令和6年4月10日(水曜日) 14時00分~16時00分
中央合同庁舎7号館東館(文部科学省)14階 高等教育局会議室
飯田委員、稲垣委員、佐野委員、須賀委員、菅原委員、南委員、村松委員
錦参事官、篠原私学経営支援企画室長、畑参事官補佐、今井専門職
【須賀主査】 これより第2回学校法人会計基準の諸課題に関する検討ワーキンググループを開催いたします。
本日はお忙しい中,本ワーキンググループに御出席いただき,誠にありがとうございます。
本日,私はオンラインでの参加をさせていただいております。
それでは,本日の議題といたしましては,審議事項として,1番目にセグメント情報における配分基準に関する論点の整理,2番目に附属病院等の実態調査について。それから,報告事項として,本ワーキンググループのスケジュールについてとなっております。
まず,審議事項1,「セグメント情報における配分基準に関する論点の整理について」でございます。
セグメント情報における配分基準に関する論点について審議いただきたいと存じますが,その前に前回いただいた意見,共通経費と人件費の実態について共有した上で審議に入りたいと存じます。
事務局より資料の説明をお願いいたします。
【篠原室長】 資料1について説明をさせていただきます。
こちらの資料1に関しましては,前回,先生方に御覧いただきました資料に,青字でいただきました御意見を追記させていただいているというような構成になってございます。
前回説明したところは,説明を省略しますけれども,まず,総論です。現行の「学校法人会計基準」と「新学校法人会計基準」に関して,前回,今はこうなっていますということと,新会計基準はこうなりますという説明を1ページ,2ページでさせていただきました。この辺りに関しましては,2ページの下半分に,青字でいただきました御意見を書かせていただいています。
1点目は,最終的にどのような通知で出していくのかというアウトプットの形をイメージして,議論すべきだという御指摘。
2点目は,経済実態をより適切に表す配分基準については,実務において負担なく,楽に使えるような配分基準にすることが,現行基準の例外を認めないことにつながるという御意見。
3点目は,実務の負担を考えると,新配分基準で収支内訳表の作成も対応することができないかという御意見。
4点目は,配分基準の目的は,一定の恣意性の排除にある。現場が混乱せず,負荷がかからない形で運用できるようにするべきだという御意見。
最後は,現行の配分基準でも,十分使える部分があるのではないかと,そのような印象だという御意見を,複数の委員からいただいております。
続きまして,3ページの資料です。こちらは,共通経費の配分基準として,例として光熱水費と減価償却額を挙げまして,どのような配分基準があり得るだろうかというところを示させていただきました。
3ページの下,ローマ数字のⅡ,人件費の配分基準という部分に関しましては,現行の学校法人会計基準での取扱い,いわゆる発令主義になっていますというところの説明をさせていただきました。4ページの四角の中になります。学校法人部門に関しても,特定の業務に携わる者というのは,学校法人部門に計上しますといったことを御紹介させていただいています。
4ページ目の下のほうです。医・歯学部と附属病院に関しても,特別な取扱いになっています。こちらは,論点として,人件費に関しては複数セグメントの業務を担当する場合,あるいは,医学部・歯学部と附属病院等,附属病院の業務を担当する場合といったところで検討が必要だというようなことを確認させていただきました。
6ページでございますけれども,こちらは人件費に関しての御意見を確認させていただきます。
1つ目,専任教員について,設置基準上の基準教員数が決められていることから,発令基準による処理というのは残さざるを得ないのではないかという御意見。
2つ目は,内訳表の作成においては,教育研究費は学生数比,管理経費は教職員数比というような配分ルールを学校ごとに既に決めているところが多い。現行配分基準の諸経費の配分基準は,新基準でも使える。問題は,やはり人件費であろうという御意見。
3つ目は,人件費において,現在の実務では発令によっているが,より実態に即したものを定めていければよいという御意見。
4つ目は,人件費の処理では,教職員の人数比や非常勤教員のこま数などを使っているという実務の御紹介。
5つ目は,附属病院は医療と教育が不可分であり,経営も一体になっているという点について,医療収入と経費というのは既に分けており,内訳表の配分基準の考え方でよいのではないか。やはり問題は,人件費の部分だといった御意見をいただいておりました。
これらを踏まえますと,現場の負担感を考慮していこうという点であるとか,現行の配分基準で活用できる部分というのは,それなりに活用していこうという方向性に関しましては,皆様,共通認識であったと考えております。
一方で,個別に検討が必要な点に注力していくということになりますと,やはり人件費と医学部・歯学部と附属病院というところのあたりが,個別に検討が必要な点になってこようかと考えています。
なので,本日は共通経費と人件費に関して御議論いただきまして,第3回,5月に予定していますけれども,そちらで附属病院について掘り下げて議論をしていただくというような形で進めさせていただければと考えています。
事務局からの説明は,以上になります。
【須賀主査】 御説明ありがとうございました。
資料2,「共通経費の実態について」は,佐野委員におかれまして,今回のワーキンググループで使用するために作成していただいております。そこで,佐野委員から御説明をお願いできればと思います。
佐野委員,よろしくお願いいたします。
【佐野委員】 佐野でございます。資料2ですが,これは経済的実態をより適切に表すセグメント情報における配分基準についての検討を前提に,まず現行の内訳表の作成基準について軽く確認をした上で,実務では,それらがどう適用されているのか。また,これらによる配分基準がセグメント情報における配分基準として不適切だとすれば,何をどうしたらよいのか、この辺を検討していくための資料でございます。
まず,ステップ1として関係通知の確認なのですが,46年通知,セグメント情報では教育活動収入,教育活動支出というくくりですから教管区分は関係ないんじゃないか,この46年通知は関係ないんじゃないのという御意見もあろうかと思いますけれども,配分基準を教育研究経費と,管理経費とですみ分けするに当たって1つのヒントになると思われますので,ここに記載させていただきました。
この通知では,学校法人の収支は,学校法人の事業目的,学校の運営という,目的からして,すべからく教育研究経費ではないかという,いわゆる広義説です。狭義説,広義説というのは御承知かと思いますけれども,この広義説に近い考え方を取りつつも,この7項目は各法人で共通して管理経費にしましょうということで,通知が発せされたものです。この7項目以外は主たる使途に従って,教管いずれかに含めるといった通知になっております。
この配分基準を考えるに当たって,例えば,③として3番目に書きました教職員福利厚生,これは管理経費だと言っています。教職員の福利厚生は,特筆されているわけです。ということは,これは,学校経営であるといっても,在学生数で配分するのではなく,教職員数で配分するのがよいのではないかという,1つのヒントになると思うんですね。
そうしますと,この科目ごと,もしくは教育研究経費,管理経費の区分で部門配分を考えるときには,この管理経費とすべき7項目についても,1つ,念頭にあると分かりやすいのではないかなということで,この46年通知を書かせていただいたところです。
また7番目では,附属病院業務のうち教研費以外は,教育研究業務以外の業務経費は管理経費としていますが当時の財務基準調査研究会の委員が,問いに対して問いをもって答える観があるというようなことを解説で書いております。これに関連して,1番下の平成25年,附属病院関係通知も記載させていただきました。これは,医療業務に要する経費は教育経費ですよということで,この46年通知を,ほんのちょっとですけれども,解説したような形になっているのかと思います。
この46年通知は教管区分の通知ではありますけれども,部門配分を考える上でも念頭にあったほうがよろしいかなと思った次第です。
それからメインは,次の昭和55年部門配分通知でございます。これは先般,室長から詳細な御説明もございましたので詳しくは省かせていただきたいと思います。概要では,特定の部門に計上すべき収支,これは当然,その特定部門に入ります。特定の部門に計上すべき収支以外の部門共通収支は妥当な比率によって部門配分するということで,設例を設けて,1段階から3段階まで書いてございました。この配分の例示として,在学者数,教職員数,使用時間,使用面積,それから収支,金額で分ける特例などがありますということをうたっております。
それから人件費については,発令基準を原則として,それが明確でないときは主たる勤務部門によってくださいということです。
それから2番目として,法人部門の扱い。これは,それまでの学校の実務を勘案して,法人部門にいろんなものを計上してしまったり,法人部門に計上せずに各学校に割当てていたりというようなことがありうることを前提に,法人部門の扱いを,この際,統一しましょうということで出されたものと理解しております。
法人業務とは何かということを9項目掲げ,この9項目に掲げている業務に係る収支は,法人部門にしなさいということになっています。
収入については,法人部門に収入があるのかとお思いかもしれませんが,例えば,法人業務の経費に充てるための寄付金は,当然,法人部門に入れるとか,我々が現場で,皆様もそうでしょうけれども,よく分かるのは部門の新設です。学部等の設置の際に,まだ部門が設置されていない場合は法人部門に入りますよね,そういうときの収入。例えば,検定料であるとか,これも法人部門に入りますよねということで,収入もあると。それから支出については,業務として掲げられた9項目について,これに関するものは,法人部門の経費として処理してくださいということが書かれているわけです。
それから,この中で1つ重要なのが,医・歯学部の附属病院の扱いについて,臨床系教員人件費は,授業担当があれば,1科目でもあれば学部につけましょう。そうでなければ,病院につけましょうということもうたわれています。
先ほど申し上げた46年通知の⑦のところの当時の委員の解説本を見ますと,教管区分というのは,そもそも病院で分けられない,分けにくいというところがあって,非常に苦慮したというようなことが書いてありましたが,この辺りのところも踏まえてのことかと思いますけれども,この55年通知,それから平成25年通知のところで,病院関係の経費,それから人件費について,多少の通知が追加発出されたという理解でおります。
この通知は経常費補助の効果の具体的な把握であるとか,有効適切な振興政策を策定するための資料,データ,把握として示された配分基準ではあるのですけれども,これによる収支が,経済的実態を表す今回の課題でありますところのセグメント情報の配分基準になっていないのか,いるのか,実務ではどう適用されているのかというのを,少し問題点を考えながら示したのが,ステップ2以下でございます。
例えば,1ページにございますように,55年通知では在学者数,教職員数と四角の枠組みのところが例示されておりますが,具体に例えば,教職員数は本部教職員のことを言っているのか,それとも兼務の人数まで入れるのかとか,使用面積って書いてあるけれども,この面積というのはどうやって計算するのか,共有しているときはどうするのか,こういったことが具体にございません。これは,そのときの通知にもありますように,いたずらに計算が複雑にならないように,妥当なものを各学校が適用するという中で使われているものですので,それを例示したものと思っていただければよろしいかと思います。
また,この5項目にないものとして,私が実務等で見聞きした中では総人数,在学者数とか教職員数とか常勤役員数を含めた総人数で割り振りをしているものであるとか,部門数,端的にいうと駅の看板などは,いろんな法人で3つ,大学・短大・高校を設置していると,すべて学校名が書いてあるのをどういうふうに配分するのかというと,部門数で3等分するというのもありますので,そういった意味での部門数も,1つの基準にあるのかなと。
それから収支の原因となった対象項目,例えば,借入金など,高校で借入れていれば,借入れ利息は当然,高校につくということで,例示をしてみたところです。
2ページに行きますと,具体にステップ3で記載した配分基準,それとその詳細について,幾つか例示したものでございます。
具体的には,例えば学生数,在学者数と55年通知では言っていますけれども,ここにある例示では,中学・高校等は今回のセグメント情報では合算でいいということになっておりますので,1つとしてみなしております。在籍者数を100として配分率を決めれば,これで在学者数割の配分基準が決まります。
収容定員数でいえば,収容定員それぞれを足し,中高の場合は少し違う用語かもしれませんけれど,収容定員数で割ることも可能。これは各学校が,例えば実員が300人しかいないのにもかかわらず収容定員が1,000人という数字を使っていいのか,妥当かというような判断もあるかと思いますので,この学生数といった場合に,どんなものがあるかということで,例示をさせていただきました。
教職員数についても,同様の考え方があると思います。もちろん兼務とか,最近は派遣をされているところもあるし,延べ人数というのは,あまり意味がないというところもあろうかとは思いますけれども,一応,考えられるだろうということで,ここに書かせていただきました。
3ページもその続きでございまして,どんなふうに配分基準ができるかということで,例えば特例というのは55年通知にもあったのですが,金額で割り振る。これは,各部門の収入もしくは支出で割るものなのですが,当時は収入といったら帰属収入しかなかったわけです,消費収支計算書ですから。現在は区分計算されていますから,事業活動収支全体での収入・支出,それから,経常収入・経常支出などというふうに区分がありますから,これをどう使うのが適切なのか。特別収支がたまたま大きいということになると,経常収支を使うべきだということもあって,継続性を考えての事業活動収支,従来の帰属収入は当てはまらないのではないかという考えもあるかと思います。
あとは,先ほど申し上げた部門について,現実にこういったものが使われていましたという,1つの例示です。
そして,それを具体に勘定科目に割り当てたものが,4ページでございます。
これはもちろん特定の部門に帰属するものは,その部門に入りますから,例えば,大科目の学納金を見ていただくと,共通収支はバーになっています。学則で決められたところで,各部門に入ってくるわけですから,共通という概念がないだろうということで,空欄になっているというふうに御理解いただければと思います。
ここに書かれています共通収支の配分基準の例について,これが本当にいいのだろうかとか,ほかにもあるだろうということで,不足もあると思いますし,また,ここに書かれているものの中には,これは,もしセグメント情報の配分基準として考えるとしたら,不適切であるといったものもあろうかと思います。
冒頭,篠原室長からの御説明では一定の恣意性の排除をしたほうがいいという委員の意見も御紹介されました。そういったことから考えると,共通収支の配分基準の例を書かせていただきましたけれども,科目によっては,こんなことはあり得ないといったようなものは排除して例示する,例示といいますか提案するということもあろうかと思います。
ここに書かせていただいている収入については,例えば,寄付金は,寄付者が教育費の充当として指定してきた特別寄付金などは,教育費ということに鑑みれば,在籍者数とか部門数で割るのが妥当ではないかとか,教員の研究費に充ててくださいといえば,例えば,研究ですから高等教育機関ということで大学等の教員数になって,これは学生数ではないのではないかとかがあろうかと思います。
それから,附属事業収入の中で,バス,食堂,購買部など,こういったものについても,例えば,大学・短大の学生が1つの通学バスに乗るなんていう場合には,もし利用者登録があれば利用者数もあるのではないかなどということで,ここに例を挙げております。
それから支出のほうでは,人件費はいろいろ議論もあったところですけれども,1つ例に挙げさせていただいたのが,本務者が部門兼務をしている場合です。発令基準により部門貼り付ですから時間数で割りきっている学校もあれば,授業時間数だけではなく,研究時間を含めてどちらにつけています,授業時間ではなくて,ゼミの持ち数によっても考慮していますというようなところもありまして,これだけでは不足かと思いますが,例示として御覧いただければと思います。
それから経費については,46年通知でも御説明しましたように,教育研究経費については,恐らく,皆さんは人数というイメージからは,生徒数・学生数で割るのが妥当だろうという認識かと思います。ただ,学生といっても在籍者数で部門配分するのか,収容定員で配分するのか,利用者数なのか,これはいろいろ各学校の実情に応じた適切なものがあろうかと思いますけれども,排除すべき基準があるとすれば,排除すべきという考えでございます。
それから管理経費については,先ほど御説明しましたように1つの例示で,教職員の福利厚生は管理というのがございました。この管理経費というのは,先ほどの46年通知で説明しましたように,教管経営区分を広義の教育経費と捉えていますから,管理経費に行くのは7項目で,ほぼ在籍者数で割るのは不適切なものが多いかなと。ただし補助活動は別になろうかと思います。そういったことで人数を使うとなると,教職員数,本務なのか兼務を加算するのか,常勤役員を入れるのかなどがあろうかと思いますが,教管という区分でいくと,教育経費は在籍者数ベース,管理経費は教職員数ベースです。そのほかに,例えば広報費などは部門で割るなどがあろうかとは思いますが,大きなくくりは1つ,46年通知の考え方が踏襲されるのではないかということで,この例示を挙げてみました。
ということで,この3ページ,4ページあたりは,私の実務経験の中で知り得た情報をオーソライズさせていただいて,科目別に割るとどうなるか。それから,配分基準の例としてどういったものが使われているかというのを,まとめさせていただいたものです。不足もあろうかと思いますけれども,1つの例として見ていただければと思います。
そして,最後の5ページですけれども,5ページは,私なりの情報収集をした中で聞こえてきた,特に附属病院の人件費関係等の情報です。本務教員人件費については,通知が重ねて出されておりますので,これに従っているということでございました。
それから,考えられるセグメント情報の区分計上についてコメントをいただいたところ,やはり教員を病院と学部に分けるのは非常に困難であるとのことでした。これについては,次の資料3にも事務局からの提出でございましたけれども,時間管理がとてもできないといったことが聞こえてまいりました。特に上位役職者について,勤務場所を事務局が把握するなんかはとんでもないという声もありまして,把握し切れない,もしくは時間で把握し切れないという声が多くございました。
それから病院等で学校法人会計基準に基づく計算書類とは別に,内部的にどういった形で収支把握をされるのかについて聞いてみると,特別にそういうことはしていないという学校法人もあれば,あんまり数字的な根拠はないようでございましたけれども,臨床系は全部こうしています,それから,その他はこうしていますといったことで適宜配分して内部管理資料として使っているという声がございました。
また,まず病院のセグメント情報について,今回の配分についてどう思いますかというようなことについては,医学部・歯学部についてもそうなんですけれど,院内調剤窓口はどう配分したら適当なんですかとか。もちろんそこには,院内といっても病院の中の施設にある場合もあれば,別棟を造っている場合もあると思うんですけれどもどうするのかとか。
それから,セグメント情報の区分について,病院に限らず,今回の意図が正確に自分たちは分からないので,配分基準作成の目的をどこに持っていって,そこを最終案としたらいいのか,あまり目的意識を持てないので考えが浮かばないというような声もあったように思いました。
一応,現実の配分については,4ページ,3ページあたりを御覧いただいて,実情を見ていただければと思いました。
以上でございます。
【須賀主査】 佐野委員,御説明ありがとうございました。
では続いて,事務局より資料3,「人件費の実態について」説明をしていただきます。
【畑参事官補佐】 資料3につきまして,私から説明させていただきます。
資料3につきましては,事前に飯田委員,菅原委員,村松委員から人件費の実態につきましてお聞きをいたしましたものを,表の形で事務局が取りまとめたものでございます。法人名はA,B,Cという形にさせていただいております。
まず(1)のところです。総論ですが,兼務する教職員の実態はどのようなものかということで,A法人は,複数キャンパスにある共通部門の職員の割合は2割程度と。内訳表の部門で複数部門を兼務するけれども,セグメントを大学・医科ということを考えた場合には,複数セグメントを担当している担当者はほぼいないということです。「ただし」ということで,複数セグメントでの兼務については,大学教員で学校長をしているという場合があるということです。
大学セグメントのうち,医学部臨床系の教員,及び法人セグメントの医学部のあるキャンパスの法人系の事務部門の職員については,大学と病院のセグメントを担当しているという実態だということです。
次に,B法人ですけれども,常勤教職員の0.7%が複数セグメントを担当。内訳について書かれております。兼務教員のうち,非常勤講師の割合は0.7%ということです。学校の事務職員で,学校を越えて兼務しているという方はいらっしゃらないということが実態ということです。
C法人ですが,大学教員が医師またはメディカルスタッフとして附属病院の臨床業務を実施しているということで,医学部,薬学部,医療技師学部,それぞれの教員がそういう業務を担当されていると。それから,大学教員が研究所やセンターに所属し業務を実施。
大学教員が附属校の教員を,校長などを実施。附属校教員がメディカルスタッフとして,附属病院の臨床業務を実施などの実態があるというふうな御説明をいただいております。
それから,各論の1,2,3でございますが,セグメントに所属する在学者数の比を配分基準とした場合,2つ目が,業務に従事している時間の比を基準とした場合で,3つ目が,これ以外に何かないでしょうかという質問に対する回答として,まず,A法人は,良い点としては配分における事務負担が少なくて済むということのようです。職員としても,事務負担が少ない。課題としては,在学生数に事務負担が比例しない場合,実態と乖離しやすい。すみません。ちょっと教員のところの課題を抜きましたけれども,教養部門等で授業を担当しない学部がある教員が多い場合,在学生数と授業数が比例しない場合に実態と乖離しやすいということです。
それからB法人ですが,良い点については想定できない。職員については,大学の事務局職員は,現在も学部ごとに在学者数比で配分している。法人本部職員は,職員数比で配分しているというのが実態だということです。
C法人は,大学と病院を兼務している場合の切り分けが難しく,在学者数を高等教育セグメント,病院セグメントに合理的に配分する根拠を構築するのは困難と。
高等教育セグメントと,それ以外の学校セグメントの間でも兼務はいるが,このセグメント間の兼務者は数が限定的であるということで,ある程度,割り切りの下であれば,在学者数の比で配分することも可能ではないかと。
その他セグメントについては,人件費全体に占めるボリュームの比重が小さいことから,ある程度の割り切りの下で在学者数の比で配分しても,金額として大勢への影響は限定的ではないかということです。
2つ目ですが,業務に従事している時間の比というところですけれども,こちらにつきましては,A法人ですが,実際に計測する実務上の負担が重く難しい。
B法人でも,教員については時間がかかることが想定され現実的に難しい。職員については,不可能と。
C法人につきましても,個人ごとに把握するのは,教員については現実的に不可能。職員についても,セグメントごとに業務に従事している時間を正確に算出することは難しいという実態を,負担を指摘していただいております。
3つ目ですが,それ以外の配分基準の提案というところですけれども,A法人につきましては,医学部と病院を兼務する医学部臨床系教員・職員について,各大学等で実態を表すと考えるエフォート率などで配分できるといいのではないかと。
B法人,C法人につきましてはないということで頂いております。
以上でございます。
【須賀主査】 御説明どうもありがとうございました。
それでは,飯田委員,菅原委員,松村委員より,補足の説明があればお願いしたいと存じます。
飯田委員,いかがでしょうか。
【飯田委員】 そうですね。私が,補足ではなくて感じたこととしまして,最低限の開示としてセグメントというのが,あるのだとは思いますが,質問の仕方として,いきなりセグメントというのを出してしまうと,質問されたほうは若干当惑してしまうかなというのは,感じたところです。やはり現行の内訳表の部門に,どうしても引きずられて考えてしまうんじゃないかなという部分がありました。ある程度,各学校で妥当なものを考えて,より詳しく開示してくださいというようなことだったかとは思いますけれども,各部門の集積がセグメントになっていることについてどういうふうに考えるのかというのを示していかないと,例えば,「その他」に計上することも可能とする考え方もありますので,その辺りを意識して聞いていただくほうがいいのかなと感じました。
あとは,各論について人件費の按分に在学生数を使うというのは,あまり現実的じゃないというのは,皆さんもきっと感じられるだろうと思いました。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
続いて,菅原委員,いかがでしょうか。
【菅原委員】 記載させていただいているとおりになっております。人件費を担当している者と話をしまして,現行の配分の仕方で,十分経済実態といいますか,実情に合わせて出せているということもあるので,今のところこれを変えてやっていくのは,なかなか難しいのではないかということをコメントとしてはいただいております。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
村松委員,いかがでしょうか。
【村松委員】 村松でございます。
そうですね,1つはやはりどこまで正確にすべきなのか。経済合理性を反映させるといっても,どこまで求めるものなのかというのがあります。それとあとは,それをやることの負荷との関連になると思っています。配分基準についていろいろ考えても,実際にほとんど大勢に影響のないようなこともあり得ますし,あるいは,ものによってはかなり影響する。それが学校法人によって違うのではないのかと思いますと,なかなか難しいというのが,アンケートに答えながら感じたところです。
ちょっと話がそれるかもしれませんが,先ほど,佐野委員から実態について御説明があり,これですごく腹落ちしたというか,結局いろんな基準がある中で,各学校ごとに適切なものを見つけながら,ただこの方法は駄目ですよねというところを排除していくということなのかなと思いながら聞いておりました。今回は私学法で会計監査を受けるということが法定されたわけなので,どこまで正確にというようなことになりますと,監査法人とか公認会計士が,このぐらいであれば大丈夫だよというところを定めていただければいいのかなという感じです。
ですので,現行の処理方法も,そのまま使えるものもあれば,見直さなくてはいけないという部分が出てくるというのも感想でございました。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
それでは,前回の審議と今御説明いただいた共通経費,人件費の実態を踏まえて審議いただければと思います。
御質問・御意見があればお願いいたします。
稲垣委員,どうぞ。
【稲垣委員】
今,村松委員から,どこまで正確に行うのかというところが問題提起されていたわけですけれども,現在,公認会計士協会の中で配分基準の考え方を定義しているところで,絶対的にこれが正しい基準で,この数字しかないというようなものはなく、一定の合理的な範囲が示されれば,セグメントが求めるものはそういうものだという点は認識をしております。御話にあったように,例示として示された配分基準の中で,自法人からすると最も実態に合致しているというものを選んでいただいて,それに基づいて行っていただくというところが,各学校法人の方たちに受け入れていただきやすいように,どういうふうに規定するのかというところが,すごく難しいとの実感を持っております。
佐野委員から説明のあった資料は,我々公認会計士協会で今進めている作業のほとんどは,もう整理された感じがなきにしもあらずなのですけれども,確かに共通経費の部分に関しては,かなり現行の基準がそのまま使えるというところがかなりあるのは事実だと思います。だけど,これではまずいよねというものの判断を,どこでどういうふうに整理していくのか。配分基準で例示として示されればそれでいいですし,最終的に各法人の判断の中で,監査人と相談しながら,これならいいねというやり方もありますでしょうし,その辺りが,実際に実務に落とし込んでいく中で難しいところなのかなというふうに思いました。
今,整理している中で,配分基準の定め方によって受け止め方も出てきますので,かなりの部分は現行のままでいいけれども現行のままでいいという点については学校法人に,いま一度確認していただいて,ここの部分はこのままでいいというようなところが,うまく落とし込めるような仕掛けやアナウンスが非常に肝心なのかなと思います。
【須賀主査】 ありがとうございました。
そのほか,いかがでしょうか。
佐野委員,お願いいたします。
【佐野委員】 補足ですけれども,これは会計がダブルスタンダードになってはいけないと思います。会計処理は,あくまでも会計処理基準で行い,セグメントは別処理ですということにならないような決め方が望ましいと思っています。
ただし,職員人件費について現行では本務については発令に応じて張りつけていますが,これでいいのかという疑問があります。経費については,実情を踏まえ,合理的でないと認められるものについて排除するように仕掛けていただければよろしいかと思います。一方,人件費のセグメント情報について,現行の張りつけ方式,例えば,1時間でも担当していたら学部というようなことで,経済的実態だと言っていいのか不安である。会計処理を行い,人件費内訳表を作り,セグメントについてはそこを組み替えるということが許容されれば,割と実務負担なくいけるのではないかなと思います。少なくとも2つの会計処理をしなければいけないというダブルスタンダードは,避けていったらいいのかなと思っています。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
具体的に,今,佐野委員がおっしゃったところで,張りつけ方式のような形で,えいやでやっているところの中に,経済合理性に矛盾するようなものがどの程度あるのかについて,どれを見れば,3人がおっしゃったようなことというのが明確になるのでしょうか。先ほど,資料2を御説明いただいた折にも,ちょっと出てきたかなという気がしているのですが。
【篠原室長】 資料2の中で,今,佐野委員として,これは合理的でないというようなものが個別にあるわけではないですよね。
【佐野委員】 はい。それは除いておりますので。
【篠原室長】 ありがとうございます。
【佐野委員】 ここにあるのは,一応合理的だろうと思っております。
【須賀主査】 分かりました。どうもありがとうございました。
【篠原室長】 質問させていただきたいんですけれども,よろしいでしょうか。
【須賀主査】 どうぞ。
【篠原室長】 菅原委員が御発言された人件費を担当されている方は,現行の方法により既に実態が表されているとおっしゃっていたということですけれども,この点についての理解の仕方を確認させていただきたいと思います。
個々人レベルで見れば,張りつけ方式だと,多少の現実と沿わない部分もあるけれども,全体で見たときには,おおよそ実態に合致しているのではかということで,法人の実態が表すことができているというような御発言であると理解してよいでしょうか。
【菅原委員】 そうですね。基本的には,各学校の業務を行う者については,各学校に発令をしておりますので,その者が他の業務をするというのは,本当にごくまれなことです。現状を見ても,大学は大学の仕事をしていますし、専門学校は専門学校の仕事をしていますということで,そこで実態が表されていると思っております。
ただし,本部の職員につきまして,本部の中で経理の仕事をしている者が,それぞれ担当の部門を持っておりますので,その担当の部門に張りつけるような形を取っています。実際にしている業務はどの設置校の業務をしているかということを踏まえて,張りつけをしております。ただし,それについて時間を把握するという細かい作業まではしておりません。
【篠原室長】 ありがとうございます。
主たる業務で張りつけをしているということですね。
【菅原委員】 そうですね。
【須賀主査】 そのほかいかがでしょうか。
【佐野委員】 ちょっと質問でいいですか。
ちょうど今,菅原委員から御説明があって,学校としては専門学校もお持ちでいらっしゃるのでお伺いしたいのですが,専門学校の場合は東京都だと高等課程がないと補助金がつかないので,どうしても補助金のつく部門の人件費があったほうが望ましいとうことで,大学と専門学校で兼務している職員,それから教員もいらっしゃるかもしれませんが,その辺りに偏りがちかなという印象はありますが,その辺りはいかがなのでしょうか。
【菅原委員】 その辺りは偏らないように,授業を持っているというところが前提で,それぞれの部門に張りつけております。
【佐野委員】 職員は。
【菅原委員】 職員は人数によって少し差がありますが,職員数比で人数の配分をするということはしております。ただし,実際に行っている業務は,どこの設置校の業務を行っているかということを重要視して配分をしております。
【佐野委員】 ありがとうございました。
【須賀主査】 その他いかがでしょうか。
村松委員,どうぞ。
【村松委員】 ありがとうございます。
先ほどの話の中で,ある程度,配分基準の選択肢から不合理なものは排除した基準で,各法人がその実態の中での判断しこういう配分基準をこの部分については適用しますと決めていくということが仮にできれば,大学の立場としては非常にやりやすく,経営実態に合わせてできるということはいいと思います。佐野委員から先ほど,会計のダブルスタンダードはよくないとの発言がありましたが,そのとおりだと思います。
ダブルスタンダードの意味なのですが,同じものを2つのルールによって別々にやらなければならないということもあると思いますが,例えば,この学校法人はこういうような形でやっています。この学校法人はこういう形で配分していますとなり,バラエティーが出てしまうということがあった場合に,それぞれ合理性が説明できれば,それは会計監査的には問題ないと考えていいのでしょうか。
一律のルールがあれば,それはいいんでしょうけれども,それはなかなか難しいだろうという議論になっていると思います。いろんな方法がある中で,例えば,我が学校法人はこういうスタンダードを取りますということを公認会計士に相談して,合理的だとなればそれでいいものなのか,どこまで合わせる必要があるのかというか,この辺りの考え方を教えていただければと思います。
【佐野委員】 よろしいですか。
先ほど,稲垣委員からも御説明があったとおり,一定の合理的な範囲の中で認められたものを選択する。一定の範囲がありますので,それぞれの中で,例えば,うちの学校法人は在籍者数が適当だ,うちは収容定員が適当だというのは,それぞれの学校法人の実情に合っているもので許容された範囲の中で選択すればいいと思います。その許容された範囲を文科省が設定し,公認会計士と学校法人はその設定された範囲内で選択して,合理的,妥当だという判断を公認会計士から得られれば,監査上は問題はないということだと思います。
ダブルスタンダードと申し上げましたのは,1つの会計事象について,2つの会計基準で処理をするのはおかしいという意味のダブルスタンダードという意味なんですね。
【村松委員】 なるほど。新しい配分基準で処理し,一方では現行の旧来の方法でも処理するということがダブルスタンダードという意味ですね。
【佐野委員】 そういう意味です。それはもう実務負担が過大にかかりますし,セグメント情報のためにそういった会計基準を新たに設定する手間暇であるとか,重要性であるとか,それが説明責任をどう効果的に表すのかと考えたときに,全く意味がないと私は思うので,それはシングルにしていただきたいという意味です。
【村松委員】 大変よく分かりました。
【稲垣委員】 その基準としては,学校法人会計の財務報告の会計基準は,学校法人会計基準として1つであり、それに従ってセグメント情報も作成する。けれども,具体的にはその中には一定のレンジがあるから,一定のレンジの中から各学校法人に選択していただくということです。
一方,内訳表の基準というのは,従前から作成が求められているもので,内訳表を作成するための基準として生き残って併存することになります。実際の会計実務は従前の内訳表基準で処理しているもののうちセグメントの部分に関しては,会計基準に照らして,この部分だけをこういうふうに組み替えれば,会計基準に沿ったセグメント情報になるという意味では,組替えをすることによって,2つの帳簿を同時に作成するというようなことは必要はないという意味ですよね。
【佐野委員】 そうですね。意見は,多分違わなくはないんですけれども。
【篠原室長】 違わなくないんですか。
【佐野委員】 違わなくないんですけど,会計基準という言葉で,私学法会計基準と助成法会計基準みたいなイメージを持って議論してしまうと,ちょっとおかしくなると思います。
私学法会計基準と言った場合は,本表しか考えていませんが,助成法会計基準と言ったら,内訳表の基準であると考えると,基準が2つになってしまう。あくまでも1つの表で作るということです。例えば,事業活動収支計算書の元には各部門の積上げがあるわけですから,これをセグメントにしようという単純な発想をしていくのはいいと思います。
ただし,監査を行う立場でいうと,これは私学法にも入りますけれども,人件費内訳表については従来から監査対象です。助成法の規定で監査対象になっており,その他の内訳は対象になっていないことが今回の改正の制度設計の中で,錯綜しているところなのだと思います。会計基準という言葉が指し示している範囲によっても変わるという気はします。
【篠原室長】 行政的には,今回,私学法が改正されて,学校法人会計基準を改正し,セグメント情報を出していくというのが,会計基準と,それに関する計算書類の世界です。
これまで内訳表を作っていた基準というのは,今後も存在する理由というのは,私学助成を交付するというその枠組みの中で,その目的に沿って作成する書類ということになります。なので,行政目的としてはそれぞれ違うという言い方もテクニカルにはできますが,でも実務的には重なる部分がありますので,その負担をできるだけ排除するような形で作っていけないだろうかというところになります。
ちょっと拙い説明でしたけど,うまく伝わっていますでしょうか。
【村松委員】 大丈夫だと思います。
【稲垣委員】 稲垣ですけれども,そういう意味では,資料1の2ページ目の③ですけれども,今回すぐには無理かもしれませんけれども,できれば新配分基準で内訳表を作成できるように将来的になると,組替えが要らなくなって,非常にシンプルになる可能性があるというふうに理解をしております。その要請目的に合致するかというところはありますけれども。
【佐野委員】 佐野ですけれども,よろしいですか。
【須賀主査】 佐野先生,どうぞ。
【佐野委員】 このワーキンググループとしては,新配分基準を提案しなければいけないので,従前のままでいいという単純な結論にすることはできないのだと思います。従前の基準を検討し,従前の基準では55年通知で大枠の在籍者数とか,教員数しかなく,適宜,学校法人が処理していました。それは,助成法監査対象でもなく,各学校法人の裁量です。しかし,今度は,新配分基準の範囲内で処理しているということになります。検討の結果として同じ結論になったとしても,検討した結果,これが新配分基準ですという提案をするようにしないといけないと思っています。③に書かれている,「できれば新配分基準で内訳を作成できないか」というのは,結果として同じになることもあろうかと思います。ただし,人件費はセグメント情報で私学法のほうに入りますから,助成法監査を受けていない大臣所轄法人については、人件費内訳表で作るのが,新たな考えになってくるのかもしれません。
【稲垣委員】 稲垣ですが。
【須賀主査】 稲垣委員,どうぞ。
【稲垣委員】 ちょっと細かな論点ですけれども,公認会計士協会でいろいろ検討している中で,資料1の4ページに記載されていますが,学校法人の業務というのを何らかの形で定義をしないと実務が回らないから,この基準自体を生かすということは異論はありませんが,細かな意見の中では,例えば,新しい学部を設置する場合,それは法人の業務なのか,大学の業務じゃないのかというような考え方も出てくるのではないかという意見がありました。
また、この55年通知自体を生かしつつも,この中で見直しが必要なものもあるんじゃないかという意見がありました。それからもう一つ,「法人共通」というセグメントがある種のバッファー的な位置づけとしてありますが,本当に分けられない法人共通って,法人部門にも行かない法人共通って,理念的にあり得るんだろうかというような疑問があります。いたずらに配分し切れないからもう法人共通に計上して,「その他」セグメントに突っ込まれてしまうような実務的な懸念はあるかもしれないというような意見はありました。
【今井専門職】 今井です。
「法人共通」は,おっしゃるとおり在り方検討会の中では,明確にこういったものが分けられないですというようなお示しの仕方はしてはいないのですけれども,1つの考え方として,例えば企業のセグメントでも,そういった直接のセグメントに配分できないものというのがあればそこに計上するということもあるので,そういったイメージを想定しています。
【畑参事官補佐】 すみません。
【須賀主査】 どうぞ。
【畑参事官補佐】 今日,佐野委員に資料2を作っていただいて,御説明いただいています,例えば,今の時点で資料2の4ページにあるような整理をした場合に,これはちょっとよくないとか,実態から見てあまりそぐわないとか,あるいはこういうものを追加するものがあればいいじゃないかというようなものがあれば,お伺いできればなと思っています。委員の方々,いかがでしょうか。
【須賀主査】 飯田委員,お願いいたします。
【飯田委員】 妥当な感じだと思います。完全に科目別でいい部分とよくないかなという部分はありますので,特に教育研究経費や管理経費は,配分基準の例は科目別ではなくて,この経費についてはおよそこれと,これと,これという,現状みたいな形になってしまいますが,恐らくその方がいいのかなというのはありました。
というのは,各学校法人の実務がどういうふうになっているか分かりませんが,共通部門みたいなところにまず1回計上してしまって,そこから,「この共通部門に入れたらこの配分基準です」みたいなことをしている学校法人もあれば,「その部門では,この配分基準です。かつ,この科目はこういうふうに分けます」みたいな複雑な処理を行っている学校法人もあると思いますので。
それから,ごく少額の金額のものがあったときに,絶対に配分しなきゃいけないのかみたいなことがあるとそれも困ります。そういうものは,取りあえず共通部門に入れて,少額でありちょっとそぐわないけれども,学生数でやってもしょうがないかみたいなものについては,多少はそのような処理を認めないとつらい部分があります。
例えば,広報は部門数というだけになってしまうと,学生部で発生する広報の費用が出たときには,むしろ学生数で処理したほうが,恐らく,実態には合うのではないかと思いますし,共通部門に入れていれば,そういう形で配分されると思います。科目別でかなりぎっちり決めてしまうときついのが,教育研究経費と管理経費のところかと感じました。
【篠原室長】 すみません。篠原です。
【須賀主査】 どうぞ。
【篠原室長】 今の科目という言葉で確認ですけれども,小科目ごとにきっちり整理するときついから,大科目で丸めるという御提案でいいですか。
【飯田委員】 いえ。「管理経費」というくくりで,処理したほうがいいという意味合いです。広報でも部門数で処理したほうがいいものもあるかもしれませんし,学生数で処理したほうがいいものもあるかもしれません。各学校法人で共通部門に1回入れておくという処理をしている学校法人もあると思いますので,それを尊重すれば,実態に合うのではないかという意味合いです。
【篠原室長】 管理経費とか教育研究経費というまとまりぐらいがいいのではないかということですか。
【飯田委員】 そうですね。
ただ先ほど,佐野委員がおっしゃった,これはちょっとよくないというのがもしあれば,排除したほうがいいのかなと思います。
【稲垣委員】 稲垣ですけど。
【須賀主査】 稲垣委員,どうぞ。
【稲垣委員】
科目別に規定されると非常に堅苦しく見えるというのはおっしゃるとおりです。科目別に配分例を示しているのも,科目も例であり,各学校法人によっては,この費目とこの費目とこの費目は,一括して処理しますというのも,合理的な範囲に収まるのであれば,そういった処理もあり得ると思います。今回,佐野委員にこういう資料を御提出いただきましたけれども,資料1の2ページの①に関連し,最終的なアウトプットをどういう形で出すかということと,検討のプロセスでの議論のメッシュというのは,ひょっとしたら違うこともあり得るのかなというところに,難しさがあるのかなと思っております。
【須賀主査】 佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】 今,稲垣委員がおっしゃったことはごもっともで,まさにこの小科目というのは,各学校に設定が任されていますので,これはあくまでも例示です。
共通収支の配分基準を見ていただくと,例えば,教研費は,在学者数で配分するというのが非常に多くなっています。ということは,例えば,旅費交通費で部門共通ではないものは,その部門に行き,部門共通のものは,在学者数で割るというイメージで見ていただきたいと思います。教研費の中で主として共通経費で分からない,部門特定できないものは,在学者数で割るというイメージです。似たようなものとして通信費があります,〇〇がありますということで,まとめて配分基準を出していけば,最終形としてはいいのかなと思います。
それを各学校法人が,自法人では消耗品費はこうなるべきだ,光熱費ではこうなるべきだというのを,経理規則の細則などでマニュアル化して,監査担当者と相談するというような形になっていくと思います。あくまでも資料2の4ページはプロセスですので,そういうふうに見ていただきたいと思います。管理経費を見ていただくと,配分基準としては,教職員数,面積,あとは部門数などがあります。そういった形で集約していけばいいと思います。
あと,勘定科目に割当てるというのは,部門共通で残ったものだけですので,多くの場合は,特定の部門に張りつくのかなと思っています。張りつかないものとして,例えば,教研費の例にありますように火災保険,これは建物1棟ごとに火災行保険はかかりますが,その中に,本部機能を持っている役員室であるとか,教育施設であるとか,財務担当の部屋があるとか,事務室があるとか,分けようがないよねというようなこともあります。
でも,それらを分けるのに当たって,例えば,面積で割るとしても,46年通知で,本部に関する業務を司るところの経費は管理経費だとなっているから,全部が教研費に計上するとまずいということになります。つまり,まず,46年通知を前提に教管を分ける必要があり,本部部門関係経費は管理経費に区分しなければならず,面積が学校全体で何平米か分かっていても,管理部門に必ず区分しなければならないものは除いた上で,教育部門に割当て,そこから適切な配分基準を使うということではないでしょうか。これは面積なのか,在学者数なのか,例として面積を書きましたけれども,場合によっては,収容定員で設備基準が決まりますから,面積よりも収容定員で処理するべきだという学校法人も出てくるかと思います。
そういった形でこれを見ていけば,必ずしも文科省が,例えば,通知もしくは配分例として科目別に処理するのではなくて,経済事象ごとに処理すれば,それを各学校法人が自らマニュアル化していけばいいのかなというイメージで見ていました。もちろん,重要性の観点も出てくるかと思います。
【菅原委員】 菅原になります。
今,稲垣委員,佐野委員,あとは飯田委員からのお話を伺いながら,まさに今,私が,決算を迎えるに当たって,本学の部門配分ってどうだったかなと想像していたんですけども,教育経費,管理経費につきましては,このような在籍者数とか面積等で行っていると,よしよしと,自分の配分基準は大丈夫だなと思っている次第です。
人件費のところで,授業時間,従事時間,日数という項目があります。ここについては,アンケートでもお示ししてお答えしています,なかなかここを把握するのが現状では難しい,厳しいというお話を記載させていただいております。
今,まさに人件費も張りつけの確認をしながら決算を迎えており,最終的な金額が4月の中旬,下旬ぐらいに確定して,その後,決算を迎えて内訳表を作成と,人件費内訳表,資金収支内訳表,事業活動内訳表を作成するという状況を迎えております。今の決算期で,果たして時間数まで割り出して,配分までできるのか,今の業務時間内でできるかというと考えているところでございます。
飯田委員がおっしゃるとおり,まさに教育経費と管理経費を分けて,私たちは共通部門に計上して,その後,しかるべき在籍者数,面積配分等を今は行うという状況で,今月末ぐらいには,その数字を出して決算を仕上げるという状況になっております。
それ以外の項目につきましては,佐野委員のこの記載のとおりで自分たちも行っている状況でございます。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
【南委員】 続いて,南からでございます。
私が感じていたところはほぼ出尽くしてしまったような感じになってしまいましたけれども,教育研究経費,管理経費は,学校法人が事務的なところで迷いが生じないということであれば,ある程度,具体的な例示も必要なのかなという思いもあります。一方で,教研費,管理経費の小科目については,自由に設定できるというところもございますので,どの法人がどの小科目を使っているかということも全て把握し切れませんので,例示をするにも,ある程度の限界は出てくるのかなと思います。教研費の中でも,こういったグループは,在籍者数や収容定員などが考えられるとか,ここについては,面積とかが考えられるというような,ふわっとした形で最終的に示すのかなと感じていたところでございます。
それから,人件費について,先ほど,発言しそびれてしまった部分もありますが,あくまでも補助金上の申請の仕方ということで,仮に学校法人部門に発令があった方であった場合,業務量によって,本部なのか,大学なのかというところですけれども,私学助成上で学校法人にお願いしている考え方としては,職員一人一人の業務量というわけではなくて,実態を勘案して、法人部門全体の業務割合で,例えば,法人の割合が3で,大学の割合が7の業務割合ということであったら,法人全体の7割は大学に張りつけてもらって,残りの3割は法人で処理してくださいというようなお願いをしておるところです。
また,逆のお願いも実はしておりまして,法人部門がないという学校法人も中にはありますけれども,そうは言いながらも,法人の業務に従事している人が少なからずいるということで,大学の事務局の中で法人部門,いわゆる9項目に従事している方の割合を計算してもらって,その割合に見合った人を補助金の申請から外してくださいというような言い方をさせていただいております。その人を法人部門として張りつけてくださいとまでは言っていませんが,申請はしないでくださいというような言い方をしております。その部分のところの考え方も,人件費の本部と大学の境目のところでは,応用できるのかなと感じていたところでございます。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
【村松委員】 よろしいでしょうか。
【須賀主査】 村松さん,どうぞ。
【村松委員】 1つは今,南委員のほうからもお話がありましたが,学校法人部門の考え方は,先ほどもお話に出ていたと思うのですけれども,これも学校法人によって,随分違いがあるのかなと思います。
ちなみに,私の所属する学校法人でいいますと,学校法人部門は,昨今は学校法人として法人全体をどういうふうに改革していくのかとか,管理していくのかというところが非常に大きなテーマになっています。一義的に学校法人の経費になるようなものというのは,すごく膨らんできているのだと思います。
とはいっても,学校法人は各設置校のために働いているわけなので,経費を無理やり割り振ろうと思えば,結果として割り振れることになるんだと思うんですけれども,例えば,高大接続のような施策を行うとすると,大学のこととして行っている部分と,高校のために,あるいは中学校とか,あるいは一貫校がある小中高全体で大学にどう流し込むのかというような議論も当然あって,それをどういうふうに分けるのかということもあります。
そう考えると,無理やり分けるよりも,学校法人として法人につけたほうが早いというようなことも出てきます。管理経費的なところで言いますと,例えば,DX推進は,各学校で実施するよりも法人全体で実施したほうがはるかに効率がいいです。あるいは,事務部門もそうです。そういった意味では,基本的には各設置校で処理するよりも,学校法人全体として処理するほうが効率がいいことがものすごくたくさんあって,今はそちらへ,どんどんシフトしているのかなと思います。それをセグメントに無理やり分けるというと,何のために効率化しているのかよく分からなくなってしまうみたいなところがあります。
ですから,学校法人で,法人部門がない学校もあるという,いろんなタイプがあるのだと思うので,そこのところはどういうふうに考えたらいいのかなというのは,一般的な話というよりは,どちらかというと私が所属している学校法人のことを考えると,ううんと思うところがあるのかなというところがございます。
それから,別の話なのですが,教職員の本務・兼務という考え方というのは明確な定義というか,恐らく内訳表の定義でいけば,専任として発令されていたり,主たる給与を得ているとか,常勤であるとか,いろいろな基準があると思います。本務と兼務にもいろんなパターンが出てきてしまっているのかなというところがあります。教員数,職員数でいろいろと切り分けていくときに,そこは一緒にならないのかなということは,今回はいろいろアンケートをいただいた中で,本務や兼務についていろいろ調べてみますと,思いのほか複雑というところがありますので,ここのところが。
一方で,内訳表の定義で,法人間の兼務や本務,例えば,ある学校法人が本務であって,ほかの学校法人で兼務しているとか,こういうのは分かりやすいのですけれども,1つの学校法人の中で,本務・兼務と分けるとすると,主たる給与はこの部門でもらっているとして,給与自体は全体としてもらっているわけなので,それを切り分けることなんてできないとか,そういうことが出てくるのかという疑問が出ているのかもしれません。もしそうであれば御指摘いただきたいんですけども,本務や兼務というのは,ここのところがどうも何かすっきり腹落ちできないというか,その辺りはどうなんですかね。皆さん,例えば,飯田委員とか,そういったところはすっきりなっているものなのでしょうか。
【飯田委員】 すっきりといいますか,もう今はそういうものだという感じで,本学の人事もしているとは思います。今後は分からないですけれども,設置基準の考え方とかも変わりますので,今おっしゃったようなことというのは,少しあるのかなというのは感じます。
【畑参事官補佐】 すみません。
【須賀主査】 どうぞ。
【畑参事官補佐】 人件費支出内訳表の中に本務教員と兼務教員の職員というのが区分としてあります。これは公認会計士協会の報告の中で整理していただいておりますけども,本務教員,兼務教員,職員について,区分はどのような基準で行うかということで整理されています。本務・兼務の区分というのは,学校法人の正規の教職員として任用されているか否かによるというふうにされています。それは私立大学等経常費補助金の取扱要領中で,「専任の教職員として発令され,当該学校法人から主たる給与の支給を受けているとともに,当該私立大学等に常時勤務している者を専任の教職員としている」ということがあるので,私立大学等の場合は,専任教職員は原則として本務者となるということとなっています。本務・兼務の区分は,基本的に学校法人との身分関係が正規であるかどうかというのが妥当だろうというふうになっています。それは,別の法人と本務たるところの職員としての違いを示しているということで,同じ法人の中で,本務と兼務に整理するということではありません。人件費内訳表に出てくるものとして,どのように整理しているかというのは,以上のような整理をしています。
【佐野委員】 いいんですけど,会計士協会が整理したわけではなくて,今,畑補佐がおっしゃったように元資料があって,それに上書きしただけなので,会計士協会が本務・兼務を整理したというのは,違うのかなと思います。
【畑参事官補佐】 そうですか。失礼しました。
これは平成26年にもう一度出ているはずで,それを上書きしていただいていると思います。
【村松委員】 頂いた資料の中にもそれは入っていまして,それはよく分かっています。学校法人間で本務であったり兼務であったりと,この切り分けはもう明らかで、全く異存はありません。本務・兼務の内訳表の考え方として,本務・兼務を使えると私は思っていますが,これを1つの学校法人で兼務・本務をセグメントで切り分けようと考えたときに,うまくいくのかというのが疑問です。
学校法人間だったら,どちらで主たる給与をもらっていますかというので切り分けられるかもしれませんけど,学校法人内であれば,このセグメントのためにお金を払っているのか,全体のことで給与を払っているのかというのは切り分けできません。もちろん,どちらのセグメントに主にいるのかで切り分けができなくはないのかなと思いますけれども。
その本務とか兼務の考え方が,1つの学校法人の中のセグメントの中の,このセグメントは本務であり、このセグメントは兼務であるので,本務のほうのセグメントに人件費を,例えば計上しましょうということが,本当にうまくいくのか疑問があります。
【佐野委員】 1つの学校法人の中で,1人の人が,このセグメントの本務教員,このセグメントの兼務教員ということはないはずだと思います。
法人として,この人は本務教員,もしくは本務職員として採用しました。業務がこことここ,というふうに割り当てられていますということで,給料の支払い主体は法人1つです。なので,資金を分けるという意味ではなくて,あくまでもセグメントの情報の中では,数字を分けるというふうにお考えいただいたほうがいいんじゃないかと思います。支払いを分けるとか,給与の支払い主体を分けるのではなくて数字を分けるだけです。
【村松委員】 そうですね。そうすると,セグメントの切り分けのところで,本務教員,兼務教員,あるいは本務職員,兼務職員の人数で切り分けるとかいっても,ちょっと何か。
【佐野委員】 兼務教職員というのは,一般的に持ち時間であるとか,就業時間などで個別契約をしていると思います。それに対して本務というのは,いわゆる月給制といいますか,給与として就業,常勤教職員の就業規則の下で給与を支払っている。片や兼務の方は,この授業を持つから単価が幾らですという形で,それぞれの部門に張りつけて支給がされるので,共通ということがあまりないのだと思います。大学で,例えば1コマを持ち,短大で1コマを持ち,1コマ幾らですとなったら,それぞれの部門に個別に計上されるはずで,分配するということではないと思います。
だから本務の場合は,もし教養課程の教員が大学でも短大でも授業を持ったら,これは給与の支払いは,本務教員として1つですけれども,数字の上で経済的実態を表すために大学で幾ら,短大で幾らと分けましょうよと,セグメントの本務を配分したらどうかという考え方です。
【村松委員】 そういうことですね。
【佐野委員】 ただ,先ほど,南委員がおっしゃったように,そうは言っても全体,1人の人じゃなくて全体で,例えば,10人いて,みんなそれぞれが,例えば,A大学のこととB大学のことを行っていますという中でも,大体,A大学の委員の仕事が7割で,3割がB大学のことを行っていますねといったら,みんなが7対3で行っているんだけど,全体の人数で10人のうち3人分ぐらいをB大学に割当て,7人ぐらいをA大学の業務に割当てると考えてもいいよねというふうなことをおっしゃったんだと思いますので,単なる数字の配分と思ったほうがいいと思います。
【村松委員】 なるほど。
そうしますと,ここで本務・兼務と言っているのは,あくまで,畑補佐がおっしゃったように,法人間の本務・兼務であって。
【佐野委員】 そうではないですね。採用形態だと思っています。
【村松委員】 採用形態ですよね。
ですから,まさに法人で本務採用なのか,兼務採用なのかということですよね。
【佐野委員】 そうです。
【村松委員】 兼務採用の人は,どこか別の法人で恐らく,本務採用されているのだと思われますけれども,兼務採用で,セグメント間の本務・兼務ではなくて法人間,この雇用形態として,この法人に本務で採用されているのか,兼務で採用されているのかというところがスタートラインで。
【佐野委員】 そうだと思います。
【村松委員】 その人件費をどう分けるかは,あくまで数字の切り分けになっていくということですね。
【佐野委員】 本務のほうはそうです。兼務は一般的に単価契約であったり,時間契約していますから共通という概念でなくて,そもそも張りつけられます。各部門にということから,本務の問題だけだと思っています。
【村松委員】 なるほど,よく分かりました。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。
業務をいろんな方向に進んでいて,なかなかまとめるのは難しいと思いますが,本日いただいた御意見を整理して,次回につなげたいと思います。
すみません,次のほうに移らないと時間が不足しておりますので,申し訳ありませんが,ここから,審議事項2のほうに移らせていただきたいと思います。
附属病院等の実態調査についてでございます。事務局より説明をお願いいたします。
【篠原室長】 篠原から,資料4について説明をさせていただきます。
附属病院等の実態調査について(案)という資料です。先ほど申し上げましたとおり,附属病院については,別途,第3回で議論をお願いしたいと考えております。そのための材料集めということで,実態調査をしてはいかがかと考えてございます。
1ポツ,目的の部分ですけれども,医学部・歯学部と附属病院における共通の経費,特に人件費について,現在の会計処理の実態について把握するために調査をさせていただきたい。調査はアンケートと,あとは個別大学へのヒアリングというところを考えております。
2ポツ,実施方法ですけれども,(1)対象ですが,1つ目の対象は医学部と附属病院を持つ大学法人に対して。個別大学財務担当へ個別にヒアリングをするというものと,附属病院を持つ医学部に悉皆でアンケート調査を実施してはどうかというものです。
個別大学に関しては,本件の関係団体に当たる日本私立医科大学協会,そちらに相談したときに,よく分かっている法人の方がいるから聞いてみてというふうに紹介をいただいていますので,そちらにヒアリングするということをさせていただきたいと思っています。
(2)は,歯学部,こちらと附属病院を持つ大学法人に対して,悉皆でアンケート調査を実施してはどうかというところです。
3ポツ,調査項目ですけれども,こちらは白丸が3つございまして,「基本事項」と「人件費」と「その他」という柱にしております。
基本事項は,まずは教職員の人数で,こちらは附属病院と医歯学部のそれぞれの人数。
次が病院数です。病院も本院と分院という形で持っているところがございますので,そちらを確認したいと思っています。
3つ目は,病院と医歯学部との距離です。これは,同一キャンパス内にある場合と,例えば,分院はかなり離れたところにありますというような場合ですと,学部への教育研究活動,あるいは診療行為のバランスが変わってくるだろうということがあるのじゃないかということで,調査したいと考えています。
4つ目は,歯学部附属病院については,歯科以外の診療科も持っている例がいろいろあると思いますので,そちらもお伺いしたいと考えています。
人件費に関しては,1つ目のポツ,臨床系の業務と医歯学部の教育研究を兼務する教員の人数と,それが全体に対してどのくらいの割合かというもの。
2つ目は,臨床系の業務と医歯学部の教育研究を兼務する教員について,人件費を切り分けるとしたら,どのような方法があり得るだろうかと。難しい点はあるとしたら,どのような点だろうかということですね。難しい場合は,どういう管理負荷が生じるかといったような具体的な例もお伺いしたいと考えています。
その下が管理会計として,病院の経営状況把握のために,例えば一定の比率を使って,附属病院,医歯学部の経費,人件費を切り分けているかどうかということ。こちらは,先ほど資料2の最後のページで,佐野委員が幾つか調べてくださった例の中にも数字が出てまいりましたけれども,そういったものを持っているかどうかということをお伺いしたいというものです。
次のポツは,附属病院の本院と分院の相違点はというふうに書いていますけれども,ここはちょっと抽象的ですみません。具体的には,診療行為に力を入れているのかとか,学部の教育研究活動に本院のほうが貢献しているとか,そういった差があれば把握したいというものです。
その次のポツは,外部資金で雇用している特任教員等について。特に人件費をどのように管理しているのかということ。
その下のポツは,教職員人件費以外の経費で,切り分けるのが技術的に不可能であったり,困難なものはあるだろうかというものです。現行の配分基準,これが平成25年の通知で,下に四角囲みで抜粋して張っていますけれども,そちらでは医療収入,医療経費といった点の処理については切り分けられています。その切り分け方に,もし不都合があるというようなことがあれば,併せてお伺いしてはどうかと思っています。
最後のポツ,事務職員,看護師,放射線技師,コメディカルスタッフは,医歯学部と附属病院の業務を兼務することがあるか。兼務する場合は,どんな兼務の状況かということです。どんな業務を兼務しているのか。それぞれの業務の指揮命令系統やエフォートがどういうふうになっているかということ。これらのスタッフ以外で,学部と病院の業務を兼務しているというような例があれば,そちらについても教えていただきたいというものです。
最後の白丸は,単科大学あるいは総合大学,それぞれ状況が違うだろうと思いますので,そういった特徴を聞くような質問を入れられればと考えています。
こちらの資料に反映はされていませんけれども,先ほど,佐野委員から御説明いただいた資料2のほうを拝見すると,院内調剤窓口関係の処理をどうするのかとか,知見収入は学部のままでいいかといったような声もありましたというふうに伺いましたので,そちらも調査の中に落とし込めるかなと思いますので,ちょっと工夫をしたいと考えてございます。
今後のスケジュールが4ポツになります。本日のワーキングの後,アンケート内容を皆様の御意見も踏まえて調整をして,主査に御了解をいただいた上で,それぞれアンケートの送付,あとは個別大学の担当者へのヒアリングということをさせていただいて,来月の中旬にアンケートを回収し,資料化して5月29日予定の第3回ワーキンググループで調査結果を報告させていただきたいと,そのような進め方でやらせていただきたいと考えています。
説明は以上です。
【須賀主査】 御説明ありがとうございました。
それでは,御質問,御意見があればお願いしたいと存じます。
南委員,どうぞ。
【南委員】 質問ですけれども,医学部もしくは歯学部を設置している場合は,設置基準上,求められている病院がありますが,複数の病院をお持ちの場合というのが,医学部を設置している場合ですと,全部が設置基準上で求められている,いわゆる附属病院なのか,それとも設置基準上は求められてない任意で設置されている病院も含まれているのか,その状況がよく分からなくて,まずお聞きできればなと思っています。
【飯田委員】 研修施設として使っているかどうかということですよね。
【南委員】 例えば,病院を10個持っている場合,10個が10個全部を医学部附属病院,設置基準上求められている病院であるのか,それとも,そのうちの1つだけが,例えば設置基準上求められている病院で,ほかは任意というような形というのは,あり得るのかどうかというところが,ちょっと私には分からなかったのでお聞きできればと思います。
【稲垣委員】 制度上ということですか。
【南委員】 はい。
【飯田委員】 制度上は,ちょっと私も分からないですけど,必要かどうかという観点でいうと,医学部のために必要かどうかという,教育のために必要かどうかという意味でいうと,臨床研修をするかどうかということなのかなとは思っています。それよりも学部生の臨床実習ですね。
【篠原室長】 教育活動で使っているかということですね。
【飯田委員】 はい。使っているかどうかというのが,1つなのかなとは思いますけど。
【畑参事官補佐】 その点は,担当部署に確認しないと答えられませんけれども,設置基準を要求されているのは数ではないですから,1つあればいいと思いますどこかの本院となるようなところを指定して,ここが附属病院だとしていれば構わないというふうに私は考えていますけれども,ご質問については確認しないと分からないです。
【南委員】 アンケートを取るときに設置基準上設置を求められている病院と医歯学部でなくても病院を持っている学校法人,また,医学部を持っている大学法人であっても,真に必要じゃないと言ったら語弊があるかもしれないですけれども,設置基準上求められている以外の病院があるのであれば,そういった学校法人での兼務なり何なりというその状況というのが,ひょっとしたら違ってくるかもしれないので,もし同じ病院の中でも,そういう色がついているのであれば,それが分かるような形で調査を取ったほうがよろしいかなと思ったところでございます。
【篠原室長】 ありがとうございます。
確認させていただくと,設置基準上で求められる附属病院以外の形態も持っているような病院がある法人があれば,そこも分かるような形で区分して。
【南委員】 そうですね。その違いが分かるような形で。
【篠原室長】 ありがとうございます。
【飯田委員】 そもそもその区分があるかどうかということも含めて。
【南委員】 そこも含めて。
【篠原室長】 そうですね。医学部を持っていないけど,クリニックを持っている法人もあるのかなと思います。
【飯田委員】 私はそれは分からないんですけど。
【稲垣委員】 何かそういうのがあるやに,話しはちらっと。
【南委員】 看護系。
【佐野委員】 〇〇なんかはそうですよね。〇〇は,医学部はなくて看護でしたよね。でも,病院は持っていますから。
【稲垣委員】 持っていますね。
【南委員】 はい。医療系の学部で病院を持っているところもありますので。
【稲垣委員】 稲垣ですけどよろしいでしょうか。
【須賀主査】 どうぞ。
【稲垣委員】 今回のアンケート先はこれでよろしいかと思いますが,今,話が出た看護学部や薬学部,それから最近でいう医療技術関連のコメディカル養成学部というような,医療関連の学部も多岐にわたるので,今回はこの範囲でまずはアンケートを取りつつも,基準としてまとめるときはそういったものも,ある程度は視野に入れてまとめる必要があるのかなということが1点です。
そのときに,どこまでを病院業務の範囲と考えるのかという定義がないと配分の目安もつかないと思います。これは参考までですけど,国立大学法人会計基準では,病院業務の範囲というのを一応定義していますので,それをそのまま使うかどうかはともかくとして,何らかのそういった目安がないと,そもそもどこまでを病院と考えるんだというところが混乱を招くかなと思うので,コメントします。
【須賀主査】 どうもありがとうございました。それは極めて重要です。
どうぞ。
【畑参事官補佐】 医療機関として病院と診療所があり,病床数とか医師の数で変わってきます。一方で,セグメントとしては「病院」となっているわけです。どこまでが「病院」の範囲なのかというところは,実は明確には今のところは整理されていない中で議論していただいております。その部分については,次回のワーキンググループで議論いただかないといけないかなとは思っております。
というのは,例えば,専門学校の中で鍼灸の診療所を持っているようなところもあるのだと思いますが,その状況は分からないというようなこともあります。ただし,我々は附属施設としての病院というところを,まず実態を知るということでこういうアンケートをさせていただければと考えております。
【須賀主査】 そのほかに御意見はございますでしょうか。
それではご意見がないようですので,本日,各委員からいただいた意見について,調査項目に必要があれば反映して,アンケート及びヒアリングを実施させていただきたいと思います。
調査項目の文言につきましては,主査一任とさせていただきたいと存じますが,それでよろしいでしょうか。
(「よろしい」という声)
どうもありがとうございます。
それでは,そのようにさせていただきたいと思います。
本日,各委員からいただいた御意見につきましては,事務局で整理し,次回以降に引き続き検討していくこととしたいと思います。
それでは続いて,報告事項のほうに移らせていただきます。
本ワーキンググループのスケジュールについてです。事務局より説明をお願いいたします。
【畑参事官補佐】 資料5を御覧ください。
本ワーキンググループのスケジュール案については,これまでは,第3回までしか記載しておりませんでしたが,先生方に日程調整していただいたおかげで,それ以降の日程も設定しております。7月以降ですけれども,第4回から第8回までを年内に設定しております。
第4回はセグメント情報の配分基準のたたき台の作成をし,それを親会議である学校法人会計基準在り方に関する検討会に報告をするという,そういった準備段階の会にしたいと考えております。
その報告の後,9月に開催する第5回は,各団体へのヒアリングを考えております。今,2時間を設定しておりますが,場合によっては少し延長する可能性もあるかもしれませんというところだけ,御留意いただければと思います。
その後,10月,11月と配分基準の検討を引き続き行いまして,12月には,まとめ案を作成できればという予定を念のために作っております。
また,年明けの2月,3月にも予備日を設定し,議論が延長すれば,これらの回も使って,引き続きの議論も考えております。
【須賀主査】 御説明ありがとうございました。
何か御意見等がありましたら,お願いいたします。
佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】 佐野です。質問なのですが,このセグメントに関しての議論は分かりました。
ただ,在り方検討会のほうで積み残しになっていたもので,例えば,注記情報等の中身の書き方は,これは会計基準が出来上がったあとでも審議できると思うんですけれども、簡略化の問題,事業報告書の予算対比型から経年比較型への変更をどうするのかとか,収益事業会計の問題については在り方検討会の積残しで,ワーキンググループで議論するというような話もあったかと思うのですが,ここには全く入らないのでしょうか。
【畑参事官補佐】 まず,セグメントの点を優先して議論するということが,在り方検討会のほうでもありまして,その後に積み残しの部分,予算対比から変えるというようなところも含めて議論するという,そういう形になっていったかと思います。
【佐野委員】 ただ来年の4月から,いわゆる新会計基準が動くんですよね。そのときに,例えば,事業収支計算書の予算対比からの変更などが決まっていないと,そこで現行のまま行きますよってやった後でそれを変えるというのは,ソフトの問題がありますからすぐはできない。また数年はかかってしまうとなると,やはり,来年4月に施行する会計基準の中に取り込むべきものはないかというのは,セグメント情報だけではないと思います。タイミング的にもう少し早く進めて,来年の4月1日施行の会計基準に盛り込む必要があるかないかぐらいは,検討してもよろしいのではないかと思います。
例えば,まさに今の予算対比型を変えるとなると,これはソフトの問題に非常に影響してくる。一方,学校法人の注記の具体の記載例をどうするか。これは,基準の中になくてもフレームが決まれば,動かしていく中で実務指針を出すことができると思います。
そういうすみ分けをしないと,ここで変えないと,もうまた会計基準は何年か先になりますよとなってしまうかと思うのですが,その辺りのテーマのタイミングを考えていただくというのはいかがなのでしょうか。
【篠原室長】 承知しました。
まず,この資料5に関しては,今,御議論いただいている配分基準のほうの検討のスケジュールということで,御理解いただければと思います。
前回,親会議の報告書の積み残しの論点の中にも,中長期的に言っておきたいということで,テイクノートしているものと,あとは佐野委員がおっしゃったように,早めに対応できるものが望ましいというものがちょっと混ざっているので,そこの優先順位であるとか,こなし方については,こちらで検討をさせていただきます。
いきなり会議に出すというよりは,ちょっと個別に御相談もさせていただきながら,その目星がつきましたら,今後の進め方という形でお諮りしていければと思っております。
須賀主査,そのように進めさせていただきたいのですが,よろしいでしょうか。
【須賀主査】 はい。では,そのようによろしくお願いいたします。
佐野委員,それでよろしいですか。
【佐野委員】 はい。よろしくお願いいたします。
【須賀主査】 分かりました。よろしくお願いいたします。
そのほか,御意見はございますでしょうか。
【畑参事官補佐】 ないようですね。
【須賀主査】 ないようですので,最後に事務局より事務連絡をお願いいたします。
【畑参事官補佐】 今回のワーキングの議事録については,冒頭でも申し上げましたが公開することになります。後日,議事録の確認依頼を送付いたしますので,よろしくお願いいたします。
【須賀主査】 それでは,第2回学校法人会計基準の諸課題に関する検討ワーキンググループは,これで終了させていただきます。各委員におかれましては,御多忙中にもかかわらず御協力いただき,誠にありがとうございました。
それでは,次回の第3回でお目にかかりたいと思います。どうもありがとうございました。
高等教育局私学部参事官付