大学院段階の学生支援のための新たな制度に関する検討会議(第3回)議事録

1.日時

令和4年11月11日(金曜日)10時00分~12時00分

2.議事録

【小林座長】  皆さん,おはようございます。定刻になりましたので,ただいまより,第3回の大学院段階の学生支援のための新たな制度に関する検討会議を開催いたします。本日も御多忙の中,御出席いただき,誠にありがとうございます。本日は,私はオンラインで参加,進行いたします。
 初めに,本日の配付資料の確認をさせていただきます。本日の配付資料は,議事次第のとおり2点,合わせて9ページとなっておりますが,不足等がございましたら,事務局にお申しつけください。
 本日は,まず前回の資料について事務局から補足いただいた上で,制度の目的,効果について改めて確認し,新たな制度を創設するに当たって,基本的な考え方について議論したいと思います。
 それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【松本専門官】  それでは,まずは事務局から,前回の資料について補足をさせていただきます。対面で出席の方々におかれましては,机上に第2回の資料2と,それに黄色マーカーを引いて所要の修正をした資料が配付されているかと思います。今画面に投影されているものが前回の資料2,こちらアメリカの学生ローンの所得連動型返還制度の説明ですが,右上の部分の1つ目の丸,「課税所得が約1.4万ドルを超えた場合,超えた額の10%から20%等を返還」と記載してございまして,こちら連邦政府のホームページなどを見ていましても,Taxable Income,直訳すれば「課税所得」という単語を使っていたところではございますが,その後,改めてこの中身について事務局でさらに追加で情報収集をしましたところ,今,黄色マーカーで修正後の資料が載っておりますが,右下の※1の部分を御覧ください。こちらで計算に使う値としましては,米国で調整総所得という概念を導入していまして,こちらは年収に一定の者のみが対象となる調整を加えた額,標準的な控除等の,いわゆる一般的な控除が適用される前の額を指すということでしたので,これはどちらかといえば,概念としては年収そのままといったほうがより適切ではないかということから,資料に所要の更新をしております。今後,米国の制度について説明するときは「年収」という言葉を,本日この後出てくる資料でも使用しておりますので,御承知おきください。
 同様に,資料の投影は割愛いたしますが,豪州――オーストラリアにつきましても,各国の年収の考え方は様々ございますが,「年収」という言葉で統一するほうが最も語弊が少ないのではないかと考えまして,統一しております。前回は「課税所得等」という言葉を使っておりました。
 前回資料2に関する補足は以上でございます。
【今村企画官】  続きまして,学生支援課の今村でございます。
 今,資料の訂正の御報告でございましたが,本題の資料の御説明に移ります。資料1を御覧ください。
 資料1は,前回,皆様からいただいた宿題事項をまとめたものでございます。前回は,今回検討する新たな制度というものが利用者にどういうものなのか,メッセージを明確にするために目的・効果をシャープに検討しようということで,資料を作成し,御議論いただきました。また,議論の前提として,骨太の方針などで定まった方向性を整理するということも求められたところです。そこで,この資料1を作成いたしました。
 上のほうに,グリーンを基調に記載しておりますが,まず前提といたしまして,骨太の方針2022でございます。こちらでは,在学中は授業料を徴収せず,卒業後の所得に応じて納付する新たな制度,これを授業料無償化の対象となっていない学生について,本格導入することに向けて検討するとされております。本格導入に向けた検討においては,まずは大学院段階において創設するということとなっております。併せて,小さな字で※印で記しておりますが,本格導入に向けた検討におきましては,教育費を親や本人,国がどのように負担すべきかといったことや,この制度が国民に広く受け入れられるのかということも十分に考慮すべきとされております。
 加えまして,その下に,教育未来創造会議の工程表を示しております。教育未来創造会議は,5月に提言を出した後,その提言の内容をいつまでに,どの程度の水準で実現していくかということを工程表として夏にまとめました。そこでは,この新たな制度の大学院段階での創設は令和6年度を目指すとされております。この令和6年度の導入ということを踏まえますと,右側にカーブの矢印で書いておりますように,速やかな準備のためには,現実的な問題として,実務はJASSOに担っていただくのが適切ではないかと考えております。JASSOが担う以上は,矢印の先にありますように,業務の対象は,経済的理由により修学に困難がある優れた学生等とされております。一方で,この会議でも御議論いただきましたように,この制度は希望者全員が利用できるというのが理想的な姿ではございます。こういう理想は念頭に置きつつも,令和6年度の導入という現実的な課題を踏まえまして,今回の大学院段階での創設においては,学生支援機構の業務として,経済的に困難を抱える学生を対象としてはどうかとまとめました。
 続いて,その下の段に図示しておりますが,現時点の学生支援の枠組みというものを改めて確認いたしました。学部段階,それから修士,博士と黄色と赤と緑で記しておりますが,黄色の学部につきましては,令和2年より高等教育の修学支援新制度が導入されております。一方で右側の博士課程を御覧いただきますと,こちらは近年,科学技術イノベーション基本計画などに基づきまして,博士は研究の担い手として,経済的支援を拡充し,キャリアパス整備を支援していこうということが今取り組まれているところでございます。さらには,学部から博士,全段階を通じまして,薄い青色で表現しておりますように,貸与型奨学金も従前より用意されており,現在も活用可能となっております。このような状況を確認した上で,比較的,支援が手薄となっている赤いところ,修士課程,専門職大学院というのがターゲットになるのではないかと。そこに丸1,丸2と記したように在学中の授業料不徴収,それから,卒業後に所得に応じた納付というものを制度設計していくということでございます。また,社会人から大学院で学び直しをするということについても,併せて考えなければなりません。さらに加えますと,黄色の高等教育の修学支援新制度のところに小さな字で※書きで記しておりますように,制度開始は令和2年でございました。このとき,大学の学部1年生となった新制度の1期生が大学を卒業して,ストレートで大学院に進学する場合は令和6年ということになりますので,この点も併せて踏まえる必要があろうかと思います。
 最後に,下の段に令和6年度創設の制度の目的・効果というものを改めて記しております。これも前回一度御議論いただきましたが,改めてこのように整理をいたしました。まず左側には,この制度の特徴として2点挙げております。1点目は,在学中,授業料負担がないということで,大学院進学の判断に当たって,それを過度に影響させないという特徴があろうかと思います。さらには,2点目です。仮に卒業後の収入が思うようなものでなかったとしても,卒業後の納付は低い額に抑えられるセーフティーネットという性格も持っております。このような手段によって,目指すべき大きな目標というのを右側に記しまして,こういうような仕組みであることから,経済的理由により修学に困難がある学生や,様々なライフイベントの中でも学び続ける社会人,こういった方々が大学院にチャレンジすることを後押しできるのではないか。さらには,こういったことによって,個人の自己実現のみならず,我が国全体としての高度人材・専門人材の育成にもつながっていく,それがこの制度の目的・効果ではないかと考えております。
 最後に1行,「あわせて」と記しておりますのは,このような修士への先行的な導入創設を契機として,我々は教育費負担は本人なのか,親なのか,それとも国が公費で見るべきかといった負担の在り方を議論していくわけでございますが,その際には,目下,少子化が急速に進展しており,子供の教育費負担がその要因の一つとされているという状況を十分に踏まえる必要があると考えております。
 1枚目は以上でございまして,次の2ページ以降は,今,絵で説明した内容を文章化したものでございます。基本は同内容となっておりますが,絵で表現し切れなかったところを補足しますと,ちょうど3ページ目,文書編の1枚目のところに,白丸で3つの段落が,一枚目にはなかった要素です。ここでは,ちょっと大上段ではございますが,まず1つ目の丸で,憲法や教育基本法を引用しながら,そもそも,能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有するとか,国等は経済的理由によって就学が困難な者に対して奨学の措置を講じなければならないとされております。これに基づいて,従前より学資の貸与を中心に援助を行ってきたところというのが1つ目の丸。
 次いで2つ目の丸は,平成の終わりぐらいから学生支援の方策が充実してきたというのを振り返っておりまして,給付型奨学金を始めたこととか,希望者全員が貸与を受けられるように無利子奨学金を拡充,それから所得連動型返還の導入,さらには令和2年から学部段階に修学支援新制度を導入したという歴史を振り返っております。
 最後の3つ目の丸としては,教育未来創造会議の第一次提言におきましては,このように様々な支援が充実されてきた一方で,その対象とはならない層への支援が課題となっている。このような問題意識から,この会議の提言におきましては,新制度の中間層への拡大,それから,既に卒業して返還中の人も活用できる減額返還制度を見直し,さらに,今,皆様に御議論いただいている大学院段階における新しい制度の導入が提言でございましたので,以上の3点を文章編には加えております。
 資料1は以上となっております。
 続いて,資料2まで全て御説明した上で,皆様に御議論いただきたいと思います。資料2につきましては,前回の検討の続きでございます。前回におきまして,おおむね皆様の共通認識が図られた点は再確認しつつ,残された論点を示した資料でございます。
 まず1点目,(1)授業料を不徴収とする方法,こちらについては,おおむね御了解いただけたのではないかと考えており,令和6年度から早急に開始するために,実務は日本学生支援機構に担っていただく。2つ目のポツです。授業料の相当額をJASSOから大学に年1回または2回を支払う,そのときは,学生,大学,機構の3者による契約を交わして,大学が代理受領という形式が早期の導入に当たっては現実的だと考えております。
 2点目の対象学生でございます。1つ目のポツで書いております当面の対象となる課程は,修士課程及び専門職学位課程が利用できる,ここについては議論はないのかなと考えておりますが,次の点がまだ結論に至っていないかと存じます。制度の趣旨としては,理想的には全員が利用できることが望ましいというものではございますが,令和6年度導入という制約もございますことから,新たな制度は日本学生支援機構の業務の範囲として行う。JASSOの業務である以上は,経済的に困難を抱える優秀な学生を対象として行われることになります。その際,年収要件を設けることになりますが,その選択肢として,案1は現行の貸与型奨学金における要件を踏襲するというもので,具体的には,単身世帯の場合,本人の年収299万円となります。案2は現行の水準よりも引き上げるというものです。引き上げる際には,下に※書きでありますように,単純に引き上げるものではなくて,例えば,子供がいる場合には年収から控除する額を別途設定するといったやり方も考えられます。案2の場合は,引き上げる幅については,ここでは記しておりません。もし,案2を取る場合には,具体的な何万円という水準につきましては,財源を勘案した上で,政府部内で検討することになろうかと思います。
 3点目,(3)機構から大学に支払う額,つまりは授業料相当額として支援し,卒業後に本人が納付すべき額につきましては,大学院の授業料の標準額等をベースとして,これも財源も勘案した上で政府部内で検討いたします。ただ,標準額や平均額というのがベースになるということかと考えております。その際には,卒業後の納付額が多過ぎないように上限を設けるべきです。※書きにありますように,授業料以外にも,今,奨学金を活用している学生にとっては生活費に充てているという実態もございますことから,生活費に係る貸与型奨学金を別途設けることも考えていきたいと思います。生活費に係る貸与型奨学金の金額とか年収要件については,卒業後の授業料納付分と生活費貸与型奨学金の返還,これを合わせた額が過度なものとならないように,今の貸与型奨学金と同水準とする方向で見直しを行っていきたいと考えております。
 以上が6ページでございます。
 次のページを御覧ください。4点目として,卒業後の所得に応じて納付する額,卒業後,幾ら納付いただくかということにつきましては,現行の無利子奨学金における所得連動型返還制度との整合性を考慮いたしまして,課税所得の9%を12等分して,その額を毎月納付いただくということ。ただし,一定の年収を下回る場合には定額,今はそれが2,000円となっておりますが,この2つの枠組みは踏襲したいと考えております。一定の年収を下回る額というときの一定の年収については,まだ結論に至っておりません。つまり,案1にあるように,現行の無利子奨学金所得連動と同じとするならば,単身世帯で年収約146万円となります。案2は146万円よりも引き上げるということが考えられます。この引き上げるときのやり方としては,先ほどと同様に,子供がいる場合に控除する額を別途設定するといったやり方も考えられます。案2を取る場合も,先ほどの利用開始時の要件と同様に,具体的に何万円にするのかということについては,方向性が示された後に,引き続き検討する必要がございます。
 納付期間につきまして,その次のポツに書いておりますが,所得に応じた納付額(3)の額に達するまでとする。これの意味するところは,在学中に受けた支援額以上は納めないという意味で,このように表現いたしました。卒業後の所得に応じて授業料よりも多く納付するといったアイデアも考えられますし,諸外国を見渡すと,そのようなことが検討されたということもございますが,この制度を利用する学生は経済的困難だからこそ利用せざるを得なかった方々で,一方で,親の支援などを受けて在学中に一括で支払うことができた人たちよりも多い負担額を求められうるということは公平ではないのではないかと考えた次第です。
 さらに,より技術的な論点としては,卒業直後は課税所得というものが存在しないため,このときの納付の扱いをどうするかということも,これは事務的に詰めなければいけないと考えております。ちなみに今は,定額で返還した場合の半額を1年目は納めていただいております。
 続いて(5)大学の実務上の論点の例を挙げました。実は本日の会議に臨むにあたり,前回の第2回以降の1か月弱の間に,大学関係者,特に実務を担っている大学職員の方々に,網羅的ではございませんが,国立,私立,幾つかの大学に御協力いただいて,我々が検討している案についての御意見をいただきました。そこで上がってきた実務上の課題というものをここに列挙しております。
 1点目は大学の学内規程の整備,それから学生への周知など,準備がどうしても必要なので,1年程度必要ではないかと。
 それから2点目は,授業料の支援額として,国や日本学生支援機構が設定する額が大学院の実際の授業料を上回った場合,その差額をどう取り扱うのかということが課題となります。
 3点目,一部の大学におきましては,授業料を払うということをもって入学の意思表示とする,そういう慣行がございまして,そのような実態がある場合,本人ではなく,別の主体から授業料の相当額が振り込まれることについてどう扱うのかといったことがございます。
 4点目は,全ての学生が同じ授業料を払っているわけではございません。特にイメージしやすいのが授業料減免を受けている学生ですが,いろいろな授業料を学生ごとに設定されているケースがございますので,こういった方々,個別の事情に応じてどのように対応していくのかというのを詰めていく必要がございます。
 それから,残りの3点としては,休学,留年などにおける継続利用の可否,それから中退時の扱い,大学の会計基準上の処理といったことを整理していかなければなりません。これらは,大きな制度の枠組みをこの会議で御議論いただき決めた後に,早急に大学関係者ともディスカッションしながら詰めていきたいと考えております。
 最後に(6)その他関連する論点,これは前回資料と大きく変更はございませんので,ここの説明は割愛いたします。
 次の8ページを御覧ください。本日の議論にも参考になるかと思いまして,卒業後の年収と納付する額が各国どのようになっているのかというのをグラフにしてみました。横軸が卒業後の年収,縦軸が納付する年額でございます。為替レートもいろいろと変動するので,ここではそれぞれ現地通貨で表現しております。現地通貨での表現ですと,それぞれの年収の水準とか納付額というものが,その国の実態,それぞれの給与水準にとってどの程度なのかというのは分かりにくいので,赤い点線で示したように,OECDのデータから,それぞれの国の平均賃金というものも示しております。日本の例で申し上げると,青い線が今の所得連動返還と同じものでして,年収が146万円に達するまでは月額2,000円,年間で1万円ちょっとになりますね。それがずっと続いて,146万円を超えると,課税所得の9%で,同じ傾きでどんどん増えていくというものです。仮に年収が300万円になってから納付していただくとした場合はオレンジのような形になりまして,年収300万円になったところから納付する額がどんと上がるというような絵になります。
 左下に記しておりますイギリスの場合は,一定の額に達するまで,平均賃金の70%に達するまで返還額はございません。達した後は,その額を差し引いたものに対して9%がかかっております。
 オーストラリアの場合,これも一定の額に達するまで納付する額はございませんが,平均賃金の54%を超えると,先ほどの日本のオレンジのようにどんと一旦上がりまして,あとは小刻みに返還の割合というのが上がっていくので,この傾きが小刻みに増えていく,大きくなっていくというものです。
 アメリカの場合は,平均賃金の18%に達した時点で返還が始まります。ローンのプランによって,その後の姿というのが若干異なっております。
 以上が8ページ目の資料でございます。
 資料2の説明は以上でございます。
 なお,最後に参考資料といたしまして,前回,川端委員より御指摘,御依頼がございました,大学院修士段階において学校側の授業料収入がどうなっているのか,それに対して奨学金の貸与額はどうなっているのかというものを改めて整理してみました。決算ベースで,学校ごとの学生の納付金収入がどうであったかというのも確認しようとしたのですが,大学院段階で切り分けることが技術的に難しかったということがございましたので,ここでは,単純に文科省調査で大学院修士段階の授業料の平均額に大学院の学生数を掛け合わせたものを示しております。国立で540億,公立で63億,私立で568億,合わせて1,173億円という状況です。それに対して,日本学生支援機構の貸与奨学金,第一種無利子,第二種有利子,これを合わせた,それぞれ修士や専門職の学生に対する貸与額の総額が下の段となっておりまして,合計で406億円という状況でございます。
 長くなりましたが,私からの資料の説明は以上でございます。
【藤吉課長】  学生支援課の藤吉です。
 今の今村企画官の説明にちょっと補足ですけれども,資料2でこれから御議論いただく論点を幾つか御説明いたしましたけれども,先ほどの説明にありましたとおり,今回,特に2点,(2)の対象となる学生,資料2の最初のところにありますけれども,案1と案2という2つの選択肢を用意いたしております。理想的には全員利用というのが望ましいものの,今回,JASSOさんの業務としてやっていただくことで,経済的に困難を抱える優秀な学生を対象とするということで,案1にするのか,それとも案2にするのか,社会人も視野に入れた対象,そういったことも勘案して御議論いただければと思います。
 また,(4)卒業後の所得に応じて納付する額についても案1と案2案,案1は現行の所得変動の数字と同じで146万,案2はそれよりも引き上げるということでございます。これにつきましても,冒頭で目的等にありましたけれども,セーフティーネットということも勘案していただきながら御議論いただければ幸いです。
 本日,御議論いただいて,特にこの2つについて方向性をお決めいただきたいと思っておりまして,本日ここで決まった方向性に基づいて,今後,政府部内で具体的な検討を進めていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【小林座長】  説明,どうもありがとうございました。
 それでは審議に入ります。今,事務局から説明がありましたが,それにつきまして,御質問も含め,御意見をお願いしたいと思います。対面で御出席の委員におかれましても,御質問等あれば,タブレットの挙手ボタンでお願いいたします。今,藤吉課長から,(2)と(4)を特に重点的にというお話がありましたが,議論の進行上,まず資料1,目的について,特に御意見,御質問等ございますでしょうか。
【赤井委員】  よろしいでしょうか。
【小林座長】  赤井委員,どうぞ。
【赤井委員】  確認だけです。骨太の方針で安定的な財源を確保しつつというところがあって,そこは線,強く引かれていないですけど,これは財務省との調整ということで,ここでは議論しないということでいいのかということが一つ。
 それから,確認というか,読めば分かる話ですけど,授業料不徴収という,真ん中に赤いのがありますよね。その前に「在学中」という言葉を入れておいたほうが,読めば全部分かる話ですけど,次のページのタイトルも,在学中は授業料不徴収だというところがぱっと見て分かる文言のほうがいいかなと思いました。コメントというか,意見だけなので,中身についてではないです。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 後者については資料の修正ということでお願いいたしたいと思いますが,前者については一応確認取りたいのですが,事務局,いかがですか。
【今村企画官】  政府の一員として閣議決定した文書ですので,当然,安定財源を確保するのは大前提だと考えております。
【赤井委員】  その議論は,ここではしてもしようがないので,しないということですよね。
【今村企画官】  先生がおっしゃるのは,財源を念頭に置かない議論ということ……。
【赤井委員】  ここで言う財源というのは,新たな別の税という意味ではなくて,後でしっかりと取るという意味合いの財源という理解でいいんですか。後で返還してもらう,そういう意味ですか。すみません,僕が混乱していたら恐縮です。
【今村企画官】  我々が政府文書でこの表現を使う際には,全く新しい税目を建てるというのは極めてまれでして,通常は,既存の事業の見直しなどによって,公債の発行によらず,新規の政策を行って……。
【赤井委員】  なので,ここから今日の議論とは別の話だという理解でいいですね。
【今村企画官】  おっしゃるとおりです。
【赤井委員】  はい。もちろん,きちんと働いた後,返してもらうという議論はありますけど,それと財源という話は別だということで,はい,理解しました,オーケーです。
【小林座長】  よろしいでしょうか。
 では,濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  濱中です。
 私も内容に入る前の資料についての確認なのですが,資料2の対象学生のところの案1ですね。現行では単身世帯の場合,本人の年収299万,間違ってはいないと思うんですけど,ここでいう単身世帯というのは要するに配偶者がいないという意味であって,修士の学生だと親と同居という人はかなりの数になるはずですが,親と同居の場合でも基準は本人の年収だということが分かるような表記にしないと,公表用の資料としては,ちょっと誤解を招くかなと。返還が始まったときの単身世帯は何となく本人のことを指すのは分かりますが,実際には,30歳ぐらいまで親と同居している人もいたりするのでそれもちょっと悩ましいですけど,とにかく申し込みの時は親ではなくて本人の収入だということ,学部のときとは違いますよということがきちんと伝わるような表記にしたほうがよろしいかと思います。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 今の件,よろしいでしょうか。
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは,また質問等ありましたら,後でも結構ですので,順番に行きたいと思います。まず,(1)についてはほぼ合意ができたということで,不徴収ということの意味を含めて,この前議論したわけですが,この前欠席された委員の方もいらっしゃいますので,こういう形で進めるということでよろしいでしょうか。
 特に御意見がなければ,この原案でいきたいと思います。
 (2)が,今日,特に重点的に御議論していただきたいということになるので,案が2つありまして,案1が現行のままで,案2は引き上げたほうがむしろ希望者全員という形に近づけるのではないかという御意見だったと思いますが,これについてはいかがでしょうか。
 たしか川端先生から御提案があったと思いますが,いかがでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端委員】  川端です。
 「全員を対象に」と言っていて,やっぱり,使える資金の縛りと,あとこの制度を早期に開始するための時間の問題で,対象者にある程度条件を入れなきゃならないって,これは理解します。なぜ「対象者を全員」と言ったかというのは,要するに,こういうものにアプライをして,審査をされて,自分がこれを受けられるかどうかが自分で判断できないということを避けようということを私としては言いたかった。そういう意味で,年収とかをはっきりさせて,要するに,申請する前から,自分がこれを活用できるかできないかを自らで判断できることが重要だということです。そういう条件であれば,私はそれはそれで理解できて,これでいいかなと思っています。
 その上で,年収条件が一体どうか。先ほど委員の方からも少し御質問があったように,学生さんは,多分,扶養家族に入っている。単身というのはどういう意味かというところをやっぱり明確にしておくと,自分がこの対象に入ったか入らないかがはっきりするということで,明確にすればいいかなという気がします。
 では,普通の学生さんの収入,年収で言えば,普通は絶対こんな金額にならないので,だから全員,大体,ああ,大丈夫だと思うんですね。
 一方で,もう1個あったリカレントに関する部分のエンカレッジをどうするかという話をこの中に入れ込むと案2のような条件が入っていくという感じですけど,でも,案1も2も結局,案1にさらに条件,年収,収入条件を付加するような枠取りがくっついていれば一体になるんじゃないかなと,そんなような気がします。少なくとも,申請する前から自分でこれが利用可能なのかどうかが分かるような制度にさえなっていれば,それがいいことじゃないかなと思いました。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 案1と案2ということで,どちらもあり得るが,その場合,対象になるかどうかということを先にはっきりさせなければいけないという御意見だったと思います。確かに単身世帯といった場合,これはどういう意味かということが分かりにくいという御指摘だったと思いますが,事務局,これについてはいかがでしょうか。
【今村企画官】  すみません。まず,おわびを申し上げます。単身世帯だと,おっしゃっていただいたように,誤解というか,不正確に伝わるなと思いました。今の仕組みを御説明いたしますと,世帯の分離がされているかとか,そういうことに関係なく,学生本人の収入を見るということだけが決まっております。そのときの収入というのは,親からの仕送りというのも含めて提出させることになっております。単純にアルバイトなど労働の対価として得た給与収入だけじゃなく,仕送りも含まれて,それを提出させています。
 このほか,御結婚されていて,完全に別の世帯となっているといったときには,配偶者の収入も合わせて見ることになりますので,その場合は世帯という視点が強くなるというのが現状でございます。
【小林座長】  ありがとうございました。
 そうすると,学生の種類というか,タイプというか,幾つかに分かれているわけで,それごとにこれを設定したほうがいいということになるのではないかと思いますが,ほかの委員の方,いかがでしょうか。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  今の話でちょっとお聞きしたいんですが,例えば修士課程で,2人とも修士の学生で結婚しました。両方が奨学金を取りたいと思っているというときには,今の話はどんな整理になるの?
【今村企画官】  収入がない場合でしょうかね,両方ともまとまった収入がなければ……。
【川端委員】  両方とも育英会で生きていきたいと思っている。合算して300万,あっ,1回当たりか……。
【今村企画官】  JASSOさん,もし誤りがあれば訂正いただきたいんですけど,私の理解では,学生お一人お一人,旦那さんも奥さんも,それぞれの収入状況で審査されると理解しておりましたが。
【川端委員】  はい,了解しました。ありがとうございます。
【今村企画官】  それでよろしいですよね。JASSOさんもうなずいていらっしゃるので,そのとおりでした。
【赤井委員】  子供がいた場合も,同じ子供を両方から引くんです,特例です。
【今村企画官】  これは税の控除と違っておりまして,子供の数とかを引いていないんです。子供の数によって控除額が異なるというわけではございません。
【赤井委員】  案2の場合はそうするんですよね。
【今村企画官】  案2の場合は,子供のこととかは考慮したいと思います。
【赤井委員】  案2だと,また,ややこしい,いろいろあると思いますけど。
【小林座長】  確かに案2のほうが複雑になるのは,当然いろいろな要素を加味するということになるからでありますが,ライフイベントに考慮するというのは教育未来創造会議でも提言されていますので,単純に299万円というよりは少し考慮してもいいのかなというのは個人的には思いますが,いかがでしょうか。
 荒張委員,どうぞ。
【荒張委員】  すみません,ちょっと今の議論で確認なんですけれども,大学院の現行の制度だと,配偶者の方がいたときには,その収入は入るんでしたよね。
【今村企画官】  はい。大学院生がいて,その配偶者は働いていらっしゃる場合,配偶者の収入というのは加味された上で判定します。
【荒張委員】  そうすると,本人と配偶者を1世帯として収入を考えるという発想じゃないですか。
【今村企画官】  はい。
【荒張委員】  でも,先ほどの機構さんの回答によると,それぞれが学生さんだったとしたときには別々で考えることになるということでしょうか。本人Aと配偶者Bさんがいて,AさんとBさんがそれぞれ奨学金を借りていたとすると, AさんはAさんの所得,BさんはBさんの所得でそれぞれ判断ということになると理解したんですけど,それでよろしいですか。
【今村企画官】  まず,片方が大学院生で,配偶者の方がお勤めで働いていらっしゃる場合は,その配偶者の方の年収にJASSOが定めた一定の控除の割合等で計算をして,例えばですけど,500万,600万という年収を配偶者の方がお持ちであっても,税とは全く異なる控除の計算をして,200万,300万と計算がなされ,学生本人が仕送りとかはほとんど受けていないということであれば,それを合わせて299万を下回っていれば貸与が受けられる,それでよろしいですよね。
【萬谷理事】  ちょっと補足させていただきますと,結婚されている修士の方がそれぞれ奨学金の申請をしようとした場合には,その収入についてはそれぞれが,要するに配偶者の収入も込みで審査をするということになりまして,控除についても,結局,同じ世帯なものですから,同じ控除が適用されてチェックされる,そういうことになるということでございます。
【荒張委員】  そうすると,AさんもBさんもそれぞれ世帯としての収入の調整はあるんでしょうけれども,合算でAさんとBさんはそれぞれ判断されるという理解でいいということでしょうか。
【萬谷理事】  そういうことになります。
【荒張委員】  なるほど。発想は世帯なんですね。夫婦での合計所得ということですよね。
【萬谷理事】  ええ,結婚している方についてはということでございます。
【荒張委員】  なるほど。
【今村企画官】  では,先ほどうなずいていらっしゃいましたけど,訂正ですね。
【萬谷理事】  ええ。
【今村企画官】  はい,分かりました。
【萬谷理事】  訂正いたします。
【荒張委員】  分かりました。
【小林座長】  確認しますが,世帯年収で見るということですね。
【萬谷理事】  はい,結婚している方についてはそうなります。
【小林座長】  はい。夫婦とか家族のある場合,世帯1人ではなくて,世帯年収で見るということが基本だということですね。
【今村企画官】  今,手元でJASSOのホームページを見ておりますと,本人の収入と配偶者の定職収入の合計が299万以下だと選考の対象となる。ですので,世帯ともまた厳密には違うのかなと思いました。本人と配偶者で見ている。
【荒張委員】  合算で,まあ,そういうことですね,確かにそうですね。
【小林座長】  考え方は分かったのですが,ここに明確に,先ほど来出ていますように,自分が対象かどうか分からないということは避けたくて,これは確かに世帯とも違う独特のものになるかもしれませんけど,そこは,それぞれきちんと分かるように,ここをしていただきたいと思います。
【今村企画官】  修学支援新制度ですと,一定の家族構成を1つのケースとして,年収380万を示しつつ,実際には家族構成等によって異なりますという案内の仕方をしておりますので,資料に割けるスペースによりけりかなと思いました。必ず,これはあくまでも1例ですとか,そういうのを小さく付した上で,ただ,分かりやすく伝えるときには,特定のケースの場合はこうなるという案内の仕方かなと思いましたが,いかがでしょうか。
【小林座長】  資料の場合には,確かに修学支援新制度も細かな表がついていますから,そこにこの場合はこうなるということをきちんと書いていただくことが必要だと思いますし,それからこれはお願いですけれど,今,JASSOでは奨学金シミュレーターというのがあって,自分がどのぐらいの奨学金を受けられるか,あるいは返還額がどのぐらいになるかということが分かる仕組みができています。当然,これを見るというのが,シミュレーターでやっていただくのが一番分かりやすいと思いますので,その作成ということも検討するべきだと思います。
【今村企画官】  はい。
【小林座長】  よろしくお願いします。
 案1と案2をどうするかという話はまだありますけれど,今,阪本委員からお手が挙がっていますので,阪本委員,お願いいたします。
【阪本委員】  今,小林先生からまとめられたところで,それに加えることはあまりないんですけれども,要は対象学生をどうするかということですので,返還の際の配慮ということではありませんから,あまり複雑な制度にするのは恐らくよくないだろうと,それは川端委員のおっしゃっているとおりだろうと思います。ですので,例えばこの下のほうに,子供がいる場合,年収から控除する額を別途決定するとかというのは,あまり望ましくないのではないか。むしろ,案1で行くなら行く,上げるなら上げるというような単純な議論のほうがよいのではないかなと,考えさせていただきました。
【小林座長】  ありがとうございます。
 つまり,案2にする場合には,単純に,この前,川端委員からあったように,例えば年収500万とか高めに設定しておくということで,希望者が全員,受給できるのではないかと,そういうような御提案です。
 荒張委員,どうぞ。
【荒張委員】  コメントというよりも,ちょっと質問的なものになるんですけれども,案1って,結局,本人プラス配偶者で調整した合計所得が299万までじゃないと,そもそも借りられないわけですよね。でも一方で,現行って300万を下回ると,返済できない事由がある場合ですけれども,返還猶予を受けられるわけですよね。そうすると,新しい制度をつくらなくても,厳しければ返還猶予を受ければいいということになるという理解でいいんでしょうか。
【今村企画官】  借りるときと返すときで,その300万の意味合いは異なっている。
【荒張委員】  ああ,そうか,そうか。ああ,なるほど。借りられるかどうかということと違いますかね,そことの関係があるのかなと今ちょっと思ったんですけど,別の議論になりますかね。
【小林座長】  よろしいでしょうか,今の点について。
【荒張委員】  はい,どうぞ。
【小林座長】  そうしましたら,濱中委員,お願いいたします。
【濱中委員】  対象学生については,引き上げる余裕があったら上げてもいいのですが,優先度はそんなに高くないだろうなというのが私の理解です。1つは,現行の制度でも85%ぐらいは無利子奨学金の貸与基準を満たしているということでしたから,今出てきたように社会人の学生ぐらいしか,この要件に引っかかる人って,ほとんどいないだろうということですね。しかも,この299万って,先ほど言った控除が入った,JASSOでいうところの認定所得というものの額ですか,それとも額面が大体300万ということですか……。
【今村企画官】  改めてお伝えします。学生本人が働いていない場合は,親の仕送りやアルバイト収入を全部合計したものを提出させて,それを見て,299以下かどうかを見ます。
【濱中委員】  そのときは,学生本人が働いていて所得があったとしても,役所が発行する所得証明から,さらにJASSOで調整した額が300万ということですか,だから実際の収入額はもっと高いんですかね。
【今村企画官】  定職収入が……,分かりました,ちょっと待ってください,今ちょうどJASSOさんから確認してくれています。
【萬谷理事】  控除を考慮しない目安としての収入金額です。
【濱中委員】  目安として,だから実際,判定するときは300万よりもっと低い額でJASSOは判定しているということですよね,何か内部ではきっと。
【今村企画官】  つまり,額面の収入ですよね。
【JASSO】  そうです。
【濱中委員】  額面の収入と,これ,同じですということですか。
【今村企画官】  額面の収入が300万超えていればということですよね,課税所得で百数十万……。
【萬谷理事】  イメージとしてそうですね,控除が入っていない額ですから。
【濱中委員】  300万ぐらいだと,高所得であるとは言い難い水準なので,もうちょっと引き上げてもという意見はもちろん出てくるとは思うのですが,一方で,この制度を導入したときにも,現行の有利子貸与は残るわけですよね,きっと。ある程度所得がある人はそちらを利用するということも可能だとすれば,どうしてもここで頑張って,基準を引き上げて対象者を増やすことはしなくてもいいかなと。ただ,むしろ重要なのはなお書きのほうで,離職する場合には,前年の所得は結構あるんだけど,それがなくなることが確定しているのであれば,その人たちは対象にするとか,そういう形での基準の緩和のほうが,むしろ望ましいのではないかと考えます。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 では,赤井委員,どうぞ。
【赤井委員】  ほかの方も言われましたが,やっぱりシンプルが一番,学生にとっても分かりやすいということがあるので,ほかの制度との統一性という考えからすると,多分,案1が今,いろいろ控除とか,ややこしい年収の基準はあるとしても,今までの貸与型奨学金と同じ条件ということなので,今まで奨学金を借りられていたような人は,授業料の在学中の不徴収も大丈夫だと,そこで統一するというのが多分案1だと思うんですね。それ多分,分かりやすいという意味ではよいと思います。299とか,年収の基準は,多分,貸与型奨学金もどこまで無利子で与えるのかという議論をした上で,今,年収とか,いろいろな計算方法が決まっているとすれば,取りあえず,それを尊重するという案もあると思いますし,それと違う基準にするんだったら,やっぱり無利子での奨学金の基準とどうして違うのかというところの議論も必要になってきます。案2だと引き上げるという話ですけど,だから,やっぱり今日一番議論すべきなのは,これまでやってきた奨学金で言っていた基準と比べて,もっと拡大するべき積極的理由があるのかというところが多分ポイントになるのかなという,その場合は財源的なものもあるかもしれませんが,結局,この新しい制度において,これまでの奨学金の基準よりもより拡大するぐらい,授業料の免除,不徴収というところを強くやっていくのかというところを議論して,そうだったら案2ということになるのかなと思いました。細かい話はあるとしても,多分,分かりやすさというのも重要かなと思います。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 案1も案2もあるということだと思いますが,どちらも長所も短所もあるのでというお話だと思います。そうですね,なかなか難しいと思いますが,川端委員,どうぞ。
【川端委員】  先ほどからお話しされているように,やっぱりこれ,シンプルでなきゃならないというのが1点。
 それで,ちょっと細かくはないんだけど,これに応募する人間は,基本的に学部生がメジャーなんですよね。だから,自分の収入がどうなるかというのは分からない状態で自分がどうなんだと思ったら,多分,年収300万といったら,学部生にしてみれば,えらいでかい数字に見えているから,基本的に,あっ,これ,俺は大丈夫だと大体思う,欲しい人にとっては。こういうラインで整理をつけられるなとは,ぼんやり思うんですよ。ただ,審査はどうされるという話はちょっと別置きにして。
 もう1点は,さっきからずっとこれらがちょっと混ざったり混ざらなくなっているのが要するにリカレントの人用のメッセージとしてどういう数字がいいのかという,ここの部分が案2だとした場合に,どんな条件にしてあげるのか。ここは先ほど座長から言われたように,シミュレーターなり何なりで,ともかくリカレントの人はいろいろな条件を突っ込んだら,あなたはマルですよ,バツですよと出てくるようなものさえつくれば,どんな条件でもできるようにさえなっていればいいかなという気がします。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 今村さん,手が挙がっていますね。
【今村企画官】  すみません,事務局として,案2を考えるに至った考え方を補足させていただきたいと思います。今まさに川端委員もおっしゃっていただいたように,社会人の大学院進学というのを考えて,案2も考えなければいけないと思っております。
 まず,今の無利子奨学金の仕組みは,先ほど来申し上げておりますように,大学院生本人と,配偶者がいた場合は,配偶者の給与所得をそのまま足し算して計算しています。給与所得に,例えば何百万以下だと0点何を掛けるとか,そういう細かな計算はしておるのですが,配偶者に子供がいたときに何万円控除するとか,そういう家族構成というのは考慮されずに,給与年収の額から自動的に計算した額を足しております。ということで,学生結婚と申しましょうか,大学院生と働いている配偶者がいる,そういうことしか念頭に置かれていないのが今の仕組みでございまして,ただ,もともと,この新たな制度の検討の前提としては,若者の大学の学部卒業後のライフイベント等も踏まえて,それでも大学院で学んでチャレンジをしたいというのを後押ししていこうということを考えると,今の仕組みのままよりは,いろいろな生活スタイルや家族構成に対応するものがあったほうがいいのではないかと,そのように考えまして案2を御提案した次第でございます。
【小林座長】  ありがとうございました。
 案1と案2の提案の理由ということであったわけです。
 荒張委員,どうぞ。
【荒張委員】  先ほどの話とも少し関係してくるんですけれども,何でさっきの発言をしたかというと,そもそもの目的の話を当初いただいたときに,低所得者層にいろいろな制度が充実されてくるんだけど,その対象とならない層への支援が課題となっているという話がそもそもの目的であったと私は理解していまして,そうすると従来の,たまたまなのかもしれませんけど,年収の299万という話と,今度,返済の局面かもしれないけど,300万というのが基準で,難しかったら,では返還猶予するということは,300万ぐらいで非常に手厚い対応がされているのかなと私は思ったということです。先ほどはそういうことを言いたかったんですけれども,その300万を超えるような人たちの層を何とかしようと政府が言っているんであれば,やはりここは引き上げるという話は考えないと,そもそも目的に照らしてどうなのかなと私は一つ思った次第です。あと,目的の中には,修学の機会が子供の出生率にも影響があるというような話を踏まえると,私は子供の部分を調整するというのはむしろあったほうがいいのかなと思いましたので,ちょっと発言させていただきました。
【小林座長】  ありがとうございました。
 今,両方の案が出ていて,それぞれに実績があるということですが,赤井委員,どうぞ。
【赤井委員】  すみません。今の議論と私の先ほどの議論とも関わるんですけど,案2の趣旨,とても分かりました。案1は,現行で,いわゆる貸与型,この理解はいいか分からないですけど,無利子奨学金の基準ですよね。それは今,要するに奨学金を借りようと思えば借りられますという基準があって,今回は,そういう人であれば授業料も免除してあげましょうというような意味合いで,無利子を借りられるようなぐらい大変な人が,今,授業料も払わないといけない状態にあるということで,それも払わなくていいようにしましょうというような趣旨でこの議論が進んでいる場合は同じでいいと思うんですね,案1ですね。だけど,さらに無利子奨学金も借りている人は,授業料を払わないのはもちろんですけど,さらにもう一つ,そうじゃなくて,無利子奨学金も借りられない人に対しても,授業料は在学中払わなくてもいいと,そこまで拡大するぐらいの意味合いでこの制度を求められているのだとすれば案2なのかなと,もっと引き上げるということですよね。そこのところは,だから,いろいろな配慮をしてあげたほうがいいと思いますけど,どうなんでしょう。事務局としては,そういう可能性もあるので案2を出しているという理解でいいんですかね,どうでしょう。これ,質問ですかね。
【小林座長】  御質問だと思いますが,いかがですか。
【今村企画官】  おっしゃっていただいたとおり,今使っている層とは別の方々もこの新たな仕組みを使える,そういうことも念頭に置いて,当然,案2をつくったところです。教育未来創造会議の提言においても,先ほど荒張委員がおっしゃっていただいたように,今の仕組みが使えない人たちに対する支援を考えるということや,社会人の学び直し,リカレントをさらに推進していく,そのための手段としても,この大学院段階の授業料不徴収,修了後の納付というものも活用すべきという提言でございましたので,学部からストレートで大学院に進学した人たち以外も念頭に置いて案2を考えたところです。
【赤井委員】  分かりました。だとすると,案1から外れた人,つまり,現行,無利子奨学金が借りられない人にも授業料免除の可能性をしようということで,免除じゃない,不徴収の可能性を広げるということですね。それだったら全員と言ってもいいかなという気がしてきましたけど,そこ,バランスですね。ありがとうございます。
【小林座長】  ありがとうございました。
 参考までに申し上げますと,東京大学が10年ほど前に授業料減免で年収400万円以下という基準を設けたことがありまして,そのときに誤解されたのは,では401万だと駄目なのか,つまり崖効果の問題が発生するのではないかということがよく言われたわけです。実際は控除額を考慮した認定所得と両方の基準を使っておりまして,先ほど赤井委員からもありましたけれど,分かりやすさという点からすると,案1の年収,例えば299万と片方決めておいて,それ以外について,もう一つの案もあるというような両建てでやったことがある。ですからそれも,余計複雑になるかもしれませんが,少し検討してもいいのではないかという気がいたします。
 それから,これは先ほど申しましたのと重ねて言えば,新制度では,確かに年収380万までというのが,これは,モデルの家族構成の場合ですね。ですから,実際には様々なバリエーションがあるわけで,それでシミュレーターが要るというような話になっているわけですので,そういう意味からいっても2つ出してもいいのかなという気もしますが,いかがでしょうか。ちょっと提案を複雑化させたかもしれませんが。
 赤井さん,どうぞ。
【赤井委員】  2つという意味は,取りあえず案1にしておいて,特別入る人だけ案1拡大と,そんな意味合いですね。
【小林座長】  そうですね。リカレントとかそういう方を考えると,案1が基準だけど,案2も,特別に当てはまる人,先ほどの濱中委員ので言いますと,現在85%までしか対象になっていないということで,残りの15%もあるわけですから,その辺も含めて,できるだけ全員対象にするというような方向に向かいたいと,そういうような趣旨です。
【赤井委員】  設計次第だとは思います。
【小林座長】  はい。もちろん設計がこれから重要になってきます。
【赤井委員】  そういう感じ,まあ,そうですね,リカレントの人を救うような形を意識して何かオプションをつけるというのは,それは,基本,普通の人というか,一般の人は案1ですよと言って,ほかの無利子奨学金と同じレベルで,基準は一緒ですよと言っておくという形になるので,ルール上は統一されていますよね。ただ,こういう人だけは,もうちょっと高い所得でもいけますよとするというのは,ほとんど85%の人にとっては簡素なルールになっているのかなと思うので,いいかなと思いますけど。
【小林座長】  すみません,急に出しましたが,阪本委員,どうぞ。
【阪本委員】  今の御意見ですけれども,先ほど濱中委員のおっしゃった「なお書き」の部分ですね,これをどちらかというとこの案2に含めて,代替的な基準として吸収するというようなイメージと捉えさせていただいてよろしいでしょうか。
【小林座長】  はい。私の提案としては,そういう形で考えているのですが。
【阪本委員】  分かりました,ありがとうございます。
【小林座長】  ほかに御意見ございませんでしょうか。
 先ほど藤吉課長から,今日,できたらこれを全部,どちらかには決めていただきたいということだったんですが,案1と案2を使い分けるといいますか,案1を基本にして案2もあるというようなことでまとめたいと思いますが,事務局としては,それでよろしいでしょうか。
【今村企画官】  今,皆様のお話を伺っておりまして,次回に向けて,また,より具体的な案をお示しして,御確認いただいたほうがよろしいなと思いました。その際には,学部からストレートで大学院に進学して定職を持っていない学生と,給与収入があって社会人から大学院で学び直すというケースとで,実際は若干異なっているんです。その違いも明確にした上で,あとは離職等を伴う場合は入学時点の収入に基づくということであったり,家族構成によっては,さらに控除というか,もう少し高い年収でも対象になり得るといったものをお示ししたほうがよろしいのかなと思いましたが,どうでしょうかね。
【小林座長】  今日決定する必要がなければ,今のような様々なケースを出していただいて,それについて議論していただく。案1を基準とするとしても,案2にも上がるようなのがどういうケースがあるかということを出していただければ,より議論しやすくなると思いますが。
【今村企画官】  はい,承知しました。我々といたしましては,今,小林先生がおっしゃっていただいたことは,ある意味,案2だと思っておりまして,つまり,299万というものもベースにしつつ,引き上げられるケースがあるということを今おっしゃっていただいたと思いますので,それが一つの方向性だと受け止めております。
【小林座長】  ありがとうございました。
 委員の皆さん,いかがでしょうか。
 荒張委員,どうぞ。
【荒張委員】  もともと前回も,リカレントの話とかで,大学院の就業機会を増やすということであれば,そもそも全員でいいじゃないですかという話が結構あって,私もそのような発言をしたと記憶しています。
 ただ一方で,機構法の関係で経済的に困難で優秀な学生という縛りがあるから,ちょっとそれは難しいよねという話で引き戻されたと理解しているので,確かに曖昧なところをつくって,実質,案2というところは私も賛成なんですけれども,一方で,何かキャップってはめなくていいんでしょうかというところは,機構法との関係でちょっと気になりました。あと,二種とのバランスというのは考える必要はないのかというところもかねてよりちょっと考えておりまして,その2点について,ぜひ,事務局でも併せて御検討いただけるとありがたいかなと思いました。
【小林座長】  今の2つについて,事務局はよろしいでしょうか。
【今村企画官】  はい,分かりました。まず1点目の点につきましては,経済的に修学に困難があるという説明ができれば,299万でなければならないというのもございませんので,これを引き上げることと学生支援機構法の範囲内で業務をするというのは両立いたします。
【荒張委員】  そこは私も理解しているんですけれども,今の議論だと,なるべく幅を広げて,全員とは言わないまでも多くの方を対象にしましょうという空気があった。私もそれは賛成なんですが,一方で,何でこの話になっているかというと,機構法の規制もあるとすると,何かキャップみたいな,そうは言っても幾らぐらいというのがないのかしらと,そこが気になったという意見で。
【今村企画官】  はい,そこは理屈を考える必要があろうかと思います。では,年収制限があるから3,000万でいいというわけにはいかないと思うんですよね。かといって,299が本当に適切なのかというと,我々は,多くの学生にとって引っかかってしまうハードルであるならば見直したいと思って御提案した次第ですので,すみません,何万円が適切ですということは,今なかなか申し上げるのは難しいです。
 もう1点,有利子につきましては御指摘のとおりだと思います。まだ整合性は詰め切れておりませんので,それは引き続き検討させていただきます。
【荒張委員】  はい,よろしくお願いします。
【小林座長】  よろしいですか。ほかに御意見ございませんでしょうか。
 そうしましたら,今おっしゃられたとおり,実際には案2ということで,ただし,案1を残しながらということだと思います。それで,特に社会人のリカレントに配慮するということと,もともと,ライフイベントということで扶養家族の数とかそういったことも考慮するということも入っていたと思いますので,その辺含めて,少し複雑になりますが,次回までに案をつくっていただく,これでよろしいでしょうか。
【今村企画官】  はい,承知しました。
【小林座長】  あと,有利子との関連ですね,これもかなり厄介な問題ですけれど,よろしくお願いします。
 そうしましたら,(3)にいきたいと思いますが,機構から大学に支払う額,すなわち卒業後に納付する総額について,これはまさしくキャップの問題が入るわけですが,これについては特に御意見はなかったと思いますので,これでよろしいのではないかと思いますが,何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では,今日もう一つ大きな案件が,すみません,川端委員,どうぞ。
【川端委員】  すみません,後のほうの事務的な話のところでちょっと混乱したんですけれども,機構から大学に支払う額というのは,平均額を払うんですか,それとも,平均額を上限として授業料相当額を払うんですか,この1点を確認したいんですが。
【小林座長】  事務局,どうぞ。
【今村企画官】  その点はまさに技術的な課題としてございます。
【川端委員】  学生さんにしてみれば,授業料を在学中は払わなくていいという立ち位置でいえば授業料で十分で,それ以上の額を別にここで支給する必要はないんじゃないかと思いますが。
【今村企画官】  はい。おっしゃることはよく理解いたしますが,それを実現するためには,利用者被お一人お一人に幾らの債権,債務を設定するかという処理が必要でございまして,それを手作業ではなく,絶対に間違いのないようにシステムで処理するために,令和6年度に間に合うだろうかというのを今検討中でございます。まず,技術的な困難さを申し上げました。
【川端委員】  はい,了解しました。
【今村企画官】  もう1点は,川端委員,今の貸与型奨学金よりも実際に借りられる額が減ってしまう可能性もございまして,そうなると,受け止め方によっては改悪と受け止められかねないなというのを心配しております。
【小林座長】  すみません,そういうことですと,この点については,まだ検討しているところ,途中ということでしょうか。
【今村企画官】  はい。まず技術的に,例えば国立大学53万というのがございますが,仮に53万を下回る額を設定している大学があったとして,その差額を学生に渡すのか,それとも,小さな額と設定された額だけを,50万円とか四十何万円だけを大学に納めるのかというのが技術的に可能なのかどうかというのを詰めております。難しいとなった場合は,差額を学生に一旦お渡しするということになるかなと思います。
【小林座長】  はい,分かりました。これはアメリカでもそういう仕組みで,高等教育機関に渡すという形で,差額は法律的には学生に渡すと書いてあるのですけれど,実際はほとんどそれが発生しないとも聞いていますので,その辺り,日本の場合,今あったように確かにまだ問題が生じていますので,これはもう少し次に検討していただいて,御報告あるいは御提案をいただければと思います。
【今村企画官】  はい。
【小林座長】  よろしいですか。
 では,次に(4)の問題に移りますが,所得に応じて納付する額をどのように設定するかということで,やはりこれも現行の基準に合わせるのかどうか,あるいはそれより引き上げるかどうかということですね。それについては御意見いかがでしょうか。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  先ほど,対象学生の年収基準の引き上げはあまり優先度が高くないと申し上げました。引き上げるのだったらむしろこちらの146万円を引き上げるほうが重要だろうという趣旨です。当然,こちらを引き上げるとしても,そこに財源がかかりますから,対象学生を増やすと二重でかかってくるので,優先するならこちらを優先してほしいということです。案1だと,結局,現行で既に所得連動返還が走っているので,ほとんど何も変わらないように見えてしまう可能性はあるだろうと。そういう意味では,この上限を少し引き上げて,返還開始の収入を上げて,より使いやすい制度に改変するのだという意思を示すのはよいことではないかと思います。
 そのときに,ただ,ちょっと気になるのは,参考1というグラフの,案2として300万円ぐらいをスタートにしてはどうかという案についてです。思い起こすと,現行の所得連動返還を設計したときも,返還開始の年収はできるだけ300万とか高いほうがいいけれども,返還率等々を考えると,だんだん下がってきて,とにかく課税所得が発生したところからということにしたのであって,もともとの理念としては,もう少し高いところに設定したいという考えがあるにはあったということを一つ申し上げておきたいのと,それはともかく,問題は他にもいくつかあって,現行制度では最初の1年間分が定額返還の半分ということで,恐らく7,000円ぐらいになるんじゃないかと思うのですが,ただし,申請すれば2,000円にできることになっている。つまり,最初の年は何もしないと,7,000円を請求されて,次の年から年収が300万以下だから,2,000円になる,それは何か変な感じがするので,初年度の7,000円徴収というか,定額の半分を徴収するという扱いは止めて,ずっと2,000円にするのかなと,その辺との整合性を少し考えなければいけないし,現行の学部生用に対応しているほうの所得連動返還ではなぜ返還開始年収の引き上げができないんだと言われたときにどう答えるのかというのも,かなり課題になるかなと。
 もう一つ,ちょっと違う論点ですけど,社会人を念頭に置くとすると,現行は,とにかく学部生のときはバイトしかないから,そもそもそんなたくさん収入ないでしょうということで,マイナンバーを使っても所得も取れないし,定額返還の半分ということにしたけれども,社会人学生であれば,働きながら通っている人は所得があるわけで,もしかしたら,現行のように定額の半分とか,1年間は違う方法にするというのではなくて,最初の年度から,つまり返還開始から所得連動でというやり方も考えられるので,そこもちょっと考慮に入れた設計にするとよいのではないかと思います。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 幾つか提案が入っていますけれど,先に川端委員の御意見を伺いたいと思います。
【川端委員】  国としてのメッセージ,要するに「出世払い」が重要です。言い換えると返す負担感というのをどうやって解消してあげるという意味でやっぱり300万というラインがよいと思います。これ,要する授業料無償からはじまったイギリスもオーストラリアも結局そういうメンタリティーから始まっているような気がするんですよね。だから返済開始の金額も比較的高い。他方,アメリカは逆に言うと,貸与の資金を資金運用として回すという意味で言えば,返済の開始の金額を低くしてさっさと返してよという話で動いているかなと思います。日本としては,基本的に,授業料自体をある意味無償化したいという立ち合い位置と思います。ただ,無償化というわけにいかないから,少なくとも返済の負担感の全くないような格好で授業料というものを設計できないかという思想だとすると,今のすぐ146万か何かのところから返してというよりは,ある程度,負担感のないところまで収入が増えてから返すということがいいと私は思います。ただ,ここに閾値のギャップをつくるのはあまりよくなくて,ここは少し滑らかにしてあげるような設計は必要かなと思います。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 また一つ提案がありましたけれど,これについても順番に議論していきたいと思いますが,ほかに御意見ございませんでしょうか。
 そうしましたら,荒張委員,どうぞ。
【荒張委員】  ちょっと質問ですけど,今日のグラフのこの300万で案2にするというのは,結局のところ,今まで猶予制度というのが申請で行われていたものを,全員猶予するのと同じようなものだと思えばいいということですか。結局そういうことかなと思ったんですけれど。
【今村企画官】  その御質問にお答えすると,我々として300万という案を示したということになってしまいますので,決してそういうわけではございません。1つ,300万というものでグラフを書いてみましたというので。
【荒張委員】  ああ,なるほど。すみません,では,ちょっと私の聞き方がよくなかったので,仮に300万だとすると,そういうことと同じ,この財源が必要になるということですか。財源というか,その分,猶予をしたと同じインパクトが出ると理解すればいいんですかという,そういう趣旨で質問しました。
【今村企画官】  そういうことになると思います。その分は返ってきませんので,そのお金を別途工面しなければ次の後輩に貸せなくなりますということで,お金は必要になります。
【荒張委員】  実際にそれはどのぐらいのインパクトがあるものなんでしょうか。
【今村企画官】  ですので,今日皆様にお願いいたしましたのは,146のままでよいのかどうかということについて方向性をいただきましたら,財源を見ながら,具体の数字を決めてまいります。
【荒張委員】  はい,分かりました。ありがとうございます。そういうことですね。
【小林座長】  1つ確認ですけれど,これは今の議論で,300万にすると,確かに返還が遅くなるわけですから,そういう意味では財源も要るでしょうし,そういう意味で今村さんが申し上げたと思うのですけれど,返ってくるということでいえば同じなわけですね。ただ,300万にした場合は,この三角の部分のところが遅くなるわけですから,そういう意味で申し上げたということだと思います。それでよろしいですね。
【今村企画官】  すみません,ありがとうございます。もう少し言葉を補いますと,長期で見れば必ず返ってくると思っておりますので,そこでの収支はそんなに影響はないのですが,一時的にこの分が足りなくなりますので,そこは何かしら埋め合わせをしないと,ということになります。
【小林座長】  そうですね,初期といいますか,最初の時期にそれが要るということだと思います。
 よろしいですか。
 では,赤井委員,お願いいたします。
【赤井委員】  このグラフ,とても分かりやすいと思います。要するに,今回は返すタイミングをかなり遅くしますのでという意味のアピール効果を意識するのであれば,それと,あと財源との関係ですよね。そこのバランスだと思います。ただ青い部分と異なるので,分かりやすさ,簡素化という意味であれば,青とそろえるのもいいかなという意識は持っていたんですけど,返さなくてもいいというところを強調してアピールするんであれば,この案2がいいかな。ただ一つ,案2で300,まさにここですけど,300超えると,いきなりどんと来ますよね。案1は徐々に所得の小さい時から支払い始める一方で,このグラフだと301万になると,その所得からどんと返すようなイメージになっているんですけど,それで正しいですか。この300のところから青と同じ角度で上に上がるというプランもあると思うのですが,どうでしょうか。
【今村企画官】  角度を青と同じような形で300から始めるとなると,イギリスのような姿になると思います。そうしますと,今ちょっと手で書きながらお示ししたいぐらいですが,失われるというか,返ってこなくなるお金の面積がすごく広くなりますので,イギリスのやり方よりは,ちょっと分かりにくいですが,オーストラリアの4万ドルと6万ドルの間のところが上の日本と同じような姿になるんですよね。ある年収を超えると,突然どんと上がる。オーストラリアの場合は,その上がり方がどんどん急になっていくというものです。
【赤井委員】  はい,分かりました。青と同じようにしていくと,お金の支払いの遅れが,大きくなりますね。要するに本来,青の場合は,少しずつ返済が始まっているのですが。300を超えた段階で,一括で青で増えてきていたはずのレベルまで追いつく形になるということですね。
【今村企画官】  はい。
【赤井委員】  理解しました。ただ,どんと返さないといけないので,それがどのぐらいいいのかというところとのバランスもあるかなと思いました。青だと徐々に返していけば急激な増加はないですが,案2だとどんと返すので,インパクトはどうなのかなという気もしました。
 以上です。
【今村企画官】  事務局ばかりで申し訳ありません。もう一つだけ今のお話に補足いたしますと,年収300万ですので,手取りで20万円ほどになろうかと思います。そのような収入の方々が年間で10万円,月にして1万円弱,8,000円ぐらいなりますかね,それを納付いただくというのが年収300万円の姿になります。このことを,月額2,000円に比べて4倍になっていると捉えることもできれば,手取り20万円の中から月に8,000円拠出することはぎりぎり可能ではないかとも捉えることもでき,受け止め方は様々かと思います。
【赤井委員】  分かりました。
【小林座長】  よろしいでしょうか。
【荒張委員】  すみません,よろしいですか。
【小林座長】  どうぞ。
【荒張委員】  これ,もし仮に上げるとしますよね。上げると,今借りている人たちはどうなるんですか。それは新しい制度から入れるというイメージでお考えなのでしょうか。
【藤吉課長】  そのイメージです。
【荒張委員】  ああ,もうそこは割り切っていくしかないという前提でしょうか。はい,分かりました。
【藤吉課長】  座長,ちょっとよろしいですか。
【小林座長】  はい,どうぞ。
【藤吉課長】  先ほど,例えば川端先生が出世払いのイメージからすると,学生の返還の負担の軽減をいかにアピールするかというのは大事だとおっしゃってくださいましたし,あと濱中先生が,今の制度ですと,初年度は定額の半分を毎月払うということで7,000ぐらいなってしまうということがありました。確かに出世払いというイメージに引っ張られるのはどうかとは思いますけれども,新たな制度をつくるという点でいうと,例えば最低実額,今2,000円になっていますけど,それをゼロにするのもありなのかなと,先ほど議論を聞いていて思いました。特に荒張先生がおっしゃいましたように,今の制度ですと,返還猶予するという制度がありまして,300万以下の方は,お申し出によればゼロ円でも可能だということもありますので,そういったことも考えますと,新たな制度を立ち上げる際に,2,000円というのをゼロにするのも一つの方向もあるのかなと思いました。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 いろいろ論点が出てきていますけれど,順番にやっていきたいと思いますが,赤井委員,どうぞ。
【赤井委員】  私は大丈夫です,すみません,手を。
【小林座長】  大丈夫ですか。
 私からも一つ補足したいのですが,先ほど,将来的には返ってくるので赤と青は同じだと申し上げましたけど,所得連動型の場合の欠点といたしまして,やはり非常に所得が低い方,所得がない方がいらっしゃると,その場合,やはり返ってこないということがありますので,これが大学院生の場合どれぐらいになるかは全く分かりませんが,全く全部が返ってくるからいいということにはならないこともあるということは少し申し添えておきたいと思います。
 その上で,まず300万にした場合に,月額でいうと8,000円程度になるので,それほど崖効果の問題,つまり,急に返還額が多くなるんだということについては,これは川端委員からの御指摘だったと思うんですが,8,000円程度だったら問題ないのではないかということだったと思いますが,これについてはいかがでしょうか。
【赤井委員】  ちょっと僕が誤解していたこともあるんで,それはいいと思います。それだけ収入があるんで,収入に対するパーセンテージは一緒ですので,そこ,全ての年齢で,はい,分かりました。
【小林座長】  川端委員。
【川端委員】  オーケーです。
【小林座長】  よろしいですか。
 そうしましたら,次の問題といたしまして,定額の2分の1を初年度だけ払うというのが現行の制度ですけれど,これは,むしろ2,000円のままのほうがいいのでないか,あるいはさらに,趣旨からいったらゼロでもいいのではないかと。これ,返還猶予に当たると考えられるわけですけれど,そういう御提案ですが,これについてはいかがでしょうか。
【赤井委員】  以前議論したときに,ゼロというのはそれなりにいいとは思うんですけど,ちょっとでも払っておいてもらって,最低2,000円ぐらい,要するに,自分は払わないといけない状態にあるんだとか,連絡先を維持するとか,そんな意味合いで少しは払っておいていただきましょうみたいなのが趣旨に合ったような気がするんですけど。
【小林座長】  はい,ありました。
【赤井委員】  その辺りはどうかということですね。はい,ありがとうございます。
【小林座長】  それはおっしゃるとおりで,意思を確認するというような意味合いも含めて,2,000円ぐらいは払っていただいてというようなことがあったと思います。そのことも考えると,2,000円というのも一つは,現行と同じですので,案としてあり得ると思いますが,いかがでしょうか。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  事務的なレベルでいうとあるところなんで,もう1回手続しろというよりは,卒業時に手続したほうが,それをずっと維持しているというのは重要な意味を持つと思うんで,そのままでいいと思います。
【小林座長】  ありがとうございました。
 濱中委員の御意見の1年目が定額の半分というのよりも2,000円でもいいのではないかと,この点についてはいかがでしょうか。
 西條審議官,どうぞ。
【西條審議官】  すみません,ちょっと補足で申し訳ありませんが,今の藤吉課長からもあった2,000円の議論というところなんですけれども,いわゆる所得連動の今までの制度といかに違いを出すか,それから出世払いというものについてどう見るか,今,出世払いの一つのポイントは,どこの所得で見るか,所得を引き上げるというところが一つ,出世という意味での出世払いというポイントになると思いますし,それから2,000円の部分については,これまず,所得連動のときには当然,返していただくということを前提に,2,000円,最低月額を当時の議論として定めたというところではございますけれども,今回,新たな制度という見方をしたときに,仮に所得が全然ない状態でも2,000円,年間でいえば2万4,000円返してもらうんで,その負担感があるというのがどういうメッセージになるのかというところを御議論いただいたほうがいいのかなとは思っております。
【小林座長】  ありがとうございました。
 今の点も踏まえて,御意見いかがでしょうか。新たな制度をつくる以上,変えたほうがいいのではないかということだったと思いますが,阪本委員,どうぞ。
【阪本委員】  少しこの辺りは事務的なことになるのでちょっと分からない部分があるのですが,大学院でこの制度を使っている学生の多くは,もし,学部生時代にも同じように所得連動型で奨学金を借りているというパターンであれば,ゼロにしても,大学時代の2,000円は残るということになるかと思います。そうだったとすると,その段階で,口座の維持であったり,あるいは連絡先の維持管理というようなことは多くの場合できているということであればゼロにするというのも手なのかなと,今,御説明を聞いて少し感じたところです。
【小林座長】  ありがとうございました。
 これについても前回議論になっておりまして,学部段階で借りた場合と,それから修士段階で借りた場合,両方借りた場合には金額的に非常に返還額が多くなる問題があるということは前回も出ていたのですけれど,今,その負担もあることを考えるとゼロでもいいのではないかというような御意見だったと思いますが,いかがでしょうか。
 荒張委員,どうぞ。
【荒張委員】  今日,猶予の話ばっかりになってしまって,すみませんが,やっぱり,そこがポイントになっているのかなと思ってまして。300万にするかどうかは別にして,引き上げていくと,結局,例えば200万にしても250万にしても,そこからは払わなくていいという話になると,では,この猶予制度とのバランスをどうするのかというのが今度問題になってきて,そもそも,新しい制度になって猶予制度がなくなると,今度,改悪になっちゃうわけですよね。2,000円の設定は,私も非常に意義があるなと思いつつも,金額のバランス,例えば,300万にしたらどうなるのよという話ですよね。では猶予制度の意味って,その2,000円のための猶予なのかという話になってしまうのかなと思うので。300万引き上げても2,000円は残るという話になると,現行では猶予制度でゼロにもできるということとのバランスでいくと,やっぱり改悪になっちゃうから,そこをどう考えるかというのが,私,非常に気になったところです。
【小林座長】  その問題は確かに,現行の猶予制度の関係というのも考えなければいけないというのは御指摘のとおりだと思います。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  今ちょうど猶予の話が出ましたが,所得連動を導入するときに,当然,猶予制度はなくなるんだろうなと,何年か前の議論のとき思っていたんですけど,ただ,所得の把握が1年遅れるので,家計急変に対応するためには,やっぱり猶予制度を残さないとまずいだろうということで猶予が残っているという側面もあるんですね。2,000円も払えませんという人が状況によってはあり得るので,その人たちに猶予を適用するという側面ももちろん両方ありますけど,やはりその1年遅れというのは非常に大きな猶予が残っている理由の一つではあるかと思います。
【荒張委員】  全くなくなるということは,やはり,当時からもなかったということ,必要な制度なわけですね。
【濱中委員】  既にある以上,なくせないというような感じが強かったとは思いますけど,1年遅れに対応する意味でも,猶予があることの意味はあるということです。2,000円にしたのも,たしかシミュレーションでは3,000円とか,2,000円とか,1,000円とか,いろいろやってみたんですよね。やっぱり最初の数年間に返ってくる額が結構変わるので,どれぐらいつなぎの資金を準備できるかというところで設定できる額が変わってくることは確かで,幾らならいいというのを言うのは難しいといえば難しいですね。ただ,そもそも課税所得がないという意味では,国も税金すら取らない人から返還を求めるというのは確かにちょっと問題がありますし,年収146万未満の人は,課税所得に対して掛け算するほうがいいのかもしれないです。ただ,年収が非常に低い場合は割賦額が100円とかになりますから,やっぱり,そこはどこかでまとめないと銀行も困るでしょうし,どこかで小さなが当然できるんですけど,いずれにしても財源とのバランスで,この額は決まるのかなということだとは思いますね。かなり違ったと思うんですよね,1,000円変えると相当,最初の頃の返還額が変わってくるので。
 もう一つ,先ほど申し上げたことでいうと,初年度7,000円は面倒だから2,000円にすべきという乱暴なことを言っているわけではなくて,最初から所得連動にすることも検討してはどうかということです。学生もマイナンバー持っているのは持っているので,バイト代どれぐらいあるか,大した額にはならないと思いますけど,所得連動を最初から適用できないこともない。最初のうちというか,初年度は学生時代のアルバイトしかないし,就職後1年目も4月から12月までの給料しかないから,2年目の返還額もちょっと安くできる。財源はかかりますけど,そういったことで最初の返還を少し優しくするということは可能なので,可能であれば最初から所得連動にしたらどうかということで,一律2,000円を1年半据え置きということを主張しているわけではないということです。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 いろいろな意見が出ているわけですが,先ほど,もう一つの論点だった2,000円を出すのは返還の意思を継続させるためだという意見というか,実際そういうふうに現行の所得連動型はやっているわけですけれど,その点について,今の最初から適用した場合に何らかの返還の意思を表すような仕組みというのはつくっておかないといけないような気がしますが,例えば毎年出して手続を取ってもらうとか,何かそういうことがないと今の問題というのは残ると思うんですが,その辺りを含めていかがでしょうか。これはむしろ事務的な話になるかもしれませんが。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  今言われたように,そこは事務的な話だと思います。やはり据え置くなら据え置く,変なややこしい話を入れておくと,それに事務的な話がまた重なってくるんで,手続も含めて,そういう意味では,ともかくシンプルにして,ここまでは出世払いですよという300万でばんと切っちゃって,後から始まりますよと。それまでの間,事務的な,あんまり表に事務的なと言えないだろうけど,2,000円なら2,000円なり何なりを定常的に口座を常に開けておくためのお金というような位置づけで定額にしてしまったほうが,払う側も楽だし,いろいろなものが楽になっていくと思いますけどね。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 審議官,手が挙がっていたように思いますが。
【西條審議官】  すみません,ちょっと補足を,逆に言うと,JASSOさんに,ちょっと私が確認するのも何なんですけど,いわゆる所得連動を入れたときには,まず,マイナンバーが当時はなかった状況と,今マイナンバーが入ってきている状況で,これはやっぱり,2,000円払ってもらうという形で口座を追いかけるって当時もあったと思うんですけど,それは逆に言うと,マイナンバーによって,ゼロになったとしても,その人がマイナンバーで特定されていれば追いかけられるという理解でいいんですか。
【萬谷理事】  すみません,何を追いかける?
【西條審議官】  払っていた方がどこかへ行っちゃう,2,000円というのは払う意思を継続させるというのに加えて,口座の維持……。
【萬谷理事】  所在をということですか。
【西條審議官】  そうです。口座の維持,所在の維持というのもあったと思うんですけど,それが今,マイナンバーを入れるという形になると,本人とはひもづけができるはずなので,例えば2,000円を取らなかった,意思の問題はちょっと別として,事務的に追いかけることができるのか,逆に言うと,追いかけることができないとなると,何らかのひもづけをしておかなきゃいけないということになるんですけど,そこら辺は事務的には,今の制度で見たら,どういう形でJASSOが追えるのかというところだけ,ちょっと御説明いただければと思います。
【萬谷理事】  マイナンバーを出していただければ,確かにマイナンバーにつながる情報は把握しようと思えば,住所地とかはできますけれども,ただ,口座情報とか,そういったものについては,御本人が手続をしてくれないと分からないものですから,そういう意味では,必ずしも全てを把握できるというわけではないとは思いますが。
【西條審議官】  では,基本は所在とかは一応つかめるまでは行けるというところですかね。
【萬谷理事】  そういう理解です。
【西條審議官】  分かりました,すみません。
【小林座長】  ですから,その点は事務的にはクリアできるということですよね。
 赤井委員,どうぞ。
【赤井委員】  確かにマイナンバーで追いかけられるというのがあるとしても,今おっしゃったように,口座を全員が登録しているわけでもないし,マイナンバーで追いかけて,きちんとできるかどうかも分からないし,給付しているときは多分追いかけられていると思うので,給付が終わって卒業となったときに,取りあえず卒業と同時に返還の手続,つまり,口座も登録を継続してもらって,一部だけでも返還してもらう仕組みがあったほうが,後々の把握とか手続は楽なような気がするので,簡素化できて効率化できる部分と2,000円をしばらく払わなくていいという部分との兼ね合いでいうと,2,000円ぐらい払ってもらってもいいのかなというのが私の意見です。もちろん,いろいろな考え方があると思うんで,取りあえず,私は今のと同じでいいかなと思いました。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  私も同じです。私自体は,奨学金を20年間払い続けていました。結局は通帳に育英会からという明細がのこる。返済している,返済しなきゃということを意識させるという意味でこれがやっぱり重要なんですよね。ずっとそれが通帳に残っているということ。だから,あるときから突然これが始まったとかいう話よりは,ずっとやっていて,ずっとその後,金額がただ増えていったという世界のほうが,いろいろなことにとって幸せなんじゃないかなという,そんな気がします。
 以上です。
【小林座長】  ありがとうございました。
 そうすると,あと残っているのは定額の2分の1というのが1年間だけ変則的にあるわけですけれども,これは,むしろ今の御意見を伺っていると,2,000円でずっと通したほうがいいのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。ほかに御意見ございませんでしょうか。
 そうしますと,まとめといたしまして,まず,こちらとしては案2ということで考えたい。その場合,現行制度を考えると300万というのが猶予との関係で1つの区切りかなということですね。ただ,その場合は,荒張委員が言われた猶予との関係をどう考えるかというのを少し検討していただかなければいけないということと,それからもう1点としては,現行では定額の2分の1を1年間だけ払うという制度ですけれど,せっかく新しい制度をつくるということを考えると,2,000円でそのままいけばよろしいのではないかということです。よろしいでしょうか。
【今村企画官】  今まとめていただいたことに加えて御意見を伺いたかったのは,(4)の論点においても,※書きで「子供がいる場合に年収から控除する額を別途設定するなど」ということも書きました。これは,利用開始のとき以上に,返還時においては,若者が今の貸与型奨学金の返済の負担感が重く,結婚や子育てに影響を与えているといった声も多く寄せられておりますことから,子育て等をされている方々に対してより配慮するというのは考えられるのかといったことについて,皆様からぜひ御意見をいただければと思います。
【小林座長】  はい,分かりました。これについては,先ほど少し,夫婦で両方借りている場合の負担の問題とか,学部から借りている場合の問題とかということで出たと思いますが,改めてまた御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。
 先ほど濱中委員から,こちらのほうがよりこの問題は重要だという御意見はいただいているのですが。
 はい,濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  もちろん,返還のときも,控除はできるにこしたことはない。ただ,現状でも一応は考えられていて,課税所得を計算するときに扶養控除とかが入っているから,全く考慮していないわけではないですよというのが前回導入したときの経緯ですね。要するに,国が税法上定めているよりさらに大きな控除をかけるということになりますから,それは子供がいる人,いない人の公平性とか,いろいろな問題が出てくるので,かなり難しい問題にチャレンジすることになると思いますが,実際問題,やっぱり子供が2人,3人いたら,そちらにかかりきりで自分の返還は難しいし,ましてや自分が社会人で大学院へ行こうなんていうことは考えにくくなるでしょうから,考え方としては,入れることには非常に賛成ですけど,実際かなりお金がかかってくるというか,財源との見合いになるので,考え方としてはあり得るということは報告書に入れてもいいのかなと思います。
【小林座長】  ありがとうございました。
 控除額を多くするということは考えられるけれど,技術的というか,複雑性が増すという意味では問題があるということですね。
 川端委員,どうぞ。
【川端委員】  これ,返すときの話なんで,当然,控除とかいろいろなことがあってよくて,これ自体も,また,1つのメッセージ性をどうつくるかというところ,だから,お子さんだとかそういう場合にはこれを考慮した返還額になりますよという制度を1個つくってよいと思います。ただ,これって,どこまでいっても全額返してちょうだいねは変わらない。単年度で言えば,その財源を探さなきゃならないけど,全額返してねというところは間違いないんで,ある意味では,どういう設計をしても,そんなに不公平感の文句は出ないんじゃないかなという気はしますけどね。
【小林座長】  ありがとうございました。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。
 阪本委員,どうぞ。
【阪本委員】  私も濱中委員のおっしゃるように難しい点というのはあるかと思いますけれども,何らかの形で控除などを設けるというのはメッセージ性として高まりますし,必要なのではないかなと思うんですが,確認なんですけど,これは算定の対象となる所得からの控除をするという意味で,返済額からの控除ではないということですね。
【今村企画官】  おっしゃるとおりで,返済額を減らすのではなく,年収の算定において控除を設けるというものです。
【阪本委員】  私もそちらのほうが恐らく望ましいのではないかなとは思います。
【小林座長】  今の点はそれでよろしいかと思いますが,ほかに御意見ございませんか。
 そうしましたら,やはり何らかの配慮をするということが必要だという御意見だったと思いますので,これはもし可能であれば,次回もう少し具体的なものを出していただければと思いますが,よろしいでしょうか。
【今村企画官】  はい,承知しました。
【小林座長】  そうしましたら,あと5分くらいになりましたが,(5)はいろいろな問題がありまして,ただ,相当事務的なことでありますので,御意見がございましたら,また次回なり,あるいは事務局にメール等で出していただければと思います。特に今,この中で,事務局に次回までに特にこの点は検討が必要ではないかということがありましたら出していただきたいのですが,いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それから,(6)についても同じような意味合いでありまして,これもいろいろな課題が残されているということもありますけれど,今後,検討課題ということについても,また出していただければと思います。
 この辺についてはよろしいでしょうか。
 では,また今回もいろいろな宿題が出まして恐縮ですが,事務局には原案の作成,よろしくお願いいたします。
 時間が参りましたので,本日はここまでにしたいと思いますが,活発な御意見どうもありがとうございました。
【川端委員】  すみません。
【小林座長】  はい,どうぞ。
【川端委員】  最後にちょっとだけ,参考資料をつくっていただいたんですが,9ページ目です。1点だけ,さっきから財源という話が出ていて,これ,JASSOの財源の中でやるんだとなると,この事業自体が,現在やっている貸与財源のどこかを減らしてどこかを増やすと,そういう話が起こるかもしれないなと思っています。そのときに気をつけなきゃならないのは,この事業によって増える人間と,もしどこかを減らしたら,その事業を減らしたために,大学院進学を諦める人たちが現れるかもしれない。そこの部分のバランスだけは,ぜひお考えいただいた上で進めていただければと思います。
 以上,コメントです。
【小林座長】  ありがとうございました。
 今,JASSO内で調整ではないかということだったのですが,その辺について,何か事務局でお答えできることはありますか。
【今村企画官】  まさに今日の資料2の中でも表現いたしましたように,何かしら水準を引き上げるのかどうかといった方向性をいただきましたら,どれだけの財源が確保できるのか,その得られた財源規模に応じてどこまで水準を上げられるのかといったことを政府部内で検討いたします。その際には,今,川端委員からおっしゃっていただいたことはよくよく踏まえて,一部の方にとって不利益とならないように,よく配慮をいたしたいと思います。
【小林座長】  ありがとうございました。
 ぜひ御検討をよろしくお願いします。
 それでは,活発な御意見をいただき,ありがとうございました。
 最後に,今後のスケジュールについて,事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【今村企画官】  次回は12月15日木曜日の10時から開催を予定しておりますので,詳細については,また追って御連絡差し上げます。
 また,本日の議事録を作成いたしますので,皆様におかれては,内容を御確認いただきますよう,よろしくお願いいたします。
 以上です。
【小林座長】  それでは,本日はこれにて閉会いたします。お忙しい中,御出席いただき,ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
 
―― 了 ――