国立大学法人等の機能強化に向けた検討会(第6回)議事録

1.日時

令和6年12月24日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴はWebのみ

3.議題

  1. 国立大学法人等の機能強化に向けての論点整理(案)
  2. その他

4.議事録

国立大学法人等の機能強化に向けた検討会(第6回)

令和6年12月24日

 
【相澤座長】まだ遅れて来られる方が複数おられますが,定刻になりましたので,これから第6回の国立大学法人等の機能強化に向けた検討会を開催させていただきます。
本日の検討会も,対面,そしてオンラインの併用によって公開で開催いたします。
それでは,本日の議事等について,事務局から説明をお願いいたします。
【春田国立大学法人支援課課長補佐】事務局でございます。本日の議事及び配付資料につきましては,次第のとおりでございます。過不足等あれば,お申しつけください。
また,本日は,マイクを各所に配置しておりますので,発言される際にはオンにし,発言が終わりましたらオフにしていただくようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【相澤座長】ありがとうございました。
では,議事に入りたいと思います。
本検討会では,これまで5回にわたりまして議論を重ねてまいりました。そのデータを整理の上,その分析を行い、そこから見えてくる課題がどんなものかということをまとめた上で,今後の対応策の方向性について議論を行ってきたところです。
今,画面に出ると思いますが,資料1は本日の第6回の重要な検討事項でありまして,今までのことを整理して,論点整理という形で,中間取りまとめのような形でこれをまとめて公表するという形にさせていただきたいと思います。
それでは,資料1について,事務局より説明をお願いいたします。
【北野国立大学法人支援課企画官】それでは,私から論点整理(案)につきまして御説明させていただきます。
まず,論点整理(案)は,最初に「はじめに」と書かせていただいておりますけれども,これは前回の資料2で国内法人の現状データ,その分析及びこれらを踏まえた論点を配付させていただいておりますけれども,その際から「はじめに」を加えたものになっております。中身といたしましては,お読みいただければ分かりますとおり,本検討会の設置の趣旨,また今後の進め方といたしまして,3つ目の丸にございますとおり,今後具体の検討を進めるに当たっては,国立大学法人等の関係者の意見や認識をすり合わせながら丁寧に進め,取り組むべき事柄を具体化させていくことが重要であるとさせていただいているところでございます。
続きまして,その下,2ポツ,社会の大きな転換期における大学としてまとめさせていただいております。これは,先日の議論の中で,大学を取り巻く環境の変化ということで,データもお示ししながら議論もいただいたところでございますけれども,そこの中身をまとめさせていただいております。
まず1つ目の丸でございますけれども,この法人化以降,20年の間に大学を取り巻く環境は絶えず変化している。その大きな変化といたしまして,デジタル社会の到来,グローバル化を経た複雑な国際環境,地球規模の課題の顕在化,また少子高齢化の想定以上の急速な進展というものを挙げさせていただいておりまして,こういった社会の大きな転換期を迎えているということを1つ目の丸に記載しております。
また,2つ目の丸でございますけれども,デジタル社会の到来は,大学の存在そのものにも大きな変化をもたらしているということを記載させていただいております。こちらも委員の先生方からも御指摘いただいていたところでございますけれども,従来の大学は新たな知を生み出す場として機能してきたところでございますけれども,このデジタル社会の到来によりまして,物理的な場を持たずして新たな知が創られ得る状況へと変化してきている。こういったことを踏まえますと,全都道府県に立地する国立大学を含む既存大学におきましては,キャンパスや建物など,リアルに人が集まることができる環境そのものの価値や強みを改めて認識していくことが必要ではないかということをこの丸に記載させていただいております。
続きまして,次ページでございますけれども,一番上の丸でございます。デジタル社会の到来に伴いまして,グローバル化は加速度的に進展しているということを記載させていただいております。前回の資料におきましても,留学生の数の増大化につきましてデータを示させていただいたところでございますけれども,このようなグローバル化の進展によりまして,大学が自国の人材の育成を自国の人材のみの環境で行うのではなく,いかに海外から優秀な人材を引きつけ,ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンが確保された環境において,国内外の個々の学生にとって価値のある教育や経験を提供していくかという,グローバルな視点を持つことが大学に求められるということを記載させていただいております。
また,その下の丸でございますけれども,地球規模の課題の関係は,このような課題の解決におきましては,新たな知,技術,また,これらが社会で実装される上で必要とされる新たなルールやファイナンスの形成などがお互いに影響してまいりますので,このような多様な知と,知を生み出す人がリアルに集結する公共的な場である大学への期待が高まっているということを記載させていただいております。
そして最後に,国大法人等が,伝統的な教育と研究からいかに進化した役割を果たしていくか,時代の大きな転換点にある今,このような視点を持っておくべきだということを記載させていただいております。
その下,3ポツ,法人化後の現状分析と課題でございますけれども,まず最初の丸のところでは,総括的な内容といたしまして,法人化の成果が見られる一方で,法人化の自由度を十分に生かし切れていない点や,多様化した財源の獲得やマネジメントに苦労している点が見えてきたところであるとさせていただいております。
今後,機能強化を図る上では,先ほど2ポツで述べた,社会の大きな転換点を迎えているわけでございますけれども,そのような視点を持ちつつ,現状とその分析に基づく課題をまず直視することが議論のスタート地点であるとさせていただきまして,この下,財務状況,規制緩和,人給マネジメント,教育,研究の各観点からの現状分析,またそこから見える課題を3ポツの中で示させていただいております。
まず丸1,法人化後の財務状況でございます。財務状況,ここの現状分析の箇所につきましては,先日の資料と内容は大きくは変わっておりませんので,簡略化して説明をさせていただきます。
まず3ページ,最初の上から2つ目のポツでございますけれども,経常収益とか,その原因に関しましてここで言及しております。
その下のポツ,経常経費の観点からでございますけれども,こちらも増大しているところでございますし,また人件費,一般管理費等は法人全体としては微減となっている状況を記載しております。
その下の外部資金,こちらは4倍に増えておりますし,企業からの受託研究・共同研究も大幅に増加している。
その下が間接経費の関係でございますけれども,間接経費の額も上がっているということに加えまして,管理部門に係る経費にも活用されている。また,産連ガイドラインの策定もありまして,間接経費比率30%でございますとか,戦略的産学連携経費を別途設定する大学も出てきている状況を記載しております。
続きまして4ページでございますけれども,最初の丸のところは寄附金の関係でございます。こちらの寄附金につきましても,大幅に増加しておりますし,ほぼ全ての国大法人において受入件数,金額ともに増加と記載させていただいております。
その下が授業料の関係でございますけれども,この最初の丸におきましては,授業料の現在の制度,53万5,800円の標準額が設定されており,120%を上限に各大学が設定できること,また,外国人留学生に関しましては120%を超える設定ができるということを記載させていただいておりまして,その下の丸におきまして,120%を超えて設定している大学などを紹介させていただいております。
その下は,修学支援新制度のスタートの関係に言及しております。
その下が運営費交付金でございますけれども,こちらも法人化時と比較して1,600億円超の運営費交付金が減少しているというデータ,その下の施設整備費補助金につきましても,令和3年以降は当初予算と補正予算を合わせて1,000億円弱にとどまっているという内容,その下につきましては目的積立金,これは前回の資料2では記載しておりませんでしたけれども,過去の会議の中でも言及させていただいたものでございますので,その状況を記載しております。
5ページの最初の丸でございますけれども,科研費が増加しているという内容。
また,その下,研究基盤の強化を図る支援として,国際卓越研究大学制度でございますとか,J-PEAKSが始まっているというところを記載させていただいております。
このような財務の状況を,現状分析から見える課題といたしまして,その下にまとめさせていただいております。全体といたしまして,法人化前と比べて増えた収入源もいろいろなところで見られるところではございますけれども,法人のグループによりましては,財源による収入が伸び悩んでいるグループも見られると。この個々の法人の状況につきまして,各法人とともに分析を進め,各法人のミッション及び活動と照らし合わせて,各法人がどういった状況にあるのか,また,今後の機能強化に向けて取るべき具体的な方策は何か,議論を深める必要があると,最初の丸で記載させていただいております。
その次でございますけれども,一方で各法人におきましても,いま一度,各大学の財務状況等を確認する必要があると考えられると記載させていただいております。また,その状況に応じまして,各法人が苦労している点,工夫できている点。業務プロセスの可視化でございますとか,有効と考えられる取組を進める必要があるとさせていただいております。
その下が一般管理費でございますけれども,先ほども言及いたしましたとおり,経営の効率化の成果等が一定程度現れていると見られるところでございますけれども,デジタル社会の到来を踏まえますと,業務の効率化,また高度化を図ることがより可能となってまいりますので,デジタル時代の大学運営を支えるシステムの在り方についての具体的な検討が必要ではないかと記載しております。
その下は附属病院の関係でございますけれども,附属病院の赤字が広がってきて,病院経営の困難な状況が課題となっているという動きが出てきております。これを踏まえまして,病院経営の実態について状況を把握するとともに,それを踏まえて附属病院経営の考え方,ガバナンスを整理の上,病院経営の高度化を図る方策について,議論を深めることが必要とさせていただいております。
その次,6ページからが規制緩和の活用状況でございます。最初の丸のところでは,規制緩和を図ってきたこと,税制改正に取り組んできたことを記載させていただいております。
その上で,その次の丸が基金の関係でございます。これは,前回の資料におきましては研究の項目で記載させていただいておりましたけれども,こちらに移動させていただいております。こちらの基金を造成する観点からも,引き続き寄附金の受入れを増やしていくことは重要であると記載しております。
その次の丸が土地の貸付でございますけれども,こちらも令和5年度までに40件が認可されていると。
その下の丸の状況でございますけれども,とはいいましても,東京23区内の土地については年額で数十億円の収入が生じているものも出てきており,法人の立地によって収入の差異が生じているということに言及しております。
その下が余裕金の運用でございまして,こちらも現在,半数を超える法人が認定を受けている状況でございます。
その下の丸でございますけれども,最もリスク許容度が高い運用の認定を受けている法人が13法人で,そのうち9法人がAグループの法人であると。ただ,一方で,Aグループ以外の法人でも最もリスク許容度が高い運用の認定を受けている法人も4法人ございますので,各大学の経営意識によって制度の活用に差があるのではないかということに言及しております。
その下が長期借入れでございます。この項目につきましては7ページに続いておりますけれども,医科単科大学,Dグループを除く全ての法人で活用されていると。
その下が債券発行でございますけれども,現状,総額1,300億円の大学債が発行されております。
その下から出資の関係でございますけれども,その下の丸になりますが,出資認可件数は累計44件と,一方で社会実装を図る研究シーズが多くない法人においては,制度活用にまで至っている事例が少ない現状を記載させていただいております。
その下が株式や新株予約権の取得・保有状況でございまして,こちらも取得・保有している法人数が増加傾向にあるということ,また保有件数も増加傾向にあるということを記載させていただいております。
その上で,この規制緩和の現状分析から見える課題でございますけれども,仕組みを活用できている法人と,できていない法人がある傾向に見られる。そうは言いましても,小規模法人においてもうまく活用している事例も出てきているところでございます。
8ページを御覧いただきまして,そういった状況はございますので,国や大学間において,よい取組の共有や必要な専門人材の育成・確保などを促進することが必要ではないかとさせていただいております。
その下でございますけれども,産学連携やスタートアップ創出の高度化,卒業生や社会との対話や協創を通じた寄附につきまして,より大学は社会課題解決の拠点としての共感を得ることで,さらなる増加につなげることも期待されるということ。
また,最後の丸でございますけれども,大学側が,こういった規制緩和を活用するに伴いまして生じた隘路や疑問等に対する解説を国においても共有することが必要ではないかとさせていただいております。
丸3からは,人給マネジメント改革状況でございます。現状分析の最初の丸ではガイドラインの関係に言及させていただいておりまして,その次はテニュアトラック制の導入率が84%と上がってきていること。
その次に年俸制につきまして,当該大学を本務として勤務する教員の年俸制適用教員の割合は42.3%に達していること。
その下,クロスアポイントにつきまして,現状1,279人がクロスアポイント制度を活用しているということ。一方で,9ページの最初でございますけれども,民間企業とのクロアポの状況につきまして,国立大学の派遣先としては1割弱にとどまっていることを挙げております。
その下の丸では,任期付きの教員の割合が増加していること。
その下の丸におきましては,40歳未満のいわゆる若手教員の割合が減少しているということを記載しております。
この人給マネジメントの現状分析から見える課題といたしましては,計画的に各大学で人事給与マネジメント改革に取り組むことが必要とさせていただいた上で,法人の長のリーダーシップの下,各法人のミッションに応じて,強化すべき機能とそれに必要な体制を具体化していくことが必要とさせていただいております。
また,その下,教員の人事評価についてでございますけれども,これも委員の先生方から御指摘いただいたとおりでございますが,研究だけではなく,教育,産学連携,社会貢献など多様な視点に基づいた評価の仕組みを構築すること,また,必要に応じて教育や研究の分業化も検討すべきではないかということを記載させていただいております。
続きまして,丸4,教育の状況でございます。教育の状況は,最初に教学マネジメント改革の状況をまとめさせていただいておりますけれども,いわゆる3ポリシーの達成状況の点検・評価をしている大学も増えるなど,教学マネジメントが着実に進展していること。
また,その次の丸におきましては,アクティブラーニングの実施率でございますとか,次ページ,10ページに行っていただきまして,ナンバリングの実施率,カリキュラムツリー,カリキュラムチャートの活用率などについても挙がってきていることに言及しております。
その次の丸につきましては,いわゆる国立大学の教育研究組織の見直しでございますけれども,様々な見直しが進んでいることに言及しております。
また,その下でございますけれども,ほかの大学との連携の関係では,公立大学との大学連携推進法人の設置や,共同教育課程学部・研究科の設置など,大学間連携の取組が進展してきていることを記載させていただいております。
その下,国際化の状況でございますけれども,まず外国人留学生の割合は,学士,修士課程いずれにおきましてもOECD平均より低い状況にあると。
また,その次の丸でございますけれども,そのような中で文部科学省において進めてまいりましたSGU,スーパーグローバル大学創出支援事業におきましては,留学モビリティの拡大を牽引している状況が見られること。また,それだけにとどまらず,事務職員の高度化に係る指標が大きく向上するなど,大学の国際化に係る体制整備に着実な進展が見られることを記載させていただいております。
その下,ジョイント・ディグリーの関係でございますけれども,こちらも現在11国立大学において27件が同課程を設置しているということ。
11ページ,最初の頭でございますけれども,一方で課題といたしまして,英語のみで学位が取れる国立大学の数は学部段階で10,研究科段階で59にとどまるということを記載させていただいておりまして,国際化につきましては,多くの人的・経費的負担が現状もかかっているということを記載させていただいております。
次に博士人材の育成でございますけれども,こちらも冒頭,まず人口100万人当たりの博士号取得者数は,日本においてはまだまだ諸外国と比較して低水準になっているということを記載させていただいております。
その次の丸につきましては,経済的支援におきまして,こちらも財源が確保され,着実に進展しているということ。
その下以降でございますけれども,文部科学省における博士人材活躍プランの公表の関係でございますとか,博士人材の採用方針・方向性としての手引き・ガイドブックの策定などについて言及させていただいております。
その下に,大学発ベンチャーにおける博士ニーズが顕在化してきているということ。
また,11ページから12ページにかけましては,文部科学省で進めておりました博士課程教育リーディングプログラム,また卓越大学院プログラムなどの成果として,その他の博士課程学生等と比して民間企業への就職者の割合が向上するなどの効果が表れてきていることを記載しております。
続きまして,社会人,リカレント教育でございます。こちらも諸外国との比較が頭でございますけれども,社外学習・自己啓発を行っていない個人の割合が非常に高いという状況にあると。
また,社会人学生,25歳・30歳以上入学者の割合につきましても,学部入学者に占める社会人の割合は2.3%にとどまる状況にあります。
その次でございますが,履修証明プログラム,こちらは55大学が実施しておりますけれども,受講者数は3,500人程度にとどまっているということを記載しております。
続いての丸2つは今後のリスキリングについての課題でございますけれども,国立大学のリカレント教育を魅力的かつ安定的なものとしてどう自走させていくかは引き続き課題とさせていただいております。
その下,教員養成。こちらは前回データを資料に基づきまして説明させていただいたものでございますけれども,国立教員養成大学・学部の教員就職率は70%弱と上昇してきている状況にあるということ。
また,13ページでございますけれども,国立教員養成大学等につきましては,教職の高度化や地域におけるリーディング大学としての役割が期待される。そのため,その附属機関である附属学校につきましても,このような役割を果たす上での役割が期待されるということを記載しております。
これら教育の現状分析から見える課題といたしまして,13ページにまとめているところでございます。教育の質の向上に向けた取組は進んできておりますけれども,その取組をカバーするコストにつきましては,国の事業や民間企業との協働,また,教育のためになされた寄附等でカバーしている。このような教育の質向上に対応するコストの上昇にそろそろ限界が出てきているのではないかと。このような継続的な教育の質の向上を図ることは早晩困難になるとさせていただいておりまして,教育コストをカバーする予見可能性の高い持続可能な財源の確保は大きな課題となるとさせていただいております。
その次の丸が大学連携の関係でございますけれども,各大学におきまして必要な授業科目の精選を図っていく必要があるということ。そのため,連携開設科目,共同教育課程,ジョイント・ディグリーなどのさらなる活用が期待されるということと,また,委員の先生から御指摘もございました,デジタル社会の到来を踏まえまして,放送大学との連携といったことも考えられるのではないかということを記載しております。
また,その一方で,教育コストの上昇について理解を得るためには,教育効果と出口における質保証について,こちらをエビデンスをもって周知を図っていくことが必要ではないかということを記載させていただいております。
その下は国際化でございますけれども,大学が自律的・持続的に国際競争力・通用性の維持・向上をできるような機能強化を図ることが必要である。また,そのために,国立大学におきましても,多様性のある環境を構築していくことが必要ではないかとしております。
また,その下,博士人材の育成でございますけれども,こちらにつきましても,企業と学生が共同課題に取り組むPBLの実施,共同研究からの発展により,次は14ページになりますけれども,産学が連携して人材の育成に取り組むことも有効であるとさせていただいておりまして,こちらも委員の先生から御指摘いただきましたいわゆるIndustrial PhDということを注釈のほうに記載させていただいているところでございます。
続きましてリカレントの関係でございますが,こちらも,社会が抱える人材ニーズの調査と分析を行い,質の高い社会人教育を行う体制整備を引き続き促進するとともに,国立大学におきましても適切なコスト負担を求めることで,持続的な体制の構築を進めていくことが求められるとしております。
続きまして,丸5から研究の状況でございます。まずは論文数の関係でございますけれども,こちらにつきましても,Top10%補正論文数は減少を続け,近年下げ止まりの兆しと。一方で,諸外国が我が国以上に論文数を増加させていることがうかがえると記載しております。
その次が国際共著論文の状況。こちらも,令和2年頃からは全ての学問分野で低下してきている。一方で,中国がアメリカの国際共著相手としての存在感を高めているとさせていただいております。
その下は産学連携の状況でございます。こちらは,先ほど財務のところにもございましたけれども,民間企業との共同研究は増えているということ。また,1件当たりの金額1,000万円以上の共同研究件数も増えているところで,共同研究の大型化が進展しているということを記載しております。
その下は特許権実施等件数と収入でございますけれども,こちらもいずれも伸びているということを記載させていただいております。
15ページ頭が大学ベンチャーの新規設立数でございまして,こちらも,令和元年度以降約330件で推移しているということを記載させていただいております。
その下が研究の幅でございますけれども,こちらも,世界的な研究領域数が大きく増える中で,日本の参画領域数は微増にとどまる。また,コンチネント型が増加,スモールアイランド型が減少ということが見られるということで,新たな芽となる挑戦的な研究領域への参画が活発ではないのではないかということを記載させていただいております。
また,その次は研究者の状況でございますけれども,国際的な流動性の拠点にはなれていないのではないかと。
また,大学教員の研究活動時間割合が減ってきているという状況。
また,その下は研究費の状況でございますけれども,2000年代以降から研究開発費は横ばいに推移している。この間に中国,ドイツが増えているということ。
また,16ページは,研究機関の厚みの関係でございますけれども,我が国の特徴として,上から2つ目の丸でございますが,上位に続く層の大学から輩出される論分数が海外と比べて少なく,上位に続く大学の層の厚みを形成していくことを課題として記載しております。
その下は研究振興策の成果でございますけれども,科研費による論文はScopus平均の割合を上回っているということ。
また,その下の丸でございますけれども,Top10%補正論文数の科研費関与論文の割合は,我が国の産出数の60.4%を占めているということ。
また,その下でございますけれども,世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)におきましては,世界のトップレベル研究機関に比肩する卓越した研究成果を輩出することに成功しており,この中におきましては研究マネジメントや国際研究環境の構築手法等のグッドプラクティスが蓄積されていることを書かせていただいております。
また,その下は,財務のところでも触れましたけれども,国際卓越研究大学制度やJ-PEAKSさんの取組が始まっていることに触れております。
その下が,大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点の関係でございますけれども,大学共同利用機関が我が国の学術研究水準の向上に貢献していること,また例えば自然科学研究機構におきましては,若手研究者の育成の場としての機能も果たしてきているということを記載しております。
17ページでございますけれども,こちらは冒頭が共同利用・共同研究拠点制度でございまして,研究成果論文の上昇,学外受入れ研究者の増加,外部資金の増加などの成果を上げているということを記載しております。
こちらは,研究の現状分析から見える課題でございますけれども,まず最初の丸でございますが,先ほど論文のところでも言及いたしましたとおり,諸外国におきましては我が国以上の投資が官民を通じて大学セクターに対して行われており,諸外国との研究力の差が広がってきているということを記載しております。
また,2つ目の丸でございますが,こちらも検討会の中でも委員の先生から御指摘をいただきましたけれども,特に若手を含む意欲ある研究者による,新しいサイエンスを生み出す挑戦的な研究の萌芽を伸ばしていくためには,科研費など,比較的小型の種目も充実していく必要があるということを言っております。
また,3つ目の丸におきましては,国際卓越研究大学やJ-PEAKS,このような大学を中心とした組織間ネットワークの強化,また大学共同利用機関などによる我が国全体の研究大学群の構築と研究の裾野の拡大を図っていくことが必要であると言及しております。
その次の丸でございますけれども,こちらは産学連携の関係でございまして,共同研究等の価値に応じた共同研究費の適切な設定など,適切な価値づけを図っていくことが必要であること。
また,その次の丸でございますけれども,我が国の研究力向上のためには,システム改革,高度な研究マネジメント基盤の構築など,大学や大学共同利用機関同士の連携も図りつつ,こういった取組を進めていく必要があるということにも言及しているところでございます。
以上が3ポツの現状と現状分析から見える課題でございまして,その次,4ポツ,社会が大きな転換期を迎える中での国立大学法人等の機能強化に向けた今後の対応策についての方向性でございますが,こちらは基本的にはこちらの検討会で今後議論を引き続き行っていただきたい論点としてまとめているところでございます。
この最初の丸のところで言及しておりますけれども,今後の国立大学法人の機能強化に向けた方向性を検討するに当たりましては,2ポツで言及いたしました,社会の転換期を迎えているという状況を踏まえる必要があるだろうということで,最初の丸のところでその件について触れつつ,国立大学法人としてその機能を強化するために必要な見直しを図っていく必要があるとして,5つの論点を提示させていただいております。
まず1つ目が,国立大学法人等の役割と機能強化の方向性,2つ目が,機能強化の方向性に沿った規模とガバナンスの在り方,3つ目が,地方に所在する国立大学法人等が果たす役割と国からの支援の在り方,4つ目が,国立大学法人等に附属する組織の在り方,5つ目が,機能強化の方向性に沿った財政支援とコスト負担の在り方でございます。
まず1つ目,国立大学法人等の役割と機能強化の方向性でございます。18ページの最初の上から2つ目の丸のところです。国大法人の役割は,今まで様々言われてきたところでございますけれども,先ほど2ポツのところでも言及いたしました,社会の転換期を迎える中において,各国立大学が具体的に取り組むべき内容,またその取り組み方も変化しておりますし,それぞれの大学に期待される役割も変化してきているところでございます。
一方,その下の丸でございますけれども,大学共同利用機関法人,こちらも多様な機能を担っているところでございますけれども,我が国全体の研究システムの中での大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点の位置づけ・役割を明確にして,組織・分野を超えた国際的・学際的な研究ネットワークのハブとしての機能を強化していくことが求められていると考えております。
それを踏まえまして,3つ目の丸でございますけれども,各国立大学法人等につきましては,社会の大きな変化の方向性を見据え,自らの果たすべき役割・ミッションを明確にして,効果的かつ効率的に機能強化を図っていくことが必要ではないかと考えております。
そのため,19ページでございますけれども,本論点整理でまとめた現状分析を踏まえた課題等について,各国立大学法人等と文部科学省が認識の共有を図りながら,引き続き議論を深めていくことが必要ではないかとしております。
2つ目が,機能強化の方向性に沿った規模とガバナンスの在り方でございます。本日の参考資料として中教審の答申案を配付させていただいておりますけれども,この中におきましても,18歳人口が減少する中において,国立大学の学部定員の見直しは避けられないとされているところでございます。こういったことを踏まえまして,学部の規模や組織の在り方についても具体の検討を進めることが必要とさせていただいております。その際,例えば必要な教育コストを適切に徴収することを前提とした外国人留学生の増加,修士・博士課程の定員数の増加など教育研究の質の向上等の観点から,各法人の機能に応じた検討を進めることが必要とさせていただいておりまして,また,地域に応じた柔軟な対応が必要とさせていただいております。
その下の丸でございますけれども,こちらも,これまで国立大学法人の法人化以降,様々な統合等もあったところでございますけれども,リソースを補完する,または強みをさらに強化するといった観点からの国立大学等の再編・統合も選択肢に入ってくるのではないかと。当然ながら,この各国立大学法人の統合等につきましては,自主的な協議が基本となってくるところでございますけれども,法人と国がその目的を共有しつつ,ステークホルダーの状況も踏まえ,よく対話しながら建設的に議論を進めることが必要ではないか,またそのための対話の仕組みを設けることを検討する必要があるのではないかと記載させていただいております。
その下の丸,こちらも法人全体のガバナンスでございますけれども,一法人複数大学や教学と経営の分離が導入されておりますけれども,こちらの成果や課題を整理して,今後の活用に向けた方策を検討していくことが必要ではないかと記載しております。
その下の丸は,国立大学の中のガバナンスの関係になってまいりますけれども,各法人の機能強化の方向性とそれを支えるステークホルダーや財源に応じて,一定程度内部ガバナンスのバリエーションがあり得るものとも考えられることから,こういった考え方についての整理を行い,より効率的・効果的なガバナンスの仕組みの構築についても検討する余地があるのではないかと記載しております。
3つ目が,地方に所在する国大法人が果たす役割と国からの支援の在り方でございます。
先ほど丸1のところで,国立大学法人の役割は様々今まで指摘されていると述べたところでございますけれども,地方創生のためには18歳人口の流出を防ぐだけでなく,新たな産業をつくり,支える人材を育成していくというためには,国立大学等に期待される役割が一定程度あるのではないかということを記載させていただいております。
20ページ頭のところでございますけれども,このような地方における知の拠点としての役割を引き続き果たしていくためには,学部定員の在り方についてもそれに応じた検討をしていくことが必要ではないかということ,また公私立大学との連携や大学共同利用機関との連携の在り方も,地域の高等教育機関のハブとなるべく,検討していく必要があるのではないかとしております。
丸4は,国立大学法人等に附属する組織の在り方でございます。こちらは,まず最初は附属病院でございますけれども,最初の財務の現状分析のところでも言及させていただきましたとおり,附属病院の経営規模が非常に大きくなっているところもございます。こちらが大学の経営にも大きな影響を及ぼしている法人もあるところでございまして,附属病院はどのような機能が求められるのか,またそのためには,例えば現在大学や法人に附属するという仕組みを取っておりますけれども,これ自体が適切か検討を行うことが必要ではないかということを記載しております。
また,附属学校につきましては,こちらの附属学校の使命を引き続き自覚・実践する上で必要な見直しを検討することが必要ではないかとしております。
最後に5でございますけれども,こちらは,機能強化の方向性に沿った財政支援とコスト負担の在り方でございます。
各法人の機能強化を進めていくためには,令和10年度から始まる第5期に向けた運営費交付金の配分の在り方を検討していくことが必要であるということを最初の丸に記載させていただいております。
2つ目の丸でございますが,その上で,昨今の人件費や物価の上昇といったものが進んでおりますが,現在の運営費交付金はこれらに連動する仕組みとなっていない状況になっておりますが,これらにつきましても,他の独法とのバランスも踏まえつつ,その在り方についても議論が必要ではないかとしております。
その次の丸でございますけれども,国立大学法人が行う教育・研究に係るコストにつきまして,国大法人,国,ステークホルダーの間でどのようにコストを賄っていくべきなのか,考え方を整理していくことが必要であるとしております。
その次が,例えば現状分析のところで説明させていただいたようなスーパーグローバルやWPIのような教育研究組織・分野の枠を超えたシステム改革。こちらは,システム改革に重点を置いたということで改革がうまく進んできたということもございますので,今後このような支援を行う場合には,システム改革とセットで進めていくことが必要ではないかということを記載しております。
最後に21ページでございますけれども,こちらも委員の先生から御指摘いただいたところでございますが,高等教育全体への投資を高めていくためには,人材育成につきましても,文部科学省の枠を超えて,新しい政策軸の構築に向けて議論をしていくことが必要ではないかとさせていただいております。
以上,少し長くなりましたけれども,国大法人の機能強化に向けた論点整理の概要でございます。御審議をお願いいたします。
【相澤座長】参考資料についている中教審の特別部会の答申の内容,これについても簡単に説明していただけますか。
【吉田高等教育企画課長】すみません。では,私のほうから説明させていただきます。
【相澤座長】それでは,お願いいたします。
【吉田高等教育企画課長】中央教育審議会大学分科会の下で,「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」ということで昨年の9月に諮問をいたしまして,その後議論してまいったところでございます。先日12月13日に大学分科会とその下にあります特別部会で合同会議を開きまして,今日お示ししております答申案を御議論いただいたところでございます。
1ページ目は,今後の目指すべき姿として,上のほうにございますように,直面する課題,特に少子化がございますので,点線枠で囲っておりますけれども,現状は62万人余りでございますが,今後2035年までは約3万人程度の減少ですけれども,その後5年間,2040年では46万人まで一気に減少していくと見込んでいるということを書かせていただいておりまして,それを踏まえて,今後,右にございますように,目指す社会未来像と,それを支えていく人材像というものをお示ししているというものでございます。
その上で,今後,高等教育が目指す姿といたしまして,我が国の「知の総和」を向上させていくと。この「知の総和」は,人口は減少していくわけですけれども,一人一人の能力を高めていくというために高等教育が果たす役割は重要ということでございます。
それを進めていく上で,政策の目的といたしまして,「質」の向上,「規模」の適正化,「アクセス」確保という,この3つのキーワードを基に,それぞれ調整を図りながら教育研究の質を高めていく方策をまとめていこうという大きな方向性になっております。
一番下は,今後の重視すべき観点ということで,ここで9項目ほど,それぞれの内容についてお示ししておりまして,その中で教育の改善,それから研究力の強化,ガバナンスの改革などが含められているということでございます。
2ページ目が,まず「質」の点につきましての具体的な方策として,5つにまとめております。
1つめは,学修者本位の教育のさらなる推進でございまして,出口の質保証を高めていくこと。また,新しい質保証の仕組みを考えていく意味で,左の真ん中辺りにございますけれども,赤字で,認証評価制度の見直し,教育の質を評価していくような新しい評価制度に移行していくことなどを入れております。
右側が,多様な学生を受け入れていくことでございまして,特に外国人の留学生の問題ですとか,社会人の受入れの問題,また通信教育課程が拡大しているという状況もございますので,通信教育課程の今後の制度改善などについても提言を入れております。
左下が大学院教育でございまして,こちらは質の高い大学院教育ということで,一つは,赤字にございますような人文・社会科学系の学士・修士5年一貫教育の拡充といった部分につきましても今回打ち出しているところでございます。
4は研究力の強化。ここは,研究環境の整備,それから業務負担軽減というものが大きな柱になりますので,そういったところの具体策を入れて書かせていただいております。
右下は情報公表ということで,今後こういったものを進めていく上で情報公表は非常に重要でございますので,これまでやっておりますような国公立・私立の情報のプラットフォームから踏み込んで,新しいデータプラットフォームの構築によりまして,各大学などの情報を横断的に比較できるようにしていこうということも含めております。
3ページに参りまして,2つ目の大きなキーワードが「規模」の適正化でございます。まず,規模を適正化するに当たって,各高等教育機関それぞれの機能強化が重要でございますので,そうした意欲的な改革を行う取組の支援や,連携の推進といったことを掲げております。連携はその下のアクセスとも関連してまいります。
右側の規模の適正化につきましては,一つは,まず厳格な設置認可審査に転換していくことがございます。それと併せまして再編や統合を進めていくような取組,それから縮小や撤退を考えていくような大学等への支援についても,それぞれ具体策を掲げているところでございます。
下側がアクセスの確保という観点で,ここは地理的な観点,社会経済的な観点と2つに分けて整理しております。地理的な観点につきましては,地域ごとにアクセス確保を図っていくため,地方公共団体や産業界などと連携していくための協議体の構築,それから,より大学ごとの連携を深めていくような推進機構といったものの導入について提言しております。
真ん中は,都市から地方への動きを促進していくための地方創生の推進で,こちらについても国内留学等の具体的な方策が掲げられております。社会経済的な観点につきましては,個人支援,それから特に高等教育に入学する前の高校生などに対する取組が重要だということで,その辺を記載しております。
最後に4ページでございます。こういった具体策を進めていく上で機関別・設置者別の役割を整理しておりまして,左側が機関別で,こちらは学校種ごとにそれぞれの役割を改めて定義し直して,それをしっかり進めていくということ,右側が設置者別でございまして,特に国立大学・公立大学・私立大学について,国立大学については先ほどの論点整理にも記載されておりますけれども,社会を牽引していくような教育研究,それから国として実施すべき研究の実施という役割を定義しつつ,今後の進め方として,国立大学の学部の定員規模の適正化や連携,再編・統合を進めていくこと,地域の牽引役としての機能を強化していくことを掲げております。
下が,今後の改革を進めていく支援方策の在り方につきましては,高等教育全体が今後の日本を支えていく国力の源泉になることがございますので,高等教育への投資は未来への先行投資だということを強調しつつ,それを進めていく上で,高等教育の活動がしっかり社会から信頼を得ていくための方策をしていくことが必要であること,それから教育のコストがどれぐらいかかっているのかがなかなか見えにくいこともございますので,そうしたコストを明確にしていきながら,公財政支援,社会からの投資,個人・保護者負担,それぞれについて,一つだけに依存するのではなくて,全体として持続可能な仕組みにしていこうと掲げております。
具体的には,短期的な取組と中長期的な取組で分けておりまして,短期的な取組については,公財政支援,それから寄附などの社会からの支援,その上で個人・保護者の負担という形でそれぞれ整理しつつ,さらに中長期的な取組といたしましては,新たな財源の確保などについても触れているところでございます。
一番最後の行に書かせていただいておりますけれども,こうした全体の取組の今後10年間の工程を示していくための政策パッケージを策定して,具体的な方策を速やかに進めていこうという話でまとめていただこうということになっております。まだ現在審議中のものでございますので,また引き続き議論していただく予定にしております。
簡単ではございますが,以上でございます。
【相澤座長】ありがとうございました。資料1については北野企画官から説明いただきました。それから,ただいまの中教審の答申関係は吉田高等教育企画課長からでした。どうもありがとうございました。
それでは,これから意見交換に入ります。準備が整った方から名札を前に立ててください。そうすれば私が指名させていただきます。それから,ウェブで参加の方は「挙手」のボタンを押していただければと思います。それでは,これから18時までをめどに議論を続けたいと思います。どなたからでも結構でございますので,御発言をお願いいたしたいと思います。
どうぞ,川合委員。
【川合委員】ありがとうございます。論点整理をしっかりしていただき,ありがとうございます。項目が多いので,全てを理解したか不安ですが,中教審の中間の報告も踏まえて数点気になるところを発言します。ここは国立大学法人の議論をしているので,国立大学として必要な定員について最初に触れたいと思います。
18歳人口数から定員数を導くのは片手落ちだと思います。我が国の教育の成果は,国の力と直結します。国内の産業界が一体どのくらいの数の高等教育を受けた人材を必要とするかという概算数が本来はあって,そこからダウンストリーム的に大学としてどのくらいの人材を世の中に送り出す必要があるかという半定量的な議論があってしかるべきだと思います。
特に今,経済循環がよくなっている中で,求人率が求職率を上回っているかと思います。全てのセクターにおいて人が必要になっている。そういうときに,いきなり外から人を入れるということはそんなに簡単ではないので,そういう動向も踏まえながら,一体何人ぐらいを日本国内で教育するかという数値的な議論が欠けていると思います。
中教審の中間取りまとめにもこの点は触れられていて,国内の18歳からだけではなく,海外から人を入れることや,社会人からリカレント的な教育を受ける人も入れることに言及されています。また,労働者人口の増加策としては,婦人の労働者人口がまだ不足だとすれば,それを少し強化することが書かれています。数値は示されてはいないものの,方向性は私の考えと似ていると思います。
その中で,リカレント教育のところで気になったことがあります。これは取りまとめのほうにも書いてあるんですけれども,給料をもらいながら大学に行き直し,学位を取りましょう,という記述です。給料をもらいながらというのは,現状の仕事を続けながらリカレント教育を受けるという意味ですね。本当に意味のあるリカレントとは,現状とは異なる新しいスキルをつけることで,新たな人生を始めることが大事なので,現状を切って新しいところに飛び込んでくる人もを勇気づけないといけないと思います。そういう意味では,仕事を捨てて教育を受け直すことが必要になります。すなわち,それ相応の支援がないと,今の仕事を放り投げてでも新しいことに飛び込んでいこうというモチベーションにはならないので,ここは国もかなり大きなサポートをする覚悟が要ると思います。
リカレントを考慮しても,相当のリソースは海外から人を入れてくるということになるでしょう。大学院だけを窓口としていたのでは,海外からいい人はなかなか入ってこないので,学部から海外からの人材を受け入れるための間口を広げて,国としてのオープンネスを担保しながら教育していくことが必要だと思います。そして,一部は他国へ行ってしまうかもしれませんけれども,国内外で人が循環できるような国際的な人事制度を築くことが大事です。
あともう一つ,全然違う観点で気になることがあります。それは,年俸制の比率が順調に伸びていますねというところの記述です。何のために年俸制導入を促進しているのか,もう一度考えてください。退職金制度が残ると,長いこと同じところに勤めた方が得になり,適切な年限で場所を変えて経験を積むことの利点を推奨していることと相反することになるというのが根底にあったと思います。間違えていたら「違うぞ」と言ってください。数年前に導入された「新年俸制」は,退職金制度を残しています。これはえせ年俸制で,こんなものを推進しているのでは,本来の考え方は崩れてしまいます。財源確保が難しいのかもしれませんけれども,このえせ年俸制ではない,本当の年俸制にしていただきたい。もしくは,勤務先が変わったとしても,教育研究職としての通算年限を退職金算定の基準とするなどの制度変更を考えていただきたい。現状の新年俸制では,三,四十年同じところで働いていた人と,機会を得て5年,10年で別の大学や研究所を移動している人とでは,積算する退職金の金額が全く異なります。そういう理不尽さは数値を見ればすぐ分かるので,解消していただきたい。「ステップアップのためにほかへ行きましょう」という掛け声を掛けることで生涯給与を激減させる結果になることは健全ではありません。
最後に最も重要な点を一点。昨今,経済が好循環するようになり物価が上がっているにもかかわらず,大学関係の予算の数値がフィックスのままではいけません。何らかの対策を考えていただきたい。経済が上向きなのは大変良いことなんですが,到達目標は変わらないのに,貨幣価値が下がっていて計画通りに執行できない。にもかかわらず,当初計画通りに実現せよと言われても無理でしょう。現在の国立大学では,物価と同時に研究や教育に従事する人の給与も適切に(人事院勧告に従って)上げたくても,原資になるものが枯渇していて,対応できなくなっています。令和6年度はどうにか人勧に対応した大学も,次年度以降は対応できないのが現状です。これは喫緊の課題で,異常です。もう少し正常な形で経済成長に見合った教育研究活動が展開できるようにしていただきたいと思います。
今思いついたのはそのくらいです。たくさん申し上げましたが,以上です。
【相澤座長】ありがとうございました。今御指摘の点は今後の進め方のところにそれぞれ位置づけられておりますので,具体的な意見の展開は年が明けてからということにさせていただきたいと思います。
ただ,現時点で何か答えていただけることがありましたら,お願いいたします。
【井上国立大学法人課長】ありがとうございます。まさに御指摘いただいたところを具体的にどうやっていくかということが大事だと思いますので,基本的には相澤座長がおっしゃったとおり,深掘りしていくというところが中心かと思います。
年俸制については,確かに国全体の議論の中でも,退職金に関する税制の優遇を本当にどうするかというのはかなり大きな議論になっていて,急にやるのは,いろいろな激変にはなかなかあれじゃないかという議論もあったので,その辺りは国全体の議論も見ながら,ただ研究者の特殊性とかもあると思いますので,そこはなるべく後押しするというところに意を用いながらやっていければと思います。
【相澤座長】それでは,平子委員,どうぞ。
【平子委員】よく整理されていて,私も頭の整理ができました。全体を眺めて,3点ほど意見を述べさせていただきます。
1点目は,大学教育の出口に関する記述は結構あるのですが,入口に関する記述が少ないかなと,高大接続のことですが。 STEM教育あるいはSTEAM教育という言葉がありますが,私立大学よりも理科系の学部が多いという意味で,一般的に文理融合の教育ができるのが国立大学の特徴です。先ほどの分析の中にありましたが,例えば小中学校の教員のリソースは,私立と国立の役割分担を考えていってもいいのではないかなと思います。行く行くは大学入試の在り方についても,今後彼らが卒業して社会人になって経験するであろう社会課題の解決のために必要な能力を備えているかどうかという意味において,大学入試の改革というものが必要になってくるような気がします。そのような記述を入れるかどうか,考えていただきたいです。
2点目は出口の話として社会人の記述があります。ただ今後は,社会人になったら大学,高等教育は必要ないかというと,そんなことはなくて,キャリアの複線化に資するような高等教育であるべきだと思います。社会人でありながらも高等教育に接する人が増えてきますと,生涯教育に重点を置く大学の存在が高まる可能性も出てきます。
3点目は,土地貸付について。民間の不動産に貸し出すと確かに利率がいいわけですが,これから先,大学間の連携,あるいは共同教育機関がより意味を持ってくるとすれば,このような土地を「イノベーションコモンズ」などを目的として貸し出すような機運が生まれてこないかなと,そういう期待感も込めて。以上3点,申し上げました。
【相澤座長】ありがとうございました。第1番目は,大学入試そのものを本格的に取り扱うということですが、この検討会としては大変な重荷であります。これについては関連するそういう機関があるかと思いますので,まず検討状況といいましょうか,そういうものを文科省のほうから説明いただけますか。
【井上国立大学法人課長】ありがとうございます。具体的にというか,まず重荷だというのはおっしゃるとおりでございまして,ちょっとここでこのようにさせていただければなと思っていることの発言でよろしいでしょうか。
【相澤座長】はい,どうぞ。
【井上国立大学法人課長】教育の会議のときに,現状についてということで,参考資料で入試の中で総合型選抜,まさに平子委員がおっしゃったような○×とか,これが合っている,合っていないとか,そういうものとはまた違った形の入学者選抜状況というものを整理しておりまして,そういったものが大分進んできているという状況がございますので,現状分析のところにまずはそれを書かせていただいた上で,そのミッションに応じた機能強化という中で,そこも含めてどう考えていくかということが分かる形で少し直させていただければなと思います。
【相澤座長】そのほかのことについては,今後の検討の方向性の中に盛り込まれているわけでございますので,そこでまたいろいろと出していただければということで。
【井上国立大学法人課長】そうですね。社会人のほうはまさにそういうことだと思います。
あとは土地の件でございますけれども,実はそういったものが少しずつ進んできております。例えばベンチャーを一緒に育成するような,企業側とそういった研究が一緒に入って活動するとか,そういったものに活用する。その運営を民間がやるみたいなところも出てきておりますので,まさに機能強化の観点から,特に研究だったり,それを生かした社会実装を志していくような法人はそういう意思を,今いろいろな支援も始まって,強く持ち始めておりますので,まさに機能に応じてそういった機運が高まっていくようなことをほかの研究関連施策とか他省庁のイノベーション施策とかと一緒にやっていくようにしていきたいと思います。
【相澤座長】よろしいでしょうか。それでは,福原委員,どうぞ。
【福原委員】論点整理で大分すっきりしてきたのですけれども,整理された項目のそれぞれに関わっていたので,一度発言させていただいたことが分散化してしまったかなと思いましたので,ここでもう一度申し上げておきたいと思います。
それは,ガバナンスやマネジメントという論点の中で確かに触れられているのですけれども,大学という組織を強靱化するためにこの法人化という一つの大きな舵を20年前に切ったわけで,その法人化はまさに言い換えればガバナンスを強化するということです。これは教科書に書いてあるので,柳川先生にお話しいただいたほうがいいのかもしれませんが,その組織をここでつくるということは,市場だとか政府の規制だとかというのとはまた違った資源配分のシステムをそこに設けるということであります。市場に委ねてしまったり,政府の規制に委ねてしまうのではない,それに代わる効率的でさらに迅速な資源配分をどうするのか。そういうためにつくる組織ですから,当然そこにはガバナンスとかマネジメントということがしっかりできていないと法人化したことの意味がないというので,一丁目一番地にガバナンスがあって,そしてそれを支えるマネジメントがあると思います。その中でどうしても私は,この機能強化を支援する人的リソースの充実という点,国立大学のガバナンス面でもマネジメント面でも,これは支援している人的リソースが我が国の場合十分に整っているのかという疑問を,海外の大学等々に訪問させていただいたり,海外の制度を眺めたときに思うことがよくあります。
いわゆる教員とか研究者とは別に、事務職員とくくってしまわれることもあるかもしれませんけれども,むしろ運営スタッフといった立場の人たちがしっかりと機能強化を支える各部門に配置されているのだろうか。しかも,それが近年どんどん専門化しているわけであります。一般事務職員という名前がよくないのかもしれませんけれども,そういった専門人材を育成して参加させる。最近では,RAだとかTAというもので支援するとか,URAを置くことで研究力を伸ばしていくということもありますし,また論文数を上げたり質を高めたりという意味では,かつての出版部の編集者という意味ではなくして,エディターですとか,様々なそういう調査員だとか,こういったものを置いている。法律事務所で言えばパラリーガルみたいなものをきちんと置いているとか,学部・大学院だけではない,今日も論点にある附属の組織としての研究所とかセンターといったところにそういう専門人材をしっかりと配置している。
さらに最近では,東京大学に見られるように,財務とか資産運用においても民間で経験を積まれたそういう専門家を配置しているということですので,そういう意味では,もう触れられていることだとは思うんですが,いま一度そういった機能強化を支援する人的リソースを充実させるということが,次の国立大学法人化の20年というか10年にとっては大変重要なことであり,その国際力,海外の大学に比べて機能をさらに強化していくという意味でも重要な論点ではないかと思います。その点をもう少し何か強調していただければありがたいなと思います。それは国立大学に限ったことではなく,公立大学法人も私立の学校法人も同じことなんでありますけれども,それをまず国立大学でリードしていただくということが,日本の大学を運営している組織のガバナンスやマネジメントといったものを充実させることになるのではないかと思いまして,一言だけ付け加えさせていただきました。ありがとうございました。
【相澤座長】大変重要な御指摘だと思います。確かに,福原委員が何度か強調されてきたことが分散されて存在するという状況かと思います。具体的なところとしては,最後の4ポツのまとめのところの丸2の中身に関わってくるところが一番位置づけはしやすいのではないかと思われます。ここに今の内容をちょっと加えるということで,どうでしょう。事務局の取扱いとしてどうでしょうか。
【井上国立大学法人課長】もちろんでございます。そういった意味で,ちょっとばらけていて,実は8ページの一番上のパラグラフとかは,特に知的財産の活用ですとか,そういった点で非常に今活発化していますけれども,専門人材が足りないということも言われているので,専門人材の確保・育成の促進といったところに言及しておりますけれども,そういった点も含めて,最後にその辺りを総括的にすっきり書けるように工夫します。
【相澤座長】そういうことでよろしいでしょうか。
【福原委員】その点,今どういう採用をしているか。そういう人材の採用とか登用ということは,この20年間,国立大学法人としてかなり自主的にそういうスタッフも集められるようにはなったと思うんですけれども,採用の現状はどうなんでしょうか。
【井上国立大学法人課長】特に産学連携関係につきましては,流れを申しますと,共同研究の大型化というところから,そういった事業プランを書く人とか,そういったものを育てましょうということで,事業も,オープンイノベーション機構とか,そういったものを進めながら,一般的にURAと称する専門家の方はかなり広い業務をしておりますけれども,それこそ研究に関する申請書を書くといったこともありますし,事業プランを作るとか,それに併せて知財の専門家といった方も大分増えてきたといった状況がございます。
あと,財務につきましては,自らのところで専門家を抱えてやるぐらいの規模感を持って運用できる元のお金がある法人というのはまだ限られていますので,そこまでさっきのURAとかに比べるとまだ進んではいないけれども,徐々に進みつつある。それは,国際卓越研究大学制度が始まって,そういう中でCFOですとか,そういった方々を置いていこうというので,かなりそういったことを指向する大学は,先んじてそういう専門家に学内に来ていただいているといった状況がございます。中でもURAについては,非常に研究施策全体の中でもかなり広めに取り組んでおりますので,私学を含めてそういった協議会も自主的に開催されておりますし,そこは施策全体で後押ししていくような状況ですし,実際に増えてきているといった状況にございます。
【相澤座長】あと一つは,21ページの下から2番目の丸印のところを見ていただけますでしょうか。ここに,今出てきましたけれども,SGUあるいはWPIのような大型の拠点型のもの,こういう中にシステム改革というものが入っておりまして,その中には今御指摘のような人材というものが自由に置けるような仕組みになっております。ここで提起していることは,そういうところで現実にもう既に進んでいて,しかも成果を収めているところがある。そういうものを少し横目で眺めながら横展開していく。こういうことでここに書かせていただいているので,初めからそういうシステムをつくるということで文部科学省は支援をしているわけではないというところであります。今のところも含めて福原委員の御指摘のところを今後検討していくということにさせていただきたいと思います。
それでは,そのほかの御意見はいかがでしょうか。
【樫谷委員】よろしいですか。
【相澤座長】樫谷委員,どうぞ。
【樫谷委員】この報告書,論点整理を読んでいまして,よくまとめてやられているなということは思ったんですが,私も,40年にはならないんですけれども,三十七,八年ぐらい,ずっと企業再生をやってきたんです。確かに企業再生と大学の改革とは違うということはよく理解していますし,特にノンプロフィットというのはもっと企業よりも難しいということはよく理解した上で言っているんですけれども,少しこの現状の認識,例えば1ページに「社会の大きな転換期における大学」と書いてあって,20年間で環境は絶えず変化していると書いてあるんですけれども,実はこれも企業ではもう今激変しているんだという認識です。また,これからももっと激変するという認識の中で,では企業はどう生き残るんだということを考えないと生きていけないというのが,その認識なんです。ただ,大学がそうなのかどうなのかは私は分かりませんが,組織ですから,それほど変わるとは思えないと思うんです。
そうすると,全体的に,とても厳しいことを言うようですけれども,読んでいると,今までうまくやってきたと。確かにうまくやってきたんでしょうね。やってきたのだけれども,問題があるので,それは少し変えなければいけないみたいなイメージで全体を読んでしまうんです。もう激変しているのだから,徹底的に変えないと,世の中を大学の在り方も含めて変えないといけないというところからこの検討をしないと,つまりもう激変に追いついていけないんではないかなという危機感を持っておりまして,そこは企業と大学は違うんだといえばそうなのかも分かりませんが,何か非常に甘い。我々がやっているのも,もちろんいいところは認めつつ,やはり企業のほうは徹底的に見直して,ある意味では現状を否定するわけです。否定するので改革案が出てくるんです。
そういうことなので,とにかく今は抜本的に見直さないといけない時期ではないかなと,企業はそうなんです。大学は違うかも分かりませんが,大学もそうだと思って,もうちょっと突っ込んでこの論点整理をしていただいたことは事実なんですけれども,その危機意識ももちろん文科省だけではなくて,各大学が本当の危機意識を持たないと変えられないんではないかなと。少し変えて,何とかしましたみたいなことで終わってしまう可能性があるので,何か危機意識をもう少ししっかり持っていただくような記載の仕方をしていただくと,よりいいのかなと思いました。
以上です。
【相澤座長】大変厳しい御指摘であるんですが,確かにおっしゃるとおり,その厳しさが少し欠けているかもしれません。これはぜひこの一番最後のほうの論点整理の中でそれぞれ具体的に御指摘いただいて,どうすべきなのかということをまとめていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
それでは,そのほかの御意見はいかがでしょうか。永井委員,どうぞ。
【永井委員】全体として,これまでのいろいろな報告書のトーンに近いと思いました。私も大学でかなり長く研究しましたが,大事なのは,若い人がひらめくと自立できるということです。そしてひらめいた人がきちんとポストを得て自立するのが大学です。その仕組みをつくってあげられるかどうかということです。じっとしてひらめく人もいますが,全体的には確率は低い。ひらめくのに一番よいのは,旅に出ることです。異分野とか,異なる背景の人,異なる文化,追い詰められて寂しい思いをして研究する。そういうときにひらめく確率が高くなります。ロープ際に立たされて,自分はどうなるか分からないなというときに見えないものが見えてくるのです。だから,そういう経験をさせることを前提に大学をつくらないといけないということが一つです。
博士人材のCMもよいのですけれども,それは定常のコースです。その後のポストドクや留学生として不安に駆られつつ研究をする。セーフティネットを用意しつつ、自らハイリスクのプロジェクトにチャレンジしていくことです。また同じ研究室にいると,優秀な人でも伸びずに、雑用に振り回されます。業績を挙げても,大体指導者の成果になってしまう。自立するためには,指導者を超えないといけない。それは難しいようにみえても、サイエンスはどんどん進歩していますからひらめいて、指導者とは違う世界を切り開けます。ヨーロッパではアプレンティスといって昔から旅に出ながら修行する教育がありましたけれども,研究者育成もそれとほとんど変わらないと思います。そういう意味でポストドクや留学生の支援をしっかりおこなっていただきたい。ですが,まずはそうした精神の育成です。この報告書は,制度とか箱とか枠組みはよく書いてあるのですが,大学人に求められる精神に関する記載が足りません。不安の中で旅に出ながらひらめいて,あとは汗をかくというところをもっと出したほうがよいと思います。
それから,施設もただ大きくしただけではいけないので,そういう意味では,共同利用機関とか共同研究拠点をしっかり支援すること、特別な設備がなくても,共同研究やバーチャル研究所のような横のつながりを支援することが大事だと思います。
さらに、ひらめいた人をいかに迎えるかという人事の問題があります。人事が硬直していると,年功序列になります。大学の人事の流動性をもっと意識する必要があります。医学部で特に顕著ですけれども,自校出身者の割合が重要です。教授クラスの自校出身者の割合が非常に高い。特に医学部はそうですけれども,そういうところをもっと流動化しないといけないと思います。一方、地方大学からは都会に人が出てしまうようですけれども,特色のある地方大学を進めて、都会からしばらく間、地方大学で勉強してくるようにする。バーチャル研究所や共同研究拠点が充実すれば,そういうところへ行って習練する。これも若い人がひらめくための仕掛けになります。そういうことがもう少し書かれるとよいと思いました。
以上です。
【相澤座長】ありがとうございました。やはり若い人にそういう気づきをさせるということは,最も基本的なところだと思います。これは,ぜひ今後の検討していくところの柱としても,そういうことを繰り返して御指摘いただきながら,それをどういう形でシステム化していくかという形で御議論いただければと思います。
それでは,そのほかいかがでしょうか。
事務局から,今日御欠席の委員の方からのコメントがあるかと思いますので,よろしくお願いします。
【北野国立大学法人支援課企画官】本日欠席の森田座長代理からコメントをいただいておりますので,簡単に紹介をさせていただきます。
まず,森田座長代理から,国立大学のガバナンスの改善が必要でないかという御指摘をいただいております。こちらは,4ポツのところでもガバナンスの件に触れているところでございますけれども,現状の国立大学法人の内部ガバナンスでございますけれども,合意形成に時間がかかるところがあるのではないかと。また一方で,例えば経営の失敗について責任をどう取るかというところが明確になっていないというところもございますので,こういったところを明確にすることが必要ではないかという御意見をいただいております。
また2つ目は,論点整理の中でも触れさせていただいておりますけれども,教育研究,いずれにしましてもその成果を客観的に示す努力を大学はすべきではないかという御意見をいただいております。やはり教育にどれくらいのコストがかかるのか,また出るときにどれぐらいの付加価値がつけられているのか,こういったところをしっかりと整理すべきだろうと。
また博士人材につきましても,増加は必要なわけではございますけれども,どのような能力を持った博士を育成しようとしているのか,各大学ごとにしっかりと明確にしていくべきだと。ポイントといたしましては,現状の社会からのニーズとサプライ側でミスマッチが生じている可能性があるのではないかという御指摘をいただいております。
3つ目が,大学の規模・機能に応じた再編を検討すべきではないかと。こちらにつきましては,国立大学につきましても,地域に立地する公私立大学との連携も含めて地域における役割を整理して,本日のこの論点整理にも入っておりますが,遠隔授業も活用した上で,小規模大学のシステム化を図った上で,効率的に研究,教育,地域貢献を行うべきではないかという御指摘をいただいております。
最後の4点目でございますけれども,こちらは附属病院の話でございまして,こちらも4ポツの論点整理の中に入っておりますけれども,附属病院が分離して独立した形態とすることが考えられるのではないかと。やはり一つの独立した経営体となることで,長期的に安定した経営ができる資金運用,事業計画といったものを立てるような組織になっていくべきではないかという御意見をいただいたところでございます。
以上でございます。
【相澤座長】ありがとうございました。
それでは,柳川委員,到着早々で申し訳ございませんが,どうぞよろしくお願いいたします。
【柳川委員】申し訳ございません。大学側の会議がありまして,大分遅れて参りました。皆さんの御意見を拝聴できていないので,ちょっとずれた意見だったり,重なる意見を申し上げるかもしれませんけれども,御容赦いただければと思います。
私からは,大きく4点,コメントをさせていただきます。
1つ目は,まずこの報告書の論点整理は非常によくまとめてくださっていて,最初のところに書いてある「社会の大きな転換期における大学」というところはとても重要なところだと思っています。今の段階あるいはここ数年のことを考えると,国立大学法人も日本の大学も,そんなに大きな変革を考えずに,少しずついろいろなものを変えていけばいいということかもしれませんが,ここに書かれているような大きな社会・世界全体の変化を考えますと,せっかくこういう会議をやっているんですから,そういう大きな変化の中で,では国立大学法人がどういう役割を果たしていくのかというのは,しっかりこの先考えていくべきだと思っています。これが1点目です。
2点目は,そういう変化の中で,では日本の大学がそもそも大きく変わっていかなければいけない中において,国立大学法人というものはどういう役割を果たすべきなのかと。私立大学とかというものと何が違って,どこをミッションとするのかというところは,これは最後のところの検討課題に書いてあるところですけれども,改めてしっかり考える必要があるのではないかと思っております。基本的には,そこは各国立大学法人が独自性を持って特色を出して考えていただくということだとは思うんですけれども,とにかく勝手に考えてねということでは大学法人としてのまとまりができないと思います。
ただ,それを全部文科省なり政府が単一的に決めてしまっても多様性が出てこないという意味では,幾つかのポイントに絞って,こういうミッションをしっかり実現してほしいというものを決めていくということだと思っています。それは既に書いてありますように,幾つか,今までもそういう意味でのミッションが提示はされているんですけれども,これでいいのかどうか,こういうくくりでいいのかどうかというのは,私は改めて考えるいいポイントだと思っていますので,その辺りはこれからの議論だと思いますけれども,どういうものを実現していくための国立大学法人なのかというのは幾つか挙げて,結局,後でその成果をしっかりはかっていくときには,それが達成できたのかどうかということを将来的にはチェックしていくということになるのだと思いますので,そのようなミッションと,そのための具体的な方向性と実現度といいましょうか,そういうものをしっかり考えていく必要があるんだと思っております。
3点目は,そういうことを実現させる上で財源の話はとても大事だと思っておりまして,特に産学連携とか寄附とか,いろいろなもので財源の多様化が図られてきたことはとても重要なことなんですけれども,それはどうしてもなかなか安定財源になりにくい。単年度であったり,あるいは5年とか,長くて10年というところです。ところが,研究者がしっかり安定して仕事をしていこうとすると,相当長い期間安定的に財源がないと,なかなか安心して働けなかったり,あるいは大学側も安心して雇用できなかったりという部分があります。そういう意味では,どういう形でかなり長期にわたる安定財源を確保できるような形にしていくか。ですから,必ずしも国とは限らないんだと思いますけれども,そういうスキームを少し考えていくことが長期的な大学戦略を考える上では重要だと思っています。
4点目は,先ほどお話があったようなガバナンスの話は重要だと思っていまして,今までの大学のやり方と変わっていくとすれば,組織再編とか,そういうものは不可欠なんだろうと思います。そういうものをしっかりうまく組織再編なども含めた変革を促していく,あるいは実現できるようなガバナンスの在り方というのは,今までのように,しっかり経営をしてくださいというタイプのガバナンスとはちょっと違った側面があるんだと思いますので,そういう面での方策というものもこの先しっかり議論していくと望ましいのではないかなと思っております。
以上でございます。
【相澤座長】ありがとうございました。
それでは,ただいま御指摘の点は,今後の進め方のところに盛り込まれておりますので,そこでまた教えていただければと思います。
永井委員は,もう一度御発言という意味でしょうか。
【永井委員】よろしいでしょうか。
【相澤座長】どうぞ。
【永井委員】病院をどうするかというのは本当に真剣に考えないといけない問題です。現在,公的病院の経営は薄利の状態で行われており、ひたすら規模を拡大していかないと経営が難しい。そうすると,当然たくさんの医師を集めないといけないし,技術も患者さんも集めないといけない。そんなに苦しいのなら少し縮小したらというと,今度は倒産してしまう。ですから,大学病院の在り方を,理念から経営の在り方まで含めて,集中的に議論されたほうがよろしいと思います。
大学病院には明治以来の矛盾があり,かつて大学紛争が起こりました。その後、臨床活動はほとんどなくなってしまって,研究中心の病院となりました。しかし,それではいけないということで,法人化頃から臨床が非常に活発になりました。しかし医師やスタッフが消耗する状況になっていますので,この在り方をぜひ別途考えたほうがよろしいと思います。何よりも,病院の経営規模は運営費交付金を超える状況です。医学部附属病院という形でそもそもよいのかというところも含めて,ぜひ御議論いただきたいと思います。 
以上です。
【相澤座長】永井委員が再三御指摘のところなんですが,これは文科省として今,検討状況はどういうことなんでしょうか。
【俵医学教育課長】ありがとうございます。医学教育課の俵です。永井先生も,ありがとうございます。
永井先生から御指摘があったように,まさに大学病院に関しても転換期になって,これは永井先生に座長もしていただいて議論もしてきています。ただ,今回ここで議論いただいた内容も踏まえて,また医学教育課においても,この会議の議論と連携しながら議論を進めていきたいと思っています。また永井先生にも相談させていただきながら,今の現状,特にこの一,二年でその転換期にある状況がますます拡大しているので,それも踏まえて検討していきたいなと思っています。
【相澤座長】永井先生が座長をされているその検討会の状況は,いつまとめられることになるんでしょうか。
【俵医学教育課長】すみません。ありがとうございました。実は2回まとめを整理していて,去年の6月ぐらいと今年の6月と。そしてまた,これは継続的な議論が必要なので,改めて議論をしていただきたいなと考えているところです。これはまた省内でも,また永井先生にも相談しながら,さらなる議論をしていきたいなと考えています。
【相澤座長】それでは,この件につきましては,年が明けてからこの論点整理に基づいて議論を展開してまいりますので,しかるべきときにその状況をここで御披露いただくということにさせていただければと思います。
それでは,そのほかの……。私のほうからは気づきませんでした。上山委員,どうぞ。
【上山委員】今まで数回にわたってかなり様々な多様な意見が出てきたものをこんなにきれいにまとめるんだなと思って,まずそのことに驚きました。能力の高い人がまとめたんだなと思いまして,そのことについて改めてお礼を申し上げたいなと思います。
その上でですけれども,全体を拝読して,もし可能であればですけれども,ここで書かれている現状の分析と課題について,その課題の深さあるいは軽さ,あるいは文科省としての課題認識のプライオリティーづけみたいなものがもう少し分かるような記述がしてもらえたらありがたいなと,ちょっと勝手な言い方ですが,思います。
例えばこの中で,国際化も低いと書かれている。だけれども,何かの政策は動いているわけです。それは10ページですけれども。11ページには博士人材の課題が書かれていて,博士に行く人は少なくなっているけれども,それは少しこのような政策が走っている。こういうことが書かれていますけれども,それぞれについて様々な政策が動いている現状の中において,高等局としては何に大きなプライオリティーを置いているのかをもう少し読み取りたいなという気がします。
例えば,一番初期の頃にも出てきたような教育評価の問題,TEF(Teaching Excellence Framework)みたいなものをやりたいと思っているという発言も文科省側の方からも出たとは思いますけれども,それは,そういうことは本当にやるべきだと考えているのか,その意思の強さみたいなものも,ちょっとそこは読み取れないなということであったりとか,あるいは共共拠点の問題も何度か出てきて,それは言わば広い意味での国立大学の研究基盤の改善の問題が恐らくあると思います。そのことはいろいろなところで少しずつ触れられてはいますけれども,その課題は,国立大学という公共性の高い使命,ミッションを帯びている大学あるいは国研,共同利用機関の中でどれぐらい大きな課題として認識されているのかみたいなことが,これを全体にざっと読んだときに,非常にきれいに書かれてはいるけれども,ここで一体何を一番読み取っていけばいいんだろうかと,そこがちょっと工夫してもらえたらありがたいなと思います。
その意味で,もしそれが幾つかの問題や大きな課題であれば,そこをてこにいろいろな議論はできるでしょうし,それはかなり短期間においてやらなければいけないことなのか,いやいや,そうではなくて,かなり長期にわたっていくので,そうするとそういう長期にわたるような財源は何があるんだろうかとかという形の議論に発展していくことができるので,繰り返しになりますけれども,ここで書かれているような現状分析と課題のある程度のウエートづけがどこかでなされているのか,それの時間的なフレームワークで何を大きな問題としているのかみたいなものが文章の中から少し読み取れるようなサジェスチョンがあれば,大変ありがたいなという印象を全般として受けました。全般的に,非常によくきれいにまとまっていますけれども,政策の軸を考えるときのヒントが欲しいなと思った次第でございます。
以上です。
【相澤座長】ありがとうございました。
ただいま御指摘の点は,最後の4ポツのところに5本柱を出しているわけです。この5本柱が,現状分析に基づいて、課題の整理を行い,そして,では今後,機能強化に向けて何をどういうプライオリティーをつけて進めていくのか,その具体的な方策はどういうことなのか,こういうことを年明けから議論を始めて,この5本柱それぞれについて大くくり化をしながら具体を出していく。こういうことで今日の論点整理があります。そういうことで,今御指摘の点はこの検討のプロセスで明らかにしていくという位置づけになっておりますが,そういうことで御理解いただけますでしょうか。
【上山委員】では,年明けにこれを深掘りしていくということで理解してよろしいですか。
【相澤座長】はい。
【上山委員】分かりました。ありがとうございます。
【相澤座長】年明け,少なくとも1年以内に全部まとめるということになります。ということで御理解いただければと思います。
それでは,そのほか,御意見はいかがでしょうか。
それでは,いろいろな角度から御意見をいただきました。それで,本日はこのただいまの論点整理が「案」ということになっておりますが,この内容について皆様の御了承を得たいと思っております。そして,その御了承を得るに当たって,もう一度この論点整理の全体を見ながら,座長としてのコメントを少し付け加えながら進めたいと思います。
それでは,スライドを共有画面にしていただけますでしょうか。
そこで,この2ポツのところです。「社会の大きな転換期における大学」というところ,ここが今回の国立大学法人の機能強化に向けて最も重要な部分になります。社会の転換期が4つ例示されています。デジタル社会の到来,それからグローバル化を経た複雑な国際環境, 3つ目に,脱炭素といった地球規模課題の顕在化,4つ目に,我が国における少子高齢化の急速な進展であります。
最も重要だと申し上げた理由は,こうした社会の大きな転換期が,大学の在り方を厳しく問うているということです。先ほど樫谷委員が危機感ということを言われましたけれども,私は,大学がこうした転換期に今置かれていることに対する危機感を共有するべきではないかと考えます。その上で,国としては,それから各国立大学法人としては,挑戦すべきことは何なのか,このことを明確にしていく必要があろうということであります。
ですから,今までは国立大学法人という枠の中で,その中の問題点をいろいろと抽出して,それをどうするかという議論が中心だったわけであります。そうではなく,大きな転換期が迫ってきていて,もう大学そのものの存在形態,在り方そのものが揺さぶられているわけです。そのことに応えながらこの大学が置かれている危機を乗り越えていかなければなりません。文章にはそこまで危機感を表現してはいないんですけれども,この背景としてはそういう位置づけと捉えております。
そして,最後の4ポツのところの画面を出していただけますでしょうか。ここで,これからこの検討会で何を検討していくのかということを5つの柱の下に整理したわけであります。この5つの柱というものが,現状分析をし,課題の整理をし,その結果出てきたものであります。ですから,そういうことを乗り越えるということなんですが,大きく5つに分けてあります。それぞれについてかなり具体的なところまで,ここには出してありますが,これはそれぞれ各柱ごとにこれから議論を進めますので,そこで改めてお気づきの点はどんどん出していく。必要なことは,そこのところをどうやって改革を進め,そしてこれからの未来を切り開いていくかというところであります。
先ほど来もう既にいろいろと御意見が出てまいっているわけですけれども,この議論を進めるに当たっては,文部科学省だけではなく,関連する様々なステークホルダーから御意見を伺ったほうがいいのではないかと思います。そのようなことも踏まえて,年明け以降,そういうヒアリング的なことも入れ込みながら検討を進めていきたいと思っております。ですから,この4ポツのところに書かれておりますのは,がちっとしたことで整理しているというよりは,こういう柱立ての下で進めていくということで御理解いただければと思います。
このようなことで,本日が6回目ですけれども,これまで検討会で出てまいりました御意見等を全部この中に入れ込みながら,今後の論点を整理したところでございます。
先ほど来いろいろと御意見をいただきました。基本的には,こういう方向で進めていってよろしいのではないかという感触を私は受け取っております。
改めて,これからこの論点整理を御承認いただけるかどうか,お諮りしたいと思います。
こういうことで,本日提示いたしました国立大学法人等の機能強化に向けての論点整理(案)を御了承いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【相澤座長】ありがとうございました。
なお,先ほど来,文章表現等で修正を必要とするようなところの御指摘がございました。ここについては,座長である私に御一任いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【相澤座長】ありがとうございました。もちろん,その結果については,委員の皆様に開示させていただきます。そして,それをもって対外的な公表ということとさせていただきます。ありがとうございました。
本日は、藤原事務次官に御出席いただいておりますので、今日の議論の雰囲気を踏まえていただき,次官からお言葉をいただければと思います。
【藤原事務次官】ありがとうございます。先生方におかれましてはこれまで6回にわたって大変活発な議論をいただきまして,誠にありがとうございます。
今日は,私も途中からではございましたが,御議論を伺わせていただきました。これまで大変丁寧に,この20年間にわたる法人化の成果と現状と課題といったことにつきまして整理をしていただいたと思っております。これが年明け以降の本格的な議論の土台になるのかなと思っております。まさに年明け以降がこの会議の本番と思っておりまして,その中で今後の大きな方向性をしっかり示していっていただくことが必要であると思っておりまして,私どもとしては,現状のまさに待ったなしの状況を踏まえて,これから大きな改革期に入る国立大学の在り方,先生方の今後の御提言を踏まえて,それをしっかりと実行していくといったフェーズに入っていきたいと考えておりますので,どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。
【相澤座長】ありがとうございました。藤原事務次官におかれては,委員の熱い気持ちを十分受け取っていただき,今後の本格的議論に期待を寄せていただければと思います。
それでは,これで本日の議事としては終了でございます。今後の,年明けの予定につきましては,事務局からお願いいたします。
【春田国立大学法人支援課課長補佐】事務局でございます。年明け以降,具体的な対応策について御議論いただきますが,年明け以降の検討会の日程につきましては,また各委員と日程調整させていただきながら,改めて御連絡させていただければと思います。
以上でございます。
【相澤座長】それでは,これで本日の第6回の検討会を終了させていただきます。今日はクリスマスイブでありますが,こんなに遅くまでこの検討会にお付き合いいただき誠にありがとうございました。よいお年をお迎えください。
 

―― 了 ――

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