戸惑ってしまってどうすりゃいいんだと,分からないということになりかねないので,そこはもう少し,そこについての,やっていただくための手法も何かお示ししたら,お示しするのか,中で考えていただいたらいいと思うんですけど,それが大事かなと思いました。
【相澤座長】これはこの検討会の位置づけに関わることだと思います。この検討会がやろうとしていることは,改革基本方針というものをつくっていく。この改革基本方針に基づいて,各国立大学法人は,第5期の中期目標の目標設定,計画策定,こういうことに進んでいく。それの基本的なフレームワークをつくっているという位置づけでございます。
ですから,今回のこの検討会の方針が出るということは非常に重みのあることで,文部科学省はこういうことを積極的に進めますよ。各国立大学はそれぞれ独自の構想がおありだろうけれども,文科省としては,それを踏まえた上で,双方で密な議論を重ねて,そして目標とするところが実現できるように進めましょうという,そういうような位置づけになっております。
ですから,今樫谷委員が心配されたことは,各国立大学法人は,しまっておくなんていう,そんな悠長なことでは受け取れないわけで,今,各国立大学法人は,第5期に向けてどうしようかって必死に考えておられる。そこのガイドラインなんですね。という御理解でいかがでしょうか。
【樫谷委員】それは,じゃあ,誰がチェックしているんだと。誰がチェックするの?
【相澤座長】これは,ですから,国立大学法人は,今,文部科学省との間の関係というのは,最終的に各国立大学法人の目標設定は大臣が決定することになるわけですが,もちろんそれは各国立大学法人が策定したものを文科省に提出するというやり取りが基本になっています。ただ、国立大学の運営をどうしていくかということに基づいていろいろと議論してきているわけですので,そういう御理解をいただければ。
【樫谷委員】よく理解しているつもりではあるんですけど,私,会計士というのは,少しみんな,まゆつばじゃないかみたいなことも含めて,少し,何というんでしょうか,そういう,少し疑問点というか,本当かなと言いながら,というような観点で見ろと訓練されておりますので,みんな本当にやってくれるのかと,ほっといても。ほっといてという言い方はよくないんですけどね。それを誰かチェックしてとか,しっかり監督していかないと,なかなかやっぱり進まないのではないかなという懸念を持っていますので。もちろん大学の話ですから,皆さん自主的にやられている,能力のない方はいらっしゃいませんのでね。だと思うんですけれども,でも本当にこれでいいのかと。フォロー要らないのかと。フォローについて何か文句を,5年とか7年に1回でいいのかというのがちょっと私の懸念で,なかなか人間というのは,ちょっと緩くしちゃうと,誰もチェックしないと,ついつい手を抜きたくなってしまう,私も含めてそうなんですけど,なってしまう,人間なので,そういう人もいないかも分かりませんけど,そこはフォローすると。ちゃんと見られているということが,どこがどう見るのかは別として,そこが大事かなと思いますので。すいません,余計なことかも分かりませんけど。
【相澤座長】これは私がこういう形で説明するべきかどうかなんですが,評価の仕組みも含めて,これは制度的にきちっとしておることなので。文部科学省から。
【井上国立大学法人支援課長】すいません。改めましてということで,そういうのが,樫谷先生,十分分かった上での,それでもちゃんとやりなさいという叱咤激励と理解しておりますけれども,それがしっかり位置づけが明確になるように,今の資料3の素案の中で,例えばですけど,冒頭の趣旨のところにもまさに国立大学法人のフレームワークとしまして,1ページの一番下のところでございますけども,座長からもお話があった第5期中期目標に向けての具体化に当たってのものということで,これ実際進める上に当たっては役所のほうと法人のほうとが協議をして,しっかりと目標を確認しながら,達成で必要なKPIを埋め込んで見ていくというスキームがございますので,そこのところでひとつやっていくのと,あと,そこの粒度よりももっと細かいところについても今回書いていただいておりますので,つまり,それは例えば人給マネジメントのガイドラインであるとか,そういった施設の点もございましたし,そういうところはもっと粒度が細かいところでしっかり本当に伝わるように,例えばやり方が分からないんじゃないかといった樫谷先生のコメントいただいているところは,しっかり,例えばQ&Aみたいなところでフォローしていくとか,そういったところ,ちょっとレイヤーを幾つかにしっかり分けてこなすようにしていきたいと思っております。
【樫谷委員】前回,大学と地域産業の振興のことについて,余計なことを私言ったことがあるんですね。要するに聞いたことがないというお話しましたけど,実際はそういうことではなくて,よく調べてみますと,いろんなことが,細かく見れば,聞いたりもして,見たりするわけです。
ところが,何かやっぱり大学挙げてやっているとか,これミッションなのでね,ミッションということは大学を挙げてやらなきゃということだと思います。そういうところってあまり見ないんですね。
特にそれになるということは,地域振興って,私もいろいろやろうと思ってチャレンジしているんですけど,本当に難しいですよね。これは誰かが一人やったらできるという話じゃなくて,大学と地方公共団体,それから地域の企業,地域の団体,本当に地域の若者とか言いますけど,本当に一体になってやらないとなかなか進まないんですね。そういう覚悟を大学は持ってもらいたいということを言いたいということなんですね。
【相澤座長】それでは,川合委員。失礼しました。永井委員が先のようですね。永井委員,川合委員の順で。
【永井委員】先ほども大学病院の社会的役割ということをお話しいたしましたが,これは別に大学病院だけではなくて大学全体の問題です。これからますます社会的役割が大きくなってくると思います。
ただ,それを自己犠牲で頑張っても破綻します。例えば12ページの附属病院の見直しのところで,自治体を含めたステークホルダーとの対話と必要なリソースの分担を積極的に進めるとあります。この分担という言葉が,既存の大学のリソースの分担でしたら非常に苦しくなります。やはりこういう社会的役割に対して社会にリソースを求めるというのか,関連省庁と協議して,必要なリソース,予算を確保していただきたい。社会的役割に対する財源をしっかり明記したほうがよいと思います。
以上です。
【相澤座長】おっしゃるとおりだと思いますので,これは修文をお願いいたします。
それでは,川合委員,どうぞ。
【川合委員】質問なんですが,11ページのところ,(3)の機能強化の方向性に沿った組織の見直しの1の教育・研究組織や事務組織の見直しの中に,11ページの下から3段落目に附置研のことがここに書かれています。附置研は一部局ではありますが,独立性のある組織として位置づけられていて,その次の2の附属組織というのと分けて書かれています.この意図をお聞きしたいんですけど,附属組織のところは大学の附属病院と附属学校についてだけ特出しされていて,附置研のほうは前のほうに入れられているので,これは何か組織的な違いがあるのか,それとも意味合い的に,今回は特出しで病院と附属学校というところに注目して,新しい機能強化をするということの宣言文なのか,教えていただけますでしょうか。
【井上国立大学法人支援課長】ありがとうございます。幾つか視点があると考えておりまして,附属組織という項を設けて病院と附属学校等をした背景には,1つは,医学教育を行うときは,附属病院は置かなくてはいけないということになっていて,附属学校も教員養成を目的とするワクを置かないといけないということになっているという位置づけがあるという特性があるということでひとつまとまっているのと,あと前半戦で財務の状況をいろいろ分析していったときに,附属病院のほうが,非常に財務的な,財政規模が,非常に国立大学法人の占める中で非常に大きなものを占めているという特性と,あと,かつそこに非常に社会的要請も多い上に,非常にそのありようが大変になっているというところで,こういう整理をする必要があろうと。
附属学校のほうは,全部の附属学校ということではないんですけども,同じように財務上の分析をした場合に,特に教員養成系のところが非常に法人化の特性をうまく生かし切れていないといったような特徴も見られるとこからどう考えていくかといったような課題も明確でしたので,こちらでまとめさせていただいているという状況です。
【川合委員】特に今回の提案の中で,改革をしていこうという意志がここの附属組織の見直しと書いてあるところの2つのものについては示されていると理解してよろしいですか。
【北野国立大学法人支援課企画官】すいません,12ページの附属組織の見直しのところの最初の段落に書かせていただいているんですが,すいません,もしかするとこれは表現が附属組織と書いているので混乱を招いてしまったのかもしれませんけれども,大学設置基準上,大学の学部・学科に附属する施設として法令においてすることが求められるもの,これは今挙げていただいた附属学校,附属病院,あと農学部においては農場とか演習林とかございますが,こういう観点で附属組織の見直しを整理をさせていただいたので,学部・学科に附属する施設について,その中でも特に規模の大きい病院,学校というのの見直しも必要ですねとここに書いたというところになります。
【川合委員】法的に設置のポイントが違うわけですね。
【北野国立大学法人支援課企画官】おっしゃるとおりでございます。
【川合委員】ありがとうございます。
【北野国立大学法人支援課企画官】実態として附置研究所は学部と同じような教育・研究組織として大学で捉えられているところがございますので,どちらかというと,教育・研究組織の見直しのほうで言及したほうがいいのではないかということで整理をさせていただいた。
【川合委員】理解いたしました。ありがとうございます。
【相澤座長】福原委員,どうぞ。
【福原委員】ありがとうございます。よく再整理していただいて,いろんな意見を踏まえられてまとめられていると思います。
2点申し上げます。1つは,8ページの専門人材について,URAのみならず,様々な専門人材が今,国立大学法人の下で運営される組織の中で配置されているものですから,こういった機能というものをまとめていただいたものとして大変うれしく思います。
一方,特にテーマになった附属組織。附属組織の定義は今整理されたとおりでありますけれども,かつて附属学校については教育系のところで議論されたのですが,それに加えて本日,永井先生が御指導されている附属病院,大学病院に関しての御議論をいただきました。
国立大学病院が果たしている,先ほど永井先生も御指摘になりました社会的機能というものは大変多様であろうかと思います。それはそれぞれの国立大学における医学の教育・研究というものに役立つ,また,地域医療に貢献しているということのほかに,様々な医療法人が設置している病院のみならず,公共的な病院って数多いんですが、そういったところへ専門的な高度な医療技術,知見を持った医師をやはり輩出されているというわけであります。
ちょっと私ごとになって恐縮ですが,私もある共済事業を管轄しておりまして,大きな病院を経営しているのですが,その理事長としての私の4月の仕事の1つは,医学部を持つ私立大学の理事長,学長と、それから附属病院長に挨拶回りに行くことでして,文科省への挨拶回りよりもそちらの挨拶回りを優先して,とにかく医師をきちっと地域医療に貢献している病院に確保することに努めています。また,そこでの病院長だとか,看護師長,部長だとか,また外科部長,内科部長だとか,そういった病院の幹部職ですね、また、経営する人もそうですが、病院経営をする人もそうですねこういった人がどこで育っているのかを見てみる,どこから来てもらっているのか見ると,やっぱり大学病院でそういった日本の医療系の病院,医療をする病院の実務,こういう専門人材も育てていただいているんだということをここ数年,そういうことを通じて感じておりますので,私立は私立なりにやっていますけれども,国立は恐らくその機会が多いんじゃないかと思いました。
そういう意味では,各大学法人における附属組織の在り方を各大学法人で見直すというだけではなくして,これは大事なことですが,全国的な観点でやっぱりもう一度社会的機能というものを,こういうことが果たしているんだぞということをやはり再認識していただいて,全国的な観点でこれをやはり、残すものは残す,規模が過剰になっているものは縮小するようにしなきゃならないということもあろうかと思います。
そういう意味で,附属組織の見直しのところを今日,注力させていただくとするならば,どうも最初のところは,規模等の見直しとか,13ページのところ,数,種類,規模等についての整理というところがあまりにも目についてしまいますので,その前にぜひ,それぞれが果たしている,附属組織が国立大学法人に附置されている附属組織の果たしている社会的機能というものをもう一度しっかりと認識していただいて,そして,そういった量的な面にも検討を加えてほしい。こういうふうな形に持っていっていただいて,国立大学だけでなくて,いろんな大学病院が果たしている,またその他の附属組織が果たしている役割というものをやはりここで一度認めておく必要があるんじゃないかなと思いました。
すいません,僅かな経験をベースに発言をさせていただいて,恐縮です。
【相澤座長】永井委員,どうぞ。
【永井委員】ありがとうございます。まさに大学病院というのはそういう役割を担っていますが,これが必ずしも透明で行われているかわかりません。院長に挨拶に行かれても実際に人事を動かしているのは医局であったりするわけです。それが必ずしも正規の大学病院の組織ではなくて,いわゆる任意団体,OB組織であったりする。そういうところをしっかり透明化して,全手の大学で明確に位置づけていただきたいということです。
この問題は、単にミッションを果たすだけではなくて,自治体との関係が出てきます。当然,こうした社会的機能を自治体のために果たすのであれば,いろんな支援金が絡んできます。ところが,例えば地域医療への貢献にしても,補助してくれる自治体としてくれない自治体があるわけです。それぞれの自治体の理屈になります。
ですから大学の教員が社会に出ていく以上は,我々も透明性をしっかり確保し,全ての自治体と対等に交渉ができるようにしないと,自己犠牲になってしまいます。そういう意味で,こうした組織をきちんと整備し,位置づけを明確にすることが大事です。そこを御理解いただきたいと思います。
【福原委員】御指導ありがとうございます。もう一つは,やはり医師を,若手の医師を,医学部を修了し大学病院で研修した医師を迎えようと,病院で迎えようとするときに,その病院にその医師のこれからのキャリアアップのために,例えば専門医の認定が受けられるような高度な治療ができる環境が整ってないと,なかなかそこに医師として人材が派遣されないということもあるので,やはりそういう場合には,各大学病院だけでは足りない。大学病院は整っていますけど,大学病院だけではなくして,日本にあるいろんな,これは一般の医療法人が経営しているところでもいいですけれども,そういう大学の医療のレベルが,若い人が,若い医師がそこに行ってもキャリアアップできるように,そういう専門医認定が受けられるレベルの医療がなされているというようなことがどこかで調整されて推奨されていれば,若手の医師の流動性というか,またそこから大学に戻って研究される人もいるでしょうし,博士課程行かれる人もいるでしょうし,そういった意味では,国立大学病院には、そういう日本にある様々な形態で存在する病院の各医療現場をレベルアップする役割を果たしていただきたいなと,そういう思いです。
【永井委員】今の点も非常に大事でして,大学病院の魅力を高める必要があります。今は、若い人が単に将棋のこまのようにあちこちに派遣されて振り回されて,辞めていきます。こういう現実が恐らく大学病院離れを起こしていて,教員としてのキャリアがつながるようにする必要があります。つまり,地域医療の実践も学術だと位置づけていただければ,給与は外の病院が負担するとしても,キャリアがつながるように大学が退職金を積み立ててあげる。地域からも支援をいただいて,派遣される人が大事にされている事を示す。研究者,教育者としてキャリアがつながっている。このようにして大学と地域の関係の中で、若い医師の地域医療への参加が魅力あるものにしていくことです。この考え方は非常に重要だと思います。
以上です。
【相澤座長】ありがとうございました。大変重要な本質的問題が浮き彫りになってまいりました。ここの部分については,今,社会的機能という言葉が出てきておりますので,そのことを踏まえて,本文の修正し得るようなところがあるのではないかと思いますので,ちょっとそれを検討いただきたいと思います。
それでは,柳川委員,どうぞ。
【柳川委員】ありがとうございます。今の医療提供体制のところは非常に重要なところですが,やっぱり先ほど申し上げたところですけど,これ国立大学法人だけで完結する話ではないので,全体の医療提供体制との関連でしっかりとした議論が進められるべきだと思っています。そういう意味では,厚生労働省との連携というのも非常に大事だと思います。
そこはそれなんですけど,それだけではなくて,全体のところでいくと,ミッションと国からの支援のバランスをどう考えるのかというところが,この後議論される支援のほうは後ろに回したこともあって,少し前半だけ見ると,そこをどう考えるのかというのはちょっと分かりにくいのかなと思いまして,例えば再編統合・連携,13ページ辺りでいくと,やはりこれミッションを果たしていくために大学が統合したり連携したりしてくださいという話になっている。
そういう意味で,お金に苦しいから統合,普通,企業なんかですと,お金が苦しいからとか,お金をもうけるために統合を考えるわけですけど,必ずしもそうではなくて,もうちょっと,前半にあったようなミッションのために統合・再編を考えてくださいねということになっている。
それはそれで筋通るんですけど,じゃあ,そのときにお金が必要になったらどうしますかと,お金が足りなくなったらどうするんですかという話が当然出るわけですよね。ミッションが大事なので,ミッションを文科省としては,あるいは国としてはしっかり,それを全面的に応援しますと,かかったお金は全部国が面倒見ますと言えるかというと,そうはならないわけですよね。
そうすると,どこまでを国は面倒見るのか,どこまでミッションを大事にするのかというところをどう考えるのかというのが,これって,例えば民間企業においても当然パーパスと利益をどっちを優先するのかみたいな課題として当然残る話なので,解決はしないんですけれど,前半部分のところを,例えばどこまで各国立大学法人が自主努力で頑張ってくれという話でやるのか,それとも,そこはかなり必要なミッションに関しては国が積極的に支援をするということを宣言する紙なのかというのがちょっと見えにくいかなと思っていまして,財務戦略なんかのところを読むと,ここは相当ぎりぎりと設けている。コスト削減とかマネジメントやって,やってくださいねと。必ずしも国の支援を当てにしないでというようなことが出てくるんですけど,なので,この辺りのバランスの取り方をちょっとどうお考えなのかなあというのと,後ろのところで,3のところで書かれれば,そこは全体としては帳尻が合うのかもしれませんけど,少し冒頭のところか,前文のところか,何かそういう話があったほうが,もし大きな方針があるのであれば,その辺りがあったほうが,これからの国立大学法人って,結局国がどうするのか,あるいは自主的にミッションを考えていくのか,何かその辺り,本当は大きな方向性なんだと思うんです。そこをちょっとどういうふうにお考えなのかなというのは,この段階でなかなか難しい課題だとは思いますけど,ちょっと感じた次第です。
【相澤座長】大変難しいポイントなんですけれども,この段階で文部科学省から御意見いただければ。
【伊藤高等教育局長】ありがとうございます。この後御議論いただく3ポツのところとももちろん連動してくるんですけれども,そこ,逆に言うと,3ポツ,1ポツ,2ポツを3ポツにつなげる中が,例えば17ページでいうと⑤の「教育の適切な価値付けと便益を受ける主体間での負担・投資の考え方・留意点」,20ページでいうと,それが研究に関してなんですけれども,まさにそこのところで,便益を受ける主体の中では,当然,社会,これはつまり,国,税金でというような部分も入ってくるわけでございますので,それを踏まえた形で,17ページの最後の下から3行目のところでございますが,「国においては,それらを踏まえた公財政支援の在り方を検討する」という導入部分をここで2ポツの最後につなぎつつ,3ポツで国の支援の在り方というものはどうすべきなのかという形で,運営費交付金による支援という文科省の一丁目一番地のところから,ただそれだけではなくて,大学の機能強化を促進する,つまり,これが統廃合,統合とか再編とか,こういう部分に関わってくる部分を促進するための施策とか,さらに(4)では,政府を挙げた,つまり,文科省だけではなくて,それぞれ恩恵を受けるであろう産業を所管する例えば経産業者の観点,地域振興を所管する総務省の観点,こうしたものも踏まえて全体として政府として支援をしていくというようなつなぎ構想にしてございますので,またちょっとこの後3ポツのところで少し御意見をいただきながら,ただ,つなぎが少し悪いねという形であれば,若干つなぎを上手に報告の段階で修正をしたいというふうにさせていただければと思っております。
【相澤座長】それでは,かなり時間も進んでまいりまして,実はこの後3ポツのところが大変重要な議論のポイントなんですけれども,残り時間が15分ということになってまいりました。そこで,多少,文部科学省からの説明を圧縮した形で進めていただいて,かつ,少し予定している5時という終了時間を延長することもあり得るということで御理解いただけますでしょうか。そういうことで,まず説明をお願いいたします。
【北野国立大学法人支援課企画官】それでは私のほうから簡潔に御説明をさせていただきます。22ページ,3ポツ,「国立大学法人等への支援の考え方」でございますけれども,前回お示しした資料には(1)から(5)となっておりましたけども,(1),社会情勢の変化を踏まえた運交金等による支援,(2),第5期中期目標期間における運交金の算定の検討に当たっての視点と分かれておりましたけれども,前回の御意見で,いきなり物価高騰という話になってくるのはおかしいことがあるのではないかという御指摘もございましたので,今回,3ポツにつきましては,(1)から(4)という形に整理をさせていただきました。
その上で,前回の検討会における主な御意見をここは列挙させていただいておりますけれども,(1)の最初の丸でございますけれども,冒頭でミッションの方向性でございますとか,それをはかるためのKPIを設けるという話もございましたけれども,KPIを設けて,こうした方向にコミットする大学に傾斜配分するべきではないかという御意見,また,その下の丸でございますけれども,物価高騰への対応を明記してもらうことが必要であるという御意見,一方で,KPIをはかるのはいいんですけれども,評価指標はシンプルであるべき,また単年的な考え方から脱却するべきという御意見がございました。
また,その下の丸でございますけれども,こちら,多くの意見がございましたけれども,法人側が,安定した予測がつくような形で額が決まってくるということが大事ではないかという御意見ございました。
また,その下の丸でございますけれども,そういった観点から,例えば標準教員数,それに個人の研究費を加えた形で算定して配分するということは考えられないかという御意見。また,ミッションをしっかり出していく,アウトカムを出していくためにも資金が必要だということをしっかりここで記載をしていくべきという御意見があったと承知をしております。
また23ページでございますけれども,運交金の増額が必要なのか,しっかりした財源が必要なのかということが全体の大きな流れで書かれるべきというところも踏まえて,今回,(1)と(2)を統合させていただいております。
23ページ,(2)でございますけれども,こちら,「地域社会を先導する人材育成と地域産業の振興を行う国立大学への支援」でございますけれども,こちらにつきましては,御意見としては,24ページの一番上でございますけれども,東京一極集中の流れを変えるような考えを持っていくべきではないかという御意見をいただいております。
また,(3)「大学の機能強化を促進するための施策」につきましては,例えば補助金等の間接経費,これをうまく使うことによって長期的な視点で活用できるのではないかという御意見がございました。
また24ページ(4),一番下の(4)「政府を挙げた大学支援策の検討」でございますけれども,ここにつきましても幾つか御意見ございましたが,国立大学を含むアカデミアに文科省以外の資金を導入するということに一番の力点を置いていくべきはないかという御意見でございますとか,25ページでございますと,文科省だけのお金でない,大きな国の全体のお金の中で考えていくという方向性を出していくべきだと。
また,企業との関係につきましても,大学との連携を促すような税制等の仕組みを考えていくべきという御意見をいただいたところでございまして,本日いただいた意見と前回の御意見等踏まえてここの部分の案文を作成していければと思っております。
以上でございます。
【相澤座長】ここのところがこれから大学はこういうミッションをイメージして,具体的にこういうような施策を講じていく,あるいは取組をしていくのかということを打ち出すということを前提にしておりまして,それに対して国はどういうような支援が可能なのかということをこの3ポツの中にいろいろと詰めています。
そして,今回この検討会の流れとしては,今まで国立大学法人という,国がといったときには,文部科学省がということにイコールであったのではないかと。それが,文部科学省だけではなく,最後の項目のところ,4番目になりますが,政府を挙げた大学支援策の検討ということを打ち出しております。これは,文部科学省がこういうような方針をつくるときに,明言したのは初めてではないかと思います。ここにこの検討会の特徴が表れております。
といったことで,それぞれの観点で4つの項目に分けられておりますので,これらについてさらに深掘りをしていろいろと御提言,御意見をいただければと思います。どなたからでも結構でございます。
それで,先ほどのように時間が少し迫ってまいりましたので,御発言はできる限り簡潔にまとめていただければありがたいと存じます。
森田座長代理,どうぞ。
【森田座長代理】2点申し上げたいと思います。1点目,いろいろなところから資金を入れるという話もございましたけれども,その可能性もあり得ると思いますが,1つはやはり基本的に,財政にしても,KPIの話もございましたし,運営費交付金の算定根拠であるとか,予測可能性という話もありましたけれども,ベースの部分について明確にしていくこと。そしてミッションを達成するために,さらに必要な場合にはどういう形で資金を入れていくのか。その辺りの見え方をはっきりとさせておくということが重要ではないかと思います。それが1点目です。
2点目は,先ほどのところにも関わるのですが,多分これからは統廃合・再編の話も出てくると思います。そのときに,水平的な調整だけでそれをやるというのは難しいというのはこれまでの経験から言えると思います。国の支援というのはどういう意味かということにもよりますけれども,文科省なりどこかの機関が,垂直的とは言いませんけれども,水平的な統合だけでは足りない部分について指導力,指導性を発揮すること,これも大変重要なことではないかと思います。
財務の面もそうですし,資源の効率的な利用の在り方もそうですけれども,その辺りについて,より広域的な形で絵を描いて,それを推進していくために文部科学省がそれなりの役割を果たすということも必要ではないかと思っておりまして,これについてはなかなか書きにくいところもあろうかと思いますけれども,今の時点で申し上げますと,そういうことも書き込むということを御検討いただければと思います。
以上です。
【相澤座長】ありがとうございました。
樫谷委員,どうぞ。
【樫谷委員】すいません,ちょっと気になっているのは,22ページのミッションのところと,お金の話ではあるんですが,確かにこのとおり,ミッションを達成するためにはお金が必要だというのはよく理解できます。ただ,私が,これまで仕事としてやってきたのは実は企業再生をやっております。企業再生というのはお金がない会社なんですね。お金をなかなか資金調達もできない会社。じゃあ,どうするかということになると,知恵を出すしかないんですよ。知恵を絞り切れと。知恵というのは絞れば絞るほど出てくる,雑巾とは違う,という話をいつもしていまして,ただなかなか,まず知恵を絞った上で,お金がないと確かにできないので,最小限の中でどういうふうにしてミッションを達成していくんだということをやっぱり考えてもらいたいですよね。そうしないと,お金がない。じゃあ,お金があればできるのかというと,お金だけではできないところっていっぱいあるんですね,実は。お金があり過ぎてかえってミスをするということも結構あります。むしろ金は不足気味のほうがいいというふうに企業の場合はいつも言うんですね。そうでないと,知恵を金で買うことになっちゃうので,買った知恵というのは人の知恵ですので,うまくいかないんですよ。
というようなことを言いながら,知恵を絞れと,金がないところは,ということを言うんですけれども,大学も皆さんそういう人の塊なので,ぜひ,金のことも大事だけれども,ここにそういったことを書けるかどうかは別として,必死になって知恵を出してもらいたいなと。みんな集まってね。というふうに個人的には思います。
以上でございます。
【相澤座長】大変重要なポイントだと思いますが,これは今回の検討会のまとめ,全般的に続いているのは,大学の独自の構想,こういうものをしっかりとつくっていただいて,そしてそれを国が支援する。つまり,独自の構想,これこそが知恵だと思うんですよね。そういうのは大学にはあるはずなんです。
ですから,そこを何とかもっと活性化して,そしてこれは金の出どころから考えれば,国の資金を相当使わなければできないことだから,説得性のあるような計画にして実施していただきたい。これが基本的なメッセージになっているかと思います。
さらに,今,樫谷委員が期待されたようなことも,さらにどこかで強調しておくということも必要かと思いますので,これは文案の中で検討させていただきます。
そのほかいかがでしょうか。
永井委員,どうぞ。
【永井委員】今の財源のところは,国だけではなくて,自治体も関係します。地域医療確保総合基金を厚労省が管轄しますが,執行にあたっては自治体も負担しますので,自治体との交渉しっかり行うことも大切です。
【相澤座長】これはいろいろなところに地域創生という言葉が出てまいりますので,地域創生のところにはさらっと書いてあるんですね。この辺のところはもう少し強調した形で明確な位置づけが必要だと。そういう意味では,最後のところの政府を挙げてというところにもそういうことをしっかりと記しておく必要があるかと思います。
ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
川合委員,どうぞ。
【川合委員】今,樫谷委員がおっしゃったことを受けてですけれど,座長がおっしゃっていたとおり,大学は機関としての戦略を持って教育や研究に携わっていくと。ここに知恵を出すと。この点をどこかに明確に書くべきではないかと今お話伺っていて思いました。
現状では,知恵出してもお金ないので何もできません.研究費を取ってくるのは個々の研究者であって大学が戦略的に何かすることができなくなっています.一定の資源を投入すれば,そういう知恵は必ず実施できると思います。今,本当に最後の(4)の政府を挙げた大学支援策の検討というところで,大学がどうしたら浮き上がってきちっと機能できるか,ここに戦略性を示して,大学の知恵をどのように考えるかを明記した上で,文科省以外からもお金を取ってくることを正当化する必要があると思います。
そのときに,例えば研究を実施する際をに,担当者の人件費は常に大学本部が払っているわけですが,他省庁のプログラムを実行する場合は,人件費も互いに分担するというのがここで書かれているアイデアの1つだと思います.分担金を受けて大学が戦略的に教育や研究に挑むかという点を,大学の経営のマネジメントに照らして示すことで資源を提供する者に対しても分かりやすい説明になると思います。
間接経費という言葉を使うのがいいのか,それともオーバーヘッドという言葉を使うのがいいのか,迷うところですが,一定の事業に対して必ず基盤強化の資金が一定額入るメカニズムが働いていれば,戦略的に基盤を強化し,それを元に次のプログラムを受け入れる.それを元に,次なる基盤強化を実施する.このような戦略的なループができます.前のほうの項目と合わせ技で最後のところを書くというところが,非常に大事なコンポーネントかなと思いました。
【相澤座長】ありがとうございました。
では,福原委員,柳川委員。
【福原委員】別の観点で1つだけ。これまでにも議論出てきてていたと思うんですけど,やはり運営費交付金とか,あと,その他の補助金,助成金,こういったようなものがもっと社会全体で理解があって増額できればそれにこしたことないんですが,かといって出し過ぎて,みんなの意欲が高まらないというのでは困るんですけど,それと同時に,独自の資金調達がもっともっと,各法人化したわけですから,これをエンカレッジするような何か手法はないだろうかと。大型のファンドで東京大学なんかは資産運用のプロを招いて資産運用をやっていますし,各国立大学でも大手のところは,様々な寄附や地域の企業と連携をして,後援会組織をつくって,ファンドを獲得をして,これを運用するというようなこともされているし,教育と研究のマネジメントだけじゃなくて,そういうせっかく法人化したんだから,その法人が資金を集めてくるためのプロも置けるわけですから,そういうことを置いているところ,それをエンカレッジするような仕組みがもっとあってもいいんじゃないだろうか。運営費交付金や助成金といったものだけに注目が行くんじゃなくして,それぞれの独自の資金調達ルートというのがあってもいいんじゃないかなと思う。それは先ほど永井先生おっしゃった,自治体からのファンドの提供ということもあるんですが,これは景気のせいかもしれませんけれども,民間からどんどんどんどん国立大学が資金を集められる仕組みというんですかね,こういったものが必要じゃないか。そういうことをちょっと書いていただければありがたいなと思うんです。一言だけ。以上です。
【相澤座長】ありがとうございました。それでは,柳川委員,それから服部委員の順序でお願いいたします。
【柳川委員】時間ない中,手短に。具体的なことは前回申し上げてここに書いていただいていることで尽きるんだと思うんですけど,大きな方向性でいくと,やはり国立大学法人,自主的にやって,法人化したんだから,自分たちで稼いで回していってくださいねと。こういう大きな方針の中でやってきたんだけれども,やっぱりなかなかそこに限界があって,特に長期の安定的なお金がなかなか得られない中,四苦八苦しているというのがこの会議の中でずっと行われてきた皆さんの認識だと思います。
その面ではどこまで書けるか,書けないかあれなんですけど,本来あるべき方向性でいえば,やっぱり長期的なしっかりとした安定的な財源を国が提供して,安定的な教育・研究環境をつくっていくということが大事だというのがやっぱり本来書くべき大前提じゃないかなと思います。それがさっき前半に申し上げたことと関係するんですけど,その上で,ただ当然,国の財源だけに頼っていてはいけないので,できるだけの自主努力を,今,福原先生がおっしゃったような自主財源をしっかり確保して自分たちの自主努力をすると。それから単にお金だけではなくて,パーパスのしっかり実現というものもしっかり目標として,その目標がしっかり実現できるかどうかも自主的に点検をすると。
そういう意味では,KPIとEBPMを回していって,自主的な努力とパーパスの実現はしっかりチェックした上をやるという前提で国がしっかり支援をしていくということが書けるといいかなと思います。
その上で,大学の側もしっかり知恵を出すというのはとても大事な御指摘だと思うんですけれども,この知恵が事前のペーパーワークだけになってしまうと,本質的なところでなかなかなくて,みんなが相当そこのところにだけ労力をかけてしまうというのは教育・研究機関としてはもったいないところなので,あくまでやっぱりしっかりと成果を出すところに知恵を出すという方向性ができるといいなとは思っております。
以上でございます。
【相澤座長】それでは,服部委員,どうぞ。
【服部委員】ありがとうございます。大きな方向性ですが,樫谷委員の話として,各大学が努力をして知恵を出してやっていかなければいけない。また,座長からも,大学独自でしっかりと取組をしていかなければいけないという話がありました。一方,国立大学が国から支援を受けるために,いわゆる投資という考え方をすると,投資をする側が期待する成果を出していくという,2面性があります。とにかく大学が独自に知恵を出して,一生懸命取り組んで,大学自身で運営資金を全部出せればそれにこしたことはないわけですが,それは先ほどの法人化の趣旨に沿っているわけですが,それは厳しいという現実があって,そうするとやはり国からの支援が必要だということになります。そうすると,国からの支援を受けるためには国立大学としての責務というわけではないけれど,説明責任が出てくるわけで,それをどういう形で国立大学側が示していくのかということが大切だと思います。
国立大学全体としてのミッションを資料にしっかり書いていただいている。そのミッションが,第4期で言えば中期目標大綱という形で具体化され,それに対して各国立大学がこういう貢献をしますよということで中期計画を策定する。そして,中期目標期間が終了した時にそれを法人評価ということで評価することによって,各法人の国が求めたミッションに対する貢献度が評価されます。
一方,各国立大学法人の成果はそうやって評価できるのですけれども,各大学の成果を合わせて実際の中期目標大綱に対してどれだけ国立大学法人全体として達成できたかということの検証も要ると思います。それがしっかり示されると,国立大学全体がそのミッションを果たしたのか,果たしていないか,その成果を国民に対して示すことができて,それによって次の支援をお願いできるのではないかと思いました。
各国立大学法人に対する評価はするけれども,国立大学法人全体としてどうだったかということの検証についてはあまり見えてない感じがするので,これは改革として書くこととは関係なく,全体としての取りまとめというのを,ぜひ,していただきたいと思います。それを糧に次のステップに行けるのかなと思っています。
報告書のトーンとして,各大学がとにかく独自で頑張っていくとするのか,それとも国立大学全体に対するミッションを果たすことにより国立大学として国からの投資・支援に応えていくのか,そこの兼ね合いをどうするのか議論を聞いていて,書き方が難しいのかなと思いました。
【相澤座長】ただいま,最後の点については,文部科学省のほうから。
【井上国立大学法人支援課長】ありがとうございます。今回議論いただいていて,やっぱりキーになってきているなと思ったのは,今まで各工夫と共創みたいなところが強調されてきたけれども,いろんなリソースが限られている中で有効な連携でよく使うというところが気になってきているので,そこを重視してやっていくのかなと思っております。
ただ,やっぱりそのもとには個々の工夫だったり強みみたいなもの等があるわけなので,そこのところは,これまでよりは恐らく共有ですとか有効な協力というところに視点をより置いていくことになると思っていて,そういった意味では,れ先生がどこまで書けるかとおっしゃった組織の在り方についても,全体の広域的な役割とかを見ていくとどうしても個々でやっていくと難しいところが出てくると思うので,そういうときに我々の役割みたいなものも併せて,そこをバランス取りながら,ちょっとまさに難しいところではありますけども,これまでよりはもうちょっと全体と共有みたいなところに力点を置いてつくっていくようなイメージを持っています。
【相澤座長】今,服部委員の前半で御指摘になったことは大変重要なことなわけであります。確かに各国立大学法人の評価というのは,法人評価委員会がありますので,そこでしかるべき評価をやっているということでありますが,全国立大学法人を評価するということは非常に難しい。これはちょっとこの検討会をはるか超えたところの問題になるかと思いますが,何か文部科学省側から。
【森友大臣官房審議官】御満足いくような答えにならないんですけれども,例えば初中教育でいえば,PISAとかということで,日本全国の生徒の学力はどういう程度にあるのかということは,成果として一定程度評価できるんですけども,なかなか大学生とか大学の評価ってなると,総体として何かというのは今,持ち合わせているものでないので,なかなかちょっと難しくなりますけれども,考えていきたいと思います。
【相澤座長】それでは,森田座長代理,どうぞ。
【森田座長代理】すみません。お時間を取って恐縮ですけれども,多分こういう議論する機会は残り少ないと思いますので,しっかり書いておくというか,その姿勢を方針で示すのは重要だと思いますので、述べておきたいと思います。先ほどから,運営費交付金以外にいろんな資金を外部から得るというお話がありました。それはそのとおりですが,当然のことながら,お金を出す人はそれによってそれなりの価値が生み出されなくては,お金を出すというインセンティブは生まれないと思います。それを大学がどうつくり出すかということを,ここでもっと強く書かないとなかなかその点について支持を得られないのではないかと思います。
教育に関して言えば,ここで教育を受けることによって御本人の能力の価値が高まるから高い授業料を払うということになると思いますし,当然資金を求めるところ,先ほどの永井先生の発言にもありましたように,地域医療に対する貢献があるから地方自治体もそれなりに負担をするという。どういう形で大学がミッションを果たすといいますか,価値をつくり出すかという,それが大学にとっての大きなミッションの内容だということはぜひ書いていただきたいと思います。
以上です。
【相澤座長】本質的な問題だと思います。ありがとうございました。
それでは,ただいまいただきました御意見を反映して,最終バージョンの取りまとめに入っていきたいと思います。
それで,今後の進め方については,後ほど文部科学省から次回以降のスケジュールについて御説明いただきたいと思います。
それで,本日,大変たくさんの項目についての御議論いただけましたので,最後は少し急いで議論を進めました。ただ,全体的には大体出るべき御提案等々はこれで反映できているのではないかなと思います。
本日,長時間にわたりまして,大変密な議論をいただきまして,誠にありがとうございました。
それでは,本日の検討会はこれで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
事務局から次回以後について御説明いただきます。
【井上国立大学法人支援課長】どうもありがとうございました。ちょっと今日たくさん大事な意見をいただきましたので,前回の意見等踏まえて,全体構成見直して,まずは案をつくらせていただきたいと思っております。その上で,また次回の日程については追って御連絡ということにさせていただければ幸いです。
【相澤座長】それでは,これで会を閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
高等教育局国立大学法人支援課