薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会(第5回)議事録

1.日時

令和4年11月14日(月曜日)10時00分-12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

石井委員、伊藤委員、井上委員、小澤委員、角山委員、河野委員、小佐野委員、鈴木委員、高田委員、高橋委員、長津委員、平井委員、平田委員、本間委員、矢野委員

5.議事録

【井上座長】  それでは,定刻となりましたので,ただいまから薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会第5回を開催いたします。
 本日の有識者会議は,傍聴者にYouTubeにてライブ配信をしております。
 まずは,事務局から本日の出席状況,そして配付資料の確認,よろしくお願いいたします。
【事務局】  事務局です。小西委員から本日欠席の連絡を受けており,本日,委員15名の御出席となっております。
 次に,事務局の異動がございましたので紹介をさせていただきます。本年7月に,医学教育企画官に着任いたしました堀岡です。
【堀岡企画官】  様々な会議で既にお世話なっている先生も多いので,御存じかと思いますが,島田に替わりまして,今年の夏から堀岡が着任しております。今年は,医歯薬全てのモデル・コア・カリキュラムが変更されるときで,非常に身が引き締まる思いでございます。今後ともよろしくお願いいたします。
【事務局】  また,前回に引き続き,厚生労働省医薬・生活衛生局総務課よりオブザーバーとして出席をいただいております。続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。
 会議次第4,配付資料にございますとおり,資料1から3,参考資料1から3となっております。事前に送付しておりますが,何か御不明な点等ございましたら,事務局に御連絡ください。なお,資料につきましては,文部科学省のホームページでも公表をしております。
 次に,オンライン会議の進行に当たってのお願いでございます。御発言される場合には,Zoomの挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。その後,座長から順に発言者を御指名いただきますので,御発言いただく際にはマイクがミュートになっていないことを御確認の上,御発言をお願いいたします。そのほか,動作不良等ございましたら,事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
 本日の議題は,議事次第にございますとおり,(1),薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について,(2),その他となっております。
 事務局から以上でございます。
【井上座長】  それでは,議題(1),「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)について」に入ります。資料1,「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)概要」及び資料2,「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)」について,本専門研究委員会の副座長で,かつ,委託先の薬学教育協議会の代表理事でもあります本間先生から説明をお願いいたします。
【本間副座長】  本間でございます。おはようございます。
 今からお示しいたします「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(案)」は,これまでこの専門研究委員会や薬学系人材養成の在り方に関する検討会などの御意見,また,私ども薬学教育協議会の中の各教科担当教員会議や,薬学教育調査・研究・評価委員会の様々な御意見を踏まえて,内容の精査を行ってまとめたものでございます。前回のこの委員会でお示ししました素案から,学習する内容については大きな方針の変更はございませんが,全体の記載方法の整合性や項目間のつながりを意識しつつ修正を行いました。また,改訂の趣旨などを分かりやすく説明するよう,前文も見直しております。これらにつきまして,御説明をさせていただこうと思います。資料1と資料2について,少し行き来しながら説明を加えさせていただこうと思います。私のほうから資料を共有させていただきたいと思います。
 これが資料1でございまして,これは,今回の案の概要を示したスライドでございます。それから,もう一つは,資料2でございまして,これが本文といいますか,モデル・コア・カリキュラムの本体でございます。これら2つ行き来しながら,御説明をさせていただきます。
 まず,これは既にいろいろなところでお示しをいたしました,私どもの薬学教育協議会で,今回,モデル・コア・カリキュラムの調査研究をお受けいたしまして,それの検討体制をまとめたスライドです。一番上にあるのが文部科学省の2つの検討会と委員会でございます。その下が,薬学教育協議会での検討体制をまとめたものでございまして,薬学教育調査・研究・評価委員会というものをまず立ち上げまして,その下に,モデル・コア・カリキュラムの本体であります大項目です。ここにBからGまで書きましたが,それぞれのワーキンググループを組んでいただきました。
 さらには,私どもの協議会の中にずっと設置されております,各大学からそれぞれの教科を担当していただいている先生方の集まりである教科担当教員会議というものに今回の案をお示しし,それについて御意見をいただいたところでございます。この意見を収集し,ワーキンググループに御提示をさせていただいて,そこで検討いただいたということでございます。この委員会のやり取りの結果を今回まとめましたので,それをお示し,本日,この専門研究会へ御報告申し上げるということでございます。
 これが,これまでのスケジュールでございまして,ざっとお話をいたします。令和3年度までは,ここに書きました私立薬科大学協会が調査研究をお受けになりまして,令和3年度末に最終報告をまとめられたということでございます。
 その後,今年度から薬学教育協議会が引継ぎをさせていただいて,作業を進めてきたということです。最初には,先ほどお話を申し上げたとおり,教科担当教員会議にまとめられた最終報告を提示させていただいて,広く意見を頂いたということでございます。結果的に,数としては4,000を超えるコメントをいただいたということでございます。
 そのコメントをワーキンググループにお示しさせていただいて,この中で議論していただき,調査・研究・評価委員会との間でやり取りをしながらモデル・コア・カリキュラムを作ってきたということでございます。
 本日の委員会は,ちょうどこれに当たるところということでございまして,毎月1回のペースで行ってきた委員会の結果を本日お示しするということでございます。
 この後,薬学系人材養成在り方検討会が行われる予定になっておりまして,その御意見を踏まえて最終的な案を作り,それを12月にパブリックコメントに供するという,そういうスケジュールになっているということでございます。頂いたパブリックメントについては,改めて大項目ワーキンググループと,あるいは我々の委員会等で再検討させていただいて,また専門研究会にお諮りし,人材養成在り方検討会にもお諮りをして,年度末をめどにモデル・コア・カリキュラムを公表するということでございます。来年度1年間の周知期間を設けた後に,令和6年度の入学生から適用するということでございます。既に御存じかと思いますが,改めて御説明させていただきました。
 具体的なモデル・コア・カリキュラムの中身について少しずつお話をさせていただきます。これが案の目次となっております。①,②が,モデル・コア・カリキュラムについての説明文,前文に相当します。背景あるいは考え方,あるいは中身の説明文等がこの中に書き込まれておりまして,後で簡単に御説明をさせていただきます。
 ③から⑨まで,AからGまでがモデル・コア・カリキュラムの本体ということになります。⑩から⑬までは,参考資料ということで後ろのほうに付いてくるということでございます。
 まず本日は,①,②について少しお話をさせていただこうかと思います。
 ①に当たる部分は,まずこれが書かれております。1から5までです。これにつきましては,既に前回の委員会で御覧いただいているところでございまして,大きな変化はございません。中身を改めてここに提示させていただきましたが,中身につきましては,ほとんど変わっておりません。細かい語句が説明として加えられたとか,あるいは削除されたとかという非常にマイナーなところが変化しておりますが,中身はほとんど変わっておりません。
 それから②に当たるところで,これは少し内容が豊富ですが,まず,Ⅰとして,「改訂の基本方針」ということが掲げられております。これについては,前回の委員会から,赤字で書きました3番,4番のところが変わっておりますので,御説明をさせていただこうと思います。
 まず3番ですが,3番につきまして,表題としては,「各大学の責任あるカリキュラム運用のための自由度の向上」ということでございます。この表題自体に変更はございませんが,中身を少し詳しく書いたということでございます。特に赤字の部分が変わったところということでございます。
 非常に多くの議論を重ねて結論に至ったところでございまして,少し読ませていただきますが,赤字の部分です。「本モデル・コア・カリキュラムでは,平成25年度改訂版で網羅的に記載されていた一般目標及び到達目標」,これはGIO-SBOsですが,これを「概念化した学修目標に改めた」ということでございます。「概念化」という言葉を,少し難しい言葉ですが,これを使おうということで話がまとまり書き加えられたということでございます。
 なお,この「学修目標」という言葉の「修」ですけれども,後でもまた御説明いたしますが,在り方検討会との議論,あるいはいろいろこちらでも議論させていただきまして,「習」から「修」ということに変えております。これは,医学・歯学とも歩調を横並びで合わせるということもございまして,「学習」の「習」を変えたということをあらかじめ申し上げておきます。
 本分に戻ります。概念化したということでございまして,概念化の中身を少し脚注に,概念とはどういうことかということで書き加えられております。これが3番に当たるところでございます。
 それから4番でございますが,「臨床薬学という教育体制の構築」ということでございまして,これは,大事な点としては実務研修,つまり実務的な内容を教える,あるいは身につけてもらうということだけではなくて,全体として,大学の初年時から,疾病の予防や個々の患者の状況に適した責任ある薬物療法が実践できる薬剤師の養成を目指すのだということでございまして,狭い意味での実務実習だけを焦点とはしないということでございます。
 特に,大学とは医療現場が実習先や受入先でございますが,その医療現場が連携をして教育を行う,そういう「臨床薬学」という教育体制を構築するのだということを明確にうたったということでございます。それが,大項目Fの「臨床薬学」ということにまとめられたということでございます。
 以上が,Ⅰの「改訂の基本方針」の部分の変更点でございます。
 それから,②の「改訂の概要」の部分に当たるところのⅡについて,少し修正点を御説明させていただきます。
 これは,薬学教育モデル・コア・カリキュラムの構成,特に表示の方法や利用上の留意点について書かれたところでございます。赤字で書いたところが前回との変更点でございまして,先ほど申し上げましたとおり,「習」から「修」に変えられております。繰り返しですが,いろいろな御意見をいただきました。また,医学・歯学のモデル・コア・カリキュラムとの横並びの統一という意味で「修」に変えさせていただいたところでございます。
 結果的に,「学修目標」がこの小項目の「学修目標」と同じになっています。したがいまして,「大項目の学修目標」ということで,改めて大項目の冒頭に「学修目標」をまとめていただきました。
 それから次に,この大項目の冒頭の部分に,Aの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力とのつながり」が記載されています。これは,生涯の目標として10個を掲げたものでございますが,それとどうつながるかということをここにはっきりと書いていただきました。これが大きな特徴でございます。
 それから,小項目のところの説明に行きますが,小項目は今申し上げたとおりでございます。「習」を「修」に変えたということでございます。
 もう少しと詳しい説明をさせていただきますが,大項目の学修目標につきましては,これは特に大きく変わったところではございませんが,改めて申し上げますと,大項目BからGの各大項目により到達を目指す目標だということでございまして,これは,この部分を履修することにより,卒業時の標準的な学習成果,アウトカムということになります。
 それから,先ほど申し上げた,薬剤師として求められる基本的な資質・能力とのつながりです。この部分を明記していただきました。いろいろな先生方から,この部分については,はっきりさせたほうがいいという御意見いただきました。それで,この大項目の冒頭の部分に,そのつながりを明記していただきました。
 それから評価の指針ですが,これは特に変わっておりません。表記につきましては,「~できる」と「~する」が混在しておりましたが,「~する」に統一をさせていただいたところでございます。
 次は小項目ですが,小項目も特に大きく変化はしておりません。改めてここにまとめさせていただきましたが,「ねらい」は,他の項目との関連性を明記したということでございまして,この中に「他領域・項目とのつながり」ということを記載しておりました。この部分は,少し統一感がなかったのですが,他項目の取上げ方を少し整理して見やすいように変えたということでございます。
 それから学修目標です。これがモデル・コア・カリキュラムの本体であるということは,もう再三申し上げました。ここの部分についての文章として赤字で書きましたが,個別の知識や技能を習得するだけではなく,これらを活用してどのように判断したり行動したりできるようになるべきかが目標となるように概念化されたということでございます。それから,この部分についても再三申し上げています。下にあります「学修事項」を参考として,この「学修目標」を読み解いていただいて,各大学が独自のカリキュラムを作っていただく。そのための学修目標だということでございます。これも再三申し上げております。
 それから,学修事項について学修目標を達成するために必要な具体的内容を,各大学のカリキュラム作成の際の参考として記載しているということでございます。学修事項が,その学修目標を達成するための必要で十分な内容を記載しているわけではなくて,各大学の参考として書いているということでございまして,足りないとか,あるいはこれは少し多いのではないかといったことが,いろいろ御意見いただいておりますが,もちろんそれらの意見を参考に変えていただきましたが,学修事項はあくまでも参考として列記だということでございます。
 それから,主に専門用語で書かれているということで,名詞の体言止めになっておりますが,場合によっては文章となっている場合もあるということでございます。
 それからまた,見かけ上大きく変わったところは,各学修事項に対応する学修目標の番号を,文末のかぎ括弧の中に記載しております。いろいろ学修事項が専門用語として列記されておりますが,それがどの学修目標と関連するかということを,学修事項の文末のところに,かぎ括弧の中に数字で書いてあるということでございます。また,後で見ていただきます。
 同じく②の説明のところで,Ⅲに当たります「各大項目の作成方針」でございますが,この部分につきましては,全面的に修正をしていただきました。ここに掲げました記載の項目を上げさせていただいて,これについてまとめていただきました。したがいまして,大項目間でこれらの項目が統一されたということで,内容の修正はもちろんですが,見やすくなったと思っております。ここについても,「A 薬剤師として求められる基本的な資質・能力とのつながり」をはっきりと書いていただきました。
 以下は,それぞれの大項目の主な改訂の方針について概略をまとめさせていただいたものでございます。今御説明を申し上げた内容を,以下のスライドでその概略をまとめさせていただきました。
 「B 社会と薬学」でございますが,これにつきましては,大きくまとめますと,ここに書きました,医療現場や地域社会における薬剤師の活動の基盤となる学修であるということ。領域としては,医療,保健,介護,福祉の幅広い領域にわたるということでございます。
 それから,現行のモデル・コア・カリキュラムの「A 基本事項」と,それから「B 薬学と社会」というものの内容を統合した内容になっているということでございます。
 それから,これも重要なことですが,「プロフェッショナリズム」とか「社会的使命」など,薬剤師としての社会性や人間性を育む学修を充実させたということでございます。
 それから,新しい項目としてここに掲げました3つが,これまでの学問と発展とか,薬学の発展を踏まえて加えられたということでございます。
 少し字が細かくなりますが,この表は,真ん中のカラムが,前回この委員会でお示しした7月15日版の大項目,中項目,小項目の一覧になっております。こちらのカラムは,今お示しをさせていただきました改訂案の大項目,中項目,小項目の表題でございます。こちらの備考では,どのような趣旨で変わったかということが簡単にまとめられております。見かけ上,少し変わっております。変わっておりますが,内容として大きく変わったということではございません。どれとどれを一緒にしたとか,どこに移動とかということで,少し体裁を変えていただきました。
 これが,大項目Cの改訂の方針をまとめたものでございます。大きく言いますと,医療現場で研さんし続けるための科学的基盤形成に必須の内容だということでございます。それで,大きく「物理化学系」と「化学系」と「生物・生化学系」「解剖・生理学系」と分けていただきました。
 それから,特に記載に当たっては,「C 基礎薬学」の中,このCの中の項目の関連については特に明確化して,ばらばらの感じを払拭していただきました。
 さらには,後継科目,学年で言えば少し後の学年が勉強するであろう薬理学とか薬物治療学,薬剤学ですね。こういったものへつながるように,関係を特に記載していただきましたし,また内容的にも,そういったものの基盤になるということでございます。さらには,それら後継科目以外にも,D~G,ほぼ全ての大項目の学修の基盤になる内容であるという立ち位置でのまとめをしていただきました。
 それから,後ろ2つは内容の変更でございますが,免疫が「生物系」の中に書かれておりましたけども,これを「解剖・生理学系」のほうへ移していただきました。
 それから,病原微生物各論につきましては,Eの「衛生薬学」のほうへ移動していただいたということでございます。
 この表は,先ほど御説明をいたしました7月15日時点の素案と,本日お示しいたします内容との大項目,中項目,小項目名の比較表ということでございます。備考に,その変化の簡単な説明ということが書かれております。内容的には大きく変わってはございません。再三申し上げているとおりでございますが,移動してあるとか,新しく加えて説明を分かりやすくしたというようなことでございます。これも同じでございます。後半の生物と,生理学・解剖の内容です。
 これが,「D 医療薬学」の改訂の方針でございます。この内容は既にお話をしておりますが,この2つの点が重要かと思います。薬物治療という概念を,「疾患の薬物治療」と「患者個々の薬物治療」というものに分けていまして,「疾患の薬物治療」としてガイドラインなどの標準化した内容に焦点を当てて学修するという内容になっております。
 そして,薬理学・病態学,医薬品情報学,薬剤学,これらに関する一般論を学修するのが,このDの領域であって,その学修した後に,Fの「臨床薬学」で学修することになる個々の患者さんに最適な薬物治療,あるいは地域における予防,衛生を実践する「E 衛生薬学」へつなげるという目的でまとめられているということでございます。
 医療薬学についても,先ほどと同じ表でお示しをいたしております。
 次が,「E 衛生薬学」でございます。ここに赤字で示したとおりでございますが,「公衆衛生薬学」という表題名が付いておりましたけれども,これは,教科担当教員会議の御意見を踏まえて,ワーキンググループで議論していただいて,この部分は削除するというふうになったと伺っております。
 衛生薬学につきましては,内容的には大きく変わっておりません。少し枠組みが変わっております。内容的には,公衆衛生と,それから食品衛生と環境衛生ということでまとめていただいたということでございます。さらには,保健統計・疫学的解析の学修やレギュラトリーサイエンスの視点による科学的根拠と,そういったものに基づく考察ですね。そういった能動的な学修も加えられているということでございます。
 これも同じく7月15日時点での素案とただいまのモデル・コア・カリキュラムとの表題名の比較でございます。これは,見かけ上少し変わっておりまして,7月15日の時点での素案では,大項目は4つでございました。これを特にE-4のところをE-1-2のほうに移動をしていただきまして,全体としては,中項目が3つにまとめられております。内容の変更が大きくあったということよりは,その枠組みを変えていただいたということでございます。見かけ上,少し変わっているということでございます。
 これは,Fの「臨床薬学」でございます。先ほど申し上げたとおりでございます。ここは,個々のそれぞれの患者さんに最適化された薬物治療を実践するというところが大きな目標でございまして,それとともに,広く地域住民の健康維持・増進に貢献する,そういった能力を習得すると,これが大きな目標であるということでございます。
 あと,ここでも同じことですね。個々の患者さんへの薬物治療を最適化する能力を培うということでございます。特に強調していますのは,医療現場と大学が連携して教育をするのだということでございます。特に強調されているところでございます。
 それから,多職種連携の問題,あるいは医療安全の問題,感染制御の問題,地域医療・介護福祉,あるいは公衆衛生,こういった様々な社会的ニーズに対応するようにまとめていただいたということでございます。
 臨床薬学の比較表でございます。これも少し見かけ上変わっております。特に多職種連携のところは,この小項目を中項目に格上げしていただいております。それ以外は特に大きな変化ではございません。表題の名前を少し変えていただいたということでございます。これもワーキンググループで非常に熱心に議論していただいた結果ということでございます。
 最後は,「G 薬学研究」でございます。薬学研究で大きく掲げているのは,ここに書きましたが,全ての大項目の学修を基盤として,課題発見,問題解決能力の修得ということが明確に表現をされたと思います。
 Gの中身は,「薬学的課題の探求と薬学研究に取り組む姿勢」という中項目と「研究の実践」という中項目の2つから成り立っております。最初のほうは,科学的根拠に基づく批判的な思考とか俯瞰的思考の修得,あるいは研究による社会貢献に向けた使命感,責任感,倫理観を涵養するということでございます。2番目の「研究の実践」につきましては,これは基本的に卒業研究をイメージして,それについて詳しく書いていただいたということでございます。
 これが,比較表でございます。ほとんど枠組みが変わっておりません。文章につきましても,ワーキンググループで熱心に御議論いただいた結果でございます。
 以上,大項目の改訂の方針についての前文の中の文章の説明をさせていただきました。
 次が,Ⅳに当たります「大学独自の3つのポリシーの作成について」ということでございます。これは,特に大学でカリキュラムを作成する,あるいはディプロマ・ポリシーを作成する先生方への御説明ということでございます。
 ここに書きましたけれども,これも再三御説明させていただいておりますが,各大学は,モデル・コア・カリキュラムを基に,大学独自の教育方針,人的・物的資源,あるいは教育環境,そういったものを勘案して,3つのポリシーを作成してくださいということです。それぞれ大学は,いろいろと事情が異なるということでございます。教育方針がそれぞれの大学独自のものでございますし,人的・物的資源も各大学で様々でございます。そういったものを勘案して,それぞれの大学で責任を持って3つのポリシー,ディプロマ・ポリシーを作っていただいて,それに基づいてカリキュラム・ポリシーとアドミッション・ポリシーを作っていただくと,そういうことをお願いしているところでございます。
 次の部分は,7月15日の時点ではⅤとして,大項目「A 薬剤師として求められる基本的資質・能力」からGの「薬学研究」の互いの関連というものを書かせていただいたのですが,分かりにくいということもございましたので,この内容を少し拡充して説明を加えさせていただきました。
 見た目大きく変わったことは,この大項目の関連図を差し替えさせていただきました。これを少し説明させていただこうかと思います。今説明をさせていただいたⅣの「大学独自の3つのポリシーの作成について」という部分の本文でございます。
 概要は説明させていただきましたので,ここは少し飛ばさせていただきますが,これに関連して図を少し修正させていただきました。図を2つ作っておりますが,最初の図1は,こういう図でございます。これは何を読み手の方々にお伝えしたいかといいますと,ここがBからGの6年間で学ぶ内容ということでございます。並列をさせていただきましたが,一方で,Aとして,「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」ということを掲げさせていただきました。これは,再三申し上げているとおり,生涯にわたって目標とするということでございます。したがいまして,卒業時の目標ですね。そういったものは,このカリキュラムの中には書き込まれておりません。ですので,それは各大学でお作りいただくということでございます。これも再三申し上げていて大変恐縮ですが,その点について改めて強調させていただきたいと思います。
 少し誤解があったかと思いますが,各大学で作っていただくと申し上げたのですけれども,では,今のものを書き直さなければいけないのかというふうに質問をいただいたところでございますが,決してそういうつもりではございません。今のものがそれで適切であれば,決して書き直しを求めているものではございません。今回のモデル・コア・カリキュラムのつくりとしてこういう考え方だということをお伝えしたということでございます。
 それから,もう一つの図が少し複雑な図でございますが,こういう図を提示させていただきました。これは,大項目の「B 社会と薬学」から「G 薬学研究」の6つの項目がございますが,この大項目の相互の関連を一つのイメージとして掲げさせていただいたということでございます。Bから始まってGまでございますが,それがどういう関連であるかということで矢印を使って,あるいは円を使って示したものでございまして,あくまでもイメージ図として捉えていただければありがたいと思います。いろいろな御意見があろうかと思いますが,一つのイメージとして,理解の参考になればというつもりで提示させていただきました。
 少しだけ説明させていただきますが,Bの「社会と薬学」というものは,全体を包む基盤になっているという考え方でここに書いてございます。その中で,C,D,E,Fは,Cを基盤としてD,E,Fが成り立っていて,最終的にはFを目指していくわけですが,FもDとEとの関係を,Dの学修に戻りながら,中身を確かめながらFを培っていくと,学修していくという,そういうイメージでございます。Gは,もうほぼ全てと関係しているというところで,この矢印を書かせていただきました。それぞれBからGの内容をかいつまんで,下の四角の中に書かせていただいたということでございます。これにつきましては,いろいろな御意見あるかと思いますが,一つのイメージとして提示させていただいたということでございます。
 説明に戻らせていただきます。前文のところで,もう一つは,ここに書きましたが,各大項目とAの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力とのつながり」を,大項目の学修目標,つまり大項目の本文の冒頭のところと,それからこの前文の「各大項目の作成方針」のところに,2か所に記載させていただきました。これは,薬剤師として求められる基本的な資質・能力が生涯の目標でございますので,6年間で学ぶそれぞれの大項目の内容とどのようにつながるかということ、つまり,学修成果基盤型教育の基本的な考え方を少し強調するという意味で,2か所に書いていただきました。
 その結果,7月15日付けの案には,このAと中項目との関連を,◎とか○で示した関連表を作っていたのですが,それは削除させていただきました。つまり,ここにその関連性を文章できちんと書かせていただいたので,◎,○の関連表は削除させていただいたということでございます。
 次からは,本文に当たるところでございます。先ずは,Aの「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」のところでございます。これはほぼ変わっておりませんが,1か所だけ修正点がございますので,説明させていただきます。
 4番の「科学的探求」の説明のところですが,この科学的探求の説明に,「科学的探求」という言葉が入っておりまして,これは説明としては不適切ではないかということで,この部分を赤字の文章に変えさせていただいております。内容的にはほぼ変わりありませんが,言葉の繰り返しがあったので,これを変えさせていただいたということでございます。それ以外は,従前のとおりでございます。
 それから,この本文のAのところでございますけれども,ここに書きましたが,新たに「薬剤師として求められる基本的な資質・能力を身に付けるための大学での学び」ということで文章を加えさせていただきました。これまでは,この「基本的な資質・能力を目指す薬剤師像」という文章を作っていたのですが,これは,先ほどからお話をしているとおり,Aと大項目の関係についての詳しい内容を書き込んだということもございまして,もうこれは必要ないだろうということで削除させていただきました。その代わり,学生の立場に立って,どのような大学での学びで,どういうふうに心がけるべきであるかということを少しかみ砕いた形で書かせていただいたということでございます。
 以上、簡単な説明となってしまって恐縮ですけれども,最後のスライドは,今回の改訂につきまして,現行のモデル・コア・カリキュラムと新しい改訂版との違いについてまとめていただいたものでございます。これについての説明は,もう重複しますので割愛をさせていただきます。以上が大体の説明ということでございます。
 本文の説明をもう少ししようかと思ったのですが,説明について本日は控えさせていただきます。本当に細かいことになってしまいますので控えさせていただきますが,先ほど少しお話ししましたとおり,この「B 社会と薬学」から「G 薬学研究」まで,本体がこのように書かれております。ここだけ少し簡単にお話しさせていただきます。
 冒頭には,大項目の学修目標が掲げられているということです。その次に,「A 薬剤師として求められる基本的な資質・能力」とのつながりが明記されたということでございます。そして,評価の指針が書かれておるということです。
 それから中項目があって,小項目が来て,その小項目につきましては,先ほど御説明したとおり,「ねらい」があって,他領域・項目とのつながりが書かれております。次に学修目標が,片括弧の番号で列記されておりまして,次に学修事項が両括弧で表記されております。これは,主に専門用語ということで名詞の体言止めになっていることが多いですが,ここの9番,10番のように,文章になっている場合もあるということでございます。それから,今回新しく学修事項の文末に,学修目標の対応する番号を,この場合は,1),2),3)ということでございますが,その対応する番号を明記していただきました。大きく,違うところは以上かと思います。
 雑駁な説明で恐縮でございますけれども,私からの説明は以上とさせていただきたいと思います。井上先生,以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございます。御説明いただいた事項が極めて多岐にわたりますので,領域ごとに区切って質疑応答の時間を設けたいと思います。
 まずは,「薬学教育モデル・コア・カリキュラムの考え方」,それから「改訂の概要」,それからもう一つ,A領域についての質疑応答とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。今申し上げたところでしたら,どこでも結構ですので,よろしくお願いいたします。伊藤先生,どうぞ。
【伊藤委員】  御説明ありがとうございました。私からは,概要の8ページで,概念の説明がありますよね。これは,モデル・コア・カリキュラムの10ページでもいいのですが,10ページですね。
 概念の説明ですね。これ,「概念とは」という,下から4行目にあって,これは読んでいて,非常に違和感を持ったところがあって,2行目の真ん中あたりから,「それらに共通する特徴を身に付けるということである」とあって,これがなかなか自分で理解できなくて,いろいろ自分で調べてみたのですが,恐らくこの表現を生かすのであれば,「それらに共通する特徴を体系化して身に付ける」,または「理論化して身に付ける」ということではないかと思うのです。要するに,特徴を把握して,新しい課題の解決に利用できるようになるということですよね。
【本間副座長】  はい,おっしゃるとおりだと思います。
【伊藤委員】  ですから,それらに共通する特徴を身に付けるだけではなくて,体系化して身に付ける,または理論化して身に付ける,どちらかの言葉を追加したほうがいいと思ったのですが,いかがでしょうか。
【本間副座長】  ありがとうございます。おっしゃったとおりのことでございます。新しい問題が出てきたときに、ここに書いてありますね。新たに直面した事象に応用する力,問題点を解決する力を身に付けることを意味するということでございます。おっしゃったこと,了解いたしました。改めて検討させていただいて,対応させていただけたらと思います。
【伊藤委員】  よろしくお願いします。
【本間副座長】  ありがとうございます。
【伊藤委員】  ありがとうございました。
【井上座長】  ほかにいかがでしょうか。どなたでも結構なのですが。小澤先生,どうぞ。
【小澤委員】  ありがとうございます。本間先生,どうもありがとうございました。
 今の続きになるのですが,ここのところに,これは後からのところか分かりませんが,今少し言わせていただきます。ねらいとか学修目標とか,学修事項とか,きちんと説明をしていただいております。ただ,特に学修事項については,私は例示を外すべきだというふうに申し上げたので,少し責任を感じていて申し上げるのですが,あのときの前提は,内容をきちんと固めて,その上で例示を外したほうがいいのではないかということだったのですが,今のものは例示だけが外れて学修事項が書いてあり、その位置付けについては本文でいろいろと細かなことが始まった後に書かれており、この学修事項が何を意味するのかが遡らないとわからない構造になっています。
 そこで,B-1になると思うのですが,最初に学修事項が出てくるところに,アスタリスクを付けていただいて,何ページを見てくれというふうにやられたほうがいいかなと思います。
 理由は,もちろん全体を読んでほしいのですが,特に学生は,本体の部分からだけ読む可能性がありますので,ややともすると誤解されるといけないと思ったのと,せっかくこれだけきちんと説明していただいていますので,ここにきちんと例示ですよと、先ほど本間先生が説明されたことがきちんと書いてございますので,良いかなと思います。また、例えば学修目標やねらいも,具体的なものが出てくる最初の1か所だけで結構ですので,アスタリスクを付けて,何ページ参照というふうにしていただければ良いし,逆にそれによって,また最初の説明の部分を見直してくれると思うのです。どうかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【本間副座長】  小澤先生,どうもありがとうございます。例示のことにつきましては,経緯をお話しいたしますが,全てに「例示」と書くと,少し文章としてうるさいというような御意見をいただきましたので,「例示」という表記は外し,冒頭に,ここに掲示いたしましたとおり,参考であるという,あくまで参考なのだということを書く代わりに,「例示」という表記を外したらどうだという意見に落ち着いてきたのですが,私も先生おっしゃるとおり,非常に心配しております。そういう意味で,御意見ありがとうございました。検討させていただきます。
【小澤委員】  よろしくお願いいたします。
【本間副座長】  ありがとうございました。
【井上座長】  ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんでしょうか。
 そうしましたら,少し先に行って,また元に戻ることにしましょう。それでは,BとCとD,B,C,Dの領域について,御質問,コメント等ございましたらお願いいたします。
 いかがでしょう。小澤先生,何かないですか。よろしいですか。
【小澤委員】  はい,結構でございます。思いついたら,また後ほど申し上げます。
【井上座長】  よろしくお願いします。ほかの先生方,よろしいでしょうか。
【伊藤委員】  伊藤ですが,この前頂いた資料とページ番号が今日違っているので,何ページになるのでしょうか。Cの「基礎薬学」の作成方針とあったと思うんのですが,どこですかね。この前頂いた資料では,資料2の14ページだったのですけれども,それはどれですか。
【本間副座長】  これですか。
【伊藤委員】  はい,ありがとうございます。ここです。これで,作成方針の2行目の後ろのほうに,「どのように結合するのか」というのが読んでいて少し気になりまして,「吸収・分布され,どのように結合するのか,またどのように分解・代謝され,体外に排出されるのかを説明でき」と,確かに受容体結合とか,そういういろいろなものの結合を想定されていると思うのですが,読んだときに,「どのように結合する」というよりも,「どのように作用するのか」とか,薬理作用を発揮するということなのかなと思ったのですけれども,私もどういう表現がいいか分からないのですが,読んだときに少し引っかかったのです。
【本間副座長】  分かりました。改めて御指摘いただくと,「うん?」と私も引っかかりましたので,班長の先生共々,検討させていただきます。ありがとうございました。
【伊藤委員】  同じくそこの作成方針の下から2行目。右のほうに,「個々の科学系と捉えず」という「科学系」という言葉が非常に気になっているのですが,これが学問領域という意味なのでしょうけれども,その言葉が,物理化学系,化学系,生物・生化学系と,解剖・生理学系とは書いたのですが,それを「系」と読むかというと,少し言葉として気になりました。
【本間副座長】  先生,何がよろしいですかね。
【伊藤委員】  いや,私は学問領域かなと思ったのです。
【本間副座長】  分かりました。
【伊藤委員】  個別の学修内容と捉えないでということだと思うのですが,皆さんが違和感なければ,それでもいいのですけれども。
【本間副座長】  分かりました。先生,御意見をいただいたということで,また先ほどの御意見と一緒に班長とも……。
【伊藤委員】  学問領域か学問体系か,そのようなことかなと思いました。よろしくお願いします。ありがとうございました。
【本間副座長】  ありがとうございました。
【井上座長】  ほかにはいかがでしょうか。小澤先生,どうぞ。
【小澤委員】  よろしいでしょうか。今の伊藤先生の御指摘の部分は,個々の独立したものとして捉えず,それぞれリンクを図るという意味合いに変えられても,恐らく言われたいことは通るのかなと思います。多分そういうことを言っておられますよね。
【本間副座長】  そうですね。おっしゃるとおりです。はい,分かりました。ありがとうございます。「個々の独立したものとしては捉えず」ですね。ありがとうございました。
【井上座長】  ほかにいかがでしょう。矢野先生,どうぞ。お願いします。
【矢野委員】  ありがとうございます。資料1の15ページ。B-2-1なのですが,このタイトルが,「対人援助職としてのコミュニケーション」というのが,少し日本語として違和感があるのではないかと思いました。「対人援助職が持つべきコミュニケーション」とか,もともとが「対人援助職としての薬剤師」だったのが,ここは「コミュニケーション」に変えられているのですが,そうした場合に,「援助職としての」とされると少し意味合いが違うのかなというふうに思いました。
 以上です。
【本間副座長】  分かりました。またBの班長の先生方を含めて対応させていただきます。矢野先生,よろしいでしょうか。ありがとうございました。
【井上座長】  ほかにはいかがでしょうか。
 なかなか質問が出てこないので,私のほうから,資料2の「内容の構成」についてです。
【本間副座長】  内容の構成について、すみませんが何ページになるか分かりますか。
【井上座長】  15ページです。「内容の構成」の最後のところに,「G 薬学研究」では「C 基礎薬学」が研究の対象でもあると,こういう言葉があえてここにくっついてくるのは,何か意図するところは何なのかというのが少し気になります。
【本間副座長】  これですか,ここの部分ですね。
【井上座長】  これの意図するところは何なのでしょう。
【本間副座長】  基礎薬学自体が研究,つまり基礎薬学を基盤に薬学研究を行うという,そういう成り立ちで書かれているけれども,基礎薬学自体を研究の対象にすることがあるというか,当たり前のことですが,そういうことを改めて書かれたのではないかと思います。これは,それでよろしいですよね。ではないかと思うのですが。
【高橋委員】  では高橋がお答えします。
【本間副座長】  高橋先生,すみません。
【高橋委員】  おっしゃるとおりで,先ほどの本間先生が提示された図のところでも書いてあったのですが,基礎薬学だけが少し下まではみ出ている,そのイメージだったのですが,基礎薬学に関して言うと,Gの「薬学研究」とのつながりを考えたときに,その重要な対象の部分になりますという,そういう本当におっしゃるとおりのイメージなのですが,ここはほかとのつながりというイメージで書かせていただいております。私たちとしては,これはあまり違和感ないのですが,殊さらここに書いたということについてですか。
【井上座長】  いや,あえてこういうふうに言う必要が何であるのかなということで,何か非常に当たり前のことを改めて……。
【高橋委員】  そうです。そのとおりです。
【井上座長】  ということを少し感じたというところです。
【本間副座長】  そうですね。当たり前といえば当たり前のことだと思いますが,何というか……。
【長津委員】  日薬の長津です。
【本間副座長】  どうぞ。
【長津委員】  今のお話ですと,この「が」というところが解釈を難しくしているのかなという気がします。「基礎薬学も」でいかがでしょうか。
【本間副座長】  「も」ですか。
【長津委員】  「が」となると,ターゲットが一つになってしまうので,前とつながらないという気がします。
【本間副座長】  そうですね。分かりました。
【高橋委員】  分かりました。では,少し検討します。
【本間副座長】  お願いします。私もまた考えさせていただきます。ありがとうございます。
【高橋委員】  ありがとうございます。
【井上座長】  ほかにはいかがでしょう。何もないと,本当にすぐ終わってしまいそうなのですが,では,これもあえて今さらこんなことを言ってしようがないのかもしれないのですが,Cの領域の中で,C-3のタイトルが「薬学の中の有機化学」というタイトルで,この中に無機化学も入っているのですよね。その下の項目を見ると。
【本間副座長】  はい,そうですね。
【井上座長】  にもかかわらず,「薬学の中の有機化学」というタイトルにすることに少し違和感があります。ですから,それはどういうふうにしてこうなってしまったのかなと。
【高橋委員】  無機化学,もちろんそうなのですが,例えば錯体化学というのがございますが,錯体というのは,有機化合物が金属にくっついてできるということなので,単純な無機化学というふうに捉えてはおりません。なので,有機化学という名前の中に当然含有されるものとして入っております。そういうイメージで私たちは無機化学というのを入れています。金属が入ったり,それから,いわゆる炭素ではないものなども全て医薬品の中に入ってきたりしておりまして,それらをまとめて有機化学という名前にはなっていますが,有機化合物に関わるものとして学んでいくというイメージでございます。
【井上座長】  分かるのですが,そうしたら,何かもう少し別の名前というか,何かくくりがあれば良いと思いました。化学の中に「無機化学」という言葉が入ってくることに,何というか,例えば学生さんが見たときに少し違和感がないかなというぐらいですので,なかなか難しいのだとは思いますが,もし何かいい言葉があればと感じました。
【高橋委員】  ありがとうございます。では,少し検討させていただきます。ありがとうございます。
【本間副座長】  よろしくお願いします。
【井上座長】  ほかにいかがでしょうか。何か。高田先生,よろしくお願いします。どうぞ。
【高田委員】  ありがとうございます。先ほどのCの基礎科学の「内容の構成」,15ページのところで薬学研究のお話が出ていたと思うのですが,その関連で上のほうを拝見しておりますと,この「C 基礎薬学」の専門知識はBのバックボーンとなり云々,これらの医療人の中での薬剤師としてのアイデンティティになるというふうに書かれていて,このバックボーンとなり云々というところは,そのベースをつくるという意味ではとても理解できるのですが,薬剤師としてのアイデンティティというふうにしてしまうと,アイデンティティはもう少し,特に臨床薬学が強調されている6年制教育の中ではやや,これが全てだという言い方では多分ないとは思うのですけれども,これだけ読むと,薬剤師としてのアイデンティティをもう少し幅広い臨床薬剤師としての,この後に出てくる臨床薬学ですとか,いろいろなところで形づくられるというものではないかなというふうに読めてしまうので,書き方がもう少し工夫されてもよいかと思いました。
【本間副座長】  では,私からお答えします。分かりました。ありがとうございます。
 意図するところは,医師・歯科医師・看護師など多くの医療人がある中で,薬剤師というのは,特にこの基礎薬学の学修というか,それに基づく専門知識というものが,ほかの職種とは少し違うといいますか,オリジナリティーのところであると,そういうつもりでの表現ではないかと思いました。高田先生のおっしゃることはよく分かりますので,これも検討させていただいて,また改めて対応させていただこうと思います。ありがとうございました。
【井上座長】  長津先生,どうぞ。
【長津委員】  先ほどのところです。「G 薬学研究では」のところなのですが,その「さらに」のところから読んでいくと,要するにCは大項目の基盤に止まらず,「G 薬学研究」における研究の対象でもあるという,そういう趣旨ですよね。
【本間副座長】  そうです。
【長津委員】  であれば,今の表現がしっくりくると思います。「G 薬学研究」における研究の対象でもあるというふうにすると,少し理解しやすくなったかなという気がします。日本語の使い方の問題ですが。
【本間副座長】  いえ,とんでもない。
【長津委員】  恐縮ですけど。
【本間副座長】  ありがとうございました。
【井上座長】  伊藤先生,どうぞ。
【伊藤委員】  25ページをお願いします。前回の資料と今回の資料でページ番号同じでした。私の勘違いでした。ごめんなさい。
 この25ページです。項目の5),「専門知識に基づいた問題解決能力」とありますが,そこの文章の最後が,2行目ですけど,「解決策を提供できるようになるために,全ての大項目も学ぶ必要がある」となっています。ほかのところは,例えば7)ですと,最後の行,3行目は,「全ての大項目において意識しながら学ぶ必要がある」となっています。ほかのところは,意識しながらとか、心がける必要があるということで,その項目を学ぶときには,そういうことを考えてくださいねということなのですが,この5)と4)もそういう,4)はいいのかな,特に5)ですね。提供できるようになるために,全ての大項目を学ぶ必要があるというと,意味合いが違うと思うのです。
 これは,提供できるために全部の項目を学びなさい,学ぶ必要があるということですね。ほかのところは,その項目は,学ぶときには,全ての項目において,そういうことを意識しながら学んでくださいねということで,ここだけ何か意味合いが違っているような気がするのです。ほかのところと合わせるのでしたら,これは,全ての大項目を選ぶときは提供できるようになるために全ての大項目を学ぶというのかな。
 でも,私は何が引っかかっているかというと,5)のところだと,これに関連するところは全部やれということを言っていることです。ほかはそうではないような気がしているのです。これについて,非常に気になったのは,7割やればいいですよねというところなのですが,ここは全部やってねという,そういうことを言っているのかどうかというところが非常に悩んだのですけど,どうなのでしょうか。
【本間副座長】  書いた趣旨は,つまり,この1から10までの基本的な資質・能力と大項目との関連については,当初我々,特に関係が強いものをピックアップして書いていたのですが,議論を進めていくにつれて,全ての大項目が10個の資質と密接に関係すると思います。つまり,どれが大切だという言い方はできないということです。全ての大項目が10個の資質につながっていくものなのだと、そういう考え方だということにだんだん収れんしていきました。
 なので,前回お示ししましたとおり,中項目と資質・能力の関係の二重丸,丸の関連性を一覧表として書いていたのですが,それは不適切ではないかと思います。不適切というより,特にそういうものを二重丸で表記するということは誤解を生むということで,その表は削除いたしました。
 どの大項目も,その10個の資質全て関わってくるのだということに着いていきました。例えば,資質・能力の「専門知識に基づいた問題解決能力」などは,CとかDとかに特に関係しているわけですが,そういうことを取り上げてしまうと誤解を生むだろうというふうな議論になっていきました。
 そこで,基本的には全ての大項目と関連するのだということを念頭に勉強してほしいということが大きなメッセージでございます。全ての大項目を学ぶというのと,意識しながら学ぶとか,心がけることが大事だとかという,少し表現をいろいろ変えましたが,そんなに意識して書いたつもりはございませんでした。
【伊藤委員】  読んだときに,ここだけ何か引っかかったのです。変えたということは,それ以外の意味があるのかなと,深読みしてしまったのかもしれません。
【本間副座長】  小佐野先生,手が挙がっています。
【小佐野委員】  小佐野です。いいですか。
【井上座長】  はい,どうぞ。
【小佐野委員】  特に意識してとかは,これは全部,意識してとか心がけるというのは,他人も関わってくる能力なのです。しかし,この5)だけは,問題解決をするために必要な自分の能力なので,ここは強く学生時代からしっかり学んでおけよという気持ちが入っているのではないかなと思います。それ以外は,科学技術にしても薬物治療にしても,患者さんがあったり器械の進歩があったりという,自分の努力だけではなかなか解決できない部分もあるのですが,ここは問題解決をするのではなくて,そのために必要な基本的なところを生涯にわたって学ぶために,大学でも全部やりなさいという,そういう意図だと僕は思っていました。
 以上です。
【伊藤委員】  ありがとうございました。
【本間副座長】  伊藤先生,よろしいでしょうか。
【伊藤委員】  了解です。
【本間副座長】  恐れ入ります。
【井上座長】  ほかにはいかがでしょうか。
【高橋委員】  すみません,高橋ですが,よろしいでしょうか。
【井上座長】  はい,どうぞ。お願いします。
【高橋委員】  先ほどの件を蒸し返すようで申し訳ないのですけれども,高田先生のおっしゃっていたアイデンティティの件なのですが,Cとしましては,やはり「アイデンティティ」という言葉は少し譲れないと考えるのですが,この言葉を使うということは問題ないでしょうか。その辺を,高田先生,確認させていただきたいのですが,やはり私たちは,薬剤師にとっては,ベーシックな化学,基礎薬学の化学の力,例えば構造式を理解できて使えるというところが非常に重要であると考えます。もちろん臨床にシフトしていく,臨床が大事だということは十分わきまえておりますが,それを可能にするためには,絶対に基礎薬学,Cのところのこの表現,「アイデンティティ」というのは,私としては譲れないのですが,いかがでしょうか。御意見をお聞かせください。
【井上座長】  「アイデンティティ」という言葉を使わなくて,今,高橋先生がおっしゃったようなことを何か表現できるのが多分一番いいことなのだと思います。アイデンティティというのは,高田先生がおっしゃるように,非常に限定してしまっているから,もっと幅広くあるのではないですかとおっしゃっているわけで,今,高橋さんが言ったことは,もう本当に重要なことで,医学の医師にも看護師もない非常に重要なポイントなので,そこでアイデンティティという言葉を使いたくなるのですが,確かにアイデンティティという言葉は少し限定過ぎてしまっていてというのは確かではあると思います。だから,そこで基礎の人が,アイデンティティという言葉に固執してしまうと少し,何かほかの表現が何とかないかなと思うところです。
【高田委員】  すみません,高田ですが,よろしいでしょうか。
【井上座長】  はい,どうぞ。
【高田委員】  ありがとうございます。アイデンティティという言葉を削除するということを言いたかったわけではなく,例えばですが,その「アイデンティティを形成する上で不可欠なものである」とか,語尾が少しあれですが,そのような表現でしたら,これだけでアイデンティティが形成されるというふうには読まれないのではないかと思われるので,何かそういう工夫をということだけでございます。
【高橋委員】  非常に分かりました。ありがとうございます。
【井上座長】  その方向で考えることにしましょう。
【高橋委員】  はい,ありがとうございます。
【本間副座長】  了解しました。ありがとうございました。
【井上座長】  ほかにいかがでしょうか。もしよろしいようでしたら,あと残りのE,F,Gの領域に関する質疑応答にさせていただきます。いかがでしょうか。E,F,G。
 特にGとFの関係等に関して,皆さん,すんなりと納得いかれますでしょうか。いかがでしょう。伊藤先生,どうぞ。
【伊藤委員】  今,井上先生がおっしゃったことと違うことで申し訳ないのですが,Gの「薬学研究」,G-2-2ですかね。
【本間副座長】  本文がよろしいですか。
【伊藤委員】  G-2-2,本文のほうがいいですね。ここは,この前いただいた資料で111ページだったのですが,今日は110ページになっていますね。G-2-2なのですが,これ,「研究の実施と成果の解析・考察」となっていまして,これは概要の説明のときにも気になっていたのですが,発表とか公表ということが書いてないのです。それで,下のほうの学修目標のところには,公表でしたかね。それが書いてあったと思うのですが,学修事項ですかね,学修事項の(4)には,「卒業論文,学術論文等の作成と発表」とあるのですが,このG-2-2として,表題のところに,解析と考察で止まっていて,発表を入れてないのですが,これは何かあえて書いてないのでしょうか。
【本間副座長】  これはどうでしょう。平田先生にお答えいただいたほうがいいですか。
【平田委員】  ここは,発表することが目的ではなくて,あくまで学修目標は,研究を実施して,成果の解析・考察を行って創造的思考を深めることであって,その中で当然学修事項にあるように発表や、それをどうやって理論立ててやるかということ行われるので,発表すること自体を学修目標には置いてないということです。
【伊藤委員】  分かりました。そうすると,学修事項に、例えば学修目標のところにも書かなくていいのでしょうか。私が感じているのは,いろいろなところで発表して,プレゼンテーションをやって,質疑応答というのは非常に学生にとっては重要なことだと思うのですが,それも,そういう能力を身に付けることが学修目標として入ってないような気がするので,それも今言ったような中で含まれるということでよろしいのですか。
【平田委員】  3)に,「研究成果の学術的な報告とこれに基づいた討論により,創造的思考を深める」と書いてあるので,報告は何のためにやるのか,討論は何のためにやるのかというのは,この学修目標に書いてあります。
【伊藤委員】  少し待ってください。3ですか。
【平田委員】  ここの3)です。
【伊藤委員】  はい,分かりました。ここで求めているということですね。
【平田委員】  だから,これが目標であって,やることは学修事項に書いてあるように,当然発表して討論しますよという,あるいは論文を書いて発表しますという,そういうつながりになっているつもりで書きました。
【伊藤委員】  分かりました。ありがとうございました。了解しました。
【井上座長】  それでは,ほかに御意見はいかがでしょうか。
 DとFの関係,その他,よろしいですか。前回までには,それなりにいろいろと御質問等もあったかと思うのですが,一応これで納得していただいたということでよろしいでしょうか。
【井上座長】  平井先生,どうぞ。どうぞお願いします。
【平井委員】  何かいつも言っていて申し訳ないのですが,Eのところで,平田先生とも前にお話ししていたことがあると思うのですが,この全般を見ると,やはり薬物治療の実践ということが,これは重要なことで,大変薬剤師の仕事で重要なのですが,薬物治療の実践となると,やはりそれは,診断が下って,医師の診断がなされてからの後の話になりますよね。
 だから,それ以前の医師,病気ではない人に対するアプローチというのを,Bのところでも書かれていますし,Eのところでも,それぞれ書かれて,内容には含まれているのですが,薬剤師の仕事としては,何かどうしても薬物治療が前面に出てしまうと,結局医師の診断の後の話ということが,みんなの頭にしみ込んでしまうような感じがあって,だから薬剤師の仕事としては,それだけではなくて,病気でない人も対象のこと、これは特に医師の関わりがなくてもできることなので,それを薬剤師のアイデンティティの一つであるというようなことをどこかに書いていただけないかなというのをいつも思っているのですが,結局こういう形にならざるを得ないのかなと思ってしまいまして。平田先生,どうでしょうか。
【平田委員】  ありがとうございます。申し訳ないです。私,今手元に資料がないので,E-1を見せていただけますか。多分ずっと平井先生にはおっしゃっていただいているところだと思います。
 ただ,今回のところで,実際に地域に出て行って,医療現場に行って活動する学修とはFに全部まとめていただいたので,Fのところにしっかり書いてあるのですが,大項目Eの最初の中項目E-1は,あくまで疾病の予防の概念になっていまして,ここに,例えば平井先生がおっしゃったような医師が関わらないというところがあると思います。この中項目は,公衆衛生の視点から,感染症などの環境要因によって起こる疾病や健康被害とその予防策・防止策について学修を行う内容になっており,それが,一応病気ではないところまで含めた公衆衛生になっています。そのときに何が必要かというところで,内容的には、当然,保健衛生があったりとか統計があったりとか,データサイエンスがあったりとかというような形でまとめています。
 ですから,文章として,あえてそういうふうに言えるかどうかは難しいかもしれませんが,今回の場合は,今までも議論させていただいたところですけれども,FとEをしっかり分けて,あえて衛生薬学を現コアカリのDからEに上げました。ここはやはり臨床現場での医師が関わる薬物治療からは外れて,衛生薬学、薬剤師が担う公衆衛生というのは成り立っているという概念で書いています。
 ですから,多分この中で医師が登場するところはほとんどない、あるいは連携は当然ありますが,薬剤師が担うべきところを示しているつもりですけど,ただ文言としてしっかり表現できていないところがあります。あとは,リスクコミュニケーションとか薬剤師が現場に出て必要な能力というのは,解析,問題解決できる能力という書き方にまとめていますので,これまでの覚えたらよいという衛生薬学からはかなり脱した形で,考える衛生薬学,身に付ける衛生薬学ということにしているつもりです。平井先生には長くその議論をしていただいているところなので,文章としてしっかり出てないということは確かかもしれませんが,薬学における衛生薬学の概念をここで示し、薬剤師としての貢献とか,薬剤師という言葉は使っているつもりです。だから,この中項目ではほとんど薬が出てこないのですね。そういう意味では,医師が関わる学修とは違うということになると考えています。少し言い訳のようになりますけれど。
【平井委員】  いや,非常に工夫されて,それでE-1に持ってこられたというのはそういうことなのだなということはよく分かるのですが,何かこう,どうしても処方箋待ちみたいな現状を,それを何とか打破しなければいけないというのを,みんな現場でもいろいろ考えて工夫をしてやっているところはあるのですが,なかなか学生の段階でそこを教えているのが,まだまだ少ないのではないかなと思いましたので,ここに書き込むのは非常に難しいと思うのですよ。そして,医歯薬足並みそろえてという中で,薬剤師だけ飛んで出るというのは,それは問題があるから,何か勝手に全然違うのだよというような書き方はしにくいというのは非常に理解できるのですが,ただ,やはりここを,衛生薬学というものを今まで教えていたのとは違うのだよということを,今後,教科担当の先生方の集まりとか,あるいは実際にカリキュラムを組んでいく,ガイドラインみたいなものを作ることがあれば,そういうところで,さらに一層強調して,今までとは違うのだと。薬剤師は,今までみたいに,診断が下って処方が出て,その処方箋を待っているのではないのだよということを強調できるようなものに実際問題として作っていっていただきたいなと,非常に思うので,平田先生にはそのあたりをお願いしたいと思っています。
【平田委員】  ありがとうございます。今回のワーキンググループに入っていただいたのは,いわゆる衛生薬学を担当している先生方で若手の先生方が多かったのですが,まさに先ほどのような議論で,今までの衛生薬学ではなくてということで,全部の項目も検討していただきましたし,むしろ教科担当教員会議で,これからの衛生薬学はこうあるべきだということを示すことはできるのではないかと考えています。
 その中での必要事項は,学修目標,学修事項の中で,受け身ではなくてアクティブにやっていくような形での表現はできていると思うので,そこをどうやって浸透させていくか。これは衛生薬学だけではなくて,先ほどのBとかFの関係もそうだと思うのですが,今回のコア・カリキュラムのコンセプトというのは,単にコア・カリキュラム上の文言だけではなくて,やはり,これからどういう形でこれを大学のカリキュラムに落とし込んでいくかが非常に重要ですので,そういった活動は今後どう進めるか分かりませんが,おっしゃっているところはぜひ必要ですし,先ほどのDとFの関係,あるいはEも今回かなり変わりましたので,そこは重点的に今からFD的な形になるかもしれませんが,伝えていかないといけないと思っています。平井先生にはずっと関わっていただいて,意見を頂いているところですが,そこはやはり現場の先生方と共有していかないといけないと考えています。ありがとうございます。
【平井委員】  心ある現場の人たちは,やはりそういうことを望んでいますし,大学と足並みそろえてそういう教育をしていかないといけないと思うので,ぜひそのあたりを今後,1回では済まないでしょうね。文書を出してそれで終わるものではないので,だから,息長く伝えていかなければいけないと思っています。よろしくお願いします。
【平田委員】  ありがとうございます。これから,そういうような形の働きかけが必要だと思いながらやっていました。はい,分かりました。ありがとうございます。
【井上座長】  Eだけの問題ではなくて,読んでいただくと分かると思うのですが,Fの中にも,今の平井先生がおっしゃったような部分というのは入っているのですよね。ただ,少しFの中での強調の仕方が,私は少し足りないのではないかなと。鈴木先生自身……。
【平井委員】  より強調してもいいと思います。
【井上座長】  鈴木先生も悩まれているのだと思いますが,鈴木先生,何か御発言ありませんか。
【鈴木委員】  平井先生の思いはよく分かりますし,そういう思いは僕も同じなのですが,ただ,文章に書いてしまうとなかなか,出たときにどういうふうに解釈されるのかが非常に怖くて,ただ,平井先生が言われたように,臨床のほうは,逆に手引きですとか実務実習の説明ですとか,あるいは臨床系の人たちへの説明会があるので,そういう中での資料のほうに平井先生の思いとか平田先生の思いをなるべく付け加えていく形でやっていこうと思っていますが,それでいかがでしょうか。思いはよく分かります。
【井上座長】  小佐野先生,どうぞ。
【小佐野委員】  Dからも一言。平井先生の言うこと,しみじみ分かります。それで,責任の一端は,Dがやはり病気と薬で結びつけてしまったので,メカニズムのところから,本来だったらどう予防できるかというところを今後検討する必要があるのではないかということは少し感じています。病気を羅列したところの再検討は今後の課題だと思っています。
 ただ一方で,今の平田先生や鈴木先生や平井先生の思いというのは,多分僕たちがEだったものをDに上げて,EとFを並べたところで,やはり予防と治療という2本柱の大枠があるのだということはきちんと説明したらいいのではないかと思います。そうすると,今説明されたことが見えてくると思いますので,今回は説明を徹底していくことで,次回に向けて書換えなり整理をしていって,D,E,Fで相談していくというのでいかがでしょうか。
【井上座長】  そういうことで,平井先生の思いというのが,より強く前面にぜひ出るような方向を探っていきたいと思いますし,今後の薬剤師のあるべき姿を考えるというのは本当にエッセンシャルだと思います。
 ほかに,いかがでしょうか。今のことはこれぐらいにしまして、よろしいで
しょうか。全般にわたって,何でも結構ですが,長津先生,どうぞ。
【長津委員】  全般にわたってということなので,今まで私も様々な議論を拝聴してきた中で,日本薬剤師会としてから一言申し上げなければいけないなというところがあります。まず今,先生方もおっしゃっているとおり,文字に書くとどういうふうに解釈されるか分からないところ,本当にもっともなところで,どんな場面でもそれは注意しなければいけないと思っています。
 ただ,その一方,それを現場にどうやって伝えて正確に理解してもらえるかという作業が,この後大変なのかだと思っています。どうやって先生方の思いを大学が理解して,その先に私たち日本薬剤師会が最も危惧しているのは,教員の質が果たして本当に担保できてきているのかというところが怖いところでございます。これは,苦笑いされている先生,今画面の中でほとんどの方が苦笑いされていますが,これは非常に重要な問題だと思っていますので,このコア・カリキュラムの質が生かされる,先生方の作業が生かされるというのは,優秀な教員がそろっているという前提だと思いますので,その点もお含みおきいただきまして今後の議論に発展させていただきたいと,そう考えております。これは日本薬剤師会でも,常々議論されているところですので,少し変な話ですが,申し上げさせていただきました。
 以上でございます。
【本間副座長】  私が答えるのでしょうか。
【井上座長】  よろしくお願いします。
【本間副座長】  長津先生,ありがとうございます。非常に難しい問題ですが,私の立場としては,モデル・コア・カリキュラムの精神を通じてというか,考え方を,この先,啓蒙というのでしょうか,お伝えするような努力をしようと考えており、いろいろな場を提供してお伝えしようと思っております。なかなか教員の質というふうになりますと,非常に長い話,長期の話になるかもしれませんが,できることからやっていこうというようには思っております。
 これまでもこのメンバーの先生方の中には,いろいろな場でモデル・コア・カリキュラムの考え方をお伝えいただいています。この先もそういうことをして,少しでも伝えていこうと思っておりますので,また薬剤師会の先生方にも御協力いただくことになるかと思いますので,引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございます。今の長津先生のおっしゃった問題は非常に重要な問題で,来年1年ありますので,この間を通じても,各大学に我々の趣旨ができるだけ伝わるように努力していかねばならないと感じております。
 ほかにはいかがでしょうか。まだ多少時間がございますが。高田先生どうぞ,よろしくお願いします。
【高田委員】  その前の議論をとても興味深く,つまり医師の処方から始まるという以上にといいますか,それ以前から薬剤師の役割というのがあるのではないかという,それをいかにこのモデル・コア・カリキュラムに反映させていくのかという議論だったと思うのですが,とても興味深く拝聴しておりました。
 その中に,私も薬局の機能というのはどこで出てくるのだろうと思って探したのですが,F-4のところで,「地域医療・公衆衛生への貢献」というところがありまして,ここの中でセルフケア,セルフメディケーションというのが出てくるのですが,実際に私は,どちらかというと地域住民の立場で薬剤師のお仕事ぶりと言ったらいいか,そこに接する機会があります。そういうことを思うと,特に実習のときに重要になってくるかと思うのですが,今行われている薬剤師の働き方,薬剤師の役割,機能の発揮の仕方ということだけでは恐らく足りないと考えます。つまり,これらの役割というのを,今現場の,特に薬局、病院内は変わってきているという話も聞くのですが,薬局の薬剤師の働き方として,これらが本当に伝わるかと言ったら,あまりそういう実感が正直ないと思うのです。
 したがって,どういう実習に持っていくのかということが重要だと思いました。実習の中で,現場の薬剤師だけに任せっきりになってしまうと,やはりこういうものかと思って終わってしまうという,それで,新しい概念といったらいいか,新しい役割を発揮できるような学生,卒業生が育つというところに到達できない心配があると思って,そのあたりのところがとても重要になるのではないかというのを,感想ですが述べさせていただきました。ありがとうございます。
【井上座長】  ありがとうございます。多分Bの中にもありますし,F,鈴木先生もその辺のところは多分苦労されて盛り込まれてはいるのだろうとは思うのですが,まだまだ十分ではないという御指摘かと思いますので,鈴木先生,何かありますでしょうか。
【鈴木委員】  高田先生,本当にむしろ温かいお言葉だと思っております。ありがとうございます。多分,長津先生なども同じようなことを心配されていると思います。
 ただ,高田先生がおっしゃるように,まだまだ医療施設,特に薬局,もちろん病院も含めて,薬剤師の業務が本当にコア・カリキュラムのようにきちんとできるのかということについては,もちろんこれから現場の先生方とも当然研さんを積んでいかなければいけないのですが,ただ,反対にというよりは,実際に本当に進んでやっている業務をやっている薬局も多く出てきております。それを参考にむしろコア・カリキュラムは作っておりまして,ですから,高田先生方が言われたとおり,これからの社会のニーズに応える薬局というイメージはなるべく盛り込んだつもりです。
 それを,もちろん実習でも見せてくださいということでお願いするのですが,実は,この「F 臨床薬学」でというか,このコア・カリキュラムで行う実務実習という実習には,ガイドラインというのが実はございまして,そのガイドラインの中で,これから高田先生が言われたことをお願いしていくと,施設にお願いしていくという形で,それもたまたま私と本間先生が担当しているのですが,先生が言われたような思いをなるべく施設,もちろん大学にも伝えて,より良い薬剤師を出せる方向で頑張っていきたいと思いますので,これからもまた医師や看護師の方たちからもぜひエールをいただければと思います。
 長津先生,いかがでしょうか。
【長津委員】  まさしく先生方がおっしゃっているとおりなのですが,今,高田先生がおっしゃられた「機能」という,その二文字が少し引っかかります。今のこの状況で,機能という言葉になると,どうしても機能分化ですとか,地域連携薬局とか専門医療機関連携薬局とか,そちらのほうに議論が走ると少し怖いなと思うので,その薬局の業務として様々なものがあるというのは,より強く訴えていきたいと思いますし,一方,今,鈴木先生がおっしゃった薬局,実務実習においてどうするかという問題もあるのですが,これは,私も学生を預かっていますが,現場としては,とにかく細かい話よりも,むしろどういう心根というか,どういうつもりで我々が地域の住民にこういうサービスを提供しているのかというところの背中を見せるということが一番僕らは大事だと思っていますので,細かい話よりもむしろ,少し根性論にはなりますが,そういう性根を据えて薬剤師をやっているのだと。その中で,こういうセルフケアですとかセルフメディケーションというのが重要なのだというところは,実習の項目の中で,もう少し確かに目立っていけたらいいと思いますし,実際には,現場の薬剤師すらもそこは軽んじているというところも否定はできないと思っていますので,改めて薬局というものが質を向上するためにも,この実務実習において,そういったところを強く出すというのは,我々としては極めて重要かなと思っています。
 御意見いただき,ありがとうございました。これは,私が本当は言い出さなければいけなかったことかもしれませんが,大変参考になりました。ありがとうございました。
【井上座長】  石井先生,どうぞ。
【石井委員】  ありがとうございます。石井でございます。私は,病院の立場から今の議論について御意見申し上げますと,やはりコア・カリキュラムよりも現場が業務の質というのが先行していかないと,いい教育はできないと思っております。
 今,病院薬剤師の偏在問題で,非常に病院薬剤師の数が少ないです。業務の質を高めたくてもできないという病院も,現状ございます。ただ,病院といたしましては,できるだけ業務を進歩させた上で学生を迎えたいと思っています。コア・カリキュラムが新しい業務を展開するわけではなくて,業務展開が新しい薬剤師をつくっていくわけですから,そのように病院薬剤師会の中では伝えてまいりたいと思います。
 私たちの意見は,以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございます。平井先生,どうぞ。
【平井委員】  長津先生,ありがとうございます。こういう活動に日本薬剤師会として賛同してくださっているということは非常によく分かりましたので,ぜひ進めていただきたいのですが,1点お願いがございまして,鈴木先生もおっしゃったように,こういう活動を既にしているような薬局もございます。そういうところが実際に進めていく上に,ハードルが立ちはだかるのですよね。
 何かといったら,日本医師会に代表されるようなところです。名前を出してしまって申し訳ないのですが,そういうところとの交渉を日薬のほうで上手にやっていただきたいと思うのです。薬剤師の活動を進めていこうと思うと,やはり,ハードルとして医師,理解のある医師もたくさん増えてきてはいるのですが,そういうのを阻止するような……。個人的には「いいんだよ」と言うのですが,医師会という立場となると反対という方が結構いらっしゃいますのでね。
 だから,そういう団体同士の交渉というのは,やはり日薬のほうで上手にやっていただく。正面からぶつかったら絶対跳ね返されるのは見えていますので,上手に何かこう,脇からこちらの意図を伝えていくような,そういう活動をぜひお願いしたいと思います。
【長津委員】  平井先生,ありがとうございました。実は,これらの問題というのは,私は日本薬剤師会内で担当が私の領域であるのですが,今おっしゃっていただいた他団体の役員の中でも,かなり今は,薬剤師ですとか薬局の業務に関して非常に理解が深い先生方も少なくなくて,私がふだんよくコミュニケーションをとらせていただいている日医の先生などは非常に御理解いただいています。まずはそういった団体同士でどうのこうのというよりは,むしろ役員同士,個人的に理解を深めながら持っていくという作業は,今密やかにというか,ここで言ったら密やかではないのですが,そういうふうには我々も考えてございますので,またぜひ何か御意見ありましたら頂戴したいと思います。ありがとうございました。
【平井委員】  よろしくお願いします。そして,何か日医が反対しているというふうに報道したほうが受けるのだと思うのですよね。だから,報道の在り方も少し注意していただいたらいいのではないかなと思います。よろしくお願いいたします。
【長津委員】  ありがとうございました。
【井上座長】  では,平田先生,どうぞ。
【平田委員】  ありがとうございます。現場の先生方からの貴重な御意見だと思います。大学の立場からすると,やはり先ほどあったように,教育の質ということが非常に重要であって,だから臨床薬学というのは,薬学臨床ではなくて,実務実習の前後に大学での教育を挟んで,臨床薬学教育の充実を図るということで,これが官界の改訂の今回大きなコンセプトで,先ほど本間先生のお話もあったような形なので,やはり教員の質もありますけれど,大学がこれをどういう形でしっかりと臨床での実習に生かすかというのは,やはり大学側に大きな責任があると思うのです。だから,そこをしっかり大学のほうも,現場の先生方に御協力・御指導いただきながら進めなければならないのですが,今そこが大学は少し弱いと思うのです。だからあえて臨床薬学がこういう形になったと思います。
 特に臨床実習の後の大学での教育というのは非常に重要だと思うので,これが今回のコア・カリキュラムの在り方のポイントというのはしっかり大学のほうにも伝えて,現在、薬学教育の質保証についても同時に求められているところなので,教育の質をしっかり裏打ちができるような形でコア・カリキュラムがあって,その説明が大学のほうに浸透していくような,そういうことが必要なのかなと思っています。
 以上です。
【井上座長】  ありがとうございます。今,平田先生がおっしゃったようなことをいかに大学に浸透させていくかと,それがポイントだということだと思いますので,さらに我々は努力していかなければいけないのだなというふうに思った次第です。
 いかがでしょうか。大分時間はたちました。まだ多少の時間ありますが,どうしてもという御発言がありますでしょうか。
 もしほかに御意見がないようでしたら,本日の意見を踏まえた今後の修正につきましては,座長預かりとさせていただき,今後,開催予定の「薬学系人材養成の在り方に関する検討会」に報告することといたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,議題(2),「その他」として,事務局より資料3,今後のスケジュールの説明をよろしくお願いいたします。
【事務局】  事務局です。資料3を御覧ください。
 本日,専門研究委員会(第5回)を開催いたしましたので,次回,11月に,この会議の親委員会に当たります薬学系人材養成の在り方に関する検討会を開催する予定です。
 その後,モデル・コア・カリキュラム案のパブリックコメントを実施し、パブリックコメントの期間終了後,冬頃に第6回専門研究委員会を開催し,専門研究委員会として,モデル・コア・カリキュラムを決定いたします。
 その後,薬学系人材養成の在り方に関する検討会において,モデル・コア・カリキュラムが最終的に決定となります。また,決定したモデル・コア・カリキュラムについては,令和5年度の周知期間を経て,令和6年度入学生から適用となります。
 スケジュール案については,以上でございます。
【井上座長】  ありがとうございました。以上でございます。
 私のほうの通信状況が少し不安定だったので,座長のやや不手際があったかもしれません。申し訳ございません。
 特によろしければ,以上で本日の会議は閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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