今後の医学教育の在り方に関する検討会(第1回)議事要旨

1.日時

令和5年5月26日(金曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省  ※対面・WEB会議の併用

3.議題

  1. 設置趣旨等について
  2. 検討会の公開について
  3. 座長の選任について
  4. 医学教育に関する現状と課題について
  5. その他

4.出席者

委員

  永井座長、今村委員、大井川委員、小川委員、金井委員、釜萢委員、北澤委員、熊ノ郷委員、田中(純)委員、田中(雄)委員、宮地委員、銘苅委員、諸岡委員、横手委員

文部科学省

  池田高等教育局長、西條審議官、俵医学教育課長、堀岡企画官、永田大学病院支援室長 他

オブザーバー

  厚生労働省医政局 山本医事課長

5.議事要旨

今回の議事は座長の指名等があったため、開会から議題3までは非公開。
1.設置趣旨等について
 今後の医学教育の在り方に関する検討会の設置について(資料1)に基づき、事務局より説明があった。
2.検討会の公開について
 今後の医学教育の在り方に関する検討会の公開について(案)(資料2)に基づき、事務局より説明があり、承認された。
3.座長の指名について
 永井委員が座長に指名された。
 
【相原課長補佐】  それでは,本検討会の座長は永井委員にお願いしたいと思います。また,ここからの進行は,先ほど御了承いただきましたとおりユーチューブにて公開といたします。それでは,座長就任に当たりまして,永井座長から一言御挨拶をいただきたいと思います。
 なお,永井座長の挨拶のみプレスが入室いたしますので,皆様におかれましては,少々お待ちいただければと思います。
【相原課長補佐】  それでは,永井先生,よろしくお願いします。
【永井座長】  座長を仰せつかりました,自治医科大学学長の永井でございます。
 この医学教育の在り方に関する検討会,10年ぶりの開催と伺っております。この間に社会も医学も医療も大変大きく変わってまいりました。科学技術が進歩する一方で,社会との協働が求められる時代ではないかと思います。
 研究力低下,あるいは働き方改革の問題というのも,これは医学教育だけでなく,医学部,大学病院の在り方,全てに大きな影響をもたらすと考えております。こうした社会の変化に対応できる取りまとめができればと願っております。皆様方の御協力,ぜひよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
【相原課長補佐】  ありがとうございます。
 それでは,プレスの方におかれましては,御退室をお願いいたします。
【相原課長補佐】  それでは,ここからの進行は永井座長にお願いしたいと思います。永井先生,よろしくお願いいたします。
【永井座長】  それでは,これより会議次第に沿いまして,4の医学教育に関する現状と課題について,5,その他について御議論をいただきます。
 まず,4,医学教育に関する現状と課題について,事務局より説明をお願いいたします。
【堀岡企画官】  医学教育課の企画官しております堀岡と申します。資料3,4,5について説明させていただいた後,御討議いただきたいというふうに考えております。
 資料3が,昨今の医療制度の改正について,非常に様々な側面ございますので,法律,医学部の定員,また,最近の研究力の状況などについてまとめております。また,資料4について,大学病院の現状,経営などに関することも含めてまとめておりまして,そういったものに基づいて,資料5で,大変僣越ながら,事務局のほうで具体的な検討事項や検討の方向性のイメージなどまとめておりますので,簡単に全部説明させていただきたいと思います。
 なお,事前に委員の先生方にお送りさせていただいておりますので,資料は少し簡易に御説明させていただければと思っております。
 それでは,資料3の2ページをお願いいたします。資料3の2ページに,近年,法律の改正された改正の大きなものについてまとめております。
 令和3年に改正された医療法の改正でございますけれども,大きくここで取り上げるべき3つの論点について,法律改正の内容について,簡単に御説明したいと思います。
 1つは,まず働き方改革,2つ目は,医療関係職種の業務範囲の大幅な見直し,タスク・シフト,タスク・シェアの推進,3つ目で,医師養成課程の見直しでございます。
 4ページ,おめくりいただけますでしょうか。その全ての前提となるデータでございますけれども,これ,医師の勤務医の勤務時間のデータでございます。一番左が病院全体,真ん中のオレンジが救急病院,緑が大学病院の労働時間でございまして,横軸が週の労働時間,縦軸がその割合となっております。
 御覧のとおり,右に行く,つまり労働時間が長いほど大学病院の割合が高くなっておりまして,大学病院の勤務医が通常の病院などと比べて非常に労働時間が長いことが分かります。
 6ページ,お願いいたします。
 これに基づいて,来年4月から本格実施される医師の時間外労働規制についてでございますけれども,日本の病院をA,B,Cという3つの枠組みになって,BとCについては最大で年間1,860時間までの残業時間ということ。その代わり,きちんとした健康確保措置,連続勤務時間28時間やインターバル9時間といったものが課せられるといった働き方改革がなされる予定でございます。これについて,大学病院のほぼ多くは,連携BもしくはB,C-1,C-2を取る予定でございます。
 次のページでございますけれども,医療関係職種のタスク・シフト/タクス・シェアに関する部分を御説明させていただければと思います。
 8ページ,そのちょっと前提となるデータでございますけれども,診療の補助について,ちょっと簡単にまとめております。
 実は,各関係職種の診療の範囲の割合という範囲というのは,この図のようになっておりまして,医師が行う医行為,看護師が行う診療の補助というのがございます。看護師の診療の補助,非常に幅広く医行為が認められておりまして,その医師の直接指示の下行う診療の補助の中で,各関係職種ができるものが明示されていて,ポジティブリストで診療の補助や医行為ができるという仕組みになっております。こういったものが,例えば,理学療法士だと,いわゆる理学療法に合う,するようなことができるというような構造でございますが,9ページ,近年,医療関係職種の業務範囲の見直しが行われておりまして,例えば,臨床検査技師だと,今までできなかったことに加えて,例えば,採血だけでなく,ヘパフラッシュができるようになったり,静脈路を確保して,終了後に抜針及び止血をする行為ができるようになったりといった業務範囲の見直しが行われておりまして,タスク・シフト/シェアをより推進するような法改正をしていただいております。
 次のページ,10ページでございますけれども,さらに最も大きな医師のタスク・シフト/シェアで重要なところでございますけれども,先ほど看護師が医師の直接指示の下,診療の補助ができるということを御説明しましたけれども,特定行為研修を受けた看護師という仕組みができておりまして,上の四角のとおり,医師または歯科医師が患者を特定した上で,患者の手順書により特定行為を実施するように指示した場合,いわゆる包括的な指示で症状の範囲であれば,看護師が手順書に定められた診療の補助の内容をできるようにという仕組みをつくっておりまして,大きなタスク・シフトの効果が見込めるというふうに文部科学省としても考えております。
 これについては,特定行為研修,共通科目,区分別研修という研修が定められていることもあって,少しその時間が長いこともありますけれども,研修修了者の数,看護師,全部で150万人弱ぐらいいるんですけれども,増加をしているものの,現在6,300人にとどまっているという状況でございます。
 次のページ,その次のページと,特定行為研修のデータについて御紹介しております。これは御覧だけいただければと思っております。
 次に,14ページでございます。
 近年,医師養成課程については,かなりの大きな変革がなされておりまして,これも大学病院の先生方の負担の非常に大きな増加にもなっておりますので,御紹介させていただきます。
 今まで,上の部分で,これまでという形で,医学部6年,臨床研修2年,その後も研修というふうにあったわけですけれども,例えば,臨床実習だと,医学生が何をどこまでやるのか不明確で,診療参加型臨床実習といいながら,なかなか見学型になってしまうというような問題点,指摘されておりました。近年,非常に大きな改革がたくさん行われておりまして,最も大きなものとしては,この改革のところのマル1でございますけれども,法律を改正して,医学生の医療の位置づけの明確化,14ページでございますが,を行っておりまして,医学生であれば,研修ということであれば,基本的には医業が行うことができると。処方箋の交付以外の行為は違法ではないということが明確化されたということがございます。ほかにも共用試験の位置づけを公的化したりといったような様々な改革を行われておりまして,臨床研修,もしくはその先の専門研修のものを,どんどん,でき得る限り前倒しして,基本的な診療能力を早期に獲得すると,そして診療参加型臨床実習をより実質化させるというような改革が行われております。
 1つだけ御紹介いたしますと,15ページ,次のページにございますけれども,法律の具体的な文言の改正といたしましては,真ん中の部分の下2行でございますけれども,医師として具有すべき知識及び技能の習得のためであれば医業をすることができるということが法律上,明記されております。
 次に,少し話題変わりますけれども,医学部定員についての18ページ以降の御説明でございます。
 20ページでございますけれども,医学部定員について,閣議決定等で,抑制方針示されているところでございますけれども,近年,地域枠について,臨時定員の増加をずっと認めておりまして,現在9,384人の医学部定員であり,地域枠として961人をお願いしております。
 21ページ,次のページでございますけれども,一番最近の医学部定員についての取りまとめとしては,厚生労働省のほうで議論いただいたものでございますけれども,21ページ,一番下の2つ目のポツでございますけれども,令和6年度は令和元年度9,420人を上限とした上で,令和5年度の枠組みを算定的に維持することとするというふうになっております。
 そして,22ページ,現在の枠組みでございますけれども,真ん中のところ,都道府県は安定した医師確保を行うため,地域枠に加えて,地元出身者枠についても,恒久定員内への設置を進めるとともに,地域枠等の医師のキャリア形成を支援するというふうな方向で,今,医師の養成については進んでおります。
 次に,24ページ,研究力,教育についてのデータでございます。
 24ページでございますけれども,これ,医学部の大学院の所属している数でございますけれども,これ,濃い青が基礎系のMD,紫が基礎系のノンMD,臨床系のMDが薄い黄色,薄い水色が臨床系のノンMDでございますけれども,維持というか減少傾向が続いております。
 25ページでございますけれども,人口100万人当たりの博士号取得者の国際比較をまとめております。実は日本以外には減少している国はないというのが現状でございます。
 また,右側にまとめておりますけれども,ほかの理学部,工学部,農学部といった分野と大きく違う点を,これまとめております。博士号,例えば,これ,上が甲,博士号以下の乙でございますけれども,どちらも社会人学生が非常に多い。甲であっても3分の2が社会人学生なので,臨床をやりながら博士号を取るというのが医学の世界では非常に一般的であるということをデータでもお示しをさせていただいております。
 26ページ,現在の研究の現状でございますけれども,非常に厳しい状況でございます。例えば左上の部分でございます。日本における各分野ごとの論文の世界シェアでございますけれども,黒が総論文の世界シェア,青がトップ10%論文のシェアでございますが,御覧のとおり,どの分野も非常に大きく縮小しております。医学に関係するところで申しますと,下の2つでございますが,生命科学論文,臨床科学論文ともに世界各国大幅な増加のところ,日本は何とか基礎生命科学については現状維持,臨床については増加をしておりますが,他国の増加も非常に著しいところでございます。
 最後に,この資料の最後に29ページ,医療DXについてでございますけれども,現在,政府全体で医療DXの取組進めておりますけれども,基本的には,主なものは診療の医療DXの推進が,今,取り沙汰されております。我々といたしましては,研究や教育のDXによる質の向上,また,業務の効率化というのも,今後,議論していきたいと思っておりまして,この検討会でも,いい御提案などあればいただきたいと思っております。
 次に,引き続きでございますけれども,資料4についても御説明させていただきたいと思います。
 これ,大学病院の現状,経営や今の研究・教育時間どうなっているのかといったことを取りまとめたものでございます。
 次のページ,お願いいたします。
 今,大学病院は法令上の位置づけでございますが,2ページでございますが,まず1つは,文部科学省の大学設置基準の中に定められている医師及び歯科医師の養成を行う大学医学部及び歯学部の教育研究に必要な施設として設置されている病院という法令上の位置づけがございます。もう一つは,ほぼ全ての大学病院が指定されている特定機能病院という厚労省の枠組みですけれども,高度な医療の提供,医療技術の開発などの条件に当たるものを特定機能病院に承認されております。
 我々といたしましては,大学病院の使命・役割としては,教育,研究,診療,3つを行っていく病院だというふうに考えております。
 次,ちょっと飛ばしますけれども,6ページでございます。大学病院の現在の大きな枠組みというか,占める割合でございます。
 病院数自体は2.1%の僅かな病院数でございますが,病床数としては6.6%を占めております。左下ですが,常勤医師数としては23.7%を占めておりまして,医師の数としては普通の病院よりは確かに多いということが言えます。
 次のページ,教育機能をごく簡単にまとめております。これは国立大学病院だけのデータ。大変恐縮ですが,国立大学のデータですが,教育機関としての役割も果たしております。
 初期臨床研修については近年で1,300人,専門研修については国立大学だけで3,600人もの専門研修コースを受け入れておりまして,非常に多くの専門研修医を受け入れているということが,これから分かります。
 次のページ,研究機能でございますけれども,研究機能についても,日本の中で非常に大きな役割を果たしていただいているというふうに考えております。コロナ禍においても,例えば,医師主導治験については,ずっと増加を続けておりますし,研究論文についても増加を続けております。インパクトファクターについても令和3年度,コロナ禍においても,大幅な増加をしておりまして,非常に日本の医学研究のほとんど全ての部分を担っていただいているというふうに考えております。
 次のページ,大学病院の診療機能についてもまとめております。
 例えば,ここでも全てのデータをあれするのはあれですけれども,脳死臓器移植件数については8割が,高度救急救命センターでも67%を占めておりまして,国立大学病院以前は救急救命患者はあまり受けていないというような声もありましたけれども,近年では,8万8,000件の救急救命患者を受けておりまして,平成23年の4万人からも大幅な増加をしております。
 次のページ,地域医療への貢献をまとめております。
 10ページでございますけれども,国立大学42病院から4万3,000人の医師を常勤医師として全国に派遣しております。また,右にまとめておりますけれども,いわゆる分かりやすく言うとバイトでございますけれども,という意味でも9,475の医療機関で,これは延べですけれども,兼業・副業を行っております。
 次のページ,私立大学のデータでございますけれども,私立大学も29大学で4,200の医療機関に1万5,000人の医師を常勤医師として派遣していただいておりまして,地域医療を支えていただいているというふうに考えております。
 12ページ以降,細かなデータが続きますので,主なもののみ御紹介させていただきますけれども,例えば大学病院で勤務する職員数,これは手術件数を12ページまとめておりますけれども,平成16年,独法化になってから,最初4万4,000人の職員でしたけれども,近年では8万4,000人といった形で大幅な増加,これは公立,私立も同じ傾向ですが,国立病院は特にそういう傾向となっております。それに沿って手術件数も,例えば平成16年のときから大幅に,2倍の増加をしております。
 13ページ,14ページも,そのような経営資料についてまとめております。
 ですが,このように大幅に診療について増加をしている一方で,16ページ,17ページを御覧いただければと思いますけれども,大学職員の職務時間の中身が変わってきております。これは上が保健分野の大学教員の職務活動時間割合の推移でございますが,赤が研究時間,青が教育時間,社会・サービス活動が濃い青。失礼しました。診療活動が濃い青の部分でございます。御覧のとおり,診療活動がどんどん増えてきていて,研究活動の時間が特に大きく減ってきているというのが見られます。
 次のページでございますけれども,今のデータ,保健分野全てでございますので,文科省のほうでAJMCに調査をしていただいて,医師のものについて調査をしております。それが17ページのデータでございます。左が割合,右が絶対的な時間でございますけれども,例えば,左のこの助教のところ,赤く四角でついておりますけれども,緑が診療,濃い青が教育,薄い水色が研究でございます。いわゆる,これ,助教でございますので,普通に博士号取って,教員として雇われている方ですが,それでも診療が7割を占めていて,右側がデータでございますけれども,週当たりゼロ時間の研究時間であると答えたのが15%,49.7%は5時間以下でございますので,全部で65%が週当たり5時間以下の研究時間であるということで,なかなか深刻な状況にあるというふうに我々考えております。
 20ページ以降,少しお金の問題もございますけれども,御紹介させていただければと思っています。
 19ページ,国立,公立,私立,それぞれで財政支援,また診療報酬の入り方違いますけれども,例えば,20ページ,国立大学の業務損益の推移でございます。これ,平成22年から今回,全国立大学病院の財務諸表からまとめたものでございますけれども,青が収入,緑が支出でございます。平成22年の1兆円から,現在,大体1兆5,000億ぐらいまで収入は増加していますが,支出についても大幅に増加しておりまして,経常利益については非常に少ない状況となっております。
 21,22,23ページについては,国立大学収入割合の推移をまとめております。例えば,21ページ,国立大学全体では,運営費交付金が1兆円,診療報酬等で1兆2,000億というような大きな構造になっております。
 一方で,病院というものでございますと,22ページでございまして,その中で,病院の中に繰入れされているお金は運営費交付金1,000億,附属病院収益で約1兆2,000億,その他1,600億ということで,国立大学の収入の構造としては,こういうこととなっております。
 24ページ,業務損益の傾向については,公立,私立も同じでございまして,大幅に収入増加しておりますけれども,支出についても非常に大きく増加していて,経常利益は非常に厳しいという状況でございます。
 26ページでございますけれども,その大きな原因の一角を占めていると思われる医薬品費率,診療材料費率でございますけれども,これについても医学教育課のほうで,全ての大学,財務諸表からピックアップした資料でございますが,緑が公立大学,グレーが国立大学,四角が私立大学でございますが,医薬品・診療材料費率,両方合わせると,公立は44%,国立は41.6%,私立でも39.7%がそういったものの割合を占めておりまして,非常に厳しい財政の原因はここにある,一つとなろうというふうに考えております。
 27ページでございますけれども,これは国立大学だけのデータで恐縮でございますけれども,そのような状況ですので,十分な資金が確保できず,投資もできていない状況でございます。臨床,教育,研究を全て賄わなければならない,病院であるにもかかわらず,価値残存率というものがずっと下がっております。オレンジが建物,青が医療機器でございまして,医療機器に関しては,もうリースなども活用しながら,もう下げ止まっているというような状況で,国立大学病院長会議のほうからも,このようなお話聞いております。
 次のページ,借入金とあれの話でございますけれども,1兆円の最初の承継債務については,もうほぼ返し終わっておりますけれども,借入金膨らんでおりまして,現在,更新の必要な,そのような経常利益の構造ですので,建物や機器,ほぼ全ては,特に国立大学は借入れで対応しておるものでございます。借入金の依存,非常に高まっておりまして,その点も非常に厳しい状況を示唆しているというふうに考えております。
 そのような状況で,資料5についてでございますけれども,我々としての論点と改革の方向性のイメージをお示しさせていただきたいと思います。
 1枚おめくりいただきまして,大学病院改革のイメージでございます。
 あえて,ちょっと読み上げますけれども,働き方の推進等により大学教員で教育・研究にかける時間の割合が最も少ない保健分野の教員の研究や教育時間がますます減少するおそれがある。診療時間等の効率化,教育・研究支援体制の強化に加え,博士号の魅力向上や大学病院に勤務する教員の適正な処遇の推進によって,地域医療の提供体制は確保しつつ,我が国の医学・医療の発展を支える大学病院の医学研究・教育を充実・強化するという政策目標のために議論したいというふうに思っております。
 下はイメージでございます。現状,これは非常にざくっとしたイメージでございますけれども,2割,8割という形になっておりますが,今後,どんどん減少していく。特に教育・研究時間が大きく減少していくおそれがあるというように考えております。
 我々右側,大学病院改革を目指す形でございますけれども,診療時間を効率化することで,教育・研究時間を抜本的に強化する効率的な支援体制で,これは大前提でございますけれども,下の論点ですが,効率化に加え,大学病院の魅力を高め,地域医療を維持しつつ,研究・教育に対しても時間を割くようにすることができるようにするということが非常に難しいということは承知しておりますが,この検討会の目的というふうにさせていただきたいと思っております。
 戻っていただきまして,資料5の最初のページでございます。これは先生方の議論の参考になればというふうにやって,具体的な玉を少し書かせていただいております。
 検討事項の案でございますが,大学病院の在り方について,例えば,1つ目のポツから重要なところを読み上げますが,医学教育・研究を維持・発展させるために必要な環境整備はどうあるべきか。大学病院の研究・教育機能や所属する地域の医療提供体制などを踏まえて求められる役割や機能というのはどう考えるか。また,その役割・機能を発揮するためにはどういう方策が必要か。3つ目,医師の研究時間をどのように確保するべきか。維持するために,どんな方策が考えられるか。4つ目ですけれども,ICTやDXを活用した業務の効率化,また特定行為ナースや教育支援人材の確保などについて,どのような方策が考えられるか。大学病院の経営改善はどうあるべきか。民間病院などと比べて,どのような改善が考えられるかといった論点。
 2つ目でございますけれども,学部及び大学院における医学研究・教育の充実のための方策はどのようなものが考えられるか。また,社会人,基本的には臨床しながら博士号を取るというのがほとんどの医学関係者のキャリアパスの特性を踏まえて,研究医の養成のため,どのような支援が考えられるか。また,博士課程の進学者の増加,博士号の取得者の拡大について,どのような方策が考えられるか。特に今は専門研修を非常に魅力的でもあるということを若手の先生方から聞いております。専門研修と卒後の研修との関係において,どのような改善が考えられるか。また,教育・研究の観点から,4つ目,地域枠制度についても,教育・研究の観点から,どのような改善が考えられるか。最後に,教育・研究におけるDXをどのように推進していくべきなのかというような論点を具体的に出しております。これに限られませんけれども,このようなことを御参考に,様々な議論を展開していただければというように考えております。
 ちょっと長くなって恐縮でございました。ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。
 本日は第1回ということでもありますので,自由な御意見を頂戴したいと考えております。御説明にあった資料,検討事項案等も参考に,意見交換を行っていただきたいと思います。
 それでは,適宜,御発言をお願いいたします。
【大井川委員】  すいません。茨城県の大井川と申します。
【永井座長】  どうぞ。
【大井川委員】  よろしいですか。すいません。私,時間に限りがあるものですから,先に発言させていただいてよろしいでしょうか。
【永井座長】  はい。よろしくお願いします。
【大井川委員】  すいません。今日,機会をいただきまして,本当にありがとうございます。そうそうたるメンバーの中で,医学について,医学教育についてはほとんど素人でございますが,地方の実態という観点から,ぜひ問題提起をさせていただきたいと思います。
 皆様御承知のとおり,茨城県は,10万人当たりの医師数,全国で46位ということで,非常に医師少数県の代表的な場所でございます。県内のほうは筑波大学医学部がございますけれども,卒業生の半分以上が東京方面に行ってしまうということで,なかなか残ってくれないということに加えて,そもそも,皆様も御存じのとおり,政策医療という観点で,医療体制を維持するのに物すごく苦労しております。
 我々,医師の確保という全体的なふわっとしたことじゃなくて,もう本当に的を絞って,中核病院の機能を維持するという観点だけに絞って,中核病院で足りないお医者さんを,私自ら,本当に県が自らリクルートし歩いているという状況です。これって正直,正常な状況ではないというふうに思っています。
 我々自身が動いても,循環器系のお医者さんであるとか,あるいは産婦人科のお医者さんであるとか,小児科のお医者さんとか確保するのは,どこの大学に行っても,大体どこも足りなくて困っているという状況にある中で,簡単に地域枠増やせばいいという問題,もう既に現実,通り越しているんですね。これはちょっと何とか抜本的に見直ししていただかないと,私は医療に対する信頼感というか,医療教育も含めて,医療に対する信頼感というのは,地方から,相当崩れてくるんじゃないかなというふうに思っています。
 一方で,コロナ禍においても,茨城県は何とか地域の医療機関の最大限の協力を得ながら,医療崩壊を免れながら,防ぎながらやり繰りしてきたわけですけれども,やはり医学教育の在り方,社会のニーズに,命に直結する社会のニーズにどう応えていくかということの在り方ということを,しっかり,ぜひ先生方からも問題提起をしていただければなというふうに思います。
 数の問題もそうで,そもそも数というのが,医療の現場が,専門が細分化され,かつ,例えば女性のお医者さんが増えたこともあって,ライフステージの中で一旦職場を離れるお医者さんがいて,その補充も難しくなっているという話もお聞きしますし,あるいはかつてのように,三十何時間ぶっ続けで仕事するなんていうことをしづらくなったということで,働き方改革というのがあって,そういう中で,本当に医師というのは,日本全体で,2030年か,その辺で余るようになるのかという,あの厚労省の推計というのは,私,ちょっとあまりにも現実離れしているんじゃないかという問題意識。
 それと,もう一つは,専門で本当に世の中に必要とされている外科とか産婦人科とか循環器内科とか,そういうところに成り手がいなくなって,忙しいところほど,みんな成り手がなくて,耳鼻科と眼科と皮膚科がどんどん増えていくという。それって教育と教育機関として,ちゃんと必要な人材を送り出しているのか,私も疑問なしとは言いません。
 今,厚労省は地域枠の議論を含めて,医師が余っているところから医師が足りないところに人を動かそうという政策をやっていますけど,正直申し上げて,東京の大学病院含めて,足りないところは全部足りない。東京も含めて全部足りないんですね。そこの現実を目を覆って,総数を変えずに,あるいは専門における偏在を変えずに議論していても,あまり問題の抜本的な解決にはならないんじゃないかなというふうに思っております。
 この会議は何回か続くというふうに伺っていますけれども,本当に意味のある提案というのを,ぜひ先生方のお力で問題提起をしていただけるとありがたいなというふうに思っています。
 すいません。私,勝手なことを申し上げて。私からは以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 そのほか,いかがでしょうか。どなたからでも。
【熊ノ郷委員】  よろしいですか。
【永井座長】  はい,どうぞ。
【熊ノ郷委員】  大阪大学の熊ノ郷です。
 今いただいた御意見,非常に重要な問題で,いろんなところで,今,議論されていますし,本当に切実な問題だと思うんです。
 ただ,その一方で,この会議の意味を何にするかということが重要で,本当に医学,それから医療のニーズ,それから医療の行政,医師の偏在化って,本当に大きな,いろんな問題を含んでいるので,それは今,専門医機構とか,それから様々な,多分,会議体で,今,話し合われて,なかなか簡単に答えが見つからない問題だというふうには思っています。
 ただ,その上で,今回,この会議,この検討会を開く意義は,幾つかある会議体の中で,あえてこれを開かないといけない意義は何かということ,何からスタートして,この検討会を始めるのかということを知っておかないと,あまりにも多くの問題があり過ぎて,焦点がぼやけてしまうと思うんですね。
 大きな包括的なところでは,今回,委員にも入られています,全国医学部長病院長会議の横手先生がリーダーシップを取られている会議,そこから様々な,今,包括的な議論がなされて,提言がなされるというふうに,横手先生のリーダーシップでなされるというふうに伺っております。その上で,この検討会の意義は何か。何からスタートして,なぜこの会議の検討会を開かないといけないかというところは,一つは大学病院の在り方,改革ということ,もちろんあるでしょうし,それからそもそもの日本の研究力が低下しているということからスタートしたということも伺っておりますので,まず,そこを,あまりにも大きな問題を含んでいて,そして幾つかの会議があるので,この検討会は,何でこの検討会をしないといけないかということを絞って話をしないと,多分,幾つかの会議とかぶってしまいますので,その辺り,まず,なぜこの検討会必要なのかというところから始めたほうがいいんじゃないかなというふうに思いました。
【永井座長】  いかがでしょうか。事務局から説明いただけますか。
【俵課長】  医学教育課長の俵ですけれども。いろんな御指摘ありがとうございます。
 今回のこの検討会自体は,今,熊ノ郷先生からもありましたが,まずは一つ,働き方改革,これが来年度から実施されることを踏まえた大学病院の在り方,これをまず前半に議論いただきたいというふうに思っています。
 後半に関しては,さっきの検討事項のところでいうと,少し広い概念にはなりますが,医学教育の在り方ということで,この中には,先ほど大井川先生からもあったような地域の問題もあるかと思いますけれども,先ほどの会議の区別でいうと,地域偏在,あるいは医師のそもそもの数どうするかという問題については,ここで議論するのは難しいかなとは思っていまして,地域枠の問題を厚生労働省の中での議論を踏まえながら,どういうふうに考えていくのかということになっていくのかなと思っています。
【堀岡企画官】  そういう意味では,すいません。最後に御説明をさせていただいた資料5の2ページ目のイメージのところを,もう一度,御覧いただければと思います。
 我々文科省が,今回,永井先生のほうから10年ぶりというふうに言っていただいたんですけれども,そこはまさにこの1枚を何とかしたいというところが一番重要なメインのこの検討会の議論のお願いしたいところだとは思っております。
 特に,この一番右の大学病院改革,目指す形というものをどういうふうにお考えいただけるかというふうに,論は,メインのあれが,議論かなと,お願いしたいなというふうに考えております。
 以上でございます。
【俵課長】  この中でも大学病院の機能としては,診療,教育,研究がありまして,一つは研究力の低下,それと地域の貢献というか,医師派遣という形の地域貢献というのも大学病院の大きな機能でありますので,それを維持しながら,どういうふうに大学病院の機能を考えるかというふうに思っていますので,そういう視点での御意見をいただけたらなというふうに思っております。よろしくお願いします。
【永井座長】  今の点ですけど,急いで検討しないといけない重点的な項目が幾つかあると思います。
 ただ,焦点を絞ったほうが議論はしやすいのですけれども,この医学教育とか,医学の在り方,大学病院の在り方というのは極めて巨大なシステムの話ですから,部分最適化が全体最適化にはならないという問題があります。そういう意味で,重点項目を議論しつつ,もっと大きな構造的な問題についても,この際,議論すべきではないかと思います。本当に効率化だけで臨床,教育,研究,社会協働,地域医療の問題まで解決できるか。私は今回の問題の背景には,構造的な問題があるという認識でおります。
 こういう問題は,今に始まった話ではなく何十年も議論しています。足元の問題を解決しつつ,できるだけ大きな視点で,構造的な問題についても,この際,議論すべきだというのが私の意見です。いかがでしょうか。
 今村委員。
【今村委員】  奈良医大,今村です。
 私,20年ほど前から病院の経営,それと大学の法人化などと関わっておりまして,永井先生が大学,東大病院の病院長のときに経営を担当していただきました。まず,ここ20年の臨床の診療時間が延びた一番の理由は大学の法人化によるものだというふうに思います。
 あの中で,毎年,運営費交付金が減らされる,2%ずつ減っていく,それを自腹で回収してくださいというような大きな制度改革があって,それのときに人は増やせませんよという中で,じゃあ,今の人員で努力してくださいと。例えば総合大学であれば,実際,永井先生,病院長のときに,東大で何十億か赤字が出たことがあって,じゃあ,それを総合大学全体で費用で見ようとすると,法学部の1年間の経費分が丸々赤字になるとかというふうな状況で,当然ほかの学部からも,医学部の中で,それは何とか決着つけてくださいということを言われて,すると,今まで研究をやっていた先生方,票決する先生方に臨床やっていただくしかないという状態の中で,もともと医療って損益分岐,利益率が低いものなので,もうそれで診療の収入を増やすしかない。それで今に至っているので,もっとここ最近,拍車がかかっているのは,この法人化による独立採算の流れで,独立採算である以上は,臨床以外の教育,研究を度外視して,病院でやってくださいって。それは社会のニーズとして,重症患者さんを診る病院が求められていた中で,医学部附属病院にやってもらうという話が重なって,一段と拍車がかかっていって,それで病院のほうも,臨床助教といったような,臨床だけやっていればいいというような助教の先生をどんどんつくっていったので,まさに今のような状況が起こっている。
 その結果,むちゃくちゃ忙しい先生方が増えてきて,そこに働き方改革でですね。もともと献身的な先生方が2,000時間ぐらいの残業をしている中で,960時間に抑えてくださいということを,今まさにされようとしているので,これは構造的にお医者さん,特に病院の先生の献身的な努力で何とかしてくださいと言っているところに,その献身的な努力をさらにやめてくださいという話が載っていて,ここは物すごく矛盾していると思うんです。
 その中で,元の状態に戻すという意味では,20年前に戻せば,ある意味戻るんですけれども,もうここまで来てしまっては,そこを戻すことも多分できないというような矛盾の塊なんだというふうに考えています。ですので,永井先生おっしゃるように,構造上の問題が,今,重なっているんだと思います。
【永井座長】  永井ですけど,私が病院長のとき黒字でしたので,そこは訂正させてもらいます。
 資料の3の26ページ見ていただけますか。医学分野の科学論文の現状というのがあります(右上)。これは非常に興味深い図で,一番上が基礎生命科学,基礎医学です。2番目が臨床医学。臨床医学の論文は大きく伸びています。忙しいと言われる中で。ほかの領域が伸びてない。基礎医学は頭打ちです。しかしその頭打ちになったのは法人化してからではありません。1999年頃から頭打ちになっています。法人化は2004年です。おそらく,臨床医学は法人化後,労働環境はともかくとして,活性化されています。しかし,法人化以前から基礎医学を含めて,日本全体が頭打ちになったということで,やはりかなり根深い問題があるのだと思います。
 ただ,臨床医学は頑張って伸びたけれども,時間はなくなっている。国立大学は法人化によって国家公務員総定員法が外れたために,臨床も研究も活性化したと私は考えています。いろいろな認識のずれがありますので,こうした情報を共有しながらでないと議論がかみ合わないかなという気がいたします。いかがでしょうか。
 小川委員,どうぞ。
【小川委員】  先生,今おっしゃったように,確かに臨床論文は伸びているわけです。だけども,じゃあ,1960年代と比べて,1950年代から70年代に日米の貿易摩擦が起こりました。その結果,今,あの当時は日本の医薬品と,それから医療機器の輸出入はほぼイーブンだったんです。ところが,今どうなっているかというと,1921年は医薬品の輸入超過が年間3兆円を超えました。そして,さらに医療機器の輸入超過が1兆円を超えました。ですから,毎年外国に,この技術立国日本が4兆円の医療機器と,それからお薬代を払わされています。こういう状況は,国内の分野別論文数の推移とちょっと乖離があるわけです。
 基礎研究があって,それをちゃんとした商品にして,そして輸出すれば、この輸入超過が改善する訳です。4兆円といったら大変な話でございまして,毎年4兆円,こうなってしまったのは何でかと。結局,日本の医学・医療の研究力低下がこれを生んでしまったわけです。
【永井座長】  私が申し上げたのは,構造的な問題があるということです。日本の研究の在り方,どこを支援すべきか,あるいは運営の仕方です。ほかの領域に比べて,臨床医学は健闘しているけれども,非常に劣悪な環境の中で,健闘しているのだろうと,そういうことを申し上げたいわけです。
【小川委員】  分かりました。
【永井座長】  田中(雄)委員,どうぞ。
【田中(雄)委員】  マンパワーという問題と,今言われた質的な問題と,両方考えなくてはいけないことは間違いないですけれども,量的な問題に関しては,医師の数だけで話していると駄目で,駄目だというのは,そんなに総枠は変わらないし,人口もそんなに変わらないわけですよね。そうすると,この資料にもありますけど,タスク・シフトとか,ほかの人材を活用するといったことを考えなくてはいけないと思っています。
 量的な問題はもう一つあって,基礎医学,基礎生命科学の伸びが悪いというのは,片方で臨床医学が伸びていることに対する裏返しでもあると思っています。やっぱり人材のパイは限られているので,臨床医学のほうにシフトして,臨床論文にシフトしていけば,どうしても一定数,基礎に今まで投入されていた人間が減ってくるというところもあると思うので,そうすると,基礎生命科学は果たして本当に医師だけでカバーすべきものなのかという,もう一つの問題もあるのではないかと思います。
 ですから,量の問題は医師だけで解決しようとしないということは,研究においても,教育においても,診療においても重要じゃないかということ。それからあと質の面においては,今,小川先生おっしゃったように,少し質の面で問題がないかどうかを考えてみる必要はあると思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 私も構造的な問題という中に,本当に医学の教育や研究を,医療関係者だけで行うかという問題ですね。特に研究,あるいは臨床,医行為の問題です。こういうところにかなり構造的な問題があると感じているわけです。
 横手委員,どうぞ。
【横手委員】  ありがとうございます。大変重要な議論をいただいていると思います。
 我々,30年前,40年前に大学入ったとき,大学の医学部ってすごく自由度が高いとか,やりたいことができるというところに,忙しいけれども,みんな魅力を感じて,そして,いろんな人がいて,裾野が広かったというところあると思います。
 現在,この臨床研究の,僕は質は上がっていると思うんですね。永井先生おっしゃったように,いろんな構造,工夫とかがされて,先ほども今村先生からお話ありましたけれども,この現在,診療に頼って,診療を行い,それにリンクする臨床研究は発達している。一方,診療による収益で病院を回さなければいけない。そうすると,おのずと人の配置もそちらにシフトしてくるというようなことだとすると,今の構造の中で大学の教育と研究を診療とともにやっていくには,それが医師なのか,メディカルスタッフなのかは別として,人手を増やすしかないんじゃないかというふうに感じます。
 それは,それを雇えるような補助が出るのか,あるいは大学病院における診療報酬に教育,研究という部分も加味したような上乗せがなされるということが短期的には必要なんじゃないかというふうに感じる次第でございます。
 そしてまた,構造の面では,これは今,働き方改革ということで,こういうことがまさにあからさまになってまいりましたけれども,それと付随する地域医療構想と医師,あるいは診療科の偏在化対策が長期的には不可欠で,千葉県なども,すぐ近くの隣り合ったA病院とB病院に,A病院は第1内科と第1外科,B病院は第2内科と第2外科とかと人が送られている。そういうところが1つになれば半分の人手で済むというようなことがありますし,いくら医師を養成して,言わば蛇口の水をどんどん出しても,次に流れていっちゃうというようなことがあるとまずいですから,長期的にはある程度自由に診療科を選ぶというところの過程で,一定期間は外科,内科といった本当に必須のところに人が充足するような,そういう工夫も必要かもしれませんし,三位一体の改革を進めながら,まず,現在の構造のうちは,大学病院に対する人材を確保できる支援というものをしていただくことが必要なんじゃないかなと思いました。
 様々申しましたけれども,まず,私から以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ただ,人手をどこから持ってくるか,これは専門の枠の問題もあるのですね。これもまた追々議論いただければと思います。
 金井委員,どうぞ。
【金井委員】  発言の機会いただき,ありがとうございます。
 冒頭に熊ノ郷先生が,焦点を絞って,この委員会で何かを提言するということを,私も賛成です。
 その中で,働き方改革によって,大学病院が医師の働き方がさらに悪化するリスクに対して,それを改革する。それによって地域医療とか,あるいは研究医療がどうやったら上がるのかというところにフォーカスしたいなと思っています。
 その中で,別な観点で,ちょっとお話しさせていただきたいのは,私は構造だけを変えても,多分うまくいかなくて。ごめんなさい。大事なことは,若者の基質が変わっているということも重要なんじゃないかなと思っています。
 というのは,30年前とか40年前って情報が日本だけの情報しかなかった。でも,今はアメリカの医師はこんな感じだよとか,あるいはヨーロッパの医師はこんな状態ですよということ,こういう科に行けば,いっぱい収入が増えるよということも,彼らよく知っているんですね。そんな中で,今の日本の構造というのは,もうこれちょっといけないよねと言って,大学から離れていっているんじゃないかなということを感じています。
 その中で,若い人たちが本当に魅力ある大学病院ってどんなのという観点でも議論したいなというふうに思っています。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それについては,まず日本の医療というのは,アメリカのような市場原理の医療ではないということですね。かといって,ヨーロッパのような国家管理の医療でもない。ここが状況を非常に複雑にしているということは,ぜひ共通に認識しておいていただきたいと思ういます。
 宮地委員,どうぞ。
【宮地委員】  ありがとうございます。
 まず,働き方改革への対応として,現在,時間外の教育・研究業務の禁止などを含めて,各大学病院で独自の規定の導入が進んでいると聞いておりますので,どのような規定がどの大学で導入されているかについての現状調査をしてはどうかと思っています。
 その上でですが,研究時間の確保,教育・研究機関の医師に関して,子育て世代や彼らの家族の世話で時短勤務を余儀なくされている若手から中堅,女性,そして医学教育の研究者という立場から3点発言させていただきたいと思います。
 1点目は,大学病院の診療内容を,より特化したものとすることで,診療のボリュームを減らす議論です。
 2点目は,大学病院の経営改善の観点と医師の働き方の議論に,高騰する物価などの経済状況に見合った収入が勤務医に配分されているかという観点を加えていただきたいこと。
 3点目は,卒前・卒後の医学教育業務が,全体としてどのような負担となっているかという実態調査と,教育業務のボリュームダウンや外注を検討していただきたいことです。
 1点目の診療のボリュームダウンに関してですが,今ですら時短勤務で定められている終業時刻,業務を終える時刻までに業務を終えられない量の診療業務であり,残業を命じられているわけではないものの,患者さんを放り出して帰るわけにもいかないですので,結局,残業手当をもらえずに働かざるを得ないという状況は少なくありません。延長保育の料金,シッターのサポートの手配に係る利用料はもちろん持ち出しです。
 2点目の医師の収入の確保についてですが,そもそも大学病院の基本給だけでは,若手・中堅は家族を養うことができず,多くの医師は残業手当や当直手当に加えて,他院の診療を兼業することで収入を補っています。主な業務である大学病院での勤務時間が減ることで減収ということになると,それ以外の時間帯は,さらに別の病院で勤務に充てることになりますので,結果として,大学病院の若手・中堅医師の研究や教育の時間が減りかねません。
 3点目の教育業務のボリュームダウンと外注についてですが,近年,教育業務は増す傾向にあります。それによって,研究の業務はますます逼迫されています。特に卒前教育において,共用試験が公的化されたことに伴って,共用試験OSCEの評価書業務の負担増が懸念されています。先生方も御存じのとおりだと思いますが,より多くの大学病院の医師が,共用試験OSCEの評価者としての認定を受けるための講習に行かなければならず,自大学のみならず,ほかの大学に赴いて評価者の業務を担うことが求められています。これに応じることでの診療や研究,また,ほかの教育業務への影響を懸念する声が既に多くの大学から出ております。教育業務の総体として,どのような期待が大学病院の医師にかかっており,それが働き方にどのような影響を及ぼすかについての調査は,やはり必要だと思います。
 その上で,診療や教育業務のバランスという観点から,教育業務のボリュームダウンや外注について検討していきたいと思っています。
 例えば,臨床教育,臨床実習の場を,大学病院の割合から地域の教育病院へ移すですとか,シミュレーション教育をシミュレーション・スペシャリストの看護師にお願いするなども具体例として挙げられるかと思います。
 長くなりましたが,以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 アメリカでは,臨床実習は地域の病院で実施していることが多いですね。その辺もまた論点になると思います。
 釜萢委員,どうぞ。
【釜萢委員】  ありがとうございます。
 まず最初に,大井川知事さんからもお話がありましたが,医師が不足しているというふうに感じておられる自治体の長の方の思いは非常に切実なものがおありになると思いますが,一方で,もう若年人口がどんどん減少していくことは明白でありますので,医療従事者をこれ以上増やすということは,もうほとんど不可能だろうと思います。研究の分野で他の医療以外の方々に参入していただくということも一つの考え方ですけど,いずれにしろ,何しろ人口が今後,その分野に参入してくる人口を確保できないという中で,どのように対応していかなければならないかというのは,今回のこの検討会では,ぜひ議論を深めていくことができればなというふうに願っています。
 その中で,まず,ぜひ指摘したいのは,資料4の28ページの,この国立大の大学病院における借入金の推移でありますけれども,何といっても,独立大学法人という形の法人化が行われて,全ての大学の持っているマンパワーを,特に医学部ですが,病院の診療に振り向けて,借金の返済に充てなければならないという事態が,ずっと大変深刻に続いて,この表を見て,平成16年の借入れが承継された債務が,令和3年,令和4年でここまで減ったというのを改めて見て,これに携わられた方々の御努力は本当にいかばかりかと思います。
 一方で,その後も新規の債務というのが,どうしても増えていくという中で,独立大学法人という仕組みで,かなり附属の病院で診療収入を上げなければ回っていかないという,このことを何とかもう少し改善できないのかなというふうに強く思います。
 その中で,先ほど横手先生がおっしゃられた大学附属病院の果たす役割について,もう1回見直して,そして,その中で診療報酬の在り方を大学独自でというのは,なかなかこれはハードルが高いですけれども,その辺りのところに何か検討の余地があるのかどうかということは非常に大事な視点だろうと思います。
 また,資料5の,このポンチ絵は,これをよく見ますと,非常に深刻だと思います。現状で,これだけの勤務をしていたのを,何しろ,ぐっと減らしていかなきゃいけない中で,点線の右側のような理想的な教育時間と研究時間を確保するなどということが果たしてできるんだろうかと。
 先ほど宮地先生からお話がありましたけれども,大学に勤務される医師が,果たして必要な収入を確保できるんだろうかというところも非常に深刻な問題であって,今回,この検討会で何を考えるのかというのを,ある程度,的を絞ったほうがいいという御指摘がありましたけれども,永井先生がおっしゃるように,もうこれは非常に複雑に絡んだ,いろいろな要素がたくさんありますので,何とか,この検討の結果,少しでも実際に役立つ処方箋を描くということ,これが喫緊の課題だろうと思いますので,そういう方向に結びつくような議論をしなければならないと,冒頭では強く感じました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【田中(純)委員】  田中です。
 皆さんの意見,こう思ったのだというふうに,情報教育の点では,最初の会で情報共有をさせていただいてありがとうございます。
 働き方改革を含めた医療を維持しながらということと,研究力を上げるという相反する,限られたパイの中でやっていかないといけないので,非常に難しい問題だと思います。
 研究ということに特化すれば,独法化以後,専門医制度というのができて,臨床のほうでの到達目標が,若者の気質も変わってきたということも反映しているかと思うんですけど,到達目標を明確に提示されて,それで専門医を取るということが,非常に若者の側から見やすくて,そういう中で臨床研究の面白さというのが分かってくるので,臨床研究論文が増えてきた背景に,そういうこともあるのかなというふうに思うんです。
 一方,基礎生命科学,博士論文,学位を取るということについてのステップ,どれが取れるかということは,大学,あるいは教授の思い,あるいはどこまで到達すれば博士になるのかというのは,各教授の思い出のレベルになっているので,今の若者にとったら分かりにくいということもあるので,そこでの研究の面白さというのを教えていく必要があるんじゃないか。医学教育の中で教えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
 麻布型実習を,より若いところでやっていくというふうに,同じように,若い時点での研究の面白さとか,DXを用いた教育などを導入しながら,そちらのほうも強化していく必要があるんじゃないかな。そういう具体的なところの提案とかを考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
【永井座長】  ありがとうございます。
 諸岡委員,どうぞ。
【諸岡委員】  発言の機会を与えていただき,ありがとうございます。
 私,この委員会の中では,唯一,私,工学研究者でして,専門は画像処理なんですけれども,その画像処理を使った医療とか,介護とか,福祉を支援する研究に関して携わっておりまして,そういった立場から,ちょっと的外れな意見を述べるかもしれませんけれども,工学研究者の立場として発言させていただければと思っております。
 まず,私もこの会に参加させていただくに当たりまして,共同研究をしている医師の先生方とも,いろんなお話をさせていただいたんですけれども,こういった働き方改革において,何を解決したらよろしいと思いますかと聞いたら,ほとんどの先生が,いや,もう人数を増やしてくださいというふうに即答されておりました。この今までの御発言の中でも,そういった話が出ていますので,やはりそこは解決しなければいけないのかなというふうに考えております。
 一方で,私のような立場からいいますと,資料の3の30ページですね。医療DXの推進。こういったところが私が専門,それからこれまでの経験とかを生かしてお話しできるところかなというふうに考えております。
 例えば,近々で対応しなければいけないところといいますと,診療とかの効率化というところに当たると思います。私の経験からよく聞くのは,例えば,電子カルテの作成,これがすごく時間が実はかかって大変だという話を聞いております。例えば,ここに出ているように,その電子カルテの文章の標準化というのは,一つ効率化になってくるかなと考えておりまして,これが現実的にできるかどうか分かりませんけれども,昨今,もうほとんどの先生方,御存じかと思いますけれども,例えばChatGPT,ああいった生成モデルを使って,文章そのものをそのまま使うというわけにはいかないかと思いますけれども,例えば,そういうものを使って電子カルテを作っていくと,それをベースにですね。そうすると情報の標準化というところにも当たると思いますし,作成の効率化というところにも効いてくると思います。
 さらに,これからタスク・シフトとかシェアというお話がありますので,そういった情報の共有化ということも,やはり情報の標準化というのは非常に重要だというふうに考えておりますし,さらに,例えば,私,岡山大学の中では,自然言語処理を担当に,専門にされている先生がいらっしゃって,例えば,そういう電子カルテの情報から,ヒヤリハットの情報を抽出するとか,それによって,さらに治療とか診断とか看護とか,そういったものの効率化に使っていこうという,要するに,電子カルテの二次利用ですね。そういったものにも使っているんですけれども,そこでやっぱり御苦労されているのは,電子カルテの文章がみんなばらばらで,表現もいろいろあって,解析がしづらいといったところがあるんですけれども,こういった標準化をすることによって,そういった解析も進んでいくことによって,さらなる医療とか診療の効率化ということが望まれていきますので,その点,これは一例になりますけれども,こういった医療DXに関しまして,どういった点を,まず進めていったらいいのかという問題点を洗い出すとか,そういったところは,今後,この検討会の中で御議論させていただければと考えております。
 以上になります。
【永井座長】  ありがとうございます。
 小川委員,どうぞ。
【小川委員】  すいません。資料5の2ページ目なんですけれども,これは大学病院改革のイメージということで,現在,それから将来の臨床系の医師が,臨床系の教員が診療している時間,そして研究・教育をしている時間,これを出しているものなんですけれども,そもそも論です。医学部の臨床系の教員が,これだけ診療時間に時間を取られていると。ところが給料は文学部と同じなんですよ。文学部を悪く言うわけじゃないですけど,文学部でもどこでもいいんですけど,文系の教員は教育をして,そして研究をしていればいいと。普通は自分のゼミがあるときに大学に行けばいい。毎日大学に行かなければならないのは,臨床系の医師だけです。臨床系の教員だけです。これが同じ文部教官として,同じお給料しかもらえていないというところが,大体,根本的におかしい,ずれているということが1つあると思います。
 それから,私立医科大学の観点からいいますと,国立大学は何やかんや言って,そして確かに運営費交付金はだんだん,徐々に減額をされてきて,今,大変ですけれども,だけど,大学運営の55%は国費で賄われています。私大はというと,私立医科大学経常費補助金は頂いておりますけれども,これは大学を運営する運営経費の約3%から4%にすぎません。ですから,そういう意味では,国立大学と私立大学の違いが物すごく明確にあるんだということを,まず認識をした上で議論をしていただかないといけないんじゃないかなと思います。
【永井座長】  ありがとうございます。
 今の給与の問題も,大学紛争の前から議論している話です。多くの先輩たちは無休でやってきたんですね。給与体系とか,人事の在り方,さらに大学病院の組織の在り方というのも,いずれ御議論いただきたいと思います。
 いかがでしょうか。
 北澤委員。
【北澤委員】  北澤です。
 私は医療職ではないので,ちょっと的を外れた意見になるかもしれませんけれども,先ほどの小川先生の資料5の裏面のイメージの図から幾つか意見を言いたいと思います。
 まず,この目指す形に向かっていこうとすると,教育,研究の時間を増やして,診療時間を減らすということなので,これを達成しようと思ったら,大学病院に人を増やす,または大学病院で行う診療を減らすしかないと思います。
 まず,大学病院で医師の診療時間を減らすためには,先ほどからも御意見が出ているように,ほかの人にやってもらうということを真面目に考えないといけない。今日も看護師とか,ほかのいろいろなスタッフのタスク・シフトの話ありますけれども,もっと本格的に,どういう仕事を誰任せていいのかということについて議論いただきたいと思っています。
 それから,もう一つ。人を増やすということなんですけれども,大学病院の人を増やすとなると,よその病院の人を減らさなくちゃいけない。日本は昔から病床が多過ぎるとか,病院が多過ぎるために1つ当たりの病院の医師が少な過ぎて質が担保できないということが議論されています。大学病院で1人の医師の診療時間が減ったからといって,そこで受けられる医療の質が下がっては元も子もないので,質を担保しつつ,大学病院の医師の働く時間を減らすには,結局,日本全体の病院を整理して,もう少し集中させて,1次医療,2次医療,3次医療のすみ分けをもっと考えなければならず,そのためには文科省だけでは駄目で,今,議論されている医療計画とリンクした議論をぜひお願いしたいと思っております。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 私から,資料4の20ページを出していただきたいんですが,ここに大学病院の業務損益が出ていて,平成22年が1兆円の収入で,経費が9,800億円,この赤い折れ線が損益の差です。556億円。これが令和3年度には,1.5倍の収入になったのですが,差益は722億円。ところが,ここにはコロナの支援金が大量に入っているわけです。そうすると,大学病院の勤務医というのは1.5倍忙しくなって,ほとんど,むしろ収益は悪くなっているという,構造的な問題があるんですね。これをどう考えるのか。このままさらに発展しても,ますます首を絞めていきます。これを見れば,研究時間が減るのは当たり前だという話になるし,コロナの支援金が今後減ったときに,あるいはなくなったときに,経営的に非常に深刻な状況になるだろうと思います。ぜひ,このことも重要なポイントとして頭に入れておいていただきたいと思います。
 宮地委員,どうぞ。
【宮地委員】  ありがとうございます。今のタスク・シフトに関する御発言に重ねて,もう1点発言させてください。
 特定行為看護師の特定行為は,現在,比較的,今,38項目定められているかと思うんですけれども,まだ比較的小さな技能だと思います。なので,特定行為看護師の研修と現場への導入が進むのに併せて,その行為の範囲がさらに拡張できないかということを検討していく上で,特定行為看護師にもう少し大きな一塊の業務として,何を任せられるか,何を任せたいかという観点から検討することはどうかと思います。
 そして,その議論の枠組みとして,Entrustable professional activities,頭文字を取ってEPAと呼ばれる医学教育の概念がございますけれども,それが既に医師臨床研修での評価の枠組みにも導入されておりますし,一つ共通言語として有用ではないかと思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 今村委員,どうぞ。
【今村委員】  今,永井先生から,御指摘のあったコロナの後の費用についてなんですが,コロナを見る間に,大学病院は病床の制限を一部していて,その結果,物すごく材料費率が上がっているんですね。ですから,平均的に言えば,二,三%は上がっている。
 それで,このまま同じ患者数のまま病床の稼働率を戻すと,恐らく全ての病院が赤字化するというような状況で,もともとひずんでいた重症患者さんを集めていた大学病院が,さらに一層濃度が濃くなって,材料費率が物すごく上がった状態で脱コロナになっていくという,非常に危険な局面を迎えているというふうに思っていますので,ぜひ,そこはお考えいただければと思います。
 あと,ちょっと幾つか今までの議論の中で,医師偏在についての議論がございましたけれども,大都市から地方に移すという議論ではないと私は思っていまして,もともと現在でも,毎年3,000人ずつ医師は増えていっているんですね。辞めていく人と新しく免許を取る人の差はそれぐらいはある状況で,偏在の考え方としては,足りないところが増やす計画をしっかりとつくって,まだましなところは,そんなに増やす計画をつくらないでくださいというような考え方でやっているというふうに私は理解していますけど,世の中はそうは理解してなくて,東京から引っ張ってこいというふうな意味に捉えているんですけれども,そこは厚労省の説明の仕方もよくないのかなというふうに思います。
 あと,病院の集約化の医療計画の研究班も,私,させていただいていまして,これは10年ほどの議論の中で,日本中の病院が殴り合っても,なかなか集約化が進まないという現状があっての話なので,集約化するべきだということは,誰もが理解をしてはいてるわけですけれども,なかなか進んでおりませんし,それを進めていただいた,特に公立病院が進んだ場合は,大概は市長なり町長が選挙に落ちるという事態が起こりまして,なかなか進まないというようなことがあります。
 あと,最後にもう1点だけ。先ほど永井先生がおっしゃっていただいた,東大病院のときの赤字という話は,年度初めに赤字が出そうだという話を先生と一緒にお話しさせていただいて,年度中に赤字をなくしたということでございますので,ちょっとそこは誤解がないように訂正させていただきます。
【永井座長】  今の経費率の上昇というのは,まさに先ほど小川先生が言われた,海外の高額なバイオ医薬品を大学病院が重点的に使っているということによります。日本はその辺の開発ができてない,あるいはしていても,最近,自治医科大学の先端的な遺伝子治療の医師主導治験が続けられない。そのため海外企業に買われていってしまったということを経験しました。そういう意味での研究の在り方,まさにどこを支援すべきかということは,もう一度,考え直すべきだと思います。
 横手委員,どうぞ。
【横手委員】  ありがとうございます。今の議論の延長線上で,2点,お話をさせていただきます。
 まず1つは,やっぱり経営の面なんですけれども,病院,特に大学病院というのは,本当に多くの高度な機器を使う装置型産業であり,かつ医師,看護師を大量に必要とする労働集約型の産業というところで,お金がかかります。さらに今の光熱費の高騰,それから永井先生の始まった医薬品の高騰ですね。こういうもの,もう保険診療は公定価格でございますので,価格転嫁もできないし,今の日本の医療保険制度は本当に高度急性期病院に非常に厳しい,そういう仕組みだなと改めて思いまして,これは今後を考えると,大学病院はこのコロナ禍で,各地域の最後のとりでとして,大分大きな役割を果たしたと思うんですけれども,これが続けられなくなってしまう。そのような状況を,いみじくも,永井先生おっしゃいましたように,コロナ補助金で何とか問題点が表に出ないように覆い隠されていた。これが恐らく今年度後半からむき出しになってきますので,本当にカタストロフィックな状況にならないうちに,次の手を考えていただくということを,今日は趣旨ではないかもしれませんけれども,厚生労働省をはじめ,皆様に御検討いただきたいというのが一つでございます。
 あともう一つは,先ほど来出ている資料5の裏面の,この大学病院改革が目指す形。様々な目指す形があると思うんですけど,この示されている右の棒グラフ,帯グラフが一つの理想形であるとするならば,僕らのイメージは,これまで様々な業務を1人の人間が行うというふうに思い込んでやってきたと思います。
 ただ,恐らくそれは限界があって,診療メインで研究をやる人,あるいは教育メインで一部診療をやる人とか,そういう複数名でこれを分担していく形にならざるを得ないんだろうと,それが今の若い人たちが今後求めていって,やりがいを感じる姿だと思うんですね。
 その中には,人手を増やすことが大きく難しいということであれば,先ほど諸岡先生がおっしゃっていただいたような医療DXの全く新たな視点の導入。例えば,メールなども,GoogleのGmailなんかは,ある程度,もう文章の定型を出してくれたり,予想してくれたりするような機能も入っている。そんなことが電子カルテには,まだまだ追いついていない。そうやって業務の効率化を果たしながら,役割の分担,分業というのを進めて,何とか乗り越えていくということが必然なんだろうなというふうに感じました。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 今の点,私も同じ認識で,効率化だけで,みんなが同じように研究時間を増やすのは,無理に決まっているように思います。そうすると人による分業,あるいは同じ人でも時間とか時期による分業をまず考える必要があります。
 それから総枠です。研究する人の数や増やさないと無理で,そういう意味で,今後,議論いただきたいのは,もっとPhDの方に大学病院で研究ができるような環境をつくれないかというのが,私の一つの提案です。これも御議論いただければと思います。
 まず,金井委員,どうぞ。
【金井委員】  金井です。
 現状,ただでさえ大学病院の医師は疲弊している中,令和6年から働き方改革で,さっきのイメージ図のように少なくせざるを得ないとなったときに,ますます大学病院の医師は,もう疲弊するのは,多分,論理上,働き方改革と言っておきながら疲弊するのは,もう明々白々ですので,まずは,この令和6年以降の緊急避難としても,大学病院の医師の立場というのを改善する。そのためにも大学病院の経営がよくなるという仕組みというものが,ぜひ必要なんじゃないかなと思います。大学病院と一般病院と同じ保険でやっているという現状の中で,なかなかそれ,大学病院を維持するというのは厳しいんじゃないかなというふうに思っています。その辺,よろしくお願いしたいと思っています。
 以上です。
【永井座長】  田中委員,どうぞ。
【田中(純)委員】  言わずもがなのことですけど,10年前に臨時の定員が増えたときの状況と今の状況は女性の入学者の割合がかなり増えているということだと思うんですね。今おっしゃったように,毎年3,000人医師が増えているにもかかわらず,研究,あるいは診療に従事する人の割合が,女性だけではなくて,女性医師ではなくて,介護に関わるような,そういうライフイベントに関わるような方の割合がどれぐらい増えていて,博士課程にどれぐらいの女性の割合が入っていてということの分析調査も必要ではないかと,そこへの支援も今後はしっかり考えていかなくちゃいけないんではないかということで,今日,初めての会ですので,定義として挙げさせていただきます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 田中雄二郎委員,どうぞ。
【田中(雄)委員】  ありがとうございます。
 先ほど金井先生もおっしゃっていましたが,若い人のメンタリティーというのを考えていくと,働き方改革というのは,私はむしろポジティブだったと思っています。なぜかというと,あのまま行ったら,もう本当に働き手がいなくなっちゃう。要するに,あんなに残業してまで働こうとは思わないという人たちが非常に増えてきているという現実に,むしろ合った改革だ,合ったルールだと思います。あれでも,まだ多いかもしれないという感じです。
 それから,あともう一つは,今,医療界以外は,どんどん賃上げの時代に入っていて,そうすると,もう医師免許は取るけれども医師にはならないという人たちが出てくる可能性があると思っています。実際,医師免許を持っている人たちに対する社会の需要って結構大きいので,収入格差はむしろ逆に医師のほうが低いとなれば,そちらのほうに流れていく人材も出てくるので,それは必ずしも社会にとって悪いことでは,社会全体を見ればですよ,悪いとは言えない部分はあって,ですので,今の人数よりも,もっと実際に医療の現場に出てくる医師の数は減る可能性があるということを想定して,全体の設計,タスク・シフトとか考えないと,かなり困ったことになるのではないかなと思っています。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 あと,教育の負担ですね。もちろん大学病院で教育するのはよろしいと思うんですけど,海外の事例見ると,先ほどお話ししたように,かなり学生は地域に出て,地域の教育病院で臨床実習受けながら,全ての技術を身につけていると。
 宮地先生にお伺いしたいんですが,大学病院で全ての教育をしないといけないものなのかどうか,そこはいかがでしょうか。
【宮地委員】  ありがとうございます。
 やはりそれは大学病院がどのような診療を行っているかに依存するかと思うんですけれども,少なくとも医師として最低限求められる患者さんへの態度ですとか,一般的な症候に対する対応ですとか,外来診療などの,かなりの部分は恐らく地域の病院でも同じように教育ができるものだと個人的には考えております。
 大学病院じゃないと教えられないような高度な医療技術を用いたような診療ですとか,そういったものは大学病院でないとできないと思うんですけれども。
【永井座長】  この辺も論点だろうと思います。あまりにも多くの仕事を大学病院が抱え過ぎているんではないか。それを少ない人数で,無理してやってきたことが,かつての大学紛争の背景にありました。無理して頑張り過ぎると破綻します。そういう時代にまた差しかかっているように思うんですが,いかがでしょうか。
 小川先生,何か昔のことを思い出して。
【小川委員】  昔のこと。
 大学病院で教育するのは高度医療だと思うんですね。昔の赤ひげ医者といいますか,何でも,頭のてっぺんから足の爪先まで,何でも診療しますということだと。その中で一番大事なのは臨床判断なんですよ。
 例えば,岩手県のような広い県土で,それで大学病院まで3時間もかかるようなところで,開業の先生が,私は大学病院に負けない技術を持っている,ここで頑張ってやると。しかしながら,この患者さんのこの病気に関しては,ちょっとおかしいから,ちゃんと大学病院の専門医に診てもらって,方針を決めてもらって,そして私が診療しましょうというような,そういう臨床判断です。臨床判断を誤ると大変なことになりますし,それからもう一つ,岩手県は災害も受けましたんで,あのときにやっぱり全てお医者さんにかかってくるわけです。眼科のお医者さんだって,この辺,切ってきた外傷の患者さんのナートぐらいやってほしいよねと。
 例えば,大学病院まで3時間かかるところで,80歳のじいちゃんが,お顔をカマで傷つけた。まあ3時間もかけて大学病院に来させる必要ないから,ていよく内科の先生だけど縫ってくださいよねと。ところが,もし19歳の女の子が,顔を切ってきたらば,絶対にそこはいじらないでほしいと,これはもう絶対,3時間かかろうが,6時間かかろうが,大学病院に連れてきて,ちゃんと形成外科の先生にやってもらわなきゃならない。こういう臨床判断が求められるわけです。ですから,大学は高度医療をやっているので,高度医療を提供している。そして,地域の病院は,いろんな患者さんを扱っている。そういう中で,大学病院の診療のやり方と,地域病院の機能とは,やっぱり違うんだと。そして,そこには臨床判断というのが極めて重要だ。それを教育するのが大学でもあると思っています。
【永井座長】  ありがとうございます。
【熊ノ郷委員】  よろしいですか。
【永井座長】  はい,どうぞ。
【熊ノ郷委員】  これ,私より後で横手委員にフォローしていただきたいんですけど,大学病院の教育という面でいうと,もう我々が本当にまさに直面している問題は,臨床実習前のプレOSCEの共用試験の公的化,ここら辺の問題にあって,評価者すら自分のところの大学だけではなくて,よそにも派遣されて,しかも,評価者すら,ある資格を取らないといけない。しかも,最近聞きますと,その評価者が受ける試験も結構難しいらしいんですよ。大学で実習生を受け入れてるということは,それでちゃんと教育しているということなのに,評価者の資格すら求めるような,自分で自分の首を絞めているような制度が,今も直面しているような状態にあって,これ,ただでさえ若手教員というのは,これだけの負担があるのに,さらに大学に戻ってきたときには,その評価者の負担まで増えるというふうな,まさに直面している問題がありまして,横手委員,この後,少しフォローをお願いします。
【永井座長】  横手委員,どうですか。
【横手委員】  よろしいでしょうか。
 本当に,今,熊ノ郷先生,御発言いただいたんだと思いますけれども,各大都市であればまだ,都市部の大学病院であれば,何とか対応できるというところあるんですけど,本当,北陸の先生方ですとか山陰の先生方から非常に悲鳴に近いような声が上げられていると思います。
 それで,この教育って何よりも大事で,今日のメインテーマでありますけれども,永井先生が最初におっしゃった部分最適を追求し過ぎた場合に,トータルのリソースが限られていると破綻を来しかねないという一つの例ではないかというふうに思っています。ですので,しっかりとした必要なものを提供しつつ,何ができるかという,その準備が整うまでの間の移行措置のようなもの,今,先ほどの例は共用試験の公的化,非常に大事なことだと思いますけれども,現場でそれに追いついていないところというところを,今,共用試験の実施評価機構と全国医学部長病院長会議で話合いを様々させていただいて,無理のないようにソフトランディングしながら,よい方向に向かっていくというところを,今,お話合いされているところで,先ほど宮地先生からも幾つかコメントがあったと思います。
 田中先生も恐らく御発言があるんじゃないかと思いますけれども,もしよろしければと思います。
【永井座長】  田中雄二郎委員,どうぞ。
【田中(雄)委員】  結局,部分最適解が全体最適解じゃないという典型的な例だろうと思いますね。
 OSCE自体は,これでも例えば米国の水準に比べれば,ステーションの数も抑えているし,少し妥協していますけれど,今,熊ノ郷委員,横手委員から御指摘があったとおりで,これがじゃあ日本で今できるのかという,そういう視点だと思いますね。
 ですから,宮地委員が言われた,宮地委員だったかと思いますけれども,要するに,別に医師じゃなくても,OSCEの評価はできるはずですよね。例えば,ナースでトレーニングして勉強していただいた方だったら十分評価できるはずなので,そこら辺のリソースに関して,やっぱりちょっと見直しが必要だというふうに思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 今村委員,どうぞ。
【今村委員】  今,OSCEを大学内でマンパワー割かなきゃいけないということが,実は働き方改革でも全く同じことが起きようとしていまして,80時間超えた段階で,医師が面接を受けなければいけない。すると,各大学,多分,200人から300人,毎月面接しなきゃいけないというですね。すると,それを同じ大学内で面接し合うという形になりますので,OSCEよりも,多分,もっとマンパワー的には割かなければいけないという状態が,今,準備されていて,やっとこの問題が顕在化してきているという状態で,さらに同じように部分最適化が,より一層,大学を苦しめている状況があると思うんです。
 あと,働き方改革自身が地域医療に及ぼす影響というのは,物すごく私は危惧しています。今,大学がAなりBなり取って,そこで大学内で完結させることは多分できるんですけども,先ほど資料の4の10ページにありましたけれども,各大学は多くの病院に,それも恐らく急性期の忙しい病院に出しているんですね。そこでも人が足りなくなることは,もう間違いなくて,すると,人を出してください,もしくは派遣をバイトでも来てくださいという話が起こるんですね。要は,大学の中で完結させようと思うと,もうこれ以上は出せません,行けませんというようなことで,恐らく最初に引っかかるのは当直の話で,総数として,地域全体に,特に急性期で働いている方々が残業しているわけですから,そこにキャップをかけるということで,地域医療が崩壊する可能性があります。
 特に大学のほうがルールをきっちり守れば守るほど,地域医療への負荷がかかるというような,そんな関係にありますんで,そこの部分は大学が守られることは必要だと思いますけれども,その地域医療ということもちゃんと考えて対応していただけるようにするべきだというふうに思っています。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 小川委員,どうぞ。
【小川委員】  皆様,これは文部科学省で議論することではないかと思いますけれども,医療法上,病院がどういう類型の病院があるかというのを御存じでしょうか。一般病院と特定機能病院と,それから地域医療支援病院と,精神病院と結核病院なんです。それで特定機能病院というのは,特定機能病院というクライテリアができたときに,私は大変喜びました。これで大学病院の立ち位置が決まるんだと思ったのです。しかし特定機能病院の中にナショナルセンターが入り,その後,各都道府県のがんセンターだとか,様々な形態の病院が皆入ってきて,今,大学病院は80病院あるのですけれども,特定機能病院は百数十病院になっています。ですから,やはりしっかりとこれから大学病院のことを議論するのであれば,大学病院を医療法上,ちゃんとした大学病院であるという一つの位置付けにしてもらわないと議論が始まらないんじゃないかなと思っています。
 それから,もう一つ,先ほど来,皆さんからもお話がございますけれども,じゃあ,大学病院で働いているお医者さんというのは,本来であれば,教育と研究をやっていればいい教員なんだけども,そこに診療というのが入ってきている。労働基準法上の普通の方々の働き方には,通常の労働時間制とか,様々,フレックスタイム制とか,いろいろあるわけですけども,その中に大学病院で働く,大学病院で診療をやり,研究もやり,教育もやる,こういう方々の労働基準法上のクライテリアがないんですよ。そこに問題が生じるわけで,ぜひ,この辺は文部科学省の問題ではないかと思いますけれども,縦割り行政では困りますので,大学病院のことを議論をするのであれば,大学病院の医療法上の病院の類型をしっかり規定をすること,それから労働基準法上の大学病院で働く医師の働き方をしっかりとつくること,これから始めないと進まないんじゃないかなと私は思いますけれど,いかがでしょうか。
【永井座長】  いかがでしょうか。大学病院の位置づけというものを,もう少ししっかり明確にしてほしいというご意見です。
 例えば,大学病院の診療が1点11円になれば随分違うと思います。大学病院の経営という点からも考えないといけないと思うんですが。
【小川委員】  もう1点。じゃあ,今,1点11円というお話がございましたけれども,実は,病院が診療報酬を決めるわけにはいきません。中医協で決めています。政府が決めているわけです。それでそういう中で,この診療報酬というのは,消費税がその中に組み込まれているという国の認識なんですね。
 ところが,先ほど申し上げましたように,ある物すごい難病の方のお薬が,お一方に対する薬代,1億数千万円という時代に,今,入ってきているわけです。その1億数千万円の消費税は,どこが払っているかというと,大学が払っているんです。ですから,お一方の1億何千万円のお薬のために千何百万円の消費税を払っている。私立医科大学協会調べで,大体1法人当たり,毎年40億円です。40億円の消費税を国にお支払いをしている。
 大学病院は,やはり高度機能病院ですから,CTにしても,MRIにしても,あるいはロボティックサージャリーにしても,いいものを入れなければなりません。いいものを入れれば,それだけの消費税がかかってくるわけです。それが40億円。積もり積もって,毎年40億円というお金になってしまう。これでは,もう大学病院,大学はやっていけません。ですから,その辺も含めて御議論をお願いをしたいと思っています。
【永井座長】  あと,研究についていかがでしょうね。今,医学研究が非常に高度化していると。1人でやれる時代はよかったんだけれども,日本の臨床医学が伸びているといっても,もっと伸びるはずな割には,やっぱり非常に厳しい環境にあるんだと思うんですね。それは医学が,医学研究が非常に高度化して,何か,例えば,我々の若い頃だと,クローニングすれば,かなりいい雑誌に出たのは,たんぱくから細胞から個体から病気まで見ないといけない,非常に高度化している。これが臨床医の研究として担い切れなくなりつつあると思います。そういう意味では,病気の研究とか,あと先ほどの開発研究ですね,あるいは臨床研究の支援等について,もっとMD以外の方々の参画,あるいは活躍できる場の設定とか,それに見合った組織の在り方とか,そういうことも考えるべきだろうと思うんですが。
 それから,診療報酬が伸びなければ,あとはもう大学発ベンチャーでもやって,知財を確保しなきゃいけないと思うんですが,その足腰が極めて弱いわけですね。だから4兆円の輸入超過になってしまうわけで,いかがでしょうね,研究の在り方,小川先生,今までの御経験踏まえて,大学におけるPhDの活用というような。活用というのも失礼ですけれども,協働ですね。こういうところを,もっと受皿を広げるべきだろうと,そのための予算をつくるべきだろうと思うんですけど。
【小川委員】  そのとおりだと思います。ですから,医者だけではとてもやっていられない。やはり日本の頭脳を結集してやっていかなければ,世界には勝てません。ですから,PhDを雇うにしたって,結局,お金が必要なわけです。やはり大学に対する公的,高等教育に対する公的負担がOECDの中で最下位なんです,日本は。対GDP比0.5%で,OECD平均では1.1%なんです。ですから,そういう意味で,世界に伍するためには,そして,日本で作ったものを世界に売って,そして日本が潤って,そして患者さんに還元をするというような研究も含めたものが必要になってくると思いますので,ぜひ,その辺も御議論をいただければありがたいなと思っています。
【永井座長】  田中雄二郎委員,どうぞ。
【田中(雄)委員】  PhDとの連携ということですけれども,それを社会実装まで持っていくとなると,相当なインフラが必要になると思います。私たちも,だから東京工業大学と統合という話になるわけですけれども。
 それで,それを全国の医学部に広げることも,あまり現実的ではないので,幾つかのハブになるような大学があって,そこは強化するけれども,そこと連携ができるようにするということは現実的な対処だと思うのと,もう一つは,大学病院というのを,もう少し,例えば,工学部の人とか。いろいろな大学は地域にいろいろあると思います。工業大学も沢山ありますから,そういった人たちが,自由に出入りできるような仕組みに変えるということが,これはハードの問題だと思いますけれども,必要だろうと思っています。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。いずれ,どこかで大学病院の設置形態の在り方についても,ぜひ御議論いただきたいと思うんですね。
 いかがでしょうか。
【熊ノ郷委員】  よろしいですか。
【永井座長】  はい,どうぞ。
【熊ノ郷委員】  大阪大学の熊ノ郷です。
 研究の問題で,1つは大学病院,お金の問題で,PhDの方を雇用する場合には,雇い止めの問題とかもあるので,その後のポジションをどうするのか。それが終わった後,その方たちの行き先というか,キャリアが見えているのかという。これもこの医学の分野に限ったことじゃない大きな問題があると思うんですね。
 それともう一つ,この場で,今日は大学病院の改革なんですけど,触れておかないといけないことは,金井委員や田中委員のほうからも,大学に戻ってくる2年の初期研修,3年の後期研修終えた後に,大学に戻ってくる若い医師たちに,大学病院に戻ってくる魅力があるのかという問題があって,そのときにいろんな議論が多分これからあると思うんですけど,1つ触れておかないといけないのは,学位の,この4年間で,今,取れるような状態じゃなくなっていて,特にウエットの研究なんかは,臨床研究でも,ヒトのサンプルを使ったりする研究の場合に,4年で学位取れない時代に,多分,4年で取得率4割,6年でも6割ぐらいの割合に全国なっているんですね。
 今までいろんな大学では,英語の論文に通れば,それを学位と認めるような形になっていたんですけれども,多分これから,東大なんかはもう導入されていますけれども,資質の問題,学位を論文で認めるんではなくて,その人がそういった一つの仕事をまとめる能力を学位と認めるというのは,これは多分,文科省の学位認定のところにも関わってくるような問題であって,平気で論文を投稿しても,レビュアーに回る前に二,三か月ハンドリングされるような状態,それはハイクオリティー・ジャーナルであろうが,一般のジャーナルであろうが,同じように時間が圧倒的にかかるような現状が,ここ多分数年,それがどんどん期間が延びているような状態があるので,そのことも踏まえて,ここではちょっとあれなのかも,もうちょっとベースのところで議論したほうがいいことなのかもしれないんですけど,ただ,大学病院の改革をうたうんであれば,金井委員や田中委員のほうから御指摘あったように,若い医師から見て,2年や3年,そしてある程度の給料をもらえるようになった段階で,わざわざ大学病院に戻る魅力があるのかというところを考えないと,また大学病院に若い人が集まらないと,大学病院が地域医療で担っている,そもそもの人間関係できませんから,医師の派遣というようなところも多分担えないと思うんですね。その辺り,少し情報共有させていただきました。
【永井座長】  宮地委員,どうぞ。
【宮地委員】  ありがとうございます。
 ただいまの委員の御発言に賛同というか,重ねての発言になりますけれども,多くの医師は卒前教育の過程で,何かしら研究を自分なりに指導を受けながら手がけて,研究をまとめた論文を書くというアカデミックな基礎体力の養成を受けない,受け切れないまま卒業し,卒後,臨床医として働きながら大学院に入って,そこから初めて,そういったイロハから始まるといった辺りが,4年間で完成させて,研究者として一人前になるということのハードルになっているというふうに私自身は思っています。
 なので,例えば,卒前,医学部の卒業時までに卒論を書くようなプログラムを入れるですとか,少なくとも研究に関する基礎体力に関して,もう少し卒前の教育課程で養成するようなことができれば,少しその研究を医師としてやりながら,医師として働きながら研究をするということのしやすさにつながるのではないかというのが1点です。
 もう1点,医師,医学教育者のキャリアパスの特性ということで,研究要請の話題が,資料5の2の話題の一つとして出ていますけれども,厚生労働省のほうで,恐らく基礎研究員のプログラムが導入されていると思いますが,今後,こちらとどのような連携を取りながら,この話題をここで検討していくかといった辺りは文部科学省の方に伺ったらよろしいか,ちょっと分からないんですが,少し疑問に思ったところです。
 以上です。
【永井座長】  事務局,今の点,いかがでしょうか。
【堀岡企画官】  医学教育課,堀岡ですけれども,今,まさに厚生労働省のほうで臨床研修制度の見直しの議論,少し始まっていると思いますので,ここで出た御意見については,オブザーバーで,医事課長,山本課長にも参加もしていただいているところですので,お伝えさせていただこうとは思います。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
 それでは,今,銘苅委員が参加されましたので,御挨拶,あるいは何か御発言あれば,お願いいたします。
【銘苅委員】  遅れて申し訳ありません。琉球大学の銘苅と申します。産婦人科医をしております。私,病院では病院長補佐として,働き方改革と男女共同参画を担当しております。ちょっと出張先でありまして,ウェブの環境が大分悪くて,御迷惑をかけることもあるかもしれません。
 私,ちょっと今,皆様の議論が少し理解できていなくて申し訳ないんですけれども,どうぞよろしくお願いいたします。
【永井座長】  どうぞよろしくお願いいたします。
 そのほか,御発言いかがでしょうか。あるいは,銘苅委員,何かふだんお考えになっていること,この際,今までの議論の流れと関係なくても結構ですので,御発言いただけないでしょうか。
【銘苅委員】  そうですね。私は今,大学のほうでは働き方改革をしておりますけれども,この10年以上,沖縄県の医師会のほうで,女性医師支援として,医師支援を,女性の就業環境整備に携わっておりました。
 女性医師が辞めずに働くことということ,これまでずっと支援というか,サポートするシステムづくりに県として働きかけはしてきたんですけれども,やはりずっと大学にいる人間としては,女性研究者を継続して研究させるということの難しさを非常に常に感じながら,どうすればいいんだろうと悩みながら来ておりまして,今回,この会議のディスカッションの問題点を見せていただいたときに,全て私が今まで悩んできたことを解決に向けて文部科学省が議題に上げてくれたというのが非常にうれしく思って,今回,参加させていただいて,本当に感謝申し上げます。
 やはり研究者に男女はないかもしれませんが,女性はまだまだ家庭内での育児,家事というのを,男女共同になっていないところで,どうしても大学自体を辞めるという選択肢を取ってしまうんですね。研究に対して物すごく面白くなってきたというところで,例えば,子どもの少し問題が起きてしまうと,もうちょっと子どものために辞めてしまうとか,そういった,なかなか研究支援というところの難しさを感じています。議論のところで意見が,感想等,もしよろしければ,また引き続き述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【永井座長】  ありがとうございます。
【堀岡企画官】  せっかく今,ちょっと男女のお話,田中先生からもいただきましたので,我々のほうで,田中先生,事前にその話あったので,ちょっと調べておいたんですけれども,博士課程に所属している男性比率は大体70から75%ぐらいであります。女性比率が4割になったのは最近なので,この75%を評価するのはなかなか難しいんですけれども,確かに少なくとも現時点では博士課程,甲も乙も男性のほうがかなり多めではあります。現状のデータだけ,御紹介させていただきます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 あと,全体通じて。今村委員,どうぞ。
【今村委員】  話の内容が,病院のほうに移らせてもらいたいと思うんですけれども,大学病院が重症患者さんを中心に診るべきだということは,全くそれはそのとおりなんですけれども,今回のコロナで奈良医大が病床制限をかけて,重症患者さんに特化してしまうと,教育上必要な普通の患者さんが全然いなくなるという,なかなかシビアな状態が発生しています。実際,専門医を取って(取得して)いくためには,普通の患者さんを診ないと専門医を取れないようになっていますので,大学病院が重症患者を診るべきだという議論が行き過ぎて,一般の患者さんを一切診ないというふうになってしまうのは非常に危険ですし,結局,材料費率が上がっているのは,重症患者さんを中心に見るから上がるんで,普通の患者さんをみんな出してしまった結果という面が大きいと思うんです。ですから,普通の患者さんが診れないような環境を,今回の議論の中でつくり出してしまうのは非常に危険だなと思うので,意見として申し上げさせていただきます。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
【俵課長】  永井先生,ちょっといいですか。
【永井座長】  どうぞ。
【俵課長】  さっきの議論,今のお話にも関係があるかもしれないんですけど,地域の医療計画との関係について,北澤先生からも少し御意見をいただいたかと思うんですけれども,大学病院と,あと地域での在り方というのは,その辺りについて,もし御意見などいただけたらありがたいかなと思います。
【永井座長】  これはそれぞれの地域の医療計画をよく御覧にならないと分かりにくいところあると思うんですけれども,大学病院はほとんど高度急性期病床といっても,現実には,それほどは診ていません。高度急性期医療を地域の中でどう位置づけるか,何床ぐらいを高度急性期で,急性期,回復期にしていくかですね。いわゆる医療連携の話もあるわけです。その辺りいかがでしょうね。
 さきほどの教育との関係もありますが,全部大学病院で担っていたら何もかもそろえないといけない。でも,大学病院もそれほど稼働率は高くないですね。今村先生,その辺りいかがですか。
【今村委員】  医療計画,医療構想,どっぷりやらせていただいていますので,コメントさせていただきますと,都道府県で全然状況が違います。国立大学,公立大学,私学の大学でも全然状況が違います。
 例えば,私,奈良医大ですけど,ここは県立ですので,どっぷり医療計画に関わっています。でも,国立大学は,少なくともコロナが始まるのまで,あんまり医療計画に関わっているところは少なかったと思いますし,私学に関しては,基本的にはそんなに医療計画の縛りを受けていないところが多いというふうに思っています。
 それと,医療構想の中で,先ほど高度急性期というのを,どこまでやるかという話があったんですが,大学病院80が,じゃあ,どれだけ高度急性期と言っているかというと,一番少ないところは20床。大体800床ぐらいが平均ですけれども,多いところは全病床が高度急性期だと言っていて,国が出している高度急性期15万床の合計は,そういう曖昧な判断基準によってつくられているという状況があります。ICUだけを高度急性期だと言っているわけではないと思うんですけれども,そういう,まず誤解があって,今ある数字で議論するのは非常に危険です。
 その上で,大学病院が重症患者さんを診るということの中で,急性期の救急車をがんがん受けるという話と,高度医療としての患者さんを診るという,この2つの面があって,後者のほうは,今まで大学病院ではたくさんやってきているんですけれども,救急車を受けるというのは,割と最近,かじを切ったという状況があって,それも温度差が物すごくあります。
 ですから,地域医療としては,大学にともかくやってほしいという要望があるんですが,受ける側が設置母体によって,受ける責務をどれだけ感じるかという,まず差があって,その上でやっているところとやっていないところの格差が物すごく大きくなっているというような,今,状況だというふうに理解しています。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。本日は,論点出しということで,いろいろお話しいただいているんですが,本当にいろいろな問題があるということがよく分かりました。
 もしよろしければ,今日の議論を少し整理して,事務局でこれからの論点洗い出して,また事前に皆様にお知らせしたいと思います。
 いかがでしょうか。
【俵課長】  それでやらせていただきますので,よろしくお願いします。
 あと一つだけ,既にもう出てはいるんですけど,大学病院の魅力を高めないと大学病院に人が集まらなくなるという議論を既にいただいているんですけど,今の若い医師の先生だったり,学部の学生さんたちは,どういうふうに自分の働き先を。
 すいません。もう少し大きな声で話します。俵ですけれども。
 先ほどから大学病院の魅力を高めないと人がなかなか集まらなくなるだろうという御意見をいただいています。その中で,今の若い人たちがどういうふうに自分の将来を考えて,病院先を選ぶとか,あるいはその中で大学病院の魅力を,先ほど研究の時間を確保するとか,そういう部分での魅力を高めるということをいただいていますけど,その辺りについて,もう少し御意見などいただければなというふうに思ったんですけど。
【永井座長】  今の点,いかがでしょうか。
 小川委員,どうぞ。
【小川委員】  先ほど堀岡さんがどこかでお話しになったんですけれども,大学院で研究をする方の数が減っていると。その結果,もう学位も減っていて,世界の視点から見れば,ほとんど日本が一番減っている最たる国だと思います。
 そういう意味では,医学部を卒業したお医者さんたちは,かなり大変なわけですよ。大学6年間やって,そして,その後,一応総合的な診療能力を持つ医師のシームレスな育成ということで,これは資料3の14ページに,随分変わりました。すごくよく変わりました。だけども,その中でも,臨床研修2年間やって,その後,専門医研修をやらなければならない。じゃあ,どこに学位,あるいは大学院というのを突っ込めるかというと,かなり難しいわけです。
 それから,もう一つは,臨床研修やっていても,どっちにしても,大学に戻ってくると,お給料がやっぱり低いと。そうすると,大学院の学費も払って,そして社会人大学院,今ほとんど社会人大学院なんですけど,社会人大学院をやって,そして大学院をやって,そして学位も取って,そして専門医もやらなければならないということになると,そういう意味では,卒前医学教育から卒後医学教育まで,ずっと続く生涯医学教育というか,医学学習の中で,大学院の研究もちゃんと確保してあげなければならない。それのお金に関しても,いろんな意味での補助金も含めて,そういうことを全部トータルに生涯教育の中に組み込まないと,日本の研究力は決して向上はしないと思いますので,その辺の視点でも御議論いただければありがたいなと思っています。
【永井座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。横手委員,どうぞ。
【横手委員】  どうも移動中のところで申し訳ございません。聞き苦しいかもしれませんけれども。
 今の小川先生のお話に関連するとするならば,1人の医師,あるいは研究も,熊ノ郷委員がおっしゃったように,昔だったら3年,4年で論文一,二本書けたところが,物すごく多くの時間と労力を要するようになってきていると思います。そういう意味で卒前教育が公的化,共用試験も含めてされて,前倒しになってきたこと,プラスに転じて,早くから医師養成ができると。そうすると,卒後の早い時期に臨床も研修もできるような,逆にそれを逆手に取ってバリエーション,いろんなことに挑戦できる時間を前倒しすると,卒後の早い時期からですね。研究ができるような,そういう展開にも使えるのかなとちょっと思いまして,卒前も卒後もヘビーに研修していくというだけではなくて,早め早めに臨床の部分,終えられるところを終えて,研究にもまたインボルブできるような,そういうスキームなども,研究を改めて活性化するためにあり得るのかなとちょっと思いまして,一言補足させていただきました。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【田中(純)委員】  短く。そう思います。卒前のところの,今,MD-PhD育成コースとか,医学研究実習とか,どこの大学もやっていると思うんですよね。その中で研究の面白さとか,論文の書き方とか,あとパブメドの使い方とか,それから今,DXのカルテをどのように取り扱うかとかいうようなことも早く,3か月実習を早く前倒しするように,研究についても早く前倒しをして,面白みをまずイニシエーションして,それで研究とかいうのをやるような,シームレスな医学教育がこれからは求められるんじゃないかと思っていますので,ここら辺の議論を皆さんと一緒にしていきたいなと思っております。
【銘苅委員】  よろしいですか。
【永井座長】  どうぞ。
【熊ノ郷委員】  研究に関しては,本当におっしゃるとおりで,裾野が大事なので,スティーブ・ジョブズの言葉でマーケットの基本中の基本は,とにかく裾野だという言葉がありますけれども,やっぱり裾野がありなので,なるべく早く,このことを逆手に取って,前倒し前倒ししていくというのが一つ作戦かなと思います。
 それと,もう一つは,ちょっと別の言い方になるかもしれないんですけど,研究って伴ったものが,最後は創薬にしたって何にしたって伴ったもの。でも,そこは,例えば,教習所を幾つか,しっかりと渡り歩くようなシステムにがちがちにしてしまっても駄目なんです。A教習所を経た後,また次はB教習所に言って,車の自動車免許と同じように,そこではF1レーサーは絶対出てこないので,逆にとんがった人たちを摘んでしまう制度にならないように,ある程度のゆとりというか,そういうことを持たすということも,なかなか難しいのかもしれないですけど,大事じゃないかなと思います。
【永井座長】  銘苅委員,どうぞ。
【銘苅委員】  すいません。ちょっとネット環境が悪くて,重複した御意見になるかもしれませんが,申し訳ありません。
 現場で若い医師に研究させるということは,物すごく,今,難しさを感じています。というのも,博士号を取ったことの意味というか,それがキャリアアップになっていない。それを持っていることが,今後の臨床生活に武器とならないというのが,やはり若い方々はすごくシビアに捉えていて,以前からだと思いますが,今はもうなおさら,博士号を取りたいと思う方がほぼいらっしゃらない。そこで何とか大学病院で働いている時期に,研究の面白さを少しずつ負担のない範囲でさせて,ようやく研究が面白くなってきた。そこでようやく大学院に入ってくれる方が,本当に僅かにいらっしゃる。そういった,すごく現場では難しさを感じているところで,若いときに,じゃあ,学生の間とかに研究をさせるといったとしても,物すごく臨床に熱意を持っている。私は臨床医師になりたいんだとか,地域で活躍したいんだというところで,じゃあ,その研究をやっていただいたところで,とても大事,興味深いところではありますが,臨床も知らない医師で研究をするというところも,教える立場とすると,難しさもあるのかなと,今ちょっと思いました。臨床研究というのは,現場に出て臨床でクリニカルクエスチョンを感じたところで,面白さを持ってやるというところが,今,すごく大事かなと思っているところで,じゃあ,学生に臨床も知らないところで,どういった研究を実際させるのかなというところを,今ちょっとイメージできなくて,御意見としてさしあげました。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大分満腹になった感じがいたしますので,今日の議論を整理させていただきたいと思います。
 では,今後のスケジュールについて,事務局から説明をお願いします。
【相原課長補佐】  事務局でございます。資料の6を御覧いただければと思います。
 本日,第1回目の検討会がございましたけれども,次回以降,月に1回程度の開催を予定しておりまして,6月から7月に大学病院の現状と課題,大学病院の機能強化等について御議論いただければと考えてございます。8月頃には課題を整理し,9月頃に中間的な取りまとめをお願いできたらと考えております。
 また,その後,必要な調査等を実施した上で,令和6年1月頃に検討を再開し,令和6年5月頃には最終的な取りまとめをいただけたらと考えてございます。
 なお,次回の日程でございますけれども,6月23日金曜日15時から17時半を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それでは,本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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