障害のある学生の修学支援に関する検討会(令和5年度)(第7回) 議事録

1.日時

令和5年11月6日(月曜日) 15時30分~16時45分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 関係者へのヒアリング等
  2. その他

4.議事録

【竹田座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、「障害のある学生の修学支援に関する検討会(第7回)」を開催いたします。皆様には、御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 まずは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【小栗補佐】  文部科学省学生支援課課長補佐の小栗です。本日は、御多忙中にもかかわらず御出席いただき、ありがとうございます。
 配付資料につきましては、木曜日にお送りしたとおりとなっております。過不足などがございましたら、事務局まで、議事の途中でも結構ですので、遠慮なくお知らせいただければと思います。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 本日は、関係者へのヒアリングのみの会となっております。今回ヒアリングに御協力いただきますのは、筑波大学人間系、佐々木銀河准教授及び早稲田大学保健センター、石井映美教授の2名です。佐々木先生からは、合理的配慮に関する諸課題のうち、シラバスやオンラインに関するテーマについて、石井先生からは精神障害のある学生支援の現状や課題等に関するテーマについて順に御説明いただきます。それぞれの御説明の後、質疑応答とさせていただければと思います。
 それでは、佐々木先生、早速よろしくお願いいたします。
【佐々木筑波大学人間系准教授】  佐々木です。よろしくお願いいたします。音声や映像の不具合等ありましたら、お知らせいただければと思います。
 先ほど御紹介いただいたとおり、私、筑波大学の所属で、今回は2つの立場としてお話をさせていただきます。1つは、障害学生支援に関する研究者としての立場と、あとヒューマンエンパワーメント推進局、障害学生支援のマネジメントをする立場として、シラバス、オンラインについて、合理的配慮に関する現状と課題について、海外の状況も踏まえながら簡潔にお話しできればと思います。
 では、まず、シラバスのほうから参りますけれども、第二次まとめでは、このようにシラバスについて言及されているかと思います。一部読み上げますと、各大学等が取り組むべき主要課題とその内容の教育環境の調整という部分で、シラバス等の明確化・公開により、教育の本質を可視化すること、シラバスに授業の目標、内容、評価方法を明記することが授業選択の手がかり、そして障害のある学生が、支援が必要かどうかを事前に検討する上で重要となるということ。また、試験の形式や評価基準の明記ということも記載されているかと思います。なかなか障害学生支援の実務等に携わらせていただくと、こういったところが難しいかなと思っているところを個人的な意見として記載しております。
 1つは、シラバスに関しては、もともと障害学生支援マターのものではなくて、教学マネジメントというか、教学マターの下で、障害学生支援部署が関与していない大学等もあるのではないかなと思います。そうすると、合理的配慮や障害学生の存在が想定されずに、場合によって間接差別につながるようなシラバスの記載が残っている、あるいは追記されるというケースも懸念されるのでないかと思っております。
 また、合理的配慮が必要かどうかとして二次まとめに記載されておりますが、実は上記の内容を充実しても、学生がそのように判断できるかというのは、ひょっとしたら難しいのではないかと感じております。また、選択肢を示すということですが、特に単科大学さんとかですと、選択肢のない授業もあるかと思いますので、その授業でどのように対応するかということを、本来シラバスに記載するべきことかなということを最近感じているところでございます。
 こちらは、JASSOさんが合理的配慮ハンドブックにおいて、記載される事項として、このような観点を踏まえてくださいということが例示されているものになっているかと思います。ただ、これらの講義の形式、教材、評価に関する情報について、どの程度これらの観点がシラバスに反映されているか、障害学生支援の観点からも含めて、これを点検されている大学がどれくらいあるのかということを疑問に思うことがございます。
 私は研究者の立場として海外のシラバスについて少し調べているのですが、シラバス、特に米国においては、障害や合理的配慮に関する記述を各シラバスに記載項目の一つとして義務づけているケースが多くございます。例えば、学生のニーズに関連した適切な配慮を行ったり、合理的配慮を受けるためにどこに行けばいいのか、こういうところにコンタクトが必要であるということなどを、テンプレートのような形でシラバスに記載するというのを米国では義務づけていて、日本の一部の大学でも自主的に導入されている状況にあるかと思います。
 私が10月に調べたときに、QS世界大学ランキングということで、大学評価の基準の一つとなりますが、アメリカの上位30大学でそういう記載があるかということを調べたところ、全ての大学で記載があるという状況にございました。例としてマサチューセッツ工科大学の例を示しておりますが、このような記載がシラバスに書かれているか書かれていないかによって、障害学生の合理的配慮の申出のしやすさが変わってくると仮定されるのですが、なかなか米国と同じような状況に日本ではなく、この辺について、恐らく障害学生支援の取組だけではなくて、教育の契約としてこういう言及ができるとよいのではないかなというふうに個人的に感じていることを申し上げた次第でございます。
 今回の主題となりますが、恐らくオンラインというふうになるかと思います。オンラインと合理的配慮については、僣越ながら個人的な論考も書かせていただいておりますが、大きく2つのトピックスに分かれるかと思います。
 1つは、オンライン授業における合理的配慮や授業設計ということで、これはコロナ禍に、主にオンライン授業でどのように障害のある学生が授業にアクセスできるか、するかというような話になるかと思います。
 もう一つが、恐らくいくらかの先生方の御関心事かと思いますが、対面授業なのですれども、合理的配慮として対面授業をオンラインで受講したいという障害学生の申出に対してどのように対応するのかという2つのトピックスがあるかと思います。こちらについて、1つ目、2つ目と、過去に実施した研究や海外の状況、そして筑波大学の状況を踏まえながら情報を提供できればと思います。
 まず、オンライン授業における合理的配慮や授業設計についてですけれども、こちらはJASSOさんのほうで令和2年度プロジェクト研究ということで実施して、筑波大学が受託して関与したものとなります。こちらにはグラフが出ております。グラフの左には総学習時間、オンライン授業で総学習時間が増えたかどうか、学習効果が上がったかどうか、教員とのコミュニケーションができたかどうか、そしてリアルタイム授業には集中できたかどうかということが、障害学生と大学生一般のデータとして示されています。この障害学生と大学生一般というのは、もともと同時期に大学生を対象に行われた調査の項目を、同じ項目で障害学生に令和2年度プロジェクト研究で実施しているものになりますので、参考データとして捉えていただくとよろしいかと思います。
 右側には、割合でゼロから100%の数字を取っておりますが、大きく赤いラインで「多くある」というふうにポジティブな回答です。ブルーのエリアは、「ほとんどない」とか「少ない」というふうにネガティブなエリアを示しております。
 簡単に申し上げますと、大学生一般のデータと比べて障害学生のデータというのは著しく違いがない、あるいは、学習効果やリアルタイムで集中できるかどうかに関しては、相対的にひょっとしたら、やや学習状況としてはポジティブに評価している方が多かったということになります。ただ、なかなかこのように障害学生をひとくくりにするのは難しい状況にあるかと思います。プロジェクト研究において、オンライン授業を高く評価した学生とそうでない学生がおります。こちらに記載をしていて、一部読み上げさせていただきますが、それぞれ障害種別と学生の声、記述データを載せております。
 例えば、視覚障害のある方が、オンライン授業で配慮を依頼する必要がなくなったとか、聴覚障害のある方で、字幕で情報量が増えたとか、肢体不自由のある学生で、移動の心配をしなくてよい、発達障害のある方で、それぞれの生活サイクルに合って授業受講ができるようになったというようなポジティブな評価もあります。
 一方で、そうではない評価もあります。これは障害に由来するものではない内容もありますが、例えば対面授業のほうが分からないことをすぐにその場で聞けるし、友達と一緒に学ぶ空間が好きであるとか、または、先ほど動画の字幕の話もありましたが、動画の修正がなされない場合に――文字の修正ですね、文字の修正がなされない場合には、習熟度はむしろ落ちてしまう場合もあるのではないかと。また、オンラインの授業環境では、先生が学生の存在を認識できず、合理的配慮を行う、あるいは合理的配慮に関する相談をする、申出をするということがしづらい状況にあるというような学生の声も上がっております。これらは全て学生からの調査データに基づくもので、これらを踏まえてオンライン授業の設計を考えねばならないということかと理解しております。
 ここからは2つ目のトピックスです。合理的配慮として対面授業をオンラインで受講することの是非というか考え方ということかと思います。こちらについて今、模式的に図を示しております。模式的な図の中では、点線で参加できるラインを示していて、特に工夫や配慮等しなくても参加できている障害のない学生が左側に示されております。また、右側には、点線のラインに、参加のラインに乗れない障害のある学生、例えば車椅子により移動の負担があるとか、発達障害等により感覚の過敏さで集合環境での音のマネジメントが難しいとか、本来の学習能力にかかわらず、対面授業という環境ではパフォーマンスを発揮しにくいと。
 その際に、個別の合理的配慮として、実はJASSOさんの「紛争の防止・解決等事例集」でも、オンラインで授業配信できないかというのは、コロナ禍前から実施というか、検討されてきた例があるということを承知しております。ただ、コロナ禍前では、授業の本質的変更や実現可能性、オンラインという機材、そしてそれを届けるという部分について、それは困難である。そして、一番大きいのは、通学制であるからそのような方法はできないとか、そういうような例もあったかと存じます。これはコロナ禍によって状況が変化したというところが認識の共通するところかと思います。コロナの感染拡大によって、障害の有無にかかわらずオンライン授業が提供できるようになった。つまりは、合理的配慮としてオンライン授業ができないわけではないと、実現可能性という点では、かなりクリアにされる部分が出てきたということかと私は理解しております。
 そうなったときに、多くの方の関心事としては、対面授業が再開されたときに、合理的配慮としてオンラインで受講したいという申出に対して、実現可能性という方面ではなかなか難しいかと思うので、どのような内容であれば可能なのかという議論が、コロナ禍後になって新たな議論が発生しているのかなというふうに理解をしております。
 これに関して日本の動向は後に述べるところになりますが、海外の状況を少しだけ調べさせていただいております。米国の障害学生支援協議会のほうで、関係する教職員とかのネットワークがあるのですが、そこの中でやり取りされたことで、米国OCRという公民権局からオンライン受講に関するレターが出ているということが共有されております。これは2021年8月16日に、概要に示されているとおりとなりますが、チェンバレン大学というところに通知された内容です。細かい内容は省略させていただきますが、多発性硬化症のある学生で、それに関しての治療が必要であると。なので、その治療が必要な状態、期間において、オンラインでの講義と、ここは看護学校だったので臨床実習をオンラインで受けたいという申請があったということです。
 様々なやり取りが行われてはおりますが、結論としては、大学、そして障害学生支援部署も交えて、その申請は合理的ではないとして認めないということを通知した結果、OCR、米国公民権局に苦情申立てがあったというような流れになっております。公民権局、OCRのレターの中では、たくさんの内容がありますが、この苦情申立てに対して、大学に改善に向けての対応が求められたということになります。大学が合理的ではないと判断したというこのプロセスについての言及かなと思います。主たる理由は、対話的プロセスが確認できなかったということにあるかと記載されております。これはインタラクティブプロセスで、日本の文脈に落とせば建設的対話というふうに解釈をしております。
 例えば、学生Aから申立てについて、一応話合いは行っているのだけれども、適切な合理的配慮の案が検討された根拠が見えないということが、外から見て、学外から見て懸念の事項になったということになります。ただ、附帯されているところは、あくまでも対話的プロセスの問題であって、大学は必要不可欠(エッセンシャル)な要素があるならば、それを学生に適切に説明し、代替案を検討すればよいということで、あくまで対話的プロセスをちゃんと担保した上で必要不可欠な授業の要素があって、これはオンラインで実施することは難しいということが適切に説明できれば、別に全ての授業でオンライン受講に対応することは求められていないと解釈できるのかなというふうに、私個人の解釈も含めて記載しておりますが、書かれているところになります。
 これらの、このOCRのレター等を受けて、各大学では、海外の大学では、オンライン受講に対してのガイドや申請方法についてウェブサイトに記載している大学が幾つか見られます。その中で比較的情報量の多かったUCLAのCenter for Accessible Education(CAE)というところのウェブサイトの記述を一部、機械翻訳も利用しながら示しております。これはオンライン受講に関して、学生や教員からよく上がる質問に対しての応答が記載されております。
 現在示しているスライドは、これは日本の文脈の「配慮」とちょっと分けるために、アコモデーションとリモートアクセスという言葉を使っておりますが、アコモデーションは合理的配慮、リモートアクセスはオンライン受講というふうに解釈していただけるとありがたく存じます。
 大学のCAE、UCLAのほうでは、合理的配慮としてオンライン受講、リモートアクセスを評価するために、学生に対してどのような情報の提示を必要とするかという内容になります。5点記載されておりますが、この5点は多くの大学で共通する事項になっております。ほとんどの場合は、診断書、医師の所見に相当するものを記載している内容になっているかと思います。その中で学生とのリレーションシップ、関係性、どういう治療契約でどういう関係で、歴史、どれぐらいの長さの治療期間があるのかと説明した上で、ADAの定義する障害の中で何に当たるのか、そして、障害の性質と程度が、このオンライン受講という推奨される配慮の必要性にどのように直接関係するかをこの根拠資料の中で述べることというのが書かれております。特に3番目が重要な点かと思います。
 そして、4番目は、リモートアクセス特有だと思いますが、直接授業に参加を再開できる終了予定日も含めていただいて、実際に障害との関係を記載することということになります。5番目の箇条書、ポツ3つで示しているものになりますが、特にこの観点が評価されるということです。ほかの学生と比べて、キャンパス内にいる場合にどのような重大な悪影響に直面するのか。例えばコロナの感染症のときに感染のリスク、そしてそのリスクがある場合、対面授業で感染のリスクが高い環境にいると重大な悪影響に直面するというのは分かりやすい例かと思います。
 また、リモートアクセスは、ほかの軽減策では達成できない方法で、かつ、オンライン授業を受けることで典型的な利点を超える方法で軽減するかという記載がございます。これは分かりづらいですが、リモートアクセスという方法以外の合理的配慮の方法ではそれは達成できないということ、そして、かつ、オンライン授業自体の典型的な利点、オンライン授業だとこういうことが好ましいということを超えて、どのようにこの悪影響を軽減するのかということが求められているということになります。そして、所見を書く医師等が不可欠だと考えるかということで、これは日本の医療機関の診断書よりも、通例、診断名のみの診断書よりはかなり細かく記載することが求められていると解釈することができるかと思います。
 この学生のリモートアクセスに対しての判断をどのように大学、そして障害学生支援部署が行うのかということで、簡単に言えば、下線に書いてあるところになります。最も重要なのは、障害の性質や程度がより合理的で適切と考える他の合理的配慮、アコモデーションを図ることで改善できるのか、できないのかということをこの時点で判断するということになります。つまりは、申請のあった時点で、他の配慮内容と比べて、このリモートアクセス、オンライン受講である必要性を検討するということになっているかと解釈できます。
 これは教員向けの文書の内容になりますが、教員に対して、リモートアクセスに関して生徒側に説明するために教員側が提示しなければいけない情報ということです。例えば、授業形態がどのようになっているか、参加要件でインタラクティブな要素等はあるか、そして物理的な出席が本当に必要な要素となるのかということです。これは、先ほどのシラバスとも関連をして、シラバスに記載されている授業目標と比して不可欠なインタラクティブ要素があって、それで物理的な出席が必要であるというロジックが重要視されていると解釈することができます。授業のリモート機能についてこれまでの許可例があるかということとか、学習目標、シラバスの提出等を求められています。
 そして、重要なことについては、他の学生との公平性という観点があるかと思います。公平性というのは様々な観点があるかと思いますが、ここでいうオンライン受講は個別に行われるものになります。それについて他の学生から選択肢がないのかと問合せがあった場合についても、アンサーが記載されております。授業で採用されている遠隔授業の形態は、あくまで公平性を保つ目的で促進されていることを理解し尊重する文化をつくることが重要であると下線を引いておりますが、合理的配慮としてのオンライン受講と言いましたが、やはりこの点の理解がまだまだ十分ではないということもあろうかと思います。これは遠隔授業、遠隔受講、オンライン受講に限らず、合理的配慮ということについての理解ということにも直接的につながっていると解釈できるかと思います。
 それを踏まえて日本の状況を照らしてみると、御存じかと思いますが、通学制の大学においては、卒業必要単位数のうち、60単位まではそもそも遠隔授業によっての実施が可能であるということです。60単位の制限というものです。さらに残りの64単位も、主として面接授業、例えば半分以上面接で構成されるような授業回を取っていれば、一部をオンラインで実施するということはそもそも可能な設計になっているということになります。
 また、文科省から出ている「大学・高専における遠隔教育の実施に関するガイドライン」では、記載にありますが、障害を有する学生等、一部学生個人の希望によって対面の授業時数が半分未満になったとしても、それを面接授業という形態として取り扱って差し支えないという表現になっています。この解釈が非常に難しいところですが、非常に極端に言えば、124単位対面授業で構成されるようなカリキュラムがあったとして、それを、障害を理由として合理的配慮としてオンラインで受講したいと、それが障害等の学生の個人の希望であって、ここにかなうものならば対面授業を受けたことになるというふうに解釈できなくもない文章かと個人的には理解をしております。ただ、障害学生が合理的配慮としてオンラインで授業受講することについての指針は、現時点のところ、私の把握する限り見当たっておりません。
 そこで、筑波大学の状況を最後にシェアして終わりにしようと思います。筑波大学では通知文として、これらの観点、考え方をウェブサイトに示しておりますが、基本的に合理的配慮の考え方と同じということで示しております。7つの観点は既に議論のあるところかと思いますが、合理的配慮の考え方かと思います。合理的配慮の同じプロセスを取りますので、学生本人からの申請、そして、スタッフによる聞き取りと根拠資料の確認。この中で、オンライン受講においては、社会的障壁の除去、つまり、ここで言えば対面授業に参加できないという、参加することによってできないというバリアをどうやってそれが除去できるのか、どんなバリアがあるのかということの確認が重要視されています。
 また、機会均等ということ、教育組織との協議の中で、過重負担や本質変更不可の議論が発生してくるということで、特に教育組織においては、障害学生だからすべからくオンラインを認めなきゃいけないというわけではなくて、本質変更不可ということがあるので、本質を明示してくださいと、過重な負担、オンラインの環境整備が難しいという場合には、障害学生支援部署であるBHEがサポートをしますというふうにしております。
 これは対応状況の実数になりますが、2022年度秋学期で11件、2023年度春学期で5件。重複はありますが、精神障害、発達障害、そして肢体不自由、病弱・虚弱等の機能障害が多いかと思います。中には不提供となる場合もあって、これは実験・実習で、実験や実験装置に触れてもらうことが授業の本質なので、オンライン受講ではそれが担保できないということで提示した例になります。
 以降は、学生から同意を得たものについて紹介をしていきますが、1つは、その他の障害ということで、リハビリテーションを受けている、定期的な通院が必要なので、その期間、オンライン受講をしたいということで認められた例となります。時間の関係で説明は省略いたしますが、学生からも、リハビリテーションの期間のうちにはそれが受けられない、対面ではどうしても不可能であるということで、そこをオンラインで学習機会を保障できたということの評価があるところになります。
 もう一つは、病弱・虚弱ということで、四肢・体感筋力低下と易疲労により、移動を伴う対面授業の参加、そして長時間の着席姿勢保持ということで、非常に恒常性のある場合ですね。こちらについてもオンライン受講の対応をしています。やはりオンライン受講によって安定して授業を受けられるようになった。また、この学生は実習もありましたが、実習は対面で、そして実習後の事後指導はオンラインでというふうに、同じ授業の中でも組合せを行っているということになります。
 最後、時間の関係で短くなりましたが、まとめのスライドになります。シラバスに関しては、第二次まとめで指摘されるシラバスの内容、障害学生に関係なく重要な内容と認識していますが、やはりまだ障害学生の合理的配慮における手がかりとしてシラバスが使えるかというと、非常に工夫や改善の余地があるかと思うので、その点は一層の言及が必要ではないかと個人的には思う次第です。
 オンラインと合理的配慮について、米国の大学では方針がある程度示されています。ただ、適用はかなり限定的で、機能障害がかなり絞られているという場合も見聞きすることがございます。ただ、日本では、そもそもの苦情申立ての機能がまだ十分熟成されていないということ、全国的な見解がないということで、各大学においては、ある大学は通学制なので断る、ある大学は受けるとか、大学の決まりによって対話プロセスが拒否されている場合も想定されます。なので、不断の建設的対話というのが根幹にあるならば、オンライン受講のみ対話が拒否されるというのは、恐らく機会均等とか障害学生の合理的配慮においては非常に憂慮すべきことかと思います。
 すみません、時間を超過いたしましたが、私からの情報提供は以上となります。
【竹田座長】  佐々木先生、どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  村田です。佐々木先生、ありがとうございます。
 私からは、質問というよりは補足的なコメントです。最後にもおっしゃっていたような、建設的対話のプロセスそのものが持たれていないケースというのは、私どものHEAPの相談事業でも散見される事例です。要は、何らかの事情によって一律でNGにされているような例があるのも事実かなと思っていますので、この点については理解が広まっていくことが望ましいと思っています。
 一方で、考え方として大切にしなければいけないと思うのは、オンラインでの対応というのが受講方法として注目されるアコモデーション内容だと思うのですが、単に受講方法としての要件のみだけでなく教育責任がきちんと果たせるのかどうかという点だと思っております。例えば、オンライン受講というものが認められることは、私は比較的推奨派なのですが、安易にそれが認められて、とにかくオンラインで授業を見てくれていたらそれでよいという形になってしまうと、逆に教育責任というものが乏しくなってしまうのではないかという懸念もあります。オンライン受講という合理的配慮を導入したとしても、きちんとその学生への教育というものが保障されるような形を大学側、教員側は取らなくてはいけないと思っています。
 あとは、学生にとって通学することや教室に入ることが障壁になっているときに、このオンライン受講という話が出てくるのですが、一方で本人の意向が、実は本当は行きたいのだけれどというような前置詞がつく場合も少なくないのです。本当は大学に通いたいとか、本当は授業に出たいけれど、それができないからオンラインだという話になってくる。本来は、本当は出たいということなのであれば、まずはそこで生じている障壁をどう取り除くかということも支援部署としては考えなくてはならないと思っています。
 なので、一つの特効薬として、とにかくオンラインを用いれば何とかなるということだけに注目するのではなくて、本当は教室に入りたいということならどうやって入れるかということも、つまり、ほかのアコモデーション内容も含めて考えなくてはいけないなと思っています。
 以上、コメントでした。
【竹田座長】  ありがとうございました。コメントですので、一応、佐々木先生のほうからもし何かあれば、一言お願いいたします。
【佐々木筑波大学人間系准教授】  いえ、補足等もなくて、私もコメントに同意をいたします。ありがとうございます。
【竹田座長】  ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、白澤委員、高橋委員、殿岡委員の順で、そちらまでにさせていただきたいと思います。白澤委員、お願いいたします。
【白澤委員】  白澤です。非常に分かりやすいご説明、どうもありがとうございました。村田委員がおっしゃっていたとおり、オンライン受講については、一律に認めていないといった大学の発言が我々のところにもよく届いております。あれはコロナ禍の特別な対応であって、コロナ禍が終わって以降は認めていませんといったような例がよく出ているかと思うので、おっしゃっていたとおり、一人一人の状況に合わせてきちんと合理的配慮として適当かを検討していく流れを作っていかなければいけないと思われます。
 そのためにもぜひ教えていただきたいのですが、対応例2のところで、病弱・虚弱により恒常的に通学が困難な状況があって、オンライン受講を認めたといったお話がございました。この事例では、一つ一つの授業において要望が適当かどうか検討していったということだと思うのですが、この際、本質的変更に当たらない授業については、基本的に認めていく方向で考えられたのでしょうか。合理的配慮としてのオンライン受講を認めるかどうかの議論では、授業全体の中で、どの程度までオンラインでの受講を認めていくのかというところが、非常に重要な論点になってくるかと思います。先ほど、大学としてはオンラインでの受講は60単位まで可能であるということが示されているけれど、個別の障害学生については、どこまでといったところのガイドラインは現在のところ示されていないところだと思います。今回貴学で対応された中で、どの範囲で認めていくのかといった点について、一定の基準やお考えを持たれて対応していかれたものなのか、それともそうした上限については特に考えず、一つ一つの授業について適・不適を判断されたのか、状況を教えていただけるとありがたいと思います。
【佐々木筑波大学人間系准教授】  よろしいでしょうか。
【竹田座長】  お願いいたします。
【佐々木筑波大学人間系准教授】  佐々木です。こちらについては、私が直接対応したわけではないので情報の不足があるかもしれませんが、それを念頭に入れて対応について説明いたします。
 こちらは基本的に、まず、どの授業でオンラインを希望するかというのは、本人の意向に基づいて検討するということになるので、全ての授業を希望していなければ、全ての授業ではなくてその特定の授業でということになります。こちらについては実習の授業が入っていたので、実習も一応希望はしていたのですけれども、これは多分、本質的な要素によって対面で実習は参加して、事後学習は対面である本質性が確認できなかったのでオンラインで行うということで、極端に言えば、本人の意向があって、7つの要件ですね、満たしてオンラインを希望する限りにおいては認めていくというスタンスに立って実施をされたもので、これが是か非かというのはまだまだ自校の判断になりますので、まだ何とも判断できないところもございます。
 以上です。
【白澤委員】  ありがとうございます。ということは、全体として、例えば60単位までといった上限が念頭にあったものではなくて、一つ一つのニーズベースで考えていったということですね。ありがとうございました。
【竹田座長】  それでは、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  信州大学、高橋です。大変分かりやすいお話、ありがとうございました。質問は、根拠資料に関することになります。12枚目のスライドでアメリカのUCLAで行われたときの根拠資料の具体的な例が記載されていて、これは医師が記載するというようなお話だったかと思うのですけれども、日本でここまで全部詳しく書いてくれるのかなというのが、難しいかもと思いながら伺っておりました。
 それに関連して、筑波大学での対応例というのを御紹介いただいたのですけれども、ここでの根拠資料というのは、UCLAのこういったものとは違うタイプのものだったのかなとは思うのですが、根拠資料として具体的にそういった必要性ですとか関連性みたいな部分というのは、誰が根拠資料としての作成をしたのかという辺りを教えていただければと思います。
【佐々木筑波大学人間系准教授】  佐々木です。それでは、お答えいたします。
 御指摘いただいたとおり、UCLAと同じ枠組みでは実施しておりません。その上で、日本の状況、そして、あともう一つ、申請があったときから、なるべくディレイというか遅延がかからないような状況で合理的配慮の検討が進むことというのをまず前提に置いております。つまり、根拠資料の用意に時間がかかっているようでは、なかなか合理的配慮にスムーズに対応することができないというので、是か非かは別として、通常、合理的配慮の申請がある場合には、基礎となる――基礎というのは表現が適切か分かりませんが、機能障害に関しての診断書があれば、基本的にはそれに基づいて行うということになります。
 ただ、難しいのは、精神疾患等、例えば体調変動がある場合に、その体調変動を本人の自己申告ではない方法で誰が観測できるのかということが重要だと思うので、その際には主治医に対して意見書を求めるということにしております。ですので、そのように障害の内容によって追加で意見書を求めるという既存の枠組みの中でできる範囲のことを行い、なるべく期間において遅延がかからないようにしていくという及第点で根拠資料の確認をしているというのが現状でございます。
 以上です。
【高橋委員】  ありがとうございます。ということは、もしUCLAのこの例に当てはめて考えるとすると、関連性とか必要性みたいな部分というのは、ある意味、支援部署のほうで作るといいますか、学生と対話をしながら、言ってみれば根拠資料に当たるようなものを作って、これなら妥当だよねという感じで進めるというような、そういう理解でよろしいですか。
【佐々木筑波大学人間系准教授】  佐々木です。その理解で合っておりまして、支援部署の中で、どういう社会的障壁があってそれを除去するのか、その機能障害との関連性について担当のスタッフが記述をするシートを用意しております。それを会議で審議して、他の複数名の目で確認をして、その見解に疑義が立たないかということを確認してから、教育組織との協議に進むというフローになっております。
 以上です。
【高橋委員】  ありがとうございました。
【竹田座長】  それでは、殿岡委員、よろしくお願いします。
【殿岡委員】  殿岡です。私からは補足と、今後に向けて少し考えていきたいということでコメントさせていただきます。
 オンラインの授業に関しては、オンラインに変えるという授業形態の変更の側面と、それから合理的配慮を提供するというオンライン自体が合理的配慮の一つであるという観点が二重に重なっているので、オンラインでよかったのか、あとオンラインだったけれど必要な合理的配慮が受けられなかったという、特に8、9の学生の高評価、低評価を分析すると、同じオンラインという言葉が多義的に使われているところがあるのかと思って、この辺の整理が必要かなと思いました。
 それからもう一つは、これは恐らく今後、四、五年にかけて起きてくることだと思うのですが、高校までの教育環境の差、つまり高校までオンラインで勉強ができた、あるいは高校まではオンラインでしか勉強をさせてもらえなかったというような教育環境の差が、大学へ行ったときに本人の希望にいかなる影響を与えられるか。これは特に聴覚障害を中心とした情報保障では、かなり以前から重要視されている部分ではあるのですが、それ以外の障害でもそういうことで高校までの教育環境の差とオンラインという視点が、恐らくここから四、五年で強まってくるのではないかと思って、その辺もさらなる分析が大切かなと思い、コメントさせていただきました。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。佐々木先生、もし何か一言あれば。
【佐々木筑波大学人間系准教授】  佐々木です。まず、1点目の部分は重要なことですが、6枚目のスライドにあるとおり、オンラインという言葉は2つの文脈で使われていると思いますので、先ほど言った高評価、低評価というのは、そもそもオンライン授業でつくられたものに対してどう評価したかということになるということで、改めて補足申し上げる次第でございます。それと、対面授業をオンラインで合理的配慮として受けるというのは、同じ言葉を使うけれども似て非なるものという考えを私も理解するところでございます。
 2つ目の高校からの環境の違いというのも重要な点かと思います。今回のトピックスで言えば、先ほど村田委員からもありましたとおり、高校環境ではオンラインでしか受けてこなかった、大学で授業ってどうやって受けるのだろう、オンラインで受けるという選択肢があるならそうしたいということで、対面で受けたという経験の不足から選択が狭まれるということも容易に想像できるところかと思います。本当にその意向が十分な選択、経験を経たものであるかというのは、この話題とは別に合理的配慮を検討するコーディネーターとしては、常に肝に銘ずる観点かと理解したところでございます。
 以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、次のヒアリングに入らせていただきたいと思います。続きまして、早稲田大学の石井先生より御説明いただきます。
 石井先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【石井早稲田大学保健センター教授】  よろしくお願いいたします。早稲田大学保健センターの石井と申します。日頃は、学内の保健センターで学生さん対象の精神科診療などを行っています。今日はよろしくお願いいたします。
 私、現在は早稲田大学におりますけれども、前任は筑波大学で平成16年に非常勤で関わって以降、足かけ20年ほど大学構内で学生対象の精神科診療を行ってまいりました。多い年では、たしか年間400名近くを診療してきたと思います。学内で診療ができる大学というのは日本国内でも限られていることを考えますと、拝見した学生さんの人数は、国内でもかなり多いほうではないかなと思っております。スタッフの集計によると、ここ2年ほどは、早稲田では年間延べ、計1,200件ほど拝見しております。
 まず、そんな日常業務から見えてくる精神障害を持つ大学生の特徴と最近の動向について御説明いたします。大学生の精神科の受診・受療実態というのを正確に集計したものは実はないのです。各大学での支援数とかというのは二次まとめとかにも詳細に記載されておりますけれども、受療している大学生がどのくらいいるかというのを集計したものは実はありません。学内で診療が可能な大学が、その学内機関の実数を公表しているのに過ぎず、大方の学生さんというのは、大学の周辺ですとか、あと自宅近隣の医療機関に受診して、年齢的には20代、30代というふうに統計で発表されることがありますけれども、学ぶべき人か、ないしは就労している人かというような枠ごとに集計されるということはあまりないのです。
 そこで、少しでも客観的な指標を見ていただきたいと、ごく身近な数値をお示しいたしますと、これは私自身の最近の診療実績と健診対応数なのですけれど、まず、左側の表1、これは早稲田大学での精神科対応実績です。こんなような状況です。診療総数としては、実は色々なファクターがありまして、この数が増えているから実際患者さんが益々増えているかというと、ちょっと違うファクターも入るのですが、一番右側の健診対応と書いてあるところです。これは比較的、本学の健診は、2020年に限ってはコロナ禍で特殊な状況でしたけれども、一定した条件下で行われておりますので、そこで健診のときに、問診票に不安と鬱を書き込んだ学生さんを対象に、私が全例、医療面談を行っておりまして、そこで面談を要する学生さんが、これで見ますと、確かに明らかに増えているということが見てとれます。
 右側にいきますと、ちょっと古いのですけれども、図1です。これは筑波大学での私の在任中の受診件数、受診学生数を示したものです。筑波大学では恵まれておりまして、私を含めて常勤医3名プラス非常勤医1名の合計の受療者数ですので、私1人の左側の表とはちょっとまた違うのですけれども、これで見ていただいて分かりますように、右肩上がりにちょっとずつ増えているということが見てとれると思います。
 結局、全学生のおよそ三、四%が、保健管理センターの精神科診療を利用しておりました。筑波はほかに医療機関が少ないため、センターでは、私がいた頃には無料で診療しておりまして、また、学内周知も十分行き届いた環境でしたので、約4%で高止まったということは、当時の最大の需要がその程度であったということだったのだろうと思います。精神障害を持つ学生は確かにいて、その受診は一般には増えているということが分かると思います。
 学生の動向を挙げるに当たって、精神科医として言えること、また、精神科医療から見える問題点にも触れながらお話を進めてまいりたいと思います。まず、精神科の病気、これについてちょっと確認したいと思うのですけれども、病気は原因別に考えると、このように大きく3つ、3群に分けられるのですけれども、問題なのは、内因性と心因性の精神疾患です。疾患というのは病気ということですけれども、双極性障害ですとか統合失調症などの内因性の病気は、もともと大学生には一定の割合で見られていました。ちょうど好発年齢であるということもあります。中でも鬱病が少なくないのは周知のとおりだと思います。
 一方、心因性の精神疾患、病気ですね、これが近年増加している印象です。これは元来、病気かそうでないかという境目がはっきりしない。もともと割ときっちりした性格だったのが、何回も何回も確認するようになってつらくなってきたというようなところが割と連続体でして、はっきり病気であるかないかの境目が決まっていないということもあって、かつては受診に至らなかった人も多かった領域だと思います。それが昨今、コロナ禍などもきっかけに受診の敷居が低くなったことや、あと背景に敏感さを持つ学生が増えたことなどから受診率が増加していると考えられます。
 この敏感さについてですけれども、発達障害圏の過敏性につながる部分がありまして、最近、心因性の精神疾患と発達障害、これがごく近縁であるということが分かってきていまして、関連性がある程度確認されています。従来から診療の現場でも合併例が多いことは知られていました。これまでどちらかの病名で代表していた診断も、障害間の重複として扱われていくケースが、二次まとめなどを見ましても、重複は精神疾患と発達障害圏の重複が多いみたいに出ていましたけれども、さらにその重複が増えていくのではないかと考えられます。
 この心因性疾患ですけれども、心因性疾患全体に言えることとして、環境因子によって大きく症状が変化するという特徴があります。例で言いますと、内定が出た途端、嘘のようにぱっとよくなってしまうですとか、失恋が原因で、その途端、強い希死念慮が出現するなどのことが挙げられると思います。
 これは統計でなじみがありますICD分類、特にICD-10はなじみがあると思いましたので、ICDの分類でもちょっと見てまいりたいと思います。これで言いますと、F8、F9、発達障害、こちらが増えているということは周知のとおりなのですけれども、これと同様にF4、F5、精神科はFコードで全てがコーディングされていますけれども、F4、F5が増えているということになります。
 大学保健管理センターで受診者の疾患割合を見ますと、早稲田と筑波大学を例に挙げてはあるのですけれども、保健管理研究集会などで拝見しましても、どこの大学もそんなに事情は変わらないと思います。大体、病気の割合というのは、この円グラフで見るとおりです。左側が最近の早稲田での様子、右側が、私が在任していた頃の筑波大学の様子を示しています。いずれも、F3とF4、この合わせた割合が大体同じです。このF3、気分障害圏と神経症圏、これを合わせた割合が同じような割合になっているということに注目していただけるといいと思います。過半数を占めているのがこの2つです。
 F4と先ほど紹介しましたけれども、心因性のF4コードの多くは、適応障害という病名が当たります。つまり、分かりやすく言うと、完全に一致するというか、分かりやすく考えていただくと、心因反応と置き換えていいと思います。診断基準をここに提示しております。これはDSM、アメリカ精神医学会の診断基準ですけれども、対応はICDとあまり変わりありません。
 そのストレス因に不釣合いな程度の症状、苦痛を呈するというのが条件なのですけれども、ここにありますように、ストレス因やその結果が一たび終結すると、症状は6か月以上持続することはないといいますか、臨床上見ていますと、大抵は速やかに回復するケースがあるのです。なので、短期間のうちに症状が大きく変化する疾患群と言えると思います。
 対して、統合失調症ですとか双極性障害などの内因性疾患、これは症状が急性期、慢性期を繰り返しながら、次第に全般的な機能低下に至るのが一般的な経過です。従来、我々精神科医は、これを狭義の精神障害というふうに呼んでいたわけです。薬物療法を含む医療が必須であり、一般に未治療期間が長いほど障害は重篤ですので、たとえ本人が修学継続を望んでも、治療を優先にすべき時期がある疾患群と言えると思います。
 諏訪先生らは、修学支援の対象をこのように捉えておられます。精神障害、あるいは治療が継続して必要な精神疾患があるということなのですけれども、医学的に考えますと、病気の後遺症として障害が残る場合はありますけれども、一般的には、病気イコール障害では実はありません。適応障害を含む心因性疾患は一時的なものも多く、従来は、一般的には精神障害とはしない考え方でした。これはちょっと文献的にというか、これを明記したものというのはないのですけれども、我々精神科医の共通理念としてはそういう受け止め方だったのです。それが我々世代の精神科医の共通認識であったわけです。これらの心因性の疾患は、今も障害者手帳や障害年金の受給対象外とされている実情があります。
 一方、法律上、我々がよく用いる精神保健福祉法ですけれども、この法律上の定義は以前から曖昧な表現でした。つまり、「精神疾患を有する者を精神障害者」というというような定義づけをしておりまして、ここでは心因性障害は含まないというようなことを明記はしていないです。現在は心因性疾患の受診割合が増加しまして、一般的にはこの領域も診断を有する精神疾患、イコール精神障害と捉えられていますので、諏訪先生などの考え方は、精神医学的にも精神科医療的にも妥当なものと考えられます。
 ただ、精神科医の間でも、世代によってこの辺の認識には幅がある可能性があるかと思います。私の授業での学生さんの反応を見ますと、学生さん、若者の意識はむしろ逆に、心因性疾患こそ精神疾患という見方をしている方が主流なように見受けられます。
 さて、この修学支援の制度で考えますと、総じて精神疾患ではこのようなことが特徴です。変化が激しく揺れ幅も大きい。評価するとすれば、どのタイミングでどのような間隔でというようなことですね。そして、高橋委員の御指摘にもありますように、客観指標に乏しくというか、このアセスメントを用いれば確実、というようなものがありませんで、根拠資料にも抽象的表現が多くなるかと思います。また、その前提となる診断自体も、数値で出てくる検査結果とか画像とかに基づいて行われるものではなく、主観に基づくものですし、何を根拠資料とするかというのは極めて難しい問題だと思います。
 そしてまた特徴として、ほとんどの例で、修学そのものが強いストレス因になっているということが挙げられます。つまり、修学可能という意見書を出すと、自分の患者さんは具合が悪くなる可能性があるというような問題も含んでいると言えると思います。
 また、個人間の感受性の差異と公平な取扱いとの兼ね合いです。特に大学というところは、公平性というところをすごく重視するのです。私も教育の現場とやり取りしているうちに、この公平さということがかなり大事なものなのだということが、医療とまたちょっと違ったフェーズなのだということが分かってきていまして、こういった問題もあるかと思います。
 そして、精神科だけではないのでしょうけれども、治療もまたコンディションを修飾するという側面もあります。特に精神科薬、飲み始めに効果が安定しないと、内服により眠い、また薬の性質によっては、内服している間いつも眠いなどの問題が起きてくることもなきにしもあらずです。
 黄色に染めました部分は、特に私が気になるところで、高橋委員の根拠資料についての御説明は、まさしく精神疾患の評価の難しさを表現していると思います。こちらの事情というか、私どもの事情を考えますと、学生に不利益とならないための暫定的対応の記載にもありましたように、臨機応変にということでよく理解できるのですけれども、専門家が不足しがちな多くの私学にありましては、明白な判断基準を示してほしいという声が多く上がってくるのではないかと推測されます。学内でも、この判断基準についての疑問が何か所かから上がっていました。
 片や、精神科医の立場からすると、学生の主治医側の課題がまず見えてまいります。まず、今回の制度について知識がないと、診断書や意見書作成の意味合い、それとかどう記載するとどうなるのか、その大学の内部事情なども説明してもらわないと把握ができません。そして大学側も、主治医の立場に立って理解しておく必要があるかと思います。
 例を挙げますと、大きなテーマがありまして、精神科医療の現場では、近年、高齢者の免許更新の課題に認知機能を評価する協力をし始めたことです。ところが、実は警察や申請者と必ずしもスムーズに連携できているというわけではなく、色々な問題が現場では起こっております。例えば、どうして免許更新が許可されないのかと問われたときに、警察が「医師の判断ですから仕方がないです」と答えることも結構あるのです。そうなると、苦情の矛先が病院や主治医に向いてしまうという、これが問題なのです。医療の現場では、特に精神科では信頼関係が非常に大切なのですけれども、この作業のためにそれが台無しになってしまうことが少なからずあり、この制度への協力にも、もしかすると医療側の抵抗があるかもしれないなというふうに実は個人的には思っております。
 また、いざ根拠資料として書類を作成する際も、留年・休学したくない、するのが不安などの理由から、急を要するにもかかわらず、配慮依頼を切望するなどのケースはあるかと思います。このような問題は実際これまでも散見されていました。医療現場でも時間をかけて何度も丁寧に説明できればいいのでしょうけれども、とにかく医療現場では時間がありません。作成すべき意見書のフォームを学内で作ろうと計画したときにも、主治医の真意がそれとなく盛り込めるような仕掛けをと私が声かけして学内で話し合ったりもしたのですけれども、この意見書を作成する手続によって主治医側というのは、アカデミックストレスで適応障害に陥っている学生に、修学を継続させるという二律背反の役割を担う立場になるわけなのです。というわけで、精神科医側も一定の課題を抱えるということを鑑みますと、医療側の理解を呼びかける働きかけが要るように思いました。
 また、医師側のこの制度にまつわる困難を拾い上げる仕掛け、アンケートとかフィードバックですとか、そういうものも求められるように思いました。細かい問題ですので、第三次まとめが出た後に、またこういったことは検討されていくのではないかと思っております。
 さて、早稲田でも制度運用に向けて、現在準備の最中なのですけれども、私自身の懸念とか疑問や、本学の担当者などから出てきた問題を紹介したいと思います。まず、対象者を選ぶかどうかということで、学内ではいろんな検討があるようです。三次まとめの骨子を拝見しますと、本来、対象者は社会的障壁に注目して考えるべきと考えられるのですけれども、学内では、対応に要するマンパワーにやっぱり不安があります。当初は、診断や障害者の確証がある学生を対象にしたいという本音があるように思います。
 また、先ほどから教育組織のお話もありましたけれども、学内教育組織である各学部に制度の真意を遍く伝えなければなりません。保健センターマターとか支援室マターと捉えず、教育の質を担保しつつ修学支援を行う主体である、学部はそういう主体であるということを広く理解してもらう必要があるかと思っています。
 以前、かなり前なのですけれども、診断書が出た、先生から説明が――先生は私ですけれど、私から説明があったので、仕方なく成績DからCに変更して本人には成績をつけたという話を聞いたことがあったのですけれども、減点を手加減するという考え方を真意の周知に変えるというのには時間がかかるかもしれないなと思いました。
 また、このシラバスの話は、先ほど佐々木先生が十分よくしてくださったのですけれども、シラバスから授業の本質を知れることがとても重要だと思います。大学ではその観点でシラバスを見直すよう、教員に促していくことに今後なっていくかと思います。
 そして、保健センターで受診に訪れる学生さん、またその御家族を見ていますと、学生本人より保護者のほうが熱心なケースが少なくない印象があります。学内サポートを希望する場合、保護者の方がまずアプローチしてくるというケースが多いように思います。高等学校までの手厚さを想定しているケースですとか、あと本人と意向が異なるケースも実は結構あるのです。授業の本質との兼ね合いで、求めた配慮が得られない場合もあるかと思います。本来、特に精神障害の方には、我々の立場としては、修学に耐え得る状態か否かの視点が一番重要に思えるのですけれども、保護者側の修学へのこだわりによっては、対応に不満が出るかもしれません。建設的な十分な話合いのために、教育側の誠意が表現できる熟練した専門職がやはりいてほしいところかと思いました。
 そして、まず学生さんの申請を受け止める最初の窓口となる箇所、ここでも様々な判断が必要となると思います。いわゆる合理的配慮か、狭義の合理的配慮か、教育的対応か、もしくは困難をいっぱい抱えている立場はよく分かる、つらいのはよく分かるよと受け止めるカウンセリングか、シームレスな対応を心がけるとなると、専門的知識に基づいた振り分けにも関わってくる判断力が求められると思います。一般職員だけでは十分需要に応えられるかという不安もあるかと思います。学生の受診に向けるエネルギー、受診のハードルとかセルフスティグマへの葛藤ですとか、あとは診断書・意見書・アセスメント料などの経済的な負担、こういったものについても懸念はあるかと思います。そして最後に、先ほども出しましたように、評価更新の間隔、タイミングですね、これも明確なラインを求めてくる声が学内でも上がっております。
 そして、医療との連携、これに負担感を持つ支援室職員も少なくないと思われます。先日のように、根拠資料がクリアカットではありませんし、特にこれは、先方が多忙などのために率直な意見交換がしにくいのではないかと思います。多くの書類は、記載が簡潔、抽象的過ぎ、解読に専門的視点や労力を要すると予測されます。医療機関でアセスメントを頼むとやはり時間がかかってしまうというようなことから、学内でアセスメントを進めるにも、また医療側から出た資料を読み解くにも、専門職の力が必要ではないかと思います。
 最後ですけど、これは直接対応する職員にとっての本音ではないかと思います。不満が特定の職員に向かわないように配慮してほしいということです。学内の責任の所在ですけど、常に何とか委員会とか、何とか検討会などとするというのは言わずもがなですけれども、複数の大学が共通、共同で利用できるような評価拠点の構想などがあれば、大学は期待が持てるのではないかと思います。今までの資料を拝見しますと、かねてからアイデアは出ているようなので、それもまた一つ、検討の余地はあるかなと思っております。
 以上、つらつらと御紹介しましたけれども、大学側は不安でいっぱいです。専門職が一定人数必要ですので、本学では既に、この修学支援に向けて心理職員の新規採用を複数名予定しているのですけれども、比較的恵まれた条件の本学でも、現在、各所が不安で揺れているところです。このような現状ということを御理解いただけるとありがたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。以上です。
【竹田座長】  石井先生、大変、御専門の立場からリアリティーのあるお話、どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明に対しまして、委員の皆様方から御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 では、村田委員からお願いいたします。
【村田委員】  村田です。石井先生、ありがとうございました。私からは一言コメントと、先生に御見解を伺えたらと思うことが一つございます。
 まず、最後におっしゃっていた専門職の話は本当に大切だと思っています。もちろん、何らかの専門性がある専門職の存在というのは重要だと思うのですが、一方では、そういった専門性のみならず、大学のことをよく理解をしていく、学生のことをよく理解できるような専門職が必要なのだと思います。そういう意味では、こういう資格がある人を配置すれば事足りるというよりも、各大学の中で継続的に安定的にそういった身分が継続されることが必要なのではないかと思っています。
 また、御見解を伺いたいことが、合理的配慮を調整していくプロセスの中で、学内の対抗的な反応として、やはり精神障害・精神疾患等に関しては、治療の可能性とか、あるいは安全配慮といったような懸念の声が支援部署に届くことも少なくないと思っています。このような例に対して、もし先生のほうで御見解があればうかがいたいと思いました。
【石井早稲田大学保健センター教授】  ありがとうございます。まず、最初のいただいたコメントについては、私見としては、建設的な話合いと各所に出てまいりますけれども、実際、本格的に稼働して運用するとなると、各所でこれが一番大事になってくるのではないかなと思いまして、ここに配慮できるやっぱり心理の専門職ですとか、保健師さんですとか、看護師さんとかの医療の専門職の方というのは必要不可欠かなと、学内で行うのであれば、必要不可欠かなと思っております。
 あと、安全性と治療の必要性ですよね。精神疾患の場合は、特に内因性の疾患の場合、やはり教育組織側も懸念はすごくあるし、特に症状が少し理解できない領域、例えば幻覚・妄想に及ぶようなことがあったりすると、必要以上にもしかするとすごく心配してしまうということもあるかもしれません。なので、医師の意見書と検討委員会だけではなくて、もしかすると学内、幸い、早稲田には複数名、精神科医もおりますので、適宜私も協力していければなとは思っているのですけれども、そういった仕組みのない一般の私大ですとか、そういうところはそういった事例が出るにつけ、不安が膨らむのではないかなと懸念をしているところです。ありがとうございます。
【村田委員】  ありがとうございました。
【竹田座長】  それでは、殿岡委員、南谷委員まででお願いしたいと思いますが、殿岡委員、よろしくお願いいたします。
【殿岡委員】  石井先生、現場からの本当に貴重な御意見、ありがとうございました。私からは質問が1つと、あとはコメントを1つさせていただきます。
 質問は、合理的配慮を提供されて、その後、学生が学び直しをしていく際に、逆に医療の側にフィードバックをどうしたらいいか、もし医療の側から御見解があれば、ぜひ情報提供いただければと思います。
 もう一つ、コメントのほうは、私ども当事者の立場に立ってずっと活動してきますと、急性期を超えて入院中の方からも電話をいただいたりとか、場合によっては、不幸にして刑事施設などに入っても、そこからさらに出所されて、世の中に戻るとか、そういう方から日々、相談をいただいています。
 障害者差別解消法として、社会モデルで合理的配慮を提供していくには、今の順序が大事なので、医師や心理職やそういった医学モデルの立場の方が多くなってくると、本人の立場を代弁する人が本当にいなくなってしまう可能性が高いです。なので、本当は全ての障害なのですが、特に精神障害の人に対しては、本人の意思を推測ではなく、かつ本人の立場に立ったアドボケイターをやはりきちんと置いていく。アドボケイトしていく人や組織やそういったものの重要性はますます、社会モデルを構築する上で必要であると思っているわけですが、もし何かコメントがあればお願いいたします。
 殿岡は以上です。
【石井早稲田大学保健センター教授】  すみません、最初の御質問がちょっと私、酌み切れなかったので、もう一回伺えればと思うのと、あと、2つ目のコメントに関しましては、おっしゃるように、御本人の立場に立ったということがやっぱり観点でして、感受性というか敏感さは、本当に連続体というか、外から見えない連続体であって、教育組織からも授業の担当の先生からも見えないですよね。なので、御本人が申請してくることを一応基本に受け入れて、本人の立場に立った配慮ということは非常に重要な立場だと思います。ありがとうございます。
 すみません、最初の質問のほう、もう一回お願いできればありがたいです。
【殿岡委員】  殿岡です。私は、合理的配慮が大学で行われた後に、本人の変化とか、合理的配慮を受けた結果、どういう学びがあったかということを医療のほうにフィードバックしていくプロセスがあると、追加になりますけど先ほどの診断書を書いた結果、状況が悪くなったみたいな医師の側のイメージの変化にもいい影響を出せるのかなと思って、その辺のことで、もし医療側から御希望があれば、せっかくの場なのでコメントをいただければと思います。
 以上です。
【石井早稲田大学保健センター教授】  ありがとうございます。非常に重要な観点だと思いまして、実は主治医側も、刻々とリアルタイムに自分が出した意見書とか、それで大学で得られた配慮でどう学生が変化したかを本当は知りたいのですよね。なので、お手間でしょうし、エネルギーも要ることだと思うのですけれども、そのフィードバック、短いコメントでも行き来、連携ができるというのが本来は理想というか、それができることが本質により近づく一つのエッセンスじゃないかなと思っております。ありがとうございます。非常にいい御意見だと思いました。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、南谷委員、お願いいたします。
【南谷委員】  大学入試センターの南谷でございます。筑波大学と早稲田大学、なかなか、めったにない精神科医の方が常駐しているという環境での、多分、とても貴重な御経験からするお話をどうもありがとうございました。
 1つ目は、若干、確認的な質問になるのですが、先生の御経験というかお立場が、貴重な、まれなケースだけに、ちょっと気になる点としては、一般の、特に小規模の私立大学でそうした精神保健体制の充実はどこまで期待できるのか。それは、かなり難しい問題になるだろうと。その場合には、本日のスライドの多分後半にあったお話に関わると思うのですが、地域の精神科医、主治医との協力体制をうまく樹立し、様式の書き方、書ける内容に工夫をするというようなお話もありましたが、そういった部分でのうまい道具立てをつくって、御本人にとって最良の状況をつくれるような工夫をするのがいいのではないかというのが先生の御意見なのか。これを第1点として確認したいと思います。
 もう一つ、2つ目の質問としまして、精神保健部門と障害学生支援部門、恐らくこれが2つ並立しているような大学というのが多いと思います。障害学生支援部門というのは、本人の希望を基軸に据えながら、授業を行う教員側の事情や、大学の全般的なスタンスや、あるいは法的・制度的な背景なんかを意識して、うまい、ステークホルダーがみんな納得できる、受け入れられるようなソリューションをつくり出すみたいな仕事が現実には多いように感じております。
 そうだとすると、これは精神保健とはちょっと違うニュアンスな――ちょっとじゃないですね、かなりあるのではないかなと思っていて、そういう意味での、実際の大学での障害学生の修学環境を本人にとって望ましいものにしていくという個別の活動の上で、精神保健部門と障害学生部門はどういうふうに関係、コラボレーションしていけばいいのかということについて、何か御意見があったらお聞かせください。
 以上でございます。
【石井早稲田大学保健センター教授】  ありがとうございます。まず、地域の現場の医療とのよりよい連携のための工夫ということですよね。これはやっぱり工夫すればするほど、よりスムーズな連携が得られるのではないかと思っておりまして、逆に医療現場、特に精神科の場合は、検査の値とか画像をぱっと見て、ぱっと流していけるような診療ではなくて、毎回、御本人からお話を聞いて、こちらの見立てとかアドバイスを話してということで、一定時間が一人一人にかかる都合上、やっぱり現場に時間的余裕がないのです。そうなってくると、時間外の作業にはなるのでしょうけれども、先生の真意を酌んだり、こちらの真意を伝えたりというのは、うまくやり取りする仕組みというか、そういったできるような何か工夫みたいなものがあるべきだと思いまして、これに関しては、この評価とか意見書に関わっている精神科医にアンケートを取ったり、どうすればよりよいのか。誰も困らず、それこそウィン・ウィンになって一番なのかということを、今後時間をかけて見守ってまいりたいなと思っているところです。これは必要だろうと思います。
 あと、精神科医療、精神保健と障害支援室との連携の難しさということかなと思うのですけれども、幸い、本学では支援室の方々、皆さん、我々の立場もすごくよく理解してくださって、すごくスムーズに連携できているので、それほどハードルを感じることはないのですけれども、多分、医療の事情、例えばさっき出てきたように、薬が眠いですとか、そういう医療の事情の細々した、どうしても仕方がないとか、今の時期はこうだみたいなのを酌んでもらえるようになってくると、支援室との連携もスムーズじゃないかな。やっぱりそのためには、細かなやり取りがされていくべきだろうなと思っていまして、幸い、早稲田では今のところ全然問題なくスムーズですけれども、各大学がそうであるかというと、努力を要することではないかなと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
【南谷委員】  ありがとうございました。
【竹田座長】  佐々木先生、石井先生、どうもありがとうございました。
 座長の不手際で時間を延長しておりますが、まだまだ委員の先生方からも御意見、多々あるかとも思いますけれども、追加の御意見があれば、従前どおり、メールにて事務局に御連絡いただきまして、本日のテーマにつきましては、第三次まとめの作成過程で改めて御意見をいただければと存じますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、本日のテーマは一旦ここで区切ることとしたいと思います。
 最後に、資料3、当面の検討会のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  資料3を御覧ください。次回は第8回ということで、11月20日月曜日、16時から18時となっております。第8回以降は、委員の皆様が対面で集合可能な会場を用意するとともに、東京までお越しいただくことが難しい方につきましては、オンラインで参加いただけるハイブリッド形式での開催となりますので、よろしくお願いいたします。
 それからもう1点、御連絡でございます。第6回でお示しさせていただいた第三次まとめの原案につきまして、意見の照会の締切りが9日までとなっております。こちらも御意見等ございましたらお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 本日の議事は以上ですが、その他、会合全体を通して御意見等ございませんでしょうか。
 それでは、次回は第三次まとめの取りまとめに向け、議論を進めていきたいと思います。御案内のとおり、次回からは委員の皆様が対面で集合可能な会場を用意するとともに、東京までお越しいただくことが難しい方は、オンラインで参加できるハイブリッド形式での開催となりますので、よろしくお願いいたします。
 以上で、障害のある学生の修学支援に関する検討会(第7回)を終了いたします。どうもありがとうございました。
 

―― 了 ――