学校法人会計基準の在り方に関する検討会(令和5年度)(第4回) 議事録

1.日時

令和5年8月29日(火曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

中央合同庁舎7号館東館(文部科学省)14階 高等教育局会議室
※オンライン会議とハイブリッド形式

3.議題

  1. 附属明細書の内容について
  2. 注記事項の充実について
  3. その他

4.出席者

委員

稲垣委員、内野委員、奥村委員、黒川委員、嵯峨委員、佐野委員、志賀委員、徳田委員、南部委員、前鼻委員、持丸委員

文部科学省

村上参事官、篠原私学経営支援企画室長、畑参事官補佐

オブザーバー

小林日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター長、藤井愛知県県民文化局県民生活部学事振興課私学振興室長

5.議事録

【畑参事官補佐】  皆様,御出席されているということで,まず,配付資料の確認と会議の運営上の留意点について説明いたします。本日の資料と参考資料は事前に送付させていただいております。対面で御出席の先生方には,印刷したものを机上にセットしております。議事次第に記載のとおり,資料1から2-3でございます。対面で御出席の先生方には参考資料を机上のiPadに格納しております。それと,机上配付資料として日本私立大学教連中央執行委員会より,こちらに提出されました要請書を本検討会で机上配付してほしいとのことでしたので,配付しております。この要請書も含めまして資料が足りない場合など不備がございましたら,事務局にお伝えください。
 それから,会議運営上の留意点ですが,まず,対面で御出席されている方への会議運営上の留意点です。御発言の際には挙手をお願いいたします。御発言はオンライン参加されている方のために中央にあるスピーカーで音声を拾っております。そのため,ハウリング防止のためにiPadの音声はミュートのまま解除しないよう,お願いいたします。オンラインで出席されている方への留意点です。御発言の際は画面の下にある挙手ボタンを押してください。座長が指名しましたら,ミュートを解除して御発言ください。ハウリング防止のために発言時以外には音声のミュートは解除しないようお願いします。対面,オンラインにかかわらず,発言の際は気持ちゆっくりめで発言をしていただけると聞き取りやすくなりますので,御協力をお願いいたします。
 本日は,志賀委員,前鼻委員,西岡委員,私学事業団の小林センター長がオンラインでの出席となっております。 
 最後に,本日の会議は非公開ですが,会議資料と議事録につきまして,委員の皆様方に御確認の上,後日,文部科学省のウェブサイトで公開する予定でございます。
 私からの説明は以上になります。では,座長,よろしくお願いします。
【黒川座長】  皆さん,こんにちは。お暑い中,お疲れさまです。それでは,これより令和5年度第4回学校法人会計基準の在り方に関する検討会を開催いたします。
 本日の議事は,「附属明細書の内容について」,それから,2番目が「注記事項の充実について」,それから,3番目として,「その他」となっております。前回まで様々な意見が出た「セグメント情報の在り方」については,引き続き事務局で意見を踏まえた検討を行っているということで,本日の議題からは外れております。また,第1回の際に示されたスケジュール資料では,今回,第4回では「財産目録」について議事とするよう予定しておりますけれども,関連性という点で,第5回に予定していた「注記事項の充実」と入れ替えて行いたいと思います。
 それでは,議事の1つ目,前回に引き続き「附属明細書の内容について」です。事務局より説明をお願いいたします。
【篠原私学経営支援企画室長】  資料1-1,2ページです。「附属明細書について(案)」という資料を御覧ください。こちら,資料の構成は,総論と3つの明細書について,それぞれいただいております意見とこちらからの提案というような構成になってございます。
 まず,総論に関して,これまでいただいておりました御意見,簡単に紹介させていただきますと,1つ目,公認会計士協会と前回の会議での御意見ということで,「広く公表することを前提にするならば,附属明細書は全般的に簡素化することが望ましい」。2つ目のポツ,「私学法では「附属明細書」となっていますけれども,従前は学校法人会計基準第4条第3号から「○○明細表」と呼ばれてきた。今後は学校法人会計基準上も名称を「附属明細書」とし,各種書類の名称を変えることが望ましい」ということで,公認会計士協会から御意見をいただいています。今回,3つの明細書の書類名に関しては,「固定資産明細書」,「借入金明細書」,「基本金明細書」とさせていただきたいと思っています。
 次に,それぞれの明細書に関して説明をさせていただきます。まず,「固定資産明細書」です。各団体等からの御意見ですけれども,「現行のままでいいのではないか」という御意見。2つ目のポツは,私大協から「廃止し,現在の減価償却累計額は新たに別表を作成する。または貸借対照表注記の内訳記載をする」という御意見。3つ目のポツ,「増減理由の記載判断基準は3,000万円とされているが,現在の物価水準に合わせた見直しが必要」という御意見。こちらは参考資料の1,脚注というのが※印の括弧書きで書いてございますけれども, 23ページにございます。23ページの下のところに4とあって,ここの下から2行目と下から3行目,括弧書きで「その額が3,000万円を超える場合には3,000万円」という限定があるのですけれども,これについてはずっと変わっていない。2.3倍の物価水準,変わっている状況に応じた見直しが必要と,そのような御指摘になります。最後の御意見,「最低限の開示として,例えば摘要欄の記載基準,資産総額の100分の1というところを緩和することが考えられる」という御意見もいただいております。
これらを踏まえた提案といたしましては,「固定資産明細書」の様式については現行のままとする。増減理由の記載判断基準,こちらに関しては資料5ページ目の「固定資産明細書」のイメージのところになりますけれども,一番下の注記の4番のところ,こちらは3,000万円の閾値を削除し,贈与,災害による廃棄その他特殊な事由または同一科目について総資産の1%を基準とするというような形にさせていただいてはどうかと考えてございます。この閾値3,000万円を削除するに関しては,例えば規模の大きい大学だと100分の1というスクリーニングだけで記載するというところに関して十分な記載に至らないのではないかというような懸念もある一方で,では,その3,000万円から次,どの程度にすると妥当か。あるいはまた,それをいつどのように見直すべきなのかといったようなところもクリアカットな設定というのもなかなか難しいので,この閾値を削除するというところでやってはどうかというのが今回の御提案の内容になります。
 先に資料を一通り説明させていただきます。資料1-1,3ページ目,「借入金明細書」ですけれども,こちらに関していただいております意見です。1つ目のポツ,「企業会計と同等のひな形にし,利率は平均利率(加重平均)とする」という御意見。2つ目のポツ,「利率の記載,長短区分をなくし,内数記載の様式とする」。3つ目のポツ,「開示に適さない情報も含まれている(特に借入先)と思われるため,様式の変更も含め慎重な検討が必要」。4つ目のポツ,「「金融機関別の期末残高」と「残存期間」及び「資金使途」に絞り,他の記載項目を減らす」という御意見。その次のポツ,「借入先についてどのような種類の金融機関から資金調達を行っているのか,種類別での記載は必要だが,全ての金融機関の開示は避けるべき。個別に記載する場合でも主要借入先のみで十分である。利率の表記は個別に記載せず,利率の幅等の記載で十分」という御意見。最後は,「個別の借入先の記載は不要」ということで,ここはかなり御意見をたくさんいただいているところです。
 こちらに関しての記載案に関しては,資料の6ページがイメージとなります。まず,「借入先」について,こちらは長期と短期の区分は置くのですけれども,金融機関は種類までです。「公的金融機関」,「市中金融機関」,「その他」という種類のみにして,個別の金融機関名は表示をしない。記載項目については,「期首残高」,「期末残高」,「返済期限」,「摘要」,ここは資金使途など書いていただくイメージです。そこに絞ってはどうかということになります。
 現在の「借入金明細表」は,参考資料に「第9号様式」として、PDF資料だと24ページにつけておりますけれども,そちらからは「当期増加額」,「当期減少額」,あと「利率」という項目を落としてございます。増減の規模は資金収支計算書に出てくるので,落としても差し支えなかろうと。あと,利率に関しても取引が少ないところというのは見えてしまうので落とした方がよかろうというところを考えております。現在,提示させていただいている6ページ目の明細書で返済期限のところです。ここの欄は複数の取引がある場合というのは,最短の返済期限と一番後の返済期限と,いつからいつまでという形で,その幅を記載していただくというようなイメージでおります。
 次,4ページ目,「基本金明細書」の説明に移らせていただきます。こちらに関していただいている御意見は,「従前のままでいい」という私大連の御意見。2つ目は,私大協から「個々の組入・取崩事由の記載は削除。「当期組入高」の内数として「当期組入発生高」,「過年度未組入高」の当期組入高に分けて記載をする」という御意見です。3つ目は,「期末残高の記載と取崩額の表示で十分だ」という全専各からの御意見。4つ目は,「基本金(純資産)の増加要因及び減少要因を示すという目的の範囲内で簡素化すべきだが,少なくとも組入対象資産及び取崩対象資産の科目の開示は必要」という御意見。その次は「部門別記載方法廃止,最後は号ごとの個々の明細は不要ではないか」というような御意見をいただいております。
 「基本金明細書」の様式のイメージというのが7ページにございます。こちらに示させていただいている案は,第1点は第1号の基本金について,増減項目を簡素化いたします。法人合計での土地,建物といった事項,左側の事項等も貸借対照表小科目項目を記載することとし,その詳細についての記載までは求めないという案にさせていただいています。その下に続く第2号基本金,第3号基本金,第4号基本金については現行のままという提案にさせていただいております。
 次が「基本金計画表」についての御意見と提案です。いただいている御意見は,まず1つ目,「第2号,第3号「基本金の組入れに係る計画表」は廃止」。2つ目は,「一般向けの開示書類としてなじむものではない。第2号基本金について事業報告書上,将来の設備投資計画に基本金の組入れ方針を併記する。第2号及び第3号「基本金の組入れに係る計画集計表」について「基本金明細表」の脚注事項として扱う」という御意見。最後は「将来の事業計画に関わる書類であり,詳細な開示は競争上問題となり得る」という御意見をいただいております。こちらに関しての案としては,8ページが提出いただきたい2号,3号の「基本金の計画集計表」で,2号と3号は「計画集計表」のほかに「計画表」というものがあったのですけれども,それは明細書としての作成を要しないということにさせていただくというのが今回の御提案になります。
 参考資料でつけております27ページ以降が基本金第2号の「計画集計表」と28ページが第2号の「計画表」,29ページが第3号の「計画集計表」で,30ページが第3号の「計画表」になりますけれども,この「計画表」は,今回,公表する資料としての作成を求めないという提案になってございます。
 説明は以上になります。座長,よろしくお願いいたします。
【黒川座長】  篠原室長,御説明ありがとうございました。今回の議事について事前に意見を求めたところ,日本私立大学連盟,日本私立大学協会,全国専修学校各種学校総連合会,日本公認会計士協会から意見をいただいており,事前に各委員に送付し,お目通しいただいております。本日は附属明細書の内容について,一定の結論を出したいと思います。
 それでは,事務局からの御説明に関して御質問,御意見があればお願いいたします。
 それでは,内野委員。
【内野委員】  私立幼稚園の内野でございます。2ページの「固定資産明細書」の案の3,000万円という枠を外してということなのですが,3,000万円ってなかなか私ども小規模の法人が多い幼稚園においては,3,000万円を超える増減というのは,めったにないので,これはあまり関係ないっちゃ関係ないのですが,固定資産の分母が小さいので,ちょっとした移動で1%を超えてしまう可能性があるので,規模の小さいところは固定資産の1%ではなくて全体,2%ぐらいいただけるとありがたいなというところでございますが,まあまあ,全体の制度の中では,それは大規模法人さんもおありですから難しいかと思いますが,一応,小法人の多い幼稚園からの意見でございます。
 それと,この間からお話をしている「借入金明細書」についてでございますが,そもそも短期の借入というのは,私ども大変やっぱり多くございます。年末に補助金が入ってくるというところが多くございまして,それまでの間のつなぎ資金というところで,小まめに市中金融からお借りすることが多くございますので,その短期の借入というところも書き込んでいくと,しょっちゅうお金を借りているという状況が出てきてしまうのかなというところで,そもそも短期については記載する意味はあんまり,透明性から言っても,そんなに意味はないのかなというところでございます。御検討いただければありがたいと思います。
 借入期間の幅を持たせていただけるということは大変ありがたいことで,複数の長期のものも公的な借入をしたときに,公的な機関から借入をしたときにも複数の返済期限がございますので,これは幅を持たせていただけるとありがたいと思っております。それから,主な資金使途や担保物件の表示を目的とすると,附属明細書としての位置づけではなくて,注記事項に位置づけるというような内容ではないかと思っておりますが,いかがでございましょうか。
 以上です。今の返済期限のところに関してですが。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 事務局で即時に何かお答えすることがございますか。どうですか,何か今の。
【篠原私学経営支援企画室長】  今の内野先生の最後の御意見というのは,「借入金明細書」の注の1への御指摘ですか。
【内野委員】  返済期限について,前に返済期限はそもそも必要ないのではないかという話も出たと思うのですけれども,貸借対照表に計上されている金額の内訳や資金使用使途,担保物件の表示が目的だということであれば,附属明細書としての位置づけではなくて,注記事項に移して書いていくということはどうだろうかと。
【黒川座長】  どうぞ。
【畑参事官補佐】  それは今の注記事項,決まっておりますけれども,それに追加してということですか。
【内野委員】  ええ,はい。ただ,これ,今,全体の構成から言うと,もうこの表の中で,先ほど御説明いただいた,この表の在り方というところでありなのかなと。そうすると,問題は,その前から疑問に思っている短期の借入については記載しないということができればありがたいなと思っていることの意見表明で結構です。
【徳田委員】  よろしいですか。
【黒川座長】  はい。どうぞ。徳田委員。
【徳田委員】  借入金の考え方なのですけれども,期中で借りて返す,要するに期中に借りたものをその年度の収入で返すという話と,この短期という定義をどう捉えるかということを決める方がいいと思います。例えば今年度借りて,決算期をまたぐもの,要するに1年以内に返すもの,私はそういうふうにここを理解しているのですけれども,そうすると,今,内野委員がおっしゃっているように,何回か借り換えをして,最終的には3月末はないですね。
【内野委員】  いや,ごめんなさい。すみません。そうすると,そもそも記載の必要がないので。
【徳田委員】  そうですね。
【内野委員】  1年を越さないものであっても,例えば期を越す,1年越さないというようなもの,例えば今,私ども無償化というのがあって,保護者がいただくべき補助金を法定代理受領で先にいただくということがあったときに,4月の概算払いということもあります。そういうときに期をまたがない。その入ってくるお金を返済目途としてお金を借りていくということが出てきます。
 先ほど申し上げた経常費補助金という私学助成で言えば,期中で返す。例えば4月にお借りをして年末返済ということがあり得ますけれども,期を超える場合の1年以内の返済になるようなもの,いわゆる短期というところについては書かなくてもいいのか,それから,長期借入について,長期借入についての1年以内で返済するものというところも大変分かりにくい。公表することを前提とするのであれば,こういった分かりにくいものは,そもそも何か書かなくてもいいのではないかなと。
【徳田委員】  いや,私の理解としては,この「借入金明細書」というのは,当然,決算書における貸借対照表の明細になると,やはり固定負債の長期借入,それから,流動負債の短期借入金,これが借入金明細書の金額と合致する。その明細というふうに私は理解をしているから,それはちょっと計上しないということには,これはちょっと難しいのでは。
【内野委員】  そうですね。
【徳田委員】  決算書と合わなくなる。
【内野委員】  そうですね。もとより私ども幼稚園は,当初から,第1回目から申し上げているように,全ての方々に対して,卒園生も含めた全てのステークホルダーに対してインターネット公開が努力義務であるということについて懸念を持っているので,これ,努力義務だからしなくてもいいという御発言もいただきましたけれども,努力義務だからしなくていいというのはなかなか難しい。例えば努力義務だからやるべきだというような方向になっていくことが往々にしてあるのかなと思っております。
 例えば5年ぐらいのところで努力が外れて義務がなっていくというふうになったときに,今,ここで全部そのまま公開する。しかも,インターネットで公開するということに対して,非常に狭い範囲のステークホルダーに対して活動している幼稚園が全ての,大学法人さんと同じように全てのこういう情報を公開していくということについて,やはり違和感を持っているというところから,毎回の発言になってしまうのですけれども,これは各園さんたちの大変大きな懸念になっています。ですから,その基準に合わせていけば,当然。
【黒川座長】  はい。すみません,この明細表,事務局に確認なんだけれども,返済期限という意味が,今までは利率みたいなものがあったから,だから,1本1本のイメージで,これは3か月物で借りましたとか,そういうようなイメージで思っていたのですけれども,それはなくなってしまって,それで今,徳田委員がおっしゃったように,貸借対照表と紐付けていることになると,普通は期末日からその先,期末日に借入,持っているわけだから,それが,返済期限がいつになるかという起点が期末日というふうに読めることになってしまうかもしれない。貸借対照表と紐付けするとね。
 そうすると,短期借入金は1年以内ということは当然なので,あと平均的に6か月,これは幅があるから,期末日から,1か月以内から9か月ぐらいだよなんていうふうに書くのか。そういうようなイメージになる。長期借入金の場合は,1年以内はこの説明に載っていますから,1年3か月から翌年までと,こういうふうに書かれるのかな。そういう理解でいいのかって,この明細表がこういうふうな形になってしまうと,それは誰が。
【篠原私学経営支援企画室長】  今,座長がおっしゃったのとはちょっと違う返済期限の記載イメージを持ってはいました。
【黒川座長】  そうでしょう。
【篠原私学経営支援企画室長】  はい。
【黒川座長】  そうなのよ。でも,ここで,こういうことだけになってしまうと,徳田先生がおっしゃったような貸借対照表と紐付けると,そうなる可能性はあるんだけれども,どうしようか。
【畑参事官補佐】  「返済期限」は,返済期限の日を書くところですので,何月何日というのが書くところなのですが,複数の借入がある場合は,それを「から」という形にして,最短のものと最長の日付をそれに記入するというイメージでおります。
【黒川座長】  そう。そうすると,やっぱり期末日現在に3本,例えば短期借入金を持っていたら,その3本が1か月,3か月,5か月だとすると,1か月から5か月と。
【佐野委員】  1か月じゃなくて,期日でしょう,書くのは。
【徳田委員】  年月日を書くということ。
【黒川座長】  年月日のいつからいつと書く。
【畑参事官補佐】  はい。
【奥村委員】  それの最短と最長を取る。
【畑参事官補佐】  はい。取るということです。
【徳田委員】  最初に返済が来る日と最後の日,ここからここまでですよ。
【内野委員】  現在ですと,今の紐付けの仕方ですと,短期借入金については公表,その公開すべき年度内のどこかの日付ということになるんですよね。
【畑参事官補佐】  そうです。
【内野委員】  変な話ですけど,そうすると,その期末に見た人たちは,もう返し終わっているところの記録を見ているということになる。
【佐野委員】  いやいや,見ていない。そこから先ですから。
【黒川座長】  佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】  今年ですと,令和5年3月31日の決算書を見て,短期は令和5年4月1日から令和6年3月31日までの返済分が残高に載っているはずですので,見たときに,もう無いやということはないんですね。
【内野委員】  ああ,決算書上ではね。
【佐野委員】  そうです。
【内野委員】  だから,その決算書を読むということと,その何だろう,それがミスリードされないかという,この借入明細に関しては,非常に地域の方々に対するミスリードが心配なんです。幼稚園としては。
【徳田委員】  年月日の日まで入れずに,例えば年度だけという手はどうなんですか。
【内野委員】  なるほど,なるほど。
【佐野委員】  細かい書きぶりはさておいて,まず,このフレームを決めないといけないと思うんですが。
【黒川座長】  そうですね。
【佐野委員】  例えば借入金明細,今,文科省の事務局から御提案になっている期首,期末と返済期限の摘要がありますけれども,そもそもこれは現在の様式と違うので,これでよろしいかどうかというコンセンサスを得ないといけないと思うんですね。と言いますのは,どちらからの団体から意見がありましたけれども,企業ベースでどうかと。企業というのは資金調達手段というのは,増資もあれば社債もあれば,いろいろな手段があって借入ですから,その資金調達の手段の中の1つなんですよね。
 でも,学校会計の場合というのは,自己資金と寄附もありますけれども,資産も基本金組入があって,自己資金を特定資産に入れて買い換えていく。その自己資金調達というのが一番のメインになっているので,借入というのはイレギュラーなはずだという前提があるわけですよね。その前提はさておいても,だからこそ借入金については,私は期中残高の間に増減が固定資産明細と同じように残った方がよろしいのではないかと思っています。
 今,これは企業会計の期首と期末の残高を見せると,例えば今,委員がおっしゃったように期首もゼロ,期末もゼロは何も出てこないけれども,資金収支の方は借り換えがあれば出てくるわけですね。でも,まさにそのことが重要なのであって,それは資金収支を見れば分かるじゃないかということではなくて,期首の貸借対照表と期末の貸借対照表の間にどういう経営上の意思決定があったかというのを見る。それは資金収支の方で裏づけられていますよという流れがあるわけだから,私は表の様式としては期中増減もあるべきではないかなと。
 ただ,縦のこの公的,市中,その他はこれで私はいいと思っていますので,懸念するのは,その増減があった方がいいのではないかということと,返済期限というのは,やはり期末に残ったものに対しての期限であって,今は例えば事業団から借りていますという,5本あったのをまとめていいですよというのが通知されていますから,いつからいつまでとまとめることができますので,事務局から説明があったように最短から最長でいいと思う。
 ただ,日にちまで入れるかどうかとなると,これは任意だから,月でもいいのかなぐらいは思いますが,何年何月何日から何年何月何日までの借入を持っていますよということを書かせるべきかなというふうに私は思っていまして,今,そのどう書こうかということより,まずフレームをきちんと決めてというか,合意した方がいいのかなという気はするのですが,いかがでしょうか。
【黒川座長】  今,佐野先生がおっしゃった期首と期末がゼロでも期中に3か月物を幾つか借り換えているということになると,それはどうなるのかなんですけれども,「借入金明細書」の日付,これが何年何月から何年何月までという,この1年間みたいな感じになっているんですね。普通,貸借対照表というのは何年何月日現在,ここがフロー表と同じ書き方になっているんですよ,この明細表は。
 そこが面白いところで,そうすると,そこまで会計学者としてそういうふうに考えると,期首と期末の間がゼロゼロであっても,この返済期限のところは,さっきからの事務局のイメージだと,この期間,要するに実績としての期間中に3か月物を3本借りていたら,3本をその実績も期末はなくても,この期間中にそういうことがあったものについては何年何月から何年何月までと,その平均を書くのだろうというふうに読めてしまうんですけれども,事務局のイメージはどういうことをイメージしていますか。これ,何から何までで……。
【内野委員】  それは徳田先生の話だと,これ,決算書上の数字で,1年以内のものは載ってこない。
【佐野委員】  載りますよ。
【徳田委員】  この表で,どういう経理をしていくかというのを決めていけばいいと思うんです。今,佐野委員が様式をどういうふうに決めていくのかということと,短期借入というものを,この記載をどのように決めていくのか。期中で,このような借入をしているものまでもここに載せるべきなのかどうか,これはまたちょっと別次元の話になると思います。それを一緒にすると,この「借入金明細書」がちょっと別の方に行ってしまうような気がします。
【黒川座長】  普通は返済期限というか,さっき言った期末日からあと何年先という,これ,将来を企業会計の場合見たいわけなので,将来の予測,あるいは判断のための情報の1つと見るのですけれども,実績期間中の内訳を見るのかどうかというところ,事務局の案はどういうことだったんですか。要するに期中でなくなっていても,期中の実績として何本かあれば,それを書くイメージだったと。それをただ取りまとめただけであり,それから,期中の増加と減少をなくしてしまったので,それが出てこなくなっちゃったということですよね。
【篠原私学経営支援企画室長】  期中のものは,増減は落としています。
【黒川座長】  期中の,さっきから佐野委員がおっしゃった期中の増加と減少があれば,そこの明細なんですよというので何年何月から何年何月まであるというのが出てくる。
【佐野委員】  いやいや,違います。期中の増減はもちろんおっしゃるとおりですけれども,返済期限は平均ではなくて,やはり期末に残った残高のものについて,将来,いつ返すんですかという期限を,幅を持たせて書きましょうということですので。
【黒川座長】  そっちですか。
【佐野委員】  返済期限は,そっちです。返済期限は期末に残っている長短のものの,それぞれの枠ごとに最短と最長を波々にして。
【黒川座長】  そうすると,ゼロゼロになって期末には残っていませんということになると。
【佐野委員】  残っていなければ,返済期限はもう書かない。
【黒川座長】  そういうイメージなんですね,事務局も。
【佐野委員】  だけど,期首にゼロ,期首,借入がありませんでした。期中,1,000万借りました。でも,期中に1,000万返しました,残はゼロですという場合は,期中残高ゼロ,増加1,000万,減少1,000万,期末ゼロ,返済期限のところは空欄というイメージなんです。
【黒川座長】  そうすると,ここは借入金明細,何年から何年までという,今回,実績として,ここからここまでの間の借入の明細ですよという意味になりますよね。
【佐野委員】  今もそうです。
【黒川座長】  いや,今はそうです。ここの「借入金明細書」は何年から何年までというのは,そういうイメージで書かれているんです。何年何度末の期末時点の期末残高の内訳というよりも,何年……。
【佐野委員】  そうですね。
【黒川座長】  この書き方がね。だから,貸借対照表との紐付けということとは違う書き方になっているんですよ,ここの表が。フロー表としてのイメージになっているの。しかも,実績としての。
【黒川座長】  はい。どうぞ。確認。
【今井専門職】  今の案のイメージとしては,あくまで期末日時点の内訳のイメージとして記載しておりまして,フローとして当年度中の増減というところではなくて,年度末時点の貸借対照表上の長期借入金,短期借入金の内訳として,こういったものが借り先の種類ごとに幾らずつ借りていますというストック情報を前年度末,当年度末で比較する形で記載するというイメージで案を作成しております。
【佐野委員】  よろしいですか。
【黒川座長】  どうぞ。
【佐野委員】  今の見ているこの6ページは,まさに事務局がおっしゃったイメージだと思うんですけれども,果たしてそれでいいんでしょうかというのが,私,疑問を呈したもので,やはり期中増減があってよろしいのではないですかという意味なんですね。その細かい書きぶりはまたいろいろ議論があるところだと思うのですが,B/S残高の明細ではなくて,期中もあった方がよろしいのではないですかというイメージでさっき申し上げた。
【黒川座長】  分かりました。大体,私も理解できましたので,ありがとうございます。
【内野委員】  すみません,確認なのですけれども。
【黒川座長】  どうぞ,内野委員。
【内野委員】  内野でございます。すみません,確認でございます。そうすると,短期借入金のこの期末残高は全部ゼロになってしかるべきですよね。
【佐野委員】  そうではない。1月に借りて5月に返すという場合もあるじゃないですか。
【内野委員】  さっきの期をまたぐ場合ということですよね。その期をまたいだ1年以内の借入が短期に入るのかという話ですよね。
【佐野委員】  入ります。
【内野委員】  分かりました。それは消えないですよね。
【徳田委員】  それは消えないです。
【内野委員】  消えないですね。でも,期中に返していったものは,今の普通の期末日の主義でいけば消えてしかるべきですよね。
【佐野委員】  この様式でね。
【内野委員】  この様式だとゼロゼロでいいですよね。増減にならないといいなと思いまして。
【黒川座長】  どうぞ,稲垣委員。
【稲垣委員】  よろしいですか。附属明細があくまでも当期の増減を示すものであるということで,「固定資産明細表」も当期の増加,減少という欄があることとそろえるということと,それから,やはり借入金自体があることが,どちらかというとイレギュラーだということを想定すると,期中の増加,減少も,ちょっとどこまで書くかはともかくとして,佐野委員と同意見ですけれども,入れた方がいいのではないかと考えます。返済期限と摘要は,あくまでも期末に残っている借入金についての説明だということが分かりやすいようにすればよろしいのではないかなと思います。短期借入金についての返済期限は,嫌でも1年以内に来るものですから,どこまで書くのかなというのは,ちょっと工夫の余地のあるところだとは思いますけれども,そのように考えます。
【黒川座長】  どうぞ,奥村委員。
【奥村委員】  この公的金融機関,市中金融機関,その他という区分なのですが,これをする意義といいますか,あまり意義を感じないという実務の意見を聞きましたので,我々の学校法人会計基準で,これはこういうふうな区分で示した方がいいのかと。いかがなものでしょうか。
【黒川座長】  事務局。
【畑参事官補佐】  公的機関,市中機関,その他にしているのは,画面に映しておりますけれども,現行の「借入金明細表」を踏襲しておりまして,長期借入金についても短期借入金についても,その形で分けて,その中でさらにそれぞれの金融機関の名称を記入していただいて,それごとに記載していただくという,今,そういう形になっておりますけれども,今,慣れている整理の仕方を踏襲してやればいいのではないかという案にしております。
【黒川座長】  はい。分かりました。奥村委員,よろしいでしょうか。では,嵯峨委員,何か御意見ございますか。
【嵯峨委員】  逆に公的金融と市中金融のその他というと,その他というのは大体何が,やっぱり個人ですか。
【黒川座長】  事務局,どうぞ答えてください。
【畑参事官補佐】  そうですね。個人になると思います。
【佐野委員】  個人と関係法人等ですね。
【黒川座長】  前鼻委員,どうぞ。お待たせしました。
【前鼻委員】  ありがとうございます。私,団体としてもなのですけれども,「借入金明細表」につきましては,書式についてはこれでいいと思うのですが,ただ,私も幼稚園をやっておりますので,内野先生の言っていることはよく分かるのですけれども,背景の助成法から私学法に移る,いわゆる学校法人会計を会計でうまくちゃんとしていこうという観点からすると,ストックとしての、期間ではなくて,決算日においての記述はきちんとしなければいけないだろうというふうに思います。ただ,短期借入金についての返済期限を記載する必要性があるのかというところには,私はちょっと,そこまではしなくていいのではないかと。ですから,返済期限を長期借入金のみにしておいて,それの何月何日までは要らないと思いますので,何月までにして返済期限を記載したものでいいのではないかと思います。
 あと,ほかの明細書につきましての記載については,文科省の事務局から出ています案のとおりでよろしいかと思います。
 以上です。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 ほかに南部委員,お願いします。
【南部委員】  基本的に私もその他が何かが気になっていたところが1点です。それから,途中の残高がゼロになっていく借入金の部分,全部記入するというのはなかなか難しいのかなと思いまして,そうなると基本的に今の状況で言えば,そこはゼロゼロで大丈夫だということなので,それを考えればこのままでいいのではないのかなと思います。ただ,動きが全然分からない状況になるというのは確かなので,本当の意味で経営的な部分がどうなのかという問いかけに対しては答えていないのだけれども,でも,基本的にはそこは健全に行われている部分なので,ゼロゼロになってきちんと返されているということであれば,それでよしとしてよいのではないかなと私は思いました。
 以上です。
【黒川座長】  はい。分かりました。ありがとうございます。持丸委員は何か御意見ございますか。
【持丸委員】  まさに期中のところは知りたいところもあるのですけれども,それって結構,細かい出し入れが結構分かりにくくなるかなと思うので,現行のこの形でよろしいのではないかなと思います。
【黒川座長】  分かりました。ありがとうございます。
 それでは,重要な佐野委員の御提言に対して皆さん,どのように取り扱う。要するに増減欄を入れるかどうかということなんですね。
【畑参事官補佐】  佐野先生のイメージは,この今画面に載せておりますけれども,当期増加額と当期減少額という形で載せるというイメージ。
【佐野委員】  そうです。そこの部分について大変というお話もありますが,これは資金収支と連動していますから,借入金の場合には資金収支から集計することなくボンと来るはずなので,大変さは全くないということも少し補足させていただきたいと思います。もちろん書きぶりの話,何で借入金明細が学校会計で必要かというところの原点を考えると,やっぱり残高も必要なんですけれども,その学校がどういう資金で運転したのかということを見るにはやはり必要かと思っていますので,この様式になってしまうということにはちょっと懸念がある。
 それともう一つ追加すると,公的,市中,その他といったとき,たしか最初のときは公的というのは事業団ぐらいしかなかった。あと東京都なら東京都,要するに公的なものだから安全性が高い。そうじゃなくて市中だとやはり何かそこに1つリスクが加わるのではないか。でも,そこにはまらない対象がありますね。例えば園長先生の資金で運転していますよという個人,それから,その後になってくると関係法人同士で,学校法人間でも資金を融通し合う。
 そして,期首ゼロ,期末ゼロなら安全性というか,安定した経営をしているかというと, 3月31日で1回返してしまう。ゼロにする。4月1日にまた借りる。こういうことを繰り返すということもあり得るんですね。これは性悪説みたいになっちゃいますけれども,いろいろなことを考えて,学校の資金調達がどういうふうに行われて,どう期中に運転したかというのを見るのが必要であろうし,その集計は手間がかかりませんということを補足させていただきたいと思います。
 以上です。
【黒川座長】  事務局,今の佐野委員の御提案について何か,特に結論として省いたわけですけれども,反論が――反論というか,佐野委員を説得するようなですね。
【徳田委員】  私も賛成です。
【黒川座長】  佐野委員に賛成の委員がほかにもいますし,分かれているので,このままでいいと。事務局としては何か積極的な理由はありますか。期首増加,減少を,要するに緊急提案なわけですよね。入れたいという。
【畑参事官補佐】  増減額を追加することについては,事務局は特段反論するものではございません。
【黒川座長】  ああ,そう。中立的に。はい,分かりました。私,座長は中立でなくちゃいけないのだけれども,会計学者として何年から何年までというのは気になるんですよね,やっぱり。だから,そうするとフローのところ,欄があれば,まあ,こうだろうというふうに思えるので,あまり増加,減少に積極的に省いたというのは,バッと省いてしまったみたいな感じなので,どうでしょうか。増加,減少欄を加えるということで,皆さん,賛成していただければそれでいきたい。皆さん,どうですか。増加,減少欄,加えても問題ないという御意見で,1つだけの案でここは了解していただけるでしょうか。
 前鼻先生,御意見どうぞ。
【前鼻委員】  結局,座長の案でいきますと,いわゆるフローの1年間分の動きを提示してほしいということになるわけですね。
【黒川座長】  期中と増加,減少欄は残ると。返済期限のところは期末に残っているものの平均なんですけれども……。
【篠原私学経営支援企画室長】  平均ではないです。
【黒川座長】  平均でない? 公的金融機関の借りているものが3本あればどうするんですか。
【篠原私学経営支援企画室長】  短いものと長いものを記載します。
【黒川座長】  あ,ごめんなさい。平均じゃない。短いのと長いの。そういうことになる。
【前鼻委員】  私自身はやはり末のストックの部分で十分ではないかというふうな意見を持っておりますので。
【黒川座長】  はい。分かりました。
【前鼻委員】  そちらの方を支持させていただきたいと思います。
【黒川座長】  了解です。はい。分かりました。それでは,今日中に決めるということであれば,ここで多数決。
【村上参事官】  今日中に決めたいということではあるのですけれども,多数決で決めるという決め方は,適当ではないと思いますので,今の話でいきますと,基本的には増減額の欄を事務局としては簡略化の部分という意味で外してはいますが,佐野委員からは,そこも入れた方が,やはりより健全性の部分も含めて確かなものになるのではないのかというお話ですので,今,全体の流れの部分を感じていますと,そこに対して入ること自体は異論がないという委員が多いのかなと。
【内野委員】  私たちは反対。幼稚園は反対です。
【村上参事官】  ええ。ですから,やっぱり反対の委員の意見をもう少しお聞きしていただいたらどうかなと思うのですが。
【内野委員】  すみません,幼稚園法人としては,幼稚園単立法人としては非常にステークホルダー,これ,公開前提の書類ですので,提出書類ではないので,そうするとミスリードが一番怖い。これ,学校法人会計をやっている人には分かりますけれども,そもそも長期借入金と短期借入金の定義,それから,返済期限が1年以内の長期借入金って何だ,それという話。そこに期末の額だけ出てくれば分かりますけれども,期首の額が出ていて,期末の額が出て,その間の増減が出てきたら,何を見ればいいのかよく分からないという方々が多いと思うんですね。幼稚園のステークホルダーの方々にはね。なので,そこが公開しているけれども,何のことかよく分からないという数字を出すぐらいだったら,そこまで細かくする必要はないのではないかなというふうに幼稚園としては思っています。なるべくシンプルなというふうに思っています。
【黒川座長】  どうぞ,稲垣委員。
【稲垣委員】  先ほどもちょっと発言させていただいたのですが,今,附属明細書が3つあって,固定資産明細書と,それから,基本金明細書については増加,減少が入っているのに借入金明細だけ増加,減少が入っていない様式としたときに,読者はそれをどうしてそうなっているんだということを考える人もいらっしゃるのではないかという意味で,附属明細書はある一定の共通性を持った考え方で作られるのがよろしいのではないかと思います。
【黒川座長】  ほかに何か。
【篠原私学経営支援企画室長】  よろしいですか。
【黒川座長】  どうぞ,事務局。
【篠原私学経営支援企画室長】  今,内野委員からミスリードするというお話があったのですけれども,素人としても,それは分かりやすいものが見えたらありがたいなというのはある反面,分かりやすい情報だけで本当に分かっているのかというところが十分ではないという御意見だと思うので,そこに関してちゃんと正しく理解をするための情報を追加する。例えばミスリードにならないように,この資料って,こういうふうに読むんだよみたいなインストラクションをこっちがどのくらい周知できるかというような,実際の進め方もあるのかもしれないですけれども,仮にこの増減を入れたときにどのような実害が出てしまうか。取り返しのつかないダメージが出るとか,御心配をもうちょっとお伺いできたらなと思うのですけれども。
【内野委員】  すみません。
【黒川座長】  はい。どうぞ,内野委員。
【内野委員】  項目が増えることが単純に見にくくなることが,何かもうちょっと単純なものでいいんじゃないかなという気がしています。例えば行政が作るような予算の説明資料のように,非常に分かりやすい公表資料の方がもともといいんじゃないかと思っているところです。
 それと,そもそも今のこの話というのは,大学法人から幼稚園まで全部,幼稚園の単立法人まで全部同じ仕組みにしようということ自体がもともと何でかなというふうな思いがあります。同じ学校法人といっても,全然質が違う,何だろう,実態が違うものでありますので,大学法人に合わせた公開の仕方であったり,大学法人に合わせた,会計基準はいいんですよ。大学法人に合わせた公開基準というのが,みんな釈然としていなくて,それで,卒業生までステークホルダーに数えるという,そのことももともとあまりみんな納得しているものではなくて,そこからすると,保護者の方々に分かりやすいものということのときに,何でそこまで細かく,別の人が別の理由で見る可能性が高いようなことまで公開しなければいけないのかというところが,最初の会議で申し上げたように,売りませんかというようなダイレクトメールがたくさん来るような業種でございますので,私どもね。何かそういったところのために何か公開しているような気がして釈然としないという思いがあるんですね。小さい法人なので。
【黒川座長】  はい。分かりました。佐野委員。
【佐野委員】  今,室長から御質問があった,何がミスリードになっていますかということについては,私も伺いたいですね。これはもっと増やすという意味ではなくて,現行から削っているわけですよ,今,文科省が提示しているのは。
【内野委員】  はいはい。
【佐野委員】  現行より減らしているので,増減を増やすというイメージで物をお考えにならず,今現在も期首増加,減少,期末なんですからね。
【内野委員】  いやいや,それ,現在というのは,それは私たちが作っている書類ですよね。会計書類ですよね。
【佐野委員】  そうです,そうです。閲覧開示ですよ。
【内野委員】  私たちは,その作る会計書類を減らせと言っているんじゃないですよ。その公開するものを。
【佐野委員】  今,閲覧開示対象になっていますよね。これは変わらないですよ。私学法の世界。
【内野委員】  はい。それはいいんです。じゃなくて,インターネットに載せるって,先ほども申し上げた,今は努力義務になっている。佐野委員は努力義務だから,まあ,いいじゃないですかという話だったけど,5年後,努力義務の努力が外れる可能性もあります。学校評価なんかもそうですけれども,大体,努力が外れて厳しくなっていくというところは出てきます。そのときに取り返しがつかないっておかしいですけれども,私たちも小法人が,このそもそもステークホルダーだというふうに地域の中で活動している園が広く全国を対象に運営をしているような学校法人であったりとか,大学法人であったりとか,それから,県をまたいで活動するような有名私立の高校法人であったりとか,幼稚園も一部ありますけれども,そういうところと地元の子供たちが通っているところと同じ基準で公開されるということにもともと疑念を持っているので,だから,もし同じ基準で公開されるのだったら,高い方の,広い方の方々に合わせるのではなくて,私たちの意見も聞いてほしいという話です。
【佐野委員】  ですから,いいですか。今の私学法の中で考えればいいわけですよ。その5年,10年先に,もしかして努力義務なり努力が取れたらどうしようというときは,法律が変わったときに考える話であって。
【内野委員】  いやいや,佐野委員,でも,それはおかしな話で,努力義務だからやらなくてもいいんだから,いいじゃんって言っているようなものですよ。
【佐野委員】  今は仕方ない。法律で決められていませんから,今は最低のところというか,共通の専修学校,幼稚園も含めたところで決めて,それに付加して大学法人はこれをしなさい,公開しなさいということをやっているわけですよ。幼稚園法人などについては,インターネット公開ではなくて,まず,その利害関係人の範囲を,公開より狭いですから,今の規定では。その狭い人たちに閲覧開示,用があって来て見せてくださいというときに見せましょうという基準でありますから,全く変わっていないんですよね。私学法の世界では。今になって規模の基準のことをまたここで議論し始めると問題が出るのではないかと思うんです。いろいろな問題が出ると思います。
【内野委員】  そもそも公開を努力義務ということが,努力義務だからやらなくてもいいということを,文科省さんの方で努力義務だからやらなくてもいいんですよということを議事録に載せていただけるのだったらいいですけれども,今のところ,それをおっしゃっているのは佐野委員だけなので。
【佐野委員】  努力義務というのは法律にないから,努力しましょうということではないんですか。
【内野委員】  よろしいですか,それで。
【村上参事官】  今みたいな規模のようなお話もあるので,努力義務であり公開と規定していないというところもあるでしょうから,それぞれの状況に応じて,「努力義務となっていても公開できる」と言われる場合もあれば、いろいろな問題があるので,現時点では公開には適していないと判断される場合もあると思います。
 それが,いつ努力義務が取れるかどうかというのは,申し訳ないんですけれども,今,我々の方で, 5年後に外れる,10年後に外れるということは明言できませんので,佐野委員が今おっしゃったように現時点の制度,手続の中で御判断していただくしかないので,公開が難しいということであれば,公開をしないという選択ができますので,そこに全部合わせるというのは少し議論が変わってくるのかなと感じています。
【内野委員】  了解しました。
【黒川座長】  ほかに何か。反対していたのは,あと,Webで参加している前鼻委員。今の事務局からの提案に対して何か。
【前鼻委員】  改めてですけれども,内野先生と似たような話になるかもしれませんが,我々専門学校もさほど資産規模が大きいわけではなく,期中の授業料納入においてショートしてしまって,短期で借りざるを得ないということもあり得る経営をしているところも多々あるわけです。そういったところが利益率,金額が少ないですから,何とか毎年しのいでやっていますけれども,そういったものが何か手の内を明かされるとか,何か随分,あそこのところはひどいものだなというふうに思われるのは非常に厄介だなと思うところでもあります。
 私ども幼稚園もやっておりましたので,そういうことになっている園は多々,私もよく見てきておりますので,じゃあ,それが経営的に悪いのか,会計上何か問題があるのかというと,そうではないとは思うのですが,しかしながら,そこまでのことを何かさらされていなければいけない話なのか。しっかりとした会計的な部分で期首,期末の中でしっかりと会計をきちっとやっていますという部分の中において,ストックの部分だけで十分ではないかというふうに私は思います。ですので,「からからまで」ではなくて,「まで」の中での期末の残高のみで私は十分ではないかと思います。
 以上です。
【黒川座長】  ありがとうございます。
 持丸先生も今このままでいいとおっしゃいましたっけ。
【持丸委員】  ただ,佐野先生の方は収支から移行するだけでいいということで,手間があまりかからないということであれば,増減はあってもいいのかなとは思います。
【黒川座長】  なるほど。徳田委員は貸借対照表との紐付けということをおっしゃっていたのですけれども,今のいろいろな意見を聞いて,どんな感想をお持ちですか。
【徳田委員】  私が提案しているのは増減まで入れる。ちょっと中身が違いますけれども,一応,協会としては,そういうような方向でもいいかということで今回提案していますので,そうすると各それぞれの団体さんの,それぞれの意味が違うのだろうと思います。私は,こちらから提案しているものについては,増加,減少を入れた形で提案させていただいておりますので,佐野委員のおっしゃっていることについても,それは理解をしています。私のところはそういう意見です。
【黒川座長】  私,分からないんですけれども,村上参事官がおっしゃっているのは,全会一致というのを目指す。
【村上参事官】  いや,全会一致を目指すということではないのですが,ある程度の方向性として進めていかなければいけないと思っていまして,内野委員とか,やはり御意見がありますので,恐らく賛成側に回るという御判断はないとは思っています。ただ,座長がおっしゃるように全会一致というような形でないと進めないというのは,検討会の趣旨としては,いろいろな御意見をいただきつつ,最終的にこういった案をということを御提示させていただくものかなと思っておりますので,貴重な御意見としていただきつつも,結論としてどう反映させていくのかというのはまたそこは別な考え方も含めて御判断をさせていただければと思っております。
【黒川座長】  そうすると,今のこれ,議事録に載るんですけれども,ここで結論を出さないで,後で事務局で判断させていただくということになると,事務局に一任ということを我々は結論として,そちらにお回しするということですか,参事官のおっしゃっていることは。
【村上参事官】  いや,事務局に一任して決めるということではなく,今のこのお話の中でいきますと,我々が案として示したものについて様々御意見があったということですので,御意見の方向性がはっきりしていれば,このまま進めさせていただいて構わないのですが,この示しているものだと,まだしっかり分からない部分もあると思いますので,今日いただいた意見で修正した事務局案を、会議なのか,会議が終わった後に個別の委員の先生方にお示しするのか,やり方はどうあれ,1度示させていただきたいと思います。
【黒川座長】  そうしますと,私が今日結論を出したいというふうに事務局から言われていたのですけれども,私としては,その借入金のところは,利率どうするというのは全会一致で皆さん異論がなかったので,これが一番大きい議論だろうと思っていたんですよ。ここのところはまた事務局で考えるということで,どうでしょうか,御意見,いろいろいただきましたので,借入金のところはちょっと保留で,増加,減少欄をどうするかということを事務局として,もう1回提案し直すということで保留。
 それ以外の部分については,この事務局案でよろしいか。佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】  固定資産明細については私も賛成いたします。基本金明細については,これ,非常に大きな問題を含んでいると思っていますのは,書きぶりの事項欄を見て,この7ページを見ますと,1号基本金,前期繰越高があって,組入高,取崩高,期末残高とございます。平成17年の基本金取り崩し要件の緩和のときの1号通知というのは,御承知かと思いますけれども,取崩対象額,組入対象額のいずれか多い額をもって組入もしくは取崩とする。これは各号ごとに決めるというふうに通知が出ているわけです。これに対して,この今の書きぶりは,この通知に反している書きぶりになってしまう。残高と結びつかないので,この事項欄の書き方については,取崩と組入,その差額の多い方に組入か取崩のいずれかになるというふうに書きぶりを変えていただくべきだと思います。
 中身については省略化する中身という意味ですけれども,勘定科目程度にするということについては賛成いたします。取崩,組入の考え方は17年の1号通知をもう一度踏まえた書き方にしていただいた方がよろしいのではないかと思います。
 以上です。
【黒川座長】  事務局として,今,佐野委員の御意見,かなり前の話なんですけれども,どうでしょうか。
【畑参事官補佐】  今の先生の御指摘は,基本金明細書の欄外の注記のところにある記載についてということですか。
【佐野委員】  はい。表の書きぶりが誤解を招きますので。
【畑参事官補佐】  はい。この点についても引き取りたいと思います。
【黒川座長】  分かりました。では,基本金のところも今回は保留ということでいきたいと思います。
 どうぞ。奥村委員。
【奥村委員】  用語の件なのですけれども。基本金のところ。全部,言葉尻が「高」となっているのですけれども,「高」は前期繰越とか期首残高,あるいは期末残高という箇所で固定資産明細書では使っているわけです。基本金は「前期繰越高」,「当期末残高」,ここは「高」でいいと思うんですけれども,それ以外のフローの動きのところ,「当期組入高」は「当期組入額」とするのが,ほかとは符合するかなと。「組入高」も「組入額」,「当期取崩高」も「当期取崩額」とするとフローの動きのところは「額」で,そしてストックのところは「期首残高」と「期末残高」という言葉にすると,固定資産の方とも用語としては符合するかなと。基本金だけ伝統的に「高」が全てに付されているんですけれども。
【佐野委員】  事業収支と違うんですよね。
【奥村委員】  ええ。
【佐野委員】  事業収支の方は「額」なんですよね。
【奥村委員】  そうですね。
【篠原私学経営支援企画室長】  「額」にした方がそろうということですか。
【奥村委員】  そうですね。「高」は期首残高,期末残高にして,ほかは「額」にした方がそろうのではないでしょうか。
【佐野委員】  既に出ている通知との文言の整合性。
【奥村委員】  もありますからね。すぐには。
【黒川座長】  畑さん。
【畑参事官補佐】  これは現在もそういう言い方をしているので,それを踏襲しているんですけれども,御指摘の点を,これも引き取って,どういった経緯でこうなっているのか,そういったところから解きほぐして,「額」に変えても可能なのかというところを事務局で整理させていただければと思います。
【奥村委員】  はい。
【黒川座長】  ということで,また事務局で考えていただきまして。
【奥村委員】  他愛ないことですけれども。
【黒川座長】  畑さん。
【畑参事官補佐】  今日の議論をお聞きして,事務局で今回,案として出させていただいている,それぞれの案について総論と固定資産については,これでいいというふうに,了承いただいたというふうに理解しているのですけれども,あと,「借入金明細書」については,借入先についての金融機関の種類とし,個別の金融機関名は開示しない。この点については了承されていると理解しております。記載項目について,期首残高,期末,返済期限,摘要とするというところについては,佐野委員からの御指摘のところで,「当期増加額」と「当期減少額」を追加するかどうかについて,これについては引き続き検討するというふうに理解しております。「基本金明細書」のところについては,先ほどの佐野委員の部分について保留となっておりますが,様式の形態としては了承していただいていると理解しております。
 あと,基本金の計画表についても了承いただいている。あと,「基本金明細書」の「前期繰越高」を「額」にするというような点についても,これにつきましても引き続き検討する。そういう,事務局は理解しておりますが,これでよろしいでしょうか。
【黒川座長】  はい。事務局,ありがとうございます。本日の第1議題については,今のようなことが議論されたということでよろしいでしょうか,一応。では,承認を得たということで,本日の事務局提案の一部については承認を得た。一部については,今のとおり引き続き次回以降ということで決めさせていただきました。どうもありがとうございました。
 それでは,まだ残り45分ございますので,議題の2つ目,注記事項,これは先ほども言いましたように,附属明細との関連性が高いので,今日,ここについても審議をしたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。
【篠原私学経営支援企画室長】  事務局より説明いたします。資料2-1,9ページです。注記事項について,柱は2つございます。1つが「注記の記載場所と項目」,もう一つの柱が「子法人」に関するものです。1つ目の柱に関しての論点は2つございます。まず1つ目の論点ですけれども,資料2-2の12ページを御覧いただくと分かりやすいかと思います。12ページの表,3段に分かれてございますけれども,真ん中に現行の会計基準の抜粋がございます。この第4章,貸借対照表の第34条ですけれども,ここに「重要な会計方針については,当該事項を脚注として記載する」という記載がございます。括弧書きの中,「注記事項を計算書類の末尾に記載することをいう」というふうになっております。
 このような状況になっているというのを頭に入れていただいた上で9ページに戻りますけれども,1.の四角,1つ目の最初のポツです。現行基準においては「第3節 貸借対照表の記載方法等」に注記の記載方法が定められ,「計算書類の末尾に記載する」というふうにされています。実際は貸借対照表の中に計算書類の末尾に記載することが求められている注記が入っていて,そこが,整合性が取れていないのではないかという意味で違和感があると書いてございます。ここでの論点は,この注記の節を今の貸借対照表のカテゴリーの中に置いておくか,そこから抜け出して独立させるかどうかというところです。論点1に書いていますのは,「計算書類の末尾に記載することを明示するため,新会計基準において注記の節を設け,貸借対照表の様式から脚注を削除する」というふうにはしていかがかと考えております。
 対応案としては2つ書いていますけれども,1つは現行どおりの構成です。貸借対照表の中に注記事項を入れっぱなしにするというもの。案の2は,貸借対照表のところから取り出して注記の節を設け,貸借対照表の様式からは削除をするというものになります。なので,12ページにもう一度戻っていただきます。3段表の一番上,こちらが改正イメージ案というところですけれども,第3章にある計算書類の中で新しい節を設けて,計算書類の注記というカテゴリーを作ってはいかがかというものになります。計算書類には,次に掲げる事項を注記しなければならないというところで,今,注記にあるような内容を順次こちらに列記するというような形で提案をさせていただくものです。これが1つ目の論点になります。
 2つ目の論点,こちらは注記の内容についてです。他の非営利法人の基準や学校法人の経営環境等を踏まえ,現行の規程や記載例から見直しが必要な項目があるのではないかというものになります。対応案としては,現行のまま変えなくていいという案と、案の2,現行の注記項目から必要に応じて加除を行うというふうに提案させていただいております。必要に応じて加除を行うというところの具体的な内容を説明させていただきたいと思います。
 先に資料の32ページに飛んでいただけますでしょうか。こちら,現在の貸借対照表を参考資料2の中に入れてございます。33ページの下に今,注記という形で「重要な会計方針」から記載があります。この中でも,「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」というものがございまして,実際の注記例では,そこに幾つかの事項が記載されるという形になっています。
 34ページ以降,めくっていただきまして34ページ以降がこの貸借対照表の下にある注記事項の記載例ということで,通知で示させていただいているものになります。こちら,35ページの8.のところに,「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」として幾つか載せてございます。これ,順番に有価証券の時価情報が(1),(2)がデリバティブ取引,(3)学校法人の出資による会社に係る事項。この(3)は2つ目の柱の子法人のところで御相談をさせていただきます。(4)で主な外貨建資産・負債で,(5)で偶発債務,(6)で,所有権移転外ファイナンス・リース取引,(7)純額で表示した補助活動に係る収支。(8)関連当事者との取引,(9)後発事象,(10)法人間の財務取引というようなことで,ひとまず例示をさせていただいていて,これに沿った記載をしていただいています。
 当方からの提案としましては,これらの「その他の部分」に含まれている事項をきちんとした注記事項の柱として定めてはどうかという提案でございます。資料が前後して恐縮ですけれども,13ページ、3段表の続きに戻っていただきたいのですけれども,3段表の上が改正のイメージ案になります。こちらに先ほど御覧いただいた注記の例示のところから3つ,「重要な偶発債務」,「関連当事者との取引の内容に関する事項」,「重要な後発事象」というもの,こちらを会計基準の特記事項として見える化してはいかがかと考えてございます。ほかにも見直すべき事項があれば併せて御指摘をいただければと考えています。こちらが1つ目の柱に関する説明です。
 続けて2つ目の柱に関しての説明も併せてさせていただきます。「子法人の注記」に関するものです。まず,論点1つ目は,子法人の範囲といいますか,定義に関する部分です。まず,私学法改正に伴う影響ということで4点,説明をさせていただきます。1点目は現行の学校法人会計基準及び文科省通知では,「8.その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」として,「(3)学校法人の出資による会社に係る事項」を記載することとしています。2つ目,当該注記は,「当学校法人の出資割合が総出資額の2分の1以上である会社の状況を説明し,学校法人と子法人との取引等に関する情報を計算書類に開示するということによって,学校経営の健全性を確保し,また,不正,不透明な取引等を抑止する趣旨」であります。3つ目,今般の私学法改正に伴って子法人については,「学校法人がその経営を支配している法人」というふうに規定をされています。この私学法の施行規則において,子法人の定義をより細かく規定をする予定です。学校法人が議決権の過半数を有する他の法人といったような内容を定める予定になっています。4点目,私学法改正のポイントの1つとして,子法人の役職員の監事・評議員への就任制限を設けるとともに,監事や会計監査人に子法人の業務等の調査権限を付与するなど子法人に対するガバナンスも強化されているというような状況がございます。
 今回,論点の1つ目としては,注記及び私学法改正の趣旨に鑑み,注記の中にある「(3)学校法人の出資による会社に係る事項」の開示対象となる子会社について,現行どおりとするか,改正私学法の子法人の定義に合わせ変更するかという論点です。対応案としては,現行どおり「当学校法人の出資割合が総出資額の2分の1以上である会社の状況」を記載する。案2としては,「私学法施行規則に規定される子法人の定義に合わせる」というものです。こちらは法が改正された以上,子法人の定義に,法律に合わせて変えていくというのが適切ではないかというのが,こちらのスタンスになります。
 論点2,開示内容の充実ですけれども,私学法改正の趣旨に鑑みて,現行で求められている開示内容を変更するかどうかというところです。対応案は,現行案どおりとするか,資料2-3のとおりとするかというところで,資料2-3を御覧いただきたいと思います。こちらは,少し下の方に行くと(3)で,見え消しで書いてございます。消されている部分が今まで記載していたことで,下線付きで記載しているものが今回新しく追加をしているものになります。改正法の趣旨に鑑みて,ここまでの情報を記載するということでいかがかという提案になります。
 説明になります。よろしくお願いいたします。
【黒川座長】  篠原室長,ありがとうございました。丁寧に説明していただいたのでよく分かったと思います。
 それでは,どうでしょうか。今回は持丸さん,何か御意見ございますか。
【持丸委員】  子会社のところなのですけれども,これは私学法改正に合わせるべきだとは思いました。
【黒川座長】  ありがとうございます。
 南部委員はどうでしょうか。
【南部委員】  私も基本的に私学法が改正されるのであれば,そこの定義に合わせるのが筋かなとは思うのですけれども,基本的に子会社を持っているような私立小学校はあまりないもので,大きなところの御発言と思うのですけれども。
【黒川座長】  大きいところはある。大学はね。
【南部委員】  ただ,基本的には改正されるのであれば,そこに従うのが筋かなとは思いました。
【黒川座長】  そうですね。
 徳田先生は,いかがですか。全部ですね,ほかのところも併せて。
【徳田委員】  関連法人というところで現在も関連当事者の取引というのが現状出てきますので,それと子法人との関連性がどうなのかなというところが1つ気にはなっています。現行どおりでいくと,このまま関連法人というのが生きてくるなというふうにはなりますけれども,私学法に準ずるとなると,ここのところがどうなるのかということで,現行を生かすのであれば現行どおりというのがいいのかなと私は思いますけれども。
【黒川座長】  今,徳田先生のおっしゃったのは非常に重要なところですね。御提案になったんですよね。関連法人ですね。関連法人については,要するに関係会社ですね。子会社ほどではないけれども,ある一定の相手の会社の支配力に対して影響を与えているというような法人,しばしばそこを使って子会社にならない程度にしていろいろと取引を行うことが営利企業だとあるので,普通の企業会計では,そういう子会社ではないけれども,関係する関連会社,広く。そういうものに対して監査もですけれども,非常に留意するんです。事務局としては,今回の案は,今,徳田先生がお話しになったことについてはどのように提案されているのか,あるいは考えていらっしゃるのかしら。
【篠原私学経営支援企画室長】  会社法の世界で子法人といったときに,議決権の5割以上なのかなと思っていたので。
【徳田委員】  そうですね。
【篠原私学経営支援企画室長】  なので,そもそも今も対象としているのは子法人で,それより緩い関連法人まで踏み込んでいるかどうかというのはちょっと定かではなかったんですけれども。
【徳田委員】  関連法人の議決権となると取締役会なのか,株主とした場合,株をどれくらい持っているかというのが最大の議決権の行使になります。ただ,関係法人というのは,取引割合,それから,会社の取締役会の構成,そういうものがこの2分の1以上ではないけれども,そのような会社があるということで、この関連法人というのがあるのではないかなと思います。そうすると,この法律の部分とどうなのかなということが懸念といいますか,どうなるのかなと。今,座長がおっしゃったようなことも考慮して少し整理していただいて決めていただくのが,我々としてはいいのかなと思っています。
【黒川座長】  なるほど。
【篠原私学経営支援企画室長】  事務局からも補足を。
【今井専門職】  関連当事者取引は現行も注記がございますが,そこは手をつけずにそのまま残すという方向で今考えております。今も立てつけとしては,関連当事者取引に入ってくる,その関係法人のうち,特に出資が2分の1以上のものは出資会社の方に特別に注記というか,取り出して別に注記させるという,そういった位置づけになっていると思いますが,そういった考え方は,この子法人の範囲の御提案の中でも,そこのスタンスは変わらないという位置づけで,この案は作成しております。
【徳田委員】  それは私も承知しています。
【今井専門職】  ありがとうございます。
【黒川座長】  この辺は,多分,企業会計の方もかなり前に支配力基準ということになったんですね。
【徳田委員】  そうですね。
【黒川座長】  所有持分基準みたいなものと支配力基準というのは,昔は理論的には対立したというふうに学理的には言っていたのですけれども,今の理解だとすると,支配力基準の中で最も明確に分かるものが持株基準,そういうような感じで「以上」という「超」,超ですよね,50%超。そういうような位置づけなんです。そうすると,それが一番,まず要件として分かる。それ以外に先ほど徳田先生がおっしゃったように,例えば40%ぐらいであっても,そのほかの議決権とか,相手の会社の組織の経営会議みたいなところで非常に支配力を持っている。そういうようなものも勘案して支配しているねということで,持ち株割合は50%超でなくても支配力があると認定すれば子会社というふうに定義する。こういうふうになった。
 恐らくここも事務局は,そういうことを念頭に置いていて,事務局と打ち合わせをしていたときに,では,ゼロ%であっても役員等の人事権を握っているとか,そういうようなことがあれば,子会社と認定するのか。これ,ゼロ連結と普通我々,企業会計の方で呼んでいたのですけれども,それもあり得るのかということだったのですが,事務局としてはあり得るということなので,完全にここでの言葉は,支配力基準というものに移ったということ。子会社という意味をですね。それだけというふうに私は理解しました。関連会社については,今,その子会社ではないものであったとしても影響力があるというようなものについては,今までどおりのものが残るという。だから,この提案の現行どおりというのではなくて,案2の方は,子会社の定義だけ変える。その他は変えない,変わらないという提案の意味でいいということですか,この案2は。
【篠原私学経営支援企画室長】  そうですね。はい。子法人に関しては,今まで子法人と言っていた定義を法律に合わせたいと。先生から御指摘のあった関連法人に関しては,今の説明ですと,注記事項の中の(8),関連当事者の注記で今までどおり見ていくというような形かと思っているのですけれども。
【黒川座長】  では,前鼻先生から手が挙がっているようなので,前鼻先生,どうぞ。
【前鼻委員】  1点質問なのですが,2案でいった場合の子法人概要,私,読んでなかったか,申し訳ないのですけれども,子法人のところに公益財団法人,括弧書きで入っているのですが,この範疇で行くと社福法人とか,医療法人とか,その他の非営利法人等もここに入ってくることになるのでしょうか。
【黒川座長】  事務局,いかがですか。社福とか,そういうのを支配している,そういう法人。
【篠原私学経営支援企画室長】  子法人の定義にはまれば,公益法人なり社福法人なり,企業なりがここに入ってくるのかなと思いますが。
【内野委員】  別の公益法人を学校法人が支配しているということは一般的に考えにくいので,まあ,それはまた別の公益法人として,それぞれがガバナンスを見ていくということが――どうですか,佐野先生。
【佐野委員】  定義にはまればなると言っているだけなので,はまらないことが多い。現実として。
【黒川座長】  奥村先生,どうぞ。
【奥村委員】  そこは子法人で,この公益財団も入るのかどうなのかというのは,どういう形で出資持ち分の50%,今おっしゃっていたのは,そこに限定されるという話でしたけれども,それが子法人としての大きなルールで,公益財団も入るのかどうなのか,どういう形で出られるのかという規定のされ方というか,もう想定されているのですか。
【黒川座長】  私の理解は,先ほど言いましたように,持株基準みたいなものがあれば,株式会社みたい,有限会社だけれども,財団とか,そういうものはないんですよ。
【奥村委員】  ないですよね。
【黒川座長】  だからこそ,そういうものがない場合には支配力,持株ではない。
【奥村委員】  それも子法人の定義に議論として。
【黒川座長】  そうです。支配力基準というのは,そういうものなんです。
【奥村委員】  人的結合というか,役員兼任。
【黒川座長】  そうです,そうです。それが支配力基準の定義です。だから,そのように私は理解しているし,多分,そうだよね。
【篠原私学経営支援企画室長】  はい。それで作られる法人が公益なのか,企業なのかといったようなところは,法律上は限定していないという形になります。
【奥村委員】  結構,それは分かりづらい。
【篠原私学経営支援企画室長】  ちょっと分かりづらいですね。
【黒川座長】  でも,現状あるかないかはともかく,先ほど佐野委員がおっしゃったように,定義として,あるいは規定として置いておくと,そういうことだと思いますね。
【奥村委員】  なるほど。すみません,それでもう1点の件ですけれども。
【黒川座長】  はい。どうぞ。奥村委員,どうぞ。
【奥村委員】  今,ここの16ページ,17ページ,緑色で新たに加えられているものをやればどうかというお話がありましたが,提案ですよね。御提案なのですけれども,4の「子法人の財務状況」というようなものを,これを出すという。これはなくてもいいと思われるのですが。現状は,全体としましては,さっきの関連法人もそうですけれども,それとの取引関係,ここに着目して,それについて整備している。子法人の財務状況まで出すということについて,例えば公認会計士さんの監査は,一応,子法人まで監査することにはなっていないというふうにQ&Aのところで,私学法のQ&Aのところでお答えされているんですね。子法人の財務状況について,子法人そのものが別途また会計監査人を,そうすると分かりやすいので使っているとすれば,それの報告の対象は,こちらの学校法人なわけですよね。
 それに基づく,この財務状況についての数字を,これをまたこちらの法人の公認会計士が承認したものとして一般に出すべきなのでしょうか,出していいのでしょうかと。何か私,ややこしいことを言っているような気がしますけれども,つまり,当然,その数字も分かった上で,この注記なんかもチェックはされるとは思うのですけれども,これ,二重になるんですよね。子法人,この財務諸表についての数字は,子法人の監査人がちゃんと保証したものを,こっちの学校法人が受け取る。これをこの子法人だからといって,学校法人にとっての子法人だからといって,この財務状況を,数字を公にお知らせする。まあ,保証するといいますか,監査人の関係について,そういう意味合いのものになりはせんかということで,そういうロジックから,出すべきなのでしょうかということが1つです。
 もう一つは,ちょっとよく分からないのが,役員の兼任状況で,取締役の元教授とか,名前を全部出すということなのですけれども,関係法人については兼任の人数だけが出ているんですよね。名前まで出すべきなのでしょうかということと,元教授とかいうのも該当するのでしょうか,兼任に。何か関係法人のところを見ると,顧問とかいう,元顧問とか何か,顧問みたいなものも入るのだという話に,ある種,支配力基準,非常に細かく説明しているのですけれども,それを公表する意義は何だろうと思って。というのは,これ,一般にこういうのも公表しますと,いかにもこういうところを局所的に取り上げて,特に人の名前を出しますと,言ってみると,その役割,機能で見ないで属人的な議論がされるということもなしとしないですね。今回,こういうのを充実した方がいいのではないかという中で,そこの2か所は,それぞれ理由は違いますが,いかがなものでしょうかということなんです。
【黒川座長】  はい。分かりました。ありがとうございました。
 2点,それでは,稲垣先生に監査の親会社,子会社監査みたいなものですよね。それについての一般理論というか,考え方が1つ目,奥村先生から質問があったと思います。2つ目については,これは充実ということなので,これは事務局に答えていただきたいと思うのですけれども,1つ目についてはいかがですか,公認会計士協会,監査という点で。
【稲垣委員】  今回,調査権限を付与するということで,この調査権限の範囲がどういうふうに定められるのかということにもよると思うのですけれども,基本的には支配しているところですので,親法人の監査人は子法人も,監査が別なのが入っていれば,まあ,そこを参考にしますけれども,子法人そのものに……。
【佐野委員】  調査権限は監事さんですからね。
【稲垣委員】  はいはい。
【佐野委員】  会計士じゃないから。
【稲垣委員】  これ,そう読むんですか。
【佐野委員】  いや,監事の職務権限の中に入っていますから,調査権。
【稲垣委員】  調査権限は。
【佐野委員】  私学法では。
【稲垣委員】  失礼しました。
【黒川座長】  一般的には,今,そこのところはさておき,一般的には親会社の,もし子会社を持っていれば,親会社の監査人は自ら子会社の方も引き受ける場合が多いし,それから,引き受けていなければ,子会社の監査人の意見を,あるいは質問をしたりして,それで。
【稲垣委員】  対応しますね。
【黒川座長】  普通,連結ですからね,今は。ですから,連結会計に対しての意見を言わなくてはいけない。その点について,一般的には問題は,まあ,責任があると。だから,この数字についても必要があれば見て,監査意見を言う。
 佐野先生,今のこの調査権限の問題と関連すると何か,この後,手当てをする必要が出てきますか。奥村先生の疑念に対して,一般理論はそうだろうけれども,会計監査人の監査の範囲について何か手当てをしていく必要が今のこの現状でありますか。
【佐野委員】  まず,今のこの現状で子法人に限って言えば,有価証券が,学校側の貸借対照表に載るわけですね,相手が会社の場合ね。それの評価というのは監査対象ですから,今の会計基準で言えば,昔の強制低価法なのですけれども,これに該当するかどうかを見るのは,現在でも公認会計士監査の中でやる義務の中に入っていますから,やっているはずです。だから,そういう意味では,有価証券の評価という中でやりますので,会計監査も入ってくると思います。調査権の方から言うと,私学法の改正の中で言われたのは,監事が必要に応じて,必要と認めた場合には子会社について調査をすることができる権限を付与されたわけですから,監事として子法人というところに必要と認めて,こういうことを注記すべきかどうかを必要と認めて見るべきだと思うんですね。
 ちなみに,「子法人」という言葉は従前なくて,「出資会社」ですよね。出資会社が2分の1以上であって,子法人が,支配権があるという,これは別の話で,従来の出資会社が子法人になったということではないはずなんですね。従来の出資会社が何で2分の1超ではなくて以上だったかというと,従前は学校が出資をして会社を創るということはすごい制限があったわけです。だけど,それを教育活動に関係する,例えば掃除であるとか,物品販売などは法人を作ってもいいよ,関係があるなら2分の1以上でもいいんだということで,支配権は問題にしていなかったわけですよ。半分以上持っていても会社を創っていいですよ。教育活動に関係ないのは,それ以下ですよと。未満というのかな,未満ですよという,その線引きで2分の1があったから,「以上」だったと思うんですね。
 今,ここで社会の流れで関係してきたのは,支配権があって,そこを適宜動かしているのではないかということであって,子法人という新しい言葉になったので,変わったわけではなくて,新規のカテゴリーになった。それをまだ私もその省令,分かりませんけれども,多分,支配権ということでいくのではないかと思うので,2分の1超は当然,これはもう支配,議決権の半分以上,半分超えて持っていますから,支配権がある。2分の1を超えなくても人的つながり,その他で支配が及んでいれば子法人とみなすということで入ってくるのだろうと思っていますので,概念的には,この現在のものを案1のように現在のままでいこうというのは,考え方が出資会社と子法人,違っていますので,やっぱりこれはきちんと新しい私学法の考え方に合わせていくべきだろうと思います。
【黒川座長】  ありがとうございます。
【佐野委員】  ほかのところもいいんですか。
【黒川座長】  どうぞ。では,2つ目の質問で,その次,行きますから。
【佐野委員】  はい。
【黒川座長】  事務局から,この内容,それについて,どうしてこういう内容をしたのかということを御説明,お願いします。
【篠原私学経営支援企画室長】  開示する範囲として,こういうものがあり得るのではないかというところで作らせていただいたものです。例えば子法人の概要のところで個人名まで出すのかどうかというような部分に関しては,関連当事者との取引に関しては,やっている当事者の場合は個人名も出ているし,あとは会社であれば取締役などの情報は公表されているので,書いても差し支えないだろうというふうな発想でおりました。ただ,そこの適否というのは御判断と思うので,御意見をいただければと思っています。
 あとは,子法人の財務状況等も,御指摘もごもっともの部分がありますので,どこまでを含めるべきかというところに関しても,御意見もいただいた上で検討の余地ありかなと思っております。
 あと,子法人への監査に関してなのですけれども,監事だけではなくて,会計監査人も監査をすることができます。ただ,そこは無制限ではなくて,学校法人に対する監査に必要な範囲で子法人の業務及び財産の状況を調査できるということで,制限がかかった上での監査の対象ということにはなっていますので,念のため申し添えます。
 以上です。
【黒川座長】  はい。分かりました。
 佐野先生,では,お待たせしました。御意見,どうぞ。
【佐野委員】  会計監査もできますというのはおっしゃるとおり,有価証券評価の一環で今もやっているという前提でございます。この資料2-1でいただいた今日の論点の中の1つ目の注記の節を独立させるのはいかがかというのは,私も独立する方に賛成いたします。現在でもB/Sの資料というのは非常に使い勝手が悪い。実務上も,例えば退職給与引当金の特別組入のときは,B/Sの方ではなくて収支計算書に注記してもいいのではないかというのも出たぐらいですから,独立する方に,対応案で言うと2ですね。案2の方に賛成です。
 それから,注記の内容については,必要に応じて加除を行うという方に賛成です。この加除の中で1つ気になったのは,加除に該当しないのですけれども,現在の会計基準,これは15ページにありますけれども,「重要な会計方針の変更等」というのがあります。この「等」は何にするのというのは,当時から疑問符がついていて,今もあるだろうと。変更等って何だろうというのは思って,これ,少し気になっていたんですね。その用語の問題でいくと,今,会計方針というのは,昔の会計書類の原則及び手続と表示方法って,両方入っていたんですけれども,今,二,三年前から,これ,表示方法は会計方針と区分しているのが現状なんですね。会計の上で。そうすると,今の中でこの会計方針,重要な会計方針の変更でいいのか,表示方法というのは別途設けるのか。
 たしか今の流れといいますか,企業会計原則はまだそういう解釈をしていますけれども,今の会計では,会計上の変更ということで,会計上の変更の中に会計方針の変更と表示方法の変更,あとは見積りの変更というのはありますけれども,分かれていますから,それを学校会計の中で,今回の改正に合わせて取り込むのかどうかというのは検討の余地があるのかなと思っているところです。
 それから,この大きな論点の子法人の注記については,多分,様式は出るのでしょうけれども,記載については,中身はこれからかなと思っていたんですね。例えば先ほど話題になった「子法人の財務状況」というのは,子法人で全部書くのか,重要な子法人というような位置づけをするのか,この辺によってもちょっと変わってくるのかなという気がするので,この辺については,まだ検討の余地があるのかなという気がいたしております。
 それで,先ほど申し上げたように,この子法人の中の対応案に書いてあるように,私学法施行規則ですか,これ,ちょっと分かりませんが,今,座長がおっしゃった支配権の概念だということであれば,そちらに賛成いたします。
 以上です。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 今の御意見ですと,論点1については案2,それから,論点2については,中身について少し整理する必要が,見積もりとか,ああいう企業会計もかなり進みましたから,案2,要するに注記から必要に応じて加除を行うという,文章がちょっと変ですけれども,いろいろここについて入れる。このような御意見。
 それから,その次がどれですかね。こっちに行って子法人,子法人の論点1については,案2,これは子法人の定義という点だけ,これ,案2。それから,論点2については,これは内容についてはちょっと保留というか,資料2-3でもなくて,もう少し検討をしましょうということの御提案。
【佐野委員】  はい。
【黒川座長】  分かりました。佐野先生がまとめていただいたのですけれども,ほかにもう少し,時間が来てしまったのですけれども,徳田委員,どうぞ。
【徳田委員】  今の子法人のところの私学施行規則について,まだ知られていない。これをやはり出して議論しないと,どうなのかというのは何か,専有権とかというだけであって,どのような省令の立てつけになるのかというところをやはりお示しいただいた中での議論にしていただけるとありがたいなと思いますが。
【篠原私学経営支援企画室長】  はい。分かりました。ここは,すみませんでした。
 あと,前鼻先生も今,手を挙げていらっしゃいます。
【黒川座長】  分かりました。前鼻先生,どうでしょうか。
【前鼻委員】  いや,大方,各委員の先生からのお話があったとおりなのですが,やはり非営利法人においての子法人,まあ,「子法人」という言葉自体も,私,今日,今回のこの件で初めて聞いたぐらいですし,難しいことですので,ここの定義をしっかりとしなければならないと思います。先ほど来言っていますが,ほかの非営利法人の兼務ということに関して,支配権を持っているケースというのは非常に多いわけですね。特に地方に行けば,幼稚園,保育園で社福法人の保育園の理事長をやっているというケースがあるわけです。そうすると,そこの部分まで財務諸表の収支差額まで提示するということは,どういうことなのかというところで,そこまで明示についてもやはり議論は必要ではないかと思います。
 以上です。
【黒川座長】  嵯峨委員,何かまだ。
【嵯峨委員】  基本的には佐野先生と同じなのですけれども,あと,奥村委員がさっき言われていた役員の名前ぐらいはいいんですけれども,「元教授」まで書くというのはかなりちょっと,何か不自然というか,じゃあ,元教授が一体10年たってもずっと元教授と書かれるのか,それとも何か退任後何年とかというのがあるのか,考えたらずっと元教授,元教授って,利害関係も何にもないのにというときにどうするのかなみたいな気はします。
【黒川座長】  分かりました。
 それでは,まとめますか。結論。どうぞ,稲垣委員。
【稲垣委員】  ほとんど佐野委員と意見は同じなのですけれども,少し補足として,注記事項に関しては案2で加除ということなのですが,会計士協会から研究報告で注記事項に関する16号というものが出て,いろいろなことは実務では先行しているものがありますということを一応,お伝えしたいというのが1点。
 それから,この資料2-3の子法人の財務状況についてなのですが,そもそもこの出資法人に係る事項が入った背景というのは,恐らく学校法人の財務報告では連結制度がないので,それを補うものとして支配している法人の財務状況を一定程度出すことによって,ある程度連結の状態が想定できるという意味合いもあるのかなというふうに私は理解しているという意味では,そこには何らかの意味があるのではないかと思います。ただ,子法人の情報を法人によってはすごくたくさん子法人を持っている法人がありますから,先ほど佐野委員もおっしゃられましたけれども,全部出しなさいということになったら,余りにも多過ぎて,財務情報として非常に逆に読みにくくなってしまうのかなと思いますので,そこは何か工夫が必要なのではないかなとは思います。連結でも重要性がなければ,まあ,基本は全部連結ですけれども,そういう考え方がありますので,そのように思います。
 以上でございます。
【黒川座長】  ありがとうございます。
 畑さん,それでは,一応,まとめをしていただいて,決議をできるところはしましょう。
【畑参事官補佐】  はい。それでは,資料2-1で確認したいと思います。論点1について,対応案2で御了承いただくという理解をしております。論点2につきましては,基準に定める注記の内容については,対応案2の現行の注記項目から必要に応じて加除を行うという案について御了承いただいていると理解をしております。
 2の子法人の注記の要否についてですけれども,案2で了承するという意見をいただいている方もいらっしゃいますけれども,徳田委員がおっしゃるように子法人の定義が出ないと議論できないという御意見がございますので,この点については,子法人の定義が私学法の施行規則でどう規定されるかということがもう少し明確になった時点で再度議論するという形でどうかと考えております。
 併せて,その開示内容の充実につきましても,本日の意見を踏まえて整理をさせていただいて,併せて議論いただければと理解しておりますが,いかがでございましょうか。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 今の事務局の今回のコンセンサスについては2つ,それから,保留について2つということでございますけれども,よろしいでしょうか。
【南部委員】  1点,質問があるのですが。
【黒川座長】  じゃあ,こちらから,南部委員から。
【南部委員】  子法人の定義についてここで討議するわけではないですよね。
【畑参事官補佐】  ではないです。
【南部委員】  定義をもう少し明確にしていただく。
【畑参事官補佐】  明確になったものをこちらに。
【南部委員】  だから,そこを間違えてしまうと,とても話がずれていくと思うので,それだけちょっと確認したかった。
【黒川座長】  内野委員。
【内野委員】  すみません,私も同じような,子法人について,この資料2-3の中に公益財団が入っていますが,公益財団法人があたかも別団体の支配が及んでいるということは,これは例示していいのか。公益財団って,本来,特定の団体の支配が,別団体の支配が及んでいたらいけない作りになっていないんですか,そんなことないんですか。
【稲垣委員】  公益事業を行うのであれば設立母体,出資母体までは制限,縛りはないと思います。
【内野委員】  ないですよね。
【稲垣委員】  はい。
【内野委員】  ただ,別団体の運営上,別団体の支配が及ぶというのは,一応,ないことになっていないですか。いや,大丈夫なのかなと思って。
【篠原私学経営支援企画室長】  すみません,そこは公益法人制度の趣旨も踏まえて,例示は考えるようにいたします。
【内野委員】  そうですね。いや,実際,あるかもしれないですけれども,例示をしてしまっていいのかという。
【篠原私学経営支援企画室長】  はい。ありがとうございます。
【内野委員】  ちょっと内閣府さんにも確認していただいて。
【黒川座長】  はい。私も勉強になりました。ありがとうございました。
 ということでございますので,2つ決議がなされたということで,本日の議論,私も何度も言いますが,勉強になりました。ありがとうございました。
 では,本日は,これにて散会なのですが,事務局で事務連絡をお願いいたします。
【畑参事官補佐】  冒頭でも申し上げましたけれども,今回の会議につきましては,この後,議事録を公開することになりますが,その議事録の確認をお願いすることになりますので,またよろしくお願いいたします。
 それから,次回の検討会ですけれども,9月26日,火曜日,14時から16時,同じ時間帯で予定しております。ありがとうございました。
【黒川座長】  どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局私学部参事官室