令和6年10月24日(木曜日) 10時15分~11時45分
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【森専門教育課企画官】 定刻となりましたので,ただいまより第4回デジタル人材育成推進協議会を開催いたします。委員の皆様におかれましては,御多忙の中,御出席いただき,誠にありがとうございます。
本日進行を務めます文部科学省高等教育局専門教育課の森です。よろしくお願いいたします。
初めに,このたび委員の交代がありましたので,お知らせいたします。委員名簿につきましては,参考資料1の別紙のとおりでございますが,新たに一般社団法人公立大学協会副会長の大橋委員,公益社団法人経済同友会の鈴木委員に御就任いただいておりますので,それぞれ一言御挨拶をお願いいたします。
【大橋委員】 公立大学協会の東京都立大学の大橋と言います。よろしくお願いします。デジタル人材,数理データサイエンスとか,いろいろやっていかないといけないと思っていますので。あともう一つ,今日は別の会議があるため,11時前で失礼させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
【鈴木委員】 経済同友会の鈴木でございます。初めまして。経済同友会としては,前回まで教育改革委員会があり,本会議に参加をしておりましたが,今年は,企業のDX推進委員会でこのデジタル人材育成等の議論をしているという背景で,私が参加することになりました。もう既に1年半ほどやっているので,例えばデジタルスキル標準などをテーマに経営者内で広げようとか,そういう活動を既にしております。また,個人としては,インテルに所属していますが,小学校・中学校研修にも,特にGIGAにおいては全面的にいろいろな企業の方と,あるいは文科省の方,経産省の方と動いてきたという実績もありまして,いろいろな課題も見えているつもりでございます。この協議会に参加できることを非常に喜ばしく思っております。よろしくお願いします。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
また,文部科学省においても高等教育局長として新たに伊藤が着任しておりますので,一言挨拶を申し上げます。
【伊藤高等教育局長】 この7月で高等教育局長に就任いたしました伊藤でございます。局長就任はこの7月なんですけれども,この推進協議会には第1回目の立ち上げのときからずっと事務方として携わらせていただきました。本日もまた,大変御多忙の中お集まりいただきまして,様々な観点で忌憚のない御意見,御指導を頂戴できればと思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【森専門教育課企画官】 続いて出席者についてですが,本日は,大村委員の代理として愛知県就業推進監森様に,平松委員の代理として日本経済団体連合会教育・自然保護本部主幹村田様に御出席いただいております。また,大橋委員は,業務の御都合で11時前に途中退席されると伺っております。
本日は,経済産業省の野原局長は欠席でございまして,代理として西村審議官に御出席いただいております。
また,本日は,文部科学省初等中等教育局の担当者及び芝浦工業大学からそれぞれの取組を御説明いただく予定となっております。
それでは,議事に入ります。議事1のデジタル人材育成に関する政策動向についてです。
文部科学省,経済産業省から説明後,意見交換とさせていただきます。
それでは,文部科学省から説明をお願いいたします。
【梅原専門教育課長】 文部科学省専門教育課長の梅原でございます。資料1に基づきまして,政策動向について御説明させていただきます。時間の都合もございますので,少し簡潔に御説明させていただきたいと思います。
1ページ目をお願いいたします。昨年も御報告させていただいておりますけれども,令和4年度の補正予算で,この「成長分野をけん引する大学・高専の機能強化」ということで,3,000億円の基金が設けられております。日本は理系を専攻する学生割合が諸外国に比べて低いという中で,支援1といたしまして,私立・公立を対象とした学部再編による特定成長分野への転換,また支援2といたしまして,高度情報専門人材の確保に向けた機能強化,このようなメニューを設けまして,今,制度を運用させていただいております。
2ページをお願いいたします。それで,昨年度は初回公募の結果について御報告させていただいておりますけれども,令和5年12月にも第2回の公募を行っておりまして,現在2回目の公募を終えたという状況でございます。
3ページをお願いいたします。その結果を概要として載せさせていただいております。支援1,私立・公立向けの学部再編につきましては,初回公募67件,第2回公募59件ということで,126件の選定を現在までにしてございます。
また,支援2,高度情報専門人材につきましては,初回公募51件,第2回公募38件ということで,現在までに89件の選定をいたしました。
下に選定大学の内容について少し書かせていただいておりますけれども,支援1につきましては,その下半分のところでございますけれども,初回選定,第2回選定とも,デジタル分野といったところが大体3分の2ぐらい,選定がございました。また,グリーンの分野というところについても,4分の1ぐらいの選定がございまして,この2つの分野が主に今,学部再編の対象となったということでございます。
また,下にありますように,理系学部を初めて設置する文系大学,そういったところにつきましても,例えば第2回ですと,もう5割上ったというところで,学部再編というところが着々と進んでいるという結果が出ているところでございます。
4ページ,5ページ,6ページ,7ページに具体的な選定大学を書かせていただいております。後で御覧いただければと思います。
続きまして,8ページに高度情報専門人材の初回・第2回の採択結果を書かせていただいておりますけれども,特に今回新たに発表させていただきました第2回におきましては,京都大学を新たにハイレベル枠として採択してございます。ドイツのフラウンホーファー研究機構との連携などによって,高度な情報人材の育成と行うというプランでございます。
続きまして,9ページをお願いいたします。9ページに数理・データサイエンス・AI教育の認定制度について書かせていただいております。もう既に皆さんの御協力を得て様々進めさせていただいておりますこの「AI戦略2019」の目標達成に向けて,文科省,経産省,内閣府が一体となって,このモデルカリキュラムの策定,そして優れたプログラムの政府の認定というものを進めさせていただいております。リテラシーレベルにつきましては,50万人の政府目標に対して,既に494件の認定を済ましておりまして,受講可能な人数というところで50万人を既に達成してございます。また,応用基礎のところは,25万人目標に対して現在19万人というところで243件の認定というところで,引き続き,最後の2025年の目標達成に向けて,大学のほうにしっかりアピールをしていきたいと考えております。
10ページに少し認定の状況についてまとめさせていただいております。リテラシーレベルにつきましては,国立大学や高専はほぼ認定しているところです。まだまだ私立や短期大学というところで,まだ認定を受けるポテンシャルのある大学もございますので,引き続き認定を進めてまいりたいと考えております。
応用基礎レベルにつきましても,まだまだ私立大学や短期大学,公立大学といったところで認定が進んでいない現状もございますので,さらに取組を進めたいと考えてございます。
11ページをお願いいたします。数理・データサイエンス・AI教育の推進に当たってモデルカリキュラムを策定しております。ただ,一方で,社会動向の変化によって必要な教育内容がどんどん変わっていく分野でもございますので,令和6年2月にモデルカリキュラムの改定を実施しております。具体的には,下に書いておりますけれども,生成AIなどの動向への対応,また,より社会で使っていただくために,実践的な教育を重視していただきたいということ,そして高校のほうでも2022年から「情報I」の必修化が進んでおりますので,そういった子たちがこれから大学に上がってくるということを踏まえて,そういったところでのしっかり復習とか深化する学習といったところを推奨する内容になってございます。
12ページ以降につきましては,概算要求の状況でございます。データサイエンス,また今年は新たに半導体に関する概算要求をさせていただいております。
14ページを御覧いただけますでしょうか。14ページに数理・データサイエンス・AIの関係のものをまとめております。引き続き,1つ目ですけれども,数理・データサイエンス・AI教育の全国展開ということで,コンソーシアムの活動,またエキスパートレベルの人材育成をしっかりやっていきたいと思います。
また,一番下ですけれども,「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業~Xプログラム~」ということで,理系ばかりではなくて,人文・社会科学分野というところにも注目して,データサイエンス教育,そして文理横断的な人材の輩出といったところにも努めてまいりたいと思っております。
最後の15ページ,16ページは,半導体の概算要求でございます。まさにこのデジタルと非常に密接に関わる分野でございまして,半導体の分野も今やAIの半導体が牽引しているような状況でもございます。そういった中で,文部科学省といたしましては,研究開発,基盤整備,人材育成,そういったものを三位一体で行っていくべく,94億円の要求をさせていただいております。
16ページに詳しいものを人材育成のところだけ載せさせていただいておりますけれども,人材育成のところにつきましては18億円ほど要求してございまして,全国に10拠点ほど設けて,半導体の学部生または大学院生といったところに体系的な教育を行うための体制をしっかり組んでいきたい,そのように考えているところでございます。
文部科学省からは以上です。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
続きまして,経済産業省より資料2について御説明をお願いいたします。
【内田情報技術利用促進課長】 経済産業省情報技術利用促進課長の内田でございます。昨年に引き続き,本日もどうぞよろしくお願いいたします。
経済産業省からは,デジタル人材育成の取組につきまして御紹介いたします。
1ページをお願いします。まず全体像としまして,目指すべきデジタル社会として,リアルな世界,それからサイバーの世界が高度に融合するSociety5.0の時代。こちらがまさにこれから我々の目指すべきところでありますけれども,これを目指すために必要な3つの基盤としまして,まず半導体を中心とする計算基盤,その上で実装されるデジタルインフラ,さらにそれらを実現するための人材ということで,この人材についての取組を御紹介いたします。
2ページをお願いします。昨年もお話ししましたけれども,経済産業省としては,まずこの2レイヤーで考えておりまして,基盤レイヤーとして,全国大でデジタルスキル標準に基づきデジタル人材を育成していくというところ,それから,その上で地域の産業集積の特性に合わせながら,地域ごとに人材育成を進めていく,こういった取組を続けているところでございます。
4ページをお願いいたします。昨年からのアップデートになりますけれども,半導体産業の立地が進んでおります。全国6地域におきまして地域の協議会,コンソーシアムを通じた人材育成が進んでおります。その中で,先ほど文部科学省から説明がありました機能強化支援事業を積極的に活用して,各地域において中核となる大学・高専が採択されたところでございます。この赤字になっているところがまさにこの機能強化基金を活用した大学・高専でありまして,こういった大学・高専が積極的に関与されておりまして,地域において人材育成が進んでいるところでございます。改めて,本件に取り組まれた関係の皆様方に感謝申し上げます。
5ページは補足ですので,割愛いたします。
6ページ,こうした取組を全国規模で連携して,オールジャパンでの人材育成にも取り組んでいきたいと思っておりまして,最先端半導体技術センター,LSTCと呼んでいますけれども,こちらが旗振り役となるべく,今年度新たに委員会を設置しております。
先ほど文部科学省から話がありました半導体人材育成拠点形成の新たな事業などとも連携しながら,産学官共同での人材育成に取り組んでいきたいと思っております。
続きまして,9ページからは,全国規模でのデジタル人材育成でございます。
10ページをお願いいたします。これまでも御紹介しておりますけれども,また経済同友会からも言及のございましたデジタルスキル標準,2022年の年末,こちらを経産省,IPAで編さん,公表いたしまして,およそ2年進んだ中で相当活用が進んでおります。
11ページをお願いいたします。この2年間の間に,活用促進とともに,デジタルスキル標準自体も,一度作ったら終わりということでなく,デジタル技術の進展に伴いアップデートしていくというスタンスでございます。生成AIの登場を踏まえまして,生成AI時代のスキルの在り方ということで検討を行い,見直し,アップデートを行ったところでございます。
とりわけ今後,13ページに飛んでいただければと思いますけれども,新しい論点として,現場と経営者の間をつなぎながらDXを実現するビジネスアナリスト人材,それからデータ活用の基礎となるデータマネジメント人材,まさにそれがデータサイエンス人材の活躍の場を広げることにもなると思いますけれども,こういったところも今後スキル標準に取り込んでいく方向で検討しております。
14,15ページは,そういったデジタルスキル標準に紐付いた形で学習ができる民間のコンテンツを一覧できるように立ち上げたポータルサイトでございまして,16ページにございますとおり,立ち上げから2年でこちらに参加する学習サービス産業は一気に増えておりまして,さらなる拡大を我々でやっていきたいと思っております。
17ページをお願いします。その上で,実は各地域においても,機能強化基金の活用と併せてデジタル人材の育成が動き出しているところの御紹介でありまして,まず一つは,これは北海道の経済産業局が旗振りをしております地域事例のアップデートでございまして,18ページにございますとおり,北大の数理・データサイエンス教育研究センターが,地域企業から実課題の提供を受けて,PBL,Project Based Learningを開始しておりまして,まさにアカデミアと実務がつながる好例だと思っています。
また,19ページにありますとおり,地域企業から実務家教員を北見工大や北海道大学に派遣する取組も始動しております。このマッチングが非常に難しいところでありますけれども,北海道では関係者が集まって協議し,うまく取組が動いているということの御紹介であります。
それから20ページは,大学がイニシアチブを取った事例として,こちらも基金活用大学でございますけれども,下関市立大学と地域企業が連携してDX人材の育成に取り組んでおります。同大学は,まさにこの基金を活用して,今年度データサイエンス学部を新設しております。
最後の事例として,21ページ。こちらは,企業からのアプローチで,日本企業が遅れているデータ活用に向けて,データマネジャーの育成プログラムを設立したということでございます。こちらは基金活用大学でありませんけれども,こういった大学も積極的に取り組んでいるということで,基金の活用も今後期待されるところです。本協議会から生まれた大学機能強化の取組が色々なところで具体的に動き出していることは,我々も確認しているところでございます。
続きまして,駆け足になりますけれども,トップ人材の育成という取組も簡単に御紹介いたします。
23ページは,経済産業省とIPAがこれまで,2000年以降,二十数年間にわたって取り組んでおります未踏事業でございますが,これまで通算で2,000人以上の修了生を輩出しておりまして,落合陽一さんや,Preferred Networksの西川社長など,まさに今日のデジタル産業を代表する人材を輩出しております。
24ページにありますとおり,本事業の特徴は4つありますが,とりわけ,左上にありますとおり,単にITの天才の卵を発掘するだけではなくて,それを関係者,とりわけ社会,アカデミアをリードする方々がメンターとして徹底的に指導するということが,この未踏事業の特徴でございます。
25ページになりますけれども,一方で未踏事業の一つの課題としてありましたのは,このプロジェクトは東京で行っているため,なかなか地方の大学生の参加が難しいところがありましたので,昨年度から経済対策の中で,経済産業省が中心となりまして,またスタートアップ育成5か年計画を踏まえて,右側のAKATSUKIプロジェクトという,未踏事業の地方版とも言えるようなプロジェクトを開始しております。
26ページにありますとおり,今年の採択事業はこの日本地図のとおりでありまして,年々その採択事業が各地において広がっているところでございます。
27ページですけれども,参考として九州の事例ですが,九州大学の先生方が総勢20名集まりまして,この方々は未踏事業の修了生でもございますが,そういった未踏事業の修了生が後進の育成に回っているということでありまして,これまで九州地域で埋もれていた才能が発掘されております。こうした地域での活動が定着するまで我々としても応援してまいりたいと思っています。
最後に,これまでの取組をより大きな全体としての取組に発展させる構想についてお話ししたいと思います。
29ページをお願いいたします。冒頭御紹介したようなデータが新たな価値を創造する,そういった社会が到来しようとしております。また,生成AIの登場は,デジタル技術を適切に使いこなせるように,人々が適切に新しいスキルを身につける,また新しいスキルを学び続ける必要性を想起させたところでございます。
30ページにありますとおり,経済産業省といたしましては,今後,個人に向けては,継続的な学びと目的を持ったキャリア形成を実現するため,また社会においては,国内のデジタル人材のスキルの変化ですとか,またスキル人材がどのくらいいるのかというその変動も含めたスキル人材の実態把握を行うため,そしてこうした情報を企業や組織の人材育成,さらには新しい教育コンテンツの作成やスキル標準のアップデートに役立てるため,個人のデジタルスキル情報を蓄積し,またそれを利活用できるように可視化するための基盤を立ち上げて,個人においては,変化をいとわず学び続け,自分が目指すべきキャリアが実現できるような,そういった環境を整備したいと考えておりまして,次の協議会においては,この基盤の立ち上げの状況について,経済産業省とIPAの取組のアップデートを御紹介できるように努めてまいりたいと思っております。
経済産業省からは以上でございますけれども,デジタル技術を適切に活用して,また付加価値を生み出すために,先の社会を見据えながら人材育成の取組を推進してまいりたいと思いますので,引き続き協議会の皆様と連携をさせていただければ幸いでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
それでは,意見交換に入ります。御発言のある方は,挙手アイコンを押していただくようお願いいたします。発言の際は,適宜,簡潔な御発言をお願いできればと思います。では,よろしくお願いいたします。
高専機構の谷口委員,お願いします。
【谷口委員】 1つだけ。別に間違っているわけではないのですけれども,LSTCの今年の5月までのメンバーの紹介で,組合員,準組合員の御紹介等々があったページで,LSTCの紹介は6ページだったかな,経産省からでありましたけれども,これは,5月時点ではこれで間違いないのですけれども,9月に高専機構も参加させていただきました。東会長のほうから参加の御要請もありまして,高専機構として高専全体でもこれに加わらせていただきますということで手を挙げさせていただいて,9月のLSTCの理事会で認められましたという書類も来ていますので,私どもも加えておいていただければと思います,この人材育成が特に中心になると思いますけれども,人材育成に関しては一緒にやらせていただきますということを付け加えて申し上げておきますので,よろしくお願いしたいと思います。よろしくどうぞ。
【内田情報技術利用促進課長】 谷口理事長,失礼いたしました。こちらのほうで,しかるべく資料は訂正させていただきます。ありがとうございます。
【森専門教育課企画官】 それでは,順番で,まず早稲田大学の田中委員,お願いいたします。
【田中委員】 早稲田大学の田中でございます。私立大学団体連合会の代表として参っておりますが,資料は,文科省様の資料も経産省様の資料も大変興味深く拝見しました。方向性は非常に正確で適切だと思うんですが,我が国においては,デジタル人材とか,こういったデータ科学に関しては,理工系の方がやるという神話があると思うんです。欧米では,もう経済学や心理学や,政治学,社会学を専攻している者たちは当然,文系の学部を卒業していても,修士,MBAを持っていても,企業に行っても,データ科学は当然使っているわけですよね。
例えば,東京都23区内での学科や学部の増設を認められているのは,理学か工学か農学博士を持っている教員の部分だけという縛りがあるわけです。実際には,経済学博士でも,心理学博士でも,相当のデータ分析はできるわけです。
企業においては,特に日本の文系の事務方の企業でデータが扱えないというのは致命的だと思うんです。まだまだ多いわけです。だから今,リスキリングやリカレントが必要なわけですけれども,ですから早くそれを全領域に広げる必要があると思います。
例えば早稲田大学で申し上げると,データ科学センターを2017年につくりまして,2019年からデータ科学入門を開設しました。それは,AIによってビッグデータを解析するということで,2021年度履修者が1万1,000名。早稲田は1学年8,900名で,理工系が1,600名いて,そこは自分たちの学部でデータ科学ができていますから,7,300名が人文社会系で対象ですけれども,その7,300名で,2021年度に1万1,000名が履修し,2022年度が1万4,000名,2023年度が1万6,600名の履修者です。
これぐらいのことをして,全学の文系の学生でも全員がAIでデータ科学,ビッグデータの分析ができるようなことをしておかないと,もう今後,日本の事務方ですが,どの企業に行っても様々なマーケティングをやったり経理をやったりする場合に,その経営学をやっていく場合にも,欧米に比べて決定的に弱くなると思うんですよね。ですから,その辺りもしっかり,文系もデジタル人材育成には非常に必要です。デジタルといった途端に「理工系出身の人にお願いしよう」と言っているのでは,もう絶対間に合わないんですよね。経産省さんがおっしゃったように,半導体であるとか,量子コンピューターを作る人間は,理系の理学部,工学部もしくは理工学部出身でないと無理だと思いますので,そこは明確に理解した上で,デジタル人材を広く養成することが必要だと思っております。
以上でございます。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
それでは,先に御質問について,御意見だけ先にいただこうかと思っております。
順番として,次に新経連の関先生,お願いいたします。
【関委員】 新経済連盟の関です。御説明ありがとうございます。簡潔に申し上げます。
まず,施策については,非常に幅広い視点でいろいろな施策を組み合わせて考えていく必要があるかと思い,本会議の主題にはならないかもしれませんが,海外からの人材の呼び込みをどのようにしていくべきかと,その海外からの人材と日本の人材を組み合わせてどのように相乗効果を高めるかといったことも考えていいのではないかと思います。そのために税制の見直しや,各種規制改革を通じて,例えば新しいビジネスを促進する,生産性を向上してデジタル人材の不足の手当てをするといったような幅広い視点が必要だと思っています。
次に,その施策を決め,推進していくに当たり,KPIによる進捗管理が非常に重要と考えます。これは前回も申し上げたかもしれませんが,例えば5年間でデジタル人材を何人増やすという目標に対し,毎年これだけ増やしていくといったように,民間企業の場合は,マンスリーや,場合によってはデイリーで進捗管理をしますが,国なので,例えば1年間でどれだけ増やすのか。その増やす人材の人数に対して各種施策がどう寄与しているのかとかということも含めてKPIを設定した上で,毎年そのKPIがきちんと満足して機能したのか。その目標値に達していなかったら,有効に機能していないのではないかという疑いを持った上で施策を見直していく。そういうPDCAサイクルをきちんと考えて運用していく必要があると考えております。
それから,先ほどの田中委員と同様の意見ですが,デジタル人材ということで考えた場合,情報系の学部・学科出身者だけではないということをきちんと考えるべきであり,かつ社会人になってからのデジタル人材としての育成ということも非常に期待できますので,そういった意味でも情報系以外の人材に対してもきちんと手当てをしていくということが重要だと思います。
以上でございます。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
続きまして,経済同友会の鈴木先生,お願いいたします。
【鈴木委員】 ちょうど今,早稲田の田中先生とか新経済連盟の関さんがおっしゃったのと少し連続してお話ししますけれども,もともとデジタル田園都市国家構想でデジタル推進人材を2026年度末までに230万人という目標を掲げ,たしかそれを挙げた頃というのはなかなかブレークダウンがなくて,そこからもう走り出したと思うんです。今日のプレゼンテーションでは,文科省と経産省が本当に一緒になって動いている感がすごく出ているので,それは一歩進んでいるなと,3年前ぐらいから比べると。
ただ,その数字目標に対しての考え方を明確にして欲しい。特にKPIの設定と進捗が大切だと思う。先程関委員からも指摘があったが,我々経営をやっている人間なんかにとってみると,数字をしっかり伝えてもらうことで,企業全体が一緒になって動くと感じる。一体感,官民一緒に動くときの一つのモチベーションとして,数字をブレークダウンして,ダイナミックに数字を作ってシェアするということをぜひやっていただきたい。
あと,次元が違うんですけれども,昨日,10月23日に経済同友会で提言発表したサイバーセキュリティに対する危機感です。ぜひ読んでいただきたいが,その中で人材についても提言しています。これはデジタル人材の中の一部ですけれども,サイバーセキュリティ人材というのは,企業に対する攻撃も含めて,非常に喫緊な課題です。そろそろ,そのサイバーセキュリティという部分もこのデジタル人材の議論の中に,一つの強いテーマとして,なるべく早めにつくっていかなければいけない人材として入れていただきたいというのが,お願い事であります。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
続きまして,電子情報技術産業協会の平井委員,お願いいたします。
【平井委員】 電子情報技術産業協会,平井でございます。御指名をありがとうございます。
私のほうからは,JEITAの取組について簡単に御報告申し上げながら,お願い事をしたいと思います。
1点目,JEITAでは,ソフトウエアからハードウエアまで,様々なデジタル分野においての人材育成について,産学連携に積極的に取り組んでおります。会員企業から講師を派遣させていただきまして,政策として進めていただいているような人材育成に貢献させていただいております。特に半導体分野におきましては,本日の経済産業省の資料の4ページにございますとおり,地域ごとの半導体人材育成に積極的に取り組んでいるところでございます。JEITAのほうからは,2023年度の数字でございますけれども,高専27校,大学20校に講師を派遣させていただいておりますし,また半導体のカリキュラムの策定にも貢献させていただいております。
それと関係いたしますけれども,実は先週,幕張におきましてCEATEC 2024というイベントを開催いたしまして,その中でJEITA半導体フォーラムを開催いたしました。その中で,半導体企業で働くことの実体験ができるような人生ゲーム体験ブースなどを設けまして,非常に多くの学生さんに来ていただいたところでございます。また,学生と半導体企業で働く若手社員とのカンファレンスなどを実施いたしました。
こうした活動は,当然,民間企業としまして,メリットも,あるいは切実なニーズもあるわけでございまして,産学双方にメリットがあるということを考えております。大学への御支援は非常に活性化しておりますけれども,産業界のほうにもこのようなメリットがあること,あるいは何らかのインセンティブが用意されますと,非常にこの取組が一体感を持って進められることになるかと思いますので,産業界の活用あるいはインセンティブについて御検討いただければと思います。
また,このような,どちらかというとエンジニアリングでございますが,工程の運転でありますとかメンテナンスあるいはプロセスの改善を担う人材だけではなくて,よりプロフェッショナル性の高いグローバルな人材の育成ということで,LSTCさんの取組とか,あるいは文部科学省さんが来年度の新規予算で検討いただいているところでございます。これも非常に期待しているところでございます。
例えば,経済産業省の資料の7ページに,このワーキンググループの中で地域を担っていただく先生として,東北大学の戸津先生の名前が挙げられております。実は,先月,私も戸津先生のところに御挨拶に参上いたしまして,彼らがやっています半導体コインランドリーという試作の取組についても勉強させていただきました。一応,対象が半導体の研究者とか,新たな半導体構造を担うような,そういった非常に高度なプロフェッショナルをターゲットにされているというのは分かりますけれども,シームレスにここはつながっているところでございまして,ある日突然天才が交流するような世界ではございませんので,もう少し地域の半導体のエンジニアリングの取組と連携を取るような形で進めていただいたほうがいいのかなという感想を持ったところでございます。
最後に,我々JEITAといたしましては,そういった高等教育に集中したような議論だけではなくて,そこを目指すような,さらに若い世代にも注目しているところでございます。具体的に言えば,小学生を対象としましたような電子ものづくり教室などを実施しているところでございます。この夏にも大阪のほうで行われましたものづくり教室に私もちょっと参上いたしまして視察するとともに,地域の教育委員会とも議論させていただいたところでございます。
たまたまでございますけれども,半導体ではなくてAIで恐縮でございますが,文部科学省さんの資料の9ページにこの三角図が描かれてございます。この当時の資料ですと,例えば2017年には,出生数が95万人でしたので,これでよかったんだと思いますけれども,実は2023年に関しましては,1年に生まれる赤ちゃんの数が73万人まで減っているところでございまして,この図の三角形の底辺が非常に細くなってきております。そのような中で,このデジタル分野を志していただき,支えていただくような人材をどのように確保していくのか,各地域の教育委員会も非常に悩んでいらっしゃったところでございます。
なかなか答えのないところでございますけれども,そういったマクロの目で政策を展開していただきますようによろしくお願いいたします。
以上でございます。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
ちょっとお時間の関係がありますので,今お手を挙げていただいている西尾先生と,あと経団連のほうの村田先生の御発言をもって一回締め切らせていただくということにさせていただきます。
まず,西尾先生,お願いいたします。
【西尾委員】 文部科学省,経済産業省からデジタル人材育成に関しての現況を報告いただきまして,誠にありがとうございました。大変力強く思いました。特に,国立大学においても,支援策に積極的に応募していることを確認することができ,ありがたく思います。
私としては1点,お願いをしたいことがございます。先般のノーベル物理学賞に関連して,受賞者のヒントン博士が,生成AIの時代においての倫理の問題等については強く警鐘を鳴らされております。また,経済産業省から説明いただいた「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」の一部において,技術・倫理・推進の各課題対応ということが書かれております。小・中・高の教育では,高校の「情報I」のところで倫理的な問題について触れてはいますけれども,今後,例えば小・中の段階からも含めて,倫理的な問題に係る教育について,より強化することによって健全なデジタル社会を構築していくことが大事だと思います。そこで,文部科学省,経済産業省における人材育成施策の中で,その点に関して今まで以上に強調していただけることを期待しております。
以上です。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
それでは,日本経済団体連合会の村田様,お願いいたします。
【平松委員代理(村田様)】 私から,経団連の立場で申し上げます。資料1の9ページ目を見ると,「AI戦略2019」において,大学・高専卒業者全員がリテラシーレベルの数理・データサイエンス・AIを取得していることを目標に掲げております。一方で,10ページでは,その現状として,大学等全体に占めるリテラシーレベル認定校数の割合が43%と,大学・高専生全員が認定プログラムを受けられるまでにはまだ達しておらず,認定プログラムの数をさらに増やしていくことが求められます。そのために,現時点でリテラシーレベルの数理・データサイエンス・AI教育プログラムの認定を受けていない大学にその制約要因を聴取してはどうかと思います。
仮に数理・データサイエンス・AI教育プログラムを指導できる教員の確保が難しいことがネックとなっているのであれば,デジタル分野における大学間連携を推し進め,連携を取っている複数の大学の学生が同一の教育プログラムを受講できるようにしてはどうかと思っております。
私からは以上でございます。失礼いたします。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
では,文科省からも,御発言に対してコメントさせていただきます。
【梅原専門教育課長】 様々な御指摘ありがとうございます。
まず,田中先生からいただきました,数理・データサイエンス・AIを文系にもというところ,非常に重要な課題だと認識してございます。先ほど説明いたしましたが,資料1の9ページなどで説明しました認定制度なども設けておりますけれども,こちらにつきましては当然のことながら,全学的な教育でありますとか,文系におけるデータサイエンス教育も含めて,幅広い分野の学生が受講可能な教育プログラムを認定させていただいておりますし,グッドプラクティスをPRするということもさせていただいております。こういったものを引き続き強化したいと思っております。
また,最後に予算のところで説明いたしましたが,X(クロス)プログラムというものも予算として設けておりまして,人文社会科学系におけるデータサイエンス教育の普及に向けて,経営や芸術,教員養成でありますとか,様々な分野におけるモデル事業として進めさせていただいております。こういったものも引き続き推進していきたいと思います。
また,関先生,鈴木先生からも,KPIの御指摘もございました。まさに先ほど説明させていただきました認定制度のようなものは,政府のデジタル推進人材を230万人育成するという目標に向かって,毎年KPIを設けて進捗の確認を進めております。こういったところを,経産省のみならず,総務省その他の省庁も含めて,政府として達成に向けて,見える形でしっかり示していきたいと思っております。
サイバーセキュリティの人材についても鈴木先生から御指摘がございました。今日は谷口理事長もいらっしゃっておりますけれども,高専などにおきましては,しっかりその分野の人材育成というものをまさに真正面からやっていただいておりますし,まさに大学におきましても,数理・データサイエンス・AI教育の中で,そういったサイバーセキュリティに関する資格試験の合格に対して単位を認定するなど,今様々な取組が広がっておるところでございます。引き続き,グッドプラクティスの共有でありますとか,後押しをしていきたいと考えております。
また,平井先生のほうからJEITAの取組を御紹介いただきました。半導体の教育は,まさにこれからしっかり日本全体でネットワークを形成してやっていきたいと思っておりまして,特に文科省におきましては,しっかり地域性というところでありますとか,またそういった基盤人材からトップ人材までしっかり見据えた形で,若い方から若手研究者までしっかり育成の枠組みをつくっていきたいと思っておりますし,予算のところにも書かせていただいておりますが,高校生などへのアプローチというところも,先ほど指定したDXハイスクールの枠組みなども使いまして,しっかり推進していきたいと考えております。
また,村田様から御指摘いただきました,認定をこれからさらに進めていくためにということで,おっしゃるように,課題の把握なども進めていきたいと思います。まさに学校数は半分程度ですが,大きな学校がかなり先行して認定を受けているような状況でございまして,残る大学というのは比較的小規模なところや単科の大学が非常に多くございます。そのような大学は,なかなか人的体制が整わないというところで認定が進んでいない現状もございます。おっしゃるように,大学・高専間の連携など,色々やり方はあろうかと思いますので,引き続き後押ししていきたいと思います。
以上です。
【森専門教育課企画官】 ほかに先ほどの御発言で何かコメントあればと思いますけれども,経産省さんよろしいでしょうか。
【内田情報技術利用促進課長】 一言だけ。経済産業省としましても,先ほど文部科学省からコメントがありました論点全てにおいて連携して取り組んでまいりたいと思いますし,1点だけ,西尾国立大学協会理事,それからJEITAの平井常務理事からお話がありました,若年層の情報教育については,AI倫理等の理解も含めて,デジタルやデータを理解する社会人の供給を増やす観点からも,デジタル教育の強化に我々としても今後取り組んでいきたいと思っております。
また,今日のスライドでは御紹介しませんでしたけれども,IT人材育成の基盤として30年間活用されてきた情報処理技術者試験も,生成AIの登場やデジタル活用の広がりに伴いまして,ミスマッチの部分が顕在化しております。今後は,田中先生からもありましたように,まさにビジネスでもデジタルを実装する,活用する,それから若年層も,デジタルの基礎,倫理を把握するという観点から,情報処理技術者試験の在り方について,広くリテラシーを強化していく,ビジネスセクターにも広く活用してもらうという方向で議論を開始したいと思っています。そういった活動を今後の協議会で御報告できればと思っております。
以上です。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
谷口委員,次の議題に入る前に,今回の議題,今の話に関してということでよろしいですか。
【谷口委員】 はい。ちょっとだけ付け加えです。
【森専門教育課企画官】 では,簡潔にお願いします。
【谷口委員】 サイバーセキュリティの問題も,ちゃんと高専で,高専の年齢の段階から,若いときから,やらないと間に合わないというところがありますし,人材育成を始めさせていただいています。
それから,これから人口が少なくなってくるということもあって,小学校とか中学校のほうに,高専の学生さんも一緒になって,出向いて,教育の一端を担わせていただいています。それも男女関係なく,あるいは文系,理系なんて分けて考える時代ではなく関係ありませんから,全ての人たちにちゃんとこの問題の大事さを分かっていただくように連携して色々な教育といいますか,取組をさせていただいています。一緒に人材育成をやる,その基本のところについては,高専は地域の教育委員会等々とも一緒になってやらせていただいていますということも御報告申し上げます。
以上です。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
それでは,次の議題に入らせていただきます。議事2つ目の産学官・高大連携による人材育成の取組についてというものでございます。文部科学省初等中等教育局,情報処理推進機構,芝浦工業大学の順番で御説明していただくとともに,3名の方々の御説明の後にまとめて質問の時間を設けさせていただきたいと思います。また,自由討議の時間を別途用意させていただいていますので,そのときに御発言もいただければと思っています。
それでは,文部科学省初等中等教育局から資料3について御説明をお願いいたします。
【橋田初等中等教育局参事官】 文部科学省の高等学校担当参事官の橋田でございます。よろしくお願いいたします。私からは,DXハイスクールについて説明いたします。
資料の1ページを御覧ください。令和5年度補正予算で100億円を計上しておりまして,現状・課題にございますように,大学教育段階で,デジタル・理数分野への学部転換の取組が進むという中で,その政策効果を最大限発揮するという観点からも,高校段階のデジタル人材育成,その抜本的な強化が必要と考えております。
事業内容といたしましては,この情報等の教育を重視するカリキュラムを実施するということ,ICTを活用した文理横断的・探究的な学びを強化する学校等に対して,必要な環境整備の経費を支援するというところでございます。こちらのほうは,1校当たり1,000万円,1,000校程度ということで定額補助をするものとなっております。
資料の3ページのほうに飛んでください。こちらのほうは,申請校数1,097校に対し,所定の審査を踏まえて1,010校を採択しております。普通科のみならず,専門学科を含めて取り組んでいただいているということ。
また,4ページでございますけれども,各都道府県で取り組んでいただいているというところでございます。
資料の5ページを御覧ください。こちらは具体的な取組例でございますけれども,この九段中等教育学校においては,数理・データサイエンス・AI等を含むSTEAM教育の学習を取り入れたプログラム開発ということで,企業専門家,大学等の講師を招いて実体験型プログラムの実施や,新情報実習スタジオの整備,研修等を実施しているというところでございます。
6ページを御覧ください。こちらは倉吉農業高校でございますけれども,農業DX,スマート農業の深化ということで,最先端の機器を整備したDXラボを整備して,取組を進めているというところでございます。それに当たっては,地元の農家のみならず,企業,官公庁,大学等と連携しながら取組を進めているという事例でございます。
資料の7ページを御覧ください。特に大学との連携という観点の新潟高校と新潟県立大学との連携事例でございますけれども,大学教員による高校生対象の講義の実施ですとか,大学の設備を活用して大学教員,大学生が実習・ワークショップを行っているという事例でございます。
資料の8ページを御覧ください。こちらは高知工科大学でございますけれども,専門家による講義,また支援プログラム,AI体験ゼミ,地域課題への応用といった取組を進めております。
資料の9ページを御覧ください。こちらは金沢工業大学でございますけれども,探究学習で活用できる事例の紹介,実際の操作体験,また出前講義,また体験フェスという取組もしていただいております。
資料の10ページを御覧ください。こちらのほうは愛知産業大学でございますけれども,体験的な学習支援,アプリの制作,大学での実地演習という取組を進めていただいております。
続いて,資料の11ページを御覧ください。こちらのほうはDXハイスクールの令和7年度要求でございます。今回,要求ベースで言いますと107億円を要求しておりますけれども,今回,継続校分と併せて新規採択校の経費,さらに重点類型ということで,この下のほうにございますように大きく3類型,グローバル型,特色化・魅力化型,またプロフェッショナル型ということで,この中で特に半導体重点枠を含むという形でイメージしております。このプロフェッショナル型では,特に産業界等と連携した最先端の職業人材育成の取組を進めてまいりたいと考えております。
今後とも皆様方にはこの御支援をよろしくお願いいたします。大学,産業界,自治体の皆さんとも連携協力しながら進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
続きまして,情報処理推進機構の齊藤委員より資料4につきまして御説明をお願いいたします。
【齊藤委員】 ありがとうございます。IPAの齊藤です。資料4をお願いします。
では最初,目次2ページをお願いします。
今日は,IPAが今活動している内容,取り組んでいる内容を具体的にちょっと紹介したいと思います。先ほど経産省の内田課長からもありましたけれども,具体的には経産省の意向を受けて,また民間との協力を展開している内容でございます。
3ページをお願いします。IPAにおける広く行っているデジタル人材育成の取組というのは,基本的には,グローバルで通用するようなデジタル人材をつくりたいという中で,人も,組織も,共に学び続け,成長し続けるような社会をつくりたい,その中で一緒にデジタル社会を変革していくような形に持っていきたいというのが内容です。
その中では,基本的には民間のハブとして我々がいろいろ活動しながら,一つは,そこにあります組織・人材・スキル変革に関する調査を行いながら,左のほうにありますけれども,「誰が,何を,どう学ぶべきか」学びの指針を可視化して支援する話と,もう一つは,そういった変革のためのヒント集を作りながら,それぞれのスキル標準,「デジタルスキル標準」というところに赤枠がついていますけれども,DSSの話と,その下にあるいわゆる育成のシステム,マナビDXとかスキル検定のような話をやっているというのが今の活動です。
4ページをお願いします。その中で,先ほど紹介がありましたけれども,情報処理技術者試験もこのような形で行っていまして,基本的には,経産省が情報処理技術者としての「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定している国家試験で,基本的にITを利用する者といわゆる情報処理技術者というものを分けながら,それぞれの内容を決めているものでございます。ITを利用する者については,ITの安全な利活用を推進する者を選抜するような情報セキュリティマネジメント試験と,もう一つは,先ほどありましたように,全ての社会人,広く専門分野に関係なく,文理関係なく,全ての社会人にいわゆるアセスメントするようなITパスポート試験というものを実施してございます。それに右側の情報処理技術者試験を加えて,最終的には国家資格としての情報処理安全確保支援士のような登録セキスペというものを設けながら,いろいろな意味でアセスメントをしているところがこの状態でございます。ここに先ほど内田課長の話にありましたように,今から変わるAI社会に向けたいろいろなニーズを取り込んでいきながら,この国家試験の内容も変えていくという動きをこれからしてまいります。
5ページをお願いします。本日は,そういう中で,大学・高専に活用いただける情報処理技術者試験に関する取組をここの1から4の項目に従って説明しながら,最終的には皆様方とIPAのネットワークの構築に御協力いただいて,今後のいいデジタル人材育成を行っていけるようにということで,少しお話しさせてもらいます。
6ページをお願いします。最初は,入試優遇とか単位認定等に御活用いただいていますという内容で,下にあります表は,2017年のときに調査した内容で,359校の大学等に情報処理技術者試験を御活用いただいているという状況でございます。
今年度の最新の活用状況について確認していただいておりまして,今現在,大学・短大・高専に郵送でアンケートをお願いしていますが,現時点の回答状況では28.6%ということになっていますので,ぜひ御回答いただけていない学校におかれましては御協力をお願いしたいという話でございます。
7ページをお願いします。そうした中で,学生とか職員のリテラシー向上に御活用いただける内容を少し紹介しますと,東京情報大学では,学生向けの活用として,学者の知識とか能力を客観的に評価するのに役立てているということで御活用いただいておりまして,学生自身も,合格という目標を掲げることで学習意欲の向上が期待できるということで御活用いただいております。
また,東京大学では,情報システム部での活用の中で,まず職員の情報セキュリティスキルの習得は必須という中で,情報セキュリティマネジメント試験というのをそのスキルを身につけるツールの一つとして活用されておりまして,それに加えて,我々と連携しながら,情報処理技術者試験の概要紹介をするセミナーを開催するなどして啓蒙活動を実施しているというのが,東京大学の話でございます。
8ページをお願いします。それに加えて,御要望に応じてIPA担当者が大学に出向いて,情報処理技術者試験に関するガイダンスを実施しております。学生向けのほか,教職員の方にも実施可能ですので,ぜひ御活用いただければと思います。
9ページをお願いします。これが具体的な出張ガイダンスを実施した大学で,2023年度は20大学でこの情報処理技術者試験のガイダンスを実施いたしました。
10ページをお願いいたします。これは,具体的な情報処理技術者試験の内容を少し紹介しますと,情報処理技術の高度な専門家430名によって試験問題を作っております。それが活用いただけるという話でございます。この委員の大多数は民間企業に勤務して,企業における最新の実例を試験問題にタイムリーに反映しているということで,例えば左の下にある空飛ぶクルマとか,右のほうにある建設機械の自動・自律運転といったものも試験に採用しておりまして,こういうものを使いながらいろいろ試験問題を作って活用しているという状況でございます。
11ページをお願いします。情報処理技術者試験の専門家430名の内容がここにありまして,基本的に左のほうが勤務先別の分類で,人数430名のうちにそれぞれ,ここに書いてある人数をいろいろな分野から派遣していただいております。また,右のほうが専門分野でございまして,ハードウエアから下の経営工学・管理工学まで,こういった広い分野の人たちをそこに加えて,今試験問題を作っていて,この試験問題を活用していけるということでございますので,ぜひ御活用いただければと思います。
12ページをお願いします。加えて,いろいろなところで基本的には活用できると考えておりまして,我々はこの430名の試験委員とのネットワークがありますので,そこを仲介することを考えております。基本的には,請負とか委任契約は個別の大学と試験委員の間で結んでもらうことになりますが,こういった我々の人材ネットワークを活用していただいて,公募情報を共有するなどして連携できれば,いろいろな意味でデジタル化とデジタル社会をつくり上げるところの人材育成に貢献できるのではないかということで,こういうことも考えて進もうとしております。
13ページをお願いします。そういった中で,問合せ先です。ここにありますURL,またIPAのウェブサイトのトップページで問合せ可能ですので,ぜひ御活用ください。
14ページをお願いします。これは事例として,我々との連携の中で,金沢工業大学が取り組まれた新たな取組を紹介しています。金沢工業大学では,ITパスポートの受験促進のために,大学をITパスポートのCBT試験会場として整備して,2025年度の試験実施を予定しております。ここでは,大学の学生のほかに一般受験者も受け入れるということで進めております。
15ページをお願いします。また,高等専門学校との連携では,国立高専の方々が「コア」と「モデル」という「モデルコアカリキュラム(MCC)」というものを到達目標群として設定しておられて,各高専は地域性に応じた独自のカリキュラムを設定して学生育成を行っている中に,我々が持っているデジタルスキル標準(DSS),その下にありますけれども,DSS-Lというのが全てのビジネスパーソンに対するリテラシー標準で,もう一つは,下にあります,DXを推進する人材に対するDSS-Pというスキル標準,こういったものを関連づけながら共同で整理して,高専から産業界へのスキルの接続を明確化することで,学から産への産業界でも活躍できるようなデジタル人材の供給等を目指して,今連携しようとしております。
16ページをお願いします。高等教育への対応については,先ほど説明がありました数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度への対応として,情報処理技術者試験に関しては,既にリテラシーレベルに対応したITパスポートにおいて,右の下のほうにありますけれども,2021年4月から開始済みであります。そこの連携に続いて,他試験についても,応用基礎レベルモデルカリキュラムの要素を取り入れて,これは2024年10月実施の試験から適用ということで今進めております。
こういった形で,我々は,いろいろな意味で,これからのAI社会の活用を目指した社会のデジタル人材の育成のニーズに対して貢献していくこととしておりまして,特にIPAの特徴は,民間のハブとして,アーキテクチャ・デザインセンターとかデジタル基盤センター,セキュリティセンター,また今年つくったAIセーフティ・インスティテュートといったところとも連携しながら,この人材育成に対して貢献していきたいと考えております。ぜひ,協議会の皆様には,さらなるIPAの活用と連携ということをお願いしたいということで,私の説明を終わります。
以上です。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
続きまして,芝浦工業大学澤田システム理工学部長から資料5について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【芝浦工業大学(澤田様)】 芝浦工業大学システム理工学部の学部長をしております澤田と申します。本日はこのような報告機会をいただきまして,誠に感謝申し上げます。4学部あるうちの一つのシステム理工学部でデジタル人材育成の取組ということでお話をさせていただきます。
2ページをお願いします。我々は今,教育体制の改革を多方面にわたってやっているところでございます。きっかけは,「工学系教育の在り方について」という中間まとめが2017年にありまして,それに基づいて,様々ないろいろな改革・改組を今手がけて,構想中であります。特に,ここにありますように,情報関連技術の急速な進展が背景にあるのはもう言うまでもないということです。
3ページをお願いします。やっていることは,大きく言うと3つです。学科制というのはある種の分野の縦割り構造ですので,これをまず見直すということです。あともう一つは,全ての分野,我々は5つの分野を持っていますけれども,それに全て情報を掛け合わせるということ,これを試みております。もう一つは,分野横断型の専門教育が必要であるということで,主専攻,副専攻という,いわゆる課程制というものに対する構想を今深めておるところでございます。
4ページをお願いします。こうしたことを背景に,2023年度に大学・高専機能強化支援事業を採択いただきまして,これが我々にとっては大きな弾みになっておる次第です。「特筆すべき内容がある」ということで,ここにありますように,プログラムとかアントレプレナーシップ教育とか,あるいは海外協定校からのピアレビュー,産学金連携,国連連携環境の構築,あと非常に手を入れているのは女子学生の確保ということです。
通常は,新しいカリキュラムの構想を深める中で今特に強めてやっているのは,いわゆるリベラルアーツ系の基礎教養科目と専門科目で通常は構成されているところに,学際科目という分野横断を促進するような科目をいろいろと必修化してやっております。我々はもともと1991年に創設しておりまして,システム工学という分野横断の学科目を持っていますので,これの必修科目,あるいはアントレプレナーシップ,あるいはSDGsによる社会起点,キャリアデザインという自分起点,この辺りを深めながら学習させるということをやっております。
5ページをお願いします。これが5つの分野であります。それぞれに機械・電気や数理科学,いわゆる理工系の学部でありますので,上の4色がありますけれども,ものづくり,グリーン,数理,あるいはWell-being,こういう分野に対してデジタルをいかに掛け合わせていくかということをいろいろと科目化したり,いろいろな活動展開をしたりしているところでございます。その辺りのお話をしていきたいと思います。
6ページをお願いします。デジタル人材の育成といいましても,デジタルだけを特殊にやるわけではなくて,今の特定の成長分野,我々はデジタル,Well-being,グリーンと3つを掲げて改組しようとしていますが,いずれにしてもここにあるような3つの分野それぞれの取組が横断的にできるようにということで,こういうものを掲げているんですけれども,特にその養成する人材像,つまりどういう出口を持たせて社会でどういう貢献をするかということをかなり具体化して,1年生あるいは高校生にそれを伝達するということを様々手がけているところでございます。
7ページをお願いします。いよいよデジタル人材育成ということですけれども,今我々は,先ほどシステム工学のということを言いましたけれども,ここでシステム工学を詳しく言ってもちょっと時間がかかってしまうので,そういう分野横断の学問ということですが,これまでずっとそのシステム工学を23年間やってきて,さらにここでAI・デジタル駆動の手法あるいは技術を掛け合わせることによって,システム工学という分野横断性がより深化するということを構想しております。
もともと我々は,大学院教育の実質化ということで,これはギリシア文字ですけれども,シグマ型高度人材というのを掲げておりまして,いろいろな工学的知見を利活用できる力とか,国際グローバル性を兼ね備えた人材であるとか,そういうものを横断的に,さらにこのデジタルツインを図ることによって,シグマ型の高度人材を輩出していこうと。となるとどういうことかというと,やはり社会に出ていかないといけないということになります。
8ページをお願いします。かなり短い時間の報告ですので,ちょっと抜粋しましたけれども,今やっていること,つまり,建学の精神で「社会に学び,社会に貢献する技術者の育成」というのが我々の持っている精神ですが,やっていることは,社会の中で学ぶということを強めるということです。企業との共同講座,あるいは地域との共同人材育成プログラム,特にさいたま市さんとは相当いろいろと協働しております。あと,AIを活用した学修環境。AIというものをある種の仲間というか,相棒として見立てるようなセンスの育成であると思います。先ほどもございましたように,DXのハイスクールの高大接続事業,ここに社会的な貢献ということでもありますし,あるいは受験生の獲得ということもありますので,ここを強めるということです。
9ページをお願いします。例えば企業との共同講座なんですが,これは某社の企業内のこうした研修講座があって,そこに我々が知見とか,あるいはそのシステム工学の手法であるとか,あるいはデータサイエンスの技術であるとか,そういうものを導入していきます。社会の動向,顧客産業の視点,自社の視点という一連の流れで,企業さんのいわゆる企業教育の中に我々が入っていって,時には学生もそこに参加させるということで,共同講座ということをやっております。
10ページをお願いします。あとは地域です。やはり地域連携というのは非常に我々は今,さいたま市さん,あるいはSDGsのいろいろと協定を結んだりして,そういう社会で学ぶいろいろなシチュエーションを開拓中ですが,これは,我々の大学の教育カリキュラムの中にさいたま市さんが入ってもらう,あるいはさいたま市さんの教育機会創出,いわゆる地域産業を集めてきて,我々の大学と一緒にこうした共同育成支援プログラムをやっていただくということをやっております。これは,我々の教育目標もありますけれども,企業の教育目標,あるいは行政さんの教育目標,そういうものが横断して確認されて,それぞれにどういう学びがあったかということの情報交換にもなっております。
11ページをお願いします。あとは,こういうことを始めました。AIに人工知能によるティーチング・アシスタントというシステムを開発しまして,学生の身近にAIを置くことによって教育材料の提供,これはある意味では教員の負担軽減にもつながっているんですけれども,こういうことを始めました。いずれにしても,今,ChatGPT等いろいろな活用方法がありますので,それにかなり接近して学生がものを考えられるようにということで,自分の相棒としてAIが見られるようなセンス育成ということでやっております。
12ページをお願いします。DXハイスクールですけれども,今現在,埼玉県教育委員会からお声がけをいただきまして,埼玉県の県立岩槻高校,大宮高校,蕨高校とこのDXハイスクール支援事業をやり始めました。まだやっていないものもありますのでというか,向こうの先生方といろいろとそのプログラムを今開拓中といいますか,調整中でありまして,高校さんはそれぞれ今,状況が違いますので,その状況を確認しながら,現在持っておられる要望を確認してやることを決めているという状況にあります。まだちょっと実践はこれからなので,この秋どうなるかということで推移を見守っているところでございます。
最後のページで,我々はこうしてデジタル人材育成を単独でやっているというよりは,様々なものを合流させながら教育をしようとしているわけです。かつて,2014年にスーパーグローバルユニバーシティーの採択を受けて,そこではグローバルに関しての教育をかなり進展させることができました。今,新たな段階に入っております。そういう意味では,海外拠点をつくったり,海外協定校を増やしたりとか,いろいろとやっているところであります。
最後13ページに,女性の多い理工系大学ということで,これは,2013年の女性研究者研究活動支援事業の採択をきっかけにして,教職員・学生のネットワークをつくったり,あるいはそういう他大さんとの連携をつくったりして,まずは基礎固めをし,そこから2018年ぐらいから,いわゆる女子学生の獲得のための入試の多様化,あるいは女子高との連携協定締結,あるいは奨学金の給付制度,あるいは女子高生を対象にしたサマーインターンシップなどということで,かなりてこ入れして,今,今年の1年生の女子率は,私立の工業系では多いほうだと思うんですけれども,26.6%まで来たと,もう少ししたら30%になりそうだということで,歩を強めているというところでございます。
以上でございます。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。「産学官・高大連携による人材育成の取組について」ということで,3名の方々に御説明いただきました。まとめて質問の時間を取りたいと思います。御質問のある方は挙手ボタンをお願いします。時間の関係で,簡潔に御発言いただければと思います。
同友会の鈴木先生,よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】 本当に大学を含めて具体的な事例をたくさん聞かせていただいて,非常に頼もしく聞いておりました。本当にありがとうございます。
1時間前の話もそうですけれども,インテルとしても企業の教育,大学の教育,高専,高校と幅広く携わっている中で,二つ申し上げたい。一つ目は,点の活動が線になって,線の活動が面になるというところをKPIの話も含めて広げていくことである。だから,今回,いいプラクティスがあるが,それをどう広げるのかなというところ,ここのイニシアチブをまた文科省,経産省の方々に取っていただくなど点から線,線から面に広げて欲しい。
二つ目は,それを遡っていくと初等教育のところに行って,最初のプレゼンテーションのDXハイスクールですけれども,私も何年も一緒に取り組みをさせていただいております。いわゆる小学校のSTEAMラボというので実験して,戸田市が今,それこそ首相の岸田さんも行くぐらい,みんなで勉強しに行った。様々なところでベストプラクティスが実際にあるだけに,あのような展開を早くやっていただきたいなと思います。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
続きまして,新経連の関委員,お願いいたします。
【関委員】 いろいろな取組についての御説明ありがとうございます。質問というよりはコメントになりますが,大学・高専・高等学校において,より実践的なデジタル教育が必要になってくるかと思います。そういう意味で,ビジネス経験を持つ教員を拡大していくことが必要だと思いますが,企業から教員を提供するということも含めて,その辺りの手当てが必要である一方で,企業において,教員ができるほどのレベルの人材というのはそれほど多くないという実態がありますので,その辺りは企業に対するインセンティブづけも含めて官民連携して考えていく必要があると思います。例えば,教員給与の国による補填なども含めて御検討いただければと思います。その際に,これについてもKPIによる進捗管理というのは非常に重要だと思いますので,そういったことも検討いただければと存じます。
それからもう1点官民連携に関してですが,議題1で田中委員もお話しされた点です。東京23区の大学での定員規制については,見直しや撤廃をすべきだということを改めて申し上げたいと思います。例外措置はあるものの,御案内のように,理工分野に限定されていることや,3年で定員の調整が必要など,制度を有効に使える状態にはなっていないと思いますので,そこはぜひ見直しをしていただければと思います。デジタル人材育成拡大にアクセルを踏もうとしているのか,あるいはブレーキをかけているのか,施策にはメッセージ性が非常に重要だと思いますので,そこをぜひ考慮して再検討いただければと思います。
以上です。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
彦根商工会議所の橋本委員,お願いいたします。
【橋本委員】 商工会議所を代表して参加させていただいています。今ほど文科省さん,経産省さん,各団体の取組をお聞かせいただきまして,この2年でいろいろ取組が進んでいるなと理解をさせていただきました。
文科省さんの資料の9ページで,育成目標2025年というのがあると思うんですけれども,こちらに例えばエキスパートは年間2,000人とか,応用基礎は年間25万人という数字が書かれていますけれども,いわゆるこれがKPIといいますか,指標になるのかなと思うんですが,このエキスパートに関しまして,どういう取組が進んでいるのかがちょっと分からなかったので,そこを質問したいというのと,あとこのMDASH認定制度というのでいろいろ公募されて採択されていると思うんですけれども,全国都道府県,エリア的に満遍なくといいますか,地域格差が発生すると,そのDX人材が育たないといいますか,空白エリアがあると,学生に経済状況によって通えない,通えるという部分があると思いますので,才能が埋もれる可能性があると思いますので,その辺りも場合によっては文科省さんのほうでちょっと伴走して支援するとか,高校のDXハイスクールのほうは各都道府県ほぼ満遍なく採択がされているようですので,その辺りも全国オールジャパンでDX人材を育成するという観点で,各地域格差がないようにしていただければなと,これは意見で結構です。よろしくお願いします。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
それでは,国大協の西尾先生,お願いいたします。
【西尾委員】 どうもありがとうございます。1,000校余りの高校がDXハイスクールに認定されているということは,今後に向けて大変力強いことで,非常に印象深く伺いました。先ほどの前段で説明のありました大学教育におけるデジタル人材育成の取組とDXハイスクールの取組は,大学側の定員を増やしても,その母体となるところでしっかりとした人材が育ってこないとより高い効果が得られないということで,これは一体的に考える必要がある施策として私は捉えております。大学としても,高大接続の観点から,どれだけ高校等に対してサポートしていけるかというのは大きな課題でありまして,国立大学としても強く意識しているところです。
さらに,大学のみならず,国内の学会等もデジタル人材育成への支援に対して活発な動きがあるということを今日お話ししたいと思っております。例えば,情報処理学会等においては,このDXハイスクールに対してどれだけ支援していけるかということを真剣に考えておりますし,学会が毎月発行する学会誌におきましても,最近は高校の先生方の投稿が非常に増えておりまして,そういう観点で大きなムーブメントが起こっていると思っております。
DXハイスクールについて,来年度に関しては新規の概算要求事項になっておりますが,資料の14ページ,経済財政運営と改革の基本方針2024のところで,「DXハイスクール事業の継続的な実施」という言葉を取り付けていただいたこと,これは私としても文部科学省に深く感謝しております。今後,この施策でどういう効果が生まれ,それが日本の高度デジタル化にどのように寄与するかは,ある程度の年限を経ないと検証もできないと思いますので,私としましては,この予算の獲得に関しましてさらなる御尽力をいただければということを強く願っております。
以上でございます。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございました。
取組の御説明をいただきました皆様,御紹介をありがとうございました。
では,初等中等教育局のほうから御発言いただきます。
【橋田初等中等教育局参事官】 鈴木委員,橋本委員,西尾委員が特にDXハイスクール関係ということで,御指摘ありがとうございます。
まずSTEAM教育に関しましては,先ほど九段中等教育学校の事例にも紹介いたしましたとおり,システム教育の視点も踏まえた取組を進めていきたいと考えております。また,いわゆる人的な面でも,DXハイスクールのニーズは高いところがございます。環境整備のハード面のみならず,例えば実際の専門人材の活用の面でも経費を入れられることになっておりますので,そうしたソフト面の予算確保にも努めていきたいと考えております。
また,学会との連携という視点も重要と認識しておりますので,学会等の情報も共有,頂戴しながら進めていきたいと考えております。
最後に,予算取りは非常に重要と考えております。実はこの間も断続的に財政当局と折衝を進めているところでございますので,西尾先生をはじめ,先生方の御支援を引き続きお借りしながら,この所要額の確保をしっかり努めていきたいと思っております。
ありがとうございます。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
【梅原専門教育課長】 続きまして,橋本様から頂きました資料1の9ページ,数理・データサイエンス・AI教育の件でございますけれども,エキスパートと,あとトップレベルというトップクラスの育成というところで数値がございますけれども,こちらのほうにつきましては,今特にKPIで計測はしておりませんけれども,さきに御説明いたしましたような大学・高専機能強化支援事業の高度情報人材の育成でありますとか,また博士課程,そして若手研究者,そういったところについては研究活動と一体ということで様々御支援させていただいております。そういった中で,こういったトップ人材というものをしっかり育成していきたいと思っております。
また,地域性というところについては,今かなり認定が進んでおりますので,おおむね地域に満遍なく認定できていると思っております。ただ,一方で,中小の大学さんでありますとか単科の大学さんといったところにまだまだ浸透の余地があるということは思っております。予算のところで御説明させていただきましたけれども,今,全国の地域ブロックごとにコンソーシアムなども設けて,それぞれ普及活動を行っておりますので,そういった枠組みを通じてしっかりそういったところにも浸透していきたいということ。あと,西尾先生からも学会の御支援のお話がございましたけれども,学会の御支援も多分にいただいておりますので,そういったところもしっかり我々も伴走していきたいと思っております。
以上です。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
本日も大変活発な御議論をいただき,誠にありがとうございます。予定していた議事は終了となります。
時間はあまりございませんが,全体を通してどうしても発言したい等ございましたら,挙手のボタンを押していただければと思いますが,いらっしゃいますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは,最後に協議会の総括として,経済産業省の西村審議官,文部科学省の伊藤局長から,それぞれ一言お願いいたします。
それでは,西村審議官,よろしくお願いいたします。
【西村審議官】 ありがとうございます。経済産業省の審議官の西村でございます。本日も活発な御議論をいただきまして,感謝申し上げます。
デジタル人材の育成に当たっては,共通のスキル基準を基にした全国大での育成,そして半導体等,個々の地域のニーズといったものを踏まえて,地域で連携した育成,この両面からのアプローチが重要だと考えております。地域のDX人材の育成については,機能強化基金を活用した大学や高専といった方々にその中核的な役割を果たしていただいており,感謝したいと思っております。経産省としては,こうした産学の連携をさらに深めていきたいと思っております。
例えば,本日IPAから紹介のありました高専機構との協働といったものを通じて,カリキュラムとスキル標準をつなげていく,接続していくことで,公教育から社会人へとデジタル人材の育成がつながっていく,こういったことを期待したいと思っております。本日は高専機構の谷口理事長も参加いただいていますが,ぜひよろしくお願いいたします。
本協議会の価値は,産学官の様々な主体が連携して,より大きな課題解決に取り組むことであろうと思っております。経済産業省としても,デジタル人材が継続的に生まれてくるような環境,インフラといったものを文科省とともに進めていきたいと考えております。
生成AIが出てきました。生成AIの登場は,デジタル技術の急速な進化の象徴だろうと思っております。スキルの変化に応じて学び続けることの重要性を示唆していると思っております。
今後,経産省としても,IPAと連携しながら,個人のデジタルスキルの情報を蓄積して,可視化をしていく。こういったことで継続的な学びを促していく。また,このスキル情報を広く産業界を含めて活用いただけるようなプラットフォーム,仕組みをつくっていきたいと考えてございます。
これまでも去年の御意見も随分参考にさせていただいたんですが,本日も多くの意見をいただきました。こういったものは,今後の経産省のプラットフォームづくりもしくは試験制度の見直し,その他新たな施策の取組の中で,ぜひ参考にさせていただきたいと思っております。
例えばですけれども,委員から数々御指摘がありました,若い世代から大学,高専,そして社会人まで,そういった幅広い層をきちんとにらんで取り組むこと,また,理系だけではなく,文系も,そして産業界も連携していく,こういった重要性を今日拝聴させていただきました。こういったものをKPIに基づいてしっかり経産省としても進めていきたいと思っております。
また,倫理の面,サイバーセキュリティ,また海外人材を活用する,こういった重要な視点も今日御指摘いただいたと思っております。こういったこともしっかりと意識して進めたいと思っております。
さらに,こういった施策を進めるに当たっては,鈴木委員からございました,点から線,面,そういう意味では広がりを持って施策が展開されるようにしていくこと,また我々として打ち出す際にメッセージ性をしっかりと意識して打ち出していくこと,格差なく進めるといったことも意識しながら進めていきたいと思っております。
デジタル人材の育成の強化については,重要だと考えております。今後も,皆様と議論させていただき,また連携させていただいて進められればと思っております。
本日はありがとうございました。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
次に,伊藤局長,よろしくお願いします。
【伊藤高等教育局長】 本日も委員の皆様におかれましては大変御活発な御議論,誠にありがとうございました。
また,芝浦工業大学の澤田様におかれましては,大変お忙しい中,非常に具体的で,またすばらしい取組の紹介をいただきましたこと,感謝を申し上げます。
私は第1回からこの会議にずっと参加させていただきまして,本当に毎回委員の皆様からすばらしい御意見を頂戴しながら,私どももそれを施策に反映させていただいているところでございますが,1回目のときには,単に本当に量的な対応という観点からスタートし,様々な御意見を頂戴いたしましたが,回を追うごとに,デジタル人材というものについては,単なる量ではなくて,その質もですし,その対象となる分野,基本的に今日はサイバーセキュリティの話や倫理の話,さらに初等中等教育段階からの人材養成が大変重要だという形で,大学のある部分で取り組んでいたということではなくて,非常に幅広い全体の人材育成に関し御指摘をいただきながら,課題が広がっているなと感じてございます。まさにこの分野は日進月歩で,また課題も大きく変容していく部分でございますので,毎年我々の政策もアップ・ツー・デートしていかなければいけないと思ってございますが,そのためには,今日お集まりの委員の皆様をはじめ,産業界,また学の力も結集しながら,そして私どもも経済産業省さんをはじめ,政府の中でも一体として取り組まなければいけない課題だということを改めて今日は認識させていただきました。
大変手前みそですけれども,この分野に関して経済産業省さんと文部科学省の取組は,今日は委員の皆様にも少しお褒めいただきましたけれども,非常にうまくいっている,ある意味希有な分野ではないかと思ってございます。ただ,まだまだ本当に先ほど申しましたようにどんどん課題のほうが先に進んでいくと思ってございますので,これに我々も慢心することなく,しっかり取り組んでまいりたいと思います。
1点だけ御紹介申し上げますと,初等中等教育段階からの取組が重要という観点でいきますと,実は今年度の大学共通テストから新しい教育課程を学んだ高校生が受験する中で,教科で「情報I」というものが新たな教科として導入されてまいります。入試に出るから勉強するではもちろんないわけでございますけれども,このことは情報ということをしっかり学ぶ,その基礎を培うということに対して,高校以下の教育に大変大きなインパクトを与えるものだと私どもは思ってございますので,ぜひこれは,今年は初めての年でございますので,これも毎年積み重ねることによって,早い段階から様々な情報の単なる知識だけではなくて,それを活用しながら,どのように人の生き方,人間の生き方として学んでいくのか,対応していくのかということを深い学びにつなげていけるよう,文部科学省としても全体としてしっかり取り組んでまいりたいと思ってございますので,引き続き今日お集まりの皆様には今後も御指導いただきますことをお願い申し上げ,今日の感想とさせていただきます。
ありがとうございました。
【森専門教育課企画官】 ありがとうございます。
それでは,以上で第4回デジタル人材育成推進協議会を終了いたします。本日はありがとうございました。
―― 了 ――