障害のある学生の修学支援に関する検討会(令和5年度)(第1回) 議事録

1.日時

令和5年5月18日(木曜日)10時30分~12時30分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 検討会の開催について(非公開)
  2. 座長の選任等について(非公開)
  3. 本検討会での論点等について
  4. その他

4.議事録

(会議の冒頭、出席委員の了承のもと、竹田委員の座長選任等について検討会として決定。)
  
【小栗補佐】  説明の前に、今、会議を傍聴されている方々に御案内をさせていただきます。事前に申請いただきました報道機関の方におかれましては、配信映像を利用されたい場合、ただいまから事務局による説明時間の中においてスクリーンショット等を行ってください。この時間以後、スクリーンショットについてはお控えいただければと思います。なお、本検討会につきましては、情報保障の観点から、配信画面上に字幕を表示しております。視聴環境等により画面上の字幕が見づらい場合などは、事前にお送りしております字幕案内に掲載しているURLからも字幕の閲覧が可能ですので、併せて御利用ください。ユーチューブ配信概要欄にも該当のURLを記載しておりますので、そちらからもアクセスが可能です。
 では、資料3に沿って御説明いたします。1ページ目を御覧ください。こちら、日本学生支援機構の調査による各年5月1日現在の障害のある学生の大学、短期大学、高等専門学校における在籍者の数でございます。10年間で約4倍の増となっており、特に精神障害、発達障害の数が大きくなっております。
 2ページ目、令和3年度の障害のある学生の在籍者数・在籍校数です。高等教育機関全体で約323万人の学生のうち、障害学生数は4万744人、その在籍率は1.26%、また、障害学生のうち、学校が何らかの支援を行っている支援障害学生数は2万1,767人、全体に対する在籍率は0.67%となっております。
 続いて、3ページ目でございます。こちらは障害者施策の流れでございます。平成29年3月の本検討会による第二次まとめの取りまとめ以降、平成30年3月には第4次障害者基本計画が閣議決定されました。また、令和3年6月には障害者差別解消法の一部を改正する法律の公布がございまして、今年の3月14日には、第5次障害者基本計画及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の改定が閣議決定されました。今後、6年の4月1日には、先ほどの差別解消法の一部を改正する法律と、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の改定が施行される予定でございます。これによって、私立大学における合理的配慮の提供が義務化されるという流れになっております。
 続いて4ページ目でございます。障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の概要でございます。御承知のとおり、第8条2項が改正されまして、私立大学における合理的配慮の提供が努力義務から義務となるのが大きな変更点でございます。
 続いて6ページ目を御覧ください。こちらが、3月に閣議決定されました障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の概要でございます。赤い字の部分が、現在の基本方針から新たに変更や追加のあったところでございます。左側の黄色の四角の中の2番の「不当な差別的取扱い」のところで、社会的障壁を解消するための手段、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当するということ、また、不当な差別的取扱いに該当する、しないと考えられる事例が新たに追加されております。
 また、3番の「合理的配慮」として、建設的対話・相互理解の重要性、社会的障壁を除去するための必要かつ実現可能な対応案を障害者と行政機関・事業者等がともに考えていくためには、建設的対話を通じ、お互いの状況の理解に努めることが重要、合理的配慮の提供義務違反に該当する、しないと考えられる事例、環境の整備、合理的配慮を行うための、主に不特定多数の障害者に向けた事前的改善措置などが追加されております。
 また、右側の真ん中の緑色の四角の第4「事業者が講ずべき差別解消措置に関する基本的な事項」というところで、「主務大臣は事業者による合理的配慮の義務化を踏まえ、所掌する分野の特性に応じたきめ細かな対応を行う」としており、2番の「対応指針」として、不当な差別的取扱い・合理的配慮の考え方、具体例、事業者における相談体制・研修・啓発・制度整備、主務大臣の所管する事業分野ごとの相談窓口といったところが追加されております。
 続いて7ページ目、障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針等の改正についてです。差別解消法に基づき、先ほど御紹介した基本方針に即して、文部科学省が所管する分野における事業者が適切に対応するために必要な事項を定めた告示が対応指針となります。こちらにつきましても、現在改正に向けて取り組んでおります。
 続いて、9ページ目でございます。こちらは同じく、今年の3月に閣議決定されました第5次障害者基本計画の高等教育部分に関する抜粋でございます。青字の箇所が第4次基本計画からの変更箇所ですが、第4次基本計画では「配慮」とされていた文言を全て「合理的配慮を含めた必要な配慮」に変更されております。
 また、2つ目の菱形のところにございます紛争の防止、解決等に関する調整機関の設置、それから、障害学生支援担当者のところに、「専門知識や技術を有する障害学生支援担当者」といった形で文言が追記されております。
 続いて10ページ目でございます。こちらが第5次基本計画における成果目標でございます。第4次基本計画の目標を踏襲しておりますが、オレンジ枠で囲った項目を中心に、達成率の向上が課題となっております。
 続いて、11ページ並びに12ページは、本検討会における第一次まとめ及び第二次まとめの概要です。第一次まとめでは、合理的配慮の考え方について主に取りまとめを行いました。また、第二次まとめでは、差別解消法の施行を踏まえ、各大学が取り組むべき主要課題等について取りまとめております。
 13ページからは、第二次まとめ以降の文部科学省における障害者関係施策について御紹介いたします。令和元年7月に、「障害者の生涯学習の推進方策について」が通知されまして、「大学等に期待される取組」といった内容が盛り込まれております。その中では、「大学等が提供する公開講座等における不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供」ということで、「大学等においては、実施するオープンカレッジや公開講座等において、不当な差別的取扱いを行わないようにするとともに、合理的配慮を提供することが期待される」。また、「知的障害者等の学びの場づくり」として、「大学等には、多様な学生の受入れを通じた教育研究の一層の高度化の観点からも、地域や社会への貢献の観点からも、特別支援学校等を卒業した後の障害者の学びの場としての役割を果たすことが求められている。これまで行ってきたオープンカレッジや公開講座、障害のある学生に対する支援を一層充実していくことが期待される。特別支援学校等卒業後の組織的な継続教育の観点や、一旦就職した障害者が職業生活の充実や仕事のスキルアップのために学ぶ障害者のリカレント教育推進の観点からも、大学等における知的障害者の学びの場づくりについて、諸外国の事例も参考に、国との連携も図りながら積極的な取組を検討していくことが期待される」とされております。
 14ページ目でございます。平成30年4月に文部科学省において取りまとめられた障害者活躍推進プランにつきまして、令和2年7月に、高等教育に関する新たな政策プランが追加されました。14ページの一番下のオレンジ色の枠のところでございます。15ページが、その詳細になっております。
 具体的には真ん中の四角になりますけれども、「大学間連携等による障害学生支援体制の強化」「障害学生支援の好事例やロールモデルの収集・展開」「学生に対する『心のバリアフリー』の取組の促進」「大学等の執行部等に対する合理的配慮等についての周知啓発」などが盛り込まれております。
 続きまして、16ページは令和5年度の障害者施策関係の予算でございます。まず、障害のある学生の修学・就職支援促進事業として3,500万円が盛り込まれております。こちらで大学等が連携するプラットフォームを形成し、大学等からの相談に対応するとともに、地域における障害学生支援のネットワーク形成への支援や、好事例・ロールモデルの収集・展開などを通じた障害ある学生の修学・就職支援の推進を行っております。
 また、国立大学運営費交付金や私立大学の経常費補助金などにおいて、基盤的経費における措置も行っております。また、施設のバリアフリー化など改修の観点から、国立大学等施設整備費や私立学校施設整備などの予算も措置されております。また、日本学生支援機構における学生生活支援事業として、日本学生支援機構における取組も行われております。
 17ページ目は、障害のある学生の修学・就職支援促進事業の概要でございます。東京大学と京都大学を拠点として実施しておりまして、大学や学生等からの相談への対応、地域における障害学生支援のネットワークの形成支援・連携、好事例やロールモデルの収集・展開、効果的なピアサポートの事例収集・展開を行っております。
 18ページ目は、日本学生支援機構の取組でございます。学生支援機構においては、大学等における障害のある学生の修学支援に関する実態調査をはじめ、各種理解・啓発セミナーや専門テーマ別セミナー、実務者の育成研修会でありますとかハンドブックや事例集の作成などを行い、各大学のサポートを行っております。
 最後に、御参考として19ページを御覧ください。こちらは、令和3年に文部科学省が大阪教育大学に委託し、調査研究を実施し、障害のある学生の教育実習における合理的配慮に関する対応マニュアルとチェックリストを取りまとめました。障害のある学生全般に共通する教育実習での合理的配慮に関する対応や留意事項のほか、障害種別に特化した対応や留意事項をまとめており、各大学が障害のある学生の教育実習を円滑に実施する上で参考となる情報を掲載し、各大学に周知したものでございます。
 続いて20ページになります。視覚障害者等の読書環境の整備に関する法律、いわゆる読書バリアフリー法が令和元年6月に施行されました。21ページ目になりますが、これに伴い、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画が策定されまして、特に真ん中下の水色の四角になりますが、「施策の方向性」といったところで、1番目の「視覚障害者等による図書館の利用に関する体制の整備等」、これはバリアフリー法の9条の関係でございますが、こちら、基本的な計画の本文には具体的に書いておりまして、全国の大学等の障害学生支援を担う施設は、大学図書館に類する役割や機能を有する施設であれば、著作権法施行令において、視覚障害者等のために、複製が認められるものとして位置づけられることについて大学等に周知するとともに、大学等の図書館と学内の障害学生支援担当部局等の関係部局との情報共有を促進し、相互の連携を強化するといったことが盛り込まれております。
 以上、駆け足になりましたが、資料3の説明を終わります。スクリーンショット等の実施可能時間はここまでになります。この時間以降のスクリーンショット等はお控えください。
 以上でございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
【村田委員】  村田ですが、よろしいでしょうか。
【竹田座長】  よろしくお願いいたします。
【村田委員】  失礼いたします。京都大学の村田です。御説明ありがとうございます。今の説明資料のページで言うと7ページ目に当たりますが、今後、各省庁、文科省で対応指針の策定を進められるという御説明があったかと存じます。この点についてですが、文科省の対応指針のアップデートがどのようなプロセスで改訂に向けて動かれているのでしょうか。以前であれば、検討するための委員会を実施されていたかと思いますが、今回の改訂のプロセスについて、どのような見通しか教えていただければと思いました。
 また、対応指針のリリースの時期ですが、7ページ目の資料には来年の改正法の「施行日に向けて」という表現があるんですが、4月1日以前に改訂された対応指針が公開される見込みがあるのかないのか、このあたりの見通しについて現段階で御説明が可能であればお願いいたします。
【小栗補佐】  事務局でございます。本日は、こちらを取りまとめている特別支援教育課が出席しておりませんので詳細は申し上げられませんけれども、現段階においては、まだそこについては未定となっておりまして、この場でのお答えについては差し控えさせていただきたいと思います。
【村田委員】  村田です。ありがとうございます。本検討会も引き続き実施されていくかと思いますので、どこかのタイミングでそのプロセスやリリースの見込みが分かれば教えていただければ幸いです。ありがとうございました。
【竹田座長】  そのほか、いかがでしょうか。
 それでは、白澤委員からお願いします。その後、殿岡委員、お願いします。白澤委員、お願いします。
【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。2点ほど質問させていただきたいんですけれども、提示いただいた資料の15ページにあります、中ほど、緑色のところです。単独ではなく組織的なアプローチによる支援ということで、障害学生支援の好事例やロールモデルの収集・展開とあるんですが、これはプラットフォーム事業の中に含まれていると考えてよろしいでしょうか。
 2点目は、その次の16ページにあります予算ですけれども、上から2番目の国立大学における障害のある学生に対する支援に関する予算ということで計上されていますけれども、こちらについてももう少し詳しくお聞きしたいと思っております。国立大の障害学生支援の予算というのは、既に基盤経費として一般経費の中に組み込まれているかと思うんですけれども、それ以外に何らかの形で、大学の実態に合わせて配分するといったような予算ということでしょうか。詳しいところを教えていただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
【小栗補佐】  事務局でございます。まず、最初のロールモデルなどが含まれているのかということにつきましては、資料3の17ページにもございますが、障害のある学生の修学・就職支援促進事業の事業内容として、好事例やロールモデルの収集・展開といったものが含まれております。また、国立大学運営費交付金における措置につきましては、今年度の予算については、障害学生支援分として、ご指摘のいわゆる一般経費ではなく措置しているところでございます。
 以上でございます。
【白澤委員】  そうなんですね。ということは、障害学生の人数等に応じて、国立大学のほうに調査して追加している形ということですか。
【小栗補佐】  障害学生の人数に応じた形での措置ではなく、これは体制整備ということで、障害の体制整備に必要な経費として措置しておりますので、障害学生の人数に応じた措置ではございません。
【白澤委員】  では、このような体制がありますかということで調査をして、それに基づく配分というような形になるんでしょうか。
【小栗補佐】  はい。
【玉川係長】  事務局でございます。補足させていただきます。国立大学運営費交付金については、記載のとおりですが、障害者基本計画の各成果指標の項目に基づき、各国立大学の取組状況を確認し、それに応じて障害学生支体制整備に必要な経費として予算措置させていただいております。
 以上でございます。
【白澤委員】  ありがとうございました。
【竹田座長】  それでは、殿岡委員、お願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。私からは2点あるんですけれど、まず1点目が、資料のページで言うと1ページ目、障害のある学生の在籍者数のところ、基礎データですが、その他の障害の中に知的障害が一定数含まれていること、これについては以前から私も把握しているところですが、知的障害の学生の数について、次回でいいので、集計を出していただけると今後の議論に活用できると思いますので、ぜひ支援機構さん、準備をお願いできればと思います。
 それから、予算に関しては、さっき白澤さんからも指摘があったので、私からもぜひもう少し細目が分かるような資料がありましたら出していただければと思います。
 もう1点目は、15ページ目のところで、学生に対する心のバリアフリーの取組ということで事業があるんですけれども、内閣府でも心のバリアフリーとはということで議論があって、これは基本的には障害の社会モデルの理解のことであるということが内閣府の会議でも確認されているところですが、心のバリアフリーの取組として、障害の社会モデルの理解がきちっとされているかどうか、もし分かればお答えいただければと思います。
 以上です。
【小栗補佐】  最初の点につきまして、日本学生支援機構さん、もし何かあればお答えいただけますでしょうか。
【独立行政法人日本学生支援機構】  日本学生支援機構でございます。こちらのほうで確認させていただいた上でお答えいたします。
【竹田座長】  その他の内数なので、すぐ難しければ、これまでの統計データのより細かい御紹介ということですので、その他データの内数は後日でもよろしいでしょうか、殿岡委員。
【殿岡委員】  後日で構いません。一定数在籍していることは確認できておりますが、公式統計としてぜひ御提出いただければ幸いです。後日で結構です。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
【小栗補佐】  2点目の心のバリアフリーのことについては、こちらも確認して、また後日、御回答させていただければと思います。
【竹田座長】  よろしくお願いします。
【殿岡委員】  よろしくお願いします。
【竹田座長】  それでは、時間も限られております。ただいまの御説明につきましては、この後も、基礎資料になるようなものがほとんどかと思いますので、今後の検討会において、適宜御質問、御紹介等をいただければよろしいかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、本検討会での論点、これが本日の一番のメインテーマかと思いますが、御議論いただきたいと思います。事務局におきまして論点と考える事項を資料4に整理していただいてございますので、まず、事務局から資料4について御説明をお願いしてよろしいでしょうか。
【小栗補佐】  それでは、資料4について御説明いたします。
 まず、ローマ数字1番、検討会の目的についてでございます。二次まとめ及び改正障害者差別解消法の施行を踏まえた、高等教育段階における障害のある学生の修学支援の在り方について検討し、その検討結果を第三次まとめとして公表するというのを本検討会の目的としております。
 また、ローマ数字2番目、検討の対象範囲でございます。第三次まとめにおける検討の対象範囲は、第二次まとめからの記載事項の継続性を考慮し、基本的には踏襲することとしてはどうかとしております。参考として、第二次まとめの対象範囲でございますが、まず、学生の範囲につきましては、我が国における大学等に入学を希望する者及び在籍する学生とし、学生には、科目等履修生・聴講生等、研究生、留学生及び交流校からの交流に基づいて学ぶ学生等も含む。障害のある学生の範囲、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある学生。学生の活動の範囲、入学、学級編制、転学、除籍、復学、卒業に加え、授業、課外授業、学校行事、課外活動、サークルの活動等を含むへの参加、就職活動等、教育に関する全ての事項。また、上記とは直接に関係しない学生の活動や生活面への配慮、通学、学内介助、食事、トイレ等、寮生活等に関する事項。なお、教育とは直接関係しない学生の活動や生活面の配慮については、参考となる配慮事例の提示などをもって紹介したいと考えております。
 また、その他として、学生に関係する保護者や介助者、支援補助学生を含む等への配慮に関する事項。なお、障害のある学生の範囲で言っている障害につきまして、障害の根拠資料に関する考え方については、改めて本検討会において整理することとしてはどうかとさせていただければと思います。
 また、ローマ数字3番目、検討事項の整理。以下の項目に従って検討を取りまとめることにしてはどうかとして、なお、検討に当たっては障害者政策委員会における障害者基本計画や、現在改正中の対応指針との整合性にも留意するとしております。
 1番目、第一次まとめ及び第二次まとめにおいて各大学等が取り組むべきとされた事項の現在までの取組状況を整理してはどうかとして、まず、第一次まとめにおいて関係機関が取り組むべきとされた短期的課題と中長期的課題について。それから、次のページ、第二次まとめにおいて関係機関が取り組むべきとされた事項として、教育環境の調整、初等中等教育段階から大学等への移行、大学等から就労への移行、大学間連携を含む関係機関との連携、障害のある学生への支援を行う人材の養成・配置、研修・理解促進、情報公開。
 2番目として、上記の状況及び第二次まとめ以降の障害者施策を踏まえ、以下の事項に基づき重点的に検討を行い、安定性と継続性のある大学等の体制整備、学内の連携体制の構築の在り方についての考え方を整理してはどうか。
 そして、「検討すべき事項」として(1)障害学生支援の基本的な考えに関すること。論点案、不当な差別的取扱いに関する理解に関すること、大学等として合理的配慮をどのように捉えるべきか、合理的配慮提供に関わる大学等の責任と建設的対話の重要性に関すること。
 (2)学内の体制整備や合理的配慮の提供に関すること。論点案として、支援体制の構築と学内での浸透に関すること、合理的配慮の提供における課題等に関すること、合理的配慮におけるICT機器等の活用に関すること、学内における支援人材の配置・育成に関すること。
 (3)紛争の防止・解決に関すること。紛争の防止・解決のスキームに関すること。入試における合理的配慮の提供に関する紛争の防止・解決に関すること。
 (4)大学等と地域・社会資源との連携に関すること。論点案、障害学生支援における地域・社会資源との連携に関すること、地域の障害学生支援ネットワークの活用に関すること、大学等連携プラットフォームの枠組みのさらなる活用に関すること。
 (5)障害学生の就職支援に関すること。論点案、障害学生に対する就職支援に関すること、学内の学生支援部署の連携に関すること、学外の支援組織との連携に関すること。
 以上を論点案とさせていただいております。御議論のほう、どうぞよろしくお願いいたします。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは、まず最初に、1番目の検討会の目的についていかがでしょうか。これは特に御異論ないかなとは思うんですけれども。よろしいでしょうか。ありがとうございました。そうしたら、検討会の目的に関しましては、この原案のとおりで進めさせていただければと思います。
 続きまして、検討の対象範囲ということになります。第二次まとめからの継続性を考慮するということで、基本的には踏襲ということではございますが、根拠資料のところでは当然御議論いただけるといいかなと思いますし、一次まとめ、二次まとめでも当初の段階では一番検討対象になった部分でもございますし、先ほど殿岡委員がおっしゃられたような社会モデル、あるいは法の趣旨等々を含めて、こういう具体的な記載をどこまでするかということによる影響も大きい部分ではあるかと思います。いかがでしょうか。委員の皆様方から御意見をいただければと思います。
 中野委員、よろしくお願いいたします。
【中野委員】  慶應大学の中野です。学生の範囲についてなんですが、これまでの議論の中でも、在学する学生の中に、通信教育で学んでいる学生も含むというような議論が行われてきておりますが、今回記載されている内容だけを見ると、通信教育の学生が含まれるかどうかが伝わりにくいと思います。これまでの経緯を十分に確認しておられない方の中には、通信が含まれるかどうか悩まれる方もおられるのではないかと思いますので、通信教育を受けている学生も含まれることが明確に伝わるようにしていただけると非常にありがたいと思います。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。前回は放送大学の役割なんかも少し話題に上ったりして、そういう観点でも、通信教育の在籍者ということも対象になっていたように、たしか記憶してございます。そのほか、いかがでしょうか。
 南谷委員、よろしくお願いいたします。
【南谷委員】  大学入試センターの南谷でございます。私、今回が初めてで、文脈を捉えていない発言をしてしまうかもしれませんが、恐らく今回の委員の中で、アカデミックポストにいる障害当事者というのは多分私一人なので、そういう問題意識からも質問というか、確認をさせてください。
 中野委員同様、学生の範囲の問題ですが、この学生というのは当然、大学院生、博士前期課程、博士後期課程まで含む、及び大学院の狭義の学生にとどまらない、教育を享受しようとしている障害のある人たち全般まで含むという認識でよろしいでしょうか。
【小栗補佐】  事務局でございます。通信課程も含めて、大学院生も全て含むと理解しております。ただ、確かに明確にはなっておりませんので、そこについては今後記載を考えたいと思います。
【南谷委員】  ありがとうございました。ここで何か結論を出してもらおうとは思わないんですが、例えばPD、ポストドクターの人とかはどういう立場になるのかなと。私最近、障害のある研究者の環境整備にちょっと興味を持っていまして、いろいろと考えるところがあります。ちょっと議論を拡散してしまうかもしれないので、こういうような問題設定もあり得るということを言うぐらいに、頭の隅にとどめていただければと申し上げた次第です。ありがとうございました。
【竹田座長】  そうしたら、殿岡委員、白澤委員の順でお願いいたします。
【殿岡委員】  殿岡です。私からは、南谷委員の補足になるんですけど、第二次まとめの今後の議論が望まれる課題の中で、2つ今の話と関係しているところがあります。1つは、南谷委員がおっしゃった関連で、障害のある教職員の支援、ポストドクターなど、教える立場と学ぶ立場で、もちろん法制的にはこれは厚労省管轄だからという縦割りがあるとは思うんですが、ただ、今、南谷先生がおっしゃったことは学びと切り離すことができないと思いますので、少しでも議論に入ってくるといいのかなという確認です。
 もう一つは、対象者は基本的に原案でいいと思うんですが、原案が採択されるのであれば、障害のある留学生の支援ということが対象から導き出すことが可能です。これは文科省がずっと、世界をリードしていく科学技術とか研究ということをこの間、何年間も言っていますので、それであれば、世界から優秀な障害学生が集まってくるということは当然想定されるべきで、障害のある留学生支援は検討範囲からも考えていいのかなと思います。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、御意見をどんどんいただきたいと思いますが、白澤委員、お願いいたします。
【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。対象範囲のところでよいのか、もしかしたら後の体制整備の部分に当てはまるかもしれないんですけれども、先ほど中野先生からも少し言及があった今回、私立大学が義務化されるということで、「通信教育」を含む様々な大学の形態について検討の範囲に入れていく必要があると思うんです。私立大学の場合、国立大学のように、一定数の学生が集まった4年制大学で、かなりの規模があって運営している大学だけではない、様々な大学の形態があるかと思います。例えば小規模大学もあるでしょうし、短期大学や単科大学、あるいは先ほどお話に上がった通信教育課程など、いろいろな形態の大学が対象になっていると思うので、この点、今回の議論の中で踏まえておかなければいけないと思います。
 同様に、学習の場面としても、オンラインあるいはオンデマンド授業もあります。この辺りは、今、新しく加わってきた部分で、十分な合理的配慮がなされているとは言い難いような場面なども見受けられますので、こういった学習形態についても言及が必要になってくるのかと感じます。なので、こちらに含めるのか、後ほどの体制整備のところの議論に加わるのか分からないですけれども、私立大学の多様性を踏まえた議論はぜひとも今回の検討会で扱っていっていただければと思います。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか、対象範囲につきまして。
 村田委員、お願いします。
【村田委員】  先ほどの中野委員と今の白澤委員の話に追加するような意見になるのですが、通信教育過程で学ぶような学生も想定して、もし具体的な追記を増やすというような検討がなされるとすれば、同様に少し漏れがちなというか、誤解が生じがちなところで、いわゆる単位互換の学生についても追記等、御検討いただけるといいかと思いました。
 単位互換については、どういう協定やネットワークに基づいてやっているかはそれぞれだと思いますが、課題になりやすいのは誰が合理的配慮等の責任を持つのかというような課題です。それぞれのシチュエーションが異なると思いますので、現時点でどちらが持つべきだというところまでの言及は難しいですが、そのような学生も対象になるということがここで言及されていれば、合理的配慮等の責任をどちらが持つべきなのかという議論も進むのではないかと感じました。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。これは、先ほどの留学生なんかともちょっと関係してくるかもしれないかなと思いながら伺っておりましたが、いかがでしょうか。今いただきました御意見なんかも踏まえて、この辺はもう一度、事務局である程度整理をしていただいて、次回、改めて御提示する形になるかと思いますが、そのほか、大丈夫でしょうか、対象範囲についてということで。
 あと、根拠資料については、これは非常に大事な点ですので、こういう方たちだけをもちろん対象として議論するわけではないと思いますので、これはこの後の検討事項の中で、また検討する機会が恐らくあるかなと思いますので、こういう学生だけを対象ということではないという理解でよろしいでしょうかね、皆様方。手帳等、根拠資料が既にあって、持ってきている方だけを対象とするとしてしまうと多分、今までの議論の継承というか、踏襲ということからちょっと離れていってしまうということと、法の趣旨から少し誤解されるリスクもあるかなと思うんですが、いかがでしょうか。その辺も委員の皆様方の共通認識としていただければ、そういう形で、具体的な根拠資料については、この先も引き続き、この検討会で御議論いただくということで進めさせていただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、3番目の検討事項の整理について移らせていただきたいと思います。こちらのほうで御意見を、一番多く取ってございますが、よろしくお願いします。
 柏倉委員、よろしくお願いします。
【柏倉委員】  桜花学園大学の柏倉です。よろしくお願いします。この資料の中に、最初に書いてありますけども、現在、文部科学省において改正中の対応指針との整合性に留意するというところ、とても重要なことだと感じております。先ほど村田委員からも、対応指針の状況についての御質問がありましたけども、それとも関連するんですけども、この整合性というのが非常に気になるところであります。2016年に施行されたときも、私、私立大学におりますので、各大学でいろいろ相談を受けて、どういう準備をしていったらいいのかといったときに、この対応指針というのは国から出ているものなので、一つのスタンダードとして各大学が、特に私立大学はこれを基にいろんな整備を進めてきたという経緯があって、検討会のまとめは、文書をしっかり読んでいただいて参考にしていただくことは重要なんだけども、むしろこの対応指針というのは、大学の経営者にとっては非常に大きなスタンダードということで、影響力が強いと思っています。
 以前は、この対応指針の検討会も開かれて、広く大学の関係者、学識経験者から意見を集めてつくられたもので、とてもいいものができたのではないかと、私も委員として加わって感じていたところなんです。今回、部署が特別支援教育課、初中局でやられるということは以前と変わらないと思うんですけども、そちらでやっているので、よく分からないような発言もあったかと思うんですけども、もし整合性をきちっとするのであれば、進行状況をきちっと両者照らし合わせていくとか、キャッチボールをしながらやっていかなきゃいけないのかなと思っていて、例えば委員会に出ていただいて、初中局での進行状況を確認しながら進めるですとか、こちらで検討したことと特別支援教育課でつくられた対応指針、双方があっては、それはあり得ないと思うんですけれども、そういうことにならないようにぜひお願いしたいなというところを強く感じているところです。この辺り、進め方について、事務局のほうでお考えがありましたら、お示しいただきたいと思います。
 以上です。
【竹田座長】  事務局から、もし御回答あればお願いします。
【小栗補佐】  御指摘のとおりと思います。対応指針のことも踏まえて、そこは特別支援教育課ともしっかり連携を取りながら進めていきたいと考えております。
【竹田座長】  また、進行状況等も、今、動いているものだと思いますので、こちらの会でも共有させていただけるような形が取れればいいかなと思います。よろしくお願いします。
 近藤委員からお願いします。
【近藤委員】  近藤です。私も今の対応指針のところ、特に私立学校における対応指針のところで、これは意見というか、質問というか、ぜひ最初に共通理解をつくっておきたいなというところが1点ございます。私立大学は、差別解消法においては対応指針の対象ということになっているんですけれども、これが具体的にどういう意味を持っているかというのをぜひ共有していく、事務局でしょうか、共有していただけたらと思います。
 例えば、これまでも差別解消法においては、私立大学は対応指針の対象ということになっていたんですけれども、これは合理的配慮が努力義務だったせいかどうか分からないんですが、対応指針に書いてあることを私立大学は遵守するということを、私立大学自身が強く意識する形にはなっていなかったのではないかと思います。例えば、対応指針はかなり突っ込んだことが書かれていて、紛争調停に係る機関を置くことみたいなことまでも書かれているわけなんですけれども、そうしたことが私立大学で遵守するという形には特段なっていなかったかなと思いますので、本来的には、私立大学以外に求められている自発的なその大学における対応要領の策定ということが、自分のところではどこまでを何をどのように実施するのかを考えるという意味で必要なプロセスなのかなと思うんですけれども、差別解消法においては、職員対応要領の策定を求められているわけではございませんので、もしそれも継続的に求められないということであれば、対応要領を策定しない大学については、私立大学を主語とした場合に、私立大学が対応指針をどのように取り扱うのだという位置づけだと理解すればいいのか、対応指針の対象という言葉が何を意味しているかということを教えていただければありがたいです。
 例えば、今の対応要領の策定が現実的に今後私立大学でも進んでいくということがもしあるのであれば、国立大学法人においては、国大協が対応要領のひな形を作成して公開するということが、各大学での職員対応要領の策定の促進になったと思うんですけれども、例えば私立大学連盟さんであったりとか、私立大学団体連合会さんであったりとか、そういったところでもそのようなものがつくられたりとか、または、そのような自助努力を促していただけるような啓発といったことが文科省から行われるのかなということが気になっていたりもします。もちろん、そうした体制整備の状況においては、財政面の支援ということは、私立大学に対して行われることはとても大事だと思いますので、少し論点から外れることかもしれませんが、私学助成の拡充などからによって、今のような対応要領の、私立大学それぞれによる策定の自助努力が拡大されるとか、そういったこととかがあり得そうかというのを議論の俎上に上げたいと思っておりまして、まず、対応指針の対象ということの意味合いをここで共有いただけたら大変ありがたいと思いました。
 以上です。
【小栗補佐】  ありがとうございます。すみません、今の対応指針の位置づけ等につきまして、一旦事務局で整理させていただいて、次回の会議において一度御紹介させていただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。
【竹田座長】  じゃ、一応そういう形で進めていただければと思います。少し法的な、コンプライアンス的な部分もかなり大きな影響がある事項かなと思います。
 川島委員、何かコメント、この法の枠組みというか、制度的なものもあるので、もしコメントいただければ。指名で恐縮ですけど。いかがでしょうか。
【川島委員】  恐れ入ります。私立大学の場合、対応指針に沿って、各大学の主体性、自立性を尊重する形で、各大学が学内で障害学生支援規程等々を設けるというのが一般的かなと思うんですけれども、対応指針から逸脱するような内容の、障害学生支援規程や服務規程みたいなものが各大学で仮に設けられるとすると、それはよろしくない状況かなと。しかも、対応指針とかについての知識があまりなくて、そういったものがつくられるおそれもあるとしましたら、そこら辺の手当ては必要かなと思われます。
【竹田座長】  ありがとうございました。次回までに少し事務局でも御整理いただいて、御提案いただければと思います。
 それでは、殿岡委員、中野委員の順番でよろしいでしょうか。じゃ、殿岡委員、よろしくお願いします。
【殿岡委員】  殿岡です。今の議案とは関係してくるんですが、対応指針でやり切れないという大学は以前から実はありまして、法的にはもちろん義務じゃないんですが、私立大学で括弧つきの対応要領をつくりたいから委員として参画してほしいと、障害者としての意見を述べてほしいと言われて大学に伺った例もございます。なので、特に積極的な大学ほど、やはり全国1本の指針では到底やり切れないという意見が挙がっていますので、ここら辺も、個別事例を紹介できるかどうかはまたあるんですが、共有して、皆がやっていければと思います。国立大学は、対応要領に関しては、法的に国立大学法人がつくっていますので、大学のみならず、附属の図書館や附属の高校、中学や支援学校といった附属学校にも適用されていくものと法的にはなっています。私立学校が学校法人単位ということになっていくと思うんですが、そこら辺も法的に整理がついていないところもあるので、ここは事務局の方にも整理いただけるといいかなと思っています。
 殿岡は以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、中野委員、お願いいたします。
【中野委員】  慶應大学の中野です。まず最初にお願いなんですが、最初の部分に、「障害者基本計画(第5次)」との整合性等についての記載がありますけれども、そこに、国連の障害者の権利に関する委員会から、2022年10月7日に配付された「日本の第1回政府報告に関する総括所見」との整合性についても記載をお願いします。実は第5次の基本計画の議論のときには、総括所見について十分に議論する時間がなかったこともありますので、多分、今後、議論されることになるのだと思います。この議論の結果との整合性も考えていただければと思います。なお、国連からは、第24条、教育の箇所で、「大学入学試験及び学習課程を含めた、高等教育における障害のある学生の障壁を扱った、国の包括的政策の欠如」という懸念が示されていて、「大学入学試験及び学習過程を含め、高等教育における障害のある学生の障壁を扱った国の包括的政策を策定すること」が要請されております。もしかしたら今回の会議もその取組の一つなのかもしれませんが、今後、国の包括的政策が明らかにされた際には、その政策との整合性を考えていただきたいという意見です。
 それから論点に関するお願いなのですけれども、まず最初に、障害学生支援の基本的な考え方に関する記述に、皆さんの議論にもあったように、私立大学へのアプローチを、ぜひ、明記していただきたいと思います。特に私立大学に関してはこれまでと扱いが変わるので、周知を徹底すること、それから先ほどから議論になっている対応指針の改正を促していく必要があって、そのためのポイントを明確にした上で、普及啓発をしていくときに周知していく必要があると思います。
 それから、大学等として合理的配慮をどのように捉えるべきかという項目が今回論点の中に入っているのですけれども、その中で、配慮提供の責任の所在を明確にするための議論が必要ではないかと思います。事前的改善措置や合理的配慮の提供は事業所に求められているわけです。しかし、実務上、授業等を担当している個々の教員に配慮の依頼がなされ、もしそれぞれの教員が配慮を提供できない場合には、大学によって違うとは思いますが、障害のある学生が「担当の先生が配慮できないと言っているので仕方ないね」と言われて泣き寝入りをせざるを得ないような状況になることがあるようです。また、非常勤講師の先生方からすると、就業規則の中には、障害学生に関する支援まで規程されているわけではないところが多いので、そのために、相応の時間や労力に対する何らかの対価がないと支援をするのが厳しいというような声も上がっているようです。ですので、合理的配慮提供の責任の所在を明確にし、例えば就業規則に書くべきなのか、それとも、大学としての組織としての責任を明記すべきなのか等について、大学等として合理的配慮をどのように捉えるべきかの項目で詳細の議論をしていただければと思います。
 その他項目だけ紹介し、後で詳細はメールしますが、読書環境の整備のところで読書バリアフリー法の紹介ありましたけれども、読書バリアフリーはまだまだ進んでいませんし、誤解している方もおられます。例えば、点字は提供できるけど、テキストファイルやPDFの提供は法律上できないというような説明を学生にしているような大学もあるようなので、法律や制度を正確に伝えるための取組が必要だと思います。また、入試や定期試験についても議論が必要だと思います。入試や定期試験は私立大学も範囲に含めると、試験の形態がすごく複雑になります。試験が多様な形態になることことも考えると、この部分もかなり詳細を議論しなくてはいけないと思います。私立大学は国立よりも数が多く、大学全体の約8割に相当しますので、例えば、私立大学全てが、入試や定期試験等で点字の対応をすることになった場合には、多分、現状のシステムでは、対応しきれないのではないかと思います。そのため、国として、点字の試験に関する様々な制度設計を考えていく必要があるのではないかと思います。また、白澤先生からお話があった授業形態もいろいろと複雑で、特に、オンラインに関する取扱いをどうするかは重要だと思います。通学生の場合にはオンラインでの授業の時間数に制限がかかっていますので、障害学生の場合にこの制限を通常の学生と同じでよいのか、それとも合理的配慮として考えるべきかというようなことも詳細の議論の中では必要だと思います。
 最後、予算措置についてです。私立大学に関しては、支援室の設置や専属の教職員の配置が国公立ほど進んでおりません。国公立の場合には、第二次まとめで、支援室の設置等に関する言及がなされたことで推進されたと思いますので、私立大学についても同様の予算措置について、今後、議論をしていただければと思います。
 長くなりましたが、以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。とても大事なポイントを幾つも挙げていただいたかなと思います。権利条約との関係は確かに一番大事な点かと思いますし、私学への対応とか、あと責任の所在なんかも現場ではかなり大きな課題になっているかと思いますので、今御指摘いただいたようなことはぜひ反映したいと思いました。
 順番で、村田委員、白澤委員でお願いいたします。
【村田委員】  村田です。ありがとうございます。私からは各論的なところで意見を幾つか申し上げたいと思います。時間の都合もあると思いますので、簡潔に申し上げたいと思います。
 まず1つは、体制整備の構築が論点の中に挙げられておりますが、私も現場のコーディネーターないしHEAPというプラットフォーム事業で相談事業をしている中で、昨今、非常に強く感じるのが、配慮決定のプロセスの厳密化というものです。もちろん、合理的配慮の必要性や妥当性を探るプロセスで、きちっと根拠を基に検討・判断していくことは大事なことだと思います。一方で、判断のプロセスに時間がかかりすぎてしまい、合理的配慮の提供までに1か月も2か月も要してしまうという課題を伺うことがあります。例えば、学内で様々な委員会を厳密に通していくことに時間がかかったりとか、アセスメントのところで過度に時間がかかり過ぎてしまうような例もうかがっています。合理的配慮は、根拠が何らかの形で確認できて、妥当なことがすぐにでも確認できれば、極端に言えば即日でも実施されるべきものでもあると思っています。
 もちろん、組織としての正式なプロセスを経ることも必要かと思いますが、一方で大学側の仕組みとして、例えば「必ず1か月、2か月かかってしまう」というようなことがルールになっている、あるいは根拠資料に関しても、必要な配慮のメニューに対して過度な根拠というものを求め過ぎてしまうというようなことが支援の遅れにつながるおそれを感じています。体制整備に関しては、このあたりについての整理ができればと考えております。
 2点目は、専門的人材についてです。これは中野委員からもありましたが、支援の担当者について、昨今は数字上では増えているように見えてきます。先ほど事務局から御説明があった障害者基本計画の数字で言えば、96%ぐらいの大学で支援担当者を置いているということになっています。一方で、専門的人材が十分かと言われると、恐らく共通認識としてそうではないという実態がある。実際に、JASSOの統計調査において支援担当者の内訳などを確認していきますと、障害学生支援を専任としていて、かつコーディネーターという専門職を置いているのは、全体の10分の1ぐらいになってくるんですよね。1,100校ぐらい機関がある中で、百数十校ぐらいしかそういった人を置いている例はない。多くの場合は兼任ないし、調査の結果で言うと外部委託というようなことになっています。そうなってくると、そのほかの様々な達成すべき問題というものがなかなか進まないというのは、ある意味納得できるところになってしまいます。やはり専門的な人材を養成して、安定的に配置をする。そのような人たちの専門性の向上と権限の付与みたいなものを業界全体でやっていかないと、そのほかの各論的な問題の解決にもつながらないのではないかというのが私の実感です。是非、本検討会やその報告書を契機に、専門的人材の育成や安定的配置、そして、質を確保するための研修等の強化というものは進められたらと考えています。
 3点目は紛争の防止解決に関することです。紛争防止解決に関するフローをつくり上げていくのは非常に重要なことではありますが、一方で各大学等の現場レベルでは、紛争防止解決のスキーム、フローの最終的な持っていきどころについて十分に共通認識できていない状況があると思います。例えば、地域の中に最終的な問題解決の出口があるということが共有されていれば、大学としては、もちろんそこに至るまでにできることはあると思いますので、そこに至るまでの大学の中でのプロセスを構築して、それでも難しかった場合にはこういうところに出していくというような道筋が描きやすいのではないかなと考えています。
 最後に4点目です。就職支援に関する項目の黒ポツ3つ目、学外の支援組織との連携について言及がありますが、是非この部分に企業や自治体等、支援機関以外の機関等も書き加えていただけるとよいのではと思いました。企業や自治体等との連携によって就職支援というものが推し進められていけば、場合によっては支援機関の必要性というものが薄まる可能性もある、むしろ目指すべきところはそこなのかもしれないとも思いますので、ぜひ企業、自治体等というものも書いていただけるとよいのではと思いました。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。やはり重要な点、非常に多岐にわたって御指摘いただいたかと思います。また後で事務局のほうでも整理いただいて、盛り込めればと思います。
 御発言のない委員から順番に、先に御指名させていただきたいと思います。それでは、神藤委員、高橋委員の順で、その後、白澤、南谷、川島委員にそれぞれ御発言いただければと思います。神藤委員からよろしくお願いします。
【神藤委員】  関西大学の神藤でございます。先ほどからもみなさんおっしゃっておられますけれども、第二次まとめのときには、全国の大学の副学長レベルの方を呼び出して説明があったというか、通知があったと思うんです。今回も同様なことを実施していただきたいと思います。また、何回も出ていますが、私立大学への予算措置の話なんですが、予算措置をしていただくことと同時に、その予算は障害学生支援に使用するようにといった指示をしていただきたい。大学の中でどれだけの予算が配分されているかというようなことも分からずに障害支援室業務を行っているような大学もあるようですので、それはぜひお願いしたいと思います。
 先ほど白澤委員からおっしゃっていただきましたように、私立大学については様々な大学がございます。特に中小規模の大学で、このまとめが出来上がったときに、とても大きな重いものになってしまって、過重な負担というようなことが持ち出されて、何もできないという門前払いにならないように、何か発表の仕方であるとか、まとめ方であるとか工夫できないかなと思っております。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  信州大学の高橋です。検討すべき事項の中の具体的な項目に関して、幾つか手短にコメントしたいと思います。
 まず、(2)「学内の体制整備や合理的配慮の提供に関すること」の中に、学内の学生支援部署の連携に関することというのを入れるといいかと思いました。(5)の就職支援に関することの中に「支援部署の連携」というキーワードが出てくるんですけれども、この構成だと、ここの支援部署の連携が就職支援に関することのみにおける連携という話になってしまうので、体制整備という中に連携を位置づける。今、村田先生からもお話がありましたけれども、あと神藤委員からもお話がありましたけれども、私立の大学等でリソースが限られているようなところで、障害学生支援の専門部署を設置するところに限界等がある場合に、既にある学生支援部署のリソースを利用するといったようなことが当然、体制整備においては出てくると思いますので、そういった意味で部署間の連携、(2)の中に入れるといいかなというところです。
 ちなみに、これはあまり本質的でないというか、細かいことなんですけど、(5)の就職支援に関することの論点の1つ目が就職支援に関することとなっていて、これ、論点になってないのかなと思いましたので、1行目はなくてもいいのかと思いました。
 取りあえず以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。そうしたらば、御発言のない先生を優先させていただきたいと思います。島津委員、矢澤委員の順番でお願いします。
【島津委員】  ありがとうございます。一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアムの島津と申します。呼称はACEということでさせていただいているので、以降、そのように名のらせていただきます。
 具体的な論点のところに入ってからお話を差し上げようと思っていたんですけど、時間もそろそろというところがありますので、ちょっと本筋とはずれてしまうんですが、当団体の自己紹介も含めて、今後このようなところで関わらせていただきたいというところを少し発言させていただければと思います。私ども、大学の教育そのものに関わられている皆様とはちょっと違う立場で今回参加をしておりまして、ACEという団体が企業の連盟で形成されている社団法人でして、全国のいわゆる大手企業を中心に40社弱の会社が有志で運営している団体になります。そこで行っている活動というところが、企業の成長に資する障害者雇用モデルの確立というところを目標に掲げていまして、例えば企業の中でのロールモデルのシェアであったりだとか、私自身が運営委員として学との連携部会という、いわゆる産学の学と企業との連携を図る組織というところに属しておりまして、そこで大学の皆様と連携して、例えば学生のインターンシップであったりだとか、あとは学生に対して企業と直接接点を持つようなセミナーの開催であったりだとか、そういったところをやっております。
 ちょっと自己紹介も含めてというところで言うと、今後のところで、特に就労というところが具体的なテーマになるとは思うんですが、やはり学生の就労の準備性というプロセスの中で、地域のリソースの一つとしての企業が大学の皆さんとどういうふうに関わっていくかというところに関しては、今後アイデアを述べていきたいと思いますし、あとはそれと分けて、やはり具体的な、私、本来の籍は堀場製作所という一企業の人事というところにあるんですが、採用の担当の仕事をしているんですけれども、もう一つが、実際の採用のプロセスであったりだとか実際の入社に至るまでのプロセス、そこでやっぱり、障害のある学生というところで、ある種のインクルーシブに語られるべき部分と、実は局所的には特殊なプロセスを、それぞれの企業、それぞれの大学がなされているようなところも認知はしておりますので、その辺りも含め、各論に入ったときには議論の対象としていきたいと考えております。ちょっと本筋からずれた発言になりましたが、今後そういった形で関わっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、矢澤委員、お願いいたします。
【矢澤委員】  仙台高専の矢澤です。よろしくお願いします。私、どうしても高専の立場からの発言が多くなってしまうことを御了承いただきたいんですが、今回、第三次まとめに向けては、私立大学が義務化ということで、私、第二次まとめのときから参加させていただいて、どうしてもそのときに思ったのは、高専と大学ってやっぱり随分違うので、高専で困っているようなことがあまり大学では関係ない感じかなと思っていたところがあります。ですが、今回、私立大学ということで、先ほどの御発言でもあったと思うんですが、短期大学、単科大学とか小規模大学なんかが物すごく合理的配慮のことで対応していかなきゃいけなくなるというと、実は高専って小規模で専門人材がいないのがデフォルトみたいなところがあるので、高専と同じような悩みというのが、この検討会で指針として示せていければいいのかなと感じています。
 時間もないので、その中で特に2点なんですけれども、1つはオンライン授業のことで、先ほど来、各委員から御発言がありますように、オンライン授業をどう考えていくか、合理的配慮をどう考えていくかというところで、コロナ禍のおかげでといいますか、結構オンラインでできるんじゃないかということが世間的に認知されたというのが、この7年の間の大きな変化かと思うんです。それであるのが、オンラインで提供できるんだから、対面授業であるべきだけど、合理的配慮としてオンラインを提供してくださいというような要望が高専でも結構増えて、つまり、対面とオンラインのハイブリッドをどうするかとか、そういうことが、もちろんできる、できないがあって、例えば高専って工学系なので、実験実習系はやはり厳しいとかいうところがあったりするんですけど、その辺りの対応をどうしていくかを、絶対こうであるという、きれいなマニュアルみたいのをつくるのは無理だと思っているんですが、この第三次まとめの中で少し指針が示されていけばいいのかなと思います。
 あともう一つ、柏倉委員からもお話があったんですが、初等中等教育と高等教育の第二次まとめのときも、取り組むべき課題だった連携、移行、これに関しても、7年前は正直言って、中学から高専への移行ということで、高専で実はここは結構大きなネックだったんですけれども、大学はまだそういう事例が多くないような印象を受けたので、ちょっと孤独な感じがしていたんですけれども、御存じのように、今、高校も普通高校で通級というのがモデル校とかも設定されたりして、大分広がってきていまして、高校から大学に進学する場合にも、いわゆる特別支援教育から障害学生支援の合理的配慮に移行するという事例が結構増えてくると思うんです。
 高専は、前からそういうところの対応が結構難しかったんですけど、正直言うと、高専でも教職員もよく分かってなくて、中学校までにやってもらったのでこうしてくださいみたいに言われると、やらなきゃいけないんだみたいになって、結構大変な思いをしてしまうなんていう事例もあったんですけど、これが多分今後、高校から大学でも結構大きなウエートを占めてくるんじゃないかと思うので、その点もぜひ検討事項にしていただくといいのかなと。実はこの話というのは、保護者対応とか保護者への配慮ということに物すごく大きくつながっていて、そうとも限らないんですけど、特別支援教育って結局、保護者が必ず絡んできて、お話をする必要があるというイメージなんですけれども、合理的配慮だと、じゃ、保護者の方への配慮、対応ってどうするか、これも今後結構大学で増えてくる問題かと思いますので、ぜひ検討事項の中に入れていただければと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。司会の不手際で時間もだんだん迫ってきましたので、今挙手されている方で、一応この場での御発言は多分終わりになってしまうと思いますが、後でまた事務局から御連絡があると思いますけど、ここは大事な点ですので、また、御意見、追加等はメールでいただくような形を取りたいと思います。
 順番に、白澤委員、南谷委員、川島委員、殿岡委員、近藤委員という形で御発言いただければと思います。白澤委員からよろしくお願いいたします。
【白澤委員】  筑波技術大学の白澤です。何度もすみません。手短に申し上げます。検討すべき事項として、4番に「大学等と地域・社会資源との連携に関すること」と入っているのですが、国との連携というのもあると思うんですよね。国の取組と申し上げほうがいいのかもしれないですけれども、その項目についてもどこかに追加していただけるとありがたいと思っております。
 というのも、今回の法改正の中では、地方自治体と国との連携が一つの大きな改正のポイントとなりました。地方自治体の中に上がってきた様々な事案を、いかに共有して、関連省庁や業界団体につなげていくかという点です。現場で生じた事案から、事前的改善措置につなげていくための取組が重要とされていて、これらがすごく大きなトピックスになっていたと思うんです。同じように、大学の中で上がってきた事例を、国で吸い上げ、同様の事案が起こらないように国から大学全体に対して通知していくといったような、そういった仕組みなどが必要だと思っております。これらを含め、今後、国と大学が連携してどういう取組をしていくべきなのかといったところもぜひ議論の中に加えていただけるとありがたいです。
以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 南谷委員、お願いいたします。
【南谷委員】  南谷でございます。白澤委員と同じく、(4)についてちょっと申し上げたいことがあります。まず、(5)に関して高橋委員から御指摘があったことと多分同じだと思うんですが、最初の中ポチ、「障害学生支援における地域・社会資源との連携に関すること」というのは、(4)のタイトルというか、見出しと内容的に実質同じなので、あまり要らないんじゃないかと思う。もう少し文章の整理をしていただければと思いました。その上で、もう少し内容の話をしますと、ここで地域・社会資源と言われていて、具体的に何が意識されているかという問題で、白澤委員から国の話がありましたが、私からちょっと申し添えたいのは、高等教育支援を行っている各種組織というものも存在して、典型的にはJASSOさんなんかが該当するかと思うんですが、そういうところからの障害学生課支援に関する情報発信とかサポートみたいなものも、この枠組みで意識してもらえれば、取り上げてもらえればなと思います。
 時間がないところで宣伝で恐縮なんですが、実はこれ、申込みがあした締切りなんですが、私が所属している大学入試センターでも、まさに来年から私立大学で法的義務化ということを意識しまして、入試における合理的配慮の実施に関する研修会というのを来月開催します。村田委員にも登壇いただいて、充実した内容になることが期待できる会になっていますが、やはり高等教育の支援に携わっている各種組織というのが、今後は特に私立の小規模大学なんかが抱え切れない部分に関して、情報提供とかサポートとかを提供していくことはかなり重要になってくると思いますので、こういった組織の存在も意識していただければと思い、申し上げました。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 川島委員、よろしくお願いいたします。
【川島委員】  ありがとうございます。2点指摘させていただきます。
 まず、検討すべき事項(1)なんですけれども、合理的配慮と不当な差別的取扱いの理解について、たとえば両者の関係について、まだ理解が広く定着してないのかなという印象を持っています。と申しますのは、昨年度、JASSOで教職員向けの研修がありまして、私は合理的配慮と不当な差別的取扱いとの関係について1問出したんですけれども、回答者が162人いて、正解者は53人、正解率33%でした。これだけじゃ判断できないと思うんですけれども、やはり両者の関係というところも正確に押さえておかないと、実践的にこの2つの差別概念を使い、紛争を防止し解決するのはなかなか難しいのかなとも思いました。
 2つ目なんですけれども、関連して、紛争の防止、解決についてなんですが、紛争とは何かという定義について共通理解がまだないのではないかと思われます。JASSOも採用していますけれども、一つの考えとして、対立した状況で自分の利益を実現するために、お互いに要求と拒絶を行っているプロセス、これを紛争と理解する、私はこういうふうに理解していますけれども、このような紛争という考え方がある。
 そのような意味での紛争は日常的にどこでも行われるもので、それ自体は危機的な問題ではないと申されたりもしますけれども、何よりも大切なのは、やはり紛争の防止と解決というものが、社会的障壁の除去を通じて図られなければならないというところでして、それが重要で、先ほど中野委員から総括所見に言及していただいたんですが、総括所見の中でも、まさに「障壁」という文言が用いられていて、総括所見も社会モデルというものと人権モデルというものを基盤に置いておりますけれども、まさに社会的障壁の除去を通じて紛争の防止と解決を図らなければ、障害学生にとっての紛争の防止と解決は意味をなくすというところが重要といえます。端的に言いますと、社会モデルに沿った紛争の防止、解決が必要だという理解になると思います。
 その上で、社会モデルによって紛争を解決する際には対話が必要だ、相互理解が必要だということになるんですけれども、学生と教職員との間には非対称性というものがありますので、さらに、会話が苦手な学生さんも当然おられますから、対話をうまく進めるため、円滑に進めるため、効果的に進めるための支援、制度というものも必要で、その一つとしてメディエーションという考え方もあるわけです。ただ、このメディエーションというのはまだまだ障害学生支援では成熟した概念ではありませんので、今回入れるべきかどうかはまた議論が必要だと思いますけれども、いずれにしても、対話というものの条件をしっかり整える視点も必要かなと思います。
 関連して最後になんですけれども、障害学生支援担当者が紛争においてどういう立場に置かれるかというところも整理しておいたほうがいいんじゃないかなと思います。紛争との関係では、障害学生支援担当者というものが、障害学生を支援する側にもなりますし、あるいは障害学生と対立する側にもなり得ますし、あるいは、障害学生と教員との間の調整を図る、ある種メディエーターのような役割も果たし得る。つまり、障害学生支援担当者というものの立場が、コンテクストによって非常に変わり得るところがあるので、ここら辺も一旦概念を整理しておいたほうが現場の混乱もなくなるのかなと思われました。
 以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。それでは、殿岡委員、近藤委員の順でお願いします。
【殿岡委員】  殿岡です。何度もすみません。私からは、昨今の状況をお話しすると、やはり大学が一定程度進んでいるのに比べて、障害学生自身の不安というのは、なかなかまだ解消されていないという実態を強く持っています。その点から2つお話ししますと、1つは、検討すべき事項(1)の不当な差別的取扱いの部分なんです。やはり大学が差別を行わないということをはっきり明言できるようなものが必要じゃないかと思っています。具体的には、論点(3)の中に、入試における合理的配慮の提供ということで、紛争解決の一つとしてあるわけですが、入試、あるいはもうちょっと前、例えば、公式に言うと事前相談のとき、非公式で言うと、その前の、例えば、オープンキャンパスに行ったときにこんなことを言われたとかあるわけです。ここら辺も、合理的配慮はかなり書き込まれているので、不当な差別的取扱いに関する部分で、やはりきちんとした論点の明示、最近よく言われているのは、例えば、総合的選抜で障害を理由に不当な減点をされているんじゃないかということがよく言われているんですが、そういうことはしていないということを明示していくことは障害学生の安心感に非常につながってくると思いますので、そういった合理的配慮じゃないところも今回は加えて議論していければいいと思っています。
 あとは、多くの委員の皆様が指摘をした(4)の社会資源の部分になるんですが、やはり地域の社会資源もそうなんですけれども、私たちもそうですし、AHEADさんもそうですし、PEPNetさんもそうですし、その他民間の大きな団体がしっかりと成長してきております。こういった団体が、大学に所属している団体はまだいいんですけど、そうじゃないと、例えば、JASSOの会議に参加できないとかというのは、まだ民間には制約が残っています。なので、やはり大学もそうですけれども、障害学生を支える民間の団体が、ACEさんもそうですが、きちっとこの分野に参画して、そして、ともに日本の障害学生が発展していけるように、1つの論点として加えていくといいのかなと思います。
 殿岡、以上です。
【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは、近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】  では、手短に申し上げます。申し上げることも、3の検討事項の整理の1のところで、先ほど私学のことを申し上げたんですけど、それと関連しての基礎的な理解と念押し的なことを最初に、今後の検討会に向けて申し上げておきたいと思いまして、1つは、いわゆる一条校だけではなくて、各種学校や専修学校の対応、試験体制、構築の必要性について、これも毎回、二次まとめでも文科省からの対応指針の通知、そこでも入れていただいてはいるんですけれども、ここもまた忘れずに、今回も必ず明示的に含めていくべきと思います。どうしても各種学校や専修学校の対応というのは、もちろん高等教育局の所掌ではないと思いますけれども、今後改定されるはずの改定前の文科省対応指針の策定の際にも、専修学校等での体制整備の必要性について施策を明確化していくような必要性について、私も当時、委員として述べたんですけれども、その主たる管理というのが初中局の特別支援教育課の皆さんと高等教育局の当時の学留課の皆さんだったということもあったと思いますし、また、最初の対応指針の策定であったこともありますので、これに関して施策を進めていくということでは、結果として漏れてしまっているような感覚を持っています。
 平成27年11月26日に、専修学校も対応指針の範疇ですよということを付記した通知は出ているんですけれども、専修学校等を対象として具体的な施策が行われているかというのはやや疑問に思います。専修学校にも65万人の学生がおりますので、ただ、体制整備については、誤解を恐れず申し上げると、ほとんど行われていないような状況ではないかと推察いたしますので、忘れられないように念押しとして、一条校と同様、支援体制整備の位置づけの明確化を記載しておいていただけたらと思いました。
 関連して、これも3の検討事項の整理の1のところに関係してなんですけれども、先ほど私学についても、職員対応要領の策定の促進という、多分、私学の皆さんにとっては、職員対応要領ということがどういう位置づけを持つのかというのが、これまでつくっていないのでぴんと来づらい、玄人の人以外はぴんと来づらいところがあるんじゃないかと思っているんですけれども、同様なことは公立大学でもございます。自治体の対応要領を参照するような形で、公立学校が差別解消法に関しては職員対応要領があるというような、やや間接的なものですね。公立大学そのものが主体となって職員対応要領を策定する、国立大学法人は主語が国立大学法人となって、職員対応要領を策定しておりますが、そういったものが明確に促進できたらと思っています。
 今のことと関連してなんですけれども、実は1つの大学内の部局、部署においても、それぞれの部局の事務事業において実情に適応した対応要領の作成は本当は必要だと考えています。例を挙げますと、例えば附属病院では独自に職員対応要領をつくっていたりすると思います。それから、大学の附属学校の体制整備の必要性についても、これ、本当は附属学校で職員対応要領をつくったほうが、大学と附属学校、附属学校で行われる初等中等教育と大学教育とは事情が異なりますので、大学がつくった職員対応要領が附属学校の実情を反映した形になるとは言いづらいところもあったりすると思いますので、本当は附属学校として対応要領を作成すべきではないかということは考えております。
 同じように、究極的に申し上げると、本来は、自分たちの部局では、こうこうこういう自分たちの事務事業をやっているので、その特徴に応じて、体制整備と法令遵守をこういうふうにしていくんだよという対応要領があったほうがいいとは思うんですけれども、そういった主体的に考えるというところがどうしても、周縁的な部局だったり部署であったり附属施設であったりでは忘れられていく傾向がありますので、こういったことの位置づけを、本体の中で細かく述べていくことは、ひょっとすると今回もないのかもしれないんですけれども、この必要性を明確に述べておくことは、今回、第三次まとめにおいても必要かなと思いますので、こちらの位置づけも、すいません、念押し的ですけれども、申し上げられたらと思いました。
 私からは以上です。ありがとうございます。
【竹田座長】  どうもありがとうございました。委員の先生方、皆様、多くの御意見をいただきまして、ありがとうございました。先ほども申し上げましたように、御発言し切れない部分も多々あるかと思いますので、追加等の御意見につきましてはメールで事務局にお送りいただければと存じます。
 それでは、最後になりますが、当面の検討会のスケジュールについて、事務局において資料5から御発言、御説明をお願いいたします。
【小栗補佐】  それでは、資料5を御覧ください。当面の検討会のスケジュールについてでございます。本日の第1回を踏まえて、第2回を6月9日16時から18時で予定しております。議題といたしましては、第三次まとめに向けた議論ということで、本日御意見をいただいた論点整理についてさらなる議論と、あとヒアリングを予定させていただいております。
 以降のスケジュールになりますが、論点整理の内容を踏まえて、ヒアリング及び議論を引き続き実施していって、7月をめどに第三次まとめの取りまとめに向けた基本的な考え方について公表できたらと考えております。以降、月1回程度で検討会を開催して、令和6年1月頃をめどに第三次まとめの取りまとめができたらと考えております。
 以上でございます。
【竹田座長】  ありがとうございました。ただいまの御説明、御質問等ございませんでしょうか。近藤先生、何かありますか。大丈夫ですか。ありがとうございました。それでは、御確認いただきました。
 本日の議事は以上でございます。全体を通しまして、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次回から早速議論とヒアリングを開始したいと考えております。具体的な議論のテーマとヒアリングに御協力いただく方につきましては、本日の御議論を踏まえて、私のほうでも事務局と相談して、その結果を事前に各委員の皆様方にメールにて御連絡をさせていただこうかと思っておりますが、そのような形でよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 また、次回の検討会におきましては、本日の御議論の内容を反映させた資料を論点整理として提示いたしますので、こちらに関しましても、今後追加でいただくメール等も含めまして、事務局と調整したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは、以上で障害のある学生の修学支援に関する検討会(第1回)を終了したいと思います。皆様、どうもありがとうございました。
―― 了 ――