今後の医学教育の在り方に関する検討会(第12回)議事録

1.日時

令和7年3月21日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省(東京都千代田区霞が関3-2-2) ※対面・WEB会議の併用

3.議題

  1. 大学病院の機能と研究支援の在り方
  2. 第6次国立大学法人等施設整備5か年計画(R8~12年度)策定に向けた中間まとめ(素案)の報告
  3. その他

4.出席者

委員

永井座長、今村(知)委員、今村(英)委員、大井川委員(代理:茨城県保健医療部 砂押次長)、岡部委員、金井委員、北澤委員、熊ノ郷委員、炭山委員、田中(純)委員、銘苅委員、諸岡委員、山口委員、横手委員

文部科学省

伊藤高等教育局長、奥野審議官、俵医学教育課長、堀岡企画官、永田大学病院支援室長 他

オブザーバー

広島大学病院 安達病院長、香川大学医学附属病院 門脇病院長、昭和大学病院 相良病院長
厚生労働省医政局 西嶋医事課長、厚生労働省医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室 松本室長、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課 釜井課長、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室 小林室長

5.議事録

【永井座長】  委員の皆様,お忙しいところ,お集まりいただきありがとうございます。これから12回目の今後の医学教育の在り方に関する検討会を始めさせていただきます。
 まず事務局より,委員の出欠状況,配付資料の確認,オンライン会議での発言方法について説明をお願いいたします。
【海老課長補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。
 本日の委員の出欠状況でございますけれども,本日は田中雄二郎委員,宮地委員,和田委員から御欠席の御連絡をいただいております。また,大井川委員に代わり,茨城県保健医療部,砂押次長に代理出席をいただいております。なお,熊ノ郷委員は遅れての御出席の予定でございます。
 また,本日は厚生労働省の特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会に委員として御出席をされておられます門脇則光香川大学医学部附属病院長,相良博典昭和大学病院長にも御参加をいただいております。加えて途中,11時頃より安達伸生広島大学病院長に参加をいただきまして,広島大学病院での取組等について御紹介をいただく予定でございます。安達病院長は11時半頃,退席の予定でございます。
 それでは次に,配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は会議次第に記載のとおりですが,お手元にございますでしょうか。なお,資料につきましては,文部科学省のホームページにも公表をしております。
 続きまして,オンラインによる会議の進行に当たってのお願いでございます。御発言をされる場合には,Zoomの挙手ボタンを押していただくようお願いをいたします。その後,座長から順に発言者を御指名いただきますので,御発言をいただく際にはマイクがミュートになっていないことを御確認の上,御発言をお願いいたします。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それでは,議事に従いまして,まず大学病院の機能と研究支援の在り方,続いて第6次国立大学法人等施設整備5か年計画策定に向けた中間まとめ(素案)の報告,その他について御議論いただきます。
 議題の1,大学病院の機能と研究支援の在り方について,事務局より説明をお願いいたします。
【堀岡企画官】  よろしくお願いいたします。医学教育課の堀岡でございます。
 まず,資料1を御説明させていただきます。資料1,2,3と連続して御説明させていただきます。
 資料1,16ページ以降の参考資料と並行して御説明させていただきます。画面にも両方お示ししながら御説明させていただきますので,御了承いただければと思います。
 それでは,まず2ページをお開きください。大学病院の役割・機能に対する意見ということで,大学病院改革プランを全大学病院に作成いただいた上で全大学病院にヒアリングを行い、その議論をまとめたものでございます。前回の御議論でも出たとおり,意見のまとめの1つ目,2つ目でございますけれども,教育・研究・診療全てを担うことは絶対重要だという意見がある一方で,その中で一様に最大限に取り組むことは限界があるので,担うべき役割のエフォート配分,教育とか,研究とか,診療とか,様々なものに重点化していきたいという大学が多いという資料でございます。前回と数字だけ変わっております。
 4ページ以降に,教育,研究,診療それぞれの論点と,前回の御議論を踏まえた対応案について御説明させていただいております。
 5ページから,前回の論点に対する対応策でございます。
 まず1つ目でございます。教育に対する対応ですが,診療参加型臨床実習の充実,シームレスな医師養成の観点でも非常に重要だと思っております。低年次から多様な実習の実施を推進するとともに,診療参加型臨床実習など非常に手間がかかるものでもございますので,実習の趣旨や期待される医行為などに関する一層の理解や,臨床実習指導医の称号を付与したりするという仕組みについて具体化していきたいと思っております。
 参考資料として,18ページ,19ページがございます。前回,現在調査中であると申し上げておりました医行為についてのデータがございますけれども,18ページ,19ページに資料結果の仮集計を出しております。
 19ページのほうが分かりやすいので御説明しますと,様々な医行為について,平成30年のときに厚生労働省でやっていただいた調査と令和6年度に今回実施した仮集計の結果が出ておりますけれども,あらゆる医行為で,今の診療参加型臨床実習受けている医学生のほうが自信を持ってできる医行為というのは増えている一方で,例えば,左の上から真ん中ぐらいのところに静脈採血という非常に基本的な手技がございますけれども,それでも30%程度の医学生しか自信を持って医行為できないという状況でございますので,更に診療参加型臨床実習を進めて,医行為などの経験も進めていかなければならないと考えております。
 次に,5ページの2つ目でございますけれども,負担軽減なども含めて,教育の質の向上に資する「プラットフォーム」の整備に取り組むというもの,また3つ目,専門研修と博士課程を両立可能なプログラムの更なる充実や,大学院生のTA・RAの充実の推進や経済的支援の強化に努めるといった資料を出しております。
 参考資料の22,23ページ以降に大学院生のデータなどを出しております。また,26ページに,専門医機構などと調整して,専門研修を行いながら大学院に入学できる仕組みというものにできるだけ取り組んでいくということを書かせていただいております。
 4つ目,教育の観点からも,大学病院の若手医師の勤務環境の改善や,たすきがけ型研修の一層の推進などによって,診療業務の増大によるエフォートを抑えて,教育・研究に対するエフォートをきちんと割けるような支援を検討しております。
 次,7ページ,研究に関する論点とその対応でございますが,前回も御議論いただきましたが,参考資料の28,29ページ辺りに,大学ごとの論文数及びTop10%論文の割合のデータ出しております。
 ここに書かせていただいていますとおり,必ずしも規模の大きい大学だけがTop10%論文などを出しているわけでもなくて,総合的な研究力の向上を目指す大学というものと,特定の分野・領域において相乗効果を発揮するような共同研究拠点を担うことができるような研究の大学という,様々な形があると考えておりまして,それぞれの特徴を生かした支援を行っていく必要性があると考えております。
 2つ目,研究に専念できる環境を整備するために,研究支援人材の確保とか,競争的研究費のバイアウト制度の活用が不十分で,もっとこれを推進していかなければならないという論点でございます。
 35ページに,今回,文部科学省でも調査いたしましたバイアウト,PI人件費制度について,どれぐらいの大学が活用可能としているかというような調査結果ですけれども,大体半数強の大学が活用可能とお答えしておりますけれども,研究者などにヒアリングしますと,あまり使われていないというような現状もありますので,さらに推進していきたいと考えております。
 また,36ページ以降に,医学研究分野における研究者の多様性,流動性についてのデータを示しておりますけれども,永井先生からも度々御指摘いただいているように,保健分野の教員では自大学出身者が占める割合が高いというのは事実でございます。
 一方で,どのように乗り越えていくのか,それが一律に悪いことなのかということも含めて,どのように取り組んでいくのか、7ページでも論点で書かせていただいておりますが,研究者の多様性・流動性の向上に努めることが重要であるというのは論をまたないことでございますけれども,研究者間や組織間のマッチングをどう進めていくのか,課題の整理に取り組んでいきたいと考えております。
 3つ目,診療の論点を9ページにお示ししております。大学病院では高難度手術や難治性疾患のような高度医療をやっていたり,また幅広い診療科を備えることで複数の診療科にわたる合併症の診療を行ったり,医師派遣というものをやっているのは,もう皆さん御存じのとおりだと思います。特定機能病院としてどのような指標に基づいて評価されるべきなのか,厚生労働省と連携しながら検討していくということだと思っております。
 いわゆる「発展的な基準」に対する指標については,地域や自院の実情などについても留意していただきたいと考えておりまして,参考資料として39ページ,40ページと41ページといったところをお示ししております。
 いずれも,どの地域においても1県1医大地域で特に強い傾向でございますけれども,地域において,例えば高難度手術をほとんどやっていたり,ロボット手術などはほとんど全て大学でやっていたりというような,難しい診療を行っている例を示しています。
 また42ページ,43ページに,ある大都市圏にある大学病院についてもデータを示しておりますけれども,それでも1県1医大ほどではないですけれども,高度な手術やっているというデータは示されておりまして,大学病院がどの病院においても高度な医療の提供というものは一定程度行っていると思っております。
 45ページ,46ページで,厚生労働省もDPCのデータを踏まえて様々な分析を出していただいておりましたけれども,我々も様々な分析をしておりまして,DPCの標準病院と比較して,D難度,E難度といった非常に高難度の手術ですとか,10万点以上の手術,また難病患者などは圧倒的に大学病院が診ていると考えておりますので,こういったことを,「発展的な基準」としてどのように設定するべきなのかということを厚生労働省と連携して検討していきたいと思っております。
 9ページの次の論点でございますけれども,後ほど御説明いたしますけれども,今回,特定機能病院で医師派遣について新たな基準を設定していただくというお話を聞いております。大学病院は医師派遣を非常に積極的に行っておりまして,医師派遣により広域な観点での診療や,特に医師少数区域での診療が維持できるよう,厚生労働省と連携しながら,その支援について検討してまいりたいと思っております。
 大学病院の医師派遣については,厚生労働省だけでなく文部科学省も連携して,都道府県や大学病院について,きちんと働きかけを続けていきたいと思っております。
 47ページ,48ページに,国立大学,私立大学それぞれで,どの程度医師派遣行っていただいているかという調査結果を出していただいております。両方で約9万人の医師派遣を行っておりまして,地域医療に非常に貢献していると考えております。
 また49ページ,50ページ,地域医療介護総合確保基金について,厚生労働省のほうで医師派遣について,昨年度特に新たな観点で出していただいた基金でございますけれども,これについても一定程度,大学病院でも受け取ることができているというデータを示しておりますが,一部受け取っていない大学などもございまして,今後とも働きかけていきたいと考えております。
 続いて、診療についての論点でございますけれども,タスク・シフト/シェアは,勤務環境改善や医療人材を養成するための環境整備について,文部科学省としても好事例の横展開などしていきたいと考えております。タスク・シフト/シェアは,診療だけでなくて教育・研究エフォートを確保するという意味でも非常に重要だと考えております。
 52ページ,53ページ,また54ページ以降に好事例出しておりますけれども,国立大学は若干少なめでございますが,特に,例えば53ページ,私立大学,関西医科大学などは,100人以上の看護師が特定行為研修を修了しておりまして,自治医大も非常に多くございます。
 54ページ以降に,そのデータございますけれども,看護師の10人に1人が特定行為研修を修了するほどの養成をしていただいておりまして,さらに増やしていくともヒアリングで聞いておりますので,教育・研究エフォートを確保するための取組としても重要だと思っておりますので,文部科学省としても努力していきたいと考えております。
 また,今般,看護師のモデル・コア・カリキュラムを,全国統一のものとしては初めて文部科学省で作成して公表したところでございますけれども,特定行為研修の基盤部分の一部を,そのモデル・コア・カリキュラムの中に含まれており,今後どのような形で,各大学が運用し,より質の高い看護師の養成を推進できるかということを文部科学省としても考えてまいります。
 10ページ,最後に運営,財務・経営に関する現状・課題についての論点でございます。
 11ページでございますけれども,まず1つ目,今まで御説明差し上げてきました大学病院の教育・研究,また,それだけでなく診療,医師派遣についても,厚生労働省だけでなく文部科学省も連携して,大学病院の位置づけを明確にするということを我々も考えていきたいと考えております。
 また,参考資料の59ページ,60ページにございますけれども,これも大学病院の先生方から非常に常々継続的に御指摘いただいておりますけれども,非常に厳しい経営状況にございます。国立だけでなく公立,私立も非常に厳しい状況でございますので,それを踏まえた診療報酬等に対する評価の在り方,また物価高騰などの対応として,医療機関の運営を持続可能にするような支援の在り方についても検討していきたいと考えております。
 また,大学病院全体の経営状態を俯瞰するということももちろん重要なことですが,また診療科ごとの収支なども第1回の検討会で出しましたけれども,経年で比較するといったこと重要だと思っております。
 病院長を含む幹部職員や事務職員などに病院経営に必要な知識を身につけていただいたりするという計画的な人材養成,非常に重要だと思っておりまして,67ページ以降に,今の取組をお示ししておりますけれども,診療科ごとの経営分析などもきちんと進めていきたいと考えております。
 また,経営状態の悪化によって医療機器の更新ができていないというお声をいただいております。最先端の医療機器の整備など,高度な医療人材の養成に当たり必要となるものについては,きちんと文部科学省でも継続的かつ計画的な支援を取り組んでまいりたいと考えております。
 参考資料70ページに,補正予算として50億円の医師養成に関わる医療機器整備支援をお示ししておりますけれども,71ページのように,様々な大学病院で必要とされる医師を養成することに関連した医療機器の整備を支援するという枠組みで,こういったものについて継続的かつ計画的な支援を取り組んでいきたいと考えております。
 また,最後に参考資料73ページ,繰り返しになりますけれども,医師の処遇について大学病院,非常に厳しい状況にございます。諸手当の原資となる安定的な財源の確保が課題であり,国として,厚生労働省と文部科学省連携して,引き続き財源確保について検討していきたいと考えております。
 これらを踏まえて,特定機能病院制度への見直しの文部科学省としての意見について,簡単にまとめております。
 13ページでございますが,後ほど厚生労働省からも追加のコメントがあればいただきたいと思っておりますけれども,特定機能病院のあり方に関する検討会で厚生労働省のほうで議論がなされていることを1枚におまとめさせていただいております。
 まずは大学病院を,地域において高度な医療を提供するための拠点としての機能や,今まで評価されていなかった医師派遣機能を果たしているということを新たに評価していくと。それらを,まずは全ての大学病院本院が満たしやすいというか,満たすべき「基礎的基準」として整理するとともに,個々の大学病院が地域の実情を踏まえて自主的に実施しているような取組を「発展的な基準」によって評価して,その結果を公表していくという仕組みだと思っております。
 左に基礎的基準,右に発展的基準をお示ししておりますが,黒く線を引いているものが新たなものでして,特に大きな項目としては,医師派遣について,基礎的基準の中に織り込まれております。
 また,発展的な基準といたしましても,医療提供に関する基準,教育,研究,医師派遣に関する基準それぞれで設定していただけると聞いておりまして,これら地域の実情に応じた発展的な評価をしていただきたいと思っております。
 文部科学省としての意見が14ページ,15ページでまとめております。
 14ページで総論でございますけれども,まず,特定機能病院で真に満たすべき要件を「基礎的基準」として,「発展的基準」については大学病院の重点化を促すことにつながるような要件設定をしていただきたいと考えております。
 また「発展的基準」については,重点化の意向や大学病院の環境を踏まえて,重点化することに必要な取組を中心に評価しながら,その他の機能についても大学病院で果たすことが望ましい要件も選択し,併せて取り組むことを求めるといった柔軟な制度設計をしてはどうかと考えております。
 3つ目が,特に診療に関する上乗せ基準だけではなく,教育や研究に関する「発展的基準」を満たす取組を行った大学病院についても,診療報酬等,財政的支援を適切な評価をしていただきたいと考えております。
 4つ目が,「基礎的基準」を満たせなくなった大学病院についても,直ちに取り消されたりするというようなことがあれば,実質上,財政的支援とも紐づくことが多いと考えておりますので,医育機能に致命的な悪影響が出る可能性があると思っており,大きな支障が生じないような配慮をお願いできないかと考えております。
 また,医師派遣に限らず,様々な大学病院の先生から意見いただいたんですけれども,様々な地域医療への貢献,また大学そのものが学校教育の向上,社会貢献というものをやるという役割を既に法律上与えられているものでもございますので,大学病院もそのような貢献いたしており,様々な留意をしていただければと思っております。
 各論でございます。先ほど申し上げた4つの基準それぞれについて,意見をお示しさせていただいております。
 まず基礎的基準におきましては,我々「大学病院改革プラン」というものを全大学に策定いただいておりますので、これを各機関の戦略・計画と整合して,見直しを行っていただくというようなことも含めて評価していただいてはどうかと考えております。
 また,特に国立大学などでは,病院長がリーダーシップを発揮しにくい仕組みになっていることも,お聞かせいただいております。各機能のエフォート管理とか,診療科別の病床数のバランスや,また医師派遣などについても,病院長など幹部職員が特にリーダーシップを発揮できて,多角的な視点から運営改善を図ろうとするというようなことも評価していただくというのはどうかと考えております。
 また,当たり前でございますけれども,財務・経営状況について分析を行って,自院の経営改善に取り組んでいただくということは文部科学省としても推進しておりますので,そういったことも大学病院として評価してはどうかと考えております。
 また,先ほど申しましたけれども,社会貢献ということも必要な役割を果たしていくことを評価してはどうかと考えております。
 2つ目,医療提供に関する基準でございますけれども,これも当たり前ですが,地域において求められている高度な医療,また救急症例などを受け入れたり,地域医療に貢献していたりすることを評価すること,また必要な医師を確保して,要請に応じて医師派遣できること,またタスク・シフト/シェアを,特定行為研修などを通じて,より推進していることを評価してはどうかと,3点お示ししております。
 教育に関しては,診療参加型臨床実習の実質化など,様々なことを医育機能として果たしております。医学生はもちろん文部科学省で所管しておりますけれども,医育機能とは総合的なものもございますので,そういったことも評価していただいてはどうかと考えております。
 また,医師少数区域や特定診療科を専門とする医師の不足を抱える地域に立地する大学病院においては,地域の医療需要に応じた医師養成を行っております。そういったことも評価していただいてはどうかと考えております。
 最後に,研究についての基準でございますけれども,単純な論文数とか,総合的な病院のトップ何%といった最先端の論文だけではなくて,特定の分野・領域について強みを発揮している,特に地方大学などの研究の取組が適切に評価されるような柔軟な基準設定をしていただきたいと思っております。
 また,なかなか難しいところではございますけれども,分野別研究の推進など組織として横断的な優れた研究成果の創出に取り組もうとする大学病院も評価していただいてはどうかと考えております。
 まず,資料1の説明としては以上となります。
【釜井課長】  
続きまして,資料2につきまして,文部科学省のライフサイエンス課長の釜井から御説明させていただきます。
 1枚おめくりいただきまして,医学系研究支援プログラム,こちらは随時、本検討会でも御紹介させていただいておりますが,間もなく,おかげさまで研究推進法人のAMED側で公募のほうが始められるということで,その前に,ごく簡単に追加情報等を御説明させていただきます。
 こちらにつきましては,令和6年度の補正予算額で134億円の3年分ということでございまして,AMEDの3年間の基金ということになっているところです。
 現状・課題としましては,医学系研究力の低下に対してV字回復となる呼び水になるということでございまして,事業内容といたしましては,国家戦略上重要な研究課題に取り組む研究者の研究活動と,大学病院・医学部としての研究環境改善に係る取組というのを一体的に支援するということでございます。
 後ほど,次のページに3月5日付で文部科学省の検討会議で決定しております方針を御紹介させていただきます。
 少し戻らせていただきまして,こちらにつきましては,右側にありますように,総合型と特色型ということで分けさせていただいておりまして,総合大学につきましては,基礎と臨床の協働,連携を通じまして,原理・病態解明から治療法の創出まで総合力を発揮して行うということと,特色型におきましては,本検討会議のほうでも,地域の大学医学部におきましてキラリと光るような取組を行っているということも考慮に入れながら,強みのある分野の臨床研究等において,ネットワークを活用して多くのデータや知見を共有して,優れた成果の創出を目指すものでございます。こちらの件数のほうが相対的には多くなっているということでございます。
 1枚おめくりいただきまして,こちらは非公開の検討会のメンバーでございますけれども,文部科学省といたしましては研究振興局,それから高等教育局と連携して,医学系研究支援プログラムの運営に関する検討会議というのを随時開催させていただきまして,取りまとめて,本文等も含めて,ホームページのほうで公開しております。
 検討会議におきましては,有識者は非公開でございますが,内閣府の健康・医療戦略推進事務局,それから厚生労働省にも全面的に参画していただいて,取りまとめたものでございます。
 趣旨・目的のところは割愛をいたしますけれども,先ほど堀岡企画官からもありましたような多様な人材の参画,それから国立研究開発法人や産業界,ナショナルセンターとの連携,それから海外との頭脳循環の話が重要だという話もございましたし,若手研究者の積極的な機会,特に萌芽的な研究を,どのように生かしていくかということ,そういった議論もございました。それから,研究志向のマインドセットを浸透していくということでございます。
 それで,国家戦略上重要な研究課題,2ポツ目のところにつきましては,次のページで御説明いたしますけれども,議論でもありましたとおり,幅広く各機関の創意工夫を生かしながら提案をしていくということの重要性について考慮していただいております。
 戻らせていただきまして,実施機関に期待される取組内容,3ポツのところでございますが,M.D.に限られない,Ph.D.の先生方も含めて幅広い研究者が対等な関係で協働する環境,それから先ほど申し上げましたような国立研究開発法人,それから産業界,ナショナルセンターとの研究交流,海外派遣もございました。
 それから研究日,研究時間の設定もございますし,研究支援人材の確保,それから業務の代行,それから,かなり苦労しましたけれども,人件費の上乗せについても基金事業として柔軟に執行できるような体制の構築ができつつあると考えております。
 次のページが国家戦略上重要な研究課題で,繰り返しですけれども,過度に限定することなく,できるだけ幅広い提案を受け付ける方向で調整していますが,4つの柱がございまして,生命科学とAI/データ駆動型研究。こちらライフサイエンス委員会の取りまとめを,去年の夏に取りまとめておりますが,その際にも,やはり数理,AIとか,そういったところのウェットとドライとの技術の融合も,ますますライフサイエンス政策上も必要になってくると思いますし,マル2の基礎科学と臨床医学の連携・協働,これはやはり医学系の潮流のほうとして,がん,ゲノムをはじめとしたHuman Biologyの進展もございますし,これトランスレーショナルリサーチだけではなくて,リバーストランスレーショナルリサーチの視点も重要というふうな議論もございました。
 それからマル3につきましては,健康・医療戦略等の国家的・社会的課題への貢献ということで,先生方も御承知かもしれませんが,2月18日に第3期の健康・医療戦略が閣議決定されておりまして,この4月から第3期の健康・医療戦略の期間が始まるわけでございますが,それを踏まえた対応ということでございます。
 それからマル4といたしまして,少子高齢化社会を迎える日本社会の持続性・継続的な向上への貢献ということで,医療費の負担の問題もございますけれども,個別化医療,それから予防医療・先制医療といった視点も重要になってくると思いますので,その社会の持続性・継続性の向上というような視点も検討会議の議論でもなりましたものですから,取りまとめさせていただきました。
 以上が領域でございますが,繰り返しですけれども,各機関の創意工夫を生かした提案を受けるような形で,AMED側で今,公募要領を最終的に準備しているところでございます。
 それから,ちょっと付言いたしますけれども,これまでも研究振興局のライフサイエンス課,それから医学教育課に様々な大学病院、医学部の先生方から問合せがあり,対応してきたところでございますけれども,公募を開始後,恐らく速やかに,AMEDにおきまして公募説明会が行われるところでございます。文部科学省といたしましても最大限協力しながら,詳細の問合せ等がありましたら,真摯に対応していくようにできればと思っています。併せてあと公募につきましては,公募期間をできるだけ長く取るような形でAMEDとも調整させていただいておるところでございますので,詳細等ありましたら,両課,若しくはその公募開始後におきましてはAMEDに問合せをいただければと思っております。
 御説明は以上でございます。
【海老課長補佐】  続きまして,資料3でございますけれども,我が国の大学における臨床医学分野の論文産出状況について,資料を御覧ください。
 前回の検討会におきまして,永井座長のほうから,私立大学の臨床医学分野の論文数の伸びについて御指摘をいただいたところでございます。今回,甚だ不十分ではございますけれども,手元で集められました資料を基に分析を試みましたので,御参考までに御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず1ページ目ですけれども,前回の検討会でもお示しいたしました臨床医学分野の組織区分別の論文数の推移を示したグラフでございます。グラフ上の表記としては出てまいりませんけれども,私立大学の論文数の構成比の割合としては,1982年の18%から2020年は26%ということでございまして,ここに挙げられている組織区分としては,際立った伸びが見られるのかなというところでございます。
 2ページ目でございます。個別の大学ごとの論文数の状況を確認してございます。科学技術・学術政策研究所において整理をされておりますデータを利用いたしまして,まず,2003年から2007年までの5年間の論文数の合計値が多い順に並べているところです。大学名の前に黒い丸を付しておりますのが私立大学,四角を付しているのは公立大学でございます。無印が国立大学となります。
 論文数の多い大学といたしましては,いわゆる旧帝国大学のような規模の大きな国立大学の占める割合が高くなっているというところでございます。
 続きまして3ページ目でございますが,10年後,2013年から2017年までの5年間の論文数の合計値を多い順に並べたものがこちらでございます。旧帝国大学が上位を占めるという状況に大きな変化はありませんけれども,幾つかの私立大学は論文数を伸ばしておりまして,上位から中位に位置取りを上げているといったことが見てとれるかと思います。
 続いてですけれども,4ページ目でございますが,2003年から2007年までの5年間の論文数と2013年から2017年までの5年間の論文数との差分,すなわち論文の増加数が多い順に並べたものでございます。青の縦棒でございます。上位から中位には私立大学が多く入ってくるというところでございます。
 続きまして5ページ目ですが,論文数につきましては大学の規模の大きさによって左右される面もございますので,論文数の増加率が高い順に並べて見ているというところでございます。オレンジの点がそちらでございますが,上位の大学のほとんどが私立大学によって占められているということが確認できるかと思います。
 続きまして6ページでございますが,ここまでと同様の分析をTop10%補正論文数について行っています。まず2003年から2007年までの5年間のTop10%補正論文数の合計値が多い順に並べているものでございます。やはり規模の大きな国立大学の占める割合が高くなっているというところでございます。
 7ページでございますが,2013年から2017年までの5年間のTop10%補正論文数の合計値が多い順に並べております。幾つかの私立大学がジャンプアップしてきているということが分かるかと思います。
 続いて8ページでございますが,こちらTop10%補正論文数の増加数が多い順に並べているものでございます。上位から中位に私立大学が,やはりこれも多く入ってきているというところでございます。
 続きまして9ページですが,Top10%補正論文数の増加率が高い順に並べております。上位の大学のほとんどが私立大学によって占められているということになっております。
 それで,10ページですけれども,こういった私立大学の臨床医学分野の論文数の伸びをもたらしている要因につきましてですけれども,こちらも科学技術・学術政策研究所のレポートから引いたものではございますが,私立大学においては,国公立大学に比べまして,研究開発費でしたり研究者数の伸びが大きいといったことが見てとれるかと思います。したがって,このようなことが論文数の伸びの一因になっている可能性があることを指摘し得るように思っております。
 ただし,私立大学についても,研究専従換算をした研究者数につきましては,それほど伸びていないということが,またこれも明らかになっているところですので,今後は,ここからより踏み込んだ分析が可能であるかということについて,よく検討してまいりたいと考えているところでございます。
 すみません。事務局からの説明としては以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
 あと,安達先生が11時頃御参加ということですので,先生が到着され次第,御説明をいただくこととして,意見交換を進めてまいります。
 それでは,ただいまの御説明に御質問,御意見がおありの方,挙手ボタンで御発言ください。いかがでしょうか。なかなか刺激的なデータがたくさん出てまいりましたが。
 では,最初に門脇委員,どうぞ。
【門脇先生】  門脇です。ただいまの御説明で,私,特定機能病院のあり方に関する検討会に出ていますけれども,基礎的な基準や発展的基準,多様な大学に対応するとか,研究に関しても,全論文数じゃなくて,医師1人当たりの論文数というふうに,公平な基準で,地方大学に配慮していただいていますので,腑に落ちる方向に向かっているかなと思っております。今後はこれが診療報酬に反映してくれればなというふうに期待しております。
 私も地方大学の立場から,特に研究に関して,ちょっと感じていることを申し上げたいんですけれども,御説明されたことにも多少関係すると思いますが,以前のこの検討会で鈴鹿医療科学大学の学長の豊田先生が言われたことですけれども,結局,研究競争力が減った原因が,よき人的研究環境の縮小ということによると言われましたけれども。つまり,FTEですね,Full-Time Equivalentsの研究従事者数が少ないということが研究競争力の激減の原因だとおっしゃいましたけれども,私も,研究力が,ほとんどそれによるんじゃないかということも,かなり強く感じております。
 私もいろいろなところで研究に従事してきたんですけれども,大学院のときは京都大学で,その後,米国に留学して,京都大学戻って,香川大学に異動しましたけれども,例えば人的研究環境という点では,留学中はポスドクで100%研究に集中できて,世界中から優秀なポスドクが集まって,研究支援人材も優秀な人がいっぱいいて,ポスドクがポジティブデータ出せば,その研究支援のテクニシャンが再現性をすぐに証明してくれて,もうびゅんびゅん仕事ができると。すばらしい研究環境でしたけれども。
 京都大学に戻って,臨床の教室ですので,いろいろな業務がありますから,それは留学中とは比べるべくもないんですが,それでも院生がそれなりにいましたので,それなりに研究……。
【永井座長】  手短にしていただけますか。
【門脇先生】  すみません。香川大学では,当初,それなりの人数がいましたので,大学院生が私の方針で臨床dutyフリーというふうにすると,データは次々出てくるんですけれども,人員が減って,その人たちが臨床しないといけないということになると,もう途端にデータが出なくなると。その影響が顕著ですので,結局,地方大学だから研究ができないというわけじゃなくて,人がいるかいないかで決まってくるということだと思います。
 そうなると,豊田先生のデータで,FTEと,それから論文数とか,Top10%の論文数の相関というのがありましたが,日本の大学で,そういうFull-Time Equivalentsの総論文数とのその相関というのが,ちょっと私データとして見たことないんですけれども,たしか。
【永井座長】  それは資料の3です。資料の3の最後のページ見ていただければ,それが書いてあります。これ見ると,私立大学のほうが国立より論文の伸びが少ない。Top10%を含めて伸びています。この辺をどう考えるかという御意見をお聞きしたいのです。資料はあるのです。ちょっとお待ちの方がいるので,後でまた先生,お考えをまとめて御発言いただけますか。
【門脇先生】  はい。
【永井座長】  横手委員,どうぞ。
【横手委員】  ありがとうございました。様々な情報を賜り,感謝申し上げます。
 まさに今,議論になっていたところですけれども,かねてからこの会でも,私立大学の伸びがあるということを,永井先生を中心にお話をいただいていました。今日,そのデータを拝見して大変感銘を受けて,みんなで学ばなきゃいけないんじゃないかと思いましたが,先ほどのこの論文産出状況の10ページの図を見ると,私立の大学が,この保健ヘッドカウント研究開発費が,これ右肩上がりに増えていると。これがどういうタイプの研究費、これは公的資金以外の外部資金を様々な産学連携なども含めて獲得しているのか。そういうところを,もし分かるようでしたら,お知らせいただきたいと思いました。
 恐らくこの部分が非常に重要な鍵を握っているのかなと思いまして,もし,この文部科学省さんのほうでお分かりでしたら教えてください。
【永井座長】  事務局いかがでしょうか。
【海老課長補佐】  事務局でございますけれども,すみません,内訳の子細なデータというものはただいま持ち合わせておりませんで,恐らく産学連携とかそういったことに係るものも含まれてはおると思うんですけれども,これ以上ちょっと子細なデータは,恐らく今すぐに出てくるものはなかったと思います。
【永井座長】  科研費について、私立と公立,国立の分類の図がありますが、科研費も同じような傾向です。民間研究費とかAMEDだけではありません。この間お話ししたように,国立大学固有の問題が何かあるのではないかということを考えないといけないと思います。
【横手委員】  国公立大学頭打ちのところ,私立は伸び代を出しているというような。
【永井座長】  国立は落ちています。
【横手委員】  落ちているんですね。
【永井座長】  落ちています,科研費は。私立は伸びています。
【横手委員】  なるほど。だから,そこで国立の微増というのが,科研費が落ちて,ほかのものを取っているというところなのかもしれませんけれども,恐らくこの他のHC研究者数などが増えているところにも,これが直接リンクしていると思いましたので,この点の情報,さらに我々も調べたいと思いますし,もし文部科学省でさらに教えていただけることがありましたら,国立大学にも展開できるのではないかと思いました。
 以上でございます。
【永井座長】  研究者数は多いのだけれども,私学,多いんですが,次のスライドは,FTEで見ると,私学,やはり少ないんですね。この辺をどう考えるかなんですよ。
【堀岡企画官】  座長,競争的研究費の新規獲得状況は,資料1の参考資料の30ページ,31ページに,国立,公私立別に示しております。
【永井座長】  科研費については文部科学省の資料がネットに出ていますから,それを御覧になるとお分かりだと思います。
【横手委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  今村委員,どうぞ。
【今村(知)委員】  今村です。私のほうから2点大きく。一つ,財務のことと,一つは特定機能病院のことです。
 11ページに財務のことを書いていただいていて,今,大学病院が経営難になっているところが多いんですけれども,どういうところに再投資をしていいかというところが一番の問題なんですけれども,そのときにお金をどこから引っ張ってくるかというのが一番難しい問題なんですね。本部と大学病院の関係で,幾ら現金を使っていいかというのが実は見えないという問題があって,かねてから申し上げていますけれども,BS,貸借対照表をちゃんと明確にしてほしいんです。
 文部科学省で今,新しい設備の予算を取っていただいていて,各病院,PETとか,大学病院,使っていますけれども,あれは実は現金は生まないんですね。消耗品とかが使われますが,ほとんど現金としては出てこないと。
 本当に必要なのは心電図などを買い換えるお金でして,そういう使える現金が幾らかということが,私は大変重要だと思うので,ぜひBSを,大学病院が独立して考えていただきたいと思います。
 それと,特定機能病院の議論が13ページから論点として書いていただいていますけれども,まず基礎的な基準の中で,全体をなべて言えることは,新しい医療を教えることは特定機能病院の大学病院の非常に大きなポイントなんですね。その支援としての研究や最先端の臨床というのがあるので,基礎的なということの中に含まれているのかもしれませんけれども,今,抗がん剤の使用とか,バイオシミラーの使用とか,そういうことを最初に提供できる,教育できるような機関であるということが,私はとても大切なことだと思うので,ぜひその新しい医療の提供という欄を入れてほしいと思います。
 それと,特定機能病院の議論の中で,15ページの見直しに向けた意見の中の上から3つ目のマルで,財務状況の分析で,経営改善に取り組もうとする病院を評価してはどうかというのは,なかなか微妙な問題があって,病院の経営がよくなるということは,ほかの病院から患者さんを取ってくるという面もありまして,一概に儲ければいいということにもならないのかなと。
 ただ,裾野がないと大学病院は成り行かないので,その裾野を上げた結果,頂点が充実するということが,ここで言う評価の対象になるんじゃないかと思うので,その辺の観点が分かるように,もう少し踏み込んでいただいてはどうかなと思います。
 今村から以上です。
【永井座長】  事務局,何か御意見,意見はあるでしょうか。
【堀岡企画官】  経営改善で,確かに今までような,より高単価の患者を,より高回転で集めるというやり方ももちろんあるのかもしれませんけれども,様々な大学病院をヒアリングすると,必ずしもそうではなくて,病床利用率が下がっていて,いわゆる筋肉質な体制にしたりしているものも様々ありまして,我々地域の実情に応じて,どの取組も,柔軟に実施していただきたいと思っているんです。
 その中で,少なくとも地域医療と軋轢を生むことは全く望んでいませんので,そういったことがないような書きぶりにはしたいと思います。よろしくお願いします。
【今村(知)委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  松本室長,どうぞ。
【松本室長】  よろしくお願いします。厚生労働省の医療安全推進・医務指導室長の松本でございます。特定医療の関係ですけれども,後ほど少しお時間いただいてお話しする時間があるかもしれませんけれども,今いただいたところのポイントに関しては,今までの議論であるとか,議論の中間整理にも記載をしております。特定機能病院については,今まで医療,研究,教育,医療安全,4本柱でやってきまして,今回新しく医師派遣の柱も追加していくという議論をしておりますけれども,なぜ厚生労働省が病院の研究であったり、教育を評価しているのかということに関しては,やはり地域全体の医療レベルを底上げするためであり、診療報酬との関係でも,独自の研究を評価しているのではなくて,やはり地域全体を底上げするためのものを評価しているということを再確認をしております。
 あと,今,文部科学省の堀岡企画官からもありましたけれども,地域医療構想,それから2040年に向けた新しい地域医療構想,それから医師偏在対策について,今,厚生労働省から医療法の法案を提出しているんですけれども,こちらとの整合ということも資料の中に書いた上での議論の整理ということにさせていただいておりますので,いただいた論点を含んで見直しということにしていきたいと考えております。
 以上です。
【永田室長】  すみません。大学病院支援室長の永田でございますが,最初のBSの見える化につきましては,この検討会で当初、有識者の御意見を聞いている中で,国立大学病院長会議の塩﨑局長からも御指摘があったところでございます。
 そういった意見を踏まえまして,今年度,調査研究という形で,実は国立大学病院長会議のほうで少し調査研究をしていただいていますので,まとまり次第,またこの検討会の中でも少し御説明,御紹介させていただきたいと思っております。
【今村(知)委員】  分かりました。
【永井座長】  今村委員。
【今村(知)委員】  ありがとうございます。ぜひ,特定機能病院の機能の中では,その地域全体の底上げということの新しい医療の教育や研究というのは目に見える形で書いてほしいと思っています。BSについても,ぜひ。それがないと,幾ら使えるかが分からないというのが最大の問題のように思いますので,よろしくお願いします。
 以上です。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
【海老課長補佐】  永井座長,すみません。広島大学の安達病院長,お入りになられております。
【永井座長】  では,安達先生,お願いします。
【安達先生】  広島大学の安達です。遅れまして申し訳ありませんでした。今日プレゼンの時間をいただいておりまして,大変ありがとうございます。これ資料は共有していただけるのでしょうか。ありがとうございます。
 10分程度時間をいただいて,私たちの戦略的取組ということで発表させていただきます。よろしくお願いいたします。
 次お願いいたします。まず,これが広島大学病院の概要ですけれども,左上にありますように,大きな項目として平成15年,約20年前に医学部の附属病院の入院棟を開院しております。また10年ほど前,平成25年に,医科と歯科を統合した診療棟が開院しているということでございまして,医科診療科が36診療科,歯科が13診療科ということで,医科,歯科が統合された大学病院ということになっています。
 左下の患者数の推移ですけれども,赤が入院患者数,青が外来患者数について,見てとれるように,コロナの間にあまり大きな落ち込みもなく過ごせたのかなと思っております。
 それから,下の真ん中ですけれども,オレンジが全国国立42大学病院の手術数の平均,青が広島大学ですけれども,この時点でおきましても,コロナの時期の手術数の落ち込みが少なく,その後順調に回復したということになっております。
 令和5年の業務損益ですけれども,幸いなことに広島大学病院は,良好な経営状況を維持しました。今年は令和5年に比べて,もちろん少し厳しいんですけれども,令和5年は非常にいい状況であったということです。
 次お願いいたします。これが文部科学省に提出しました広島大学病院の改革プランでございます。4つの大きな柱を挙げまして,教育・研究改革,運営改革,診療改革,財務・経営改革ですけれども,大きな柱としては,真ん中にありますトランスレーショナル教育研究センター,TraERCというのを整備しまして,卒前から卒後のシームレスな医学教育・研修の提供を挙げております。
 次お願いいたします。これが高度医療人材養成拠点形成事業のタイプAに採択していただいたものですけれども,やはりここも大きな肝は,トランスレーショナル教育研究センターというので,もともと学生の教育センター,医学教育センターと研修医の臨床教育センターは別々になっていたわけですが,それを統合しまして,卒前卒後の,先ほど言いましたようにシームレスな医学教育・研修を提供しようということで,新たにそこに人員を配置しております。
 これを通じまして,医学部生,大学院生を研究,それから教育の補助をしていただきながら,できるだけ職員の医師の研究時間を確保しようというものであります。
 では,次お願いいたします。これがSPARK! Plan for MEDということで入学前からですけれども,研究者としてのキャリアを形成していくために様々なサポートをしております包括した広島大学の取組でありまして,学部生の1年から4年,それから学部の5~6年,博士課程,研修医,医科診療医,それぞれの時期に応じた支援をする体制を整えているというところであります。
 次お願いいたします。今回,外科医の処遇改善について一応プレゼンをということでしたので,準備しました。
 広島大学病院としては,報道でもありましたけれども,「未来の外科医療支援手当」というのを新設いたしました。
 そこのグラフにありますように,そのグラフは診療科別の医師数の推移のグラフですけれども,各診療科の中で,いわゆる消化器外科,一般外科の先生方の数が徐々に減ってきているという大きな全国的な問題があります。
 消化器外科学会のホームページによりますと,消化器外科医のアンケートで,自分の子供に消化器外科医になることを勧めるかということですけれども,以前は70%,80%,そのようなお答えがあったんですけれども,現在は14.5%ということで,非常に少なくなっているという衝撃的なアンケート結果も出ております。
 左のところですけれども,少し繰り返しになりますけれども,外科医数の減少が大きな問題となっていて,地域偏在や消化器外科医不足など医療の偏在が大きな社会問題となっている,その対応ということになります。
 具体的には,広島大学病院は外科の専門医プログラムというのがあるんですけれども,その専門医プログラムに入っていただく科としては,消化器外科,呼吸器外科,中段のほうにありますが,心臓血管外科,移植外科,乳腺外科,小児外科を目指す方々は,一旦,外科の研修プログラムに入っていただくことになっておりまして,この中から,また2階建てで消化器外科,呼吸器外科などに専門が分かれていくということになっております。
 今回の支給対象は,そこにあります医科診療医の方々で,この外科研修プログラムに属する専攻医の方,また,専門医を取られた後でも,まだ助教になる前の医科診療医の方々に対する支援でありまして,これが,広島大学病院で約30人おられます。この方々に年額で120万円,月10万円を支給するということです。
 この金額の決め方に関しましては,もちろん確保財源などからの設定ということではなくて,その上の職階の助教の年棒と逆転しない額。1.5倍にしますと,かなり助教の年俸に近づいてしまいますので,1.3倍ということで行いました。
 もちろんこれに関しましては病院内の各科の会議を経て決めたことで,様々な意見は出ましたけれども,コンセンサスいただいて,これを決定したということであります。
 本学も令和5年は非常に収支よかったんですけれども,今年はかなり厳しい状況にありますけれども,その中でも,一番下に書いてありますように,誰かが何か始めないと,変わらないんじゃないかということで,対応させていただいたということであります。
 少し繰り返しになりますが,一番下にも書いてありますように,臨時の医科領域の運営会議を開催して,診療科長から広く意見をいただいて,病院内のコンセンサスを得たということでございます。
 次お願いいたします。これは大学病院に従事する医師の給与ですけれども,下の丸囲みでありますように,今回対象の医科診療医の方々というのは大体300万から500万未満ということで,当院でも医科診療医は,大体400万弱ぐらいの年俸になっておりますので,ここをしっかり支援していって,外科医をできるだけ増やす。
 もちろん広島大学だけのこの取組で全体の外科の数が増えるということではありませんけれども,この効果が近隣の病院に波及する,又は全国に波及する,そういうバタフライ効果というのを,できれば期待したいということで,広島大学から始めようということで始めさせていただきました。
 次お願いいたします。かなりインパクトがあったことになりまして,地元の報道機関,それから全国紙などでも取り上げていただきまして,今週,NHKからの取材も受けたところであります。
 次お願いいたします。それで,経営戦略に移ります。広島大学のレーダーチャートを見てみますと,収益性が非常によくて,安全性がいいということであります。
 全体を見てみると,当院というのは,途中書いてあるんですけれども,高コスト,高収益の体質ということが言えると思っております。
 左下のグラフで経営利益率を出しておりますけれども,診療収支の増収減益傾向は進んでいるんですけれども,全国に比較しては,まだ上位にいるということでございますし,借入金比率に関しましても,先ほど言いましたように,診療棟や病棟を建ててから,それの償還金のピークを超えていまして,徐々に少なくなっているということで,その辺が今,好循環の要因の一つだろうと考えております。
 次お願いいたします。これが借入金の比率ですけれども,一番下に書いてありますように,基本的に自己財源で整備していることから低い比率で推移しているということで,今後も可能な限り自己財源での整備が継続できるよう,利益を確保していく必要があると考えております。
 次お願いします。プラスの要因はやはり入院の診療にありまして,左上の病床稼働率・平均在院日数というのが全国でも上位,それから右上の入院診療単価も全国5位,それから100床当たりの月間入院診療収益が全国1位,右下の新入院患者数も全国1位ということで,入院診療のほうでプラス要因があるということが分かります。
 次お願いします。一方,もちろん課題もありまして,外来のほうでいきますと,入院患者対外来患者比が全国ワースト7位だったり,外来診療単価が,これは大体平均ですけれども改善傾向にあるということだったり,人件費と委託比率というのも,これが大体全国平均で徐々に改善傾向にあるということですけれども,まだまだ外来のほうに問題がありそうです。次お願いいたします。
 ここに書いてありますように,月間の医業費用のほうは全国ワースト4位,後発薬品の使用割合ワースト2位,それから院外処方箋発行率も全国平均以下ということになっています。
 次お願いします。これがまとめなんですけれども,本院はこの令和5年におきましては高い収益率を誇ったんですけれども,これは人への投資で病院を回して収入を稼ぐという戦略によるものです。それから,借入金比率でも分かるように,平成30年をピークに償還額が減額に転じているので,好循環の時期にあります。もちろん今後の病棟,外来の改修などもありますので,今後はまたお金が要る時期はもちろんやってくるわけですけれども,今は好循環の時期にあるということで,外来のほうは,ちょっと改善傾向ではあるんですが,改善の余地がまだあるということと,固定費である人件費,委託費の変動は利益に大きく影響します。さらに,今,電子カルテシステムの更新時期になっておりますので,その費用が今後はかかっていくだろうということであります。
 次お願いします。各科別の原価計算というのを継続してやっておりまして,四半期ごとに各診療科にフィードバックしております。診療科は伏せてありますけれども,診療経費や人件費,その他の固定費,減価償却費,それから医業利益等々を分けて,各診療科にフィードバックしています。
 次お願いします。これが各科別に四半期ごとに出しているものでありますけれども,こういう表を情報共有して,経営の改善等に役立てていただいているということでございます。
 次お願いします。これが全体のものだったり,私,整形外科なんですけれども,整形外科のものについて4月~6月分を示しています。小さくて見えませんけれども,こういう細かいデータを各診療科の診療科長にお渡しして,見ていただいているということであります。
 以上です。時間を取っていただいてありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。
 それでは,質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 今日の話は,研究のことから,あるいは特定機能病院の在り方まで,様々な話題が含まれておりますので,いかがでしょうか。それぞれに絡んではいますが。
 では,門脇先生,どうぞ。
【門脇先生】  門脇です。先ほどの御説明の最後の方で診療科別の経営の実績を出されているということですけれども,うちでもそういうことをしようとすると,例えば救命救急センターの患者さんを循環器内科の先生が診られて,その実績が循環器内科じゃなくて救命救急センターに算入されるとか,そういう切り分けが難しいところがあるんじゃないかと思うんですが,そういうことはなかったですか。
【安達先生】  いえ,そのとおりであります。循環器の先生が救命救急センターで仕事した分は救命救急センターのほうに入れているデータとなります。そのため,その辺のことはもう分かっていただいた上で,データ解釈していただくということになろうかと思います。
【門脇先生】  そうですか。特に苦情は出ないわけですか。
【安達先生】  苦情は出ていません。これで何か競争をあおるとか,そういうわけでは全然ありませんので,とにかく自分の科の状況をよく把握していただくというのが目的なので,今のところ,そのような御不満とか,そういうのは出ておりません。
【門脇先生】  ありがとうございます。
【永井座長】  山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございます。2つほどございまして,4ページのところにトランスレーショナル教育研究センターとあり,これはまさしくシームレスな教育ということにつながると思ったのですが,実際始まるのはこれからで、センターをつくられたところという状況なのでしょうか。
【安達先生】  そうです。この4月から人がつきますので,今それの下準備をしているところであります。もともと医学教育センターと臨床教育センターというのは密接に連携していたんですけれども,それをより強固な一つの組織にしてやっていこうということで,新しい人もこの4月からつきますので,またその整備を行っているという状況です。
【山口委員】  ありがとうございます。医学生にしても,やはり先が見えてくるんじゃないかなと思いますので,ぜひこのお取組の結果を,また数年経ったところで聞かせていただきたいなと思いました。
【安達先生】  ありがとうございます。
【山口委員】  もう一つが,7ページの「未来の外科医療支援手当」というところなんですけれども,外科離れを若い人がしているというところに様々な要因があるんじゃないかと思っているんですが,この手当を増やすことで果たして増えるのかと疑問に思ったのですが,これを採用されるに当たって,若い人の意識調査というか,何かリサーチ的なことをされたんでしょうか。その辺りをお聞かせいただきたいです。
【安達先生】  ありがとうございます。院内では特別にそのようなアンケートはしていないんですが,もともと消化器外科学会のすばらしいアンケート結果がありまして,それを参考にさせていただいたのと,当科,外科の診療科長と相談しながら決めていったわけですけれども,その消化器外科のアンケートは非常に詳細な結果が出ておりまして,やはり一つの大きな不満は給料にあるというのが,そこでも出ております。
 もちろん給料だけで外科医が増えるとは思っていないんですけれども,働き方改革に関連して仕事量の分担とか,タスク・シフトとか,チーム制の導入とか,そういうのはやりながらですけれども,即効性のある手段の一つとしては,給与が有効ではないかということで,先ほど言いましたように,この広島大学の取組だけで全国の外科医がどうこうなるわけではありませんが,一つのワンステップ,小さいステップですけれども,広島大学のほうから,まず問題提起を含めて出していただいたということであります。
【山口委員】  ありがとうございます。2025年度からということですので,この4月以降のお取組かと思いました。
 私は患者の立場ですけれども,患者から見ても外科医が減っているとか,内科もそうですけれども,やはり危機的なことだと思いますので,もしそれで成果が出れば,他の大学に御紹介いただくということをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【安達先生】  ありがとうございました。
【永井座長】  相良先生,どうぞ。
【相良先生】  昭和大学の相良です。今のところに通じるところはあるんですけれども,いわゆる外科の消化器外科は確かに絶滅危惧種になってきたというふうに言われていますけれども,昭和大学においては結構入っているのでいいんですけれども,ただ,ここに関しては,例えば,ほかの診療科からいろいろと文句が出ないかというところもございます。それが一つ。
 それから,あと一つは,いわゆる先ほどの原価におけるいろいろな体制を構築していって,実際の運用に,原価計算ですかね,見ていくということがありますけれども,循環器内科はいろいろと頑張っても,かなり赤字になってしまうところを,どう評価していらっしゃるかということに関して教えていただければと思います。
【安達先生】  ありがとうございます。病院のほうの会議を通して,これ決めていったんですけれども,もちろん各科から様々な意見は出ました。例えば,うちの科もしんどいのは同じだよとか,そういうのもあったんですけれども,それに関して,各地域や各病院において,様々な取組をなさるんだろうと思うんです。広島大学においても,これはあるわけですけれども,まず全国的に問題となっている外科のほうから手始めにということで,これの結果次第では,もちろん各病院とか,各施設において,それなりの対応というのが,もし効果があれば,その状況に応じて,されていくようなことになるのかなと思っております。
 一応,その会議でのコンセンサスは得られましたけれども,もちろんこれで終わりではなくて,これの結果を踏まえて,また今後,他科にも必要に応じて広げていくべきところは広げていくというふうに考えております。
 それから,診療科によっては,確かに利益が出にくいとか,そういうのはもちろん理解しておりまして,各科とは,もちろん病院長面談などを毎年しておりますので,その辺で様々調整しているところでありまして,先ほど言いましたように,決して各科の競争というわけではなくて,各科の状況を踏まえた,できるだけの改善策を練っていただく資料にしているというところでございます。よろしいでしょうか。
【相良先生】  ありがとうございました。
【永井座長】  今村委員,どうぞ。
【今村(英)委員】  日本医師会の今村です。ただいまの御発表,大変感銘を受けました。すばらしい経営をされていらっしゃる大学病院があるんだなということ,初めて知りました。
 そういう中で,まず2ページ目,先ほどのお話では,コロナ禍においても手術件数が下がらなかったというお話がありました。これは恐らく,やはり地域の医療機関とのすみ分けがうまくできているのか,また,地域からしっかりとそのような紹介ができる,つまり地域の中で広島大学病院さんが果たす役割というのが非常に確立されていて,そういう中で,例えば高度な手術等は広島大学病院に集まるという,そういったところまで仕組み的にもできていらっしゃるから,これが可能になったのかという点が1点。
 それと,先ほどのお話でというか,それと今後の特定機能病院の在り方の中で,医師派遣であるとか,もう一つ,地域医療との兼ね合いの中でいうと,総合診療医の育成等,一方では臓器別の非常に専門的な医療を進めると同時に,総合診療的な医療ができるドクターの育成ということも出てこようかと思うんですが,そういったところに関しての在り方,若しくは方向性というのは,どのようになっていらっしゃるんでしょうか。それが今後の地域医療との関係の中で広島大学病院さんが果たす役割をどのようにお考えになり,そのためにどのような医育機能を大学病院として果たすのかということかと思います。よろしくお願いします。
【安達先生】  ありがとうございます。
 まず1点目のコロナ禍の体制ですけれども,言われるように,確かに地域の中での診療のすみ分けがうまくいったということだと思います。大学病院に関しましては重症例を受け入れるということで,ECMOを回したりとか,かなり重症な方を受け入れたということであります。
 その中で病院長の方針,それから感染症の専門の先生方の御意見も聞きながら,手術数,外来患者数をできるだけ落とさないようにということでさせていただいた結果,確かに地域とのすみ分けがうまくいったと言うことができると思います。
 それから,ちょっと順番が逆になるかもしれませんけれども,医師の派遣についてはそのとおりでありまして,特定機能病院として,やはり大学病院としては,医師の派遣について大きな役割を担っております。人事権が各診療科の先生方に大きくありますので。今後,広島の場合は,広島の駅の裏に1,000床の大きな総合病院が建つことになっておりますけれども,そことの会議の中でも,医師の派遣というのは大きな話題になっておりまして,第2大学病院とも言えるような,今後新たにできる1,000床の県立病院と協力しながら,どこの何科の医師がどの辺に足りないかとか,この辺を重点に履行してほしいとか,そういうのを協議しながら医師派遣をしていくということになっております。
 ただ,やはり特定機能病院としては,その医師派遣の大きな任務というのは今後も課されていくんだろうというふうに認識しております。
 それから総合医に関しては,当院では総合診療内科の診療科がありまして,その先生と一緒に協力しながら総合医の育成というのを進めているところで,これもやはりバランスが非常に大事で,各専門領域の先生と,その総合診療医の先生とが,よく話し合いながら,総合診療の教授の先生を中心に,この辺は議論しながらやっているところで,現在のところ,もちろん総合診療医というのは,まだまだ足りていないと思いますので,その数を増やす方向で考えているというところであります。
 以上です。
【今村(英)委員】  ありがとうございました。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
 よろしければ私から発言させていただきたいと思います。今,一つの話題が特定機能病院の在り方の見直しです。大学病院はこれまで教育・研究・診療が使命とされてきたのが、最近、地域への派遣も大学病院の要件になろうとしています。これは特定機能病院側で議論が行われています。
 特定機能病院制度というのは,もともと高度医療,あるいは医療技術の開発,研修ということで,厚生労働省が93年に定めました。この制定に携わった方の意見を聞くと,大学病院を厚生労働省が管理するための制度であると聞かされたことがあります。
 ですから,大学病院の特定機能病院としての機能は,厚生労働省が考えるのでしょうが,地域への派遣となると、大学病院の概念の変更を迫るものです。この在り方について,文部科学省のほうで主体的に大学病院の在り方をきちんと整理する必要があると思います。
 これは単なる機能なのか,あるいは大学病院の使命なのかという点を、きちんと整理していただきたいと思います。
 以前からお話ししているように,大学病院の設置基準の中には,教育と研究は書いてありますが,高度医療や地域への貢献というのは書いてありません。大学病院の使命あるいは機能として,教育・研究の名の下にそういうことを行うのであれば,現場の負担が大き過ぎます。ぜひ文部科学省としても,大学病院の在り方を考えていただきたいと思います。
 これは今まで大学病院はずっと高度医療を行っていたかというと,大学紛争の後は本当に少ししかやっていなかった。それを先輩たちの努力で,あるいは法人化後の様々なプレッシャーの中で国立大学病院は頑張ってきました。しかし何かまだ病院の機能として業務分担や地域との連携はあまりうまくいっていないように思います。それが先ほどの研究論文の話にも反映しているように思います。私学は使命として,臨床や地域連携を進めてきたように思います。
 スライドを御覧になれますでしょうか。先ほどお話しした国立と私立の科研費の取得状況です。平成27年は,国立は私立の2.13倍獲得していました。しかし10年間に差が縮まって,今1.74倍の差です。確かに国立大学の研究機能は伸びていない。でも,私学は頑張っています。そこの要因をしっかり分析する必要があります。経営のこともあるでしょうし,研究体制,あるいは研究テーマの問題かもしれません。しっかり現実を見据えるべきと思います。以上です。
 銘苅委員どうぞ。
【銘苅委員】  よろしくお願いいたします。銘苅です。今の永井先生の話で,大学病院の機能というところでと思って,今ちょっと頑張ろうという気持ちになったところでございます。
 今日のプレゼンの内容で,まず文部科学省のほうから出していただいた基礎的基準の中に,ぜひ多くの大学が役割を担っている学会の運営,これは教育とか研究とかそういったものに加えて,大学が大きく担っているところです。そこを大学が担わなければ,やはりそういった,その分野の研究・教育というものは,今そこの大学が主になって,学会を運営することで牽引しているところだと思いますので,もちろん大学以外も多く担っているところもありますけれども,やはり主に学会が担っているところがあり,そこの評価もぜひ基礎的基準に入れられるようなデータみたいなものがあれば,うれしいなと思います。ぜひよろしくお願いします。
 その学会の運営だけではなく,その中には,例えばその科,私たちは産婦人科ですけれども,産婦人科のガイドライン,マニュアル作成,それから専門医育成のための必須の教科書のようなもの,そういったものも全部その大学で担って執筆活動等もしているわけですね。ガイドラインも毎回更新しているわけです。そこには非常に多くの学会員の先生方の努力があり,それをほとんどボランティアだと思いますけれども,担ってやっていますので,そこの評価をぜひお願いしたいと思います。
 次に,支援者の方がやはりいるだけで全然,その研究の進み具合というのは違う,スピード感は物すごくあるので,そこはやはりその支援者を,そこに置けるための財政の問題,経営的なお金の問題というのをぜひ考慮していただきたい,それは非常に感じました。
 それからもう一つ,PIに関して,バイアウト制度ですね。それは研究費を,研究代表者の人件費にできるんですけれども,ぜひ代表者だけではなく,例えばCRCさんの研究教育費もバイアウト制度で利用できるようなシステムに検討していただくというふうに思います。それによってやはり若い方々のモチベーションになるのではないかと考えます。
 それから,先ほど安達先生からプレゼンしていただきました,すばらしい外科医の給与を上げるということなんですけれども,本当にそれはとても重要なことで,ただ,琉球大学においては,それは何度も議論したんですけれども,労働組合,労組の反対が物すごく強くて実現できていないというところがあります。
 そういったところが問題になっていないかというのをぜひ教えていただきたいということが一つと,やはり私たち琉球大学のほうでは,そういった反対がすごく大きくて,大学の裁量だけで給料を上げるということができなかったので,別の大学でもそういったところがあるのかというところを,もし御存じでしたら文部科学省のほうで教えていただけたらと思います。
 基本的には,今まで大学の先生方は外勤によって自分の給与を確保してきたということになりますと,夜勤であったり,日中の外来の外勤先で自分の報酬を補ってきたわけですけれども,そうなってくると,外勤先で当直をして翌日普通に仕事をするとなってくると,やはり疲労感があったりとか,日中外に出るだけで研究・教育に携わる時間が取られる。原則的には,その大学で働いていて,大学からしっかりとした給与が払われるということで,研究・教育にもしっかりとしたエフォートが図れると思いますので,方向性としては,やはり働いているところからしっかりとした給与を頂くということが非常に重要かなと感じましたので,この流れはぜひできていったらいいかなと思いますし,やはり診療報酬の特定機能病院に対する,大学病院に対する特化した診療報酬がつくことで,そういった流れができるのではないかと思います。
 今,文部科学省と厚生労働省が行っていただいていることに関して,非常に強く進めていただければありがたいと思います。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。事務局,コメントありますでしょうか。
【堀岡企画官】  ありがとうございます。その処遇を改善することについては,文部科学省としても非常に重要だと思っておりますが,広島大学のような,例えば分娩の手当とか緊急手術手当といったものは,様々な大学で設定しているのを我々も把握しておりますけれども,外科医になること自体を対象とするような手当というのは,絶対にないかどうかはちょっと把握し切れていませんけれども,非常に珍しいものだと考えております。
 安達院長が時間で実は退出してしまったんですが,田中委員などは何かコメントがあれば,大変恐縮ですが,いただければと思うんですけれども。
【田中(純)委員】  今回の措置は給料ではなくて,手当で上積みをする支援というところは御理解いただければなと思います。その背景は,やはり若い外科医の給料がほかの病院と比べて非常に低いということが外科離れになっているのではないかという全国調査,消化器外科学会の,あちらのほうからもあったということも背景にあることを申し添えます。
 あと労働組合,労組の反対がないかということですが、私は今のところ聞いていませんのでないと思います。
 以上です。分かっていることだけお答えしました。
【俵課長】  すみません。文部科学省医学教育課の俵です。先ほど永井先生から御指摘がありました,大学病院の位置付けについての指摘だったかと思います。政府全体としてどういう位置づけを取るかということが第一に来ると思いますが,今回そういう意味で,厚生労働省と連携しながら,新たな位置付けを検討するというのが一つあると思います。
 永井先生から,それに加えて,文部科学省の中でも何らか検討すべきじゃないか,そのような指摘があったかと思います。既に大学設置基準の中には病院ということは入っていて,診療を行うということは前提になっています。
 ただ,その中で高度な医療であったり,医師派遣であったりというのをどういうふうに考えていくか、政府の中でも考えていかなければいけないことだと思いますので,議論の状況も踏まえながら,どういったことができるのかについては継続的に考えていきたいなと思っています。
【永井座長】  
そうですね。ありがとうございます。これ非常に重要で,厚生労働省に大学の担っている高度な医療や医師派遣も評価してほしいという前に,文部科学省のほうで大学病院というのはそういうものが大事だと言ってくれないと,なかなか難しいですね。銘苅先生が御発言されるのは,そういうところですね。それを教育・研究の名の下に進めればひずみが出ます。明治以来,日本はその体制でやってきたのですが,そろそろ整理すべきときではないかということです。
 銘苅先生,よろしいでしょうか。
【銘苅委員】  はい。ありがとうございます。基礎的基準に学会の運営等を評価していただけるかどうかって,御意見いただけますでしょうか。
【松本室長】  厚生労働省からですけれども,先生ありがとうございます。基礎的基準のところは,これ特定機能病院ですので,厚生労働省の制度としての議論でございまして,文部科学省さんのほうの資料に厚生労働省の取組を紹介していただいているということでございますので,文部科学省にということだったんですけれども,この基礎的基準は特定機能病院の整理の中の話でございます。
 ベーシックな学術活動自体を特定機能病院とか診療報酬の中でというのがどういう整理になるかというのは結構微妙な問題なんじゃないかなと思いますので,文部科学省さんとよく整理をさせていただいて,どういうところでまとめていくのかということを検討させていただければと思います。
 この資料自体は特定機能病院のところですので,先生の問題意識としては,特定機能病院に限らず全体の中でどう位置づけるかというふうな問題意識と承っていいのかなと思っております。先ほど何かミッションの話というふうな指摘がありましたが,まずは基礎的なところについては,大学病院,附属病院という意味で整理をというようなお話もありましたけれども,どういう受け止めになるのかというのは,特定機能病院の中でというよりは,全体でのお話ということで承るのかなと思っております。
【銘苅委員】  ありがとうございます。ぜひお願いします。
【永井座長】  厚生労働省の松本室長、お願いします。
【松本室長】  今の論点でした。その点を補足させていただこうと思って挙手をさせていただいたので,もう大丈夫です。ありがとうございます。
【永井座長】  いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 まだ時間ございますので,どの点でも結構でございますが。銘苅委員,手を挙げられましたか。
【銘苅委員】  ありがとうございます。先ほどいろいろと言ってしまったのであれなんですけれども,もう一つ,バイアウト制度で,PIだけではなくて,若い研究協力者に関してもそういった制度が運用できるかどうかに関してコメント等いただければと思います。
【堀岡企画官】  私どもが所管の制度ではないですが,研究に集中するために,例えば代わりに講義をやったり,そういうことに関してお金を流せる制度なので,そういう研究をより集中できるようなことに,もしその研究者の方が取り組んでいるのであれば,バイアウト制度,PI人件費制度からお金が流せるという理解であります。
【銘苅委員】  ありがとうございます。そうしましたら,ちょっと私の理解不足なのかもしれないので,もう少し調べさせていただきます。
もし間違っていたら,次回以降,修正させていただきます。すみません。
【銘苅委員】 労働組合からの反発で医師の給料が上げられないというようなことで苦慮されている,もし大学がありましたら教えていただきたいです。うちだけが特殊ということでしょうか。
【俵課長】  すみません。医学教育課の俵ですけれども,直接そのようなことを聞いたことはないですが,やはりバランスをどう図るかとか,何を優先的に予算を使っていくのかということに関しては,それぞれ大学で様々に苦慮されながら進めているのではないかなと思います。
【銘苅委員】  ありがとうございます。ただ,この5年ぐらいずっと訴えてきていたものが,やはりこうやって文部科学省,厚生労働省の方々が医師の働き方改革を進めるぞというふうなメッセージを送っていただいたおかげで,うちの労働組合も少し緩くなってはきているので,ぜひ引き続き御協力,メッセージを出していただけますよう,よろしくお願いいたします。
【永井座長】  今村知明委員,どうぞ。
【今村(知)委員】  今村知明です。発言ができそうなので,ちょっとお話しさせていただきますと,診療科別収支計算について先ほどから議論が出ておりまして,広島大学もHOMAS使っていただいているので,このHOMAS作ったときに,永井先生が東大病院長で,私,経営部長で,塩﨑さんが経営戦略課長という関係で,この按分を作るときには物すごくもめました。按分の最大の案件は,病院長の人件費をどこにつけるかということですね。
 これは患者数で割っても,収入で割っても,面積で割っても,何が起こるかというと,一番頑張っているところに原価が乗るんです。すると,特に赤字の病院ですと,赤字の原因はどこというと,ICUの赤字をICUを一番使っているところのせいということになって,オペ室の赤字はオペを一番やっているところのせいということになって,それを見たときには,各診療科の怒りは大爆発するということがあります。
 ただ,そんなことをするために見ているということではなくて,利益率が上がっている、下がっているということで,時系列を見るという意味で,これは非常に役に立つんですけれども。
 幾つか発言がありましたけれども,最初にお見せしたときの反動というのはなかなかすさまじいものがありまして,東大のときも永井先生が病院長で,相当闘った覚えがあります。
 みんな見慣れてしまうと,そんなに問題がないんですが,最初にそれを提示して皆さんが納得するというステップがなかなか大変でして,そのときに耐え切ったところは,この原価計算をずっと多分示すことができて,こんなこと二度とするなと言われて引っ込めたところは,もう出せないというようなところが各大学病院で起こっているんじゃないかと思います。
 そういったことを統一的に,このルールでやったらこうだというようなことをやはり示してあげないと,なかなか大学病院の中でのあつれきを超えることが難しいんじゃないかなと思いますので,ちょっと原価計算についてコメントさせていただきます。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。田中委員,どうぞ。
【田中(純)委員】  すみません。今の今村先生のお話に返すとすると,広島大学病院ではずっと何年も前からデータ提示をしていまして,なので,あまり抵抗はないですけれども,新しく教授になって来られた方は最初どきっとされるそうですが,慣れていくので,こういうものなんだというのを見せると,やはり隣との比較ではなく時系列で見るということで,いいのではないかと思います。
 別の意見としては,大学病院の機能は教育と研究と診療と医師派遣があります。この医師派遣についてちょっと申し上げたいですが。地方の大学で,結構,規模も大きく,しかし医学部が県に1つしかない,1県1医学部というようなところは,やはり医師派遣を必死の思いでやっているわけですね。山間の地とか,海辺りとか,島嶼部、様々なところにも,やはり医師派遣をやっているわけですよね。そういうことを特定機能病院の評価にもやはり入れていただきたいというのは一つの思いと,それから資料にありましたが,厚生労働省が予算を確保していただいて,医師派遣に対して予算をつけるという,51ページの勤務環境整備費ですか。今の50ページです。
 これのオレンジのほうですけれども,やはり取れていない県が多く。先ほど説明にもありましたが,自治体との調整で行うわけですけれども,医師派遣を行うのが前年と比べて増えたところには出すよ、というような理解をしているところもあって,精いっぱい医師派遣をやっているのに,さらに増やさないと整備費をつけない解釈をしている自治体等もあるやに聞くので,そこら辺のところはちょっと理解いただいて,厚生労働省のほうからも県に一言言ってもらうような。
 医師派遣についてどれぐらい,医学部が県に1つしかないようなところは、担っているかというのも理解いただきたいと思って,意見を申し上げます。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。堀岡企画官,どうぞ。
【堀岡企画官】  非常に重要な論点なので,少しだけ御時間いただくと,参考資料の66ページに,国立大学病院の診療科別の財務状況において,診療科別に把握を行っている事項の収入と支出をそれぞれ分けてデータを取っています。実は,収入はもちろん全部取っているのですが,門脇先生から御指摘あったコストは35大学と答えていますが,実際は,医療の支出はそれなりにやっていますが,按分が難しい施設整備費とか消耗品費は12とか13大学で,現実には,今村先生が言ったような引っ込めた大学というのは多分ここの部分がうまくいっていないんだと思いますが,経営にとって非常に重要な観点だと思っています。
 実はHOMASで,今村先生の御苦労もあって,一定のルールは示されているので,経年的な比較であれば,院内の反発がなければできるはずなんです。
 なので,民間企業でそれやっていないところは絶対あり得ないわけで,11ページに我々その方針として記載していますけれども,診療科ごとの収支を経年で比較するということで実態把握・分析を行ってほしいというようなことは文部科学省としても打ち出したいと思っておりますので,各大学や検討会を聞いてくださっている方に,ぜひ検討していただければと思っております。よろしくお願いします。
【永井座長】  松本室長,どうぞ。
【松本室長】  ありがとうございます。特定機能病院のこともということだったので,参考資料の3で,今回,厚生労働省のほうで2月26日に特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会の,これまでの議論の整理をつけさせていただいております。
 この中で,今,田中先生がおっしゃっていた医師派遣のところですけれども,例えばですが,3ページのほうにございますけれども,3ページの上のところに,基礎的基準の上ですね。マル1,マル2とございまして,今回の柱立てのところのマル1ですけれども,医師派遣のところに関しては,まさに田中先生おっしゃったような,これまでの議論でも,1県1医大の場合,少数区域の派遣がすごく多いということなどデータでも示してまいりましたが,マル1,地域(特に医師が少数である等の条件不利地域)ということで,この「等」の中には1県1医大という概念も入ると理解をしています。
 こういうところで高度な医療を提供するための拠点としての機能であるとか,医師派遣機能を果たしていることを評価するということを,具体的に明示的に書かせていただきました。
 ほかにも,4ページですけれども,発展的基準のほうでも医療,研究,教育,医師派遣の基準を設定するんですけれども,この1マル目,「発展的基準の設定に当たっては」とございますけれども,2行目以降ですね。地域の最後の砦として果たしている機能が適切に評価されることが大事だということをうたっております。2行目の後半にもありますが,「地域の実情によって当該基準の達成が著しく困難なものとならないよう留意」ということで,「医師が少数である等の条件不利地域において医療を提供していること等の評価のあり方」ということを書いております。
 次の5ページにも,これ医師派遣に関する基準の考え方の続きなんですけれども,特に都道府県と連携した医師が少数である地域等への医師派遣の取組であるとか,2点目にも,例えば医師派遣の総数だけでなく医師1人当たり派遣医師数や,医師の派遣には一定の医師確保が前提となることから,医師確保の前提条件,大学病院本院立地自治体の医師の多寡や医学部数,これ,要は1県1医大のことですけれども,こういう勘案を行うなどの検討もしてはどうかということで,田中先生の御懸念に関しては,この検討会では非常に重要な論点として取り扱われているというところでございます。
 最後に,地域医療介護総合確保基金のところに関して御指摘があったんですけれども,幾つか柱がありまして,今回,大学でも取るようになったというのは,いわゆる6の柱と言われている働き方改革のところなんですが,これまでも4の柱ということで,医師派遣確保の柱がございまして,そちらで,様々な地域枠であったり寄附講座のところを出しているということがございます。
 勤務環境に関しては新たに取れるようになった部分ということで,それぞれの柱で,役割であったり上限額,都道府県の財源なども若干異なっておりまして,どのような説明を都道府県がしているかというのもあると思うんですけれども,いずれにしても,都道府県のほうで3分の1の財源確保が必要なことでありまして,よくお話合いをしていただくことが重要だと考えていますけれども,そういう事情等もあり,これまでの,どれぐらい出しているかというところも,県としては一定の勘案が必要な論点だと思いますので,よく御議論いただきたいと考えております。
 いずれにしても,非常に重要な論点ですので,都道府県とも我々かなり密に会話をしておりまして,先生の問題意識なども同じようなことを伝えてきているところですので,もっともっと密に情報共有をしていきたいと考えています。
 以上です。
【永井座長】  松本室長にお聞きしたいのですが,これは今回の地域派遣というのは,ほかの特定機能病院も求められる要件なんですか。例えばがんセンターとか,NCGMも特定機能病院ですが,派遣についての要件はどうなっているのでしょうか。
【松本室長】  ありがとうございます。こちらについては,医学部附属病院本院自体を特定機能病院の中で切り分けて位置づけるということで,特別な扱いにするということを位置づけております。
【永井座長】  この根拠はどこにあるんですか。
【松本室長】  それは特定機能病院の今後,基準の中で,そのような整理をしていくということでございまして,そうなった場合に,ほかの医学部附属病院本院ではない,御指摘のがんセンターなどの位置づけに関しては今後整理を行うということをうたっておりまして,今後,位置づけをどうするのか,特定機能病院の中なのか外なのか,カテゴリーをどこまで分けるのかということは追って整理をしたいと考えておりますが,もう別にするということは,ほぼ検討会の中で合意がされております。
【永井座長】  
そこがまさに大学病院の位置づけの問題で,これを厚生労働省にやってもらうのではなく,文部科学省のほうで,まず主体的に整理しないと,現場は振り回されるばかりだというのが私の意見です。
 今村英仁委員,どうぞ。
【今村(英)委員】  日本医師会の今村です。本日,これが医学教育の在り方ということで今,特定機能病院のお話もあり,その中では,今,永井委員長もいろいろ問題にされている医師派遣だとか地域医療への貢献というような部分というのが,今まであまり位置づけられていなかったと。こういった部分は,ちょっと医師会の中でも,特定機能病院の在り方として,こういった医師派遣だとか地域医療への関わり,これ非常にそういうことが入ってきてうれしいという声があると同時に,とはいっても,例えば急性期の病棟だけでなくて,実は地域にはたくさん療養の病棟とか回復期の病棟だとか,最近は地域包括ケア病棟といったような様々な病棟があり,実際に活躍するドクターのことを大学の先生が,分かっていただけるのかということと,特に医学教育の中で,例えばそういった急性期だけでない医療については,実は教育がされていないということではないだろうかと。こういった部分,医学教育の中で今後どういうふうに取り上げていくのか。若しくは,ここはやはり取り上げていただかないと,総合診療医だけを養成すれば地域医療ができるわけではないというようなところで,ぜひここは医学教育の中で検討してもらいたいという声が出ておりますので,一言付け加えさせていただきます。
【俵課長】  ありがとうございます。医学教育課の俵です。今いただいた御意見ですけれども,やはり医学教育の中で,そういった地域の医療をより知ってもらって,ある意味,広く総合的に診る力を学部段階でも身に付けていくというのは非常に大事だと思っています。
 具体的に言うと,一つは参加型の実習でということだと思いますし,もう一つは,地域の病院の中での実習を今後どういうふうに考えていくか,そういう視点があるかと思います。
 今回の論点と,あと対策の中にも一部そういったことも示させていただいていると思いますので,これからどのような取り組み方が良いのか,大学の先生方とも協議をしながら考えていきたいと思っています。よろしくお願いします。
【永井座長】  そこは分かるんですが,歴史を見れば,しばしば教育の名の下に労働が行われてきたんですよね。だから,そこはしっかりと手当が必要だろうと思うんですね。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういたしますと,大体時間になりましたが,事務局より報告事項をお願いいたします。
【小林室長】  
失礼します。資料の5を御覧いただけますでしょうか。文部科学省で施設整備の担当をしております部局でございます。
 こちら私たちのほうでは国立大学の施設整備に関しまして5か年の計画というのをつくっておりまして,現在は第5期なんでございますけれども,次のR8年度から始まります計画について中間まとめがまとまってきましたので,そちらの御報告をさせていただきます。
 スライドの3を御覧いただければと思います。こちらでございますけれども,現在,協力者会議を開催しまして,その中で,塩﨑先生にも委員に入っていただきながら検討を進めております。
 現在の中間まとめの附属病院施設整備に関する記載のところを抜粋させていただきました。
 まず,第3章の一番最初のところ,1の整備目標(2)のところでございますけれども,現在進んでいる計画では,45万平米を造りますと言っていたところを最終的には58万平米ということで,これは皆様の御要望に沿って対応はできてきたのではないかと思います。
 続きまして,今後の課題と方向性ということで,今御覧いただいているスライドの一番下にございます。御覧いただければと思いますけれども,非常にたくさんの施設をお持ちのところでありますので,既存施設の老朽化対策やライフラインの更新を重点的に,また計画的に進めてほしいということと,新しく施設を造るというときには,そうしたコストがかかってくるということも含め,慎重に御検討いただきたいということを盛り込んでおりまして,次のページを御覧いただければと思います。
 一番上のマルでございますけれども,今後,発展・進化をしていく医療分野に柔軟に対応できるようにということで,例えば諸室等の用途に応じたメリハリをつけた整備,そして総事業費の抑制であったり,3つ目のマルでございますけれども,医療技術の変化等に対応できるような柔軟で可変性の高い施設整備というのが今後求められてくるのではないかということで,今後の課題として方向付けしております。
 第5章のところで,具体的には整備目標というところございますけれども,4つ目のマルでございますが,次の5か年では大体,約20万平米ということを予定しております。こちらは現在,国立大学の附属病院に関しましては,大きな整備というのが一旦落ち着いているところでございますので,少し低い数字になっておりますが,こちらは各大学からの御要望に応じて対応してまいりたいと思っております。
 最後のところでございますけれども,一番下のマルでございますが,近年の医学教育の在り方,そしてこうした附属病院の機能に係る国の議論,また物価の高騰なども踏まえて,今後の国立大学附属病院の施設整備の在り方については,私たちのほうで実施している今の会議とは別の形で検討する必要があると考えております。
 報告は以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは最後に,今後のスケジュール,事務局からお願いします。
【今村(知)委員】  今村ですが,1点だけよろしいでしょうか。
【永井座長】  はい。どうぞ。
【今村(知)委員】  今,20万平米とおっしゃっていますけれども,これは建物の延べ床面積のことでしょうか。それとも建物の床,底の土地面積のことなんでしょうか。
【小林室長】  建物の床のほうと思っていただいて。
【今村(知)委員】  延べ床面積。
【小林室長】  はい。
【今村(知)委員】  すると,この各病院,最低5万,普通は10万以上あると思うので,2つ建て替えれば御の字で,東大病院とかですと多分1つだけということになる。なかなか緊縮された財政のように思います。
【小林室長】  まず各大学さん,今後5か年ぐらいの予定というのは,ある程度把握をしておりまして,それから機械的に出しましたけれども,各大学のほうで,やはりやらないといけないというのは出てくると思います。それは個別に御相談させていただきたいと思いますので,これ以上は絶対やらないということではございませんので,そこはちょっと御理解いただければありがたいです。
【今村(知)委員】  分かりました。逆に,各大学から聞いたんだったら,それだけのお金を返せないということになってしまっているのかもしれませんので,ぜひその辺ところ酌み取っていただいて,やっていただければと思います。
 以上です。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
 それでは,今後のスケジュール,事務局からお願いします。
【海老課長補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。
 次回,第13回でございますが,ただいま日程調整中でございますので,決定次第,委員の皆様には速やかにお知らせしたいと思います。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは,本日の会議はこれで終了いたします。お忙しいところ,ありがとうございました。

―― 了 ――

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