障害のある学生の修学支援に関する検討会(令和5年度)(第8回) 議事録

1.日時

令和5年11月20日(月曜日) 16時~18時

2.場所

15F特別会議室(対面形式とオンライン形式を併用したハイブリッド形式にて開催)

3.議題

  1. 三次まとめ(案)について
  2. その他

4.議事録

【竹田座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、「障害のある学生の修学支援に関する検討会(第8回)」を開催いたします。本日の会議より対面・オンラインのハイブリッド形式での実施となりますが、皆様には、御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 まずは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【小栗補佐】  文部科学省学生支援課課長補佐の小栗です。本日は、御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして、どうもありがとうございます。
 配付資料につきましては、議事次第のとおりとなっております。金曜日に資料1、11月17日版をお送りし、本日、加筆修正したものを資料1、11月20日版として再度お送りしております。お手元の資料は20日版となっております。過不足がありましたら、事務局まで、議事の途中でも結構ですので、遠慮なくお知らせいただければと思います。
 なお、参考資料集については、事前にお送りしているものではありますが、会場にて対面参加いただいている委員の皆様におかれましては、お手元のiPadから参照いただけますので、適宜御参照いただければと存じます。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。本日は、「第三次まとめ」の案について審議を行います。これまでの議論や委員の皆様方からの御意見を踏まえて、事務局において案を作成しておりますので、まずは事務局より資料の御説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  まず、資料1の説明に先立ちまして、前々回、第6回検討会及び検討会の後に「第三次まとめ(原案)」に対して頂いた御意見につきまして、事務局としての対応案について、まず御説明させていただきます。その上で、資料1について御説明させていただければと思います。
 まず、第6回検討会の中では、村田委員より、教育の普遍的な価値を維持し、そのステークホルダーとして学生がいて、それらの学生に対する教育責任があるというところから始めるべき、という御意見を頂きました。他の委員の先生方からもそういうことは盛り込むべきだという御意見を頂いております。これにつきまして、御指摘を踏まえて「第三次まとめ」に反映する方向で今盛り込んでおります。
 それから、白澤委員から、私学の多様性について盛り込むべき、という御指摘もございました。こちらについても反映する方向で今案を作成しております。
 それから、通信教育課程につきましても、白澤委員より、今後の課題にするのではなく、今もあることについてきちんと触れるべき、という御指摘がございましたので、こちらも反映しております。
 それから、高橋委員から、会議後に御意見を頂きました。まず、障害のある学生への合理的配慮は、高等教育機関において学生支援の一部であることや、学内の学生支援のリソースを総合的に活用しながら支援していくこと、そういった点につきましてなるべく反映する形で案を作成いたしました。後ほど御説明させていただきます。
 また、根拠資料の必要性についても、「第三次まとめ」の中で反映する形で盛り込んでおります。
 それから、大学の中期目標・中期計画達成状況の評価等における障害学生支援の明記について御指摘を頂いております。こちらは省内で確認はいたしましたが、まず、国立大学の例えば中期目標・中期計画に位置づけられるかどうかということにつきましては、国立大学については平成28年から既に義務化されているという中で、今からそういった目標に位置づけることはなかなか難しいということがございます。それから、各大学の自主性・自律性を尊重して目標は定めるということになっておりまして、国の個別施策を推進する内容を盛り込むというのは、なかなかなじまないものであるというところでございます。同様に、自己評価や外部機関の認証評価などの項目に盛り込むことについても、これも同様に難しいといったところがございました。ただ、御指摘がございましたように、その大学の価値を高めるためにも障害学生支援が重要である、ということでございますとか、管理職が理解を深める、といったことについては、非常に重要な御指摘と考えておりますので、今回の案に反映できてはおりませんが、そういったことも盛り込むような形で今検討をしております。
 続きまして、学生の成長と自立につなげる自己理解の重要性ということで、セルフアドボカシーの力をつけていくことについても今回の案で修正案を作成しております。
 それから、学協会における合理的配慮につきましては、文部科学省として、この「第三次まとめ」で大学以外の学協会に対しても方針を示すというのは難しいところではありますけれども、冒頭の「はじめに」の中で、この「第三次まとめ」を参照する想定の一覧、こういった方々にといったものを書いてある中に「学協会関係者」を盛り込むことは可能と考えておりますので、そういった形で反映したいと考えております。
 続きまして、殿岡委員から会議後に頂きました御意見についてでございます。まず、障害学生のデータの項目を見直すように、といった御意見につきましては、御指摘を踏まえて見直す方向で今検討をしております。ただ1点だけ、最初に、志願者、入学者、学生数、卒業数といったデータを並べるところにつきましては、順番としては、まず学生数、大学にどれぐらいの学生がいるかということを最初に述べさせていただいて、次いで支援学生はどれぐらいか、障害の内訳はどれぐらいかといったことを述べた上で、入学ではどうなっているか、卒業時にはどうなっているかといった形の順番でデータは整理させていただければと考えております。
 それから、検討の対象範囲と合理的配慮の対象範囲について御意見を頂いたところでございます。こちらの委員の御指摘のように、確かに誤っている見方が可能になってしまうということはございますが、逆に合理的配慮の対象範囲、と書いてしまうと、「ではここに書いていないことは合理的配慮としてやらなくて良い」と捉えられかねないというところもございますので、検討の対象範囲はそのまま検討の対象範囲と書かせていただいた上で、注意書きで「合理的配慮は障害学生の社会的障壁の除去のために行われるものであり、その内容は障害学生個別の事情により異なるため、検討の対象範囲を超えた対応を各大学等において合理的配慮として実施することは差し支えない」といった一文を注意書きで入れさせていただければと思います。
 最後に、読書バリアフリー法に基づく対応については、御指摘を踏まえて反映させていただければと考えております。
 以上の対応を踏まえて、資料1として、原案・修正版として今回新たに作成いたしました。まず、1ポツの「はじめに」のところ、2ページ目になります。最初の段落で、「なお、障害者差別解消法の改正により、合理的配慮の提供が新たに義務付けられる私立大学等は多様な規模や教育の特性を備えている。本まとめの作成にあたっては、大学等の規模や教育の特性によらない普遍的な内容について取りまとめ、全ての大学等が取り組むべき基本的な考え方を示すことを心掛けている。」といった私学の多様性についてここで触れさせていただければと考えております。
 それから、次の段落のところで、想定する参照者の中に学協会関係者を入れております。
 その次の段落のところに、今は入っておりませんが、障害学生支援は大学の価値や魅力を高めるために行うものであるとか、管理職や役員がそういったことを認識して推進していくことが必要だといった文言を入れたいと考えております。
 続いて、2ページ目の後半、2ポツ「大学等における障害学生の現状」につきまして、殿岡委員の御指摘を踏まえて項目の見直しを行っております。
 それから、5ページ目、5ポツ「障害学生支援に関する基本的な考え方」ということで、ここで(1)大学等における障害学生支援の在り方ということで、村田委員や高橋委員から御指摘を頂いた点を盛り込んでおります。「大学等には多様な学生が在籍しており、大学等はそれらの学生に対し教育を行う責任を負っている。障害のある学生も多様な学生に含まれており、その観点から、大学等における障害学生支援とは、障害のある学生が、他の学生と平等に『教育を受ける権利』を享有・行使することを確保するために行うものであり、合理的配慮はそのために必要かつ適当な変更・調整を行うものと位置付けられる。また、大学等における障害学生支援は合理的配慮の提供のみによって行われるものではなく、各大学等において、障害の有無によらず、学内全ての学生を対象に実施している各種学生支援を含めて行われるものであり、合理的配慮は、そのような支援の1つとして、障害のある学生が相対する社会的障壁の除去が必要な際に実施されるものである。よって、各大学等においては、障害学生支援に際し、合理的配慮の提供以外の学内の学生支援のリソースも総合的に活用しながら支援していくことが重要である。」としております。
 続いて、6ページ目になります。障害の根拠資料に関する考え方について、「第二次まとめにおいて示したとおり、障害のある学生の申出に際しては、個々の学生の障害の状況を適切に把握するため、学生から障害の状況に関する根拠資料の提出があることが必要である。そして、根拠資料とは、大学等が学生の学修する権利を保障するため、学生が障害によりどのような社会的障壁を抱えているかを把握し、適切な合理的配慮を提供するために不可欠なものである。ただし、障害学生が合理的配慮の提供を受けるための『条件』として求めるものではないことに留意する必要がある。特に、障害の内容によっては、根拠資料の提出が困難な場合や、資料の取得に時間を要する場合があることに留意し、障害のある学生が根拠資料を取得する上での支援を行うことや、建設的対話等を通じて、本人に社会的障壁の除去の必要性が明白であることが現認できる場合には、資料の有無に関わらず、合理的配慮の提供について検討することが重要であることは改めて強調したい。」
 続いて、学内の教職員向け対応要領・ガイドライン等として、「教職員向け対応要領・ガイドライン等の作成について、国立大学においては、障害者差別解消法に基づき対応要領の作成が義務付けられているが、公立大学においては努力義務となっており、私立大学については作成が義務付けられているわけではない。しかしながら、大学が組織として責任の所在を明確にし、障害学生支援に取り組むためにも、教職員向けの対応要領・ガイドライン等を作成することが望ましい。また、既に教職員向け対応要領・ガイドライン等を作成済みの大学等においても、今回の障害者差別解消法の改正や文部科学省対応指針等の改正を踏まえ、既存の対応要領・ガイドライン等の見直しを行うことが重要である。特に公立大学においては、設置者である自治体の対応要領のみを参照して職員対応要領を作成したことにより、教育機関である大学等としての責任体制等についての記載が不十分となる場合があるため、教育機関としての特性を踏まえた対応要領への見直しを行う必要がある。また、附属学校や附属病院等の施設等を有する大学においては、対応要領・ガイドライン等において当該施設の性質にも配慮した内容を盛り込むことも、障害学生支援を適切に実施するにあたり有効である。」
 続いて、6ポツ、合理的配慮の提供における諸課題への考え方と具体的な対処の取組、(1)学内の体制整備や合理的配慮の提供、支援体制の構築と学内での浸透に関すること。「法的義務となる障害学生支援の重要性を大学等の役員や管理職が認識することは非常に重要であり、大学等の執行部は率先して支援体制を構築するとともに、教職員のFD・SDを通じて障害学生支援の重要性の学内への浸透に取り組むことが必要である。特に、5.(2)に記載した障害の「社会モデル」は障害学生支援の基本的な理解に関わるものであり、障害学生支援の現場に関わる教職員のみならず、大学等の構成員全てが理解をすることが必要である。」
 学内の学生支援部署の連携に関すること。「5(3)において記載したとおり、障害学生支援は、障害の有無によらず学内全ての学生を対象に実施している各種学生支援を含めて行われるものであることから、障害学生支援部門と他の学生支援部門(学生相談センター、保健管理センター、学修支援センター、キャリアセンター等)が連携し、それぞれの観点から障害学生の支援を行うことが必要である。」
 それから、合理的配慮の提供における諸課題に関することとして、まず、「平成28年の障害者差別解消法の施行に伴い、各大学等では様々な合理的配慮が実施されてきたが、いくつかの課題が発生していると指摘されている。ここでは具体例を挙げるとともに、適切な対応の在り方を記述する。」
 合理的配慮の内容決定の長期化、合理的配慮の内容決定において、ということで、ここは具体的な事例を幾つか挙げたいと思っております。「配慮内容の決定に数か月かかる等によって、障害学生が入学当初から適切な配慮を受けられないといった事例が指摘されている。より適切な配慮を実施するために慎重な判断が必要とされる場合に、配慮内容の決定に時間がかかることもあるが、支援内容決定の長期化は、障害学生にとって修学意欲の減退や大学に対する不信感につながる場合があり、休学・退学につながる可能性がある。このため、大学等は配慮に関する情報発信や情報公開を積極的に行い、障害学生が支援組織にアクセスしやすい環境を整備するとともに、障害学生との建設的対話をより早い段階から行うことにより、当面必要な配慮を決定のうえ、順次、必要な支援の内容を更新していくことが重要である。また、支援内容の決定にあたっては、例えば当該学生の出身校や家族等と連携し、大学等入学以前に受けていた支援に関する情報を収集する等も、適切な支援を早急に行うためには有効である。」
 配慮内容の固定化。「障害学生に対する合理的配慮に関し、入学段階で決定した配慮の内容から変更を認めない等の対応が一部の大学等において行われていることが指摘されている。入学時の合理的配慮の申請の段階では、学生は、大学等の設備や、大学等の授業形態(大規模教室での授業、少人数のゼミ形式の授業、実験・実習等)を十分に理解しているわけではないこと、また、障害の進行等により入学時には学生自身も想定していなかった新たな社会的障壁が発生する場合もある。第二次まとめにおいても、『提供した支援についてのモニタリングを行い、必要がある場合には内容の調整を行なう』とされているところであり、学生との建設的対話を継続して行い、より適切な配慮に結びつけることは重要である。このため、大学等は、障害学生が受けている支援の内容について、学生が相談しやすい体制を構築し、学生との関係の持続に努め、支援内容を柔軟に変更することができる体制を構築することが必要である。」
 大学等が提供する配慮と本人の意向との齟齬。「第二次まとめにおいて、合理的配慮の提供は『原則として、障害のある学生本人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合』とされており、本人からの申出を前提としていることから、合理的配慮を希望する障害学生本人の意向を最大限尊重したうえで、配慮内容を決定しなければならない。」例えば、ということで、ここで幾つか例を書きたいと思っております。「本人の意向を確認・尊重せずにルールの例外を設けることで、結果的に、合理的配慮のつもりで実施した行動が、不作為に差別的取り扱いとして受け取られる可能性がある。このような事態を避ける観点からも、建設的対話を通じて、本人の意向を丁寧に確認したうえで、配慮内容を決定する必要があることに留意しなければならない。なお、本人の意向を正確に把握し、適切な配慮に結びつけるためには、学生自身が適切に意思表明できるような工夫を大学等としても検討する必要がある。そういった工夫の中には、例えば、学生自身が自己理解を深め、セルフアドボカシー(自己権利擁護)の力を身に付けられるようなプログラムを提供し、自身が高等教育を修学するにあたり真に必要となる配慮は何であるか、学生が自分自身で決定し、表明できるよう導くといった取組なども考えられる。」
 大学院生の研究活動における合理的配慮。「障害のある大学院生の数は令和4年度は2,574人であり、10年前の平成25年度の735人から年々増加している。大学院生に対する合理的配慮は、授業における配慮に加え、研究活動における配慮もより重要であり、例えば研究室における合理的配慮の提供や、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)に基づく文献の電子媒体での提供等が求められる。」
 通信教育課程における合理的配慮。「障害者差別解消法の改正に伴い、通信教育課程を有する大学等においても合理的配慮の提供は例外なく義務付けられこととなるが、現状、提供できない配慮の内容を例示する等を行う大学の事例が指摘されている。前述のとおり、合理的配慮の提供の可否は建設的対話を通じて判断するものであることから、通信制課程を有する大学等においては、現行の対応が改正法に対応したものとなっているか見直しを行うことが必要である。」
 合理的配慮とテクノロジーの活用に関すること、大学等の積極的なテクノロジーの活用。「近年、障害者を支援する機器やアプリケーション等(以下「機器等」という。)は、著しく発達しており、大学等において支援実績のない機器等を活用した配慮を、入学以前より当該機器等を活用している障害学生から求められることも考えられる。各大学等においては、合理的配慮の提供にあたり、建設的対話を通じて、過重な負担とならない範囲でそれら機器等の積極的な活用を検討することが求められる。」また、文部科学省対応指針、ここは、今はまだ改正中でございますので、改正段階、まだ案の段階でございます。「『車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付き添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する』と新たに規定されたところであり、各大学等においても、障害に伴う社会的障壁を解消するために支援機器等を利用することを正当な理由なく禁止することは、不当な差別的取扱いに該当することに留意する必要がある。」
 オンライン学修における合理的配慮の在り方。「新型コロナウイルスの感染拡大は、各大学等における授業等のオンラインでの受講(以下「オンライン学修」という)の急速な普及をもたらした。このことに伴い、障害学生に対する合理的配慮としてのオンライン学修の在り方が各大学等において課題となっている。合理的配慮としてのオンライン学修は、他の合理的配慮と同様、学生が障害によりどのような社会的障壁を抱えているかを把握し、建設的対話を通じて、オンライン学修を提供することが適切であるのかを判断するとともに、オンライン学修を提供することが過重な負担に該当するか、当該科目の教育の本質的な変更に該当するか等を踏まえて判断することが重要である。なお、その際は当該科目を構成する授業毎の特色を踏まえ、対面による実施とオンライン学修による実施を組み合わせることも考えられる。なお、シラバス等において『当該授業は、オンラインによる提供はいかなる理由に関わらず実施しない』等記載することは、必要な調整を行うことなく一律に対応を断るものと解されるため、合理的配慮の提供義務違反に該当する。」
 学内における支援人材の配置・育成に関すること。「障害のある学生の支援を行う人材(以下、「障害学生支援担当者」という)は大部分の大学等において配置されているが、その内訳としては、職員や教員を兼任として配置している大学等が多く、コーディネーター、カウンセラー、支援技術を持つ教職員等、専門的知識を有する障害学生支援担当者の配置は専任・兼任ともに低い状況である。障害学生支援担当者の養成・配置に関する考え方は第二次まとめにおいて示しているところであるが、障害学生への支援は長期間にわたり継続的かつ安定的に行うことが求められることから、専門的知識を有する障害学生支援担当者を配置し、長期的に支援を担うための身分的位置づけを確保するとともに、更なる専門性の向上やキャリアパスの構築を推進することが重要であることは改めて強調したい。」
 (2)紛争の防止・解決に関すること、紛争の防止・解決のスキームに関すること。「障害学生と大学等との間で相互に要求と拒絶が行われているプロセスを『紛争』という。この紛争の防止・解決のための第三者組織については第二次まとめにおいて考え方が示されているところであるが、令和4年度現在、紛争の防止・解決等に対応する機関がある大学等は52.3%である。そのうち、第三者視点で調整を行なう専門機関を設置している大学等は7.4%、ハラスメント委員会等の他の機関で対応している大学等は44.9%となっており、依然として、半数近くの大学等で紛争の防止・解決等に関する調整を行う機関は設置されていない状況である。紛争が長期化すれば、配慮内容決定の長期化に繋がるだけではなく、学生本人及び大学等の双方にとって多大な負担が生じることとなり、ひいては、本来学生本人が享受するはずであった修学の機会を逸する可能性があることから、各大学等が紛争を未然に防ぐ、あるいは迅速に解決するための体制づくりを進めることは極めて重要である。なお、学内の紛争解決のための学内組織の存在に加えて、障害者差別解消法に基づく紛争解決のための学外の相談窓口の存在を障害のある学生に周知し、必要に応じて連携を図ることが重要である。また、紛争防止・解決のプロセスやフローを作成・公表することは、手続きの透明化につながり、大学等と障害学生との信頼関係の構築の手段として有効である。」
 入試における合理的配慮の提供に関する紛争の防止・解決に関すること。「障害のある受験生が、オープンキャンパス・進学説明会において、」ここで具体例を記載予定です。「等の対応を受けている事例が指摘されている。これらの対応は障害者差別解消法によって禁止されている不当な差別的扱いに該当すると考えられる場合があり、各大学等はオープンキャンパス・進学説明会等において、障害のある受験生から入試や学修面における配慮の相談を受けた場合は、障害学生支援部署と連携して対応に当たる等により、丁寧な対応を心掛ける必要がある。特に私立大学では多様な選抜方法が導入されているが、その多様性に関わらず合理的配慮を適切に実施することが重要である。また、受験生側も自身に適した試験形態や必要な配慮が全て分かるわけではないことや、受験大学等の設備や試験形態を十分に理解しているわけではないため、受験生との建設的対話を通じ、より適切な配慮に結びつけることが重要である。また、その際は合理的配慮決定までのプロセスや配慮決定までの期間を伝える等、申請手続きの透明化を図ることが望ましい。なお、合理的配慮を行っていることを理由に入学試験の結果を減点することは不当な差別的取扱いに該当する。」
 (3)、(4)についてはまだできておりません。
7ポツ、大学等連携プラットフォームの枠組みの更なる活用に関すること。「我が国における障害学生数は年々増加しており、今後も同様の傾向が続くと見込まれる。特に、精神障害、発達障害のある学生の在籍者数の増加が顕著であり、求められる支援も多様化している。このような状況の中、令和6年4月には改正障害者差別解消法が施行され、全ての大学等において合理的配慮の提供が義務化されることとなる。一方、各大学等における障害学生支援の専門部署や紛争の防止や解決等に関する調整を行う機関の設置状況、あるいは専門的知識を有する障害学生支援担当者を配置している割合は依然として低い状況であり、各大学等が障害学生支援を適切に実施するには、体制整備や支援人材の育成等を一層推進することが必要である。しかしながら、特に中・小規模の大学等が単独で障害学生支援や障害学生支援担当者の養成に取り組むことには限界がある。文部科学省では、令和2年度より、『障害のある学生の修学・就職支援促進事業』として、障害学生支援に関する先進的な取組や知見を持つ大学等が中心となり、各大学等が参画できるプラットフォームを形成し、組織的なアプローチによって高等教育機関全体の障害学生支援を促進する取組を行ってきたところであるが、引き続き、プラットフォームを通じた各大学等の連携を通じ、以下に示す取組を継続的に行う体制を構築することが重要である。」
 (1)から(4)は前回から変わっておりません。
 最後に8ポツ。おわりに、として、今後検討が必要な事項・課題。「近年、通信教育課程の大学に在籍する学生は増加傾向にあり、障害学生数も同様に増加している。今後、通信教育課程の大学に在籍する学生がさらに増加し、障害学生支援に関する通信教育課程固有の課題が発生した場合には、通信教育課程の大学に在籍する障害学生に対する支援の在り方について改めて検討を行う必要があると考えられる。」
 今回の検討会の検討対象範囲には含まないが、大学等に求められる合理的配慮への留意として、「この第三次まとめは、障害のある学生の修学支援の在り方について考えをまとめたものである。このため、大学等の構成員である教職員や、ポスドク・研究員で障害のある者に対する合理的配慮について具体的に触れていないが、障害者雇用促進法や改正障害者差別解消法により、これらの者に対する合理的配慮も学生同様提供が義務付けられるものである。また、大学等が開催する公開講座やオープンカレッジ、リスキリング教育等、所属学生以外を対象として学外に開かれた講座等に参加する障害者に対する合理的配慮の提供も求められるため、各大学等では、これらの実施に際し、合理的配慮の申請・相談に関する情報を公開することが望ましい。」
 最後に、その他として、支援・配慮事例として取り上げる事例として、1つ、キャンパスソーシャルワーカーを活用した障害学生支援の事例も取り上げてはどうかと考えて、追加いたしました。
 資料1の修正箇所は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。それでは、審議に入りたいと思います。
 ただいまの御説明を踏まえまして、お配りしている資料1について、御質問、御意見をお願いいたします。これまでの議論は大分反映していただいたかと思いますけれども、それが反映できているかという点や、各セクションにおいて特に留意すべき点など、忌憚のない御意見をお願いいたします。
 なお、対面で御出席の委員におかれましては、指名いたしますので、御質問等あれば挙手をお願いいたします。また、オンラインで参加の委員の皆様方におきましては、ZOOM上で挙手の操作、「リアクションタブ」の「手を挙げる」機能を御活用いただければ、こちらのほうで指名させていただければと思います。
 それでは、こちらの議論が今日のメインですので、どうぞ各委員の皆様から積極的に御発言をお願いしたいと思います。お願いいたします。いかがでしょうか。
 では、殿岡委員、白澤委員の順でお願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。質問の前に、まずは、全体でばらばらと質問するのか、区切っていくのか、どちらでしょうか。
【竹田座長】  そうですね、区切っていくというのも手かとは思うのですけれども、どこかで議論が白熱すると、今までの感じからすると後半のほうが時間が足りなくなってしまうので、最初は皆様方から自由に、特にこの辺というような意見を出していただいて、ある程度その議論の対象、時間をかけたほうが良いところが分かってきたら、そちらのほうにシフトしてという形でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【殿岡委員】  了解しました。1回マイクを置きます。
【竹田座長】  では、白澤委員からお願いいたします。
【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。まず初めに、事務局のみなさんにおかれましては、非常に力強いたたき台をまとめていただいて、本当にどうもありがとうございます。しかも検討会の直前まで修正していただき、文部科学省の担当の皆さんの意気込みを感じる文章だなと感じました。
 その上で、私からは3点申し上げてよろしいでしょうか。まず初めは、5ページの「社会モデル」のところです。(3)の上のところの段落です。「「社会モデル」の考え方は、「どのような学生が、障害者差別解消法において義務付けられている合理的配慮の対象となりうるのか」という、障害学生支援の基本的な理解に関わるものであり」という説明がなされているのですけれども、後の6の(1)のところでも構成員全てが理解すべき重要な項目であると書かれていることを考えると、ここでは、「社会モデル」の対象がどういうものなのかということを説明するのみではなくて、「社会モデル」とは一体どういうものなのか、大学としてどう捉えなければいけないのかを、きちんと説明できたほうが良いのではと感じました。
 例えば、「本来大学は、全ての学生が平等に教育を受けることができる場であるべきにもかかわらず、障害のない学生を前提に作られた仕組みとか構造が障害のある学生に教育上のバリアをもたらしている」ということですとか、「大学は、本来の大学の姿を取り戻すためにも、平等な学びが得られる教育環境の構築に取り組んでいかなければいけない」といったような、「社会モデル」とは一体何で、大学は何を目指さなければいけないのかというところしっかり書くと良いのかなと思いました。
 それから、2番目は、9ページ目のテクノロジー活用に関することです。この場所で良いか、それともその少し前の合理的配慮に関する問題のところで述べたほうが良いのか、悩んでいるので先生方の御意見も頂きたいのですが、近年、AIの発展によって低コストで合理的配慮が提供できるようになっていると思うのです。これ自体は非常に良いことだとは思うのですが、あたかもAIを活用することが進んでいて、望ましいことで、従来型の人的支援による支援が遅れているかのような、そういう捉え方をされてしまうとマイナスになってくると思うのです。たとえ、人的資源が必要でも、それが最も適した手段なのだとしたら、きちんとそこにコストを割くべきだし、人をつけるべきということをぜひ理解できるような形にしたいと思っています。
 例えば、音声認識やOCRなどのAI技術も近年めざましく発展しているものの一つですが、音声認識がいくら進んでいるからといって、音声認識で生成された字幕をそのまま人の目を介さずに授業の情報保障として利用するとか、OCRをかけただけの文書を資料として提示していくというのは、チャットGPTで作成した文書をそのまま論文として発表していくようなもので、高等教育の質保証の観点から言うと、極めて危機的な状況にあるのではないかと思うのです。なので、障害学生にもきちんと教育の質を担保していくという意味において、合理的配慮の質の検討がなされないまま、ただ低コストの支援手段に流れていく風潮には、歯止めをかけなければいけないと思っております。この点、ぜひどこかで言及をしていただけるとありがたいと思っています。
 それから、1つ戻る形になってしまって申し訳ないのですが、通信教育のところについては、項目を設けていただいて、どうもありがとうございます。こちらはもう少し肉づけがあると良いかなと思いますので、後ほど文案を出させていただければと思っていますが、例えば、通信教育の中では、そもそも合理的配慮の担当者がいなくて、知識不足のまま支援を進めていたり合理的配慮に関する問合せ先が公開されていなかったり、適切な対話プロセスが全くなくて、書面のみのやり取りしか認められていないので、一方的な通知のみで終わってしまっているといった事例がとてもたくさん報告されております。なので、通信教育課程にも障害学生支援コーディネーターを配置していくといった取組が必要だと思われますし、それができなければ、少なくとも通学課程の中に置かれているコーディネーターや障害学生支援室と連携を持って、情報共有やリソースの共有をしていくことが重要になってくると思います。通学課程の中では、とても良い支援をしている大学であっても、通信教育になると非常に事務的な対応をされて終わってしまう例がたくさん見受けられますので、そういったところを書き込めると良いと思います。
 それから、将来的な課題としても通信教育のことを入れていただいておりますが、こちらには、例えば、何らかの事情があって通学課程で学べない学生たちに対しても広く開かれた課程になっていくために、教材そのものをユニバーサルデザイン化したり、スクーリングを実施する際に、アクセシビリティに配慮した場所を選んだりして、誰もが学べる環境づくりを行っていくようなことも重要になるのかなと思いました。この点、後ほど文章を考えて送らせていただきますので、お願いいたします。
 長くなりましたが、以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。色々大事なポイントを上げていただいたと思いますけれども、本日は冒頭にも申しましたように、議論の内容、これが中心ですので、毎回なかなか議論の時間が十分取れていませんでしたので、ぜひ各委員から御発言いただければと思います。
 では順番に、高橋委員、中野委員、南谷委員、殿岡委員と、そういう順番でまずはお願いいたします。
【高橋委員】  信州大学、高橋です。私も、まずは白澤委員と同様に、大変充実した内容で、これまでの色々な議論の意見も反映していただいて、素晴らしいものを準備していただいたかなと思って、感謝を申し上げます。
 私からは、少し議論をして言葉の整理をしたほうが良いかなというのが1点と、あとは細かい点を幾つか意見を述べさせていただきます。
 まず、言葉の使い方で少し意見交換をしたほうが良いかなといいますのは、この配付資料7ページという言い方をしてよろしいのでしょうか。6ポツの中の丸が続いている中の3つ目、資料で言うと7ページの一番下、合理的配慮の提供における諸課題に関することというところで気づいた点ですけれども、言葉の使い方として、「支援内容」を「配慮内容」のと修正されておりまして、これは意図を持ってこの「支援」を「配慮」と変えたのかなと思うのですけれども、それ以降の内容の記述のところで、その「支援」という言葉と「配慮」という言葉、そして場所によっては「合理的配慮」という言葉が、明確に使い分けられているのかなという点が幾つか感じられました。ですので、この「支援」、「配慮」、そして「合理的配慮」という言葉の使い方については、少し同じ言葉遣いで共有できるように、委員の中でも共通認識を持って定義づけるといいますか、それで整理できると良いのかなと思いました。
 あと幾つか細かい点をまとめて発言させていただきますと、これは本当に非常に細かい文言の話ですけれども、資料12ページの上のほう、内容としては、入試における合理的配慮の紛争解決に関することの流れの中で、12ページの上の4行目ですか。「特に私立大学では多様な選抜方法が」という文言のところで、多様な選抜方法というのは、結構今は国公立でも多様なので、私立大学に限定してしまうと私立大学だけのようになってしまうので、国公立、あえて私立大学と入れないのか、それとも私立大学、特に私立大学みたいな表現で、私立大学のみみたいにしないほうが良いかなと思ったところです。
 そこからもう少し下がっていただいて、また別の件です。(3)大学等と国・地域・社会資源等との連携に関することというところですけれども、これもここから、これから内容を入れられていくところかなと思いますが、ここで国・地域・社会資源と言っているので、自治体とか地域にある支援機関等というのがこの丸の中に入っていなくて、就職等のというところには、企業・自治体・支援機関等とあるのですけれども、こういった自治体・支援機関等、場合によっては企業も含まれると思うのですが、それも(3)の中にもあって良いのかなと思ったところでした。
 あと1点、すみません、長くなって。最後のところになります。支援・配慮事例として取り上げる事例の中で、これもまた1つ加えていただけると良いかなと思いましたのは、ここまでの内容の中で、学生の自己理解というようなお話、セルフアドボカシーといったお話もありましたが、そういった学生の自己理解を促進する具体的な取組事例として、心理検査等を実施して、学生とそれを共有し、学生の自己理解を深めていくような取組、これ、私、非常に学生にとって意義のあるものであり、大学卒業後の社会的生活にもつながっていくものかなと思いますので、具体的に言うと、話題提供のときに京都大学と筑波大学の例を挙げさせていただいたのですけれども、そういった自己理解を深める取組という形で、そういったものも紹介いただければ良いかなと思いました。
 すみません、少し長くなりましたが、以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  慶応大学の中野です。
 まず、1点目は、読書バリアフリー法等の扱いに関してです。具体的なところで言うと、本文では大学院生の研究活動における合理的配慮のところに、「(読書バリアフリー法)に基づく文献の電子媒体での提供等が求められる」と記述していただいているのですが、読書バリアフリー法では、「視覚障害者等が利用しやすい書籍等」という表現をしていて、電子書籍に限るとしても「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等」と記載されているので、ここは、読書バリアフリー法の表記と統一させていただいたほうが良いかなと思います。
 これは、電子媒体等に限定されるのは、実は読書バリアフリー法の趣旨からは外れていまして、読書バリアフリー法では、点字等の紙の媒体も含めて議論をしておりますので、実際の障害学生支援の現場では、紙が必要な場合もあると思いますので、そこは表現を少し工夫していただきたいと思います。
 それから、この読書バリアフリー法の問題は、大学院生に限った話ではございませんで、もうこれは、大学で使う教科書等というのがアクセス文になっていないものがたくさんございますので、これは大学院生だけではなく全体にかかるような形で表現を最終的には工夫をしていただきたいと思っております。
 同じく読書バリアフリー法に関しましては、14ページ、最後のところに、障害者差別解消法以外の観点から求められる障害学生への対応というところに書かれていて、これは「おわりに」のところで、今後の課題の後にさらに書かれているので、何か今後こういうこともやっていく必要がありますよと捉えられる可能性がありますので、これはもう現行の法律でありますし、障害学生を支援する上では極めて重要なことだと思いますので、全体にかかるような形でまとめていただけるとありがたいと思います。
 以上が読書バリアフリー法に関することです。
 それともう1点は、大学の執行部等の話と、それから教職員の話というような構造に全体になっているのですが、実際に大学を運用する立場からすると、例えば、カリキュラム・ポリシーというのを実際に議論して決めているのは、学部、学科、研究科です。それを考えると、今は大学というのが大きく出ていて、その下にもう教職員といきなり来ているのですが、実は、実際の運用では、先ほど申し上げた学部、学科、研究科というのが関与しておりますので、そこの構造というのも少し分かるように書いていただいたほうが良いかなと思います。特にカリキュラム・ポリシーに関しては、議論の中ではカリキュラム・ポリシーそのものの見直しが必要なのではないかというような議論もこれまであったかと思います。これが読み取れるようになっているとありがたいなと思います。
 以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、南谷委員、お願いいたします。
【南谷委員】  大学入試センターの南谷でございます。文科省の皆様、これは非常に入念に、お忙しい中と申しますか、大変なスケジュールで準備いただいて、ありがとうございます。
 私からは、2点ほど、お伺いというか、確認というか、申し上げたいことがございます。まず第1点が、これは障害学生支援に限定した話ではなくて、もう少し一般論として捉えたほうが良い話題なのかもしれませんが、1の「はじめに」の第4段落の冒頭になると思います。「この間、障害のある学生の在籍者数は精神障害、発達障害のある学生を中心に急激に増加しており」で続く文章でございますが、これは、私の認識では、障害のあると認知された、認識された学生の在籍者数は、精神障害、発達障害で急激に増加しているということではないかと考えています。つまり、これまで、特に発達障害ですね、障害として意識されてこなかったことから、過去にも大学にはたくさんのそうした障害を有する学生の方が在籍していた可能性が十分ある。しかし、その存在が認識されていなかった。ただ、近年の障害に関する理解の進展等の結果として、こうした障害のある学生の存在が顕在化されて認識されるようになったという側面がかなりあるのではないかなと考えています。ひょっとしたらこれは委員の中でも意見が分かれるところなのかもしれません。
 私としては、どうしても警戒しなくてはいけないかなと思っているのは、一定の年齢層とか近年の若い世代に、精神障害あるいは発達障害を有する人の数が増えているということを前提にした記述と解されること、これには大きな躊躇を覚えるところでございますここはもう少し表現を、例えば、障害があると認識された学生の在籍者数は、精神障害、発達障害のある学生を中心に急激に増加しておりみたいな形にしたほうが良いのではないかと考えるところです。実は、7のプラットフォームの活用にも同じような表現がありまして、少し気にかかっているのでお知らせする次第です。
 もう1点、入試に関する辺りです。既に高橋委員からも御指摘があったくだりになるのですが、私からは別の観点の指摘をしたいと思います。「特に私立大学では多様な選抜方法が導入されているが、その多様性に関わらず合理的配慮を適切に実施することが重要である」というこの表現です。これは、ある意味、事務局に確認ということになるのかもしれませんが、多様な入試の方式が採用されてきている私立大学であり、国公立にもそういう傾向があるという御指摘もありました。私が、障害のある学生の入試に関する研究や調査をしている中でしばしば遭遇する事例として、複数の入試の方式の中で、障害のある受験者が当初受験を希望した方式に関しては、障害を理由にこれは受験できないと大学側から言われ、ただ別の方式―例えば口頭面接だけの方式―であれば受験できますからこちらを受験してくださいというような誘導が大学側から障害のある受験者に対して行われるような場合が散見されます。私は、今回のこの指針と申しますか、この我々の考えている方針の基本的な趣旨としては、どの入試の方式であっても合理的配慮は行わなくてはならないというスタンスを取るべきだろうと考えておりまして―この文章からもその点は読み取れるのかもしれませんが―、もう少し採用する多様な入試の方式全てにおいて合理的配慮を行うべきだということがはっきり盛り込まれるような表現にしていただけると、なお安心感がございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、殿岡委員、あと川島委員、島津委員から挙手いただいていますので、その順番で御意見を頂きたいと思います。
 殿岡委員、お願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。少し項目が多いので、項目だけ挙げていった上で、時間が許す範囲で解説できればと思います。
【竹田座長】  お願いします。
【殿岡委員】  まず、2ページ目の「大学等における障害学生の現状」の(3)、特別支援学校高等部からの大学等への進学状況とあるのですが、もう一つ言って、高等学校からの進学状況という項目を付け加えていただければと思います。
 それから、ここも項目だけになっていますので、3ページ目のマル5、障害のある学生への支援を行う人材の養成・配置と、ここには、専任、兼任ということで雇用形態を中心に書かれているわけですが、この中に、先日、大村さんから報告があったように、障害がある当事者であり支援者の配置状況なども加えていただけるといいのかと思います。
 続きまして、6ページ目の学内の教職員向け対応要領・ガイドライン等というところで、附属施設について書かれているのですが、もう少し明確にすると、この対応要領の範囲というのは大学法人の範囲なのです。なので、これは国立大学法人、公立大学法人、学校法人とそれぞれ分かれていますけれども、法人の範囲内の全てがかかってきますので、法人というくくりで明確にしていくといいのかなと思います。余談になりますが、当然、附属の中には、附属図書館とか、附属の研究センターだとか、こういうところが当然入っていて、附属研究センターなどが障害のある雇用の問題とまた密接に絡んでくるということで、明確にしたらいいのかと思います。
 それから、同じく6ページのところで公立大学においては努力義務となっていると書かれているのですが、なぜ努力義務になっているかというと、これは2006年にできた地方分権一括法(正確には「地方分権改革推進法」が、平成18年12月8日に成立)という、これによって国と都道府県と市町村は平等というか、同じようにされたのです。なので、国が地方自治体として義務を課せないという解釈からの努力義務なので、私立大学において、合理的配慮が来年度から義務になるという努力義務と意味が違うのですが、おそらくほとんどの方はその辺り理解が得られないです。難しいと思うので、補足いただけるといいのかと思います。
 併せて、最大限見直しに当たっては障害当事者関連の意見聴取というのは、これは国公立で、ここはなぜか国公立大学共に義務になっていて、この辺も書き加えていただけたら分かりやすいのかと思います。
 あとは、同じく6~7ページの公立大学のところで教育機関としての特性を踏まえた対応要領だとあるのですが、もうちょっとはっきりすると、対象のところに公立大学法人としての対応要領であるとかになると法に沿った文言になるかと思うので、もっと特性を踏まえた、国立も一緒ですね、その辺り加えたらいいかと思います。
 あとは、これは8ページの長期化、こういった配慮の内容決定は、教育機関の中でこれ、大学に在学している人を当然想定していると思うのですが、特に長期化で困っているところでは、1回休学をして、特に精神とか発達で2年間近く踏まえた後、復学していくときの長期化というのは、復学のタイミング自体が遅れていく、場合によっては半期、1年と遅れていくことがあって、これによって障害学生の貴重な人生の時間を無駄にしてしまうので、この復学について書いていただけると、さらに現実味を含む、深まっていくのかと思います。
 あと、9ページの大学院生の研究活動における合理的配慮とか、入れるのであればこの中に学協会への参加という文言を入れていただけると、難しいかもしれないのですが、内容的にはここにあったら読みやすいのかという気がしています。
 それから通信教育課程での合理的配慮に関して、白澤委員が言うように追記していったほうがいいと思いますし、場合によっては今年委員じゃないのですが、前回の委員だった放送大学の広瀬先生など、大変豊富な実例も入れていただけると、これもかなり貴重な取組だと思うので参考になっていくのかと思います。
 あと、まだあるのですが長くなるので最後1個だけ、私立大学の多様な選抜方法のところですけれども、やはり、問題になっているのは、合理的配慮を行っていることを限定することは必要なことも当然ですけれど、評価の明確化です。評価の明確化があることによって障害によって減点されないとか、合理的配慮によって減点されないとか、コミュニケーション方法、表現方法によって減点されないとか、色々なことが増えていく、評価の明確化ということが合理的配慮の裏返しになると思うので、書いていただければと思います。
 あと最後、障害のある教職員などの合理的配慮のところは、せっかく近藤委員に来ていただいているので、ぜひ東京大学バリアフリー支援室で障害者のある学生と障害のある教職員の支援をともに行うっていうことの実績とか、価値とかというものを、ぜひここで書いていただけると内容的に深まるのではないかと思います。
 長くなりました。以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。様々な御指摘ありがたいと思います。
 それでは川島委員、島津委員の順で、川島委員からお願いいたします。
【川島委員】  ありがとうございます。事務局におかれまして、まず非常に充実した原案を大変ありがとうございました。私から5点、指摘させていただきたいと思います。
 まず、5ページの教育を受ける権利の享有、行使という文言があります。これは従来から使われているところもあると思うのですけれども、この教育を受ける権利の定義が、これは人によって違うところがあるのですね。例えば学内の災害時の合理的配慮というのは教育を受ける権利の射程に入るのかというと、これも議論があると思うのですね。そのようなところを少し工夫した文言が必要なのかというところもあるかと思いました。これはどう考えたらいいか、どういう文言が過不足なくいいのかというのは分からないのですけれども、例えば教育を受ける権利等、等という漢字をひとつつけるだけでカバーできるところもあるのかとか、具体的な対応策まで今すぐ出ないですけれども、ひとつ論点としてあるかと思います。これが1つ目です。
 2つ目は、7ページの支援とか配慮という言葉が出てくると思うのですけれども、これにつきまして高橋委員の御指摘に私も同意します。似たような言葉が色々あるのですけれども、例えば関連して配慮という文言と合理的配慮という文言、これは意識して使い分けておられると思うのですけれども、両者の包含関係、配慮のほうが広くて配慮の一部が合理的だというような理解で読んだのですけれども、それと同時に配慮という言葉が関係者の間では単なる心配りや気遣いではないという理解は一般的ですけれども、未だに配慮という言葉を見ると心配りや気遣いみたいな意味で捉えられる場面もありますので、そうではなくて、ここでいう配慮というのは様々な現実的な変更や調整という、変更や調整を実際に行うことであるという心の問題ではなくて行動の問題、変更と調整、現状を変更し調整するという意味合いであるということが誤解なきよう、読み手に伝わればいいのかと。
 合理的配慮というのはさらに限定していて、変更や調整をするのですけれども、それは機会平等のためにするものであって、社会的障壁を除去するためにするものであって、個々の必要に応じてするものであって、本質を変えない範囲で本来の業務に付随する範囲で当事者の意向を尊重して行う現状変更であるという、かなり縛りをかけたものであるからこそ義務対象にできるという、単なる変更調整じゃなくてかなり縛りをかける、それをもって合理的配慮をしないことは差別として観念されるというのが法律の考え方ですので、そこら辺も少し表現方法の工夫が必要かと思いました。
 さらにその支援と配慮との違いは、これは非常に難しくて、支援と配慮をどういうふうに違う意味で使っておられるのかというところが比較的重なる、オーバーラップする言葉として読むこともできました。ここも一応論点として整理が必要かと思われました。
 最後に、合理的配慮と障害学生支援、それぞれの包含関係も含めて色々な言葉が出てきますので、そこについて御検討いただけましたらと思います。これが2つ目です。
 3つ目が、14ページの障害者差別解消法以外の観点から求められる障害学生への対応についてというところで、中野委員の御指摘に同意いたします。様々な法律というものが障害学生支援に関わってきますので、それを総合的に捉える必要があります。それらが障害学生を取り巻くバリアフリーにとって非常に有効でありますので、その辺の記述の工夫も御検討いただきましたらと思います。
 4つ目ですけれども、今の3件目とも少し関連するのですけれども、障害者差別解消法の予定しているバリアフリーの方法は基本的に二つですね。一つは、合理的配慮による社会的障壁の除去という方法です。もう一つは環境の整備という、事前的改善措置を通じた社会的障壁の除去、つまりバリアフリーという方法がある。この二つがうまく関連しながらバリアフリーというものは進むわけですけれども、この環境の整備は2006年のバリアフリー法も含めて他の法律と密接に関連してまいりますので、この点については政府の基本方針にも明記されていますので、そういう環境の整備についても少し合意的配慮と関連するというところで、あと、その環境の整備の中にはFDとかSDとか、そういう研修みたいなものもソフトな環境の整備として基本方針の中で言及されていますので、そういうような整理というものも有効かと思いました。
 最後、5番目ですけれども、白澤委員御指摘の社会モデルについて非常に重要な御指摘だと思いました。これは7ページに、5の(2)に記載した障害の社会モデルは障害学生支援の基本的な理解に関わるものであり、障害学生支援の現場に関わる教職員のみならず大学等の構成員全てが理解することが必要であるというのは、もう御指摘のとおりだと思いました。
 社会モデルというのは理論ではないという一つの視点であるという、今、アンハラッド・ベケット教授が日本に来日してこられて社会モデルと人権モデルについて様々な講演とかをされていますけれども、ベケット教授もリーズ大学というイギリスの先生ですけれども、社会モデルは理論ではないということをおっしゃっております。
 それはそれとして、社会的障壁の問題性を強調する視点だというのが社会モデルなわけですよね。そうなってきますと、他方で5ページにこのような記述があります。社会モデルの考え方は、5ページですが、どのような学生が障害差別解消法において義務づけられている合理的配慮の対象となり得るかという、障害学生支援の基本的な理解に関わるものである、というのがたしかあるのですけれども、障害学生の範囲、合理的配慮の対象範囲と社会モデルとの関連性について言及していると読むことができるわけですが、なぜ関連するのかというところがかなり読み手の解釈に委ねられているところがあると思うのですね。ここ、どういうロジックなのかというところがより明確になるといいのかとも思われました。
 これも色々説明があると思うのですけれども、例えば実際、機能障害があって社会的障壁に直面して修学上の不利益を被っている学生さんがいるとします。機能障害もあって社会的障壁も経験して不利益を受けているわけですから、その社会的障壁を合理的配慮を通じて除去してほしいというシンプルな考え方ができるわけですけれども、仮に大学が不当に障害の定義を狭く設定していたり、かなり合理的配慮の対象者を絞るようなポリシーを掲げているとしたら、そのポリシーそのものが社会的障壁になっていて、障害学生は合理的配慮を受けられない不利益を受けてしまう意味では、つまり狭い障害の定義というもの自体が社会的障壁なわけですね。
 ですので、社会モデルの視点に立つということは、そのような大学側の狭い障害の定義が不利益の原因となっているという、そういうような視点というものを常に持っておかないと、これは医学モデルが未だに支配的な世の中ですから、常にそういうような自己を対象化する、大学も自己を対象化する、相対化するような視点を持って自身が設定した障害の定義になり何なり、制度的なものが社会的障壁となり得ることを自覚してもらったほうが、それは障害者差別解消法の趣旨目的に完全に合致するという、それが社会モデルに立脚する本法の一つの意義であるというようなところの理解は、私の理解ではそういう理解が一般的に通用するものかとは思われました。
 すいません、長くなりましたが以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。重要な御指摘いただいたと思います。
 それでは島津委員、お願いいたします。
【島津委員】  ありがとうございます。企業アクセシビリティ・コンソーシアムの島津です。
 6の(4)のところの就労に関わるようなところに関しては、先ほど事務局からの御説明ではこれからまだ編集の余地があるというような説明をいただいておりましたので、このタイミングで要望といいますか、リクエストさせていただきたいところを述べさせていただきます。
 一つは、キャリアセンターというような、キャリア系の組織と支援系の部門がここを協働した上で就労への支援を進めていくところを、ぜひそこを推奨するような旨に言及をいただきたいというところが1点あります。
 もう1点、我々のような企業、そういった企業をはじめとする地域の社会資源ということを有効活用して、学生のキャリア教育の文脈として必要な社会接点を創出していく、その支援を大学が行うところに、可能であればそこについて言及をいただければと考えております。
 あと、この文脈でこれはもしかすると6の(1)のところの人材育成的な文脈のところに派生する内容かもしれないのですが、現場的な粒感でというところでいきますと、キャリアセンター等で起こっていることとして極端な事例であるのですけれども、障害者採用というところについて、何か場合によって誤った認識とか、偏った認識での指導が発生しているということ、個別のケースでは認識はしています。
 そのような中で、支援を行う上での重要な知見とかノウハウというところで、障害者雇用であったり障害者採用の様々な実例であったりだとか、あとは形態のバリエーションというところも昨今、企業側での障害者採用というところはかなりもう、これは大学側から見ると分からないぐらい複雑かつ多様性に富んでいるところがありますので、というところ、それを知っていくために地域の企業とかリソース、学生をどうやってそこに接続をさせていくかというハウの部分、これを先ほど申し上げたキャリアの部分と支援部門等が積極的に学んでいくという、その必要性を指針として示していただくと、就労に向けての支援という文脈も人材育成という文脈も含めて一段進むのではないかと考えております。
 以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。キャリアも非常に大きな項目で、今後ここに新たな内容が書き足せる部分かと思いました。
 それでは引き続きまして村田委員、矢澤委員、近藤委員、柏倉委員、それから神藤委員という順番でお願いいたします。それでは村田委員、お願いします。
【村田委員】  村田です。既に各委員から色々と出していただいたので、私からは気になった観点を5点、なるべくコンパクトにお話ししたいと思います。
 まず1点は、今回、はじめにのところで大学の普遍的な役割や価値ということに触れていただけるということで、非常に良いことだと思ったのですが、こういったことを一番体現すべきなのは、教育の責任を負う人たちなのだと思っています。つまり、学部や研究科、ないしは全学共通の科目を担うような機構等の主体性ということについて、しっかりと言及しても良いと考えています。
 一方で、それをどこに書くかということも考えていたのですけが、現状でバランスがよさそうなのは、例えば7ページ目のところにある合理的配慮の諸課題のところで、色々な観点の課題が挙げられており、そこで学部や研究科の主体性というものが言及できれば良いのではないかと思いました。支援部署を設置したり、強化したりすることは大切で、専門的人材を確保することはとても重要ですが、そこ任せになってしまうということではいけませんので、どこかで言及する必要があることだと思っています。
 2点目が、8ページ目の2つ目のポツのところで配慮内容の固定化というものがあります。ここの2段落目の中ほどに、社会的障壁が変化していく一文があるのですが、ここの文言のまたというところ、障害の進行等によりと書かれています。機能障害の進行などによって社会的障壁が変化するということがイメージされていると思うのですが、確かにそれも一つだと思う一方、むしろ環境の変化とか、それによって求められる能力だったり対応力の変化というものによって、社会的障壁が変化するような例のほうが多いのではないかと思いますので、併記ないし具体的に言及があったほうが良いと思いました。
 3点目が10ページ目の下あたり、専門的人材のところについて、強度を増して書いていただけているところが非常に重要だと思います。この身分の保障というのが、事実上、大切なことでもありますが、その文脈が目立つような印象があります。障害のある学生のために長期的に継続的にこういう専門的な人材が重要だというのは確かにそのとおりなのですが、一方で大学としてコーディネートの機能というものを確保するときには、大学をいかに理解できているかということがとても重要だと思っています。
 つまり、障害のある学生が安心できるということに加えて、大学にとってもそういう人材を大学の中で育てて、きちんと配置することがいかに大学組織にとって重要なのかというような文脈を盛り込めると良いのではないかと思いました。
 4点目です。12ページの(3)、大学等と国、地域等との連携に関することですが、ここの丸の2つ目のところに、障害学生や大学等のサポートを行う民間団体との連携という文言があります。細かな話ですが、昨今は障害学生支援に関連する企業等も出てきているかと思いますので民間事業者のような表現に書き換えるか、あるいは団体で行くならば等とつけるか、検討が必要かと思いました。
 最後、5つ目です。14ページ目のところに、そのほかの事項として幾つか事例などを挙げていく部分があると思うのですが、ここでぜひ言及していただけたらと思っていることがあります。地域間の大学間の連携についてはどこか他の場所でも言及がありますが、昨今、大学コンソーシアム組織を連携するような地域のネットワーク、県のネットワークなどが増えてきています。このような例はまだ多いとは言えないのですが、そういったものも好事例だと考えています。あえてこのような例を言及することによって、他の地域の大学コンソーシアム組織への刺激にもなるかと思いました。
大学コンソの取組の例では、初中等教育との連携に関する事例もあります。入試の配慮の話やオープンキャンパスでの配慮の話、あるいは情報提供を高等学校から受けるなどの言及はほかの部分でもありますが、一番重要なのは認識のギャップを埋めるということだと思っています。それぞれの教育カテゴリーにおける認識のギャップを地域の中で埋めるような取組もありますので、そういったことについても好事例として言及できると良いのではないかと思いました。
 私からは以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは、引き続きまして矢澤委員お願いいたします。
【矢澤委員】  仙台高専の矢澤です。まず、原案をつくっていただいた文科省の担当の皆様、本当にありがとうございます。
 私、これまでの検討会でも自分の立場として、高専もそうなので小規模機関からの目線で話をさせてもらっているので、その目線から気になったことをページ順に言わせていただきたいと思います。
 まず2ページの一番上で、2行目からです。大学等の規模や教育の特性によらない普遍的な内容について取りまとめる、と、最初実はこれ見たときに、何か規模の話は無視されるのかと一瞬思ってしまったのです。だけれども、結局後半では規模の話が出てきていて、なのでこれ、私としてはぜひ触れてほしいということとすると、2ページのこの最初の書き方が、誤解が出ないかと思ったので、ここは検討の余地があるかと思いました。
 そこから全部派生していくのですけれども、5ページの赤で付け足していただいた最後のところ、9行目ぐらいですかね。合理的配慮の提供以外の学内の学生支援のリソースともってなっているのですけれども、これ、最初の大学等における障害学生支援の在り方の基本的な考え方だと思うので、ここに特に小規模そうですが学外のリソースとも総合的に、連携しながらとか、何かそういうことが最初に入ってもらったほうがいいのかと思いました。
 そこから今度7ページの6の(1)の2つ目の丸が、学内の学生支援部署の連携に関することというので連携が必要だという、これ、小規模機関から見るとそれは部署が分かれている大規模ところの話ですよねって見えてしまうので、上の1つ目の丸とも関連するのかもしれないのですが、まず学生支援部署というか、障害学生支援部署の構築が必要なのだと。それで、その上でほかの部署との連携が必要なのだと見えるようにしてもらえるといいのかと思いました。
 そこら辺の話は飛びまして、10ページの支援人材の配置育成に関することにも、コーディネーター等です。専任、兼任とも低い状況であるともちろん言及されていくのですが、思っているのは小規模大学等だと結局、兼任はしょうがない状況が生まれてきてしまうので、そこで実はネックになるのは常勤か非常勤かということなので、常勤、非常勤という表現かどうか分からないのですけど、専任、兼任のほかに、もちろんできれば常勤の雇用、ここには管理者の理解というのにつながっていくのですけれども、それがないとならないというのにつながっているのですが、そこは何か言及できないのかと思いました。
 それに絡むと最後ですけど12ページの(3)、連携に関すること、これ、これからだとおっしゃっていたので、ここに今、言ったような話が何かかかってくると、特に小規模機関としては一番は地域の障害学生支援ネットワークというのは非常に重要で、そこをうまく活用するようにするといいですよ、というような提言になるといいのかと。
 あと、(7)のプラットフォームですね。プラットフォームのところで規模のことを書いていただいていたので、12ページの一番下のところです。だからプラットフォームとか、地域のネットワークを利用できるようにという流れになっていくと、第三次まとめが出て、それを見て小規模は特にですけど、そんなこと言われてもどうしたらいいのだ、とならないで、なるべく参考になるというか、こういう方向でやっていけばいいのだと受け取ってもらえるような第三次まとめになるといいかと思っています。
 私自身の具体的な修正意見は全くなくて、こういうことを申し上げているので、これから議論しながらまとめていくようになればいいかと思っております。
 以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】  近藤です。よろしくお願いします。まず、委員の皆さんも申し上げられていたのですけれども、まず事務局の皆様の本当に内容について踏み込んだ今回の原案、本当に大変感銘を受けました。本当にすばらしいものだと思います。
 障害の社会モデルについて委員の皆さんもずっと言及してくださっていましたけれども、社会的障壁を構成するものは、もちろん物理的な障壁もあるのですが、人々の態度も社会的な障壁の大きな要素であると言われています。これはまさにこの態度の変容というか、こんなこと言うと偉そうですけれども、それが如実にみてとれる事務局の動きなのではないかと思って大変感銘を受けた次第です。
 この社会モデルと社会的障壁をまとめの軸に置くことについては、南谷委員が言及しておられた障害者数についての捉え方ですが、「もともと存在していたものが新たにあらわれ出てきた、分かるようになったものという捉え方にすべきではないか」という観点の御提示がありました。これは統計の見方についても、社会モデルに立った理解をすべきではないかということかと思いますので、私もその捉え方について賛同いたします。
 それからあと、川島委員から、「配慮」という言葉の使い方について、「変更・調整」という用語を使うべきではないかという考え方の御指摘がありました。これも重要な御指摘と思いますので、私も賛同いたします。
 加えまして、全て社会的障壁に関係することと社会モデルに関係することなのですが、数点、申し上げたいと思います。4点になると思います。
 まず、1点目ですけれども、5ページと7ページにおいて、障害学生支援の基本的な位置づけが示されております。こちら、障害学生支援は、5ページにおいては合理的配慮の提供のみによって行われるものではないことが示されております。このことについては私も同意するところです。
 一方で、「合理的配慮の提供のみではない」と5ページの3行目に書かれているところの前段で、「障害学生支援とは他の学生と平等に教育を受ける権利を・・・」というくだり、こちらで書かれていることは、「不当な差別的取扱いをしないことと、合理的配慮を提供するということを、障害学生支援と捉えるのだ」という考え方が示されています。この考え方は、障害学生支援とは何かを示す、狭義の障害学生支援の捉え方になると思います。これが5ページの1行目から3行目に関して書かれていることだと思います。しかし、次の段落になると、もう少し広義の障害学生支援について書かれています。確かに、障害のある学生のウェルビーイングを支えていくためだったり、アクセスを幅広く支えていくためには、もう少し幅広の、様々な主体の関与が必要なのではないかという広義の障害学生支援の捉え方も理解できます。しかし、これが同じところに両方示されていますので、読み手にとっては、障害学生支援が何なのか、混乱してくる可能性があるのではないか。
 特に、7ページにおいては、7ページの6番の(1)の丸の2つ目の、「学生支援部署の連携に関すること」というところで、「それぞれの観点から障害学生の支援を行うことが必要」というところ。これも、広義の障害学生支援が混在しています。この7ページでは広義のほうを述べておられると思います。先ほど来御指摘のある各学部の教員であったりとか、そういったカリキュラムの策定に関わる人間にも理解が必要だということ、それから島津委員からも御指摘のありましたキャリアサービス等を、障害のある学生、障害のない学生ともにイコールアクセスを保障していくこと。これはつまり、狭義の障害学生支援によって、学生全体に提供されているキャリアサービスなどの学生サービスを、障害のある学生にもアクセス可能にしていくことです。広義ではなくて、狭義の障害学生支援には、プラスアルファの障害学生支援に関する専門的な知見や視点が必要になってくるということだと思うのですね。広義の障害学生支援も重要だと思うのですけれども、狭義と広義が混じると、そもそも障害学生支援サービスとは何を指しているのかがぼやけてしまうので、この整理をしておいたほうが読み手にとって分かりやすいのではないか。ぜひ御検討いただければと思います。以上が1点目です。
 それから2点目のところですけれども。12ページで、国や政府機関等の取組の活用であったり、地域の障害学生支援ネットワークの活用であったり、大学と地域の支援をつなぐというところがありますね。恐らくこちらに、自治体の介助資源等の活用であったりとか、あと最後のところでも、事例として、この介助資源の活用等の事例が出てくるのだと理解しているのですけれども。最初の頃のまとめ案では、「身体介助」という言葉等が節として立っていたようなところがあったかと思いましたので、これはそういった言及が、ここに入っていくという理解でいいのかというのを確認したいというのが2点目です。これは質問になります。
 それから次3番目です。3番目のところ、高橋委員より、アセスメントと障害学生の自己理解の御指摘があったと思います。こちら、アセスメントが提供されるという支援に、障害のある学生が触れることができるというのは、権利保障の上でも非常に重要なポイントであると私も考えます。ですので、このアセスメントの資源の必要性についての言及が、何らかの形で存在するというのは重要な観点かと思います。
 しかし一方で、アセスメントのみによって障害のある学生の自己理解や障害観がつくられるということは、十分注意しておく必要があると思います。例えば、アセスメントのみではなく、同時に、障害のある当事者等のロールモデルとの出会いに基づく、広い視点に立った社会参加の在り方に関する学びが保障されることが必要です。あとは、セルフアドボカシーという言葉もあるのですけど、セルフアドボカシーも重要ですが、社会にあるアドボケイトの存在を、障害のある学生が知るということ。そしてアドボケイトとの関わりを経験することで、それによって、社会モデルと社会的障壁の考え方についてよく理解できて、それによって、自身での対応の仕方ですね、それがつくり上げられてくると思います。アセスメントが出てくるときには、どうしても医療モデルの観点と近づいてくるところがあります。自己理解を育てるという文脈においては、アセスメント結果で自己理解が作られるということではなく、こういった社会モデルと社会的障壁の理解、それから当事者のロールモデルやアドボケイトとの出会い、こういったものとの対になった記述を配慮いただければありがたいと考えます。
 それから、あと少し細かい点になるのですが4点目、最後です。10ページのところですけれども、支援する人材の身分保障についてというところで、専門性の向上やキャリアパスの構築等が触れられておりました。これ、非常に重要なポイントだと考えます。学内の利害関係者との調整に際して、障害のある学生の支援室の担当者が障害のある学生の権利保障に当たるときは、学生の一番身近なアドボケイトとして関わる必要性が出てくる。そうしたシーンが散見されるというか、多々ございます。
 そうなったときに、例えば身分が不安定な非常勤職員であったりとか、もしくは障害学生支援サービスが外部に外注されているようなものであった場合は、学内の利害関係者と、本当に四つに組んで、学生のアドボケイト、権利保障に当たるということがなかなか難しくなってくることがあります。
 というのは、非常勤では翌年雇用契約が更新されないかもしれないですし、外注の場合だと契約が切られてしまうかもしれない。そういうこともあって、身分の保障は学生のアドボケイトとして、学内の利害関係者としっかり対話ができる意味でも重要という点がございます。そういった点も可能であれば記述の中に入れていただければありがたいかと思いました。
 私からは以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。1点御質問があったかと思うのですが、12ページの(3)の、これも今後のことだとは思うのですが、事務局からの生活支援とか、そういう介助のことをここに入れるかどうかという御質問、項目立ての話かと思いますけど。
【小栗補佐】  どこまで具体的に書くかはありますけれども、そういう自治体の支援なども活用して障害学習支援に当たることが大事なのではないかとは思っています。
【竹田座長】  よろしいでしょうか。それでは、引き続きまして柏倉委員お願いいたします。
【柏倉委員】  桜花学園大学の柏倉です。よろしくお願いします。時間も迫っておりますので、私からはポイント絞って質問、意見を述べたいと思います。
 まず、先ほど矢澤委員がおっしゃったところに共感するところが大きいのですけれども、私も私立大学の比較的小規模の大学を代表してきているつもりで発言させていただきたいと、このまとめの案をざっと見たところ、私も矢澤委員と同じですけど、国立大学や大規模私立大学を想定した書きぶりですよね。
 例えば10ページの学内の支援人材配置・育成に関することということで、支援技術を持つ教職員等、専門的知識を有する障害学生支援担当者の配置は専任・兼任ともに低い状況である、これは構造的な問題で、私、JASSOの委員をずっとやらせてもらっているのですけれど、毎年経年変化で見ていくと、要はどこが足を引っ張っているかというと小さな小規模の私大ですよね、短期大学、高専もそうですし。
 特に私大でも大規模な財政的な裏づけがきちっとあるところはどんどん配置もできる、そこでも問題あるわけですけれども、それ以上に今、副学長の立場で学長や副学長の会に出て話をするのですけれども、学生支援課が1人か2人のところがあって、そこがもう全部兼務でやっているわけですよね。こういう話をしても全然響かないのですね。どこから裏づけがあるのですかって話になってくるわけです。
 なので、何らかのインセンティブを与えていくようなことをやっていかないと、これはもう規模の小さいところにとっては絵に描いた餅で終わってしまう。これ、二次まとめのときもそうだったのですけれども、そういう構造的な問題を考えながら展開していかなければいけない、そのときに裏づけとして必要になるのは助成金の問題です。これも一般財源になっているので、障害のある学生に対して必ずしも使われていない状況があったりします。ここに書くというのはなかなか難しいかも分からないのですけども。
 もしくはプラットフォーム事業とか、あと地域の中のネットワークで随分できてきているので、そういう支援のノウハウを持ったところが村田先生のところがやっていらっしゃいますけれども、近藤先生のところもやっていますけれども、様々なそういったものを活用して地域で横から支援をしていくようなシステム、それの国の裏づけがないと、今のプラットフォーム事業では非常にもう持ち出しばっかりで限界に来ているところだと思うので、そういったところも背景に書いていっていただけるとありがたいと思っているところです。これが1点。
 それと、先ほど来出ている地域との連携ですよね。私は愛知県の障害者の政策審議会の委員をやっているのですけれども、例えば中小の事業者に合理的配慮をお願いするときに、そんなお金はないって出るので県がそれに対して補助金を出していくことでやっています。そういう何か裏づけも当然やっていかないと、ただこれ、やれと言っても、二次まとめのときと同じで結果的に小規模で財政的に厳しいところは進まない。アウトソーシングというのですか、外の資源を使ってやっていくしかないということになってしまうので、そういう構造的な問題を前提にぜひ書きぶりを考えていただくといいのかというところです。
 一番大きいのはそこで、あと2つ目は白澤委員がおっしゃったことは非常に重要だと伺っていて共感したところですけど、8ページの合理的配慮の質の検討ですね。これも小規模私大に関連していくと、例えば全盲の学生がいて点字の資料を提供するっていったときに、これは簡単にパソコンのソフトで点訳できるよっていうのです。これ、打ちだして渡しておけばいいのだというのだけれど、その内容たるものはひどいものです。全く大学での教育内容からすると、点訳の精度が六、七割のものを無理やり渡している。学生はもらえたから、ないよりましだということで満足しているのですが。また、聴覚障害の学生さんに対してもUDトークを使えば安く上がるよということで、手話通訳を使わなくても済んでしまったというようなことで進めていくとか、これ端的な例ですけど、そういった話がいっぱいあるので、ここも丁寧に書いていかないと、大学の高等教育における支援の質を担保することの難しさということは、ぜひ触れていただきたいと思います。
 3点目は、先ほどと関連した地域との連携というところは、もう既に厚労省とも連携、重度の障害学生に対する支援なんかでそういった進んでいるところがあるのですけれども、これ抜本的に進めていかないと、国の障害者総合支援法も今度改正されますけれども、その中でも地域の社会資源の連携ということが大きなテーマになっていますので、大学においてはそれをぜひ検討しながら書きぶりに入れていただくといいのかと思いました。
 以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。それでは、神藤委員お願いいたします。
【神藤委員】  関西大学の神藤です。ここまでの取りまとめの案をつくっていただいてありがとうございました。私たちも最初は第二次まとめをもうじっくり読み込むというところから現場で支援に取組み始めましたので、この第三次まとめも現場にとっては重要な指針になると思います。
 様々な意見出ていたのですけれども、感想みたいになってしまうのですが、私は障害のある先生ともよくお話するのですけれども、合理的配慮という配慮という言葉は上から目線にすごく感じられるとおっしゃいます。環境調整というような訳が本来の訳であったから、それに本当は戻せればいいのだけどね、みたいなことをよく話し合っています。なので、先ほどから支援であったり配慮であったり、合理的配慮であったりという言葉が、使い分けがすごく難しいというのは第三次まとめ文案を作成される事務局は、大変だと思うのですけれども、丁寧にしていただければありがたいと思います。
 1点だけですが、8ページの合理的配慮の内容決定の長期化ですが、確かに合理的配慮を決定するのに、時間がかかってしまうというのが現場でも課題になっているのですが、ここの最後のところの、「また、」からです。支援内容の決定に当たっては、例えば当該学生の出身校や家族等と連携し、大学等入学以前に受けていた支援に関する情報を収集する等も適切な支援を早急に行うためには有効であると書かれています。確かにそうですけれども、これから支援を始めるような大学さんがこの文章だけを読んでこのとおりやってしまうと、高校までの手厚い支援を大学でもやらなければならないと受け止められるのではないかと少し心配します。
 ですので、書き方は難しいのですが、大学で行う支援というのは自立に向けた支援であって、高校までだと手取り足取りやり過ぎている場合もあって、高校から資料を持ってきていただいて先生に説明いただいて、これ、高校までやっていました、大学でも同じようにお願いしますというようなことも実際言われたりするのですが、そんなふうにやっていると本人にとって自立に向けたことが、修学環境が整えられないのではないかというところもありますので、そのあたり気をつけて書いていただければありがたいと思います。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。一通り委員の皆様方から御意見いただいたと思います。これまでの御意見、いずれも非常に重要な、そもそもこの第三次まとめ、どういう方たちを対象にするかということとか、一次まとめ、二次まとめを踏まえた時代の変化とか、ポストコロナとかテクノロジーの進化とか、でも一方で社会モデルの考え方について再確認することの重要性とか、いろんな御指摘いただいたかと思います。言葉の定義なんかも、これは読まれる方の誤解を受けないように非常にきちんと定義づけて、まとめていく必要があるかと思いました。
 何かポイントを絞る時間がなくなってしまいましたけど、皆さんの御意見、非常に全体を網羅して出していただいたかと思いますが、あとお一方、二方、さらに追加で強調したい点とか、何かございますでしょうか。まだこの議論は次回以降も若干進めることができるかと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしたらば非常に今日、実り多い意見をいただきましたので、本日いただきました意見を踏まえまして、さらに第三次まとめの修正案を作成して、次回改めて取りまとめに向けた議論が引き続きできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、幾つかの観点につきましては事務局と調整の上、委員の先生方に今後執筆をお願いしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 またそのほか、適宜必要な事項、本日まだ発言し切れなかった部分等は今までと同じように事務局にメール等でお知らせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは最後に資料2、当面の検討会のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  それでは、資料2を御覧ください。次回第9回は12月27日水曜日、14時から16時、また今回と同じように対面での開催とオンラインでのハイブリッドで開催したいと思っております。年末になりますけれども、委員の皆様方におかれましてはどうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。本日の議事は以上ですが、その他会合全体を通しまして御意見等ございませんでしょうか。
 村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  村田です。事務的な確認です。対応指針のリリース時期について以前お尋ねしたことがあって、そのときには年内ぐらいを目処にというような話があったと思います。時期が近づいてきていると思いますので、具体化されているようであれば情報提供いただきたいと思いました。
 以上です。
【小栗補佐】  事務局でございます。対応指針というのは、パブリックコメントの手続で不備がございまして、今、再度パブリックコメントを行っており、それが12月の初旬までございますので、その後、内容をまとめて反映させるところは反映して幾つか変更となるまでに、年内にできるかどうかは今の段階では担当課でどういう状況とかは分かりませんけれども、鋭意、取りまとめに向けて頑張っているところでございます。
【竹田座長】  そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 白澤委員、お願いします。
【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。先ほど最初の説明のときに、中目中計や評価指標のことを第三次まとめに盛り込むことは難しいというお話があったかと思うのですが、大学にとってのインセンティブの強化を図っていくことはすごく大事なところだと思うのです。例えば、第三者評価の中での評価項目に入れていくとか、あるいは監査項目や、内部質保証の観点に障害学生支援のことを盛り込んでいくことは、非常に重要なところだと思うのですが、ここに盛り込めないとしたらどんな働きかけをしていったらいいのか、お知恵をいただけるとありがたいなって思ったのですが、いかがでしょうか。
【小栗補佐】  ありがとうございます。先ほど申し上げましたとおり、例えば大学の評価の関係でも、ある程度評価機関に対して国としてこういった点をみたいなことは省令で定めているのですけれども、それ以上詳細なものになると各評価機関が自主的に決めるものということになってしまいまして、そこになかなか国の意向を反映させることは難しいところです。
 例えば今回、まだ盛り込めていないところで、冒頭申し上げましたけれども、障害学習支援を行っていくことが大学の価値や魅力の向上につながるでありますとか、管理職や役員が認識することの中の一つに、例えばそういうことを理解した上で大学の運営方針の一つとして定めていくことも重要だ、といった文言が盛り込めないかと今、考えているところです。
【白澤委員】  ぜひ、今のお言葉をそのまま掲載いただけると助かります。
【西條審議官】  審議官の西條です。今御指摘いただいた点、なかなか強制的に中目中計とか、こういうことをやれとかいう形というのはなかなか難しいところは事務局からも、我々からも説明させていただいているところですけど、逆にむしろ強制的な最低ラインというよりも、これをやっていくことが大学にとって魅力を高めるものだと、もう少し前向きなメッセージとして、それは当然のことから経営者に対するメッセージという形で盛り込めないかというのをうちの中でも議論していますので、逆にそういった視点でまたぜひ前向きなメッセージとしてのお知恵があれば、先生方からお願いできればと考えているところでございます。
【柏倉委員】  関連してですけど、最近、本学、認証評価を受けたばかりで私、責任者として全部これ取り仕切ったのですけれど、バリアフリーの部分を結構詰めてあるのですね、評価機構もマニュアルに。今回出てきているような体制整備も含めて各大学における捉え方とか、そういったところはまだまだ評価には盛り込まれていないので、今回対応指針、それから三次まとめも出てきますので、こういうのを文科省、出していますよと提案するだけでも、というのは、評価委員が文部科学省はこう言っているってすごく言うのです。評価機構さんはすごくそういう社会の変化には敏感に対応されていますので、こういう変更があったと伝えるだけで、びしっと来るところもあると思います。あそこに載るともう大学は相当努力をしなきゃいけないので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
【竹田座長】  よろしいでしょうか。では次回の第三次まとめの取りまとめに向けた議論を引き続き進めていきたいと思います。引き続き、委員の皆様が対面で集合可能な会場を用意するとともに、東京までお越しいただくことが難しい方はオンラインで参加できるハイブリッド形式での開催となりますので、よろしくお願いいたします。
【小栗補佐】  竹田先生、殿岡先生が今、手を挙げていらっしゃいます。
【竹田座長】  すいません、見落としておりました。お願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。2点補足で、1点目は事務的な方で、次回、今日、障害学生の数とかいうときに、ぜひ初中局さんで、特に特別支援教育課が出てきていた気がするのですが、初等中等教育局の参事官(高等学校担当)さんなんかに御参加いただけると、特に高等学校からの進学という点でお聞きできることがあるのかと思いまして、お願いできればと思います。
 あと、もう1点は議論に若干絡むのですが、前々回、私も報告をさせていただいて、その後地方のランキングとかデータみたいなものをつくって、内部的に精査しています。残念ながら規模別のデータが文科省から出てこなかったので、正確にはエビデンスがある形では出てないですが、本当に大規模ほど障害学生支援が進んでいて、小規模ほど障害学生支援が遅れているかっていうところに関してはもうちょっと議論が必要で、小規模でも大変よくやっているところもある、たとえばルーテル学院大学さんとかあるわけで、全体的にそういう規模が小さいほど厳しいことはあると思うのですが、規模っていうことだけで考えていくときに、なぜ遅れているかということの中身を見落としかねないところもあるので、これも引き続き調べていく中でご報告できたり、次回に向けて議論できればと思っていますので、よろしくお願いします。
 殿岡は以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。大学の規模に関する発言等、今日複数の委員の先生方からもありましたし、このまとめの対象者という観点から無視できないかと皆さん、共有されたのではないかと思いますので、また次回以降、そういったものも含めて議論できればと思います。
 それでは、以上で障害のある学生の修学支援に関する検討会第8回を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 

―― 了 ――