大学院段階の学生支援のための新たな制度に関する検討会議(第4回)議事録

1.日時

令和4年12月15日(木曜日)10時00分~12時00分

2.議事録

【小林座長】  皆さん,おはようございます。この会議もいよいよ最終的な案をまとめることになりまして,これまで,いろいろ御協力いただき本当にありがとうございました。また,年末の御多忙中御出席いただき誠にありがとうございます。
 私のほうはよんどころない事情でオンラインで参加いたします。
 初めに,本日の配付資料の確認をさせていただきます。本日の配付資料は議事次第のとおりになります。不足等がございましたら事務局にお申しつけください。
 本日はこの会議の報告案について審議を行います。これまでの議論を踏まえまして,事務局において案を作成しております。まずは,事務局より資料の御説明をよろしくお願いいたします。
【今村企画官】  失礼いたします。本日会議資料としては3点,資料1,2,3とございますが,資料2をこの検討会議の報告案としてまとめております。
 まず,資料の1から御覧ください。資料の1は前回から変更ございません。ほぼ同内容のものを前回お示しし,この新たな制度を創設する目的,背景というのを整理いたしました。ちょっと表記の位置などを変えまして,見栄えを変えたという程度でございますので,こちらの資料の説明は割愛いたします。
 資料の2がこの新しい制度の制度設計,骨格はこうであるべきというのを文書でまとめたものではございますが,これを1ページから読み上げてまいりますと時間も大分要してしまいますので,また,委員の皆様にポイントが分かりにくいかと思いましたので,資料の3を用意いたしました。こちらを御覧ください。
 資料の3は,通しのページ数で申し上げますと12ページになります。横長のものでございます。こちら,前回11月11日,第3回の資料2で様々議論をいただきました。その議論を経てなお残っていた課題,結論が出ていなかった部分について,今回の文章編の報告で書き込んでおるのですが,その書き込んだ内容を赤い四角で貼り付けております。ですので,前回までに固まった骨格,例えば,授業料を不徴収とするという(1)のところ,大学にJASSOが振り込んで,それは代理受領でいくという,そういった話についてはもう固まった話なので,残された課題を中心に本日御説明いたします。
 まず1ページ目のところでは,(2)対象学生のところで,利用できる学生の年収要件はどうあるべきかというのが,今と同じかそれよりもより緩和するかという2案で意見が分かれておりました。報告案では,希望者が利用することとしつつ,年収要件については今の修士段階の貸与型奨学金の基準をベースにすると。ただ,子供を持つ学生に対する配慮ですとか,社会人入学者が離職等を伴う場合は,前年の年収ではなく,入学時点での年収で判定可能とすることも含めて検討していくというふうにいたしました。
 なお,その下,※書きに書いておりますのは,今の貸与型奨学金の細かな条件を書いております。親からの仕送り等を含めた本人の収入,配偶者がいる場合には配偶者の収入を加えた額です。その額が299万円を下回る,また,研究能力が特に優れている者等は389万円以下の場合に対象となります。親の収入が直接的な判定基準となることはなく,子供など扶養親族に係る控除は設けられてございません。ですので,こういったことを配慮しながら新しい基準を,今のものをベースにしつつも,新しいものを考えていくというのを報告書案に書かせていただきました。
 続いて,2ページ目を御覧ください。
 (4),今度は卒業後どうやって納付していくかというところで,何点か論点が残っておりました。まず,前回までに合意が得られた内容は,丸1,課税所得の9%を12等分した額を毎月納付する。ただし,一定年収を下回る場合は定額ということで,じゃあ,この定額というものにつきましては,報告案では,月額2,000円など,一定の最低納付額を設定するといたしました。
 また,毎月毎月納付していくことにつきまして,報告案では,丸1の所得の計算については,基本的に現行の無利子奨学金所得連動返還制度と同様に,地方住民税の所得割の基となる額が想定されます。ただ,大学院修了直後の納付者の結婚や子育てを後押しする観点からは,年少の子供を扶養する場合には独自の所得控除を措置することについて今後検討していくべきということにいたしました。
 と申しますのも,年収146万円というふうに挙げておりますが,そこから基礎控除,所得控除等を差し引いた課税所得に対して9%掛けたものが2万4,000円になり,その12等分が2,000円になります。様々な税の計算における控除において,幼い子供を扶養していたとしても今課税所得の計算上は何ら考慮がございません。16歳以上の子供であれば扶養控除の対象になりますが,それ以下であれば考慮がないために,ここはこの新たな制度の独自の考え方として独自の控除を設けてはどうかということを記載した次第です。
 続きまして,丸2の「一定の年収」を下回る場合としていますが,その一定の年収の額について,報告案では,現行の無利子奨学金における所得連動返還において返還が始まる,単身世帯の場合146万円,これよりも大きい値を設定することを検討してはどうかと。例えば,単身世帯で年収300万円などとすることが考えられます。
 なお,※書きで書いておりますが,所得に応じて納付していただく制度ではございますが,より早く納付を終えてしまいたいという方もいらっしゃるかもしれませんので,繰上納付を可能とすることも併せて検討すべきかと思います。
 このページの最後に書いておりますのは,卒業後1年目は課税所得が存在しないということで,納付額をどうしていくべきかということが前回は残っておりました。報告案では,一定の納付額を設定する,または,在学中の年収を基に判定することも含めて検討するといたしました。
 最後のページになります。14ページを御覧ください。本資料の3枚目です。
 (5)実務上の論点の例では,報告書で大きな変更はございません。
 最後のその他関連する論点といたしまして,卒業後の納付が困難となる場合の対応のところで,報告案ではこれまで明確にしておりませんでしたが,災害,疾病などで納付困難となった場合の納付の猶予,それから,心身の障害など,今後納付ができない場合の納付の免除については,本人の申出に基づいて可能とすべきというふうにいたしました。
 また,続いて赤い枠に書いておりますのは,機関保証に関してでございます。納付は将来世代における原資になります。また,学生支援機構の事務の範囲内で実施されるため,法律的な扱いは貸借契約となります。こういったことから,仮に納付が滞った場合のために,原則として債務の保証が必要となります。他方で,この制度趣旨から考えますと,保証は必要ないという考え方もできるかと思います。
 このように両論併記した上で,保証の要否,保証を付す場合の適切な在り方につきまして,財源及び利用者が卒業後に債務不履行等に陥るリスク等も勘案し,政府部内でこの扱いについては検討するというふうにいたしました。
 それから,学部段階から奨学金を借りていた学生の場合,そこで所得連動しますと,学部段階の債務に対して9%,大学院段階での新たな制度の納付で9%となって,18%になるという問題を提起しておりました。その点につきましては,報告書では赤枠の3行目を御覧ください。所得に応じた無理のない納付額とする観点から,この18%,27%問題を変更の余地があるという考え方と,返還・納付の長期化を避けるためにはやむを得ないという考え方が存在しますと。こうした観点を踏まえ,適切な在り方について,財源等を勘案しつつ,政府内で検討といたしました。
 最後に,業績優秀者につきまして,これも明示したほうがよろしいかと思いまして,この新たな制度におきましても業績優秀者については全部または一部納付を免除する優遇措置の対象とすることが適当といたしました。
 以上が資料の3でございます。
 恐縮ですが,資料2に戻っていただきまして,今私が説明したものが資料2に書いてございます主な変更点ではございますが,そのほかの触れなければいけないポイントを申し上げます。
 資料2の4ページ目です。
 ここの上から2つ目の丸,「新たな制度の目的,実施主体,実施事業及び対象等」という小見出しがございます箇所の最後の2行を御覧ください。今までこの制度をどのように呼ぶかというのが固まっておりませんでしたが,この報告書におきましては,「教育の便益を受けた後に卒業後の所得に応じて無理なく納付していく」,言わば「受益後納付」の制度を創設するということで,「受益後納付」という名前を付けてみました。
 ということと,同じくこのページでポイントとして皆さんにお伝えしなければなりませんのが,最後から2つ目の白丸の「また」以降の段落です。最後の3行です。この制度の導入時期について,令和6年秋ということを明示いたしました。機構及び各大学における実務的な準備や,学生・社会人への周知等に最低でも1年は必要であること,それから,年収要件を設けましたので,審査の必要性やそれに要する期間を併せて考慮いたしますと,令和6年秋入学から制度を開始することが適当というふうにいたしました。
 しかしながら,その次の白丸を御覧ください。修学支援新制度を利用していた学生に対する配慮を書いております。4年制の大学において,学部初年次の段階から修学支援新制度の対象となっていた学生,この多くが令和6年度に次のキャリアステージに進むことになります。この者たちが大学院の授業料という当面の負担が中長期的な進路の意志決定を制約することのないように,必要な配慮について文部科学省において今後検討を進めるとしております。
 我々が今考えておりますのは,具体的には,令和6年の秋からしか新しい仕組みは使えないことになろうかと思いますが,それまでの間,修学支援新制度を利用していた学生に対しては授業料の納付を待っていただけないか大学に御相談していきたいと考えております。
 続きまして,もう2点御紹介いたします。
 9ページになります。
 卒業後の納付のイメージ図の下のところの最後で,納付に関する論点として,源泉徴収について述べております。「なお,納付の方法としては」と始まる最後の五,六行でございますが,イギリスやオーストラリアにおいては税当局による源泉徴収方式が採用されているところですが,新たな制度においては,希望者が利用する制度であること,それから,令和6年度に速やかに実施する観点から,学生支援機構による口座振替方式とするということを明記しました。その上で,今後の検討課題ではございますので,源泉徴収方式は,それが事業主への事務負担であることであったり,源泉徴収方式が採用されている税や社会保険はほぼ全ての労働者が関わるものである一方で奨学金や修学支援は必ずしもそうではなかったりするという違いも踏まえる必要があるということを付言しております。
 最後に,11ページです。この報告書の最後に「高等教育の費用負担の在り方」という小見出しをつけた4行を加えております。これは骨太の方針におきましても,大学院段階に新たな制度を導入することを契機として,教育費の在り方について議論していくべきという方針が示されておりますので,本報告書におきましても,この制度の創設を契機として,親負担,卒業後の本人負担,公費負担といった高等教育の費用負担の在り方について,学費相当分の負担のみならず,寄附に見られるような追加的な高等教育への支出の姿も含めて,大規模な意識調査を実施しながら議論を深めていくこととするというように,今後の我々文部科学省に対する注文という形で記載させていただきました。
 説明,以上でございます。
【藤吉課長】  学生支援課長の藤吉ですけれども,ちょっと補足いたしますが,今,今村企画官から説明しましたとおり,今回,例えば,納付を開始する年収を幾らに引き上げるかとか,具体的な数字等については,財源の問題もありますので,そういった財源の確保状況を踏まえて政府の中で検討していくと,そういった文章が幾つか散見されると思いますけれども,本日先生方におかれましては,今後のそういった政府部内の調整に当たっても留意すべき点等ございましたら改めて御意見頂戴できればと思います。特に我々これは新しい制度だという気持ちを持って進めていきたいと思っていますので,そういったものになって,大学院に進学する学生さんたちが,これはいい,使ってみたい,そういった制度になるように制度設計を詰めていきたいと思っていますので,そういった観点からも御意見賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
【小林座長】  ありがとうございます。
 それでは,今の御説明に基づきましてこれから審議していきたいと思います。お配りしている報告案について,今,特に前回からの改正点について,あるいは,追加した点について御説明があったわけですが,その点中心に御質問,御意見をお願いいたします。特にこれまでの議論が反映できているのか,今後の政府における調整において留意すべき点等ございましたら,その点について御意見をお願いいたします。対面で出席の委員におかれましても,御質問等あればタブレットの挙手ボタンでよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは,皆さんのほうから御意見が出るまでに,私のほうで少しお願いをしたい。
 よろしいですか。
【濱中委員】  意見の前に少しだけ文章の修正を提案したいので,よろしいですか。
【小林座長】  どうぞ。
【濱中委員】  今日配っていただいた資料3の(2)の対象学生のところの赤枠内,意味は変わらないし,提案自体は結構だと思うんですけれども,「離職等を伴う場合は(前年の収入ではなく)入学時点の年収」だと何のことかあまりよく分からないので,「入学後の見込み年収」とか,たしか見込みでもよいみたいな趣旨だったと思うので,何か言葉を補っておいたほうがいいかなと。
【今村企画官】  つまり,入学時点では年収という1年間が存在していないという。
【濱中委員】  入学時の前年の年収なのか入学した後のことなのかちょっと分からないので。いったん仕事を辞めてしまったら恐らくゼロになるんでしょうけど,その後の1年間の収入の見込みというほうが正確なのではないかと思います。
【今村企画官】  では,「入学した年の見込み年収」とか,そういう言い方にしようと。
【濱中委員】  何かそんな感じのニュアンスにしたほうがよろしいかと思います。
【小林座長】  よろしいでしょうか。修正よろしくお願いいたします。
【今村企画官】  承知しました。
【小林座長】  すみません,私のほうでちょっと全員の画面が出ていないので,手を挙げている方,すみません,確認できていないので,よろしくお願いします。共有を切っていただければ全部見ることができますので,恐れ入ります。
 改めて,では,川端委員よろしくお願いいたします。
【川端委員】  川端です。このまましゃべればいいんでしたっけ。
【小林座長】  はい。
【川端委員】  そうですか。
 最終案に向けてまとめていただいて,先ほど言われたように,これは学生にとってどう見えるかというのが一番大きいところで,ぼーっと見ると何となく修士の貸与型奨学金が拡大したなという感じにしか見えないかもしれない。だから,どこが違うというのを,いや,どこが学生さんが進学しようと思えるようになる新しい施策なんだというふうなところをもっとはっきり出せればいいなというのが全体を通して感じているところで,一番最初の12ページの対象学生のところから始めると,前もお話が,何度か言ったように,いろいろな条件が入ったりするのはいいんだけど,これが,だから,学生さんが,ウェブ上ででも自分がこれに入れるかどうかというのを明らかにできるように,要するに,申請しようとしたときに,いろいろ考えなきゃ分からないんじゃなくて,自分は入れるんだとか入れないんだということがはっきりするような何か方法がこれにくっついているといいかなという気がします。それをどこかで明記していただけると。
 それから,もう1点は,能力が特に優れた学生さんをというのがこの後ろのほうで出てくるんですけど,これをここに混ぜることがいいかどうかがちょっと気になっていて,要するに,それは本人にとって分からない話なんですよね,最後まで。この奨学金を,このお金を取って最後の最後にという,要するに,これとは別に授業料免除というのがあるんですよね。だから,そのラインとこれがどこかで混ざり始めていくと,そうすると,それは誰が審査するのかなという。そうすると,別のまた手続が必要になってきて,そうすると,このための何かがまた大学の中で何かつくらなきゃならなくなったり,何かいろいろなことが起こるな。だったらもう切っちゃって,授業料免除は授業料免除であるんだから,そこでしっかり審査してもらって,これはともかく授業料は受益の後に出しますよと言っているだけでも十分なような気がするんですけどね。というのが,すみません,もう1点です。
 あと,返還のところの話になると,いろいろあるんですけど,ともかくシンプルなというのが,ここで委員の方々皆さん言われているように,ともかくシンプルに,2,000円なら2,000円を常に払い続けて,あるレベルから上に上がったらという話のようなシンプルさが必要かなという。
 あと,ごめんなさい,ちょっと気がついたところで言いますけど,授業料を受けるに当たって上限額はどこかに書いているんでしたっけ。要するに,私立の非常に高い授業料のところもあるから,そういうものに関しても上限は,前回の時は何かそういう話があって,ごめんなさい,ポンチ絵の中にないから。
【今村企画官】  いえいえ,(3)にあります。
【川端委員】  あるんですか。すみません。
【今村企画官】  資料3の(3)で,前から変えてございます。
【川端委員】  じゃあ,結構です。
【小林座長】  よろしいですか。非常にいろいろな意見いただきましたので,少し順番に,事務局と,それから,ほかの先生方の御意見もいただきたいと思います。まず,できるだけ多くの方に参加していただきたいというのがこの制度の趣旨だと思うのですが,それについてもう少し見せ方を工夫する必要があるのではないかというような御意見だったと思いますが,それについてはいかがでしょうか。
【今村企画官】  事務局より失礼します。
 報告書におきましては説明を割愛してしまいましたが,最後の今後の方向性のところで,制度の周知という記載は盛り込んでおります。その上で,今の川端委員の御指摘は,報告書に何を書くか以上に,今後の我々の,行政側の取組に関してということかなと思いました。
【川端委員】  そうですね。
【小林座長】  制度がどうしても複雑化して難しくなってしまうというのは,この所得連動型の大きな,ある意味で問題点ですけれども,その辺についてできるだけシンプルな制度にしたほうがいいということと,それが学生に伝わらなければ当然この制度に申請してこないという問題があるので,できるだけそこのところを工夫していただきたいということだったと思います。実際に今この制度を取り扱うということになる日本学生支援機構のほうで十分こういうことを検討していただいて,できるだけ学生に伝わるような制度にしていただくというようなことだと思いますが,ほかの委員の方はいかがでしょうか。これでよろしいですか。
 私としては,もともとこのHECSの制度というのは原則全員参加,イギリスの場合もそうですけれど,そういう形でやられていますので,できるだけそれに近いものにしたいということがありますが,日本では事情も違いますので,なかなかそういう形ではいかないというのが一つあるかと思います。
 それから,この点2番目の御意見と重なるわけですが,前回か前々回かで議論になったと思いますが,優秀者ということではやはり今の日本学生支援機構法上欠かせないということになるかと思いますが,その前の議論で,これは大学院に入っている学生ですからある程度優秀性ということはもうそこで担保されていると,だから,そこまで強調する必要はないのではないかというような議論があったと思います。そういうような御意見だったというふうに記憶しておりますが,川端先生,そういう御趣旨でよろしかったでしょうか。
【川端委員】  そのとおりです。優秀者に対する授業料,何だっけ,返還の免除というようなこともちょっと書いているんですが,それをここに入れる必要があるかなという,そういう気がしたというところです。
【小林座長】  すみません,今の御趣旨,もう少し説明していただけますでしょうか。
【川端委員】  今14ページに出ていますけど,業績優秀者については全部または一部納付を免除するということをこの制度の中に入れる必要があるかという。今委員長が言われたみたいに,この制度自体はもともと優秀な人に対して,大学院に入ったということで,優秀だということで対象者に全員がなっている状態で,さらに優秀な人の納付を免除するとなると,これの審査をしなきゃならなくなるというような制度がさらにこれにまたくっついちゃうということから,もう一方では,授業料免除というのは頑然とした制度が別個あるんで,だから,これについてはこういうものはもう入れなくていいんじゃないか,そのほうがシンプルになるんじゃないですかという提案です。
【小林座長】  ありがとうございました。これについてはまた議論があるかと思いますので,いかがでしょうか。
 濱中委員,よろしくお願いします。
【濱中委員】  今の点にも関連するんですけど,基本的には今のJASSOでやっている第一種奨学金をそのまま残すのか,あるいは,それとの併用という形にするのか,どちらか一方のみの選択にするのか,そこの制度設計も今後考えるという形になっていると思うんですが,ただ,いずれにしろ,今の第一種奨学金があるがゆえに,今出てきた業績優秀者の免除を廃止してしまうと,だったら今の第一種奨学金のほうを選択したほうが有利だということになってしまって,この制度の利用者はいなくなってしまう。前提として,現行の第一種奨学金の中で盛り込まれているものと同等以上のものにしないと,この制度の利用のメリットがないんで,どうしてもそこは設計上必ず考慮しなきゃいけない点になるのかなというふうに思います。
 そうすると,はた目から見ると名前が変わっただけじゃないかとか言われる可能性を否定はできないんですけど,やっぱり思想として,なるべく授業料に相当する分は少なくとも支援して,誰もが一旦は進学できるようにして,その後所得を得るようになったら無理のない範囲で少しずつ返していくという仕組みなんだということをアピールすること自体が非常に大切なのかなというふうに思います。
 ついでなんで,今の制度との関係でいくと,適格認定みたいなのはやっぱり残るんですよね。年度ごとに一旦は何らかの形で審査して,何か非常に問題があると次の年の後納は認められないというようなことは,書いてはいないですけど,基本的にはそれも残るというか,入学時は恐らく成績がまだないので,指導教員の先生の推薦とかで能力があるという認定を多分するんでしょうけど。今も適格認定は多分やっているはずなんで,そこはどうするのかなというのは,どこで決めるのか分かりませんけど,少し検討しておく必要があるのかなとは思います。
【小林座長】  ありがとうございました。
 事務局,今の点についてまずいかがでしょうか。
【今村企画官】  適格認定といいましょうか,学生が支援を受けるに足る人物かを確認するという手続について,今の第一種奨学金にあるものと同様のものを残すかどうか,我々はそこまで思い至っておりませんでした。ですので,今この会議において一定の方向性をいただければありがたいですし,そうでなかったとしても,この報告書に何かしら方針なり,もし結論が得られないんであれば検討課題としてつけておくべきかと思っております。
【小林座長】  分かりました。ちょっと新しい問題として適格認定をどうするかという問題が今提起されましたけれど,もともとの川端委員の御意見についてまだ議論が残っていると思います。返還免除については特に優秀な人ということで,今業績免除という形で行われているわけですが,それを残すかどうかということで,濱中委員のほうから,これが一つ現在の制度では全額1割,半額2割ということで,かなりこの制度を利用することのメリットになっているわけですから,それがなくなってしまうとこの新しい制度のほうになかなか入ることが難しいのではないかと,そういう御趣旨だったと思います。
 先ほど来出ていますように,周知の問題も関係していまして,私のたまたま知っている学生だけかもしれませんけれど,この返還免除制度があること自体を結構知らない学生というのが大学院生でも多い。ですから,その辺りはまだまだ周知の問題もあると思いますし,これは現在の制度の大きなメリットだと思っていますので,その辺りはこの周知の問題と絡めて議論する必要があるかと思います。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。優秀者免除という言い方が適切かどうかということも含めて,新しい制度ができるので,少し議論する必要があるのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  ごめんなさい,僕は分かっていないところがあって,第一種奨学金とこれはどういうタイミングでどういうふうに周知されながら進んでいくんですかね。さっきの2つの制度は並列で動くという話なんで,だとすると,あと,それと,授業料免除というのとどういう連動で動いていくのかなという。同じ時期に同じように公募が起こって,決定時期がどの辺に表れてというのは,全く同じように動いていくと思えばいいんですかね。
【小林座長】  すみません,事務局からもう1回今の点確認お願いいたします。
【今村企画官】  今の御質問につきましては,まず第一種奨学金と併存するという前提で申し上げます。と申しますのも,最初にこの会議で固めた枠組みは,大学の代理受領,それは学生,大学,機構の3者による契約に基づいておりますので,理屈の上では,全ての大学が必ず参加するとは限らないことから,第一種奨学金というのは残すべきだと思っております。
 その上で,第一種奨学金においては,貸与する対象は優秀な学生というのが要件としてございます。それはもう学生支援機構法上,優秀な学生を支援するものだからということになっております。そのことについては,この会議におきましては,新しい制度において,大学院生を対象にするのだから,それはもう事実上みんなクリアできているんじゃないだろうかということが議論されました。それが最初の優秀の話です。
 それとは別に,今川端委員が提起されたのは,返還免除の優秀さについてでございますが,国立大学ではある程度授業料の免除や減免というものを一定の予算規模をもって対応なさっていますが,全ての設置者においてそうとは限りません。
【川端委員】  そうですね。
【今村企画官】  また,授業料減免の対象は,優秀かどうかを見るところもあれば,それよりも,家庭の経済,親の経済状況を見ているという例も聞いております。ですので,授業料減免で優秀な者が支援をされているのかどうかというのはもう大学によりけりかと思いますし,その規模,対象の数というのも大学によりけりでございます。
 学生支援機構の業績優秀者に対する免除というものは,そういう設置者,大学に関係なく,ある程度の一定の層に対しては幅広く支援を行っていくということで行っております。その対象者は大学に選んでいただいています。それは,免除の推薦者を選んでいただく委員会等を設けていただいて,そこのお手間は大学にお願いしておりますが,そういう状況です。
 今回我々が報告書案に書きましたのは,そのような第一種奨学金における返還免除の枠組みというものを引き続き残してはどうかという御提案でございました。
【川端委員】  ということは,第一種での返還免除と同じスキームで各大学に,授業料のこれに関しても,優秀者かどうかの判断は同じ委員会なり何なりでそこで選んでねと,こう言えばいいという,こういう話なんですか。
【今村企画官】  はい。
【川端委員】  分かりました。
【小林座長】  よろしいでしょうか。今……。
【川端委員】  何か,ちょっと補足,訂正。
【與三野課長補佐】  補足だけいいですか。
【小林座長】  どうぞ。
【與三野課長補佐】  多分授業料免除は入学された方の経済状況などを見てその年の授業料を免除するかどうかを審査するといますが思,業績免除というのは,博士課程なり修士課程なりのその間の業績を見て,例えば修士だと2年生の時の研究の状況などを見て優秀かどうかというのを判定しますので,タイミングとしては卒業年次までの業績を見ます。ですから,タイミングとしては授業料免除とは別になっています。
【川端委員】  そうですよね。
【與三野課長補佐】  以上です。
【川端委員】  だから,第一種とこの出世払いは同じ優秀者の選択の仕方をしていくという,それと,一方で,授業料免除というのは,また一番最初入った時に各大学なり何なりが決定しているやつが別途あるという話なんですね。そういうことか。
【小林座長】  よろしいでしょうか。今おっしゃられたとおりだと思いますが,第一種が残る理由は,大学が全部参加するとは限らないということで,それを残すということと,それから,日本学生支援機構のほうの制度というのは,ある程度ユニバーサルといいますか,全ての学生が対象に一応なっています。授業料減免のほうは,それに対して,各大学が独自の裁量でもってやれる制度ですから,そこは違うという御説明だったと思います。
 ただし,優秀者の決定ということについては,各大学がかなり,あるいは,経済的な要件でできるかとか,そういうことについても授業料減免については各大学の裁量で行われているというのが現状だという御説明だったと思いますが,そういうことで,3つの制度がこれから併存するという形になるわけですが,全ての制度を全ての大学が使うというわけではないということになるかと思います。
 ということで,できるだけシンプルにというのは本当におっしゃるとおりですが,なかなか現在の制度も残さなければいけないという理由があるということだと思いますが,川端委員,よろしいでしょうか。
【川端委員】[A1]   はい,今ので,すみません,私のほうでかなり混乱していたというのが分かります。今第一種とこの制度自体に同じフレームワークの中で優秀者の免除を残すというのはあっていいと思います。了解します。
【小林座長】  ありがとうございました。
 付け加えますと,今確認ですけれど,優秀者免除についても各大学,今回の場合は大学院になりますが,それが裁量でという,裁量という言い方はよくないかもしれませんけれど,それぞれ独自に決定することができるという制度になっているというふうに思います。よろしいでしょうか。
 そうしましたら,あと,上限額の問題というのが出ていました。
 ちょっと赤井委員,お待ちください。
【赤井委員】  別の案なので,先。
【小林座長】  上限額の問題ということが提起されたと思いますが,これについては非常に様々な議論があったわけですが,日本の場合,国立大学の場合,授業料は一定額ですのでこの問題はないわけですが,私立大学についてこういった一定の平均額のようなもので設定するという案だと思いますが,それについて御意見ございませんでしょうか。
 これも非常に難しいところでありまして,この制度の趣旨から言うと,もちろん授業料は修了後に払うという制度になっていますので,全額ということがもちろん望ましいと思いますが,現実の問題として,日本の場合,特に私立大学の授業料は全くそれぞれ別々に設定されておりますし,特に医学部とか歯学部とか薬学部になりますと相当高額になりますので,その全額を後払いにするというのもなかなか難しいというようなことだと思いますが,これについてはいかがでしょうか。現行,この事務局案ということでよろしいでしょうか。特に御意見ございませんでしょうか。
 この辺も,ですから,今申し上げましたのはかなり理想的な話でありますが,別の例外といいますか,例えば,医学部でしたら相当な負担額になってしまうとか,いろいろな問題が起きますので,その辺も検討の余地があるかと思いますが。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  この点については,過去3回の会議で私は結構いろいろ申し上げてきましたが,今日の報告書の案では上限は設けるけどそれを幾らにするかはまだ今後検討という形で,現行の貸与型奨学金が年額106万円でしたっけ,だから,その金額辺りまでは,場合によっては,制度設計次第だけど可能だという書き方なので,よいのかなと思います。
 いろいろ考えてみると,学生や授業料を徴収する大学にとってはなるべく上限が高いほうが事務的には楽というか,簡便です。一方で,奨学金を振り込む側のJASSOにとってはこの値が大学によってまちまちだと面倒なのかなというのもあるので,そこは制度,システムとしてできる範囲でなるべく大学や学生の負担が少なくなるような方向で今後検討していただければよいのかなというふうに思います。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。
【赤井委員】  別件でもいいですか。
【小林座長】  すみません,もう一つちょっと適格認定の話が残っていますので,本当にお待たせしますが,今の点はそれで,そういうことでよろしいでしょうか。
 適格認定について行うのかどうかという御質問だったか,あるいは,ここで決めてというようなことだったと思いますが,それについては御意見いかがでしょうか。
 現在修学支援新制度のほうはかなり厳密に適格認定制度が運用されているわけですが,日本学生支援機構のほうの貸与奨学金についても適格認定制度が同じようにあるわけでありまして,その辺りをこの新制度でも残すかどうかという問題だと思いますが,いかがでしょうか。
 
【小林座長】  川端委員,どうぞ。
【川端委員】  第一種と全く同じで僕は適格認定に関してはいいと思いますけどね。休学の人間とかいろいろ出てきますから,だから,それを認定の仕方ができるだけ簡便になっていればよろしいかと思いますけど。
【小林座長】  ありがとうございます。ほかに御意見ございませんでしょうか。阪本委員,どうぞ。
【阪本委員】  適格認定はもちろんするべきだと思いますけれども,この制度が始まった後,実際に制度を設計していく段階で,適格認定で適格でないとされたときの処理が恐らく第一種とは違うと思いますので,その辺りを御検討いただければそれでよろしいのではないかなというふうに思いました。
【小林座長】  ありがとうございます。具体的には,第一種と違うというのは,例えばどういうことでしょうか。
【阪本委員】  例えば,学生側からすると突然授業料を払わなければならなくなるとか,そのタイミングが現在の適格認定のタイミングと同じでよいかとか,そういった本当に細かな点に配慮しなければならないと思います。
【小林座長】  この制度に参加する学生が不利にならないようにするというようなことの配慮が必要だということですね。
【阪本委員】  はい。
【小林座長】  ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。
 今までの制度が続いているというのが一つ,特に変えなければいけないという理由はあまりないような気もいたしますので,適格認定は,今御意見がありましたように,全く同じものである必要はないと思いますが,配慮しつつ残すというようなことでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは,赤井委員,どうもお待たせいたしました。よろしくお願いします。
【赤井委員】  14ページの真ん中のところの(6)の保証の話ですけど,債務の保証,両方の考え方があるという形で,今後財源との兼ね合いでということも書かれていますよね。私も十分に制度を把握できているのかわからないのですが,これ今までのほかの奨学金では債務保証を必ずつけてくださいという制度は今ないんでしたっけ。その辺との兼ね合いが一つあるのかなと思います。次に,この報告案の3行目,受益してから納付するという制度趣旨から考えれば保証は必要ないという,要するに,受益していなければ払わなくてもいいだろうという話ですけど,この保証の話というのがこういうことなのかということが二つ目です。さらに,最後,財源の関係があるので今後検討しますということで,ほかの一定年収とかそういうところは財源との兼ね合いになると思うんですけど,この保証するかしないかというのは,お金があれば保証は取らないし,なければという,そういう財源的な問題として処理していいのか,その辺り,結局,財源というところは,要するに,保証しないということになれば税金で保証するという理解でいいかということが3つめです。それで,債務保証を入れるということは,いわゆる学生の間でリスクをシェアすると,要するに,この制度を使っている人の間でリスクをシェアすると,そういう問題になりますよね。その辺りどちらのほうが望まれているのかという,そういうところでの議論というのが必要なのかなという気がします。今回定まらなければこれでいいとは思うんですけど,その辺りちょっと事務局,どういう形でこういうふうになっているのかというところを教えていただければと思います。
【小林座長】  ありがとうございました。事務局,いかがでしょうか。
【今村企画官】  まず,これまでの従前の貸与奨学金制度におきましては,人的保証を求めてきております。保証人を立てるというのが前提でございました。ただ,保証人を立てるというのがどうしても難しいということもあり,機関保証と我々呼んでおりますが,赤井委員がおっしゃったように,学生間で少しずつお金を出し合ってリスクをシェアするというやり方も始まったところです。
 この報告書においては,説明を割愛いたしましたが,資料2のほうには人的保証はなじまないということを明記しております。その上で,この制度は受益してから納付する,払えるようになってから払ってくださいねというのが制度の趣旨でございますし,これまでの検討会で皆さんと確認してきたように,諸外国の例を見ましても,イギリスやオーストラリアにおいては保証料という考え方は取っていないようでございました。ですので,筋から言って突き詰めると保証は必要ないという考え方もできます。
 ただ,あくまでも令和6年導入に向けて現実的なことを考えました結果,消費貸借契約にならざるを得ませんので,その観点から言うと保証料は必要だろうという考え方も成り立つと思います。
 これまでの前3回の議論の中では,論点として一応機関保証などと掲げてはおりましたが,あまり深掘りができませんでしたことから,本日時点でのまとめの報告案としては両論併記,今後検討するという形にした次第です。
【赤井委員】  事情は分かりました。そうせざるを得ないかなという気がします。現在導入されている,所得連動の奨学金では,機関保証が入っていますよね。あの,人的保証と機関保証の両方が使えるんでしたっけ。
【今村企画官】  人的保証はないですね。返還が長期化するので人的保証は不向きだということで,機関保証にしています。
【赤井委員】  機関保証だけですよね,今使える所得連動は。
【今村企画官】  はい。
【赤井委員】  それに合わせるという手もあるのかなという気もしましたけども,まだちょっと十分熟していないということなので,今後詰めていくということになりますね。財源が必要ということにもなるので,そういう意味では財務省との折衝も関わってくるということになりますね。お金があれば保証は要らないという,そういう整理ではないような気もしますけど,ちょっと大体理解できましたので,現時点ではこれでいくしかないということで,ほかの方から御意見があればこの辺りもお伺いしたいと思います。
【小林座長】  ありがとうございました。
 今の点は,所得連動型の場合には,返済というか,今度は納付という言い方に変えると思いますが,納付期間が長期化する可能性があるのでというような説明をつけていただければ,今の赤井委員がおっしゃったことが入るかと思います。そこは事務局で工夫していただければと思います。
 次は,濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  今の保証の話ですけど,確かにあまりよく考えていなかったなという気がしてきて,現行の奨学金は貸与する時に貸与する額から保証料を事前に引いて振り込む形になっていますけど,今度の制度では,基本的には大学に授業料として振り込まれるわけだから,そのやり方はできないわけですよね。そうすると,返す時に返還額に保証料を上乗せするというか,金融機関のローンではそういうやり方のものはありますけど,それだと利子扱いになってしまうとか,制度的にいろいろな問題が出てくる可能性もあるかも。保証料どうやって徴収するのかというのは結構難しい問題かもしれないんで,制度に詳しい方でよく検討していただく必要があるかなとは思いました。
 以上です。
【小林座長】  その辺りいかがでしょうか。現行の日本学生支援機構の場合には,確かにおっしゃるようにもう先に天引きするという形で処理されているわけですが,この制度の趣旨からいくとそれは難しいのではないかという御意見だったと思いますが。
【今村企画官】  事務局がお答えしましょうか。
【小林座長】  はい。
【今村企画官】  御指摘我々も認識していまして,保証料をいただくことになるならば,最初の機構から学生向け,結果として大学にいく支援額を授業料プラス保証料というふうに設定をし,保証料を除いた授業料分だけが大学に行くというお金の流れにしようかなと思っていました。
【荒張委員】  それは,回収する額と実際に大学に納付する額と違う額にするということですよね。
【今村企画官】  はい。
【赤井委員】  ということは,その保証料分だけは授業料を払ってもらうということになりますね。だから,50万円の授業料で大学には40万円しか渡さないと,10万円が保証料だとすると。その10万円は学生がその時に大学に支払ってという感じですかね。それでないと大学がお金ないですもんね。
【今村企画官】  おっしゃるとおりです。保証料はすごくもっともっと低廉な額なんですが,仮に1%だとすると,学生は50万円の授業料の場合50万5,000円を卒業後納付していただくという,そんなイメージです。
【赤井委員】  卒業後。
【今村企画官】  はい。
【川端委員】  返済額が50万5,000円になるということですよね。
【今村企画官】  はい。
【赤井委員】  でも,今何か大学に渡す時にちょっと減らして渡すとおっしゃられた。
【今村企画官】  そう,なので,大学に渡す時に,すみません,同じもの,言い方を変えますと,在学中は50万円,仮に1%だとして,50万円と5,000円という関係だった場合,在学中は年間50万円が大学に行きます。卒業後50万5,000円,2年間だったら101万円を卒業後所得に応じて納付いただくというものです。
【赤井委員】  そういうことですね。
【今村企画官】  はい。
【赤井委員】  先ほどおっしゃったように,利子っぽくなってしまうけど,それは違うということですね。なるほど。その辺,実行性の問題がいろいろあると思います。
【小林座長】  いろいろこの辺りかなり専門的な話になってまいりますが。
 阪本委員,いかがでしょうか。
【阪本委員】  今の御説明でよく分かりました。保証料そのものをお貸しするということですね,考え方としては。ただ,私はむしろこの文章の書き方自体が少し分かりにくいなというふうに思いました。受益してから納付するという制度趣旨とありますが,そういうことではなくて,所得連動型ローンにしたときの最大のメリットというのはデフォルトの可能性というのが減るということだろうと思うんですね。所得が低い期間は返済額が少なくて済むわけですから,過大な返済をしなくてよいのでデフォルトの可能性が低くなると。純粋に理論的な場合にはデフォルトがなくなるというふうに考えるんですね。それから考えると,受益してから納付するということが,保証料が必要ない理由ではなくて,むしろ返済額が所得に連動することによって保証制度が必要なくなるという書き方のほうが私なんかはすっと入ってくる書き方になるかなというふうに思いました。
【小林座長】  ありがとうございました。確かに,今おっしゃったのは,所得連動型ということのメリット,それについても書いていただくということをもう少し強調してもいいのではないかということですよね。特に,最初の議論にありましたように,できるだけこの制度に参加していただくという趣旨からいっても,授業料の納付額が所得に応じるということで,かなり,もちろん返還総額,返還というか納付総額は同じなんですけれど,1回当たりの負担額というのは相当小さくなるんだということが所得連動型の一番のメリットですから,その辺りのことはもう少し強調していただきたいということと,周知の際にもその点はできるだけ学生に分かりやすく説明すると,そういうようなことだと思いますが,よろしいでしょうか。
【阪本委員】  はい。
【小林座長】  ぜひこの報告書のほうにも,少しそういう所得連動型を使うということの意味ですね,なぜ所得連動型を,この制度の場合には納付という形になりますけど,納付のメリット,後から納付するということのメリットをぜひ強調していただきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
【荒張委員】  すみません。
【小林座長】  荒張委員,どうぞ。
【荒張委員】  すみません,ちょっとごめんなさい,分かんなくなってきちゃったんですけど,所得連動型の制度というのは今でもあるわけじゃないですか,一応。それとは,何が違うんですか。この制度は何が違うということになるんですか。
【小林座長】  すみません,何が違うというのをもう少し具体的に御質問をお願いいたします。
【荒張委員】  何といったらいいんでしょう,結局所得に応じて返すという点では同じ制度になるわけですよね。
【小林座長】  はい。
【荒張委員】  ちょっと私が気になったのは,先ほどの保証制度が今回なくてもいいんじゃないかという議論がなされているわけですけれども,一方で,現行の制度では機関保証が入っているということからすると,なぜ今回は似たような制度になっているのに片方では保証しなくてもいいのかと。保証料の負担は,保証制度の在り方を検討する中でも大きな議論になっているところなので,そこの負担がなくなるというのは非常に大きなメリットになるんですけれども,そうすると,この新しい制度になった時に,所得連動という意味では現行制度と似たようなものがあるけれども,逆に必ず回収できるような,そういう制度と併せていかないと,ちょっと保証をしなくてもいいという理屈は難しいんじゃないかなというふうに思ったので,そういう点で何が違うんでしょうかということを,何か違いがあればそういう保証制度の在り方の違いということも導いていけるんじゃないかなというふうに思ったものですから,発言させていただきました。
【小林座長】  ありがとうございます。先ほど阪本委員が一部お答えになっていたと思いますが,もう一度保証の問題について,所得連動型との関係で御説明よろしくお願いいたします。
【阪本委員】  私も現在のこの制度の中で保証が必要ないというつもりはありません。というのは,やはりオーストラリア等の制度とは違いまして,源泉徴収でもありませんし,そういったことから考えると,貸手側から見たデフォルトの可能性が十分ありますので,保証制度というのはつけておくべきだろうというふうに思います。ただ,本来の源泉徴収を伴うような,そして,全員が参加するような所得連動型ローンというのは,借り手が返したくても返せなくなるという意味でのデフォルトを所得連動にすることによってできる限り抑えることで実質的にゼロにしてしまうというのが考え方のベースにありますから,そういった趣旨であるということであれば意味はよく分かりますというふうなことで発言させていただいたということです。
【小林座長】  ありがとうございました。HECS,オーストラリアの制度ですとそういった保証がなくても済むような制度設計になっているわけですけれど,日本の場合は相当事情が違いますので,なかなか,やはり保証制度というのを導入せざるを得ないということですね。ですから,その辺りをこの報告でも書いてあると思いますけれど,もう少し丁寧に説明していただければその辺りが分かりやすいかなということだと思います。
 また,事務局のほうにお願いしたいのですが,よろしいでしょうか。
【今村企画官】  承知しました。
【小林座長】  よろしくお願いします。この問題よろしいでしょうか,保証の問題。
【藤吉課長】  ちょっとよろしいですか。
【小林座長】  どうぞ。
【藤吉課長】  藤吉ですけれども,確かに今のお話を聞いていて,保証制度そのものはやはり必要かなと思いますけれども,ただ,今までの制度と違う学生にとってのアピールという点では,保証制度は必要であるけれども,その負担を学生に求めるのか,あるいは,そこは,例えば,国が持つかとか,そういった点でのバリエーションというのはあるかなと思いました。要するに,もともと受益後納付という名前の前は出世払いということで,国が最初に授業料を面倒見るけれども,卒業後出世するまで待つという旧来型の考え方に立てば,保証料というのも,保証料の制度そのものはあるけれども,その負担も国が見ると,そういった考え方もあるのかなと思いました。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございます。それはまさしくオーストラリアとかイギリスが取っている方式でありまして,先ほどの赤井委員のリスク・プーリングというの,借手全体でリスクをシェアするという考え方ですけれど,オーストラリアとかイギリスが取っている方式はそれに国が入るわけです。国がそこにリスクを分担するというような仕組みでできているので保証料が要らないということになるわけです。
 ただ,これは当然のことながら国が財政負担をするということになりますから,その点で財政当局と話が要るということでありまして,今の日本の,ここまで言うと私の意見だけになってしまいますけど,今の国の財政状況だとそこまで求めるというのは非常に難しいのではないか。そういうことで,保証料は現行では取らざるを得ないけれど,国が負担するという考え方もあり得るのではないかというのが今の藤吉課長の御意見だったと思いますが,そういう御理解でよろしいでしょうか。
【小林座長】  川端委員,どうぞ。
【川端委員】  私でいいですか。ごめんなさい,今聞いていて,今回は返済を,例えば収入が300万円超えるまではすごく低いお金で設定していてという,全額返してもらうから,結局のところ支払いは後ろにずれていくという話なんですよね。そうすると,当然保証料も上がっていくという,要するに,期間が延びていくということは保証料も上がっていくという,そこが絡んでいるんですかね,今の話は。それとも,原則論として保証料というもの自体の在り方の話,さっきのオーストラリアとか,要するに,源泉徴収か何かの格好だから,別に何もしなくたって必ず差っ引いて返済されるからそんなもの要らないねという話と違っている,これは。ともかく返済を本人がしない限りないんだから。今回のこの話は,いや,300万円までは払わなくていいですよと,こう設定するということは,それが何年間なのか分からないけど,その間返済しない分後ろ側に結局延びていくという。だから,国が見たほうがいい,制度として後ろに延ばすことは我々が決めているんだから,その分の保証料に関しても国が面倒を見るという部分があっていいという,こういう論理なんですかね,さっきからちょっとお聞きしていて,そこまでは言っていないんですか,この話は。
【藤吉課長】  そこまでは考えていなくて,国の姿勢として保証料を見てやる,そういう考え方もあるのかなと。
【川端委員】  もう1点お聞きしたいのは,保証料は一体幾らぐらいのものなんでしょう,これ。50万円。
【赤井委員】  赤井ですけど,どのぐらい返せるかにもよりますよね。300万円まで払わないということなので,ずっと300万円以下の人はずっと払わないわけですよね。
【川端委員】  なるほどね。
【赤井委員】  だから,その分が一つと,あと,長期化すると利子の分がありますよね。
【川端委員】  ですよね。
【赤井委員】  それで,でも,それはそのほうがいいだろうということで政府が設計しているので,政府が設計する以上受け入れられる制度にしなきゃいけないという意味では,ある程度保証料を税金で見るというのも一つあると思いますけど,それは国民負担ですから,究極的には国民全体でそれを見るべきなのか,ある程度便益を受けているわけですから,その制度を使っている人の間でそのリスクをプールするべきなのか,そこは国民,国としての決断になるんだとは思いますけどね。
 ただ,リスクを取る人だけの間で保証料を決めちゃうと,結局返せそうな人は制度を使わないとかいう話になってくるので,どんどんまた保証料が上がっていって,究極的にはアドバース・セレクションとなってしまうので,一定所得と言っていますけど,本当はもう絶対返せるような人もこの制度に入ってもらって,お金にすごく余裕があって,絶対返せるような人にも制度に入ってもらって保証料を払ってもらうというふうにすれば,逆に保証料は下がりますよね。リスク・プールのところのパイが。そういうところにも保証料は影響してくるのかなと思います。すみません,ちょっと助言です。
【川端委員】  なるほど。
【小林座長】  ありがとうございます。今の問題は非常に本質的な問題で,所得連動型の持っている様々な問題点ですので,全部ここで議論するというのはなかなかこの限られた時間の中では相当難しいと思いますので,ぜひそういうことも含めて今後検討していただくということになるかと思います。
 特に今利子の負担ということもありまして,この問題も実はかなり所得連動型の場合は大きな問題ですけれども,その辺りのことは今回は議論できていませんので,財源論と併せて議論するというのは,あるいは,教育未来創造会議のほうで教育費の負担の在り方について検討するとのことで,それを一部受けていますので,これはこの問題に限らず非常に大きな問題として,誰が結局教育費を負担するのかという,そういう問題に帰着するわけですから,それは今後の検討課題としてぜひこの会議だけではなくて続けていく必要があるかと思っております。ありがとうございました。
 阪本委員,どうぞ。
【阪本委員】  論点変わりますけれども,表現のことについて3点ほど,こちらのほうがよいのかなというふうにも思うところがありますので,そこだけちょっとお伝えさせていただきたいというふうに思っております。
 一つは,13ページの最初の大きな赤い囲みのところなんですけれども,「大学院修了直後の納付者の結婚や子育てを後押しする観点から」という言葉があるんですが,もしかするとこういうふうな表現をしたほうが,通りやすいということかもしれませんけれども,この所得連動型ローンという観点でいくと,むしろライフイベントに配慮して進学をやめるというようなことを避けるためという表現のほうがよくないかなというふうに少し思いました。こちらはどちらが望ましいのかは少し私としてはちょっと判断がつきかねるところです。
 それから,もう1点なんですが, 14ページの下から2つ目の赤い囲みの部分です。「返還・納付の長期化を避けるため」という表現がありまして,もちろんこれはそれで分かるのですけれども,これ無利子なので,返還・納付の長期化というのはむしろ補助金をたくさんもらうということでもあるので,望ましいという観点もあるかと思うんです。ですので,その辺りを入れるかどうか。もちろん逆に補助金が大きくなるというのは望ましくないという観点もあるかと思いますので,この表現についても,私自身も迷っているところになります。
 それから,全体として「受益」という言葉が幾つか出てくるんですけれども,ここでの「受益」というのは,結局は大学あるいは大学院で授業を受けるとか,研究の機会を与えてもらうとか,こういう受益なのかなというふうに思うのですが,所得連動型のローンを考えるときに,「受益」というのをその後の収入であるというふうに考えたときに,この「受益後」というふうな表現が果たしてすっと入ってくる人ばかりかなという,ちょっとこの懸念がありまして,例えば,「修学」という表現にしてしまうとかということはできないかなというのは少し考えさせていただきました。
 以上3点,少し表現の点で気になるところをちょっと述べさせていただきました。
【小林座長】  ありがとうございました。
 3つあったわけですが,いかがでしょうか。それぞれ表現の問題ですけれど,それだけではないそもそも論みたいなところも入っているかというふうに思うのですが,いかがでしょうか。
 最初の「大学院修了直後」というのは,確かにちょっと表現としてかなり限定されている言い方になってしまっていますので,どうかなという感じはいたします。
【今村企画官】  よろしいですか,手を挙げております。事務局です。
【小林座長】  どうぞ。
【今村企画官】  1点目については,こちらの意図をちゃんと御説明しなければいけないと思いました。2点目,3点目は適宜委員の皆様の御意見を伺いたいのですが,1点目のこの箇所は,阪本委員がおっしゃることは理解いたします。その上で,ここでこのように表現いたしましたのは,卒業後の納付額の決定の箇所でございます。その際に,幼い子供を扶養している場合には,それを配慮した年収計算,課税所得計算をしたいというものなので,修了後の状況に言及する必要がございました。ですので,結婚や子育てができなくなりそうだから大学院に行くのをやめようという,行く前の状況ではなく,行った後,修了後のお話でございますので,このように表現させていただきました。
【阪本委員】  分かりました。
【小林座長】  今の点は私も勘違いしていましたので,了解いたしました。
 2点目と3点目はここで少し議論が必要かということだったのですが。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  2点目,阪本先生がおっしゃるとおり,前半の「無理のない納付額」というのは,借り手側,要するに,奨学生にとって,学生にとって「無理のない納付額」という意味ですが,後半の「返還・納付の長期化」を避けたいのは別に学生ではなくて,貸手側ら見て,要するに,一定期間内での回収率が下がってしまうと次に貸す時にお金がなくなってしまうので長期化を避けたい。主語が微妙に入れ替わっているんですけど,ただ,「返還・納付の長期化を避けるため」のことをもっとはっきり「回収率の観点から」とか書いてしまうとちょっと露骨過ぎる感じもするので,どういった表現がいいのか。あるいは,本人にとっても長期化するのはよくないというニュアンスがきちんと伝わるように書くのか,書き方は少し検討の余地があるかと思います。
 受益後負担,受益後納付ですか,確かに「受益後」というのはあまり一般で使わない用語なので分かりにくいと言えば分かりにくいんですが,単なる授業料後払いにしてしまうと,所得に応じたというか,所得連動のニュアンスが出てこないので,「受益後」で仕方がないかなというか,当面これで押すしかないかという感じです。何かいい表現があったらもうちょっと分かりやすいのがいいんですけど,後払いと所得連動を両方表す言葉は実は結構難しいかなと思うんで,ぜひ知恵を出す必要はあると思いますけど,よろしくお願いします。
【小林座長】  ありがとうございました。
 それぞれについて,2点目と3点目についての御意見でしたが,ほかにございませんでしょうか。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  いや,今の話が,でも,本当にこの事業全体をシンボルしているんで,この「受益後」でしたっけ,さっきの,名前何でしたっけ。
【今村企画官】  「受益後納付」です。
【川端委員】  「受益後納付」で,第一種の奨学金の所得連動は卒業後すぐに返済が始まるんですよね。これはそうじゃなくて,300万円まで待って楽になってから返済しますよという,こういう話が,ここが一番違うところなんですよね。ここがやはり出るような単語というので,変に言うと出世払いなんですよ,はっきり言って。ただ,あまりに露骨過ぎて何かもうちょっと格好いい名前かなとか,こうなのかもしれないけど,今のところ出世払いのほうがまだ分かりやすいという,そんな気がしています。もっといいのがあればいいんですけど。
【荒張委員】  あれですよね,猶予制度をそのまま制度化しちゃったということなんですね。だから,そこがさっきね,何が違うのかなという私の質問にかかってくるんですけど,それを全体でやることによって,また,何というんでしょうか,出世払いという雰囲気をつくり出すとともに,阪本委員がおっしゃったように,貸倒れの部分というところを少し減らしていけるという,そんなイメージでよろしいんですかね。
【濱中委員】  関連で,出世払いにすると,奨学金というのが後ろにくっつくので,授業料の後払いというニュアンスが出ないんですよ,単に出世払いにしてしまうと。出世払い授業料納付とかじゃ何かちょっと格好がつかないので,所得に応じた返還が比較的容易だということと,授業料を進学する時には用意しなくていいという両方のニュアンスを一言で表す名前としてはその言い方しかないかなというのが今の感じですね。
【川端委員】  だから,長くなるんですよね,名前が。
【小林座長】  最初から出世払いということについてどう定義するかというような議論があったかと思います。最終的には今出世払いという言い方はなくなっているわけですが,もともとの一連の政策の中で出世払いという言い方が使われてきたことは事実だと思いますので,復活させるかどうかということは別にして,出世払いというのは,まず第一に,借りた額以上,この場合授業料相当額以上に払うものではない,保証料の問題を置いておけば,そういうことだというのが第1点と,それから,もう一つは,今問題になっていますように,一種の猶予という制度が含まれているということですね。出世という意味はそういう一定の所得額になるまでは猶予できる制度だと,そういうことをはっきり報告書に書いていただければ,私たちは出世払いというのはそういう意味で使っていると,今の2点の意味で使っているんだということをはっきりさせていただければよろしいのではないかと思います。
 ただ,これをどういうふうに周知というのはまたかなり,何回も申し上げていますけど,なかなか難しい問題ですね。だから,川端委員おっしゃるように,もっといい言葉があればぜひそれを使っていきたいとは思いますが,今のところ,濱中委員がおっしゃったように,ちょっと受益後納付という言い方しかないかなという気がいたしておりますが,ほかにもっといい言葉があればぜひお願いしたいんですが,いかがでしょうか。
 なかなか急に,これも,ですから,どういう言葉遣いがいいかということはかなり本質的な問題でもありますし,周知のところでも問題になりますから,2つの意味が,先ほどありましたように,込められている,猶予という意味と,所得に応じた納付額になっているということを何となく分かるようにしていただくというしか今はないのかなと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【川端委員】  ごめんなさい,いっそそういう単語を消した,いや,全然関係ないけど,例えば,何だろう,「さくら奨学金」みたいなね,何か全然違う単語にしてしまって,その後に意味だけをはっきりさせるほうが誤解がないかもしれないですけどね。ごめんなさい,単なる意見です。
【小林座長】  一つは,ちょっとこれ事務局のほうから最初に御説明はなかったかと思いますけれど,今回返還という言い方は一切使っていないのです。これまでの制度は貸与奨学金の返還ですね。つまり,ローンの返済という意味で使われているでのすけれど,今回の制度は全て納付で統一されているのです。ですから,それはもうそこで制度が授業料を修了後に払うという形になるということはそこで大きく,何というか,先ほど来出ていますどう変わったかという話で言うと,これが実はかなり大きな,制度というか,考え方の変更だと思っていますが,そこはもう少し強調してもいいのかなと思います。そこに受益後というのを,もう少しいい言葉がつくとより分かりやすくなるということだと思いますが,今のところ,ですから,出世払い,あえて言えば出世払いというのを使ってもいいのかなという,先ほど限定された意味で出世払い的な,そういう所得に応じた納付制度だということを周知していただければだんだん理解が広まるのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
【赤井委員】  卒業後払いでは駄目なんですか。
【小林座長】  卒業後払いは,私はそれが,授業料後払いというのが一番いいと思っています。個人的には。
【赤井委員】  だけど,それじゃないんですね。
【川端委員】  でも,猶予期間があるというのが重要だから,卒業後払いだったら所得連動と一緒になっちゃうよ。
【小林座長】  そういうことですね,そこが難しい,なかなか。猶予があるということ,所得連動の中に。
【赤井委員】  猶予はあるんですけれども,2,000円は払うんですよね。
【小林座長】  そうです。
【赤井委員】  だから,卒業後に確実に払いは始めるわけですよね。
【川端委員】  というか,要するに,300万円なり何なり,そこまでいかないと本格的な返済,返済というか,はしなくていい。
【赤井委員】  でも,2,000円も取りあえず返済の一部なんですよね。
【川端委員】  手続ですよね,あれはね。
【赤井委員】  要望したら,基本的にはほとんどの人が卒業したら,でも,いきなり300万円は行かないのか。卒業したらある程度はね,もう払い始める人もいるんでしょうけど,すみません。
【小林座長】  今村さん,手が挙がってます。
【今村企画官】  すみません,今お話を伺っていまして,事務局として受益後納付を提案しておいて申し訳ないんですが,授業料という要素がないと,これが返還でなく納付なんだ,授業料を後から納付するんだという趣旨が伝わりにくいなと思いまして,改めて授業料という要素はどこかに入れる必要があるのかなと思った次第です。
【小林座長】  そうですね。ありがとうございます。それは必要ですよね。
【萬谷理事】  一応名前としては,授業料の受益後納付制度ということで,入っているじゃないですか,名前の中に。
【赤井委員】  受益後というのは,受益というのは,ごめんなさい,繰り返しますけど,具体的には。
【荒張委員】  出世払いがいいと思いますけどね。授業料の出世払い納付じゃ駄目なんですか。
【小林座長】  授業料の所得に応じた納付制度という,出世払いでもいいかもしれません。出世払いというのは,先ほど言った意味で定義すれば。
【荒張委員】  300万円がポイントなんですよね,やっぱり,そうなると。
【小林座長】  松本さん,手が挙がっていますか。
【松本専門官】  事務局から,今ほど御意見いただいたことの繰り返し的な要素もありますけれども,一応補足させていただきますと,言葉の定義をしっかりするという前提であれば何も問題はないかというふうにも思いつつ,まさに「出世払い」の定義が,世の中の様々な使われ方を見ていますと,今議論しているような形で使われていることもあれば,例えば,子供同士が何かトラブルを起こしてお金を払わなくてはいけないときに,大人になったら払ってくれればいいよといった,ある意味払わなくていいということの言い換えとして使っているような例もあったりするということで,定義が明確ではないということは事務局としてはできるだけ避けたいという趣旨で,よりよい言葉はないかというふうに考えて,今ほど議論いただいているような言葉を使っていたと,そういう趣旨でございます。
 ですので,繰り返しですが,「出世払い」という言葉に,何か駄目な事情があるとか,そういうことではないのですが,定義が人によって異なるであろうという趣旨で,こういう形で報告書を記載しているというところです。
 私からは以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  今の話であればあるほどね,要するに,新しい制度ができたんだというものを表していたほうが,その曖昧さはどうやっても曖昧さなんだけど,さっきの漢字の列を並べたやつだと結局学生さんには何か分からない。ぱっと見たら第一種と何が違うのみたいな話ぐらいしか,何かふわっとして出てこないんですよね。でも,一方で,イメージとしての曖昧さはあるにしても,定義はするにしても,出世払いという単語というのはすごくインパクトがある,ともかく。そういう意味じゃ,新しい制度が出来上がって,それを活用しようかなという考えに,ともかくアクションが始まるための単語としてはそっちのほうがいいような気がしますけどね。
【小林座長】  出世払いという言葉を限定した上で,それをそのまま生かしたほうがいいのではないかという御意見だと思いますが。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  出世払いは,事務局の説明ありましたけど,私も避けたほうがいいとは思いました。出世というもののイメージがやはり人によってかなり違うので,年収300万円は出世と言えるのかとかいう面倒なことにも答えなければいけなくなるし,あまり曖昧な言葉では出さないほうがよいというほうの意見に近いですね,私は。受益後だと,益自体はゼロから連続的に増えていくわけですから間違いではない。2,000円徴収することに対する批判も前に所得連動型をつくった時にさんざん受けましたから,そうした経緯を踏まえれば,あまり期待ばかり大きく見せて実はそれほどでもないというようなものでないほうが私はいいと思います。
【川端委員】  理解はできます。
【小林座長】  ありがとうございました。
 両方今御意見が出ているわけですが,ほかの方いかがでしょうか。なかなかこの短い期間で適切な言葉をつくるというのは難しい作業だと思いますけれど,もともとのこの委員会といいますか,会議のほうでは4か月ぐらいしか検討期間ないわけですから,そこまで新しい言葉を,事務局も一生懸命探していただいたと思いますけど,なかなか難しいわけです。
 私としては,やはり授業料後払いという言い方,先ほど赤井委員のほうからありましたけど,後から払うという中には猶予も含まれているわけです。そのニュアンスはあまり強くないですけど。だから,授業料後払いというような言い方で,あるいは,所得に応じた授業料の後払い制度,ちょっと長いですけど,そういうようなことを言えば,所得連動の中にはその猶予の問題が入っていますから,一応そういうような形で収めるのが一番今のところは無難ではないかなと思いますが,この辺りはまた最終的には事務局とも相談させていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 赤井委員,どうぞ。
【赤井委員】  いや,いいと思いますというサインです。
【小林座長】  ありがとうございます。
 名称等は本当にこれからますますいい制度をつくっていくというようなことで検討していただくということで,趣旨は皆さん違っていることはおっしゃっていないと思いますので,そういう形で今回は,まだもちろんいい提案があれば承りますけど,この辺りで今のところはよろしいでしょうか。川端委員,特に出世払いということ。
【川端委員】  いえいえ,いいです。
【小林座長】  よろしいですか。
【川端委員】  両方理解はしますので。
【小林座長】  御趣旨は本当によく分かりますので,何回も繰り返しますけど,学生に伝わるようなということですね。そこのところが非常に重要だという御意見ですので,そこは十分くみ取っていく必要があると思います。ありがとうございました。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。まだいろいろな実務的な問題というのは非常にたくさんあると思います。この制度はかなりいろいろな制約条件の中でつくらなければいけないので,非常にこれから多くの部分が今後政府部内で検討するという形になっているわけでありまして,なかなか難しいと思います。
 ただ,せっかくこういうふうにして行ってきたわけで,短い時間でしたが非常に多くの意見を出していただいたことには本当にありがたく思っております。もし差し支えなければ,少し時間がありますので,4回の議論を通じて,それぞれの委員の方,感想でも結構ですから,あるいは,御提案があればぜひ承りたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。一言でも結構ですので,よろしくお願いしたいと思います。
 じゃあ,すみません,見えている順でいきますと,荒張委員からですが,よろしいですか。
【荒張委員】  いろいろと議論させていただきましてありがとうございました。非常に新しい制度を狙うということで,学生さんに大学院という高等教育を受ける機会をなるべく持っていただくためにいろいろ工夫をしなければならない一方で,現行制度との整合というところがやはりどうしても気になったんですけれども,最後,言ってみれば第一種の所得連動プラス猶予をある意味制度化するということなんだと思うんですが,それに対する意義というのが,全体としても意義があるというようなお話が今日できたというのは,非常に私の中では腑に落ちたところでございます。あとは,先ほどの,保証制度をどうしていくのかというところは非常に気がかりではありますけれども,より学生さんにポジティブに受け止められるような制度になっていただけたらありがたいなというふうに思いました。ありがとうございます。
【小林座長】  どうもありがとうございました。
 それでは,次,赤井委員,お願いいたします。
【赤井委員】  ありがとうございます。議論お疲れさまでした。事務局様,座長様,お疲れさまでした。
 私もこの会議に出させていただいて本当にいろいろ学ばせていただきました。HECSの議論はずっと続いていましたし,所得連動が入り,今後どのような動きがあるのかというところで,政府としてはもう一段進めたいという強い意志もあって,今回制度が入ったわけで,まずは大学院からということですけど,今後学部とかにどのように展開していくのか,そうなっていくとまた財政負担の問題とかありますし,私は財政を特に専門にしている面から見ると,財政的なお金が入って運用される制度というのはもちろんいろいろあるわけですけれども,やはり財政のお金が入っていると,財政面から厳しい視線も入りますし,その額が大きくなってくるとまた制度の維持というところも議論されてくるので,まさに保証料の話もそうですけど,今回のこの制度の中で完結ができるような部分と国民全体の税金を入れる部分,そこのところの兼ね合いというのは今後も議論になってくる,特にこれが学部に展開していくとなるとそこのところ議論になりますし,また,財政的にお金を入れるとなると,財政面から本当にこの制度はという話になるとまた不安定性にもなりますので,そういうようなところをうまく今後見ていきながら必要な制度を考えていければと思います。今回どうもありがとうございました。
【小林座長】  どうもありがとうございました。
 それでは,阪本委員,お願いいたします。
【阪本委員】  ありがとうございます。私も参加させていただいて本当に勉強になっております。事務局の皆様,小林座長,ありがとうございました。
 今,赤井委員からありましたとおり,制度の安定性といったものに関しましては,やはり財政的な側面からというのは非常に大きなものがあるかと思いますけれども,それに加えて重要なのは,やはり日本国民が,教育費負担をどのように考えているかという,この点がすごく重要だろうというふうに考えています。すみません,ちょっと書かれた先生の名前を今度度忘れしてしまったんですけれども,『教育を家族だけに任せない』という社会学的な観点から書かれた先生が。
【小林座長】  大岡先生です。
【阪本委員】  大岡頼光先生ですね,スウェーデンなんかの制度も,制度がむしろ文化をつくっていったというようなことを非常に強調されておられますので,この制度が入ったことによって教育に対してよりたくさんの資源を向けるというような国民意識というものが醸成されるというふうになってくれば,それがもっともよいことではないかなというふうに考えております。本当にありがとうございました。
【小林座長】  ありがとうございました。
 それでは,濱中委員,お願いいたします。
【濱中委員】  私も4回ですかね,以前の所得連動返還型の制度を導入した時の議論も思い出しながら,大変勉強になりました。ありがとうございます。
 今回は大学院から導入ということで,大学院から始めた,修士課程から始めたのは,授業料の本人負担というのを少なくとも学部生よりは受け入れやすいというところでスタートしたんだと思いますが,一方で,この会議の前にやったアンケートでは,大学院レベルでも保護者が出してくれるから奨学金は要らないという意見もやはり多かったです。この辺今回の仕組みの導入で本人が負担するというのが当たり前なんだというような雰囲気を,少なくとも大学院以降のレベルではどれぐらい醸成できるかが重要だと思います。
 ただ,そうは言っても,本人の負担が当然だというばかりでは,本人に負担をかけるだけではやはり大学院に進学しようと意欲が湧いてこないので,今回会議の中でも議論しましたけど,優秀な学生に対する給付的な奨学金,スカラシップも同時に充実させることで,本人が負担するのは当然だけれども,自分の業績に応じては別途奨学金が得られるみたいな両輪で制度を設計していくことが非常に重要なのではないかなというふうに思いました。今後ともそういう形で制度設計を考えていただけるとありがたいなと思います。
 以上です。
【小林座長】  どうもありがとうございました。
 最後になりましたが,川端委員,よろしくお願いいたします。
【川端委員】  すみません,ありがとうございます。いろいろ勉強させていただきました。私自体は,もういろいろやっているものが,ドクターの,博士離れという話から始まって,要するに,学振だとか,それから,SPRINGだとか,ドクター向けの生活費だとか,いろいろなものの奨励金だとかあるんですけれども,彼らにとってすれば授業料の負担というのは非常に大きい金額を持っていて,そういうものも含めてドクターへの進学者をどうやって増やしていくかというところをかなりいろいろなところで議論していた関係から,皆さんとはちょっと学生目線の話非常に強くお話ししていたのは,やはりそういうところからそういうようなお話をさせていただきました。
 そういう意味で,一番最初に座長のほうからも言われたように,全員が授業料に関してはこの制度は受け入れるというのは,まず目線としてはその目線,ただ,現実論としてという話があって,ただ,でも,その思想がやはりしっかりこの制度の中に入って,それが学生に伝わる,そういう格好というものがどうしても重要な意味を持っているんだろうなという,今までとは違うというところはそこかなというような気がしていまして,それで,そういう意味で,どうやったら学生さんがこれを新しい制度として理解して進学をしたくなるという,そういうものにつながるかという,そこに最後まで少しこだわらせていただいたというのはそういう点です。
 財政的な問題というのは,かなり最後に財源的な勘案してというのに,いろいろなものでどうなっていくかさっぱり分からない部分もありますけれども,ぜひその思想だけは残して進めていただければというふうに思います。ありがとうございました。
【小林座長】  どうもありがとうございました。
 審議官にはまた後で御挨拶いただきたいと思いますが,事務局のほうから,今の御意見をいただいて,何か事務局としての,何というか,表明はありますか。決意表明ということではないと思いますが。
【藤吉課長】  藤吉ですけれども,やはり今までと全然違うじゃないかといったような批判を受けるのは我々も避けなければならないと思っていまして,今日皆様方からいただいた御意見,特に学生が使いやすいというか,使いたがるような制度にしていくのが大事だと思っています。ただ,財政的な制約もあるかと思いますけれども,川端先生おっしゃったように,この思想,学生にちゃんと勉強して大学院に行って立派な社会になってもらいたいのでという,そういう思想は我々発信していきたいと考えています。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございます。非常にこれから具体的な制度設計,大変なことだと思いますが,よろしくお願いしたいと思います。
 それから,萬谷理事,せっかく御参加ですので,機構として御意見いただければと思いますが,いかがでしょうか。
【萬谷理事】  ありがとうございます。学生支援機構の萬谷です。
 そうですね,貸与奨学金につきましては,日頃,何といいますか,割とネガティブな批判を受けることが多うございまして,多分に誤解に基づいているものもあるとは思っているんですけれども,そういう中で職員が地道で複雑な業務にこつこつと取り組んでいるような実態がございます。
 ですから,今回議論の趣旨として,あまり借金ということをあまり負担に思わずに,返還に際してもなるべく負担を軽減するような形で成り立てるような制度というのがもし本当に実現できれば,個人的には新しい地平を見るような思いを感じながら,この4回の議論にオブザーバーとして参加させていただいたというところでございます。
 ですから,報告書が取りまとまって,その後政府部内でまた調整する課題も幾つかありますけれども,そこにJASSOとしてもまたしっかり参加させていただきながら,制度の実施に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
【小林座長】  どうもありがとうございました。
 様々な御意見いただきまして,今日も新しい提案とか,非常に建設的な御意見いただきましてありがとうございました。本日もいろいろな提案がございましたので,報告案についてもかなり修正が必要かと思います。私と事務局のほうで最終案という形で少し修正を加えたいと思いますが,座長に一任ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【小林座長】  ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
 委員の皆様には最終案ということで御報告いたしまして,その後,近日中に発表したいと思います。
 本日最後の会議になりましたので,最後に西條審議官より一言御挨拶をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【西條審議官】  高等教育局担当審議官の西條でございます。
 本会議の委員の先生方には,本日も御議論いただきまして誠にありがとうございました。この9月に発足以来,この会議において,在学中は授業料を徴収せず卒業後所得に応じて納付する新たな制度の創出に向けまして,4回にわたってそれぞれの専門的な見地から熱心に御議論いただきました。本当にありがとうございます。
 特に今日は最後に委員の先生方から,今回の議論を通じた,また,次のステップに向けて,また,教育費全体という視点もあって,そういった御意見もいただきましたので,ぜひともこういったところも今後我々のほうもしっかり考えていきたいと思っております。
 今回おかげさまで,今日の議論をもって,今座長一任ということで,またちょっと修正するところはございますけれども,報告書を仕上げていきたいと思っております。ここまで来れたことを改めて御礼申し上げたいと思います。
 文部科学省としては,これを令和6年度に新たな制度を創設できるようにするということで,引き続き今回御提言いただいた内容を踏まえて,残された課題の検討を鋭意進めてまいりたいと思っております。
 この検討会議自身は本日をもって終了することになりますけれども,今後文科省において政策の実現に向けて,今日お話ありました新たな制度だというところをしっかり打ち出していく,そして,それはとにもかくにも学生に使ってもらう,学生が使いやすいしっかりした制度にしていくということが重要だと思っておりますので,その過程で必要に応じてまた先生方のちょっと御意見を伺うということもあろうかと思いますが,その際はよろしくお願いしたいと思います。引き続き御指導,御鞭撻のほどいただきますようによろしくお願いします。本当にどうもありがとうございました。
【小林座長】  ありがとうございました。
 それでは,私も最後になりましたので,一言申し上げたいと思います。本当に短い検討期間の中で,様々な制約条件がある中で,できるだけ新しい制度をつくっていきたいということで熱心に御議論いただきました。誠にありがとうございました。
 実際,法律の改正を伴わないで行うということは非常に難しいということがよく分かりましたので,これは今後の検討課題になるかと思います。ただ,そういった制約条件の中で,現在としてできることは,大体議論としてはもう論点は出ているのではないかと思います。前回の所得連動型の時も相当議論を重ねたのですけれど,残念ながらやはり理想的な制度というのはなかなか現実の制約条件の中ではできないわけでありまして,しばしば引き合いに出しました,現在最も優れた制度と言われているオーストラリアのHECSに比べると,まだまだいろいろな点で問題を抱えていることも事実であります。
 ただ,それは,オーストラリアとは全く事情が違うわけでありますから,その辺りは制約条件でやむを得ないというところもあります。ですから,その辺りについては,今後もその中でどういう制度をつくっていくかということをこれから政府部内で検討されるということでありますので,詳細な制度設計についてはぜひ今日の報告を踏まえて進めていただきたいと思います。
 その際に,大規模な調査を行うというお話も今日ありましたけれど,やはり何より効果検証ということが求められると思いますので,そういった効果検証を行うことによってどこに問題点があるのかエビデンスを出していって議論していただくということになるかと思います。それがやはり,税金を使うものですから,国民の理解を得られるという点からも非常に重要なことだと思っていますので,そこはぜひこれからお願いしたいと思います。
 さらに,この制度を学士課程とか専門学校などに広げるということもこれから非常に大きな課題になると思いますので,その意味でもこれは大きな試金石になると思っておりますので,ぜひ今後よろしくお願いいたしたいと思っております。
 短い期間ですが,委員の皆様,それから,事務局の皆様,関係者の方々,熱心に御議論いただき誠にありがとうございました。私としてはこれでこの会を閉じたいと思います。よろしいでしょうか,皆さん,特に。事務局ございますか,よろしいですか。
【今村企画官】  大丈夫です。
【小林座長】  それでは,本当に皆さんどうもありがとうございました。これで閉会させていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――