令和6年10月2日(水曜日) 15時00分~17時00分
中央合同庁舎7号館東館(文部科学省)14階 高等教育局会議室
飯田委員、稲垣委員、佐野委員、須賀委員、菅原委員、南委員、村松委員
錦参事官、篠原私学経営支援企画室長、畑参事官補佐、今井専門職
【須賀主査】 それでは,これより第6回学校法人会計基準の諸課題に関する検討ワーキンググループを開催いたします。本日はお忙しい中,本検討ワーキンググループに御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
本日の議事は,議事次第にあるとおりでございますが,審議事項といたしまして,「セグメント情報における配分基準に関する論点の整理」ということで,1番として学校法人会計基準の在り方に関する検討会及び各私立学校関係団体からの意見,2,検討の方向性,3,各論といたしまして,学校法人部門と学校法人共通について。それから,2番目は人件費(附属病院関連)について,3番目が診療所についてとなっております。報告事項はありません。
今回は,第4回に引き続き,学校法人会計基準のセグメントの配分基準について,たたき台に関しまして検討を進めたいと考えております。第4回から今回までに行われた学校法人会計基準の在り方に関する検討会及び当ワーキンググループによるヒアリングでの意見について説明を受けた後,前回に議論となり事務局で整理した事項について審議したいと考えております。
まず,事務局より,学校法人会計基準の在り方に関する検討会及び各私立学校関係団体からの意見について説明をいただきたいと存じます。よろしくお願いします。
【畑参事官補佐】 それでは,私のほうから説明をさせていただきます。
まず,通し番号で2ページのところ,資料1がございますが,これは前回,前々回に配付しております配分基準のたたき台でございます。これを前回から変えたところが黄色くマークして赤字で書かれております。4ページの部分ですけれども,ここについては意見として,この後説明いたしますが,学校法人会計基準の在り方に関する検討会のほうとヒアリングの際にも,ここは要らないのではないか,削除すべきではないかという意見がございましたので,マークしております。
それから,次の5ページのところの一番下にあります青く塗ったところです。幾つかございますが,これはこの後の各論に関係する部分としてここが該当しますということで,分かるように示しているものでございます。
資料2のほうに飛んでいただきますと,17ページですが,これはまず,8月8日に開催した学校法人会計基準の在り方に関する検討会のほうでいただいた主な意見をまとめたものです。下線のところは,先ほどのたたき台のところで反映している部分,マークしている部分というところです。
総論の丸1ですけれども,「今般作成が求められるセグメント情報は,学校法人経営者にとっても,経営判断や資源配分を行うに際し有益な情報であり,経営管理の目的としても有用性のあるものとなることが期待されている」という部分については削除するということで,先ほどマークしたところが該当いたします。
それから,丸2も同じく,「科目ごとの詳細を把握できるため,経営戦略や配分基準に有用」というところも,これも削除という意見が出ておりますので掲載しております。
それから,次の人件費ですけれども,こちらは御意見としては,丸3として,勤務実態基準により時間で把握するというのはコストが非常にかかるため削除する。これはたたき台の11ページにございますが,これは5回のワーキングでヒアリングのときに発令基準を用いた計上基準について提案があったということで,これもたたき台のほうにございます。
それから,丸4ですが,人件費について勤務時間等の算定は非常に困難であるという御意見をいただいております。
それから,丸5,共通経費のところですけれども,振興助成法による経費の配分基準とセグメント情報の配分基準はある程度フィックスするものを目指していただきたいという御意見をいただいております。
それから,学校法人部門のところですけれども,こちらは,学校法人部門は収入のないのが大半で,収入がないのに経費として各部門に配付されず,学校法人部門に計上されるのを見直す必要があるのではないかと。この「配布」の「布」が違うと思いますが,訂正をいたします。
それから,通知について定義の「ア」から「ケ」の改正の検討をしてもらいたいということです。
それから,準備期間につきましては,丸10のところですけれども,2年から3年程度の猶予が欲しいという意見もございますが,一斉に実施すべきという意見もございます。
それから,その他のところの丸13,丸14,丸15というのは,事務負担についての御意見をいただいているというところでございます。これが,学校法人会計基準の在り方に関する検討会での御意見です。
それから,次の19ページ,資料3-1ですけれども,こちらは前回のヒアリングでの意見を項目ごとに整理したものでございます。
丸1から丸6につきましては,教育と診療については一体化していて,区分することが難しいという御意見が,類似の意見が出ているということで,この辺りにまとめておるものです。教育と診療の線引きは困難ですとか,目安を示してほしいですとか,明確に区分することができないというような御意見をいただいております。丸6のところは不可能であるというようなこともおっしゃっているところがあったということです。
それから,丸7から次のページの丸14までですけれども,こちらについては,分けるといったときの割合ですとか按分比についての御意見をいただいております。丸7のところですけれども,二重の仕事をしていることになるので,その部分を割り振るとしたら,かなり融通の利く大きな割合で分けるぐらいの形でないと,厳密にやればやるほど乖離するという御意見をいただいております。あるいは,診療に重きを置くところ,教育に人を充てたいというところでは,一定の比率を出していくのは難しいというふうに考えている,ではないかという御意見をいただいております。
それから,丸9のところは,臨床系の教員に勤務実態の自己申告をしてもらい,病院と医学部の負担割合を算出し,職位ごとのデータを取って,その職員ごとの人件費の総額に負担割合を乗じて配分額を算出するという方法が考えられる。この負担割合については経年で比較していくが,データを取るのを2,3年とか5年ぐらいのスパンで設けて実施すれば,ある程度簡易にできるのではないかという御意見をいただいております。
それから,次のページですけれども,丸15,丸16,丸17というところは,配分基準について一定のルールが必要ではないかという御意見をいただいております。
丸15のところですが,一定のルールがあったほうがよい。配分基準について大学に任せるとした場合,配分基準の妥当性から望ましくない。丸16のところは,配分基準について学校法人の判断に任せ,会計監査人が納得すればよいということなのだが,あまりに曖昧な基準だと,学校法人ごとに異なる配分となる。丸17が,合理的な配分基準であることについてどの程度説明しなければならないのかという御意見をいただいております。
それから,準備期間のところですが,準備期間のところはいろいろございまして,丸20のところ,令和8年4月までを準備期間とすれば問題ないという御意見をいただいているところもございますが,丸21のところですと,準備期間と例外として現行の配分基準を採用することを認める期限を合わせて3年ぐらいは必要ではないかという御意見ですとか,丸22ですと,配分基準を設定するために必要なデータを集めるのに1年ぐらいはそこでかかるのではないかという御意見です。あと,相応の準備期間が必要であるという御意見をいただいております。
それから,次のページ,21ページの負担のところですけれども,丸29ですが,あまりに詳細なものを求められても困難であるという御意見をいただいています。
それから,丸31ですが,ビーコンを使って勤務実態を把握するということまで求められるのは,これは非常に難しいという御意見です。
それから,その他としては,丸32ですけれども,セグメントの病院部門に着眼しているということの納得,理解度が十分ではない。説明の発信があるとありがたいという御意見をいただいております。
3-1は以上でございまして,3-2は,前回お示ししております各団体からの意見書になっておりますので,この点については説明を割愛させていただければと思います。
私から説明は以上でございます。
【須賀主査】 御説明ありがとうございました。
次は,これらの意見を踏まえた今後の検討の方向性について御議論いただきたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。
【篠原室長】 通し番号51ページ,資料の4について説明をさせていただきます。こちらは,今後それぞれの課題についてどのような方向性で検討していきましょうかということの御相談ペーパーになります。
まず,「Ⅰ.方向性」ですけれども,共通経費は現行の配分基準を原則とし,人件費について引き続き新たな基準を検討していくということ,ヒアリングでも確認できた方向性かと思います。
その下に,丸数字でフォントを落とした字も出てきますけれども,これはただいま畑補佐が説明申し上げた資料2なり資料3-1から引用してきている御意見になります。既にざっと説明申し上げているので,細かい説明は割愛いたします。
「Ⅱ.学校法人部門と学校法人共通」です。こちらはこの後,双方の関係性について御議論いただきたいと思います。資料5で用意をしておりますので,こちらは双方の関係を整理するという審議を本日お願いいたします。
「Ⅲ.人件費」ですけれども,こちらは1ポツと2ポツで分けて記載をいたしました。1ポツ,法人本部とあと大学・短大といったような部分で兼務をしている教員の場合ですけれども,(1)発令と人件費措置がセットの場合は,発令主義で対応という御提案をヒアリング時の意見としていただいております。この御提案を生かす形で検討を進めさせていただいてはどうかというふうに思っております。
先ほど畑補佐から説明しました資料1のたたき台,12ページのところですけれども,そちらにいただいた意見を全部貼ってございますが,該当する部分としてはB-1とヘッダーがついている部分の記載になります。
細かい話なんですけれども,(2),こちらはヒアリングのときに御質問をいただいていた部分です。法人役員の実働分の交通費分の取扱い,こちらを基に配分してはどうかというような御意見をいただいていたんですけれども,これに関してはどのように処理させていただくのがよろしいだろうかというところを御意見伺えればと思います。
いただいた意見としては,丸2のところですけれども,小規模法人において本部会計を計上するのであれば,按分というのは勤務実態の按分のことですけれども。それではなくて,例えば,実働分の交通費分や理事報酬や評議員手当といったもので十分ではないかというような御意見でした。この実働分の交通費分に関しては,事務局で検討した話としては,役員の人件費として配分されているのであれば,そちらに計上するという形が取り得るのではないかと思いました。
次が2ポツ,病院です。こちらは追って各論の御議論をお願いしたいと思っていますけれども,ヒアリングで求められていることというのは大きく分けて3点あるかと思っています。
(1)ですけれども,こちらは発令基準に比べればより経済実態を表している基準を目指しているということですが,一方で,学校法人それぞれにとって過度の負担にならない合理的な基準を想定しているということについては,理解しやすい記載の工夫をしたいというふうに考えています。より経済実態を表している基準というのがすごく精緻に細かく計上するということに置き換えられてしまっていて,妥当なところで配分すればいいというようなニュアンスがどうも伝わっていない感じがいたします。なので,そこの記載の工夫ができないだろうかということ。
(2)ですけれども,こちらは学校法人が判断したり選択したりしやすいような記載の工夫が必要だろうというものでございます。黒丸3つ書いてございますけれども,1つは,教育研究と診療をどういうふうに区分するかというそういうところの目安も,提案としては「学校法人ごとに判断」というたたき台になっていましたけれども,こちらも何らかのルールなり例示が欲しいといった御意見があったかと思います。
2つ目の黒丸のところは,学校法人が取り得る実態把握の方法です。こちらも,どっちかといえばこっちで決めてほしいみたいな御意見もございました。なので,ここは例示としてより選びやすいような表記にしていくというようなことが必要ではないかと思っています。
3つ目の黒丸ですけれども,人件費配分のルールや割合の目安をどのくらい具体的に提案するか。具体的に言えば,配分比率すらこっちで出してほしいといったニュアンスもございましたけれども,そこまで提案するかどうかというのはメリット・デメリット含めて御検討いただきたい部分だと思いますので,この後,各論で御審議いただければと思っています。
3つ目です。(3)セグメントとして病院を設けることの説明がまだ不十分で腹落ちしていないというような御意見もございました。こちらについての説明をどのような形で入れ込んでいくか,対応していくかということについて,この後,各論のペーパーのほう,資料のほうで検討いただければと思っています。
この下は,いただいている御意見で関連するものを抜粋してきております。先ほど畑補佐が説明申し上げた資料と重複いたしますので,説明は割愛させていただきます。
最後,53ページ,「Ⅳ.準備期間」です。こちら準備期間に関しては,準備期間終了後は新基準のみで対応するというたたき台での提案に反対はなかったのではないかというふうに理解をしております。準備期間の間に例外として現行の配分基準を採用することを認める期間を含めようということですので,こちらは新基準の対応のときになったら現行の配分基準での対応というのがない形になるというふうに考えてはいかがかと思います。
(2)です。準備期間をどのくらい取るのかということですけれども,早いところだったら令和8年度4月からというような御提案もございました。一方で,2,3年という意見も多かったと思います。なので,ひとまずの提案ですが,こちらは新基準を公表した年度の翌年度から2年間ということでひとまず設定してはどうかというふうに思っています。
例として書いてございます。例えば,今年度中に新基準を公表した場合ですけれども,そうすると,翌2年度間は準備期間,令和7年,8年度が準備期間で,令和9年度以降は新基準のみでの対応になるというような形です。
これに関しては,今までの議論を踏まえて,おおよそこんなものではないかという提案をさせていただいております。今後,詳細な中身を固めていく中で,これだと不都合があるということであれば,調整をして見直していくというような形で進めてはいかがかというふうに思っております。
検討の方向性に関しての説明は以上になります。
【須賀主査】 御説明ありがとうございました。
資料4に出てまいりました各論につきましては,この後,事務局より資料を用いて説明いただき,その後で議論に移りたいと思います。
その前に,ひとまず,検討の方向性として,これでよろしいかどうかというところの確認をさせていただきたいと思いますが,御意見,御質問ございましたらお願いします。よろしいですか。
特に方向性についてはこれで皆様御納得いただいているようですので,具体的なところに入ってまいりたいと思います。
それでは,各論のほうに移りたいと思いますが,最初は,「学校法人部門」と「学校法人共通」について審議していただきたいと思います。事務局より資料の説明を願いいたします。
【畑参事官補佐】 それでは,資料5,54ページを御覧ください。「「学校法人部門」と「学校法人共通」について」ということで,第4回のワーキングでたたき台を示しておりますけれども,その中に,学校法人部門と学校法人共通に関し,特定のセグメントに帰属させることが困難な特殊なケースとして,例えば,学校法人の戦略的な取組として,複数の学校種にまたがる事業などの取扱いについて,いずれに整理すべきかという御議論がございました。
これを踏まえて,両者の在り方について,その対応案について御検討いただきたいということでございます。案1ですけれども,下のほうにございますが,案1,資金収支内訳表等の昭和55年通知を基にした学校法人部門の定義を修正し,その上で学校法人共通については設けないという案でございます。
次のページですが,学校法人部門の定義の修正案ということで,赤字にしているところが修正したところでございますが,例えば,「ア 理事会及び評議員会等の運営に関すること」,これは「庶務に関すること」となっているものを「運営に関すること」とする案です。
それから,「イ 役員等の庶務及び活動全般に関すること」と,ここの「活動全般」というところはなかったわけです。
「エ 法人主催,あるいは法人が中心となって企画する事業及び会議」というところで,赤くなったところを追記しております。
それから,「カ 法人運営の基本方針の策定及び運営に関すること」ということで,こちらも「運営に関すること」というところを追記しております。
こういった修正案で設けることとして,学校法人共通については設けないという案でございます。
いただいた意見としましては,丸1,「特定のセグメントに帰属させることが困難な特殊なケース」について,「法人共通」を設けて計上するというのは通知の趣旨に反するのではないかという御意見です。
それから,丸2,「特定のセグメントに帰属させることが困難な特殊なケース」についても,これまでの「ケ」に該当するということで整理が可能ではないか。
丸3,「法人共通」という概念を設けることによって実務が混乱するのではないか。
丸4ですが,「キ」にありますが,学部等の新設・改組について,これは学校法人の経営施策の一環で,既存の学部等の収支の中に含めるのはおかしいのではないかという,こういった御意見がございました。
案の2ですが,こちらは,「学校法人部門」定義は,この通知の「ア」から「ケ」を原則として維持するとともに,別途「学校法人共通」を設ける。各学校法人の運営実態に基づいて特定のセグメントに帰属させることが困難な特殊なケースで,学校法人の判断により必要とされる場合には,「法人共通」に計上することができるとするという案でございます。
いただいた意見としましては,丸1,学校法人全体でのセグメントを超えたプロジェクトや施策の重要性が今日増しているということで,それらを各セグメントに切り分けるということは難しい。「学校法人共通」を設けることにより,法人の実務が非常にやりやすくなるという御意見です。
次のページですが,丸2,「キ」,こちら学部新設・改組については,セグメント,この場合,大学が負担するというような考え方もあり得るのではないか。
丸3ですが,「ケ」については,学校法人部門以外に属さないものを「ケ」と計上できるが,それとは別の選択肢として,セグメントを横断的にカバーするような「学校法人共通」というセグメントが必要ではないかという御意見です。
あとは,参考としてつけておりますものですので,私のほうからの説明は以上でございます。
【須賀主査】 御説明ありがとうございました。
それでは,今御説明いただいた事項を踏まえて審議いただければと思います。御質問,御意見ございましたら,よろしくお願いいたします。
【村松委員】 よろしいですか。
【須賀主査】 どうぞ。
【村松委員】 この学校法人共通のところを,こういった部門といいますか,そうした項目をつくったほうがいいというのは前回から主張させていただいているものですが,検討の方向性にあるように,学校法人部門と学校法人共通,相互の関係を整理する必要があると,これはまさにそのとおりなのかなと思っております。
私の個人の意見としては,案2ということで,学校法人全体のセグメントを超えたプロジェクトや施策の重要性が増しているという昨今の学校法人経営の事情を勘案すると,そういった学校法人全体にかかってくるような,主として費用,収入もあるかもしれませんけれども,主として費用の部分を学校法人共通という項目を設けて載せたほうがいいのではないかというのが意見です。
ただ,もう一度,学校法人と学校法人共通というところって何なのかといったときに,この「ア」から「ケ」という学校法人部門ということで挙げているんですが,どう見ても学校法人部門というのは,経営体としての学校法人の中で,教育研究とかそれぞれの他のセグメントに入らない,いわゆる狭義の学校法人部門というのを対象としているように見えてしまうということです。
ですので,先ほど言ったような学校法人全体でのセグメントを超えたプロジェクト,これは学校法人という,要するに,高等教育とか初等中等あるいは病院も含めた経営体としての学校法人に関わる,そういったものの収支については別のカテゴリーを設けたらいいのではないかというのが私の意見です。
今回,案1というのを出していただいていて,この案1というのはあり得るのではないかと実は私は思っており,すなわち,「ア」から「ケ」の学校法人部門という学校法人という位置づけに広義の経営体としての学校法人というものもイメージしたものをこの中に組み入れられるのであれば,恐らく実務的には学校法人部門と学校法人共通を別々に設けた場合の混乱を防ぐということで,実務的な対応というのはまたかなり必要になってくると思われるので,例えば,この案1のような形であれば,そうした点への対応にもなるのではないかと思います。
ただ,ここで1つだけ,丸2のところで,他の法人部門の業務に属さない事項処理に関することということで整理可能となっていますけれども,他の部門の業務に属さないのではなくて,要するに,他の特定の部門の業務に属さないことというふうに考えているんです。
ですから,他のどこの部門にも属さないものを学校法人に入れるという考え方ではなくて,他の,1つの特定の部門に,セグメントに上げられない収支については学校法人全体の収支として学校法人部門に入れるということであれば,この案1でもあり得るのかなというふうに思います。
本学の中でも実務的なセクションともいろいろ協議したのですが,学校法人共通というのを別に設けると,なかなかそこに何を入れたらいいのかという定義が,実務的には難しい部分もあるという話もありました。
ですので,この案1というのは,私的には,考え方としては案2がいいのではないかという意見は変わらないんですけれども,実務的な対応としては案1ということで,この中の学校法人部門の学校法人の考え方をもう一度しっかり整理することで対応できるのではないのかなというのが,今回,各論ということで資料を頂いて私が感じてきたところでございます。
【須賀主査】 ありがとうございました。
そのほかいかがですか。佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】 私は反対の立場から意見。私は案1を基本とすべきだと思っております。
案2のほうの反対としては,例えば,共通部門を設けるということは,どこかに入らないものをまとめてしまえという形になりがちになってしまう。それから,今現在,これまでやってきた他の部門に属さない事項,これを本部に載せるということに相反してしまうということ。
それから,万が一,学校法人全体をカバーするようなプロジェクト等について行き場がないんだということであれば,これは部門ごとにその経費を配分して載せるということもあり得るので,これをもって法人共通というものを独立して立てる必要はないと思っています。
ただ,案1のほうを支持するんですけれども,これはここにもありますように,中身について,この55年当時から用語の使い方ですとか内容について見直すべき点があれば変えるべきだろうというのは同様の意見です。
例えば,1つ,「キ 学校,学部・学科の新設事務に関すること」というのがあって,これに意見のところで,学部等の新設や改組というのがございます。これは当時の設置基準と今の設置基準と変わっていることもあると思うんです。認可と届出の差もあると思います。
こういったこともあるので,この辺は多分,当時55年のときは,新しくつくるいわゆる新設のものについては,現存する部門がないから本部に入れましょうという考えだったので,この辺のところは,この意見の中の改組についてどう考えるかというのはまだ検討の余地があるのかなと。もう既にある学部・学科で,それを例えば名称変更するなんていうのは当然あり得るわけですよね。それから,同じ学位を授与する中で多少変更するというのも届出でできるというのがありますから,こういったものをどう捉えるのか。こういったことは検討の余地があるのではないかなとは思っております。
いずれにしましても,案1を基本として,法人部門の定義の修正を検討するというのがよろしいのではないかなというふうに思っております。
それから,ここに書いていないのかもしれないけれども,先般の意見で,たしか,どちらかの学校さんが本部には収入がないから経費を入れるのはおかしいというような御意見もあったかと思うんですが,それはここにもないからいいんですけれども,収入があるところに入れるということではなくて,経営として学校を設置して運営する主体的な法人組織を運営しているわけですから,収入がなくてもあってしかるべきというふうに思っております。そこに何を入れるかというのはもちろん注意が必要。
それから,新学部・学科の新設について,今現在も多分,参事官室その他の調査等で把握されている現状があると思うんです。もう既に,例えばですけれども,令和7年4月の開設部門が認可されたから,もう部門をつくってしまえということでつくっている。つまり,まだ改革していないのに,認可が下りたことをもって部門計上しているというのが散見されるんです。実態として。
こういったところは,現在,この学校法人部門の定義のところが十分周知されていない結果だと思うので,そういったところは十分周知する研修を行った上で,案1に収束させるというのがよろしいんじゃないかなと思っています。
以上です。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
今,お二人の御意見を伺いまして,出発点は違っていたような気がするんですが,行き着いた先は同じというような感じを持ちました。つまり,これから先,どういう形で法人経営の中で共通の部分をどう扱っていくかですが,これまでの法人部門の定義をきちんと見直していけば大体のところが入っていくのだということです。経営する側としては,なるべく共通のものがあって,そこに入れられると便利がいいというところはあるんですが,逆に何をそこに入れなきゃいけないかで,現実の事務的な問題はかなり生じそうだということであれば,考え方を残しながらも,法人部門というものをきちんと再定義すれば,使いやすいさというところはきちんとカバーできる。
それだとすると,案1で行けるかなとお二人ともおっしゃっていると私には理解できたんですが。その辺は特にお二人の間で違いはあるんでしょうか。
【村松委員】 よろしいですかね。
須賀先生がおっしゃっているとおりだと思います。ただ,私としては,学校法人部門の学校法人って何なんですかというところはしっかり押さえておく必要があるのかなと思っておりまして。そういう考え方で学校法人部門というのが成り立っているかどうか分からないんですが,学校法人は,教育研究部門とかいろいろな部門,あるいは病院もあるかもしれません,それが主体であって,それを補佐する形で学校法人部門というのが小さい政府みたいな形であって,そこでの収支を学校法人部門と言うという考え方もあろうかと思います。
この「ア」から「ケ」を見ると何となくそういう感じがしてしまうんですが,これからの学校経営というところを考えると,経営体としての全体,全てを含んだ学校法人でのアクティビティーというのは極めて重要なことになってくる。少子化とか経営の難しさということを考えると,そこが非常に重要な位置づけになってくるということを考えますと,ここの学校法人部門,「ア」から「ケ」,これを修正して考え方を変えて使っていくというのはいいと思うんですけれども,そこで言う学校法人というのは,広義の学校法人であるというところは押さえておきたいというふうに思います。
【須賀主査】 恐らく,赤字で付加していただいている部分は,まさに今村松さんがおっしゃったような考え方を反映しているんだと思います。もともとどうだったのかというと,佐野委員のおっしゃっていることからすると,本来,学校法人部門の中にはそういう意味合いもちゃんと含まれていたんだと。だから,定義をきちんと見直していけば,今,いろいろ問題になっているものに対応できるんだというふうに私には聞こえました。ですから,お二人の間に違いがないように思うと申し上げました。
【佐野委員】 多分そうだと思います。結論的には。ただ,学校を設置できるという団体としては学校法人という1つのものがあって,それが横にあるわけじゃなくて,上に,上といいますか,底でもいいんですけれども,全体をカバーしているものなので,今おっしゃった広義という意味では,おっしゃるとおりだと思うんです。
ここを検討するのは,ここも含めて検討という意味ですよね。特に,先ほど申し上げました改組転換であるとか,法人が中心となって企画する事業とか,この辺の言葉は曖昧なところもあって,多分,皆さん,私も含めて理解が少しずつ違うのかなという気もするので。法人部門,狭くか広くか分からないですけれども,学校を設立している組織体として認識するという点は同じだと思いますので。
【村松委員】 すいません。本当に失礼ながら。先ほど佐野先生が,法人は収益がなくてコストだけあるので,コストを割り振るのはというようなご意見がありましたけれども,学校法人に収益がないんじゃなくて,学校法人は全体の収益をつかさどっているので,当然,収入も支出もあるという考え方なんだと思うんです。
ただ,その中身を各部門に切り分けていくというのが今回の考え方なので,全体をカバーするとか,そこに入らないものは学校法人ということで上げますということ,これを――私,言葉が正しいかどうか分からないですが,広義の学校法人と言っているんですけれども,そういう考え方があるのであれば,まさにこの学校法人部門という考え方で「ア」から「ケ」のところを修正していくということで対応するということかと思います。
赤で書いていただいて,よくなっていると思いますが,先ほど言ったように,「ケ」のところは「他の特定の部門」というふうに入れていただくと,何となくそこがはっきりするのかなと思うんです。ですから,その考え方が反映されているのであれば,むしろ実務的には案1のほうがやりやすいのかなというところはありましたので,それは意見として申し上げておきます。
【須賀主査】 そのほか御意見ございますか。
【稲垣委員】 よろしいですか。結論の案1に私も賛成なんですけれども。
当初想定していた法人共通に入るようなものはどういうものがあるんだというときに,これは法人部門とは別な各学校共通なものなんだけれども,どうしても配分できないようなものがあったら,その受皿として共通という考え方があったんですが。セグメント情報というのはそもそも,一定のみなしで共通なものを配分するという考え方から考えると,学校法人部門があれば,配分可能なものはいずれも配分可能だから,あえて法人共通は残すとかえって実務が混乱するんじゃないかなという問題意識はあったので,結論としては案1に賛成です。
【須賀主査】 分かりました。そのほかいかがですか。
【村松委員】 この「ケ」のところ。すいません。こだわりまして恐縮なんですが,例えば,私の言ったことを受け入れていただいたとして,他の特定の部門の業務に属さない事項の処理に関すること。例えば,教育研究費についても,管理費だけじゃなくて,全体に関わるようなものというのはあり得るのかなというふうに思うので。私の知識不足かもしれませんけれども,従来の学校法人部門は管理費が中心に入っていって,教育研究の部分についてはここに入ってこないという認識が,必ずしも入ってはいけないとは言っていないと思うんですが。
なので,ここの部分に,教育研究に関わるセグメントを超えたプロジェクト等の収支についてもここに入り得るという理解でいいのかどうか,そこはどうなんでしょうか。
【佐野委員】 私の理解としては,法人部門というのは教育部門ではない,研究部門ではないので,教育研究は原則としてない。あるとすれば,新学部・学科設立に伴う準備作業の中で,例えば,教員をあらかじめ採用して,入試問題,そんなもののチェックをさせるとかそういうことがあれば,その人は教員人件費として採用するので,本部の中で教員に入る。
それから,あらかじめ新設部門の,4月以降開設する部門の何らかの経費を発生する余地があって支払いをしているのであれば,本部に新設部門の経費として教育研究経費が入り得ることがあるとは思っていますが,そもそも法人本部としては,教育研究経費は発生する余地のない部門という理解なんですが。
【村松委員】 確かに,ここで言っている「キ」みたいな学校,学部・学科の新設なんかに伴うもの,これはまさに教育に関わる経費ということになるのかもしれませんが,割り振れないのでここに計上すると,そういうことになるんですかね。
【佐野委員】 まだ部門がないわけですからですね。
【村松委員】 ないからということですね。
【佐野委員】 ないから学校法人部門に入る。
【村松委員】 なるほど。ですから,これはあくまで学校,新学部の設立ということですので,教育に関わるコストですよね。そういったものも割り振る。今回の法の趣旨は,基本的には割り振れるものはしっかり割り振りましょうということだと思うので,割り振れないものについてどうしますかといったときに,学校法人部門というのを今回つくるというか,もともとあるわけなんですけれども,そういった考え方ということなので。
そこには,基本は,教育研究に関わるコストについては,当然,各部門に割り振るのがいいに決まっていますよねというところの中で,割り振れないものについては,例えば,学校法人部門に入れることは可能と,そういう理解で……。
【佐野委員】 ごめんなさい。言葉尻で,申し訳ない。割り振るというのは,発生ベースで,どの部門が負担すべき経費が発生したかということでやるわけですから,何かぶわっと発生したのをどこに入れようかということじゃないと思うんです。大学で教育研究のために使用するもしくは発生する経費については大学部門で計上します,高校で発生したら高校部門に計上しますということなので,何か買いました,どこ入れようかじゃないんだと思うんですけれども。割り振るという……。
【村松委員】 ですから,ある部門,セグメント,明確に発生部門,発生セグメントが分かるものはそれでいいということですね。
【佐野委員】 そうですね。セグメント情報の中で配分するのは,例えば,光熱水費のように,建物全体でメーターがあって大学も使っている,短大も使っているときは,これは「配分」という言葉になってしまうと思うんです。そういうものは「配分」ということになるかと思います。
それはセグメント情報に限らず,今も共通経費として,原則として今の55年通知でやりますということになっているから,それは共通経費の配分ということで現在もあるということだと思うんですが。
【村松委員】 分かりました。
【須賀主査】 そのほかいかがでしょうか。
【篠原室長】 すみません。今の佐野先生と村松委員が議論されていたことを整理させていただきたいんですけれども。基本的に,教育研究費は学校法人部門には発生しない。そこは合意されて……。学校法人部門で教育研究経費が計上されることはないと。
【佐野委員】 原則ない。
【篠原室長】 原則。例外に関しても,例えば,「キ」というようなところで発生し得る限定的な業務に関して発生し得るということで,村松さんがおっしゃっているのは,もう少し広い事例を想定されていないだろうかというところが気になったんですね。
行政的な組織論で言ってしまうと,教育なり研究というのは学校がする活動になっていて,学校法人はその学校を置くことができるというところになるので,教育研究活動をしましたという経済の実態が法人に入るということに関して,理解が追いつかないというか,理屈と沿わない部分があるのではないかというふうに思ったんです。なので,できるだけそこは限定的であるべきではないかなと。
なので,こういう場合が例外としてあり得るよねみたいなものをあんまり広く設けないほうがいいのかなと思いましたけれども,そこについてはいかがですか。
【村松委員】 例えば,小,中,高,大の全体のスポーツ大会みたいのがあったとしますよね。これは小学校,中学生,高校生,大学生全員の教育に関わるものであって,そこで発生した収支はどこに配分するんですかといったときに,これを主に主催した,法人が主催するかどうか分からないんですけれども,もしかすると大学が主催するかもしれませんし,そういったものについて,発生したのはどこなんだというと,大学であり,高校であり,要するに小学校であったりとか。小,中,高は一緒かもしれませんけれども。法人もそれを手伝いに行けば法人のコストもかかっていますとか何とかという話が,これからも幾らでもそういう話が出てくるんだと思うんです。
そのときに,そのものをどうやって仕分けていったらいいのかといったときに,その収支を確かに発生がどこでしたかというところなんですけれども,それは明確でないので,しようがないのでというか,学校法人部門に例えば計上するとかそういったことがあり得るのかどうか。ですから,管理経費というふうに整理してしまえばいいのかもしれないですけれども,そこのところがよく分からないです。
【佐野委員】 「しようがないから」までは一緒なんですけれども,しようがないから本部ではなくて,しようがないから共通収支として一定の基準で配分するというふうになるんだと思うんです。
【村松委員】 配分できたりあるいは配分することが合理的であるものであればいいんですが,例えば,スポーツ大会に参加した人数で割り振りますかといったときに,全く合理的な基準ができませんよね,それでは。
【佐野委員】 その合理性を説明するのは非常に難しいので,一定の割り切りをもって配分基準を定める。それを合理性,説明できますかという質問もあったようですけれども,一定の割り切りをしないと何とも言えない。例えば,水道料にしても電気代にしても,同じ教室を使って,子供が使ったら水はたくさん飲まないじゃないか,大人が飲んだらもっと多いじゃないかなんていう議論をやっても始まらないので,一定の配分基準である程度説明のつくものを用いて共通収支を配分するというのがまさに55年の考え方で。
それが原則論であって,原則は,何回目かの会議でもお話が出たように,ざっくり感というか,原則なので,もう少しそれを詰めて合理性を説明できる程度のものは示したほうがいいと思うんですけれども,まさに教育研究経費として各部門に配分する共通収支の例をおっしゃったんだと思っていますが。
【村松委員】 まさに原則としては,何らかの基準で按分するか,あるいは主たる区分というんですかね,主たるセグメントに寄せるかどちらかというのが1つ原則としてあるわけですよね。
ただ,それが経済合理性に,経済の実態をより適切に表しているのかどうかというのが今回問題になっているわけなので,それは経済の実態を表していないとしたらば,じゃあどうするんですかといったときに,むしろ細かく無理やり分けるよりも学校法人というところにそれを計上したほうが合理的なんじゃないですかということなんじゃないかと思うんですけれども。そうなんじゃないんですか。今回はそこまで入り込んでいないというふうに考えたほうがいいんですか。
【佐野委員】 私,少し角度が違うと思うんですけれども。割り切って一定の合理性のある配分基準をみんなで認めて決めましょうよというスタンスでやっていって,それが共通収支。特定の部門にもちろん計上すべきものは,幼稚園の運動会であれば幼稚園やるわけですし,さっき村松委員がおっしゃったように,全体でやるなら全体で何が合理性のある配分基準かというのを監査人も含めて決めた上で,もしくは全体を決めた上で,教育研究経費として各部門に配分するという考えだと思うんです。
だから,今までの議論の中で,55年通知に基づく配分基準は一定の実態を表している基準ではないかということが合意されているんだと思うんです。ただ,それはあまりにも55年通知だけでは大ざっぱなところがあるから,もう少し詰めるところは詰めましょうという議論もあったと思うので,その中で議論としては済ませることができるのかなと思っているんですが。
合理的な配分基準があればいいと思うんですが。
【村松委員】 そうですね。それを言うと,管理費についても結局同じ考え方になるのかなと思いますので。ですから,合理的に分けられるものであれば,できるだけ分けましょう。それが経済の実態をより表すものである。ただ,合理的に分けられない,そこのところが,どこに線を引きますかというのは問題になると思うんですけれども,そういったものについては,ある意味,学校法人部門という全体を司る部分があるので,そこに上げるということもあり得るということ。そういう理解でいいんでしょうかね。
【佐野委員】 私,少し違うような。合理的に分けるんですよ。合理的な基準をもって分けるという努力を今しているわけですよね。
【村松委員】 そうするとやっぱり,合理的な基準とは何ぞやという議論にならざるを得なくなってきますよね。
【佐野委員】 おっしゃるとおり。それの議論については,共通収支の人件費を除く経費に関しては55年通知があって,これでおおむね合理性がある配分基準と認められますよねという合意が整いつつあるんじゃないかと思っているんです。合理的に分けられないものということを念頭に置くのではなくて,合理的に分けましょうよ。合理的な配分基準で分けましょうよ。特定の部門に張り付けるものは当然特定部門に行くわけですが,これについては配分という考えは出てこないですよねということでやっているので。
合理的に分けられないものというのは,多分,村松委員の中にはすごく精緻な配分基準をお考えで,これとこれをやらないと正確な部門経費が出ないんじゃないかというふうにお考えなのかもしれないですけれども,実務の簡便性も含めた上で,一定の合理性の中で配分できればいいのかなと。
【村松委員】 なるほど。分かりました。多分その辺りは,人件費の配分の中にも全く同じことが考え方として入ってくるのかなというふうに思っているので,佐野委員がおっしゃること,おおよそ私は理解しましたので。あまりここについて厳格なことというのはなかなか言いづらい部分なのかなというふうには思いますけれども。
【須賀主査】 それでは,基本的にはこの案の1で行かせていただくということでお願いします。ただ,赤字で書かれているところで必ずしも合意ができたというふうにはまだ理解はしていないんですが。この検討は今日やらなきゃいけないのか。どうでしょうか。
【篠原室長】 いいえ。ただいま,案の1でおおよそ行きましょうという御意見をいただいております。なので,あとは,例えば,「キ」の部分,新設事務に関しては届出をどう扱うかとか,開学していないけれども部門計上するのは早くないかというような,そういう留意事項として確認しておくべきことを事務方で整理させていただきたいと思います。
また,学校法人部門の定義,考え方ですね。これに関しても,狭義,広義という御説明をいただいていますけれども,もう少しこの辺も,どういう伝え方をすると分かりやすいのかというところを考えさせていただいた上で文章化をした上で,また皆様に御相談させていただきたいと思います。
「ケ」の部分も,「他の特定の部門の業務に属さない事項の処理に関すること」という修正の御提案をいただいています。そこは反映させた上で,再度細かい部分を詰めていくというような作業を11月のワーキングでやらせていただければというふうに事務方としては考えております。
【佐野委員】 よろしいでしょうか。私,「エ」ついて,これは慎重な用語を使っていただきたいなと思っておりまして。「法人が中心となって企画する事業」,中心となって企画する事業は法人部門だという,事業が法人部門に計上されることになりますよね。その辺のところ,事業はそれぞれの部門で行うこともあるので,この辺は内容を詰めていただきたいなという気がいたします。
【篠原室長】 分かりました。この部分でイメージをしていたのは,先ほど村松委員がスポーツ大会を全部の学校種でやる場合と挙げられていましたけれども,全部の学校種に属する例えば職員共通の交流会みたいなのをつくったときとか,それは法人が中心になって企画する事業として,イメージとして1つありました。そういうものはここに入れるイメージ,こういうふわっとした表現で書いていますけれども。
それも各部門で張り付けることを前提とすべきという,佐野先生の視点から御覧になっていると言葉が広過ぎるという,そういう御指摘と理解してよいですか。
【佐野委員】 先ほどおっしゃった全体でやる行事,法人行事をここへ全部持ってきてしまうというのは,イメージが違うという意味です。
【篠原室長】 全部持ってくるというわけではないんですけれども。
【佐野委員】 そこで行った事業の収支を持ってくる。学校法人部門に上げるというのは考えていないという意味です。
【篠原室長】 そこは次回にまたきちんとお話しできればと思います。
【稲垣委員】 もう一点よろしいでしょうか。
今回の結論と直接はあれなんですけれども,学校法人部門を再定義したら,セグメント情報はそれでつくるんだけれども,従前の内訳表は,55年基準,旧基準のまま行くのか,この新しい修正基準で寄せて,そろえてダブルスタンダードを避けるようにするのかというのは,実務上検討が必要かなというふうに思います。
【佐野委員】 一緒でいくんじゃないですか?
【飯田委員】 一緒にしたほうがいいと思います。案2にするんだったら分けるのかもしれませんが,案1で行くのであれば,それがいい気がします。
【佐野委員】 案1ならシンプルに従来どおりという意味ですよね。
【飯田委員】 はい,そうですね。そのほうが多分,実際に作業される各大学の皆さんも分かりやすいとは思います。
【須賀主査】 じゃあ,今まとめていただいたような方向で,11月に再度この具体的な中身について検討するということにしたいと思います。
それでは,次の人件費(附属病院関連)について審議をいただきたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。
【篠原室長】 57ページ,資料6について説明をさせていただきます。
附属病院に関する人件費の取扱いについて様々御意見をいただいておりますので,その対応について3つ,1ポツから3ポツまで論点を分けさせていただいております。こちらについて御相談させていただければというふうに思います。
57ページ,真ん中の四角囲みは,たたき台で該当する部分です。その下に対応1ポツとして記述の追加というふうに書いてございます。
めくっていただいて,58ページです。たたき台から抜粋しているのがこの青い明朝体で書いてある部分ですけれども,ここの記述に関して,高い精度をひたすら追求しまくるというのではなくて,病院における人件費の配分基準について,合理的に説明できればいいよという趣旨をもう少しきちんと伝えるために,どの程度であれば合理的なのかというところ,質問が出ていた部分です。
なので,ここに応えるために,どの程度であれば合理的と言えるのかというような分かりやすい記述とか参考になる記述を何か入れられないだろうかという御相談になります。
今,例として書いているのが,「発令基準に比して『経済実態をより適切に表す』と合理的に説明できる配分基準は,一定の勤務状況を反映し,同時に客観性や検証可能性等の会計情報としての合理性を備えているものであればよい。会計情報としての合理性に不安がある場合は,会計監査人にあらかじめ相談することが望ましい」というふうに,今,案としては書かせていただいています。
この合理的というところを,会計情報として見たときに合理的と言えればいいよと。それは会計監査人との相談で決めればいいよという1つのやり方として提案を,そういうことが見えれば現場としても対応できるのかなという観点でこの例を書かせていただいています。
こういうような提案を法人側からの質問への対応として追記をしてはどうかというふうに思うんですけれども,この点についていかがでしょうかというのが1つ目の相談。
2ポツは,あとは,関係団体のほうからは,何らかのルールであるとか例示というものをもっと欲しいというようなリクエストがあったわけですけれども,それに対応する案として2案書かせていただいています。
案1に関しては,まずは,どういう定義で教育研究と附属病院の業務を分けたらいいのかが分からないというような部分のコメントに対応する部分。案として,業務従事の実態に応じて配分するという考えに沿って,附属病院の業務範囲をまず目安として示してはどうかというふうに考えています。その附属病院の業務範囲に関しては,丸1で国立大学法人会計基準の実務指針の内容というのを引っ張ってきているんですけれども,これを学校法人会計基準において処理する附属病院の業務範囲として,目安として示してはどうかという提案です。
これは,仮にこの目安で行きましょうということになると,ここに記載しているような診療業務,診療業務を基礎として行われる教育業務,臨床試験(治験),病理部やプロジェクト研究等の附属病院において実施することが組織として意思決定され,組織またはプロジェクトとして実施される研究業務及び附属病院における管理業務といったものが病院に分けられて,それ以外が大学に分けられるという形になります。
この国立大学法人の実務指針の内容を目安として持ってきた理由ですけれども,国立大学法人と学校法人というのは,制度としての成り立ちは異なるんですけれども,医学や歯学の教育におけるモデル・コア・カリキュラムというのが存在していて,国公私を通じてそこを参照していますということや,附属病院の法令的な位置づけというのも共通していますので,活動の実態はある程度類似性があるというふうに考えてよいのではないかと。なので,こちらの目安を1つ示してはどうか。
一方で,目安としておいて,これとうちは違うんだという考え方をしたい学校法人はこれに限らなくてもいいよという幅を持たせてはいかがかというふうに思っています。
丸2のほうは,勤務実態の把握方法というところが分かりにくいというような指摘への対応です。現在の記載内容を大きく変えるというわけではないんですけれども,学校法人がそれぞれ自分たちで何を考えて選択すればいいのかというところを見えやすくするという観点から,実態を把握するためのポイントを分解して,それぞれ例示してはどうかという提案になります。
ここに5つ白丸がありますけれども,1つ目の白丸は,実態把握のためにどんな変数を使いましょうかという例です。これも今までのワーキングで御意見いただいていたものを書き直して並べ直している感じですが,附属病院の業務範囲にどれだけ時間を要したか,それ以外の時間がどれだけだったか。
2つ目は,その兼務割合です。病院がどのくらいで,それ以外がどのくらいだったか。発令があって報酬が分けられている場合は,附属病院の業務範囲に関する報酬とそれ以外の報酬,そういった分け方ができるんじゃないか。
2つ目の白丸は,算出するための時間軸の例として,当該年度,令和7年度の計算書類でやるんだったら,令和7年度の一定期間の実績値を1年分に換算して使うとか,過年度のほうは複数年の平均値とすることも可と書いてありますけれども,令和7年度の処理をするために過去のデータを使うといったような考え方がある。
3つ目の白丸は,算出するための対象者の例です。全員積み上げは大変という感じからの意見が多かった気がするんですけれども,全員ではなくて一定割合の教員でもいいんだよと。そのサンプルの取り方は,キャンパスごとだったり,病院ごとだったり,あるいは職階ごとで一定比率やるというようなやり方があるよというものです。
4つ目は,把握するための手段です。こちらも,タイムカードで出てくる業務時間であったり,教員からの自己申告。業務内訳報告書とかアンケートとか,あと,勤怠管理システムなどを通じて先生方が業務従事時間だったり割合を申告するというもの。最後はビーコンです。ここまではできないという御意見がありましたし,ここまでは求めているわけじゃないんですけれども,例としてはあり得るよというような形で示してはどうか。
最後の白丸は,その他活用し得る例があれば,法人に対して追記をさせていただきたいなと思っています。1つは,管理会計で用いている按分比をそのまま使いたいような御意見もありますけれども,その管理会計の比率が妥当かどうかというところは,どの学校法人もオーケーですとすぐ言えるわけではないように思うので,ここは会計監査人と相談の上,会計上の合理性が確認されればいいんじゃないとか,あとは,按分比も毎年毎年取り直すのかというところに関しては,大きな環境変化がなければ一定の按分比を複数年使ってもいいというようなところまで示してあげてはどうかというふうに考えています。
その下に備考がございますけれども,白丸はいずれも例なので,記載の内容と異なる考え方を排除するものではないということ,あとは,各観点の中で,例えば,1つの観点から複数の事項を組み合わせるということもあり得ると思いますので,そこも下にフォントを変えて例示をしています。一部教員へのアンケート結果で把握された勤務割合です。これは今年度の上半期分と,あとは,全教員へのアンケート結果で把握していた兼務割合,過去の分ですね,を比較して大きな変化がないから,昨年度通年分の兼務割合を今年度通年分の業務従事割合として引き続き使おうとか,そういうようなことができるんじゃないかというものです。
案2に関しては,附属病院の業務範囲を目安として示そうというところは共通なんですけれども,按分比の範囲をワーキングとしてどこまで具体的に示すかどうかという部分になります。
按分比の範囲に関しては,案2の丸2になります。この按分比の範囲の示し方については,一定のものを示してくれたら,それで対応することは可能だと思うというような御意見もあった一方で,どんな割合がいいか分からないという御意見もあったので。さらに,第3回のワーキングでお示ししたように,病院の調査をこっちでさせていただいたときも,実態は様々だというようなところが確認されていますので,按分比を出してほしい,そこに応えようとしても,単一の数字,数値で6・4みたいな出し方はできなくて,ある程度幅を持った範囲を示すという形にならざるを得ないだろうと思っています。それが1段落目です。
その上でどの程度の幅を持たせて示すかというところは,ここは関係団体の協力を仰ぐ必要があるんじゃないか。関係団体に相談して,このぐらいの範囲が妥当なんじゃないかというところを,こっちから一方的に言うんじゃなくて,向こうでもフィージビリティーなんかを見ながらその数字を考えていく。そうはいいながら,幅はこっちから示せるとしても,実際各学校でどの按分比を使いますかというところは,会計情報としての合理性を担保するということを考えると,必要に応じて会計監査人とも相談していただきながら,学校法人ごとにその範囲の中でよさそうな割合を決めていっていただくという形にするのがよいのではないかというふうに考えています。
そもそも按分比までは示さなくていいんじゃないかというような御意見もあるかと思いますので,按分比の範囲を示し方についても御意見をいただければと思います。
3ポツについてです。病院をセグメントとして設けることについてまだ腹落ちしていないから,ちゃんと発信をしてほしいというような御意見をいただいています。これに関しては,たたき台に記載をすれば済む話なのか,あるいは,ちゃんと関係団体を通じるなり各法人説明の場を設けるというほうが実効的なのか,その辺りヒアリングで分かり切らなかったので,この部分は関係団体にどういうふうにやっていくのがよさそうかというところを改めて相談させていただいた上で,その対応を取っていくという形で進めてはどうかというふうに思っています。
以上3点について御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
【須賀主査】 ありがとうございました。
それでは,順番に参りましょうか。まず,記述の追加についてですが,どの程度あれば合理的と言えるか,これは相当に難しい話ではあるんですけれども,ここに書いてある例として挙げていただきました文章で大体伝わるのか,あるいはもう少し補うのかという感じでしょうかね。この辺について御意見ございましたら。佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】 この例にあります不安なときは会計監査人に相談というのは,会計監査人の感性でやるようなイメージになってしまうけれども,大体,基準があってそれに準拠している,そして,全体を見たときに適正かどうかというような判断を我々するわけですけれども,会計士協会はどうですか。
【稲垣委員】 よろしいですか。実態的には,こういう実態は当然あり得ると思うんですけれども,基準の中にこういうふうに書かれてしまうと,あたかも会計士が会計基準を定めているんじゃないかというように誤解をされかねますので,こういう記載はできれば避けていただきたいなと。
【須賀主査】 そうですね。
【稲垣委員】 あくまでも,今回の財務報告は開示目的で,学校法人が説明責任を果たすための手段なわけですから,それを結果としては当然相談するわけですけれども,ということだけお伝えしておきたい。
【須賀主査】 最後の文章は削ったほうがいいと。
【稲垣委員】 はい。
【須賀主査】 これにさらに何か入れるのであれば,「備えているものであればよい」と書いてあるので,そこの先に何か追加で具体的なところが書ければなという感じがいたしましたけれども,何かありますか。なければ,このまま「備えているものであればよい」で。そうすると,これは例になっていないんですけどと言われそうな気がします。
【篠原室長】 そうなんです。少し難しかったのは,結局,後でひっくり返されると困るというよう御意見もありましたけれども,それは会計監査上,これでちゃんと外に開示しても財務情報として適切だよねというオーソライズされるこれで大丈夫というのが見えた上で学校法人としては動きたいということだろうなというふうに理解をしていて,それを会計監査人の方とあらかじめ相談することで担保できるよという。
【稲垣委員】 逆にそこは,学校法人と監査人の間だったら当然のことなはずなんです。わざわざここに書くまでもなく,新しいことに取り組むのであれば,当然,相談しながらやっていくんだと思うんですけれども。
【佐野委員】 その中で一定の合理性がある幅がある中での相談ということだったらよろしいかと思うんですが,この文章をそのままいってしまうと,そうではなくて,会計監査人がいいと言ったら何でもいいんだよみたいに読めてしまうことに不安があるので。
【稲垣委員】 そうですね。
【佐野委員】 だから,さっきの2番ぐらい。どんな対応策がありますかというところでも,例えば,一定の枠を決めて,その中でやってほしいという私学の意見もあったと思うんですが,その中で,この学校はこれが合理的だねというのを会計監査人なりと相談するというのはあり得るかと思いますね。その幅の中であれば。少し文章を変えていただいたほうが……。
【篠原室長】 そうですね。丸投げ過ぎた感じはあります。
【佐野委員】 検証可能性という言葉もあって,これが会計監査人にかかってくると結構大変かな。
【篠原室長】 国立大学法人のほうは書いてあったので,拝借したというのは実はあるんですけれども。
【稲垣委員】 会計監査人ということ?
【篠原室長】 いや,客観性とか検証可能性の部分ですね。
【佐野委員】 そこで切れているはずですよね。
【篠原室長】 分かりました。結局,今,佐野先生もおっしゃってくださった一定の合理性の幅というのが,その幅が何なのかというのが多分共有できていない状況じゃないかな。
【稲垣委員】 それが2ポツなんじゃないですか。
【佐野委員】 そうですね。
【篠原室長】 なるほど。
【稲垣委員】 2ポツがかなり,もう少し,今,原案でも具体化されていますから,これが出れば,ここまでいいのねというような,ある程度ありますので。
【佐野委員】 枠がね。
【篠原室長】 なるほど。
【村松委員】 1点いいですか。全くそう思います。1ポツの中で,会計監査人にあらかじめ相談することが望ましいとなると,要は,会計監査人が認めれば合理的なのねとなって,学校法人的には非常に楽になる―気持ち的にはですね―ところはあるかもしれませんけれども,それは合理性の考え方として,会計監査人がオーケーすればいいよねという書き方はやっぱりおかしいのかなと思います。
ただ,稲垣先生がおっしゃったように,企業の決算なんかでも全く同じですけれども,合理性を説明しなきゃならないわけです。企業にしても,学校法人にしても。そのときに会計監査人と密接に相談しながら決算をつくっていくということになる。なので,多分,決算が出来上がった後でひっくり返されたら困りますので,出来上がったものを会計監査人にぽんと投げて,これでいいのかという形には実務的にはしないのではないかと思います。
その辺りを踏まえ,合理性の定義としては,この最後の「会計監査人にあらかじめ相談することが望ましい」というのは除き,その合理性の中身をポツ2でもう少し明確化する。その手段として会計監査人と御相談するというのをどこか別の形で入れるのが適切ではないかと思います。定義として入れてしまうと変な形になってしまうのかなというふうに思いましたので,まさに稲垣先生がおっしゃったことと全く同じ意見です。
【須賀主査】 それじゃあどこまで入れるか,残すかもうこれ要らないのかですが,ただ,「一定の勤務状況を反映し,同時に客観性や検証可能性等の会計情報としての合理性を備えているのであればよい」といいことが書かれてあり,ここは非常に重要なことなので,ここまでの文章は残していただいて,あと,具体的なところはこの2から下に出てくるんだと,そんな考え方でいけば問題ないのかなと今のお話を伺っていて思いました。
それで,恐らく,先ほどおっしゃっていただいた合理性の幅といったものは,2ポツのところで出てくるということですが,こちらには案が2つ示されております。
【稲垣委員】 2ポツについては,案1と案2というのは代替的なもの?
【須賀主査】 ではなさそうな感じが。
【稲垣委員】 代替的なものであるならば,私は案1しかないかなというふうに思うんですが。
【篠原室長】 アンドかオアかという御質問であれば,アンドはあり得るとは思っています。
【稲垣委員】 基本的は案1なんだけれども,参考までに案2的なものを示す。ただ,案2の按分比の範囲というのは算定できるんですかねというところが非常に気になるところと。
それから,案1に賛成だというのは先ほどの繰り返しになりますけれども,説明責任を果たすのはあくまでも学校法人ですので,案2というのは,与えられたものでやるという話になってしまいますから,その中では選ぶのかもしれませんけれども,そういう考え方からいくと,案2というのは参考,補足としては考えられるかもしれませんが,基本的には案1しかないのかなというふうに考えます。
【須賀主査】 それでは,取りあえず案1を前提として議論をさせていただいて,案2に書かれているところも入れるかどうかということを後で追加で考えさせていただければと思います。
最初に附属病院の業務範囲,これを国立大学法人会計基準実務指針の内容を目安とするというところで,これは案1も案2も共通なんですが,ここはいかがでしょうか。ここは前提として了解していただいて。
【南委員】 読ませていただいた率直な感想なんですけれども,どちらかというと,大分業務が病院に寄ってしまっているなと。これを読ませていただく限りだと,「診療業務を基礎として行われる教育業務」,「教育」という言葉が入っているんですけれども,そこの部分も病院部門に寄せられるというのは,病院のほうに重きが置かれているのかなという,感想になってしまいますけれども,そう感じたところです。
研究は,病院で研究するものと大学で研究するものというのはそれぞれあるのかなという気はしますけれども,そこの「教育」という言葉が引っかかりました。
【稲垣委員】 この診療業務を基礎として行われる教育業務というのは,臨床研修の部分?
【須賀主査】 ですね。教育,研究,診療,全部分けられないという意見もありましたので。あそこはまさにこういうことをおっしゃっているんだろうと思うのですが。そういう方々のためには,この教育業務というのが入っているのは分からないでもないんですが,逆にこれを入れてしまうと,相当に多くのものが全て病院で行われているような形になってしまいますよね。
たまたま病院が現場であって,教育という観点からすると,大学に置いておいたほうがいい経費なのかもしれない。発生場所で見ると病院ですが,中身は大学ですよね。そういうものをどう扱うのかという感じですね。国立大学の場合は,教育業務は全て病院に入れてしまう。
【稲垣委員】 病院実習みたいな部分ということですかね。
【須賀主査】 そうでしょうね。
【稲垣委員】 基礎として行われる教育の範囲をどこまで解釈するかというのでは,かなり拡大解釈もあり得るのかなという懸念は……。
【須賀主査】 そうですね。このまま出してしまうと,どれくらいの割合がいいのかという話に,結局元に戻ってしまいそうな気もする言葉ではありそうです。
【佐野委員】 学生を連れて診療現場,病院に行くというのも入るイメージですか。
【稲垣委員】 多分そこは入る。
【佐野委員】 そこだけかなという。
【稲垣委員】 そこだけならいいかな。
【佐野委員】 いいかなというか,カリキュラムの中で,現場に行って,病院だから実習という言葉はないでしょうけれども,教育を行うんだから,これは学部業務であるというふうに普通捉えるんじゃないですか。治療行為をするわけじゃないわけでしょう。それを見て教育実習というか,教育業務に役立てるわけだから。
【須賀主査】 実習まで入ると……。
【佐野委員】 自分で診療行為はできないんじゃないですから。学生は。
【須賀主査】 診療業務を基礎として行われる教育業務。
【佐野委員】 医療行為してはいけないんじゃないんですか。
【稲垣委員】 いや,一定の学年より上はできるんじゃないですか。
【錦参事官】 今,そうなんです。教養試験というのに合格すれば,一応,指導監督の下だと医療行為ができる。
【稲垣委員】 そうすると,一部の診療行為もやっているんですよね。その部分は。
【佐野委員】 診療ですね。でも,それを見て,その資格のない学生が教育に役立てるとなったら,両方一緒という感じだから,これは全部病院です,これは全部大学ですと分けるのも不合理ですよね。
【村松委員】 いいですかね。分けるという以上は,附属病院の業務範囲を特定しないと分けられないので,まずはそれが必要ですよね。なので,何らかの基準で分けるのはいいと思うんですけれども。南委員がおっしゃったように,この間,各私学団体と話しても,結局,分けられないという人たちもいるし,ここが非常に微妙なところだと思うんですよね。
なので,例えば,この丸2のところで,各団体の協力を仰いで妥当な範囲を,範囲を各団体に聞いてもあまりいい,明確なものは出ないのではないかと思うんですけれども,まさにこの病院の業務範囲というのはどこなのかというのはむしろ,もちろん我々で議論するのは必要だと思うんですが,まさに専門にもう一回しっかり確認をして,そこで腹落ちしてもらわないと,結局,最後まで説明が足りないということになりますし,按分するとか言っても,どこで切ったらいいのか分からないということになってしまうので,ここは非常に重要なところなのかなと私は思っています。
私は病院を持つ大学に所属していますので,それこそ病院を切り分けるというのは,むしろやや反対の立場にあるんですけれども,やる以上はそこのところを明確化しないと,最後まで多分こじれてしまうのではないのかなと思いますので,時間があるのかどうか分かりませんけれども,この間のヒアリングをベースに,もう一度この病院のまさに業務範囲,大学とどこで切り分けるのかについては,例えば,アンケートを取るなりして聞いてみたらどうかなというふうには思いますけれども。時間的なフレームが分からないんですけれども,考え方としてですね。そう考えますが,いかがでしょうか。
【稲垣委員】 この国立大学の基準を持ってくることは,私は異論はありません。私学の人たちがすごく抵抗を感じるのかどうか分かりませんけれども,ここに根拠として書いてあるように,大学病院である以上共通であるならば,ベースは一緒にする,ただし,ここの「診療業務を基礎として行われる教育業務」の解釈なりを具体的にどこまでというのは,もう少し整理をしないと非常に差が出てしまうのかなという気はしますけれども,全体からすると,この部分はあんまり大きな金額にはなり得ないのかなという気もしないではないです。そこは……。
【須賀主査】 この間のインタビューのときに,ここが一番皆さんの御意見も分かれているような感じがいたしました。ほかの診療業務とか,そのほかにここに書かれているようなものは附属病院でやられているので,そういうことは取りあえず何らかの形で提示されているというのは重要ですよね。
全く提示しないでこの間意見を聞いたので,特に教育,研究,診療が全く区別されないんだということで,あたかも全部がどう分けていいか分からないみたいな話になりましたけれども,かなりの部分,ここは病院のところに計上すればいいものである。そうでなくて分からない部分があって,そこだけきちんとやっていただければ,あるいは,分からないんだったらある程度の比率を出してくれると分かりやすい。
例えば,ごちゃごちゃになって,どうしても我々としては分けられないんだというときは,じゃあ50対50でいいんですかというふうな提案をするというのはいいわけですよね。そんな数字が出てくるかどうか分かりませんけれども。
例えば,そのほかのいろいろな業務がある中で,特に問題になっていて,そこについてどういうお考えなのかというふうに限定してお尋ねするということは,この後,まだ御協力いただかなきゃいけない部分ですね。そういうことをまとめて御質問なりアンケートなり取らせていただくというふうなところでいかがでしょうか。
附属病院の業務の範囲というのは,一応,基準としてこれを使いながら,どの部分を修正しなきゃいけないかというところで,私学の特有な部分だとか,あるいは,それぞれの学校の特殊性をきちんとお尋ねするという形であれば,何とかまとめられるかなという気はしますけれども。
【篠原室長】 分かりました。そうすると,国立大学法人の内容でいったときに,皆さんおっしゃっていただいた「診療業務を基礎として行われる教育業務」の辺りをもう少し粒度を上げるといいますか,どういう内容になり得るかみたいなところを中心に団体あるいは法人からアンケートを取るというようなことを考えていくということですね。
【須賀主査】 そうですね。
【篠原室長】 分かりました。
【須賀主査】 それで,一番最後になお書きが書かれてあるんですが,なお,目安であるため,これと異なる考え方をすれば,これに限るものではないと,ここまで言ってしまうと白紙になってしまうので,取りあえず参照としていただきたい附属病院の業務範囲がこれですと書いていただいて,不都合な部分についてどうするかという質問の仕方をしておかないと,行き過ぎかなという気がしました。
【篠原室長】 よろしいですか。今,須賀主査がおっしゃってくださった部分は,まさにこの話をどういう方向性でまとめるかというところだと思うんですけれども,もともと教育,研究,病院というところの分け方自体も,学校法人に委ねる前提でのたたき台だったので,これ目安だから違う考え方でもいいよというふうに最後広げているという形になっております。
一方で,ある程度そろえたものでやっていただいて,解釈もそろえていくという方向性であれば,さっき申し上げたような教育業務の範囲を整理したりとか,これを参照として,より準拠してやってほしいというメッセージの発し方になるかと思うんです。これをどちらの軸足で行くべきかというところが,今,方向性をいただいたほうが今後手戻りが少なさそうなんですが,いかがでしょうか。
【須賀主査】 村松委員。具体的に病院をお持ちの学校として,例えば,附属病院の業務範囲でこういう形で出されたときに抵抗ありますか。先ほどの教育のところは置いておいて,それ以外のところで。
【村松委員】 どうですかね。私のところで具体的にどうこうというのは,病院とかあるいは医学部の人の意見を聞いてみたいなという感じはどうしてもしてしまいますかね。
ただ,ある程度,要するに,各学校法人で切り分けをどうぞ考えてくださいと,あとは,会計士さんとお話ししてそれでオーケーだったらオーケーですよというのと,病院業務ってこういうのがありますよねと,もちろん学校によっていろいろ考え方が違うかもしれないけれども,基本はこんな感じで切り分けるんじゃないですかというガイドライン的なものは出したほうが多分やりやすいのかなという気はするんですけれども。
【篠原室長】 ありがとうございます。
【須賀主査】 飯田委員はいかがですか。
【飯田委員】 決めてくれという部分でいうと,これを出すのでいいような気がするんです。国立大学法人ので。多分,教育という部分でいうと,学部,医学部のほうでやっている教育と病院でやっている教育というと,大体分けられるんだと思うんです。ポリクリと研修医の指導は病院でやっている教育だよねみたいな感じになるんだと思うので。
そこは多分,そうやって分けてくれということであれば,分けられるのかな。むしろそこを曖昧にすると病院か学部か分からなくなってしまうので,そこは出してあげたほうが,これで出してしまったほうが,これを基準にしてくれという,参考にしてというほうがやりやすいのかなという気はしました。
あとは,精緻さと妥当性みたいなところをどういうふうに表現していくかというほうが難しいのかなというのは思います。
【篠原室長】 今,飯田委員がおっしゃったのは,ポリクリ?
【飯田委員】 はい。正式な名前が分からないですけれども,要は,病院に行って学部生が勉強するという。
【篠原室長】 物理的な病院という場所でということですね。
【須賀主査】 取りあえず,目安としては使えそうだというところから,少し御意見をお伺いして,大体それで行けそうであればいい。この間のインタビューで,教育業務のところはまだまだ残りそうな気はいたしますよね。学部であっても病院が教育の現場になるというところをどちらに入れるのが望ましいのかというのは,さっきの4年生から可能であるということになると,余計に難しくなりそうですね。どういう扱いをしているか学校ごとに異なるかもしれないので,その辺も含めて少し御意見をお伺いするという感じでしょうか。
では,丸2の勤務実態の把握方法の例示のところですが,この辺り,御意見がありましたらお願いいたします。
【稲垣委員】 それでは。一番最後の丸のところの括弧書きの会計監査人と相談の上では,先ほどと同じ扱いにしていただければと思います。管理会計で用いているものでも,この理念に照らして合っているからこれでやりますということであれば,多分よろしいんだと思います。
【佐野委員】 よろしいですか。私は,その他活用し得る例があれば追加という,あってもいいんですが,管理会計で用いている按分比をそのままストレートに言葉にしてしまうと,学校のせっかく上のほうでいろいろな変数の例とか書いているものが台なしになってしまうと思うんです。だから,管理会計の云々というのは,言葉としては省いたほうがいいのかなと思います。
【須賀主査】 何かほかに例があれば入るか。思いつかないので。
【稲垣委員】 確かに,管理会計上の比率をそのままダイレクトに持ってこられてしまうと,管理会計で使っているんだからいいでしょうといったら,合理的ですねとは必ずしも言い切れないと思いますので。
【篠原室長】 ありがとうございます。
【須賀主査】 じゃあ,ここは削除ですかね。
【篠原室長】 はい。
【須賀主査】 そのほかいかがですか。
【南委員】 一番最後のところ,大きな環境変化がなければ,按分比を複数年使用するというところなんですけれども,例えば,そもそもこの按分比率というのが百分率,小数第何位までとかという比率なのか,それとも3対7とかざっくりしたものなのか,それによっても異なってくるとは思うんですけれども,細かく小数第何位まで求めておきながら,それを複数年使用するというふうになると,果たしてそれでいいのかどうかというのは疑念が残るというか,そう感じました。ざっくりとしたものであれば,この考え方もいいのかなとは思うんですけれども。
【佐野委員】 このポツは全体に係るポツなんですかね。
【稲垣委員】 大きな環境変化がなければ。
【佐野委員】 それとも,その他の中の1つのポツなのか分かりにくかったんですが。全体に係るとすれば,按分比は各学校で比率,小数点以下こだわらずに分数でやって,パソコンというかコンピューター上の按分比を入れている学校もあれば,比率を決めないほうが私はいいと思うんですが。
各学校のほかの経費の共通経費なんかについても入れている比率があると思うので。何桁という。ここはあまりこだわらなくてもいいのかなという気がいたしました。
【稲垣委員】 ここは,私の理解は,上のいろいろな組合せで出すんだけれども,毎年やり直さなきゃいけないのかといったらそんなことはなくて,大きな環境変化がなければ,一度やったものを2年,3年使うことも当然許容されるよということだと思います。
【佐野委員】 全体に係るんですね。
【稲垣委員】 全体に係る。はい。それと有効数字の問題は,そこは有効数字に話が及ぶと……。
【須賀主査】 そうですね。私はかなりアバウトに考えた。皆さんどうなんでしょうか。相当に厳密に……。
【篠原室長】 桁数にあまり意味がない。
【佐野委員】 お任せで。
【須賀主査】 結構そういうことですと言うと随分安心するのかなという気がしていまして。そんな数字を出すんだったらビーコン以外ないですよねとかと言われてしまうと,これは我々が考えていることと随分離れていますとなるのかな。
どこかで結構アバウトな数字なんだという雰囲気が伝わると,もう少しこういう議論には参加していただけるのかなという気がするんですが。
【飯田委員】 私が思っていたのは,前書きみたいなところに,今回いろいろ言われているのが厳密に分けられないんだと,精緻化をしようとすればするほど無理だから,かえってファジーな数字のほうが合うんだみたいなことをおっしゃられていたと思うんですけれども,なかなかファジーなものというのは書けないので。なので,高い精度を追求することが難しいということは分かっているので,以下を参考にして妥当な比率を出してくださいみたいな書き方を頭書きにしたらいいのかなと思っていました。
【須賀主査】 そうですね。それをどこか適切な場所に入れておいていただけるといいですよね。
【南委員】 57ページのたたき台のところの文章の中の真ん中下辺りですかね。「より精緻な勤務実態捕捉方法」というこの3行があるからかえって混乱するのかというのは読んでいて思ったところではあるんですけれども。これを読んでしまうと,より精緻にやらなきゃいけないのかなというふうに思ってしまう。この3行を取ったりとか,いかがですか。57ページの四角の囲いの中の参考の上の,「より精緻な勤務実態捕捉方法を採用したい…」。
【篠原室長】 頑張りたいところは頑張ってもいいよと書いている部分。
【須賀主査】 それを書くと,みんな頑張らなきゃいけないんじゃないかと思ってしまうという。
【篠原室長】 ありがとうございます。
【須賀主査】 日本人の習性で頑張ったほうがいいんだというのはどこかにあって,こう書かれるとついつい頑張ってしまう。
【佐野委員】 それが政策だと思われてしまうんですよね。書いていると。誘導されてしまうんですよね。
【畑参事官補佐】 すいません。それに関連してなんですが,私のほうから1つ確認したいことがございまして。このビーコンを例示として挙げるかどうかというのを……。
【稲垣委員】 目的が違う。
【畑参事官補佐】 書くと,ビーコンをやらないといけないんじゃないかと思われる人が多いんじゃないかと思っていまして,そこまで求めていないんですけれども,できるんだったらより精緻にという感じで言っているんですが,そうでなければ,あえて書く必要があるのかないのかというところを,御意見をいただければと思いますが。
【篠原室長】 59ページの白丸の上から4つ目のところにあるビーコンというやつですね。
【畑参事官補佐】 はい。
【須賀主査】 先ほど南委員がおっしゃったことは,57ページの四角囲みの「参考」のすぐ上にある3行を全部取ってしまったらどうかということですよね。
【南委員】 はい。
【須賀主査】 それがあると,ビーコンを削ったとしても,多分,タイムレコードぐらいはやらなきゃいけないんじゃないかと思うわけですよね。それを導入するということが急に可能かというと,相当に難しいところもある。例えば,医学部だけ入れて,ほかの学校が要らないよということに対しては,相当に反発が出てきますよね。
なので,もう3行は取ってしまって,お任せしますにして。尋ねられたら,こんな例が国立大学ではありましたぐらいだったら構わないと思うんです。私立大学がと言うと,あれと同じことをしなきゃいけないんじゃないかとなるので。
【佐野委員】 この3行を取ってしまえば,今,事務局がおっしゃったように,59ページのビーコンのこれもやめたらというのですよね。
【畑参事官補佐】 はい。
【佐野委員】 要らないんじゃないんですか。
【村松委員】 この間,私学団体の皆さんのお話を聞いていても,結局,今,何となくこのワーキンググループの場では,できるだけ合理性を説明しなきゃいけないと。ただ,そこまで精緻なものを求めていないよねというコンセンサスみたいのがでているのかなと思うんですけれども,例えば,学校法人とかあるいは私学団体としては,どこまでやったらいいんだ,誰が合理性を認めてくれるんだ。いや,合理性は自分たちで説明してください。最終はもちろん会計監査人のほうで御了解いただければ,それでよかったねということになるのかもしれないですけれども。なので,そこのところが多分分からない。
だから,先ほど飯田委員が言われたように,何らかの形でそのニュアンスを伝えるということは非常に重要だと思うんですけれども,そのニュアンスの使い方も,じゃあ結局いいんだねと,管理会計5対5でやりましょうというのもまた困るわけなので。
その辺の求められるものというのは一体何なのかというのは,多分すごく説明しづらいところだと思うんですけれども,冒頭の学校法人のところで佐野先生がおっしゃったように,どこまで精緻なのかというのは,合理性を求めているんだけれども,真の合理性,経済実態を表す数字というのは,結局はこれが真実だという答えが1つあるわけではなくてですね。ということなので,その辺りの説明というか,そこがないと,あとは学校法人に任せて,じゃあ,このぐらいの合理性で自分たちの判断でこういうふうにやればいいんだよねという腹落ちができないというか,少なくとも今できていないんじゃないのかなと。
なので,ビーコンを外したら,じゃあビーコン要らないんだねというぐらいなことになってしまうので。その辺りの本当にもう少し骨太な考え方のところをしっかりと伝えるということが結構重要かなというふうな気がするんですけれども。どうでしょうか。
【篠原室長】 よろしいですか。
それはさっき飯田委員がおっしゃってくださった部分を追記する中で,飯田委員がおっしゃってくださったのは,精度の追求をしまくるのではなくて合理的な基準でやっていくから,以下を参考にしてやってねというような追記という御趣旨だったと理解をしているんですけれども,その話をすることに併せて,今,村松委員がおっしゃってくださったこと,多分,方向性としては同じことかもしれないですけれども,そういうことを……。
【村松委員】 言い方がすごく難しいのかなということを言いたいんですよね。適当でいいんですよと言うわけにいかないわけですよね。でも,合理性を追求してください,どこまで追求してくださいと言えないですよね。基本的に。それは自分たちで判断してくださいということに多分なるのかなというふうに思うので。
だから,どの辺りまで求められているのかというのは,だんだん実務をやっていく上でこのぐらいでいいんだなというのが分かってくるのかもしれないですけれども,最初これを導入するとなると,多分学校法人側はすごく構えて,すごく心配するんじゃないのかなというのは,だからこそヒアリングとかしてもいろいろな意見が出てくるということだと思いますので。
その辺りは,どこかでそこまで精緻にしなくていいんだよというニュアンスを入れるというのは大事だと思うんですけれども,そこのところが,どういうふうに入れるのかというところもあって難しい。例えば,文部科学省さんとしては,このぐらいまで要求していますということが言えるのであれば,それはいいのかもしれないんですけれども,多分それもなかなか難しいんじゃないのかなというふうに思うので,その辺りは知恵の絞りどころかなというふうには思います。
すいません。こうしたらいいという考えがあるわけじゃなくて,何となく大丈夫かなというところがすごく不安に思えたので,意見させていただきました。
【須賀主査】 恐らく,会計基準の考え方を今回見直しましたと,その基本的な理念はこういうところですという説明がきちんとなされていて,それに合った形での合理性というのはこのレベルだと何となく伝わっていけば一番いいんだろうと思うんです。
見せ方としては,我々が,今はこういう関係者だからそういう目でしか見ていませんけれども,仮に全然関係ない人間だとして,どれだけの情報が与えられると大学がこういうことをやっていると理解できるのか。それだけの情報がちゃんと社会に対して発信できると説明責任を果たしていますと見ている側が思えるようなものをつくってくださいということが一番言いたいわけですよね。
どうもその辺が,つくる側のほうに立ってしまうと,どこまでしなきゃいけないのかというそういう話ばっかりなってしまいます。そうではなくて,我々は,情報を発信する以上は何らかのステークホルダーがいて,そういう人たちに対してこれだけのことが情報として与えられれば十分だよねと言いたい。私たちはいろいろなところで逆に見る立場からはいろいろ経験しているので,そういう逆に見る立場のほうに対してこれだけの情報が与えられたら安心するねという,そういう基準で書いてくださいということなのかなという気がずっとしています。
そうすると,あまり細かい按分比率というのは関係ないし,非常に大ざっぱでも十分にそれは伝わるんだと思うんですよね。それが読み手の側といいますか,説明を受ける側から見た説明する側の説明責任の範囲かな。こんなところが最初に書いていただくとよくて,それを受けて,飯田委員がおっしゃっているようなところにまた文章が入ってくるということであると,何となくつくる側も安心できそうな気はします。
【篠原室長】 今の御意見などを踏まえて,追記させていただく案は,次回以降,御相談できればと思います。
【須賀主査】 では,それでよろしくお願いいたします。
【須賀主査】 案2の按分比を示すかというところはどうでしょう。
【篠原室長】 はい。示さずともという御意見をいただきました。
【稲垣委員】 いいんじゃないかな。
【須賀主査】 そういう感じ,今のところの皆さんの御意見はそんな感じかな。
【佐野委員】 よろしいですか。私は示せたら示していいかなと思っていたんですね。多分,示せばみんなこっちに流れるだろうと思うんです。そのエビデンスとして必要なデータは,この案1のほうで十分取れる。取ったもので何かオーソライズできる按分比が一定の範囲で提案できれば,案2を,さっきのアンド,オアで言えば,アンドとして提案してもいいのかなと思ったんですね。
というのは,例えば,個人的な感覚で言うと,個人の所得税だと,診療科によって標準経費率が決まっていて,例えば,整形外科は何%の経費を認めますよ,何科は何とあって,それと実際にかかった経費を比較して,どっちか入れるとやっているんです。決して簡便的な標準比率だけでやっているわけじゃなくて。
そういうことを思うと,案1を示して,そういったものをデータとして当局のほうで把握した上で,こういうことだから,例えばですけれども,病床が病院決まっていますけれども,その中でも大中小はあると思う。それぐらいで学生数がこれぐらいだったら,この比率の範囲でいいですよとか。そういうのが示せれば,結構皆さん,この病院に特化してセグメントって,失礼な言い方で,単なる附属明細書のところにあまり注力しないで実務が動くのかなという気がしていたので。
【須賀主査】 なるほど。今おっしゃったことはどちらかというと,普通,一人一人の方がどれくらい診療時間を使っているかということの蓄積,積み重ねで出てくるような数字だったと思うんです。そうではなくて,むしろ病院全体としてどういうふうになっているか。ある意味でマクロな数字,集計されたようなイメージですよね。
【佐野委員】 そのデータとしてはきちんと取るべきだと思うんです。取った上で,過去何年か,今年度か分かりませんけれども,案1にあるような方法で取った上で,それで,これが病院の現状ですということを基に出せるものがあれば出してはどうかなと思ったんです。
【須賀主査】 そういう意味では,マクロの比率ですよね。
【佐野委員】 そうですね。その大学,総合病院ならこう,歯科ならこうとか。例えば。そういうイメージですね。
【稲垣委員】 それは医学部に属する全教員のうち病院は何割から何割ぐらいという総合指標を示すということ?
【佐野委員】 案2のほうで言えば,そういうイメージ。出せれば。
【稲垣委員】 算定できるのかな。
【佐野委員】 算定のためにこの案1を皆さんにつくってもらうというのが案1ですよね。
【稲垣委員】 参考資料じゃなくて,幾つかのパーツがあるパーツに関して,例えば,参考資料を示すパーツというんですか。
【佐野委員】 パーツって,これ今,人件費やっているんですよね。
【稲垣委員】 教員人件費でも,教員もいろいろな教員の人がいらっしゃる。
【佐野委員】 だから,いろいろな人がいるので,そのデータは案1で取れるわけですよね。案1で取ったもので,予備段階といいますか,準備段階,取った上で,その平均値なりアベレージを取るのもいいし,加重平均でもいいけれども,何か合理的な基準が出せれば,案2を出すことも1つの選択肢かなと思ったんです。出せれば。
【須賀主査】 そうすると,案1の先ほどのようなものがあって,それで,1回はちゃんと計算する。
【佐野委員】 みんなに出してもらうということですね。
【須賀主査】 出してもらって計算する。これの集計で大体比率が決まる。その比率をこれからずっと使っていいとする。これは非常に楽です。
【佐野委員】 ある程度の幅を持たせて,やっていいよというふうにすること……。
【須賀主査】 毎年やるよりもというさっきの議論を一緒にしてみると,それは意外と使いやすいかもしれません。
【佐野委員】 多分実務がそっちに流れると思うんだけれども。ここに限って何でそんなに精緻なものを求めるかというのは,現場にとっては過重な負担がかかるなという気がして,1回だけやっていただいて,あとは標準値の中で動いてくださいというのもありかなと。
【須賀主査】 なるほど。
【佐野委員】 もちろん1も示しますので,いや,うちはちゃんと1を毎年やりますなり,3年に1度見直すなり,大幅な病床変化があった場合には見直しますと,それは各学校に任せるけれども,そういう全体的なデータを取れる当局,文科省としては取りました,こういうものも示しますよというのもあっていいのかなと思ったんですが。
案を示すということは,でも,そういうことですよね。案2の。何かのエビデンスがないと,こんな簡単に5:5とか出せませんから,出すということですよね。案2を削除してしまうならそれは別ですけれども,案2も出せるということであれば,そういう今申し上げたような形で出してはどうかな。
【篠原室長】 案2を出せるかどうかに関しては,端的に言わせると,今すぐここでは出せないので。
【佐野委員】 先ほどアンドかオアかという意見募集というのが,ありましたけれども,私はそういう意味で,アンドということで両方示せたらいいな。
【篠原室長】 両方示せたらいいなという御意見は理解をさせていただきました。じゃあ,その案1で取ったデータをどういうふうに値として示すのかといったときに,幅を持たせたものとして仮に示すとしたら,結局,学校法人ごとに選ばなきゃいけないわけですよね。
【佐野委員】 大きな枠でいいと思っていますので,もちろん選択は各学校法人がやるんでしょうけれども,例えば,病床が500を超したらこの比率の中で動けばいい,500以下はこの比率で動けばいいというのを示せれば。
【篠原室長】 そこは,もちろん先生方の,委員の皆様の御意見をいただきたいんですけれども,個々の学校法人ごとに情報を開示するというようなところと,規模なのか何なのかある程度標準の値みたいなのを出したときの差分というのを許容するのかどうかというこっちのスタンスの話になるかなと思うんです。
【佐野委員】 ですから,案2に示せるものがあるとしたら,きちんとした積み上げなりのエビデンスが必要ですので,それをできるという前提でのお話です。
【須賀主査】 恐らく,最初にそれぞれの学校法人にお願いをすると,こういったことをそれぞれやって,案2のところの按分比を示すというのは,そのデータを全部文科省として集めて,そこから計算をし直して再度提示するという形になるので,そんな余力ありますかというのが心配です。
【稲垣委員】 もしもエビデンスで取れるんだったら,それでやればそれで済むだけなんじゃないですか。
【佐野委員】 各1年でね。
【篠原室長】 それをやって。
【須賀主査】 だから,各学校法人がどこまでのことをやって,それが全部集計されるんだとなったときに何を考えるかというと,ほかの学校はどの程度のことをやっているんだろうかと,そういう話になると結構事務的には大変かなと思ってしまいます。
【稲垣委員】 逆に,レンジを示して,そのレンジの中でうちはこれを選びましたというのが監査可能かと言われると,非常に……。それはそもそも,個々の説明責任になじむのかという気持ちはありますけれども。
【須賀主査】 なるほど。
【佐野委員】 定量的な基準を決めてしまって,その中で動くのであれば,説明は可能だと思うんです。
【須賀主査】 ただ,相当にばらつきがあると,幅が……。
【佐野委員】 取ってみないと分からないです。
【須賀主査】 そうですよね。
【佐野委員】 そのばらつきがイメージが分からないですが,病床数によるばらつきが大きいのか,診療科のメインの診療を何にしているのかによって違うのか。全然違ってくるので。
【須賀主査】 そうですよね。
【稲垣委員】 そういうデータはかなり……。
【飯田委員】 病院ごとのこともあるので,結構難しいと思いますけれども。
【佐野委員】 逆に難しいですか。ということは,案2は選択肢にないということですね。
【稲垣委員】 私は案2は……。実際にそういう数値を導き出せるのか,どういう形の指標で示せるのかということを考えると,結構大変かなという気もしますし。その結果が確かに楽にはなりますけれども。
【須賀主査】 ただ,これをずっとやっていただいてデータを集めていくというようなことを考えておられるのであれば,すぐにはできないかもしれませんけれども,近い将来,5年,10年たったぐらいには,それが蓄積されていて按分比を示してあげるということができるかもしれない。
【稲垣委員】 参考情報とこういう統計が出ました……。
【南委員】 参考ですよね。
【稲垣委員】 それこそ事業団か何かの経営分析の中で,こういう実績データが出ていますというようなことを参考情報として示すことは,それはそれで,自分の学校がそれに比較してどうなのかという見方をしてというのは意味はあると思います。
【須賀主査】 すぐにこれを示すというのはなかなか難しそうですね。
【稲垣委員】 先にこれを示してしまうと,あ,待っていればいいんだというふうに逆に誤解されてしまうんじゃないかという。
【南委員】 調査してみて,結局,最大値から最小値までという幅を持たせてしまうと,幅を持たせ過ぎになってしまいますし,ある程度,中央値というかそこら辺に絞ったとしたら,どうしても,これ40%から60%となっているけれども,うちはどう考えても10%ですというところをどうするかというところも出てくると思うので。
稲垣委員がおっしゃったとおり,統計データとして今後の参考としてお示しする分にはいいのかなとは思うんですけれども,これをあらかじめ示すというのはなかなかひょっとしたら難しいのかなと感じました。
【佐野委員】 実務的に難しさがあれば,案2はなしでいいと思います。
【須賀主査】 こういう意見が出たということは記録にとどめておいていただいて,取りあえず,無難なところで案1で行かせていただきたいと思います。
それから,3ポツの病院をセグメントとして設けることに関する説明の部分ですが,これは関係団体との調整になりますか。納得いただかないとしようがないので。何か皆さん御意見ございますか。
じゃあ,ここは御提案どおり関係団体の対応を見,相談しながら進めさせていただくということでお願いします。先ほど出た幾つかの質問させていただきたいことがあったと思いますので,併せてお尋ねいただくということでよろしいでしょうか。
では,各論の診療所についての審議をしていただきたいと思います。事務局より説明お願いします。
【畑参事官補佐】 資料7,61ページを御覧ください。
こちらですが,第4回のワーキングで,学校法人が設置する診療所のうち,主に学生の健康管理や教職員の福利厚生などのために設置しているものがあり,それを病院セグメントとして位置づけるかどうかという論点がございましたので,それを整理しました。
これは幾つかの学校法人に状況を確認いたしまして,その状況というのは「現状」のところにございますところですけれども,全ての学校法人で当該診療所を設置しているわけではないという状況です。それから,法的に何か義務づけがされていて設置しているようなものでもない。
学外者の受診を認めるか認めないかというところについても,認めているところもあれば,認めていないというところもあるというところです。
それから,医師が常駐しているのかしていないかということについても,常駐しているというケースもあれば,そうではないというものもあるというところです。
それから,当該診療所の財政規模ですけれども,確認した範囲の中では,いずれも資金収入のうちの0.1%もないというような状況ですので,対応案としましては,一番下のところにございますけれども,財政規模が法人の財務規模全体に大きな割合を占めないということでございますので,この場合は病院セグメントとして配分することを求めないという形でいかがでしょうかという案にさせていただいております。
詳しく,6法人聞いておりますが,それは机上配付資料で配っておりますので,状況としてもこういう状況だというのを御確認いただければと思います。
私のほうからは以上でございます。
【須賀主査】 御説明ありがとうございました。何か御質問,御意見ございますでしょうか。
【佐野委員】 対応案はこの文書が残るんですか。対応案に書かれている3行の文章を残す前提なんですか。
【畑参事官補佐】 資料7のほうですか。
【佐野委員】 61ページの。そうです。
【畑参事官補佐】 一番下のところですか。これは残そうと思いますけれども。
【佐野委員】 そうすると,その規模が法人の全体に大きな割合というところにならないのは分かるんですけれども,曖昧性が残ってしまう気がするので,学生の健康管理,福利厚生ということに限ったら,もう要らないという書きぶりでよろしいのかなという気がしたんですが。
【畑参事官補佐】 分かりました。じゃあ,この部分は削除しまして,「ために設置しているものについては,病院セグメントとして配分することを求めない」という形にさせていただければと思います。
【須賀主査】 そのほかよろしいですか。では,その対応でお願いいたします。
では,その他,最後に事務局より事務連絡をお願いいたしたいと思います。
【畑参事官補佐】 それでは,今回のワーキングの議事録につきましては公開しますので,後日,議事録の確認依頼を送付しますので,よろしくお願いいたします。
それから,次回ですが,第7回は11月13日水曜日15時からを予定しております。開催案内は後日送付いたします。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
それでは,第6回学校法人会計基準の諸課題に関する検討ワーキンググループはこれで終了させていただきます。お忙しい中,御参加いただきまして,どうもありがとうございました。
高等教育局私学部参事官付