学校法人会計基準の在り方に関する検討会(令和5年度)(第2回) 議事録

1.日時

令和5年6月27日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

中央合同庁舎7号館東館(文部科学省)3階 3F2特別会議室
※オンライン会議とハイブリッド形式

3.議題

  1. 前回の議論について
  2. 計算書類の体系について
  3. セグメント情報の在り方について
  4. その他

4.出席者

委員

稲垣委員、内野委員、奥村委員、黒川委員、嵯峨委員、佐野委員、志賀委員、徳田委員、南部委員、前鼻委員、持丸委員

文部科学省

滝波私学行政課長、村上参事官、田井私学経営支援企画室長、畑参事官補佐、金野専門職

オブザーバー

小林日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター長、手島愛知県県民文化局県民生活部学事振興課私学振興室長補佐(代理出席)

5.議事録

【畑参事官補佐】  それでは,開会前ですけれども,配付資料の確認と,会議運営上の留意点について御案内いたします。今回は,対面とオンラインのハイブリッド型で会議を行います。本日の資料は,事前に送付しております。対面で御出席の先生方には,印刷したものを机上にセットしております。議事次第に記載のとおり,今回の資料は,資料1から資料5でございます。また,参考資料については,机上のiPadに格納しております。資料が足りないなど,不備がございましたら事務局にお伝えください。
 それから,会議運営上の留意点ですけれども,まず,対面で御出席されている先生方には,発言の際には挙手をお願いいたします。御発言は,オンラインで参加されている方のために,中央にあるスピーカーで音声を拾っております。そのため,ハウリング防止のためにiPadの音声はミュートを解除しないようお願いいたします。
 次ですが,オンラインで御出席されている方についてですけれども,御発言の際は画面下にある挙手ボタンを押してください。座長が指名しましたらミュートを解除し,御発言ください。ハウリング防止のために,発言時以外は音声のミュートを解除しないようお願いいたします。なお,対面,オンラインに関わらず,発言の際は,気持ちゆっくりめで御発言いただけますと聞き取りやすくなりますので,御協力をお願いいたします。
 本日は,西岡委員が欠席でございます。それから,前鼻委員がオンラインでの出席となります。また,愛知県の藤井私学振興室長,今回欠席ですけれども,代理として,手島有紀室長補佐に御出席いただいております。
 最後に,本日の会議は非公開ですけれども,会議資料と議事録につきまして,委員の皆様方に確認の上,後日,文科省のウェブサイトに公開する予定でございます。
 以上でございます。
【村上参事官】  それでは,ただいまから,第2回学校法人会計基準の在り方に関する検討会を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中,この検討会に御出席いただきましてありがとうございます。
 では,黒川座長,検討会の進行のほうをお願いいたします。
【黒川座長】  分かりました。皆さん,こんにちは。お疲れさまです。それでは,本日も議論を尽くしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 本日の議事は,前回の議論について,それから2番目が,計算書類の体系について,それから3番目が,セグメント情報の在り方について,これは今回と次回続きます。それから,その他ございましたら4番目ということに,4つあります。
 まず,議事の1つ目,前回の議論についてです。内容が2点あるということですので,では第1点目から,事務局より説明をお願いいたします。
【田井私学経営支援企画室長】  私学経営支援企画室長の田井と申します。よろしくお願いいたします。
 まず,前回の資料,会議で御質問ありました点について御説明させていただきたいと思います。
 資料1を御覧いただければと思います。改正後の学校法人会計基準の適用に係るスケジュールということで,まず,令和7年度予算についてはどのように作成するのかということと,2番ですけれども,令和6年度末の財産目録の作成については,どのような基準で作成するのかという点について整理が必要という御指摘をいただきました。
 まず,1の令和7年度予算の作成につきましては,こちらは令和6年度,新会計基準の施行前に作成するものではございますけれども,新しい会計基準のほうは令和6年の4月にはまだ施行しておりませんが,内容については公布されているという前提ですので,新会計基準を踏まえて作成いただくということになろうかと思います。予算書については,様式等は法定されておりませんけれども,計算書類が予算と決算の対比で作成されるような様式になっておりますので,こちらについては新基準を踏まえて作成いただくということになろうかというふうに思います。
 次に,2番の令和6年度末の財産目録の作成でございますけれども,こちらにつきましては,従来の方法により作成いただくという形に整理ができればというふうに思っております。令和6年度末の財産目録自体は,令和7年度の4月以降に作成をするものではございますけれども,こちらのほうは会計基準のほうに経過措置を規定することによって,それまでの方法により作成いただくと。新しい会計基準によって財産目録を作成するのは,令和7年度末の財産目録からというふうに整理をさせていただければと思っております。
 あともう1点,会計監査報告の保存期間についても,前回御質問がございました。こちらにつきましては,企業などでどうしているかということを,日本公認会計士協会のほうにもお調べいただいたんですけれども,特に決まりはないというようなことでしたので,監査報告の保存期間につきましては,備付け,閲覧を5年間やるというようなことが法律上,私学法に規定されておりますので,その5年間は必ず備え付けないといけないということで,保存はしていただくということになろうかと思います。それ以降の期間につきましては,特に私学法上定めはありませんので,各学校法人の規定や取決めに従って保存等を判断していただくということになろうかと考えております。
 まず,1点目につきましては以上でございます。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 稲垣先生,調べていただきどうもありがとうございました。どうぞ,何か補足があればよろしくお願いします。
【稲垣委員】  補足よろしいでしょうか,公認会計士協会の稲垣です。監査報告書,監査意見の出し手側には特に縛りはないですが,受け取った側は,その書類をどうするかというのは,その受け取った側の法人を規定するルールの中に定められているということで,企業では,会社法の監査に関しては,監査の対象になっている計算書類と,受け取った監査報告書は,定時総会の1週間前から5年間備え置き,閲覧に供するという縛りがかかっておりますし,計算書類そのものに関しては,保存期間として10年間保存しなさいという規定が,会社法上定められております。ですので,それに即してどう規定されるかということだと思います。
 あと,前回の議論のときに,座長のほうから,監査報告書と,対象物である計算書類の一体性というのは非常に重要だというお話をいただき,実務慣行としては,必ず何に対して監査意見を出したのかということで,例えば,一緒に袋とじをして割印をして提出するというような形で実務上,非常に厳重な取扱いをするんですが,それ自体に関して,何か明文化されたものがないかなということで当たってみたんですが,私の知る限りではなかったので,これはあくまでも実務慣行で,各監査人なり各事務所がルールに従ってやっていることなのかなと。
 その延長で,実は今,監査報告書自体も,紙面ではなく,押印省略だけに限らず,今,電磁的情報で監査報告書を提出するというような枠組みもありますので,その中では電子的な監査報告書と電子的な対象物を,どう真正なるものというんですかね,それをどう特定していくかということをきちっと要件を備えて取り扱ってくださいというようなことが,非常に実務上は注意されているところです。そこまでちょっと今回やられるかどうかはともかくとして,一応参考までに。
【黒川座長】  ありがとうございました。勉強になりました。なかったんですね。ない可能性が高いということですね。
【稲垣委員】  はい。
【黒川座長】  でも,実務上はそういうことですよね。勉強になりました。稲垣先生,ありがとうございました。
 いかがでしょうか。今の事務局と稲垣先生からの御説明に関して,さらなる御質問,御意見があればお願いいたします。どうぞ,佐野委員。
【佐野委員】  1番目に御説明があった事項についてお願いなんですけれども,確かに予算書について法定されていないということは承知しております。ただ,例えばですけれども,東京都知事所轄法人に関して東京都から通知が出ておりまして,これは最近時で言えば平成28年の通知で,学校法人会計基準に準じた科目様式で記載すると。当然これは今,室長からもお話があったように,予算,決算,差異という並びからは当然のことなんですけれども,令和7年度の予算書はどの会計基準かということをきちんと東京都のほうに検討していただいて,各知事所轄法人に通知していただかないと現場が混乱すると思います。今,私,東京都の例だけを出しましたけれども,ほかの知事所轄法人でもあろうかと思いますので,その辺のところ,ぜひ注意喚起をしていただければと思います。
 以上です。
【黒川座長】  分かりました。室長,よろしいでしょうか。
【田井私学経営支援企画室長】  はい。
【徳田委員】  よろしいですか。
【黒川座長】  どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  新会計基準を踏まえて予算書をつくるということで,大枠はそんなに変わらないだろうと思いますが,科目の追加等があった場合,例えば賞与引当金というのが新たに出てきた場合,3月に6月に支給する賞与の概算を計算して2分の1,多分,賞与というのは大体1月から6月の間に,例えば勤勉手当とかの手当総額を6月に賞与を支給するという規定になっておれば,当然3月に,1月から3月までを計上しなきゃいけないというのが賞与引当金のことではないかなと思います。そうすると,現行のプログラムを修正しなければならない。3月には当然退職者もいるし,まだ退職給与引当金の計算もまだ終わってないという段階で,新しい予算の算出ができるのかどうかと危惧をしています。
 新たな引当金が2つほど出てきておりますけれども,その点についてどうするかということで,新しい予算書についてどう適用するか,プログラムの変更がどの程度まで可能なのかということを危惧しております。
【黒川座長】  ただいまの点について,ほかの意見,委員の方いかがですか。2つの引当金などの新たな項目が幾つか新設された場合ということなんですけれども。稲垣先生,どうですかね。企業会計だと当然のことだし。
 それから1つ,退職給与に一覧表を見ていたらなっていたんですけど,企業会計は給付に20年以上前からなっていますけど,あれは給与のままですか。それとも給付になっているんですかね,学校法人。
【稲垣委員】  給付にはなっていないですね。
【黒川座長】  ああ,なっていない。そうすると,僕は企業会計審議会もずっといたので,給付になったときに,給与引当金の場合は要支給額とか,要支給額の何分の1みたいなことだったんですが,給付,新しい退職給付の基準を入れたときには,将来のどのぐらい,例えば30年とか40年先に退職するであろうかという見積りをして,個々人。それを割引現在価値,それを分割するんです。30分の1とか40分の1ずつ分割して割引現在価値にするという,いわゆる公正価値会計が20年以上前に企業会計に導入されたときに,今までの給与引当金とは分けて新しい会計基準ができたんだからというんで,科目名を給付と変えましょうと,それでそうなったんですよね。
 だから,今回どうなるか分かりませんけれども,科目も幾つか変える,追加するんだったら,もし仮に学校のほうも,大きな大学を持っているところだとすれば,上場企業とそう変わりませんからね。そうだとすると,退職給付引当金も,退職給付に関係する金額算定,こういうようなものもどうするのかという問題は出てくるのかなというふうに思いました。
 今の賞与引当金というのが新たに増えるということになると,いわゆる発生主義会計というものをより厳密にやろうということであれば,ほかの科目でももしかすると,今回ということではないかもしれませんけれども,近々に棚卸しをしておくということも考えられる。そうなってくると,逆に言うと皆さん委員の方が小さいところはどうするんだということですけれども,中小会計のほうは,今までどおり要支給額みたいな,企業会計だと分けられていますので,いわゆる大きなところについては,今の国際会計基準の流れどおり,公正価値会計の考え方がもう導入されております。
 それから,今,リース会計基準も完全に大問題になっておりますけれども,企業会計のほうはいよいよ,最後とは言いませんけれども,ずっと残っていたリース会計基準についても,日本の会計基準,大きな会社については導入すると,国際会計基準並みにするということになってきていますので,この点についても,学校法人会計基準の在り方を検討するというんであれば,ちょっと頭の片隅でも置いておいたほうがいいのかな,こうは思っております。
 座長は本当はあんまりしゃべらないほうがいいんですけれども,今の引当金ですよね。賞与引当金は昔からあるわけて,稲垣先生,どうですかね。そんなに大変ですか,プログラム。
【稲垣委員】  過去の経緯もあるので,個別の引当ての議論というのは慎重な検討が必要だというふうに思うんですけど,先ほどの御懸念の予算で科目ということであれば,どのような会計ソフトを使われているのかにもよりますけど,日常的にもその科目を追加されるというようなことはあると思いますので,そこは。
【徳田委員】  私は科目を追加する云々を議論しているわけではないです。当然6月に賞与計算をするのは,各学校が計算プログラムを持っていると思います。それを3月に計算しなければならない。3月には退職者もいる。退職給与引当金の科目も定義されていますので,退職給与引当金はどの大学も計算しています。それ以外に賞与を計算するプログラムというのは,3月に計算するんじゃなくて支給直前に計算していると思います。そうすると,3月に新年度予算が新会計基準となると,当然賞与引当金が科目として定義された場合,3月に計算しなければならない。そうした場合に,プログラムの変更が出てきますということを,私は言っているわけです。
 そのときに各大学がどのような変更まで可能かどうかというのは分かりません。各大学がどのようなプログラムを組んでいるかによって,少しの変更で済む場合もあれば,やはり相当のお金をかけなければならないという問題が,私はあるのではないかと思います。
【黒川座長】  事務局が答えるかもしれませんけど,今回の改正で賞与引当金を導入する場合、令和7年度以降は,実績計算をする上で賞与引当金は立てなくちゃいけませんよね。ですから,予算は多分,企業会計だともうちょっと2月とか1月ぐらいにつくるとは思いますけれども,いずれにせよ先生がおっしゃっている6月,5月ぐらいは,今まではそうだったけれども,数か月前倒しにしてプログラムをつくることができれば,2月,3月の予算のときに,引当金みたいなものも,発生主義会計のほうのものですから,できるのではないか。要するに,前倒しをする期間が数か月必要になってくるけれども,それが各学校でできるのかどうかというように,今問題を捉えてよろしいですか。
【徳田委員】  はい,そうです。いずれ導入されるとしても,いろんなことを検討した結果,この部分については1年後に移すという考え方をもし取られるならそれで良いですし,いやいや前倒しで早めに周知徹底して,令和7年度予算からは,賞与引当金というものを予算に計上するというならば,それだけプログラムを変更する期間というものが必要になってくるでしょう。
 会計処理は,令和7年度4月1日からです。それ以前に,既に令和7年度の新会計基準に基づいた予算書でやらなければいけない。ということは,プログラムを変更しなきゃいけない。どれくらいの時間がかかるのか,ちょっと私も,自分の大学で担当には聞いていますけれども,まだどういうプログラムを組んでいるかというのは,実態分からないです。簡単に済むものなのか,そうじゃないのか,どれぐらい費用かかるのか,まだ公にされていませんのでちょっと分からない。ただ,そういうことをちょっと心配しているということだけです。賞与引当金を導入するのをどうのこうのという議論じゃなくて,いかに決まったものをスムーズに移行するかということについて,各大学の懸念を少し和らげる方法があるのかないかも含めて議論があったらいいのかなという思いでお話しさせていただきました。
【黒川座長】  承りました。
 佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】  今の関連ですけれども,前倒し云々ということもあろうかとは思いますけれども,今ここで議論すべきところではないのかなと思っています。ほかの会計もそうですけど,学校には補正予算という制度があります。ですから,令和7年度の予算を例えば1月,2月,3月に立てるに当たって,新基準を踏まえて事業計画を立てられるところはやればいいし,そうでないところはそれなりに小科目は任意ですから立てておいて,実際にこのプログラムが改正できたとか,実際に事業計画ができたときに,補正予算を立てるという形でできるかと思うんです。私学法改正に伴い,大学の場合,4回の理事者報告も求められています。これ,会議が開かれるわけです。ですから,従前に比べれば補正予算を立てるということは,ある程度定例化できるのではないかと思うので,今の委員の危惧については,補正予算での対応もできますねということで,ある程度の安心感を学校が持てるのではないかと思います。
 また,個別の引当金であるとか退職給付等の個別問題としてこれは従来から言われている問題で,個別に今1件ずつ解決しようとする問題じゃないと思うんです。発生主義の中でやっているけれども,学校の場合は現金ベースでやることが資金収支の場合入っています。そういった全体を見極めた上で,じゃあ引当金の問題どうするの,減損どうするの,退職給付,給与の問題どうするのか扱うことになるのでは。これはさっき座長がおっしゃったように300人規模の問題もありますし,簡便法もあるし,また,今,電子図書の問題もあって,学校も非常に混乱しているところです。そういう個別の問題については,個別の議論のところでトータル的にやらないと,単発的にやっても横串が刺せないと思うので,その辺のところは個別問題のときにもっと深度ある議論をしていただけたらいいのかなと思うんですけれども,いかがでしょうか。
【黒川座長】  僕もさっきは今やれとは言ってなくて,全体的に総合的にやる段階があるでしょうということを言っただけです。
【佐野委員】  そうです,そうです。
【黒川座長】  それから,今の補正予算ということになると,政府の会計は僕も財政審にずっといましたので,新聞等で見ていただくと補正予算が多過ぎるとか,要するに審議にかからない,補正予算というのはなかなか中身が分からない,使えちゃうんですよ。だから,初めに,例えば財政審でも補正予算の中身がどういうふうになるかなんてなかなか審議かからないので問題だというふうに新聞なんかに書いてあると思うんですけれども,賞与引当金というものを全部補正予算でやるというのはいいアイデアだとは思うんですけれども,金額的には……。
【佐野委員】  賞与引当金に関わらず,いろんな問題に,例えば募集についても学生の在籍数が確定するタイミングの問題もあります。それから,半期終わると,大学の場合は退学者もばっと出たりする。こういったことで補正を立てるというのは割と常態化していると思うんですよ。
【黒川座長】  いや,それは分かります。分かりますけれども,補正予算というのはあまりにも大きくなるということは,政府の場合はガバナンス上問題なんです。補正予算を審議するというところで,いろいろなものを入れるということになると,初めから補正予算ありきで,予備費でもいいし,補正予算のところで,何かあれば積んでしまいましょうということになってしまうので,やっぱり年度計画としてどうだという今回のガバナンスからいっても,補正にいつも頼るということは,私の財政審の経験からすると,あんまりガバナンス上よくないんじゃないかと思っているんですけれどもね。
【佐野委員】  全て補正に頼ろうというのではなくて,今,先ほど委員から御質問が出た危惧がありますということに対しての1つの対応策として,新たな問題の部分について補正を立てることが可能ですねということを申し上げているんです。予備費の使用,補正予算,大科目内での小科目流用というのは学校の場合は区分していますから,補正の中身が分からないということはなくて,補正予算も評議員会の諮問を経た後で理事会の決議を得るわけですから。様式も御存じのとおり,補正前があって,補正額があって補正後予算が決まるという形になっていて,何をどう補正するかというのは,まさに学校の自治に任されているんだと思うんです。
 それをオープンにすることによって,事業計画がこう変わったからこうなった。それから,規則がこうなったからこういうふうにするというのを説明するということで対応できるんじゃないかと思っていますので,取りあえず予算書を何でもつくっちゃって後で補正しようという,そういう大ざっぱなこと申し上げているわけではないんです。
【黒川座長】  ともかく1年目の話だけですからね,今の話は。要するにプログラムが少し遅れるというようなところは補正でやるというのも1つのアイデアだという,そういう御意見ですよね。
【佐野委員】  そうです。
【黒川座長】  そういうことですよね,佐野委員がおっしゃっているのは。
【徳田委員】  私の理解では,賞与引当金というのは1回だけだと私は思っています。年2回,賞与を支給する大学は,例えば1月から6月分を6月に支給します。7月から12月分を,12月に支給します。そうすると,7月から12月中というのは年度内ですので,会計上,引当金を立てる必要もないし,人件費の中にちゃんと予算が措置されていれば問題はないです。問題は3月のときに,来年度の予算をつくるときに,半期分の引当金を,1月から3月分を予算として計上しなければならない。この問題だけです。いずれ何年か先になれば,ちゃんとしたルーチンになります。新しい会計基準を移行する段階における議論としてそういう問題がありますということを私は申し上げているだけで,それをどうするかは,今後ここで各大学さんの意見を踏まえてスムーズに移行すればいいのかなと私は思っています。
【黒川座長】  分かりました。なかなか難しいですね。私も企業会計のほうはいろいろ議論,こういう議論でそんなに大変なのかというのはあんまり経験がないものですから,失礼いたしました。
【徳田委員】  大学は,規模の小さい大学から大きい大学,いろんな大学ありますので,計算上はどのように行っているか,それぞれ違いがあると思います。
【黒川座長】  なるほど,分かりました。移行時というのは,御意見を承りました。佐野委員がおっしゃった東京都の問題についても,早めにともかく結論を出して,それで早めに周知徹底してくださいというようなことが初めにありましたので,そういうことも踏まえて,もう少し今の御議論は承るということにいたしたいと思います。
 ほかに何かスケジュール等で御意見ございますか。ないようでしたら,今の御意見は危惧だということですけれども,何か事務局のほうでどうするという意見があれば。
【田井私学経営支援企画室長】  まず,都道府県に対して,この改正ですとか内容をしっかり共有するということはやっていきたいと思います。
 2つ目のいただきました点につきましては,今回,最低限絶対にやらないといけない改正と,あとはこの機にここも改正したらいいんじゃないかという個別の論点がございまして,その後者のほうに引当金の問題は入るかと思います。その辺りにつきましては,第5回の9月にその他の変更点というところで議論をする形になると思いますので,そのときにしっかり議論させていただければというふうに思っているところでございます。それまでこちらも個別の事情なども少しリサーチしておきたいと思っております。
【黒川座長】  ありがとうございました。座長としてもよく分かりましたので,私自身が勉強になっております。
 さあ,それでは次に,この問題については,また第5回目にもう少し私も勉強させていただくことにして,その次に行きましょう。田井さん,どうでしょうか,資料2について。
【田井私学経営支援企画室長】  資料2につきまして,前回出た御意見,またその後,メールでいただきました御意見も踏まえて修正をしておりますので,内容を御説明させていただきます。この件については,本日,議論している時間がほかの議題との関係で取れませんので,内容の修正点のみ御説明させていただきまして,さらに御意見がありましたら,後日,文書でいただくような形にさせていただきたいと思います。
 まず,資料2の1ページ目でございますけれども,注釈をつけさせていただいておりまして,本文内の学校法人の現代的なガバナンス構造につきまして,これが唐突に言葉として出ているという御指摘いただきましたので,令和4年3月の大学設置・学校法人審議会学校法人分科会の特別委員会の報告から引っ張ってきているという旨を注釈させていただいております。
 続きまして,2ページ目でございますけれども,そもそも資料2のような整理を行う趣旨について,いきなりこういう資料が出てきて分かりにくいという御意見いただきましたので,3ポツで財務報告の在り方ということで,日本公認会計士協会の非営利組織におけるモデル会計基準の報告書の中から,少し記述を抜粋して紹介させていただいております。その中でも,財務報告利用者のニーズに応える会計の枠組みを構築するためには,「誰のため」の「どのような目的」の会計とするのかというようなことですとか,そのために「どのような情報を提供すべきか」といった基本的な概念が明確になり,その概念を基礎とした会計基準が不可欠であるというような提言がされておりまして,こういったことを踏まえて,この整理を行っているということを説明させていただいております。
 その下の4ポツでございますが,想定するステークホルダーの後ろに財務報告利用者を括弧書きで付け加えさせていただいておりましたけれども,ステークホルダーと財務報告利用者というのは必ずしもイコールではないというような御指摘いただきましたので,こちらは括弧書きのほうを削除させていただいております。また,ステークホルダーの中に「学生」という言葉を使わせていただいておりましたけれども,「学生」は大学だけに使う言葉だということで,「私立学校に在学・在園する者」というような形に言い換えをさせていただきました。
 次に3ページ目でございますけれども,ステークホルダーの整理のところで,当初,「学校の構成員等」の中に教職員が入っていましたけれども,経営者等と区別して教職員だけその構成員に入っているというのはちょっと整理として適切ではないという御意見いただきましたので,「学校の構成等」の中に「運営者等」ということで,教職員のみならず,理事長,理事,監事,評議員等も含むというような形で整理をさせていただいております。
 それから,その下の「その他」のところに,地方政府という意味で「地方公共団体」を付け加えさせていただいております。
 次に,5ポツのところで,ステークホルダーが必要とする情報ということで,前回は表の形式で丸とか三角とか二重丸で表していたんですけれども,その記号の厳密性ですとか,そういったところに御意見がいろいろございましたので,そういった表については,今後この委員会で報告書を出すに当たっても載せない形に恐らくなると思いますので,表で整理するのは今回はやめまして,5ポツのところに文章で記載をさせていただいております。
 その中で,「学生・保護者」ですとか「寄附者」などがどういう情報を求めているかというのをまず例示をさせていただいて,その上で(1),(2)というような形で,前回の表に記載させていただいておりましたような,どういった情報を求めているかというところを文章で記載をさせていただいたというような変更を行っております。
 最後に6ポツのところですけれども,財務報告の目的・機能という文書の中で,「資源提供者」という言葉ですとか,意思決定に有する情報を提供するといったような文言がありますけれども,あまり一般的に使わない用語だということで,ちょっと耳慣れないような印象も与えてしまうかと思いましたので,その下に注釈で参考として,これも先ほどの公認会計士協会の報告ですけれども,その中で(5)の財務報告の目的というところで,財務報告の目的として資源提供者などのステークホルダーの意思決定に有用な情報を提供するといったようなことを財務報告の目的として位置づけられていますので,そちらを注釈として入れさせていただいております。
 最後に,最後の文章ですけれども,また,副次的に,基本的な財務規律を構築することに財務報告は資するというような形で書かせていただいていたんですけれども,副次的ではなく重要な目的だという御意見いただきましたので,ここは「併せて」という形に文言を修正させていただいております。
 主な修正点は以上になります。本日,議論の時間がなかなか取れませんので,ここはまた後ほど文書などで御意見いただければと思っております。
 以上でございます。
【黒川座長】  田井さん,ありがとうございました。
【志賀委員】  すみません,1点だけいいですか。
【黒川座長】  1点だけ,志賀委員。
【志賀委員】  こんなに真っ赤にした張本人は私です。後からすごい長いメールを送りました。そのメールには,このような内容であればこの資料は出さないほうがいいんじゃないのということを本文に書きましたが,こんなに真っ赤っかにしてまで残そうとしているということは,今後,報告書等を公表される文章にこれは載るという理解でよろしいでしょうか。
【田井私学経営支援企画室長】  どのような形でというのは,これからまた御相談になりますが,この検討会の中で,最後にやはり報告書を出していただくような形になると思うんですけれども,その基本的な考え方のところをやはり記載をしなければいけないので,こういった整理が基になるということには恐らくなっていくのかなというふうには考えているところでございます。
【志賀委員】  分かりました。また長いメールを送ります。以上です。
【黒川座長】  いやいや,志賀先生,どうもありがとうございました。かなりいいものができて,よりよいものになったと思って。そうですか,志賀委員がいろいろ知恵をつけている。
 それでは先生方,今の事務局のほうのスタンスは,また御意見があればウェルカムだということでございますので,何なりと事務局のほうに送っていただきたいと思います。
【黒川座長】  はい,どうぞ,稲垣委員。
【稲垣委員】  稲垣です。今回,私学法の改正によって,開示目的の財務報告に変わったというのは,考え方が大きく変わった部分でもありますので,その考え方は,改めて皆さんに共通理解を得ていただくようなことが肝要なのかなというふうに考えております。
 あと,私が無理やりお願いしたわけじゃないですが,協会の成果物を一部引用していただきまして,改めて御礼を申し上げます。
 私からは以上であります。
【黒川座長】  そうですね。ありがとうございました。
 それでは,議事(2)の計算書類の体系のほうに移りたいと思います。それでは,また田井室長,配付資料の御説明をお願いいたします。
【田井私学経営支援企画室長】  資料3を御覧いただければと思います。本日の主な議題であります計算書類の体系,それから,附属明細書の考え方というところで,こういった考え方でどうかというような御提案になりますけれども,ちょっと議論の時間が短いということもありまして,まず,こういった御提案をさせていただければというふうに思っております。
 まず1ポツで,現在の学校法人会計基準趣旨ということで,私立学校の特性に鑑みまして,その会計処理については企業等とは異なって,長期的観点から継続的な運営を可能にすることを前提とした,収支の均衡が図られているかどうかを把握することが求められるという特性を有しているということを書かせていただいております。
 2つ目の丸ですけれども,現行の会計基準はそういった特性を踏まえて,経常費補助を受ける学校法人が適正な会計処理を行い,財務計算に関する書類を作成するに当たっての統一的な会計の基準として定められておりまして,主には私学助成算定の基礎となる計算書類によって構成されているということを書かせていただいております。
 3つ目の丸で,そういった会計基準は,助成金の配分の基礎となるという性格を有しつつも,広く我が国の学校法人の会計実務において定着しているということを確認させていただいております。
 2ポツ目といたしまして,私立学校法の改正による会計基準の位置づけの変更ということで,今般の改正によりまして,会計基準の法的な根拠が,振興助成法から私学法に移るということになっております。この趣旨から,基準の主な目的が,私学助成の適正な配分からステークホルダーへの情報開示と変更になるということを記載させていただいております。
 2つ目の丸でございますが,改正後の私立学校法では,会計基準に基づいて作成された計算書類と附属明細書は全て備置き及び閲覧の対象になるということになっております。大臣所轄法人等においては,そのうち施行規則で定める書類がインターネットによる公開の対象となりますけれども,備置き及び閲覧対象になる書類とインターネットによる公表の対象は同一のものが想定をされております。
 一方,現行制度におきましては,会計基準に基づき作成される書類がそのまま開示の対象とはなっておりませんので,文部科学省が通知により様式の参考例を示しておりまして,その例も踏まえて,開示を各法人において行っていただいているという状況でございます。
 文科省からお示ししている参考例につきましては,参考資料1として,令和元年度の通知をつけさせていただいております。
 この開示例におきましては,内訳表や明細表というものは含まれていないんですけれども,一方で,この通知におきましては,複数の学校を設置している場合は,必要に応じ,学校ごとの内訳を示すなど積極的な取組が望まれるということ。これは平成16年の通知に記載させていただいております。
 また,貸借対照表及び収支計算書の附属書類についても,支障のない範囲で積極的な情報公開に努めること。これは令和元年度の通知に記載をされております。その結果,学校法人によっては,全て内訳表や明細表を備置き,閲覧またはインターネットの公表までしている法人もあれば,内訳表や明細表を除いて開示している場合もあるという状況でございます。
 参考資料5としまして,学校法人に対するアンケート調査の結果をつけさせていただいておりまして,そこに開示の状況についてはまとめさせていただいておりますので,そちらも御参考にしていただければと思います。
 続きまして,これが今現在の状況でございますが,それを踏まえて,新しい私学法に基づく計算書類及び附属明細書はどのような形にしていけばいいかというところが,3ポツ以降に書かせていただいております。
 会計基準の主な目的がステークホルダーへの情報開示に変更になったということを踏まえて,必要な改正を行う必要があるというふうに考えております。この点,現在の会計基準も,これまでも外部報告を目的とする観点から,より分かりやすくという趣旨の改正が行われてきたということもございますし,また,広く会計実務に定着しているということも踏まえて,基本的には現行の基準を基本としつつ,開示に適さない部分について検討を行うことが必要であるというふうに考えております。
 資料4のほうも併せて御参照いただければと思いますけれども,まず,資金収支計算書,事業活動収支計算書,貸借対照表,資料4の黒字の部分でございますけれども,こちらにつきましては,これまでも外部報告を目的とする観点からの改正が行われてきたこと,また,開示に適さない部分は想定されないのではないかと思いますので,私立学校法に基づく計算書類として位置づけることが適当ではないかというふうに考えております。
 次に,資料4の青字部分の内訳表でございます。現行の内訳表は,先ほども申し上げましたとおり私学助成算定の基礎という性格が強い書類でございます。また,部門別の計上方法につきましては,文部科学省の通知で定めておりますが,厳密なルールは定められていません。また,人件費につきましては,私学助成算定上の理由から,案分などは行わず,特定の部門に便宜上張りつけることを求めておりまして,必ずしも部門別の教育研究のコストの実態を表すものとはなっていないというふうに考えております。
 部門別の計上のルールなどにつきましては,参考資料4として,通知のほうをつけさせていただいております。
 このため内訳表につきましては,開示対象とする書類として適当とまでは言えないのではないかと思っておりまして,私立学校法に基づく計算書類からは除くことがいいのではないかというふうに考えております。その代わりに部門別の情報として,後ほど御説明いたしますセグメント情報を表示してはどうかというふうに考えております。
 一方で,内訳表につきましては,私学助成算定の基礎として,今後も所轄庁のほうでは必要になってくる書類だと思われますので,私立学校振興助成法の枠組みの中で,引き続き提出を義務づけていってはどうかというふうに考えているところでございます。
 次に,明細表でございますけれども,資料4のオレンジの部分でございます。現行の明細表につきましては,開示に適さない情報がありましたら,様式を変更した上で附属明細書として位置づけてはどうかというふうに考えております。
 資料3はこれ以降セグメント情報について記載ございますけれども,計算書類の体系ということで,御説明のほうは以上とさせていただきます。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 それでは,議論いたしましょう。各委員,いかがでございましょうか,計算書類について。佐野委員,どうぞ。
【佐野委員】  2点。1つは瑣末なことで恐縮ですけれども,1ページの2ポツの1つ目の丸です。「学校法人会計基準の法的根拠が私学法に移ることになった」,この記載なんですが,考え方としては移るのではないんですよね。私学法にはもともとないわけで,一般に公正妥当と認められる学校法人会計の基準と慣行によってつくりなさいよというアバウトなことしかない,基準がないんです。しかも今度,今,室長からも御説明あったように,助成法上の基準は基準としてか,又は何らかの形で残るとすれば,これは移るという表現はちょっと違うのかなと思いまして,ちょっと用語の問題です。
 それから,もう1点は中身ですが,2ページ目の3ポツの(1)資金収支の次の丸ですけれども,体系について今日は議論ということなので,中に踏み込むのはよろしいかどうかちょっと分からないんですが,資金収支のほうは予算,決算,差異という形になっていて,事業活動のほうは現在も予算,決算,差異となっています。体系として資金収支と事業活動が残ることは私も賛成なんですが,形として事業活動のほうにも予算,決算,差異という並びが本当に必要なのかどうか。ここは経年比較で事業の経過を見る方が必要なのではないかと思います。事業報告書のほうには5年比較のものが載ってはいましたけれども,計算書類として,もともと事業計画を予算化して,それを資金ベースで表すというところに基本があった学校会計の中で,資金収支計算書と事業活動収支計算書に変わった時点で,やはり予算の意味が資金収支に残すことはあっても,事業活動には残す必要性があるのかどうか,ちょっと疑問に思えております。
 もちろん資金収支にない,例えば価値の増減を伴うけれども,資金の出入りがないといったもの,現物寄附であるとか売買,除却に関する価値の減少,増加,こういったものをどうするんだという議論はあろうかと思うんですけれども,この際,事業活動については,経年比較方式の形に変更していただいてはいかがかなと。これはプログラム上もそんなに大変ではないということを,一部では伺っております。
 体系としては,私は資金収支と事業活動収支,貸借対照表,附属明細はあってしかるべきだと思っていますので,大枠としては賛成ですが,個別の様式については,ちょっと意見を申し上げさせていただきました。
 以上です。
【黒川座長】  ありがとうございました。承って検討ということですね,事務局。
 ほかに。今のはとても建設的な御意見であります。どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  佐野委員のお話で,事業活動収支には予算は要らないじゃないかという話は,それもいいのかなと思います。学校法人の予算制度はやっぱり資金収支が多分メインになるだろうと思います。資金収支計算書というのは,資本的支出も含めて全ての取引が網羅されていると思います。そうすると資金収支の予算書が非常にウエートが大きいのではないかと思います。そういう意味で,事業活動収支に予算を計算しても,ウエートとしてはやはり資金収支が大きい。5年間のいろんな経年変化ということであれば,いいのかなと思います。仮に事業活動収支の予算をやめる場合には,先ほど私がお話しした賞与引当金の予算の話というのは解決します。予算なくなりますので。
【黒川座長】  それは非常に大きな問題ですね。
【徳田委員】  そうですね。
【黒川座長】  分かりました。趣旨は理解ができます。これも今すぐには返答できませんね。
【田井私学経営支援企画室長】  ありがとうございます。様式についてもまたちょっと個別問題として扱わせていただいて,本日は体系といいますか,大まかなところだけ結論をお願いしたいと思っております。
【黒川座長】  今の問題は,徳田委員,佐野委員もおっしゃっていた,資金収支のほうが学校経営についてメインではないかという実態をここでお話しになっているわけで,これは大きな問題だと思うんですよ,体系を考える上で。
【徳田委員】  多分大学の1年間の活動を,例えば建物を建てるのにどれぐらいの予算かけるのか。全てそれは資金収支計算書でないと分からない。事業活動収支と貸借対照表では分からない。決算の結果としては,貸借対照表は前年度の対比しか分からない。建物にこれだけ増えました。しかし,建物を壊しましたということで,差引きネットでしか分からない。当年度はどれぐらいの予算でどれぐらい支出しましたか。資本的支出というのは,資金収支しか分からない。
 非常に大学の運営というのは,まさに予算制度というのは非常に大事な部分で,予算がしっかり管理されているということが大前提になりますので,やはり資金収支がメインになるだろうなという気はいたします。
【黒川座長】  ほかにも皆さん,各学校の代表の方もいらっしゃると思うんで,いかがですか。どうぞ,奥村委員。
【奥村委員】  今の議論ともあれなんですけれども,体系へというときに,いわゆる順番のこだわりで,公益法人モデルのところでは,事業収支を一番に持ってくるというようなアイデアが出されていましたが,先生おっしゃるように,学校は資金収支が非常に,中期の計画,予算,資金収支というのであれで,我々も附属校の管理なんかは資金収支でやったりもしているところもあって,そこは十分に,今回の改正のところにどこまでどうするかというのはありますが,他方で,事業収支の経年変化は非常に説明するときに重要だと思っておりまして,ここまで予算と対比されては,いつも説明のときに,資金収支の説明で,ちゃんと予算との対比はやっているのになということを経験的に覚えるので,ここはちょっと経年を入れてもらったほうがいいように,僕はこれは意見ですけれども,御検討いただいたほうがいいと思います。
【黒川座長】  なるほど。稲垣先生は公認会計士協会のほうの所属で,ほかの学校法人以外で,そのようなところの意見,今日も結構引用していただくことになっているわけですけれども,いかがですか,今のお三人の御意見をお聞きになって,何かございますか。
【稲垣委員】  予算が事業運営上非常に重要だというのは,それはおっしゃられるとおりだと思います。ただ,その予算は,誰のためにあるのか,何のためにあるのかということを考えられたときに,予算との対比をどこまで外部報告用に求めるんだという意味のところは検討の余地のあるところかなというふうに思います。
 それから,例えば,国立大学法人は企業会計方式にかなり近い方式を導入して,結構現場は混乱されています。現場は混乱されていますけど,なので内部管理的には従前の資金予算に基づいた管理をやっているけど,やっぱり外向けの報告は,それが知りたいんじゃないと。どっちかといったら事業収支のほうがむしろ重要だし,貸借対照表が重要だということがありますので,この体系の議論は非常に重要な深遠な議論で,今回どこまでやるかというのは,一定程度やっぱり現場の混乱もありますから,実行可能な範囲にしていただいて,その上で中長期的な課題はまた次の課題ということで,継続的に検討されるのがよろしいのかなというふうに思っております。
【黒川座長】  なるほどね。ほかにはご意見どうでしょうか。佐野委員。
【佐野委員】  活動区分資金収支計算書,これについていろいろ聞いてみると,これは非常にいい,使いやすい,キャッシュフローベースで区分が分かりやすいという御意見もあれば,事業活動と区分が違うために逆に分かりにくいというふうな意見もあって,活用度合いがちょっと私の範囲ではよく分からないんですね。ソフトを使っていると自動的につくってくれるんで,大した手間はないんだと思うんですけれども,何でつくっているのという人もいれば,資金収支見ないで活動区分で説明しているというところもあって,ちょっと重複感というか,利用の仕方が実務上どうなんだろうかという疑問があります。
 この際,もしここについても体系に含めるのかどうか,検討の余地があるんであれば,いま一度この必要性について御意見を皆から聞いて,どうするか考えてはいかがかなと思います。
【黒川座長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ,稲垣委員。
【稲垣委員】  若干補足で。多分この活動区分は,企業でいうところのキャッシュフロー計算書の概念を取り込もうということで入ってきたもので,ちょっとおまけのような形に今なっていて,そこは多分扱われる法人さんでも受け止め方がいろいろなケースがあるんだろうと思うんで,繰り返しになりますけど,ここは十分な検討が必要だということと,それから,先ほどちょっと言い忘れたんですが,例に取ることがいいかどうかはともかくとして,国立大学は貸借対照表と損益計算書とキャッシュフロー計算書になっていて,いわゆる基本3表になっていて,参考に,予算の区分に基づく決算報告書という,資金収支の予算と,それに対する決算がどうなっているのかというのは,財務諸表とは別枠に提出する形の枠組みになっています。
 それがいいのかどうかというところはあって,実際現場の受入れ方もいろんな混乱はあるんですけど,参考までにそういう考え方もあるんだということはちょっと御紹介をして,将来的な課題の1つの参考情報として,御提供しておきたいと思います。
【徳田委員】  よろしいですか。
【黒川座長】  どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  私もどうしようかなと思って,活動区分資金収支計算書は平成27年度に改正したときに新しくできた計算書ということで,私もそのときの委員の1人で,佐野委員も委員であったということで,その辺の経緯がいろいろあってこういう形になりました。現状の資金収支計算書が若干の科目,大科目変更をいたしましたけれども,資金収支計算書をそのまま残し、その代わり,活動区分資金収支計算,この活動区分もいろんな議論がありました。これを附属資料として公開するということで,平成27年度に現状の形に落ち着いたという経緯もございます。
 私はいろいろと御意見があるのは当然だと思います。学校法人は,例えば図書というのは,企業でいうと経費です。ところが,学校法人の場合は資産です。設置基準上そのようになっている。この矛盾が1つあります。数百円の図書が全部施設設備関係に入っている。
 それから,例えば施設設備の建物を建てるとき借入金をしました。借入金がどこにいくかというと財務関係となり、その他の活動による資金収支になります。必ずしも対応関係が明確でないというのが,1つは活動区分資金収支計算書にはあります。
 それと,調整勘定が3つに分かれているというのもあります。どの程度利用価値があるかどうかというのは,みんなそれぞれ賛否両論があると思います。平成27年に改正して,その担当していた中で,発言をするのをためらっていたんですけれども,ちょっとお話があったので,ついでにその経緯をちょっとお話させていただきました。
【黒川座長】  なるほど,そうなんだ。企業会計のほうも大変なんですよ。いろんな意見もあるしね。だから,どこでもそうだと思うんですけれども,いずれにせよ今回は,今のいろいろなお話の中で,やっぱり順番みたいなものは大切ですね。それから,事業活動収支計算書と資金収支計算書の関係で,大体企業会計の考え方が,政府のほうも,それから非営利も入ってきちゃっているので発生主義が強くなっていて,その流れの中にあるんですよ。だから,事業活動収支計算書のほうがメインでやっていくのかという話なんですけど,今日の話で,誰がこの計算書を見るのかという。
 それから,誰が使うのかというところで,また分かれているようにも思うんですよね。どうも学校運営というほうの立場で先生方お話しになっているのが多いと資金収支のほうがメインに使っているというわけだけど,じゃあ今回ステークホルダーがばっと広がって,いろんな人が見るといったときに,発生主義会計のほうが見慣れている人が多いんじゃないかということになってくると,発生主義会計でできている,いわゆる損益とは言えないので,フロー表ですよね。発生主義会計のフロー表と貸借対照表。それから,貸借対照表が,企業会計の場合は御存じのように,逆に資産負債アプローチになったので,こっちの経年変化のほうが結構見やすいんじゃないかという大転換が企業会計のほうでは少し起こったんですけれども,フロー表よりも。それで貸借対照表も結構昔に比べて,収益費用アプローチのときに比べると価値が上がったというか,メインになってきた。
 そういうような流れで,見る人が,外部の人がどういうような財務諸表のほうが見やすいのかという,その点もある。ここがちょっと錯綜しているので,今回のこの体系についても順番にしても,どちらのほうのステークホルダーを重視して考えているのかということは明らかにしなくちゃいけないとなると,資料3の,どう考えるのかという,この辺をコンセンサスを得ないと,最後まで多分体系のところに。
 どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  社会一般の人たちは,会社にお勤めになっている方とかは、BS,損益計算書,これを見慣れているわけです。そういうイメージになると思います。企業出身の理事は,学校会計の計算書類はさっぱり分からんとおっしゃいます。それは2つ理由があると思います。基本金と資金収支の調整勘定が分からない。この2つだけです。基本的にはこれが分かると非常に企業会計とよく似ているし,分かりやすいです。
 今,企業会計のほかにも学校会計基準もあれば公益会計,いろんな会計基準があって,私は,はっきり言ってよく分からない。
 昔は企業会計基準と学校会計基準の2つだったと思います。それがどんどんいろんな形に分かれてきたということで,なかなかステークホルダーを限定していくというのは難しいだろうなという気がします。私も国立大学法人の会計基準と学校会計基準を1回対比したことがございます。国立大学法人会計基準はよく分かりません。大体収入計上基準が違う。そんなもの全然対比できないです。損益計算書と貸借対照表ありますけれども,中の取引が違います。
 このような会計もあるということで,国内にはたくさんあるわけです。学校会計基準だけが何か特殊なものではないということを私は言いたいと思います。
【黒川座長】  なるほど。佐野委員。
【佐野委員】  学校運営の立場から見るのと,利用者の立場,ステークホルダーの立場で違うというお話もありましたが,私は例えば見る立場として,予算対比というのは非常に重要視しているんです。学校の予算書というのは,事業計画を数値に具体化したものであり評議員会の諮問を経てつくられて,理事者がどう執行したかの結果,対比を見て,学校のガバナンスが効いているのか効いていないのか,ちゃんとやっているのかどうかというのを見られる1つの書類なんです。そういうところからすると,見る側からしても予算差異があまりに多いと収入がこれだけ予算よりもオーバーしたのに,経費のほうが全然使ってない,学生還元してないんじゃないか,そういう目で見ます。
 したがって,見る立場からしても,事業活動だけがスタートに来るのではなくて,学校のガバナンスの視点から見たときには,学校がちゃんとした運営といいますか,やっているかを見る1つの書類でもあるので,予算対比のものは非常に重要視していいんじゃないかと思うんです。
 それが活動区分で分かるかというと,ちょっとこれは企業会計でキャッシュフローを見ていた方は分かりやすいのかもしれないけれども,これと事業活動を対比したときには区分が違うんでごっちゃになっちゃうんです。そういう意味からすると,学校の資金収支会計というのは,企業会計というキャッシュフローの前身みたいなものであって,非常に分かりやすい,ガバナンスまで見えてくるという意味から,やはり順番というお話もありましたけれども,学校法人制度から考えると,やっぱり資金収支からスタートしていいんじゃないかなと私は思っています。ただ,事業活動はやっぱり経年比較があってほしいなと思っています。
【黒川座長】  なるほど。ほかにはいかがでしょうか。
 それでは,ここは種々の御意見をいただきましたけれども,根本的な御意見が多かったと思いますので,次回までにまた事務局のほうで整理し,また志賀先生じゃないですけれども,御意見があればどしどし事務局のほうに送っていただいて議論いたしましょう。本質的な議論を今しているので,やはり早計に体系を決められないし,それから,予算対比と経年変化の問題も,それぞれ貴重な御意見だというふうに承りましたので,さらに議論いたしましょう。
 それでは,その問題は次回以降に継続するということで,もう一つセグメント,これについて議事を進めていきたいと思います。それでは,この問題について,田井室長,御説明をお願いします。
【田井私学経営支援企画室長】  ありがとうございます。資料3の(4)のセグメント情報のところから御説明させていただきます。
 令和4年3月の学校法人制度改革特別委員会の報告,こちらは今回の私学法改正の基になった報告書でございますけれども,その中で,計算書類においてはセグメント別の情報を表示していく方向で検討すべきであるというふうな提言がなされております。こちらは参考資料の6としてつけさせていただきました。
 また,他法人におきましても,セグメントの単位というものは各制度により異なりますが,一定のセグメント情報を表示しております。こちらは参考資料2といたしまして,社会福祉法人,公益法人,国立大学法人等の 企業のセグメント情報を加えさせていただいております。こちらは参考資料2として表示をさせていただいております。
 学校法人の計算書類につきましても,法人の活動を分かりやすく示すというためには,一定のセグメント情報を表示するということが適当であるというふうに考えております。資料5のほうも併せてごらんいただければと思います。
 こちらの資料の2枚目に作成方針案というものを加えさせていただいております。まず,セグメントの単位でございますけれども,そちらにつきましては,当該法人の業務内容等において,基本的には各法人において適切に定めていくことが適当であるというふうに考えております。ただし,一定のセグメント情報につきましては,学校法人の財務報告の趣旨に鑑み,全ての学校法人等において共通に開示する必要があるのではないかと考えております。
 学校法人におきましては,設置する学校ごとにマネジメントが行われているのが通常であると考えられておりまして,また,病院を設置している場合には,病院にかかる財政規模がかなり大きいものが想定されますので,まず1として学校法人本部,2として私立大学,こちらは短期大学も含みます。私立高等専門学校,高等教育機関でございます。3といたしまして,2以外の私立学校,または私立の専修学校及び私立の各種学校,4といたしまして病院,この1から4についてを共通に開示すべきセグメント区分としてはどうかと考えております。
 2番目でございます。大学でございますけれども,大学,短期大学及び高等専門学校は,高等教育機関として,長期かつ安定的な運営が特に求められるということがこれまでの報告書などでも提言をされておりますし,事業活動の社会的影響やステークホルダーが広範にわたる,こういった点も先ほどの特別委員会報告でも提言をされているところでございます。これらの観点を踏まえまして,大学,短期大学及び高等専門学校は,学校ごとに独立したセグメントとして表示してはどうかというふうに考えております。
 3でございますけれども,高等学校,中学校,小学校,幼稚園,専修学校,各種学校につきましては,事業活動やステークホルダーの範囲が限定されるということがございます。また,小規模校が多数設置されているケース,中学校と高等学校などが一体に運営されているなど,学校ごとに区分することが困難なケースも少なからず想定されております。このため,これらの学校につきましては,複数設置されている場合には,学校ごとに独立したセグメントとするということ。また,学校種ごとのセグメントとするということ。また,全学校合わせて1つのセグメントとするなど,セグメントの立て方を選択できるようにすることが考えられます。
 次に,4の病院でございますけれども,病院は学校等とは異なり,附属施設であるということを踏まえ,病院ごとに独立したセグメントとするということ。また,全病院を合わせて1つのセグメントとするなど,こちらもセグメントの立て方を選択することを可能としてはどうかと考えております。
 資料5の1ページ目に,イメージをつけさせていただいております。こちらは先ほどの高等学校以下の学校,または病院を1つのセグメントにまとめている例でございます。こちらの資料5の下に注意書きしておりますけれども,この注1にございますように,セグメントの立て方をどのように考えてこのセグメント区分にしているかということは,各法人において注記をしていただくことが適当ではないかと考えております。
 また,セグメントごとに開示すべき項目につきましては,教育活動収入,教育活動支出,教育活動収支差額,教育活動外収支差額,経常収支差額,特別収支差額,基本金組入前当年度収支差額,基本金組入額合計,当年度収支差額としてはどうかと考えております。
 資料5の1ページ目のグレー表示の部分,こちらについて表示することを必須といたしまして,それ以外の白で表示している部分については,各法人の判断で表示することを可能としてはどうかと考えております。
 各セグメントへの収入または支出の配分方法につきましては,法人の負担軽減の観点から,現在の内訳表の配分方法を採用することも可能としつつ,各法人がより実態に近い形で配分を行うことも可能とすることが適当であると考えております。その際,学校法人が独自の配分方法を採用した場合には,その方法を注記することが適当であると考えております。こちらは注書きの3のところに記載をさせていただいております。
 また,収入や支出の配分方法につきましては,毎年度変わるということではなく,継続性が維持されるように配慮する必要があると考えております。また,配分方法を変更した場合には,その旨や変更の理由を注記することが適当であると考えております。こちらは注意書きの2のほうに記載をさせていただいております。
 御説明は以上でございます。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 さあ,それでは議論いたしましょう。セグメント情報,いかがでしょうか。志賀委員。
【志賀委員】  これにつきましては,事前説明のときから,文科省の皆さんには,最後まで開示に反対し続けるからと宣言をしております。ただその前に,さっきからの議論で,前回も含めてなんですけど,要は運営者とかの立場からしますと,適切な経営というのをしていくために,本当はまず予算の組立てからが大事で,しかもその科目については,精密なものをつくって,それを理事,監事,評議員が把握し,決断していかねばならないということがベースであるので,さっきの1番目の明細の話もそういった観点からの話なんですが,そもそもこれは私立学校法改正に伴って,この情報を開示,または公開しなくてはならないとなってしまったせいで,私もこのセグメント情報を作成はしなくてはいけないし,それを経営者は把握していないといけないかと思いますけれども,ではなぜこれを公表しなくてはいけないのか。公共性だとか説明責任とかそういう言葉だけでこんな分けなくてはいけないのかということが,非常に疑問に思うところでございます。
 また,そういった話をしているせいか,9ページあたりは規模というのが巧みに避けられているんですが,今,認証評価機関の委員長をしていますので,私のほうで把握している一番小さい短期大学は,教育活動収入ベースで7,200万程度の規模です。
【黒川座長】  7,200万円?
【志賀委員】  7,280万円ぐらいが収入となっているところが,もしかしたら調べたらもっと小さいとこもあるかもしれない。それより大きい高校や中・小学校とか幼稚園とかあるときに,ここの9ページの一番下の言葉では,事業活動の社会的影響やステークホルダーが広範にわたる。大学,短大団体は広範にわたるけど,次のページは,高,中,小,幼稚園,専修学校,各種学校はステークホルダーの範囲が限られると書いてあって,私が事前に言っているから,規模という言葉使ったら絶対地雷だと思って書き直したのかなと思ってしまうんですけれども。
 教育活動収入ベースで7,200万規模の短期大学よりも,幾らかは分かりませんけど,在校生が1,000人とかいるような高校のほうが影響が少ないのかと。そこは公表しなくていいのかと,非常に不公平だと思います。ですから,最初から私は,セグメントの開示については,ナッシング・オア・オールでナッシングが9割なんですけど,やるんだったら全部ちゃんと開示するようにすべきであると思います。
 その上で御質問ですけれども,グレーの部分だけ公表というのは,私立学校法に基づいた会計基準の公表,また開示について,白い部分を開示しなくていいというのはどういうふうに法的根拠を持っていくんですか。このグレーの部分をつくらなくてはいけないということは,ここの白い明細もつくらなくてはいけないということですよね,会計基準上。会計基準上つくらなくてはいけないけれども,これは公表しなくていい,開示しなくていいというふうにするんですか。それが許されるんだったら,もっといろいろなものを開示したり,開示しなくていいというふうに,私立学校法に基づく会計基準でも定められませんか。前回そういう趣旨で質問したんですが,基本的に私立学校法で定められた会計基準は,全部開示あるいは公表になりますという回答を得たので,じゃあしようがないですね,じゃあこれも全部反対しますというスタンスでいくので,ここも白いところを開示しなくていいという理由を教えてください。
【黒川座長】  田井さん。
【田井私学経営支援企画室長】  すみません,白とグレーに書き分けているので,ちょっと逆に分かりづらくなっていると思うんですけれども,ここは法的にどのように定めるかという法形式の問題かなとは思うんですけれども,確かに今の会計基準の様式で,ここは記載しなくてもいいけど,ここは絶対記載しなければいけないみたいな規定を置いているものがちょっとほかにあるかどうかというのは調べてみたいと思うんですけれども,基本的に網かけをしているところは会計基準に定めるので,ここは表示しなければいけないし,開示しなければいけないというような形になるというふうに考えております。
 それ以外の表示してもしなくてもいいみたいな,ここで白くしている部分をどのように会計基準に位置づけていくのか,また,位置づけられるのかというところは,ちょっと今回はイメージとして作成させていただいていますので,そこはちょっと実際に省令を定めるときに考えていきたいとは思うんですけれども,会計基準の中で必ず書いてくださいというふうにする項目につきましては,基本的には開示になるというようなことではありますけれども,この項目は表示してもしなくてもいいですというような定め方をどのようにできるかというのをちょっと検討させていただきたいというふうに思っております。
 場合によっては,網かけの部分だけを定めるということになる可能性はあります。実際に開示例を示すときに,この白い部分も併せて例としてお示しするということはあるかなと思います。
【志賀委員】  でも,学校法人会計全部一括したやつは,さっきの資金収支計算書とか事業活動収支計算書とかでは,学生生徒等納付金もあるし,手数料もあるし,寄附金もあるわけですよね。
【田井私学経営支援企画室長】  はい。
【志賀委員】  それは書いているけれども,部門別はどんな立てつけにしたらそんなことが可能なのか,全然見えないんですけれども。前回も言いましたけど,本来はこっち側の計算書類も本当は全部ちゃんと会計基準に書かないと駄目だと思うんです。だけれども,公開,開示するかしないかになったせいで,こんなややこしいことにしなくてはいけなく,はい,愚痴になりますね。すみません,私は。手を挙げられていたので。
【黒川座長】  資料5は,イメージと書いてあるんですよね。だから,今の志賀委員の御質問,御疑問はごもっともなんですけれども,田井さんがおっしゃったのは,場合によっては事業活動収入の部というところの白いところの6項目なんかなくて,ここは要するに,こんなのなければ教育活動収入,支出という,こういう5項目だけ出してくださいとか,それから,表も圧縮されたもの。企業会計なんかも圧縮されていますもんね。これはただ例示みたいので載せただけのように僕は受け取ったんですよね。だからかえってまた細かく,この間みたいに,ステークホルダーが丸とか二重丸で細かくなっちゃったので分からなくなっちゃうかもしれないけど,でも,そういうことは大事なんですよね。一度こういうふうに出しておいて,疑問を解消するというのは大切なんですけれども,これはそんなような位置づけだと受け取ったんですけど,どうなんですか,事務局のほうは,この資料は。
【田井私学経営支援企画室長】  はい,そういう趣旨で,イメージとしてこういう開示があり得ますということでお示ししております。
【黒川座長】  そこのイメージなんですけれども,だから,普通はあんまり出すほうは出したくないんですよ。だから,こんなイメージだと出さなくちゃいけないのかという,そういう危惧があるのと,こういうイメージみたいなものですって,ちょっと付表みたいなのを出しちゃうと,こういう理論もあって,Aという大学はいっぱい出していると,もっと細かく出している。Bは,ただ言われたままの幾つかの6項目ぐらい出しているとあったときに,誰かが分析したときには,何でBさんのほうは細かく出さないんですかと。そうするとBさんのほうは,いや,基準はこれしかないですからというんですけれども,A大学のほうはいっぱい出していますということになると,普通は市場取引があるところは,ボンディング仮説とかいろんなことがあって,いっぱい出しているほうが好感が持てるとか,信頼が置けるとか,普通,企業会計ですと資金調達コストが下がるとか,そういうのを狙ってやるとか,あるいは自己規律が進んでいるというふうに市場はグッドニュースと見るとか,そういうわけで,任意開示みたいなものというのは,結構グッドニュースになるという仮説が多いんですよね。
 となると,A大学のほうは出しているのにB大学はというんで,いつの間にかその仮説だと,B大学もいっぱい出さなくちゃいけないんじゃないか,横並びになっていくということになっていくというものもあるんです。
 だから,こういうのというのは出しちゃって,実際にやるところが出てくると,そっちのほうにいつの間にかということもあり得る。それはそれでいいかもしれない,社会的にはいいかもしれない。そこは分からない。ですけれども,志賀委員がおっしゃっているようなものとちょっと違うかもしれないけれども,こういうイメージ図を出したときの問題点の1つはそこにあります。だから,これはあくまでもイメージであって,まだこんなのを出すわけでもないんですよね,基準になったときにはね。そのぐらい。
 ちょっと私,教えていただきたいんですが,さっきの意見の中で,私学法に移行するという,あれはすごく重要で,ちょっと答えてもらったらいいと思うんですけれども,助成法のほうもセグメントのところで,明細の一部か,上のほう残りますよね。ということは,助成法上の会計の求めるものも残るという,そういう理解なんですけれども。それ,大事ですもんね,体系考える上で。
【佐野委員】  多分助成法のほうは,先ほど冒頭にも御説明があったように,補助金の交付の公平性の観点から,部門,学部全部,今の資金収支内訳表は必要だという判断だと思っているんです。ただ,私がこだわったのは,移行といっても,監査が移行してない。私学法では私学法の会計監査人がいて,振興助成法で求めている部門別の表についても,これも監査しなさいと言われている。当然残るという前提で確認をさせていただいたんです。
 今,私学法にはさっき申し上げたように,施行規則の4条の4にしかないので,基準があるわけではないですよね。移行というのは移動するということですから,言葉をちょっと考え違いしないようにしましょうというふうに申し上げたということです。
【黒川座長】  分かりました。確認をいたしました。
 それでは,またセグメントのほうに。どうぞ,志賀委員。
【志賀委員】  要は,今はもう私学助成法でつくっていますし,例えば本学園であれば理事会,評議員には示してこうなっていますねという話をしているわけですよ。ただ,こういうセグメントで分けたことによって,こっちの大学は赤字で,高校が黒字だから,高校からの収入で大学の赤字を埋めて,学園全体は黒字というのはいいのかという声が,もし高校のステークホルダーから上がったときに,その経営判断がどうだったかということについて,それらが全部公表されるというなったときに,その経営判断について,そこまでステークホルダー全体の中の判断というものが入ってしまっていいのかということは思います。
 今年度,大学をなくすことにしたところも、どっちも大学が赤字で高校が黒,中学が赤字でしたけれども,先んじて公表しているわけですよ。そのときの経営判断が,全体としてはまだいいのにこうなってしまうというので,いいのかなというふうに思ったりしますし,ちょっと長くなりますけど,国立大学は,学部ごとまで含めて全部やっているんです。その結果,附属小・中・高が赤字になっている。
 非常に経営が苦しいって,ずっと上からもっと節約しろと言われていると。それでじり貧になっていっている。その結果が,教員不足ですよ。全国今,それこそ初等中等分科会のほうでは今後議論しますけど,教員不足って,それは教育学部充実させる気がないし,独立行政法人も経営ちゃんとしろとうるさいから,本当に必要な分野に投資するということじゃなくて,まずは収支をちゃんとしろとなっていて,そのような結果になっている。
 これを私立学校とかにも全部こういうのを開示って義務づけたときに,ある学校は本当に苦しいけれども,赤字になっているけれども,社会貢献のために必要であるというところが,世間的にも非常に突き上げが強くなって,結局それをやめてしまうと。それが社会的に非常に損失になってしまう可能性があるということも秘めているということも踏まえて,どこまで開示を義務づけることによってその責任が取れますかということも含めて考えていただきたい。
 それらは当然,経営者は把握していないといけないし,それでもやるんだとするのか,そこをなくすのかという判断は経営者がすべきでありますし,その監視機関として,今回私立学校法改正で,評議員も強い力を持つようになったわけですから,さらに会計基準までこうしてみんなにさらし上げて,いろいろなところの評判を聞かなければいけばならなくなるという状況は,非常に好ましくないというのが私の考えです。
 ですので,そこら辺も踏まえて,ちゃんとなぜこういうことの意義があるのか,そして公表する内容は,さっきのグレーだけというのも,結局大きなほうではちゃんとそれぞれの科目があるのに,そんな都合のいいことできるのかなということもあるので,そこもちゃんとした説明ができるように御準備いただきたいと思います。
 あとすみません,全く話題変わるんですけど,収益事業ってどうするんですか。要は収益事業って,実は全然これとは関係なくて,学校法人によってはそれでめちゃくちゃ儲かっている場合がある。でも,それはそっち側の収支で,これも理事会,評議員会とかで報告されますけど,これは別に開示の義務も何もない。収入を上げたら,寄附とか雑収入とかでこっち側に戻すという場合もあるけど,それの取扱いとかも,実はそういう不正の温床って,後援会とかサークル費とか含めて簿外会計が本当は開示しなくてはいけないと思うんですけれども,一番真っ当にやっているところをさらに細かく分けて世間様の目にさらせと言っている一方で,一番不透明なところは,もともとないから知らないという印象を受けますけれども,そういったことに関して,これを機に改正するとか,基準に入れるとか,そういう考えなどは議論する必要ありますでしょうか。
【佐野委員】  確認ですけど,収益事業とおっしゃるのは,今の学校法人会計基準では,基準の中に,企業会計でやりなさいというのがあって,これは閲覧対象になっていますよね。私学法になったらそれが抜けるという話は出ていないと思うので。
【志賀委員】  いや,それは分かるんですけれども,要はそのときに,セグメント開示に合わせてその収支とか入れる必要はないんですかという。
【佐野委員】  もしあるとすれば,すごくざっくり言えば,学校法人の管理部門がありますよね。それから,教育事業があって収益事業,合計という出し方になるかと思うんです。もちろん教育活動とかそういう区分が収益事業に出てこないので,出し方は変わると思いますし,そもそも収益事業と出資会社と混乱している人がいます。だから,その辺のところの区分は必要なんですけれども,今も開示対象ではないということはないので,見せ方として,おっしゃるようにセグメント情報の別建てで収益事業を入れる,入れない,出す,出さないという問題もあろうかと思うんですが,大きく言えば,管理部門である本部と教育事業と収益事業というくくりをつくればいいのかなと。
 それとグレーで書いてある教育活動とか教育活動外,この部分というのは,もともとが助成法上の学校法人会計基準で内訳表ができていますから,その合計を持ってきてこうしなさいという決め打ちをしていただければ,そんなに問題なくできると思うんです。それを今のように大科目を出すのか,それとも区分利益のところを出すのか,これはできれば決め打ちをして出していただかないと,先ほど座長がおっしゃったような比較可能性の問題で,そこの見せ方で優越がつけられてしまうことになりかねないので,セグメント情報が要らないか要るか9対1という御意見もあるけれども,出さざるを得ないとしたら,決め打ちで収入の部,支出の部ぐらいで大科目は任意ですよという,任意性をあまり持たないほうが,基準の中では分かりやすいのかなと思います。
【黒川座長】  どうぞ,徳田委員。
【徳田委員】  志賀委員の大前提の話は取りあえず置いておいて,部門別のところです。学校法人本部という,これは独特の学校法人のところです。例えば,学科を新しく設置するといったら,新しい学科はまだ大学にはないですから,これは法人本部になります。教育研究経費として計上していかなきゃいけない。開設した後は大学になるということで,法人本部というのは基本的には収入はない部門です。それを出すというのは,ちょっと抵抗としてはあります。
 実際は昭和55年の11月に文部省の管理局長通知というのが出て,内訳表についてはこうしましょうという,学校法人財務経理基準の調査研究会というのが出しているものの中には,学校法人の部門とはこうですよ,内容はこうですよというのを明示してございます。それによって我々は会計処理を行っているということで,学校法人とは収入のある,大学の中にはあるかもしれませんが,基本的には支出があっても必ずしも収支が取れない部門です。それを出すということに対して,非常に影響が大きいなと思います。
 具体的には,先ほど言ったように学科を新しくつくる。これは4月1日までにいろいろかかってきた費用,入試の費用も全部そうです。それは全部法人本部になります。それをそのまま学校法人というので出すのかどうかというのも,議論をして検討していただければなと思っています。
【黒川座長】  これ,公益法人のほうを見せたでしょう。収益事業と本部と,それからメインの目的のところ,3つに公益法人がなっているんですよね。収益事業が別建てになって,管理部門別で,それからメインのところ。今の収益事業のところ,これはどういうふうに,事務局,答えます? 僕もちょっと質問していたんですけれども,そういう収益事業の部分。その他に。
【田井私学経営支援企画室長】  今のところ収益事業を加えるというのはちょっと案には入れていなかったんですけれども,ちょっとそこはまた御意見を伺って検討します。
【黒川座長】  それもまた可能性はある? どこまでできるんですかね。次回も議論して,予備日は1日しか取ってないのでだんだん心配なってきたんですけど。セグメント会計をやめるかどうかということも議論できるんですか,ここで。どこまでです。
 それから,僕もちょっとそちらのほうに行ったほうがいいかもしれないけど,1回目も言ったように,規模が入ってないですよね,おっしゃっている。それ,僕もこの間も言ったんですけれども,どうしてこういうふうに決まっちゃったのかなと思う。やっぱり規模はすごく大きいと思うんですよね。
【佐野委員】  規模の議論を言い出すと,私学法のときにも議論終わっているわけで。
【黒川座長】  そのとき何で,終わっちゃったというのは何で。
【佐野委員】  いろいろ意見があっても,それをいいところ悪いところあって,悪いところ取りながら落ち着いてしまったので,今さら議論すると私も言いたいこといっぱいあるけれども,終わったことだから。
【黒川座長】  ああ,そう。賛成の人はいないんですか。取りまとめ,これでいきましょうと。
【佐野委員】  ちなみに規模というのは,先ほど事業収入が幾らだという金額の規模もありましたけれども,やっぱり大学,短大というのは全国規模での募集をしているという意味での広域性がある。幼稚園であるとか小学校,中学校って通学圏内が決まっていることが多くて,募集の範囲が狭いということがある。そういう意味での広域性,地域性の問題から規模というのもありますね。そこで,3県にまたがる,都道府県3つにまたがるような高校法人でも,それは規模の大きいほうに入れましょうよという形になったんだと思っているんです。
 だから,事業収入とか,もちろん言い出せば切りがないと思うんですよ。金額で分けるとか,資産の規模で分けるとかいろいろあると思うんだけれども,どこかで線引きするところをつくらなきゃいけないときに,いろんな意見をまとめなきゃいけない中で落ち着いたのが,大臣所轄,知事所轄の中でも多くにまたがるところは大臣所轄グループのほうに入れましょうよということで,規模という言葉が使われたんだと思っているので。
【黒川座長】  でも財務的な情報の問題と,今のまたがっている,それとはちょっとずれているような。
【佐野委員】  おっしゃるとおりだと思います。規模は全然財政規模からしたら違うと思います。
【黒川座長】  財政的な問題で,僕たちは会計の話になってきていると,やっぱり財務的な問題なので,どうしても財務的な規模。その財務的な規模ということになると,人員とか,作成者の人員の問題が出てきますので,そちらのほうがメインになるんですよね,やっぱり規模という考え方は。だから,ちょっとずれている。
【佐野委員】  ただ,私学法のときの話にも出たかと思うんですけれども,例えば収入規模でやると,これ,毎年変動します。経常収入と特別収入,例えば特別収入がぼんと出たときには事業収入ががんと増えます。その1年だけ増えたことによって大規模法人になるかというと,そうではないということもあります。
 だから,事業収入規模であるとか負債規模で決めるというのは非常にリスキーだったわけです。今,財務だからということであれば,今の会計基準では小規模法人,高等学校を設置しない小規模法人についての特例もあるし,いわゆる知事所轄法人の特例もあって,そこで分けているわけです。金額規模で分けるというのもあると思うんですが,例えば1,000万という基準で会計監査が入る入らないが決まるんだけれども,いつの時点での1,000万なのか。これによって決算日後に監査を始めるという県もあれば,あらかじめやってランニングしているときにやらなきゃいけない場合もある。これ,実務は非常に混乱しているんです。
 そういう意味で,金額による事業規模というのは毎年変わる可能性が高い。それから,事業収入の中に特別と経常があって,これも変わる可能性というところから,非常に線を引きづらかったというところで決まった話です。
【黒川座長】  僕,すごく先生のおっしゃることは分かるんですけれども,それは変動がある。だけど,そういうのは困るというので,一番根本的なところがずれたというか,それができないからこっちにしましょうといって,根本的な一番問題点がずれてしまったような気がするんですよ。
 だから,本来ならばそういう変動があるようなものだったら,じゃあ5年間の平均でしましょうとか,何らかの形でできたかもしれない。でも,それが別の基準になったのができないかという。だから,ここでも収れんするときに,個別でこういう問題がある,こういう問題があるってこう言いだしたら切りがないけれども,できるだけその中で収れんさせようとするならば,本質をずらさないような決め方でいきたいと思うんですけど,そうですよね。そうじゃないと後で困る。だから,修正ができるようなものだったら,そこでやりたい。
【佐野委員】  会計基準の中で,これは省略していいよとか,猶予規定を設けるということは今もありますから,可能なんだと思います。それはそれでいいと思うんですけれども,大前提としての規模基準を話すのは,やっぱり私学法の世界では終わったのではないかと。
【黒川座長】  もう終わっちゃったということなのね。それは残念ですね。
【佐野委員】  だから,会計基準の適用において,何を出すか出さないかというのを財政的な規模で決めるというのは難しいかなと私も思っています。
【嵯峨委員】  それは私学法のときに,各団体規模については相当議論をしたはずなんです。そのときに,正直言いますと大学法人のほうは,もうこれでいいというふうな認識だったんです。高校以下は絶対反対だというのが僕らの認識で,それで決まった話なんで,私もこれを今さらごっちゃというと,ちょっと私学法のときは何だったんだみたいな話になってしまうんで。
【黒川座長】  分かりました。どうぞ,内野委員。
【内野委員】  すみません。ただ私学法の改正のときと,それから,会計書類の全ての学校法人が同じもの出さなければいけないという基準とは違っていいと思って。
【嵯峨委員】  だから,全ての学校が同じのを出さないですよね。
【内野委員】  高校法人,知事直轄法人に関しては1つの基準ができていますよね。その中で,例えば幼稚園単立法人と,それから高校法人で,同じということであればですよ,例えば,文科省のほうで経常費の補助金が何でいつも幼稚園は小学校の2分の1なんですか。これ,同じだって決めたら,例えば会計につくることに資する職員に関しては,同じ処遇じゃなきゃおかしいじゃないですか。でも,もともとこっちは分けているくせに,こっちは一緒という考えが,私学法のことと会計に関することで一緒くたにされると困るというふうに,私たち幼稚園団体は言っている。
 前,中高連が,大学法人と文部大臣所轄と知事所轄で同じではおかしいだろうという話と同じように,幼稚園単立と高校法人とで全く同じというんだったら,経常費の補助金の元の考え方も,そこに関しては同じにしてくれよと。外形標準的なものを載っけてくれよと。
【嵯峨委員】  ただ,中高連に言われても困る話なんで。
【内野委員】  いや,だから嵯峨先生に言っているわけじゃなくて,嵯峨先生がおっしゃっていた,ここに分けるということであるのは,私学法全体では分かりますよ。大臣所轄と,それから知事所轄とを分けるのはいいですが,幼稚園単立法人と高校法人を全部一緒ということになると,ちょっとそれは。
【佐野委員】  私学法での会計基準は,全私学が共通に守らなければいけない基準になりますよね,会計基準として。ただしその基準の中で,知事直轄法人については,ここの部分については猶予します,入れなくていいです,やらなくていいですというのが当然出てくるだろうと思っているんです。ですから,今やっているのは,あくまでも私学法で全部共通にやらなきゃいけないことを最低限決めなきゃいけない。その決め方が,例えば,大学をメインにして決めてこれを除く,知事所轄を除くとするのか,最低を決めて大学は付加して,ただし大学についてはセグメント情報を出さなきゃいけないとやるのか,それはまた行政の判断があると思うんですけれども,少なくとも中高法人については,公表しないという前提でやっているわけです。でも基準があって,守らなければいけないわけですから,その辺のところはちょっと区分して考えたほうがいいと思うんです。
【内野委員】  公表の話じゃなくてね,公表の話もそうですけれども,公表の話だけじゃなくて,作成する書類の法人の規模からいって,例えば,幼稚園単立法人は,法人本部というのを持ってないわけですよ。
【佐野委員】  それは別だと思います。あるけど,数字が出ないというだけでしょうね。だって,理事さんいらっしゃるでしょう。
【内野委員】  理事はいますよ。でも法人本部という会計を持っていて,そこで理事を雇うということできないですから。
【佐野委員】  もちろんそうです,おっしゃるとおりです。
【内野委員】  そこで同じものをつくれということであると,それだったら同じような評価をしてくれと。同じ文部科学省の中でね。
【佐野委員】  補助金の交付の話はちょっと別だと思うんですけれども。
【内野委員】  でも,そこの,今は私学法かもしれないけど,それまでの私学助成法であれば,助成のところで差をつけていて,出すエビデンスは一緒にしろというのはちょっと変じゃないという感じです。
 一方で,国は幼児教育の無償化は2万5,700円までだよというふうにしているわけですよ。それだけの納付金と,それから,あれだけの経常費の補助金の中で同じ作業をしろというのはちょっと。
【佐野委員】  今ここで議論しようとしているのは,説明責任を果たすべき計算書類として何が必要で,どういうふうにしましょうか。その中で,おっしゃるように大学法人としてはここまでは絶対出すべきですね。例えば,今のこの資料5にあるようなものは出すべきですね。だけど,例えばですけれども,この議論のこの場で,単立幼稚園法人についてこんなのやっても意味ないね。もちろん1行になっちゃうわけですからね。でも,第1幼稚園,第2幼稚園があった場合どうするのと。そういうときは,この幼稚園をまとめていいですよとか,そういう簡便的な規定であるとか,それは基準の中でつくれると思うので,それをまさに議論しているんじゃないかと思うんです。
【内野委員】  なるほど,分かりました。じゃあこの後に期待します。
【佐野委員】  ちょっと分かりませんけど。
【黒川座長】  では,今日はもうちょっと時間になりましたので,セグメントについてはまた次回で,今の活発な御議論は大変ウェルカムですし,また今日,いろいろ御意見まだまだあると思うんですけれども,次回に向けて事務局のほうに,これもメールか何かに送っていただいて,各それぞれの皆さんの背景にある団体がございますでしょうから,その御意見を事務局までどんどん送っていただきたい,このように思います。
 取りあえず私はここまでということで。
手が挙がっている。どうぞ。
【前鼻委員】  よろしいですか,すみません。ちょっと差し戻しちゃうかもしれませんが,専修学校は準学校法人が多くあって,私学助成法に適用しない形でずっとやってきましたので,今,公開の概念というのはかなり戸惑っているということがまず現実としてあります。その上で,先ほど内野先生もちょっとおっしゃっていたんですが,やはり法人本部という概念というのはまだなじみがない分だけ,これを学校法人本部と,それから専門学校というセグメントに分けて離し,公開していくということにはちょっと違和感があるんだということが1点です。
 それから,2点目としては,専修学校の中には,鍼灸と柔道整復師の学校は附属として診療所を持つことになっておりまして,診療所があるんです。これ,今回病院というのは医学部の附属のことを想定していると思うんですが,診療所というのはどこのセグメントに入るのかという部分。もちろん医学部のない学校さんにおいても病院を持っていたりとか,あと病院の付設のいろんなセンターだとかを持っている部分というのは,そういう病院の中のカテゴリーとして入ると考えていくのかということが,ちょっと疑問に思ったことが1つです。
 それとこれはちょっと私,まだ詳しくはないんですけれども,病院というセグメントを入れるのも,学校法人会計の仕分において数字を出していくというのが,また二重の手間ではないのかなというふうに私は思うんです。医療法人会計でやっているところを学校法人会計のところに数字を合わせていいのかというよりも,手間というのはどうなのかというものが,ちょっと考えられるところがあります。
 それからもう1点,すみません。先ほど私学助成に関係ないというふうにお話をしたんですが,いつも経費のところで,研究経費と間接経費があるわけなんですが,専門学校だからここのカテゴリーになる経費というのは,いつも分けられないような形の中で経費区分を出していた。なぜこの2つに分けなきゃいけないのかと,私どもずっと分からないままだったような感じをしております。ですので,この辺のことの仕分というんでしょうか,勘定科目の考え方というのも,1つこれも議論に入れていただきたいなと思います。
 以上です。すみません,ありがとうございました。
【黒川座長】  ありがとうございました。
 では,今の貴重な御意見も踏まえた上で,本日はここまで。
 では,事務局のほうで事務連絡をお願いします。
【畑参事官補佐】  本日はありがとうございました。事務から幾つか御連絡させていただきます。
 まず,冒頭申し上げましたが,公開する議事録について確認をお願いすることになりますので,その際はよろしくお願いいたします。
 それから,次回の検討会ですが,来月7月14日の10時から12時を予定しております。意見書の提出ですけれども,資料2,資料3のうち,3の(4)セグメント情報について,それから,資料5,セグメント情報の開示に関する明細(または注記)イメージ(案)について,追加の御意見,御質問があれば,文書で提出をいただきたいと思います。団体としての意見をお願いいたします。意見書は,会議資料として,後日,ホームページに公表することになります。
 それから,提出の期限ですけれども,会議の1週間前を目安にお願いしたいと思います。ですので,次回であれば7月7日でございます。
 以上でございます。
【黒川座長】  ありがとうございました。本日も活発な議論ができて,大変貴重な時間だったと思います。やっぱりこういう議論をしたほうがいいんですよ。それから,できれば,その中でちょっと冒頭,私も議論になってくると目が座るんですけれども,それはもうしようがなくて,議論というのは対立的な議論があるほど深まるので,日本という国はあんまり対立するのは好きじゃないかもしれないんですけれども,やっぱりそれはそうじゃなくて,はっきりとそれはそうは思わない,自分はこう思うということを言ったほうがいいと思うので,これからもまだ何回もありますので,私も先生方の意見,そうだそうだといつもうなずくだけじゃなくて,座長は本当は黙ってなくちゃいけないんですけれども,私も議論に参加させていただくつもりでおりますので,どうぞそのときは御容赦と,それから,そういう大きな目的のためだということでお互いに議論を尽くしましょう。
 では,お疲れさまでした。ありがとうございました。

―― 了 ――

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