障害のある学生の修学支援に関する検討会(令和5年度)(第5回) 議事録

1.日時

令和5年9月15日(金曜日) 15時~17時

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 関係者へのヒアリング等
  2. その他

4.議事録

【竹田座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、「障害のある学生の修学支援に関する検討会(第5回)」を開催いたします。皆様には、御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、近藤委員が御欠席と御連絡をいただいております。
 まずは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【小栗補佐】  文部科学省学生支援課課長補佐の小栗です。本日は、御多忙中にもかかわらず御出席いただき、ありがとうございます。
 配付資料につきましては、一昨日、資料6を除く資料をお送りしており、昨日、資料4の差し替えと資料6をお送りしております。過不足がございましたら、事務局まで、議事の途中でも結構ですので、遠慮なくお知らせいただければと思います。以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 本日も、まずは関係者へのヒアリングを実施いたします。今回は、大学入試センターにおける合理的配慮の考え方及び取組等について、独立行政法人大学入試センターより、南谷委員に加え、内田和人事業部事業第一課長様にヒアリングに御協力いただきます。
 次に、障害学生の就職に関する企業側の取組等について、島津委員より御説明いただきます。
 その後、日本学生支援機構より、令和4年度、大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果概要について御説明いただき、続けて、事務局の文部科学省高等教育局学生支援課より、障害のある学生の就学・就職支援促進事業に関する令和6年度概算要求について、また、初等中等教育局特別支援教育課より、障害者差別解消法対応指針について、それぞれ御説明いただきます。
 それでは、議事に入る前に事務局より御案内があります。お願いいたします。
【小栗補佐】  事務局でございます。8月8日付にて、当課課長として、新たに吉田が着任しておりますので、この場をお借りして皆様に御挨拶させていただきます。
【吉田課長】  8月8日付で学生支援課長に着任いたしました、吉田と申します。検討会の委員の皆様方にはどうぞよろしくお願いいたします。
 これまで、第4回検討会で御審議いただいていると承知をしております。今後、取りまとめに向けて、また、さらなる御意見を頂戴していきたいと考えておりますので、引き続きどうぞ御指導よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初の議事、関係者へのヒアリング等に入ります。まずは、大学入試センター、内田様、南谷委員の順に御説明いただき、その後、質疑応答とさせていただきます。それでは、内田様、よろしくお願いします。
【独立行政法人大学入試センター事業部事業第一課長】  大学入試センター事業第一課長の内田と申します。本日は御説明の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 私からは、大学入学共通テストにおける受験上の配慮、これをどのように実施しているか、申請方法を中心に、現状ですとか、あるいは配慮者数の推移、こういったものを併せて御説明させていただきたいと思います。
 それでは、スライドを映していただけますでしょうか。ありがとうございます。今、画面に映されているのが、大学入学共通テストの受験上の配慮案内という冊子です。共通テストの受験に当たって配慮が必要な方は、受験上の配慮案内という冊子を入手して、必要な手続を行っていただくということにしております。
 受験上の配慮案内につきましては、既に、今回の分につきまして、7月の上旬から、大学入試センターのホームページに掲載しているものでございます。ダウンロードして使用することもできますし、あるいは、大学入試センターに冊子を請求していただくということも可能にしております。また、ホームページ上では音声読み上げに対応するため、テキスト形式でも掲載しているものでございます。
 それでは、次のスライドをお願いいたします。まず、共通テストにおける現状の配慮について、受験上の配慮案内の冊子で、どのように記載しているかということでございますが、今、画面に映しておりますけれども、共通テストにおきましては、病気、負傷や障害のために、受験に際して配慮を希望する志願者の方に対して、個々の症状ですとか、あるいは状態等に応じた受験上の配慮を行うということにしてございます。
 障害等の種類や程度に関わらず、必要な配慮事項を申請することができるとしており、配慮の内容につきましては、障害の種別で決まるのではなく、志願者の個別のニーズに応じて、申請できるとしております。また、大学入試センターにおきましては、昭和54年の共通第一次から40年ぐらい試験を実施しているわけでございますけれども、現在は、特別支援教育の専門家の方ですとか、あるいは医師、こういった方々で組織する配慮事項部会、こういう組織を設けておりまして、配慮事項部会において、受験上の配慮に係る基本方針案の策定ですとか、あるいは企画立案に関する事項の調査、審議を行っているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。今、御覧いただいているのが共通テスト、あるいはセンター試験における受験上の配慮決定者の推移でございますけれども、今、画面に映っているのは、平成2年度の大学入試センター試験、共通テストの前身である大学入試センター試験が平成2年度から実施されているわけでございますけども、平成2年度から、これまでの配慮決定者の推移というものが棒グラフで記載しておりまして、障害区分ごとに、色別に分けて、表示をさせていただいております。また、上のほうにある折れ線グラフにつきましては、センター試験、あるいは共通テストの志願者数を示させていただいております。
 まず、上のほうの折れ線グラフのセンター試験、もしくは、共通テストの志願者数でございますけれども、昨年度の共通テストの志願者数につきましては、51万2,000人あまりの志願者がございました。こちらのほうは18歳人口の減少に伴いまして、平成30年度のセンター試験で58万2,000人という志願者がいたわけでございますけども、そこから年々減少を続けている状況でございます。
 一方、配慮決定者でございますけども、棒グラフのほうがその数字を表しておりますけれども、御覧いただければお分かりになるとおり、配慮決定者の数というのは年々増え続けておりまして、昨年度の共通テストでは、4,049名の配慮を申請した方がいたというところでございます。ここ5年で約1,000人の増、10年前からすると約2倍、20年前からすると約3倍の増加の状況になっているというところでございます。
 このうち、特に増加の著しいのは、病弱、発達障害でございまして、発達障害の区分というものが、平成23年度のセンター試験から設けられたということでございまして、令和5年度の共通テストを比較いたしますと、病弱が平成23年度試験で85件が、今回、令和5年度選抜で933件と、約11倍に増加していると。発達障害につきましては、23年度のセンター試験では96件だったものが、令和5年度の共通テストでは450件と、約4.7倍に増加しているという状況でございます。また、それ以外の障害の方も増加しているわけでございますけども、特にこの2つの増加が顕著となっている状況でございます。
 次のスライドを御覧いただきますと、こちらのスライドにつきましては、受験上の配慮の申請から試験実施までの主なスケジュールについて簡単に記載させていただいているものでございます。左側が志願者、右側が大学入試センターとなってございますが、まず、左側の配慮案内の入手でございますけども、先ほども申し上げましたが、7月上旬にホームページのほうに掲載しておりまして、申請に必要な書類も配慮案内の中に入っているということでございます。
 志願者の方は、配慮申請をまずは行っていただきまして、大学入試センターでは、その申請を受け付けた後、委員会で申請書類の審査をさせていただきまして、審査結果につきましては、右側の白抜きの丸3のところに記載させていただいておりますけれども、1、2、3、その時期にお送りをさせていただいているところでございます。
 審査結果通知書が送られたら、志願者はその内容を確認いただきまして、その後、入試センターのほうから決定通知書ということで、改めて12月の中旬ぐらいに通知をさせていただいていると。その後は、決定通知書を持って、志願者の方は、大学入学共通テストを1月中旬頃実施しますので、受験に向かっていただくと、こういう流れでございます。
 また、そこのスライドの右側の赤字で記載させていただいておりますけれども、配慮につきましては、年間を通して、個別に事前相談も受け付けているというものでございます。
 次のスライドをお願いいたします。次に、受験上の配慮申請についてですけども、まず、申請書類ですけれども、ここに記載させていただいているとおり、まず、受験上の配慮の申請書、どういう措置を希望するのかという申請書、それから診断書、それから状況報告書、【C】と書いてある状況報告書でございますけども、これはマストではなくて、該当する方のみということになってございます。
 ちなみに、状況報告書についてですけれども、例えば試験時間の延長を希望する方ですとか、あるいは、リスニングの免除、代筆解答、別室の設定、発達障害、こういった方が該当をするということにしております。
 提出していただいた書類につきましては、当センターのほうで、複数の職員で志願者がどのような配慮を希望し、それが何の配慮事項に該当するのか、その他必要な配慮事項を見落としていないかと、こういった形で丁寧に確認を行いまして、必要があれば、申請者の方に電話をかけさせていただいて、確認もしております。
 電話で連絡する場合は志願者から希望する配慮内容をよく伺いまして、相談しながら申請する配慮事項を決めていくという方法でございます。配慮内容によっては、代替措置としての第2希望も併せて相談するというようなこともございます。電話等での確認ということを申し上げましたけれども、電話で確認するのは、昨年度の場合ですと700件ぐらい電話をかけさせていただきまして、確認をしているという状況でございます。また、先ほど年間を通じた個別の相談ということでございますけれども、こちらのほうは、約4,000件程度の件数となってございます。
 次のスライドお願いいたします。申請書類の審査でございますけれども、申請のあった配慮事項に関しましては、特別支援教育の専門家、あるいは医師等で組織する委員会のほうで、個別の症状ですとか状態等を総合的に審査させていただいて、決定しております。主な審査方法としては、基本的には、障害別に分かれた上で、他の志願者との試験の公平性も考慮した上で、全て個別に審査をしているというものでございます。
 また、提出された申請書類のみをもって審査をいたしますが、症状ですとか、あるいは状態などで、さらに詳しく把握したいというような場合には、追加で書類を提出していただく場合もございます。また、不許可とする配慮事項につきましては、もし代替措置という配慮事項がある場合には、申請者に代替措置の提案もさせていただいているところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。実際に共通テストにおいて受験上の配慮を実施する場合の事前の打合せということでございますけれども、これは必ずしも、全ての配慮決定者と打合せするということではございませんが、特に事前の相談が必要な配慮事項に関しましては、試験場となる大学と志願者、それから大学入試センターとで事前に打合せをさせていただいておりまして、志願者の方が試験当日、安心して受験できるように配慮しているところでございます。
 特に、画面に記載させていただいておりますけれども、試験問題の代読ですとか、あるいはタブレット表示、こういったものについては、志願者、それから試験場となる大学の関係者、大学入試センターの3者で、事前に打合せをさせていただいているというものでございます。その場合に、大学入試センターのほうから、実施の流れですとか留意事項、こういったものを説明させていただきまして、それを踏まえて試験場となる大学の関係者と、それから志願者と試験当日を想定しながら、具体的なやり方などを打合せさせていただいているというところでございます。また、打合せ以外でも、疑問点がある場合には大学入試センターのほうにお問合せをいただきまして、その都度、御相談に応じさせていただいているというところでございます。
 次のスライドでございますが、こちらのほうは、出願後の不慮の事故等による受験上の配慮ということで、受験上の配慮の申請は、共通テストの出願締切りと同時に締切りをさせていただいているんですけども、当然のことながら、志願者の中には、締切り後に、例えば交通事故に遭ったとか、あるいは病状が悪化したとか、そういうことがありうるところでございます。そういった方については、出願締切り後にも、受験上の配慮というのを受け付けていると。受付の期間については、これは今度の試験の締切りでございますけれども、1月10日まで受け付けさせていただいているというところでございます。
 出願締切り後の配慮申請者数は、昨年度の場合ですと、約500名の方が申請をしていただいているというところでございます。申請につきましては、先ほどの出願時の受験上の配慮と同様に、センター内の審査委員会で審査をして、決定させていただいているというところでございます。
 次のスライドをお願いします。合理的な配慮の主な取組というところでございますけども、大学入試センターは先ほども申し上げましたが、昭和54年の共通第1次から40年以上に渡って試験を実施しており、併せて、受験上の配慮も行ってまいりました。その配慮につきましては、毎年度、改善を行いまして、志願者の方が受験しやすい環境づくりに尽力をさせていただいているところでございます。
 その中で、障害を持った方が共通テストを公平に受験できるよう新たに許可する配慮事項を、先ほど申し上げました、配慮事項部会で審議、決定するとともに、毎年受験上の配慮案内という先ほどの冊子でございますけども、その内容を見直させていただきまして、特に今年度につきましては、これまでは点字解答ですとか、あるいは代筆解答、こういった主なものは記載させていただいておりましたけれども、そういった主な配慮事項に加えて、それ以外の配慮事項をその他の配慮事項一覧という形で、記載をさせていただきまして、例えば、照明の調節が可能な試験室での受験ですとか、あるいはインスリン注射器の持参使用、こういったそれ以外の主な配慮事項以外の項目についても、95項目にわたって、新たに配慮事項を掲載させていただきまして、志願者のアクセシビリティーの改善を図ってきたところでございます。
 また、年間を通して、志願者専用電話で個別相談に応じることですとか、あるいは配慮を申請する際に提出された申請書類につきまして、申請内容の確認を通じ、申請者が必要となる配慮事項を正しく反映させ、申請者が、受験に際して十分に力を発揮できるよう、努めているところでございます。
 最後になりますけれども、大学入試センターでは、志願者に受験しやすい環境づくりに尽力し続けておりますけれども、他方、先ほども御説明させていただきましたけども、配慮の申請者数、これが年々増加しているということ。それから、配慮の申請内容につきましても、かなり細分化されておりまして、職員の業務負担の増加が深刻化している状況でございます。
 大学入試センターといたしましても、担当職員の増員などで対応しているところでございますが、年々増加する配慮決定者数に、今後どのように対応するかということが大きな課題の一つとなってございます。
 以上、簡単ではございますから、私から共通テストにおける受験上の配慮の説明は以上でございます。
【竹田座長】  内田様、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、南谷委員から御説明いただき、その後に質疑応答に入らせていただきたいと思います。南谷委員、よろしくお願いいたします。
【南谷委員】  事務局のほうで、私のスライド、表紙をまず、映していただけると。ありがとうございます。大学入試センター研究開発部の南谷でございます。
 2枚目のスライドをお願いします。私のほうから補足のコメント的なことを申し上げさせていただこうかなと思います。どういう立場からお話ができるかと考えてみたんですが、大学入試センター、先ほど、内田事業部長のほうから、事業部の行っている事業についての説明がありました。
 私は、研究開発部という別の部門に所属しておりまして、この点で、言わばセンターの事業を間近で見ながら並走しているような立場になります。こういった点で、ちょっとまた別の切り口の知見が提供できるかと考えています。また、私、この検討会の委員を務めさせていただいておりますので、検討会の文脈を踏まえて、少し付け加えられればなと考えています。いずれにしろ、ここでお話しする内容というのは、私個人としてのコメントでございまして、センターの公式見解とは区別したものとして受け止めてください。
 それでは、次のスライドお願いします。まず、法的枠付けというような言い方をしてみました。大学入試センターは独立行政法人なので、―独立行政法人は、いずれもこういう形になるわけですが、―独立行政法人大学入試センター法という個別の法律に基づいて設置されている組織になります。法律の中で、センターの目的だとか業務の範囲というのが規定されておりまして、それに従って業務を行うということになります。
 これは、逆の言い方をすると、この範囲を踏み越えるようなことは、センターの業務としてはできないということになります。言うまでもなく、その業務の中核というのは、もう圧倒的にそれを占めているのは大学入学共通テストであり、受験上の配慮というのも、共通テストの実施の一部として行っていることになるものでございます。
 次のスライドをお願いします。次に、財政的な枠づけという言い方をしてみましたが、―これは、実は独立行政法人の中では例外的なのかもしれませんが、―大学入試センターは、運営費交付金をいただいておりません。収入は、受験者から受け取る、頂く検定料と、利用大学からの成績提供手数料ということになります。そのため、受験上の配慮というものの財源も、この収入から支出することになります。第1回の検討会で、白澤委員のほうから、PEPNet-Japanに関して、もともとはプロジェクト経費で実施したものだけど、これが運営費の一部として認められることによって、安定的な運営ができるようになったというような御説明がありましたが、配慮の実施に関しても、今後一層、充実、発展させていくということを考えた場合に、財源ということに関しては、若干不安が浮上することもあり得るのかなという懸念を抱いております。
 ただ、このような枠づけとか制約というような言い方をしていますが、後ろ向きなことばかり言っているように聞こえるかもしれませんが、財源に関しては、ひょっとしたら、これからもろもろ考えていく上でヒントになるかもしれないなと思うところもあります。つまり、来年度以降は、民間事業者に合理的配慮が義務づけられるというのは当然皆さん御存じだと思うんですが、そのときに、センターの現在の配慮実施というのは、自主財源で実施してきた配慮の実例として、こういう民間企業にも一定の参照基準とかヒントになるものを提供できるのかなと最近考えております。
 次のスライドお願いします。制約が多いと申し上げてきましたが、最後に、今年度、積極的に取り組んだ新たな試みを紹介しておきたいと思います。私が所属する研究開発部では、大学入試業務を中心的に担うような人材、これをアドミッションリーダーというような言い方をしたりしますが、アドミッションリーダーのための研修というのを、ここ何年か実施してきております。
 今年度は、研修のテーマに受験上の配慮を取り上げました。第1回の検討会でこんなこともやっていますと簡単にコメントさせていただいて、6月に2日間で実施しました。1日目は共通テストを中心にセンターで行っている受験上の配慮についての情報や知見の提供というのを行いまして、2日目には、外部の有識者に入試に限らない大学での試験実施であるとか、あるいは、障害のある学生への配慮に関する全般的なお話をいただき、対面参加者のためのグループワークなんかを盛り込んで、大変手応えのある研修になりました。実は、これには村田委員に大変御尽力いただき、御登壇もいただいたという背景もございます。
 これまでアドミッションリーダー研修というのは、ずっと有料での参加しか受け付けていなかったので、単純な比較はできないんですが、過去の研修が30名から50名程度の参加者数を推移してきたところで、今年度、今回はオンライン無料枠というのを設けましたところ、400名に近い参加者をいただきました。これは、有料、無料という違い、影響もあったのかもしれませんが、受験上の配慮の関心の高さというのを我々としても再認識させられるところで、こういった部分での情報発信というのが、センターとして一定の役割を果たせるかなと改めて感じているところです。
 アドミッションリーダー研修に関しては、ちょうど所内で報告書が完成しましたので、これは近いうちにウェブでも公開します。
 詳細に関してはそちらを御覧いただくということにしまして、私からの簡単なコメントを終えたいと思います。どうも、御清聴ありがとうございました。
【竹田座長】  南谷委員、ありがとうございました。
 それでは、ただいま、2人からの御説明に対しまして、委員の皆様から御質問等、ありますでしょうか。よろしくお願いいたします。川島委員、お願いいたします。
【川島委員】  ありがとうございます。内田さんと南谷さんに、それぞれ一つずつ質問をしたいと思います。
 まず、内田さん、ありがとうございました。私の質問なんですけれども、受験上の配慮申請をめぐってトラブルがあった事例があれば、プライバシーに抵触しない範囲で教えていただければ幸いです。関連して、裁判事例などがあったかどうか、もし差し支えなければお教えください。
 南谷さんに対しては、過重な負担のお話がありましたけれども、過重な負担であるかどうかを判断する1つの要素が金銭的負担の程度でございますが、特に金銭的負担の観点から、実際に過重な負担であると判断された事例があったら、その配慮の内容と金額を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【竹田座長】  それでは、内田様のほうからよろしくお願いいたします。
【独立行政法人大学入試センター事業部事業第一課長】  それでは、今の御質問でございますけども、まず、トラブルの件でございますけども、トラブルという、それ該当するのかどうかというのは、判然としないところがありますけど、当然、我々のほうとしては、配慮を、申請者からあった配慮事項に対して審査をするということをしておりますので、当然受験生側の思惑と我々の考え方と相違があるということがございまして、受験者が申請した配慮事項が、全て希望どおりになるかというと必ずしもそうではないということで、そういったことで受験者と何でそうなるのかというようなお問い合わせをいただくことは結構ございます。
 また、裁判ということでございますけども、そこまでいくようなものはないというところでございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは、南谷委員のほうからお願いいたします。
【南谷委員】  
金銭的な負担が重過ぎるということで、過重な負担に該当するような事例があるかどうかというような御質問かと理解しました。私が特に収入との兼ね合いで、金銭的負担が問題として意識せざるを得ない局面があるというような言い方をさせていただいたのは、将来ということを考えた場合の課題です。
センターでは点字問題冊子や拡大文字問題を「特別問題作成分科会」を設置して作成しております。今後、新たにこうした分科会設置を必要とするような配慮が浮上した場合に金銭的な負担が限界を超えることに個人的には不安を感じております。 つまり、内田のほうからも説明があったように、受験者数は現在、縮小傾向にある。その背景には、18歳人口の減少という大きな趨勢があるわけです。それを考えると、センターの収入が減っていくということを、これは、センター職員みんな、かなり、ある意味意識せざるを得ないものとして、日々考えています。
 その中で、配慮希望者というのが増えているというところがあって、そうすると、やはり収入に占める配慮に支出する金額、あるいは、金銭の問題に限らず、負担の上昇というのをかなり意識せざるを得ない局面が出てきているなと感じています。具体的に、金銭的な負担が重過ぎるので過重な負担としてお断りしたような事例というのは、私の把握する限りでは、明確にはございません。
 ただ、これは、内田のほうから補足をしたほうがいいかもしれないのですが、いかがでしょうか。
【独立行政法人大学入試センター事業部事業第一課長】  基本的に、金銭的な負担で配慮をお断りするというのはないです。これまで。
【南谷委員】  現状はないですが、先ほど申し上げたように、将来の状況というのはもうかなり流動的な部分があって、不安を禁じ得ないというのが私の今の認識でございます。以上になります。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは、続きまして、殿岡委員のほうからお願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。聞きにくいところがありましたら、再度、聞いていただければと思います。私のほうからは、普段、障害をもつ当事者から上がってきている疑問を中心に、まずは、内田様に、そして、補足があれば南谷委員にお答えいただければと思います。
 配慮が必要な申請内容や、配慮結果が各大学にどのように伝わるのか、あるいは、伝わらないのか、これに不安を持つ当事者もいらっしゃいます。ここをぜひ、いい機会なので、お答えいただければと思います。
 また、リスニング試験の免除が聴覚障害では行われていますが、免除した結果をどう評価するかは、現行、各大学に任されていると言われています。これについて、入試センターとして、あるべき方向があれば、お答えいただければと思います。
 それから、これも現行、無理なことは分かった上でお聞きするのですが、非常に障害が重い学生の中に、本試験と追試験を1日ずつ受けることで体調を維持したいという希望が出てきています。これは現行できないことは分かった上ですが、そのように厳しい環境の中で受験を目指している学生がいることを知っていただければと思います。
 そして、最後にこの配慮決定方法は現行、特別支援教育の専門家や医師等で組織する配慮事項部会において決定されると伺っているのですが、社会モデルの観点から言うと、この中に障害のある当事者の団体とか、いわゆる独法(独立行政法人)性の面で、対応要領を個別に持っているはずですが、対応要領の作成義務の中にある障害当事者、あるいは、障害当事者団体からの意見聴取という文言があるわけですが、そうした団体の者が配慮の決定過程の中に含まれてもおかしくはないというのが、この趣旨かなと思うわけですが、そのあたりについて、ぜひコメントいただければと思います。
 殿岡は以上です。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。それでは、内田様のほうから適宜、南谷委員も追加でお願いします。幾つかあったかと思います。
【南谷委員】  南谷でございますが、多分今、恐らく4点質問があったと思うんです。
 1つ目が大学に配慮の審査結果がどう伝わっているか、伝わってないのかという問題で、2つ目がリスニング免除の大学に一任されていることをどう考えるかという問題。3つ目が、本試と追試1日ずつ受験することで受験したいという希望があるという、これは御質問ではないのかもしれないとおっしゃっていたように理解していますが、そういう事実を伝えたいというお話。最後に4点目として、障害社会モデルの観点から、当事者団体が配慮決定に関する余地もあるんじゃないかという御指摘と理解したんですが、これを内田と私とそれぞれ、どちらに対する質問と理解すればいいか、もし御希望があれば、あらかじめ伺っておいてもいいと思うんですが、いかがでしょうか。
【殿岡委員】  殿岡です。基本的には内田様に中心的に答えていただいて、補足があれば、南谷委員に、よろしくお願いいたします。
 殿岡は以上です。
【独立行政法人大学入試センター事業部事業第一課長】  それでは、私のほうから、今、御質問のあった点について、お答えをさせていただきたいと思いますが、まず、1つ目が大学への情報の提供方法という御質問だったと思うんですが、これは当然、その御趣旨は、成績を提供する大学と理解しましたけれども、障害に関する情報というのはセンターから提供するということはしておりません。成績を提供する大学に対してセンターが、その方の障害に関する情報は提供しておりません。
 それから2つ目の御質問で、リスニング免除の場合の大学の取扱いでございますけども、センターとしては、当然、共通テストの役割分担というのがあらかじめ決まっておりまして、当然のことながらセンターがやれるのはここまで、大学がやるのはここまでという、その役割分担の中で、リスニング免除の扱いというのは、基本的には大学が取扱いについては決めていますけども、センターがそこまで言及するのは、センターの範囲外なのかなと考えております。ですから、免除という情報は、センターから大学のほうには行きますけども、その扱いについては、個々の大学のほうで御判断いただくものと考えております。
 それから、3つ目が、これは御要望ということだったかと思うんですが、本試験、追試験を1日ずつ受験というのは、その御趣旨は分かるのですけれども、今の制度からすると難しいかなと。ただ、今、体調が悪くて、本試験と追試験、1日ずつ受けるという方は、それはそれなりの数いらっしゃいますけども、本試験を1日受けて、もう1日受ける方が、そのときに体調が悪ければ、本試験1日は受験して、残りの1日は追試験でというのはありますけども、あらかじめ、本試験と追試験を1日ずつ受けるというようなことは、今は制度的にはないというところでございます。
 それから、4つ目が、受験上の配慮の決定過程に当事者の御意見をというようなお話だったかと思うんですが、今は直接、そういった方の御意見を伺うというのは、制度的に設けておりませんけれども、先ほどの説明の中でも触れさせていただいたとおり、配慮事項部会の決定においては、特別支援教育の専門家の方たちにもお入りいただいて、それにその状況をきちんと理解した方で議論をして決めさせていただいておりますので、ある程度、そういった方たちの御要望というのは、直接的ではありませんけども、間接的には反映されているのかなと考えております。
【竹田座長】  ありがとうございました。あと、村田委員と白澤委員から手が挙がっておりますが、時間の関係もありますので、簡単にコメントだけいただきまして、もし質問事項でしたら、それは後ほどメールのほうでいただくということで、一言ずつ、村田委員、白澤委員の順にコメントがもしいただければと思います。よろしくお願いします。
【村田委員】  村田です。ありがとうございます。それでは、端的に失礼いたします。
 第三次まとめをまとめていくに当たって、入試関係のことには、ぜひ言及をしていけたらと思っています。一方で、共通テストの場合は、今、御説明があったとおり、専門性のある方が判断に関わっているということでしたけれども、各大学における入試上の配慮の判断については、必ずしもそういった観点が盛り込まれていない可能性があり、その点が危惧されます。
 そうなってくると、人知れず妥当な判断がなされずに、大学のいわゆる2次試験等でも必要な配慮が実施されないというおそれもあるのかなと思っています。とりわけ入試というのはデリケートなものになるので、学内の連携等もどの程度できるかという課題はありますが、例えば、障害学生支援部署などの専門性のあるスタッフがどう関わるかとか、そういったことなども重要な要点かなと思いました。
 もう1点。これは質問なので、また追々、メールもしますが、今後、ICT機器の活用がどんどん出てくるのではないかなと予想しています。これには、GIGAスクール構想等の影響もあると思うのですが、このようなことについて共通テスト側として、どのような御見解、御認識があるかということを伺おうと思っていました。ありがとうございました。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは白澤委員お願いします。
【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。2点ございます。
 1点目は、先ほど殿岡委員からもあったリスニング免除の取扱いについてです。御回答いただいたとおり、リスニングの免除の点数の扱いについて、大学入試センターのほうで何か対応することは難しいとは思うんですけれども、大学によっては、免除された点数を0点として扱うといったような取扱いも以前はかなり見受けられたんです。おそらく、最近は減っていると信じたいですが、大学によっては障害学生支援の体制や支援に対する認識についても格差がある状況ですので、我々の見えないところで、そのような取扱いが行われている可能性もあるのではないかとは感じます。
 そういうことを考えますと、この免除の点数というのは、障害に基づく合理的配慮として公平性を保つために実施したものであって、この点数の結果についても公平な取扱いをお願いいたしますといったような、何かしら文言を添えた上でお伝えいただけると、大学のほうでも、より正しい方向に判断いただけるのではないかと思っております。
 それから、2点目については、御質問だったので、後ほどまた個別にやり取りさせていただければと思っておりますけれども、共通テストにおける手話通訳の手配について、以前南谷さんを通して、大学入試センター事業部の方にお伝えしたことがあったかと思います。内容としては、手話通訳の手配について、会場校にお願いをする際に、「原則として最寄りの特別支援学校の教諭等に依頼をしてください」といった文言が、依頼文の中に入っていると伺っております。
 現状、これがどのようになったのか、私の方で把握できておらず申し訳ないのですが、これについて、全国の特別支援学校からは、このような形で聾学校に依頼されてもというお声をよくいただいているんです。大学によっては、正式に手話通訳を依頼するとお金がかかってしまうので、聾学校の先生にお願いしたいと依頼がいくケースもあると伺っています。この点、改善が必要だと思っております。
 具体的なところについては、また、後ほど御連絡させていただければと思いますので、こういった問題があるということだけ御承知おきいただければと思います。以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、後ほどまたメール等で質疑応答、続けていただければと思います。
 それでは、次のヒアリングに移らせていただきます。島津委員より、よろしくお願いいたします。
【島津委員】  島津でございます。資料の共有をこちらからさせていただいてよろしいでしょうか。では、資料のほうを投影させていただきました。
 では、一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム、以降はACEというふうに呼称させていただきますが、そちらの団体のほうで活動しております、株式会社堀場製作所の島津です。よろしくお願いいたします。
 本日は、まず、ACEの、改めて簡単な御紹介を経て、今回、事務局のほうからリクエストいただいておりましたのが、障害学生の就職に関する取組ということで、ACEの活動の中での事例のほうを御紹介させていただきます。その後に、企業側の立場から大学における障害学生支援に期待することということでタイトルをいただいておりまして、こちらのほうについても、後ほど御紹介をさせていただきます。
 まず、これから、ACEの活動の内容であったりだとか、そこから企業からの提言ということを述べさせていただくのですが、はじめにということで、ACEというのが会員企業の有志活動であるというところが前提としてございまして、ACEの活動の内容は、それぞれの会員企業における、例えば採用活動であったり、雇用の仕方、定着支援、活躍推進活動等々のあくまで一側面であるというところを前提として、以降の話をお聞きいただければなと思います。
 何を申し上げたいかと言いますと、会員企業もそうですし、世の中一般的なお話も含めてというところで、障害者雇用の在り方そのものを、何か特定の内容に定義したりですとか限定するものではないというところだけ誤解なきようということで、お願いいたします。
 ACEに関しましてですが、立ち上げの経緯といたしましては、2010年から2014年にかけて、有志企業の経営層が集まりまして、天城アクセシビリティー会議というのを開催したところがスタートになっております。その中で、障害者雇用の在り方に関して議論が交わされまして、特に考え方としてフォーカスしていこうと意思共有しましたのが、企業の社会的責任、CSRの活動としての障害者雇用ではなく、競争力の強化というところに寄与する形での障害者雇用の考え方、モデル開発ができないかということで、後者、競争力の強化というところをフォーカスするエリアとして掲げておりまして、そうすることによって、誰もが能力を発揮することができるインクルーシブな社会の実現というところにつなげていこうというのが発端発想となっております。
 現在も掲げております、ACEの理念、活動目的として、まず、大きなところが企業の成長に資する新たな障害者雇用モデルを社会とともに確立するというところを掲げております。障害というダイバーシティーを生かした新たな価値の創造、企業風土の変革、そして、インクルーシブな社会の実現を目指し、企業の成長に資する新たな障害者雇用モデルの確立と、企業の求める人材の社会に対する発信を目的とするということで、活動の目的というところに置いておりまして、それを別の形で表現をしたのが、こちらのACE憲章ということで掲げております。
 少し読み上げも、せっかくなのでさせていただきますと、誰もがチャレンジできるインクルーシブな就労ということで、一番大きく掲げておりますのが企業の成長に、そして社会の発展に資する真にインクルーシブな環境を実現するため、私たちはダイバーシティーを尊重し、新しい障害者雇用モデルを提唱しますということを掲げております。
 中身は、3つございまして、障害のある社員が制約を機会に変え、イノベーションを創出する支援をします、雇用に関わる全ての人の意識を変革し、障害のある社員の本質的な労働統合を目指します、障害のある社員の個が持つ強みを生かし、自らの意思で挑戦できる環境を構築しますというふうにございます。
 現在、会員企業としては、こちらのスライドにあります39社連ねておりまして、全部読み上げまではいたしませんが、比較的いわゆる大手企業と言われるところ、上場企業を中心に、社会的にも影響力のある企業が名前を連ねているというところを知っていただければなと思います。
 ここからは具体的な活動というところに入っていきまして、事業活動として図示もさせていただいておるんですが、大きく分けて2つの機能がございます。それを部会というふうに組織としては持っておりまして、1つが企業キャリア創出部会、もう一つが学との連携部会、前者、企業キャリア創出部会に関しましては、主に会員企業の中での障害のある社員のロールモデルの創出であったりだとか、あとは職場環境、当事者を含め、キャリアの意識改革、雇用環境というところをどういうふうに改善推進をしていくかといったところを、お互いに知見であったり、課題というのを持ち寄ってシェアしていくことで、よりよいものを見いだしていこうというような企業の中での活動というところです。
 今日、後ほどのスライドでも重点的に御紹介をさせていただきますのが、学との連携部会の活動になっておりまして、こちらのほうは、まさに名前にありますとおり、大学、教育機関との連携を密にしていくことによって、例えば障害のある学生の就労というところに、いかに企業として、そのプロセスに寄与することができるかであったりですとか、あとは企業と大学というところがコミュニケーションをすることによって、いかにスムーズに、かつ学生がよりよい就職活動、就職、その先ということができるかというのを考えていくことを活動に置いております。後ほど、ここは詳しく御説明をさせていただきます。
 その2つの部会の活動を通じて、活動を世の中に広く知らしめて、影響を与えていくということで、広報であったりだとか政策紹介活動というところにも力を入れておりまして、特に、例えば、各会員企業、その他企業の経営層へのアプローチであったりだとか、あとは、省庁であったり自治体であったりだとか、そういった社会そのものへのアクションというところも積極的に行っているところです。
 ここからのスライドは、それぞれの活動について簡単に御紹介をさせていただきまして、まずはACE全体の活動についてです。こちらに関して、まず、スライドに出ておりますのが定例会というところになります。ACEの定例会は、2か月に1回会員企業が集まりまして、ACEの活動についてであったりですとか、あとは、それぞれの企業での課題感を含め、そこについての議論、勉強会、情報交換等々を実施している活動です。
 イベントものといたしましては、ACE全体の活動の中で一つ大きなものに、ACEフォーラムという年に1回、およそ12月頃に毎年開催をしているイベントがございます。こちら、主なところは、ACEの1年の活動報告というところを世の中に対して行う。あわせて、柱の1つとして置いているのが活躍モデル表彰というところになりまして、後ほど御説明させていただきます、ACEアワードという形の形式をとって活躍モデルの表彰を行っております。あわせて、会ごとに基調講演ということで、例えば障害のある当事者で、社会で御活躍をされている象徴的な方をお呼びして御講演をいただいたり、こういった障害者雇用の推進に関わる有識者の方をお招きして講演をいただいたりということを行っております。
 その中で、今申し上げたACEアワード、表彰活躍事例紹介、表彰というところに関しましては、ACEフォーラムの場において、活躍モデルを障害のある当事者の事例もそうですし、その当事者を含む組織としてのアクションというところの事例も含めて事例紹介を実施しておりまして、この辺りはACEのホームページにも、毎年の受賞された方々の御紹介であったりですとか、事例の内容の御説明というところがございますので、また、ぜひ御参照いただければと思います。
 本日の本題の1つである学との連携部会、大学、教育機関と連携しての活動のところについて、御説明させていただきます。学との連携部会というところの運営にも私、直接関わっておる立場でして、ミッションとバリューというところでは、大学と企業間の人材パイプラインを構築し、大学との協働を通じて障害者、大学生を企業で活躍する人材に啓発、育成をしていくということで、大学とACE、そして、学生本人が密に連携をしていく体制をつくっていって、活動していこうというのが部会の趣旨になっております。
 具体的な活動といたしまして、幾つかの側面があるんですけれども、一番大きな柱として置いておりますのが、今年も実施をしましたACEのキャリアセミナーというイベントと、並行して行われる企業別相談会、いわゆるインターンシップに近いような形のイベントです。こちら立てつけは図のとおりとなっておりまして、会全体のテーマとしては、自身の強みを生かすというところがテーマになっております。それに伴う形で自身の強みを把握してもらうためのアセスメントツールというのも利用して、その後、キャリアセミナーというセミナーに、エントリーをいただいた学生が参加をいただく、その中では特に自分の強みを仕事にどう生かしていくかというところに関しての企業側から見たときの解説であったりですとか、あとは仕事というのがどういったものか、企業にとっての障害者雇用がどういったものなのか、そういったところを学生向けに企業の立場から講義をさせていただいております。
キャリアセミナーの1つの目玉としては、先輩社員との接点というところがありまして、会員企業それぞれから障害のある当事者、できるだけ様々な障害の種別の社員というところを各企業からイベントに出席をいただきまして、実際に働いている事例のスピーチ、並びに、実際のところ、運営としては参加の学生と比較的障害の種別が近しいような先輩社員との座談会というようなものを企画しまして、実際に働いていく中で、どういった課題があるかというところを相談していったりですとか、というところです。この後、スライドでも触れさせていただきます。
 企業別のオリジナルプログラム、相談会というところは、こちらも後ほどスライドを出させていただくのですが、キャリアセミナーで、全体でそういった講義、座談会を行った後に、各企業でのコンテンツにそのまま進んでいって、社会との接点というところを持っていく。あわせて、並行していくコンテンツとして、こちらは学生向けではなく大学の支援者の方であったりですとか教職員の方々向けのものなんですが、学との連携部会の懇談会というのを実施しておりまして、こちらは、ACEの会員企業と各大学の教職員、支援者が交えて座談会を行うようなイベントとなっております。
 それぞれの活動について、少しスライドもお見せをさせていただきます。こちらはキャリアセミナーでして、かつてはリアル、対面開催というところを実施しておりましたが、コロナ以降はオンラインが主流となっております。ストレングスファインダーという外部のアセスメントツールを利用して企業の就労において、どのように自分の強みを生かすという発想で、ポジティブな就職活動ができるかどうか、あとは企業の実際の採用活動であったりですとか、就労そのものについて、どういった心構えをしてほしいというような内容の講義を行っております。その後、後ほど申し上げていた先輩社員とのセッションに進んでおりまして、自分を内政的に自己理解を進めていくという部分と、実際に当事者の社員がどのようにして働いていて、どういうふうに課題を乗り越えているのかという生の情報に触れていただく機会を設けております。
 続きまして、こちらが企業別に行われるオリジナルプログラム、相談会、インターンシップ等々の取組でして、主な実施地域としては、学生が一番課外活動にスムーズに参加していただける夏季休暇の期間を利用して実施をしております。大きく分けて、コロナ以降、こういった形になっているんですけれども、ウェブ参加型の比較的ライトなコンテンツから、企業に訪問して、実際に企業に通勤をしながら体験していくようなプログラムというところ、これは企業によってかなり、半日ものもあれば、弊社であれば、例えば3日間集中して行うというようなものをやっておりますし、コンテンツを提供しております。
 そちらのところでは、参加企業が今、会員企業の中で15社がこのプログラムを実施しておりまして、プログラム数としては23個、大学としては、今年の場合は23校の大学からエントリーをいただきまして、実数として42名、延べ参加数として170名の学生がそれぞれの会社のコンテンツに参加をいただいております。
 合わせて、大学教職員支援者向けのコンテンツとして御紹介をしておりました、学との連携部会、懇談会というのがこちらになります。各大学の関係者とACE会員が集まってコミュニケーションの場をつくっていこうというのを行っておりまして、不定期ではあるんですが、ここ3年、4年ほどの活動となっております。各回、10名から20名程度の大学関係者の皆様とACE会員企業が参加をしまして、回によっては特定のテーマを設けたりあったりだとか、あとは特定の大学の取組の御紹介、かつては村田委員にも京都大学での取組の御紹介ということで御参加いただいたこともございまして、ディスカッションであったりだとか勉強会、情報共有を行っていく。特に本音ベースでのどういった課題感があって、企業のどういったところを知りたくてであったりですとか、かなりいい意味で砕けたコミュニケーションをできる場として、参加者には好評もいただいておりまして、こちらも継続しての取組として続けていきたいなと考えております。
 ここからが3つ目のテーマとして、企業側の立場から大学における障害学生支援に期待することということでお話をさせていただきます。こちらの内容を少ししたためさせていただくに当たって、先ほどの懇談会での大学の皆様とのコミュニケーションの内容というのは大いに反映をさせていただいておりまして、あくまで企業側から本当に率直な意見としてお聞きいただければなと思います。
 まず、1つ目が読み上げをさせていただくんですけれども、地域の企業や支援機関と連携して、学生に対する実践的な社会移行準備機会を創出する。並びに、企業での就労に関しての情報を収集、整理していくことをぜひ期待したいなと考えておりまして、どういったことかといいますと、どんな就業の形態とか業務の内容であったりですとか、合理的配慮の事例があるかという、比較的実践的な情報です。これを、大学を通じて学生が得る手段というところを、企業を含めた様々な社会資源、各プラットフォームと協力して、大学内ももちろんですけれども、大学の外も含めてつくっていってほしいというところが一つです。
 続きまして、もう一つ挙げさせていただきますのが、就労に向けた準備、サポート体制の強化というところを挙げさせていただいております。こちらに関して、具体的な要素で申し上げますと、障害についてというと、もちろん最初、序盤のほうは重要なプロセスといったところ、その先に開示の有無といったところの選択のサポートといったところは、特にこの辺りが済んだ状態で、就労企業との接点に臨んでいただけることが、企業側の立場としては望ましいところかなというところが率直なところです。
 もう一つが合理的配慮の説明スキルというところで、これは私もふだんの仕事は一企業の採用担当として仕事をしておりまして、散見される事例としては、何々ができないですといったことは、仕事から外してください、苦手ですというようなことを列挙してしまうような形というところは、今の状況でも見受けられるところでして、これをぜひ、どういった特性があって、どういった工夫をすればこういったことができるというような、大学、学生生活、並びに各課外活動での経験ベースで、こういったまとめ方をしていただけるといいかなと思っております。
 合わせて、合理的配慮ばかりに終始をするのではなくて、学生の希望とか、先ほどのセミナーの趣旨でもある特性、強みをいかに言語化して、何にチャレンジしたいかというポジティブな目線での学生の進路選択というところ、それを企業に学生が伝えられるというところもぜひ、特に新卒採用の文脈では、こういったところが重要な採用選考の要素にもなってきますので、お願いできればなと考えております。
 その辺り整理していただいた情報というところを、学生が持込みをいただければ、企業というのは、それを業務のアサインメントであったりですとか、あとは企業の中での合理的配慮というところの在り方の検討に活用していくという次第です。
 続きまして、もう一つ挙げさせていただいているのが、様々な就業形態の選択肢、いわゆる企業の中でのいろいろな就業の形、バリエーションがございますので、そちらについての理解促進というところも、こちらは企業と協力をさせていただいてという形になると思うんですけれども、ぜひこの辺りの情報については着目をいただければなと考えております。
 一般的な就業の形態として列挙させていただいているのが、例えば一般的な職場へのインクルージョンという形であったりですとか、あとは、企業によっては間接部門の中で一つ、ダイバーシティー推進部署として集約しているようなケースもありますし、もちろん特例子会社というような形の形態の法人を持っている会社もございます。あとは、選択肢の1つとして、文脈とは逸れてしまうかもしれないんですが、福祉的な就業というところも選択肢の1つとして上がるかなというところで、あとは、障害者雇用枠かどうかというお話であったりですとか、雇用形態、いわゆる正社員としての雇用なのか、それから期間職員としての雇用なのか、この辺りは座談会、先ほどの懇談会においても、大学で支援現場に立たれている方々からすると分からないというところが率直なところで、というところはよくいただきまして、いわゆる総合職という言葉に象徴される新卒の一括採用、マジョリティーの部分とは全然違う世界、バリエーションがあって、それが当たり前ですというところが前提にありますので、この辺りの情報の流通というのは、やはりかなり企業個々の事情というところに左右されていきますので、個別的な情報の流通手段をつくっていくというところが重要なのではないかと考えております。
 こちらは最後のページになります。ほかに挙げさせていただいているのが、支援事業所や各支援機関との連携を強化していただきたいというところも率直な意見として持っております。地域の企業の情報というのは地域の企業そのものが持っているのはもちろんなんですけれども、地域の事業所というところが一番、企業の、実際の就業形態であったりですとか、どんなお仕事か、中身というところの情報は持っているのではないかなと考えております。
 もう一つ挙げさせていただいているのが、学生の修学から就労までの一貫しての相談先であったりですとかシームレスな情報連携、ここもお願いできればと考えて、期待しているところとして挙げさせていただいております。
 大学全体で修学の支援だけではなく、その先の就労に向けての支援ということにシームレスにつながることが望ましいと企業の立場から考えております。特に、修学時における合理的配慮やサポートのノウハウ、どういった形の支援を受けて、どういった課題をクリアしていったかというところは、そのまま企業の就労にも大いに生かせるところでして、ここの情報の流通であったり連携というところは、私の生の感覚としても、まだまだこれからかなというところがありまして、ぜひ注目していきたい領域です。
 総括的な話にはなりますが、最後に障害のある学生が学内の支援や外部のACE、我々のような団体も含む支援というところに広くつながって、実際の社会移行の前に支援の手ができるだけ多くなっている状態というところをつくることが望ましいと考えております。
 駆け足になりましたが、私が用意させていただいたスライドは以上となります。御清聴ありがとうございました。
【竹田座長】  島津委員、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、委員の皆様から御質問等ありましたら、よろしくお願いします。大学の支援体制を考えていく上でも非常に示唆に富むお話、最後のシームレスな支援体制というものは非常に重要なのかなというあたりが、非常に印象に残りましたが、いかがでしょうか。村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  村田です。ありがとうございます。私からはコメントを1つと、あとは質問を1つと考えております。
 まず、最後のスライドにあった地域資源との連携というところです。これは私自身も非常に重要だと思っております。一方で、大学でどの程度、障害のある学生にいわゆるキャリアの部分について取組ができているかというと、皆さんも御存じだと思いますが、障害者基本計画の指標でも示されているとおり、あまり支援がなされていない、取組をなされていない実態が見受けられます。もちろん大学という場所の性質上、まずは修学支援となるのは当然のことなので、二の次というか、その後に課題が来るのだろうと思っていますが、実態としては、個々の大学等ではあまり取組が行われていないというのが現状です。
 そういう意味では、地域資源との連携というのはさらにステップが大きくなるという印象を持たれる可能性がありますが、むしろ、だからこそ地域資源と連携していくというような視点は必要なんだと思います。個々の大学だけではなくて、同じ地域の大学間のネットワークであるとか、また、地域の資源というと、今だと例えば就労移行支援などがクローズアップされるんですけども、実はそれ以外でも在学中から地域資源とつながっていけるようなケースはあるわけで、そのような情報を集約しながら、多くの高等教育機関とシェアしていくような取り組みも必要なのかなと思っていました。
 次に質問というより、島津さんの個人的な見解を聞くような部分にもなるのかなと思いますが、実際にACEとしての活動、あるいは1企業としての活動を通して、いろいろな大学等と連携があると思います。そのときに、企業から見たときの大学の姿として、例えば支援部署と言われるところと、キャリア部署というところが、どんなふうに連携ができているのか、あるいは、そこに何か課題を感じるような点があるのか、このような点について、各大学によってもちろん違いがあると思うのですが、何かお感じになっていることがあれば、教えていただきたいと思いました。よろしくお願いいたします。
【島津委員】  村田先生、ありがとうございます。まず、御質問いただいたところに関して、見解ということで述べさせていただきます。
 やはり、ここは先ほど申し上げておりました、学との連携部会の懇談会でも、よく大学の皆様から率直な、大学の中での課題として出やすいところになりまして、支援部署そのキャリア部署というところで、まず、そこの連携がとれていないという話はよくお聞きをするところで、ここに関して、私が再度述べさせていただくとすると、そこで落ちている情報というのが企業はすごく欲しくて、実際の採用であったりですとか、その先の就労というところで、先ほど申し上げていた修学時の支援の内容というのは、もう本当にかなり有効な情報になりますので、そこの情報が落ちずにシームレスにつながってほしい、そういうことを大学の皆様に申し上げると、いや本当にそのとおりでというようなお話をよくいただきます。
 併せて、もう一つの課題感として持っているところで言うと、もともとの大学の中で大学に障害があることを申告していなかったりですとか、そもそも支援というところに修学のタイミングからアクセスしできていない学生が恐らくたくさんいて、潜在的な数に関して言うと、把握もできていないというお話はよくお聞きするところです。ここに関して言うと、ここでの議論の内容としてふさわしいのかどうかは、迷いながらお話はするんですが、やはりそういった学生が企業で働いてからもっと大きな壁に当たっていくというところは予想されるところでして、そこの大学の中で、いかにそういった学生が、アクセスがよりしてもらえるかどうか、そこの網羅率を上げていくかどうかというところには、課題が一つ大きいのがあるんじゃないかなと思っておりまして、ここに関しては、大学の皆様には、支援体制を考えるときに御考慮いただきたいところです。
 もう一つ、コメントとして追加を述べさせていただくと、村田先生が先ほど、前半のところで社会資源との連携というところにコメントいただきまして、ここについても少し私見にはなるのですが述べさせていただきますと、いわゆる障害者ではない、健常者と言われる学生の就職活動においても、特にここに関しては、大学のキャリアセンターという機能があるんですが、主には民間の企業であったりだとか、地域、全国横断も含めて、そういった部分の、いわゆるこれはビジネス化しているサービスであったりだとか、そういったところを学生は活用しながら、次のステップに進んでいくというのは今、世の中のスタンダードになっておりまして、こういった考え方は、一部は障害学生支援の分野においても、見るべきかなというのが私見でございます。そういった民間地域というところの活動しているところに、いかに学生が企業の情報を得たりですとか、よりよい進路選択をしていくというところの情報を得ていくという手段では、もっと自然に民間、地域を問わずといったところの様々な機関、情報のリソースにアクセスをしていくというところは望ましいところかなとは考えております。
【竹田座長】  ありがとうございました。時間の関係もありまして、神藤委員、お手が挙がっていますが、もしコメントだけでよろしければ、質疑応答は、また後ほどメールのほうでいただきたいと思いますが、もしコメントだけでよろしければお願いいたします。
【神藤委員】  分かりました。関西大学の神藤です。今日はお話ありがとうございました。
 本学では、ACEさんともお付き合いがあって、参加させていただいたりしたこともあるんですけれども、関関同立といった同規模私立大学では、障害学生に対する就労支援も行われております。本学のほうでもキャリアセンターにも障害学生支援担当者が置かれているので、ACEさんと連携させていただいているんですが、就職活動に当たって、障害学生じゃなくても、今、いろいろな学生さんがそこでつまずいて、いろいろな障害までいかなくても、特性を持っているということが出てくるので、もう少し広報のときに、障害学生というのを前面に出さずに、学生支援の中で取り組んでいくんだみたいなことができていくと、ACEさんの取組がもう少し広がっていくのかなと思います。
コメントだけでさせていただきます。
【竹田座長】  ありがとうございました。対象者の問題は、実は非常に大きなテーマかもしれないと思いながら、多様性という観点からは、グレーゾーンの学生も非常に増えていますし、大事な点を御指摘いただいたかと思います。まだまだ委員の先生方、御意見、御質問等あるかと思いますが、時間の関係で、本日のヒアリングのテーマは一旦ここで区切らせていただきたいと思います。追加の御意見、御質問等ありましたら、メールで事務局まで御連絡いただければと思います。
 本日のテーマにつきましては、三次まとめの作成過程の中で改めて議論をすることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次の議事に入らせていただきます。日本学生支援機構より、資料4の説明をお願いいたします。
【独立行政法人日本学生支援機構】  日本学生支援機構学生生活部の竹林でございます。
 私ども日本学生支援機構では、平成17年度から、大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査を行って、その結果を公表しています。調査対象は国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校で、主な調査項目は、障害のある学生の在籍状況、入学者選抜の状況、卒業後の進路のほか、大学等における障害学生支援に関する体制等でございます。
 先月30日に、令和4年度の調査結果を取りまとめて公表しましたので、本日、この場をお借りして、その概要を報告したいと思います。この実態調査は、全国の国公私立の大学を対象とする悉皆調査で、毎年、5月1日現在の障害学生の在籍状況等を調査しています。
 令和4年度において、大学等に在籍する障害学生数は4万9,672人でした。また、支援障害学生数、つまり、障害学生のうち大学等から支援を受けている学生は2万7,121人でした。いずれも昨年度と比べて、障害学生数は8,928人、支援障害学生数は5,354人増加しています。過去5年間の推移を見ますと、いずれも増加する傾向にあります。障害学生に占める支援障害学生の割合を表す障害学生支援率は大体50%前後で推移しながら、上昇する傾向にあります。
 次に、障害学生数と支援障害学生数を設置者別に見てみますと、前年度からの伸び率は、国立が14.3%、公立が16.9%、私立が24.9%で、国公立と比較して私立の伸び率が大きくなっています。また、支援障害学生数の伸び率につきましても、国立が17.3%、公立が15.6%、私立が28%で、同じように私立の伸び率が大変大きくなっています。
 続きまして、障害学生数を障害種別で見てみますと、多い順に精神障害の1万5,787人、病弱・虚弱の1万3,529人、発達障害の1万288人となっています。全体に占める精神障害の割合が31.8%、発達障害の割合が20.7%、精神障害と発達障害を合わせた障害学生数の割合は50%以上です。支援障害学生数も障害種で見ますと、精神障害の1万222人、発達障害の7,164人、病弱・虚弱の4,191人になっていまして、精神障害と発達障害を合わせた支援障害学生の割合は60%以上になっています。障害種別の多い順番については、ここ過去5年間、特段の変化はございません。
 以上が障害学生数と支援障害学生数の在籍状況でございます。続きまして、各大学等における障害学生支援の取組状況に関する項目でございます。大学等における障害学生に対する支援の内容につきまして、各大学等から回答のあったものを見てみますと、授業に関する支援として最も多いのが「教室内座席配慮」でした。これに続きまして、「配慮依頼文書の配付」、「出席に関する配慮」、「授業内容の代替、提出期限延長等」、「講義に関する配慮」が多かったです。授業以外の支援については、表2-1-2にあるような様々な支援が行われています。「学生生活支援」、「社会的スキル指導」、「保健管理・生活支援」、「進路・就職指導」といった各種の支援が挙がってきています。
 次に、障害学生支援に関する体制等でございます。まず、「支援の申し出等に関する対応手順」を定めた大学等の増加が今年度は目立っています。また、「障害者差別解消法に関する対応要領等」がある大学や、「障害学生の相談受付窓口」を設ける大学等の増加が見られました。「障害学生支援の担当部署の設置状況」と「障害学生支援の担当者の配置状況」につきまして、令和4年度では、それぞれ専門部署・機関を設置している大学等や、専任の支援担当者を配置している大学等が増加していました。
 次に、障害学生支援に関する活動や取組実施状況についてです。こちらを内容別で見ますと、「障害学生に対する就職支援やキャリア教育支援」、「支援情報の公開」、「不当な差別的取扱いや、障害を理由とするハラスメントを防止するための取組」に取り組んでいる学校が多くなっています。これらに続きまして、「社会的障壁について理解し、合理的配慮の提供を推進するための取組」に取り組んでいるところも多く、障害者差別解消法の対応が着実に進んでいることが分かります。
 次に、障害のある生徒の受入れに関する配慮及び入学者数等でございます。障害のある学生に係る大学入学者選抜の状況についてです。令和4年度大学入学者選抜において障害のある受験者数は8,229人で、合格者数は5,248人でした。これを障害種別で見ますと、視覚障害の受験者数が220人、合格者数が134人。聴覚・言語障害の受験者数が1,011人、合格者数が538人、肢体不自由の受験者数が483人、合格者が329人、病弱・虚弱の受験者数が1,745人、合格者数が1,261人。発達障害の受験者数が1,105人、合格者数が792人、精神障害の受験者数が1,928人、合格者数が1,237人となっています。
 令和4年の大学入学者選抜において受験者と合格者のうち、受験上の配慮を実施した者の数は、それぞれ5,147人、合格者が2,324人となっています。受験上の配慮を実施した大学受験者数を障害種別で見てみますと、精神障害や聴覚・言語障害が比較的多くなっていますが、大学受験者に占める割合から見ますと、視覚障害や聴覚・言語障害などが比較的高くなっています。
 最後に、障害学生の卒業後の進路でございます。大学等における障害学生の就職の状況について、障害学生の就職希望者数は全体で4,848人、就職者数は全体で3,834人でした。就職率は79.1%で、前年度比で7.3ポイント増となっています。障害種別で見ても、全体的に今年度は、令和3年度と比べて就職率が上昇しているという傾向があります。
 以上でございます。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明に対して御質問等ありますでしょうか。南谷委員お願いいたします。
【南谷委員】  南谷でございます。とても貴重な資料、これ毎年、御提供いただいていますが、今年度もとても我々が物事を考えていく上で非常に頼りになる資料をありがとうございました。
 基本的なことの確認で心苦しいんですが、障害種別ごとの大学合格者数と受験者数を示していただきましたが、この人数というのは、いずれも延べ人数という理解でよろしいでしょうか。
【独立行政法人日本学生支援機構】  図5-1のグラフは大学を表していますが、その中で、実際に受験した数でございます。延べ人数ではございません。大学からそれぞれ回答があった数でございます。
※会議終了後、日本学生支援機構で確認したところ、図5-1の受験者数と合格者数はいずれも延べ数である。
【南谷委員】  複数の大学を併願しているような受験生というのは多分、それなりの数、存在すると思うのですが、そうすると、合格者数というのは、1人が複数の大学に合格しているという事例も多分に含むんじゃないかなと思うんですが、そのような認識でよろしいですか。
【独立行政法人日本学生支援機構】  それはございます。あくまで、大学等で受験の申込みがあって合格を出したという数で上がってきているので、1人の学生が複数の大学等を受験した場合も当然入っていると思います。
【南谷委員】  分かりました。ここから簡単にコメント的なことを申し上げてしまうんですが、この情報って非常に重要だと私、考えております。何が重要かというと、私が入試研究とか、特に障害のある児童生徒の大学進学というものをいろいろと見ている上で、最近強く感じているのは、幾つかの障害種別では、障害のある児童生徒の間で大学進学の大衆化時代に入ったなという印象を強く受けています。これは、現状、印象レベルのところがあるので、もう少しこういうのを数値でちゃんと裏づけた形で考えて、示していくということは、今後、我々が、この問題をより包括的というか、体系的に取り組む上でとても大切だと思っているので、このような調査を引き続きお願いしたいと。
 あわせて、これはある意味、事務局ないし文科省サイドへの御相談というか、お願い事項になるのかもしれませんが、障害のある高校生の大学進学率が分かるような統計調査というものを実施していただくということを検討いただければ、これがないと大学進学率というのを正確には算出できないので、そういった部分の調査にも目配りいただけるとありがたいということを申し添えて、終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは、時間の関係もありまして、殿岡委員、もしコメントだけでよろしければお願いします。そして、質問はメールのほうでいただければと思いますが、よろしいでしょうか。もしそれでよろしければ、コメントをお願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。先ほど、入試センターへの質問ともかぶるんですが、南谷さんの質問にも関連するんですが、大学入試センター試験を利用して私立大学に出願した場合というのは、障害としては伝わらないということだったので、その場合の合格者には、入試センターで配慮を受けたとしても、こちらの学生支援機構の調査には反映がないということでよろしいかどうかということと、あと、もう一つは、7番目のスライドで、対応要領、または基本方針がある学校が75.5%ということで、かなり高いと思うんですが、これは私立学校も含めて、既に75.5%、規程があるということでよろしいか。ここは多分、3次まとめの義務化にしたということで、非常に大きいと思うので、発言したいと思いました。お答えはメール等でも構いません。
 殿岡は以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは、お答えのほうは、後ほど委員のほうに学生支援機構様のほうからお答えいただくということで、特に2番目の対応要領等の頻度等はとても重要な御指摘かなと思いますので、改めてよろしくお願いいたします。
【独立行政法人日本学生支援機構】  承知いたしました。
【竹田座長】  それでは、続きまして、事務局学生支援課より資料5の説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  学生支援課です。それでは、資料5を御覧ください。
 資料の2ページ目になりますけれども、文部科学省では、令和2年度から障害のある学生の就学・就職支援促進事業を立ち上げて、先進的な取組や知見を持つ複数の大学等が中心となって、各大学等が参画できるプラットフォームを形成し、組織的なアプローチによって高等教育機関全体の障害学生支援を促進する取組を行ってまいりました。
 こちらが令和5年度をもって事業期間が終了するということにはなっておりますが、2ページ目の背景の説明にもございますとおり、障害学生数の増加、特に精神障害、発達障害の増加が顕著であるということ、それから、来年4月には私立大学を含む全ての大学において、合理的配慮の提供が法的義務となること、そういった中で、適切な支援体制の構築というのは、引き続き求められております。
 一方で障害学生支援に関する専門的知識やノウハウを有する人材はまだまだ不足しているということや、障害学生支援に関し、大学間でまだ格差があるということ、それから各大学で単独で取り組むにはやはり限界があることに加え、検討会においても、プラットフォームの機能拡充の必要性を御指摘いただいているところでございます。特に研修機能の充実や相談機能の充実、連携のさらなる推進、大学間の格差是正、拠点数の拡充などの御意見をいただいたところです。
 そういったことを踏まえまして、資料1ページ目になりますが、障害のある学生の就学・就職支援促進事業ということで、来年度概算要求しております。真ん中に事業内容がございますが、事業実施期間は令和6年度から令和10年度までの5年間を予定しておりまして、拠点は4拠点、1拠点につき2,500万円で1億円という要求内容となっております。これまで東大、京大が取り組んできたプラットフォームをより充実させるといった趣旨で、要求のほうを行っております。
 駆け足となりましたが、説明は以上でございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 ただいまの資料5に対する御説明に対しまして、御質問等ありましたらお願いいたします。白澤委員、お願いいたします。
【白澤委員】  白澤です。以前の会議でもお伝えした内容で、繰り返しになってとても意地悪っぽいんですけれども、今回の申請は、とてもありがたいことですし、ぜひ各地域にこういった拠点が増えていってほしいと思うんですけれども、拠点の安定的運用というところもすごく大事な部分だと思うんです。
 そういう意味で、この拠点の一般経費化ですとか、何らかの形で、継続的に運用可能なインフラとして、拠点を位置づけていくことについてもぜひお考えていただきたいなと思っています。この点、もし今の時点で、方向性などお考えがありましたら教えていただければと思いますし、ないようでしたら、ぜひ今後の検討事項に入れていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【小栗補佐】  ありがとうございます。まずは、来年度の拠点の事業経費を確実に確保していくといったところで頑張っていきたいと思っております。御指摘も受け止めつつ、今後、引き続き頑張ってまいりたいと思います。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、また、この件に関しましても、追加の御質問等ありましたらメールでお願いいたします。
 それでは、続きまして、事務局、特別支援教育課より、資料6の御説明をお願いいたします。
【河﨑補佐】  本日、初中局の特別支援教育課より参加させていただいております河﨑と申します。よろしくお願いいたします。
 御案内のとおりかと思いますけれども、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が令和4年4月1日施行で改正されまして、その中には、これまでの行政機関のみならず、事業者においても合理的配慮が義務化されるということが規定されております。
 これを受けまして、法律の中に主務大臣は基本方針に即して、事業者が適切に対応するために必要な指針を定めるものとするとされておりますので、文科省が所管する分野につきましても、事業者のための対応指針を現在、改正作業している最中でございまして、これについて、御説明させていただければと思います。
 今、申し上げましたように、この対応指針は、文科省が所管する分野において、事業者の方々に適切に対応していただくための必要な事項を定めた告示になっておりまして、今回、改正案のポイントとしましては、趣旨のところでは、今回の障害者差別解消法の改正法などに関して追記しております。
 また、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方というところにおきましては、改めて事業者による合理的配慮の義務化であったり、合理的配慮と環境の整備との関係などに関して、追記をしているところです。
 また、関係事業者における相談体制の整備というところにおきましては、基本方針や内閣府の対応方針の修正に即しまして、相談対応の担当者をあらかじめ定めるなどの組織的な対応について追記しております。
 また、関係事業者における研修、啓発というところにおきましては、事業者の内部規制であるとかマニュアル中の点検などに関しても追記しておりまして、また、文科省内の相談窓口に関しても更新しております。
 また、対応指針には別紙という形で、これまでから不当な差別的取扱い合理的配慮等の具体例というところが記載されておりましたけれども、今回の改正におきまして、特に合理的配慮に関して、幾つか新設の項目を設けておりまして、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例ですとか、逆に提供義務に反しないと考えられる例ですとか、そういったことに関しても記載をしておりまして、ここには入学試験における例なども記載させていただいております。
 それで、今、改正作業中と申し上げましたけれども、まさに本日からe-Govのパブリックコメントサイトにて、この対応指針に関するパブリックコメントを受け付けておりますので、今日から1か月ということで、10月14日までになりますけれども、よろしければこちら御覧いただいて、コメントありましたらぜひ、お送りいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上になります。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明に対しまして、委員の皆様から御質問等ありましたらよろしくお願いいたします。村田委員、お願いします。
【村田委員】  御説明ありがとうございます。村田です。
 参考までにお尋ねしたいのは、リリースの時期です。例えば、年内というような見通しなのか、年はまたいでしまうのかなど、あまり具体的なことはまだ決まっていないというのは重々承知の上なんですけれども、おそらく多くの私立大学が、文部科学省の対応指針はいつ公開されるのだろうと。それによって自分たちのガイドライン等を見直すタイミングを図っているというのが私の認識なので、もし何か見通しなどがあるなら、ありがたいなと思いました。
 また、これは高等教育局へのコメントになりますけれども、ぜひこの対応指針ないし第三次まとめ等がリリースされていくに当たっては、これらについて、全国の高等教育機関にアナウンスをする機会というのをぜひ考えていただきたいと思っています。文書等での通知というのはもちろんされるとは思うのですが、やはりそれだけではなくて、きちっとしたアナウンスができる機会というのを御検討いただけたらと思っています。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。リリースのことにつきまして、もし御回答いただければと思います。
【河﨑補佐】  回答申し上げます。今申し上げましたように、今日から1か月、パブリックコメントを受け付けまして、その後、少しもろもろ事務作業はありますけれども、可能な限り速やかに終えたいと思っておりますので、恐らく年内のリリースは可能と、今のところ見込んでいるところでございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、パブリックコメントを受け付けということですので、委員の皆様方も、もし御参照いただきまして、何かありましたらコメントいただければと思います。
 それでは、ただいま御説明いただきました日本学生支援機構からの統計データと、それから学生支援課からの概算要求に関する御説明、それから、ただいまの対応指針に関する、非常に、いずれも重要な行政的な御報告をいただいたと思いますが、御意見、追加の御質問等ありましたら、これまでと同様、メールで事務局のほうにお知らせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後になりましたが、資料7、当面の検討会のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  資料7を御覧ください。当面の検討会のスケジュールでございます。
 次回は第6回、10月26日木曜日、10時から12時、こちらオンラインで実施予定でございます。
 ヒアリングとして、殿岡委員と神藤委員にお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。それから、第三次まとめの取りまとめに向けて議論をしていく予定でございます。
 この後、第7回、第8回、第9回が、11月20日月曜日、16時から18時、12月27日水曜日、14時から16日、第9回が来年1月22日、月曜日の15時半から17時半で予定しております。第7回以降につきましては、対面とオンラインのハイブリッドで開催したいと思っております。
 また、今後、文科省にお越しいただくか、それともオンラインで参加いただくかを御確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それからもう1点ございまして、竹田先生と打合せさせていただいている中で、もう2件ほど、精神障害の学生に対する対応でありますとか、障害学生に対するオンラインを活用した配慮の在り方についてヒアリングができたらという話をしております。そうなってくると、これを第7回、第8回、第9回のどこか実施すると、第三次まとめに向けた議論の時間がなくなってしまいますので、第6回と第7回の間で1時間程度、ヒアリングのみの会議を検討しております。以前、委員の先生方からいただいた日程を基に、第6回と第7回の間に差し込む日程について御相談させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 本日の議事は以上ですが、そのほか、会合全体を通しまして、御意見等ございませんでしょうか。
 それでは、殿岡委員、白澤委員の順にお願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。先ほど、白澤委員から指摘いただきました受験のときの評価方法についてですが、当センターの調査においては、全国で20校が配慮を受けた方を減点するという扱いをしているという結果が昨年の私どもの調査で出ていますので、指摘させていただきます。
 殿岡は以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。情報提供いただきました。
 それでは、白澤委員お願いいたします。
【白澤委員】  白澤です。何度もすみません。殿岡先生、先ほどのコメントは、減点するということですか。20校が減点するという回答をしているということですね。
【殿岡委員】  はい。
【白澤委員】  ありがとうございます。
 別件で、先ほど入試に関する話題があったかと思うんですけれども、第三次まとめに向けて、各大学の個別入試における情報保障の配置について、発言しておきたいことがあるので、手を挙げさせていただきました。
 各大学のほうの個別入試のほうでも、手話通訳やパソコン通訳などの情報保障が配置されることがありますが、例えば、集団面接における情報保障の配置、あるいは、個別面談の中の手話通訳の配置について、大学のほうから「公平性に欠けるので、配置しないという判断をしたいんだけれども、どうか」といった問合せを受けることがあるんです。というのも、集団面接だと、パソコン通訳や手話通訳を配置することで、周りの学生たちに影響が及ぶので、彼/彼女らの公平性を考えて、聞こえない学生にはFM補聴器等を使用してもらうことにするという判断をしている大学があると言うことなんですね。あるいは、個別面談の場合、手話通訳を介して面談をすることで、手話通訳者の技術によって情報が伝えきれなかったり、逆に、通訳者がきれいに通訳し過ぎることによって、より加点される方向になったりしてしまう可能性があるので、手話通訳を使わないといった扱いをされていることがあるんです。
 確かに周りの学生の公平性や、評価をする側にとっての公平性も非常に重要で無視できない問題だとは思うのですが、本人にとっての公平性という視点を欠いた判断担っていないかと思うのです。
 この辺り、三者ともにきちんとバランスのとれた視点で、受験生、周りの学生、大学にとっての評価方法、いずれも十分に検討した上での公平性という視点から、大学の入試における情報保障を考えていかなければいけないと思いますので、この点、発言させていただきます。
 この上で、特に手話通訳の配置については、確かに、現状の手話通訳体制では、地域によって手話通訳者の技術に差がある現状があるので、大学側がそのような見方をされてしまう点についても一部理解ができる側面はあるとは思っています。この点については、より長期的な視点で高等教育に対応した手話通訳資格を発行していったり、必要な技術を有する手話通訳者を養成していったりすることも検討しなければいけないと思っています。ただ、書き言葉で発信をするのと、話し言葉としての手話で発信するのとでは、発信の量や質に差が出てきますすし、評価においても、書き言葉になってしまうと、より厳密に評価される傾向があるかもしれないという点で、公平性の面に逆に影響してしまう可能性があるため、やはり慎重な判断が必要であると思っています。
 現状において、取り得る策としては、手話通訳や文字通訳がきちんとできているのかどうか、通訳による等価性が保たれているのかどうかをモニタリングする手法を取り入れていくのも1案かと思います。
 例えば、裁判などでは、警察側の手話通訳者と弁護側の手話通訳者を別々にたてて、双方の通訳がきちんとできていたかを評価し、必要なときには訂正を求めるといったことがなされたりしています。
 入試においては、受験生側に手話通訳の準備を委ねるわけにはいかないので、具体的な方法については検討が必要かとは思いますが、複数名の通訳者を置いて、内容を検証する形をとるなど、受験生にとっての公平性を鑑みた判断がなされていくよう検討していければと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。殿岡委員、白澤委員、それぞれ、公平公正な就学機会、入試も含めということですが、そういう問題点、課題について御発言いただきました。まさに本検討会の目的というか、1次、2次もそうですけども、それに沿った非常に重要な御指摘だと思いますので、取りまとめに際して、また、この辺り、いろいろ課題等が出てくるかと思いますので、議論の中に含めていければと思いますし、そのほかの委員の先生方も、それぞれお気づきの点、お考えの点、もしありましたら随時、事務局のほうに御意見を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次回も引き続きヒアリングと議論を進めていきたいと考えております。次回は事務局から委員に先ほどお伝えのとおり、学内の支援体制の構築、浸透や学生支援部署の連携に関することで神藤委員より、また、障害学生支援に関する大学間の格差に関することについて、殿岡委員より御説明いただく予定ですので、両委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で、障害のある学生の修学支援に関する検討会第5回を終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――