障害のある学生の修学支援に関する検討会(令和5年度)(第4回) 議事録

1.日時

令和5年8月3日(木曜日) 14時~16時

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 関係者へのヒアリング等
  2. 第三次まとめのとりまとめに向けた議論
  3. その他

4.議事録

【竹田座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、「障害のある学生の修学支援に関する検討会(第4回)」を開催いたします。皆様には、御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、柏倉委員が御欠席と御連絡をいただいております。
 まずは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【小栗補佐】  文部科学省学生支援課課長補佐の小栗です。本日は、御多忙中にもかかわらず御出席いただき、ありがとうございます。
 配付資料につきましては、議事次第のとおりとなっております。過不足がございましたら、事務局まで、議事の途中でも結構ですので、遠慮なくお知らせいただければと思います。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 本日は、まず、3つのセクションに分けてヒアリングを実施したいと思っております。今回のヒアリングに御協力いただくのは、まず、障害のある学生当事者として、京都大学大学院より油田優衣さん、筑波大学大学院より堀口里奈さん、まず、お二人から、入学前から現在に至るまで、大学からどのような支援(合理的配慮)を受けているのか、どうあってほしいかなど、御自身の経験を中心に御紹介いただきます。続いて、「障害学生支援に関する基本的な考え方」に関連し、私学における教職員向けガイドラインを独自に策定している大学として、京都産業大学より、教学センター事務部長、山田正和様、最後に、「合理的配慮の提供における諸課題への考え方と具体的な対処の取組」に関連し、キャンパスソーシャルワークの観点から、筑波大学人間系、大村美保助教に、それぞれヒアリングを実施したいと思っております。
 以上の3つの観点でヒアリングを実施し、その後、前回いただきました御意見等を反映した第三次まとめの骨子等について、御確認・御議論いただきます。
 それでは、最初の議事「関係者へのヒアリング等」に入ります。
 油田さん、堀口さんの順に御説明いただき、その後、質疑応答とさせていただきます。
 それでは、油田さん、どうぞよろしくお願いいたします。
【京都大学大学院学生】  では、始めさせていただきます。京都大学の大学院の修士課程に在籍しています油田といいます。今日はよろしくお願いします。
 私は、2016年に京都大学に入学しまして、2021年に大学院に入学しました。私は全身の筋力が衰えていくSMA(脊髄性筋萎縮症)という障害があって、日常生活動作は、例えば着替えだったり、トイレだったり、寝返りだったり、もっといろいろ細かい、お菓子の袋を開けるとか、あと水を飲ませてもらうとか、そういういろんな日常生活の動作のほぼ全てに介助が必要です。私は大学に入るまでは福岡に住んでおりまして、大学進学を機に、24時間の介助サービス(重度訪問介護)を使いながら独り暮らしをしています。
 今日のトピックは大体4つで、まず、大学選びをどうしたかということと、入試のことと、大学でどんな合理的配慮を受けているかと、あとは学内で福祉サービスを利用しているので、そのことについてお話ししたいと思います。
 大学選びについてですが、私は高校2年生の頃から6、7校ぐらいの大学を見学に行きました。障害学生を支援するような部署がある大学の場合は、そこにアポを取って話を聞きに行った覚えがあります。大学によっていろんな対応があったんですけど、当時の私の中で、大学の支援の質は気になる点ではあったものの、それによって選択肢を制限されたくないという思いもあったなというのを覚えています。大学の支援の質がいいからそこにするというのは何か嫌でという記憶があります。後で詳しくお話しするように、私は大学に行っている間も、もちろんトイレ介助とか食事の介助とかいう身辺介助、身体介助が必要になって、この点については結構今でも大きなハードルになっていると思うのですが、私が見学に行った2014年とか2015年は今よりもっと、大学側としてもこういう解決策がありますみたいなことは言えなかった時期だったんじゃないかなと思います。
 このように、大学側としても確実なことが言えない難しいニーズというか、解決するのが一筋縄ではいかないようなニーズに対して、大学としては「そこは全く何もできません」みたいに言われるところもあって、それは理解できるというか、仕方ないよなと思うところではあったんですけど、中にはそのように切り捨てるというか、見放す感じではなくて、「どうなるか分からないけど、一緒に考えていこうか」みたいな、そういうスタンスのところもあって、そういうところは、当事者としては、どうなるか分からないけど、一緒に考えてくれる人がいるかもなみたいな安心感があった気がしますね。結果的に私は、大学の雰囲気、別に支援する雰囲気じゃなくて、大学の雰囲気が何となく好きで京大を第1志望にして受験をしました。
 次が2つ目のトピック、入試についてになるのですが、私が受けた試験はAO入試で、これは論述試験が含まれていました。当時の私は、10年ぐらい前からは、普通の人よりは遅いし、すごい疲れるけれども、それを耐えれば、頑張ったら手書きができるみたいな状態でした。でも、そういうストレスを抱えながら論述試験に臨むのは嫌だなと思ったし、時間がかかるから時間延長というのも結構体力的にきつかったりもしたので、自分のいいパフォーマンスを出すためにも、手書きで時間延長ではなくて、パソコンによる解答を希望して、それが認めてもらえました。論述試験は難しくて全然太刀打ちできなかったけど、でも、身体的な制約とかはそんな感じず、また、体力的にも結構楽な時間内で試験を受けられて、すごいしっかり自分の力をぶつけられて、しっかり砕け散れたなみたいな記憶がありますね。
 で、大学に入ってからということで3つ目トピックに行くんですが、大学に入ってからは、以下の大体4つぐらい主に合理的配慮を受けています。
 まず1個目が、授業中の人的支援ですね。京大では、学生サポーターと呼ばれる、アルバイトとして支援に入ってくれる人がいて、例えばテキストをめくってもらうとか、プリントを取ってきてもらうとか、教室が暑いから上着を脱がしてもらう、寒いからまた上着をかけてもらうとか、飲物を飲ませてもらうとか、そういうことを手伝ってもらっています。
 2つ目は、さっきの入試の話とも似たような話ですけど、試験のときのパソコンやiPodとかの使用ですね。私は大学2年生ぐらいからパソコンのキーボードを打つのもしんどくなってきたので、支援室の人といろいろ相談して、iPodというものを使ってフリック入力が一番いいねってなって、それで試験を受けたり、授業中の小レポートを提出したりしています。どうやったらネットにつながらないことが証明できるかなとか、提出はどうしようかみたいなのをいろいろ相談していました。たしかこれ、写真が、こんな感じですね。見にくいですけど、私の左、この手の先にあるのがiPodで、これで打った解答をモバイルプリンターで印刷して、その場で提出みたいな感じでやっていました。
 あとは、3つ目は、紙をめくったりするのも結構分厚いと大変なので、テキストデータ化してもらったりとか、4つ目は環境面の整備ですね。授業で使用する教室とか、所属している研究室、あと私がよく使う図書館に車椅子用のくり抜きのテーブルを置いてもらったりしています。
 合理的配慮はこんな感じですけど、私の学生生活は合理的配慮だけじゃ足りないということで、この4つ目のトピックの学内での福祉サービスの利用という部分についてもお話ししていきます。先にも述べたように、私は日常生活のほぼ全てに介助が必要で、当たり前ですけど、別に大学の中でもというか、どこに私が行こうが、どこにいようが、別にその必要性は変わらなくて、学内での介助というのは当時の私にとってもというか、今でも、多くの介助を必要とする障害のある人にとってはすごいネックになっていると思います。私は大学に入ってから何人かの高校生とかその親御さんから相談を受けたんですけど、大学でも必要となる身体介助が確実に保障されていないというのが結構大きな不安になっていて、この問題が大学進学を思いとどまらせている大きな要因になっているなというのは思いますね。
 私の場合はどうしたかというと、大学入学前ぐらいから京大の支援室の協力を得ながら私が住んでいる京都市とやり取りして、結果的に、移動支援という既存の行政のサービス、福祉サービスを特例的に大学内でも利用できるようになりました。分かりにくいですけど、このような左側の表の感じで、移動支援という既存の福祉サービスをこういうふうにスポット派遣で組んで、この間に授業を受けてみたいな感じですね。ヘルパーさんは、私が授業の間も教室のどこか近くで待機してくれていて、例えば授業が早く終わったみたいなときはすぐ迎えに来てくれたりとか、授業中、急にトイレに行きたくなったみたいなときにも対応できるように、ずっと待機してくれています。また、待機時間も含めると、1日、10時から17時ぐらいまるっと7時間ぐらい、ずっと通しでヘルパーさんが支援に入ってくれているので、例えば急に授業が休講になったとか、体調悪いから授業休もうかなとか、今日のこの後の授業サボろうかなみたいなときでも、すぐにヘルパーさんに来てもらって、おうちに帰ったりとか、そのまま大学の外に遊びに行くとかということもできました。
 大学での生活というか、大学生活を含んだ私の地域生活というのは、どこからどこまでが大学の時間で、どこからどこまでがプライベートですかみたいな、そういう分けるのってすごい難しいというか、分けづらい部分もあって、そこを無理やり分けられて、この時間は、この場所では大学側が提供する身辺介助ですよ、それ以外は行政のサービスによる身辺介助ですよみたいになると、結構ユーザー側としては面倒くさいというか、使いづらいなというのもあって、私の場合は身体介助を行政サービスで一貫してカバーできた、大学内でも使えたし、別にどこでも使えたということで、生活における自由度がすごい広がったなというふうに感じています。
 というわけで、私の発表は以上になります。
【竹田座長】  油田さん、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、堀口さんから御説明をお願いいたします。
【筑波大学大学院学生】  それでは、発表を始めさせていただこうと思います。筑波大学大学院人間総合科学研究科障害科学学位プログラム修士1年の堀口里奈です。本日は、受験や、大学、大学院での申請した配慮とか学び方についてお話しさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 本日の流れはこのような形になっていて、短い時間でお話しさせていただくので、スライドの中、一部抜粋させていただくことがあるかもしれないですが、適宜参照しながら聞いていただければと思います。
 まず、私の障害についてです。学習障害、聴覚過敏と視覚過敏の感覚過敏と、注意欠如多動症がありまして、一番の困難感としては、読み書きに困難があるので、学習障害についてのお話をします。
 視空間認知に困難があるディスレクシアというふうに私は言っているのですが、説明すると難しいので例に出すと、例えば、英語でimportantとinformationという単語が出てきたときに、それぞれ1つずつ単語が出てきたら、音韻は分かるので読み方は分かりますが、文章中に同じ単語が入っていたときに、文字列が似ているため、文字の違いを探すことや、見分けをつけることができず、文字を一つ一つ見ながら読んでいくというのが苦手です。URAWSSⅡという検査を二十歳のとき受けた際、小学校6年生平均が1分間445文字のところ、私は398文字という結果となり、読む速度が遅いです。下に書いてあるのは、片仮名と英語が、平仮名とか漢字に比べて一番読みにくい、書きにくいというのがあります。
 次に、薄くて、書いている文字の画像で申し訳ないのですが、左側に片仮名が書いてあるのが、両方全部、私が二十歳のときに書いた字です。もう片仮名はかなり崩れてしまっているので、書いても後で自分で読みにくく、きれいに書くことは難しくて、漢字は「きれいに書くね」って言っていただくことが多いですが、ただ画像を思い起こすように書いているので、書くことにそもそもとても時間がかかるのと、字の大きさだったりバランスを整えるということにすごいしんどさがあるので、基本的にはパソコンで入力するというのが一番速いため、ほとんど手書きで字を書くことはありません。書き速度もかなり遅いかなと思っています。
 今日お話しさせていただくのは、ここまでが私の通ってきた学校の経歴ですが、大学と大学院の入試と、受けている配慮についてお話ししようと思います。
 高校と大学は簡単に説明できればと思っているのですが、私の困難さは読み書きなので、今は、パソコンで読み上げができること、パソコンで入力できることというのが、まず一番必要な配慮です。その中で、高校のときは、高校2年生の1月に診断が下りているので、高校3年生の4月から高校で配慮を申請しました。その中で、当時はiPadを持ち込んでノートを取りました。ただ、当時2017年、学校内でまだICT環境の整備が整っていなかったので、データをもらうみたいなことはできませんでした。
 その後、大学に入学して、大学は、私は千葉県内の私立大学の外国語学部の日本語教員養成課程に入学したので、英語の授業がたくさんあって、もう自分の目で読むのでは間に合わなくなったため、パソコンの読み上げを使ったりとか、データも全ていただけるようになったので、表に簡単に書いてあるとおりですが、授業中の配慮は、データをもらう、私はテストも提出物も全てパソコンで打ち込んだものを出すという形の配慮です。
 次に、大学院での配慮は、データの受渡しについては特に変わったことはありません。今年度4月から大学院に入学して大きく変わったことは、人による支援を受けるようになったことです。筑波大学は、障害種別でそれぞれ領域ごとにグループがあって、ノートテイク、授業中にノートを取ってくださる方を運動・内部からチューターという形でつけていただいて、紙で資料が来た場合は資料の電子化を視覚のチームにお願いするみたいな形で、それぞれのコーディネーターとやり取りをするというのが大変だなと思うこともたくさんあるのですが、そのような形で人による支援を、自分だけで頑張らなくてよくなったというのが違いだなと思います。また、個人的にとてもうれしかったのは、筑波大学図書館は書籍の電子化をやっているので、図書館に行ってこの本を読みたいなと思ったときに、その本をPDFで読み上げできる形にすぐしていただけるので、読みたいときに本が読めるようになったというのが、これまでは本屋さんに行って、どうやって読めるかなとか、出版社に交渉しようかなとか、電子書籍を発売しているか、それがまた読み上がるかというのもまた違ったりするので、そういうことをあまり気にしないでよくなったというのは、大学院に入って大きく変わってうれしかったことです。
 次に、受験上での合理的配慮、大学と大学院の入試を1枚のスライドにまとめました。
 センター試験の合理的配慮は、私は、大学入試を2回やっているので、最初の年はセンター試験と私立大学の学力試験を受けています。2年目は小論文という形になっていて、センター試験のときは、まだ診断から1年たっているかたっていないかだったので、自分自身がどういうふうにしたら周りの学生と同じように情報量を取れるかということが全然分かっていなかったので、取りあえず拡大文字冊子にしたら読めるのかなと思ったら、センター試験当日に初めて拡大文字冊子(22ポイント)というかなり大きいものを頂いて、逆に大き過ぎて1文字もほぼ読めなくて終わってしまったというふうな、難しかったなと思った経験があります。
 試験時間の延長は全て、大学でも大学院でも、読むことに時間がかかるので申請をしています。
 私立大学の小論文入試に関しては、自分のパソコンを持ち込んで、キーボードで入力して作文を提出するという形を取りました。大学で学ぶ中で、私、パソコンで読み上げだったらかなり速く――速くはならないんですけど、情報量は正確に取れるということが分かったので、パソコンの読み上げが必要だなと思って、大学院の入試では、英語の入試と専門科目の入試があったので、パソコンでの読み上げを申請しました。打ち込みは自分のパソコンがよかったので、提出、試験の解答に関しては持参したパソコンでの入力というのを申請しました。紙の辞書の持込みができたので、私は電子辞書の使用を申請しました。
 受験であったり、大学で学ぶ中でなかなか難しいなって思うことが何点かありまして、パソコンでの音声の読み上げという配慮、まだ読み上げという配慮ってなかなか通りにくいなと、申請がとても大変だなと思っています。私がパソコンの読み上げが欲しいと思っているのは、代読だと、試験当日だったり準備の段階で初めて会う人に文字を読んでもらうとか、そこの調整って精神的に不安があったりとか遠慮があったりとかなかなか難しいので、パソコンというと、ふだん自分がなるべく練習して過去問を解いている状況と同じ状況で受けられるので、パソコンの読み上げが練習どおりに受けられるのでいいなと思うのと、私、高校生のときに、低音が聞こえにくいことがあり、当日聞きにくい人だったらどうしようという不安があったため、パソコンがいいなと思います。また、大学によって配慮申請の形式が違うというのも、大学入試のときも、私立大学は受ける学校にだけ全て配慮申請しなければいけないので、学校によっては、受験の配慮申請の書類を出す前にもう面談をしていて、「じゃあ、それならできるかもしれないです」みたいな形で書類を頂ける学校もあれば、もう書類を出してから「検討します」、その後に対話があるのか、そこでできるかできないかを一発で判断されてしまうのか、それともやり取りがあるのかみたいな透明性がなかなか見えないので、受験配慮申請をする側からしたら、とても配慮申請って複雑で難しいです。どこまで書いたらいいのかということが分からないので、難しいなと思います。そして受験生側も、適した試験や形式や必要な配慮が全て分かるわけではないというのは、受ける学校がどういう設備だったり、どういう試験形態をやっているのかということが分かるわけではないので、申請した支援をただやりますよというだけでは、私も実態が見えないのでなかなか難しいなと思うことが多いので、そこは「どうしますか」とか「こういうふうにやっています」とかいうふうにそれぞれ対話を重ねながら、配慮申請というのがやり取りできるようになっていたらいいなといつも思っています。
 私の発表は以上にしたいと思います。ありがとうございました。
【竹田座長】  堀口さん、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまお二人から御説明いただきました。これに関しまして、委員の皆様から御質問等よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、まず、私から油田さんに質問ですけども、先ほど、移動支援を利用されて授業のところでヘルパーさんが待機してというお話があったと思うんですけど、そちらのアレンジメントというか、事業所との契約等は支援室を介して一応調整をしていただくような、そういう段取りというか、セッティングを最初されたのかという辺りをもう少し補足していただければ。簡単で結構ですけども、よろしくお願いします。
【京都大学大学院学生】  そこら辺は村田先生とかが詳しいとは思うんですけど、まず、移動支援で組んでというのは、村田先生とか、あとは私が介護で使っていた相談支援事業所のところで相談してつくってもらった形になります。何かすごく下世話な話ですけど、移動支援ってすごく単価が高くて、何かちらっと聞いた、今、厚労省がやっている特別事業は、重訪の単価で30分という事業所からしたら絶対取ってくれないというか、赤字覚悟で取るような、そういう制度があると聞いたんですけど、移動支援は単価が高くて、事業者的にも、おいしい仕事というか、いろんな取ってくれる事業所もいたみたいで、そういうふうにプランをつくって、相談支援事業所が京都市とかのヘルパー派遣事業所に打診をしてくれて「入れますか」みたいな、で、結構すぐ埋まった気がしますね。多分、事業所的にも取りやすい仕事だったみたいで、探し始めて多分二、三週間で週5日全て埋まったと思います。そこら辺のアレンジメントは、京大の支援室とか私が利用している相談支援事業所の人たちがやってくれてという形でした。
【竹田座長】  ありがとうございました。委員の皆様から何か御質問、お二人に対してございますか。中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  中野です。堀口さんに質問させていただきたいことが、2つあります。1つは、学部と大学院で支援を受けておられますが、学部と大学院で、大学も必ずしも同じではないと思いますので、一概に比較は難しいかもしれませんけれども、大学院に特有の困ったことや、あってよかった支援があれば教えていただきたいのが1つです。それから、2つ目は、図書館でのサービスの中で書籍の電子化について、今の大学院ではすぐに対応してもらえるところが便利だという説明がありましたが、図書館の場合は、自分で持ち込んだ書籍をすぐに電子化してくれるのかどうかを補足で説明していただけるとありがたいです。
 以上2点、よろしくお願いします。
【筑波大学大学院学生】  御質問ありがとうございます。
 1点目に関しては、大学院生になって、論文だったりとか、あと古い参考文献だったりを読むことが増えたので、その点において、電子化、電子書籍があるものではないので、読む量が増えたということがかなり大きいかなと思います。また、授業の時間が長かったり、75分で終わらなかったりもするので、ノートテイクの支援というのが入ったのが、体力的に自分だけでノートを取らなくてよくなった、ほかのことに余力が回せるようになったというのがよかった支援だなと思います。
 図書館のサービスについては、自分で持ち込んだ書籍もやっていただいたことがあるので、多分、筑波大学の図書館はできると思っています。ただ、1回だけ困ったことがあったのが、電子書籍が出ているものに関しては、図書館が電子化することができないけれども、発売されている電子書籍がテキスト認識のかかっていないものだったので、読み上げができないけど、電子書籍が出ているから図書館は電子化できないということが、事例として1回ありました。
 お答えになっているか分からないのですが、以上です。
【中野委員】  ありがとうございました。
【竹田座長】  それでは、続きまして、村田委員、お願いいたします。
【村田委員】  村田です。私からは、先ほどの油田さんの発言に関する補足ができればと思っております。生活支援というパーソナルな部分に関することなので、大学の支援部署の担当者である私が補足するのもどうかなという気もするんですが、実態をお伝えできればということで発言いたします。
 油田さんに限らずですが、基本的にその学生がどのように地域で暮らしたいか、ということが大切だと思います。例えば、地域生活の延長ないし一環の中で高等教育というのも考えつつ、油田さんの発言の中にもありましたが、大学生の生活というのは学校の教育とは性質が異なっていて、例えば1限に出て2限に帰るとか、お昼休みは地域のレストランに御飯を食べに行くとか、今日はレポートが忙しいから2限は欠席してしまおうとか、そういうことは学生生活として一般的だと思います。そういうことを考えたときに、地域生活とシームレスにつながっていかないといけないというのが前提としてあって、油田さんの場合ははそんなふうに暮らしていきたいんだということが前提でした。なので、この手の話でよくある議論として、大学がやるのか、あるいは本人側なのか、もしくは自治体なのかというふうに、そのメニューを誰が責任を持つべきかという議論があるんですけども、基本的には、その人がまずどう暮らしたいかというのが大前提にあるべきだと思っています。それを実現するときに、どのリソースがどれだけのことができるのかというのを考えるということですね。
 その当時、京都大学の支援部署として油田さんに約束したことは、合理的配慮は100%やりますということです。合理的配慮と考えられるものは、我々は全力でやるし、それはすぐに完璧にはできないかもしれないけど、段階的には必ずやりますと。その考え方は今でも、油田さん以外の学生も含めて変わっていないです。一方で、合理的配慮以外の部分とか以上の部分というのが、どこまでできるかというのは個別的な調整が必要になりますということですね。そんな文脈の中で生活のスタイルというのを油田さんとも相談をしながら、自治体とも相談をしてきました。最初からうまくいったわけではなくて、自治体側も、今の制度上ではストレートにはできない。今では厚労省の特別な事業がありますけども、京都大学のケースではその事業は使っていません。その当時もきちっとしたルールはなかったので、そのような中でどのように柔軟に運用できるかということでやってきた結果、今に至っています。
 こうやって説明していると、じゃあ、身辺介助などの生活支援に関して京大は一切手を出さないのかというと、そんなことはないです。先ほど言ったとおり、合理的配慮に入ると解釈できる部分は100%やります。なので、例えば、油田さんが丸1日、教育上拘束されなければいけないような場合、例えば授業の性質でどこかのキャンパスに1日行かないといけないなんていうのは、大学の教育上必要な時間の拘束なので、そういう場合は大学側で事業所と契約をして、その部分を合理的配慮の一環として見て生活支援を提供するということをやっています。なので、こういう支援メニューだからこっちがやる、やらないというような、そういう短絡的な発想ではなくて、その場で生じている個々のニーズや意向と、その権利を誰が保障すべきかというのを考えながら、その都度検討しているというのが実態です。というところでしょうか。
 以上、補足とさせていただきます。
【竹田座長】  村田委員、補足の御説明ありがとうございました。
 それでは、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  信州大学の高橋です。堀口さんに質問させていただきたいと思います。発表の最後のところで、受験上の配慮にて困ったことというところに関しての質問です。大学によって配慮申請の形式が違うというところ、また、どのような手続なのかという不透明性みたいなところで困ったといったようなお話がありました。それらに加えて、配慮申請に必要な情報を準備したりするときに関して、何か困ったこととか大変だったことがあったら教えていただければと思います。お願いします。
【筑波大学大学院学生】  ありがとうございます。困ったこととしては、パソコンの読み上げを申請するということに対して、その必要性を示すという検査データをそろえるのが難しいなと思います。私はたまたまKABC-Ⅱだったりを取れる相談機関があったので、URAWSSだったり、様々な私の読み速度を測るということ、読むことが難しいということを示すことはできたのですが、それを客観的な根拠資料として提示しなければなかなか必要性が認められない、エビデンスを揃えてくるというところが難しいなと思います。
【高橋委員】  ありがとうございました。堀口さんは大丈夫だったけど、そういう検査の結果なんかをそろえるのは一般的には難しいんじゃないかなというところですかね。
【筑波大学大学院学生】  難しいなと思うのと、あと時間がかかりますね。まず病院に行ったりとか、それでまた、検査を受けて、予約を取って検査結果を出してみたいなところに、かなり先読みして前々から見通しを立てて準備しなければいけないなというところも難しかったです。
【高橋委員】  ありがとうございました。
【筑波大学大学院学生】  ありがとうございます。
【竹田座長】  油田さん、堀口さん、改めましてどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、京都産業大学、山田様より、「教職員対応ガイドライン策定までの取組とその後の取組」について御説明いただきます。それでは、山田様、よろしくお願いいたします。
【京都産業大学教学センター事務部長】  よろしくお願いします。初めまして、京都産業大学障害学生教育支援センターの山田と申します。先ほど教学センターという紹介をいただきまして、これは、教学センターも、私、取り扱っておりますので、どちらも正解ということで、どちらも同じ山田でございますので、今日は障害支援センターということで進めさせていただきます。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。画面では私しか映っていないと思いますが、私のほかに、吉川、井上、垂門が同席させていただいております。後ほど質疑応答の機会に必要に応じて発言させていただくことがあるかもしれませんので、その際、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ではありますが、「教職員対応ガイドライン策定までの取組とその後の取組」ということで話を進めさせていただきます。
 本学の場合、教職員対応ガイドラインといいますと、この下の線で囲っております、障害を理由とする差別の解消の推進に関する京都産業大学教職員対応ガイドラインとガイドラインの留意事項を指しますが、名前が長いので、教職員対応ガイドラインということで進めさせていただきます。
 パワーポイントの資料を用意しておりますので、資料に沿って説明をさせていただきます。
 まず、前置きになりますが、本学、京都産業大学の概要を説明させていただきます。創立は1965年、10学部10研究科を設置しております。キャンパスは、上賀茂神社の少し北、京都市北区に1拠点の大学として、学生数1万5,530名、教員数は765名(非常勤も含みます)、職員数503名という規模になります。
 ここからが本題に入らせていただきます。教職員対応ガイドライン策定前後の経緯ということで、これからお話しする内容をこのように表にまとめさせていただいております。この表は、縦軸に時系列、時系列にそれぞれ区分を区切ってその時期を書いております。横軸に、それぞれの時期に応じてどういう法律が出されているのかとか、あと本学の取組、そして本学の組織もいろいろ変わってきておりますので、それを取りまとめたものです。お話は、ちょうど下のほうの表のところに黒いちょっと太めの線を引いております。ここから上が教職員対応ガイドライン前の、策定までの取組と。そして、ここより下が策定後の取組ということでお話しさせていただいて、策定前の取組については大きく1から4の4つに区分いたしまして話を進めさせていただきます。それぞれについて、どのような契機があって、どのようなことを考えて取り組んできたかというところを説明させていただきます。
 まず、区分の1番ということで2002年まで、これ、学部(担当教員)による支援と書いております。文字どおり、学部(担当教員)にお願いして、依存した支援を行っていたという時期でございます。対象者も少なかったということでできた支援であると思っております。
 そして次のシート、次の時期に入ります。次の区分、2番、2003年から2011年、支援の組織化(模索期)という名前にさせていただいています。ここから新たな区分に入るわけですが、これには、3名の異なる障害のある学生が入学するという大きな契機がありました。これを契機に、これまでのやり方では対応できないと。全学での規模で調整して対応する必要があるという考えに至りまして、まずはどう対応するかということで、全学的な委員会を設置しました。そして、それを支援する担当部署といたしまして、ボランティア活動室(学生部系)を設置しました。名前がボランティアとなっていますが、この部屋は、ボランティア活動を支援することもやり、そして障害のある学生に対する支援もやるという部署でありまして、ボランティアのほうの名前が強く出た部署名でございます。
 そして次の取組区分3番、2012年から2014年、支援の組織化、ここは迷走期というところになります。先ほどの3名の学生が入ってくるということで、学生さんと一緒に我々も手探り状態でいろんな支援について検討し、取り組んできました。それから時間がたつにつれて、このやり方でいいのかと、どうしたらもっとうまく進められるかということを問い直した時期と言えます。ちょうど差別解消法が公布されましたという契機も重なりまして、本当に迷走した時期でございます。一方で、何とかこの状況を打開すべく、ちょうど第一次まとめというのがなされておりましたので、この理解にまず努めるということと、あと全学的なFD/SD研修会というのを開催して、全学的に啓発活動に取り組みました。この研修会に、この検討会の委員でいらっしゃいます高橋先生や殿岡様にもお越しいただいております。今から思えば、これからガイドラインの策定の時期に入るんですが、ここでの学びというのは必要な学びであったなと考えております。この時期にちょうど支援担当部署も、ボランティア活動室というものでありましたが、センターに格上げして人員も倍増いたしております。
 次のシートに入りまして、次は取組区分4番の2015年から2018年、支援の組織化の構築期というところでして、ここがまさしく教職員対応ガイドラインの策定に取り組んだ時期となります。ちょうどこの時期に障害者差別解消法が施行されるという大きな契機も重なりまして、策定に向けて引き続き勉強会を続けていきまして、この検討会の委員でいらっしゃる柏倉先生、今日御欠席と先ほどお聞きしましたが、もお招きして学びを深め、そのほかにも、この右側に書いております基本方針、文科省の対応指針、第二次まとめ、国大協の情報提供、そしてJASSO(日本学生支援機構)からの障害学生支援に関する情報提供、色々な、ありとあらゆるものを参考にしながら教職員対応ガイドラインの策定に進んだということになります。また、全学的な委員会についても、厚みを持たせるということで、外部委員としまして殿岡様にも就任いただいたという経緯がございます。そして、ここから支援部署も大きく変わりまして、障害学生教育支援センター、現在の部署でございます。教務系の部署として新たに設置しました。先ほどボランティアの中の一つの業務として入っておりましたが、これを切り離しまして、障害学生教育支援の部署を立ち上げたと。ボランティアはボランティアで今もそのまま残って支援を続けております。教学系の部署として明確に位置づけたという時期でございます。
 これまでガイドラインに向けて取り組んできた経緯ということになります。
 次、ここからは、5番ということで、2019年から、支援の可視化というタイトルをつけさせていただいております。これは、ガイドラインができたからといって、みんながそれに従って一斉に動き出すと、そういうわけにはいきません。それで考えておりますのが、大きく2つの視点から考えていこうということで、1つ目は、分かりやすく障害学生支援を伝えるにはどうすればいいかということを考えました。ここに黒丸で4つほど示しております。この左側のところが、今現在取り組んでいるものも含めて、今、取組を進めているもの。そして、この矢印の右側が、その影響といいますか、学内外での影響。本当はどのようないい効果が出ているかと、効果と言いたいところですが、今の段階ではそこまで言うのはおこがましいかなということで、よき影響というところで御理解いただければなと思います。まず1つ目が、障害ある学生への修学支援ガイド(パンフレット)を刷新しました。これによって、これは内部のお話ですけど、オープンキャンパスでも配付する場所をいい所にしていただいたというのと、はける枚数も非常に多くなってきたということ。それとあと、新入生向けの入学のガイダンスなんかでも、このパンフレットがあるということを全学生に紹介するという機会をいただけるようになるということでございます。そして2つ目です。障害学生支援センターのウェブサイトの刷新ということで、これまでもウェブサイトはありましたが、質問が意外に抽象的といいますか、「どんな支援があるんですか」というような質問から、相談・問合せの内容が具体的になりました。「ここに書いてあるこの部分についてもう少し詳しく教えてください」とか「これはどういうことですか」というような具体的な質問に変わってきたということがあります。3つ目、学部との連絡会、10学部ございますが、全ての学部との連絡会を持っております。これによって先生方から相談・問合せが増えてきたということで、「もう少しこの学生の内容について聞きたい」とか「これは具体的にどういうことですか」というような問合せをいただくことが増えてきたということです。4つ目、学内での全学的な研修会を積極的に引き受けるようにしております。これ、学部ごとにも色々研修会をされたり、FD活動もされておりますので、その中で、「説明してくれないか」、「もう一度説明が聞きたい」というようなお声かけをいただけるようになったというのが、よき効果、影響というところでございます。
 そしてもう一つの視点が、本学も支援を必要とする学生数が増えております。多様化もしてきております。これは、JASSOさんの統計を見れば、本学だけじゃなく大学全体がそういう傾向にあるのかなと思っていますが、人員をそう簡単に増やすというところもなかなか難しい面もございますので、今のところは役割の見直しというところで、この円の中側に真ん中に線を引いて、専門スタッフと事務スタッフということでそれぞれ役割を分けてこれまで運用してきましたが、それを今はこの線を取っ払って、専門スタッフの方も、もちろん主としては専門的なことをしておきながら、忙しいときには、予算であったりとか環境整備であったりとか、そういうことに対しても力を貸す、協力する。事務スタッフも、専門スタッフを補助して、できる限りのことはサポートさせていただくというような、この境を曖昧にさせていただいてセンター全体で支援するという体制に今取り組んでいます。これは始めたばかりで、まだどういう効果が出てくるのかというのはこれからの検証になろうかと思っています。こういうふうに役割を見直したことによって業務の可視化・共有も進めさせていただいておりまして、まず、センターの中でのミーティングを定例化して、強化しました。1週間に一度開いているわけですけども、あった内容を全員で共有しております。あと、本学は学生さんとの面談を一番大切にしておりまして、その面談に対しても、人によってぶれが生じないように面談要領というものを作成しております。そしてもう一つ、これは学部、特に先生との連携フローということで、オープンキャンパスとか、あるいは高校生からいろんな相談を受けたときに、先生とこういうふうに連携して、学部と本センターとで連携して取り組むというフロー、時系列的なフローも含めて作って対応しております。
 以上が経緯でございますが、最後、まとめといたしまして、本学の場合は、偶然かもしれませんが、いろんな契機がございました。そして、その中で迷走して、試行錯誤の結果、教職員ガイドラインにたどり着いたというのが本当のところであります。本学、今も、これまでもずっと、学長のリーダーシップというところで歩んできた大学でございまして、こういうガイドラインのような柱があるほうが全学的に前に進むというような文化といいますか、風土というのがあります。私も長い間勤めさせていただいておりますが、そういうふうに感じておりまして、ほかの大学さんにおいてもそれぞれ文化・土壌があると思いますので、それに合ったものを取り組まれるのがよいのかなと思います。
 最後に、この図でございますが、三角形の上のところに教職員対応ガイドライン等ということで、ガイドラインの柱が決まりました。現在はその下のところで、先ほど御紹介しましたパンフレット、ウェブサイト、面談要領、学部等との連携フローということで、これ、三角やら四角やら星あるいは五角形のものを入れております。これ、うまくここでまだ整理ができていないと、まだやっているところで、きれいにできていないというようなイメージに取っていただければと思います。今ちょうど第三次まとめというところで取り組まれているということですので、またこれを参考にこの中身のところを整理していけたらなと考えております。今ちょうど第2の模索期というのに入っているのかなと、自分ではそのように考えております。
 拙い説明でございましたが、少しでも参考になればと思います。これをもって終了させていただきます。ありがとうございました。
【竹田座長】  山田様、ありがとうございました。非常に先進的な取組について興味深く拝聴いたしました。
 ただいまの御説明に対しまして、それでは、委員の皆様方から御質問等よろしくお願いいたします。白澤委員、よろしくお願いします。
【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。御報告どうもありがとうございました。お伺いしたいのですが、お話しいただいた内容とも一部被るかもしれないですけれども、教職員の対応ガイドラインというのは、私立大学では作成が義務にはなっていないものだと思うんですね。現状としては、対応指針があって、そこに沿っていけばいい状況になっていると思うので、アドバンストな取組だと思うんですけれども、私立大学なのに「ガイドラインが必要」ということで、作成に至った経緯がお分かりになれば、ぜひお話しいただければと思います。それから、さっき少し、「ガイドラインがあることで、これが柱になって前に進む」とおっしゃいましたけれども、その具体的な内容について、こうしたガイドラインを私立大学であっても作成していくことの意義や効果につながることかと思いますので、もう少し詳しく教えていただけるとありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。
【京都産業大学教学センター事務部長】  御質問ありがとうございます。うちも随分前の過去のことを探りながら、議事録なんかを読み返していろいろ見てきたわけですけれども、一言で言えば、先ほども言いましたように、うちの大学、こういう柱とさっき申しましたけども、こういう一番トップのものをつくっていくという、何かそういう文化的なものが存在していまして、それと、随分、模索期、迷走期ということで、これは本当に障害のある学生さんにも協力していただきながら、あれでもない、これでもないというふうに修正していった中で、今までのノウハウというものをちゃんと何かでまとめておかなければいけないという結論に来ておりまして、その中で最後に至ったのがこのガイドライン策定ということになっております。なかなかこれというところが言えないところは難しいですけども、いろんな試行錯誤の上、ここに至ったということでございます。
 以上でございます。
【竹田座長】  よろしいでしょうか。
 それでは、南谷委員、よろしくお願いいたします。
【南谷委員】  大学入試センターの南谷でございます。本日は大変勉強になるお話をありがとうございました。ガイドラインもさることながら、定期的に勉強会を開いて諸々の整備を進められていらっしゃったということに障害学生支援体制に対する真剣味を特に感じさせられました。 私からは、障害学生教育支援センターのスタッフ構成というか、スタッフの位置づけみたいなことについてお伺いしたいと思います。私、視力ゼロの視覚障害者でございまして、資料の図を拝見できていないので、それを見れば分かることなのかもしれませんが、支援センターは事務スタッフと専門スタッフで構成されていて、今はその垣根をできるだけ取っ払うような形で、柔軟に多くの障害学生に対応していけるようにしようという方向性で色々試みていらっしゃるというように理解しました。
その上でお伺いしたいのは、事務スタッフというのは、学内のいろんな部署を何年か置きに回りながらキャリアを形成して、全体を統括するような立場になっていかれるような職員の方なのかなと理解しています。他方で、専門スタッフと言われるのは障害学生支援に特に通暁した方々なのかと理解しております。今後の障害学生支援を発展させていく上では、後者、障害学生支援を専門とするような人員のキャリア形成とか安定雇用みたいなことをかなり考えていかなければいけないんじゃないかなという問題意識が私にはございます。現在、特に専門スタッフとされるような人というのが、この支援センターでどういう立場で働いていらっしゃるのか、どういう形でキャリア形成をしていらっしゃるのかという部分を、もう少しお話しいただければ勉強になります。よろしくお願いします。
【京都産業大学教学センター事務部長】  現在、おっしゃったように事務スタッフ2名おります。これも御説明いただいたとおり、いろんな部署を回る事務の専任スタッフでございまして、今いるスタッフは比較的長く障害のほうにおりますが、いずれ替わっていくという状態にあることは間違いないことでございます。私を入れると3名ということになります。専門スタッフは、1名が専任のスタッフでございまして、公認心理師、臨床心理士の資格を持った者でございます。そのほか常勤で来ていただいているのが4名、これは公認心理師、臨床心理士、社会福祉士、精神保健福祉士という、何かしらのこれに関する知識・資格を持ったスタッフ、全部で5名で対応させていただいております。事務スタッフも、うちの大学は山手のところにありまして、車椅子を利用されている学生さんなんかはしんどいところがありますので、そういうヘルプがかかったときには事務スタッフでも応援に行けますので、そういういろんな面でも手伝うようにしております。
 以上でございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、殿岡委員、よろしくお願いします。
【殿岡委員】  殿岡です。まず、今日は、京都産業大学の皆さん、御参加いただき、ありがとうございました。貴重な報告を皆さんに聞いていただけて、とてもうれしく思います。
 私からは、少しだけ補足をし、最後に一問、質問をしたいと思うんですけれども、京都産業大学さんは、当センターの調査にも過去14件全て回答いただいていて、ボランティア活動室があった頃から、その活動の豊かさを見させていただいてきました。特に、例えば発達障害のポイントテイクというのがまだ一般的でなかった時代から、恐らくは京産大さんが初だと私は思っていますが、発達障害学生のポイントテイクを始めたりとか、そういったボランティア活動室の自由濶達な気風が様々な配慮に向けて発展していく原動力になるんだなと思っています。
 そして、京産大さんがそこにとどまらなかったのは、そこからガイドラインを通して組織化に完全に成功していったという力だと思っています。実は第二次の検討会のときも京産大さんはよく傍聴に来られていて、傍聴の前後で私と面談の時間を取ってしていたことも懐かしく思うんですが、当時から外の動静と、それから自分たちの大学の発展過程というのをきちっと整理しておられる様子を拝見してきました。そういう下地があったからこそ、今回の教職員ガイドラインができたのかなと思っております。
 長くなりましたが、私からの質問は、教職員対応のガイドラインを運営していく中で、実際の教職員の皆様からどのような意見が上がってきたか。今後に向けてそれをどう生かしていきたいかという辺りを、ぜひコメントいただけたらうれしく思います。
 殿岡は以上です。
【京都産業大学教学センター事務部長】  どうもありがとうございます。ガイドラインですね、なかなか難しいといいますか、一番分かりにくいというか、分からないことが一番不安なのかなと感じていまして、今も日々取り組んでいるのが、先ほども言いましたように、どうしたら皆さんに分かりやすく伝えられるかなということでございまして、パンフレットとか講演会、新しい先生が入ってこられるときの講演会は、毎年、障害支援のほうで時間をいただくという約束になっておりまして、十分に説明をして御理解いただくというような、さっと何かできるということはなかなかございませんので、少しずつ地道に広報活動・周知活動を続けていくことしかないのかなと思っています。少しずつ理解していただいて、協力をいただける先生も増えてきましたので、手応えのところは感じている状況でございます。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、最後に、矢澤委員、よろしくお願いいたします。
【矢澤委員】  仙台高専の矢澤と申します。貴重な御発表ありがとうございました。私、高専で非常に小規模な組織にいるもので、イメージをつかむために質問させていただきたいのが、8枚目のスライドで学部との連絡会という、これからのこと、支援の可視化のところですけれども、それで教員からの相談・問合せが増加って、1万5,000人規模の10学部もあるマンモス大学だとこういうのは非常に重要だろうなと思うんですが、この連絡会というのは、まず、定期的に何か会議としてやっているものなのか。あと、10学部あるわけですけれども、学部別なのか。学部別だとすると結構大変だなと思ったものですから。それから、もちろん、それぞれ障害学生がいる場合にスポットで連絡を取り合うこともあると思うんですけれども、そういうときに学部との連携・連絡、センターとの連絡は非常に、絶対に重要ですが、何か、お話しできる範囲でいいですけど、こういうところが大変だとか、苦労されることがあったら教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【京都産業大学教学センター事務部長】  おっしゃるとおり、10学部ございますので、基本的には個別で、学部で対応ということにしています。支援を申し出てくる学生を取りまとめまして、当該学部の学生については、例えば経済でしたら経済の学生、こういう学生がいますよということをまずは事務室と共有するようにしています。事務室から先生方を通じて報告が入ることになっております。これが1つ、手間は相当かかりますが、やっております。あと、先ほど言いました個別ですね。支援がかかる学生さんについては個別にさせていただいて、その症状についての勉強会みたいなものも一応一部開催しておりまして、心臓が悪ければ、ペースメーカーのお話とかそういうことの理解を一緒に勉強しましょうということもやっておりまして、確かになかなか時間がかかっておりますけども、何とかやっている状況でございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 改めまして、山田様、貴重な情報の御提供ありがとうございました。御礼申し上げます。
 それでは、続きまして、筑波大学、大村先生より、「高等教育機関の障害学生支援におけるキャンパスソーシャルワーク」について御説明いただきます。それでは、大村先生、よろしくお願いいたします。
【筑波大学人間系障害科学域助教】  今、御紹介いただきました、私は筑波大学の大村と申します。本日はキャンパスソーシャルワークについてお話をしたいと思います。
 私自身は筑波大学の教員で、教育組織の所属です。障害学生支援の部門では、ソーシャルワークのスーパーバイザーという形で関わっています。それから、東京大学のPHEDでは、SIGと呼ばれるテーマ別の検討部会がありまして、今日のテーマであるキャンパスソーシャルワークという名称のSIGもあります。私はそのキャンパスソーシャルワークのSIGのメンバーの1人として、同じくメンバーでいらっしゃる、今日こちらにいらっしゃる村田先生とともに検討してまいりました。私は、筑波大学での実践の経験と、それからPHEDでのキャンパスソーシャルワークに関する議論を御紹介する形で、委員の皆様に話題提供したいと考えています。今日は機会をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
 キャンパスソーシャルワークですが、ここでは大学でのソーシャルワークを指します。私は、障害学生支援部門が持つべきキャンパスソーシャルワークの機能についてお話をします。ソーシャルワークは、よくソーシャルワーク専門職である社会福祉士や精神保健福祉士によって行われるものと考えられがちですが、大学がソーシャルワーク専門職を配置すればそれでよいというわけではないと思っております。キャンパスソーシャルワークは、典型的な場面としては、法律や制度が異なる複数の社会資源を活用するような、そういう障害学生がいる場合に機能を発揮します。ここで典型的な場面と申し上げましたのは理由がありまして、キャンパスソーシャルワークの機能は決して特別な学生のためだけのものではないからです。キャンパスソーシャルワークは、障害のある学生が修学生活を含む生活をコントロールするのを支えます。大学は、キャンパスソーシャルワークを中核的なマインドセットとか機能として捉える必要があると私は考えています。
 まず、ソーシャルワークについて簡単に説明をさせていただきます。教育分野では、ソーシャルワークという用語とか概念とか職業、学問分野について十分に知られていないと思いますので、ごくごく簡単にですが、お話ししたいと思います。ソーシャルワークが専門職的な活動として始まったのは、近代都市が出現した19世紀の中頃からです。世界各国にソーシャルワーカーがいて、専門職の団体があります。日本でも4つほどの団体が日本ソーシャルワーカー連盟を構成しています。IFSW(国際ソーシャルワーカー連盟)は、そうした各国のソーシャルワーカーの専門職の組織の連合体です。国連では、経済社会理事会とUNICEFの特別諮問組織に位置づいています。日本では社会福祉士と精神保健福祉士の国家資格があり、これらはソーシャルワーク専門職と呼ばれています。ソーシャルワーク専門職は名称独占です。これは実はポイントでして、業務独占ではありません。つまり、ソーシャルワーク専門職でなくてもソーシャルワークを行うことができます。登録者数ですが、社会福祉士と精神保健福祉士を合わせまして約40万人です。40万人のイメージですが、最近の学校基本調査によれば、全国の小学校の教員数が約42万3,000人ですから、それよりも少し少ないぐらいという有資格のソーシャルワーカーが日本にいるという、そういう規模感です。伝統的には、生活困窮とか児童、高齢、障害の分野で非常に脆弱な対象者に対して、施設や事業所でサービスを提供するということを行っています。比較的大きな規模の病院にも大抵ソーシャルワーカーがいます。患者の退院援助や退院後の生活支援、医療費・生活費などの経済的問題の解決などを行っています。最近では刑事司法、これは刑務所や少年院、検察庁ですが、そういったところや産業分野、それから学校でも、ソーシャルワーカーが活動するようになっています。
 ソーシャルワークとは何かということですが、国際ソーシャルワーカー連盟の定義では、下線部ですが、人々が生活課題に取り組んでウェルビーイングを高めることができるように、様々な構造に働きかけます。それから、日本学術会議の委員会による定義では、質の高い生活(QOL)や個人のウェルビーイングの状態を高めるということを目指していくとされています。この2つの定義から、人間のウェルビーイングを高めるための活動ということになりますが、少し分かりづらいので、次のスライドで図を使って説明します。
 ソーシャルワークでは、人と環境について独特の視点を持ちます。人は環境との間で絶えず交互作用を行っていて、環境への適応を図りながら生きています。環境にも幾つかレベルがありまして、パートナーや家族、友人といったミクロの環境、コミュニティ、職場、サークル、団体といったメゾの環境、社会、慣習、制度、法律、国家といったマクロの環境とありますが、人はこうした様々なレベルの環境との間で絶えず交互作用を行っています。本人の生物的な状況や心理的状況が変化したり、置かれた環境との間で不適になって不調和が生じる場面がありますが、本人は環境との適応努力をします。しかし、自身の力や状況によっては環境に適応しづらいときもあります。こんなときに、ソーシャルワークはその人の支えの一つになります。ソーシャルワークには大きく3つの介入があります。2番目の介入は、環境そのものに働きかける介入です。ケアを導入するとか、居所を変えるといったことです。それから、1番目の介入は、本人に心理的な介入を行ったり、それから生物的な介入、医療的な介入は行えるようサポートしたりといったことです。また、本人が環境との間で交互作用するんですけれども、この交互作用自体がうまくいかない場合には、この交互作用自体に介入していくという3番目の介入をするということもあります。「状況の中にいる人(Person in the situation)」という言葉は、ソーシャルワークの世界観を端的に表しています。一人一人、人間は異なる環境・状況の中で生きているという、そういう物の見方です。
 どのようなことを目標にするのかということですが、Duboisらは大きく4つの目標を掲げました。人間の問題解決能力や対処能力を強化すること、クライエントと資源との橋渡しをすること、ソーシャルサービスを提供できるネットワークを改善すること、そして社会正義を推進すること、この4つです。
 そのために持つべき機能ということですが、この機能は、アセスメントをしたり、それから相談や援助をしたり、代弁(アドボケート)したり、そういったこと。それから2つ目です。組織化や紹介、ネットワーキングの機能。3つ目は、管理や運営、スーパービジョン、関係者の調整の機能。4つ目として、政策提案や研修、資源の開発といった機能。こういったものがソーシャルワークの機能であると言われています。
 これを大学というフィールドに置き換えて、この中でのソーシャルワークというものを考えていきたいと思います。我々は、PHEDのSIG-キャンパスソーシャルワークで議論をして、クオリティ・インディケーターという形で、資質や能力や行動のあるべき姿を確認してきました。そのクオリティ・インディケーターから読み上げていきたいと思います。大学における障害学生支援は、断片的な情報による短期的な問題解決にとどまるものではありません。より総合的かつ中長期的なプロセスを意識した対応が必要です。2つ目です。障害学生支援部署やその担当者においては、全てのプロセスにおいて学生との対話が最も重要です。そして学生自身が自己決定する、それを尊重するという態度が必要です。3つ目です。障害学生支援は、大学における権利保障の取組でもありますが、それと同時に、学生をエンパワーメントする、そういう象徴であると考えるべきです。4つ目です。有効に連携したり、既存の資源では足りない場合には創出する、こういったことも重要になっていきます。
 そして、クオリティ・インディケーターとして大きく8つ、ここで整理をしているわけですが、先ほどお示ししたソーシャルワークの機能の図にこのキャンパスソーシャルワークで行うことというのを少し位置づけて見ていきたいと思います。まず、御本人に対するアプローチですが、人に対するアプローチということですけれども、人に一番近い場所ですね、1番と4番って書きました。障害学生自身が生活や環境をコントロールする力をつけるのを支えるということ。それから、4つ目です。学生の生活全体を意識して、学外での生活との接続を考慮した支援を行うということです。また、あまりミクロの環境に入っていくということはキャンパスソーシャルワークでは行わないのですが、メゾの環境と接続をするということはよくあることです。2番、7番、3番、8番という形で上から読んでいきます。障害学生が修学に必要な支援を構築し、実施をするということ、これは障害学生支援における合理的配慮の提供ということです。それから7番です。入学前相談を受けて、入学後の生活に向けた準備について伝えるということ。3番目です。障害学生の修学支援に必要な学内組織との連携。8番目です。大学コミュニティにおける理解や意識、文化の改善に貢献するということです。また、社会、慣習、制度、法律、国家といったマクロの環境との接続でいいますと、5番と6番が相当するでしょうか。5番目は、法律、制度、資源、それからアシスティブテクノロジーなどを理解して活用できる。6番目です。地域資源と連携し、不足する場合は開発する。こういったことを私どもではクオリティ・インディケーターとして、キャンパスソーシャルワークの視点を整理しております。
 このキャンパスソーシャルワークのクオリティ・インディケーターを具体的にどのような場面で行っているのか、少し事例を通して御紹介させていただければと思います。
 まず1例目ですけれども、こちらの事例は加工を両方ともしております。1事例目は難病の学生ですが、学年が進行するにつれて身体の機能障害が重くなってきて、座位の保持が厳しくなってきたという学生です。この方は、資格取得のため、学外での実習の相談という形で接続をされました。こちらは、教育組織は、学生が安易に資格取得するということになると教育組織としても非常に困るということがありますので、非常にリジッドな実習の指導をしています。しかし、このリジッドな実習指導というのが、本人の機能障害と不適になっておりました。そこで、学生本人の意思を確認した上で、教育組織と障害学生支援部門、そして本人で話合いを行いました。具体的には、教育の本質変更に当たらない範囲で代替手段について検討を依頼して、その際には法的な根拠を示しました。その結果、教育組織は、実習先での車椅子の利用とか、駐車場の確保、守秘義務を課した上でヘルパーやノートテイカーの同席、そういったことを実習先と相談したり確保したりしてくださいました。また、この方が使っている車椅子は体調がよかったときに作ったもので、簡易電動だったんですけれども、これが今、非常に疲労が激しく、実習期間中にずっと車椅子で座位保持しているというのが難しい状況でしたので、ティルト・リクライニングの機能やストレッチャー式の車椅子の選択肢というのを御本人に提示しました。それから、家族が全て送迎するのが難しい事情があるということもお聞きしましたので、地域の資源、福祉サービスを活用するということについてアドバイスを行いました。この地域の福祉サービスですが、先ほど油田さんからもありましたけれども、移動支援のほかに、重度訪問介護や、自治体によってはそうではないサービスも含めて、どこの自治体に住んでいるのかでかなり考え方が違います。かなりテクニカルな調整ということになるかと思うんですけれども、こういった考え方や手段について説明をすること、手続について案内をすること、それからホームヘルパーを実際に探すための考え方や方法、こういったものをお伝えしました。また、自治体との連絡調整も行われました。幸い、自治体には自治体の理学療法士がおりまして、車椅子の試乗であるとか、レンタル業者への接続まで自治体でしていただいたということになります。また、障害支援区分の変更もしなければならなかったのですが、こちらも比較的スムーズに進みました。しかし、申請してからどのぐらいで変更できるのかという大まかな見通し感が分からないと、実習までに間に合うのか、間に合わないのかといったことが分かりません。こういった見通し感を御本人に提示したり、それから、御本人が実習に向けて向き合えることができるように進めていったということになります。当初、実は、自身の身体機能の低下から合理的配慮の提供そのものを遠慮したり、それから躊躇したりする場面も見られました。しかし、本質変更ではない合理的配慮や資源を活用した学びを選択できるということを繰り返し説明してエンパワーした、そういう事例です。
 2つ目の事例は、発達障害の学生の事例ですが、認知の特性や本人のこれまでの経験から心理的に非常にストレスを抱えて、また家族との人間関係も悪い、生活のコントロールを完全に失っていた、そういう事例です。また、食事のコントロールも含めて精神科以外の通院も必要で、本人にとってそれもストレスになっていました。そういった様々なストレスや陰性感情を特定の教員に頻繁に伝えて依存的な関係になっていたと、そういうことがありました。これに関しては少し交通整理をさせていただきました。大学での授業の履修や提出物、定期試験やレポートの進捗、こういったものは教育組織が、それから、本人や家族との連絡調整ができるように援助したり、また、訪問看護や訪問介護のサービスを導入する、こういったところのお手伝いをさせていただきました。現在では、訪問介護や訪問看護の使い方についても御本人自身で時期に応じてコントロールして利用されている、そんな事例です。
 こういったことをお話ししますと、先ほど申し上げた8つのキャンパスソーシャルワークの機能ですね、こういったものを一つ一つ取り上げることはいたしませんが、こういったことを使いながら支援している姿が御覧いただけるように思います。
 こちらは、そういった様々な支援やサービスを使っている御本人を取り巻く環境を整理したものです。右側の緑色の部分は大学です。こちらは教育組織が上側、それから下側が障害学生支援部門です。そして、御本人をめぐっては地域の資源を多様に活用しますので、こういったものの交通整理が非常に難しくなるということがあります。相談支援事業所を中心に自治体や各サービス提供機関とつながっていただきますが、そちらと大学が有機的に連携できるような、そういう関係整理・交通整理をするというのが私の役割だったかなと思っております。
 ソーシャルワークで大事にしたいこととその効果ということについて、最後、御説明したいと思います。まずは、個性と価値の支持ということです。これは、個性を承認したり、ダイバーシティーを尊重したりということです。人間性の承認という効果があります。右側ですが、自己決定の促進です。これは、代替手段を開発したり、選択肢を示したり、役割について詳細に説明したりということです。このことによって、パートナーシップをつくることができたり、本人の対処能力を向上することにつながります。左下ですが、中立的かつ受容的なコミュニケーションです。ストレングス視点で、積極的に傾聴し、共感するということです。これは、開放性(オープネス)や、警戒心の低減ということにつながります。そして最後は、客観性の獲得です。御本人が自分自身に関する視座を獲得するということにつながります。ソーシャルワークではこういったことを大事にしているわけですが、キャンパスにおいてもこういったことを自然とやっている場合も当然あるかと思いますし、キャンパスソーシャルワークということを意識しながらやっている場合もあるかと思うのですが、こういう観点が重要になると考えています。
 最後のスライドになりました。本日のまとめになります。高等教育機関における障害学生支援部門が持つべきソーシャルワークの機能についてお話をいたしました。キャンパスソーシャルワークは、典型的には、法や制度などの根拠が異なる複数の資源を活用することがあり得るような障害学生の修学を含む生活をコントロールするのを支えることができます。しかし、そういう複数の資源を使う障害学生の支援のためだけのものではありません。ソーシャルワークは社会福祉士や精神保健福祉士によって行われるものと考えられがちですが、障害学生支援においては、ソーシャルワーク専門職を配置すればそれでよいということではなくて、障害学生支援を行う上での中核的なマインドセットや機能として捉える必要があると考えています。
 拙い説明で大変恐縮ですが、以上で報告を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
【竹田座長】  大村先生、どうもありがとうございました。キャンパスソーシャルワークの求められる幅広い機能について、大変分かりやすく御説明いただいたかと存じます。
 ただいまの御説明に対しまして、委員の皆様方から何か御質問等ございますか。では、中野委員、村田委員の順でお願いいたします。
【中野委員】  慶應大学の中野です。非常にすばらしいお話ありがとうございました。私も常々、障害学生支援においてソーシャルワークの視点がとても大切だと思い続けてきましたので、今回の御説明をお聞きし、とても感激しております。それから、ソーシャルワークがどういう役割かということについても非常に明確に整理をしていただいて、大変ありがたかったと思います。
 その上でお聞きしたいのが、障害学生支援では、心理職、特に、カウンセラーが関わっているケースも少なくないのではないかと思います。例えば、学生相談室等が関わる形で障害学生支援を行っているような大学もあると思うのですが、カウンセラーとキャンパスソーシャルワーカーの連携の仕方、それから、どういう連携をするとうまく障害学生を支援できるのかということについて、先生のお考えがありましたらお教えいただけると非常にありがたいです。よろしくお願いします。
【筑波大学人間系障害科学域助教】  中野先生、御質問どうもありがとうございました。先生がおっしゃるとおり、心理職が配置されるということは大変多いかと思います。それから、古い大学ほどソーシャルワーク専門職の育成をしていないという、つまり、ソーシャルワークが新しい学問であるので、古い大学はあまりソーシャルワーク専門職に対することを御存じでないことが多くて、私も実は、慶應義塾の出身ではあるんですが、ソーシャルワークという用語を知ったのは大学を卒業してかなりたってからということになっております。なので、どうしても心理職をベースとした支援が中心になるということも理解をしております。役割とか、それから連携の在り方ということですけれども、心理職の方々というのは、人間の生物的な部分、それは脳の機能も含めた生物的な部分であるとか、それから人の心理、それから感情、その心理や感情の生活への影響、こういったことについて非常によく御存じでいらっしゃる。それから、場合によっては検査を取ることもできたりということも大きな強みだと考えています。
 一方、ソーシャルワーカーですけれども、生物的・心理的な介入ももちろんするのですが、むしろ、そういったことはそういった専門家の方にお任せさせていただいて、そして社会支援の開発や開拓、それから社会資源との接続、そういったところについては非常に知識や技術があり、それから調整をする能力もたけている方が多いのかなと考えております。福祉の分野というのは、実はかなり地域によって見解が違うということがありまして、それが分かりづらさの元凶でもあるんですけれども、それが魅力でもあるというところでもあるのですが、そういったところも含めて、ソーシャルワーカーでは、その地域、地域に合った特性を生かした形での展開というのを考えてもらえる、そんな機能を果たしていただけるのではないのかなというふうにも考えております。
 お答えになっているかどうか分かりませんが、以上です。
【中野委員】  中野です。ありがとうございました。今の御説明で非常によく分かりました。特に社会資源の開発や接続をしっかりとやっていく必要があるというのは、障害学生支援では必要不可欠だと思いますので、ぜひ今後、ソーシャルワークという視点が広がっていくとありがたいと思いました。どうもありがとうございました。
【竹田座長】  それでは、村田委員、よろしくお願いします。
【村田委員】  村田です。大村先生、ありがとうございます。私もよく一緒に仕事をさせていただいていますが、整理したお話を皆さんに届けていただいて感謝しております。今のお話をいろんな方がお聞きになっていらっしゃると思うんですけども、大学でのコーディネート業務、ソーシャルワークというのが、ある意味、非常に高度なものだという実感があったんじゃないかということ。そして、大村先生が一貫しておっしゃっていたのが、個人へのコミットだけではなくて、組織とか、場合によっては地域社会へのコミットが求められると。そうなってくると、取ってつけたように誰かを連れてきたらソーシャルワークができるかというと、そういうのは難しくて、大学の中でも育成していく、又この分野で育成していく。そして、きちっと安定的にそういう人たちを配置していく。このようなことも大きな課題ではないかなと思っています。そういったことに向けて、大村先生から見て、今のこの分野の人材育成上あるいは配置上の課題というようなところに何か御提言があれば、お伺いできればと思いました。
【筑波大学人間系障害科学域助教】  村田先生、御質問どうもありがとうございます。人材育成ということですと、まだまだ、人材育成で最初の障害学生支援を始めた方々が引っ張ってこられて、その後、若い方々が少しずつ入ってきているという状況かと思っています。十分に障害学生支援の真髄を理解した状態で入ってきている方ばかりではないですし、それから、そういった方々が高等教育機関で障害学生支援をしてすぐ別の機関に行ってしまうということになりますと、土壌を形成したり、それから関係機関と関係を築いたりというところで、かなり困難が生じるのではないかと考えています。なので、障害学生支援の部局に入職をした後、ステップアップをしたり、人材育成をしたり、そういったことをしていくことは必須になるかと思います。その中でソーシャルワークの機能についても、障害学生支援部局にいる者としては恐らく必須の機能になるのではないかと思いますので、そういったことを学ぶ機会なども必要になってくるのかなと思っております。
 以上です。
【竹田座長】  それでは、殿岡委員、よろしくお願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。大村先生、今日は貴重な発表をありがとうございました。障害学生支援という枠組みの中で、こういったソーシャルワークということがきちっと取り上げられていくということ自体もなかなかないことなので、皆さんに聞いていただけてとてもよかったと思っています。
 この分野は、障害を持っている当事者の利用者にとって決定的に重要なことはもう言うまでもないですが、加えて、実は障害学生当事者の中でこういった社会福祉士とか精神保健福祉士を取ってこの分野のプロフェッショナルになっていこうと思う方が多い分野でもあります。それについては、障害学生支援の分野の中で障害当事者が最も働ける可能性の高い職種の一つだと思っています。一方で、まだ社会福祉士とかの国家試験とかそういったところの合理的配慮というのは、大学入試に比べてもまだ後れている部分がありますし、周りの環境というか、働く環境についてもまだまだこれから開発していかなきゃいけない分野だと思っています。広く資格試験に関する合理的配慮についてはまた別の機会になるかもしれませんが、貴重な人材が再び大学で働くことができるための道筋というのが見えてきたらいいなと思って、その辺り、そして加えて、ソーシャルワークがまだない大学が新たにソーシャルワークを組み入れていくときに、どういったことが必要なのかという辺りをぜひコメントいただければと思います。
 殿岡は以上です。
【筑波大学人間系障害科学域助教】  殿岡さん、御質問どうもありがとうございました。新たにソーシャルワークを組み入れていくときの考え方や、どんなことが大事なのかということですけれども、なかなかソーシャルワーク自体が理解されづらかったり、よく分かっていなかったり、そのこと自体の理解もなかなかまだ十分ではないところもあると思いますので、そういったことを知っている人が1人入っているとか、あるいは、先ほど殿岡委員からも御説明があったとおり、当事者の方でそういう資格を持っていたり、それから当事者の視点から合理的配慮の提供などについて十分に分かっていたりアドバイスをできる方、そういった方がいるというのは有力な選択肢の一つかなと思っております。
 それから、障害学生支援部局にいるということだけではなくて、地域の社会の中にも相当ピアスタッフを配置するとか、障害のある方自身が事業所を経営するといったことも増えてまいりました。CILという団体がありますけれども、自立生活センターですが、全国にありますけれども、こういったところを有効に活用したり、大学も連携したりしていくということも、大きな力になるのではないかなと考えております。
 以上です。
【殿岡委員】  ありがとうございます。
【竹田座長】  それでは最後に、神藤委員、よろしくお願いいたします。
【神藤委員】  関西大学の神藤でございます。大村先生、今日の御発表ありがとうございました。本学でも、どちらかというとカウンセラーではなくて社会福祉士であるとか精神保健福祉士の福祉の考え方で学内のそういう支援を進めていきたいなということでずっとやってまいりましたので、今日の御発表、すごくまとめていただいた感じで、日頃やっていることがこれでよかったんだなというふうに何か納得できるような内容でした。ありがとうございます。
 感想みたいになってしまうんですけれども、本学では、心理相談をする部門と、障害のある学生に対する修学支援をする部門、両方の部門が一緒になって、今、仕事をさせていただいていまして、情報共有がかなり進んできて、連携できてきています。その連携が進むことによってまた新たに生まれてくる課題も出てきています。あと、宣伝みたいになるんですが、本学では、コーディネーターと事務職員が常に二人三脚で支援に当たるというふうにしております。これはなぜかと申しますと、コーディネーターは専門家でありまして、大体、恐らく学外から来られて専門的なことをやってくださる。そういう方は、学内の仕組みであるとか、大学の中で当たり前であることをあまり御存じないということが多いので、その辺のところを職員がコーディネートする。コーディネーターは専門的なところをコーディネートする。その2つが合わさって日々支援が重なっていって学内構成員に様々なことが伝わっていく、そういうふうになってきたかなと考えています。
 本学は、学生の修学についての困り事を聞き取って、コーディネーターが学びについての環境調整を行うというようなスタンスです。カウンセリングですと、何か治るとか治すとかそういう発想になってしまうんですが、そうではなくて、その困り事についてどういうふうに環境を調整していくかというようなことを一生懸命やっているような感じです。この考え方が広まっていったらいいなと思います。これからもよろしくお願いいたします。
 以上です。
【竹田座長】  神藤委員、ありがとうございました。
 それでは、本日のヒアリングのテーマは一旦ここで区切ることとしたいと思います。本日のヒアリングのテーマでいただきました御意見、三次まとめの作成過程の中で必要に応じて改めて議論することとしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 改めまして、本日のヒアリングに御参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。
 それでは、次の議事「第三次まとめの骨子等について」に入ります。事務局より資料5の説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  資料5を御覧ください。前回いただいた御意見を踏まえまして修正したものとなっております。具体的には、2ページ目の「7.大学等連携プラットフォーム等の枠組みの更なる活用に関すること」ということで、プラットフォームの後ろに「等」を追記したものになっております。
 修正点は以上でございますが、御意見等ございましたらどうぞよろしくお願いいたします。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 骨子については、前回の御意見を反映した内容となっていますが、もし追加で何かあれば、この場で御意見をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、この骨子を基に第三次まとめの原案作成を引き続き進めてまいりたいと思います。
 それでは、前回ヒアリングをいたしました高橋委員の御説明に関しまして、検討会終了後、メール等でいろいろ御議論をいただいた経緯がございますので、本日は、高橋委員に補足の御説明をいただくことをお願いいたしました。それでは、高橋委員、よろしくお願いいたします。
【高橋委員】  信州大学の高橋です。前回の発表に関しまして、最後のほうで少し時間が足りないというようなこともありまして、メールにおいて委員の皆様に補足的なことを発信したりもしておりました。そしてまた、それに対する様々な御意見等もメールで寄せられたりといったことがこの間ありました。ただ、そのメール等のやり取りも非常に意義のある中身の濃いやり取りがなされているかなとも思うんですけれども、そういったところは議事録にも反映されないところもありますので、ただ、具体的なお名前とかは入れない形で、こういった意見がありましたけどということで、それらのやり取りを簡単に紹介させていただきたいと思います。
 まず、合理的配慮における根拠資料というのが私の話題提供の一つのポイントだったわけですけれども、その根拠資料が法的に必要なのかとか、法律に記載されていないというような御意見がありました。ここで言う根拠資料というのは、法律的に規定されたものかどうかということは違うかなと思っております。法律で規定された合理的配慮の提供をするために、現場でどう運用していくかという、そういった議論なのかなと思います。海外の例ですね、海外の様々な国の高等教育機関における障害学生支援のサイト等を見たときに、「documentation」という言葉がほぼ必ず入ってきております。ここで言う根拠資料というのは、その「documentation」の訳ということになるかなと思うんですけれども、各大学が法律に沿った障害学生の権利保障、支援をしていくに当たっての手続としての「documentation」であると、そういったことなのかなと思います。
 それに関連するところもあるんですけれども、そういった「documentation」の内容として、特別支援教育での対象者の判断とか、そういったところも参考になるのではないかという御意見もいただきました。また、関連して、図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン、そういったガイドラインにどう対象者を確認していくかといったようなこともあると、そういう情報提供もいただきました。今のお話でいうと、そのガイドラインに当たるところの議論というのが、こちらの検討会における議論なのかなと思います。法律そのものということではなくという意味ですね。
 あと、そういった根拠資料に関して、必要性ですとか、具体的にどういったものがというところは、第二次まとめのところでかなり時間をかけて議論し、また、まとめられているところです。それについては、それを踏まえて、ただ、それを運用していくところでどのような課題があり、そして今後どのようなことに取り組んでいけばいいのか、そういったことがこの三次まとめに向けての論点ということになるのかなと思います。
 そういった中で、アメリカの事例として、専門性のある担当者が障害を現認することで、根拠資料はなくても合理的配慮を提供できるというようなアメリカの例もあって、そういった情報提供もいただきました。実際に、アメリカの障害学生支援部署においてそのようなことを明示している大学というのもありますね。そういった例なども見ますと、それは妥当なことかなと思いますし、それは実際、二次まとめにおきましても、専門家が現認できるという状況であれば根拠資料に関わらず支援を提供していくと、そういったことは記載されておりますので、まさにアメリカの例にもあって、沿っているものなのかなと思うところです。
 ただ、海外の事例を今お話ししましたけれども、海外の大学で求めている「documentation」の例を見ると、今言った現認、明白なものは根拠資料不要という例はあったんですが、それ以外の「documentation」の例はほとんど診断書を求めているんですね。そういったところで考えたときに、この二次まとめで示された根拠資料の例というのは非常に柔軟なものであり、幅広いものであるということで、非常にリジッドな対応になって学生が不利益を受けないようにするというために、よいガイドライン的なものになっているのかなと思うところです。
 最後に、こういった根拠資料の扱い等に関して、根拠資料がなければ合理的配慮を全く行えないですとか、合理的配慮をするために根拠資料はなくてもやらなきゃいけないとか、そのような極端な議論になってしまうと、結局、学生が不利益を受けたりとか、現場が混乱したりとかということもある。そういった中で、結局は、障害のある学生にとって、障害のあるなしに関わらず、利用できる大学の学生支援のリソースというのはたくさんあるわけですから、そういったところで大学内の連携をしながらタイムリーに、支援が必要であるという学生がいたときにタイムリーに支援を提供していくこと、こういった体制を柔軟に行っていくことが必要なのかなと思いますし、これは三次まとめの中でも具体的に入れていっていいのかなと思うところです。
 一方で、試験等においては、現状でそういった柔軟な根拠資料の例が示されているにもかかわらず、診断書に結構依存した判断も行われているところかなと思います。そういったところもむしろ柔軟に運用していくことで、二次まとめに示されたような形で柔軟に幅広く運用していくことで、むしろ合理的配慮の対象も広げられるのではないか、そういったことも入れられるとよいのではないかなと思います。
 ということで、私からのお話は以上になります。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。根拠資料というキーワードで、1つは手続上の観点からの御意見、もう一つは適切な合理的配慮を提供するための目的とか必要性とか、あるいはそれに伴う課題という、2つの議論が意外と一つの同じ言葉で、キーワードで、委員の先生方の捉え方によって同じものを表と裏から見るような側面もある、非常に概念的な部分も難しいものかと思います。ただ、今、高橋委員おっしゃったように、一次まとめ、二次まとめを通じて、根拠資料の課題、必要性等々については非常に重要なテーマとして議論が続いてきておりますので、三次まとめの作成過程の中でもこれは継続して議論をしていきたい内容かなと思います。本日は時間がございませんので、また追加の御意見等は委員の皆様方から事務局にメール等でいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後ですが、資料6、当面の検討会のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  資料6を御覧ください。次回第5回は、9月15日(金曜日)15時から17時、オンライン開催となっております。また、第6回も日程が固まっておりまして、10月26日(木曜日)10時から12時で、こちらもオンラインで開催する予定でございます。
 今後、第5回、第6回の検討会でヒアリングということで、特に障害学生の就職等の支援に関することでありますとか、入試における合理的配慮に関すること、それから学内の学生支援部署の連携に関すること等についてヒアリングを行いたいと考えております。また、骨子などでほかにも項目がたくさんございますが、ヒアリングを行わない項目につきましては、今後、第三次まとめの内容を審議する過程で御議論いただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、11月以降の検討会につきましては、可能な限り対面で開催し、文科省にお越しになることが難しい方につきましてはオンラインで参加いただくという、ハイブリッドの形で実施したいと考えております。日程の確定のために早急に日程の照会をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。だんだん議論が詰まってきましたら、できるだけ対面で密度の濃い議論が進められればと思います。また調整をしたいと思います。
 本日の議事は以上ですが、そのほか、会合全体を通しまして御意見等ございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後に、事務局から1点御報告がございますので、よろしくお願いいたします。
【小栗補佐】  事務局でございます。当課課長の藤吉が8月8日付の人事により異動いたしますので、この場をお借りして皆様に御挨拶させていただきます。
【藤吉課長】  学生支援課の藤吉でございます。この会議、毎回傍聴いたしまして、毎回、大変濃密な議論だったと思っていまして、これぐらい濃密で、中身の濃いというか、激しい意見交換をしていただいた会議って、私、今までなかったぐらいだと思っています。先生方のプレゼンはもとより、今日の学生さんですとか学校現場の皆様方の声を伺えて、本当に障害を持った学生さんへの支援の重要性を改めて感じた次第です。
 これからいよいよ三次まとめに向かっていくと思いますけれども、引き続き御議論いただきまして、いい三次まとめにしていただきたいと思っております。
 短い間ではございましたけれども、本当にどうもありがとうございました。
【竹田座長】  藤吉課長、どうもありがとうございました。
【藤吉課長】  ありがとうございました。
【竹田座長】  それでは、次回も引き続きヒアリングと議論を進めていきたいと考えております。今回同様、ヒアリングに御対応いただく方や御説明に御協力いただく委員につきましては、私のほうで事務局と調整して委員の皆様にお伝えしたいと思います。
 以上で、「障害のある学生の修学支援に関する検討会(第4回)」を終了いたします。どうもありがとうございました。
 

―― 了 ――